(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】駐車場管理装置、駐車場管理システムおよび駐車場管理方法
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20230105BHJP
【FI】
G07B15/00 L
(21)【出願番号】P 2018152405
(22)【出願日】2018-08-13
【審査請求日】2021-08-06
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度経済産業省「高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業:自動バレーパーキングの実証及び高度な自動走行システムの実現に必要な研究開発」(一般車両による自動バレーパーキングシステムの社会実装に向けた実証)委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(73)【特許権者】
【識別番号】591056927
【氏名又は名称】一般財団法人日本自動車研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】泉 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】追立 知浩
(72)【発明者】
【氏名】露梨 真史
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-219738(JP,A)
【文献】特開2016-006605(JP,A)
【文献】特開平07-102817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場内における車両の走行を管理する管理部と、
前記管理部によって走行が管理される車両に対する所定の仮出庫条件を満たすイベントを検出する検出部と
、
車両のユーザによるユーザ操作に基づく仮出庫要請を受け付ける受付部と
を備え、
前記検出部は、
前記受付部によって受け付けられた前記仮出庫要請を前記イベントとして検出し、
前記管理部は、
前記検出部によって前記イベントが検出された車両に対して一時的に出庫させること
を特徴とする駐車場管理装置。
【請求項2】
駐車場内における車両の走行を管理する管理部と、
前記管理部によって走行が管理される車両に対する所定の仮出庫条件を満たすイベントを検出する検出部と
を備え、
前記検出部は、
車両内で生体が検出された場合、または、車両の異常が検出された場合に、前記イベントとして検出し、
前記管理部は、
前記検出部によって前記イベントが検出された車両に対して一時的に出庫させること
を特徴とする駐車場管理装置。
【請求項3】
車両に対して前記駐車場内の駐車スペースを割り当てる割当部
をさらに備え、
前記管理部は、
一時的に出庫させるに際して、一時的に出庫させた後の再駐車に対する駐車スペースを確保すること
を特徴とする請求項1
または2に記載の駐車場管理装置。
【請求項4】
前記管理部は、
一時的に出庫させた後の再駐車に対する駐車スペースとして、一時的な出庫前の駐車スペースを確保すること
を特徴とする請求項
3に記載の駐車場管理装置。
【請求項5】
出庫先へ車両が到着するのに要する所要時間を算出する算出部と
前記算出部によって算出された前記所要時間を通知する通知部と
を備えること
を特徴とする請求項1~
4のいずれか一つに記載の駐車場管理装置。
【請求項6】
前記管理部は、
前記駐車場内に設けられた仮出庫用スペースへ一時的に出庫させること
を特徴とする請求項1~
5のいずれか一つに記載の駐車場管理装置。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか一つに記載の駐車場管理装置と、
前記駐車場管理装置に対するユーザ操作を受け付けるユーザ端末と
を備えることを特徴とする駐車場管理システム。
【請求項8】
駐車場内における車両の走行を管理する管理工程と、
前記管理工程によって走行が管理される車両に対する所定の仮出庫条件を満たすイベントを検出する検出工程と
、
車両のユーザによるユーザ操作に基づく仮出庫要請を受け付ける受付工程と
を含み、
前記検出工程は、
前記受付工程によって受け付けられた前記仮出庫要請を前記イベントとして検出し、
前記管理工程は、
前記検出工程によって前記イベントが検出された車両に対して一時的に出庫させること
