(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】パレット及びそれを有する駐車装置
(51)【国際特許分類】
E04H 6/42 20060101AFI20230105BHJP
E04H 6/06 20060101ALI20230105BHJP
【FI】
E04H6/42 H
E04H6/06 V
(21)【出願番号】P 2019060996
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2021-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500521267
【氏名又は名称】株式会社ニッパツパーキングシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】大津 智実
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-081460(JP,U)
【文献】実開平06-032619(JP,U)
【文献】実公平03-034457(JP,Y2)
【文献】特開昭63-206576(JP,A)
【文献】特開昭50-055142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/06,6/18,6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向を示す第1方向に延在する第1上面部、前記第1上面部から屈曲して設けられ前記第1方向に延在する第1凹部を有する第1側部、および前記第1側部の反対側に前記第1上面部から屈曲して設けられ、前記第1方向に延在する第2側部を有し、前記第1方向に交差する第2方向に並べて配置された、複数の第1パレット部と、
前記第2方向に延在する第2上面部、および前記第2上面部から屈曲して設けられ、前記第2方向に延在する第2凹部を有する第3側部を有し、前記複数の第1パレット部を支持する第2パレット部と、
前記第1パレット部と、前記第2パレット部とを接続する第2接続部材と、
前記第2方向に延在し、前記第1パレット部の前記第2方向の長さよりも短い第3上面部、および前記第3上面部から屈曲して設けられ、前記第2方向に延在する第4側部を有する第3パレット部を有し、
前記第1パレット部と、前記第2パレット部および前記第3パレット部とは前記第2接続部材により接続され、
前記複数の第1パレット部のうちの一の第1パレット部の第2側部は前記一の第1パレット部に隣接する他の第1パレット部のうち第1側部の前記第1凹部の一部を覆うように、前記第2側部と前記第1側部の一側面との間に所定の幅を有する空間を含む、
パレット。
【請求項2】
前記第2パレット部は、前記第2方向に沿って見た時に前記第1パレット部の端部に配置される、
請求項1に記載のパレット。
【請求項3】
前記第1側部は、前記第1上面部から離れる方向に前記第1凹部を有するように屈曲し、
前記第2側部は、前記第1上面部から下側に屈曲し、
前記一の第1パレット部の前記第2側部は、前記他の第1パレット部の前記第1側部の前記第1凹部の一部を覆うように配置される、
請求項
1に記載のパレット。
【請求項4】
前記第1パレット部の前記第1上面部に対して垂直方向から見たときに、前記第1パレット部の端部は、前記第2パレット部の前記第2凹部と重畳する、
請求項
3に記載のパレット。
【請求項5】
前記第2パレット部の前記第2凹部は、前記第2上面部と連結する第1側面、前記第1側面に連結する底面、および前記底面に連結する第2側面を有し、
前記第2側面は、前記第1パレット部の
前記第1上面部まで延び、
前記第2方向に沿って見た時に前記第1パレット部の前記端部は、少なくとも一部において前記第2パレット部の前記第2側面との間に所定の幅を有する空間を含む、
請求項
4に記載のパレット。
【請求項6】
前記一の第1パレット部と前記他の第1パレット部の重畳する部分において段差を有する、
請求項
1乃至
5のいずれか一項に記載のパレット。
【請求項7】
前記第1パレット部の前記第1上面部が曲面を有する、
請求項1乃至
6のいずれか一項に記載のパレット。
【請求項8】
前記第1パレット部には溶接された部分を有しない、
請求項1乃至
7のいずれか一項に記載のパレット。
【請求項9】
前記第2パレット部には溶接された部分を有しない、
請求項1乃至
8のいずれか一項に記載のパレット。
【請求項10】
前記第2接続部材は、ボルトおよびナットを含む、
請求項1乃至
9のいずれか一項に記載のパレット。
【請求項11】
請求項1乃至
10のいずれか一項に記載のパレットと、
前記パレットを昇降する昇降機と、
前記昇降機の昇降動作を制御する制御装置と、
を備える、
駐車装置。
【請求項12】
前記第1パレット部が前記第2方向において地面に対して傾きを有する、
請求項
11に記載の駐車装置。
【請求項13】
車両通過用パレットとして、請求項1乃至
