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特許72037373Dバイオプリンタ、3Dバイオプリンティングツールヘッドおよび構造物を3Dバイオプリンティングする方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】3Dバイオプリンタ、3Dバイオプリンティングツールヘッドおよび構造物を3Dバイオプリンティングする方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/04 20060101AFI20230105BHJP
   C12N 5/07 20100101ALI20230105BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230105BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20230105BHJP
【FI】
C12M3/04 A
C12N5/07
B33Y30/00
B33Y50/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019538145
(86)(22)【出願日】2018-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 SE2018050017
(87)【国際公開番号】W WO2018132057
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2020-10-27
(31)【優先権主張番号】1750027-3
(32)【優先日】2017-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(31)【優先権主張番号】62/445,862
(32)【優先日】2017-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522214521
【氏名又は名称】セリンク バイオプリンティング アー・ベー
【氏名又は名称原語表記】CELLINK Bioprinting AB
【住所又は居所原語表記】Laangfilsgatan 5,412 77 Goeteborg, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エリク ステルノー
(72)【発明者】
【氏名】ヨーフム スヴァンベリ
(72)【発明者】
【氏名】エリク ガテンホルム
(72)【発明者】
【氏名】ヘクトル マルティネス
【審査官】山▲崎▼ 真奈
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0160250(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0180450(US,A1)
【文献】特表2016-526910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースユニット(2)を含む3Dバイオプリンタ(1)であって、
前記ベースユニット(2)は、
少なくとも1つのツールヘッド(4)の取り付けのために構成された支持体(3)と、
前記少なくとも1つのツールヘッド(4)が取り付けられているときに、前記ツールヘッド(4)とデータ通信するための通信インタフェース部分(5)と、
前記通信インタフェース部分(5)を介して前記少なくとも1つのツールヘッドのツールヘッド処理要素(8)と通信するように構成されたベースユニット処理要素(7)と、
を有し、
前記支持体(3)は、同時に複数の交換可能なツールヘッドの取り付けのために構成された支持体部分を有し、
前記ベースユニット処理要素(7)は、前記交換可能なツールヘッドが取り付けられているときに、前記通信インタフェース部分(5)を介して、前記複数の交換可能なツールヘッドに関連付けられた特性に関する情報を、前記複数の交換可能なツールヘッドの前記ツールヘッド処理要素から取得するように構成されており、
前記複数の交換可能なツールヘッドに関連付けられた前記特性は、
(i)前記交換可能なツールヘッドのプリンティング技術を含むアクチュエータのタイプに関する情報を含み、前記情報によって、前記交換可能なツールヘッドは、空気圧式押し出しツールヘッド、シリンジポンプツールヘッド、インクジェットツールヘッド、高温押し出しツールヘッド、材料除去用ツールヘッドおよび/または硬化ツールヘッドであると定義可能であり、
(ii)前記ツールヘッドのセンサ技術に関する情報を含み、前記情報によって、前記ツールヘッドは、カメラツールヘッド、探査ツールヘッドおよび/または3Dスキャニングツールヘッドであると定義可能である、
3Dバイオプリンタ(1)。
【請求項2】
前記ベースユニット処理要素(7)は、前記交換可能なツールヘッドの前記特性に関して前記通信インタフェース部分を介して取得された前記情報に基づき、前記複数の交換可能なツールヘッドを制御するための制御信号を取得し、前記制御信号を前記通信インタフェース部分に供給するように構成されている、
請求項1記載の3Dバイオプリンタ。
【請求項3】
前記3Dバイオプリンタ(1)は、さらに、前記複数のツールヘッド(4)を含み、前記複数のツールヘッド(4)は、前記ツールヘッド処理要素(8)と、前記ベースユニット(2)の前記通信インタフェース部分(5)に接続可能な通信インタフェース部分(6)と、を有する、
請求項1または2記載の3Dバイオプリンタ(1)。
【請求項4】
前記ツールヘッドのうち複数のツールヘッドの前記ツールヘッド処理要素は、前記ツールヘッドの動作を少なくとも部分的に制御するように構成されている、
請求項3記載の3Dバイオプリンタ(1)。
【請求項5】
前記3Dバイオプリンタは、さらに、加圧ガスを前記複数のツールヘッドに供給するための加圧ガスインタフェース部分および/または光を前記複数のツールヘッドに伝達するための光インタフェース部分を含む、
請求項1から4までのいずれか1項記載の3Dバイオプリンタ。
【請求項6】
前記3Dバイオプリンタは、さらに、プリンティングスペース内の空気を含むガスを排気するための排気部(9)を含み、前記排気部(9)を前記複数のツールヘッドにおいて具現化する、
請求項1から5までのいずれか1項記載の3Dバイオプリンタ。
【請求項7】
前記ベースユニット処理要素(7)は、ガスの排気を制御するように構成されている、
請求項6記載の3Dバイオプリンタ。
【請求項8】
組織の修復または交換を含む動物または人間の体内への移植、局所塗布、美容の用途、薬剤テスト、創薬の用途から選択された用途のうちのいずれかにおける使用に適した、または疾患モデルとして適した、
もしくは製薬、医療、化学、パーソナルケア、スキンケアまたは美容の業界における研究、調査または開発の目的に適した、
構造物のプリンティングにおいて使用するための、
請求項1から7までのいずれか1項記載の3Dバイオプリンタ。
【請求項9】
3Dバイオプリンタシステム(1’)であって、前記3Dバイオプリンタシステム(1’)は、ベースユニット(2)と同時に複数の交換可能なツールヘッドから成るセット(10)とを有し、
前記ベースユニット(2)は、
ツールヘッド(4’、4”、4”’)の取り付けに構成された支持体(3)と、
