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特許7203729ベンゾジアゼピン誘導体の選択的スルホン化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】ベンゾジアゼピン誘導体の選択的スルホン化
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20230105BHJP
   C07K 5/06 20060101ALI20230105BHJP
   C07K 4/00 20060101ALI20230105BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230105BHJP
   A61K 31/5517 20060101ALI20230105BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20230105BHJP
【FI】
C07K19/00
C07K5/06
C07K4/00
A61P35/00 ZNA
A61K31/5517
A61K47/68
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019527831
(86)(22)【出願日】2017-11-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 US2017062989
(87)【国際公開番号】W WO2018098258
(87)【国際公開日】2018-05-31
【審査請求日】2020-11-20
(31)【優先権主張番号】62/425,761
(32)【優先日】2016-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504039155
【氏名又は名称】イミュノジェン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100128750
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 しのぶ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルダブランド,スコット・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ハッチンズ,ベンジャミン・エム
【審査官】斉藤 貴子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-040298(JP,A)
【文献】国際公開第2015/028850(WO,A1)
【文献】特表2014-506892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲートを調製する方法であって、
(a)以下の式:
【化1】
またはその薬学的に許容される塩で表されるイミン含有細胞傷害剤のイミン部分を2.5~4.5のpHの有機溶媒及び水の混合物中で、緩衝液の存在下で、二酸化硫黄、亜硫酸水素塩、またはメタ亜硫酸水素塩と反応させて、以下の式:
【化2】
またはその薬学的に許容される塩で表される修飾イミン部分を含む修飾細胞傷害剤を形成するステップ、及び
(b)前記修飾細胞傷害剤を細胞結合剤と反応させて、前記細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲートを形成するステップ、
を含み、
Dが、イミン含有ベンゾジアゼピン化合物であり、Lが、リンカーであり
ここで、Dが、以下の式:
【化3】
またはその薬学的に許容される塩
(式中、R、R、R、R、R’、R’、R’及びR’は全て、-Hであり;
は-OMeであり;
’及びY’は双方ともに、-Hであり;
A及びA’が、-O-であり;
Gが-CH又は-Nであり;
L’’及びL’’’が双方ともに、-Hであり;
L’が、以下の式で表される
-NR-P-C(=O)-(CR-C(=O)- (B1’)、
-NR-P-C(=O)-Cy-(CRs1’-C(=O)- (B2’)、
-C(=O)-P-NR-(CR-C(=O)- (Cl’)、または
-C(=O)-P-NR-Cy-(CRs1’-C(=O)- (C2’)
(式中、
及びRは、出現毎にそれぞれ独立して、-H、(C-C)アルキル、または荷電置換基もしくはイオン化可能な基Qであり、
sは、1~6の整数であり、
s1’は、0または1~6の整数であり、
Cyは、ハロゲン、-OH、(C-C)アルキル、(C-C)アルコキシ、またはハロ(C-C)アルキルで任意に置換されている5または6つの環炭素原子を有する環状アルキルであり、
は、アミノ酸残基または2~20のアミノ酸残基を含有するペプチドであり;
は、出現毎に独立して、-H、または1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状または分枝状アルキルである)で表され;
-L-が、以下の構造式:
【化4】
またはその薬学的に許容される塩
(式中、s1は、Dに共有結合している部位であり、s2は、マレイミド基に共有結合している部位であり、
23及びR24は、出現毎に独立して、Hまたは任意に置換されているアルキルであり、
m’は、0~10の整数であり、
h’は、Hまたは任意に置換されているアルキルであるで表される、前記方法。
【請求項2】
ステップ(a)の前記反応が、2.9~4.0のpH、2.9~3.7のpH、3.1~3.5のpH、3.2~3.4のpH、または3.3のpHで実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記緩衝液が、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、コハク酸緩衝液、又はリン酸緩衝液である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲートを調製する方法であって、
(a)以下の式:
【化5】
またはその薬学的に許容される塩で表されるイミン含有細胞傷害剤のイミン部分を、有機溶媒及び水の混合物中で、緩衝液の不存在下で、二酸化硫黄、亜硫酸水素塩、またはメタ亜硫酸水素塩と反応させて、以下の式:
【化6】
またはその薬学的に許容される塩で表される修飾イミン部分を含む修飾細胞傷害剤を形成するステップ、及び
(b)前記修飾細胞傷害剤を細胞結合剤と反応させて、前記細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲートを形成するステップ、
を含み、
Dが、イミン含有ベンゾジアゼピン化合物であり、Lが、リンカーであり
ここで、Dが、以下の式:
【化7】
またはその薬学的に許容される塩
(式中、R、R、R、R、R’、R’、R’及びR’は全て、-Hであり;
は-OMeであり;
’及びY’は双方ともに、-Hであり;
A及びA’が、-O-であり;
Gが-CH又は-Nであり;
L’’及びL’’’が双方ともに、-Hであり;
L’が、以下の式で表される
-NR-P-C(=O)-(CR-C(=O)- (B1’)、
-NR-P-C(=O)-Cy-(CRs1’-C(=O)- (B2’)、
-C(=O)-P-NR-(CR-C(=O)- (Cl’)、または
-C(=O)-P-NR-Cy-(CRs1’-C(=O)- (C2’)
(式中、
及びRは、出現毎にそれぞれ独立して、-H、(C-C)アルキル、または荷電置換基もしくはイオン化可能な基Qであり、
sは、1~6の整数であり、
s1’は、0または1~6の整数であり、
Cyは、ハロゲン、-OH、(C-C)アルキル、(C-C)アルコキシ、またはハロ(C-C)アルキルで任意に置換されている5または6つの環炭素原子を有する環状アルキルであり、
は、アミノ酸残基または2~20のアミノ酸残基を含有するペプチドであり、
は、出現毎に独立して、-H、または1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状または分枝状アルキルである)で表され;
-L-が、以下の構造式:
【化8】
またはその薬学的に許容される塩
(式中、s1は、Dに共有結合している部位であり、s2は、マレイミド基に共有結合している部位であり、
23及びR24は、出現毎に独立して、Hまたは任意に置換されているアルキルであり、
m’は、0~10の整数であり、
h’は、Hまたは任意に置換されているアルキルであるで表される、前記方法。
【請求項5】
(i)前記亜硫酸水素塩0.5~5当量または前記メタ亜硫酸水素塩0.25~2.5当量を、前記イミン含有細胞傷害剤1当量と反応させるか;
(ii)前記亜硫酸水素塩0.8~2.0当量または前記メタ亜硫酸水素塩0.4~1.0当量を、前記イミン含有細胞傷害剤1当量と反応させるか;
(iii)前記亜硫酸水素塩1.1~1.6当量または前記メタ亜硫酸水素塩0.55~0.8当量を、前記イミン含有細胞傷害剤1当量と反応させるか;または
(iv)前記亜硫酸水素塩1.4当量または前記メタ亜硫酸水素塩0.7当量を、イミン含有細胞傷害剤1当量と反応させる、
請求項1~に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(a)の前記反応が、
(i)2.9~3.7のpHで実施され、前記亜硫酸水素塩1.0~1.8当量または前記メタ亜硫酸水素塩0.5~0.9当量を、前記イミン含有細胞傷害剤1当量と反応させるか;
(ii)3.1~3.5のpHで実施され、前記亜硫酸水素塩1.1~1.6当量または前記メタ亜硫酸水素塩0.55~0.8当量を、前記イミン含有細胞傷害剤1当量と反応させるか;または
(iii)3.3のpHで実施され、前記亜硫酸水素塩1.4当量または前記メタ亜硫酸水素塩0.7当量を、前記イミン含有細胞傷害剤1当量と反応させる、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(a)の前記反応が、ジメチルアセトアミド(DMA)及び水の混合物中で実施される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(a)において、前記イミン含有細胞傷害剤を、亜硫酸水素ナトリウムまたはメタ亜硫酸水素ナトリウムと反応させる、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記修飾細胞傷害剤が、ステップ(b)における前記細胞結合剤との反応前に、精製されていない、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(b)の前記反応が、4~9のpH、5~8.5のpH、または5.5~6.5のpHで実施される、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
Dが、以下の構造式:
【化9】
またはその薬学的に許容される塩で表される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
Lが以下の構造式:
【化10】
またはその薬学的に許容される塩で表される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記イミン含有細胞傷害剤が、以下の式:
【化11】
またはその薬学的に許容される塩で表され、前記修飾細胞傷害剤が、以下の式:
【化12】
またはその薬学的に許容される塩で表される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記修飾細胞傷害剤が、以下の式:
【化13】
またはそのナトリウム塩もしくはカリウム塩で表される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記修飾細胞傷害剤が、以下の式:
【化14】
で表される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法に基づき、2016年11月23日に出願された米国仮特許出願第62/425,761号の出願日の利益を主張し、全ての図面、式、明細書、特許請求の範囲、及び配列表を含む、この全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
抗体-細胞傷害剤コンジュゲート(または「抗体-薬物コンジュゲート(ADC)」)及び細胞結合剤-薬物コンジュゲートは、広範囲の癌に対して有効性を有する強力なクラスの抗腫瘍剤として出現している。細胞結合剤-薬物コンジュゲート(例えば、ADC)は一般に、3つの異なる要素:細胞結合剤(例えば、抗体);リンカー;及び細胞傷害性部分、からなる。細胞傷害性薬物部分を抗体上のリシンに共有結合させて、抗体分子上の異なる位置に結合している様々な数の薬物を有するADCの不均質混合物であるコンジュゲートをもたらすことができる。あるいは、マレイミド基などのチオール反応性基を介して、細胞傷害性薬物部分を抗体上のシステインチオール基に共有結合させて、部位特異的ADCを形成し得る。抗体及び細胞傷害剤のコンジュゲーション反応は多くの場合、水または細胞傷害剤を可溶化するのに必要な少量の有機溶媒を含む水溶液中で実施される。
【0003】
ピロロベンゾジアゼピン(PBD)などの三環式ベンゾジアゼピン及びインドリノベンゾジアゼピンなどの四環式ベンゾジアゼピンを含むベンゾジアゼピン化合物は、有望な抗腫瘍活性を示しているADCを生成するために、抗体と連携する細胞傷害剤として用いられている。これらのベンゾジアゼピン化合物は、DNAの副溝に結合し、且つDNA機能を妨害して、細胞死をもたらし得るイミン結合を含有する。ベンゾジアゼピン化合物は一般に、水中で非常に低い溶解度を有する。抗体とのコンジュゲーション反応において、ベンゾジアゼピン化合物を可溶化するためには、抗体を不安定化させ得る比較的大量の有機溶媒が必要とされる。
【0004】
それ故、細胞結合剤及びイミン含有ベンゾジアゼピン薬物のコンジュゲートを調製するための新しい方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
水溶性を改善するために、抗体とのコンジュゲーション反応の前に、イミン含有ベンゾジアゼピン化合物を、亜硫酸水素塩またはメタ亜硫酸水素塩などのイミン反応性試薬で処理して、抗体-ベンゾジアゼピンコンジュゲートを形成し得る。イミン基のスルホン化は、ベンゾジアゼピン化合物の水溶性を増加させて、抗体などのCBAとのコンジュゲーション反応のための条件の改善をもたらし得る。しかし、求核剤及びα,β-不飽和カルボニルの間の求核付加は、有機合成化学で周知である。マレイミドの活性化オレフィンへの亜硫酸水素の求核付加は、この反応のこのような一例である。それ故、イミン含有ベンゾジアゼピン化合物が、抗体との共有結合のための反応性基であるマレイミドを有する場合、マレイミド部分及びイミン部分は双方ともに、亜硫酸水素塩またはメタ亜硫酸水素塩と反応させて、スルホン化マレイミド及び/またはスルホン化イミンを形成し得る。驚くべきことに、マレイミド基を有するイミン含有インドリノベンゾジアゼピン化合物を、亜硫酸水素塩またはメタ亜硫酸水素塩と低pHで反応させることで、マレイミド基の有意なスルホン化なしに選択的且つ効果的にイミン基のスルホン化を生じさせ、それにより、インドリノベンゾジアゼピン化合物及び抗体のコンジュゲーション反応の反応収率を増加させ得ることが見出される。加えて、スルホン化インドリノベンゾジアゼピン化合物は、水中での溶解度が増加しており、その結果、著しく少ない量の有機溶媒(例えば、DMA)が、抗体とのコンジュゲーション反応に必要とされる。コンジュゲーション反応に大量の有機溶媒が存在すると、抗体を不安定化させる可能性がある。
【0006】
本発明は、細胞結合剤(CBA)に共有結合しているマレイミド基を有するイミン含有細胞傷害剤を含む細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲートを調製するための新規方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲートを調製する方法を提供し、方法は、
(a)以下の式:
【化1】
またはその薬学的に許容される塩で表されるイミン含有細胞傷害剤のイミン部分を、1.9~5.0のpHの水溶液中で、二酸化硫黄、亜硫酸水素塩、またはメタ亜硫酸水素塩と反応させて、以下の式:
【化2】
またはその薬学的に許容される塩で表される修飾イミン部分を含む修飾細胞傷害剤を形成するステップ、及び
(b)修飾細胞傷害剤を細胞結合剤と反応させて、細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲートを形成するステップ、
を含み、
Dは、イミン含有細胞傷害性化合物であり、Lは、リンカーである。
【0007】
一部の実施形態では、Dは、イミン含有三環式または四環式ベンゾジアゼピン化合物である。
【0008】
一部の実施形態では、Dは、イミン含有三環式ベンゾジアゼピン化合物である。
【0009】
一部の実施形態では、Dは、イミン含有四環式ベンゾジアゼピン化合物である。
【0010】
本明細書で使用される場合、イミン含有三環式ベンゾジアゼピン化合物は、ベンゾジアゼピンコアのジアゼピン部分に縮合した単環式環を有する化合物を指す。単環式環は、1つ以上のさらなるヘテロ原子、例えば、酸素、硫黄または窒素、及び置換基、例えば、単環式環または多環式環を含有してもよい。例示的な三環式ベンゾジアゼピン化合物として、WO2010/043880、WO2011/130616、W02009/016516、WO2013/177481、及びWO2012/112708に記載されているようなピロロベンゾジアゼピン(PBD)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
本明細書で使用される場合、イミン含有四環式ベンゾジアゼピン化合物は、ベンゾジアゼピンコアのジアゼピン部分に縮合された二環式環を有する化合物を指す。二環式環は、1つ以上のさらなるヘテロ原子、例えば、酸素、硫黄、または窒素、を任意に含有する縮合二環式環である。例示的な四環式ベンゾジアゼピン化合物としては、WO/2010/091150及びWO2012/128868に記載されているようなインドリノベンゾジアゼピン(IGN)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
一部の実施形態では、Dは、インドリノベンゾジアゼピンである。
【0013】
一部の実施形態では、Dは、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)である。
【0014】
本明細書に記載の方法で調製された細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲート及び修飾細胞傷害剤も本発明により提供される。
【0015】
本発明の一態様にのみ記載され、他の態様には記載されていない実施形態を含み、且つ、実施例にのみ現れる実施形態を含む、本明細書に記載の任意の実施形態は、明示的に否定されるか、または不適切でない限り、任意の1つ以上の他の実施形態と組み合わせることができると理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】pH3.3での亜硫酸水素ナトリウムとのイミン含有細胞傷害剤D1の反応混合物のUPLCクロマトグラムを示す。
図2】pH4.75での亜硫酸水素ナトリウムとのイミン含有細胞傷害剤D1の反応混合物のUPLCクロマトグラムを示す。
図3】亜硫酸水素ナトリウムとのPBDイミン含有細胞傷害剤タリリンと反応混合物のUPLCクロマトグラムを示す。
図4A】亜硫酸水素ナトリウム2.0当量とのイミン含有細胞傷害剤D5の反応混合物のUPLCクロマトグラムを示す。
図4B】亜硫酸水素ナトリウム2.5当量とのイミン含有細胞傷害剤D5の反応混合物のUPLCクロマトグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、本発明の特定の実施形態について詳細に言及することになり、これの例は、添付の構造及び式に示されている。本発明は、列挙された実施形態と共に説明されることになり、それらは、本発明をそれらの実施形態に限定することを意図するものではないと理解されるであろう。これに対して、本発明は、特許請求の範囲により定義されている本発明の範囲内に含まれ得る全ての代替物、修正物、及び均等物を包含するものである。当業者であれば、本明細書に記載されているものと類似または同等の多くの方法及び材料を認識することになり、これは、本発明の実施に使用することができる。
【0018】
本発明の異なる態様及び明細書の異なる部分(実施例にのみ記載された実施形態を含む)に記載されたものを含む本明細書に記載の実施形態のいずれかは、明示的に否定されるか、または不適切でない限り、本発明の他の1つ以上の実施形態と組み合わせることができると理解されるべきである。実施形態の組み合わせは、複数の従属請求項を介して、請求の範囲に記載されているそれらの具体的な組み合わせに限定されない。
【0019】
定義
本明細書で使用される「アルキル」または「直鎖状もしくは分枝状アルキル」は、飽和直鎖状または分枝状一価炭化水素ラジカルを指す。好ましい実施形態では、直鎖状または分枝状アルキルは、30以下の炭素原子(例えば、直鎖状アルキル基の場合C-C30、分枝状アルキル場合C-C30)、より好ましくは、20以下の炭素原子を有する。さらにより好ましくは、直鎖状または分枝状アルキルは、10以下の炭素原子(すなわち、直鎖状アルキル基の場合C-C10、分枝状アルキルの場合C-C10)を有する。他の実施形態では、直鎖状または分枝状アルキルは、6つ以下の炭素原子(すなわち、直鎖状アルキル基の場合C-Cまたは分枝状アルキルの場合C-C)を有する。アルキルの例としては、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-メチル-1-プロピル、-CHCH(CH)、2-ブチル、2-メチル-2-プロピル、1-ペンチル、2-ペンチル3-ペンチル、2-メチル-2-ブチル、3-メチル-2-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-1-ブチル、1-ヘキシル)、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3-メチル-3-ペンチル、2-メチル-3-ペンチル、2,3-ジメチル-2-ブチル、3,3-ジメチル-2-ブチル、1-ヘプチル、1-オクチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本明細書、実施例、及び特許請求の範囲を通して使用される「アルキル」という用語は、「非置換アルキル」及び「置換アルキル」の双方を含むものであり、これらの後者は、炭化水素骨格の1つ以上の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルキル部分を指す。本明細書で使用される場合、(C-CXX)アルキルまたはCX-XXアルキルは、x-xxの炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキルを意味する。
【0020】
「アルケニル」または「直鎖状または分枝状アルケニル」は、少なくとも1つの不飽和部位を有する2~20の炭素原子の直鎖状または分枝状一価炭化水素ラジカル、すなわち、炭素-炭素二重結合を指し、アルケニルラジカルは、「シス」及び「トランス」配向、あるいは「E」及び「Z」配向を有するラジカルを含む。例としては、エチレニルまたはビニル(-CH=CH)、アリル(-CHCH=CH)などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、アルケニルは、2~10の炭素原子を有する。より好ましくは、アルキルは、2~4つの炭素原子を有する。
【0021】
「アルキニル」または「直鎖状もしくは分枝状アルキニル」は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち、炭素-炭素の三重結合、を有する2~20の炭素原子の直鎖状または分枝状一価炭化水素ラジカルを指す。例としては、エチニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、ヘキシニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、アルキニルは、2~10の炭素原子を有する。より好ましくは、アルキニルは、2~4つの炭素原子を有する。
【0022】
「環状アルキル」及び「シクロアルキル」という用語は、互換的に使用することができる。本明細書で使用される場合、用語は、飽和炭素環式環のラジカルを指す。好ましい実施形態では、シクロアルキルは、環構造中に3~10の炭素原子を有し、より好ましくは、環構造中に5~7つの炭素原子を有する。一部の実施形態では、2つの環式環は、2つ以上の原子を共有することができ、例えば、環は、「縮合環」である。「好適なシクロアルキル」としては、シクロヘプチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル、及びシクロプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、シクロアルキルは、単環式基である。一部の実施形態では、シクロアルキルは、二環式基である。一部の実施形態では、シクロアルキルは、三環式基である。
【0023】
「シクロアルキルアルキル」という用語は、シクロアルキル基で置換されている上記のアルキル基を指す。
【0024】
「環状アルケニル」という用語は、環構造中に少なくとも1つの二重結合を有する炭素環式環ラジカルを指す。
【0025】
「環状アルキニル」という用語は、環構造中に少なくとも1つの三重結合を有する炭素環式環ラジカルを指す。
