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特許7203553角底包装袋、包装体、および角底包装袋の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】角底包装袋、包装体、および角底包装袋の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/18 20060101AFI20230105BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20230105BHJP
【FI】
B65D30/18 A
B65D30/16 J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018186562
(22)【出願日】2018-10-01
(65)【公開番号】P2020055585
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000143880
【氏名又は名称】株式会社細川洋行
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】久下 ▲らい▼蔵
(72)【発明者】
【氏名】梅中 一博
(72)【発明者】
【氏名】小原 ▲しょう▼
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-084443(JP,U)
【文献】実開昭61-137564(JP,U)
【文献】特開2003-231189(JP,A)
【文献】特開2010-120661(JP,A)
【文献】特開2015-160614(JP,A)
【文献】実公昭47-37879(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/18
B65D 30/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の軟質包装材料を折り曲げて形成された自立性を有する角底包装袋であって、
切り欠きのない矩形の軟質包装材料を折り曲げて形成されており、
四角形の底面と、
前記底面の対向する2辺から立ち上がる前面および後面と、
前記前面と前記後面とを接続する左側面および右側面と、
前記底面から立ち上がる三角形の折り込み部と、
前記折り込み部の裏に位置する2つの領域と、
を備え、
前記左側面および前記右側面は、
前記前面側に位置する第一領域と、
前記後面側に位置する第二領域と、
前記第一領域と前記第二領域とを接合する側面接合部と、を有し、
前記側面接合部は、
前記角底包装袋の外面に突出しており、
かつ下部が上側に折り返されることにより、下端部において前記軟質包装材料が4重に重なっており、
前記2つの領域と前記第一領域および前記第二領域の内面とが、少なくとも前記折り込み部の三角形の辺に沿って接合されている、
角底包装袋。
【請求項2】
前記前面と前記第一領域および前記後面と前記第二領域とは、それぞれ一定幅で接合された側部シール部を介して連続している、
請求項1に記載の角底包装袋。
【請求項3】
前記側面接合部は、前記第一領域および前記第二領域の内面同士を接合した合掌シール部である、請求項1または2に記載の角底包装袋。
【請求項4】
前記底面の周縁に、下端を周方向に一周する下端シール部をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の角底包装袋。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の角底包装袋と、
前記角底包装袋の内部に充填された内容物と、
を備える包装体。
【請求項6】
1枚の軟質包装材料を用いて角底包装袋を製造する角底包装袋の製造方法であって、
切り欠きのない矩形の前記軟質包装材料を半折するように第一折り線にて山折りし、前記第一折り線と平行であって、前記第一折り線から等距離に位置する2本の第二折り線にて谷折りし、前面となる領域と後面となる領域との間に逆V字状に折られた底面となる領域が位置する扁平な状態を形成する底面折り込み工程と、
前記前面となる領域の両側に位置する第一領域となる領域と、前記後面となる領域の両側に位置する第二領域となる領域とを接合する側面形成工程と、
備え、
前記底面から立ち上がる三角形の折り込み部の裏側に位置する2つの領域と、前記第一領域となる領域および前記第二領域となる領域の内面とを、少なくとも前記折り込み部の三角形の辺に沿って接合する、
角底包装袋の製造方法。
【請求項7】
前記底面折り込み工程の前に、
前記前面となる領域と前記第一領域となる領域および前記後面となる領域と前記第二領域となる領域の境界線にて谷折りし、境界線に対して左右方向外側に、境界線と略平行な折り返し線にて山折りして、折り返し部分を形成し、前記折り返し部分の熱融着層同士を接合して前記前面となる領域および前記後面となる領域の左右方向両側に側部シール部および底部シール部を形成する、側部シール部および底部シール部形成工程をさらに備える、
請求項6に記載の角底包装袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角底包装袋、包装体、および角底包装袋の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自立性に優れ、かつ内容積が大きい軟質包装容器として、四角形の底面と、底面から立ち上がる4つの側面とを有する角底タイプの包装袋(以下、「角底包装袋」と称する。)が知られている。
【0003】
