(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】操作装置を有する製造設備
(51)【国際特許分類】
B21D 5/04 20060101AFI20230105BHJP
B21D 43/11 20060101ALI20230105BHJP
B21D 43/00 20060101ALI20230105BHJP
【FI】
B21D5/04 J
B21D43/11 A
B21D43/00 K
B21D43/00 S
(21)【出願番号】P 2019521147
(86)(22)【出願日】2017-10-18
(86)【国際出願番号】 AT2017060270
(87)【国際公開番号】W WO2018071938
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-09-29
(32)【優先日】2016-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】509296085
【氏名又は名称】トルンプ マシーネン オーストリア ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ダル チェルロ
(72)【発明者】
【氏名】マッテオ ダル ラーゴ
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ スペツィアリ
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-041434(JP,U)
【文献】特許第4091121(JP,B2)
【文献】特表平06-510487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/04
B21D 43/11
B21D 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に成形によって板金から工作物(2)を製造するための製造設備(1)であって、
固定された機枠(7)と、少なくとも1つの下側クランプジョー(5)を保持している下側クランプビーム(13)と、少なくとも1つの上側クランプジョー(6)を保持している上側クランプビーム(16)とを備えた曲げ加工機(3)であって、クランプビーム(13、16)のうちの1つは、少なくとも曲げ工程中は製造すべき工作物(2)を両クランプジョー(5、6)の間に締め付けて保持するために機枠(7)に対して相対的に調整可能である曲げ加工機(3)と、
支承面で板金又は製造すべき工作物(2)に対する載置面(33)を画定する載置台(32)と、
支持機構(40)と保持機構(43)とを備える操作装置(39)であって、保持機構(43)は上側保持ユニット(44)及びこれと協働する下側保持ユニット(45)を有し、前記曲げ加工機(3)の前方領域において、開放した挿入位置から板金又は工作物(2)をクランプするクランプ位置に板金又は製造すべき工作物(2)を操作するために調整可能である操作装置(39)と、
を備える製造設備(1)において、
前記支持機構(40)は独立の上側支持ユニット(41)及び独立の下側支持ユニット(42)を有し、
前記上側支持ユニット(41)は前記載置面(33)の上方に配置され、
前記下側支持ユニット(42)は前記載置面(33)の下方に配置され、
前記上側保持ユニット(44)は、前記上側支持ユニット(41)に案内され、第1の駆動ユニットによって調整可能であり、
前記下側保持ユニット(45)は、前記下側支持ユニット(42)に案内され、第2の駆動ユニットによって調整可能であり、
前記上側支持ユニット(41)は機枠(7)及び/又は上側クランプビーム(16)に配置され、
前記下側支持ユニット(42)は機枠(7)及び/又は下側クランプビーム(13)に配置され、
前記操作装置(39)の操作すべき板金又は製造すべき工作物(2)を保持するために開放した挿入位置で、前記曲げ加工機(3)の前方の装填領域において前記上側支持ユニット(41)は前記上側保持ユニット(44)と共に完全に前記載置面(33)の上方に配置され、前記下側支持ユニット(42)は前記下側保持ユニット(45)と共に完全に前記載置面(33)の下方に配置され、
加工すべき工作物(2)を保持し、操作するための妨げられない操作スペースが前記曲げ加工機(3)の前方領域に存在
し、
前記下側保持ユニット(45)は更に下側支承要素(50)を備え、該下側支承要素(50)は、前記下側支持ユニット(42)で、クランプジョー(5、6)のうちの少なくとも1つによって画定された曲げ領域(34)に関し、前記載置面(33)に対して垂直な方向に、及び前記載置面(33)に対して平行な方向に調整可能に案内されている、
ことを特徴とする製造設備(1)。
【請求項2】
前記上側保持ユニット(44)は、クランプジョー(5、6)のうちの少なくとも1つによって画定された曲げ領域(34)に関し、前記載置面(33)に対して垂直な方向に、及び前記載置面(33)に対して平行な方向に調整可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の製造設備(1)。
【請求項3】
前記下側保持ユニット(45)、クランプジョー(5、6)のうちの少なくとも1つによって画定された曲げ領域(34)に関し、前記載置面(33)に対して垂直な方向に、及び前記載置面(33)に対して平行な方向に調整可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造設備(1)。
【請求項4】
前記上側保持ユニット(44)と前記下側保持ユニット(45)は、互いに対して連結し同期して調整可能であるように案内されることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の製造設備(1)。
【請求項5】
前記上側保持ユニット(44)は少なくとも1つの上側保持要素(46)を有し、前記下側保持ユニット(45)は少なくとも1つの下側保持要素(47)を有することを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の製造設備(1)。
【請求項6】
保持要素(46、47)のうちの少なくとも一方は、前記載置面(33)に対して垂直な方向で位置合わせされた回転軸線(48)の周りで旋回可能であることを特徴とする、請求項5に記載の製造設備(1)。
【請求項7】
保持要素(46、47)のうちの少なくとも一方は、どの場合にも、前記載置面(33)に対して垂直な方向で、それぞれ前記載置面(33)に対して反対側に配置された他方の保持要素(46、47)に向かって調整可能であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の製造設備(1)。
【請求項8】
前記下側支承要素(50)は前記載置面(33)に対して垂直な方向で、前記載置面に対して反対側に配置された前記上側支持ユニット(41)に向かって調整可能に構成されていることを特徴とする請求項
1に記載の製造設備(1)。
【請求項9】
