特許 7203572 密封装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2023-01-04

(45)【発行日】2023-01-13

(54)【発明の名称】密封装置

(51)【国際特許分類】

   F16J 15/3244 20160101AFI20230105BHJP

   F16J 15/3204 20160101ALI20230105BHJP

   F16J 15/3256 20160101ALI20230105BHJP

【ＦＩ】

F16J15/3244

F16J15/3204 201

F16J15/3256

【請求項の数】 5

(21)【出願番号】P 2018207358

(22)【出願日】2018-11-02

(65)【公開番号】P2020070912

(43)【公開日】2020-05-07

【審査請求日】2021-09-30

(73)【特許権者】

【識別番号】000004385

【氏名又は名称】ＮＯＫ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100109380

【弁理士】

【氏名又は名称】小西 恵

(74)【代理人】

【識別番号】100109036

【弁理士】

【氏名又は名称】永岡 重幸

(74)【代理人】

【識別番号】100125335

【弁理士】

【氏名又は名称】矢代 仁

(72)【発明者】

【氏名】大山 貴之

【審査官】羽鳥 公一

(56)【参考文献】

【文献】特開２０００－３１０３３９（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１８－０９１３７２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平０７－２０８６１０（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｆ１６Ｊ １５／３２４４

Ｆ１６Ｊ １５／３２０４

Ｆ１６Ｊ １５／３２５６

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

ハウジング内に配置された回転軸の外周面に取り付けられる円筒状のスリーブと、前記スリーブから径方向外側に広がる円環状のフランジを有するスリンガーと、
前記ハウジングに取り付けられて、前記スリンガーに接触する固定シール部材とを有し、
前記固定シール部材は、
前記スリンガーの前記フランジの大気側の面に摺動可能に接触し、前記ハウジング内の潤滑油を封止する、弾性材料から形成された円環状のメインリップを有し、
前記スリンガーの前記フランジの前記大気側の面には、径方向内側ほど大気側に位置する傾斜部が形成されており、前記傾斜部は、渦巻状のスロープ面を有し、前記渦巻状のスロープ面の隣り合う周回の間には、周方向に延びる溝または周方向に延びる突起が形成されていない
ことを特徴とする密封装置。

【請求項2】

ハウジング内に配置された回転軸の外周面に取り付けられる円筒状のスリーブと、前記スリーブから径方向外側に広がる円環状のフランジを有するスリンガーと、
前記ハウジングに取り付けられて、前記スリンガーに接触する固定シール部材とを有し、
前記固定シール部材は、
前記スリンガーの前記フランジの大気側の面に摺動可能に接触し、前記ハウジング内の潤滑油を封止する、弾性材料から形成された円環状のメインリップを有し、
前記スリンガーの前記フランジの前記大気側の面には、径方向内側ほど大気側に位置する傾斜部が形成されており、前記傾斜部は、渦巻状のスロープ面を有し、
前記スリンガーの中心軸線を含む断面において、前記渦巻状のスロープ面の複数の周回は、径方向内側ほど大気側に位置するように、階段状に形成されている
ことを特徴とする密封装置。

【請求項3】

前記渦巻状のスロープ面を有する前記傾斜部は、前記フランジの前記大気側の面の前記メインリップの先端が接触する位置よりも、径方向内側に配置されている
ことを特徴とする請求項１または２に記載の密封装置。

【請求項4】

ハウジング内に配置された回転軸の外周面に取り付けられる円筒状のスリーブと、前記スリーブから径方向外側に広がる円環状のフランジを有するスリンガーと、
前記ハウジングに取り付けられて、前記スリンガーに接触する固定シール部材とを有し、
前記固定シール部材は、
前記スリンガーの前記フランジの大気側の面に摺動可能に接触し、前記ハウジング内の潤滑油を封止する、弾性材料から形成された円環状のメインリップを有し、
前記スリンガーの前記フランジの前記大気側の面には、径方向内側ほど大気側に位置する傾斜部が形成されており、前記傾斜部は、渦巻状のスロープ面を有し、
前記渦巻状のスロープ面を有する前記傾斜部は、前記フランジの前記大気側の面の前記メインリップの先端が接触する位置よりも、径方向内側に配置されている
ことを特徴とする密封装置。

