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  • 特許-血液透析装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】血液透析装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20230105BHJP
   A61M 1/14 20060101ALI20230105BHJP
【FI】
A61M1/16 110
A61M1/14 110
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017163861
(22)【出願日】2017-08-29
(65)【公開番号】P2019037674
(43)【公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-07-31
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】荒木 実
(72)【発明者】
【氏名】竹村 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐貴
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】井上 哲男
【審判官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-328110(JP,A)
【文献】特開2004-154348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
A61M 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液透析を行う透析器と、透析器に接続されるとともに血液を流通させる血液回路と、上記透析器に接続されて透析液を流通させる透析液回路と、上記透析器において血液から除水を行う除水手段と、治療時間、目標除水量および除水速度といった透析治療のための設定項目にかかる設定値が設定される制御手段とを備えた血液透析装置において、
上記制御手段は、上記治療時間、目標除水量および除水速度のうち、いずれか一つの設定項目を選択可能な状態でタッチパネルに表示するとともに、当該タッチパネルにおいて選択された上記選択項目を記憶する優先設定項目選択手段と、変更された設定項目の設定値に基づいて関連する他の設定項目の設定値を更新する設定値更新手段とを備え、
当該優先設定項目選択手段において一つの設定項目が記憶され、他の2つの設定項目のうちいずれか一方の設定項目の設定値が変更されると、上記設定値更新手段は上記優先設定項目選択手段において記憶された設定項目の設定値を維持したまま、変更された上記一方の設定項目の設定値に基づいて他方の設定項目の設定値を更新することを特徴とする血液透析装置。
【請求項2】
上記優先設定項目選択手段において治療時間を選択した場合、上記目標除水量を変更すると、上記設定値更新手段は上記治療時間を維持したまま、変更された目標除水量に基づいて上記除水速度を更新し、
優先設定項目選択手段において目標除水量を選択した場合、上記治療時間を変更すると、上記設定値更新手段は上記目標除水量を維持したまま、変更された治療時間に基づいて上記除水速度を更新することを特徴とする請求項1に記載の血液透析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血液透析装置に関し、より詳しくは、透析治療中に除水を行う除水手段を備えた血液透析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液透析を行う透析器と、透析器に接続されるとともに血液を流通させる血液回路と、上記透析器に接続されて透析液を流通させる透析液回路とを備えた血液透析装置が知られ、このうち透析治療中に透析器において血液中から水分を取り除く除水を行うための除水手段を備えたものも知られている。
また透析治療をする際には、透析治療を行う治療時間や、治療中に除水すべき目標除水量や、所定時間当たりの除水量である除水速度といった、各種設定項目にかかる設定値を制御手段に設定する必要があり、例えば目標除水量と治療時間とを設定することで上記除水速度が設定される技術が知られている(特許文献1)。
また透析治療中に上記設定値を変更することも可能であり、例えば透析治療中に除水速度および目標除水量を変更すると治療時間が更新される技術(特許文献2)や、目標除水量と治療時間とから除水速度を演算し、透析治療に遅れが生じた場合には治療時間を更新する技術(特許文献3)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-19497号公報
【文献】特開平7-328110号公報
【文献】特許第3250745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、透析治療中に上記除水に関連する設定項目の設定値を変更しようという場合、例えば目標除水量を重視するのか、それとも治療時間を重視するのかについて、特定の設定値を維持したいという要請がある。
しかしながら、上記特許文献の構成ではこのような要請に十分に対応しているとは言えず、主治医や血液透析装置を操作する医療従事者は、設定値を変更する際にその他の設定値も見直す作業が必要な場合があった。