前記上側保持ユニット(44)は少なくとも1つの上側保持要素(46)を有し、前記下側保持ユニット(45)は少なくとも1つの下側保持要素(47)を有し、
前記下側保持要素(47)は下側支承要素(50)から独立して前記下側支持ユニット(42)に調整可能に案内されていることを特徴とする請求項5~
8の何れか一項に記載の製造設備(1)。
【請求項10】
保持ユニット(44、45)の少なくとも1つ、特に前記上側保持ユニット(44)はトグルレバー機構(51)を有しており、該トグルレバー機構(51)によって少なくとも1つの保持要素(46、47)は前記載置面(33)に対して垂直な方向で開放した挿入位置からクランプ位置に調整可能に構成されていることを特徴とする、請求項1~
9の何れか一項に記載の製造設備(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に曲げ工程による成形によって板金から工作物を製造するための製造設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、板金の成形によって板金から工作物を製造するための一般的に構成された製造設備を記載している。この製造設備は、曲げ加工機、載置台及び操作装置を備えている。曲げ加工機それ自体は、固定された機枠と、この機枠に保持された上側及び下側クランプビームを備えており、一方のクランプビームは、製造すべき工作物を少なくとも曲げ工程中はそれぞれクランプビームに配置されたクランプジョーの間に締め付けて保持するために、機枠に対して相対的に調整可能である。載置台はその支承面で板金又は製造すべき工作物のための載置面を画定する。操作装置は支持機構と保持機構とを備え、保持機構は上側保持ユニット及びこれと協働する下側保持ユニットを有する。支持機構はC字形に形成されていて、垂直接続ウェブによって互いに接続しているその2本の脚部で操作すべき板金を把持する。支持機構全体は、クランプジョーによって画定された曲げ領域に対して垂直な方向に調整可能である。ここでの不利な点は、堅固に形成された支持機構を板金の操作のためにユニット全体として動かさなければならないことである。更に、接続ウェブによって装填側から直接接近することは阻止されており、しかも保持ユニットと接続ウェブとの間にある操作スペースは脚部の長さによって制限されている。
【0003】
特許文献2も、成形によって板金から工作物を製造するための一般的に構成された曲げ加工センターを開示する。この曲げ加工センターは、曲げ加工機、載置台及び互いに独立した2つの操作装置を有する操作機構を備えている。曲げ加工機それ自体は、固定された機枠と、この機枠に保持された上側及び下側クランプビームを備えており、一方のクランプビームは、製造すべき工作物を少なくとも曲げ工程中はそれぞれクランプビームに配置されたクランプジョーの間に締め付けて保持するために、機枠に対して相対的に調整可能である。載置台はその支承面で板金又は製造すべき工作物のための載置面を画定する。第2の操作装置は支持機構と保持機構とを備え、保持機構は上側保持ユニット及びこれと協働する下側保持ユニットを有する。両機構はリニアガイドによって形成されていて、このリニアガイドに沿ってそれぞれねじスピンドルで案内されて保持ユニットが調整される。更に両機構はそれぞれ曲げ加工セルのハウジングに固定されており、この曲げ加工セルのハウジングのハウジングとは反対側の端部で垂直ウェブにより互いに接続されている。この端部領域には共通のスピンドル駆動装置も配置されている。下側ねじスピンドルは直接駆動モータによって駆動され、この下側ねじスピンドルから回転運動が無端状連結手段によって上側ねじスピンドルに伝達される。この場合も垂直ウェブとねじスピンドル間の駆動連結によって、装填側から直接接近することは阻まれている。従ってここでも曲げ加工すべき板金を曲げ加工機内にある装填領域に供給するために、曲げエッジに対して平行な方向に向けられた方向しか可能ではない。
【0004】
特許文献3は、板金パネルから天井及び/又は壁構造用のスチールカセットを製造するための製造ラインを開示する。この製造ラインは曲げ加工ステーションの曲げエッジに対して平行な向きにおいて、板金パネルの搬送方向で曲げ加工ステーションの前段に置かれた穿孔ステーションと、後段に置かれた溶接ステーションとを備えている。板金パネルを載置するために、曲げ加工ステーションの前方にある装填領域にボールローラ台が配置されている。曲げ加工ステーションは板金パネルを締め付けて保持するために、固定されたプレス台と高さ調節機構を有する旋回可能な押さえ部材とを備えている。更に曲げ加工ステーションは、曲げ加工機の前方にある装填領域内に突入するエクステンションアームを有する操作装置を備えている。このエクステンションアームは曲げ加工ステーションの曲げエッジに対して平行な向きで調整され得る。エクステンションアームには、長手方向に配置可能で垂直軸線を中心に回転可能なグリッパが案内されている。板金パネルはグリッパにより、板金パネル内に設けた嵌合孔又はこれに取り付けた連行ボルトで把持され、相応に設けられている成形工程に送られる。その際に板金パネルは常にボールローラ台に載っており、この載置面内でのみ位置が変えられる。加工ステーション間の後続搬送補助は、グリッパと組み合わせた搬送台車によって行うことができる。
【0005】
特許文献4は、成形により板金から工作物を製造するための別の製造設備を記載している。この製造設備は、曲げ加工機と、周回する搬送ベルトによって形成された載置台と、搬送ベルトの間にある定置されたクランプ装置とを有する。曲げ加工機それ自体は、固定された機枠と、これに保持された上側及び下側クランプビームとを有しており、クランプビームの一方は機枠に対して相対的に調整可能で、製造すべき工作物を少なくとも曲げ工程中はそれぞれクランプビームに配置されたクランプジョーの間に締め付けて保持することができる。曲げ加工すべき板金がその曲げ加工位置にあると、クランプ装置の上側の調整可能部分は、クランプ装置の下側の部分の方向に調整され、それによって板金が位置決めされた状態で保持される。これは専ら追加のクランプ装置であり、板金の位置変更のための操作装置ではない。クランプ装置の部分がどのようにして、またどのような部材によってクランプ装置の部分が曲げ加工機に対して相対的に保持され、又は固定されているのか読み取れない。
【0006】
特許文献5により板金パネルを曲げ加工機に供給するための装置が公知である。この装置は、枠上に配置され、板金パネル用のクランプ装置を運ぶキャリッジからなる。キャリッジは、側方で直立する柱と、キャリッジと反対側で柱を結合する横方向の梁部材とを有する枠を形成する。クランプ装置の上側クランプジョーは横方向の梁部材に配置され、クランプシリンダにより下側の固定されている両クランプジョーに向かって調整可能で、板金パネルを締め付けて保持することができる。更に、枠から直立するビームはキャリッジを運ぶ枠に配置されている。梁部材は曲げ加工機の反対側でキャリッジに配置されていて、板金パネルのための回転駆動装置を支持している。回転駆動装置は、板金パネルの緊定面に対して垂直に位置合わせされた回転軸線を有する駆動可能なクランプジョーを備えている。板金パネルが回転駆動装置の回転軸線を中心に変位できるようにするために、キャリッジは曲げ加工機の反対側に向かって回転駆動装置を有する梁部材の方に向かって調整される。上側クランプジョーが垂直方向で回転駆動装置のクランプジョーの上方にあると、回転駆動装置のクランプジョーは互いに離間して配置された両下側クランプジョーの間を通って板金パネルの下側を把持する。回転駆動装置のクランプジョーは、相手側ジョーである上側クランプジョーと協働する。ここでは曲げ加工機の前方の装填領域は、キャリッジの側方で直立する柱によって妨げられ制限されている。