角底包装袋の構造として、さまざまな態様が開示されている。
特許文献1には、一対の平面部、一対の側面部、および底面部をそれぞれ別体の軟質包装材料で形成した自立袋(角底包装袋)が記載されている。特許文献2に記載のガゼット袋(角底包装袋)では、一枚の軟質包装材料を折り曲げることにより、底面部および底面部の2辺と接続された平面部を形成している。
【0004】
特許文献3に記載のサイドガゼット袋(角底包装袋)では、一枚の軟質包装材料を折り曲げることにより、底面、前面、後面および左右の側面が形成されている。
特許文献3の角底包装袋は、製造する際に、一枚の軟質包装材料以外の他の軟質包装材料を貼りあわせる工程を必要としない。そのため、連続した一枚のプラスチックフィルム等の軟質包装材料の原反を繰り出しながら、内容物の充填と角底包装袋の形成とを連続して行い、内容物が充填された角底包装袋を製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-225879号公報
【文献】特開2004-189283号公報
【文献】特開2001-206385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3に開示されている角底包装袋は、前面と底面との稜線部、および後面と底面との稜線部がヒートシールにより形成されている。このため、店頭陳列等において自立させた際に、稜線部が水平方向に広がる。すなわち、底面部の実質的な面積が内容物収容部の底面の面積よりも大きくなる。したがって、陳列効率が低下する上、外観も良くない。また、複数陳列する際に稜線部どうしが干渉し、陳列状態が不安定になることがある。
【0007】
上記事情を踏まえ、本発明は、一枚の軟質包装材料で形成でき、外観も良好な角底包装袋およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、同一の軟質包装材料を折り曲げて形成された自立性を有する角底包装袋であって、切り欠きのない矩形の軟質包装材料を折り曲げて形成されており、四角形の底面と、底面の対向する2辺から立ち上がる前面および後面と、前面と前記後面とを接続する左側面および右側面と、底面から立ち上がる三角形の折り込み部と、折り込み部の裏に位置する2つの領域とを備え、左側面および右側面は、前面側に位置する第一領域と、後面側に位置する第二領域と、第一領域と第二領域とを接合する側面接合部とを有し、側面接合部は、角底包装袋の外面に突出しており、かつ下部が上側に折り返されることにより、下端部において軟質包装材料が4重に重なっており、2つの領域と、第一領域および第二領域の内面とが、少なくとも折り込み部の三角形の辺に沿って接合されている角底包装袋である。
【0009】
本発明の第二の態様は、本発明の角底包装袋と、角底包装袋の内部に充填された内容物とを備える包装体である。
【0010】
本発明の第三の態様は、1枚の軟質包装材料を用いて角底包装袋を製造する角底包装袋の製造方法であって、切り欠きのない矩形の軟質包装材料を半折するように第一折り線にて山折りし、第一折り線と平行であって、第一折り線から等距離に位置する2本の折り線にて谷折りし、前面となる領域と後面となる領域との間に逆V字状に折られた底面となる領域が位置する扁平な状態を形成する底面折り込み工程と、前面となる領域の両側に位置する第一領域となる領域と、後面となる領域の両側に位置する第二領域となる領域とを接合する側面形成工程とを備え、底面から立ち上がる三角形の折り込み部の裏側に位置する2つの領域と、第一領域となる領域および第二領域となる領域の内面とを、少なくとも折り込み部の三角形の辺に沿って接合する角底包装袋の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、一枚の軟質包装材料で形成でき、外観も良好な角底包装袋を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一実施形態に係る角底包装袋を示す斜視図である。
図2図1のI-I線における模式断面図である。
図3】同角底包装袋の内部を示す部分斜視図である。
図4】フィルムの模式断面図である。
図5】同角底包装袋の展開図である。
図6】(a)は、本発明の第一実施形態に係る角底包装袋の製造方法の一工程を示す図、(b)は同工程の変形例を示す図である。
図7】同製造方法の一工程を示す図である。
図8】同製造方法の一工程を示す図である。
図9】変形例の同角底包装袋における折り返し部の断面図である。
図10】変形例の同角底包装袋を示す斜視図である。
図11】変形例の同角底包装袋を底面側から見た図である。
図12】本発明の第二実施形態に係る角底包装袋を示す斜視図である。
図13】同角底包装袋の展開図である。
図14】本発明の第三実施形態に係る角底包装袋を示す斜視図である。
図15】同角底包装袋を底面側から見た図である。
図16】合掌シール部が一体化された左側面の一例を示す図である。
図17】展開図の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第一実施形態について、図1から図11を参照して説明する。なお、これらの図では理解を助けるためにフィルムの厚みを誇張して厚く描いている場合がある。
図1は、本実施形態の角底包装袋1を示す斜視図であり、内容物充填前の状態を示している。角底包装袋1は、1枚のフィルム(軟質包装材料)を、折り曲げと接合のみで組み立てることにより形成されている。
【0014】
