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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/02 20060101AFI20230105BHJP
   E06B 9/58 20060101ALI20230105BHJP
【FI】
E06B9/02 A
E06B9/58 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018201107
(22)【出願日】2018-10-25
(65)【公開番号】P2020066947
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】脇田 嵩朗
(72)【発明者】
【氏名】角 和博
(72)【発明者】
【氏名】藤田 直也
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-109185(JP,A)
【文献】特開2011-184873(JP,A)
【文献】特開2017-218813(JP,A)
【文献】実開昭63-165094(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に形成された開口を開閉する開閉体と、
開閉体の左右の端縁より突出するように設けられた被ガイド部と、
構造物に固定されて被ガイド部をガイドするガイド部とを備え、
開閉体が、開閉体の移動方向に沿って並ぶように設けられた複数のパネルを備えて、互いに隣り合うパネルがヒンジを介して連結されて構成され、
当該開閉体が、開口を閉鎖する閉鎖状態と開口を開放する開放状態とに設定され、
閉鎖状態においては、開閉体が上下方向に延在して開口を閉鎖する状態に設定され、
開放状態においては、開閉体が開口を隔てた一方の領域の天井に沿って延在して開口を開放する状態に設定される開閉装置において、
被ガイド部のガイド部からの抜けを防止する被ガイド部抜け防止手段を備え
被ガイド部は、ガイド部内を転動可能な転動体により構成され、
ガイド部は、断面が凹形状に形成されたレールと、レールを構造物に固定するための取付部とを備え、
レールは、ガイド部の延長方向に沿って延長する凹部を形成する長尺部材により構成されて、凹部の底面を形成して取付部に取付けられる底板部と、底板部の一方の領域側の側縁より延長する一方領域側側板部と、底板部の他方の領域側の側縁より延長する他方領域側側板部とを備え、
他方領域側側板部は、転動体の他方領域側転動面を形成する板面を有した平板により形成され、
一方領域側側板部は、他方領域側転動面と凹部を隔てて平行に対向する転動体の一方領域側転動面を形成する板面を有した対向平板部と、底板部の一方の領域側の側縁と対向平板部の一方の側縁とを連結する連結板部と、対向平板部の他方の側縁より他方領域側転動面に近付く方向に延長する先端側板部とを備えて構成され、
被ガイド部抜け防止手段は、他方領域側側板部の他方領域側転動面を形成する板面とは反対側の板面と面接触する面接触板部と、当該面接触板部の一端より他方領域側側板部の延長端縁を乗り越えて先端側板部に近付く方向に延長する抜け防止板部と、面接触板部の他端より抜け防止板部の延長方向とは反対方向に延長して取付部に取付けられる連結板部とを備え、
抜け防止板部が、転動体のレールからの抜けを防止することを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
レールの一方領域側側板部を補強する補強手段を備え、
補強手段は、取付部に取付けられる取付板部と、取付板部の他端より延長して対向平板部の一方領域側転動面を形成する板面とは反対側の板面と面接触する面接触板部と、当該面接触板部の延長端より先端側板部と平行に延長して当該先端側板部の凹部内面を形成する板面とは反対側の板面と面接触する先端側面接触板部とを備えたことを特徴とする請求項に記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバースライディングドア、あるいは、オーバーヘッドドア等と呼称される開閉装置の開閉体の移動をガイドするガイド構造に関する。
【背景技術】
【0002】
オーバースライディングドア、あるいは、オーバーヘッドドア等と呼称される開閉装置が知られている(特許文献1等参照)。
当該開閉装置は、構造物の開口を開閉する開閉体が、上下方向に延在して開口を閉鎖する閉鎖状態と、開口を隔てた一方の領域の天井側において当該天井に沿って延在して開口を開放する開放状態とに設定される。
上述した開閉体は、開閉体の移動方向に沿って並ぶように設けられた複数のパネルと、各パネルの左右の側縁より外方に突出するように設けられた被ガイド部としてのローラを備える。
開閉体の移動方向に沿って並ぶように設けられた複数のパネルは、互いに隣り合うパネルがヒンジを介して連結されている。
そして、ローラが転動可能に収容される断面凹形状に形成されたレールを備えたガイド部が、構造物における開口の左右の側部と一方の領域の天井側とに連続するように設けられる。
従って、開閉体は、各パネルに設けられたローラがガイド部によって移動方向にガイドされることによって、開閉動作を行うように構成されている。
例えば、図16に示すように、開閉体100を構成する各パネル101,101…の左右方向の端部には、軸受部102が設けられ、この軸受部102にはパネル101の左右の端縁より外側に突出する軸103が回転可能に取付けられ、当該軸103の先端側に被ガイド部としてのローラ105を備えている。
ガイド部110は、構造物111における開口112の左右の側部113,113に沿ってそれぞれ設置されている。
ガイド部110は、具体的には、断面が凹形状に形成されたレール120と、レール120を構造物111に固定するための取付部130とを備えている。
レール120は、ガイド部110の延長方向に沿って延長する凹部121を形成する長尺部材により構成され、凹部121の底面122を形成して取付部130に取付けられる底板部123と、底板部123の一方の領域側の側縁より延長する一方領域側側板部124と、底板部123の他方の領域側の側縁より延長する他方領域側側板部125とを備える。