を特徴とする駐車場管理方法。
【請求項9】
駐車場内における車両の走行を管理する管理工程と、
前記管理工程によって走行が管理される車両に対する所定の仮出庫条件を満たすイベントを検出する検出工程と
を含み、
前記検出工程は、
車両内で生体が検出された場合、または、車両の異常が検出された場合に、前記イベントとして検出し、
前記管理工程は、
前記検出工程によって前記イベントが検出された車両に対して一時的に出庫させること
を特徴とする駐車場管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場管理装置、駐車場管理システムおよび駐車場管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動運転走行が可能な車両に対して駐車場内の走行を管理する駐車場管理装置がある(例えば、特許文献1参照)。かかる駐車場管理装置では、例えば、車両のユーザから受け付けた駐車予約に基づき、割り当てた駐車スペースへ車両を駐車させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、駐車場の利便性を向上させる点において改善の余地があった。すなわち、従来技術では、一度出庫させた後に再度入庫させたい場合、ユーザが再度駐車場予約を行う必要がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、駐車場の利便性を向上させることができる駐車場管理装置、駐車場管理システムおよび駐車場管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態に係る駐車場管理装置は、管理部と、検出部とを備える。前記管理部は、駐車場内における車両の走行を管理する。前記検出部は、前記管理部によって走行が管理される車両に対する所定の仮出庫条件を満たすイベントを検出する。前記管理部は、前記検出部によって前記イベントが検出された場合に、車両を一時的に出庫させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、駐車場の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、駐車場管理方法の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、駐車場管理システムの概要を示す図である。
【
図3】
図3は、駐車場内の設備の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、駐車場管理装置のブロック図である。
【
図5】
図5は、仮出庫要請の要請画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、スケジュールの具体例を示す図である。
【
図8】
図8は、駐車場管理装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る駐車場管理装置、駐車場管理システムおよび駐車場管理方法について詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、
図1を用いて実施形態に係る駐車場管理方法の概要について説明する。
図1は、駐車場管理方法の概要を示す図である。なお、かかる駐車場管理方法は、
図1に示す駐車場管理装置1によって実行される。
【0011】
駐車場管理装置1は、駐車場P内において、自動運転が可能な車両(以下、単に車両Cと記載する)の走行を管理する管理装置である。駐車場管理装置1は、例えば、各車両Cを駐車させる駐車スペースを管理したり、駐車スペースまでの走行経路を指示したりすることで、各車両の駐車場P内の走行を管理する。
【0012】
なお、本実施形態では、駐車場管理装置1による指示にしたがって駐車場P内を車両Cが走行するため、駐車場P内への手動運転車両や人物の進入を禁止するものとする。
【0013】
ところで、従来、駐車スペースに駐車した車両に対する出庫要請を受け付けた場合に、かかる車両を出庫させる駐車場管理装置がある。しかしながら、従来技術では、駐車スペースから車両を一旦出庫させると、かかる駐車スペースへ他の車両が駐車する場合がある。
【0014】
例えば、ユーザが車両に忘れ物をした場合など、一時的に出庫させたい場合であっても、車両を一旦出庫させると、駐車スペースの手配から再度行う必要がある。すなわち、従来技術では、駐車場の利便性を向上させる点において改善の余地があった。
