(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】軌跡修正装置を備えるオーガ式垂直掘削システム
(51)【国際特許分類】
E02D 13/06 20060101AFI20230105BHJP
E21B 7/06 20060101ALI20230105BHJP
【FI】
E02D13/06
E21B7/06
(21)【出願番号】P 2019572036
(86)(22)【出願日】2018-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2018066108
(87)【国際公開番号】W WO2019002002
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-05-14
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】509167338
【氏名又は名称】ソレタンシュ フレシネ
【氏名又は名称原語表記】SOLETANCHE FREYSSINET
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】カルドナ,ジェラール
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0031677(US,A1)
【文献】特開昭52-033759(JP,A)
【文献】特開平07-113389(JP,A)
【文献】特開2003-184470(JP,A)
【文献】特開2005-207202(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0114068(US,A1)
【文献】特開2003-085594(JP,A)
【文献】特開昭60-059297(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0080234(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/00-13/10
E21B 1/00-19/24
E21B 44/00-44/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に垂直な理論掘削軌跡に
沿って土壌にウェルを掘削する
ことによって前記土壌中にカラムを作るためのシステムであって、
長手軸心を有する中空コアを備える掘削装置であって、前記中空コアは掘削工具を備える掘削装置と、
前記長手軸心回りで、前記中空コアと前記掘削工具とを回転させる
第1装置と、
前記中空コア内に延出するリンク部材であって、当該リンク部材は少なくとも一つの注入穴を備える下方部分を有するトレミー管を含み、当該トレミー管は流体供給源に接続されているリンク部材と、
前記トレミー管の下端部に配設され
、前記長手軸心回りに回転するように駆動可能な筒状の駆動装置であって、
前記掘削装置の変位軌跡を、水平面で考慮される軌跡修正方向に
沿って修正するように、前記駆動装置が前記土壌に対して角度修正位置に配向されて維持されるアクティブ状態と、
前記駆動装置が
、前記掘削装置の前記変位軌跡を変更しない
ように連続的に回転させられるパッシブ状態とを有する駆動装置と、
前記掘削装置の前記変位軌跡と、前記
実質的に垂直な理論掘削軌跡との間の起こりうる偏差を特定するとともに、前記
実質的に垂直な理論掘削軌跡に対する前記掘削装置の偏差方向を決定するための中空コア偏差測定装置であって、前記偏差方向は前記水平面において考慮される中空コア偏差測定装置と、
前記駆動装置に対する回転駆動を制御する制御装置であって、前記実質的に垂直な理論掘削軌跡に関する偏差が測定された時に、前記水平面から見て、前記角度修正位置に関連付けられた前記軌跡修正方向が前記偏差方向に対して逆になるように決定された角度修正位置において前記駆動装置をそのアクティブ状態にす
る制御装置と、を備え
、
前記駆動装置は、当該駆動装置の軸心に対する傾斜面を下端部に有し、
前記駆動装置は、少なくとも前記アクティブ状態において、前記中空コアの下端部を超えて当該中空コアの軸心方向外側に延出し、
前記水平面から見た前記軌跡修正方向は、前記傾斜面と反対側の方向であるシステム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記測定装置によって決定された前記偏差方向に基づいて前記角度修正位置を演算する演算装置を更に有する、請求項1に記載
のシステム。
【請求項3】
前記駆動装置は、当該駆動装置が前記パッシブ状態にある時、前記中空コアと同じ方向かつ同じ速度で回転するように構成されている、請求項1または2に記載
のシステム。
【請求項4】
前記掘削装置は、前記駆動装置が前記パッシブ状態にある時、前記中空コアに対して前記駆動装置の回転をロックする接続装置を有する、請求項3に記載
のシステム。
【請求項5】
前記リンク部材に接続されて、当該リンク部材と前記駆動装置とを前記長手軸心回りで回転させる第
2装置を更に有し、前記リンク部材は、前記中空コアに対して回転可能であり、前記制御装置は、偏差が測定された時に、前記駆動装置をアクティブ状態にして前記角度修正位置へと移動させるべく、前記第
2装置を作動させるように構成されている、請求項1
または2に記載
のシステム。