前記ツールヘッド(4’、4”、4”’)が取り付けられているときに前記ツールヘッド(4’、4”、4”’)と通信するための通信インタフェース部分(5)と、
前記通信インタフェース部分(5)を介して前記ツールヘッド(4’、4”、4”’)と通信するように構成されたベースユニット処理要素(7)と、
を含み、
前記複数の交換可能なツールヘッド(4’、4”、4”’)各々は、前記ベースユニット(2)の前記通信インタフェース部分(5)に接続可能な通信インタフェース部分(6’、6”、6”’)を有し、
前記複数の交換可能なツールヘッドは、ツールヘッド処理要素(8’、8”、8”’)を含み、前記ツールヘッド処理要素は、前記ベースユニット処理要素(7)と通信するように構成されており、
前記ベースユニット処理要素(7)は、前記通信インタフェース部分(5)を介して、前記複数の交換可能なツールヘッドに関連付けられた特性に関する情報を、前記複数の交換可能なツールヘッドの前記ツールヘッド処理要素から取得するように構成されており、
前記複数の交換可能なツールヘッドに関連付けられた前記特性は、
(i)前記交換可能なツールヘッドのプリンティング技術を含むアクチュエータのタイプに関する情報を含み、前記情報によって、前記交換可能なツールヘッドは、空気圧式押し出しツールヘッド、シリンジポンプツールヘッド、インクジェットツールヘッド、高温押し出しツールヘッド、材料除去用ツールヘッドおよび/または硬化ツールヘッドであると定義可能であり、
(ii)前記ツールヘッドのセンサ技術に関する情報を含み、前記情報によって、前記交換可能なツールヘッドは、カメラツールヘッド、探査ツールヘッドおよび/または3Dスキャニングツールヘッドであると定義可能である、
3Dバイオプリンタシステム(1’)。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか1項に記載された3Dバイオプリンタ(1)を用いて、構造物をバイオプリンティングする方法であって、
前記方法は、複数の交換可能なツールヘッドから所望の特性を有するツールヘッドであるバイオプリンタツールヘッドを選択するステップ(S2)を含み、
前記バイオプリンタツールヘッドは、前記バイオプリンタツールヘッドの特性に関する情報を記憶するツールヘッド処理要素を有
前記バイオプリンタツールヘッドは、バイオプリンタのベースユニットの機械的インタフェース部分に接続可能であり、
前記バイオプリンタツールヘッドは、前記バイオプリンタの前記ベースユニットの通信インタフェース部分に接続可能な通信インタフェース部分を有しており、
前記方法は、
選択された前記バイオプリンタツールヘッドを、前記インタフェース部分を用いて前記バイオプリンタの前記ベースユニットに、機械的にかつ通信可能に接続するステップ(S3)と、
前記バイオプリンタのベースユニット処理要素または前記ツールヘッドの前記ツールヘッド処理要素にアクティベーション信号を供給することによって、構造物のプリンティングをアクティベートするステップ(S4)と、
を含み、
前記ステップ(S4)に応じて、前記ツールヘッド処理要素により記憶された、前記バイオプリンタツールヘッドの前記特性に関する情報に基づき、プリンティングを実施する、
構造物をバイオプリンティングする方法。
【請求項11】
前記方法は、さらに、プリントすべき前記構造物の特性に関する情報を、前記ベースユニット処理要素または前記ツールヘッド処理要素に供給するステップ(S1)を含み、前記構造物の特性に関する前記情報に基づいてプリンティングも実施する、
請求項10記載の構造物をバイオプリンティングする方法。
【請求項12】
前記構造物のプリンティングを、前記ツールヘッドからバイオインクを押し出すことにより実施する、
請求項10または11記載の構造物をバイオプリンティングする方法。
【請求項13】
バイオインクの押し出し後、前記構造物に硬化を施し(S5)、前記硬化は、UV光、可視光またはレーザ光による硬化を含む光硬化、または、溶液による硬化、または、熱に基づく硬化である、
請求項12記載の構造物をバイオプリンティングする方法。
【請求項14】
ベースユニット(2)を含む3Dバイオプリンタ(1)であって、
前記ベースユニット(2)は、
少なくとも1つのツールヘッド(4)の取り付けのために構成された支持体(3)と、
前記少なくとも1つのツールヘッド(4)と通信するための通信インタフェース部分(5)と、
前記少なくとも1つのツールヘッドにおいて具現化する、プリンティングスペース内の空気を含むガスを排気するための排気部(9)と、
前記通信インタフェース部分(5)を介して前記少なくとも1つのツールヘッドと通信するように構成され、かつ、前記排気部(9)を制御するように構成された、ベースユニット処理要素(7)と、
を有し、
前記支持体(3)は、同時に複数の交換可能なツールヘッドの取り付けのために構成された支持体部分を有し、
前記ベースユニット処理要素(7)は、前記交換可能なツールヘッドが取り付けられているときに、前記通信インタフェース部分(5)を介して、前記複数の交換可能なツールヘッドに関連付けられた特性に関する情報を、前記複数の交換可能なツールヘッドのツールヘッド処理要素から取得するように構成されており、
前記複数の交換可能なツールヘッドに関連付けられた前記特性は、
(i)前記交換可能なツールヘッドのプリンティング技術を含むアクチュエータのタイプに関する情報を含み、前記情報によって、前記交換可能なツールヘッドは、空気圧式押し出しツールヘッド、シリンジポンプツールヘッド、インクジェットツールヘッド、高温押し出しツールヘッド、材料除去用ツールヘッドおよび/または硬化ツールヘッドであると定義可能であり、
(ii)前記ツールヘッドのセンサ技術に関する情報を含み、前記情報によって、前記ツールヘッドは、カメラツールヘッド、探査ツールヘッドおよび/または3Dスキャニングツールヘッドであると定義可能である、
3Dバイオプリンタ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、少なくとも1つのツールヘッドを取り付けるための支持体を有するベースユニットを含む3Dバイオプリンタに関する。
【0002】
本開示はさらに、構造物をバイオプリンティングする方法に関する。
【背景技術】
【0003】
積層製造技術であるバイオプリンティングは、細胞、生体材料および生体分子の配置を空間的に制御するその能力に対して、相当に注目されてきた。それゆえバイオプリンティングによって、組織および臓器の再生、基礎研究、ならびに薬剤スクリーニングの将来に対し、無限の可能性がもたらされる。3Dバイオプリンタは、X方向、Y方向およびZ方向に移動しながら材料を分配することができ、これによって複雑なストラクチャをボトムアップで作り上げることができる。しかもこの技術を、患者の医療画像を用いてCAD/CAM技術と組み合わせることができるため、この技術によって、標的組織または標的臓器に特有の生体模倣型3Dストラクチャの生体製造が可能となる。細胞運命プロセスを左右する良好なプリント適性および生理活性特性を有するヒドロゲルバイオインクの開発は、将来有望なこの技術を診療所に転用するのに役立つであろう。天然ポリマーをベースとするヒドロゲルは、それらの好都合な生体適合特性で知られており、細胞カプセル化のために魅力的な生体材料である。それらのヒドロゲルによって、生物学的に関連のある化学的および物理的なシグナルを伴う水性の3D環境がもたらされ、これによって天然の細胞外マトリックス環境が模倣される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の1つの課題は、公知の3Dバイオプリンタよりも改善された3Dバイオプリンタを手に入れることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、3Dバイオプリンタに関する。この3Dバイオプリンタはベースユニットを含み、このベースユニットは、少なくとも1つのツールヘッドの取り付けのために構成された支持体と、少なくとも1つのツールヘッドが取り付けられているときに、このツールヘッドとデータ通信するための通信インタフェース部分と、さらにこの通信インタフェース部分を介して少なくとも1つのツールヘッドのツールヘッド処理要素と通信するように構成されたベースユニット処理要素(7)とを含む。