【0007】
別の一般的な製造設備は特許文献6に開示されている。これも曲げ加工機、載置台及び操作装置を備えている。曲げ加工機それ自体は、固定された機枠と、これに保持された上側及び下側クランプビームを備えており、クランプビームの一方は少なくとも曲げ工程中は製造すべき工作物をそれぞれクランプビームに配置されたクランプジョーの間に締め付けて保持するために機枠に対して相対的に調整可能である。載置台はその支承面で板金又は製造すべき工作物に対する載置面を画定する。操作装置は支持機構と保持構造とを備え、支持機構は機枠に保持されて、載置面の上方にある。支持機構では保持機構全体が、クランプジョーによって画定された曲げ領域に対して垂直な方向に調整可能に案内されて、上側保持ユニット及びこれと協働する下側保持ユニットを備え、両保持ユニットは一種のトングを形成する。保持ユニットは更に垂直に向けられた回転軸線の周りでそれらの位置において一緒に調整できる。ここでの不利な点は、保持ユニットの1つが載置面を越えて突出していることであり、ここでも操作スペースが板金又は工作物の配置及び操作のために妨げられずに提供されないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】独国特許出願公開第2839978(A1)号明細書
【文献】独国特許出願公開第19639590(A1)号明細書
【文献】独国特許出願公開第4222741(A1)号明細書
【文献】米国特許第5343727(A)号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0097637(A2)号明細書
【文献】独国特許出願公開第19621658(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、従来技術の欠点を克服し、使用者又は自動供給装置が、加工すべき板金又は二次加工すべき工作物を操作装置の部品に邪魔されることなく曲げ加工機に容易に供給できる製造設備を提供することである。更に動く質量を低減することによって操作速度を上げることも必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題は、特許請求の範囲による装置によって解決される。
【0011】
本発明による製造設備は、特に成形によって板金から工作物を製造するために用いられ、この製造設備は、
固定された機枠と、少なくとも1つの下側クランプジョーを保持している下側クランプビームと、少なくとも1つの上側クランプジョーを保持している上側クランプビームとを備えた曲げ加工機であって、クランプビームのうちの1つは、少なくとも曲げ工程中は製造すべき工作物を両クランプジョーの間に締め付けて保持するために機枠に対して相対的に調整可能である、曲げ加工機と、
載置台であって、支承面で板金又は製造すべき工作物に対する載置面を画定する載置台と、
支持機構と保持機構とを備える操作装置であって、保持機構は上側保持ユニット及びこれと協働する下側保持ユニットを有し、曲げ加工機の前方領域において、開放した挿入位置から板金又は工作物を締め付けるクランプ位置に板金又は製造すべき工作物を操作するために調整可能である操作装置と、を備え、
支持機構は独立の上側支持ユニット及び独立の下側支持ユニットを有し、
上側支持ユニットは載置面の上方に配置され、
下側支持ユニットは載置面の下方に配置され、
上側保持ユニットは、上側支持ユニットに案内され、第1の駆動ユニットによって調整可能であり、
下側保持ユニットは、下側支持ユニットに案内され、第2の駆動ユニットによって調整可能であり、
上側支持ユニットは機枠及び/又は上側クランプビームに配置され、
下側支持ユニットは機枠及び/又は下側クランプビームに配置され、
操作装置の操作すべき板金又は製造すべき工作物を保持するために開放した挿入位置で、曲げ加工機の前方の装填領域において上側支持ユニットは上側保持ユニットと共に完全に載置面の上方に配置され、下側支持ユニットは下側保持ユニットと共に完全に載置面の下方に配置され、
加工すべき工作物を保持し、操作するための妨げられない操作スペースが曲げ加工機の前方領域に存在する。
【0012】
こうすることによって達成される利点は、支持機構が独立の上側支持ユニットと独立の下側支持ユニットとによって形成され、これらの支持ユニットがそれぞれ両側に、即ち載置面の上方と下方に1つずつ配置されていることである。支持ユニットを垂直方向で互いに空間的に分離することによって、それぞれ支持ユニットに配置された板金又は工作物を締め付けて保持するための保持ユニットを、上側支持ユニットが完全に載置面の上方にあり、下側支持ユニットが完全に載置面の下方にあるように配置することも可能である。このようにして保持ユニットの間で曲げ加工機の前方領域に十分な操作スペースが生み出され、これは板金又は加工すべき工作物を保持して操作するために妨げられることなく提供される。これにより作業者又は製造設備の別の操作装置が、加工すべき板金又は二次加工すべき工作物を曲げ加工機の前側又は装填側から妨げられずに載置台の領域にもたらし、固有の操作装置によって供給することが可能になる。
【0013】
更に、両支持ユニットをそれぞれそれらに配置された保持ユニットと共に互いに空間的に分離して配置することによって、操作装置の運動範囲又は取扱い範囲内で板金又は二次加工すべき工作物の可能な検出及びクランプが妨げられることなく行われることができる。しかしまた更に、操作装置の作用領域でそれぞれの板金又は工作物における操作装置のクランプ点若しくはクランプ範囲も自由に選択することができ、板金又は工作物が操作装置の部品と衝突する可能性を考慮する必要はない。
【0014】
上側支持ユニットが機枠及び/又は上側クランプビームに配置されているので、これにより操作工程を行うために動かされる部分の質量が低減される。更にこれにより、その他の点では慣用的な支持構造に対する設備コストも削減できる。
【0015】
下側支持ユニットも機枠及び/又は下側クランプビームに配置されている。そうすることによって下側支持ユニットの省スペースで堅固な支持も達成できる。しかし、更に操作を行うために動かされる質量も比較的小さく抑えられる。
【0016】
更に、上側保持ユニットは上側支持ユニットに調整可能に案内されている。そうすることにより上側支持ユニットにおける上側保持ユニットの一義的な移動経路が確定され得るだろう。
【0017】
