(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】皮膚化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/44 20060101AFI20230105BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20230105BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20230105BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230105BHJP
A61Q 19/04 20060101ALI20230105BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/67
A61K8/86
A61K8/81
A61Q19/04
(21)【出願番号】P 2019552769
(86)(22)【出願日】2018-11-05
(86)【国際出願番号】 JP2018040926
(87)【国際公開番号】W WO2019093254
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2017214390
(32)【優先日】2017-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】水野 翔太
(72)【発明者】
【氏名】小野 昭則
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-120051(JP,A)
【文献】特開2002-284664(JP,A)
【文献】特開2008-007430(JP,A)
【文献】特開2006-282603(JP,A)
【文献】特開2004-091360(JP,A)
【文献】特開2014-065692(JP,A)
【文献】国際公開第2010/113930(WO,A1)
【文献】特開2009-286757(JP,A)
【文献】特開2015-040180(JP,A)
【文献】特開2005-206464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)トラネキサム酸及びアスコルビン酸グルコシドから選択される美白剤;
(b)
0.3~2質量%の酸化エチレンの平均重合度が4~20のポリエチレングリコール;
(c)0.15質量%以上
かつ0.4質量%以下のカルボキシビニルポリマー及び0.15質量%以上かつ5質量%以下の疎水変性ポリエーテルウレタンから選択される水溶性高分子;
(d)
0.1~0.4質量%の、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(C18~C28)エーテル及びポリオキシエチレン水添ヒマシ油から選ばれる1種または2種以上;及び、
(e)水を含有し、
30℃における粘度が3,000~10,000mPa・sの範囲内であることを特徴とする皮膚化粧料。
【請求項2】
前記(d)のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(C18~C28)エーテルがPOP(13)POE(24)2-デシルテトラデシルエーテルであり、ポリオキシエチレン水添ヒマシ油がPEG-60水添ヒマシ油である、
請求項1に記載の皮膚化粧料。
【請求項3】
(f)保湿剤を更に含有する、
請求項1または2に記載の皮膚化粧料。
【請求項4】
(g)冷感剤を更に含有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の皮膚化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美白剤を配合した皮膚化粧料に関する。より詳細には、肌上にぷっくりと立つ程度の適度な硬さを有し、プルプルとしたゼリーのような触感を持ち、肌に適用した際の角質への浸透感に優れる皮膚化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
スキンケア化粧料の基本機能として、洗浄・清拭、抗乾燥、抗紫外線、抗酸化、賦活が挙げられる。さらに、美白、しわ・たるみの改善、ニキビ防止などの機能を持つスキンケア化粧料もある。スキンケア化粧料は、いわゆる「美容システム」に従う順序で使用するのが主流と言われている。この美容システムは、洗顔料でメーク落とし及び素肌洗いをした後、化粧水で水分補給(保湿)し、次いで、美容液、乳液、及びクリームの順序で適用するシステムである。近年、化粧水以降に適用される複数の化粧料の機能を一つの化粧料に持たせたオールインワン(all-in-one)化粧料も市販され、スキンケアに要する時間の短縮に役立っている。
【0003】
オールインワン化粧料に美白成分を配合した高機能の化粧料も存在し、それらの化粧料において美白成分等の有効成分を安定に配合する工夫がされている。一方、スキンケア化粧料においては、その触感や肌に適用したときの使用感触も重要である。例えば、肌へのなじみの良さや有効成分の皮膚への浸透感に優れることは当該化粧料の魅力となる。
【0004】