【0006】
ツールヘッド処理要素は、記憶能力を有することができる。ツールヘッド処理要素は、アナログデータまたはデジタルデータを送信および/または受信することができる。ツールヘッド処理要素は、計算を実施するための処理能力を有することもできる。よって、ツールヘッドはインテリジェンスを有する。
【0007】
よって、ツールヘッドがツールヘッド処理要素を有するときには、そのツールヘッドに関する手動によるユーザ入力の必要性を低減または排除することができる。想定される回避/低減可能な煩わしい手動ユーザ入力には例えば、ツールヘッドのタイプ、寸法および他の特性が含まれる。これによって、3Dバイオプリンタがいっそう容易にかついっそう迅速に使用されるようになる。他方、これによって、ツールヘッドに関する誤った情報が手動で入力されるリスクが排除される。
【0008】
さらにツールヘッド処理要素は、例えば、ツールヘッド自体によって取得された、あるいはツールヘッドに取り付けられた、またはツールヘッドに関連付けられたセンサによって取得された、ツールヘッドに関するデータを収集することができる。この場合、ツールヘッド処理要素を、収集されたデータを3Dバイオプリンタに適したフォーマットに成形するように、かつそのデータを適切なフォーマットで3Dバイオプリンタの通信インタフェース部分に送信するように、構成することができる。ツールヘッドを置き換えなければならない場合、これによって3Dバイオプリンタとツールヘッドとの一体化が容易になる。これは特に、交換可能なツールヘッドにとって有利である。
【0009】
さらに、ツールヘッド処理要素が処理能力を有するならば、ツールヘッド処理要素を、この処理要素のツールヘッドの動作を、または他のツールヘッドなど別の機器の動作を、かつ/またはガスの排気を、少なくとも部分的に制御するように構成することができる。ツールヘッドのところでこの機能を有することにより得られる1つの利点は、アップデートされたツールヘッドが3Dバイオプリンタに取り付けられたときに、3Dバイオプリンタ内のソフトウェアを修正してアップデートしなくてよい、ということである。
【0010】
この解決手段によれば、ベースユニット処理要素がマスタとして動作可能であり、ツールヘッド処理要素がスレーブとして動作可能であり、さらにこの逆に動作可能である。
【0011】
種々の実施形態によれば、支持体は、少なくとも1つの交換可能なツールヘッドの取り付けのために構成された支持体部分を含む。
【0012】
これによれば、3Dバイオプリンタは著しくフレキシブルになり、3Dバイオプリンタの動作の効率性を高めることができる。例えばユーザは、3Dバイオプリンタの外部でツールヘッドを準備することができ、この準備には例えば、材料の充填および/または針の選択を含めることができる。このようにすれば、目下使用されているツールヘッドを、目下使用されているものと置き換えることができる。
【0013】
これによれば、材料の充填および/または針の変更など時間のかかる動きのために、バイオプリンタを停止させる必要がない。その代わりに、目下使用されているツールヘッドを準備したものと置き換えるために、短期間の停止を行えばよい。別の選択肢として、目下使用されているツールヘッドを、プリンティングしているときに交換することができる。例えば、支持体が複数のツールヘッドを取り付けるように構成されているならば、プリントしながら交換を簡単に実施することができる。
【0014】
新たなツールヘッドの検出を、3Dバイオプリンタによって自動的に行うことができ、またはこれをユーザによってセットすることができる。
【0015】
ユーザは、ツールを使用して、またはツールを使用せずに、ツールヘッドを挿入する、または取り外すことができる。別の選択肢として、3Dバイオプリンタ自体によって、ツールヘッドを挿入する、かつ/または取り外すことができる。
【0016】
ツールヘッドの接続のために、1つまたは複数のステップが必要とされる可能性がある。例えばこのステップには、ナットの挿入および/またはケーブルの接続および/またはガス供給部の接続を含めることができる。
【0017】
3Dバイオプリンタを、どのツールヘッドを使用するのが望ましいのかに関する情報を、さらに場合によってはそれをどのように準備するのが望ましいのかに関する情報も、表示するように構成することもできる。
【0018】
3Dバイオプリンタを、1つまたは複数の交換可能なツールヘッドを、1つまたは複数の交換不可能なツールヘッドを伴って、または伴わずに、使用するように構成することができる。
【0019】
種々の実施形態によれば、ベースユニット処理要素は、交換可能なツールヘッドが取り付けられているときに、通信インタフェース部分を介して、少なくとも1つの交換可能なツールヘッドに関連付けられた特性に関する情報を、少なくとも1つの交換可能なツールヘッドのツールヘッド処理要素から取得するように構成されている。
【0020】
少なくとも1つの交換可能なツールヘッドに関連付けられた特性は、交換可能なツールヘッドのプリンティング技術など、アクチュエータのタイプに関する情報を含むことができる。この情報によって、交換可能なツールヘッドは空気圧式押し出しツールヘッド、シリンジポンプツールヘッド、インクジェットツールヘッド、高温押し出しツールヘッド、材料除去用ツールヘッドおよび/または硬化ツールヘッドである、と定義することができる。材料除去用ツールヘッドを、ナイフおよび/またはレーザツールヘッドおよび/またはミリングツールヘッドおよび/またはドリリングツールヘッドとすることができる。硬化ツールヘッドを、UV光、可視光またはレーザ光などの光硬化ツールヘッドとすることができる。硬化ツールヘッドを、溶液または熱に基づく硬化ツールヘッドなど、他の任意のタイプの硬化ツールヘッドとすることができる。この情報によって、少なくとも1つの交換可能なツールヘッドはバイオエレクトロ噴霧ツールヘッドである、と定義することができる。
【0021】
少なくとも1つの交換可能なツールヘッドに関連付けられた特性は、ツールヘッドのセンサ技術に関する情報を含むことができ、この情報によって、ツールヘッドはカメラツールヘッド、探査ツールヘッドおよび/または3Dスキャニングツールヘッドである、と定義することができる。
【0022】
種々の実施形態によれば、ベースユニット処理要素は、交換可能なツールヘッドの特性に関して通信インタフェース部分を介して取得された情報に基づき、少なくとも1つの交換可能なツールヘッドを制御するための制御信号を取得し、この制御信号を通信インタフェース部分に供給するように構成されている。
【0023】