そして、一方領域側側板部124の先端124tと他方領域側側板部125の先端125tとの間の間隔である、凹部121の開口を介してローラ105が凹部121内に挿入され、当該ローラ105が、一方領域側側板部124の内面124u、及び、他方領域側側板部125の内面125uを転動することにより、ローラ105がガイド部4の延長方向に沿って移動し、開閉体100が移動方向にガイドされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-109185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した開閉装置では、ローラ105はレール120の凹部121の開口を介して凹部121内に挿入できるようになっている。そのため、図17に示すように、開閉体100を構成するパネル101に風圧Pが加わった場合等において、ローラ105が矢印Fの方向に移動し、ローラ105がレール120の凹部121の開口を介して凹部121の外側に抜けてしまう可能性があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解消すべく、被ガイド部のガイド部からの抜けを防止できる開閉装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る開閉装置は、構造物に形成された開口を開閉する開閉体と、開閉体の左右の端縁より突出するように設けられた被ガイド部と、構造物に固定されて被ガイド部をガイドするガイド部とを備え、開閉体が、開閉体の移動方向に沿って並ぶように設けられた複数のパネルを備えて、互いに隣り合うパネルがヒンジを介して連結されて構成され、当該開閉体が、開口を閉鎖する閉鎖状態と開口を開放する開放状態とに設定され、閉鎖状態においては、開閉体が上下方向に延在して開口を閉鎖する状態に設定され、開放状態においては、開閉体が開口を隔てた一方の領域の天井に沿って延在して開口を開放する状態に設定される開閉装置において、被ガイド部のガイド部からの抜けを防止する被ガイド部抜け防止手段を備え、被ガイド部は、ガイド部内を転動可能な転動体により構成され、ガイド部は、断面が凹形状に形成されたレールと、レールを構造物に固定するための取付部とを備え、レールは、ガイド部の延長方向に沿って延長する凹部を形成する長尺部材により構成されて、凹部の底面を形成して取付部に取付けられる底板部と、底板部の一方の領域側の側縁より延長する一方領域側側板部と、底板部の他方の領域側の側縁より延長する他方領域側側板部とを備え、他方領域側側板部は、転動体の他方領域側転動面を形成する板面を有した平板により形成され、一方領域側側板部は、他方領域側転動面と凹部を隔てて平行に対向する転動体の一方領域側転動面を形成する板面を有した対向平板部と、底板部の一方の領域側の側縁と対向平板部の一方の側縁とを連結する連結板部と、対向平板部の他方の側縁より他方領域側転動面に近付く方向に延長する先端側板部とを備えて構成され、被ガイド部抜け防止手段は、他方領域側側板部の他方領域側転動面を形成する板面とは反対側の板面と面接触する面接触板部と、当該面接触板部の一端より他方領域側側板部の延長端縁を乗り越えて先端側板部に近付く方向に延長する抜け防止板部と、面接触板部の他端より抜け防止板部の延長方向とは反対方向に延長して取付部に取付けられる連結板部とを備え、抜け防止板部が、転動体のレールからの抜けを防止することを特徴とするので、被ガイド部のガイド部からの抜けを防止できるとともに、転動体がレールの凹部の外側に抜けて外れてしまうことを防止できる開閉装置を提供できる
らに、レールの一方領域側側板部を補強する補強手段を備え、補強手段は、取付部に取付けられる取付板部と、取付板部の他端より延長して対向平板部の一方領域側転動面を形成する板面とは反対側の板面と面接触する面接触板部と、当該面接触板部の延長端より先端側板部と平行に延長して当該先端側板部の凹部内面を形成する板面とは反対側の板面と面接触する先端側面接触板部とを備えたことを特徴とするので、補強手段を備えたことによって、転動体がレールの凹部から外側に抜けること防止できる抜け止め防止効果が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】開閉体を閉鎖状態とした際の開閉装置の全体構成斜視図。
図2】開閉体を開放状態とした際の開閉装置の全体構成斜視図。
図3】閉鎖状態の開閉体を一方の領域側から見た正面図。
図4】閉鎖状態の開閉体の側面図。
図5】閉鎖状態の開閉体の最上端側に位置される上パネルを示す縦断面図。
図6】閉鎖状態の開閉体の中央側に位置される中間パネルを示す縦断面図。
図7】閉鎖状態の開閉体の最下端側に位置される下パネルを示す縦断面図。
図8】補強体倒れ防止手段を示す斜視図であり、(a)は補強体倒れ防止手段の外表面側を見た図、(b)は補強体倒れ防止手段の内表面側を見た図。
図9】補強体倒れ防止手段がパネルの一方の領域側の面と補強体とを連結するように設けられた状態を示す斜視図。
図10】ガイド部と被ガイド部と被ガイド部抜け防止手段との関係を示す断面図。
図11】ガイド部と被ガイド部抜け防止手段との関係を示す斜視図。
図12】ガイド部と被ガイド部抜け防止手段との関係を示す分解斜視図。
図13】ガイド部と被ガイド部と被ガイド部抜け防止手段と補強手段との関係を示す断面図。
図14】ガイド部と被ガイド部抜け防止手段と補強手段との関係を示す斜視図。
図15】ガイド部と被ガイド部抜け防止手段と補強手段との関係を示す分解斜視図。
図16】従来のガイド部と被ガイド部との関係を示す断面図。
図17】従来構造において、被ガイド部がガイド部から抜ける状況を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1図2に示すように、実施形態に係る開閉装置1は、構造物に形成された開口2を開閉する開閉体3と、開閉体3の移動をガイドするガイド部4と、開閉体3の開閉機構5と、開閉体3に設けられた被ガイド部としてのローラ30のガイド部4からの抜けを防止する被ガイド部抜け防止手段8(図10参照)とを備え、開口2を開閉する開閉体3が開口2を開放した場合に、開閉体3が、開口2を隔てた一方の領域6の天井側に当該天井に沿って位置された(収納された)状態となる、所謂、オーバースライディングドア、あるいは、オーバーヘッドドア等と呼称される開閉装置である。
【0009】
開口2は、例えば住宅やビル、倉庫、工場等の構造物の内外を仕切る外壁や、構造物の内部において内部空間を仕切る内壁等の躯体7に開設されて、内外を連通する空間として上下左右方向に延長するように設けられた例えば矩形状の開口(図1図2において、一点鎖線で示した矩形の開口2)である。
また、開口2を隔てた一方の領域6とは、構造物の屋内、又は、構造物の室内であり、例えば、住宅やビルの駐車場内、工場内、倉庫内等の領域である。
また、開口2を隔てた他方の領域は、構造物の屋外、又は、構造物の室外であり、例えば、住宅やビルの駐車場の外側、工場の外側、倉庫の外側等の領域である。
【0010】
開閉体3は、上下方向に延在して開口2を閉鎖する閉鎖状態と、一方の領域6における開口2の近傍の天井に沿って延在して開口2を開放する開放状態とに設定される。
即ち、図1に示すように、閉鎖状態においては、上下方向に延在する開閉体3の一端(上端)3tが開口2の上方側に位置されるとともに、開閉体3の他端(下端)3uが床面、地面等の開口下端に接触した状態となって、開閉体3が開口2を閉鎖する状態に設定される。
また、図2に示すように、開放状態においては、開口2を隔てた一方の領域6の天井側において、開閉体3の一端3tが開口2より離れた天井側に位置されるとともに、開閉体3の他端3uが開口2の上方側に位置されることによって、開閉体3が、開口2の上方側から当該開口2より離れる方向に一方の領域6の天井に沿って延在して、開口2を開放する状態に設定される。