特許文献1には、ゲル化能を有する親水性化合物等を含むミクロゲルからなる増粘剤と美白剤成分を含有する皮膚外用剤が記載されている。当該皮膚外用剤は、べたつき感、きしみ感がなく、優れた使用性を持ち、美白成分を高配合しても離水等を生じずに安定であると述べられている。
【0005】
特許文献2には、アスコルビン酸系/アルコキシサリチル酸系の塩型美白剤を配合し、増粘剤としてカラギーナンを配合した皮膚外用剤が開示されており、経時安定性及び使用感に優れることが述べられている。特許文献2におけるカラギーナンから構成されるゲルは、ぷるんとした比較的弾力性のあるゲルであり、降伏値が高くて流動しにくい。しかし、シェアが降伏値より大きくなると著しく変形するため、肌にのばしたときにゲルがみずみずしくつぶれて、のびがよく、ぬめりやべたつきを生じないことが教示されている。
【0006】
特許文献3には、疎水変性ポリエーテルウレタンと、主にジェランガムからなるミクロゲルとを含む皮膚外用剤が開示され、当該皮膚外用剤は、肌へののびとなじみが良好で、べたつきがないと述べられている。そして、前記のような特性を有するオールインワンジェルの例が記載されている(実施例2)。
しかしながら、適度な硬さと優れた使用感とを両立させた皮膚化粧料は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-342125号公報
【文献】特開2005-120051号公報
【文献】特開2013-193963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明における課題は、美白剤を配合した皮膚化粧料において、肌上にぷっくりと立つ程度の適度な硬さとプルプルしたゼリーのような触感を有し、肌に適用した際の浸透感に優れる新規な皮膚化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、水溶性高分子を、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(C18~C28)エーテル及び/又はポリオキシエチレン水添ヒマシ油と、所定数の平均重合度の酸化エチレンを持つポリエチレングリコールと組み合わせて配合すると、適度な硬さを有するとともに優れた使用感触を発揮する従来にない基剤が得られるとの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
(a)トラネキサム酸及びアスコルビン酸グルコシドから選択される美白剤;
(b)酸化エチレンの平均重合度が4~20のポリエチレングリコール;
(c)0.15質量%以上の水溶性高分子;
(d)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(C18~C28)エーテル及びポリオキシエチレン水添ヒマシ油から選ばれる1種または2種以上;及び、
(e)水を含有し、
30℃における粘度が3,000~10,000mPa・sの範囲内であることを特徴とする皮膚化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の皮膚化粧料は、水性でありながら肌上にぷっくりと立つ程度の適度な硬さを持ち、ゼリーのような外観および触感を有する。さらに、肌へのなじみが良好で、ひんやりした冷感を与えることができ、美白剤等の有効成分が皮膚へ浸透する感触に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(a)トラネキサム酸及びアスコルビン酸グルコシドから選択される美白剤
本発明の皮膚化粧料に配合される美白剤は、トラネキサム酸及び/又はアスコルビン酸グルコシドである。
トラネキサム酸は、従来から化粧品等に美白剤として使用されている。本発明におけるトラネキサム酸は、トラネキサム酸及びその塩及びその誘導体から選択できる。トラネキサム酸塩としては、マグネシウム塩,カルシウム塩,ナトリウム塩,カリウム塩等の金属塩類、リン酸塩、塩酸塩,臭化水素塩、硫酸塩等の無機塩類が挙げられる。トラネキサム酸誘導体としては、トラネキサム酸エステル類(例えば、ビタミンAエステル、ビタミンEエステル、ビタミンCエステル、及びビタミンDエステル等のビタミンエステル類、フェニルエステル類、ハイドロキノンエステル類、ゲンチシン酸エステル類等)、トラネキサム酸アミド(メチルアミド又はその塩等)、トラネキサム酸二量体等が例示できる。
【0013】
アスコルビン酸グルコシドは、化粧料等に美白剤として用いられているアスコルビン酸の配糖体であればよく、特に限定されない。例えば、L-アスコルビン酸-2-グルコシド、L-アスコルビン酸ジグルコシド等のL-アスコルビン酸グルコシドを挙げることができる。
【0014】
本発明の皮膚化粧料における美白剤((a)成分)の配合量としては、特に限定されないが、通常は0.5~5.0質量%、好ましくは0.55~4.0質量%、より好ましくは0.6~3.0質量%である。
【0015】
(b)酸化エチレンの平均重合度が4~20のポリエチレングリコール
本発明の皮膚化粧料に配合されるポリエチレングリコールは、平均重合度が4~20、好ましくは4~12の酸化エチレンを含むものである。すなわち、下記の式(A):
H(OCH2CH2)nOH (A)