種々の実施形態によれば、上述のように定義された3Dバイオプリンタ(1)はさらに、前述のツールヘッド処理要素(8)と、ベースユニット(2)の通信インタフェース部分(5)に接続可能な通信インタフェース部分(6)とを有する、前述の少なくとも1つのツールヘッドを含む。この場合、ツールヘッドのうち少なくとも1つのツールヘッドのツールヘッド処理要素を、前述のツールヘッドの動作を少なくとも部分的に制御するように構成することができる。
【0024】
種々の実施形態によれば、3Dバイオプリンタはさらに、加圧ガスを少なくとも1つのツールヘッドに供給するための加圧ガスインタフェース部分および/または光を少なくとも1つのツールヘッドに伝達するための光インタフェース部分を含む。
【0025】
種々の実施形態によれば、3Dバイオプリンタはさらに、プリンティングスペース内の空気などのガスを排気するための排気部を含む。この排気部を、少なくとも1つのツールヘッドにおいて具現化することができる。
【0026】
ベースユニット処理要素(7)は、種々の実施形態によれば、ガスの排気を制御するように構成されている。
【0027】
本開示はさらに、以下のために適した構造物のプリンティングにおいて使用するための、上述のように定義された3Dバイオプリンタに関する。すなわちこの構造物は、組織の修復または交換など動物または人間の体内への移植、局所塗布、美容の用途、創薬、薬剤テストの用途から選択された用途のうちのいずれか1つなどのように、3Dバイオプリントされた構造物を使用することのできる任意の用途における使用に適しており、または疾患モデルとして適しており、もしくは製薬、医療、化学、パーソナルケア、スキンケアまたは美容の業界、あるいは3Dバイオプリントされた構造物を使用することのできる他の任意の業界における様々な研究、調査または開発の目的など、他の目的のために適している。プリントされた構造物は、適切な固体、半固体または液体のバイオインク材料を含み、さらに用途に応じて生体細胞を含むかもしれないし、含んでいないかもしれない。
【0028】
本開示はさらに、3Dバイオプリンタシステムに関する。この3Dバイオプリンタシステムは、ツールヘッドの取り付けに構成された支持体と、ツールヘッドが取り付けられているときに、このツールヘッドと通信するための通信インタフェースと、この通信インタフェース(5)を介してツールヘッドと通信するように構成されたベースユニット処理要素とを含む、ベースユニットと、ベースユニットの通信インタフェース部分に接続可能な通信インタフェース部分をツールヘッド各々が有する、複数のツールヘッドから成るセットとを含む。
【0029】
ツールヘッドのうちの少なくとも1つは、ツールヘッド処理要素を含むことができる。ツールヘッド処理要素を、ベースユニット処理要素と通信するように構成することができる。
【0030】
本開示はさらに、3Dバイオプリンタツールヘッドに関する。この3Dバイオプリンタツールヘッドは、3Dバイオプリンタの機械的インタフェース部分に接続可能である。3Dバイオプリンタツールヘッドはさらに、ツールヘッド処理要素と、3Dバイオプリンタの通信インタフェース部分に接続可能な通信インタフェース部分とを含む。
【0031】
3Dバイオプリンタツールヘッドのツールヘッド処理要素を、少なくとも1つのツールヘッドに関連付けられた特性に関する情報を記憶するように構成することができる。
【0032】
少なくとも1つの交換可能なツールヘッドに関連付けられた特性は、交換可能なツールヘッドのプリンティング技術など、アクチュエータのタイプに関する情報を含むことができる。この情報によって、交換可能なツールヘッドは空気圧式押し出しツールヘッド、シリンジポンプツールヘッド、インクジェットツールヘッド、高温押し出しツールヘッド、材料除去用ツールヘッドおよび/または硬化ツールヘッドである、と定義することができる。この情報によって、少なくとも1つの交換可能なツールヘッドはバイオエレクトロ噴霧ツールヘッドである、と定義することができる。
【0033】
少なくとも1つの交換可能なツールヘッドに関連付けられた特性は、ツールヘッドのセンサ技術に関する情報を含むことができ、この情報によって、ツールヘッドはカメラツールヘッド、探査ツールヘッドおよび/または3Dスキャニングツールヘッドである、と定義することができる。
【0034】
ツールヘッド処理要素を、押し出し制御および/または押し出し材料温度制御および/または押し出し材料粘度制御および/またはガス供給制御などの動作を、少なくとも部分的に制御するように構成することができる。
【0035】
ツールヘッド処理要素を、ツールヘッドに配置された、またはツールヘッド内に一体化されたセンサにより取得された情報に基づき、かつ/または通信インタフェース部分を介して受け取られた情報に基づき、ツールヘッドの動作を少なくとも部分的に制御するように構成することができる。
【0036】
ツールヘッド処理要素を、粘度および/または温度など材料特性に関する情報に基づき、かつ/または押し出しに使用されるノズルの直径に関する情報に基づき、ツールヘッドの動作を少なくとも部分的に制御するように構成することができる。
【0037】
ツールヘッドのツールヘッド処理要素を、押し出し材料温度および/または押し出し材料レベルおよび/または押し出し材料粘度および/または周囲光の監視および/または排気ガスの監視など、動作を少なくとも部分的に監視するように構成することができ、かつ/またはこの場合にツールヘッド処理要素は、データ収集を実施し、通信インタフェース部分を介して動作の監視を報告するように構成されており、かつ/またはこの場合にツールヘッド処理要素は、エラーの検出を実施し、通信インタフェース部分を介してこのエラーを報告するように構成されている。
【0038】
本開示はさらに、構造物をバイオプリンティングする方法に関する。この方法は以下のステップを含む、すなわち、
所望の特性を有するバイオプリンタツールヘッドを選択するステップと、
ただしバイオプリンタツールヘッドは、このバイオプリンタツールヘッドの特性に関する情報を記憶するツールヘッド処理要素を有することができ、
バイオプリンタツールヘッドは、バイオプリンタのベースユニットの機械的インタフェース部分に接続可能であり、
バイオプリンタツールヘッドは、バイオプリンタのベースユニットの通信インタフェース部分に接続可能な通信インタフェース部分を有しており、
選択されたバイオプリンタツールヘッドを、インタフェース部分を用いてバイオプリンタのベースユニットに、機械的にかつ通信可能に接続するステップと、
バイオプリンタのベースユニット処理要素またはツールヘッドのツールヘッド処理要素にアクティベーション信号を供給することによって、構造物のプリンティングをアクティベートするステップと
を含み、このステップに応じて、ツールヘッド処理要素により記憶された、またはユーザインタフェースを用いて手動で入力された、バイオプリンタツールヘッドの特性に関する情報に基づき、プリンティングを実施する。
【0039】
種々の実施形態によれば、この方法はさらに、プリントすべき構造物の特性に関する情報を、ベースユニット処理要素またはツールヘッド処理要素に供給するステップを含み、この場合、構造物の特性に関する情報に基づいてプリンティングも実施する。
【0040】
この方法の種々の実施形態によれば、構造物のプリンティングを、ツールヘッドからバイオインクを押し出すことにより実施する。
【0041】
種々の実施形態によれば、構造物をバイオプリンティングする方法は、バイオインクの押し出し後、構造物にUV硬化などの硬化を施すステップを含む。