角底包装袋1は、長方形の底面10と、底面10の四辺から立ち上がる前面20、後面30、左側面40、および右側面50の4つの側面と、該側面同士の間の4隅に存在する側部シール部21と、底面10と左側面40との間及び底面10と右側面50との間に存在する2つの底部シール部22と、左側面40及び右側面50内に存在する2つの合掌シール部43、53とを備えている。
【0015】
前面20および後面30は、いずれも長方形であり、それぞれ底面10の長辺から垂直(略垂直を含む。以下同様。)に立ち上がっている。前面20および後面30は、下辺を底面10の長辺と共有し、底面10と連続している。すなわち、フィルムが底面10の長辺(前面20および後面30の下辺)に沿って折られることで、前面20と底面10、後面30と底面10は連続している。
【0016】
図2は、図1のI-I線における模式断面図である。
左側面40および右側面50は、いずれも長方形であり、前面20と後面30とを接続し、それぞれ底面10の短辺から垂直に立ち上がっている。詳細には、長方形の底面10の短辺の外側において該短辺と平行に折り返されたフィルム同士が一定の幅で接合されており、これにより底面10の短辺の外側に底部シール部22が形成されており、左側面40および右側面50は、底部シール部22の内縁から垂直に立ち上がっている。底部シール部22の内縁と、底面10の短辺は一致している。
底部シール部22は、底面10と同じ平面上に延びており、底部シール部22および底面10が角底包装袋1の載置面となっている。言い換えれば、角底包装袋1を底からみたときに見えるのは、底面10と、底面10に隣接する2つの底部シール部22である。底面10と底部シール部22とは直接連続しているが、底部シール部22と第一領域41、51、第二領域42、52とは、間に、後述する折り込み部60を介して連続している。
【0017】
図2に示すように、左側面40は、前面20に近い側の第一領域41と、後面30に近い側の第二領域42とを有する。同様に右側面50も、前面20に近い側の第一領域51と、後面30に近い側の第二領域52とを有する。第一領域41、51と前面20とは、それぞれ一定の幅で接合された側部シール21を介して連続している。これにより、前面20の左右方向の外側に、前面20に隣接する側部シール部21が形成されている。同様に、第二領域42、52と後面30とも、それぞれ一定の幅で接合された側部シール部21を介して連続しており、後面30の左右方向の外側に、後面30に隣接する側部シール部21が形成されている。側部シール部21および底部シール部22は、前面20から底面10を経由し、後面30まで延びる連続したシール部である。
【0018】
第一領域41の後面側と第二領域42の前面側とは、側面の幅方向中央部に延びる合掌シール部43により一体に接合された側面接合部により、第一領域41と第二領域42とが一体となり左側面40を構成している。合掌シール部43においては、第一領域41の内面と第二領域42の内面とが接合されている。右側面50にも、同様の態様で合掌シール部53による側面接合部が形成され、第一領域51と第二領域52とが右側面50を構成している。また合掌シール部の底部シール部22に近い部分には後述する被挟持部63が存在する。
【0019】
図3は、角底包装袋1の内部を示す部分斜視図である。左側面40および右側面50の内側には、それぞれ折り込み部60が形成されている(図3には右側面50側のみ示す)。折り込み部60は、底面10と底部シール部22を介して連続している。折り込み部60は、角底包装袋1の内部から見ると、底面10の短辺と重なる辺を一辺とする三角形(より正確には直角二等辺三角形)である。この三角形の裏側に、三角形の頂点から底面10の短辺と重なる辺である対辺に引いた垂線に沿って、折り込み部60と連続する領域(後述する被挟持部63)が位置し、合掌シール部43または53により挟持されていることにより、折り込み部60は各側面とも結合されている。
【0020】
図4に、製造に使用するフィルムの模式断面図を示す。図4に示すように、フィルム80は、角底包装袋1の外層を形成する基材層81と、基材層81の一方の面に形成された、角底包装袋1の内層を形成する熱融着層82とを有する。
基材層81は、フィルム80の基本物性を規定する層であり、角底包装袋1の用途等を考慮して、印刷適性、耐熱性、強度に優れている、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレン、ポリアミド等の二軸延伸フィルム等、公知のフィルムや樹脂を用いることができる。また、酸素、水蒸気を遮断するガスバリア性の機能を発揮するものとして、これらのフィルムにアルミニウムなどの金属や、酸化アルミニウム、酸化珪素などの金属酸化物が蒸着された蒸着フィルムを用いてもよい。熱融着層82は、ポリプロピレンや低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン等の未延伸フィルムや、これらの樹脂等、熱融着可能な公知のフィルムや樹脂で形成されている。
【0021】
フィルム80は、各層の樹脂材料を押出すことにより形成する共押出法、各層を構成するフィルムを接着剤等で貼り合わせるドライラミネート法、熱融着層82となる熱溶融樹脂を基材層81に押出す押出ラミネート法等、公知の方法により形成することができる。さらに、基材層81と熱融着層82との間に、遮光層や、ガスバリア層等の所望の機能を発揮する機能層をさらに備えてもよい。機能層としては、例えば、上述した蒸着フィルムや、アルミニウムなどの金属箔を用いることができる。また、耐衝撃性を発揮する層としては、ポリアミド等のフィルムを用いることができる。
【0022】