【0026】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、環の各原子が炭素である置換または非置換単環芳香族基を含む。好ましくは、環は、5~7員環、より好ましくは、6員環である。アリール基としては、フェニル、フェノール、アニリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。「アリール」という用語は、2つ以上の原子が2つの隣接環に共通する2つ以上の環を有する「ポリシクリル」、「多環」、及び「多環式」環系も含み、例えば、環は、「縮合環」である、環の少なくとも1つは、芳香族であり、例えば、他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、または芳香環とし得る。いくつかの好ましい実施形態では、多環は、2~3つの環を有する。特定の好ましい実施形態では、多環式環系は、環の双方が芳香族である2つの環式環を有する。多環の環のそれぞれは、置換または非置換であり得る。特定の実施形態では、多環の各環は、環内に3~10、好ましくは、5~7つの炭素原子、を含有する。例えば、アリール基としては、フェニル(ベンゼン)、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、及びナフチル、ならびに5,6,7,8-テトラヒドロナフチルなどのベンゾ縮合炭素環式部分が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、アリールは、単環式芳香族基である。一部の実施形態では、アリールは、二環式芳香族基である。一部の実施形態では、アリールは、三環式芳香族基である。
【0027】
本明細書で使用される「複素環」、「ヘテロシクリル」、及び「複素環式環」という用語は、3~18員環、好ましくは、3~10員環、より好ましくは、3~7員環の置換または非置換の非芳香族環構造を指し、この環構造は、少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくは、1~4つのヘテロ原子、より好ましくは、1または2つのヘテロ原子を含む。特定の実施形態では、環構造は、2つの環式環を有し得る。一部の実施形態では、2つの環式環は、2つ以上の原子を共有することができ、例えば、環は、「縮合環」である。「ヘテロシクリル基」は、例えば、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ラクトン、ラクタムなどを含む。複素環は、Leo A.;“Principles of Modern Heterocyclic Chemistry”(W.A.Benjamin,New York,1968)、特に、1、3、4、6、7、及び9章;“The Chemistry of Heterocyclic Compounds,A series of Monographs”(John Wiley & Sons,New York,1950 to present)、特に、13、14、16、19、及び28巻;ならびにJ.Am.Chem.Soc.(1960)82:5566に記載されている。複素環式環の例としては、テトラヒドロフラン、ジヒドロフラン、テトラヒドロチエン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、チオモルホリン、チオキサン、ホモピペラジン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ホモピペリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、オキセパン、チエパン、オキサゼピン、ジアゼピン、チアゼピン、2-ピロリン、3-ピロリン、インドリン、2H-ピラン、4H-ピラン、ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ピラゾリン、ジチアン、ジチオラン、ジヒドロピラン、ジヒドロチエン、ジヒドロフラン、ピラゾリジニルイミダゾリン、イミダゾリジン、3-アザビシコ[3.1.0]ヘキサン、3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプタン、及びアザビシクロ[2.2.2]ヘキサンが挙げられるが、これらに限定されない。スピロ部分も、この定義の範囲内に含まれる。環原子がオキソ(=O)部分で置換されている複素環式基の例は、ピリミジノン及び1,1-ジオキソ-チオモルホリンである。
【0028】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語は、置換または非置換芳香族単環構造、好ましくは、5~7員環、より好ましくは、5~6員環を指し、この環構造は、少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、O、N、もしくはS)、好ましくは、1~4つもしくは1~3つのヘテロ原子、より好ましくは、1もしくは2つのヘテロ原子を含む。2つ以上のヘテロ原子がヘテロアリール環中に存在する場合、それらは、同じか、または異なっていてもよい。「ヘテロアリール」という用語は、2つ以上の環原子が2つの隣接環に共通する、例えば、環が「縮合環」である、2つ以上の環式環を有する「ポリシクリル」、「多環」、及び「多環式」環系も含み、環の少なくとも1つは、ヘテロ芳香族であり、例えば、他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロ芳香族、及び/またはヘテロシクリルとし得る。いくつかの好ましい実施形態では、多環式ヘテロアリールは、2~3つの環を有する。特定の実施形態では、好ましい多環式ヘテロアリールは、環の双方が芳香族である2つの環式環を有する。特定の実施形態では、多環の各環は、環内に3~10の原子、好ましくは、環内に5~7つの原子を含有する。例えば、ヘテロアリール基としては、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、キノリン、ピリミジン、インドリジン、インドール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、カルバゾール、フェノキサジン、キノリン、プリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、ヘテロアリールは、単環芳香族基である。一部の実施形態では、ヘテロアリールは、二環芳香族基である。一部の実施形態では、ヘテロアリールは、三環芳香族基である。
【0029】
複素環またはヘテロアリール基は、これが可能な場合、炭素(炭素結合している)または窒素(窒素結合している)結合させることができる。限定ではなく例として、炭素結合複素環またはヘテロアリールは、ピリジンの2、3、4、5、もしくは6位で、ピリダジンの3、4、5、もしく6位で、ピリミジンの2、4、5、もしくは6位で、ピラジンの2、3、5、もしくは6位で、フランテトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロール、もしくはテトラヒドロフランピロールの2、3、4、もしくは5位で、オキサゾール、イミダゾール、もしくはチアゾールの2、4、もしくは5位で、イソオキサゾール、ピラゾール、もしくはイソチアゾールの3、4、もしくは5位で、アジリジンの2もしくは3位で、アゼチジンの2、3、もしくは4位で、キノリンの2、3、4、5、6、7、もしくは8位で、またはイソキノリンの1、3、4、5、6、7、もしくは8位で、結合する。
【0030】
限定ではなく例として、窒素結合複素環またはヘテロアリールは、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2-ピロリン、3-ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2-イミダゾリン、3-イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2-ピラゾリン、3-ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H-インダゾールの1位、イソインドールまたはイソインドリンの2位で、モルホリンの4位で、カルバゾールまたはO-カルボリンの9位で結合する。
【0031】
ヘテロアリールまたはヘテロシクリシル(heterocyclcyl)に存在するヘテロ原子は、酸化形態、例えば、NO、SO、及びSOを含む。
【0032】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはヨウ素(I)を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」という用語は、本明細書で定義されている1つ以上のハロ基で置換されている、本明細書で定義されているアルキルを指す。ハロアルキルは、モノハロアルキル、ジハロアルキル、またはポリハロアルキルとし得る。モノハロアルキルは、1つのフルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード置換基を有し得る。ジハロアルキルまたはポリハロアルキルは、同じハロ原子の2つ以上または異なるハロ基の組み合わせで置換することができる。ハロアルキルの例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル(difluoroehthyl)、ジフロソロプロピル、ジクロロエチル、及びジクロロプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書で使用される「アルコキシ」は、アルキルが上の本明細書で定義されているアルキル-O-を指す。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
上記のアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、環式アルキル、環式アルケニル、環式アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、及びヘテロアリールは、1つ以上(例えば、2、3、4、5、6またはそれ以上)の置換基で任意に置換することができる。
【0036】
「非置換」の具体的な記載のない限り、本明細書の化学部分への言及は、置換多様体も含むと理解される。例えば、「アルキル」基または部分への言及は双方ともに、置換及び非置換多様体を暗黙的に含む。化学部分上の置換基の例としては、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(例えば、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、もしくはアシル)、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオアセタート、もしくはチオホルマート)、アルコキシル、アルキルチオ、アシルオキシ、ホスホリル、ホスファート、ホスホナート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルファート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、またはアリールもしくはヘテロアリール部分が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
「任意の」または「任意に」は、その後に記載される状況が起きても起きなくてもよいことを意味し、その結果、本願は、状況が起こる場合及び状況が起こらない場合を含む。例えば、「任意に置換されている」という語句は、非水素置換基が所与の原子上に存在しても存在しなくてもよいことを意味し、従って、本願は、非水素置換基が存在する構造及び非水素置換基が存在しない構造を含む。
【0038】
「置換されている」という用語は、1つ以上の炭素、窒素、酸素、または硫黄原子上の水素を置換する置換基を有する部分を指す。「置換」または「で置換されている」は、このような置換が置換原子及び置換基の許容原子価に従い、且つ置換が、例えば、転位、環化、脱離などによる、例えば、変換を自発的に受けない安定な化合物をもたらすという暗黙の条件を含むと理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「置換されている」という用語は、有機化合物の全ての許容される置換基を含むと考えられる。広い態様では、許容される置換基としては、有機化合物の非環式及び環式、分枝及び非分枝、炭素環式及び複素環式、芳香族及び非芳香族置換基が挙げられる。許容される置換基は、1つ以上であり、適切な有機化合物と同じか、または異なり得る。本発明の目的の場合、窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満たす本明細書に記載の有機化合物の水素置換基及び/または任意の許容される置換基を有してもよい。置換基は、本明細書に記載の任意の置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(例えば、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、もしくはアシル)、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオアセタート、もしくはチオホルマート)、アルコキシル、アルキルチオ、アシルオキシ、ホスホリル、ホスファート、ホスホナート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルファート、スルホナート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を含み得る。説明すると、モノフルオロアルキルは、フルオロ置換基で置換されているアルキルであり、ジフルオロアルキルは、2つのフルオロ置換基で置換されているアルキルである。置換基上に複数の置換がある場合、各非水素置換基は、(別途明記しない限り)同一でも異なっていてもよいと認識すべきである。
【0039】
置換基の炭素が、置換基の表の1つ以上で任意に置換されているように記載されている場合、炭素上の水素のうちの1つ以上は(存在する限り)、独立して選択される任意の置換基で別々に且つ/または一緒に置換することができる。置換基の窒素が、置換基の表の1つ以上で任意に置換されているように記載されている場合、窒素上の水素のうちの1つ以上は(存在する限り)それぞれ、独立して選択される任意の置換基で置換することができる。1つの例示的な置換基は、-NR’R’’として示すことができ、R’及びR’’は、それらが結合している窒素原子と共に、複素環式環を形成し得る。R’及びR’’ならびにそれらが結合している窒素原子から形成される複素環式環は、部分的または完全に飽和であり得る。一部の実施形態では、複素環式環は、3~7つの原子からなる。他の実施形態では、複素環式環は、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、及びチアゾリルからなる群より選択される。
【0040】
本明細書は、「置換基」、「ラジカル」、及び「基」という用語を互換的に使用する。
【0041】
置換基の基が、置換基の表の1つ以上で任意に置換されているように一括して記載されている場合、その基は、(1)置換不可能な置換基、(2)任意の置換基により置換されてない置換可能な置換基、及び/または(3)任意の置換基のうちの1つ以上で置換されている置換可能な置換基を含み得る。
【0042】
置換基が、特定数までの非水素置換基で任意に置換されていると記載されている場合、その置換基は、(1)置換されていないか、または、(2)その特定数までの非水素置換基、もしくは、置換基上の最大数までの置換可能な位置のいずれか小さい方で置換されているかのいずれかとし得る。従って、例えば、置換基が、最大3つの非水素置換基で任意に置換されているヘテロアリールとして記載されている場合、次に、3つ未満の置換可能な位置を有する任意のヘテロアリールは、ヘテロアリールが置換可能な位置を有するのと同数までの非水素置換基のみで任意に置換されているであろう。非限定例におけるこのような置換基は、1~10の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、または環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシシクリル(heterocycyclyl)、ハロゲン、グアニジニウム[-NH(C=NH)NH]、-OR100、NR101102、-NO、-NR101COR102、-SR100、-SOR101で表されるスルホキシド、-SO101で表されるスルホン、スルホナート-SOM、スルファート-OSOM、-SONR101102で表されるスルホンアミド、シアノ、アジド、-COR101、-OCOR101、-OCONR101102、及びポリエチレングリコール単位(-OCHCHでR101から選択することができ、Mは、Hまたはカチオン(例えば、NaまたはK)であり;R101、R102、及びR103は、それぞれ独立して、H、1~10の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、または環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル、ポリエチレングリコール単位(-OCHCH-R104(式中、nは、1~24の整数である)、6~10の炭素原子を有するアリール、3~10の炭素原子を有する複素環式環、及び5~10の炭素原子を有するヘテロアリールであり;R104は、H、または1~4つの炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキルであり、R100、R101、R102、R103、及びR104で表される基中のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリシル(heterocyclcyl)は、独立してハロゲン、-OH、-CN、-NO、及び1~4つの炭素原子を有する非置換の直鎖状または分枝状アルキルから選択される1つ以上(例えば、2、3、4、5、6またはそれ以上)の置換基で任意に置換されている。好ましくは、上記の任意に置換されているアルキル、アルケニル、アルキニル、環式アルキル、環式アルケニル、環式アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、及びヘテロアリールに対する置換基は、ハロゲン、-CN、-NR102103、-CF、-OR101、アリール、ヘテロアリール、複素環、-SR101、-SOR101、-SO101、及び-SOMを含む。
【0043】
基中の炭素原子の数は、本明細書では、接頭辞「CX-XX」または「C-CXX」で明記することができ、x及びxxは、整数である。例えば、「C1-4アルキル」または「C1-C4アルキル」は、1~4つの炭素原子を有するアルキル基である。
【0044】
「化合物」または「細胞傷害性化合物」、「細胞傷害性二量体」、及び「細胞傷害性二量体化合物」という用語は、互換的に使用される。それらは、構造もしくは式またはその誘導体が、本発明あるいは参照により取り込まれている構造もしくは式またはその任意の誘導体に開示されている化合物を含むものである。用語は、本発明に開示の全ての式の化合物の立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、塩(例えば、薬学的に許容される塩)、及びプロドラッグ、ならびにプロドラッグ塩も含む。用語は、上述のいずれかの任意の溶媒和物、水和物、及び多形体も含む。本願に記載の本発明の特定の態様における「立体異性体」、「幾何異性体」、「互変異性体」、「溶媒和物」、「代謝物」、「塩」、「プロドラッグ」、「プロドラッグ塩」、「コンジュゲート塩」、「コンジュゲート塩」、「溶媒和物」、「水和物」、または「多形体」の具体的な説明は、本発明の他の態様におけるこれらの形態の意図された省略と解釈されるべきではなく、「化合物」という用語は、これらの他の形態の説明なしに使用される。
【0045】
本明細書で使用される「コンジュゲート」という用語は、細胞結合剤に結合している本明細書に記載の化合物またはその誘導体を指す。
【0046】
本明細書で使用される「細胞結合剤に結合可能な」という用語は、これらの化合物またはその誘導体を細胞結合剤に結合させるのに好適な、少なくとも1つの連結基またはその前駆体を含む、本明細書に記載の化合物またはその誘導体を指す。
【0047】
所与の基の「前駆体」という用語は、任意の脱保護、化学修飾、またはカップリング反応により、その基をもたらし得る任意の基を指す。
【0048】
「キラル」という用語は、鏡像パートナーの重ね合わせることができない特性を有する分子を指すが、「アキラル」という用語は、それらの鏡像パートナーに重ね合わせることができる分子を指す。
【0049】
「立体異性体」という用語は、同一の化学構造及び結合性を有するが、単結合の周りの回転により相互変換することができない、空間内でのそれらの原子の異なる配向を有する化合物を指す。
【0050】
「ジアステレオマー」は、2つ以上のキラリティー中心を有する立体異性体を指し、この分子は、互いに鏡像ではない。ジアステレオマーは、異なる物理的性質、例えば、融点、沸点、スペクトル特性、及び反応性、を有する。ジアステレオマーの混合物は、高分解能分析手順、例えば、結晶化、電気泳動、及びクロマトグラフィー、で分離し得る。
【0051】
「エナンチオマー」は、互いに重ね合わせることができない鏡像である化合物の2つの立体異性体を指す。
【0052】
本明細書で使用される立体化学的定義及び規則は、一般に、S.P.Parker,Ed.,McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw-Hill Book Company,New York;及びEliel,E.and Wilen,S.,“Stereochemistry of Organic Compounds,”John Wiley & Sons,Inc.,New York,1994に従う。本発明の化合物は、不斉またはキラル中心を含有し得、従って、異なる立体異性形態で存在する。限定されないが、ジアステレオマー、エナンチオマー、及びアトロプ異性体、ならびにラセミ混合物などのそれらの混合物を含む、本発明の化合物の全ての立体異性形態は、本発明の一部を形成することが意図される。多くの有機化合物は、光学的に活性な形態で存在し、すなわち、それらは、平面偏光の面を回転させる能力を有する。光学活性化合物を記載する際に、接頭辞D及びL、またはR及びSは、キラル中心(複数可)に関し分子の絶対配置を表すために使用される。接頭辞d及びlまたは(+)及び(-)は、化合物による平面偏光の回転の符号を示すために用いられ、(-)またはlは、化合物が左旋性であることを意味する。(+)またはdの接頭辞が付された化合物は、右旋性である。所与の化学構造の場合、これらの立体異性体は、それらが互いの鏡像であること以外は同一である。具体的な立体異性体は、エナンチオマーと呼ぶこともでき、このような異性体の混合物は多くの場合、エナンチオマー混合物と呼ばれる。エナンチオマーの50:50の混合物は、ラセミ混合物またはラセミ体と呼ばれ、これは、化学反応またはプロセスにおいて立体選択性または立体特異性がなかった場合に起こり得る。「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」という用語は、光学活性を欠く、2つのエナンチオマー種の等モル混合物を指す。
【0053】
「互変異性体」または「互変異性型」という用語は、低エネルギー障壁を介して相互変換可能な、異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトン互変異性体としても既知の)は、ケト-エノール及びイミン-エナミン異性化などの、プロトンの移動による相互交換を含む。原子価互変異性体は、結合電子のいくつかの再構成による相互変換を含む。
【0054】
本明細書で使用される場合、「ベンゾジアゼピン」化合物は、ベンゾジアゼピンコア構造を有する化合物である。ベンゾジアゼピンコアは、置換もしくは非置換であり、且つ/または1つ以上の環構造に融合させることができる。それは、リンカーにより結合している2つのベンゾジアゼピンコアを有する化合物も含む。ベンゾジアゼピンコアの一部としてのイミン官能基(-C=N-)を還元させることができる。
【0055】
本明細書で使用される場合、「ピロロベンゾジアゼピン」(PBD)化合物は、ピロロベンゾジアゼピンコア構造を有する化合物である。ピロロベンゾジアゼピンは、置換または非置換であり得る。それは、リンカーにより結合している2つのピロロベンゾジアゼピンコアを有する化合物も含む。インドリノベンゾジアゼピンコアの一部としてのイミン官能基(-C=N-)は、還元させることができる。
【0056】
特定の実施形態では、ピロロベンゾジアゼピン化合物は、
【化3】
で表されるコア構造を含み、これは、任意に置換することができる。
【0057】
特定の実施形態では、ピロロベンゾジアゼピン化合物は、
【化4】
で表されるコア構造を含み、これは、任意に置換することができる。
【0058】
本明細書で使用される場合、「インドリノベンゾジアゼピン」(IGN)化合物は、インドリノベンゾジアゼピンコア構造を有する化合物である。インドリノベンゾジアゼピンは、置換または非置換であり得る。それは、リンカーにより結合している2つのインドリノベンゾジアゼピンコアを有する化合物も含む。インドリノベンゾジアゼピンコアの一部としてのイミン官能基(-C=N-)は、還元させることができる。
【0059】
特定の実施形態では、インドリノベンゾジアゼピン化合物は、
【化5】
で表されるコア構造を含み、これは、任意に置換することができる。
【0060】
一部の実施形態では、インドリノベンゾジアゼピン化合物は、
【化6】
で表されるコア構造を含み、これは、任意に置換することができる。
【0061】