【請求項5】

前記フランジの前記大気側の面の前記メインリップの先端が接触する位置には、少なくとも１つの渦巻状の溝が形成されており、
前記スロープ面の渦巻方向は、前記溝の渦巻方向と同じである
ことを特徴とする請求項３または４に記載の密封装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、密封装置に関する。

【背景技術】

【0002】

例えば、自動車のエンジンには、クランクシャフト（回転軸）の周囲に配置されて、クランクケース内の潤滑油を封止するオイルシール（密封装置）が設けられている。エンジン用の密封装置の１種は、クランクシャフトに取り付けられるスリンガーと呼ばれる回転シール部材と、クランクケースに取り付けられる固定シール部材を有する。スリンガーは、クランクシャフトの外周面に取り付けられる円筒状のスリーブと、スリーブから径方向外側に広がる円環状のフランジを有する。固定シール部材は、スリンガーに摺動可能に接触するメインリップとダストリップを有する。メインリップはフランジに接触し、ダストリップはスリーブの外周面に接触する（特許文献１）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開２０１８－９１３７２号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

この種の密封装置においては、例えば回転軸が高速回転する場合に、メインリップとスリンガーのフランジの間を潤滑油が通過することがある。通過した潤滑油は、メインリップの外側に送り戻すことが望ましい。

【0005】

そこで、本発明は、メインリップを通過した潤滑油をメインリップの外側に効率的に送り戻すことが可能な密封装置を提供する。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明のある態様に係る密封装置は、円筒状のスリーブと、前記スリーブから径方向外側に広がる円環状のフランジを有するスリンガーと、前記ハウジングに取り付けられて、前記スリンガーに接触する固定シール部材とを有する。前記固定シール部材は、前記スリンガーの前記フランジの大気側の面に摺動可能に接触し、前記ハウジング内の潤滑油を封止する、弾性材料から形成された円環状のメインリップを有する。前記スリンガーの前記フランジの前記面には、径方向内側ほど大気側に位置する傾斜部が形成されており、前記傾斜部は、渦巻状のスロープ面を有する。

【0007】

この態様においては、メインリップを通過して浮遊する潤滑油の滴がスリンガーのフランジの傾斜部に接触すると、傾斜部の渦巻状のスロープ面に付着する。スリンガーは回転軸とともに回転しており、渦巻状のスロープ面に付着した油滴は、スリンガーの回転に伴って、渦巻に沿って径方向外側に移動する。したがって、油滴をスリンガーの回転に従って、径方向外側ひいてはメインリップの外側に効率的に送り戻すことが可能である。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】使用時の本発明の第１実施形態に係る密封装置を示す部分断面図である。

【図2】使用時の図１の密封装置の拡大部分断面図である。

【図3】図１の密封装置のスリンガーの正面図である。

【図4】図３のスリンガーの斜視図である。

【図5】図３のスリンガーの一部破断拡大斜視図である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を説明する。

【0010】

本発明の実施形態に係る密封装置は、クランクシャフトの周囲に配置されて、クランクケース内の潤滑油を封止するオイルシールである。

【0011】

図１に示すように、密封装置１は、クランクケース（ハウジング）２と、クランクケース２内に配置されたクランクシャフト（回転軸）４の間の間隙を封止し、クランクケース２内の潤滑油の漏出を防止する。密封装置１は、クランクシャフト４の回転軸線Ａｘを中心とする環状であるが、図１では密封装置１の上側部分のみを示す。

【0012】

密封装置１は、スリンガー６と固定シール部材８を有する。スリンガー６は、クランクシャフト４に取り付けられる回転シール部材である。固定シール部材８は、クランクケース２に取り付けられる静止部材である。

【0013】

スリンガー６は、剛性材料、例えば金属から形成されている。スリンガー６は、円筒状のスリーブ１０と、円環状のフランジ１２を有する。スリーブ１０は、クランクシャフト４の外周面に、例えば締まり嵌めによって取り付けられる。フランジ１２は、スリーブ１０の潤滑油側の端部から径方向外側に広がる。スリンガー６は、クランクシャフト４に取り付けられているので、クランクシャフト４とともに回転軸線Ａｘを中心にして回転する。

