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  • 特許-壁構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】壁構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/12 20060101AFI20230105BHJP
【FI】
E04F13/12 101H
E04F13/12 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018183252
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020051162
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】390018463
【氏名又は名称】アイジー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】奥山専一
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-163343(JP,A)
【文献】登録実用新案第3155315(JP,U)
【文献】実開平06-062074(JP,U)
【文献】特開昭56-030833(JP,A)
【文献】実開昭53-130278(JP,U)
【文献】特開2002-004548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/12
B32B 15/00
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製表面材と裏面材間に芯材を形成し、金属製表面材の上下端部に雄雌連結構造を形成した横長で長尺状の乾式壁材において、裏面材を乾式壁材の裏面側から、ポリエチレン層、アルミ箔層、ポリエチレン層、クラフト紙層、ポリエチレン層、アルミ箔層、ポリエチレン層の順で積層されたシート状物とし、前記ポリエチレン層を構成するポリエチレンは、低密度ポリエチレンであり、さらにアクリル酸とマレイン酸のポリエチレンコポリマーを添加させた乾式壁材を、雄雌連結と固定具により壁下地に固定したことを特徴とする壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築、構築物の内装、あるいは外装を形成する壁構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、金属製板材をロール成形、プレス成形等して加工し、化粧面に凹凸を形成し、金属製板材と裏面材間に芯材を形成した壁材は数多く上市されている。(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-240294号公報
【文献】特開2002-235423号公報
【文献】特開2009-167775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は「エンボス金属板」に係り、金属板をエンボスロール間に通して縦横溝目地を深くエンボシングする場合も金属板の両端の平坦部の平坦度を保つことが出来るようにしたものである。特許文献2は「壁材」に係り、凸部領域の表面に少なくとも4方向の略平行凹凸縞模様を形設して、光源の位置の変化、見る方向の変化によって、色調、色の濃淡が多様に変化するものが記載されている。さらに、特許文献3は「エンボス加工金属製外壁材」に係り、斜平面の位置が互いに異なる区画面を、それぞれ交互に長手方向に隣接する装飾面を形成したものであり、金属製表面材と裏面材間に合成樹脂発泡体よりなる芯材(断熱材)を形成したサンドイッチパネルである。
【0005】
特許文献1~3に示す裏面材は、硬質アルミ箔、アルミ蒸着クラフト紙、アルミクラフト紙、アルミタンカル紙等の一種からなるシートを貼り合わせたものである。しかしながら、硬質アルミ箔は厚みが薄く芯材となる合成樹脂発泡体のボイド(泡)やしわが目立ち、外観を損ねるものであった。また、アルミ蒸着クラフト紙、アルミクラフト紙か製品の形状変化を抑えるだけの強度が無かった。さらに、アルミタンカル紙は強度、価格に課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような欠点を解決するために、金属製表面材と裏面材間に芯材を形成し、金属製表面材の上下端部に雄雌連結構造を形成した横長で長尺状の乾式壁材において、裏面材を乾式壁材の裏面側から、ポリエチレン層、アルミ箔層、ポリエチレン層、クラフト紙層、ポリエチレン層、アルミ箔層、ポリエチレン層の順で積層されたシート状物とし、前記ポリエチレン層を構成するポリエチレンには、アクリル酸とマレイン酸のポリエチレンコポリマーを添加させた乾式壁材を、雄雌連結と固定具により壁下地に固定した壁構造を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る壁構造によれば、(1)乾式壁材の機械強度が向上し、変形を防止出来る。(2)乾式壁材の経時変化による変形を防止出来る。(3)乾式壁材の耐風圧強度が向上する。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る壁構造の代表例を示す断面図である。
図2】本発明に係る壁構造に使用する乾式壁材の代表例を示す断面図である。
図3】本発明に係る壁構造に使用する乾式壁材を示す部分拡大断面図である。