【請求項6】
前記第
2装置は、前記駆動装置が前記パッシブ状態にある時、当該駆動装置を前記中空コアの回転方向の反対方向に回転させるように構成されている、請求項5に記載
のシステム。
【請求項7】
前記駆動装置は前記中空コアに対して並進移動可能であり、前
記システムは、前記駆動装置が
、前記中空コアの軸心方向外側の展開位置と
、前記展開位置よりも前記中空コアの軸心方向内側の退避位置とを有するように、前記長手軸心に従って当該駆動装置を前記中空コアに対して並進変位させるための変位装置を更に有する、請求項1から6のいずれか一項に記載
のシステム。
【請求項8】
前記変位装置は、ジャッキング、
打撃または
振動によって、前記駆動装置を前記中空コアに対して変位させるように構成されている、請求項7に記載
のシステム。
【請求項9】
前記駆動装置のアクティブ状態において、前記駆動装置は展開位置にあり、前記駆動装置のパッシブ状態において、前記駆動装置は退避位置にある、請求項
7に記載
のシステム。
【請求項10】
前記駆動装置は、前記注入穴が前記中空コアの前記下端部の下方に位置する注入位置を更に有する、請求項7から9のいずれか一項に記載
のシステム。
【請求項11】
前記中空コア偏差測定装置は、前記中空コアの前記下方部分に配置された傾斜センサを有する、請求項1から10のいずれか一項に記載
のシステム。
【請求項12】
前記掘削装置によって到達された深さを測定するための部材を更に有し、前記中空コア偏差測定装置は、垂直方向に対する前記中空コアの偏差距離を測定するように構成され、前記制御装置は、前記掘削装置によって達せられた前記深さに対する前記偏差距離の比率が所定の閾値以上である時に、前記駆動装置をそのアクティブ状態にするように構成されている、請求項1から11のいずれか一項に記載
のシステム。
【請求項13】
前記掘削装置はオーガである、請求項1から12のいずれか一項に記載
のシステム。
【請求項14】
実質的に垂直な理論掘削軌跡に
沿って土壌にウェルを掘削する
ステップを含む、土壌中にカラムを作る方法であって、
請求項1から
13のいずれか一項に記載
のシステムを提供し、
前記中空コアを回転させながら前記掘削装置を前記土壌に導入し、前記駆動装置はパッシブ状態にあり、
前記
実質的に垂直な理論掘削軌跡に対する前記掘削装置の偏差方向を決定するべく前記中空コアの偏差を測定し、
所定の閾値よりも大きな偏差が測定された時、水平面から見て、角度修正位置に関連付けられた軌跡修正方向が前記偏差方向の反対になるように決定された角度修正位置において、前記駆動装置を前記土壌に対して配向しかつ維持することによって、当該駆動装置をそのアクティブ状態に
し、
カラムを前記土壌中に形成するために、前記掘削装置の上昇中に、前記注入穴を介して前記ウェルに流体を注入する
、方法。
【請求項15】
請求項7に記載
のシステムが提供され、偏差が測定された時に、
水平面から見て、角度修正位置に関連付けられた軌跡修正方向が前記偏差方向の反対となるように決められた角度修正位置において、前記駆動装置を土壌に対して配向しかつ維持することによって当該駆動装置をそのアクティブ状態にし、
前記駆動装置をその展開位置に移動させ、
前記中空コアの変位が前記駆動装置の変位に従うように、前記中空コアを前記土壌に対して変位させる、請求項
14に記載
の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌において深基礎を作る分野、特に、杭などのカラムによるつっかい(shoring)の分野、に関する。それは、更に、低コース基礎杭の作成、セカント杭(secant piles)を使用して作成されたシーリングシールドの作成、より一般的には、壁の機能に関係なく、セカントまたは接合杭のすべてのタイプの壁の作成に関する。
【背景技術】
【0002】
カラム(支柱)または杭によるつっかいとは、杭が土壌に設置されるすべてのタイプのつっかいを意味する:パリジャン壁(Parisian wall)、ベルリン壁(Berlin wall)、セカント杭壁、隣接杭壁、など。
【0003】
杭は、通常、コンクリートまたはスラリーから構成される。それらは、一般に、「土壌混合」と呼ばれる、土と結合剤とを混合する技術によって得ることができる。
【0004】
前記杭は、例えば、コンクリート強化ケージ、パイプまたは金属プロファイル、などの使用によって強化することができる。
【0005】
そのような杭を達成するために、連続オーガと呼ばれる掘削装置を使用することが知られている。この掘削装置は、螺旋状ブレードから構成される掘削工具を備える中空コアを有する。このタイプの掘削装置では、前記オーガを必要な深さまで一度降下させるだけでウェル(井筒)の掘削が達成される。支柱を作るには、スラリーまたはコンクリートをオーガの持ち上げ中に、そのオーガの下端部から注入する。
【0006】
構造を保持するためには、下層土において達成される空間のジオメトリ(幾何学形状)を保証するために、杭の深さの如何に関わらず、杭の位置を保証することが重要である。
【0007】
同様に、その高いレベルが作業プラットフォームのある深さに位置する基礎杭のためには、杭の実際の位置がこの深さに位置することが保証されなければならない。
【0008】
しかしながら、連続オーガによって行われる掘削中において、掘削軌跡が頻繁に不良制御され、時としてほぼ垂直である理論上の軌跡に対して大幅な偏差が生じることが観察されうる。