【0042】
本開示はさらに、上述のように定義された方法によって製造された、3Dバイオプリントされた構造物に関する。この構造物は、バイオインク材料によって形成され、バイオインク材料は、液体、半固体または固体の組成、あるいはこれらの組み合わせを含む。バイオインク材料を多くの異なるタイプのものとすることができ、例えばアルギン酸塩ベース、ゼラチンベース、コラーゲンベース、シリカベース、セルロースベース、ポリカプロラクトンおよび/またはポリ乳酸のバイオインクおよび/または熱可塑性材料を用いることができる。
【0043】
種々の実施形態によれば、バイオインク材料は生体細胞を含む。
【0044】
本発明のバイオプリンタによりもたらされる3Dバイオプリントされた構造物は典型的には、ロバストで安定したストラクチャであり、これは生体適合性があり、一部の用途のために、脈管化させられた状態となる能力を有する。
【0045】
本開示はさらに、以下のようなベースユニットを含む3Dバイオプリンタに関する。すなわちこのベースユニットは、少なくとも1つの交換可能なツールヘッドの取り付けのために構成された支持体と、少なくとも1つのツールヘッドが取り付けられているときに、このツールヘッドと通信するための通信インタフェース部分と、さらにこの通信インタフェース部分を介して少なくとも1つのツールヘッドと通信するように構成されたベースユニット処理要素とを有する。
【0046】
本開示はさらに、以下のようなベースユニットを含む3Dバイオプリンタに関する。すなわちこのベースユニットは、少なくとも1つのツールヘッドの取り付けのために構成された支持体と、少なくとも1つのツールヘッドと通信するための通信インタフェース部分(5)と、少なくとも1つのツールヘッドにおいて具現化可能である、プリンティングスペース内の空気などのガスを排気するための排気部と、さらに上述の通信インタフェース部分を介して少なくとも1つのツールヘッドと通信するように構成された、かつ排気部を制御するように構成された、ベースユニット処理要素とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】第1の例による3Dバイオプリンタを概略的に開示した図である。
図2】第2の例による3Dバイオプリンタシステムを概略的に開示した図である。
図3】例えば、図1または図5に関連して開示されている3Dバイオプリンタ、または図2に関連して開示されている3Dプリンタシステムについての、システム概要図である。
図4】構造物をバイオプリンティングする方法の一例を概略的に開示したフローチャートである。
図5】第3の例による3Dバイオプリンタを概略的に開示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
積層製造技術であるバイオプリンティングは、細胞、生体材料および生体分子の配置を空間的に制御するその能力に対して、相当に注目されてきた。それゆえバイオプリンティングによって、組織および臓器の再生、基礎研究、ならびに薬剤スクリーニングの将来に対し、無限の可能性がもたらされる。
【0049】
3Dバイオプリンタは、X方向、Y方向およびZ方向に移動しながら材料を分配することができる。これによって複雑なストラクチャをボトムアップで作り上げることができる。しかもこの技術を、患者の医療画像を用いてCAD/CAM技術と組み合わせることができるため、この技術によって、標的組織または標的臓器に特有の生体模倣型3Dストラクチャの生体製造が可能となる。プレバイオプリンティングプロセスにおいて、3Dバイオプリンタにより使用するためのモデルが生成される。さらに、使用したい材料が選択される。バイオプリンティングのために使用される一般的な技術は、コンピュータ断層撮影(CT)および磁気共鳴イメージング(MRI)である。レイヤバイレイヤアプローチでプリントするために、画像に対し断層撮影的な再構成を実施することができる。いまや2Dとなった画像を、プリンタによって使用することができる。
【0050】
図1には、3Dバイオプリンタ1の一例が開示されている。3Dバイオプリンタを、3次元で作り上げられる生体組織の製造のために使用することができる。この3Dバイオプリンタ1を、組織の修復または交換など動物または人間の体内への移植、局所塗布、美容の用途および薬剤テストの用途から選択された用途のうちのいずれかにおいて使用するために適した構造物のプリンティングにおいて、使用することができる。
【0051】
3Dバイオプリンタ1はベースユニット2を含む。ベースユニット2は、少なくとも1つのツールヘッド4の取り付けのために構成された支持体3を含む。1つの例によれば、支持体3は、複数のツールヘッド4を収容するように構成されている。
【0052】
1つの例によれば、支持体3は、少なくとも1つの交換可能なツールヘッド4の取り付けのために構成されている。この場合、1つまたは複数の交換可能なツールヘッドを取り外して、1つまたは複数の別のツールヘッドと置き換えることができる。1つの例によれば、支持体3は、少なくとも1つの交換不可能なツールヘッドの取り付けのために構成されている。1つの例によれば、支持体を、少なくとも1つの交換可能なツールヘッドと、少なくとも1つの交換不可能なツールヘッド4と、の取り付けのために適合させることができる。
【0053】
支持体3が少なくとも1つの交換可能なツールヘッドの取り付けのために構成されている例によれば、3Dバイオプリンタが著しくフレキシブルになり、さらに3Dバイオプリンタの動作の効率性を高めることができる。例えばユーザは、3Dバイオプリンタの外部でツールヘッドを準備することができ、この場合、準備には例えば、材料の充填および/または針の選択を含めることができる。このようにすれば、目下使用されているツールヘッドを、目下使用されているものと置き換えることができる。
【0054】
これによれば、材料の充填および/または針の変更など時間のかかる動きのために、バイオプリンタを停止させる必要がない。その代わりに、目下使用されているツールヘッドを準備したものと置き換えるために、短期間の停止を行えばよい。別の選択肢として、目下使用されているツールヘッドを、プリンティングしているときに交換することができる。例えば、支持体3が複数のツールヘッドを取り付けるように構成されているならば、プリントしながら交換を簡単に実施することができる。
【0055】
ユーザは、ツールを使用して、またはツールを使用せずに、ツールヘッドを挿入する、または取り外すことができる。別の選択肢として、3Dバイオプリンタ自体によって、ツールヘッドを自動的に挿入する、かつ/または取り外すことができる。
【0056】
ツールヘッドの接続のために、1つまたは複数のステップが必要とされる可能性がある。例えばこのステップには、ナットの挿入および/またはケーブルの接続および/またはガス供給部の接続が含まれる。
【0057】
少なくとも1つのツールヘッド4は、少なくとも1つのアクチュエーティングツールヘッドおよび/または少なくとも1つのセンサツールヘッドを含むことができる。アクチュエーティングツールヘッドに、1つまたは複数のセンサを設けてもよい。アクチュエーティングツールヘッドの例には、空気圧式押し出しツールヘッド、シリンジポンプツールヘッド、インクジェットツールヘッド、高温押し出しツールヘッド、材料除去用ツールヘッド、硬化ツールヘッドおよび/またはバイオエレクトロ噴霧ツールヘッドが含まれる。材料除去用ツールヘッドは、ナイフおよび/またはレーザツールヘッドおよび/またはミリングツールヘッドおよび/またはドリリングツールヘッドを含むことができる。硬化ツールヘッドは、硬化UVツールヘッドおよび/または可視光硬化ツールヘッドおよび/またはレーザ光硬化ツールヘッドを含むことができる。アクチュエーティングツールヘッドの他の例には、空気などのガスを排気するための排気ガスツールヘッドが含まれる。