【0014】

固定シール部材８は、弾性材料、例えばエラストマーで形成された弾性環１４と、弾性環１４を補強する剛性材料、例えば金属製の単一の剛性環１６とを有する二重構造である。剛性環１６は、その一部が弾性環１４に埋設されており、弾性環１４に密着している。

【0015】

剛性環１６は、外側に配置された円環部１６ａと、円環部の大気側の端部から径方向内側に広がり湾曲した円板部１６ｂを有する。円環部１６ａと円板部１６ｂは一体に形成されている。

【0016】

弾性環１４は、円環部１４ａ、円板部１４ｂ、ブロック部１４ｃ、メインリップ１８、ダストリップ２０、および中間リップ２２を有する。円環部１４ａ、円板部１４ｂ、ブロック部１４ｃ、メインリップ１８、ダストリップ２０、および中間リップ２２は一体に形成されている。円環部１４ａは、剛性環１６の円環部１６ａの外周面に固着され、円板部１４ｂは、剛性環１６の円板部１６ｂの大気側の面に固着されている。ブロック部１４ｃは、円板部１４ｂの径方向内側に配置され、円板部１６ｂの内端を覆うように内端に固着されている環状の部分である。

【0017】

弾性環１４の円環部１４ａおよび剛性環１６の円環部１６ａは、クランクケース２に取り付けられる取付け部を構成する。具体的には、円環部１４ａ，１６ａは、クランクケース２の軸孔に、例えば締まり嵌めによって取り付けられる。但し、円環部１４ａだけがクランクケース２の軸孔に締まり嵌めされてもよいし、円環部１６ａだけがクランクケース２の軸孔に締まり嵌めされてもよい。

【0018】

メインリップ１８は、ブロック部１４ｃから径方向外側かつ潤滑油側に向けて斜めに延びる円環であり、スリンガー６のフランジ１２の大気側の面１２ａに摺動可能に接触し、クランクケース２内の潤滑油を封止する。

【0019】

ダストリップ２０は、ブロック部１４ｃから径方向内側かつ大気側に向けて斜めに延びる円環であり、スリンガー６のスリーブ１０の外周面に摺動可能に接触する。ダストリップ２０は、大気側から潤滑油側への異物（例えば、水およびダスト）の流入を阻止する。

【0020】

中間リップ２２は、ブロック部１４ｃから潤滑油側に延びる円環である。潤滑油側からメインリップ１８を潤滑油が通過して、メインリップ１８、ダストリップ２０、スリーブ１０およびフランジ１２で画定された空間２４の内部に浸入する場合がある。中間リップ２２は、空間２４内に存在する油滴を回収する。具体的には、スリンガー６の回転によって跳ね飛ばされた油滴は、メインリップ１８の内面１８ａに付着する。固定シール部材８、ひいてはメインリップ１８および中間リップ２２は静止しているので、クランクシャフト４の回転軸線Ａｘより上において、メインリップ１８の内面１８ａに付着した油滴は、中間リップ２２の外周面２２ａに受け止められる。中間リップ２２の外周面２２ａに受け止められた油滴は、回転軸線Ａｘより下において、メインリップ１８の内面１８ａに落下する。クランクシャフト４の回転軸線Ａｘより下において、メインリップ１８の内面１８ａに付着した油滴は、スリンガー６の回転によって跳ね飛ばされて、潤滑油側の空間に戻される。図示の中間リップ２２は、回転軸線Ａｘに平行に延びるが、回転軸線Ａｘに対して傾斜していてもよいし、湾曲していてもよい。図示の中間リップ２２は、スリンガー６に接触していないが、接触していてもよい。

【0021】

図２から図５に示すように、スリンガー６のフランジ１２の大気側の面１２ａには、２組の渦巻構造３０，３４が形成されている。１組の渦巻構造３０は、特開２０１８－９１３７２号公報および特開２０１４－０８４９３４公報に開示された複数の螺旋状（渦巻状）の溝３１を有する。他の１組の渦巻構造３４は、渦巻構造３０の径方向内側に配置されている。