【0009】
ここで、偏差とは、通常、所与の深さにおける、その理論位置とオーガの実際の位置との間の距離を意味する。それは、通常、実際位置と理論位置との間の距離を深さで除し、それを百分率で表したものとして定義され、前記距離は通常は水平面で考慮される。
【0010】
一部の連続オーガは、5%に達しうる偏差を示し、これに対して構造保持のための偏差許容値は、通常、0.5%未満である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】仏国特許発明第2566813号明細書
【文献】仏国特許発明第2831205号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、理論軌跡に対する偏差のリスクを低減することを可能にする、土壌にウェルを掘削するためのシステムを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これを行うために、本発明は、実質的に垂直な理論掘削軌跡に従って土壌にウェルを掘削するためのシステムに関し、当該システムは、
長手軸心を有する中空コアを備える掘削装置であって、前記中空コアは掘削工具を備える掘削装置と、
長手軸心回りで、前記中空コアと前記掘削工具とを回転運動させるための第1回転起動装置と、
前記中空コア内に延出するリンク部材であって、当該リンク部材は、少なくとも注入穴を備える下部を有するトレミー管を含み、当該トレミー管は流体供給源に接続されているリンク部材と、
前記トレミー管の下端部に配置された駆動装置であって、
前記掘削装置の変位軌跡を、水平面で考慮される軌跡修正方向に応じて修正するように、前記駆動装置が前記土壌に対して角度修正位置に配向されかつ維持されるアクティブ状態と、
前記駆動装置が前記掘削装置の前記変位軌跡を変化させないパッシブ状態とを有する駆動装置と、
前記掘削装置の前記変位軌跡と前記理論掘削軌跡との間の起こり得る偏差を特定し、前記理論掘削軌跡に対する前記掘削装置の偏差方向を決定する中空コア偏差測定装置であって、前記偏差方向は前記水平面において考慮される中空コア偏差測定装置と、
偏差が測定された時に、前記水平面から見て、前記角度修正位置に関連付けられた前記軌跡修正方向が前記偏差方向の反対となるように決定された角度修正位置において前記駆動装置をそのアクティブ状態にするように構成された制御装置と、を備える。
【0014】
本発明の意味において、回転起動する(回転状態にする)とは、前記リンク部材を、一方向または他方向に、前記長手軸心回りで、単数または複数回、あるいは、一回転のうちの一部分ターンまたは旋回させることを意味する。
【0015】
カラム(column)とは、すべての保持部材、特に、モールド杭を意味する。
【0016】
実質的に垂直とは、垂直に対する偏差が0度ないし5度、好ましくは、0度ないし1度である掘削方向を意味する。
【0017】
本発明の意味において、前記理論掘削軌跡は、掘削作業に先立って予め決めることもでき、あるいは、それらの合計の長さによる二つの隣接するスキャント杭を得るべく土壌中に予め構築された隣接カラムのジオメトリまたは向きに対して、掘削作業中に決定することができる。
【0018】
尚、前記駆動装置は、特に、そのパッシブ状態において、前記中空コアに対して、同じ方向または逆方向に、回転可能であると理解される。本発明の範囲から逸脱することなく、そのパッシブ状態において、前記駆動装置は、前記中空コアに対して回転ロック可能でもある。
【0019】
また、前記駆動装置は、少なくともそのアクティブ状態において、前記中空コアの下端部を超えて当該中空コアの軸心方向外側に延出するものであると理解される。
【0020】
前記理論掘削軌跡に対する前記変位軌跡における偏差が前記偏差測定装置によって検出される時、前記駆動装置は前記掘削装置の軌跡を修正するために、そのアクティブ状態にされる。これを行うために、前記駆動装置は、土壌に対して前記角度修正位置に配向されて維持され、前記角度修正位置は、当該駆動装置が、前記理論掘削軌跡に対する前記偏差を減らすために、前記掘削装置の進行中に、前記中空コアの軌跡を変えるように決定される。「角度修正位置に維持される」とは、その位置回りで約10度、好ましくは、5度、の角度を維持することを意味する。
【0021】
好ましくは、前記土壌に対する前記駆動装置の維持は、前記駆動装置を、前記角度修正位置において前記土壌に対して回転ロックすることによって行われる。
【0022】
前記中空コアの前記変位軌跡の前記変更は、アクティブ状態の駆動装置が、土壌におけるその変位中に、前記中空コアの長手軸心に対する傾斜方向に移動しようとし、その結果、それを垂直面において旋回させることによって得られる。
【0023】
好適実施例によれば、前記掘削システムは、前記リンク部材に接続されて、当該リンク部材と前記駆動装置とを前記長手軸心回りで回転させるための第2回転起動装置を更に有し、前記リンク部材は前記中空コアに対して回転可能であり、前記制御装置は、偏差が測定された時に、前記駆動装置をアクティブ状態にして前記角度修正位置へと移動させるべく、前記第2回転起動装置を作動するように構成されている。
【0024】
この実施例において、角度修正位置への前記駆動装置の配向は、前記リンク部材を土壌に対して旋回させる前記第2回転起動装置によって行われる。土壌に対する前記駆動装置の回転ロックは、好ましくは、前記第2回転起動装置によって行われる。