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という語句は、本発明の化合物の薬学的に許容される有機または無機塩を指す。例示的な塩としては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩(acid phosphate)、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩(acid citrate)、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、メシル酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸)塩、アルカリ金属(例えば、ナトリウム及びカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)塩、ならびにアンモニウム塩が挙げられる。薬学的に許容される塩は、酢酸イオン、コハク酸イオン、または他の対イオンなどの別の分子の包含を含み得る。対イオンは、親化合物上の電荷を安定化させる任意の有機または無機部分とし得る。さらに、薬学的に許容される塩は、構造中に複数の荷電原子を有し得る。複数の荷電原子が薬学的に許容される塩の一部である場合は、複数の対イオンを有し得る。従って、薬学的に許容される塩は、1つ以上の荷電原子及び/または1つ以上の対イオンを有し得る。
【0062】
本発明の化合物が塩基である場合、所望の薬学的に許容される塩は、当該技術分野で利用可能な任意の好適な方法、例えば、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、リン酸などで、または有機酸、例えば、酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル(pyranosidyl)酸、例えば、グルクロン酸もしくはガラクツロン酸、αヒドロキシ酸、例えば、クエン酸もしくは酒石酸、アミノ酸、例えば、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸、芳香族酸、例えば、安息香酸もしくはケイ皮酸、スルホン酸、例えば、p-トルエンスルホン酸もしくはエタンスルホン酸などでの遊離塩基の処理、で調製することができる。
【0063】
本発明の化合物が酸である場合、所望の薬学的に許容される塩は、任意の好適な方法、例えば、無機あるいは有機塩基、例えば、アミン(1級、2級、もしくは3級)、アルカリ金属水酸化物、またはアルカリ土類金属水酸化物などでの遊離酸の処理、で調製することができる。好適な塩の実例としては、アミノ酸、例えば、グリシン及びアルギニン、アンモニア、1級、2級、及び3級アミン、ならびに環状アミン、例えば、ピペリジン、モルホリン、及びピペラジンに由来する有機塩、ならびに、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、及びリチウムに由来する無機塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
本明細書で使用される時、「溶媒和物」という用語は、非共有分子間力で結合している水、イソプロパノール、アセトン、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、及びエタノールアミンジクロロメタン、2-プロパノールなどの化学量論的または非化学量論的量の溶媒をさらに含む化合物を意味する。化合物の溶媒和物または水和物は、イミン部分の溶媒和または水和を生じさせるために、化合物に、少なくとも1モル当量のヒドロキシル溶媒、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、または水を添加することにより容易に調製される。
【0065】
「薬学的に許容される」という語句は、物質または組成物が、製剤を含む他の成分及び/またはそれを用いて処置される哺乳動物と化学的及び/または毒物学的に適合がなければならないことを示す。
【0066】
「保護基」または「保護部分」という用語は、化合物、その誘導体、またはそれらのコンジュゲート上の他の官能基を反応させながら、特定の官能基をブロックまたは保護するために一般に用いられる置換基を指す。例えば、「アミン保護基」または「アミノ保護部分」は、化合物中のアミノ官能基をブロックまたは保護するアミノ基に結合している置換基である。このような基は、当該技術分野で周知であり(例えば、P.Wuts and T.Greene,2007,Protective Groups in Organic Synthesis,Chapter 7,J.Wiley & Sons,NJを参照のこと)、カルバマート、例えば、メチル及びエチルカルバマート、FMOC、置換エチルカルバマート、(「自己犠牲」とも呼ばれる)1,6-β-脱離で切断されたカルバマート、尿素、アミド、ペプチド、アルキル、及びアリール誘導体により例示される。好適なアミノ保護基としては、アセチル、トリフルオロアセチル、t-ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、及び9-フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が挙げられる。保護基の一般的な説明及びその使用では、P.G.M.Wuts & T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,New York,2007を参照のこと。
【0067】
「脱離基」という用語は、置換または置き換え中に離脱する荷電または非荷電部分の基を指す。このような脱離基は、当該技術分野で周知であり、ハロゲン、エステル、アルコキシ、ヒドロキシル、トシラート、トリフラート、メシラート、ニトリル、アジド、カルバマート、ジスルフィド、チオエステル、チオエーテル、及びジアゾニウム化合物を含むが、これらに限定されない。
【0068】
「二官能性架橋剤」、「二官能性リンカー」、または「架橋剤」という用語は、2つの反応基を有する修飾剤を指し、これらの一方は、細胞結合剤と反応可能であるが、他方は、2つの部分を共に連結する細胞傷害性化合物と反応する。このような二官能性架橋剤は、当該技術分野で周知である(例えば、Isalm and Dent in Bioconjugation chapter 5,p218-363,Groves Dictionaries Inc.New York,1999を参照のこと)。例えば、チオエーテル結合を介した結合を可能にする二官能性架橋剤は、マレイミド基を導入するN-スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシラート(SMCC)、またはヨードアセチル基を導入するN-スクシンイミジル-4-(ヨードアセチル)-アミノベンゾアート(SIAB)を含む。細胞結合剤上にマレイミド基またはハロアセチル基を導入する他の二官能性架橋剤は、当該技術分野で周知であり(Pierce Biotechnology Inc.P.O.Box 117,Rockland,IL 61105,USAから入手可能な米国特許出願第2008/0050310号、同第20050169933号を参照のこと)、ビス-マレイミドポリエチレングリコール(BMPEO)、BM(PEO)、BM(PEO)、N-(β-マレイミドプロピルオキシ)スクシンイミドエステル(BMPS)、γ-マレイミド酪酸N-スクシンイミジルエステル(GMBS)、ε-マレイミドカプロン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS)、5-マレイミド吉草酸NHS、HBVS、「長鎖」アナログのSMCC(LC-SMCC)であるN-スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシ-(6-アミドカプロアート)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、4-(4-N-マレイミドフェニル)-酪酸ヒドラジドまたはHCl塩(MPBH)、N-スクシンイミジル3-(ブロモアセトアミド)プロピオナート(SBAP)、N-スクシンイミジルヨードアセタート(SIA)、κ-マレイミドウンデカン酸N-スクシンイミジルエステル(KMUA)、N-スクシンイミジル4-(p-マレイミドフェニル)-ブチラート(SMPB)、スクシンイミジル-6-(β-マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノアート(SMPH)、スクシンイミジル-(4-ビニルスルホニル)ベンゾアート(SVSB)、ジチオビス-マレイミドエタン(DTME)、1,4-ビス-マレイミドブタン(BMB)、1,4-ビスマレイミジル-2,3-ジヒドロキシブタン(BMDB)、ビス-マレイミドヘキサン(BMH)、ビス-マレイミドエタン(BMOE)、スルホスクシンイミジル4-(N-マレイミド-メチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(スルホ-SMCC)、スルホスクシンイミジル(4-ヨード-アセチル)アミノベンゾアート(スルホ-SIAB)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル(スルホ-MBS)、N-(γ-マレイミドブトリロキシ(maleimidobutryloxy))スルホスクシンイミドエステル(スルホ-GMBS)、N-(ε-)マレイミドカプロイルオキシ)スルホスクシンイミドエステル(スルホ-EMCS)、N-(κ-マレイミドウンデカノイルオキシ)スルホスクシンイミドエステル(スルホ-KMUS)、及びスルホスクシンイミジル4-(p-マレイミドフェニル)ブチラート(スルホ-SMPB)を含むが、これらに限定されない。
【0069】
ヘテロ二官能性架橋剤は、2つの異なる反応基を有する二官能性架橋剤である。アミン反応性N-ヒドロキシスクシンイミド基(NHS基)及びカルボニル反応性ヒドラジン基の双方を含有するヘテロ二官能性架橋剤は、本明細書に記載の細胞傷害性化合物を細胞結合剤(例えば、抗体)と連結するために、使用することもできる。このような市販のヘテロ二官能性架橋剤の例としては、スクシンイミジル6-ヒドラジノニコチンアミドアセトンヒドラゾン(SANH)、スクシンイミジル4-ヒドラジドテレフタラートヒドロクロリド(SHTH)、及びスクシンイミジルヒドラジニウムニコチナートヒドロクロリド(SHNH)が挙げられる。酸に不安定な結合を有するコンジュゲートは、本発明のヒドラジンを有するベンゾジアゼピン誘導体を使用して調製することもできる。使用することができる二官能性架橋剤の例としては、スクシンイミジル-p-ホルミルベンゾアート(SFB)及びスクシンイミジル-p-ホルミルフェノキシアセタート(SFPA)が挙げられる。
【0070】
ジスルフィド結合を介する細胞結合剤と細胞毒性化合物との結合を可能にする二官能性架橋剤は、当該技術分野で既知であり、ジチオピリジル基を導入するN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルジチオ))ペンタノアート(SPP)、N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルジチオ)ブタノアート(SPDB)、N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルジチオ)2-スルホブタノアート(スルホ-SPDB)を含む。ジスルフィド基を導入するために使用することができる他の二官能性架橋剤は、当該技術分野で既知であり、米国特許第6,913,748号、同第6,716,821号、ならびに米国特許公報第20090274713号、及び同第20100129314号に開示されており、この全ては、参照により本明細書に組み込まれている。あるいは、チオール基を導入する2-イミノチオラン、ホモシステインチオラクトン、またはS-アセチルコハク酸無水物などの架橋剤は、使用することもできる。
【0071】
本明細書で定義されている「リンカー」、「リンカー部分」、または「連結基」は、細胞結合剤及び細胞傷害性化合物などの2つの基を一緒に連結する部分を指す。通常は、リンカーは、それが連結している2つの基が結合している条件下では、実質的に不活性である。二官能性架橋剤は、リンカー部分の両端に1つずつ、2つの反応性基を含み得、その結果、1つの反応性基を最初に細胞傷害性化合物と反応させて、続いて細胞結合剤と反応し得る、リンカー部分及び第2の反応性基有する化合物を得ることができる。あるいは、二官能性架橋剤の一端は、最初に細胞結合剤と反応させて、続いて細胞傷害性化合物と反応し得る、リンカー部分及び第2の反応性基を有する細胞結合剤を得ることができる。連結部分は、特定の部位で細胞傷害性部分の放出を可能にする化学結合を含有し得る。好適な化学結合は、当該技術分野で周知であり、ジスルフィド結合、チオエーテル結合、酸不安定結合、光解離性結合、ペプチダーゼ不安定結合、及びエステラーゼ不安定結合を含む(例えば、米国特許第5,208,020号;同第5,475,092号;同第6,441,163号;同第6,716,821号;同第6,913,748号;同第7,276,497号;同第7,276,499号;同第7,368,565号;同第7,388,026号、及び同第7,414,073号を参照のこと)。ジスルフィド結合、チオエーテル及びペプチダーゼ不安定結合が好ましい。本発明に使用することができる他のリンカーは、米国特許公報第20050169933号に記載されているような切断不可能なリンカー、または荷電リンカーもしくは親水性リンカーを含み、米国特許第2009/0274713号、米国特許第2010/01293140号、及びWO2009/134976に記載されており、これらのそれぞれは、明示的に参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸または天然に存在しないアミノ酸を指す。一部の実施形態では、アミノ酸は、NH-C(Raa’aa)-C(=O)OHで表され、Raa及びRaa’は、それぞれ独立して、H、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、アルケニル、もしくはアルキニルであり、アリール、ヘテロアリールもしくはヘテロシクリル、またはRaa及びN末端窒素原子は共に、複素環(例えば、プロリンのような)を形成し得る。「アミノ酸残基」という用語は、1つの水素原子が、アミノ酸、例えば、-NH-C(Raa’aa)-C(=O)O-、のアミン及び/またはカルボキシ末端から除去されている場合、対応する残基を指す。
【0073】
「ペプチド」という用語は、ペプチド(アミド)結合で結合しているアミノ酸モノマーの短鎖を指す。一部の実施形態では、ペプチドは、2~20のアミノ酸残基を含有する。他の実施形態では、ペプチドは、2~10のアミノ酸残基を含有する。さらに他の実施形態では、ペプチドは、2~5つのアミノ酸残基を含有する。本明細書中で使用される場合、ペプチドが、アミノ酸の具体的な配列で表される本明細書中に記載の細胞傷害剤またはリンカーの一部である場合、ペプチドは、両方向で細胞傷害剤またはリンカーの残りに連結させることができる。例えば、ジペプチドX-Xは、X-X及びX-Xを含む。同様に、トリペプチドX-X-Xは、X-X-X及びX-X-Xを含み、テトラペプチドX-X-X-Xは、X-X-X-X及びX-X-X-Xを含む。X、X、X、及びXは、アミノ酸残基を表す。
【0074】
「カチオン」という用語は、正電荷を有するイオンを指す。カチオンは、一価(例えば、Na、Kなど)、二価(例えば、Ca2+、Mg2+など)、または多価(例えば、Al3+など)とし得る。好ましくは、カチオンは、一価である。
【0075】
「システイン操作抗体」という用語は、抗体の軽鎖または重鎖の所与の残基に通常は存在しない少なくとも1つのシステイン(Cys)を有する抗体を含む。「操作Cys」とも呼ばれ得るこのようなCysは、例えば、標準的な組み換え技術により(例えば、標的残基の非Cys残基に対するコード配列を、Cysに対するコード配列と置換することにより)導入することができる。特定の実施形態では、本発明のCys操作抗体は、重鎖に操作Cysを有する。特定の実施形態では、操作Cysは、重鎖のCH3ドメイン内またはその近くにある。特定の実施形態では、操作Cysは、重鎖の残基442(EU/OUナンバリング)にある。
【0076】
本明細書で使用される場合、本明細書に記載の全ての抗体アミノ酸残基は、EUインデックス、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5thEd.,NIH publication No.91-3242,1991(EU/OUナンバリング、参照により本明細書に取り込まれる全内容)に従い番号付けされる。一般的なアイソタイプは、G1、G2、G4などと呼ばれる。
【0077】
C442残基は、C442残基の遊離チオール基を介して、例えば、細胞傷害性薬物のチオール反応剤(例えば、マレイミド基)と反応させることを介して、細胞傷害性薬物/薬剤とコンジュゲートすることができる。
【0078】
本明細書で使用される場合、「水溶液」は、溶媒が水または水及び1つ以上の有機溶媒の混合物である溶液を指す。
【0079】
本明細書で使用される場合、「処置すること」または「処置」という用語は、対象の状態を改善または安定化するように、症状、臨床徴候、及び基礎病理を後退させること、低減させること、または阻止することを含む。本明細書で使用される場合、同様に、当該技術分野でよく理解される場合、「処置」は、臨床結果を含む有益なまたは所望の結果を得るためのアプローチである。有益なまたは望ましい臨床結果としては、検出可能であれ検出不可能であれ、(部分的であれ全体であれ)状態、例えば、癌、と関連する1つ以上の症状または状態の軽減、改善、または進行の減速、疾患の程度の減少、疾患の状態の安定化(すなわち、悪化ではない)、疾患増悪の遅延もしくは減速、疾患の状態の改善もしくは緩和、及び寛解が挙げられるが、これらに限定されない。「処置」は、処置を受けていない場合、予想される生存と比較した場合の生存を延長することも意味し得る。例示的な有益な臨床結果は、本明細書に記載されている。
【0080】
本発明の方法
本発明は、細胞結合剤(CBA)に共有結合しているマレイミド基を有するイミン含有細胞傷害剤を含む細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲートを調製するための新規方法を提供する。
【0081】
一部の実施形態では、細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲートを調製するための本発明の方法は、
(a)以下の式:
【化7】
またはその薬学的に許容される塩で表されるイミン含有細胞傷害剤のイミン部分を、1.9~5.0のpHの水溶液中で、二酸化硫黄、亜硫酸水素塩、またはメタ亜硫酸水素塩と反応させて、以下の式:
【化8】
またはその薬学的に許容される塩で表される修飾イミン部分を含む修飾細胞傷害剤を形成するステップ、及び
(b)修飾細胞傷害剤を細胞結合剤と反応させて、細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲートを形成するステップ、を含む。一部の実施形態では、亜硫酸水素塩は、亜硫酸水素ナトリウムまたは亜硫酸水素カリウムである。より具体的には、亜硫酸水素塩は、亜硫酸水素ナトリウムである。さらに他の実施形態では、メタ亜硫酸水素塩は、メタ亜硫酸水素ナトリウムまたはメタ亜硫酸水素カリウムである。より具体的には、メタ亜硫酸水素塩は、メタ亜硫酸水素ナトリウムである。
【0082】
本発明は、以下の式:
【化9】
またはその薬学的に許容される塩で表されるイミン含有細胞傷害剤のイミン部分を、1.9~5.0のpHの水溶液中で、二酸化硫黄、亜硫酸水素塩、またはメタ亜硫酸水素塩と反応させて、以下の式:
【化10】
またはその薬学的に許容される塩で表される修飾イミン部分を含む修飾細胞傷害剤を形成するステップ、を含む修飾細胞傷害剤を調製する方法も提供する。一部の実施形態では、反応は、以下の第1、第2、第3、第4、第5、第6、または第7の態様に記載の反応条件下で実施することができる。
【0083】
第一の態様では、上記の本発明の方法の場合、ステップ(a)の反応は、1.9~5.0のpHで実施される。より具体的には、pHは、2.5~4.9、1.9~4.8、2.0~4.8、2.5~4.5、2.9~4.5、2.9~4.0、2.9~3.7、3.1~3.5、または3.2~3.4である。別の具体的な実施形態では、ステップ(a)の反応は、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、または5.0のpHで実施される。さらに別の具体的な実施形態では、ステップ(a)の反応は、3.3のpHで実施される。
【0084】
本明細書で使用される場合、具体的なpH値は、具体的な値±0.05を意味する。
【0085】
一部の実施形態では、ステップ(a)の反応は、緩衝液の存在下で実施される。当該技術分野で既知の任意の好適な緩衝液は、本発明の方法に使用することができる。好適な緩衝液としては、例えば、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、コハク酸緩衝液、リン酸緩衝液、グリシン含有緩衝液(例えば、グリシン-HCl緩衝液)、フタル酸緩衝液(例えば、フタル酸水素ナトリウムまたはカリウムを含む緩衝液)、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、緩衝液は、コハク酸緩衝液である。一部の実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝液である。一部の実施形態では、緩衝剤は、クエン酸-リン酸緩衝剤である。一部の実施形態では、緩衝液は、クエン酸及びNaHPOを含むクエン酸-リン酸緩衝液である。他の実施形態では、緩衝剤は、クエン酸及びKHPOを含むクエン酸-リン酸緩衝剤である。一部の実施形態では、上記の緩衝液の濃度は、10~250mM、10~200mM、10~150mM、10~100mM、25~100mM、25~75mM、10~50mM、または20~50mMの範囲内とし得る。
【0086】
第2の態様では、反応ステップ(a)は、緩衝液(例えば、第1の態様に記載の緩衝液)の非存在下で実施される。一部の実施形態では、本方法は、(a)式(A)で表されるイミン含有細胞傷害剤もしくはその薬学的に許容される塩のイミン部分を、水溶液中で、二酸化硫黄、亜硫酸水素塩、もしくはメタ亜硫酸水素塩と反応させて、以下の式:
【化11】
またはその薬学的に許容される塩で表される修飾イミン部分を含む修飾細胞傷害剤を形成するステップ(水溶液は、緩衝剤を含まない)、及び
(b)修飾細胞傷害剤を細胞結合剤と反応させて、細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲートを形成するステップ、
を含む。一部の実施形態では、ステップ(a)の反応は、有機溶媒及び水の混合物中で実施される。より具体的には、ステップ(a)の反応は、ジメチルアセトアミド(DMA)及び水の混合物中で実施される。一部の実施形態では、DMA及び水の混合物は、60体積%未満のDMAを含む。さらに具体的には、DMA及び水の体積比は、1:1である。
【0087】
第3の態様では、上記または第1もしくは第2の態様に記載の方法の場合、亜硫酸水素塩0.5~5.0当量またはメタ亜硫酸水素塩0.25もしくは2.5当量が、ステップ(a)の反応で、イミン含有細胞傷害剤1当量毎に使用される。一部の実施形態では、亜硫酸水素塩0.5~4.5、0.5~4.0、0.5~3.5、0.5~4.0、0.5~3.5、0.5~3.0、0.5~2.5、0.8~2.0、0.9~1.8、1.0~1.7、1.1~1.6、もしくは1.2~1.5当量、またはメタ亜硫酸水素塩0.25~2.25、0.25~2.0、0.25~1.75、0.25~2.0、0.25~1.75、0.25~1.5、0.25~1.25、0.4~1.0、0.45~0.9、0.5~0.85、0.55~0.8、もしくは0.6~0.75当量が、イミン含有細胞傷害剤1当量毎に使用される。他の実施形態では、亜硫酸水素塩0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、4.0、4.5、もしくは5.0当量、またはメタ亜硫酸水素塩0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0、1.05、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、2.0、2.25、もしく2.5当量が、イミン含有細胞傷害剤1当量毎に使用される。さらに他の実施形態では、亜硫酸水素塩1.4当量またはメタ亜硫酸水素塩0.7当量が、イミン含有細胞傷害剤1当量毎に使用される。他の実施形態では、亜硫酸水素塩1.2当量またはメタ亜硫酸水素塩0.6当量が、イミン含有細胞傷害剤1当量毎に使用される。
【0088】
本明細書で使用される場合、具体的な当量は、具体的な値±0.05を意味する。
【0089】
第4の態様では、本発明の方法の場合、ステップ(a)の反応は、2.9~3.7のpHで実施され、亜硫酸水素塩1.0~1.8当量またはメタ亜硫酸水素塩0.5~0.9当量を、イミン含有細胞傷害剤1当量と共に反応させる。一部の実施形態では、ステップ(a)の反応は、3.1~3.5のpHで実施され、亜硫酸水素塩1.1~1.6当量またはメタ亜硫酸水素塩0.55~0.8当量を、イミン含有細胞傷害剤1当量と反応させる。他の実施形態では、ステップ(a)の反応は、3.2~3.4のpHで実施され、亜硫酸水素塩1.3~1.5当量、またはメタ亜硫酸水素塩0.65~0.75当量を、イミン含有細胞傷害剤1当量と反応させる。他の実施形態では、ステップ(a)の反応は、3.3のpHで実施され、亜硫酸水素塩1.4当量またはメタ亜硫酸水素塩0.7当量を、イミン含有細胞傷害剤1当量と反応させる。さらに他の実施形態では、他の実施形態では、ステップ(a)の反応は、3.3のpHで実施され、亜硫酸水素ナトリウム1.4当量を、イミン含有細胞傷害剤1当量と反応させる。
【0090】