【0011】
尚、開閉体3は、開放状態においては、一方の領域6の天井側において、図2に示すように、他端3uから一端3tにかけて水平に延在した状態となるタイプ、あるいは、他端3uから一端3tにかけて上向きに傾斜して延在した状態となるタイプ等がある。
【0012】
図1図3に示すように、開閉体3は、開閉体3の移動方向(開閉方向)Sに沿って並ぶように設けられた複数のパネルにより形成されたパネル構成体10と、各パネルにおける一方の領域6側の面より突出して、パネルの左右方向(パネルの長辺縁に沿った方向(開口2の横幅方向))W及び一方の領域6に延長するように設けられた補強体と、パネルの一方の領域6側の面と補強体とを連結して補強体の倒れを防止する補強体倒れ防止手段60と、各パネルの左右の側縁より外方に突出するように設けられた被ガイド部としてのローラ30,30…とを備える。
【0013】
図3図4に示すように、開閉体3の開閉面を形成するパネル構成体10は、例えば、閉鎖状態の開閉体3の最上端側に位置される上パネル10Aと、閉鎖状態の開閉体3の最下端側に位置される下パネル10Bと、上パネル10Aと下パネル10Bとの間に設けられた複数の中間パネル10C,10C…とで構成される。
【0014】
図3に示すように、各パネル10A,10B,10Cは、それぞれ、パネル本体11と、パネル本体11の四方を囲む框12と、框補強部材13とを備えて構成される。
【0015】
パネル本体11は、開口2の左右方向(横幅方向)に沿って延長して開口2の横幅寸法に対応した長辺と開口2の上下方向(高さ方向)に沿って延長する短辺とを備えた左右方向に長い長尺な矩形状に形成される。
尚、図5乃至図7に示すように、パネル本体11は、断面形状が、例えば、上下方向に沿って連続する凹凸形状に形成される。即ち、パネル本体11は、一方の領域6側に突出して左右方向に延長する平面11aと、他方の領域側に突出して左右方向に延長する平面11bとを備えた凹凸パネルにより構成される。
このように、パネル本体11を、強度の高い凹凸パネルにより構成したことによって、各パネル10A,10B,10Cの耐風圧効果を向上させることができる。
【0016】
図3に示すように、框12は、パネル本体11の一端縁となる上側の長辺縁に沿って設けられた上框15と、パネル本体11の他端縁となる下側の長辺縁に沿って設けられた下框16と、パネル本体11の左右の短辺縁に沿ってそれぞれ設けられた左右の縦框17,18とで構成されて、左右方向に長い長尺な矩形状のパネル本体11の四方を囲む枠体である。
従って、各パネル10A,10B,10Cは、開口2の左右方向(横幅方向)Wに沿って延長して開口2の横幅寸法に対応した長辺と開口2の上下方向(高さ方向)に沿って延長する短辺とを備えた左右方向に長い長尺な矩形状に形成される。
【0017】
框補強部材13は、パネル本体11の一方の領域6と面する面側において、上框15と下框16とを連結した補強桟のような補強部材であり、パネル本体11の長手方向、即ち、開口2の左右方向(横幅方向)Wに沿って所定の間隔を隔てて、複数個設けられている。
図5乃至図7に示すように、框補強部材13は、一方の領域6側に位置して上端側が上框15に連結されて下端側が下框16に連結される主板部13xと、当該主板部13xの一方の側縁から他方の領域側に延長する補強板部13aと、補強板部13aの延長端より延長してパネル本体11の平面11aと対向して当該平面11aに連結される連結板部13bとを備える。
即ち、複数の框補強部材13の主板部13xの上端側が上パネル10Aの上框15における一方の領域6側に位置する面15aに図外のリベット等の固定手段によって固定され、複数の框補強部材13の主板部13xの下端側が上パネル10Aの下框16における一方の領域6側に位置する面16aに図外のリベット等の固定手段によって固定され、さらに、複数の框補強部材13の連結板部13bがパネル本体11の一方の領域6側の平面11aに図外のリベット等の固定手段によって固定されている。
【0018】
図5乃至図7に示すように、上框15は、框補強部材13の主板部13xの上端側が連結される一方の領域6側の面15aと、他方の領域側に設けられてパネル本体11の上端縁側11tを挟持する挟持部15bと、面15aの上端と挟持部15bの上端とを繋ぐ上面15cとを備え、左端部が左の縦框17と連結され、右端部が右の縦框18と連結されている。
挟持部15bは、上面15cの他方の領域側に位置する長辺縁から下方に分岐する2つの挟持片により構成される。
図5に示すように、上パネル10Aの上框15の上面15cは、他方の領域側が上方に位置される上側平面に形成され、一方の領域6側が下方に位置される下側平面に形成され、上側平面の一方の領域6側の長辺縁と下側平面の他方の領域側の長辺縁とが傾斜面で繋がれて形成された凹凸係合面に構成されている。
また、図6図7に示すように、中間パネル10C及び下パネル10Bの上框15の上面15cは、他方の領域側が下方に位置される下側平面に形成され、一方の領域6側が上方に位置される上側平面に形成され、下側平面の一方の領域6側の長辺縁と上側平面の他方の領域側の長辺縁とが傾斜面で繋がれて形成された凹凸係合面に構成されている。
【0019】
図5乃至図7に示すように、下框16は、框補強部材13の主板部13xの下端側が連結される一方の領域6側の面16aと、他方の領域側に設けられてパネル本体11の下端縁側11uを挟持する挟持部16bと、面16aの下端と挟持部16bの下端とを繋ぐ下面16cとを備え、左端部が左の縦框17と連結され、右端部が右の縦框18と連結されている。
挟持部16bは、下面16cの他方の領域側に位置する長辺縁から上方に分岐する2つの挟持片により構成される。
図5図6に示すように、上パネル10A及び中間パネル10Cの下框16の下面16cは、他方の領域側が下方に位置される下側平面に形成され、一方の領域6側が上方に位置される上側平面に形成され、下側平面の一方の領域6側の長辺縁と上側平面の他方の領域側の長辺縁とが傾斜面で繋がれて形成された凹凸係合面に構成されている。
【0020】
また、図7に示すように、下パネル10Bの下框16の下面16cは、面16aの下端と挟持部16bの下端とを繋ぐ平面に形成され、当該平面に形成された下面16cに水切りシール25が設けられている。
即ち、開閉体3の他端3uとなる下パネル10Bの下端は、下框16の下面16cに設けられた中空ゴム等による水切りシール25により構成され、開閉体3が閉鎖状態となった場合に、当該水切りシール25が床面、地面等の開口下端に密着した状態となって、開閉体3の他端3uと開口下端との水密性能、及び、気密性能が維持される。
【0021】
上パネル10Aは、一方の領域6側の面において、開閉体3の移動方向Sに沿った一端縁側(上端縁側)及び開閉体3の移動方向Sに沿った他端縁側(下端縁側)に、補強体を備えている。
