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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】丸ケースの取付構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20230105BHJP
【FI】
E06B9/17 W
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019100861
(22)【出願日】2019-05-30
(65)【公開番号】P2020193518
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】奈良 淳平
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-035548(JP,A)
【文献】実開昭54-015445(JP,U)
【文献】実開昭49-054939(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第2634353(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部位を上部ケース止め材に取り付け、下端部位を下部ケース止め材に取り付けてなる丸ケースの取付構造において、
前記下部ケース止め材は、底部と立ち上がり辺を備え、前記底部の上方に開口が形成されており、
前記丸ケースの下端部位は、先端から離れた部位において、前記立ち上がり辺に対する前記下端部位の傾きが可変なように前記立ち上がり辺に連結されており、
前記丸ケースの下端部位の前記立ち上がり辺との連結部位よりも先端に位置する先端部位は、前記開口から前記下部ケース止め材に挿入されており、前記先端部位の部分が前記下部ケース止め材に当接ないし係止している、
丸ケースの取付構造。
【請求項2】
前記下端部位は前記立ち上がり辺に対して回動可能に連結されている、請求項1に記載の丸ケースの取付構造。
【請求項3】
前記丸ケースの下端部位の先端は、前記底部に当接している、請求項1、2いずれか1項に記載の丸ケースの取付構造。
【請求項4】
前記下部ケース止め材は、前記底部の上方かつ前記立ち上がり辺から離間して被係止部を備えており、
前記丸ケースの先端部位の部分は前記被係止部に係止ないし係止可能である、
請求項1~3いずれか1項に記載の丸ケースの取付構造。
【請求項5】
前記被係止部は、前記底部及び前記立ち上がり辺を形成する部材とは別部材に形成されている、
請求項4に記載の丸ケースの取付構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は丸ケースの取付構造に係り、詳しくは、丸ケースの上端が外れた場合であっても、丸ケースの落下を防止することができる丸ケースの下端の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
重量シャッター等のシャッターケースとして、いわゆる丸ケースが知られている。丸ケースは、金属製板材を断面視弧状に湾曲して形成されたケース板からなり、湾曲させたケース板の上端部位、下端部位を、躯体に設けた上部ケース止め材、まぐさ近傍等に設けた下部ケース止め材にそれぞれ係止させることで取り付けられる。丸ケースの上下端部を係止させる際に、ケース板を上端部位と下端部位を近づける方向に弾性変形させて上部ケース止め材、下部ケース止め材にそれぞれ挿入し、弾性変形されたケース板が弾性力によって拡開することで、上部ケース止め材、下部ケース止め材にそれぞれ係止し、拡開方向に働く弾性力によって係止状態が保持される。
【0003】
しかしながら、丸ケースの弾性力を超える振動が地震等の影響で作用した場合、あるいは、何らかの理由(丸ケースの取付時の施工性向上のため意図せず塑性変形させてしまう等)で丸ケースの弾性力が弱くなっている場合(この場合、上端の係止状態が外れやすくなっている)には、丸ケースの上端部位の係止状態が外れてしまうおそれがある。丸ケースの上端部位の係止状態が外れると丸ケースが保持されずに落下してしまうおそれがある。
【0004】