下側保持ユニットも下側支持ユニットに調整可能に案内されている。そうすることによって、下側保持ユニットにおける下側保持ユニットの一義的に設定された移動経路も確定され得る。
【0018】
別の実施形態は、上側保持ユニットはクランプジョーのうちの少なくとも1つによって画定された曲げ領域に対して垂直な方向に、並びに載置面に対して平行な方向に調整可能に構成されていることを特徴とする。これにより上側保持ユニットの一義的に設定された移動経路及び一義的な移動方向を曲げ加工機に対して相対的に確定できる。
【0019】
別の実施形態は、下側保持ユニットが、少なくとも1つのクランプジョーによって画定された曲げ領域に対して垂直な方向に、且つ載置面に対して平行な方向に調整可能であるように構成されている。このようにすると下側保持ユニットの一義的に設定された移動経路及び一義的な移動方向を曲げ加工機に対して相対的に確定できる。
【0020】
他の実施形態は、上側保持ユニットと下側保持ユニットとが一緒に、且つ互いに同期して調整可能であるように案内されていることを特徴とする。両保持ユニットに割り当てられた支持ユニットで互いに同期して同時に、両保持ユニットを調整することにより、通常ならば独立しているにもかかわらず両保持ユニットにより板金又は工作物の申し分のない操作が実行され得る。共通の互いに同期した調整若しくは調整移動は、機械制御装置において設定された調整移動により相互に同調された駆動ユニットによって行うことができる。
【0021】
別の好適な実施形態は、上側保持ユニットが少なくとも1つの上側保持要素を有し、下側保持ユニットが少なくとも1つの下側保持要素を有することを特徴とする。各保持ユニット上にそれぞれ固有の保持要素を設けることにより、板金又は工作物に所定の保持作用を及ぼすことができる。更にそれによって操作に必要な構成要素の質量を比較的小さく抑えることもできる。
【0022】
更に少なくとも1つの保持要素が載置面に対して垂直なで位置合わせされた回転軸線の周りで旋回可能であれば有利であり得る。それにより直線的な調整移動に加えて、クランプジョーによって画定された曲げ領域に対する板金又は工作物に設けられた曲げ線の向きの変更も起こり得る。この向きの変更は載置面に対して平行な位置にある板金の回転運動によって実行できるので、最小のスペースで向きの変更を行うことができる。板金の回転及び/又は旋回工程を行うために、好ましくは旋回工程が行われる前に、板金を載置面に対して垂直な方向にわずかに持ち上げ又は引き上げることができる。
【0023】
他の代替実施形態は、少なくとも1つの保持要素が載置面に対して垂直な方向で、それぞれ載置面に対して反対側に配置された他方の保持要素に向かって調整可能に構成されていることを特徴とする。そうすることにより、それぞれの保持要素の高さを操作すべき板金又は工作物のそれぞれの位置に合わせて調整することができる。
【0024】
別の可能な任意選択の代替実施形態は、下側保持ユニットが下側支承要素を備え、この下側支承要素は少なくとも1つのクランプジョーによって画定された曲げ領域に対して垂直な方向に、且つ載置面に対して平行な方向に調整可能に案内されているという特徴を有する。少なくとも1つの下側支承要素を設けることにより、板金又は加工すべき工作物の更に良好な支持を達成できる。更に、直接加工中の板金又は工作物を追加的に支持することができるだけでなく、それと同時に且つそれから独立して保持要素によって、次に加工すべき板金又は工作物の事前位置決めを行うことができる。そうすることによって曲げ加工機の停止時間を更に短縮することができ、その効率を一層高めることができる。
【0025】
別の実施形態は、下側支承要素が載置面に対して垂直な方向で、載置面に対して反対側に配置された上側支持ユニットに向かって調整可能であるように構成されている。これにより保持要素の高さを板金又は加工すべき工作物の実際の位置に合わせて調整することが容易にできる。
【0026】
他の実施形態は、下側保持ユニットが下側支承要素から独立して下側支持ユニットに調整可能に案内されていることを特徴とする。これにより更に経済的に行われる操作工程を達成することができ、更に機械の停止時間も短縮することができる。
【0027】
別の好適な実施形態は、少なくとも1つの保持ユニット、特に上側保持ユニットはトグルレバー機構を有しており、このトグルレバー機構によって少なくとも1つの保持要素が載置面に対して垂直な方向で開放した挿入位置からクランプ位置に調整可能であることを特徴とする。トグルレバー機構を設けることによって、板金又は工作物を保持要素の間に機械的に締め付けることが簡単にできる。更にまたこれにより締め付けるために加える、又は必要な調整力若しくは押圧力を減らすこともできる。
【0028】
本発明をより良く理解するために、以下の図を参照してより詳細に説明する。
【0029】
それぞれ著しく簡略された模式的表現で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】載置台及び操作装置を省いた製造設備の曲げ加工機の正面図である。
【
図2】操作装置を簡略化して示した、
図1による製造設備の側面図である。
【
図3】模式的に表現した操作装置の可能な構成の側面図である。
【
図4】模式的に表現した保持ユニットの可能な構成の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
最初に確認しておくと、記載された種々の実施形態において同じ部材には同じ参照符号若しくは同じ部材名称を付す。この場合、説明全体に含まれている開示内容は同じ参照符号若しくは同じ部材名称を有する同じ部材に準用され得る。説明において選択された位置を表す言葉、例えば上、下、横なども直接説明及び表示された図を基準としており、位置が変化した場合には新しい位置に準用されるものとする。
【0032】
以下「特に」という概念は、対象物又は方法ステップの可能なより具体的な構成若しくはより詳細な説明を表すものであり得ても、必ずしもそれらの強制的な選好される実施形態若しくは強制的なやり方を表すものではないものと理解される。
【0033】
図1~
図4は、製造設備1及びその構成要素を非常に簡略化した概略図で示しており、この場合製造設備1は特に板金から製造すべき工作物2の直角曲げ又は角度曲げ用に構成されている。出発材料として通常金属材料が使用され、その変形されていない状態では板材又は板要素と呼ぶことができる。従って製造設備1は、直角曲げ加工設備又は角度曲げ加工設備と呼ぶこともできる。
【0034】
曲げ加工に使用される製造設備1は、曲げ加工機3、特にプレスを備え、このプレスはとりわけ互いに相対的に調整可能なクランプ工具4の間で板金から製造すべき工作物2又は工作物を締め付けて保持するように構成されている。本実施形態ではクランプ工具4は少なくとも1つの下側クランプジョー5、しかし通常好ましくは複数の下側クランプジョー5、及びこれと協働する少なくとも1つの上側クランプジョー6、しかし通常好ましくは複数の上側クランプジョー6を備える。下側クランプジョー5は下部側板とも呼ぶことができ、上側クランプジョー6は上部側板とも呼ぶことができる。
【0035】