このような問題に鑑み、本発明は透析治療において除水に関連する設定項目の設定値を変更する場合において、任意の設定値についてはこれを維持することが可能な血液透析装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明は、血液透析を行う透析器と、透析器に接続されるとともに血液を流通させる血液回路と、上記透析器に接続されて透析液を流通させる透析液回路と、上記透析器において血液から除水を行う除水手段と、治療時間、目標除水量および除水速度といった透析治療のための設定項目にかかる設定値が設定される制御手段とを備えた血液透析装置において、
上記制御手段は、上記治療時間、目標除水量および除水速度のうち、いずれか一つの設定項目を選択可能な状態でタッチパネルに表示するとともに、当該タッチパネルにおいて選択された上記選択項目を記憶する優先設定項目選択手段と、変更された設定項目の設定値に基づいて関連する他の設定項目の設定値を更新する設定値更新手段とを備え、
当該優先設定項目選択手段において一つの設定項目が記憶され、他の2つの設定項目のうちいずれか一方の設定項目の設定値が変更されると、上記設定値更新手段は上記優先設定項目選択手段において記憶された設定項目の設定値を維持したまま、変更された上記一方の設定項目の設定値に基づいて他方の設定項目の設定値を更新することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、例えば設定項目としての除水速度を変更する場合、優先設定項目選択手段において治療時間を選択しておけば、上記治療時間にかかる設定値を維持したまま目標除水量を更新することができる。
このように、任意の設定項目の設定値を維持したまま、その他の設定項目の設定値を自動的に更新することができるため、医療従事者は設定値を変更する際の作業を簡易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施例にかかる血液透析装置を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1は透析治療を行う血液透析装置1の回路を示し、血液と透析液との間で透析を行う透析器2と、該透析器2に接続された血液回路3と、透析器2に接続された透析液回路4とを備えている。
また上記血液透析装置1は制御手段5によって制御されるようになっており、また透析治療の治療時間や血液回路3における血液の流量等といった、透析治療のための設定項目が設定されている。
本実施例の制御手段5にはタッチパネル6が接続されており、血液透析装置1の状態を表示するとともに、上記制御手段5への上記設定項目にかかる設定値の入力が可能となっており、また後述するように治療途中において上記設定値の変更も可能となっている。
【0009】
上記血液回路3は、患者の血管に接続されて上記透析器2へと血液を取り出す動脈側通路11と、透析器2で透析の終了した血液を患者に戻す静脈側通路12とから構成され、これら通路は可撓性を有する樹脂製のチューブで構成されている。また動脈側通路11には血液を送液する血液ポンプ13が設けられている。
【0010】
上記透析液回路4は、2つの同形の第1透析液チャンバ21と第2透析液チャンバ22とを備えており、また本実施例の血液透析装置1では透析液が調製可能となっており、透析液の原液であるA液およびB液を貯溜するA液タンクTAおよびB液タンクTBを備えている。
上記第1、第2透析液チャンバ21、22の内部は、ダイアフラムやピストンなどの隔壁によって、新鮮な透析液を供給するための供給室21a、22aと、使用済みの透析液を回収するための回収室21b、22bとに区画されている。
上記供給室21a、22aには、浄水を流通させる水供給通路23と、透析器2に新鮮な透析液を流通させる透析液供給通路24とが接続され、上記回収室21b、22bには、使用済みの透析液を流通させる透析液回収通路25と、図示しない排液タンクに使用済み透析液を排出させる透析液排液通路26とが接続されている。
【0011】
上記水供給通路23は浄水を供給する図示しない浄水供給手段に連通され、上記制御手段5によって制御される給水ポンプP1が設けられるとともに、当該給水ポンプP1の下流側には上記A液タンクTAとB液タンクTBとに接続されたA液通路27AおよびB液通路27Bが接続されている。
そして該水供給通路23の下流側は2方向に分岐して第1、第2透析液チャンバ21、22の供給室21a、22aに接続されており、分岐した通路にはそれぞれ制御手段5の制御によって開閉される給液弁V1、V2が設けられている。
また、上記A液通路27AおよびB液通路27Bにはそれぞれ上記制御手段5によって制御されるA液ポンプP2およびB液ポンプP3が設けられており、所定量のA液およびB液をそれぞれ上記供給室21a、22aに送液するようになっている。
このような構成により、上記供給室21a、22aの内部には浄水とA液とB液とが流入するようになっており、当該供給室21a、22aの内部において透析液を調製することができるようになっている。
【0012】
上記透析液供給通路24の上流部分は2方向に分岐してそれぞれ上記第1、第2透析液チャンバ21、22の供給室21a、22aに接続されており、分岐した通路にはそれぞれ制御手段5の制御によって開閉される供給弁V3、V4が設けられている。