第5の態様では、本明細書または第1、第2、第3、または第4の態様に記載の本発明の方法の場合、ステップ(a)の反応は、有機溶媒及び水の混合物中で実施される。任意の好適な有機溶媒を使用することができる。例示的な有機溶媒としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなど)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、アセトン、塩化メチレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、有機溶媒は、水と混和性である。他の実施形態では、有機溶媒は、水と混和しない、すなわち、ステップ(a)の反応は、二相溶液中で実施される。一部の実施形態では、有機溶媒は、ジメチルアセトアミド(DMA)である。有機溶媒(例えば、DMA)は、水及び有機溶媒の総体積の1体積%~99体積%、1~95体積%、10~80体積%、20~70体積%、30~70体積%、1~60体積%、5~60体積%、10~60体積%、20~60体積%、30~60体積%、40~60体積%、45~55体積%、10~50体積%、または20~40体積%の量で存在し得る。一部の実施形態では、ステップ(a)の反応は、DMA及び水の混合物中で実施され、DMA及び水の体積比は、1:1である。
【0091】
第6の態様では、本明細書または第1、第2、第3、第4、もしくは第5の態様に記載の本発明の方法の場合、ステップ(a)の反応は、好適な任意の温度で実施することができる。一部の実施形態では、反応は、0℃~50℃、10℃~50℃、10℃~40℃、または10℃~30℃の温度で実施される。他の実施形態では、反応は、15℃~30℃、20℃~30℃、15℃~25℃、16℃~24℃、17℃~23℃、18℃~22℃、または19℃~21℃の温度で実施される。さらに他の実施形態では、反応は、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、または25℃の温度で実施することができる。一部の実施形態では、反応は、0℃~15℃、0℃~10℃、1℃~10℃、5℃~15℃、または5℃~10℃で実施することができる。
【0092】
第7の態様では、本明細書または第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の態様に記載の本発明の方法の場合、ステップ(a)の反応は、1分間~48時間、5分間~36時間、10分間~24時間、30分間~24時間、30分間~20時間、1時間~20時間、1時間~15時間、1時間~10時間、2時間~10時間、3時間~9時間、3時間~8時間、4時間~6時間、または1時間~4時間実施される。一部の実施形態では、反応は、4~6時間進行させる。他の実施形態では、反応は、10分、15分、20分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間などにわたって進行させる。他の実施形態では、反応は、4時間進行させる。さらに他の実施形態では、反応は、2時間進行させる。
【0093】
第8の態様では、本明細書または第1、第2、第3、第4、第5、第6、もしくは第7の態様に記載の本発明の方法の場合、ステップ(b)の反応は、4~9のpHで実施される。一部の実施形態では、ステップ(b)の反応は、4.5~8.5、5~8.5、5~8、5~7.5、5~7、5~6.5、または5.5~6.5のpHで実施される。他の実施形態では、ステップ(b)の反応は、pH5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、または8.0で実施される。
【0094】
一部の実施形態では、本明細書または第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、または第8の態様に記載の本発明の方法の場合、ステップ(b)の反応は、水及び有機溶媒の混合物を含む水溶液中で実施される。上記の任意の好適な有機溶媒を使用することができる。より具体的には、有機溶媒は、DMAである。一部の実施形態では、水溶液は、体積比で、有機溶媒(例えば、DMA)の50%未満、40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、3%未満、2%未満、または1%未満を含む。
【0095】
一部の実施形態では、本明細書または第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、または第8の態様に記載の本発明の方法の場合、修飾細胞傷害剤は、ステップ(b)の細胞結合剤を用いる反応する前に精製されていない。あるいは、修飾細胞傷害剤は、ステップ(b)において細胞結合剤と反応する前に精製される。本明細書に記載の任意の好適な方法は、修飾細胞傷害剤を精製するために使用することができる。特定の実施形態では、本発明は、本方法により調製された単離修飾細胞傷害剤を提供する。単離修飾細胞傷害剤は、細胞結合剤と反応する前に一定期間保存することができる。好ましくは、単離修飾細胞傷害剤は、例えば、精製固体もしくは凍結溶液として、修飾細胞傷害剤の分解を防止する、または低温(例えば、10℃未満もしくは5℃未満)で維持される条件下で保存される。
【0096】
一部の実施形態では、本明細書または上記の実施形態のいずれか1つに記載の本発明の方法の場合、ステップ(b)の細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲートは、精製ステップにかける。この点に関しては、細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲートは、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)、非吸着クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、吸着濾過、選択的沈殿、または他の任意の好適な精製プロセス及びそれらの組み合わせを使用して、混合物の他の構成成分から精製することができる。
【0097】
本発明の一部の実施形態では、細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲートは、単一の精製ステップ(例えば、TFF)を使用して精製される。好ましくは、コンジュゲートは、単一の精製ステップ(例えば、TFF)を使用して精製されて、適切な製剤に交換される。本発明の他の実施形態では、細胞結合剤細胞傷害剤コンジュゲートは、2つの連続した精製ステップを使用して精製される。例えば、コンジュゲートは、最初に、選択的沈殿、吸着濾過、吸着クロマトグラフィー、または非吸着クロマトグラフィーで精製し、続いて、TFFで精製することができる。細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲートの精製が、細胞傷害剤に化学的に結合した細胞結合剤を含む安定なコンジュゲートの単離を可能にすることを、当業者は理解するであろう。
【0098】
任意の好適なTFFシステムは、Pellicon型システム(Millipore、マサチューセッツ州ビルリカ)、Sartoconカセットシステム(Sartorius AG、ニューヨーク州エッジウッド)、及びCentrasette型システム(PallCorp.、ニューヨーク州イーストヒルズ)を含む精製に利用されてもよい。
【0099】
任意の好適な吸着クロマトグラフィー樹脂は、精製に利用されてもよい。好ましい吸着クロマトグラフィー樹脂としては、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、疎水性電荷誘導クロマトグラフィー(HCIC)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、イオン交換クロマトグラフィー、混合モードイオン交換クロマトグラフィー、固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)、染料リガンドクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好適なヒドロキシアパタイト樹脂の例としては、セラミックヒドロキシアパタイト(CHT I型及びII型、Bio-Rad Laboratories、カリフォルニア州ハーキュリーズ)、HA Ultrogelヒドロキシアパタイト(PallCorp.、ニューヨーク州イーストヒルズ)、ならびにセラミックフルオロアパタイト(CFT I型及び型II、Bio-Rad Laboratories、カリフォルニア州ハーキュリーズ)が挙げられる。好適なHCIC樹脂の例は、MEP Hypercel樹脂(Pall Corp.、ニューヨーク州イーストヒルズ)である。好適なHIC樹脂の例としては、ブチル-セファロース、ヘキシル-セファロース、フェニル-セファロース、及びオクチルセファロース樹脂(全てGE Healthcare、ニュージャージー州ピスカタウェイ製)、ならびにMacro-prepメチル及びMacro-Prep t-ブチル樹脂(Biorad Laboratories、カリフォルニア州ハーキュリーズ)が挙げられる。好適なイオン交換樹脂の例としては、SP-セファロース、CM-セファロース、及びQ-セファロース樹脂(全てGE Healthcare、ニュージャージー州ピスカタウェイ製)、ならびにUnosphere S樹脂(Bio-Rad Laboratories、カリフォルニア州ハーキュリーズ)が挙げられる。好適な混合モードイオン交換装置の例としては、Bakerbond ABx樹脂(JT Baker、ニュージャージー州フィリップスバーグ)が挙げられる。好適なIMAC樹脂の例としては、キレート化セファロース樹脂(GE Healthcare、ニュージャージー州ピスカタウェイ)及びProfinity IMAC樹脂(Bio-Rad Laboratories、カリフォルニア州ハーキュリーズ)が挙げられる。好適な染料リガンド樹脂の例としては、Blue Sepharose樹脂(GE Healthcare、ニュージャージー州ピスカタウェイ)及びAffi-gel Blue樹脂(Bio-RadLaboratories、カリフォルニア州ハーキュリーズ)が挙げられる。好適なアフィニティー樹脂の例としては、細胞結合剤が抗体であるプロテインAセファロース樹脂(例えば、MabSelect、GE Healthcare、ニュージャージー州ピスカタウェイ)、及びレクチンアフィニティー樹脂、例えば、Lentil Lectin Sepharose樹脂(GE Healthcare、ニュージャージー州ピスカタウェイ)が挙げられ、細胞結合剤は、適切なレクチン結合部位を有する。あるいは、細胞結合剤に特異的な抗体を使用してもよい。このような抗体は、例えば、Sepharose 4 Fast Flow樹脂(GE Healthcare、ニュージャージー州ピスカタウェイ)に固定化することができる。好適な逆相樹脂の例としては、C4、C8、及びC18樹脂(Grace Vydac、カリフォルニア州エスペリア)が挙げられる。
【0100】
任意の好適な非吸着クロマトグラフィー樹脂を精製が利用されてもよい。好適な非吸着性クロマトグラフィー樹脂の例としては、SEPHADEX(商標)G-25、G-50、G-100、SEPHACRYL(商標)樹脂(例えば、S-200及びS-300)、SUPERDEX(商標)樹脂(例えば、SUPERDEX(商標)75及びSUPERDEX(商標)200)、BIO-GEL(登録商標)樹脂(例えば、P-6、P-10、P-30、P-60、及びP-100)、ならびに当業者らに既知の他のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
一部の実施形態では、精製細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲートは、好適な製剤緩衝液に製剤化される。一部の実施形態では、製剤緩衝液は、亜硫酸水素ナトリウムまたは亜硫酸水素カリウムなどの亜硫酸水素塩を含む。より具体的には、製剤緩衝液は、亜硫酸水素ナトリウムを含む。一部の実施形態では、製剤緩衝液は、5~200μM、10~200μM、10~150μM、20~100μM、30~90μM、40~80μM、50~70μM、40~60μM、45~55μM、または55~65μMの亜硫酸水素塩(例えば、亜硫酸水素ナトリウム)を含む。他の実施形態では、製剤緩衝液は、20、30、40、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、70、80、90、または100μMの亜硫酸水素塩(例えば、亜硫酸水素ナトリウム)を含む。
【0102】
他の実施形態では、製剤緩衝液は、トレハロースをさらに含む。任意の好適な量のトレハロースを使用することができる。一部の実施形態では、製剤緩衝液は、重量比で、トレハロースの2~15%、5~10%、6~10%、または7~9%、または6~8%をさらに含む。
【0103】
別の実施形態では、製剤緩衝液は、4~6、4~5、または4~4.5のpHを有する。他の実施形態では、製剤緩衝液のpHは、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、または5.0である。
【0104】
さらに他の実施形態では、製剤緩衝液は、pH4.2で10mMのコハク酸ナトリウム、50μMの亜硫酸水素ナトリウム、8%のトレロース二水和物、及び0.01%のポリソルバート20を含む。
【0105】
一部の実施形態では、本明細書に記載の本発明の方法の場合、ステップ(a)の反応は、マレイミド基の実質的なスルホン化をもたらさない。一部の実施形態では、マレイミド基の50%、40%、30%、20%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%未満が、スルホン化されている。マレイミドスルホン化の百分率は、亜硫酸水素塩またはメタ亜硫酸水素塩との反応前のイミン含有細胞傷害剤の開始量で除した、マレイミドスルホン化細胞傷害剤(マレイミドのみにスルホン化を有する細胞傷害剤)及びジスルホン化細胞傷害剤(マレイミド及びイミン部分の双方にスルホン化を有する細胞傷害剤)の合計量に等しい。
【0106】
第9の態様では、本発明は、以下の式:
【化12】
またはその薬学的に許容される塩で表される細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲートを調製する方法を提供し、方法は、
(a)以下の式:
【化13】
またはその薬学的に許容される塩で表されるイミン含有細胞傷害剤のイミン部分を、3.1~3.5のpHの水溶液中で、二酸化硫黄、亜硫酸水素塩、またはメタ亜硫酸水素塩と反応させて、以下の式:
【化14】
またはその薬学的に許容される塩で表される修飾細胞傷害剤を形成するステップ、及び
(b)修飾細胞傷害剤またはその薬学的に許容される塩を、細胞結合剤Abと反応させて、細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲートを形成するステップ、
を含み、
Abは、配列番号25のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖及び配列番号26のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖を含む抗CD123抗体であり、
wは、1または2である。
【0107】
一部の実施形態では、第9の態様の方法は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、または第8の態様及びそこに記載された任意の実施形態に記載の反応条件下で実施される。
【0108】
第10の態様では、第9の態様の方法におけるステップ(a)の反応は、3.2~3.4のpHで実施される。より具体的には、pHは、3.3である。
【0109】
一部の実施形態では、ステップ(a)の反応は、緩衝液の存在下で実施される。例示的な緩衝液としては、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、コハク酸緩衝液、またはリン酸緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない。より具体的には、緩衝剤は、コハク酸緩衝剤である。
【0110】
第11の態様では、第9の態様の方法におけるステップ(a)の反応の場合、亜硫酸水素塩1.1~1.6当量またはメタ亜硫酸水素塩0.55~0.8当量を、イミン含有細胞傷害剤1当量と反応させる。残りの反応条件は、上記の、第10の態様及びそこに記載の任意の実施形態に記載の通りである。一部の実施形態では、亜硫酸水素塩1.3~1.5当量またはメタ亜硫酸水素塩0.65~0.75当量を、イミン含有細胞傷害剤1当量と反応させる。より具体的には、亜硫酸水素塩1.4当量またはメタ亜硫酸水素塩0.7当量を、イミン含有細胞傷害剤1当量と反応させる。
【0111】
第12の態様では、第9の態様の方法のステップ(a)の反応は、3.2~3.4のpHで実施され、亜硫酸水素ナトリウム塩1.3~1.5当量を、イミン含有細胞傷害剤1当量と反応させる。一部の実施形態では、反応は、3.3のpHで実施され、亜硫酸水素ナトリウム塩1.4当量を、イミン含有細胞傷害剤1当量と反応させる。
【0112】
一部の実施形態では、第9、第10、第11、または第12の態様の方法のステップ(a)の反応は、好適な溶媒または溶媒混合物中で実施される。一部の実施形態では、ステップ(a)の反応は、水及び有機溶媒の混合物を含む水溶液中で実施される。上記の任意の好適な有機溶媒を使用することができる。より具体的には、有機溶媒は、DMAである。一部の実施形態では、水溶液は、体積比で、有機溶媒(例えば、DMA)の50%未満、40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、3%未満、2%未満、または1%未満を含む。
【0113】
一部の実施形態では、ステップ(a)の反応は、好適な温度、例えば、室温または15~25℃で、十分な期間、例えば、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、15時間、20時間、24時間、48時間などで実施される。
【0114】
一部の実施形態では、ステップ(a)の反応から得られた修飾細胞傷害剤は、ステップ(b)における細胞結合剤との反応前に精製されていない。
【0115】
一部の実施形態では、ステップ(a)の反応から得られた修飾細胞傷害剤は、ステップ(b)における細胞結合剤との反応前に精製されている。本明細書に記載の任意の好適な精製方法を使用することができる。
【0116】
第13の態様では、第9の態様の方法におけるステップ(b)の反応は、5.5~6.5のpHで実施され、残りの反応条件は、第9、第10、第11、または第12の態様に記載の通りである。一部の実施形態では、pHは、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、または6.5である。一部の実施形態では、pHは、6.0である。
【0117】
一部の実施形態では、第9、第10、第11、第12、または第13の態様の方法により調製されたコンジュゲートは、本明細書に記載の好適な方法により精製される。一実施形態では、コンジュゲートは、精製コンジュゲートを得るために、タンジェンシャルフロー濾過で精製される。
【0118】
一部の実施形態では、精製コンジュゲートは、4~5のpHを有する40~80μMの亜硫酸水素ナトリウムを含む製剤緩衝液中で製剤化される。一部の実施形態では、製剤緩衝液は、4.2のpHを有する50μMの亜硫酸水素ナトリウムを含む。一部の実施形態では、製剤緩衝液は、pH4.2の、10mMのコハク酸ナトリウム、50μMの亜硫酸水素ナトリウム、8%のトレロース二水和物、及び0.01%のポリソルバート20を含む。
【0119】
一部の実施形態では、本明細書(例えば、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、または第8の態様及びそこに記載された任意の実施形態)に記載の本発明の方法の場合、細胞結合剤は、抗CD123抗体ではない。
【0120】
一部の実施形態では、本明細書(例えば、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、または第8の態様及びそこに記載された任意の実施形態)に記載の本発明の方法の場合、細胞結合剤は、配列番号25のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖及び配列番号26のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖を含む抗CD123抗体ではない。
【0121】
一部の実施形態では、本明細書(例えば、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、または第8の態様及びそこに記載された任意の実施形態)に記載の本発明の方法により調製された細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲートは、下記の構造:
【化15】
またはその薬学的に許容される塩で表されるコンジュゲートではなく、Abは、配列番号25のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖及び配列番号26のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖を含む抗CD123抗体であり、
wは、1または2である。
【0122】
本発明のイミン含有細胞傷害剤及びコンジュゲート
一部の実施形態では、本明細書に記載の本発明の方法の場合、イミン含有細胞傷害剤は、以下の式:
【化16】
またはその薬学的に許容される塩で表され、
細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲートは、以下の式:
【化17】
で表され、
は、以下の式:
【化18】
またはその薬学的に許容される塩で表される修飾イミン部分を含む修飾細胞傷害剤であり、Lは、リンカーであり、
【化19】
は、チオール基を介して細胞傷害剤に結合している細胞結合剤を表し、wは、1~10の整数である。
【0123】
一部の実施形態では、CBAは、抗体であり、抗体は、1つ以上のシステインチオール基を介して細胞傷害剤に結合している。一部の実施形態では、遊離チオール基は、抗体の重鎖CH3領域の重鎖の操作Cys残基上、EU/OUナンバリング442位(または、略して、C442)にある。より具体的には、442位のシステイン残基が、抗体に組み換え導入される。
【0124】
他の実施形態では、wは、1または2である。より具体的には、wは、2である。
【0125】
以下は、特定の実施形態ならびに本明細書(例えば、上述の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、または第8の態様の方法及びそこに記載の実施形態)に記載の本発明の方法の具体的な実施形態について記載する。
【0126】
第1の具体的な態様では、式(A)のイミン含有細胞傷害剤または式(B)のコンジュゲートの場合、Dは、以下の構造式:
【化20】
【化21】
またはその薬学的に許容される塩で表され、
L’、L’’、及びL’’’のうちの1つは、以下の式:
-Z-P-Z-Rx1-C(=O)- (A’)、または
-N(R)-Rx1-C(=O)- (D’)、
で表され、
他の2つは、それぞれ独立して、-H、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、または環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHO)-R、ハロゲン、グアニジニウム[-NH(C=NH)NH]、-OR、-NR’R’’、-NO、-NR’COR’’、-SR、-SOR’、-SOR’、-SOH、-OSOH、-SONR’R’’、シアノ、アジド、-COR’、-OCOR’、及び-OCONR’R’’から選択され、
及びZのうちの一方は、-C(=O)-であり、他方は、-NR-であり、
は、アミノ酸残基または2~20のアミノ酸残基を含有するペプチドであり、
x1は、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、または環状アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり、
は、-H、1~10の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル、または-(CH-CH-O)-Rであり、Rは、-H、2級アミノ(例えば、-NHR101)もしくは3級アミノ(-NR101102)基を任意に有する、1~6つの炭素原子を有する直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、または5もしくは6員窒素含有複素環、例えば、ピペリジンもしくはモルホリン、であり、R101及びR102は、それぞれ独立して、1~10の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、アルケニル、もしくはアルキニルであり、
Rは、出現毎に独立して、-H、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHO)-R、6~18の炭素原子を有する任意に置換されているアリール、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する任意に置換されている5~18員ヘテロアリール環、または独立してO、S、N、及びPから選択される1~6つのヘテロ原子を含有する任意に置換されている3~18員複素環式環からなる群より選択され、
R’及びR’’は、それぞれ独立して、-H、-OH、-OR、-NHR、-NR、-COR、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、または環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHO)-R、ならびに、独立してO、S、N、及びPから選択される1~6つのヘテロ原子を有する任意に置換されている3~18員複素環式環から選択され、