このような曲げ加工機3の座標系において、基本的に水平面内でクランプジョー5、6の長手方向延長に対して垂直な方向に延びる方向が「X」方向と呼ばれる。従ってこの方向は供給方向又は取出し方向に対応する。
【0036】
これに従い「Y」方向は、クランプジョー5、6の高さ方向に延びる垂直方向として理解される。最後に「Z」方向は、クランプジョー5、6の長手方向又は長手方向延長に延びる方向であると理解される。従って後述する曲げ縁部の長手方向延長も「Z」方向に延びるように位置合わせされている。ここに挙げた方向(「X」、「Y」及び「Z」)はそれぞれ空間軸も規定する。
【0037】
少なくとも1つの上側クランプジョー6は、製造すべき工作物2の上方で曲げ加工機3に配置され、またそこで十分保持され、特に締め付けられている。少なくとも1つの下側クランプジョー5も曲げ加工機3に保持され、特に締め付けられている。
【0038】
曲げ加工機3の機枠7は、例えば底板8から垂直に直立し、相互に間隔を置いて平行に位置合わせされた側板9、10を備える。これらは好ましくは底板8から離れた端部領域で、例えば板金成形材から形成された堅固な横方向梁部材11によって互いに接続されている。機枠7は通常中実の、好ましくは工場の平らな床上に固定された曲げ加工機3の構成要素である。ここに示されている形状は、他の様々な可能な構成を代表する例として選択されたにすぎない。
【0039】
側板9、10は、工作物2を成形するための空きスペースを形成するように、好ましくはほぼC字形に構成でき、側板9、10の底部に近い脚部の前端面12に、特に底板8上に直立する下側クランプビーム13が固定されており、これはプレスビームとも呼ぶことができる。この好ましくは定置され固定された下側クランプビーム13はクランプテーブルとも呼ばれ、これにクランプ工具4の一部(特に下側クランプジョー5)も配置され、また保持されてもいる。前端面14ではクランプビームガイド15内の底板8から離れた脚部に、下側クランプビーム13に対して相対的に調整可能な上側クランプビーム16、特にプレスビームが案内されて支持されている。クランプビームガイド15は、通常リニアガイドとして種々の実施形態で形成されている。この上側クランプビーム16もプレスビームと呼ぶことができるが、これは機枠7に対して相対的に変位可能にこれに案内されている。両クランプビーム13、16の対向する互いに平行な端面17、18には、クランプ工具4、特に下側及び上側クランプジョー5、6を装着するためのクランプジョー保持部19、20を配置することができる。1つ以上のクランプ工具4は、詳細に図示されていないアダプタを介在させてクランプジョー保持部19、20に保持されることも可能である。
【0040】
図示の曲げ加工機3は、調整可能な上側クランプビーム16、即ちプレスビームの駆動装置21として、少なくとも1つの電気エネルギーで駆動される駆動手段22を有する。1つ以上の駆動手段22は、電力網23から給電される制御装置24と回路接続されている。制御装置24と回路接続された入力端子25を介して、例えば曲げ加工機3の運転を制御することができる。
【0041】
駆動手段22は、一般に知られているように、好ましくは電動式スピンドル駆動装置26であり、これらによって例えばプレスビームによって形成された上側クランプビーム16の可逆作動運動のための作動手段27が上側クランプビーム16と駆動連結されている。しかしまた例えばシリンダ・ピストン機構、ステッピングモーター、ラック駆動装置などの従来技術から知られている他の駆動手段22も使用できる。
【0042】
このような曲げ加工機3の運転に必要なその他の詳細、例えば安全装置、ストッパ機構及び/又は制御装置は、説明が不必要に長くなるのを避けるために本説明では省略する。
【0043】
更に本明細書では簡略化して示されているように、両クランプビーム13、16、特にそれらの工具保持部19、20若しくはこれに保持されているクランプ工具4は、その上側及び下側クランプジョー5、6によって、クランプビーム13、16の長手方向で見てそれらの間に延びる調整面28を画定する。調整面28は、好ましくはクランプビーム13、16又はこれらのクランプビームに配置されたクランプジョー保持部19、20に対して中心に延びている。この実施形態では垂直に向けられた面は、前述した両方向又は軸、即ち「Y」軸と「Z」軸によって画定される面を意味する。両クランプジョー5、6は、それらの間で互いに向き合う端部にクランプ領域29を形成する。両クランプジョー5、6の互いに向き合う上側と下側のクランプ面30、31は、好ましくは調整面28に対して直角に位置合わせされている。これらのクランプ面30、31は、両クランプジョー5、6間で曲げ工程を行うために、板金をそれぞれの肉厚に応じて位置決めして保持するために用いられる。
【0044】
載置面33を画定する支承面を有する追加の載置台32が、好ましくは曲げ加工機3の前側又は装填側の領域に配置されている。載置面33は支持面とも呼ぶことができる。ここで付言すると、載置面は表面全体にわたって形成される必要はなく、加工される板金の供給方向に相並んで及び/又は相前後して配置された複数の部分支承面から形成されてもよい。載置面33によって画定された支承面は、好ましくは下側クランプジョー5の下側クランプ面30と同じ面内に配置されている。これは大面積の板金で意図しないよじれ及びそれに伴う薄い板金の損傷を防ぐための追加の支持として用いられる。
【0045】
これに関連して曲げ領域34は、通常まだ成形されていない平面上の板金から製造すべき工作物2を形成し、又は少なくとも1つの追加の曲げ部を形成することによって既に予備成形された工作物2を更に加工するのに使用される領域であると理解される。
【0046】
この場合、曲げ領域34は、通常クランプビーム13、16の調整面28から離間しており、少なくとも一方、好ましくは両方のクランプジョー5、6の互いに向き合う端部によって形成される。この実施形態では曲げ領域34は、載置台32又は詳細に図示しない操作者とは反対に向けられたクランプビーム13、16の側に配置されている。従って曲げ領域34は、機枠7の内部に延びるように配置されている。
【0047】
曲げ領域34は通常製造すべき工作物2に好ましくは直線状に延びる曲げ線を形成し、曲げ工程の実行の結果として曲げ領域34の両側に曲げ辺が形成される。工作物2の曲げ辺の一方は、クランプ位置でクランプジョー5、6の両クランプ面30、31の間に保持されており、少なくとも1つの他方の曲げ辺はクランプ面30、31の外部に配置されている。工作物2の所望の若しくは製造すべき幾何形状に応じて、両曲げ辺はそれらの間に曲げ角度を包囲する。この曲げ角度は曲げ線に対して垂直に位置合わせされた基準面で測定される。更に基準面それ自体も好ましくは調整面28に対して垂直な方向に延びるように位置合わせされている。
【0048】
ここで付言すると、曲げ加工機3の機枠7は非常に簡略化して示されており、これと異なる実施形態を採用することも可能である。例えば機枠7又は機械本体は空いた支柱間隔で構成することができよう。この場合はクランプジョー保持部19、20を側板9、10若しくは側部の間に収容できよう。機枠7若しくは機械本体の別の実施形態では空いた支柱間隔は不可能であり、そのためクランプジョー保持部19、20を側板9、10若しくは側部の間に収容できない。