特許文献1では、下部ケース止め材をリップ付き溝型形状の部材とし、丸ケースの上端部位が上部ケース止め材から抜け出して丸ケースが落下しようとする時に、丸ケースの下端部位を下部ケース止め材のリップ部で受けることで丸ケースの落下を防止している。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された丸ケースの下端の係止構造では、丸ケースの下端部位と下部ケース止め材は完全に固定されているわけではないので、丸ケースの挙動ないし振る舞い(変形や回転等)によっては、丸ケースの下端部位が下部ケース止め材から抜ける方向に移動してしまうことも考えられ、丸ケースの下端部位のリップ部への掛かりが小さい場合には、丸ケースの上端部位の係止状態が外れて丸ケースが自重で回転した時に、丸ケースの下端部位の係止状態が保持されずに丸ケースが落下してしまうおそれがある。このような丸ケースの落下は極めて起こり難いと考えられるが、万が一に備えておくことが望ましい。
【文献】特開2018-35548
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ケース板の上側の係止状態が外れた場合にケース板の落下を防止することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が採用した技術手段は、
上端部位を上部ケース止め材に取り付け、下端部位を下部ケース止め材に取り付けてなる丸ケースの取付構造において、
前記下部ケース止め材は、底部と立ち上がり辺を備え、前記底部の上方に開口が形成されており、
前記丸ケースの下端部位は、先端から離れた部位において、前記立ち上がり辺に対する前記下端部位の傾きが可変なように前記立ち上がり辺に連結されており、
前記丸ケースの下端部位の前記立ち上がり辺との連結部位よりも先端に位置する先端部位は、前記開口から前記下部ケース止め材に挿入されており、前記先端部位の部分が前記下部ケース止め材に当接ないし係止している、
丸ケースの取付構造、である。
【0008】
1つの態様では、前記下端部位は前記立ち上がり辺に対して回動可能に連結されている。
1つの態様では、前記下端部位は丁番によって前記立ち上がり辺に連結されている。
より具体的には、丁番は、回動軸によって互いに回動自在に連結された第1プレートと第2プレートを備え、第1プレートが螺子を用いて前記下端部位に着脱可能に固定されており、第2プレートが螺子を用いて前記立ち上がり辺に着脱可能に固定されている。
【0009】
1つの態様では、前記丸ケースの下端部位の先端は、前記底部に当接している。
1つの態様では、下部ケース止め材は、前記立ち上がり辺(第1立ち上がり辺)に対向して前記底部から立ち上がる第2立ち上がり辺を備えており、前記丸ケースの下端部位の先端は、前記底部と前記第2立ち上がり辺との隅部(本明細書において「底部」には隅部も含まれる)に当接している。
なお、前記丸ケースの下端部位の先端が前記第2立ち上がり辺に当接していてもよい。
【0010】
1つの態様では、前記下部ケース止め材は、前記底部の上方かつ前記立ち上がり辺から離間して被係止部を備えており、
前記丸ケースの先端部位の部分は前記被係止部に係止ないし係止可能である。
1つの態様では、前記丸ケースの取付状態において、前記丸ケースの先端部位の部分が前記被係止部に係止されており、前記立ち上がり辺に対する前記下端部位の傾きの変化が規制されている。
1つの態様では、前記丸ケースの取付状態において、前記丸ケースの先端部位の部分は前記被係止部に係止しておらず、前記立ち上がり辺に対する前記下端部位の傾きが変化した時に、前記先端部位の部分が前記被係止部に係止する。
【0011】
1つの態様では、下部ケース止め材は、前記立ち上がり辺(第1立ち上がり辺)に対向して前記底部から立ち上がる第2立ち上がり辺を備えており、前記被係止部は前記第2立ち上がり辺の上端に形成されている。
1つの態様では、前記被係止部は、前記底部及び前記立ち上がり辺を形成する部材とは別部材(当該別部材の立ち上がり片の上端)に形成されている。この場合、前記被係止部は、前記第2立ち上がり辺とは別の立ち上がり辺の上端に形成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る丸ケースの下端部位は、当該下端部位の傾きが可変な状態で下部ケース止め材の立ち上がり辺と連結されているので、丸ケースの上端部位が外れたような場合に、丸ケースの下端部位の先端部位が下部ケース止め材の開口から抜ける方向の移動を規制しつつ下端部位の傾きの変化を許容し、先端部位の部分が下部ケース止め材(例えば、被係止部)に係止することで丸ケースの落下を防止する。
【0013】