図5に、角底包装袋1の展開図を示す。図5は、フィルム80の熱融着層82を紙面手前側に位置させた状態に対応している。図5において、熱融着層82側の面から見て、破線は山折り線、一点鎖線は谷折り線を示している。なお、以下の説明においても、山折り、谷折りとは特に断らない限り熱融着層82側の面から見た場合の山折り、谷折りをいう。また、二点鎖線は折り線では無く、フィルムを谷折り、山折りした後の山折り線が存在する位置を表す線であり、これについては後述する。
図5に示すように、角底包装袋1の展開図で1枚の矩形状のフィルム80において、底面10、前面20、後面30、左側面40および右側面50の各面と、側部シール部21、底部シール部22および合掌シール部43、53の各シール部と、折り込み部60および被挟持部63を形成する領域は、およそ次のように隣接してまたは隣接せずに位置している。
まず、中央部に底面10となる領域10aが位置し、領域10aを挟んで前面20および後面30となる領域20a、30aが位置する。さらに、領域20aの左右にそれぞれ側面の前面側を形成する第一領域41、51となる領域41a、51aが、領域30aの左右にそれぞれ側面の後面側を形成する第二領域42、52となる領域42a、52aが位置している。これら領域の間に挟まれた部分には側部シール部21、底部シール部22となる領域が位置し、領域10aの左右に位置する領域には、角底包装袋1の組み立て時に折り込まれて上述した折り込み部60となる領域60aが位置する。これら領域の左右両端であって、かつフィルム80の左右両端には領域41a、42a、51a及び52aの一部であり合掌シール部43、53となる領域並びに領域60aに連続する部分に被挟持部63となる細幅で上から下に延びる領域が、それぞれ位置する。このように本発明の角底包装袋は1枚の矩形のフィルムの各領域から面やシール部等が形成されるので、フィルムの切り屑のゴミがでることが無い。
【0023】
第一実施形態の角底包装袋の製造方法を説明する。
第一実施形態の角底包装袋の製造方法は、1枚の矩形のフィルムの一部を重ね合わせるように折り畳んだ後、加熱押圧して側部シール部および底部シール部を形成する工程と、およそ半分に折り畳まれたフィルムの、その折り畳まれた部分に逆V字状に折り込まれた底面を形成する底面折り込み工程と、およそ半分に折り畳まれたフィルムの端同士を貼り合わせて側面を形成する側面形成工程からなり、角底包装袋製造後に連続して内容物を充填する場合には、折り畳まれた状態の角底包装袋を開口させ、四角形の底面を形成させる立体化工程を含む。以下、第一実施形態の角底包装袋製造方法の各工程を詳説することにより、各領域から面やシール部等が形成される工程を説明する。
【0024】
(側部シール部および底部シール部形成工程)
まず、矩形状のフィルム80を、図5に示すように、2本の境界線L1のそれぞれを熱融着層82同士が接するまで熱融着層82側から見て谷折りし、次に境界線L1に対して左右方向外側に、境界線L1と平行に一本ずつある折り返し線L2を基材層81同士が接するまで山折りする。谷折り及び山折りにより、図6(a)に示すように、ジグザグ状に折り返された折り返し部61が、フィルム80の2か所に形成される。各折り返し部61において、熱融着層82同士が対向する箇所が1か所ずつ存在する。続いて、各折り返し部61に所定の熱と圧力を加えると、対向する熱融着層82同士が融着し、側部シール部および底部シール部形成工程が完了する。ここで、山折りされた折り返し線L2がフィルム80と接した位置として把握される線が境界線L2’である。境界線L2’は、領域20a、10aおよび30aの境界線であり、これら領域の左右方向両側に、一定幅のシール部が形成される。図6(a)では、熱融着した部分を短い斜線で示している。本実施形態においては、これらのシール部が4つの側部シール部21と2つの底部シール部22となる。
側部シール部21および底部シール部22の幅は適宜設定できるが、例えば、3.0mm~15.0mm程度が好ましい。また、側部シール部21および底部シール部22の幅が左右で異なっていてもよいが、外観が良くなるため左右を等しい幅とすることが好ましい。折り返し部61におけるフィルム80の折り返し回数は、偶数回であればよいが、上述した2回が最も簡便である。
【0025】
なお、側部シール部21および底部シール部22におけるシール態様は適宜変更することができる。例えば、図6(b)に示すように、対向する熱融着層82のうち、境界線L1付近だけ非接合領域Rとしておくと、完成した角底包装袋の側部シール部において、境界線L1部分がやわらかくなる。その結果、角底包装袋を把持した際に、境界線L1部分が手に強く当たり不快に感じる等の事態を好適に防ぐことができる。
【0026】
(底面折り込み工程)
底面折り込み工程は、側部シール部21および底部シール部22が形成されたフィルム80において、境界線L1と直行する方向に、フィルム80を半折するように、第一折り線L3にて山折りし、第一折り線L3と平行であって第一折り線L3から等距離に位置する2本の第二折り線L4を谷折りする工程である。
底面折り込み工程により、一定幅でシールした折り返し部61のうち2本の第二折り線L4に挟まれた部分が底部シール部22となり、それ以外の部分が側部シール部21となる。
2本の境界線L2’と、2本の第二折り線L4で囲まれた部位が底面10となる領域10aである。2本の境界線L2’間に挟まれた2本の第二折り線L4が、それぞれ底面10の長辺となり、かつ前面20の下辺となる。また、底面10の長辺となり、かつ後面30の下辺となる。2本の境界線L2’のうち2本の第二折り線L4で挟まれた部分が、底面10の短辺となる。
2本の境界線L2’間において、領域10aと第二折り線L4を介して連続する領域が、前面20および後面30となる領域20aおよび領域30aである。