例えば、図3乃至図5に示すように、上パネル10Aは、上パネル10Aの上框15における一方の領域6側に位置する面15aより上パネル10Aの左右方向W及び一方の領域6側に延長するように設けられて、一方の領域6側に延長する延長端側に、補強体倒れ防止手段60の被係合部が係合する係合部が設けられた上側補強体20と、上パネル10Aの下框16における一方の領域6側に位置する面16aより上パネル10Aの左右方向W及び一方の領域6側に延長するように設けられて、一方の領域6側に延長する延長端側に、補強体倒れ防止手段60の被係合部が係合する係合部が設けられた下側補強体21とを備える。
【0022】
上側補強体20は、上框15の面15aより当該面15aと直交して一方の領域6に延長するとともに上パネル10Aの左右方向Wに延長する板面を備えた中空板部20aと、中空板部20aの一方の領域6側の先端縁より延長して当該中空板部20aの板面と直交する板面を備えた中実板部20bとを備えている。そして、中空板部20aの延長端側と中実板部20bとにより被係合部が構成される。
【0023】
中間パネル10Cは、開閉体3の移動方向Sに沿った他端縁側(下端縁側)に、補強体を備えている。
例えば、図3図4図6に示すように、中間パネル10Cは、中間パネル10Cのパネル本体11を囲む框12における下框16における一方の領域6側に位置する面16aより中間パネル10Cの左右方向W及び一方の領域6側に延長するように設けられて、一方の領域に延長する延長端側に、補強体倒れ防止手段60の被係合部が係合する係合部が設けられた下側補強体21を備える。
【0024】
上パネル10A及び中間パネル10Cの下側補強体21は、下框16の面16aより当該面16aと直交して一方の領域6に延長するとともにパネル本体11の左右方向Wに延長する板面を備えた中空板部21aと、中空板部21aの一方の領域6側の先端縁より延長して当該中空板部21aの板面と直交する板面を備えた中実板部21bとを備えている。そして、中空板部21aの延長端側と中実板部21bとにより被係合部が構成される。
【0025】
上パネル10A及び中間パネル10Cの下側補強体21の中空板部21aには、後述するヒンジ31の取付板を当該中空板部21aに連結するためのねじ28aのねじ頭を収容するねじ頭収容溝28が形成されている。このねじ頭収容溝28は、中空板部21aの下面において、下面の左端と右端とに亘って連続するように形成されており、当該下面の左端又は右端からねじ頭収容溝28にねじ28aのねじ頭を挿入して当該ねじ28aをヒンジ31の取付位置まで移動させ、図4に示すように、ヒンジ31の取付板に形成されたねじ貫通孔にねじ28aの軸部を貫通させてナット28bを締結することにより、ヒンジ31の取付板を中空板部21aの下面に取付けることができる。
【0026】
下パネル10Bは、開閉体3の移動方向Sに沿った他端縁側(下端縁側)及び開閉体3の移動方向Sに沿った一端と他端との間の中央側に、補強体を備えている。
即ち、図3図4図7に示すように、下パネル10Bは、下パネル10Bのパネル本体11を囲む框12の下框16における一方の領域6側に位置する面16aより下パネル10Bの左右方向W及び一方の領域6に延長するように設けられた下側補強体22と、各框補強部材13の主板部13xに取付けられて下パネル10Bの左右方向W及び一方の領域6に延長するように設けられた中央側補強体23とを備える。
【0027】
下側補強体22は、下框16の面16aより当該面16aと直交して一方の領域6に延長するとともにパネル本体11の左右方向に延長する板面を備えた板部22aと、当該板部22aの一方の領域6側の先端縁より延長して当該板部22aの板面と直交する板面を備えた板部22bとを備えている。
【0028】
中央側補強体23は、框補強部材13の主板部13xの板面と直交する板面を有した中空板部23aと、中空板部23aを框補強部材13の主板部13xの板面に連結するための連結板部23bとを備える。
【0029】
下パネル10Bの下側補強体22及び中央側補強体23は、例えば、開閉体3を開閉する操作者の脚にぶつかり難いように、一方の領域6方向への突出長さが、上側補強体20及び下側補強体21の一方の領域6方向への突出長さよりも短く形成されている。
【0030】
補強体倒れ防止手段60は、一端側に設けられた連結部が框補強部材13に連結されるとともに、他端側に設けられた被係合部が補強体の係合部に係合した状態に連結されることによって、補強体とパネルの一方の領域6側の面とを連結して補強体の倒れを防止するように構成されている。
【0031】
図5図6図8図9に示すように、補強体倒れ防止手段60は、上側補強体20の中実板部20bの一方の領域6側の面(以下、外面という)20c、又は、下側補強体21の中実板部21bの一方の領域6側の面(以下、外面という)21cと接触する接触面61aを有した押さえ板61と、押さえ板61の一端縁62より延長して、上側補強体20の中実板部20bの延長端の端面20d、又は、下側補強体21の中実板部21bの延長端の端面21dと接触する接触面63aを有した引掛板63と、押さえ板61の他端縁64より引掛板63の延長方向と同方向でかつ引掛板63から離れる方向に傾斜して延長する傾斜板65と、当該傾斜板65の一方の側縁66より引掛板63に近付く方向及び押さえ板61から離れる方向に延長して傾斜板65の板面と直交する板面を有した一方縁側補強板67と、傾斜板65の他方の側縁における押さえ板61に近い側縁部分68より引掛板63に近付く方向に延長して傾斜板65の板面と直交する板面を有した他方縁側補強板69とを備えている。
【0032】
一方縁側補強板67において、傾斜板65の延長端縁65tよりも押さえ板61から離れる方向に延長する部分が連結部としての連結板70として機能し、当該連結板70には、ボルト75を貫通させるためのボルト貫通孔71が1つ以上形成されている。
【0033】
連結板70は、押さえ板61の延長方向と同方向に長い矩形板状に形成され、ボルト貫通孔71は、例えば、連結板70の長手方向に沿って所定の間隔を隔てて例えば2つ設けられている。
【0034】
一方縁側補強板67及び他方縁側補強板69の引掛板63に近付く方向への延長端の端面は、上側補強体20の中空板部20aの一方板面(パネルの中心10Z(パネルの短辺に沿った長さの中心)に近い側の板面)20e、又は、下側補強体21の中空板部21aの一方板面(パネルの中心10Zに近い側の板面)21eと接触する接触面72に形成される。
【0035】
補強体倒れ防止手段60は、引掛板63の接触面63aと、上側補強体20の中実板部20bの延長端の端面20d、又は、下側補強体21の中実板部21bの延長端の端面21dとを接触させることで、当該引掛板63を、当該端面20d、又は、端面21dに引っ掛けるとともに、押さえ板61の接触面61aと、上側補強体20の中実板部20bの外面20c、又は、下側補強体21の中実板部21bの外面21cとを接触させ、かつ、一方縁側補強板67及び他方縁側補強板69の接触面72,72と、上側補強体20の中空板部20aの一方板面20e、又は,下側補強体21の中空板部21aの一方板面21eとを接触させることにより、これら引掛板63と押さえ板61と一方縁側補強板67及び他方縁側補強板69とで構成された被係合部が、上側補強体20の一方の領域6側に延長する延長端側の係合部、又は、下側補強体21の一方の領域6側に延長する延長端側の係合部を、三方から囲んで挟持した状態に設定された後、連結板70が、ボルト75及びナット76等の固定手段によって框補強部材13の補強板部13a(パネルの一方の領域6側の面)に取付けられる。