丸ケースの下端部位と下部ケース止め材の立ち上がり辺が連結されているので、万が一、丸ケースの下端部位の先端部位の係止状態が外れて丸ケースが回動して落下しようとした場合であっても、丸ケースの下端部位と下部ケース止め材の連結が保持されることで、丸ケースの落下を防止する。特に、丸ケースの寸法が小さい場合(すなわち、比較的軽量であり、連結部にかかる負荷が比較的小さい)には有効である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】シャッターケースを示す開口部上方部位の縦断面図である。
図2】シャッターケースの正面図である。
図3】第1の実施形態に係る丸ケースの取付構造を示し、ケース板の上側係止部は上部ケース止め材に係止しており、ケース板の下端部位の先端部位は、下部ケース止め材に対して第1の係止位置にある。
図4図3の取付状態において、ケース板の上側係止部が上部ケース止め材から外れた時のケース板の振る舞い(変形・回転)を示す図である。
図5図4の状態からさらにケース板が回転した図であり、ケース板の下端部位の先端部位は、下部ケース止め材に対して第2の係止位置にある。
図6】ケース板の下側傾斜部、先端部位の第1の係止位置と第2の係止位置を示す部分拡大図である。
図7】第2の実施形態に係る丸ケースの取付構造を示し、ケース板の上側係止部は上部ケース止め材に係止しており、ケース板の下端部位の先端部位は、下部ケース止め材に対して第1の係止位置にある。
図8図7の取付状態において、ケース板の上側係止部が上部ケース止め材から外れた時のケース板の振る舞い(変形・回転)を示す図である。
図9図8の状態からさらにケース板が回転した図であり、ケース板の下端部位の先端部位は、下部ケース止め材に対して第2の係止位置にある。
図10】ケース板の下側傾斜部、先端部位の第1の係止位置と第2の係止位置、及び、第1の係止位置から第2の係止位置への移動の中間位置を示す部分拡大図である。
図11】第3の実施形態に係る丸ケースの取付構造を示し、ケース板の上側係止部は上部ケース止め材に係止しており、ケース板の下端部位の先端部位は、下部ケース止め材に対して第1の係止位置にある。
図12図11の取付状態において、ケース板の上側係止部が上部ケース止め材から外れた時のケース板の振る舞い(変形・回転)を示す図である。
図13図12の状態からさらにケース板が回転した図であり、ケース板の下端部位の先端部位は、下部ケース止め材に対して第2の係止位置にある。
図14】ケース板の下側傾斜部、先端部位の第1の係止位置と第2の係止位置、及び、第1の係止位置から第2の係止位置への移動の中間位置を示す部分拡大図である。
図15】下部ケース止め材の変形例を示す。
図16図13の状態において、ケース板の下端部位の先端部位が下部ケース止め材から外れた時にケース板が回転した図であり、ケース板は丁番を介して下部ケース止め材から吊持されることで落下が防止されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、建物開口部上方部位(本実施形態に係るシャッターケースを含む)の縦断面図であり、図2は、同正面図である。壁体Wには、天井Cの上方に位置して、開口幅方向に間隔を設けて左右のブラケット1が持ち出し状に対向して設けてある。左右のブラケット1間には、巻取シャフト2が支持されており、巻取シャフト2には、ガイドレールGによって建物開口部上方のシャッターケース内に案内されたシャッターカーテン3が巻装される。
【0016】
ブラケット1は、上縁10、下縁11、基端縁12、先端縁13を備えた方形の板体から形成されており、基端縁12には基端片120が形成されており、基端片120を壁体Wに当接させてボルトBで固定することで、上記板体が壁体Wから垂直に延びている。本明細書において、ある要素が壁体Wに近い部位と、壁体Wから遠い部位を備えている場合に、壁体Wに近い側を第1側、壁体Wから遠い側を第2側という。
【0017】
ブラケット1の下縁11には下片110が折曲形成されており、左右のブラケット1間において、下片110の長さ方向中央部位間には、取付部材4の長さ方向の両端部位がそれぞれ固定されている。取付部材4は、上面40、下面41、第1側の第1垂直面42、第2側の第2垂直面43から断面視正方形状を有する方形パイプである(図6図10図14参照)。
【0018】
図1に示すように、取付部材4には開口幅方向に延びる長尺状の支持部材14が設けてあり、建物開口部上方には天井Cに近接してまぐさ15、16が離間対向して設けてあり、その間をシャッターカーテン3が通るようになっている。支持部材14には、まぐさ15の上方に位置して、スムーサ17、エマーゼンシースイッチ18が設けてある。