【0049】
曲げ工程を行うために、製造設備1の曲げ加工機3は曲げ加工ユニット35も備えており、この曲げ加工ユニット35は折り曲げ加工ユニット又は成形ユニットとも呼ぶことができる。その1つの可能な構成が
図2に簡略化された形で示されており、実行される曲げ工程に応じて機枠7に対して相対的に調整できる。見やすくするために、
図1では曲げ加工ユニット35及びその構成要素の図示を省略した。
【0050】
両クランプジョー5、6間に予め位置決めされ締め付けられて保持されている板金は、曲げ工程、特に折り曲げ工程によって工作物2を形成するために、曲げ領域34を形成する曲げ線34に沿って成形され、特に折り曲げられる。
【0051】
工作物2を製造するためにクランプジョー5、6の間に締め付けて保持された板金の折り曲げを実行した後に、下側クランプジョー5又は上側クランプジョー6のいずれかが折り曲げ領域、従って曲げ領域34を形成する。こうして下側クランプジョー5は第1の成形エッジをなし又はこれを有する。上側クランプジョー6は第2の成形エッジを形成し又はこれを有する。上側クランプジョー6は第2の成形エッジを形成し又はこれを有する。
【0052】
上述したクランプジョー5、6の両クランプ面30、31は、互いに当接する位置で製造すべき工作物2のための工作物載置面36を画定する。工作物載置面36は垂直方向に見て載置台32によって画定された載置面33と同じ高さに配置されていることが好ましい。両面は好ましくは互いに面平行に延びるように位置合わせされており、共通の平面内に配置できる。
【0053】
曲げ加工ユニット35は、曲げビーム38に配置できる1つ又は複数の曲げツール37を有することができる。曲げビーム38は、曲げビーム駆動装置によって、詳細に図示されない曲げビームガイドで機枠7に対して相対的に調整可能であり得る。しかしまた曲げ領域34に対して平行に旋回可能な1つの曲げ加工工具37のみ設けることもできよう。この曲げ加工工具37は所望の曲げ方向に応じて工作物載置面36の上方に1つ、及び工作物載置面36の下方に1つ配置することができ、曲げるために設けられている曲げ加工工具37の端部は、それぞれ曲げ領域の方向に向くように位置合わせされている。
【0054】
更に
図1及び
図2では、製造設備1が、通常平面状の板金又は既に事前に曲げられて二次加工すべき工作物2を操作するための操作装置39も備えてよいことが簡略化して示されている。操作装置39については以下に更に詳しく説明する。
【0055】
操作装置39はそれ自体が固有の上側支持ユニット41と固有の下側支持ユニット42を備えた支持機構40を備えている。本明細書で固有の支持ユニット41、42は、基本的に互いに独立している構成ユニットを意味する。上側支持ユニット41それ自体は直接機枠7に及び/又は上側クランプビーム16にも配置でき、好ましくはこれと接続できる。下側支持ユニット42それ自体も直接機枠7に及び/又は下側クランプビーム13にも配置でき、好ましくはこれと接続できる。
【0056】
両支持ユニット41、42は、好ましくは曲げ加工機3、特にその機枠7から、曲げ領域34とは反対に向けられた側若しくは方向で操作側若しくは装填側に向かって突出している。更に両支持ユニット41、42は垂直方向で、即ち工作物載置面36又は載置面33に対して垂直な方向で互いに離間して配置されている。両支持ユニット41、42の機械的接続若しくは相互の保持及び支持は、機械フレーム又は機枠7によって形成されている。従って載置台32によって画定された載置面33は支持ユニット41、42のいずれによっても横断又は貫通されない。これにより供給領域では大面積の空いた操作スペース若しくは挿入スペースが提供され得る。
【0057】
更に、上側支持ユニット41は載置面33の上方に配置され、下側支持ユニット42は載置面33の下方に配置されている。従って上側支持ユニット41は、少なくとも曲げ加工機3の前方にある装填領域若しくは供給領域において、操作すべき板金又は製造すべき工作物2を保持する開放した挿入位置で載置面33の上方に配置されている。板金又は工作物2を導入するための同じ開放した挿入位置で、下側支持ユニット42は完全に載置面33の下方に配置されている。
【0058】
更に、操作装置39は保持機構43も備え、この保持機構43それ自体は上側保持ユニット44と下側保持ユニット45を備えることができる。板金又は工作物2に対するクランプ作用を得るために、両保持ユニット44、45は協働するように構成され、若しくは設けられている。協働とは、両保持ユニット44、45が、両保持ユニット44、45の間にある板金に対してその操作のために十分なクランプ作用を及ぼすことができるように構成され互いに配置されているか又は互いに配置できることを意味する。従って両保持ユニット44、45はクランプユニットとも呼ぶことができよう。操作装置39は、板金又は製造すべき工作物2の操作のために開放した挿入位置から、板金又は工作物2を締め付けるクランプ位置に調整可能に構成されている。特に保持ユニット44、45の少なくとも一方の調整が、それぞれ反対側に配置された他方の保持ユニット45、44に向かって行われる。
【0059】
本実施形態では、上側保持ユニット44は上側支持ユニット41に配置され、下側保持ユニット45は下側支持ユニット42に配置されている。更にそれぞれの支持ユニット41、42に配置された保持ユニット44、45も、操作すべき板金又は製造すべき工作物2を保持するための操作装置39の開放した挿入位置で、曲げ加工機3の前方の装填領域において一方は完全に載置面33の上方に配置され、他方は完全に載置面33の下方に配置されている。上側保持ユニット44は上側支持ユニット41に配置されているので、これも前述の開放した挿入位置で完全に載置面33の上方にある。同様のことは下側保持ユニット45を下側支持ユニット42に配置することについても該当し、この場合下側保持ユニット45は完全に載置面33の下方に配置されている。そのようにして少なくとも開放した挿入位置で保持ユニット44、45のいずれも載置面33を横断又は突出しないことが保証されている。
【0060】
上側保持ユニット44が上側支持ユニット41に調整可能に案内されているようにすることもできる。この場合、上側保持ユニット44がクランプジョー5、6の少なくとも一方によって画定された曲げ領域34に対して垂直な方向で、且つ載置面33に対して平行な方向に調整できるように構成され、案内されてもいるような調整方向を選択できることが好ましい。見やすくするために、駆動ユニットは省略されている。
【0061】
下側保持ユニット45が下側支持ユニット42に調整可能に案内されていても有利である。ここでもまた、下側保持ユニット45がクランプジョー5、6の少なくとも1つによって画定された曲げ領域34に対して垂直な方向で、且つ載置面33に対して平行な方向に調整できるように構成され、案内されてもいるような調整方向を選択できることが好ましい。見やすくするために、駆動ユニットは省略されている。