【0025】
前記軌跡が修正されると、前記駆動装置はそのパッシブ状態にされる。
【0026】
「偏差方向に対して反対」とは、前記軌跡修正方向が前記偏差方向に対する反対の方向に向けられることを意味し、前記修正方向は必ずしも偏差方向に対して平行である必要はない。
【0027】
好ましくは、前記制御装置は、更に、前記測定装置によって測定された前記偏差方向に基づいて前記角度修正位置を演算する演算装置を有する。
【0028】
好ましくは、前記偏差方向がそこで延出する前記水平面は、少なくとも一つの軸心を備える参照ポイントを提供し、そして、前記駆動装置の前記角度位置は、前記参照ポイントの軸心と前記偏差方向との間の角度に基づいて測定される。
【0029】
第1実施例によれば、前記駆動装置は、当該駆動装置が前記パッシブ状態にある時、前記中空コアと同じ方向かつ同じ速度で回転するように構成されている。
【0030】
これを行うために、前記掘削装置は、好ましくは、前記駆動装置が前記パッシブ状態にある時に、当該駆動装置を前記中空コアに対して回転ロックするための接続装置を有する。
【0031】
この接続装置は、例えば、つめリンクを有する。
【0032】
第2実施例によれば、前記第2回転起動装置は、前記駆動装置が前記パッシブ状態にある時に、当該駆動装置を、前記中空コアの回転方向に対して反対の方向に回転させるように構成されている。
【0033】
前記中空コアと前記駆動装置の反対方向の回転によって、前記掘削装置の前記変位軌跡の変更が行われる。
【0034】
別の実施例によれば、前記駆動装置は、又、前記中空コアに対して並進移動可能であり、前記掘削システムは、更に、前記駆動装置が展開位置と退避位置とを提供するように、前記長手軸心に従って、前記中空コアに対して前記駆動装置を並進変位するための変位装置を有する。
【0035】
この別実施例において、前記掘削システムは、前記第2回転起動装置を含んでもよいし、含まなくてもよい。前記第2回転起動装置が含まれない別構成において、前記中空コアと前記駆動装置とを回転接続するために、爪式の係合解除可能な接続手段を設けることができる。この場合、前記駆動装置は、前記第1回転起動装置を作動させることによって、前記角度修正位置へと移動され、これによって、前記駆動装置は、前記中空コアと回転接続される。軌跡を修正するためには、前記接続手段を作動停止した後に、前記駆動装置を前記展開位置へと移動し、その後、前記中空コアを、前記駆動装置が退避位置へ移動されるまで、前記第1回転起動装置によってそれを回転駆動することによって進行させられる。この場合、前記駆動装置は、前記展開中、前記変位装置によって、その角度修正位置に維持される。
【0036】
前記第2回転起動装置が設けられる場合には、前記駆動装置は、当該第2回転起動装置により、当該駆動装置の展開中に、回転ロックされる。
【0037】
好ましくは、前記退避位置において、前記駆動装置は、前記中空コアの前記下端部をわずかに超えて延出する。あるいは、前記駆動装置を、前記中空コア内に完全に収納することも可能である。
【0038】
有利には、前記変位装置は、ジャッキング(jacking)、打撃、又は振動などによって、前記駆動装置を中空コアに対して並進変位させるように構成される。
【0039】
好ましくは、そのアクティブ状態において、前記駆動装置は、前記展開位置にあり、他方、そのパッシブ状態において、前記駆動装置は退避位置にある。
【0040】
本発明によれば、前記リンク部材は、少なくとも一つの注入穴を備えた下方部分を呈するトレミー管を有し、当該トレミー管は、流体供給源に接続されている。
【0041】
そのようなトレミー管は、具体的には、仏国特許発明第2566813号明細書(特許文献1)と仏国特許発明第2831205号明細書(特許文献2)とに記載されている。それは、カラムを作るために、前記掘削装置の上昇中に、前記ウェルに流体を注入することを可能にする。
【0042】
好ましくは、前記注入穴は、前記駆動装置が前記展開位置にある時、前記中空コアの前記下端部上に位置する。従って、この注入穴は、前記駆動装置が前記退避位置にある時にも、前記中空コアの前記下端部上に位置する。前記駆動装置は、更に、そこにおいて前記注入穴が前記中空コアの前記下端部の下方に位置する注入位置を有する。
【0043】
前記トレミー管は、好ましくは、前記注入穴を開放するべく前記駆動装置を下方に並進させるべく変位する前記変位装置によって、注入位置へと移動される。
【0044】
有利には、前記測定装置は、前記中空コアの前記下方部分に配置された偏差センサを有する。
【0045】
前記偏差センサは、前記中空コアの前記下端部の実際の位置と、前記ほぼ垂直な理論掘削軌跡との間の、水平面からみた、偏差距離を測定することを可能にする。
【0046】
有利には、前記掘削システムは、前記掘削装置によって到達された深さを測定するための部材を更に有し、前記測定装置は、垂直方向に対する前記中空コアの偏差角度を測定するように構成され、前記制御装置は、前記掘削装置によって到達された深さに対する前記偏差距離の比率が、前記深さに依存する所定閾値以上である時に、例えば前記第2回転起動装置を作動させることによって、前記駆動装置をそのアクティブ状態にするように構成されている。
【0047】