10いずれか一項に記載のパレットを備える、駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット及びそれを有する駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車装置としては、パレット上に車両を載置して立体的に積み重ねて駐車させる、二段方式あるいは多段方式などの車両格納方式が知られており、車両を立体的に駐車可能な装置が横方向に複数個並んで配置された駐車装置がある。駐車装置においては、パレットを昇降させ、パレット上に車両を載置して立体的に積み重ねて駐車させ、パレットを入出庫口まで移動させて車両の出し入れを行う駐車装置が知られている。
【0003】
また、上記駐車装置を前後方向に設置し、後列の装置に車両を出し入れする際には、前列装置の入出庫口に、後列装置まで車両を通過させるための車両通過用パレットが現れる、縦列式駐車装置が知られている。
【0004】
以下、車両載置用パレットおよび車両通過用パレットを総じて、パレットという。
【0005】
このような駐車装置では、車両の重量に耐えられるための剛性を有する必要がある。そのため、パレットには補強部材が設けられている。特許文献1には、溶接することにより補強部材を設けたパレットについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、従来のパレットでは、パレットの下側に支持するための補強部材が設けられるため、補強部材の厚み分だけ載置される車両の高さに制限が生じ、高さ方向に複数台の車両を載置する場合には空間を高く設ける必要がある。
【0008】
また、パレットでは、耐腐食性を向上させるために、パレットに用いられる鋼材に溶融亜鉛メッキが施される。しかしながら、従来のパレットの場合、パレットに補強部材を溶接した後に溶融亜鉛メッキを施すことが多い。この場合、
図19,
図20に示すように、製品形状の制約によってメッキ液の付き回りが低下することによるメッキの施工不良や、熱歪みによる外観不良が発生する場合がある。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決しようとするものであり、剛性を有するとともに製造が容易であり、高さ方向の車両の載置領域を広げるパレットを提供することを目的の一つとする。さらに、上述したパレットを備える駐車装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、長手方向を示す第1方向に延在する第1上面部、前記第1上面部から屈曲して設けられ前記第1方向に延在する第1凹部を有する第1側部、および前記第1側部の反対側に前記第1上面部から屈曲して設けられ、前記第1方向に延在する第2側部を有し、前記第1方向に交差する第2方向に並べて配置された、複数の第1パレット部と、前記第2方向に延在する第2上面部、および前記第2上面部から屈曲して設けられ、前記第2方向に延在する第2凹部を有する第3側部を有し、前記第1パレット部と、前記第2パレット部とを接続する第2接続部材と、を有するパレットが提供される。
【0011】
上記パレットにおいて、前記第2パレット部は、前記第2方向に沿って見た時に前記第1パレット部の端部に配置されてもよい。
【0012】
上記パレットにおいて、前記複数の第1パレット部のうちの一の第1パレット部の第2側部と前記一の第1パレット部に隣接する他の第1パレット部の第1側部とを接続する第1接続部材を有してもよい。
【0013】
上記パレットにおいて、前記第1側部は、前記第1上面部から離れる方向に前記第1凹部を有するように屈曲し、前記第2側部は、前記第1上面部から下側に屈曲し、前記一の第1パレット部の前記第2側部は、前記他の第1パレット部の前記第1側部の前記第1凹部の一部を覆うように配置されてもよい。
【0014】
上記パレットにおいて、前記第1パレット部の前記第1上面部に対して垂直方向から見たときに、前記第1パレット部の端部は、前記第2パレット部の前記第2凹部と重畳してもよい。
【0015】
上記パレットにおいて、前記第2パレット部の前記第2凹部は、前記第2上面部と連結する第1側面、前記第1側面に連結する底面、および前記底面に連結する第2側面を有し、前記第2側面は、前記第1パレット部の上面部まで延び、前記第2方向に沿って見た時に前記第1パレット部の前記端部は、少なくとも一部において前記第2パレット部の前記第2側面との間に所定の幅を有する空間を含んでもよい。
【0016】
上記パレットにおいて、前記一の第1パレット部と前記他の第1パレット部の重畳する部分において段差を有してもよい。
【0017】
上記パレットにおいて、前記第1パレット部の前記第1上面部が曲面を有してもよい。
【0018】
上記パレットにおいて、前記第1パレット部には溶接された部分を有しなくてもよい。
【0019】
上記パレットにおいて、前記第2パレット部には溶接された部分を有しなくてもよい。
【0020】