図4】本発明に係る壁構造に使用する乾式壁材の裏面材の断面を拡大して示す拡大断面図である。
図5】本発明に係る壁構造に使用する乾式壁材の裏面材の断面部分を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0009】
以下に図面を用いて、本発明に係る壁構造の一実施例について詳細に説明する。すなわち、乾式壁材Pは図1図2図3(a)、(b)に示すように、金属製表面材1と裏面材2で例えば合成樹脂発泡体からなる芯材3をサンドイッチした乾式壁材Pである。また、図1は施工状態を示す断面図であり、αは壁下地(改修時の既存壁を含む)、βは固定具、γは連結部である。
【0010】
金属製表面材1は金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をエンボスロール成形、あるいはプレス成形したものである。
【0011】
また、裏面材2としてはアルミサンドクラフト紙からなるシート状物からなるものである。
【0012】
裏面材2は図4図5に示すような断面からなり、屋内側(乾式壁材Pの裏面側)から、ポリエチレン層A、アルミ箔層B、ポリエチレン層A、クラフト紙層C、ポリエチレン層A、アルミ箔層B、ポリエチレン層Aの順で積層されたシート状物である。
【0013】
具体的な層の厚さ、紙の坪量(米坪)を示すと、屋内側から、ポリエチレン層A(15ミクロン)、アルミ箔層B(7ミクロン)、ポリエチレン層A(15ミクロン)、クラフト紙層C(75g/平米)、ポリエチレン層A(15ミクロン)、アルミ箔層B(7ミクロン)、ポリエチレン層A(15ミクロン)の順で積層されたアルミサンドクラフト紙よりなるシート状物である。
【0014】
アルミ箔層Bは、軟質アルミ箔と硬質アルミ箔を含むものである。
【0015】
クラフト紙層Cの代わりに無機質紙(炭酸カルシウム、水酸化アルミセラミック)に代えられ、その坪量(米坪)は100~150g/平米である。
【0016】
なお、各層の厚さ、紙の坪量(米坪)の許容範囲は、ポリエチレン層A(15~50ミクロン)、アルミ箔層B(6.5~200ミクロン)、クラフト紙層C(50~120g/平米)である。
【0017】
高密度ポリエチレンの連続耐熱温度は121度、中密度ポリエチレンの連続耐熱温度は105~121度、低密度ポリエチレンの連続耐熱温度は82~100度である。この中で耐熱性ポリエチレンは、低密度~中密度ポリエチレンである。
【0018】
芯材3となるウレタンフォームとの密着性を考慮すると、ポリエチレン層Aは低密度ポリエチレンであり、芯材3となるウレタン中の触媒の影響を避けるためにアクリル酸とマイレン酸のポリエチレンコポリマーをポリエチレンの中に1%程度添加するものである。これ以上添加量を増やすとウレタンとの接着性に問題が生じる。
【0019】
裏面材2は、アルミ箔層Bにてクラフト紙層Cをサンドイッチした構造となり、アルミ箔層Bの耐水性、耐伸縮性、変形防止により乾式壁材Pの経時変化による変形防止、乾式壁材Pの耐風圧強度の向上を図ることが出来るものである。
【0020】
芯材3は例えばフェノールフォーム、ポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム等、の合成樹脂発泡体からなるものであり、金属製表面材1、もしくは裏面材2の裏面側に吐出し、加熱して反応・発泡・硬化させて金属製表面材1と裏面材2を一体に形成するものである。また、芯材3中には各種難燃材として軽量骨材(パーライト粒、ガラスビーズ、石膏スラグ、タルク石、シラスバルーン、水酸化アルミニウム等)、繊維状物(グラスウール、ロックウール、カーボン繊維、グラファイト等)を混在させ、耐火性、防火性を向上させることも出来る。
【0021】
乾式壁材P同士は、係合片10が嵌合溝16へ、係合溝11には嵌合片14が連結され、固定面15が釘等の固定具βにより壁下地αに固定されることにより、図3に示すように土台から軒に向かって複数段連結固定されるものである。
【0022】
乾式壁材Pの全体形状の一例としては図2図3(a)、(b)に示すように、長尺で金属製の薄板からなる金属製表面材1と裏面材2間に芯材3をサンドイッチし、幅方向の下端に形成した雄型連結部4、上端に形成した雌型連結部5とから形成し、化粧面6の下端には下側壁7、上端には上側壁8を形成したものである。
【0023】
さらに詳説すると、雄型連結部4は化粧面6下端を裏面側に屈曲した下側壁7と、下側壁7の先端を上方へ延設した上面7aと、化粧面6の下端部分下側壁7と上面7aとからなる突出片9と、上面7aの先端を裏面側下方に垂下した係合片10と、上面7aと係合片10とからなる係合溝11とから形成したものである。
【0024】
雌型連結部5は化粧面6の上端を裏面側に屈曲した上側壁8と、上側壁8の先端を上方に屈曲した目地底面8aと、上側壁8と目地底面8a間に上方向に突出した段差12と、目地底面8a先端を裏面側下方に屈曲した下面13と、目地底面8aと下面13とからなる嵌合片14と、下面13の先端を上方に屈曲して突出した固定面15と、下面13と固定面15とから形成した嵌合溝16とから形成したものである。なお、Qは防水性、気密性強化のために形成したパッキンである。
【符号の説明】
【0025】
α 壁下地
β 固定具
γ 連結目地
A ポリエチレン層
B アルミ箔層
C クラフト紙層
Q パッキン
1 金属製表面材
2 裏面材
3 芯材
4 雄型連結部
5 雌型連結部
6 化粧面
7 下側壁
7a 上面
8 上側壁
8a 目地底面
9 突出片
10 係合片
11 係合溝
12 段差
13 下面
14 嵌合片
15 固定面
16 嵌合溝
図1
図2
図3
図4
図5