【0058】
センシングツールヘッドの例には、カメラツールヘッド、探査ツールヘッドおよび/または3Dスキャニングツールヘッドが含まれる。
【0059】
ベースユニット2はさらに、少なくとも1つのツールヘッドが取り付けられているときに、このツールヘッドと通信するための通信インタフェース部分5を含む。この通信は、ツールヘッドの制御のための制御信号の通信を含むことができる。さらにこの通信は、ツールヘッドからのセンサ信号の通信を含むことができる。ベースユニットとツールヘッドとの間で通信することのできる情報については、あとでさらに詳しく論じることにする。
【0060】
ツールヘッド4は、ベースユニット(2)の通信インタフェース部分(5)に接続可能な対応する通信インタフェース部分(6)を含む。ツールヘッド4は、ツールヘッド処理要素8を含むこともできる。
【0061】
通信インタフェース部分5、6を、アナログ通信および/またはデジタル通信のために構成することができる。通信インタフェース部分は、有線インタフェースまたは非接触インタフェース(非有線インタフェース)を形成することができる。通信インタフェースは例えば、電気的インタフェースおよび/または光インタフェースおよび/またはオーディオインタフェースおよび/または無線インタフェースを含むことができる。インタフェース部分を介した通信を、任意の通信プロトコルに従って実施することができる。
【0062】
ベースユニット2はさらに、ベースユニット処理要素7を含む。ベースユニット処理要素を、上述の通信インタフェース部分5、6を介して少なくとも1つのツールヘッド4のツールヘッド処理要素8と通信するように、適合させることができる。1つの択一的な例によれば、ツールヘッドには、ベースユニット処理要素と通信するように構成されたツールヘッド処理要素は設けられていない。
【0063】
ベースユニット処理要素7および設けられているならばツールヘッド処理要素8は、記憶能力を有する。ベースユニット処理要素7および設けられているならばツールヘッド処理要素8は、アナログデータまたはデジタルデータを送信および/または受信することができる。ベースユニット処理要素7およびツールヘッド処理要素8のうち少なくとも一方は、計算を実施するための処理能力を有する。
【0064】
ツールヘッド4がツールヘッド処理要素8を有するならば、そのツールヘッドのために手動でユーザが入力する必要性を低減または排除することができる。想定される回避/低減可能な煩わしい手動ユーザ入力には例えば、ツールヘッドのタイプ、寸法および他の特性が含まれる。これによって、3Dバイオプリンタがいっそう容易にかついっそう迅速に使用されるようになる。ツールヘッドに関するデータの自動的な取り出しによってさらに、ツールヘッドに関する誤った情報が手動で入力されるリスクが排除される。
【0065】
ツールヘッドがデータ記憶能力を有するこの例によれば、少なくとも1つの交換可能なツールヘッドに関連付けられた特性に関する情報を記憶するために、ツールヘッド処理要素を構成することができる。少なくとも1つの交換可能なツールヘッドに関連付けられた特性は、交換可能なツールヘッドのプリンティング技術など、アクチュエータのタイプに関する情報を含むことができる。この情報によって、交換可能なツールヘッドは空気圧式押し出しツールヘッド、シリンジポンプツールヘッド、インクジェットツールヘッド、高温押し出しツールヘッド、材料除去用ツールヘッド、硬化ツールヘッドおよび/またはバイオエレクトロ噴霧ツールヘッドである、と定義することができる。この情報によって、交換可能な材料除去用ツールヘッドをナイフ、レーザツールヘッド、ミリングツールヘッドおよび/またはドリリングツールヘッドとする、と定義することができる。さらにこの情報によって、交換可能な硬化ツールヘッドを硬化UVツールヘッド、可視光硬化ツールヘッド、またはレーザ光硬化ツールヘッドとすることができる、と定義することができる。
【0066】
少なくとも1つの交換可能なツールヘッドに関連付けられた特性は、ツールヘッドのセンサ技術に関する情報を含むことができ、この情報によって、ツールヘッドはカメラツールヘッド、探査ツールヘッドおよび/または3Dスキャニングツールヘッドである、と定義することができる。
【0067】
ベースユニット処理要素を、交換可能なツールヘッドが取り付けられているときに、通信インタフェース部分を介して、少なくとも1つの交換可能なツールヘッドに関連付けられた特性に関する情報を、少なくとも1つの交換可能なツールヘッドのツールヘッド処理要素から取得するように構成することができる。
【0068】
ツールヘッド処理要素8は、それが設けられているならば、例えば、ツールヘッド自体によって取得された、あるいはツールヘッド内に一体化された、ツールヘッドに取り付けられた、かつ/またはツールヘッドに関連付けられたセンサによって取得された、ツールヘッドに関するデータを収集するように構成することができる。この場合、ツールヘッド処理要素を、収集されたデータを3Dバイオプリンタに適したフォーマットに成形するように、すなわちベースユニット2との通信のために設定されたプロトコルに従って成形するように、構成することができる。ツールヘッド処理要素をさらに、データを適切なフォーマットで3Dバイオプリンタの通信インタフェース部分に送信するように、構成することができる。これによって、3Dバイオプリンタのベースユニット2とツールヘッドとの一体化が容易になる。これは特に、交換可能なツールヘッドにとって有利である。
【0069】
ベースユニット2とツールヘッド4の少なくとも1つの双方が処理能力を有する場合には、ツールヘッドの動作制御のための処理を、1つまたは複数のツールヘッド処理要素8またはベースユニット処理要素7のいずれかによって実施することができる。1つの択一的な例によれば、ベースユニットプロセッサ7と、1つまたは複数のツールヘッド処理要素8のうち少なくとも1つのツールヘッド処理要素の双方の処理能力が、ツールヘッドの動作制御のために使用される。この例によれば、ベースユニット処理要素7、またはツールヘッド処理要素8のうち少なくとも1つのツールヘッド処理要素のいずれかが、マスタプロセッサとして動作し、1つまたは複数の他方のプロセッサがスレーブプロセッサとして動作し、またはこの逆に動作する。
【0070】
したがってベースユニット処理要素および/またはツールヘッド処理要素は、交換可能なツールヘッドの特性に関する情報に基づき、少なくとも1つの交換可能なツールヘッドを制御するための制御信号を取得し、ツールヘッドを制御するためにこの制御信号をツールヘッドに供給するように構成されている。
【0071】
よって、1つまたは複数のツールヘッド処理要素8は、1つの例によれば、この処理要素のツールヘッドの動作を、または他のツールヘッドなど別の機器の動作を、かつ/またはガスの排気を、少なくとも部分的に制御するために用いられる処理能力を有することができる。1つまたは複数のツールヘッド処理要素8のところでこの機能を具現化することにより得られる1つの利点は、アップデートされたツールヘッドが3Dバイオプリンタに取り付けられたときに、ベースユニット2内のソフトウェアを修正してアップデートしなくてもよいことであり、または少なくとも僅かなアップデートだけしか必要とされないことである。かくして既存の3Dバイオプリンタを、ベースユニットのソフトウェアを実質的に修正することなく、新たなツールヘッド技術によってアップグレードすることができる。