【0019】
左右のブラケット1の上縁10と基端縁12とで形成された角部(すなわちブラケット1の第1側の上方部位)間には、上部ケース止め材5の長さ方向両端部がそれぞれ固定されている。取付部材4の第2側部位である第2垂直面43には、長さ方向に亘って下部ケース止め材6が固定されている。
【0020】
シャッターケースは複数枚の湾曲状のケース板(いわゆる丸ケース)7を開口幅方向に連設してなり、各ケース板7の上端、下端をそれぞれ上部ケース止め材5、下部ケース止め材6に取り付けることで、ケース板7の内側面と壁体Wとの間に巻取シャフト2に巻き取られたシャッターカーテン3の収容空間が形成される。
【0021】
ケース板7は、上下端部を近づける方向に弾性変形させることで、上端部位、下端部位を、それぞれ上部ケース止め材5、下部ケース止め材6に係止させ、弾性変形されたケース板が拡開する(上下端部が離隔する方向)弾性力によって係止状態が保持される。
【0022】
図2に示す態様では、シャッターケースは、5枚のケース板7A、7B、7C、7D、7Eから形成されているが、シャッターケースを構成するケース板7の枚数は、開口幅寸法や各ケース板の幅寸法によって変わり得るものであり限定されない。図示の態様では、各ケース板7A、7B、7C、7D、7Eは端部が重なるように取り付けられているが、重なりの態様(隣接するケース板のどちらが外側、内側に位置するか等)は図示の態様に限定されず、また、隣接するケース板の端縁同士を当接させるようにして、重なりを設けないものでもよい。
【0023】
図1図3図7図11に示すように、ケース板(丸ケース)7は、断面視ないし側面視において、弧状部70と、弧状部70の上端から第1側(壁体W)に向かって上向き傾斜状に延びる上側傾斜部71と、弧状部70の下端から第1側(壁体W)に向かって下向き傾斜状に延びる下側傾斜部72と、上側傾斜部71の先端に上側に向かって折り返された上側折曲辺73と、からなる。本実施形態では、上側傾斜部71、下側傾斜部72は、断面視直線状に延びる平面である。本実施形態に係るケース板7は重量シャッターのケース板である。
【0024】
本実施形態では、上側傾斜部71の先端部位と上側折曲辺73とから上側係止部が形成されており、下側傾斜部72の先端側がケース板7の下端部位となっており、下端部位の先端側の先端部位720の部分が下部ケース止め材6に係止するようになっている。
【0025】
図2に示すように、上部ケース止め材5は、開口幅方向に延びる長尺材であって、図4図8図12に示すように、断面視ないし側面視において、壁体Wに沿って延びる垂直辺50と、垂直辺50の下端から第2側へ向かって水平状に延びる下辺51と、垂直辺50の上端から第2側へ向かって水平状に延びる上辺52と、上辺52の先端から垂下する上側垂直辺53と、から形成されている。下辺51の突出寸法(第1側から第2側へ向かう)は、上辺52の突出寸法よりも大きい寸法を有している。上側垂直辺53の下端と下辺51の上面との間に、ケース板7の上側係止部を受け入れる開口が形成されており、上部ケース止め材5の上側垂直辺53が、ケース板7の上側係止部が係止する被係止部となっている。
【0026】
図2に示すように、下部ケース止め材6は、開口幅方向に延びる長尺材であって、図6図10図14に示すように、断面視ないし側面視において、水平状の底辺60と、底辺60の第1側端部から垂直状に立ち上がる第1垂直辺61と、底辺60の第2側端部から垂直状に立ち上がる第2垂直辺62と、第1垂直辺61の上端から第2側に向かって水平状に延びる短尺の第1上側水平辺63と、第2垂直辺62の上端から第1側に向かって水平状に延びる短尺の第2上側水平辺64と、からなる。第1上側水平辺63と第2上側水平辺64との間にケース板7の下端部位の先端部位720を受け入れる開口が形成されており、当該開口から下部ケース止め材6の内部空間にケース板7の先端部位720が受け入れられる。下部ケース止め材6は、第1垂直辺61を取付部材4の第2垂直面43に固定(例えば溶接)することで取り付けられる。
【0027】
本実施形態に係る下部ケース止め材6はいわゆるリップ溝形鋼(C形鋼)であり、JIS規格品の標準鋼材を採用することができる。C形鋼では、第1垂直辺61と第2垂直辺62の高さは同じであり、第1上側水平辺63の上面と第2上側水平辺64の上面の高さは同じである。
【0028】