上記パレットにおいて、前記第2方向に延在し、前記第1パレット部の前記第2方向の長さよりも短い第3上面部、および前記第3上面部から屈曲して設けられ、前記第2方向に延在する第4側部を有する第3パレット部をさらに有し、前記第1パレット部と、前記第2パレット部および前記第3パレット部とは前記第2接続部材により接続されてもよい。
【0021】
上記パレットにおいて、前記複数の第1パレット部のうちの一の第1パレット部の第2側部は前記一の第1パレット部に隣接する他の第1パレット部のうち第1側部の前記第1凹部の一部を覆うように、前記第2側部と前記第1側部の一側面との間に所定の幅を有する空間を含んでもよい。
【0022】
上記パレットにおいて、前記第2接続部材は、ボルトおよびナットを含んでもよい。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、上記パレットと、前記パレットを昇降する昇降機と、前記昇降機の昇降動作を制御する制御装置と、を備える、駐車装置が提供される。
【0024】
上記駐車装置において、前記第1パレット部が前記第2方向において地面に対して傾きを有してもよい。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、車両通過用パレットとして、上記パレットを備える駐車装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る駐車装置の概略側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る駐車装置のパレットの構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る駐車装置のパレットの構成を示す上面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る駐車装置のパレットの構成を示す側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る駐車装置のパレットの一部を拡大した側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る駐車装置のパレットの構成を入出庫口側から見た側面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る駐車装置のパレットの一部を入出庫口側から見たときの拡大した側面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る駐車装置のパレットの構成を車両の側面方向から見た時の側面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る駐車装置のパレットの一部を拡大した側面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る駐車装置のパレットの一部を拡大した側面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る駐車装置のパレットの一部を拡大した側面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る駐車装置のパレットの一部を拡大した側面図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る駐車装置のパレットの構成を入出庫口側から見た側面図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る駐車装置のパレットの構成を示す上面図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る駐車装置のパレットの一部を拡大した側面図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係る駐車装置のパレットの一部を入出庫口側から見たときの拡大した側面図である。
【
図17】本発明の一実施形態に係る駐車装置のパレットの一部を入出庫口側から見たときの拡大した側面図である。
【
図18】本発明の一実施形態に係る駐車装置のパレットの一部を入出庫口側から見たときの拡大した側面図である。
【
図19】従来のパレット用第1パレット部の溶融亜鉛メッキ後の写真である。
【
図20】従来のパレット用第1パレット部の溶融亜鉛メッキ後の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本出願で開示される発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0028】
なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、B等を付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
【0029】
さらに、本発明の詳細な説明において、ある構成物と他の構成物の位置関係を規定する際、「上に」「下に」とは、ある構成物の直上あるいは直下に位置する場合のみでなく、特に断りの無い限りは、間にさらに他の構成物を介在する場合を含むものとする。