は、-H、または1~4つの炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状もしくは分枝状アルキルであり、
nは、1~24の整数であり、
’は、-H、アミン保護基、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、または環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHO)-R、6~18の炭素原子を有する任意に置換されているアリール、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する任意に置換されている5~18員ヘテロアリール環、ならびに独立してO、S、N、及びPから選択される1~6つのヘテロ原子を含有する任意に置換されている3~18員複素環式環から選択され、
’は、-H、オキソ基(すなわち、Y’、及びY’が結合している炭素原子は、-C(=O)-基を形成する)、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、または環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル、任意に置換されている6~18員アリール、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する任意に置換されている5~18員ヘテロアリール環、1~6つのヘテロ原子を有する任意に置換されている3~18員複素環式環から選択され、
、R、R、R、R’、R’、R’、及びR’は、それぞれ独立して、-H、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、または環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHO)-R、ハロゲン、グアニジニウム[-NH(C=NH)NH]、-OR、-NR’R’’、-NO、-NCO、-NR’COR’’、-SR、-SOR’、-SOR’、-SOH、-OSOH、-SONR’R’’、シアノ、アジド、-COR’、-OCOR’、及び-OCONR’R’’からなる群より選択され、
は、-H、-R、-OR、-SR、-NR’R’’、-NO、またはハロゲンであり、
Gは、-CH-または-N-であり、
A及びA’は、同じか、または異なっており、独立して、-O-、オキソ(-C(=O)-)、-CRR’O-、-CRR’-、-S-、-CRR’S-、-NR、及び-CRR’N(R)-から選択され、
は、出現毎に独立して、-H、または1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状または分枝状アルキルである。
【0127】
より具体的な実施形態では、Dは、式(IGN1’)または(IGN1)で表される。
【0128】
別のより具体的な実施形態では、式(IGN1’)~(IGN4’)及び(IGN1)~(IGN4)の場合、L’、L’’、及びL’’’のうちの1つは、式(A’)または(D’)で表され、残りのものは、-H、1~6つの炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル、ハロゲン、-OH、(C-C)アルコキシ、または-NOである。
【0129】
別のより具体的な実施形態では、式(IGN1’)~(IGN4’)及び(IGN1)~(IGN4)の場合、L’は、式(A’)で表され、L’’及びL’’’は双方ともに、-Hである。
【0130】
別のより具体的な実施形態では、式(IGN1’)~(IGN4’)及び(IGN1)~(IGN4)の場合、L’は、式(D’)で表され、L’’及びL’’’は双方ともに、-Hである。
【0131】
別のより具体的な実施形態では、式(IGN1’)~(IGN4’)及び(IGN1)~(IGN4)の場合、Rx1は、ハロゲン、-OH、-SOH、(C-C)アルキル、(C-C)アルコキシ、ハロ(C-C)アルキル、または荷電置換基もしくはイオン化可能な基Qで任意に置換されている、1~6つの炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環状アルキルである。
【0132】
第2の具体的な態様では、式(IGN1’)~(IGN4’)及び(IGN1)~(IGN4)の場合、L’は、以下の式:
-NR-P-C(=O)-(CR-C(=O)- (B1’)、
-NR-P-C(=O)-Cy-(CRs1’-C(=O)- (B2’)、
-C(=O)-P-NR-(CR-C(=O)- (Cl’)、または
-C(=O)-P-NR-Cy-(CRs1’-C(=O)- (C2’)
で表され、
及びRは、出現毎にそれぞれ独立して、-H、(C-C)アルキルまたは荷電置換基もしくはイオン化可能な基Qであり、
sは、1~6の整数であり、
s1’は、0または1~6の整数であり、
Cyは、ハロゲン、-OH、(C-C)アルキル、(C-C)アルコキシ、またはハロ(C-C)アルキルで任意に置換されている5または6つの環炭素原子を有する環状アルキルであり、
残りの変数は、第1の具体的な態様またはそこに記載の任意の具体的な、またはより具体的な実施形態に記載の通りである。
【0133】
より具体的な実施形態では、R及びRは双方ともに、Hであり、式(B2’)及び(C2’)中のCyは、シクロヘキサンであり、Rは、HまたはMeである。さらに具体的には、s1’は、0または1である。
【0134】
第3の具体的な態様では、式(IGN1’)-(IGN4’)及び(IGN1)-(IGN4)の場合、Pは、2~10のアミノ酸残基を含有するペプチドであり、残りの変数は、第1もしくは第2の具体的な態様またはそこに記載の任意の具体的なもしくはより具体的な実施形態に記載の通りである。
【0135】
具体的な実施形態では、Pは、2~5つのアミノ酸残基を含有するペプチドである。
【0136】
別の具体的な実施形態では、Pは、Gly-Gly-Gly、Ala-Val、Val-Cit、Val-Lys、Phe-Lys-Lys-Lys、Ala-Lys、Phe-Cit、Leu-Cit、Ile-Cit、Trp、Cit、Phe-Ala、Phe-N-トシル-Arg、Phe-N-ニトロ-Arg、Phe-Phe-Lys、D-Phe-Phe-Lys、Gly-Phe-Lys、Leu-Ala-Leu、Ile-Ala-Leu、Val-Ala-Val、Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号1)、β-Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号2)、Gly-Phe-Leu-Gly(配列番号3)、Val-Arg、Arg-Arg、Val-D-Cit、Val-D-Lys、Val-D-Arg、D-Val-Cit、D-Val-Lys、D-Val-Arg、D-Val-D-Cit、D-Val-D-Lys、D-Val-D-Arg、D-Arg-D-Arg、Ala-Ala、Ala-D-Ala、D-Ala-Ala、D-Ala-D-Ala、Ala-Met、Gln-Val、Asn-Ala、Gln-Phe、及びGln-Alaである。さらにより具体的には、Pは、Gly-Gly-Gly、Ala-Val、Ala-Ala、Ala-D-Ala、D-Ala-Ala、またはD-Ala-D-Alaである。
【0137】
第4の具体的な態様では、式(IGN1’)~(IGN4’)及び(IGN1)~(IGN4)の場合、X’は、-H、-OH、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状または環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル、及びフェニルからなる群より選択され;Y’は、-H、オキソ基、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、または環状のアルキル、アルケニル、またはアルキニルからなる群より選択され;残りの変数は、上記の、第1、第2、もしくは第3の具体的な態様またはそこに記載の任意の具体的な、もしくはより具体的な実施形態で記載の通りである。より具体的には、X’は、-H、-OH、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、またはフェニルであり、Y’は、-H、オキソ基、(C-C)アルキル、またはハロ(C-C)アルキルである。別のより具体的な実施形態では、X’は、-H、-OH、または-Meであり、Y’は、-Hまたはオキソである。さらにより具体的には、X’は、-Hであり、Y’は、-Hである。
【0138】
第5の具体的な態様では、式(IGN1’)~(IGN4’)及び(IGN1)~(IGN4)の場合、A及びA’は、同じか、または異なっており、-O-、-S-、-NR-、またはオキソ-(C=O)-であり、残りの変数は、第1、第2、第3、もしくは第4の具体的な態様またはそこに記載の任意の具体的な、もしくはより具体的な実施形態に記載の通りである。より具体的には、A及びA’は、同じか、または異なっており、-O-または-S-である。さらに具体的には、A及びA’は、-O-である。
【0139】
第6の具体的な態様では、式(IGN1’)~(IGN4’)及び(IGN1)~(IGN4)の場合、Rは、-ORであり、Rは、1~6つの炭素原子を有するアルキル基であり、残りの変数は、第1、第2、第3、第4、もしくは第5の具体的な態様またはそこに記載の任意の具体的な、もしくはより具体的な実施形態に記載の通りである。より具体的には、Rは、-OMeである。
【0140】
第7の具体的な態様では、式(IGN1)~(IGN4)の場合、R、R、R、R、R’、R’、R’及びR’は、それぞれ独立して、-H、ハロゲン、-NO、-OH、(C-C)アルキル、ハロ(C-C)アルキル、または(C-C)アルコキシであり、残りの変数は、第1、第2、第3、第4、第5、もしくは第6の具体的な態様またはそこに記載の任意の具体的な、もしくはより具体的な実施形態に記載の通りである。より具体的には、R、R、R、R、R’、R’、R’及びR’は全て、-Hである。
【0141】
第8の具体的な態様では、式(IGN1’)~(IGN4’)及び(IGN1)~(IGN4)の場合、R、R’、R’’、及びRは、それぞれ独立して、-Hまたは(C-C)アルキルであり、残りの変数は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、もしくは第7の具体的な態様またはそこに記載の任意の具体的な、もしくはより具体的な実施形態に記載の通りである。
【0142】
第9の具体的な態様では、式(IGN1’)~(IGN4’)及び(IGN1)~(IGN4)の場合、
、R、R、R、R’、R’、R’及びR’は全て、-Hであり、
は、-OMeであり、
’及びY’は双方ともに、-Hであり、
A及びA’は、-O-であり、
残りの変数は、上記第1、第2、または第3の具体的な態様またはそこに記載の任意の具体的な、もしくはより具体的な実施形態に記載の通りである。より具体的には、R、R’、R’’、及びRは、それぞれ独立して、-Hまたは(C-C)アルキルである。さらにより具体的には、R、R’、R’’、及びRは全て、-Hである。
【0143】
第10の具体的な態様では、式(A)のイミン含有細胞傷害剤または式(B)のコンジュゲートの場合、Dは、以下の構造式:
【化22】

【化23】
【化24】
またはその薬学的に許容される塩で表され、残りの変数は、上記の式(A)または(B)に記載されている。
【0144】
第11の具体的な態様では、式(A)のイミン含有細胞傷害剤または式(B)のコンジュゲートの場合、-L-は、以下の構造式:
【化25】
で表され、
s1は、Dに共有結合している部位であり、s2は、マレイミド基に共有結合している部位であり、
23及びR24は、出現毎に独立して、Hまたは任意に置換されているアルキルであり、
m’は、0~10の整数であり、
’は、Hまたは任意に置換されているアルキルであり、
残りの変数は、式(A)または式(B)の場合、上に、あるいは、第1~第10の具体的な態様、またはそこに記載の任意の具体的な、もしくはより具体的な実施形態に記載の通りである。
【0145】
具体的な実施形態では、m’は、1~6の整数である。さらに具体的には、m’は、1~3の整数である。
【0146】
別の具体的な実施形態では、R23及びR24は、出現毎に独立して、Hまたは(C-C)アルキルである。さらにより具体的には、R23及びR24は双方ともに、Hである。
【0147】
別の具体的な実施形態では、R’は、Hまたは(C-C)アルキルである。より具体的には、R’は、Hである。
【0148】
別の具体的な実施形態では、R23及びR24は双方ともに、Hであり、m’は、1~6の整数である。さらに具体的には、m’は、1~3の整数である。
【0149】
第12の具体的な態様では、式(A)のイミン含有細胞傷害剤または式(B)のコンジュゲートの場合、-L-は、以下の構造式:
【化26】
で表され、
s1は、Dに共有結合している部位であり、s2は、マレイミド基に共有結合している部位であり、残りの変数は、式(A)または式(B)の場合、上に、あるいは、第1~第10の具体的な態様、またはそこに記載の任意の具体的な、もしくは具体的な実施形態に記載の通りである。
【0150】
第13の具体的な態様では、イミン含有細胞傷害剤は、以下の式:
【化27】
またはその薬学的に許容される塩で表され、修飾細胞傷害剤は、以下の式:
【化28】
またはその薬学的に許容される塩で表される。より具体的には、修飾細胞傷害剤は、以下の式:
【化29】
またはそのナトリウム塩もしくはカリウム塩で表される。さらに具体的には、修飾細胞傷害剤は、以下の式:
【化30】
で表される。
【0151】
一部の実施形態では、イミン含有細胞傷害剤は、以下の式:
【化31】
またはその薬学的に許容される塩で表され、修飾細胞傷害剤は、以下の式:
【化32】
またはその薬学的に許容される塩で表される。より具体的には、修飾細胞傷害剤は、以下の式:
【化33】
またはそのナトリウム塩もしくはカリウム塩で表される。さらに具体的には、修飾細胞傷害剤は、以下の式:
【化34】
で表される。
【0152】
第14の具体的な態様では、式(A)のイミン含有細胞傷害剤または式(B)のコンジュゲートの場合、Dは、以下の構造式:
【化35】
【化36】
またはその薬学的に許容される塩で表され、
X’は、-H、-OH、1~10の炭素原子を有する置換もしくは非置換の直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル、フェニル、及びアミン保護基からなる群より選択され、
Y’は、-H、オキソ基、1~10の炭素原子を有する置換もしくは非置換の直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、アルケニル、もしくはアルキニルからなる群より選択され、
A及びA’は、-O-及び-S-であり、
W’は、存在しないか、または-O-、-N(R)-、-N(R)-C(=O)-、-N(C(=O)R)-、-S-、もしくは-CH-S-、-CHNR-から選択され、
は、存在しないか、または1~10の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキルから選択され、
は、-H、1~10の炭素原子を有する直鎖状、分枝状もしくは環状アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル、または-(CH-CH-O)-Rであり、Rは、-H、2級アミノ(例えば、-NHR101)もしくは3級アミノ(-NR101102)基を任意に有する、1~6つの炭素原子を有する直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、または5もしくは6員窒素含有複素環であり、R101及びR102は、それぞれ独立して、1~10の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、アルケニル、もしくはアルキニルであり、
nは、1~24の整数であり、
Gは、-CH-または-N-から選択され、
は、-H、-R、-OR、-SR、-NR’R’’、-NO、またはハロゲンであり、
Rは、-H、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル、またはPEG基-(CHCHO)-Rであり、nは、1~24の整数であり、Rは、1~4つの炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキルであり、
R’及びR’’は、それぞれ独立して、-H、-OH、-OR、-NRRg’、-COR、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル、6~18の炭素原子を有する任意に置換されているアリール、O、S、N、及びPから選択される1~6つのヘテロ原子を有する任意に置換されている3~18員複素環式環、PEG基-(CHCHO)-Rから選択され、Rg’は、-H、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル、またはPEG基-(CHCHO)-Rである。
【0153】
より具体的な実施形態では、Dは、上記の式(IGN5’)もしくは(IGN5)、またはそれらの薬学的に許容される塩で表される。
【0154】
別の具体的な実施形態では、式(IGN5’)~(IGN8’)及び(IGN5)~(IGN8)の場合、
X’及びY’は双方ともに、-Hであり、
A及びA’は双方ともに、-O-であり、
は、-OMeであり、
W’は、-N(R)-または-N(R)-C(=O)-であり、
は、-H、1~4つの炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル、または-(CH-CH-O)-Rであり、Rは、-H、1~4つの炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキルであり、nは、2~6の整数であり、
は、1~6つの炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキルである。
【0155】
第15の具体的な態様では、式(A)のイミン含有細胞傷害剤または式(B)のコンジュゲートの場合、Dは、以下の構造式:
【化37】
【化38】
またはその薬学的に許容される塩で表され、残りの変数は、式(A)または(B)の場合、上記の通りである。
【0156】
第16の具体的な態様では、式(A)のイミン含有細胞傷害剤または式(B)のコンジュゲートの場合、-L-は、以下の構造式:
【化39】
で表され、
s1は、Dに共有結合している部位であり、s2は、マレイミド基と共有結合している部位であり、
Eは、-(CR1011-、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルであり、
Zは、存在しないか、-SONR-、-NRSO-、-C(=O)-NR-、-NR-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NR-(CHCHO)-、-NR-C(=O)-(CHCHO)-、-(OCHCH-C(=O)NR-、または-(OCHCH-NR-C(=O)-であり、
pは、1~24の整数であり、
Qは、H、荷電置換基、またはイオン化可能な基であり、
、R10、R11、R12、及びR13は、出現毎に独立して、Hまたは任意に置換されているアルキルであり、
q及びrは、出現毎に独立して、0~10の整数であり、残りの変数は、式(A)もしくは式(B)の場合、上に、または第14もしくは第15の具体的な態様もしくはそこに記載の任意の具体的な、またはより具体的な実施形態で記載の通りである。
【0157】
より具体的な実施形態では、q及びrは独立して、1~6、より具体的には、1~3の整数である。
【0158】
別のより具体的な実施形態では、R、R10、R11、R12、及びR13は、出現毎に独立して、HまたはC1~3アルキルである。より具体的には、R、R10、R11、R12、及びR13は全て、Hである。
【0159】
別のより具体的な実施形態では、pは、2~14の整数である。より具体的には、pは、2~8、2~6、または2~4の整数である。
【0160】
より具体的な実施形態では、Eは、-(CR1011-であり、式(L2)の残りの変数は、上記の、第16の具体的な態様に記載の通りである。
【0161】
別のより具体的な実施形態では、Eは、
【化40】
であり、式(L2)中の残りの変数は、上記の第16の具体的な態様に記載の通りである。
【0162】
さらに別の具体的な実施形態では、Zは、-C(=O)-NR-または-NR-C(=O)-であり;式(L2)中の残りの変数は、上記の、第16の具体的な態様または上記の任意の具体的な、もしくはより具体的な実施形態に記載の通りである。さらにより具体的には、Rは、HまたはMeである。あるいは、Rは、Hである。
【0163】
さらに別のより具体的な実施形態では、Qは、i)H;ii)-SOH、-Z’-SOH、-OPO、-Z’-OPO、-PO、-Z’-PO、-COH、-Z’-COH、-NR1415、もしくは-Z’-NR1415、またはそれらの薬学的に許容される塩;あるいは、iii)-N141516または-Z’-N141516であり、Z’は、任意に置換されているアルキレン、任意に置換されているシクロアルキレン、または任意に置換されているフェニレン、R14~R16は、それぞれ独立して、任意に置換されているアルキルであり、Xは、薬学的に許容されるアニオンであり、式(L2)の残りの変数は、上記の、第16の具体的な実施形態または上記の任意のより具体的な実施形態に記載の通りである。一部の実施形態では、Z’は、任意に置換されているアルキレンである。さらに他の実施形態では、Z’は、C1-3アルキレン(例えば、-CH)であり、R16~R14は、それぞれ独立して、C1-4アルキルである。
【0164】
さらに別の具体的な実施形態では、Qは、H、もしくは-SOH、または薬学的に許容される陽イオン(例えば、ナトリウム塩もしくはカリウム塩)であり、式(L2)の残りの変数は、上記の、第16の具体的な態様または上記の任意の具体的な、もしくはより具体的な実施形態に記載の通りである。
【0165】
別のより具体的な実施形態では、式(L2):の場合、
12及びR13は、出現毎にそれぞれ独立して、Hまたは(C-C)アルキルであり、
Qは、Hまたは-SOHもしくはその薬学的に許容される塩であり、
Zは、-C(=O)-NR-または-NR-C(=O)-であり、
は、Hまたは(C-C)アルキルであり、
Eは、-(CR1011-であり、
10及びR11は、出現毎に独立して、Hまたは(C-C)アルキルであり、
q及びrはそれぞれ、1~5の整数である。
【0166】
第17の具体的な態様では、式(A)のイミン含有細胞傷害剤または式(B)のコンジュゲートの場合、-L-は、以下の構造式:
【化41】
またはその薬学的に許容される塩(例えば、ナトリウムもしくはカリウム塩)のうちのいずれか1つで表され、S1は、Dに共有結合している部位であり、S2は、マレイミド基に共有結合している部位であり、q及びrは、それぞれ独立して、1~6の整数であり、残りの変数は、式(A)もしくは式(B)の場合、上に、あるいは第14または第15の具体的な態様またはそこに記載の任意の具体的な、もしくはより具体的な実施形態に記載の通りである。より具体的には、q及びrは、それぞれ独立して、1~3の整数である。
【0167】
第18の具体的な態様では、式(A)のイミン含有細胞傷害剤または式(B)のコンジュゲートの場合、-L-は、以下の構造式:
【化42】
またはその薬学的に許容される塩(例えば、ナトリウムもしくはカリウム塩)のうちのいずれか1つで表され、s1は、Dに共有結合している部位であり、s2は、マレイミド基に共有結合している部位であり、残りの変数は、式(A)または式(B)の場合、上に、あるいは、第14もしくは第15の具体的な態様、またはそこに記載の任意の具体的な、もしくは具体的な実施形態に記載の通りである。
【0168】
第19の具体的な態様では、式(A)のイミン含有細胞傷害剤または式(B)のコンジュゲートの場合、-L-は、以下の構造式:
【化43】
で表され、
s1は、Dに共有結合している部位であり、s2は、マレイミド基に共有結合している部位であり、
19、R20、R21、及びR22は、出現毎に独立して、Hまたは任意に置換されているアルキルであり、
m及びnは、それぞれ独立して、0~10の整数であり、
は、Hまたは任意に置換されているアルキルであり、
は、任意に置換されているアルキレン、-(CH-CH-O)-(式中、酸素原子は、Pに連結されている-(C=O)-に連結されている)、アミノ酸残基、または2~20のアミノ酸残基を含有するペプチドであり、
jは、1~24の整数であり、残りの変数は、式(A)または式(B)の場合、上に、あるいは第14または第15の具体的な態様、またはそこに記載の任意の具体的な、もしくはより具体的な実施形態に記載の通りである。
【0169】
第20の具体的な態様では、式(L3)の場合、R19、R20、R21、及びR22はそれぞれ、Hまたは(C-C)アルキルであり、m及びnは、それぞれ独立して、1~6の整数であり、残りの変数は、上記の、第19の具体的な実施形態またはそこに記載の任意の具体的な、またはより具体的な実施形態に記載の通りである。より具体的には、R19、R20、R21、及びR22は全て、Hである。さらにより具体的には、R19、R20、R21、及びR22は全て、Hであり、m及びnは、それぞれ独立して、1~3の整数である。
【0170】
第21の具体的な態様では、式(L3)の場合、Pは、アミノ酸残基、または2~10のアミノ酸残基を含有するペプチドであり、残りの変数は、上記の、第19もしくは第20の具体的な態様またはそこに記載の任意の具体的な、もしくはより具体的な実施形態に記載の通りである。より具体的には、Pは、2~5つのアミノ酸残基を含有するペプチドである。
【0171】
一部の実施形態では、各アミノ酸残基は、独立して、天然に存在するアミノ酸、合成アミノ酸、アミノ酸アナログ、及び天然に存在するアミノ酸と類似の方法で機能するアミノ酸模倣物から選択されるアミノ酸の残基である。