更に、本発明の範囲から逸脱することなく、前記制御装置は、ある深さ、例えば、3mからのみ作動可能に構成することが可能である。
【0048】
例えば、前記ウェルが20mの必要深さを有する時、前記制御装置は、2cmよりも大きな偏差の距離が検出された場合に、3mから開始して作動させるように構成することができる。その場合、15mの掘削深さからスタートとして、前記制御装置は、3cmよりも大きな偏差距離が検出された場合に、作動されるように構成することが可能である。
【0049】
従って、前記掘削装置の前記偏差修正は、掘削作業中に、自動的かつ連続的に行われる。
【0050】
有利には、前記掘削は、前記掘削装置が良好であるとみなされる軌跡で変位されるモーメント(moment)と、前記偏差が所定の閾値よりも大きいことに基づき前記軌跡が修正されるべき時に、前記駆動装置が所定の角度位置で回転ロックされるモーメント(moment)との交替で、連続的に行われる。
【0051】
有利には、前記掘削装置は、オーガ、例えば、仏国特許発明第2566813号明細書または仏国特許発明第2831205号明細書に記載されているようなオーガ、あるいは、その他のタイプの連続オーガ、である。
【0052】
有利には、前記駆動装置は、垂直面に対する傾斜部分を有し、前記軌跡修正方向は、前記傾斜部分と、当該傾斜部分に直交する垂直面との間の交差に対応する方向である。
【0053】
これにより、前記傾斜部分は、前記掘削装置の土壌への貫入中に、前記中空コアの前記変位軌跡を変えるために、一種のフロントラダーとして作用する。
【0054】
本発明は、更に、理論掘削軌跡に応じて、土壌にウェルを掘削するための方法にも関し、当該方法は、
前記請求項のいずれかの掘削システムが提供され、
前記中空コアを回転させながら前記掘削装置が前記土壌に導入され、前記駆動装置がそのパッシブ状態にあり、
前記理論掘削軌跡に対する前記掘削装置の偏差方向を決定するために、前記中空コアの偏差を測定し、
所定の閾値よりも大きな偏差が測定された時、水平面からみて、角度修正位置に関連付けられた軌跡修正方向が前記偏差方向の反対となるように決定された角度修正位置において前記駆動装置を土壌に対して配向して維持することによって、当該駆動装置をそのアクティブ状態にする、ことを特徴とする。
【0055】
前記掘削装置の土壌への導入が行われ、前記駆動装置は、そのアクティブ状態において、前記中空コアを前記理論掘削軌跡へと戻らせるように当該中空コアを旋回させる作用を有する。
【0056】
もしも、測定された偏差が前記所定の閾値よりも小さくなれば、前記駆動装置は、そのパッシブ状態へと戻される。
【0057】
有利には、偏差が測定された時、
前記駆動装置は、水平面からみて、角度修正位置に関連つけられた前記軌跡修正方向が前記偏差方向と反対となるように、前記土壌に対して決定された角度修正位置に当該駆動装置を配向して維持することによって、そのアクティブ状態へと移動され、
前記駆動装置はその展開位置にセットされ、
前記中空コアは、当該中空コアの変位が前記駆動装置の変位に従うように、前記土壌に対して変位される。
【0058】
前記駆動装置の土壌における並進変位によって、前記リンク部材と前記駆動装置の傾斜が変えられる。前記中空コアが前記駆動装置に追いつき、後者が退避位置にあることがわかると、前記中空コアの変位軌跡が修正される。
【0059】
ここでも、前記測定された偏差が前記所定閾値よりも小さい場合には、前記駆動装置はそのパッシブ状態で退避位置へとセットされる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
本発明は、添付の図面を参照して、非限定的具体例として提供される本発明の実施例の以下の説明を読むことによってより良く理解されるであろう。
【
図2】
図1の掘削システムの上方部分の詳細図である。
【
図3】本発明の第1実施例による、掘削装置と駆動装置との下方部分を図示する詳細図である。
【
図4A】本発明の第2実施例による、掘削装置と駆動装置との下方部分を図示する詳細図であって、ここで、掘削装置は退避位置にある。
【
図4B】
図4Aの掘削装置の詳細図であって、ここで、掘削装置は展開位置にある
【
図4C】注入位置にあるトレミー管を図示している。
【
図5A】本発明の第1実施例による掘削システムを図示し、掘削作業中に軌跡は偏差していない。
【
図5B】
図5Aの掘削装置の下端部の水平面XYにおける投影である。
【
図6A】
図5Aの掘削システムを図示し、ここで掘削装置は、垂直理論軌跡に対して偏差しており、駆動装置は、前記偏差を修正するべく、そのアクティブ状態にある。
【
図6B】
図6Aの掘削装置の下端部の水平面XYにおける投影である。
【
図7A】軌跡の修正後の、
図6Aの掘削システムを図示している。
【
図7B】
図7Aの掘削装置の下端部の水平面XYにおける投影である。
【
図8】掘削装置が軸心X及びYに沿って偏差した時の掘削装置の下端部の水平面XYにおける投影である。
【
図9】前記第2実施例による掘削システムによって行われる掘削方法を図示し、偏差検出後の軌跡修正を図示している。
【
図10】前記第2実施例による掘削システムによって行われる掘削方法を図示し、偏差検出後の軌跡修正を図示している。
【
図11】前記第2実施例による掘削システムによって行われる掘削方法を図示し、偏差検出後の軌跡修正を図示している。
【