【0030】
<第1実施形態>
(1-1.駐車装置の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る駐車装置の概略側面図である。
図1は、本発明の一実施形態に係る駐車装置100の主な構成を示す。
【0031】
駐車装置100は、地面101から垂直方向に設けられた支柱102により主構造体が構成され、主構造体の中に車両Vを載置するパレット130が設置されている。
【0032】
パレット130は、昇降機106により支柱102に沿って昇降可能に設けられている。また、パレット130は、配置された車両の車幅方向(
図1における紙面奥行方向、長手方向、または第1方向D1ともいう)に沿って移動可能であってもよい。なお、第2方向D2は、駐車装置の奥行方向(紙面の横方向)を示す。第3方向D3は、パレット130の上面に対して垂直な方向を示す。
【0033】
主構造体の中でパレット130は、複数の車両Vを縦方向に積み重ねたとき、車両同士が干渉しない間隔をもって設けられている。これにより、支柱102により形成される主構造体は、縦方向に複数段に積み重なった駐車空間を形成している。
【0034】
駐車装置100は、制御装置110を介して操作盤112により操作される。操作盤112は、駐車装置100の外側に設けられている。
図1においては、駐車装置100の入出庫口109(図右側下部)の近くの支柱102に操作盤112が取り付けられている例を示している。なお、操作盤はこれに限定されず、駐車装置の手前に配置してもよいし、離れて配置されて遠隔操作してもよい。
【0035】
利用者は、駐車装置100の外側から操作盤112を操作して制御装置110に指示することにより、制御装置110が所望のパレット130を入出庫口109まで移動させることができる。
【0036】
駐車装置100の入出庫口109に設けられるゲート108は、操作盤112の操作を通じて制御装置110により開閉を行うことができる。
【0037】
ゲート108は、車両Vを入出庫するために開けた場合以外は閉じられた状態となっている。したがって、パレット130が移動するとき、ゲート108は閉じられた状態になっている。ゲート108が閉じられていることにより、通常は駐車装置100の装置内に人が入れないようになっている。
【0038】
縦方向に複数段に積み重なった駐車空間を形成し立体的に車両Vを収納して駐車させる駐車装置100では、パレット130が昇降することで、所望のパレット130を入出庫口109へ移動させて車両の出し入れを行う。
【0039】
所望のパレット130を入出庫口109まで移動させる動作にはいくつかの方式がある。例えば上段のパレット130に駐車された車両を出庫させるために下段のパレット130を地下ピットに沈み込ませる方式、下段又は上段のパレット130を車体横方向(第1方向D1)にスライドさせて上段のパレット130を下段のパレット130が存在しない空間に降下させる方式、あるいはこれらを組み合わせた方式などが採用されている。
【0040】
図1では、1階から上階に向かって駐車空間PS1、PS2、PS3、PS4が設けられている態様を示している。また、駐車空間PS1の横方向(
図1の紙面奥行方向、D1方向)には駐車空間PS5(図示せず)が、さらに、その横方向(
図1の紙面奥行方向、D1方向)には駐車空間PS9(図示せず)が、設けられている。
【0041】
駐車空間PS1~PS9には、パレットの番号P1~P9のパレット130がそれぞれ備えられている。このとき、上段にある駐車空間PS4にあるパレット130を降下させ車両Vを入出庫するには、下段の駐車空間PS1、PS2、PS3のパレット130が障害となる。この場合、駐車空間PS9のパレット130を上昇させ、駐車空間PS1~PS3と駐車空間PS5~PS7とのパレット130を横方向にスライドさせると、障害物がなくなるため、駐車空間PS4のパレット130を入出庫口109まで降下させることが可能となる。
【0042】
(1-2.パレットの構成)
次に、駐車装置100に用いられるパレット130の構成について、図面を用いて詳細に説明する。
図2は、駐車装置100のパレット130の構成を示す斜視図である。
図3は、
図2に示したパレット130の上面図である。
【0043】
図2および
図3に示すように、パレット130は、複数の第1パレット部131および第2パレット部133を有する。第1パレット部131は、第1方向D1に延在し、駐車装置の奥行方向を示す第2方向D2に並んで配置されている。第1方向D1と第2方向D2とは、交差している(この例では直交している)。第2パレット部133は、第1パレット部131の入出庫口側から見て左右両側の端部131dに配置されている。第2パレット部133は、第1パレット部131に接続されるとともに第1パレット部131を支持し、パレット130の剛性を補強している。第2パレット部133は、第2方向D2に延在して配置される。第1パレット部131と第2パレット部133との接続については後述する。
【0044】