領域10aの左右にあり、2本の折り返し線L2と第二折り線L4が境界となる領域には、折り込み部60を含む領域60aが含まれる。
底面折り込み工程により、フィルム80は、図7に示すように、領域20aと領域30aとが概ね全体にわたって重なり、領域20aと領域30aとの間に、第一折り線L3を頂部として逆V字状に折られた領域10aが位置する扁平な状態となる。
領域10aが逆V字状に折られることにより、領域10aの左右方向両側に位置する底部シール部22も逆V字状に折られる。さらに、側部シール部21の両側においては、領域41aと領域42a、領域51aと領域52aとが重なり、領域60aは逆V字状に折り込まれて、領域41aと領域42aとの間、および領域51aと領域52aとの間に進入して挟持されている。
【0027】
(側面形成工程)
底面折り込み工程が完了すると、領域41aと領域42a、および領域51aと領域52aは、熱融着層82同士を対向させた位置関係となる。側面形成工程では、フィルム80の左右両側端において、領域41aと領域42a、および領域51aと領域52aを所望の幅で加熱、加圧する。これにより、互いの熱融着層82が接合されて、図8に示すように、合掌シール部43および53が形成される。その結果、領域41aと領域42aとが接続されて左側面40が形成されるとともに、領域51aと領域52aとが接続されて右側面50が形成され、合掌シール部43および53の内縁L5が形成される。
ここで、合掌シール部43および53は、その内縁L5と折り返し線L2との間隔が、第二折り線L4と第一折り線L3との間隔と等しくなるような位置に形成する。これらの間隔を等しくすることにより角底包装袋の底面10の短辺の長さ(この長さは第二折り線L4と第一折り線L3との間隔の2倍である)と側面部の幅(この幅は内縁L5と折り返し線L2との間隔の2倍である)が一致する。すなわち、後述する立体化工程において、内縁L5の位置を適切に定めることにより角底の底面の各辺から前面、後面および左右側面が、90度上方に立ち上がり、底面の面積と開口部の面積が略等しい外観に優れた角底包装袋となるからである。
ここまでの工程で、前面20および後面30が密着した折り畳み状態ではあるが角底包装袋が完成するため、以下では図1から3等に示す完成した角底包装袋1における各部の名称を用いて説明する。
このとき、合掌シール部43、53の下方では、第一領域41、51と第二領域42、52とが直接シールされず、第一領域41と第二領域42との間、および第一領域51と第二領域52との間に進入した被挟持部63(図1参照)と、第一領域41、51および第二領域42、52との熱融着層82同士がそれぞれ熱融着により接合され、完全に流体密にシールされるため、完成する角底包装袋の密閉性は確保される。本実施形態においては、角底包装袋1の上端から下端にわたる、第一領域41、51、第二領域42、52の熱融着層82と被挟持部63の熱融着層82を含む領域を合掌シール部43、53と称する。
側面形成工程が終了すると、上部開口以外の部分がシールされた、本実施形態の角底包装袋の基本形状が完成する。
【0028】
(立体化工程)
立体化工程は、底面折り込み工程で重ね合わされた領域20aおよび領域30aである前面20および後面30を離間させ、離間してできる前面20及び後面30の隙間に左側面40、右側面50が入り込むように、左右の合掌シール部43、53を互いに接近させながら折り込まれた底面10を平面状に展開させ、折り込み部60を底面10に対して垂直に立ち上げ、上部開口を有する角底包装袋1とする工程である。
この工程をさらに詳説する。折り込み部60が、折り返し線L2と第二折り線L4との交点Pと、第一折り線L3と合掌シール部43、53の内縁L5との交点Qを結ぶ斜辺L6に沿って山折りされて領域60aから形成される。折り返し線L2、第一折り線L3および斜辺L6に囲まれた三角形の領域64と第二折り線L4、内縁L5、斜辺L6に囲まれた三角形の領域62とはそれぞれの基材層81が対向するように斜辺L6が山折りされる。この折り込み部60の形成と斜辺L6の山折りにより、第一折り線L3の境界を共通にして隣接する2つの領域64が、底面10に対して垂直に立ち上がり、それらの裏に2つの領域62が位置するようになる。また、合掌シール部の内縁L5のうち、2本の第二折り線L4で挟まれた部分が谷折りにされ、他の部分が山折りにされる。前面20及び後面30の隙間に左側面40、右側面50が入り込むことにより、合掌シール部43、53の下端が底部シール部22の上に位置する。立体化工程では、詳説したこれらを含む工程が逐次乃至同時に進行する。
立体化工程が終わると、左右側面は平面となり、第一領域41、51と第二領域42、52を区画する線のうち第二折り線L4が左右側面の下辺となる。図3に示す角底包装袋1の内側から三角形として見える折り込み部60は底面10から垂直に立ち上がっている。折り込み部60は、折り返し線L2の一部である底辺と、折り返し線L2と第二折り線L4の交点Pと、合掌シール部43、53の内縁L5と第一折り線L3の交点Qとを結ぶ2本の斜辺L6とからなる三角形であり、2つの領域64を含んでいる。この三角形は、折り返し線L2のうち交点P、P間の領域を底辺とし、交点Qを頂点としている。
折り込み部60と、底部シール部22とは、底部シール部22を区画する折り返し線L2を共通する辺として連続し、かつ折り込み部60は、その裏の2つの領域62を介して被挟持部63と連続し、その被挟持部63が交点Qを上端として合掌シール部43、53に挟持されることにより左側面40および右側面50と結合している。さらに、折り込み部60は、交点Qを頂点とし、底面10上に底辺を有する三角形であり、その裏面には2つの領域62および合掌シール部43、53を有する側面が存在し、折り込み部60が存在する側面下部のフィルムは3枚であるため、角底包装袋1の底部が好適に補強され、第一折り線L3が再度山折りになることが妨げられ、角底の状態が維持され、また、同時に袋の全体形状も安定して維持される。