【0072】
ベースユニット処理要素および/または1つまたは複数のツールヘッド処理要素を、押し出し制御および/または押し出し材料温度制御および/または押し出し材料粘度制御および/またはガス供給制御などの動作を、少なくとも部分的に制御するように構成することができる。
【0073】
ベースユニット処理要素および/または1つまたは複数のツールヘッド処理要素を、ツールヘッドに配置された、またはツールヘッド内に一体化されたセンサにより取得された情報に基づき、かつ/または通信インタフェース部分を介して受け取られた情報に基づき、ツールヘッドの動作を少なくとも部分的に制御するように構成することができる。
【0074】
ベースユニット処理要素および/または1つまたは複数のツールヘッド処理要素を、粘度および/または温度などの材料特性に関する情報に基づき、かつ/または押し出しに使用されるノズルの直径に関する情報に基づき、ツールヘッドの動作を少なくとも部分的に制御するように構成することができる。
【0075】
ツールヘッドのツールヘッド処理要素および/またはベースユニット処理要素を、押し出し材料温度および/または押し出し材料レベルおよび/または押し出し材料粘度および/または周囲光の監視および/または排気ガスの監視など、動作を少なくとも部分的に監視するように構成することができ、かつ/またはこの場合にツールヘッド処理要素は、データ収集を実施し、通信インタフェース部分を介して動作の監視を報告するように構成されており、かつ/またはこの場合にツールヘッド処理要素は、エラーの検出を実施し、通信インタフェース部分を介してこのエラーを報告するように構成されている。
【0076】
3Dバイオプリンタはさらに、図示の例によれば、プリンティングスペース内の空気などのガスを排気するための任意選択的な排気部9を含む。これについては、図5に関連してさらに詳しく説明する。
【0077】
排気部9を、少なくとも1つのツールヘッドにおいて具現化することができる。この場合、3Dバイオプリンタ1は、加圧ガスを少なくとも1つのツールヘッドに供給するために、加圧ガスインタフェース部分(図示せず)を含むことができる。
【0078】
ベースユニット処理要素(7)または1つのツールヘッド処理要素は、1つの例によれば、ガスの排気を制御するように構成されている。これについては、図5に関連してさらに詳しく説明する。
【0079】
3Dバイオプリンタ1は、光を少なくとも1つのツールヘッドに伝達するために、光インタフェース部分を含むことができる。
【0080】
さらに3Dバイオプリンタ1は、ユーザ入力および/または情報表示のために構成されたユーザインタフェース21を有する。
【0081】
さらに3Dバイオプリンタ1は、成形すべき構造物が載置される受容面20を有する。
【0082】
図2には、3Dバイオプリンタシステム1’の一例が開示されている。図1に関連して開示されているように、3Dバイオプリンタシステムは、少なくとも1つのツールヘッド4’、4”、4”’の取り付けに構成された支持体3を含むベースユニット2を含む。ベースユニット2はさらに、ツールヘッドが取り付けられているときに、このツールヘッドと通信するための通信インタフェース部分5を含む。ベースユニットはさらに、上述の通信インタフェース5を介して少なくとも1つのツールヘッドと通信するように構成された、ベースユニット処理要素7を含む。
【0083】
3Dバイオプリンタシステム1’はさらに、ツールヘッド4’、4”、4”’から成るセット10を含む。各ツールヘッドは、ベースユニット2の通信インタフェース部分5に接続可能な通信インタフェース部分6’、6”、6”’を有する。
【0084】
ツールヘッドのうちの少なくとも1つは、ツールヘッド処理要素8’、8”、8”’を含むことができる。ツールヘッド処理要素は、ベースユニット処理要素と通信するように構成されている。
【0085】
この図に関連して開示されている3Dバイオプリンタシステム1’は、図1図3および図4ならびに図5に関連して開示されている付加的な特徴のうちの1つまたは複数を有することができる。
【0086】
図3には、3Dバイオプリンティングのためのシステムのシステム概要の一例が開示されている。このシステムは、3Dバイオプリンタ部分1を含む。3Dバイオプリンタ部分は、ベースユニット処理要素7を含む。ベースユニット処理要素7を、他の図面に関連して述べたように設計することができる。3Dバイオプリンタ部分は、ユーザインタフェース21を含むこともできる。ユーザインタフェース21を、他の図面に関連して述べたように設計することができる。
【0087】
3Dバイオプリンタ部分1は、1つまたは複数のベースユニットのアクチュエータまたはセンサ11を有することもできる。ベースユニットのアクチュエータまたはセンサ11は、3Dプリンティングを実施するためのポジショニングシステムを含むことができる。3Dバイオプリンタにおいて使用するためのポジショニングシステムは、当該技術分野において知られており、本明細書で詳しくは説明しない。一般的に述べると、ポジショニングシステムによって、X方向、Y方向およびZ方向に移動しながら材料を分配することができる。ベースユニットのアクチュエータまたはセンサ11は、他の図面に関連して本明細書に開示されているように、加圧ガス供給システムを含むことができる。ベースユニットのアクチュエータまたはセンサ11は、温度センサおよび/または土台加熱/冷却部および/または室内湿度制御部および/または室内温度制御部および/または光制御部および/または滅菌制御部、を含むことができる。
【0088】
このシステムは、他の図面に関連して述べた通信インタフェースも含む。さらにバイオプリンタの支持体部分3は、図示の例によれば、ベースユニットの機械的インタフェース13と共に形成されており、ツールヘッド4’、4”には、対応する機械的ツールヘッドインタフェース14’、14”が設けられている。
【0089】
ツールヘッド4’、4”はさらに、ツールヘッド処理要素8’、8”を含む。ツールヘッド処理要素8’、8”を、他の図面に関連して述べたように設計することができる。ツールヘッド4’、4”はさらに、ツールヘッドのアクチュエータまたはセンサ12’、12”を含む。ツールヘッドのアクチュエータまたはセンサ12’、12”は、ツールヘッド処理要素8’、8”またはベースユニット処理要素7によって制御される。これについては、他の図面に関連してこれまでに述べてきた。
【0090】
図4には、構造物をバイオプリンティングする方法40が示されている。この方法は、所望の特性を有するツールヘッドを選択するステップS2を含む。バイオプリンタツールヘッドは、バイオプリンタツールヘッドの特性に関する情報を記憶するツールヘッド処理要素を有することができる。バイオプリンタツールヘッドは、バイオプリンタのベースユニットの機械的インタフェース部分に接続可能である。バイオプリンタツールヘッドは、バイオプリンタのベースユニットの通信インタフェース部分に接続可能な通信インタフェース部分を有する。3Dバイオプリンタを、どのツールヘッドを使用するのが望ましいのかに関する情報を、さらに場合によってはそれをどのように準備するのが望ましいのかに関する情報も、表示するように、または他の何らかの手法で呈示するように、構成することもできる。つまりこの例によれば、3Dプリンタは、判定支援を提供するように構成されている。3Dバイオプリンタを、プリントすべき1つまたは複数の構造物またはプリントされる1つまたは複数の構造物の動作および/または特性に関する1つまたは複数の状態パラメータに基づき、判定支援を提供するように構成することができる。プリントすべき1つまたは複数の構造物の1つまたは複数の状態パラメータおよび/または特性を、ベースユニット処理要素および/または1つまたは複数のツールヘッド処理要素において得ることができる。