図4は、パレット130を車両Vの側面が載置される側から見たパレット130の側面図である。
図4に示すように、この例ではパレット130の第1パレット部131の上面部131a(第1上面部ともいう)は、地面に対して平行に配置されている。
【0045】
図5は、パレット130の一部の領域130aを拡大した側面図である。
図5に示すように、領域130aにおいて、第1パレット部131-1(一の第1パレット部ともいう)および第1パレット部131-2(他の第1パレット部ともいう)の二つの第1パレット部131が隣接して配置されている。なお、第1パレット部131-1および第1パレット部131-2を分けて説明する必要がない場合には、第1パレット部131として説明する。
【0046】
第1パレット部131は、上面部131a、側部131b(第1側部ともいう)、および側部131c(第2側部ともいう)を有する。上面部131a、側部131b、および側部131cは、一枚の剛性を有する金属板を折り曲げることで形成される。第1パレット部131となる金属板は剛性を有することができれば特に種類は限定されず、この例では鋼板が用いられる。第1パレット部131は、上面部131a、側部131b、および側部131cを形成する前に溶融亜鉛メッキ処理により腐食防止加工がなされる。なお、第1パレット部131には溶接された部分を有しておらず、成型加工後の溶融亜鉛メッキ施工が不要であるため、メッキの施工不良や外観不良の発生をなくすことができる。また、第1パレット部131の厚さは、特に制限されないが、加工のしやすさの観点から約3mm程度であることが望ましい。
【0047】
第1パレット部131の上面部131aは、この例では平面を有している。側部131b(第1側部ともいう)および側部131c(第2側部ともいう)は、
図3に示すように第1方向D1に沿って設けられている。側部131bは、側面131b1、底面131b2、および側面131b3を含む。側面131b1は、上面部131aから連なって設けられる。底面131b2は、側面131b1から連なって設けられる。側面131b3は、底面131b2から連なって設けられる。側面131b1と底面131b2、底面131b2と側面131b3とは垂直に屈曲して設けられ、底面131b2は平坦に設けられている。側面131b1、底面131b2、および側面131b3をまとめて凹部131eという(第1凹部ともいう)。凹部131eは、上面部131aから外側(上面部131aから離れる方向)に設けられる。側部131cは、側部131bの反対側に設けられ、上面部131aから下側(第3方向D3)に屈曲している。第1パレット部131は、側部131bおよび側部131cを有することにより、第1パレット部の剛性を高める機能を有する。また、側部131bの凹部131eは、剛性を高めるとともに雨水の水路となる雨樋としての機能も有する。
【0048】
ここで、第1パレット部131-1と第1パレット部131-2との接続について説明する。第1パレット部131-1の側部131-1cは、第1パレット部131-2の側部131-2bの一部を覆いつつ、凹部131-2eに接触して配置されている。第1パレット部131-1の側部131-1cの端部は、第1パレット部131-2の側部131-2bの凹部131-2eの底面131-2b2に接している。第1パレット部131-1の側部131-1cと、第1パレット部131-2の側部131-2bとは、溶接された部分を有せずに接続部材140を用いて接続される。接続部材140は、ボルト141およびナット143を含む。
【0049】
図6は、パレット130を駐車装置の入出庫口に相当する側から見たパレット130の断面である。
図7は、パレット130の一部の領域130bを拡大した側面図である。
【0050】
第2パレット部133は、上面部133a(第2上面部ともいう)および側部133b(第3側部ともいう)を有する。側部133bは、上面部133aから屈曲して設けられる。側部133bは、側面133b1、底面133b2、側面133b3、上面133b4、および側面133b5を含む。側面133b1は、上面部133aから屈曲して連なって設けられる。底面133b2は、側面133b1から屈曲して連なって設けられる。側面133b3は、底面133b2から屈曲して連なって設けられる。上面133b4は、側面133b3から屈曲して連なって設けられる。側面133b5は上面133b4から屈曲して連なって設けられる。第2パレット部133には、第1パレット部131と同様に、上面部133aおよび側部133bを形成する前に溶融亜鉛メッキ処理がなされる。側部133bのうち側面133b3は、昇降機106の接続部135と接続部材160により接続される。接続部材160は、ボルト161およびナット163を含む。側部133bは、第2方向D2に延在する。側部133bのうち、側面133b1、底面133b2、側面133b3をまとめて凹部133cという(第2凹部ともいう)。この例では、側面133b1と底面133b2、底面133b2と側面133b3とは、垂直に設けられ、底面133b2は平坦に設けられている。凹部133cは雨樋として利用することができる。凹部133cは第1パレット部131の上面部131aに対して垂直方向(第3方向D3)から見たときに第1パレット部131の端部131dにおいて、第1パレット部131に重畳して配置されている。