【0022】

図面において縮尺は、必ずしも実施形態の製品を正確に表してはおらず、一部の寸法を誇張して表現している場合もある。特に、渦巻構造３０，３４の詳細は、理解の容易さのために、図面では必ずしも正確には示されていない。

【0023】

図２に示すように、フランジ１２の大気側の面１２ａの径方向外側に配置された渦巻構造３０の渦巻状の溝３１は、メインリップ１８の先端が接触する位置を含みフランジ１２の外端付近まで広がる領域に配置されている。溝３１の渦巻の中心は、回転軸線Ａｘにほぼ一致する。渦巻状の溝３１は、メインリップ１８を通過して空間２４に浸入した潤滑油の滴Ｄを、スリンガー６の回転に従って、空間２４から径方向外側ひいてはメインリップ１８の外側に送り戻す役割を果たす。図３に示すように、スリンガー６が時計方向に回転する場合、各溝３１は、径方向内側の端部３２から反時計方向に進むに連れて径方向外側に進む渦巻状の軌跡上に配置されている。図示しないが、スリンガー６が反時計方向に回転する場合、各溝３１は、径方向内側の端部から時計方向に進むに連れて径方向外側に進む渦巻状の軌跡上に配置されている。したがって、図２に示すように、一旦、油滴Ｄが渦巻状の溝３１に捕捉されると、スリンガー６の回転に従って、油滴Ｄは径方向外側に搬送される。また、スリンガー６の回転に伴う遠心力に起因する気流によっても、油滴Ｄは径方向外側に跳ね飛ばされる。

【0024】

図３には、２つの溝３１が示されているが、溝３１の数は１つでもよいし、３つ以上でもよい。溝３１の間隔および周回数は、図示の例に限定されない。また、外側の渦巻構造３０は必ずしも不可欠ではない。

【0025】

図２および図５に示すように、フランジ１２の大気側の面１２ａの径方向内側に配置された渦巻構造３４は、フランジ１２の大気側の面１２ａに形成された傾斜部３６に形成されている。傾斜部３６は、径方向内側ほど大気側に位置するように形成されている。

【0026】

渦巻構造３４ひいては傾斜部３６は、渦巻状のスロープ面３８と、スロープ面３８の渦巻の隣り合う周回（図２、図４および図５にて周回３８ａ，３８ｂを例示する）を連結する渦巻状の連結面４０とを有する。スロープ面３８と連結面４０の渦巻の中心は、回転軸線Ａｘにほぼ一致する。

【0027】

渦巻状のスロープ面３８は、ほぼ平坦であるが、径方向内側ほど大気側に位置するように、周方向においてわずかに傾斜しており、このため渦巻状のスロープ面３８の隣り合う周回の間には段差がある。渦巻状の連結面４０は、この段差であり、径方向において大きく傾斜し、周方向においてわずかに傾斜する。

【0028】

図３に示すように、スリンガー６が時計方向に回転する場合、スロープ面３８は、径方向内側の端部４２から径方向外側の端部４４まで反時計方向に進むに連れて径方向外側に進む渦巻状の軌跡上に配置されている。図示しないが、スリンガー６が反時計方向に回転する場合、スロープ面３８は、径方向内側の端部から径方向外側の端部まで時計方向に進むに連れて径方向外側に進む渦巻状の軌跡上に配置されている。つまり、スロープ面３８の渦巻方向は、渦巻状の溝３１の渦巻方向と同じである。図２に示すように、一旦、油滴Ｄが渦巻状のスロープ面３８に付着すると、スリンガー６の回転に従って、油滴Ｄは径方向外側に搬送される。

【0029】

図３には、１つの渦巻状のスロープ面３８が示されているが、スロープ面３８の数は２以上でもよい。スロープ面３８の幅および周回数は、図示の例に限定されない。

【0030】

図２に示すように、メインリップ１８を通過して空間２４内を浮遊する潤滑油の滴Ｄがスリンガー６のフランジ１２の傾斜部３６に接触すると、傾斜部３６の渦巻状のスロープ面３８に付着する。スリンガー６はクランクシャフト４とともに回転しており、渦巻状のスロープ面３８に付着した油滴Ｄは、スリンガー６の回転に伴って、渦巻に沿って径方向外側に移動する。したがって、油滴Ｄをスリンガー６の回転に従って、径方向外側ひいてはメインリップ１８の外側に効率的に送り戻すことが可能である。