【0172】
他の実施形態では、各アミノ酸残基は、独立してヒスチジン、アラニン、イソロイシン、アルギニン、ロイシン、アスパラギン、リシン、アスパラギン酸、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、グルタミン酸、トレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、プロリン、セリン、チロシン、N-メチル-ヒスチジン、N-メチル-アラニン、N-メチル-イソロイシン、N-メチル-アルギニン、N-メチル-ロイシン、N-メチル-アスパラギン、N-メチル-リシン、N-メチル-アスパラギン酸、N-メチル-メチオニン、N-メチル-システイン、N-メチル-フェニルアラニン、N-メチル-グルタミン酸、N-メチル-トレオニン、N-メチル-グルタミン、N-メチル-トリプトファン、N-メチル-グリシン、N-メチル-バリン、N-メチル-プロリン、N-メチル-セリン、N-メチル-チロシン、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタマート、セリノシステイン、O-ホスホセリン、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム、シトルリン、オルニチン、システインスルホン酸、システインスルフィン酸、3-アミノアラニン、3-ジメチルアミノアラニン、2-アミノ-4-(ジメチルアミノ)ブタン酸、2,4-ジアミノブタン酸、2-アミノ-6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸、2-アミノ-5-(ジメチルアミノ)ペンタン酸、及びβ-アラニンから選択されるアミノ酸の残基であり、それぞれは、独立して、LまたはD異性体である。より具体的には、各アミノ酸残基は、独立して選択されるグリシンまたはアラニンの残基である。
【0173】
他の実施形態では、Pは、プロテアーゼで切断可能なペプチドである。より具体的には、Pは、腫瘍組織で発現されるプロテアーゼで切断可能なペプチドである。あるいは、Pは、リソソームプロテアーゼで切断可能なペプチドである。
【0174】
さらに他の実施形態では、Pは、Ala-Val、Val-Cit、Val-Lys、Phe-Lys、Lys-Lys、Ala-Lys、Phe-Cit、Leu-Cit、Ile-Cit、Trp-Cit、Phe-Ala、Phe-N-トシル-Arg、Phe-N-ニトロ-Arg、Phe-Phe-Lys、D-Phe-Phe-Lys、Gly-Phe-Lys、Leu-Ala-Leu、Ile-Ala-Leu、Val-Ala-Val、Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号1)、β-Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号2)、Gly-Phe-Leu-Gly(配列番号3)、Val-Arg、Arg-Arg、Val-D-Cit、Val-D-Lys、Val-D-Arg、D-Val-Cit、D-Val-Lys、D-Val-Arg、D-Val-D-Cit、D-Val-D-Lys、D-Val-D-Arg、D-Arg-D-Arg、Ala-Ala、Ala-D-Ala、D-Ala-Ala、D-Ala-D-Ala、Ala-Met、Met-Ala、Gln-Val、Asn-Ala、Gln-Phe、Gln-Ala、Gly-Gly-Gly、Ala-Ala-Ala、D-Ala-Ala-Ala、Ala-D-Ala-Ala、Ala-Ala-D-Ala、Ala-Val-Cit、Ala-Val-Ala、及びβ-Ala-Gly-Gly-Glyからなる群より選択される。より具体的には、Pは、Gly-Gly-Gly、Ala-Ala-Ala、D-Ala-Ala-Ala、Ala-D-Ala-Ala、Ala-Val-Ala、またはβ-Ala-Gly-Gly-Glyである。
【0175】
第22の具体的な態様では、式(A)のイミン含有細胞傷害剤または式(B)のコンジュゲートの場合、-L-は、以下の構造式:
【化44】
またはその薬学的に許容される塩で表され、s1は、Dに共有結合している部位であり、s2は、マレイミド基に共有結合した部位であり、残りの変数は、式(A)もしくは式(B)の場合、上に、または、第14もしくは第15の具体的な態様に記載の通りである。
【0176】
第23の具体的な態様では、イミン含有細胞傷害剤は、以下の式:
【化45】
またはその薬学的に許容される塩で表され、修飾細胞傷害剤は、以下の式:
【化46】
またはその薬学的に許容される塩で表される。
【0177】
より具体的な実施形態では、修飾細胞傷害剤は、以下の式:
またはそのナトリウム塩もしくはカリウム塩で表される。さらに具体的には、修飾細胞傷害剤は、以下の式:
【化47】
またはそのナトリウム塩もしくはカリウム塩で表される。さらに具体的には、修飾細胞傷害剤は、以下の式:
【化48】
で表される。
【0178】
一部の実施形態では、イミン含有細胞傷害剤は、以下の式:
【化49】
またはその薬学的に許容される塩で表され、修飾細胞傷害剤は、以下の式:
【化50】
またはその薬学的に許容される塩で表される。
【0179】
第24の具体的な態様では、本発明の方法により調製することができるコンジュゲートは、以下の構造式:
【化51】
【化52】
【化53】
【化54】
【化55】
【化56】
またはその薬学的に許容される塩(例えば、ナトリウム塩もしくはカリウム塩)で表される。
【0180】
一態様では、式(A)のイミン含有細胞傷害剤または式(B)のコンジュゲートの場合、Dは、イミン含有PBD化合物である。
【0181】
第25の具体的な態様では、式(A)のイミン含有細胞傷害剤または式(B)のコンジュゲートの場合、Dは、以下の式:
【化57】
またはその薬学的に許容される塩で表され、
Wは、C=O、C=S、CH、BH、SO、及びSOから選択され、
’は、-H、アミン保護基、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、または環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHO)-R、6~18の炭素原子を有する任意に置換されているアリール、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する任意に置換されている5~18員ヘテロアリール環、ならびに独立してO、S、N、及びPから選択される1~6つのヘテロ原子を含有する任意に置換されている3~18員複素環式環から選択され、
’は、-H、オキソ基、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、または環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル、任意に置換されている6~18員アリール、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する任意に置換されている5~18員ヘテロアリール環、1~6つのヘテロ原子を有する任意に置換されている3~18員複素環式環から選択され、
は、-H、-R、-OR、-SR、-NR’R’’、-NO、またはハロゲンであり、
A及びA’は、同じか、または異なっており、独立して-O-、オキソ(-C(=O)-)、-CRR’O-、-CRR’-、-S-、-CRR’S-、-NR、及び-CRR’N(R)-から選択され、
Rは、出現毎に独立して、-H、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHO)-R、6~18の炭素原子を有する任意に置換されているアリール、独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する任意に置換されている5~18員ヘテロアリール環、または独立してO、S、N、及びPから選択される1~6つのヘテロ原子を含有する任意に置換されている3~18員複素環式環からなる群より選択され、
R’及びR’’は、それぞれ独立して、-H、-OH、-OR、-NHR、-NR、-COR、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、または環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHO)-R、ならびに、独立してO、S、N、及びPから選択される1~6つのヘテロ原子を有する任意に置換されている3~18員複素環式環から選択され、
は、-H、または1~4つの炭素原子を有する置換もしくは非置換の直鎖状もしくは分枝状アルキル、またはそこに結合している反応性基を有する連結基であり、
nは、1~24の整数であり、
は、出現毎に独立して、-H、または1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状または分枝状アルキルであり、
及びD’は、同じか、または異なっており、独立して、存在しないか、または1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、または環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル、アミノ酸、2~6のアミノ酸を有するペプチド、及びポリエチレングリコール単位(-OCHCH-であり、
Lは、存在しないか、リンカー、ポリエチレングリコール単位(-OCHCH-、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキルもしくはアルケニル、任意に置換されているフェニル基、任意に置換されている3~18員複素環式環、または独立してO、S、N、及びPから選択される1~6つのヘテロ原子を有する5~18員ヘテロアリール環であり、
、R’、R、及びR’は、同じか、または異なっており、独立して-H、ハロゲン、または1~10の炭素原子を有する任意に置換されている分枝状、直鎖状、または環状アルキル基から選択されるか、あるいは、R及びR’ならびに/またはR及びR’が共に、それぞれ=B及び=B’を含有する二重結合を形成し、
=B及び=B’は、同じか、または異なっており、独立して任意に置換されている分枝状または直鎖状アルケニルまたはカルボニル基から選択され、
Qは、Q-Ar-Qであり、
Q’は、Q’-Ar’-Q’であり、
及びQ’は、それぞれ独立して、存在しないか、1~6つの炭素原子を有する直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、または-CH=CH単位であり、
Ar及びAr’は、それぞれ独立して、存在しないか、またはアリール基を表し、
及びQ’は、それぞれ独立して、-H、リンカー、1~10の炭素原子を有する置換もしくは非置換の直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-Rc’-(OCHCH-R、または、ハロゲン、グアニジニウム[-NH(C=NH)NH]、-R、-OR、-NR’R’’、-NO、-NCO、-NR’COR’’、NR’(C=O)OR’’-SR、-SOR’で表されるスルホキシド、-SOR’で表されるスルホン、スルホナート-SOM、スルファート-OSOM、SONR’R’’で表されるスルホンアミド、シアノ、アジド、-COR’、-OCOR’、もしくは-OCONR’R’’から選択される置換基であり、
c’は、存在しないか、または1~5つの炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル、アルケニル、もしくはアルキニルから選択される。
【0182】
第26の具体的な態様では、式(A)のイミン含有細胞傷害剤または式(B)のコンジュゲートの場合、Dは、以下のもの:
【化58】
【化59】
またはその薬学的に許容される塩のうちの1つから選択され、
式(PBD5’)、(PBD6’)、(PBD7’)、(PBD8’)、(PBD5)、(PBD6)、(PBD7)、または(PBD8)中のL’、L’’、及びL’’’の1つは、以下の式:
-Z-P-Z-Rx1-C(=O)- (A’)、または
-N(R)-Rx1-C(=O)- (D’)
で表され、
他の2つは、それぞれ独立して、-H、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、または環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHO)-R、ハロゲン、グアニジニウム[-NH(C=NH)NH]、-OR、-NR’R’’、-NO、-NR’COR’’、-SR、-SOR’、-SOR’、-SOH、-OSOH、-SONR’R’’、シアノ、アジド、-COR’、-OCOR’、及び-OCONR’R’’から選択され、
式(PBD9’)、(PBD10’)、(PBD9)、または(PBD10)中のQ及びQ’の1つは、以下の式:
-Z-P-Z-Rx1-C(=O)- (A’)、
--N(R)-Rx1-C(=O)- (D’)、または
-Z-P-Z- (E’)
で表され、
他の1つは、-H、-R、-OR、-NR’R’’、-NO、-NR’(C=O)OR’’、-SR、または-NOから選択され、
及びZのうちの一方は、-C(=O)-であり、他方は、-NR-であり、
は、アミノ酸残基または2~20のアミノ酸残基を含有するペプチドであり、
x1は、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、または環状アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり、
は、-H、1~10の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル、または-(CH-CH-O)-Rであり、Rは、-H、2級アミノ(例えば、-NHR101)もしくは3級アミノ(-NR101102)基を任意に有する、1~6つの炭素原子を有する直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、または5もしくは6員窒素含有複素環であり、R101及びR102は、それぞれ独立して、1~10の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、アルケニル、もしくはアルキニルであり、
は、-H、または1~4つの炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状もしくは分枝状アルキルであり、
は、出現毎に独立して、-H、または1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状または分枝状アルキルである。
’’及びR’’は、同じか、または異なっており、-H及び-Meから選択され、n’は、0、1、2、及び3から選択され、残りの変数は、第25の具体的な態様に記載の通りである。
【0183】
第27の具体的な態様では、式(PBD5’)、(PBD6’)、(PBD7’)、(PBD8’)、(PBD5)、(PBD6)、(PBD7)、または(PBD8)中のL’、L’’、及びL’’’のうちの1つは、式(A’)または(D’)で表され、他の2つは、-H、1~6つの炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル、ハロゲン、-OH、(C-C)アルコキシ、または-NOであるか、あるいは、式(PBD9’)、(PBD10’)、(PBD9)、または(PBD10)中のQ及びQ’のうちの一方は、式(A’)、(D’)、または(E’)で表され、他方は、-H、1~6つの炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル、ハロゲン、-OH、(C-C)アルコキシ、または-NOであり、残りの変数は、第26の具体的な態様に記載の通りである。
【0184】
第28の具体的な態様では、L’’及びL’’’は双方ともに、-Hであり、式(PBD5’)、(PBD6’)、(PBD7’)、(PBD8’)、(PBD5)、(PBD6)、(PBD7)、または(PBD8)中のL’は、以下の式:
-NR-P-C(=O)-(CR-C(=O)- (B1’)、
-NR-P-C(=O)-Cy-(CRs1’-C(=O)- (B2’)、
-C(=O)-P-NR-(CR-C(=O)- (C1’)、または
-C(=O)-P-NR-Cy-(CRs1’-C(=O)- (C2’)
で表され、
式(PBD9’)、(PBD10’)、(PBD9)、または(PBD10)中のQ及びQ’の1つは、以下の式:
-NR-P-C(=O)-(CR-C(=O)- (B1’)、
-NR-P-C(=O)-Cy-(CRs1’-C(=O)- (B2’)、
-C(=O)-P-NR-(CR-C(=O)- (C1’)、または
-C(=O)-P-NR-Cy-(CRs1’-C(=O)- (C2’)、
-NR-P-C(=O)- (E1’)、または
-C(=O)-P-NR- (E2’)
で表され、
とRは、出現毎に、それぞれ独立して、-H、(C-C)アルキルまたは荷電置換基もしくはイオン化可能な基Qであり、
sは、1~6の整数であり、
s1’は、0または1~6の整数であり、
Cyは、ハロゲン、-OH、(C-C)アルキル、(C-C)アルコキシ、またはハロ(C-C)アルキルで任意に置換されている、5または6の環炭素原子を有する環状アルキル、残りの変数は、第27の具体的な態様に記載の通りである。一部の実施形態では、R及びRは双方ともに、Hであり、式(B2’)及び(C2’)中のCyは、シクロヘキサンであり、Rは、HまたはMeであり、s1’は、0または1である。
【0185】
第29の具体的な態様では、Pは、2~10のアミノ酸残基を含有するペプチドであり、残りの変数は、第28の具体的な態様に記載の通りである。一部の実施形態では、Pは、2~5つのアミノ酸残基を含有するペプチドである。いくつかの実施形態では、Pは、Gly-Gly-Gly、Ala-Val、Val-Cit、Val-Lys、Phe-Lys、Lys-Lys、Ala-Lys、Phe-Cit、Leu-Cit、Ile-Cit、Trp、Cit、Phe-Ala、Phe-N-トシル-Arg、Phe-N-ニトロ-Arg、Phe-Phe-Lys、D-Phe-Phe-Lys、Gly-Phe-Lys、Leu-Ala-Leu、Ile-Ala-Leu、Val-Ala-Val、Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号1)、β-Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号2)、Gly-Phe-Leu-Gly(配列番号3)、Val-Arg、Arg-Arg、Val-D-Cit、Val-D-Lys、Val-D-Arg、D-Val-Cit、D-Val-Lys、D-Val-Arg、D-Val-D-Cit、D-Val-D-Lys、D-Val-D-Arg、D-Arg-D-Arg、Ala-Ala、Ala-D-Ala、D-Ala-Ala、D-Ala-D-Ala、Ala-Met、Gln-Val、Asn-Ala、Gln-Phe、及びGln-Alaである。一部の実施形態では、Pは、Gly-Gly-Gly、Ala-Val、Ala-Ala、Ala-D-Ala、D-Ala-Ala、またはD-Ala-D-Alaである。
【0186】
第30の具体的な態様では、そこに記載の第25、第26、第27、第28、または第29の具体的な態様及び実施形態のいずれか1つに記載の方法の場合、Rは、-OMeであり;X’及びY’は双方ともに、-Hであり;A及びA’は、-O-である。
【0187】
第31の具体的な態様では、式(A)のイミン含有細胞傷害剤または式(B)のコンジュゲートの場合、Dは、以下の構造式:
【化60】
またはその薬学的に許容される塩で表される。
【0188】
第32の具体的な態様では、式(A)のイミン含有細胞傷害剤または式(B)のコンジュゲートの場合、-L-は、以下の構造式:
【化61】
またはその薬学的に許容される塩で表され、
s1は、Dに共有結合している部位であり、s2は、マレイミド基に共有結合している部位であり、
23及びR24は、出現毎に独立して、Hまたは任意に置換されているアルキルであり、
m’は、0~10の整数であり、
’は、Hまたは任意に置換されているアルキルであり、残りの変数は、上記の、第25、第26、第27、第28、第29、第30、第31、または第32の具体的な態様に記載の通りである。
【0189】
一部の実施形態では、R23及びR24は双方ともに、Hであり、m’は、1~6の整数である。
【0190】
一部の実施形態では、R’は、Hである。
【0191】
一部の実施形態では、Lは、以下の構造式:
【化62】
で表される。
【0192】
第34の具体的な態様では、イミン含有細胞傷害剤は、以下の式:
【化63】
またはその薬学的に許容される塩で表される。
【0193】
一部の実施形態では、イミン含有細胞傷害剤は、以下の式:
【化64】
またはその薬学的に許容される塩で表され、修飾イミン含有細胞傷害剤は、以下の式:
【化65】
またはその薬学的に許容される塩で表され、コンジュゲートは、以下の式:
【化66】
またはその薬学的に許容される塩で表される。
【0194】
第35の具体的な態様では、式(A)のイミン含有細胞傷害剤または式(B)のコンジュゲートの場合、Dは、以下の式:
【化67】
【化68】
またはその薬学的に許容される塩で表され、
’は、-H、-OH、1~10の炭素原子を有する置換もしくは非置換の直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル、フェニル、及びアミン保護基からなる群より選択され、
’は、-H、オキソ基、1~10の炭素原子を有する置換もしくは非置換の直鎖状、分枝状、もしくは環式アルキル、アルケニル、もしくはアルキニルからなる群より選択され、
式(PBD15)または(PBD16)中のQ及びQ’の一方は、-W’-R-S-であり、他方は、-H、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、または環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHO)-R、ハロゲン、グアニジニウム[-NH(C=NH)NH]、-OR、-NR’R’’、-NO、-NR’COR’’、-SR、-SOR’、-SOR’、-SOH、-OSOH、-SONR’R’’、シアノ、アジド、-COR’、-OCOR’、及び-OCONR’R’’から選択され、
W’は、存在しないか、または-O-、-N(R)-、-N(R)-C(=O)-、-N(C(=O)R)-、-S-、もしくは-CH-S-、-CHNR-から選択され、
は、存在しないか、または1~10の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキルから選択され、
は、-H、1~10の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル、または-(CH-CH-O)-Rであり、Rは、-H、2級アミノ(例えば、-NHR101)もしくは3級アミノ(-NR101102)基を任意に有する、1~6つの炭素原子を有する直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、または5もしくは6員窒素含有複素環であり、R101及びR102は、それぞれ独立して、1~10の炭素原子を有する直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、アルケニル、もしくはアルキニルであり、
nは、1~24の整数であり、
は、-H、-R、-OR、-SR、-NR’R’’、-NO、またはハロゲンであり、
Rは、-H、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル、またはPEG基-(CHCHO)-Rであり、nは、1~24の整数であり、Rは、1~4つの炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキルであり、
R’及びR’’は、それぞれ独立して、-H、-OH、-OR、-NRRg’、-COR、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、または環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル、6~18の炭素原子を有する任意に置換されているアリール、O、S、N、及びPから選択される1~6つのヘテロ原子を有する任意に置換されている3~18員複素環式環、PEG基-(CHCHO)-Rから選択され、Rg’は、-H、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル、またはPEG基-(CHCHO)-Rである。
【0195】
第36の具体的な態様では、式(PBD11’)、(PBD12’)、(PBD13’)、(PBD14’)、(PBD15’)、(PBD16’)、(PBD11)、(PBD12)、(PBD13)、(PBD14)、(PBD15)、または(PBD16)の場合、X’及びY’は双方ともに、-Hであり、
は、-OMeであり、
W’は、-N(R)-または-N(R)-C(=O)-であり、
は、-H、1~4つの炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキル、または-(CH-CH-O)-Rであり、Rは、-H、1~4つの炭素原子を有する直鎖状または分枝状のアルキルであり、
nは、2~6の整数であり、
は、1~6つの炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキルであり、残りの変数は、第35の具体的な態様に記載の通りである。
【0196】
第37の具体的な態様では、式(A)のイミン含有細胞傷害剤または式(B)のコンジュゲートの場合、Lは、以下の構造式:
【化69】
またはその薬学的に許容される塩で表され、