ケース板7の上側係止部(上側折曲辺73+上側傾斜部71の先端部位)と上部ケース止め材5との係止について説明する。上側折曲辺73を、上部ケース止め材5の上側垂直辺53の下端と下辺51との間の開口から差し入れ、上部ケース止め材5の上側垂直辺53に係止させる。係止状態では、上側垂直辺53の下端がケース板7の上側傾斜部71の先端部位の上面に当接している。上部ケース止め材の形状・構成、上側係止部の形状・構成は図示の態様に限定されるものではない。
【0029】
ケース板7の下側傾斜部72の下端部位の下部ケース止め材6に対する取り付けについて説明する。下側傾斜部72の先端側の下端部位を、下部ケース止め材6の第1上側水平辺63と第2上側水平辺64との間の開口から差し入れ、下部ケース止め材6の第2垂直辺62と、ケース板7の下側傾斜部72の下端部位の所定位置(下部ケース止め材6の外側に位置する部位)が、丁番8によって連結される。より具体的には、丁番8は、第1プレート80と、第2プレート81と、回動軸部82と、を備え、第1プレート80が、ケース板7の下側傾斜部72の下端部位の所定位置の下面に螺子S1で固定されており、第2プレート81が、下部ケース止め材6の第2垂直辺62の外面に螺子S2で固定されている。図2に示すように、各ケース板7A~7Eの下端部位は、幅方向の両端部位において丁番8を介して下部ケース止め材6の第2垂直辺62に連結されている。
【0030】
丸ケースの下端部位において、下部ケース止め材6の第2垂直辺62との連結部位よりも先端に位置する部位を先端部位720と称する。ケース板7の下端部位が下部ケース止め材6に取り付けられた状態において、ケース板7の先端部位720の部分は、下部ケース止め材6に係止ないし当接している。丁番8の回動軸部82は、第2垂直片62の上端(第2上側水平辺64)と同じ高さあるいは上方に位置しており、ケース板7の先端部位720は、回動軸部82を中心に回動可能となっている。すなわち、ケース板7の先端部位720は、当該先端部位720の傾斜姿勢(傾斜角度)がケース板7の挙動に応じて可変な態様で、下部ケース止め材6に固定されている。ケース板7の下端部位の下部ケース止め材6に対する取付構造は、ケース板7の上端部位が上部ケース止め材5から抜け出した場合におけるケース板7の落下防止構造となっている。
【0031】
ケース板7が上部ケース止め材5、下部ケース止め材6に取り付けられた状態において、下側傾斜部72の下端部位は第1の傾斜姿勢にあり、第1の傾斜姿勢において、先端部位720の部分が下部ケース止め材6に係止ないし当接している(第1の係止位置)。図1に示す態様では、ケース板7の先端部位720の先端721が、下部ケース止め材6の底辺60の第1側端部、すなわち、底辺60と第1垂直辺61との角部に当接係止している。
【0032】
ケース板7の上端部位が上部ケース止め材5から外れた場合に、ケース板7の下端部位の先端部位720が第1の傾斜姿勢及び第1の係止位置を維持するものでもよいが、後述する実施形態では、ケース板7の上端部位が上部ケース止め材5から外れた場合には、ケース板7の挙動(変形、回転等)によって、下側傾斜部72の先端部位720は、下部ケース止め材6内において第2の傾斜姿勢となり、第2の傾斜姿勢において、先端部位720の部分が下部ケース止め材6に係止ないし当接する(第2の係止位置)。
【0033】
第1の傾斜姿勢(第1の係止位置)、第2の傾斜姿勢(第2の係止位置)は、ケース板7の寸法によって異なり得る。以下、3つの実施形態に基づいてケース板7の下端部位の取付構造(ケース板7の落下防止構造)について説明する。第1実施形態に係るケース寸法、第2実施形態に係るケース寸法、第3実施形態に係るケース寸法は、この順に小さくなる。各実施形態における先端部位720の傾斜姿勢や係止位置は例示であって、本発明を限定するものではない。
【0034】
[第1実施形態]
図3図6を参照しつつ第1実施形態について説明する。図3において、ケース板7の上側係止部は上部ケース止め材5に係止しており、下端部位の先端部位720は下部ケース止め材6に第1の係止位置で係止している。第1の係止位置では、先端部位720の先端721から離間した部位(基端側部位)が第2上側水平辺64の先端に当接しており、先端721は第1垂直辺61に近接している(図6参照)。
【0035】
図3の取付状態において、振動等によって、ケース板7の上側折曲辺73が上部ケース止め材の上側垂直辺53から外れると、係止状態で弾性変形されていたケース板7は拡開するように弾性復帰し、かつ、前方(上部ケース止め材5から離間する方向、すなわち、第2側)かつ下方に向かって自重で回転する。
【0036】