【0051】
ここで、第1パレット部131と第2パレット部133との接続について説明する。第2パレット部133の一部である上面部133aは、第1パレット部131の下部131fに接触して配置されている。このとき、上面部133aと、第1パレット部131の下部131fとは、溶接された部分を有せずに接続部材150(第2接続部材ともいう)を用いて接続される。接続部材150は、ボルト151およびナット153を含む。なお、このとき、第1パレット部131の下部131fと第2パレット部133の上面部133aとは、直接接続してもよいし、緩衝材または金属プレートを介して接続してもよい。
【0052】
また、このとき、第1パレット部131は、端部131dにおいて第2パレット部133との間に所定の幅L1を有する空間Sを有してもよい。より具体的には、第1パレット部131の端部131dと、第2パレット部133の側面133b3との間に所定の幅L1が設けられる。所定の幅L1は、第1パレット部131の端部131dから第1パレット部131と第2パレット部の接続部分(この例では、接続部材150の中心)までの距離L2と、第2パレット部133の側面133b1から側面133b3までの距離L3により調整することができる。なお、この例では左側の端部を示すが、右側の端部も同様に空間Sを有してもよい。上述した構成を有することにより、第1パレット部131(具体的には上面部131aまたは凹部131e)から流れてきた雨水は、空間Sを介して凹部133cに流れることができ、雨水の流路を形成することができる。
【0053】
なお、この例では空間Sは、第2パレット部133の側部133bと第1パレット部131に重畳する領域において延長して配置されているが、断続的に設けられてもよく、少なくとも一部に設けられればよい。
【0054】
ここで、従来のパレットと、本実施形態のパレットとを比較する。従来のパレットでは、金属板を接続する際に溶接を用いていたために、溶融亜鉛メッキしたときに、製品形状の制約によってメッキ液の付き回りが低下することによるメッキの施工不良や、熱歪みによる外観不良などの問題を有していた。また、従来パレットでは、パレットの下側に補強部材を設けるために、駐車装置において載置する車両の高さに制限が生じていた。
【0055】
一方、本実施形態を用いる場合、第1パレット部131はそれぞれ側部を有するため、パレットの剛性を高めることができる。また、隣接する第1パレット部131間、および第1パレット部131と第2パレット部133とが溶接をせずに接続部材を用いて接続される(組み立て加工される)ため、第1パレット部131に施工した溶融亜鉛メッキ被膜が損傷することが防止される。さらに、第2パレット部133が第1パレット部131の両側の端部において一部重畳して設けられるため、パレットの剛性を補強しつつ、車両の高さ制限を回避することができる。
【0056】
したがって、本実施形態を用いることにより、剛性を有するとともに製造が容易であるパレットを提供することができる。また、本実施形態を用いることにより、高さ方向の車両の載置領域を広げるパレットを提供することができる。
【0057】
さらに、本実施形態を用いることにより、パレットを構成部品ごとに分割して運搬が可能となり、運搬費用を削減できる。また、パレットの一部が経年劣化したときの補修をする際に当該部分の接続部材のみを外せばよく、一部の当該構成部品のみの交換も可能となる。よって、メンテナンスにかかる日数および作業量を低減することができる。
【0058】
<第2実施形態>
本実施形態では、第1実施形態と構成の異なるパレットについて説明する。具体的には、第1パレット部の構造の異なるパレットについて説明する。
【0059】
図8は、パレット130Aを駐車装置100に設置した時の第1方向D1(車両を載置した時の車両の側面側)から見た側面図である。
図8に示すように、パレット130Aにおいて、第1パレット部131Aは、第2方向D2において地面に対して角度θを有して傾いて配置されてもよい。この例では、第1パレット部131Aは、駐車装置の入出庫側に傾いている。第1パレット部131Aの傾きは、特に制限されず、水が一方向に流れる程度で適宜設定すればよい。このとき、第1パレット部131Aの第1パレット部131Aは、それぞれの同一平面を有しているがこれに限定されない。
【0060】
図9は、パレット130Bの一部の領域130Baを拡大した側面図である。
図9に示すように、第1パレット部131Bにおいて、第1パレット部131B-1と第1パレット部131B-2とが隣接して配置されている。このとき、第1パレット部131Bの第1パレット部131B-1と第1パレット部131B-2とは、地面に対して平行に配置されているが、同一平面ではなく段差Dを有してもよい。その他の第1パレット部131B間においても段差Dを有してもよい。また、段差Dは、同一の高さでもよいし、それぞれ異なる高さを有してもよい。これにより、全体として第1パレット部131Bが第2方向D2において地面に対して角度θの傾きを有することができる。また、第1パレット部131Bは、地面に対して平行に配置されることに限定されず、