s1は、Dに共有結合している部位であり、s2は、マレイミド基に共有結合している部位であり、
Eは、-(CR1011-、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルであり、
Zは、存在しないか、-SONR-、-NRSO-、-C(=O)-NR-、-NR-C(=O)-、-C(=O)-O-、-OC(=O)-、-C(=O)-NR-(CHCHO)-、-NR-C(=O)-(CHCHO)-、-(OCHCH-C(=O)NR-、または-(OCHCH-NR-C(=O)-であり、
pは、1~24の整数であり、
Qは、H、荷電置換基、またはイオン化可能な基であり、
、R10、R11、R12、及びR13は、出現毎に独立して、Hまたは任意に置換されているアルキルであり、
q及びrは、各出現ごとに独立して、0~10の整数であり、残りの変数は、第35または第36の具体的な態様に記載の通りである。
【0197】
一部の実施形態では、Eは、-(CR1011-である。一部の実施形態では、Zは、-C(=O)-NR-または-NR-C(=O)-である。一部の実施形態では、Rは、-Hである。一部の実施形態では、R、R10、R11、R12、及びR13は全て、Hであり、q及びrは、それぞれ独立して、1~6の整数である。
【0198】
一部の実施形態では、37の具体的な態様に記載の-L-の場合、
12及びR13は、出現毎にそれぞれ独立して、Hまたは(C-C)アルキルであり、
Qは、Hまたは-SOHもしくはその薬学的に許容される塩であり、
Zは、-C(=O)-NR-または-NR-C(=O)-であり、
は、Hまたは(C-C)アルキルであり、
Eは、-(CR1011-であり、
10及びR11は、出現毎に独立して、Hまたは(C-C)アルキルであり、
q及びrはそれぞれ、1~5の整数である。
【0199】
第38の具体的な態様では、式(A)のイミン含有細胞傷害剤または式(B)のコンジュゲートの場合、Lは、下記構造式:
【化70】
またはその薬学的に許容される塩のうちのいずれか1つで表され、残りの変数は、第35または第36の具体的な態様に記載の通りである。
【0200】
第39の具体的な態様では、式(A)のイミン含有細胞傷害剤または式(B)のコンジュゲートの場合、Lは、以下の構造式:
【化71】
またはその薬学的に許容される塩で表され、
s1は、Dに共有結合している部位であり、s2は、マレイミド基に共有結合している部位であり、
19、R20、R21、及びR22は、出現毎に独立して、Hまたは任意に置換されているアルキルであり、
m及びnは、それぞれ独立して、0~10の整数であり、
は、Hまたは任意に置換されているアルキルであり、
は、任意に置換されているアルキレン、-(CH-CH-O)-(式中、酸素原子は、Pに連結されている-(C=O)-に連結されている)、アミノ酸残基、または2~20のアミノ酸残基を含有するペプチドであり、
jは、1~24の整数であり、残りの変数は、第35または第36の具体的な態様に記載の通りである。
【0201】
一部の実施形態では、R19、R20、R21、及びR22はそれぞれ、Hであり、m及びnは、それぞれ独立して、1~6の整数である。
【0202】
一部の実施形態では、Pは、2~10のアミノ酸残基を含有するペプチドである。より具体的には、Pは、2~5つのアミノ酸残基を含有するペプチドである。さらにより具体的には、Pは、Ala-Val、Val-Ala、Val-Cit、Cit-Val、Val-Lys、Phe-Lys、Lys-Lys、Ala-Lys、Phe-Cit、Leu-Cit、Ile-Cit、Trp-Cit、Phe-Ala、Phe-N-トシル-Arg、Phe-N-ニトロ-Arg、Phe-Phe-Lys、D-Phe-Phe-Lys、Gly-Phe-Lys、Leu-Ala-Leu、Ile-Ala-Leu、Val-Ala-Val、Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号1)、β-Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号2)、Gly-Phe-Leu-Gly(配列番号3)、Val-Arg、Arg-Arg、Val-D-Cit、Val-D-Lys、Val-D-Arg、D-Val-Cit、D-Val-Lys、D-Val-Arg、D-Val-D-Cit、D-Val-D-Lys、D-Val-D-Arg、D-Arg-D-Arg、Ala-Ala、Ala-D-Ala、D-Ala-Ala、D-Ala-D-Ala、Ala-Met、Met-Ala、Gln-Val、Asn-Ala、Gln-Phe、Gln-Ala、Gly-Gly-Gly、Ala-Ala-Ala、D-Ala-Ala-Ala、Ala-D-Ala-Ala、Ala-Ala-D-Ala、Ala-Val-Cit、Ala-Val-Ala、及びβ-Ala-Gly-Gly-Glyからなる群より選択される。
【0203】
一部の実施形態では、Lは、以下の構造式:
【化72】
またはその薬学的に許容される塩で表される。
【0204】
第40の具体的な実施形態では、本明細書に記載の方法の場合、イミン含有細胞傷害剤は、以下の式:
【化73】
またはその薬学的に許容される塩で表され、
点線は、二重結合の任意の存在を示し、
3“は、C3-12アルキレン基であり、
各X’は、出現毎に独立して、-O-、-S-、または-N(H)-であり、
各Rは、独立して、-H、-OH、-CN、-R1’、-OR1’、-O-SO-R1’、-CO1’、-COR1’、もしくはハロから選択されるか、または、双方のRは、総合すると、=O、=CH、=CH-R、もしくは=C(Rであり、
各R2’は、独立して、-H、-OH、-CN、-R1’、-OR1’、-O-SO-R1’、-CO1’、-COR1’、またはハロから選択され、
4bは、-OR6’、-OCOR4’、-OCOOR4’、-OCONR4’5’、-NR4’5’、-NR4’COR5’、-NR4’NR4’5’、任意に置換されている5または6員窒素含有複素環(例えば、ピペリジン、テトラヒドロピロール、ピラゾール、モルホリン)、-NR4’(C=NH)NR4’5’で表されるグアニジニウム、アミノ酸、または-NR6’COP’で表されるペプチドから選択される脱離基であり、P’は、アミノ酸または2~20のアミノ酸単位を含有するポリペプチド、-SR6’、-SOR4’、-SOM、-SOM、-OSOM、ハロゲン、シアノ、及びアジドであり、
は、細胞結合剤(CBA)と共に共有結合を形成し得るマレイミド部分を有するリンカーであり、
及びRは独立して、-H、-R1’、-OH、-OR1’、-SH、-SR1’、-NH、-NHR1’、-NR1’3’、-NO、MeSn、及びハロから選択され、
1’及びR3’は、それぞれ独立して、任意に置換されているC1-12アルキル、C3-20ヘテロシクリル、またはC5-20アリール基から選択され、任意に、基-NR1’3’に関しては、R1’及びR3’は、それらが結合している窒素原子と共に、任意に置換されている4、5、6、もしくは7員複素環式環を形成するか、または、R~Rの任意の対の隣接基は共に、基-O-(CH-O-を形成し、pは、1もしくは2であり、
4’及びR5’は、それぞれ独立して、-H、-OH、-OR6’、-NHR6’、-NR6’ 、-COR6’、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、もしくは環状アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHO)-R、または独立してO、S、N、またはPから選択される1~6つのヘテロ原子を有する任意に置換されている3~18員複素環式環から選択され、
6’は、出現毎に独立して、-H、1~10の炭素原子を有する任意に置換されている直鎖状、分枝状、または環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル、ポリエチレングリコール単位-(CHCHO)-R、6~18の炭素原子を有する任意に置換されているアリール、独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する任意に置換されている5~18員ヘテロアリール環、及び独立してO、S、NまたはPから選択される1~6つのヘテロ原子を有する任意に置換されている3~18員複素環式環から選択され、
は独立して、-R1’、-CO1’、-COR1’、-CHO、-COH、またはハロから選択され、
は、-H、または1~4つの炭素原子を有する置換もしくは非置換の直鎖状もしくは分枝状アルキルであり、
Mは、Hまたは薬学的に許容されるカチオンであり、
nは、1~24の整数である。
【0205】
第41の具体的な態様では、本明細書に記載の方法の場合、イミン含有細胞傷害剤は、以下の式:
【化74】
またはその薬学的に許容される塩で表され、R3’’は、C3-5アルキレンであり、残りの変数は、上記の、第40の具体的な態様に記載の通りである。
【0206】
第42の具体的な態様では、式(PBD17’)、(PBD18’)、(PBD19’)、(PBD20’)、(PBD17)、(PBD18)、(PBD19)、または(PBD20)の場合、Rは、
【化75】
であり、Lは、切断可能なリンカーであり、Aは、Lを細胞結合剤に連結可能なマレイミドを有する連結基であり、Lは、共有結合であるか、または-OC(=O)-と共に自己犠牲リンカーを形成し、残りの変数は、第40または第41の具体的な態様に記載の通りである。
【0207】
第43の具体的な態様では、第42の具体的な態様に記載のRの場合、Lは、2~10のアミノ酸残基を含有するペプチドであり、残りの変数は、第42の具体的な態様に記載の通りである。より具体的には、Lは、2~5つのアミノ酸残基を含有するペプチドである。さらにより具体的には、Lは、Phe-Lys、Val-Ala、Val-Lys、Ala-Lys、Val-Cit、Phe-Cit、Leu-Cit、Ile-Cit、Phe-Arg、Trp-Cit、Lys-Lys、Phe-Ala、Phe-N9-トシル-Arg、Phe-N9-ニトロ-Arg、Val-Arg、Arg-Val、Arg-Arg、Val-D-Cit、Val-D-Lys、Val-D-Arg、D-Val-Cit、D-Val-Lys、D-Val-Arg、D-Val-D-Cit、D-Val-D-Lys、D-Val-D-Arg、D-Arg-D-Arg、Gly-Gly-Gly、Phe-Phe-Lys、D-Phe-Phe-Lys、Gly-Phe-Lys、Leu-Ala-Leu、Ile-Ala-Leu、Val-Ala-Val、Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号1)、β-Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号2)、及びGly-Phe-Leu-Gly(配列番号3)からなる群より選択される。
【0208】
第44の具体的な態様では、第42の具体的な態様に記載のRの場合、-C(=O)O-及びLは共に、基:
【化76】
を形成し、アスタリスクは、N10位への結合点を示し、波線は、リンカーLへの結合点を示し、Y’は、-NH-、-O-、-C(=O)NH-、または-C(=O)O-であり、nは、0~3であり、残りの変数は、第42または第43の具体的な態様に記載の通りである。
【0209】
第45の具体的な態様では、第42の具体的な態様に記載のRの場合、-C(=O)O-及びLは共に、基:
【化77】
を形成し、残りの変数は、第42または第43の具体的な態様に記載の通りである。
【0210】
第46の具体的な態様では、第42の具体的な態様に記載のRの場合、L及びLは、-OC(=O)-と共に、
【化78】
から選択された基を含み、アスタリスクは、N10位への結合点を示し、波線は、リンカーLの残りの部分の結合点またはAへの結合点を示す。
【0211】
第47の具体的な態様では、第42の具体的な態様に記載のRの場合、Aは、以下の:
【化79】
(式中、アスタリスクは、Lへの結合点を示し、pは、1~6である)、または
【化80】
(式中、アスタリスクは、Lへの結合点を示し、rは、0または1であり、sは、0~30である)で表され、残りの変数は、第42、第43、第44、第45、または第46の具体的な態様に記載の通りである。
【0212】
一部の実施形態では、pは、4~6であり、rは、1であり、sは、1~10である。
【0213】
第48の具体的な態様では、本発明に記載の方法の場合、イミン含有細胞傷害剤は、以下の式:
【化81】
またはその薬学的に許容される塩で表され、修飾イミン含有細胞傷害剤は、以下の式:
【化82】
またはその薬学的に許容される塩で表され、コンジュゲートは、以下の式:
【化83】
で表され、sは、2~8であり、wは、1または2であり、CBAは、本明細書に記載の細胞結合剤である。一部の実施形態では、sは、7である。
【0214】
一部の実施形態では、本発明に記載の方法の場合、イミン含有細胞傷害剤は、以下の式:
【化84】
またはその薬学的に許容される塩で表され、修飾イミン含有細胞傷害剤は、以下の式:
【化85】
またはその薬学的に許容される塩で表され、コンジュゲートは、以下の式:
【化86】
で表され、sは、2~8であり、wは、1または2であり、CBAは、本明細書に記載の細胞結合剤である。一部の実施形態では、sは、7である。
【0215】
第49の具体的な態様では、本発明に記載の方法の場合、イミン含有細胞傷害剤は、以下の式:
【化87】
またはその薬学的に許容される塩で表され、修飾イミン含有細胞傷害剤は、以下の式:
【化88】
またはその薬学的に許容される塩で表され、コンジュゲートは、以下の式:
【化89】
またはその薬学的に許容される塩で表され、sは、2~8であり、wは、1または2であり、CBAは、本明細書に記載の細胞結合剤である。一部の実施形態では、sは、7である。
【0216】
一部の実施形態では、本発明に記載の方法の場合、イミン含有細胞傷害剤は、以下の式:
【化90】
またはその薬学的に許容される塩で表され、修飾イミン含有細胞傷害剤は、以下の式:
【化91】
またはその薬学的に許容される塩で表され、コンジュゲートは、以下の式:
【化92】
またはその薬学的に許容される塩で表され、sは、2~8であり、wは、1または2であり、CBAは、本明細書に記載の細胞結合剤である。一部の実施形態では、sは、7である。
【0217】
一部の実施形態では、上記の任意の実施形態に記載の荷電置換基またはイオン化可能な基Qは、i)-SOH、-Z’-SOH、-OPO、-Z’-OPO、-PO、-Z’-PO、-COH、-Z’-COH、-NR1112、もしくは-Z’-NR1112、またはそれらの薬学的に許容される塩、あるいは、ii)-N141516または-Z’-N141516(Z’は、任意に置換されているアルキレン、任意に置換されているシクロアルキレン、または任意に置換されているフェニレンであり、R14~R16は、それぞれ独立して、任意に置換されているアルキルであり、Xは、薬学的に許容されるアニオンである)である。より具体的には、Qは、-SOHまたはその薬学的に許容される塩である。さらにより具体的には、Qは、-SONaである。
【0218】
細胞結合剤
一部の実施形態では、細胞結合剤は、本方法において使用することができ、(例えば、重鎖(複数可)のEU/OUナンバリング442位で)操作されたシステイン残基を有する抗体である。操作Cys残基は、抗体の一方もしくは双方の重鎖、または抗体の一方もしくは双方の軽鎖、またはそれらの抗原結合部分、あるいはそれらの組み合わせに位置し得る。一部の実施形態では、Cys残基は、抗体重鎖(複数可)のEU/OUナンバリング442位に位置する。一部の実施形態では、抗体は、本明細書に記載のシステイン操作抗体である。
【0219】
一部の実施形態では、本発明の抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、再表面化抗体、またはヒト抗体である。
【0220】
他の実施形態では、細胞結合剤は、抗体、単鎖抗体、標的細胞に特異的に結合する抗体フラグメント、モノクローナル抗体、単鎖モノクローナル抗体、標的細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体フラグメント(もしくは「抗原結合部分」)、キメラ抗体、標的細胞に特異的に結合するキメラ抗体フラグメント(もしくは「抗原結合部分」)、ドメイン抗体(例えば、sdAb)、または標的細胞に特異的に結合するドメイン抗体フラグメントである。
【0221】
さらに他の実施形態では、細胞結合剤は、ヒト化抗体、ヒト化一本鎖抗体、またはヒト化抗体フラグメント(もしくは「抗原結合部分」)である。具体的な実施形態では、ヒト化抗体は、huMy9-6または別の関連抗体であり、これは、米国特許第7,342,110号及び同第7,557,189号に記載されている。別の具体的な実施形態では、ヒト化抗体は、米国特許第8,557,966号に記載の抗葉酸受容体抗体である。さらに他の実施形態では、ヒト化抗体は、「抗CD123抗体及びコンジュゲート及びその誘導体」という名称の、2016年6月28日に出願された米国特許出願第15/195,401号に記載の抗CD123抗体である。これら全ての出願の教示は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0222】
一部の実施形態では、細胞結合剤は、再表面化抗体、再表面化一本鎖抗体、再表面化抗体フラグメント(もしくは「抗原結合部分」)、または二重特異性抗体である。
【0223】
本発明のさらに別の態様は、本明細書に記載の主題の組み換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはそれらの抗原結合部分のいずれか1つに由来する、重鎖、軽鎖、またはそれらの抗原結合部分の成熟プロセッシングされた配列を含む組み換え抗体を提供する。
【0224】
例えば、組み換え抗体は、scFv-Fc、Fcab、mAb2、小型モジュラー免疫医薬品(SMIP)、Genmab/ユニボディもしくはデュオボディ、ミニボディ、IgGΔCH2、DVD-Ig、プロボディ、イントラボディ、または多重特異性抗体であっても、それを含んでもよい。
【0225】
DUOBODY(登録商標)は、二重特異性修飾IgG1抗体ヘテロ二量体である。IgG1ヒンジ領域は一般に、(i)CPPC配列を含有し、且つ、in vivoでのFabアーム交換が許容されない安定なヒンジ領域、ならびに、(ii)in vivoでのFabアーム交換が許容されるようにさせるF405L及びK409R残基を含有するように修飾されるIgG4様CH3ドメインを含む(例えば、W02008119353及びWO2011131746を参照のこと)。
【0226】
一部の実施形態では、組み換え抗体は、重鎖、軽鎖、またはその抗原結合部分の1、2、3、または4つの成熟プロセッシングされた配列を含んでもよく、それぞれは、本明細書に記載の主題の組み換え抗体重鎖(HC)、軽鎖(LC)、またはその抗原結合部分のいずれか1つに由来する。
【0227】
他の実施形態では、組み換え抗体は、第1の重鎖ポリペプチド及び第2の重鎖ポリペプチドを含むヘテロ二量体抗体であり得、第1の重鎖ポリペプチドのFc領域及び第2の重鎖ポリペプチドのFc領域は、境界面に適合し、第2の重鎖ポリペプチドのFc領域の境界面は、第1の重鎖ポリペプチドのFc領域の境界面における空洞内に配置可能な突出部を含む。特定の実施形態では、二重特異性抗体における重鎖の特異的対合を促進するknob-into-hole技術は、例えば、CH1及びκ定常領域を交換して、軽鎖の誤対合をさらに低減または排除することにより、例えば、Genentech/RocheのCrossMab技術に基づいてさらに改善されてもよい。
【0228】
あるいは、類似の結果は、完全二重特異性抗体の開発において、共通の軽鎖、ドメイン抗体、及び一本鎖フォーマットを含む、LCヘテロ二量体、例えば、他の複数の生物学的アプローチを完全に補完するZymeworks AZYMETRIC(商標)ヘテロ二量体IgG1軽鎖プラットフォーム技術を使用して達成することもできる。
【0229】
一部の実施形態では、第2の重鎖ポリペプチドのFc領域は、突出部をコードするように鋳型/元のポリペプチドから変更されているか、もしくは第1の重鎖ペプチドのFc領域は、空洞をコードするように鋳型/元のポリペプチドから変更されているか、またはその双方である。
【0230】
他の実施形態では、突出部及び空洞はそれぞれ、天然に存在するアミノ酸残基を含む。
【0231】
他の実施形態では、突出部を含む第2の重鎖ポリペプチドのFc領域は、元の残基よりも大きい側鎖体積を有するインポート残基で、鋳型/元のポリペプチドの界面の元の残基を置換することにより生成される。
【0232】
さらに他の実施形態では、突出部を含む第2の重鎖ポリペプチドのFc領域は、該ポリペプチドの境界面の元の残基をコードする核酸が、元のものより大きな側鎖体積を有するインポート残基をコードする核酸で置換されるステップを含む方法により生成される。
【0233】
一部の実施形態では、抗体は、抗原結合領域及び重鎖定常ドメインを含む二重特異性、多重特異性、及び単一特異性抗体多様体を含み、重鎖定常ドメインは、EU/OUナンバリングの442位にCysを含むように修飾される。
【0234】
他の実施形態では、抗体は、細胞表面受容体を含む細胞表面リガンドなどの、標的細胞上のリガンドに結合し得る。
【0235】
具体的な例示的な抗原またはリガンドは、レニン;成長ホルモン(例えば、ヒト成長ホルモン及びウシ成長ホルモン);成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質;α1-アンチトリプシン;インスリンA鎖;インスリンB鎖;プロインスリン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体形成ホルモン;グルカゴン;凝固因子(例えば、因子vmc、第IX因子、組織因子、及びvon Willebrands因子);抗凝固因子(例えば、プロテインC);心房性ナトリウム利尿因子;肺サーファクタント;プラスミノーゲンアクチベーター(例えば、ウロキナーゼ、ヒト尿、または組織型プラスミノーゲンアクチベーター);ボンベシン;トロンビン;造血成長因子;腫瘍壊死因子-α及び腫瘍壊死因子-β;エンケファリナーゼ;RANTES(すなわち、活性化時に調節され、通常はT細胞で発現及び分泌される);ヒトマクロファージ炎症性タンパク質1α;血清アルブミン(ヒト血清アルブミン);Muellerian阻害物質;リラキシンA鎖;リラキシンB鎖;プロレラキシン;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;微生物タンパク質(β-ラクタマーゼ);DNase;IgE;細胞傷害性Tリンパ球関連抗原(例えば、CTLA-4);インヒビン;アクチビン;血管内皮細胞成長因子;ホルモンまたは成長因子の受容体;プロテインAまたはD;リウマチ因子;神経栄養因子(例えば、骨由来神経栄養因子、ニューロトロフィン3、4、5、または6)、神経成長因子(例えば、NGF-β);血小板由来成長因子;線維芽細胞成長因子(例えば、aFGF及びbFGF);線維芽細胞成長因子受容体2;表皮成長因子。トランスフォーミング成長因子(例えば、TGF-α、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4、及びTGF-β5);インスリン様成長因子-I及びII;des(1-3)-IGF-I(脳IGF-I);インスリン様成長因子結合タンパク質;メラノトランスフェリン;EpCAM;GD3;FLT3;PSMA;PSCA;MUC1;MUC16;STEAP;CEA;TENB2;EphA受容体;EphB受容体;葉酸受容体;FOLR1;メソセリン;クリプト;αβ;インテグリン;VEGF;VEGFR;EGFR;トランスフェリン受容体;IRTA1;IRTA2;IRTA3;IRTA4;IRTA5;CDタンパク質(例えば、CD2、CD3、CD4、CD5、CD6、CD8、CD11、CD14、CD19、CD20、CD21、CD22、CD25、CD26、CD28、CD30、CD33、CD36、CD37、CD38、CD40、CD44、CD52、CD55、CD56、CD59、CD70、CD79、CD80、CD81、CD103、CD105、CD123、CD134、CD137、CD138、及びCD152)、1つ以上の腫瘍関連抗原または細胞表面受容体(全体が参照により組み込まれる米国特許公報第2008/0171040号または米国特許公報第2008/0305044号を参照のこと);エリスロポエチン;骨誘導因子;免疫毒素;骨形成タンパク質;インターフェロン(例えば、インターフェロンα、β、及びγ);コロニー刺激因子(例えば、M-CSF、GM-CSF、及びG-CSF);インターロイキン(例えば:IL-1~IL-10);スーパーオキシドジスムターゼ;T細胞受容体;表面膜タンパク質;崩壊促進因子;ウイルス抗原(例えば、HIVエンベロープの一部);輸送タンパク質、ホーミング受容体;アドレシン;制御タンパク質;インテグリン(例えば、CD11a、CD11b、CD11c、CD18、ICAM、VLA-4、及びVCAM);腫瘍関連抗原(例えば、HER2、HER3、及びHER4受容体);エンドグリン;c-Met;c-kit;1GF1R;PSGR;NGEP;PSMA;PSCA;TMEFF2;LGR5;B7H4;ならびに上記のポリペプチドのいずれかのフラグメントを含んでもよい。
【0236】
一部の実施形態では、細胞結合剤は、抗葉酸受容体抗体である。より具体的には、抗葉酸受容体抗体は、ヒト葉酸受容体1に特異的に結合するヒト化抗体であり、抗体は、(a)GYFMN(配列番号4)を含む重鎖CDR1;RIHPYDGDTFYNQXaaFXaaXaa(配列番号5)を含む重鎖CDR2;及びYDGSRAMDY(配列番号6)を含む重鎖CDR3、ならびに、(b)KASQSVSFAGTSLMH(配列番号7)を含む軽鎖CDR1;RASNLEA(配列番号8)を含む軽鎖CDR2;及びQQSREYPYT(配列番号9)を含む軽鎖CDR3、を含み;Xaaは、K、Q、H、及びRから選択され;Xaaは、Q、H、N、及びRから選択され;Xaaは、G、E、T、S、A、及びVから選択される。好ましくは、重鎖CDR2配列は、RIHPYDGDTFYNQKFQG(配列番号10)を含む。