この時、先端部位720は、回動軸部82を中心に傾斜勾配が小さくなるように回動し(図4)、先端部位720の先端721に近い側の部位(第1側)の上面が第1上側水平辺63の下面に当接係止する(図5)。図5に示す、下部ケース止め材6に対するケース板7の先端部位720の係止位置を第2の係止位置とする(図6参照)。第2の係止位置において、先端部位720の第1側(先端側)が下部ケース止め材6の第1上側水平辺63に下方から当接することで係止しており、てこの原理によりケース板7の自重で強い保持力が得られる。また、先端部位720の第2側(基端側)は丁番8によって下部ケース止め材6の第2垂直辺62に固定されているので、第2の係止位置にある先端部位720の第2側(先端側の係止状態が外れる方向)への移動が規制される。
【0037】
図6において、第1の係止位置(第1の傾斜姿勢)にある下側傾斜部、先端部位を72、720で示し、第2の係止位置(第2の傾斜姿勢)にある下側傾斜部、先端部位を72´、720´で示す。
【0038】
[第2実施形態]
図7図10を参照しつつ第2実施形態について説明する。図7において、ケース板7の上側係止部は上部ケース止め材5に係止しており、下端部位の先端部位720は下部ケース止め材6に第1の係止位置で係止している。第1の係止位置では、先端部位720の先端721が下部ケース止め材6の底辺60の上面に当接係止しており、先端部位720の先端721から離間した部位が第2上側水平辺64の先端に接触ないし近接している(図10参照)。
【0039】
図7の取付状態において、振動等によって、ケース板7の上側折曲辺73が上部ケース止め材の上側垂直辺53から外れると、係止状態で弾性変形されていたケース板7は拡開するように弾性復帰し、かつ、前方(上部ケース止め材5から離間する方向、すなわち、第2側)かつ下方に向かって自重で回転する。
【0040】
この時、先端部位720は、回動軸部82を中心に傾斜勾配が小さくなるように回動し(図8)、先端部位720の先端721に近い側の部位(第1側)の上面が第1上側水平辺63の下面に当接係止する(図9)。図9に示す、下部ケース止め材6に対するケース板7の下端部位の先端部位720の係止位置を第2の係止位置とする(図10参照)。第2の係止位置において、先端部位720の第1側(先端側)が下部ケース止め材6の第1上側水平辺63に下方から当接することで係止しており、てこの原理によりケース板7の自重で強い保持力が得られる。また、先端部位720の第2側(基端側)は丁番8によって下部ケース止め材6の第2垂直辺62に固定されているので、第2の係止位置にある先端部位720の第2側(先端側の係止状態が外れる方向)への移動が規制される。
【0041】
図10において、第1の係止位置(第1の傾斜姿勢)にある下側傾斜部、先端部位を72、720で示し、第2の係止位置(第2の傾斜姿勢)にある下側傾斜部、先端部位を72´´、720´´で示し、第1の係止位置から第2の係止位置へ移動する途中の下側傾斜部、先端部位を72´、720´で示す。
【0042】
[第3実施形態]
図11図14を参照しつつ第3実施形態について説明する。図11において、ケース板7の上側係止部は上部ケース止め材5に係止しており、下端部位の先端部位720は下部ケース止め材6に第1の係止位置で係止している。第1の係止位置では、先端部位720の先端721が下部ケース止め材6の底辺60の上面に当接係止しており、下端部位720の先端721から離間した部位が第2上側水平辺64の先端に接触ないし近接している(図14参照)。図7と対比すると明らかなように、第1の係止位置の傾斜は、第2の実施形態に比べて急勾配となっている。
【0043】
図11の取付状態において、振動等によって、ケース板7の上側折曲辺73が上部ケース止め材の上側垂直辺53から外れると、係止状態で弾性変形されていたケース板7は拡開するように弾性復帰し、かつ、前方(上部ケース止め材5から離間する方向、すなわち、第2側)かつ下方に向かって自重で回転する。
【0044】
この時、先端部位720は、回動軸部82を中心に傾斜勾配が小さくなるように回動し(図12)、先端部位720の先端721に近い側の部位(第1側)の上面が第1上側水平辺63の下面に当接係止する(図13)。図13に示す、下部ケース止め材6に対するケース板7の下端部位の先端部位720の係止位置を第2の係止位置とする(図14参照)。第2の係止位置において、先端部位720の第1側(先端側)が下部ケース止め材6の第1上側水平辺63に下方から当接することで係止しており、てこの原理によりケース板7の自重で強い保持力が得られる。また、先端部位720の第2側(基端側)は丁番8によって下部ケース止め材6の第2垂直辺62に固定されているので、第2の係止位置にある先端部位720の第2側(先端側の係止状態が外れる方向)への移動が規制される。