図10に示すように第1パレット部131Bが地面に対して傾きを有してもよい。
【0061】
上述の構成と、第1実施形態に示した第1パレット部131に設けられた側部131bの凹部131eおよび第2パレット部133の側部133bとを組み合わせて用いることにより、水が所定の方向(この場合入出庫口に向かう方向)に流れやすくなり、雨水が滞留することを防止することができる。とりわけ、雨が強い日などにおいて、駐車装置が水浸しになることを防止することができる。
【0062】
よって、本実施形態を用いることにより、剛性を有し、製造が容易であり、高さ方向の車両の載置領域を広げるとともに、導水性の高いパレットを提供することができる。
【0063】
<第3実施形態>
本実施形態では、第1実施形態および第2実施形態と構成の異なるパレットについて説明する。具体的には、第1パレット部の上面部形状が異なるパレットについて説明する。
【0064】
図11は、パレット130Cの一部の領域130Caを拡大した側面図である。
図11に示すように、第1パレット部131Cの上面部131Caは、曲面を有してもよい。上面部131Caは、第1パレット部131Cを加工する際に形成されてもよいし、ボルトなどを用いて第1パレット部131Cを下側(裏側)から押し込むことにより、形成してもよい。また、上面部131Caの曲面における曲率半径は、それぞれの第1パレット部131Cにおいて、水が流れることができる程度を有していれば特に制限されず、同一でもよいし、異なってもよい。また、隣接する第1パレット部131Cの上面部131Caは高さ方向において同じ位置に配置されてもよいし、
図12に示すように段差Dを有してもよい。
【0065】
上述の構成と、第1実施形態に示した第1実施形態に示した第1パレット部131に設けられた側部131bの凹部131eおよび第2パレット部133の側部133bとを組み合わせ用いることにより、水が所定の方向(この場合入出庫口に向かう方向)に流れやすくなり、雨水が滞留することを防止することができる。とりわけ、雨が強い日などにおいて、駐車装置が水浸しになることを防止することができる。
【0066】
よって、本実施形態を用いることにより、剛性を有し、製造が容易であり、高さ方向の車両の載置領域を広げるとともに、導水性の高い、パレットを提供することができる。
【0067】
なお、本実施形態において、第1パレット部131Cの第1パレット部131Cの上面部131Caが第2方向において曲面を有している例を示したが、これに限定されない。
図13は、パレット130Dを駐車装置の入出庫口に相当する側から見た側面図である。
図13に示すように、パレット130Dの第1パレット部131Dにおいて、第1パレット部131Dの上面部131Daは、第1方向D1において曲面を有してもよい。
【0068】
(第4実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なるパレットについて図面を用いて説明する。具体的には、隣接する第1パレット部において隙間を有する例について説明する。
【0069】
図14は、パレット130Eの上面図である。パレット130Eは、第1パレット部131Eおよび第2パレット部133Eに加えて、第3パレット部137を有する。
【0070】
第3パレット部137は、入出庫口側から見て各々の第1パレット部131Eの左右両側の端部131Edに配置されている。そのため、第3パレット部137は、D2方向に延在して配置され、第3パレット部137の長さは、第1パレット部131EのD2方向の長さよりも短い。第3パレット部137は、第1パレット部131Eおよび第2パレット部133Eに接続されるとともに第1パレット部131Eを支持し、パレット130Eの剛性を補強している。第1パレット部131と、第2パレット部133、第3パレット部137との接続については後述する。
【0071】
図15は、パレット130Eにおいてパレット130の一部の領域130aと同様の領域130Eaを拡大した側面図である。
図15に示すように、領域130Eaにおいて、第1パレット部131E-1および第1パレット部131E-2の二つの第1パレット部131Eが隣接して配置されている。
【0072】
図15に示すように、パレット130Eにおいて、第1パレット部131E-1の側部131E-1cは、第1パレット部131E-2の側部131E-2bの凹部131E-2eの一部を覆いつつ、幅L4の空間S4をもって配置されている。凹部131Eeは、雨樋として空間S4を介して機能することができる。
【0073】
図16は、パレット130Eにおいて、パレット130の一部の領域130bと同様の領域130Ebを拡大した側面図である。