図12】前記第2実施例による掘削システムによって行われる掘削方法を図示し、偏差検出後の軌跡修正を図示している。
【
図13】本発明による前記掘削システムの駆動装置の斜視図である。
【
図15】掘削作業中の、
図1の掘削システムの実際の軌跡を図示する略図である。
【
図16】第2回転起動装置無しの、
図2の掘削システムの別実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
まず、
図1及び2を参照して、モールド杭などのカラムを作るための、本発明による、土壌Sにウェル9を掘削するためのシステム10について説明する。
【0062】
前記掘削システムは、プラットフォーム20を有し、その上には、その使用位置において実質的に垂直である案内マスト22が搭載されている。このマストには、図示されないモータに連動されたケーブル26によって変位可能なカート24が垂直並進移動可能に取り付けられている。前記カート24は、このケースにおいては、中空コア32のほぼ全長に渡って延出する螺旋ブレードである掘削工具33を備える中空コア32を有する掘削装置30を回転状態にすることを可能にする掘削ヘッド29を含む第1回転起動装置28を支持している。したがって、この例において、前記掘削装置30は、中空コアを備える垂直オーガである。
【0063】
尚、前記中空コア32は、実質的に垂直である長手軸心Lに沿って延出していることが銘記される。
【0064】
前記掘削装置30の前記中空コア32内には、前記長手軸心L回りで前記中空コアに対して回動可能なリンク部材36がフリーに搭載されている。
【0065】
この例において、前記リンク部材36は、のちにより詳しく説明される、その下端部に駆動装置40を備えた中空管の形状を有している。
【0066】
前記掘削ヘッド29には、垂直ジャッキ44によって、可動プレート42が接続されている。このプレート42は、
図2に図示されているように、前記リンク部材36の上端部36aを受ける。
【0067】
この実施例において、前記掘削システムは、更に、前記リンク部材36に接続されて、当該リンク部材36と前記駆動装置40とを前記長手軸心L回りで回転させる第2回転起動装置50を有する。
【0068】
この例において、前記リンク部材は、その上端部がそのパイプにコンクリートまたはスラリーを供給するためのフレキシブルダクト52に接続されたトレミー管である。
【0069】
図2に図示されているように、前記第1回転起動装置28は、前記中空コア32を回転させるエンジン51を有している。更に、ターンシール60が、前記リンク部材36の上端部と前記フレキシブルダクト52との間のプレート42を介したリンクを確実なものとしている。尚、前記ジャッキ44は、前記中空コア32に対する前記リンク部材36の軸心位置を変更することを可能にするものである。また、前記掘削ヘッド29またはその駆動エンジンの垂直変位のためのケーブル26が前記掘削装置の垂直変位を測定するのを可能にするリニア変位センサ62と関連付けられている。この変位センサは、前記掘削装置によって到達される深さHを測定するための装置を構成する。
【0070】
図3は、本発明の第1実施例による掘削システム30の下端部30bを図示している。
【0071】
前記ウェル9を掘削する現在の段階(phase)において、前記リンク部材36と前記中空コア32とは、例えば、つめシステムによって、回転固定することができ、それにより、前記駆動装置40と前記掘削装置30とは、前記リンク部材36と前記中空コア32との間のなんらの相対移動無しで、同じ方向に共に回転することが可能である。別の例では、
図3に図示されているように、前記駆動装置40は、前記中空コア32の回転方向の反対の方向に従って、前記第2回転起動装置50によって回転させることができる。以下により詳細に説明するように、前記第2回転起動装置50は、又、前記リンク部材36の前記土壌Sに対する回転をロックすることもできる。
【0072】
図4A及び4Bにおいて、本発明による前記掘削システムの第2実施例が図示されている。この第2実施例は、掘削装置30’が駆動装置40’を、中空コア32’に対して回転ロックするための、接続装置70、この例では、つめ、を有する点において前記第1実施例と異なっている。尚、前記駆動装置40’は、前記長手軸心Lに沿って、前記中空コア32’に対して並進移動可能であることが銘記される。掘削システム10’、ジャッキ44及びプレート42は、前記駆動装置40’が、
図4Bに図示されている展開位置と、
図4Aに図示されている退避位置とを有するように、当該駆動装置40A’を前記長手軸心Lに従って前記中空コア32’に対して並進変位させるための変位装置43を構成する。
【0073】
又、前記ジャッキ44が展開位置にある時、前記駆動装置40’は退避位置にあり、他方、前記ジャッキ44は、オンボード位置にあり、前記駆動装置40’は展開位置にある。
【0074】
前記変位装置43は、更に、ジャッキング、ジャーリングまたは振動駆動によって、前記駆動装置40’を前記駆動装置32’に対して変位させるようにも構成されている。
【0075】
これを行うために、前記変位装置43に、ここでは図示されていない、振動ヘッドを備えさせることも可能であろう。
【0076】