【0045】
図14において、第1の係止位置(第1の傾斜姿勢)にある下側傾斜部、先端部位を72、720で示し、第2の係止位置(第2の傾斜姿勢)にある下側傾斜部、先端部位を72´´、720´´で示し、第1の係止位置から第2の係止位置へ移動する途中の下側傾斜部、先端部位を72´、720´で示す。
【0046】
上述のように、寸法の異なるケース板7の取付構造である第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態について説明したが、寸法の異なるケース板7の取付構造において、共通の部材(下部ケース止め材6、丁番8)を用いることができる。
【0047】
ここで、第2の係止位置(第2の傾斜姿勢)において、図5図9図13を対比すると明らかなように、ケース板7の寸法が小さくなると、下部ケース止め材6に対するケース板7の先端部位720の傾斜角度が大きくなり、かつ、掛かりが浅くなる傾向がある。特に、図13に示すように、ケース寸法が小さい場合には、第1上側水平辺63に対する先端部位720の掛かりが浅くかつ傾斜が大きいため、第2の係止位置(第2の傾斜姿勢)において、振動等が作用すると、ケース板7の先端部位720と第1上側水平辺63の係止状態が外れてしまうおそれがある。
【0048】
下部ケース止め材6の変形例を図15に示す。図15に示す変形例では、ケース板7の先端部位720が係止する被係止部を第2側に延ばすことによって、先端部位720の係止状態が外れることを可及的に防止している。以下、具体的に説明する。
【0049】
図15(A)に示す例では、下部ケース止め材6´の第1上側水平辺63´の突出寸法が、既述の第1上側水平辺63の突出寸法よりも大きくなっている。図13と対比すると明らかなように、ケース板7の先端部位720において、先端721から離間した部位において、第1上側水平辺63´に係止しており、かつ、先端部位720の第2側(抜け出す方向)への移動が規制されており(丁番8を介して下部ケース止め材6に固定されている)、先端部位720の係止状態が外れることを可及的に防止している。
【0050】
図15(B)に示す例では、下部ケース止め材6の内部に、別部材である被係止部材9が組み込まれている。被係止部材9は断面視において、底部90、底部90の第1側端部から立ち上がる垂直辺91、垂直辺91の上端から第2側へ水平に延びる被係止辺92から略コ字形状を備えている。図示の態様では、被係止部材9の底部90の第2側端部は下部ケース止め材6の第2垂直辺62の下端に近接しており、垂直辺91は下部ケース止め材6の第1垂直辺61の内面に接触ないし近接しており、被係止辺92は、下部ケース止め材6の第1上側水平辺63を越えて第2側に延びている。図15(A)と同様に、ケース板7の先端部位720において、先端721から離間した部位において、被係止辺92に係止しており、かつ、先端部位720の第2側(抜け出す方向)への移動が規制されており(丁番8を介して下部ケース止め材6に固定されている)先端部位720の係止状態が外れることを可及的に防止している。
【0051】
図16は、図13の状態において、ケース板7の先端部位720が下部ケース止め材6から外れて、ケース板7が回転した図であり、ケース板7は丁番8を介して下部ケース止め材6から吊持されることで落下が防止されている。このように、本実施形態では、ケース板7の下端部位と下部ケース止め材6の第2垂直辺62が丁番8を介して連結されているので、万が一、ケース板7の下端部位の先端部位720の係止状態が外れてケース板7が回動して落下しようとした場合であっても、ケース板7の下端部位と下部ケース止め材6の連結が保持されることで、ケース板7の落下を防止する。特に、ケース板7の寸法が小さい場合(すなわち、比較的軽量であり、連結部にかかる負荷が比較的小さい)には有効である。
【符号の説明】
【0052】
5 上部ケース止め材
6 下部ケース止め材
60 底辺(底部)
61 第1垂直辺
62 第2垂直辺(立ち上がり辺)
63 第1上側水平辺(被係止部)
64 第2上側水平辺
7 ケース板(丸ケース)
70 弧状部
71 上側傾斜部
72 下側傾斜部
720 先端部位
721 先端
8 丁番
9 被係止部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16