また透析液供給通路24の下流部分は上記透析器2に接続されており、当該透析器2との接続部分の上流側には、上記制御手段5の制御によって開閉される開閉弁V5と開閉弁V6とが直列に設けられている。
【0013】
上記透析液回収通路25の下流部分は2方向に分岐してそれぞれ上記第1、第2透析液チャンバ21、22の回収室21b、22bに接続され、この分岐部分にはそれぞれ制御手段5の制御によって開閉される回収弁V7、V8が設けられている。
一方、透析液回収通路25の上流部分は上記透析器2に接続され、制御手段5の制御によって開閉される開閉弁V9と、透析液を送液する透析液ポンプP4とが設けられている。
【0014】
上記透析液排液通路26は、その上流部分が2方向に分岐して各回収室21b、22bに接続され、当該分岐部分にはそれぞれ制御手段5の制御によって開閉される排液弁V10、V11が設けられている。
【0015】
そして、上記透析液供給通路24における上記開閉弁V5の上流側となる位置と、透析液回収通路25における上記開閉弁V9よりも下流側となる位置との間には、バイパス通路31が設けられている。
上記バイパス通路31には開閉弁V12が設けられており、透析治療中に透析液の濃度に不良が検出された場合には、上記透析液供給通路24の開閉弁V5および透析液回収通路25の開閉弁V9を閉鎖するとともに、バイパス通路31の開閉弁V12を開放することで、上記不良透析液を透析器2を通過させずにバイパス通路31から透析液回収通路25へと送液することが可能となっている。
【0016】
また、上記透析液回収通路25における分岐部分よりも上流側に隣接した位置と、上記透析液排液通路26における分岐部分の下流側に隣接した位置との間には、除水手段としての除水通路32および除水ポンプP5が設けられている。
上記除水ポンプP5は制御手段5の制御によって作動し、透析治療中に作動することで透析器2において血液から水分を除去し、除去した水分を使用済み透析液と共に上記透析液排液通路26へと排出するようになっている。
【0017】
さらに、上記透析液供給通路24における上記開閉弁V5と開閉弁V6との間と、上記血液回路3における動脈側通路11に設けたドリップチャンバー11aとの間には、補液手段としての補液通路33および補液ポンプP6が設けられている。
上記補液ポンプP6は制御手段5の制御によって作動し、透析治療中に作動することで透析液供給通路24を流通する新鮮な透析液を血液回路3の動脈側通路11に供給し、上記透析液を患者に補液するようになっている。
【0018】
上記構成を有する血液透析装置1の動作について説明すると、血液透析が行われる間、血液回路3では血液ポンプ13が制御手段5に設定された血液流量に従って血液を送液し、動脈側通路11から流入した血液は透析器2を通過した後に静脈側通路12を流通して患者に戻るようになっている。
一方上記透析液回路4では、第1、第2透析液チャンバ21、22の供給室21a、22aには交互に上記水供給通路23から浄水、A液およびB液が流入し、これらが混合されて新鮮な透析液が調製される。また当該供給室21a、22aの容積増大に伴って上記回収室21b、22bからは交互に使用済み透析液が透析液排液通路26より排出される。
一方、上記第1、第2透析液チャンバ21、22の回収室21b、22bには、透析液ポンプP4によって透析器2を通過した使用済み透析液が交互に流入し、当該回収室21b、22bの容積増大に伴って供給室21a、22aからは交互に調製された透析液が透析器2に供給されるようになっている。
【0019】
そして透析治療中に血液から除水を行う場合、制御手段5は上記除水通路32に設けた除水ポンプP5を作動させて、上記透析器2において老廃物を含んだ液体を血液中から排出させ、これを除水通路32を介して透析液排液通路26より排液するようになっている。
また透析治療中に補液を行う場合には、制御手段5は上記補液通路33に設けた補液ポンプP6を作動させて、透析液供給通路24の透析液を補液通路33を介して動脈側通路11のドリップチャンバー11aに供給し、当該動脈側通路11より透析液を患者に供給するようになっている。
【0020】
そして、上記構成を有する血液透析装置1を用いて透析治療を行う場合、主治医や医療従事者は患者の体調等に応じて、上記制御手段5に接続されたタッチパネル6を用いて、透析治療にかかる設定項目の設定値を設定するようになっている。
上記設定項目としては、例えば透析治療の開始から終了までの治療時間、透析液ポンプによる透析液の透析液流量、血液ポンプ13による血液の血液流量があり、透析治療中に除水を行う場合には、治療終了までに除水すべき目標除水量、除水ポンプP5による除水速度を、透析治療中に補液を行う場合には、治療終了までに補充すべき目標補液量、補液ポンプP6による補液流量がある。
これらの設定項目にはそれぞれ設定値があり、透析治療を行う際には上記制御手段5には上記タッチパネル6を介して各設定項目ごとに設定値を入力する必要がある。
ここで、例えば上記目標除水量は、治療時間と除水速度とから算出することが可能な設定値となっており、従って医療従事者が制御手段5に治療時間と除水速度を設定すれば、制御手段5が上記目標除水量を自動的に算出することができる。逆に治療時間と目標除水量を設定すれば、制御手段5が除水速度を自動的に算出することができる。
【0021】
また、上記血液透析装置1において透析治療を開始した後、何らかの理由によって治療時間や除水速度等の設定項目の設定値を変更したい場合、医療従事者は上記タッチパネル6を用いてこれらの設定値を変更することができる。