この例において、前記リンク部材はトレミー管を備え、当該トレミー管は、その下方部分に、前記駆動装置40’が退避位置にある時に前記中空コア32’によって隠される注入穴65を備える。好ましくは、前記注入穴65は、前記駆動装置が展開位置にある時にも前記中空コアによって隠される。このケースにおいて、前記駆動装置は、
図4Cに図示されている、注入またはコンクリート打ち位置を有することも可能であり、ここで、前記駆動装置は、前記注入穴がコンクリート打ちを可能にするべくカバーされないように、更に展開される。これを行うために、前記駆動装置は、前記変位装置43により、下方に並進変位され、それにより、前記注入穴65が、前記中空コア32’の下端部32’bの下方に見えるようになる。この位置において、コンクリートが、例えば、前記掘削装置30の上昇中に、前記ボア穴に注入される。
【0077】
前記注入穴65の利用に関するより正確な説明のために、連続オーガを使用して杭を作るための方法を詳細に記載している仏国特許発明第2831205号明細書を参照することができる。
【0078】
図16において、前記第2実施例の別構成が図示されており、ここでは、前記掘削システムは、第2回転起動装置を有さない。このケースにおいては、前記駆動装置の回転起動は、前記リンク部材が前記接続装置70によって中空コアと回転接続された後に、前記第1回転起動装置51によって達成される。
【0079】
本発明において、主として、掘削装置の掘削軌跡のモニタリングに焦点があてられる。
【0080】
図13及び14によって、本発明の第2実施例の掘削システム10’の駆動装置40’についてより詳細に説明する。
【0081】
前記駆動装置40’は、前記リンク部材36への固定のための部分を備える第1端部40’と、この第1端部40’の反対側の第2端部40’bとを有する筒形状である。前記第2端部40’bは、膨らみを形成する切断歯Dを備える前面を有する。前記駆動装置40’は、更に、当該駆動装置40’の軸心Aによって通過される平面に対して傾斜した部分Pを有する。当該部分 Pと駆動装置40’の前記軸心Aとの間の傾斜角度は、
図14においてαによって示されている。前記駆動装置40’は、更に、上述したつめシステム70の一部である突出四角部分Cを有している。この実施例において、前記角度αは、好ましくは、15度ないし25度の値を有する。
【0082】
この特定形状の駆動装置40’の機能について以下に説明する。
【0083】
前記第1実施例による前記駆動装置40は、前記第2実施例による駆動装置40’に類似の形状を呈するものであることが銘記される。それは、特に、四角部分Cが無いことによって区別される。
【0084】
考慮される実施例の如何にかかわらず、前記掘削システムは、掘削装置の変位軌跡と理論掘削軌跡との間に起こりうる偏差を特定するために前記中空コア32,32’の偏差を測定するための中空コア偏差測定装置80を有する。この例において、前記理論掘削軌跡は、垂直軌跡であって、前記掘削装置の前記変位軌跡がこの掘削装置の実際の軌跡である。
【0085】
前記中空コアの偏差を測定するための前記装置80は、前記中空コアの下方部分に配置された偏差センサ82を有する。
【0086】
前記偏差測定装置80は、更に、前記理論掘削軌跡に対する前記掘削装置の起こりうる偏差方向DDを測定するようにも構成されており、前記偏差方向は、基準系XYによって定義される水平面Qにおいて考慮される。
【0087】
更に、本発明によれば、前記駆動装置40,40’は、当該駆動装置40,40’が、前記水平面Qにおいて考慮される軌跡修正方向DCTに応じて、前記掘削装置30,30’の変位方向Tを修正するべく、角度修正位置において、好ましくは、土壌Sに対して回転固定された状態で、土壌Sに対して配向されかつ維持される、アクティブ状態を有する。この駆動装置40,40’の土壌に対する角度配向と回転ロックとは、前記第2回転起動装置50によって行われる。
【0088】
図4Bに図示されているように、前記軌跡修正方向DCTは、前記傾斜部分Pと、垂直で前記部分Pに対して直交する平面P’との交差点に対応する。上述したように、この軌跡修正方向の水平面Qにおける投影が着目される。
【0089】
図4Bを参照すると、前記駆動装置40’(同様に駆動装置40)の係合(mating)によって、そのアクティブ状態において当該駆動装置40’は、土壌Sに差し込まれた時、
図4Bに図示されている前記軌跡修正DCTに従って、並進移動しようとし、その結果、前記リンク部材と前記中空コアとの向きが変更される、と理解される。また、水平面からみて、前記角度修正位置に応じて、前記軌跡修正方向DCTを変えることが可能である、と理解される。
【0090】
前記駆動装置がそのパッシブ状態にある時、それは、上述したように、前記中空コアと同じ方向かつ同じ速度で回転するように構成されており、これにより、それは掘削装置の変位軌跡を変えない。
【0091】
代替構成として、前記駆動装置がパッシブ状態にある時、前記第2回転起動装置は、駆動装置40,40’を、中空コア32’の回転方向に対して反対の方向に回転させるように構成される。
【0092】
これらの代替構成のいずれによっても、前記駆動装置40,40’は、掘削装置の使用において中空コアの変位軌跡を変化させないが、これが駆動装置がパッシブ状態にあるという意味である。
【0093】