【0015】
そこで、実施形態に係る駐車場管理方法では、所定の仮出庫条件を満たすイベントを検出した場合に、車両Cを一時的に出庫させる。なお、以下では、かかる出庫について「仮出庫」と記載する。つまり、実施形態に係る駐車場管理方法では、駐車スペースから一時的に車両を出庫させ、その後、駐車スペースへ車両を再度駐車させる。
【0016】
具体的には、
図1に示すように、駐車場管理方法では、まず、駐車場P内の車両Cに対する仮出庫条件を満たすイベントを検出する(ステップS1)。例えば、仮出庫条件は、車両Cのユーザによる仮出庫要請や、車両Cの異常時等が含まる。
【0017】
なお、駐車場P内の車両C(仮出庫条件を満たすイベントにより仮出庫要請等が行われる対象の車両)は、割り当てられた駐車スペースに駐車中の車両が主な対象となるが、割り当てられた駐車スペースへの駐車完了前(割り当てられた駐車スペースに移動中)の車両等、出庫の対象になっている車両(入庫受付処理が完了し、駐車場P内に進入した車両)が該当する。
【0018】
その後、駐車場管理方法では、上記のイベントを検出した場合に、車両Cに対して仮出庫を指示する(ステップS2)。かかる仮出庫の指示には、駐車スペースから駐車場P内に設けられた仮出庫スペースPSまでの経路等が含まれる。
【0019】
なお、仮出庫スペースPSは、出庫時にユーザが車両Cに乗車する乗車スペースRSとは別に設けられ、仮出庫専用に設けられたスペースである。すなわち、仮出庫スペースPSを乗車スペースRSと別に設けることで、仮出庫スペースPSおよび乗車スペースRSの双方の混雑を緩和することができる。
【0020】
ユーザは、仮出庫スペースPSにて、車両Cに荷物を搬入したり、車両Cから荷物を搬出したりすることが可能である。また、車両Cの異常時においては、仮出庫スペースPSでユーザまたは駐車場Pの管理者によって車両Cの点検が行われる。
【0021】
その後、駐車場管理方法では、車両Cを元の駐車スペースSPへ駐車させる。すなわち、実施形態に係る駐車場管理方法では、車両Cが駐車していた元の駐車スペースを確保したまま、仮出庫を行うことが可能である。
【0022】
なお、車両Cが駐車していた元の駐車スペースでは無く、別の駐車スペースを確保して仮出庫を行い、仮出庫後は車両Cを当該別の駐車スペースに駐車させる方法をとることも可能である。
【0023】
また、例えば、ユーザは、駐車場Pを予約する際に、予め仮出庫の有無を指定しておくことも可能である。この場合、駐車場管理方法では、仮出庫を行う予定の車両Cに対して、仮出庫スペースPS近傍の駐車スペースSPを割り当てる。これにより、駐車場管理方法では、仮出庫に要する時間を短縮することが可能である。また、かかる場合に、仮出庫に際して車両Cの走行距離を短くすることができるので、仮出庫に伴う処理を軽減することも可能である。
【0024】
このように、実施形態に係る駐車場管理方法では、駐車場内において仮出庫を可能とすることで、駐車場の利便性を向上させることが可能となる。
【0025】
次に、
図2を用いて実施形態に係る駐車場管理システムについて説明する。
図2は、駐車場管理システムの構成例を示す図である。
図2に示すように、実施形態に係る駐車場管理システムSは、駐車場管理装置1と、ユーザ端末10と、車載装置50と、統合管制装置100とを備える。
【0026】
例えば、各駐車場Pに対して1つの駐車場管理装置1が設けられる。駐車場管理装置1は、駐車場P内の車両Cの走行や、駐車場P内の各駐車スペースSPの使用状況等を管理する。
【0027】
ユーザ端末10は、例えば、車両Cのユーザが所持するスマートフォン等の通信端末である。ユーザは、例えば、ユーザ端末10にインストールされたアプリやWebブラウザを介して、駐車場Pの予約や仮出庫要請等を行うことが可能である。
【0028】
車載装置50は、例えば、車両Cの自動運転を制御する制御装置である。例えば、車載装置50は、駐車場管理装置1の指示に従って駐車場P内における自動運転を行う。
【0029】
統合管制装置100は、管轄下にある複数の駐車場Pを統合的に管理する管理装置である。統合管制装置100は、ユーザ端末10から受け付けた駐車予約を管轄下の駐車場Pの駐車場管理装置1へ割り当てたり、駐車予約を受け付けた車両Cに対して駐車場Pまで誘導したりする。
【0030】
また、統合管制装置100は、複数の統合管制装置100で連携することも可能である。例えば、各統合管制装置100で受け付けた駐車予約を他の統合管制装置100へ通知することで、他の統合管制装置100の管轄下にある駐車場Pに対する駐車予約を受け付けることもできる。