【0062】
それぞれ保持ユニット44、45を取り付けた両支持ユニット41、42を空間的に分離することにより、両保持ユニット44、45はそれぞれ詳細に図示されない案内機構に一緒に互いに同期して調整できるように案内されているべきである。このようにして板金又は二次加工すべき工作物2の確実な操作を達成できる。
【0063】
図3でよりよく見えるように、先に簡略化して示された操作装置39の構成要素が、この表現ではより大きい縮尺で、やはり模式化され簡略化されて示されている。
【0064】
ここで簡略化され模式化された様式で示されている操作装置39は、上側支持ユニット41と下側支持ユニット42を有する支持機構40を備える。両支持ユニット41、42の各々は機枠7及び/又はクランプビーム13、16の一方に配置されている。見やすくするために固定部の表現は省略した。既に上述したように、上側支持ユニット41は、固定している機枠7の構成要素に直接又は上側クランプビーム16に配置して固定することもできる。上側支持ユニット41が上側クランプビーム16に固定されている場合、上側支持ユニット41は上側クランプビーム16のすべての調整移動を一緒に行う。この場合、加工すべき板金若しくは工作物2の位置に関して、上側保持ユニット44の作動運動の設計が考慮される。下側支持ユニット42は機枠7に直接及び/又は下側クランプビーム13に配置し、特にそれに動かないように固定することができる。
【0065】
更に支持ユニット41、42を直接機枠7に固定するが、その位置はクランプビーム13、16の前方に配置することも可能である。この場合、クランプビーム13及び/又は16にはそれぞれ選択された固定手段に合わせた貫通部又は貫通孔を設け、それにより一方では固定が保証され、他方では曲げ加工機のクランプビーム13及び/又は16の妨げられない調整移動を実行できる。
【0066】
上側保持ユニット44は、少なくとも1つの上側保持要素46を備えており、これは板金又は工作物2とクランプ接触に入ることができるように作用し又は構成されている。
【0067】
下側保持ユニット45はそれ自体少なくとも1つの下側保持要素47を備えている。両保持要素46、47を簡略化して示されており、各保持ユニット44及び/又は45と一緒にクランプジョー5及び/又は6のうちの少なくとも1つによって画定された曲げ領域34に対して垂直な方向で、且つそれぞれの支持ユニット41、42における載置面33に対して平行な方向に調整できる。このことはそれぞれ両矢印で簡略化して示されている。
【0068】
保持要素46、47は多様に構成でき、基本的にそれぞれ板金又は工作物2の一方の平面側と接触するために用いられる。更に板金又は工作物にばね要素又は圧縮要素を介在させて保持要素46、47を支持することも可能であろう。更に板金上又は工作物2と当接する保持要素46、47の接触ヘッドに真空発生器と回路接続している少なくとも1つの吸込口を設けることも可能であろう。他の可能性は、接触ヘッドに磁石を装備して、磁石によって吸引できる材料を磁気保持力によって、操作のためにそれぞれの保持要素46、47に保持できるようにすることであろう。
【0069】
曲げ領域34に対して供給される板金又は工作物2の向きを変えることができるようにするために、保持要素46、47の少なくとも一方を載置面33に対して垂直な方向に位置合わせされた回転軸線48及び/又は49を中心に旋回若しくは回動できるように構成できる。従ってこの実施形態では上側保持要素46は上側回転軸線48を有する。下側保持要素47の方は下側回転軸線49を有している。両保持要素46、47を相互に締め付けて保持するために、これらをそれぞれ板金又は加工すべき工作物2に当接させ、その際に好ましくは両回転軸線48、49が互いに一致するように位置合わせされるべきであろう。
【0070】
保持要素46、47のうちの少なくとも1つの回転運動又は旋回運動を行うために、これらに詳細に図示されていない旋回駆動装置が装備されているか、又は旋回駆動装置と駆動連結されてよい。回転軸線48及び/又は49のうちの1つの周りで行われるべき板金又は工作物2の旋回の大きさは、繊細な制御によって旋回駆動装置に正確に伝えることができる。
【0071】
更に、保持要素46及び/又は47の少なくとも一方は載置面33に対して垂直な方向で、それぞれ載置面33に対して反対側に配置された他方の保持要素47、46に向かって調整可能に構成されている。このことは両矢印によっても略示されている。
【0072】
更に、下側支持ユニット42の領域でも、下側支持ユニット42に下側支承要素50を配置できることが示されている。この場合、下側支承要素50は下側保持ユニット45の構成要素をなすことができる。下側支承要素50は、加工すべき板金又は工作物2に対する追加の支持作用を形成するために用いられる。更に、支承要素50は下側支持ユニット41で案内機構に調整可能に案内されてもよい。その際に調整移動は、クランプジョー5、6の少なくとも1つによって画定された曲げ領域34に対して垂直な方向で、且つ載置面33に対して平行な方向に行われることが好ましい。相応のガイド及び駆動構成要素の図示は、見やすくするために省略した。更に、下側支承要素50の調整移動は下側保持要素47の調整移動とは独立に行われることが好ましい。なお、下側支承要素50も、操作すべき板金又は製造すべき工作物を保持する操作装置の開放した挿入位置で、曲げ加工機の前方の装填領域において下側支承要素50も完全に載置面33の下方に配置され、又は支承要素50によって形成される支持面が載置面33内に位置するように配置されているように構成及び配置されてよい。
【0073】
下側支承要素50の少なくとも1つの部分構成要素が、載置面33に対して垂直な方向で、載置面33に対して反対側に配置された上側支持ユニット41に向かって調整可能に構成されることも可能であろう。これにより支持すべき板金又は加工すべき工作物2に対して高さ調整を行うことができる。この支承要素50の部分構成要素の垂直方向に可能な調整移動は、同じ方向に行われる下側保持要素47の調整移動とは独立に行うことができる。下側保持要素47が下側支持ユニット42における下側支承要素50から独立して調整可能に案内されていることにより、互いに独立した調整移動を行うこともできる。
【0074】
下側支承要素50はまた、曲げ工程のために両クランプジョー5、6の間で締め付けて保持された板金又は二次加工すべき工作物2を、クランプジョー5、6の曲げ領域34とは反対の側で支持するために用いることもできる。その間に、両保持ユニット44、45を有する操作装置39によって、既に別の板金又は加工すべき工作物2を載置台32の領域で次の曲げ工程のために予め位置決めすることができる。その際に保持要素46、47の少なくとも1つの旋回運動を行うこともでき、それによって板金又は工作物2の向きを調整して、板金又は工作物2上に設けられた曲げ線が曲げ領域34に対してほぼ又は既に正確に平行に位置合わせされているように配置することができる。既に両クランプジョー5、6の間で締め付けて保持された板金又は工作物2で曲げ工程が行われたら、この板金又は工作物2は曲げ領域34に対して側方若しくは平行な方向に、例えば押しのけることによって取り除くことができ、その直後に既に準備され予め位置決めされた別の板金又は工作物2を保持ユニット44、45によって後続の曲げ工程を行うために開放したクランプジョー5、6の間にもたらすことができる。