【0036】
即ち、補強体倒れ防止手段60は、一端側に設けられた連結部としての連結板70と、他端側に設けられた連結部としての被係合部とを備え、上側補強体20の一方の領域6側に延長する延長端側の係合部、又は、下側補強体21の一方の領域6側に延長する延長端側の係合部を、三方から囲んで挟持する被係合部が、引掛板63と押さえ板61と一方縁側補強板67及び他方縁側補強板69とにより構成されている。
【0037】
以上のように補強体倒れ防止手段60が設けられたことにより、補強体倒れ防止手段60は、以下のように、上側補強体20の倒れ、又は、下側補強体21の倒れを防止する。
即ち、例えば閉鎖状態の開閉体3に、開口2を隔てた他方の領域側から風圧が加わった場合、図5において、上側補強体20が上框15との境界を回転中心として上パネル10Aの中心10Zから離れる方向に、及び、下側補強体21が下框16との境界を回転中心として上パネル10Aの中心10Zから離れる方向に倒れようとするが、この際、補強体が倒れようとする力が引掛板63の接触面63aで受け止められて、補強体が倒れようとする力に対して補強体倒れ防止手段60が抵抗するため、補強体の倒れを防止できる。
また、例えば閉鎖状態の開閉体3に、開口を隔てた一方の領域6側から風圧が加わった場合、図5において、上側補強体20が上框15との境界を回転中心として上パネル10Aの中心10Z側に向けて、及び、下側補強体21が下框16との境界を回転中心として上パネル10Aの中心10Z側に向けて倒れようとするが、この際、補強体が倒れようとする力が一方縁側補強板67及び他方縁側補強板69の接触面72,72で受け止められて、補強体が倒れようとする力に対して補強体倒れ防止手段60が抵抗するため、補強体の倒れを防止できる。
【0038】
即ち、補強体とパネルの一方の領域6側の面とが補強体倒れ防止手段60で連結されたことにより、上側補強体20が上框15との境界を回転中心として開口2側に倒れてしまうことや、下側補強体21が下框16との境界を回転中心として開口2側に倒れてしまうことを防止でき、補強体の倒れに起因するパネルの変形を防止できるようになる。
【0039】
尚、上側補強体20とパネルとを連結する場合と下側補強体21とパネルとを連結する場合とでは、同じ補強体倒れ防止手段60を向きを変えて使用する。
即ち、上側補強体20とパネルとを連結する場合においては、連結板70において他方縁側補強板69と対向する側の内面70uを框補強部材13の補強板部13aと接触させるとともに、傾斜板65の延長端縁65tと框補強部材13の主板部13xの板面とを対向させた状態としてから、連結板70を補強板部13aに取付ける。
また、下側補強体21とパネルとを連結する場合においては、連結板70において内面70uとは反対側の外面70fを框補強部材13の補強板部13aと接触させた状態としてから、連結板70を補強板部13aに取付ける。
【0040】
開閉体3の移動方向Sに沿って並ぶように設けられた複数のパネル10A,10B,10Cは、互いに隣り合うパネルがヒンジ31,32を介して連結されている。
図3に示すように、開閉体3の移動方向Sに沿って互いに隣り合うパネルは、左右方向の端部側がヒンジ32,32により連結され、さらに、左端部と右端部との間は、左右方向に沿って間隔を隔てた複数個所においてヒンジ31,31…により連結されていることにより、開閉体3の移動方向Sに沿って互いに隣り合う一方のパネルの一方の領域6側の面と他方のパネルの一方の領域6側の面とのなす角度が180度以下となることが可能なように構成されている。
【0041】
即ち、開閉体3の移動方向に沿って並ぶように設けられたパネル構成体10は、互いに隣り合う一方のパネルの長辺縁側と他方のパネルの長辺縁側とが連結手段としてのヒンジ31,32を介して連結され、互いに隣り合うパネルの板面が、同一平面上に位置される状態、及び、互いに交差する状態に設定可能に構成されている。
【0042】
図3図4に示す、閉鎖状態のパネル構造体10で説明した場合、上下に隣り合うパネル同士は、具体的には、以下のように連結されている。
上のパネルの左端部側に位置される左の縦框17における一方の領域6側の面の下端側と、下のパネルの左端部側に位置される左の縦框17における一方の領域6側の面の上端側とが、ヒンジ32によって連結されている。
上のパネルの右端部側に位置される右の縦框18における一方の領域6側の面の下端側と、下のパネルの左端部側に位置される右の縦框18における一方の領域6側の面の上端側とが、ヒンジ32によって連結されている。
上のパネルに設けられた下側補強体21の中空板部21aの下面と、下のパネルの一方の領域6側の面の左右方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられた各框補強部材13,13…の上端側とが、パネルの左右方向に沿って所定の間隔を隔てて配置された複数のヒンジ31,31…によって連結されている。
【0043】
また、図4に示すように、上パネル10Aの下框16の下面16cを形成する係合凹凸面と上パネル10Aの下隣りに位置された中間パネル10Cの上框15の上面15cを形成する係合凹凸面とを互いに係合させた状態で、これら上パネル10Aと中間パネル10Cとがヒンジ31,32により連結されている。
また、中間パネル10Cの下框16の下面16cを形成する係合凹凸面と当該中間パネル10Cの下隣りに位置された中間パネル10Cの上框15の上面15cを形成する係合凹凸面とを互いに係合させた状態で、これら中間パネル10Cと中間パネル10Cとがヒンジ31,32により連結されている。
また、下パネル10Bの上框15の上面15cを形成する係合凹凸面と当該下パネル10Bの上隣りに位置された中間パネル10Cの下框16の下面16cを形成する係合凹凸面とを互いに係合させた状態で、これら下パネル10Bと中間パネル10Cとがヒンジ31,32により連結されている。
【0044】
図3に示すように、パネル構成体10を構成する各パネル10A,10B,10Cの左右方向(長手方向)Wの端部において、例えば、開閉体3の移動方向Sに沿った一端縁側(上端縁(長辺縁)側)側には、それぞれ軸受部33,33が設けられ、この軸受部33にはパネルの左右方向Wの端縁より外側に突出する軸(回転軸)34が回転可能に取付けられている。そして、被ガイド部は、例えば当該軸34の先端側に設けられてガイド部4の凹部内の転動ガイド面を転動可能に構成された転動体としてのローラ30により構成される。