【0031】
なお、統合管制装置100が駐車場管理装置1の一部または全ての機能を担うことにしてもよいし、あるいは、駐車場管理装置1が統合管制装置100の一部または全ての機能を担うことにしてもよい。すなわち、駐車場管理装置1と統合管制装置100とを読み替えることにしてもよい。
【0032】
この場合、駐車場管理装置1は、複数の駐車場Pを跨いで、車両Cの仮出庫を行うことが可能である。すなわち、仮出庫を行った車両Cを他の駐車場Pの駐車スペースPSへ駐車させることも可能である。
【0033】
次に、
図3を用いて駐車場P内の設備について説明する。
図3は、駐車場P内の設備の一例を示す図である。
図3に示すように、例えば、駐車場Pには、駐車場管理装置1と、ゲート装置301と、センシング機器305とが設置される。
【0034】
ゲート装置301は、駐車場P内の出入り口に設けられたゲートを制御する装置である。例えば、ゲート装置301は、ゲートを開閉することで、駐車場P内への車両Cの進入を許可もしくは制限する。
【0035】
例えば、ゲート装置301は、駐車場管理装置1によって入場が許可された車両Cを駐車場P内へ入場させることができる。かかる場合に、例えば、ゲート装置301は、ユーザ端末10や、車載装置50と通信を行うことで、入場が許可された車両Cか否かを判別することが可能である。
【0036】
また、ゲート装置301は、車両Cを駐車場P内に入場させると、車両Cの入場を駐車場管理装置1へ通知する。これにより、車載装置50は、その後の自動運転を駐車場管理装置1の指示に従って行うこととなる。
【0037】
センシング機器305は、駐車場P内の状況を検出する機器である。例えば、センシング機器305は、火災検知機や、駐車場Pを撮像するカメラを含む。センシング機器305は、センシング結果を駐車場管理装置1へ通知する。なお、センシング機器305側で、カメラによって撮像された画像を解析し、生体、発煙、火器等を検出することにしてもよいし、かかる画像の解析を駐車場管理装置1側で行うことにしてもよい。
【0038】
次に、
図4を用いて実施形態に係る駐車場管理装置1の構成例について説明する。
図4は、駐車場管理装置1のブロック図である。
図4に示すように、駐車場管理装置1は、通信部2と、制御部3と、記憶部4とを備える。
【0039】
通信部2は、
図2に示したネットワークNを介してユーザ端末10、車載装置50、統合管制装置100等と通信を行う通信モジュールである。また、通信部2は、ゲート装置301と、センシング機器305と通信を行うことも可能である。
【0040】
制御部3は、受付部31と、割当部32と、検出部33と、管理部34と、算出部35と、通知部36とを備える。制御部3は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0041】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部3の受付部31、割当部32、検出部33、管理部34、算出部35および通知部36として機能する。
【0042】
また、制御部3の受付部31、割当部32、検出部33、管理部34、算出部35および通知部36の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0043】
また、記憶部4は、例えば、RAMやHDDに対応する。RAMやHDDは、予約情報41、車両情報42および費用情報43を記憶する。なお、駐車場管理装置1は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0044】
受付部31は、駐車スペースSPへの駐車予約を受け付ける。例えば、受付部31は、ユーザ端末10から送信される駐車予約を統合管制装置100を介して受け付ける。例えば、駐車予約には、車両Cを特定する情報、ユーザが駐車を希望する駐車場名、開始予定時刻、終了予定時刻等が含まれる。
【0045】
例えば、統合管制装置100は、駐車予約を取得すると、駐車場名に対応する駐車場管理装置1へ駐車予約を通知する。これにより、ユーザが希望する駐車場Pへの駐車予約を受け付けることができる。受付部31は、駐車予約を受け付けると、かかる駐車予約を割当部32へ通知する。
【0046】