図16に示すように、第3パレット部137は、上面部137a(第3上面部ともいう)、側部137b(第4側部ともいう)および側部137c(第5側部ともいう)を有する。
【0074】
側部137bは、側面137b1および底面137b2を有する。側部137bは側部137cとは反対側に上面部137aから屈曲して設けられる。
【0075】
側面137b1は、側部137cと対向する。底面137b2は、第1パレット部131Eの下部131Efと平行に配置される。
【0076】
側部137cは、第1パレット部131Eの端部131Edにおいて上面部137aから屈曲して設けられる。
【0077】
第3パレット部137には、第1パレット部131、第2パレット部133と同様に、上面部137a、側部137bおよび側部137cを形成する前に溶融亜鉛メッキ処理がなされてもよい。
【0078】
上面部137aは、第1パレット部131Eの上面部131Eaと接続部材170により接続される。接続部材170は、ボルト171およびナット173を含む。
【0079】
側部137bのうち底面137b2は、第2パレット部133Eの上面部133Eaとともに、第1パレット部131Eの下部131Efと接続部材150Eにより接続される。
【0080】
側部137cは、第2パレット部133Eの一部である側面133Eb3と接続部材180により接続される。接続部材180は、ボルト181およびナット183を含む。
【0081】
本実施形態を用いることにより、剛性を有し、製造が容易であり、高さ方向の車両の載置領域を広げるとともに、導水性の高い、パレットを提供することできる。また、本実施形態を用いた場合、パレット130Eにおいて隣接する第1パレット部131E同士が、接続部材を設けずに構成することができる。そのため、車両が載置される、また車両が通過する場合において音の発生を緩和することできる。
【0082】
(変形例)
本発明の一実施形態において、第1パレット部131の上面部131aは、平坦でもよいし、凹凸を有してもよい。
【0083】
また、本発明の第1実施形態では、接続部材140および接続部材150にボルト及びナットが用いられた例を示したが、これに限定されない。例えば、隣接する第1パレット部131の側部をクランプのような挟む構成を有する接続部材で接続してもよい。
【0084】
また、本発明の第1実施形態では、第2パレット部133の凹部133cにおいて、側面133b1と底面133b2、底面133b2と側面133b3とは垂直に設けられ、底面133b2は平坦に設けられているがこれに限定されない。
図17は、パレット130の一部の領域130bを入出庫口側から見た側面図の拡大図である。
図17に示すように、例えば、底面133b2は曲面を有してもよい。また、側面133b1、底面133b2、および側面133b3は一体となって曲面を有してもよい。同様に、第1パレット部131の底面131b2も曲面を有してもよい。
【0085】
また、本発明の第1実施形態では、第2パレット部133の凹部133cにおいて、側面133b1と底面133b2、底面133b2と側面133b3とは垂直に設けられているがこれに限定されない。
図18は、パレット130の一部の領域130bを入出庫口側から見た側面図の拡大図である。
図18に示すように、例えば、側面133b1と底面133b2とがなす角は鈍角であってもよい。これにより、パレットの製造が容易になる。
【0086】
また、第2パレット部133は、第2方向に沿って見たときの第1パレット部131の左右両側の端部にそれぞれ一つ設けられたが、これに限定されない。第2パレット部133は、一枚の鋼板を左右両側において折り曲げたものであってもよい。
【0087】
また、パレットは、車両載置用に限定されず、車両通過用として用いられてもよい。例えば、駐車装置は、前後方向に並べて配置されてもよい。このとき、後列装置に車両を出し入れする際には、前列装置の入出庫口に、後列装置まで車両を通過させるためのパレットが配置され、後列装置へ車両を出入りさせる構成としてもよい。また、車両通過用パレットとして適用する場合、ローラーを装備してもよい。
【0088】
なお、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
100・・・駐車装置,101・・・地面,102・・・支柱,106・・・昇降機,108・・・ゲート,109・・・入出庫口,110・・・制御装置,112・・・操作盤,130・・・パレット,131・・・第1パレット部,131a・・・上面部,131b・・・側部,131c・・・側部,131d・・・端部,131e・・・凹部,133・・・第2パレット部,133a・・・上面部,133b・・・側部,133c・・・凹部,135・・・接続部,137・・・第3パレット部,137a・・・上面部,137b・・・側部,137c・・・側部,140・・・接続部材,141・・・ボルト,143・・・ナット,150・・・接続部材,151・・・ボルト,153・・・ナット,160・・・接続部材,170・・・接続部材,171・・・ボルト,173・・・ナット,180・・・接続部材,181・・・ボルト,183・・・ナット