で表される酸化エチレンの重合体であって、nの平均値が4~20、好ましくは4~12のものである。
具体例としては、ポリエチレングリコール200(INCI名:PEG-4)、ポリエチレングリコール300(INCI名:PEG-6)、ポリエチレングリコール400(INCI名:PEG-8)、ポリエチレングリコール600(INCI名:PEG-12)、及びポリエチレングリコール1000(INCI名:PEG-20)等が挙げられる。本発明の系において、平均重合度が20を超える酸化エチレンを含むポリエチレングリコールを用いると、所望の硬さは得られるが、肌なじみが悪くなり、べたつきを感じるようになる。
【0016】
本発明の皮膚化粧料における酸化エチレンの平均重合度が4~20のポリエチレングリコール((b)成分)の配合量は、通常は0.1~3質量%、好ましくは0.2~2.5質量%、より好ましくは0.3~2質量%である。
【0017】
(c)水溶性高分子
本発明の皮膚化粧料に配合される水溶性高分子は、化粧料等において水性増粘剤として使用されているものであれば特に限定されない。それらの中でも、本発明における適度な硬さを得るという観点から、カルボキシビニルポリマー及び疎水変性ポリエーテルウレタンから選択される1種又は2種以上を用いるのが好ましい。
【0018】
カルボキシビニルポリマー(INCI名:カルボマー)は、アクリル酸重合体を主体とする酸性ポリマー(架橋型のポリアクリル酸)である。市販品として、例えば、カーボポール940、941、980、981、934、2984、5984(BFGoodrich社製)、ハイビスワコー104、105(和光純薬工業社製)等が入手可能である。本発明におけるカルボキシビニルポリマーは、アルキル変性されたもの(例えば、アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30)コポリマー等)であってもよい。
【0019】
疎水変性ポリエーテルウレタンは、会合性増粘剤の一種であり、水性媒体中で疎水性部分同士が会合して増粘作用を示すと考えられている(特許文献3参照)。具体的には、下記式(I)で表される構造を有する疎水変性ポリエーテルウレタンが好ましく用いられる。
【0020】
【化1】
上記式(I)中、R
1は炭素原子数2~4のアルキル基を示し、R
2およびR
4は各々独立に炭素原子数2~4のアルキレン基またはフェニルエチレン基を示す。好ましくは炭素原子数2~4のアルキレン基である。
R
3は、ウレタン結合を有していてもよい炭素原子数1~10のアルキレン基を示す。
R
5は、炭素原子数8~36、好ましくは12~24の、直鎖、分岐または2級のアルキル基を示す。
mは、2以上の数である。好ましくは2である。
hは、1以上の数である。好ましくは1である。
kは、1~500の数である。好ましくは100~300の数である。
nは、1~200の数である。好ましくは10~100の数である。
【0021】
上記の一般式で表される疎水変性ポリエーテルウレタンの中でも、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー(INCI名:PEG-240/HDI COPOLYMER BIS-DECYLTETRADECETH-20 ETHER)が好ましく用いられる。(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーの市販品としては、例えば、「アデカノールGT-700」(株式会社ADEKA製)が挙げられる。
【0022】
本発明における「適度な硬さ」は、化粧料を容器から取り出す際には指で適量がとれ、それが肌上にぷっくりと立つ程度の硬さである。ぷっくりと立つとは、撥水性基材上の水滴のように、化粧料が肌上に丸く膨らんだ状態で置かれることを意味する。この適度な硬さを化粧料の粘度で規定すると、30℃においてB型粘度計を用いて測定した粘度が、約3,000~約10,000mPa・sの範囲内となる。
【0023】
本発明の皮膚化粧料における水溶性高分子((c)成分)の配合量は、化粧料が適度な硬さとなる量で配合される。すなわち、化粧料の30℃における粘度が約3,000~約10,000mPa・sの範囲内となる量の水溶性高分子((c)成分)が配合される。従って、水溶性高分子の配合量は水溶性高分子の性質(分子量等)に応じて変化し得る。化粧料に汎用されている水溶性高分子では、配合量が0.15質量%未満であると適度な硬さとならない場合が多い。よって、通常は水溶性高分子の配合量を0.15質量%以上とする。水溶性高分子の配合量の上限値は、前記の粘度条件を満たす量であればよい。例えば、水溶性高分子としてカルボキシビニルポリマーのみを配合する場合には、0.4質量%以下とするのが好ましく、より好ましくは0.35質量%である。水溶性高分子として疎水変性ポリエーテルウレタンのみを配合する場合は、5質量%程度、好ましくは3質量%程度、さらに好ましくは2.5質量%程度が上限値となる。
【0024】
(d)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(C18~C28)エーテル及びポリオキシエチレン水添ヒマシ油から選ばれる1種または2種以上