また、受付部31は、車両Cのユーザが所持するユーザ端末10から車両Cの出庫要請や仮出庫要請を受け付けることも可能である。受付部31は、受け付けた出庫要請を管理部34へ通知し、仮出庫要請を管理部34へ通知する。なお、受付部31は、例えば、駐車場Pに設けられた専用端末から出庫要請や仮出庫要請を受け付けることも可能である。
【0047】
図5は、仮出庫要請の要請画面の一例を示す図である。ユーザが、仮出庫要請を所望する場合、ユーザ端末10を操作すると、仮出庫要請を行うための要請画面が表示される。
【0048】
ユーザは、例えば、車両Cに荷物を置きたい場合や、車両Cから荷物を取りたい場合等に、ユーザ端末10へ要請画面を表示させることができる。例えば、要請画面には、要請理由の選択ボタンB1と、要請ボタンB2とが表示される。
【0049】
例えば、
図5に示す例では、要請理由が「忘れ物」である場合を示す。なお、ここでの忘れ物は、車両Cに忘れ物をしたことを示す。例えば、ユーザは、選択ボタンB1を操作すると、他の要請理由として、「荷物の搬入」等を選択することができる。
【0050】
その後、ユーザは、要請ボタンB2を選択することで、ユーザ端末10から仮出庫要請が駐車場管理装置1へ通知され、受付部31は、かかる仮出庫要請を受け付けることとなる。
【0051】
このように、ユーザの仮出庫要請を受け付けることで、ユーザが任意のタイミングで車両Cを仮出庫させることができる。つまり、駐車場Pの利便性を向上させることが可能となる。
【0052】
なお、要請理由の入力については任意であってもよい。すなわち、選択ボタンB1を要請画面に表示しないことにしてもよい。また、要請理由に代えて緊急度、すなわち、どれだけ急いでいるかを示す選択ボタンを表示することにしてもよい。
【0053】
また、駐車場P内に仮出庫スペースPS(
図1参照)が複数存在する場合に、ユーザ端末10に仮出庫スペースPSを選択する選択ボタンを表示することにしてもよい。
【0054】
また、ユーザ端末10の要請画面に出庫要請の選択ボタンをあわせて表示することにしてもよい。ユーザは、かかる出庫要請により、車両Cを乗車スペースRS(
図1参照)へ向かわせることが可能である。
【0055】
図4の説明に戻り、割当部32について説明する。割当部32は、車両Cに対して駐車場P内の駐車スペースを割り当てる。例えば、割当部32は、受付部31によって受付けられた駐車予約に基づき、予約時間が重ならないように、車両Cに対して駐車スペースを割り当てる。例えば、各駐車スペースの予約状況は、駐車スペースSP毎のスケジュールによって管理される。
【0056】
図6は、スケジュールの具体例を示す図である。
図6に示すように、例えば、スケジュールは、駐車スペース毎に予約状況を対応付けたものである。
【0057】
図6に示す駐車スペースIDは、各駐車スペースSPを識別するための識別子である。また、予約状況における横軸は、時間の推移を示し、「C001」等が入力された箇所は、既に予約で埋まっていることを示す。
【0058】
割当部32は、
図6に示すスケジュールを参照し、新たな駐車予約を受け付けた場合に、予約が重複しない駐車スペースSPへ駐車予約を割り当てることとなる。
【0059】
図4の説明に戻り、検出部33について説明する。検出部33は、後述する管理部34によって走行が管理される車両Cに対する所定の仮出庫条件を満たすイベントを検出する。そして、検出部33は、上記のイベントを検出すると、かかるイベントに関する情報を管理部34へ通知する。
【0060】
例えば、仮出庫条件は、ユーザによる要求と、駐車場管理システムS側の判断とに大別される。ユーザによる要求は、上述の仮出庫要請であり、駐車場管理システムS側の判断は、例えば、車両Cの異常時である。なお、かかる異常時には、車両C内で生体が検出された場合や、車両Cから煙が出る等の車両Cの異常を示す。
【0061】
なお、ここでの生体とは、人物や、ペット等を含む。また、生体が車両Cの外へ出るおそれがない場合(例えば、ペットが車内の檻の中にいる場合等)、すなわち、駐車場管理システムSの運営に支障をきたすおそれがない場合、かかるイベントを検出しないことにしてもよい。
【0062】
検出部33は、ユーザによる要求を上述の仮出庫要求について仮出庫条件を満たすイベントとして検出する。また、検出部33は、例えば、
図3に示すセンシング機器305によるセンシング結果から車両Cの異常時に対応する仮出庫条件を満たすイベントを検出する。
【0063】
すなわち、検出部33は、センシング機器305によって車両Cの発煙が観測された場合や、車内で生体が検出された場合に、上記のイベントとして検出する。なお、検出部33は、車内の生体については、車内カメラによって撮像された撮像画像に基づいて検出することにしてもよい。