即ち、開閉体3が閉鎖状態の場合で説明すると、被ガイド部としてのローラ30は、各パネル10A,10B,10Cの左端縁の上端側より左側外方に突出するように設けられるとともに、各パネル10A,10B,10Cの右端縁の上端側より右側外方に突出するように設けられる。
従って、各パネル10A,10B,10Cに設けられた被ガイド部としてのローラ30がガイド部4によって移動方向Sにガイドされることによって、開閉体3が移動方向Sに移動可能に構成されている。
尚、ローラ30は、パネルの左右方向Wの端縁より外側に突出する固定軸の先端側に回転可能に設けられていてもよい。即ち、少なくとも、先端側にローラ30を備えた軸(回転軸)が軸受部33に回転可能に取付けられているか、又は、ローラ30が軸(固定軸)に回転可能に取付けられていることにより、当該ローラ30がガイド部4の凹部内の転動ガイド面を転動可能に構成されていればよい。
当該ローラ30と軸(回転軸34又は固定軸)とでガイドローラが構成される。
【0045】
ガイド部4は、構造物における開口2の左側部と一方の領域6側の天井側とに亘って延長するように設けられるとともに、構造物における開口2の右側部と一方の領域6側の天井側とに亘って延長するように設けられる。
ガイド部4は、構造物における開口2の左右の側部に位置する躯体7に設置される垂直ガイド部4Aと、一方の領域6の天井側において開口2の上端側から開口2から離れる方向に延長するように設けられた上側ガイド部4Cと、垂直ガイド部4Aの上端と上側ガイド部4Cの開口2側の端とを連結する円弧状ガイド部4Bとを備えて構成される。
構造物における開口2の左右の側部及び一方の領域6側の天井側に設置された左右一対のガイド部4,4間に、開閉体3が開放方向又は閉鎖方向に移動自在に設けられ、開閉体3が垂直ガイド部4Aと上側ガイド部4Cとの間を移動することにより、開閉体3が開口2を開放又は閉鎖する。
【0046】
ガイド部4は、具体的には、図10乃至図12に示すように、ローラ30が転動可能に収容される断面が凹形状に形成されたレール40と、レール40を壁側の躯体7又は天井側の躯体等の構造物側取付部に固定するための取付部41とを備えて構成されている。
尚、図10乃至図15においては、ガイド部4として、構造物における開口2の側部に位置される壁側の躯体7に取り付けられる垂直ガイド部4Aを図示している。
【0047】
取付部41は、レール40及び被ガイド部抜け防止手段8が固定される一方側固定板部41aと、構造物側取付部に固定される他方側固定板部41bとを備える。
【0048】
レール40は、ガイド部4の延長方向に沿って延長する凹部42を形成する長尺部材により構成されるものであり、凹部42の底面42aを形成して取付部41の一方側固定板部41aに取付けられる底板部43と、底板部43の一方の領域6側の側縁43aより延長する一方領域側側板部44と、底板部43の他方の領域側の側縁43bより延長する他方領域側側板部45とを備える。
底板部43は、底面42aを形成する板面とは反対側の板面から突出するボルト46を備える。
【0049】
他方領域側側板部45は、凹部42の底面42aと直交してローラ30の他方領域側転動面45aを形成する板面を有した平板により形成される。
【0050】
一方領域側側板部44は、他方領域側転動面45aと凹部42を隔てて平行に対向するローラ30の一方領域側転動面44aを形成する板面を有した対向平板部44bと、底板部43の一方の領域6側の側縁43aと対向平板部44bの一方の側縁44cとを連結する傾斜連結板部(連結板部)44dと、対向平板部44bの他方の側縁44eより他方領域側転動面45aに近付くとともに傾斜連結板部44dから離れる方向に傾斜して延長する先端側傾斜面部(先端側板部)44fとを備えて構成される。
【0051】
被ガイド部抜け防止手段8は、ローラ30がガイド部4のレール40の凹部42から抜けてしまうことを防止するための手段であり、例えば断面Z形状の長尺板により形成される。
被ガイド部抜け防止手段8は、他方領域側側板部45の他方領域側転動面45aを形成する板面とは反対側の板面と面接触する面接触板部81と、当該面接触板部81の一端81aより他方領域側側板部45の延長端縁45tを乗り越えて先端側傾斜面部44fに近付く方向に延長する抜け防止板部82と、面接触板部81の他端81bより抜け防止板部82の延長方向とは反対方向に延長して取付部41に取付けられる連結板部83とを備える。抜け防止板部82及び連結板部83は、面接触板部81の板面と直交する板面を有した平板により形成される。
連結板部83には、ボルト84を貫通させるボルト貫通孔83aが形成されている。
【0052】
図12に示すように、取付部41の一方側固定板部41aには、ボルト46を貫通させるためのボルト貫通孔46a及びボルト84を貫通させるボルト貫通孔84aが形成されている。
従って、ボルト貫通孔46aに通したレール40のボルト46にナット47を締結することにより、レール40が一方側固定板部41aに固定される。
また、被ガイド部抜け防止手段8のボルト貫通孔83a及び一方側固定板部41aのボルト貫通孔84aに通したボルト84にナット85を締結することにより、被ガイド部抜け防止手段8が一方側固定板部41aに固定される。
【0053】
以下、各パネルに設けられた被ガイド部としてのローラ30をガイド部4により移動方向Sにガイドするガイド機構の構築方法の一例について説明する。
まず、構造物側取付部に図外の溶接やボルト及ナット等の固定手段を用いて取付部41の他方側固定板部41bを固定する。
次に、ボルト46及びナット47により、取付部41の一方側固定板部41aにレール40を固定する。
そして、このレール40の凹部42内にローラ30を挿入した後、ボルト84及びナット85により、取付部41の一方側固定板部41aに被ガイド部抜け防止手段8を取付ける。
即ち、被ガイド部抜け防止手段8の抜け防止板部82が、他方領域側側板部45の延長端縁45tを乗り越えて先端側傾斜面部44fに近付く方向に延長するように設けられるので、開閉体3に風圧が加わった場合等において、ローラ30が凹部42の開口を介して凹部42の外側に抜けようとしても、ローラ30が先端側傾斜面部44f及び抜け防止板部82に衝突するので、ローラ30が凹部42から外側に抜けないようになっている。
【0054】
言い換えれば、ガイド部4に被ガイド部抜け防止手段8を取付けた状態では、抜け防止板部82及び先端側傾斜面部44fが邪魔になってローラ30をレール40の凹部42内に挿入できないように構成され、かつ、ガイド部4に被ガイド部抜け防止手段8が取付けられていない状態では、ローラ30をレール40の凹部42内に挿入できるように構成されている。
即ち、ガイド部4に被ガイド部抜け防止手段8が取付けられていない状態において、ローラ30をレール40の凹部42内に挿入した後に、被ガイド部抜け防止手段8をガイド部4に取付けることによって、抜け防止板部82及び先端側傾斜面部44fが邪魔になってローラ30が凹部42の外側に抜けることがないように構成されている。
【0055】