(d)成分は、本発明の系において乳化剤として作用する成分である。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(C18~C28)エーテルとしては、下記式(II)で表される構造を有するものが好ましく使用される。
【0025】
【化2】
上記式中、Rは炭素数18~28の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、mは2~24の数、nは10~38の数を表す。
【0026】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(C18~C28)エーテルの中でも、POP(13)POE(24)2-デシルテトラデシルエーテルが特に好ましく、その市販品である「エスセーフ1324(D)」(日油株式会社製)を使用することができる。
【0027】
本発明で用いられるポリオキシエチレン水添ヒマシ油としては、HLBが10以上のもの、例えば、PEG-30水添ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-50水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、PEG-80水添ヒマシ油、及びPEG-100水添ヒマシ油等が好ましく用いられる。
【0028】
本発明の皮膚化粧料における(d)成分の配合量は、通常は0.05~0.5質量%、好ましくは0.1~0.4質量%、より好ましくは0.1~0.3質量%である。
【0029】
なお、本発明においては、前記(c)水溶性高分子と(d)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(C18~C28)エーテル及びポリオキシエチレン水添ヒマシ油から選ばれる1種または2種以上との配合量比を20:1~1:1の範囲内とするのが好ましく、15:1~2:1の範囲内にするのが更に好ましい。
【0030】
(e)水
本発明の皮膚化粧料に配合される水の量は、特に限定されないが、通常は60~95質量%、好ましくは70~90質量%である。
【0031】
本発明の皮膚化粧料には、上記の必須成分(a)~(e)に加えて、スキンケア化粧料に配合される他の任意成分を更に配合してもよい。
【0032】
例えば、(f)保湿剤を配合することにより、肌の保湿、うるおい効果を高めることができる。保湿剤としては、グリセリン(ダイナマイトグリセリン)、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(但し(d)成分に該当するものは除く)、ヒアルロン酸又はアセチル化ヒアルロン酸及びその塩等を例示することができる。
【0033】
これらの保湿剤の中でも、グリセリン、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(C1~C3)エーテル(例えば、ポリオキシエチレン(14)ポリオキシプロピレン(7)ジメチルエーテル等)、ヒアルロン酸及びアセチル化ヒアルロン酸から選択される2種以上を組み合わせて配合するのが好ましい。一方、ジグリセリンを配合すると、化粧料を塗布した後の乾き際にべたつきを生ずることがある。
【0034】
本発明の皮膚化粧料に(g)冷感剤を更に配合することにより、肌に塗布した際に感じるひんやり感を向上させ、肌がすっきりと引き締まるような感触を与えることができる。
配合される冷感剤は、化粧料や皮膚外用剤で使用可能なものであれば特に限定されず、l-メントール等のメントール類、カンフル類、ボルネオール類等が例示できる。
【0035】
その他の任意成分としては、例えば、エモリエント剤、紫外線吸収剤、各種薬剤、低級アルコール(炭素数6以下のアルコール)、油分、無機及び有機の粉末等が挙げられるが、これらに限定されない。但し、さっぱりした使用感触という観点から、配合する油分量は20質量%以下、例えば10質量%以下あるいは5質量%以下とするのが好ましい場合がある。
【0036】
本発明の皮膚化粧料は、必要に応じて加熱しながら、各配合成分を混合して適宜攪拌混合することにより調製される。
【0037】
本発明の皮膚化粧料は、水性でありながら肌上にぷっくり立つ程度の適度な硬さを有する新規な基剤を含み、肌に適用したときのなじみが良好でべたつきを感じず、美白剤や保湿剤といった有効成分が角質まで素早く浸透してゆく感触を与えることができる。従って、例えば、従来の化粧水、乳液、マスク、収れん、美容液の機能を全て有するオールインワンのスキンケア化粧料等として提供するのが好適である。
【実施例】
【0038】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、その成分が配合される組成物全量に対する質量%で示す。
【0039】
以下の表1及び表2に掲げた処方で皮膚化粧料を調製した。各例の化粧料(試料)について、pH値及び粘度測定(B型粘度計、No3、12rpm、30℃)をした。
また、「化粧料(試料)の硬さ」、「べたつきのなさ」及び「なじみの早さ」を専門パネルに評価してもらった。評価基準は以下の通りである。
【0040】
<評価基準>
「硬さ(ゼリー感)」
A:肌上にぷっくりと立つ程度の適度な硬さとプルプルしたゼリーのような触感がある。
B:硬すぎて容器から出にくい。
C:柔らかすぎて容器からとれ過ぎ、肌上に立たない。
【0041】