【0064】
このように、検出部33によって車内の生体や、車両の異常が検出された場合に、車両Cを仮出庫させることで、駐車場Pにおけるシステム障害や、災害を未然に回避することが可能となる。
【0065】
管理部34は、駐車場P内における車両Cの走行を管理する。すなわち、駐車場P内において、各車両Cは、管理部34による指示にしたがって走行または駐車することとなる。
【0066】
例えば、管理部34は、各車両Cの走行経路や、かかる走行経路における最適な走行速度、舵角等を随時算出し、各車両Cの車載装置50へ指示することで、駐車場P内の車両Cの走行を管理する。
【0067】
管理部34は、各車両Cに対する管理結果を記憶部4に車両情報42として記憶する。車両情報42は、各車両Cの走行経路、現在地、現在の走行状態等が各車両C毎に関連付けられた情報である。
【0068】
管理部34は、車両情報42を参照することで、各車両Cの現在地や、各車両Cの走行経路等を把握することが可能である。すなわち、管理部34は、車両情報42を参照することで、各車両Cが互いに走行の妨げとならないように、各車両Cの走行を管理することが可能である。
【0069】
例えば、車両Cが駐車場Pへ入場すると、まず、管理部34は、予約情報41を参照し、駐車場Pに入場した車両Cが駐車すべき駐車スペースSPを確認する。続いて、管理部34は、かかる駐車スペースSPまでの走行経路を算出し、走行経路における走行速度、舵角等を含む走行状態を指定して車両Cの車載装置50へ送信する。
【0070】
これにより、車載装置50は、管理部34から送信される走行状態に従って、車両Cを指定された駐車スペースSPへ自動運転を行うこととなる。
【0071】
また、管理部34は、検出部33によって上記のイベントが検出された場合に、車両Cを仮出庫させる。上述のように、本実施形態において、仮出庫とは、駐車場P内の車両Cを仮出庫スペースPSへ走行させた後に、車両Cに対して割り当てられた駐車スペースSPへ駐車させることを指す。
【0072】
例えば、管理部34は、イベントが検出された場合に、仮出庫対象となる車両Cを仮出庫スペースPSまで向かわせることとなる。このとき、管理部34は、車両情報42を参照し、駐車場P内の車両Cが互いに走行の妨げとならないように、車両Cを仮出庫スペースPSへ向かわせることとなる。
【0073】
すなわち、管理部34は、車両Cの仮出庫時の走行計画を他の車両Cの走行経路に基づいて決定する。そして、管理部34は、かかる走行計画を車載装置50へ送信するとともに、算出部35へ通知する。
【0074】
算出部35は、仮出庫の仮出庫先へ車両Cが到着するのに要する時間を算出し、通知部36へ通知する。具体的には、算出部35は、管理部34から通知される上記の走行計画に基づいて所要時間を算出する。
【0075】
算出部35は、車両Cの現在地から仮出庫スペースPSまでの走行予定距離に加え、例えば、駐車場P内の混雑状況や、仮出庫スペースPSにおける待ち時間を考慮して所要時間を算出することが可能である。すなわち、算出部35は、駐車場P内が混雑している場合、混雑してない場合に比べて所要時間が長く算出し、また、仮出庫スペースPSが混雑している場合、混雑していない場合に比べて所要時間が長く算出する。
【0076】
また、算出部35は、記憶部4の費用情報43を参照し、仮出庫に伴う費用を算出することも可能である。かかる費用は、例えば、駐車場Pの利用料ともに、車両Cが出庫する際に、車両Cのユーザへ請求されることとなる。
【0077】
図7は、費用情報43の一例を示す図である。
図7に示すように、要請理由や、影響度によって費用が異なる。ここで、要請理由は、仮出庫を行う理由を示す。要請理由には、ユーザ要求と、システム判断とが含まれる。
【0078】
また、ユーザ要求には、私的と、緊急とが含まれる。私的は、忘れ物等のユーザの私的の理由を示す。また、緊急とは、車両C内への生体の置き忘れ等がある。ユーザ要求における緊急とは、ユーザが生体の置き忘れに気付いて、仮出庫を要請したことを示す。
【0079】
一方、システム判断における緊急とは、駐車場管理システムS側で生体の置き忘れを検出したことを示す。なお、システム判断における緊急とは、上述のように、車両Cの異常(火災)を含む。
【0080】
また、
図7に示す影響度とは、車両Cの仮出庫に際して、他の車両Cへ与える影響度を示す。例えば、影響度「大」、「中」、「小」の3段階に分けられる。