折り込み部60が立ち上がった状態において、折り込み部60のうち、角底包装袋1の内側から見える三角形の裏側に位置する2つの領域62の熱融着層82は、左側面40および右側面50の内面である熱融着層82と対向している。接着や熱融着等により左側面40および右側面50と領域62の熱融着層82同士を接合すると、折り込み部60と左右側面40、50とが完全に一体化し、角底包装袋の形態をより安定して維持することができる。接着や熱融着等による左側面40および右側面50と領域62との接合は、斜辺L6に沿った部位のみを接合してもよく、全面を接合してもよい。少なくとも斜辺L6に沿った部位を接合しておくと、角底包装袋1に充填された内容物が、左側面40および右側面50と領域62との間に入り込むことがなくなるため、好ましい。また、この接合は立体化工程前の側面形成工程で行うことが容易であるうえ、斜辺L6に沿って接合しておくと、立体化工程において斜辺L6に沿った山折りが容易となるから、折り込み部60が容易に形成できて好ましい。またこの場合の斜辺L6に沿った接合は三角形の折り込み部60の辺の外側に沿った接合とすることが好ましい。
図1図3には、完成した角底包装袋1における、境界線L1、折り返し線L2、第二折り線L4等の位置を示している。
【0029】
さらに、所望の内容物の上部開口からの角底包装袋1内への充填と、上部開口の封止がされると、角底包装袋1内に内容物が密閉あるいは密封された包装体が完成する。
上部開口の封止態様は、内容物の種類や形状に応じて適宜変更されてよい。例えば、流動性の内容物が充填される場合は、上部開口に公知のスパウトを挟んで封止してもよい。スパウトを取り付ける場合は、左側面40および右側面50の上部を、角底包装袋1の内方に向けて折り込んで、スパウトを前面20および後面30にて挟持した状態で取り付けるとよい。また、公知のチャックを取り付けて封止することにより、開封後に再封可能に角底包装袋を形成してもよい。チャックを取り付ける場合は、左側面40および右側面50の上部を前面20および後面30の両側に引き出した状態で取り付けるとよい。
左側面40および右側面50の上部を両側に引き出した状態でスパウトを取り付けてもよい。左側面40および右側面50の上部を両側に引き出した状態、内方に向けて折り込んで前面20および後面30にて挟持した状態で、シールするだけで封止してもよい。
また、本発明の角底包装袋への充填と封止の順番は、充填後に封止するだけでなく、スパウトを挟持して封止後スパウトから充填したりするなど、封止後に充填してもよい。
【0030】
本実施形態の角底包装袋1によれば、前面20と後面30との間に位置する左側面40および右側面50が、第一領域と第二領域とを接合して形成されている。その結果、一枚のフィルム80から製造可能でありながら、底面10の周囲に広がるシール部等の接合部を、著しく少なくすることができる。
したがって、底面10の前後にシール部が広がって、複数陳列する際に干渉を生じたり、外観を損ねたりすることを好適に抑制することができ、外観に優れる。また、一枚のフィルム80から製造する際に、その一枚のフィルムを切断し除去する部分が無いから、製造工程の中でフィルム片のゴミが出ることがない。
【0031】
また、本実施形態の角底包装袋1によれば、自立した際に載置面となる面は、底面10および底面10と同じ平面上に延びる底部シール部22のみで構成される。そのため、完成した角底包装袋1において載置面が1枚のフィルム80により平坦に構成される。その結果、使用時の安定性が非常に優れている。
さらに、底面10の4つの頂点付近から側部シール部21が底面10に対して略垂直に延びており、構造を支える柱として機能するため、自立性に優れている。したがって、内容物が充填しやすく、保管時も安定した状態を保持する。さらに、内容物の体積が角底包装袋の容積に対して少ない場合でも、外形が崩れにくい。
【0032】
側部シール部21に加えて、左右側面40、50の下部内部には、角底包装袋の内部から見て三角形の折り込み部60を有するため、外力が加わっても角底の形状が崩れるほどの変形が起きにくく、角底包装袋の下部形状が安定して保持される。さらに、折り込み部60が左右側面40、50と一体化されているため、角底包装袋の下部形状がより安定して保持される。
【0033】
さらに、側部シール部21が前面20および後面30と同一平面上に延びているため、前面および後面の表示面積を、違和感なく大きく確保することができる。その結果、表示による購買者への訴求効果を高めたり、成分や注意書き等の必要情報を使用者に見やすく記載したりすることができる。
【0034】
第一実施形態において、角底包装袋をよりコンパクトかつ外観の優れた形状に形成したい等の場合は、折り返し部61を以下のように変更させた種々の形状であってもよい。
例えば、折り返し部61において、図9に示すように、熱融着層82同士の接合に加えて、さらに対向する基材層81同士を接合してもよい。この場合、図10および図11に示す変形例の角底包装袋1Aのように、側部シール部21および底部シール部22を、前面20、後面30、および底面10に沿わせた状態でそれぞれの面と一体化することができる。角底包装袋1Aでは、側部シール部21、底部シール部22が角底包装袋の左右方向に突出していないため、外観が良好である。また、角底包装袋1Aの四隅に形成された側部シール部21が前面20および30を補強しているため、自立性も良好であり、より安定した角底形状を維持することができる。