つまり、凹部42の開口となる他方領域側側板部45の延長端縁45tと先端側傾斜面部44fの先端44tとの間の間隔は、ローラ30の直径寸法よりも小さい寸法に設定されているが、ローラ30の中心軸を傾けながら当該ローラ30を凹部42の開口を介して凹部42内に挿入することが可能となっている。
そして、抜け防止板部82の先端82tと先端側傾斜面部44fの先端44tとの間の間隔dは、凹部42の開口となる他方領域側側板部45の延長端縁45tと先端側傾斜面部44fの先端44tとの間の間隔よりも小さい寸法に設定されるとともに、軸34の直径寸法よりも大きく設定されていて、ローラ30は、当該間隔dを介して凹部42内に挿入できず、また、当該間隔dを介して凹部42内から外側に外れることができないようになっている。
【0056】
また、実施形態1においては、図1図3に示すように、上パネル10Aの下框16及び下側補強体21、中間パネル10Cの下框16及び下側補強体21は、下框16と下側補強体21とが一体に形成された一体成形品により構成され、当該下側補強体21の左右の両端側が切除された軸除け部34L,34Lが形成されていることにより、閉鎖状態の開閉体3において、ガイドローラの軸34の上方に下側補強体21が存在しないように構成されている。
この軸除け部34Lを備えたことにより、閉鎖状態の開閉体3が上方に移動して互いに上下に隣接する上側のパネルがヒンジ31,32を介して回転して天井側に移動する際に、下側補強体21が軸34に接触してパネルの回転が妨げられてしまうことを防止でき、パネルの移動がスムーズに行われるようになる。
【0057】
そして、図1図3に示すように、下側補強体21の左右の端部側が切除された部分に残った切除跡を隠すカバーが取付けられている。
即ち、下框16と下側補強体21との境界の切除跡には、下框16における一方の領域6側に位置する面16aに境界切除跡隠しカバー21Xを固定して境界切除跡を隠すようにしている。
また、下框16の下側補強体21の両端の切除跡には、切除後の下側補強体21の左右の端部に端部切除跡隠しカバー21Yを固定して端部切除跡を隠すようにしている。
【0058】
そして、上パネル10Aの上框15及び上側補強体20は、上述したように、下框16と下側補強体21とが一体に形成されて、軸除け部34L、境界切除跡隠しカバー、端部切除跡隠しカバーを備えたものを、上下逆にして用いている。
【0059】
図1に示すように、開閉機構5は、例えば、開口2の上方において開口2の幅方向に亘って配設される回転軸51と、回転軸51の両端部に固着される一対の巻取ドラム52,52と、一端が巻取ドラム52に連結されて他端が開閉体3に連結され、回転軸51が回転することによって巻取ドラム52に巻き取られたり巻取ドラム52から繰り出される、例えば金属製のワイヤー等の連結部材53と、連結部材53を巻取ドラム52で巻き取る方向、即ち、開閉体3を開放する方向に、回転軸51を付勢する付勢部材54とを備える。
【0060】
回転軸51は、中空又は中実の軸体であって、一対のガイド部4,4が離間する距離と略等しい長さを有し、開口2の上端よりも上方において開口2の幅方向に延長して配設される。回転軸51は、躯体7に取付けられた複数の軸受けブラケット56,56…により回転可能に支持される。
【0061】
巻取ドラム52は、連結部材53の巻き取りや繰り出しを可能とするボビン状(筒状)の部材であって、当該巻取ドラム52の中心軸と回転軸51の中心軸とが同心となるように回転軸51の両端部に固定される。
巻取ドラム52は、回転軸51とともに回転することにより、連結部材53を外周面上に巻き取ったり、連結部材53を外周面上から繰り出す部材である。より詳細には、巻取ドラム52は、開閉体3が開放動作する際に連結部材53を巻取り、開閉体3が閉鎖動作する際に連結部材53を繰出す。
【0062】
連結部材53は、一端が巻取ドラム52の外周面に止着され、他端が開閉体3の下端部に止着される。なお、連結部材53は、巻取ドラム52に巻き取り可能な部材であればよく、例えば、金属製の鎖やチェーン、金属以外の材質の略紐状あるいは略帯状の部材等であっても良い。
【0063】
付勢部材54としては、例えば、ねじりばね(トーションスプリング)が使用される。回転軸51を当該ねじりばねの中空筒部に通した後、ねじりばねの一端部が回転軸51の外周面に止着され、ねじりばねの他端部が躯体7に止着されている。
当該ねじりばねは、連結部材53を巻き取る方向に回転軸51を付勢するように設けられている。
つまり、付勢部材54は、操作者による開閉体3の開放動作をアシストする機能を有するとともに、開閉体3を全開した状態において、上側ガイド部4C上に位置する開閉体3を上側ガイド部4C上で留置く機能を有する。
【0064】
操作者が、閉鎖状態の開閉体3を持ち上げて開口2を開放する開放動作を行うことにより、開閉体3の最上部に位置するパネルから一枚ずつ折れ曲がるように上側ガイド部4Cに順次移動する。そして、開放動作が継続することにより、開閉体3が上側ガイド部4Cに移動し、開口2が全開される。
一方、開口2を閉鎖する際には、操作者が、下パネル10Bに取り付けられた図外の下げ紐等の操作部を下方に引張ることにより、開閉体3を垂直ガイド部4Aに沿って引き下げる閉鎖動作を行う。開閉体3を閉鎖動作させると上側ガイド部4C上の複数のパネルのうち、開口2側に位置するパネルから垂直ガイド部4Aに順次移動する。そして、閉鎖動作が継続することにより、開閉体3が垂直ガイド部4Aに移動し、最下部に位置する下パネル10Bの下端に設けられた水切りシール25が床面、地面等の開口下端と接触することにより開口2が全閉される。
【0065】
なお、上記では、開閉機構5として、操作者が開閉体3の開閉を手動で行うタイプの開閉機構を例示したが、図外のチェーンホイスト機構を介して回転軸51を回転させる開閉機構や、図外のモーター等の駆動源により回転軸51を回転させる開閉機構を備えた構成であってもよい。
【0066】
実施形態1の開閉装置によれば、開閉体3の左右の端縁より外側に突出するように設けられた被ガイド部としてのローラ30と、ローラ30をガイドするガイド部4と、ローラ30のガイド部4からの抜けを防止する被ガイド部抜け防止手段8とを備えたので、ローラ30がガイド部4から抜けてしまうことを防止できる。
【0067】
実施形態1によれば、上側補強体20、及び、下側補強体21の倒れを防止する補強体倒れ防止手段60を備えたので、上側補強体20や下側補強体21の倒れに起因するパネルの変形を防止でき、パネルの耐風圧強度の低下を防止できる開閉装置1を提供できるようになる。
また、補強体倒れ防止手段60は、上側補強体20とパネルとを連結する場合と下側補強体21とパネルとを連結する場合との両方に使用できるように構成したので、コスト削減を図ることができる。
【0068】
また、開閉体3は、上パネル10Aが、一方の領域6側の面における上端縁側において、パネルの左右方向W及び一方の領域6に延長するように設けられた上側補強体20を備えているので、開閉体3が閉鎖状態に設定された場合に、他方の領域側から開閉体3に加わる風の力が一番強くなる開閉体3の上端側の部分の強度が大きくなる。