【0075】
しかしまた板金又は工作物2を締め付けるために、例えば上側保持ユニット44、特にその上側保持要素46が下側保持要素47と協働するのではなく、下側支承要素50と協働することも考えられよう。
【0076】
それぞれの支持ユニット41、42における両保持ユニット44、45の調整移動又は調整方向は、この場合好ましくは専ら「X」方向に行われる。保持要素46、47及び場合によって下側支承要素50の上下調整移動は、好ましくは専ら「Y」方向に行われる。
【0077】
それぞれの支持ユニット41、42とこれに調整可能に配置された保持ユニット44又は45を、それぞれの前述したように完全に載置面33の上方又は載置面33の下方に配置するとは、加工すべき板金が載置面33内に平面上に位置する場合にこの載置面33は上述した両部材若しくは部材構成要素のいずれによっても突出されていないことと理解すべきである。ここで本質的な点は、クランプジョー5、6の前方にある供給領域又は装填領域では両支持ユニット41、42の間に互いの接続がなく、従って十分な空きスペースが妨げられずに形成されていることである。両支持ユニット41、42は互いに独立に形成されており、各々が互いに別々に曲げ加工機3に直接保持され若しくはそれに固定されている。
【0078】
図4には、保持ユニット44及び/又は45のうちの1つの可能な、場合によってはそれ自体独立の配置若しくは構成が示されており、これは場合によってはそれ自体で独立の解決策を表すことができる。不必要な繰り返しを避けるために、既に
図1~
図3について行った詳細な説明の参照を求め若しくはこれに準拠する。更に同じ部材に対しては
図1~
図3と同じ部材名称が使用される。
【0079】
保持ユニット44、45、特にその保持要素46、47によって行われる「Y」方向の調整移動は、例えば長手方向案内機構52と協働するトグルレバー機構51によって実現できる。
【0080】
保持ユニット44、45はそれ自体ベース枠53を備え、これに保持要素46、47が調整可能に案内されている。トグルレバー機構51は、第1のトグルレバー54と第2のトグルレバー55を備える。両トグルレバー54、55は、互いに向き合う端部で互いにリンク接続されている。両トグルレバー54、55の共通の接続領域とは反対側の第1のトグルレバー54の他方の端部は固定しているが、例えばブラケット56によってベース枠53とリンク接続されている。両トグルレバー54、55の接続領域とは反対側の第2のトグルレバー55の他方の端部は、調整すべき保持要素46、47とリンク接続されている。
【0081】
第1のトグルレバー54と第2のトグルレバー55との間の接続領域には、作動レバー57がリンク状に配置又は連結されている。更にベース枠53には作動要素58も「Y」方向に調整可能に案内されている。作動レバー57は更に作動要素58とリンク接続されている。ここに示されている第1のトグルレバー54及び第2のトグルレバー55の完全に伸張した位置では、例えば作動レバー57は載置面33に対して平行な向きを取る。
【0082】
更に、例えばボールねじスピンドルなどの作動素子59と作動要素58が駆動連結されており、作動要素58は作動素子59によりベース枠53に沿って「Y」方向に案内されて調整できることが示されている。この調整移動と、作動レバー57を作動要素58と互いにリンク接続された両トグルレバー54、55の間に配置することに基づいて、作動要素58が載置面33とは反対側に変位すると、保持要素46、47の変位が達成され得る。保持要素46、47が「Y」方向で、載置面33とは反対側に調整すると、板金又は工作物2から保持要素46、47のクランプ作用は解消される。作動要素58がこれとは反対に載置面33に向けられた方向で調整移すると、保持要素46、47はそのクランプ位置に移動して板金と当接する。
【0083】
上述した構成要素の構成及び配置は例としてのみ示されており、非常に模式化されていることに留意されたい。通常垂直方向に行われる又は行うべき保持要素46及び/又は47の調整移動は、ラック駆動装置、シリンダ・ピストン機構、カム調整装置又はその他の駆動部材によって行うこともできよう。
【0084】
以上の実施形態は可能な変形例を示すものであり、この箇所で注記しておくと、本発明は特別に図示された本発明の実施形態に制限されておらず、むしろ個々の実施形態を互いに種々組み合わせることが可能であり、この変形可能性は本発明による技術的行為に関する教示に基づき当該技術分野に従事する当業者の能力の範囲内にある。
【0085】
保護の範囲は請求項によって規定されている。しかしながら請求項を解釈するために詳細な説明と図面を援用すべきである。図示及び説明された種々の実施例に基づく個々の特徴又は複数の特徴の組合せは、それ自体で独立の発明による解決をなすことができる。独立の発明による解決の根底にある課題は詳細な説明から読み取ることができる。
【0086】
本発明の説明において値の範囲に関するすべての指示は、当該範囲内のすべての任意の部分範囲を含むものと理解すべきである。例えば1~10という指示には、下限1を起点として上限10に至るまでのすべての部分範囲が含まれていると理解すべきである。即ち、すべての部分範囲は、例えば1~1.7又は3.2~8.1又は5.5~10のように、下限の1又はそれ以上から始まって上限の10又はそれ以下で終わる。
【0087】
念のため最後に指摘しておくと、曲げ情報表示装置を備えた曲げ機の構造を理解しやすくするために、曲げ機若しくはその構成部分は一部縮尺通りではなく及び/又は拡大及び/又は縮小して表現された。
【符号の説明】
【0088】
1 製造設備
2 工作物
3 曲げ加工機
4 クランプ工具
5 下側クランプジョー
6 上側クランプジョー
7 機枠
8 底板
9 側板
10 側板
11 横方向梁部材
12 前端面
13 クランプビーム
14 前端面
15 クランプビームガイド
16 クランプビーム
17 端面
18 端面
19 クランプジョー保持部
20 クランプジョー保持部
21 駆動機構
22 駆動手段
23 電力網
24 制御装置
25 入力端子
26 スピンドル駆動装置
27 作動素子
28 調整面
29 クランプ領域
30 下側クランプ面
31 上側クランプ面
32 載置台
33 載置面
34 曲げ領域
35 曲げ加工ユニット
36 工作物載置面
37 曲げ加工工具
38 曲げビーム
39 操作装置
40 支持機構
41 上側支持ユニット
42 下側支持ユニット
43 保持機構
44 上側保持ユニット
45 下側保持ユニット
46 上側保持要素
47 下側保持要素
48 上側回転軸線
49 下側回転軸線
50 下側支承要素
51 トグルレバー機構
52 長手方向案内機構
53 ベース枠
54 第1のトグルレバー
55 第2のトグルレバー
56 ブラケット
57 作動レバー
58 作動要素
59 作動素子