「べたつきのなさ」及び「なじみの早さ」
A+:極めて優れている
A:優れている
B:普通
C:劣っている
【0042】
【0043】
【0044】
表1に示した結果から明らかなように、(b)成分として酸化エチレンの平均重合度が4~20のポリエチレングリコールを配合した本発明の皮膚化粧料(実施例1~3)は、肌上にぷっくりと立つ程度の適度な硬さとプルプルしたゼリーのような触感があり、べたつかず、肌なじみも早く良好であった。一方、本発明の(b)成分に代えて、ジグリセリンを配合した比較例1は、化粧料の乾き際にべたつきを生じた。また、酸化エチレンの平均重合度が20を超えるポリエチレングリコールを配合した比較例2及び3は、べたつきを生じ、肌へのなじみも遅かった。
【0045】
表2に示した結果によれば、(c)水溶性高分子をカルボキシビニルポリマーから疎水変性ポリエーテルウレタンに変更しても良好な結果が得られた(実施例4~6)。それに対して、(c)水溶性高分子の配合量が0.15質量%に満たない比較例4は、化粧料の粘度が3,000mPa・sに達しない柔らかな化粧料となった。その結果、容器から適量をとるのが難しく、肌上に立つような硬さの基剤とならなかった。逆に、カルボキシビニルポリマーの配合量が多く、粘度が10,000mPa・sを超えた比較例5は、化粧料が硬すぎて容器から適量を取り出すことが困難であった。
【0046】
以下に、本発明の皮膚化粧料の別の処方例を挙げる。
処方例1
表示名 配合量(質量%)
イオン交換水 残量
エチルアルコール 10
ダイナマイトグリセリン 3.5
ジプロピレングリコール 3
アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム 0.0001
ヒアルロン酸ナトリウム 0.0009
ポリエチレングリコール400 0.5
ポリオキシエチレン(14)ポリオキシプロピレン(7)ジメチルエーテル
1.5
(ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンNa)クロスポリマー
0.2
POP(13)POE(24)2-デシルテトラデシルエーテル
0.1
水酸化カリウム 0.04
トラネキサム酸 2
グリシルグリシン 0.05
l-メントール 0.04
EDTA-2Na・2H2O 適量
ピロ亜硫酸ナトリウム 適量
フェノキシエタノール 適量
香料 適量
合計 100
【0047】
処方例2
表示名 配合量(質量%)
イオン交換水 残量
エチルアルコール 10
ダイナマイトグリセリン 3.5
ジプロピレングリコール 3
アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム 0.0001
ヒアルロン酸ナトリウム 0.0009
ポリエチレングリコール400 0.5
ポリオキシエチレン(14)ポリオキシプロピレン(7)ジメチルエーテル
1.5
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.3
POP(13)POE(24)2-デシルテトラデシルエーテル
0.1
水酸化カリウム 0.04
トラネキサム酸 2
グリシルグリシン 0.05
l-メントール 0.04
EDTA-2Na・2H2O 適量
ピロ亜硫酸ナトリウム 適量
フェノキシエタノール 適量
香料 適量
合計 100
【0048】
処方例3
表示名 配合量(質量%)
イオン交換水 残量
エチルアルコール 10
ダイナマイトグリセリン 3.5
ジプロピレングリコール 3
アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム 0.0001
ヒアルロン酸ナトリウム 0.0009
ポリエチレングリコール400 0.5
ポリオキシエチレン(14)ポリオキシプロピレン(7)ジメチルエーテル
1.5
(アクリル酸アルキル/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー
0.9
POP(13)POE(24)2-デシルテトラデシルエーテル
0.1
水酸化カリウム 0.04
トラネキサム酸 2
グリシルグリシン 0.05
l-メントール 0.04
ラウリル硫酸ナトリウム 適量
EDTA-2Na・2H2O 適量
ピロ亜硫酸ナトリウム 適量
フェノキシエタノール 適量
香料 適量
合計 100
【0049】
処方例4
表示名 配合量(質量%)
イオン交換水 残量
エチルアルコール 10
ダイナマイトグリセリン 3.5
ジプロピレングリコール 3
アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム 0.0001
ヒアルロン酸ナトリウム 0.0009
ポリエチレングリコール400 1.5
ポリオキシエチレン(14)ポリオキシプロピレン(7)ジメチルエーテル
1.5
(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー
1.5
POP(13)POE(24)2-デシルテトラデシルエーテル
0.1
4-メトキシサリチル酸カリウム塩 1
グリシルグリシン 0.05
l-メントール 0.04
EDTA-2Na・2H2O 適量
ピロ亜硫酸ナトリウム 適量
フェノキシエタノール 適量
香料 適量
合計 100