【0237】
他の実施形態では、抗葉酸受容体抗体は、
QVQLVQSGAEVVKPGASVKISCKASGYTFTGYFMNWVKQSPGQSLEWIGRIHPYDGDTFYNQKFQGKATLTVDKSSNTAHMELLSLTSEDFAVYYCTRYDGSRAMDYWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLCLSPG(配列番号11)のアミノ酸配列を有する重鎖を含むヒト葉酸受容体1に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0238】
他の実施形態では、抗葉酸受容体抗体は、
DIVLTQSPLSLAVSLGQPAIISCKASQSVSFAGTSLMHWYHQKPGQQPRLLIYRASNLEAGVPDRFSGSGSKTDFTLNISPVEAEDAATYYCQQSREYPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号12);または
DIVLTQSPLSLAVSLGQPAIISCKASQSVSFAGTSLMHWYHQKPGQQPRLLIYRASNLEAGVPDRFSGSGSKTDFTLTISPVEAEDAATYYCQQSREYPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号13)のアミノ酸配列を有する軽鎖を含むヒト葉酸受容体1に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0239】
他の実施形態では、抗葉酸受容体抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を有する重鎖、及び配列番号12または配列番号13のアミノ酸配列を有する軽鎖を含むヒト葉酸受容体1に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントである。好ましくは、抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号13のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む(huMov19)。
【0240】
他の実施形態では、抗葉酸受容体抗体は、操作されたCys残基(例えば、C442)、及び
QVQLVQSGAEVVKPGASVKISCKASGYTFTGYFMNWVKQSPGQSLEWIGRIHPYDGDTFYNQKFQGKATLTVDKSSNTAHMELLSLTSEDFAVYYCTRYDGSRAMDYWGQGTTVTVSS(配列番号14)と少なくとも約90%、95%、99%、もしくは100%同一の重鎖可変ドメイン、ならびに、
DIVLTQSPLSLAVSLGQPAIISCKASQSVSFAGTSLMHWYHQKPGQQPRLLIYRASNLEAGVPDRFSGSGSKTDFTLNISPVEAEDAATYYCQQSREYPYTFGGGTKLEIKR(配列番号15);または
DIVLTQSPLSLAVSLGQPAIISCKASQSVSFAGTSLMHWYHQKPGQQPRLLIYRASNLEAGVPDRFSGSGSKTDFTLTISPVEAEDAATYYCQQSREYPYTFGGGTKLEIKR(配列番号16)と少なくとも約90%、95%、99%、または100%同一の軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0241】
具体的な実施形態では、ヒト化抗体は、huMy9-6または別の関連抗体であり、これは、米国特許第7,342,110号及び同第7,557,189号に記載されている。別の具体的な実施形態では、ヒト化抗体は、米国特許第8,577,966号に記載の抗葉酸受容体抗体(例えば、huMov19)である。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、米国特許第8,765,917号に記載の抗CD37抗体(例えば、抗CD37-3)である。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、米国特許第8,790,649号に記載の抗EGFR抗体である。他の実施形態では、抗体は、抗EGFR抗体である。一部の実施形態では、抗EGFR抗体は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO2012058592に記載の抗体を含む、非アンタゴニスト抗体である。他の実施形態では、抗EGFR抗体は、非機能的抗体、例えば、ヒト化ML66、である。より具体的には、抗EGFR抗体は、huML66である。
【0242】
一部の実施形態では、抗体は、抗CD123抗体、例えば、「抗CD123抗体ならびにそのコンジュゲート及び誘導体」という名称の、2016年6月28日に出願された米国特許出願第15/195,401号(全ての配列及び図面を含む全内容は、本明細書に組み込まれる)に記載のヒト化huCD123抗体、である。具体的な実施形態では、抗CD123抗体、抗体、またはその抗原結合フラグメントは、a)3つの連続した相補性決定領域(CDR)(それぞれ、CDR1、CDR2、及びCDR3)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域またはそのフラグメント(CDR1は、SSIMH(配列番号17)の配列を有し、CDR2は、YIKPYNDGTKYNEKFKG(配列番号18)の配列を有し、CDR3は、EGGNDYYDTMDY(配列番号19)の配列を有する)、ならびに、b)3つの連続する相補性決定領域(CDR)(それぞれ、CDR1、CDR2、及びCDR3)を含む少なくとも1つの軽鎖可変領域またはそのフラグメント(CDR1は、RASQDINSYLS(配列番号20)の配列を有し、CDR2は、RVNRLVD(配列番号21)の配列を有し、CDR3は、LQYDAFPYT(配列番号22)の配列を有する)、を含む。
【0243】
別の具体的な実施形態では、抗CD123抗体またはその抗原結合フラグメントは、操作Cys残基(例えば、C442)を含み;
QXQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYIFTSSIMHWVRQAPGQGLEWIGYIKPYNDGTKYNEKFKGRATLTSDRSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREGGNDYYDTMDYWGQGTLVTVSS(配列番号23)と少なくとも約90%、95%、99%、または100%同一の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン;及び、
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDINSYLSWFQQKPGKAPKTLIYRVNRLVDGVPSRFSGSGSGNDYTLTISSLQPEDFATYYCLQYDAFPYTFGQGTKVEIKR(配列番号24)と少なくとも約90%、95%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域、を含む。特定の実施形態では、配列番号23のN末端から2番目の残基であるXaaは、Pheである。他の実施形態では、Xaaは、Valである。
【0244】
特定の実施形態では、抗CD123抗体またはその抗原結合フラグメントは、
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYIFTSSIMHWVRQAPGQGLEWIGYIKPYNDGTKYNEKFKGRATLTSDRSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREGGNDYYDTMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLCLSPG(配列番号25)のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖領域;及び、
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDINSYLSWFQQKPGKAPKTLIYRVNRLVDGVPSRFSGSGSGNDYTLTISSLQPEDFATYYCLQYDAFPYTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号26)のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖領域、を含んでもよい。
【0245】
組成物及び使用方法
本発明は、本発明の任意の方法で調製された細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲート、本発明の任意の方法で調製された細胞結合剤-細胞傷害剤コンジュゲート及び担体(薬学的に許容される担体)を含む組成物(例えば、医薬組成物)も含む。本コンジュゲート及び組成物は、哺乳動物(例えば、ヒト)の異常な細胞成長を阻害すること、または増殖性障害を処置することに有用である。本発明は、哺乳動物(例えば、ヒト)の異常な細胞成長を阻害するか、または増殖性障害を処置する方法を含み、方法は、該哺乳動物に、治療的有効量の上記の本発明の方法で調製されたコンジュゲート、またはその組成物を、単独で、または第2の治療薬と組み合わせて投与することを含む。
【0246】
一部の実施形態では、増殖性障害は、癌である。癌は、血液癌または固形腫瘍を含み得る。より具体的には、癌は、白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、例えば、急性Bリンパ芽球性白血病(B-ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL))またはリンパ腫、メラノーマ、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、卵巣癌、子宮内膜癌、腹膜癌、膵癌、乳癌、前立腺癌、及び子宮頸癌である。
【0247】
本発明は、処置を必要とする対象に、上記のコンジュゲートのうちのいずれかを有効量投与することを含む処置方法も提供する。
【0248】
同様に、本発明は、選択された細胞集団における細胞死を誘導するための方法を提供し、方法は、標的細胞または標的細胞を含有する組織を、上記のコンジュゲートのうちのいずれかを含む有効量の細胞傷害剤と接触させることを含む。標的細胞は、細胞結合剤が結合し得る細胞である。
【0249】
必要に応じて、他の抗腫瘍剤などの他の活性剤は、コンジュゲートと共に投与されてもよい。
【0250】
好適な薬学的に許容される担体、希釈剤、及び賦形剤は、周知であり、臨床状況が保証するので、当業者らが決定することができる。好適な担体、希釈剤及び/または賦形剤の例は、(1)約1mg/mL~25mg/mLのヒト血清アルブミンを含有するか、または含有しないダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(pH約7.4)、(2)0.9%生理食塩水(0.9%w/vのNaCl)、及び(3)5%(w/v)のデキストロース、を含み、トリプタミンなどの抗酸化剤及びTween20などの安定化剤も含有してもよい。
【実施例
【0251】
実施例1:アミン含有細胞傷害剤の調製
以下の溶媒、試薬、保護基、部分、及び他の名称は、括弧内のそれらの略語で呼ばれてもよい。
【表1-1】
【0252】
A.N1-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エチル)-N6-((S)-1-(((S)-1-((3-((((S)-8-メトキシ-6-オキソ-11,12,12a,13-テトラヒドロ-6H-ベンゾ[5,6][1,4]ジアゼピノ[1,2-a])インドール-9-イル)オキシ)メチル)-5-((((S)-8-メトキシ-6-オキソ-12a,13-ジヒドロ-6H-ベンゾ[5,6][1,4]ジアゼピノ[1,2-a]インドール-9-イル)オキシ)メチル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アジパミド、化合物D1の合成
【化93】
NHSエステル1a(8.2mg、7.6μmol)(参照により本明細書に組み入れられる米国特許第2016/0082114号に記載の手順に従って調製された)及び1-(2-アミノエチル)-1H-ピロール-2,5-ジオン塩酸塩(2.2mg、0.011mmol)を、室温の無水ジクロロメタン(305μL)に溶解させた。DIPEA(2.66μL、0.015mmol)を加え、反応物を、3.5時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、RPHPLC(C18カラム、CHCN/HO、勾配、35%~55%)で精製した。所望の生成物画分を凍結及び凍結乾燥して、マレイミド、化合物D1を固体白色粉末として得た(5.3mg、収率58%)。LCMS=5.11分(8分法)、MS(m/z):1100.6(M+1)
【0253】
B.N-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エチル)-11-(3-((((S)-8-メトキシ-6-オキソ-11,12,12a,13-テトラヒドロ-6H-ベンゾ[5,6][1,4]ジアゼピノ[1,2-a]インドール-9-イル)オキシ)メチル)-5-((((S)-8-メトキシ-6-オキソ-12a,13-ジヒドロ-6H-ベンゾ[5,6][1,4]ジアゼピノ[1,2-a]インドール-9-イル)オキシ)メチル)フェニル)-13,13-ジメチル-2,5,8-トリオキサ-14,15-ジチア-11-アザノナデカン-19-アミド、化合物D2の合成
【化94】
遊離チオール2a(40mg、0.042mmol)及びNHS4-(2-ピリジルジチオ)ブタナート(35mg、純度80%、0.085mmol)の無水ジクロロメタン(0.5mL)溶液に、無水ジイソプロピルエチルアミン(0.015mL、0.085mmol)を加え、室温で16時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウムでクエンチし、ジクロロメタンで希釈した。得られた混合物を分液漏斗で分離した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下でストリッピングした。残渣をセミ分取逆相HPLC(C18カラム、CHCN/HO)で精製した。純粋な生成物を含有した画分を合わせ、冷凍し、凍結乾燥させて、所望のNHSエステル、2b(29.7mg、収率60%)を得た。LCMS=9.1分(15分法)。MS(m/z):1157.3(M+1)
【0254】
【化95】
NHSエステル、2b(12.3mg、0.011mmol)及びN-(2-アミノエチル)マレイミド塩酸塩(2.0mg、0.011mmol)の無水ジクロロメタン(0.3mL)溶液に、DIPEA(0.0022mL、0.013mmol)を加えた。混合物を室温で3時間撹拌し、次に、それを、減圧下でストリッピングした。残渣をセミ分取逆相HPLC(C18カラム、CHCN/HO)で精製した。純粋な生成物を含有した画分を合わせ、冷凍し、凍結乾燥させて、所望のマレイミド、化合物D2(10mg、収率80%)を得た。LCMS=8.3分(15分法)。MS(m/z):1181.8(M+1)
【0255】
C.1-((2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エチル)アミノ)-4-((5-((3-((((S)-8-メトキシ-6-オキソ-11,12,12a,13-テトラヒドロ-6H-ベンゾ[5,6][1,4]ジアゼピノ[1,2-a]インドール-9-イル)オキシ)メチル)-5-((((S)-8-メトキシ-6-オキソ-12a,13-ジヒドロ-6H-ベンゾ[5,6][1,4]ジアゼピノ[1,2-a]インドール-9-イル)オキシ)メチル)フェニル)アミノ)-2-メチル-5-オキソペンタン-2-イル)ジスルファニル)-1-オキソブタン-2-スルホン酸、化合物D3の合成
【化96】
遊離チオール、3a(88mg、0.105mmol)及び1-((2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ)-1-オキソ-4-(ピリジン-2-イルジスルファニル)ブタン-2-スルホン酸(64.0mg、0.158mmol)の無水ジクロロメタン(2.10mL)懸濁液に、窒素下室温でDIPEA(55.0μL、0.315mmol)を加えた。混合物を16時間撹拌し、次に、1-(2-アミノエチル)-1H-ピロール-2,5-ジオン塩酸塩(55.6mg、0.315mmol)、無水ジクロロメタン(1.0mL)及びDIPEA(0.055mL、0.315mmol)を加えた。混合物を室温でさらに5時間撹拌し、この直後に、反応物を真空濃縮した。得られた残渣を、RP-HPLC(C18、CHCN/HO)で精製した。所望の生成物を含有する画分を凍結し、凍結乾燥させて、マレイミド、化合物D3(20mg、収率16%)を白色固体として得た。LCMS=4.92分(8分法)。MS(m/z):1158.6(M+1)
【0256】
D.N-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エチル)-11-(3-((((S)-8-メトキシ-6-オキソ-11,12,12a、13-テトラヒドロ-6H-ベンゾ[5,6][1,4]ジアゼピノ[1,2-a]インドール-9-イル)オキシ)メチル)-5-((((S)-8-メトキシ-6-オキソ-12a,13-ジヒドロ-6H-ベンゾ[5,6][1,4]ジアゼピノ[1,2-a]インドール-9-イル)オキシ)メチル)フェニル)-2,5,8-トリオキサ-11-アザペンタデカン-15-アミド、化合物D4の合成
【化97】
NHSエステル、4a(5mg、4.82μmol)及び1-(2-アミノエチル)-1H-ピロール-2,5-ジオン塩酸塩(1.7mg、9.64μmol)の無水ジクロロメタン(200μL)溶液に、窒素下でDIPEA(1.512μL、8.68μmol)を加えた。混合物を室温で4時間撹拌し、次に、真空濃縮した。得られた残渣をRP-HPLC(C18、CHCN/HO)で精製した。所望の生成物を含有する画分を凍結し、凍結乾燥させて、マレイミド、化合物D4(3.5mg、収率68%)を得た。LCMS=4.61分(15分法)。MS(m/z):1062.8(M+1)
【0257】
実施例2.マレイミド基を有するイミン含有細胞傷害剤の選択的スルホン化
pH3.3のコハク酸ナトリウム50mM(116.5mL)及びDMA(98.5mL)の混合物に、21.4mLのDMAに溶解させたD1(263.6mg)を加えた。続いて、1v/v%のDMAを含有する100mMの亜硫酸水素ナトリウム水溶液3.4mL(1.4当量)を反応物に導入した。均質混合物を25℃で2時間反応させ、この時点で、反応の完了をUPLC-MSでアッセイした。反応混合物は、さらに精製せずともコンジュゲーションに適する。図1に示すように、反応混合物のUPLC-MS分析は、92.5%のイミン-スルホD1、1.9%の未反応D1、0.8%のマレイミド-スルホD1、及び4.8%のジスルホD1を示す。ESI-MS 負イオンモード[M-H]イミン-スルホD1(C606215)に対する計算値:1180.41;実測値:1180.03。
【化98】
【0258】
実施例3.選択的スルホン化に対する亜硫酸水素ナトリウムの効果
表1に示されるように、必要量の50mMのコハク酸ナトリウムpH3.3緩衝液に、以下の試薬を以下の順序で添加した:DMA(38.8uL)、1v/v%のDMAを含有する20または40mMの亜硫酸水素ナトリウム水溶液ストックを必要量、及びDMA中8.9mMのD1(11.2uL)。50体積%のDMAを含有する得られた反応混合物を25℃で20時間反応させた。反応生成物をUPLC-MSで分析した。観察されたジスルホD1、マレイミド-スルホD1、イミン-スルホD1、及び非スルホン化D1生成物の相対存在量を表1に示す。
【表1-2】
【0259】
実施例4.選択的スルホン化に対するpHの影響
表2に詳述されるように、示されたpHを有する50mMのコハク酸ナトリウム緩衝液44.0uLに、以下の試薬を以下の順序で添加した:1%v/vのDMAを含有する20mMの亜硫酸水素ナトリウム水溶液ストック(6.0uL)、DMA(38.8uL)、及びDMA中8.9mMのD1(11.2uL)。50体積%のDMAを含有する得られた反応混合物を25℃で4時間反応させた。反応生成物をUPLC-MSで分析した。観察されたジスルホ、マレイミド-スルホ、イミン-スルホ、及び非スルホン化D1生成物の相対存在量を表2に示す。
【表2】
【0260】
実施例5.緩衝液を用いるか、または用いない選択的スルホン化
表3に詳述されるように、21.6uLのDMAに、22.0uLの水または示されたpHを有する50mMのコハク酸ナトリウム緩衝液、1v/v%のDMAを含有する20mMの亜硫酸水素ナトリウム水溶液ストック(3.0uL)、及びDMA中14.5mMのD1(3.4uL)を添加した。50体積%のDMAを含有する得られた反応混合物を25℃で6時間反応させた。反応生成物をUPLC-MSで分析した。観察されたジスルホ、マレイミド-スルホ、イミン-スルホ、及び非スルホン化D1生成物の相対存在量を表3に示す。
【表3】
【0261】
同様に、表4に詳述されるように、47.6uLのDMAに、55.6uLの水またはpH4.75の50mMのコハク酸ナトリウム緩衝液、1v/v%のDMAを含有する20mMの亜硫酸水素ナトリウム水溶液ストック(6.9uL)、及びDMA(14.9uL)中の8.4mMのD1を添加した。50体積%のDMAを含有する得られた反応混合物を25℃で24時間反応させた。反応生成物を、UPLC-MSで分析した(図2を参照のこと)。観察されたジスルホ、マレイミド-スルホ、イミン-スルホ、及び非スルホン化DGN549-C生成物の相対存在量を表4に示す。
【表4】
【0262】
別の実験では、表5に詳述したように、24.6uLのDMAに、示された体積の水、示された体積の20mMの亜硫酸水素ナトリウム水溶液ストックを加えた。これらの溶液のpHは、表5に示す通りであった。これらの混合物にDMA(5.4uL)中11.2mMのD1を添加した。50体積%のDMAを含有する得られた反応混合物を、25℃で1~2時間反応させた。反応生成物をUPLC-MSで分析した。観察されたジスルホ、マレイミド-スルホ、イミン-スルホ、及び非スルホン化D1生成物の相対存在量を表5に示す。
【表5】
【0263】
実施例6.抗体-細胞傷害剤コンジュゲートの調製
続いて、実施例2に従って調製されたスルホン化反応混合物(240mL、3.5当量)を、還元C442操作システイン残基を有する10gの抗CD123抗体を含有する50mMのリン酸カリウムpH6.0溶液に導入した。2mg/mLの抗体及び15v/v%のDMAの最終濃度で、コンジュゲーション反応を、25℃で18時間進行させた。反応生成物のSEC分析は、1.9のDAR(薬物対抗体比)及びコンジュゲーション前の、4.4%対3.7%の%HMW(高分子量種の割合)を有するADCを与える。
【0264】
還元C442で操作されたシステイン残基を有する他の2つのヒト化モノクローナル抗体とのコンジュゲートも、上記の同様の手順に従って調製した。
【0265】
実施例7.マレイミド基を有するイミン含有PBD二量体の選択的スルホン化
50mMのコハク酸ナトリウムpH3.3緩衝液21.2μLに、以下の順序で:DMA20μL、20mMの亜硫酸水素ナトリウム水溶液ストック3.8μL、及びDMA中10.0mMのタリリン5.0μLを加えた。これは、タリリンに対して1.5当量の亜硫酸水素塩に相当する。50体積%のDMAを含有する得られた反応混合物を25℃で4時間反応させた。反応生成物をUPLC-MSで分析した。観察されたイミンジスルホ、全イミンモノスルホ、非スルホン化、及び全マレイミド-スルホ生成物の相対存在量を表6に示すように決定した。ESI-MSタリリン(C606512 )[M+H]に対する計算値1089.4716,実測値1089.4716;イミンモノスルホン化タリリン(C606515)[M-H]に対する計算値1169.4296,実測値1169.4345;イミンジスルホン化タリリン(C606718 )[M-H]に対する計算値1251.4020,実測値1251.4053。最終反応混合物の代表的なクロマトグラム(330nmの吸光度)を図3に示す。同定された反応生成物の構造は、以下の通りである。
【表6】
【化99】
【0266】
実施例8.マレイミド基を有するイミン含有IGN二量体の選択的スルホン化
表7に示されるように、必要量の50mMのコハク酸ナトリウムpH3.3緩衝液に、以下の順序で:DMA(21.2uL)、必要量の20mMの亜硫酸水素ナトリウム水溶液ストック、及びDMA(3.8uL)中の13.2mMのD5を添加した。50体積%のDMAを含有する得られた反応混合物を25℃で4時間反応させた。反応生成物をUPLC-MSで分析した。観察されたイミンジスルホ、イミンモノスルホ、非スルホン化、及び全マレイミドスルホン化生成物の相対存在量を表7に示されるように決定した。ESI-MS D5(C606012 )[M+H]に対する計算値1098.4356,実測値1098.4351;イミンモノスルホン化D5(C606015)[M-H]に対する計算値1178.3935、実測値1178.4006;イミンジスルホン化D5(C606218 )[M-H]に対する計算値1260.3660,実測値1260.3704;イミンジスルホン化マレイミドスルホン化D5(C606421 )[M-2H]2-に対する計算値z=2670.6653,実測値670.6693。2.0及び2.5当量の亜硫酸水素塩を含む最終反応混合物の代表的なクロマトグラム(330nmでの吸光度)を図4A及び4Bに示す。同定された反応生成物の構造を以下に示す。
【表7】
【化100】
図1
図2
図3
図4A
図4B