しかしながら、例えば治療時間を短縮する場合、治療時間だけを短縮して他の設定項目の設定値を変更しないと、治療開始時に設定した目標除水量に達する前に透析治療が終了してしまうこととなる。
そこで、所要の設定項目の設定値を変更した場合にこれに関連する設定項目の設定値を更新する技術が知られており、例えば上記特許文献に記載されているように、所要の設定値を変更した場合に制御手段5がこれに関連する設定値を自動的に更新するようになっている。
ここで、透析治療中に除水を行うための設定項目としては、上記目標除水量および上記除水速度があるが、主治医の考えや患者の状態に応じて、目標除水量を重視するか、患者への負担を考えて除水速度を重視するか、変更する設定値が異なる場合がある。
しかしながら従来の血液透析装置1では、一つの設定項目の設定値を変更した場合には、これに対応する一つの設定項目の設定値が更新されるだけであり、他方の設定項目の設定値が更新されることはなかった。従って、当該他の設定項目の設定値を更新する際には、医療従事者が手動で更新する必要があった。
【0022】
このような問題に鑑み、本発明にかかる血液透析装置1の制御手段5には、上記除水に関係する設定項目のうち、治療時間、目標除水量および除水速度のいずれか一つの設定項目を選択する優先設定項目選択手段41と、変更された設定項目の設定値に基づいて関連する他の設定項目の設定値を更新する設定値更新手段42とが設けられている。
上記優先設定項目選択手段41は、上記タッチパネル6上に上記治療時間、目標除水量および除水速度のいずれかの設定項目を選択可能な状態で表示させ、医療従事者がそのうちの一つの設定項目を選択すると、当該設定項目を記憶するようになっている。
そして医療従事者がタッチパネル6において、残りの2つの設定項目のうちいずれか一方の設定項目を変更すると、上記設定値更新手段42が上記優先設定項目選択手段41で選択された設定項目の設定値を維持したまま、変更した設定項目の設定値に基づいて上記2つの設定項目のうちの他方の設定項目の設定値を更新するようになっている。
【0023】
以下具体的に説明すると、上記優先設定項目選択手段41において治療時間を選択した場合、上記目標除水量の設定値を変更すると、上記設定値更新手段42は上記治療時間の設定値を維持したまま、変更された目標除水量の設定値に基づいて上記除水速度の設定値を更新する。
このような設定をした場合、目標除水量を増減した場合であっても治療時間についてはこれを維持することが可能となっている。
逆に、上記優先設定項目選択手段41において治療時間を選択した場合に、上記除水速度の設定値を変更すると、上記設定値更新手段42は上記治療時間の設定値を維持したまま、変更された除水速度の設定値に基づいて上記目標除水量の設定値を更新する。
このような設定をした場合、例えば患者の体調によって除水速度を変更した場合であっても、治療時間についてはこれを維持することができる。
【0024】
また、優先設定項目選択手段41において目標除水量を選択した場合、上記治療時間の設定値を変更すると、上記設定値更新手段42は上記目標除水量の設定値を維持したまま、変更された治療時間の設定値に基づいて上記除水速度の設定値を更新する。
このような設定をした場合、何らかの理由により治療時間を変更する場合であっても、予め定めた目標除水量分だけ除水することができる。
逆に、優先設定項目選択手段41において目標除水量を選択した場合に、上記除水速度の設定値を変更すると、上記設定値更新手段42は上記目標除水量の設定値を維持したまま、変更された除水速度の設定値に基づいて上記治療時間の設定値を更新する。
このような設定をした場合、例えば患者の体調によって除水速度を変更した場合であっても、予め設定した目標除水量についてはこれを維持することができる。
【0025】
さらに、優先設定項目選択手段41において除水速度を選択することもでき、この場合、上記治療時間の設定値を変更すると、上記設定値更新手段42は上記除水速度の設定値を維持したまま、変更された治療時間の設定値に基づいて上記目標除水量の設定値を更新する。
逆に、優先設定項目選択手段41において除水速度を選択した場合に、上記目標除水量の設定値を変更すると、上記設定値更新手段42は上記除水速度の設定値を維持したまま、変更された目標除水量の設定値に基づいて上記治療時間の設定値を更新する。
【0026】
上記設定値更新手段42には、予め除水速度の上限値や下限値が設定されており、上記設定値更新手段42によって除水速度の設定値を更新する際、更新された除水速度が上限値と下限値との範囲を逸脱する場合には、タッチパネル6にその旨を表示し、再度の設定を促すことが可能となっている。
このように、上記実施例によれば、予め優先設定項目選択手段41において維持したい設定項目を選択することにより、その他の設定項目の設定値を変更する場合には、上記選択した設定値については維持したまま、その他の関連する設定値を更新することができ、患者や医療従事者の要望に沿った設定値の変更を行うことが可能となる。
【0027】
なお、上記実施例において説明した血液透析装置1はいわゆる個人用透析装置に関するものであるが、いわゆる透析用監視装置であっても適用することが可能となっている。
【符号の説明】
【0028】
1 血液透析装置 2 透析器
3 血液回路 4 透析液回路
5 制御手段 6 タッチパネル
32 除水通路 41 優先設定項目選択手段
42 設定値更新手段 P5 除水ポンプ
図1