【0091】
次のステップS3において、選択されたバイオプリンタツールヘッドが、インタフェース部分によって機械的にかつ通信可能に、バイオプリンタのベースユニットに接続される。このステップを、手動または自動のいずれかで実施することができる。
【0092】
次のステップS4において、アクティベーション信号をバイオプリンタのベースユニット処理要素またはツールヘッドの処理要素に供給することによって、接続されたツールヘッドによる構造物のプリンティングがアクティベートされる。次いで、処理要素によって記憶された、またはユーザインタフェースを用いて手動で入力された、バイオプリンタツールヘッドの特性に関する情報に基づき、プリンティングが実施される。構造物のプリンティングを、ツールヘッドからバイオインクを押し出すことによって実施することができる。新たなプリントヘッドの検出を、3Dバイオプリンタによって自動的に行うことができ、またはこれをユーザによってセットすることができる。プリンティングを、3Dバイオプリンタによって手動でまたは自動的にアクティベートすることができる。
【0093】
この方法はさらに、プリンティングがアクティベートされる前に、プリントすべき構造物の特性に関する情報を、ベースユニット処理要素または処理要素に供給するステップS1を含むことができる。次いで、構造物の特性に関する情報に基づき、プリンティングを実施することもできる。図示の例によれば、このステップは、ツールヘッドの選択前に実施される。これによって得られる利点とは、ツールヘッドの選択における判定支援および/またはツールヘッドの選択を提供することができる、という点にある。
【0094】
構造物をバイオプリンティングする方法はさらに、バイオインクの押し出し後に構造物に硬化を施すステップS5を含むことができる。このステップにおいて、ツールヘッドのうちの1つを用いることができる。このステップを、手動でまたは自動的に開始することができる。硬化を、UV光、可視光またはレーザ光などの光硬化とすることができる。溶液による硬化または熱に基づく硬化など、他の任意の方法を用いて硬化を実施することができる。
【0095】
上述のように定義された方法により製造された3Dバイオプリントされた構造物を、バイオインク材料によって形成することができ、この場合、バイオインク材料は、液体、半固体または固体の組成、あるいはこれらの組み合わせを含む。バイオインクは、生体細胞を含むことができる。
【0096】
図5には、3Dバイオプリンタ1”の一例が開示されている。3Dバイオプリンタ1”は、少なくとも1つのツールヘッド4の取り付けのために構成された支持体3を有するベースユニット2を含む。ベースユニット2はさらに、少なくとも1つのツールヘッドと通信するための通信インタフェース部分5を含む。3Dバイオプリンタ1”はさらに、プリンティングスペース内の空気などのガスを排気するための排気部9を含む。図示の例によれば、排気部9はベースユニット2に取り付けられている。ただし排気部を、その代わりに例えば、少なくとも1つのツールヘッドにおいて具現化することができる。排気部は、ガス供給装置(図示せず)に接続されている。このことは例えば実際の運用においては、排気部9を、ポンプ、アキュムレータおよびデジタルまたはアナログで制御される圧力レギュレータを含むガス供給装置に接続することによって達成される。デジタルで制御され監視されるポンプを用いた場合、ポンプの使用量を、特定のバイオプリントのために使用されるべき空気量に適合させることができる。これによってポンプの使用を減らすことができる。さらにこれによって、いっそう静かな動作が達成される、という利点が得られる。
【0097】
1つの例によれば、ガス供給装置は3Dバイオプリンタ1”内に収容されている。ユーザは、空気などの加圧ガスを供給する必要がない。これによって、3Dバイオプリンタ装置をいっそう持ち運びやすく簡単に使うことができるようになる。
【0098】
3Dバイオプリンタ1”はさらに、排気部を制御するように構成された制御または処理要素を含む。この場合、ベースユニット処理要素を、特定のプリントに関連付けられた必要条件または要求に基づき、供給装置を制御するように適合させることができる。したがって制御または処理要素は、手動で入力する必要なく、状況に合わせて排気ガスの使用を適合させるように構成されている。制御または処理要素を、周囲温度および/または周囲湿度および/または押し出し材料温度および/または押し出し材料粘度および/または押し出し材料の他の特性に関するデータなど、センサデータにも基づいて、排気部を制御するように構成することができる。
【0099】
図示の例によれば、ベースユニット処理要素7は、ベースユニットのところに配置されている。このようにすればベースユニット処理要素を、排気部9を制御するように構成することができる。ただし、排気部を制御する制御または処理要素を、制御のための通信があるかぎり、いかなる場所にも形成することができる。例えば制御または処理要素を、ツールヘッド処理要素のところで少なくとも部分的に作動させることができる。
【0100】
図示の例の場合、ベースユニット処理要素7および/または設けられているならば1つまたは複数のツールヘッド処理要素はさらに、少なくとも1つのツールヘッドの動作を制御するように構成されている。この図に関連して開示されている3Dバイオプリンタ1”は、図1図2図3および図4に関連して開示されている付加的な特徴のうちの1つまたは複数を有することができる。
【0101】
適用例-細胞蓄積バイオインクをバイオプリンティングして耳状の格子ストラクチャを形成する
MRIスキャンから再構成された人間の耳の3Dモデルを、バイオプリンティング実験のために使用した。耳のモデルのSTL(STereoLithographyステレオリソグラフィ)ファイルを、スライシングソフトウェアSlic3rにおいて処理した。最初に、このモデルをオリジナルサイズの35%にスケーリングし、耳のモデルの理論上の気孔率を50%に設定し、3Dバイオプリンタ用のGコードファイルを生成した。2つの異なるバイオインクおよび細胞型を同時に使用して、複雑な3Dストラクチャを構築するために、このバイオプリンタは、2系統の空気圧駆動型押し出し機を装備している。さらにこのバイオプリンタは、光硬化性のバイオインクを架橋させるために、UV硬化システム(例えば365nmおよび405nmの波長)も搭載している。軟骨細胞を付着させたNFC-Aヒドロゲル構造物を、空気圧駆動式押し出し機を用いて、人間の耳の形状にバイオプリンティングした。バイオプリンティング後、細胞蓄積ヒドロゲル構造物をただちに、100mMのCaCl2水溶液によって10分間にわたり架橋させ、その後、洗浄し、標準培地条件(37℃、5%のCO2、および95%の相対湿度)の培地において培養した。
図1
図2
図3
図4
図5