即ち、閉鎖状態に設定された開閉体3の上端側の部分の耐風圧強度を大きくできる。
従って、他方の領域側からの風圧に対する耐風圧強度を向上させた開閉体3を備えた開閉装置1を提供できるようになる。
【0069】
また、下パネル10Bは、一方の領域6側の下端に沿って設けられた下側補強体22と、一方の領域6側の上下間の中央側に設けられた中央側補強体23とを備えているので、閉鎖状態に設定された開閉体3の下端側の部分の耐風圧強度を大きくできる。
また、当該下パネル10Bは、中央側補強体23を備えたので、開閉体3の閉鎖時に下パネル10Bが地面に衝突した際にパネル本体の曲げ耐力が向上する。
【0070】
また、閉鎖状態の開閉体3は、上下に隣り合うパネルとパネルとの間に下側補強体21を備えた構成となるため、閉鎖状態に設定された開閉体3の全体の耐風圧強度を大きくできる。
【0071】
また、上側補強体20、下側補強体21,22、中央側補強体23は、パネルにおける一方の領域6側の面より突出して、開口2の横幅方向に対応するパネルの左右方向及び一方の領域6に延長するように設けられたので、開口2を隔てた他方の領域側からの風圧に対する開閉体3の耐風圧強度をより向上させることができるようになる。
【0072】
また、上パネル10Aの上側補強体20及び下側補強体21、中間パネル10Cの下側補強体21を、中空材料により形成したので、材料費を削減できるとともに、高強度の補強体を備えた開閉体3を提供できる。
【0073】
尚、図5に示すように、上側補強体20は、上框15と一体に形成されたものであっても良いし、あるいは、上框15と別体に形成された後に上框15に連結される構成のものであってもよい。
また、図5図6に示すように、下側補強体21は、下框16と一体に形成されたものであっても良いし、あるいは、下框16と別体に形成された後に下框16に連結される構成のものであってもよい。
【0074】
尚、中間パネル10Cは、パネルの一方の領域6側の面における下端縁側にのみ下側補強体21を備えたものを例示したが、中間パネル10Cは、下側補強体21を備えるとともに、パネルの一方の領域6側の面における上下間の中央側に中央側補強体を備えた構成としてもよい。
【0075】
また、上パネル10Aは、パネルの一方の領域6側の面において上述した上側補強体20及び下側補強体21の他に、パネルの一方の領域6側の面における上下間の中央側に中央側補強体を備えた構成としてもよい。
【0076】
また、上側補強体20及び下側補強体21は、開口2の横幅方向に対応するパネルの左右方向に沿って、間欠的に設けられた構成であってもよい。
【0077】
補強体倒れ防止手段は、上側補強体20や下側補強体21との連結部が、ねじ等の固定手段により連結される構成であってもよい。
【0078】
また、補強体倒れ防止手段は、溶接や接着等の固定手段によって、パネルの一方の領域6側の面(例えば、框補強部材13の補強板部13a)と補強体とに連結された構成であってもよい。
【0079】
実施形態2
図13乃至図15に示すように、レール40の一方領域側側板部44を補強する補強手段9を備えた構成とした。
尚、図13乃至図15において、図10乃至図12と同じ部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0080】
補強手段9は、ほぼ断面L形状の長尺板により形成される。
即ち、補強手段9は、取付部41の一方側固定板部41aにおけるレール40の底板部と面接触する板面とは反対側の板面と面接触して当該一方側固定板部41aに取付けられる取付板部91と、取付板部91の他端91tより一方側固定板部41aの延長端縁41tを乗り越えてパネル構成体10に近付く方向に延長して対向平板部44bの一方領域側転動面44aを形成する板面とは反対側の板面と面接触する面接触板部92と、当該面接触板部92の延長端92tより先端側傾斜面部44fと平行に延長して当該先端側傾斜面部44fの凹部内面を形成する板面とは反対側の板面と面接触する先端側面接触板部93とを備える。
取付板部91には、図15に示すように、ボルト46を貫通させるボルト貫通孔94が形成されている。
また、面接触板部92は、補強手段9の長手方向に沿って間欠的に設けられている。例えば、補強手段9は、図14図15に示すように、補強手段9の長手方向に沿って、面接触板部92と切欠き部95とが交互に設けられた構成となっている。
【0081】
以下、各パネルに設けられた被ガイド部としてのローラ30をガイド部4によって移動方向Sにガイドするガイド機構の構築方法の一例について説明する。
実施形態1と同様に、取付部41の他方側固定板部41bを構造物側取付部に固定する。また、取付部41の一方側固定板部41aに、レール40を固定するとともに、補強手段9を固定する。即ち、レール40の底板部43に設けられたボルト46を、一方側固定板部41aに形成されたボルト貫通孔46a及び取付板部91に形成されたボルト貫通孔94に通した後、当該ボルト46にナット47を締結することによって、取付部41の一方側固定板部41aにレール40及び補強手段9が固定される。この場合、面接触板部92と対向平板部44bとを面接触させるとともに、先端側面接触板部93と先端側傾斜面部44fとを面接触させた状態で、ボルト46にナット47を締結して、取付部41の一方側固定板部41aにレール40及び補強手段9を固定する。
そして、レール40の凹部42内にローラ30を挿入した後、取付部41の一方側固定板部41aに被ガイド部抜け防止手段8を取付ける。
【0082】
実施形態2によれば、レール40の一方領域側側板部44を補強する補強手段9を備えたことにより、開閉体3に風圧が加わった場合等において、ローラ30がレール40の凹部42の外側に外れようとしても、抜け防止板部82の先端82tと先端側傾斜面部44fの先端44tとの間の間隔dが開きにくくなるため、ローラ30がレール40の凹部42から外側に抜けること防止できるローラ抜け止め防止効果が向上する。
【0083】
取付部41、レール40、被ガイド部抜け防止手段8、補強手段9は、例えば、金属製の平板を、ロール成形、プレス成形等により成形して作成される。
【0084】
尚、被ガイド部抜け防止手段8、補強手段9は、ガイド部4のうち、少なくとも垂直ガイド部4Aに設けられていればよい。
【0085】
被ガイド部は、球体等の転動体で構成されていてもよい。
【0086】
また、被ガイド部は、転動体ではなく、摺動体で構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 開閉装置、2 開口、3 開閉体、4 ガイド部、6 一方の領域、
8 被ガイド部抜け防止手段、9 補強手段、10A 上パネル(パネル)、
10B 下パネル(パネル)、10C 中間パネル(パネル)、
30 ローラ(被ガイド部、転動体)、31,32 ヒンジ、40 レール、
41 取付部。
図1
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