【0035】
角底包装袋1Aにおいては、折り返し部61の基材層81同士を接合した後の境界線L1が、前面20および後面30と、左側面40および右側面50とのそれぞれの境界部に位置していている。図6(b)に示したように、境界線L1付近に非接合領域を設けた場合は、非接合領域Rの対向する基材層81同士を接合しなくてもよく、または対向する熱融着層82同士が接合している幅に合わせて対向する基材層81同士を接合してもよい。さらには、対向する基材層81同士を折り返し部61の全幅において接合してもよい。非接合領域の有無に関わらず、基材層81同士が接合されている場合には、基材層81同士が接合された部位と接合されていない部位との境界を前面20および後面30と、左側面40および右側面50とのそれぞれの境界部としてもよい。あるいは、上記境界と境界線L1との間のいずれの位置を境界部としてもよい。
基材層81同士が接合されていない場合は、折り返し線L2と境界線L1との間のいずれの位置を境界部としてもよい。コンパクトかつ外観の優れた形状とするには、境界線L1を境界部とするのが好ましい。これらの変形例の場合には、折り込み部60の斜辺L6は、境界部と第二折り線L4との交点から延びている。
【0036】
最外層となる基材層81同士の接合は、基材層81の接合したい部分に部分的に接着剤を塗布する等によっても行える。基材層81として熱融着性を備えたフィルムを用いたり、基材層81に熱融着剤を部分的または全体的に塗布したりする等して角底包装袋を製造すれば、基材層81同士の接合もヒートシールにより行えるため、簡便である。
基材層に熱融着性を備えたフィルムを用いる場合、側部シール部および底部シール部形成工程のヒートシールにおいて、側部シール部および底部シール部を形成する熱融着層82同士の接合と同時に基材層81同士の接合も行えるため好ましい。
【0037】
次に、本発明の第二実施形態について、図12および図13を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと同様の構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0038】
図12に、本実施形態の角底包装袋101を示す。角底包装袋101は、側部シール部および底部シール部を備えない点で角底包装袋1と異なっている以外は、角底包装袋1と同様である。すなわち、角底包装袋101において、第一領域41、51と前面20、第二領域42、52と後面30とは、それぞれ折られて連続している。
【0039】
図13に、角底包装袋101の展開図を示す。角底包装袋101には側部シール部および底部シール部がないため、折り返し線L2が存在しない。折り込み部60の斜辺L6は、境界線L1と第二折り線L4との交点から延びている。他の点は、角底包装袋1の展開図と概ね同様である。
【0040】
本実施形態の角底包装袋101の製造方法は、側部シール部及び底部シール部形成工程を備えない点を除き、第一実施形態の角底包装袋1の製造方法と同様である。すなわち、1枚のフィルム80に底面折り込み工程、側面形成工程を順に行い、最後に立体化工程を行うと、角底包装袋101が完成する。
【0041】
本実施形態の角底包装袋101も、第一実施形態の角底包装袋1と同様に、一枚のフィルム80から製造可能であり、外観に優れている。
角底包装袋101には側部シール部がないため、形状の保持性能は角底包装袋1よりも若干劣るが、柔軟性は角底包装袋1より高い。また、同一面積のフィルムで製造する場合、角底包装袋1よりも容積を大きく取りやすい。したがって、容積や柔軟性を重視する等の場合は、本実施形態の構成がより好適である。
【0042】
本実施形態の角底包装袋101に係る製造方法は、側部シール部及び底部シール部形成工程を備えないため、第一実施形態に係る製造方法よりも簡便である。
【0043】
次に、本発明の第三実施形態について、図14および図15を参照して説明する。
図14に示す本実施形態の角底包装袋201は、下端を周方向に一周する下端シール部202を備えている点、および合掌シール部43、53がそれぞれ左側面40および右側面と一体化されている点を除き、角底包装袋101と同様の構成を有する。
【0044】
図15は、角底包装袋201を底面側から見た図である。下端シール部202は、角底包装袋201の下端において、底面10の周縁に形成されている。下端シール部202は前面20、後面30、左側面40、および右側面50の下端から一定の幅で、これらの面と同一面上に延びて、角底包装袋201のほぼ全周に設けられている。角底包装袋201は、下端シール部202が足となって自立している。
【0045】
本実施形態の角底包装袋201を製造する際は、上述した第二実施形態の角底包装袋101の製造方法における底面折り込み工程の後、または、側面形成工程の後に、第二折り線L4に沿って一定幅で対向する熱融着層82同士を接合する。第二折り線L4と平行に延びる一定幅の接合が下端シール部202となる。一定幅は特に限定するものではないが、1mm~10mm程度とすることが好ましい。
【0046】
本実施形態の角底包装袋201においても、上述した各実施形態と同様に、一枚のフィルム80から製造可能であり、外観に優れている。
また、下端シール部202を有するため、自立性をさらに良好にすることができる。
【0047】
角底包装袋201においては、合掌シール部43、53が左側面および右側面と一体化されなくてもよい。
【0048】