【0031】

この実施形態では、渦巻状のスロープ面３８の径方向外側に渦巻状の溝３１が設けられているので、スロープ面３８で径方向外側に搬送された油滴Ｄの多くが、渦巻状の溝３１に受け渡され、渦巻状の溝３１によってさらに効率的に外側に搬送される。

【0032】

スロープ面３８に付着しない油滴Ｄも存在するが、スリンガー６の回転に伴う遠心力に起因する気流によって、油滴Ｄは径方向外側に跳ね飛ばされ、油滴Ｄの多くは、メインリップ１８の外側に送り戻される。

【0033】

変形例
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記の説明は本発明を限定するものではなく、本発明の技術的範囲において、構成要素の削除、追加、置換を含む様々な変形例が考えられる。

【0034】

例えば、メインリップ１８の内面１８ａに、特許第６１９６４０８号に開示された複数のネジ突起を形成してもよい。このようなネジ突起は、空間２４に浸入した潤滑油の滴をスリンガー６の回転に従って、空間２４から径方向外側ひいてはメインリップ１８の外側に送り戻す役割を果たす。

【0035】

ダストリップ２０の内周面に、特開２０１４－０８４９３４公報に開示された、ダストリップ２０の過剰な変形を抑制するための複数の突起を形成してもよい。このような突起は、空間２４の内部が負圧になると、スリンガー６のスリーブ１０の外周面に一時的に接触して、ダストリップ２０の先端とスリーブ１０の外周面の間に間隙を一時的に発生させる。

【0036】

上記実施形態に係る密封装置は、クランクシャフトの周囲に配置されて、クランクケース内の潤滑油を封止するオイルシールである。しかし、本発明は、実施形態に限定されず、例えば、変速機の軸の周囲に配置されて変速機のハウジング内の潤滑油を封止するオイルシール、差動歯車機構の軸の周囲に配置されて差動歯車機構のハウジング内の潤滑油を封止するオイルシール、モーターの軸の周囲に配置されてモーターのハウジング内の潤滑油を封止するオイルシールにも利用することができる。

【0037】

本発明の態様は、下記の番号付けされた条項にも記載される。

【0038】

条項１． ハウジング内に配置された回転軸の外周面に取り付けられる円筒状のスリーブと、前記スリーブから径方向外側に広がる円環状のフランジを有するスリンガーと、
前記ハウジングに取り付けられて、前記スリンガーに接触する固定シール部材とを有し、
前記固定シール部材は、
前記スリンガーの前記フランジの大気側の面に摺動可能に接触し、前記ハウジング内の潤滑油を封止する、弾性材料から形成された円環状のメインリップを有し、
前記スリンガーの前記フランジの前記面には、径方向内側ほど大気側に位置する傾斜部が形成されており、前記傾斜部は、渦巻状のスロープ面を有する
ことを特徴とする密封装置。

【0039】

条項２．前記傾斜部は、前記フランジの前記面の前記メインリップが接触する位置よりも、径方向内側に配置されており、
前記フランジの前記面の前記メインリップが接触する位置には、少なくとも１つの渦巻状の溝が形成されている
ことを特徴とする条項１に記載の密封装置。

【0040】

この場合には、渦巻状のスロープ面の径方向外側に渦巻状の溝が設けられているので、スロープ面で径方向外側に搬送された油滴の多くが、渦巻状の溝に受け渡され、渦巻状の溝によってさらに効率的に外側に搬送される。

【0041】

条項３．前記スロープ面の渦巻方向は、前記溝の渦巻方向と同じである。

【符号の説明】

【0042】

１ 密封装置
２ クランクケース（ハウジング）
４ クランクシャフト（回転軸）
６ スリンガー
８ 固定シール部材
１０ スリーブ
１２ フランジ
１２ａ 大気側の面
３０ 渦巻構造
３１ 渦巻状の溝
３４ 渦巻構造
３６ 傾斜部
３８ 渦巻状のスロープ面
４０ 渦巻状の連結面

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】