【0081】
例えば、影響度「大」は、仮出庫に際して駐車場P内の混雑を招き、かかる混雑によって駐車場P内に進入する車両Cの入庫の妨げとなる場合である。
【0082】
また、影響度「中」は、仮出庫に際して駐車場P内の混雑を招く場合である。そして、影響度「小」は、仮出庫に際して他の車両Cへ影響がない場合である。
図7に示す例では、影響度が高いほど、費用が高くなり、要請理由が私的である場合に、費用が高くなる。なお、
図7に示す費用情報43は、一例であり、任意に変更可能である。
【0083】
図4の説明に戻り、通知部36について説明する。通知部36は、算出部35によって算出された所要時間をユーザ端末10へ通知する。例えば、ユーザ端末10は、通知された所要時間をプッシュ通知でユーザへ通知する。
【0084】
ユーザは、通知された所要時間にあわせて、仮出庫スペースPSへ向かえばよく、所要時間までの時間を自由に過ごすことが可能となる。すなわち、利便性を向上させることが可能となる。
【0085】
なお、例えば、ユーザは、ユーザ端末10を操作し、通知された所要時間に対する延長を申請することも可能である。例えば、ユーザは、通知された所要時間が早かった場合、所要時間の延長を申請する。そして、駐車場管理装置1は、かかる申請に基づき、仮出庫を行う時刻を調整することも可能である。なお、この際、ユーザ端末10は、何分延長するかの入力を受け付けることにしてもよい。
【0086】
次に、
図8を用いて駐車場管理装置1が実行する処理手順について説明する。
図8は、駐車場管理装置1が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0087】
図8に示すように、まず、駐車場管理装置1は、仮出庫条件を満たすイベントを検出したか否かを判定する(ステップS101)。駐車場管理装置1は、イベントを検出した場合(ステップS101,Yes)、仮出庫先(仮出庫スペースPS)までの走行経路を算出する(ステップS102)。
【0088】
続いて、駐車場管理装置1は、走行経路に基づき、仮出庫先までの所要時間を算出し(ステップS103)、かかる所要時間をユーザ端末10へ通知する(ステップS104)。
【0089】
その後、駐車場管理装置1は、車載装置50に対して仮出庫を指示する(ステップS105)。その後、駐車場管理装置1は、元の駐車スペースSPへの入庫指示があるか否かを判定する(ステップS106)。
【0090】
駐車場管理装置1は、入庫指示があった場合(ステップS106,Yes)、車両Cを駐車スペースSPへ誘導指示を行う(ステップS107)。そして、駐車場管理装置1は、車両Cが駐車スペースSPへ駐車完了したか否かを判定し(ステップS108)、駐車完了した場合(ステップS108,Yes)、処理を終了する。
【0091】
また、駐車場管理装置1は、ステップS106の処理において、駐車スペースへの入庫指示がない場合(ステップS106,No)、ステップS106の処理を継続して行う。
【0092】
また、駐車場管理装置1は、ステップS108の処理において、駐車完了していない場合(ステップS108,No)、ステップS107の処理に移行する。
【0093】
上述したように、実施形態に係る駐車場管理装置1は、管理部34と、検出部33とを備える。管理部34は、駐車場P内における車両Cの走行を管理する。検出部33は、管理部34によって走行が管理される車両Cに対する所定の仮出庫条件を満たすイベントを検出する。また、管理部34は、検出部33によってイベントが検出された車両Cに対して一時的に出庫させる。したがって、実施形態に係る駐車場管理装置1によれば、駐車場Pの利便性を向上させることができる。
【0094】
ところで、上述した実施形態では、駐車場P内において、仮出庫を行う場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、駐車場Pの外部に一時的に出庫させることも可能である。
【0095】
例えば、この場合、駐車場Pの外部においては、統合管制装置100によって車両Cの走行を管理することが可能である。
【0096】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0097】
1 駐車場管理装置
10 ユーザ端末
31 受付部
32 割当部
33 検出部
34 管理部
35 算出部
36 通知部
50 車載装置
100 統合管制装置
S 駐車場管理システム
C 車両
P 駐車場
SP 駐車スペース