以上、第一乃至第三実施形態について説明したが、これら実施形態において本発明の趣旨を妨げない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、第一実施形態および第二実施形態の角底包装袋において、合掌シール部43、53が左右側面に沿うように折り倒されて左側面および右側面と一体化されてもよい。折り倒される方向は、合掌シール部43、53とも前面20側の第一領域41、51上または後面30側の第二領域42、52上の同一方向であってもよく、互いに逆方向であってもよい。また、上部開口にチャックを取り付ける場合であって、左側面40および右側面50の上部を前面20および後面30の両側に引き出した場合には、合掌シール部43、53を互いに逆方向に折り倒すことで、前面20および第一領域41、51の前面側のフィルムと後面30および第二領域42、52の後面側フィルムのうち、いずれか一方のみのフィルムがたわんでしまうことなく、両方のフィルムがバランスよく広がるため、好ましい。
いずれの実施形態の角底包装袋においても、合掌シール部と左右側面とを一体化する場合、合掌シール部43、53の下方では、被挟持部63が挟持されることでフィルムが4枚重なった状態であるため、折れ曲がりにくい。そのため、折り込み部60の領域62と第一領域41、51、第二領域42、52との熱融着層82同士を、少なくとも斜辺L6に沿った部位において接合し、接合部分を残しつつ、領域62の一部を切り落としてもよい。さらに、切り落とさずに残した領域62の残部62aは左右側面の平面から飛び出た接合部となるため、これらを、左右側面、または折り込み部60のうち領域62と対向していた領域64の基材層81に接するまで折り倒し接合し、面一に一体化してもよい。
上述の手順で一体化を行った角底包装袋1Aの左側面40の一例を図16に示す。このようにすると、4枚のフィルムが重なった被挟持部を含む部分を側面に沿わせるように折り曲げる必要がなくなり、合掌シール部と左右側面との一体化を簡便に行うことができる。
【0049】
上述した各実施形態に係る製造方法は、いずれも長尺フィルムがロール状に巻かれた原反からフィルムが連続的に繰り出される自動製袋装置にも好適に適用できる。
上述した製造方法を自動製袋装置に適用する場合は、長尺フィルムの長手方向と角底包装袋の左右方向を一致させて、繰り出されたフィルムの先端部分で各工程を実行する。各工程における折り曲げは、例えば金属バー等の各種治具で連続的に行い、接合は、例えばヒートシールバーを用いたヒートシールにより行うのが好ましい。
側面形成工程が終了したら、加工が終了した部分を原反から切り離す。この繰り返しにより、角底包装袋を効率よく大量生産することができる。自動製袋装置の下流部分に充填設備を配置することで、立体化工程を行いながら、角底包装袋内に内容物を充填し、角底包装袋に内容物が充填された包装体の大量生産も容易に行える。
【0050】
さらに、図17に示す展開図のように、長尺フィルムの幅方向Wにおいて、境界線L1を共有する角底包装袋2つ分の展開領域を設定することで、一度に2つの角底包装袋を製造することも可能である。この場合は、長尺フィルムの幅方向Wにおける両側から中間部に向かってフィルムを折ることで底面折り込み工程を実行した後に側面形成工程を実行すると、2つの角底包装袋が上部開口を突き合わせたような形状が得られる。この形状を切り離すことにより、2つの角底包装袋が得られる。
【0051】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態等の内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したり、実施形態を超えて各構成要素の組み合わせを変更したりすることが可能である。
【0052】
例えば、上述の例では、底面が長方形であり、長辺から前面および後面が立ち上がる例を説明したが、短辺から前面および後面が立ち上がる構成でもよい。また、底面が正方形であってもよいし、4つの側面の一部または全部が正方形であってもよい。
【0053】
また、側面接合部の態様は、上述した合掌シール部に限られない。例えば、第一領域と第二領域とで、一方の内面と他方の外面とを接合する「封筒貼り」や、第一領域と第二領域の端部同士を突き合わせて、テープ等の他の部材で接合する方法が用いられてもよいが、合掌シール部であると、上述のように被挟持部63の一部を挟持することができるため、好ましい。
【0054】
本発明の各実施形態の角底包装袋においては、前面および後面と左右側面との境界に、折り癖がつけられてもよい。折り癖は、角底包装袋内部に四角柱のマンドレルなどを挿入し、外部から金属等を押し当てる等の方法で形成できる。また角底包装袋の各製造工程での折り曲げを容易にするための折り癖をつけることも好ましい。
【0055】
また、本発明の角底包装袋の製造方法において、立体化工程は必須ではない。例えば、内容物の充填を他の場所で行う等の場合は、側面形成工程が終了したところで、角底包装袋が扁平な状態で製造を終了してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1、101、201 角底包装袋
10 底面
10a 底面となる領域
20 前面
20a 前面となる領域
21 側部シール部
22 底部シール部
30 後面
30a 後面となる領域
40 左側面
41、51 第一領域
41a、51a 第一領域となる領域
42、52 第二領域
42a、52a 第二領域となる領域
43、53 合掌シール部(側面接合部)
50 右側面
80 フィルム(軟性包装材料)
202 下端シール部
L3 第一折り線
L4 第二折り線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17