前記駆動装置40,40’は、必要な軌跡修正方向得ることを可能にする前記角度位置において、前記第2回転起動装置の作用により、それを配向した後に土壌に対してその相対回転移動をロックすることによって、そのアクティブ状態にされる。前記駆動装置を導入し続けながら、前記リンク部材と中空コアとは、前記軌跡修正方向DCTが通過する垂直面において旋回(swivel)し、これによって、前記中空コア32,32’の長手軸心Lを前記理論掘削軌跡Vに従わせる。
【0094】
前記掘削システム10,10’は、更に、駆動装置40,40’を、前記水平面Qから見て、その角度修正位置に関連付けられた前記軌跡修正方向DCTが偏差方向の反対となるように、決められた角度修正位置において、当該駆動装置を土壌に対して回転ロックすることによって、そのアクティブ状態にするために、偏差が前記装置80によって測定された時に、前記第2回転起動装置50を作動させるように構成された制御装置100を有する。
【0095】
第2回転起動装置50が設けられない、
図16に図示された、第2実施例の別構成において、前記制御装置100は、前記接続装置70を作動させた後に、前記第1回転起動装置を作動させることによって前記駆動装置をそのアクティブ状態にするように構成される。
【0096】
前記制御装置100は、更に、前記測定装置によって測定された前記偏差方向DDに基づいて前記角度修正位置を演算するための演算装置102を有する。前記角度修正位置は、前記軌跡修正方向DCTが前記偏差方向の反対方向となるように決められる。前記制御装置は、前記駆動装置を必要な角度修正位置へと移動させるために前記第2回転起動装置を駆動する。
【0097】
前記偏差センサ82は、垂直方向に対する前記中空コア32,32’の偏差距離dを測定するように構成されている。この距離は、前記偏差センサが通過する水平面において考慮される。更に、前記制御装置は、前記掘削装置によって到達された深さHに対する前記偏差距離dの比率が、前記到達深さに依存するものとすることが可能な閾値以上である時に、前記第2回転起動装置を作動させるように構成されている。例えば、この閾値は0.3%とすることができる。
【0098】
以下、これについて、本発明の前記第1実施例による前記掘削システムを使用して、この場合は垂直である理論掘削軌跡Vに従って、土壌Sにウェルを掘削するための方法を記載する、
図5Aないし8によって、更に詳細に説明する。
【0099】
図5Aにおいて、掘削装置30が図示されている。掘削中、前記中空コアの長手軸心Lは、前記理論掘削方向Vに対して平行であり、したがって、これらは共に垂直である。前記駆動装置40はそのパッシブ状態にあり、そして、この駆動装置は、前記第2回転起動装置50によって、前記中空コア32の回転方向の反対方向に回転させられる。
【0100】
次に、前記中空コア32を回転させながら、前記掘削装置10を土壌中に導入する。
【0101】
理論掘削軌跡Vに対する掘削装置の偏差方向DDを測定するために、前記中空コアの偏差を測定するための装置80によって、当該中空コア32の起こりうる偏差が測定される。
【0102】
図5Aにおいて、偏差は検出されていない。また、前記水平面Qから見て、前記駆動装置40は、
図5Bに図示の前記基準系XYの中心にある。
【0103】
掘削中、
図6Aに概略図示されているように、偏差距離dによって例示される偏差が測定される。深さH、例えば5m、で測定されるこの偏差距離dは、所定の閾値、例えば、2cmよりも大きいと、すなわち、0.4%、であると、前記制御装置は、前記駆動装置40を、前記水平面Qからみて、その角度修正位置に関連付けられた軌跡修正方向DCTが前記偏差方向DDの反対方向となるように決めれた角度修正位置において土壌Sに対して配向し、その後、それを回転ロックすることによって、そのアクティブ状態へと移動させる前記第2回転起動装置を駆動する。
図6Aに図示されている偏差は、概略であり、本発明の理解を容易にするために誇張されたものである、と理解される。
【0104】
本発明の範囲から逸脱することなく他の閾値が、必要な掘削精度に応じて、当業者によって選択可能であろう。
【0105】
図6Bの例においては、理解を容易にするために、前記偏差方向DD及び前記軌跡修正方向DCTは、共に前記軸心Xに従って延出している。しかしながら、これら二つの方向は水平でなくてもよい。
【0106】
最後に、
図7Aにおいて、前記理論掘削軌跡Vと再びアラインメントされた後の中空コア32の位置が図示されている。その後、前記駆動装置は、例えば、それを前記中空コア32の回転方向に対する反対の方向に回転させることによって、そのパッシブ状態にセットされる。これにより、所定の閾値よりも大きな偏差が再び測定されるまで掘削が続けられる。
【0107】
図8において、偏差方向が軸心X及びYに対して平行ではない方向に沿って延出する場合が図示されている。その作動原理は同じである。駆動装置は、軌修正方向が検出された偏差方向に対向するように、それを土壌に対して配向しかつ回転ロックすることによって、そのアクティブ状態にセットされる。前記軌跡修正方向DCTは、採掘装置の土壌中への押し込み中に前記中空コアの垂直性を修正するように決定される。
【0108】
図9ないし12において、
図4Aと4Bとに図示された第2実施例による掘削システムを使用する、第2実施例によるウェルを掘削するための方法が図示されている。
【0109】
この第2実施例は、所定の閾値よりも大きな偏差が検出された時に、駆動装置40’が、例えば、並進及び振動駆動によって、
図11に図示の、そのアクティブ状態とその展開位置にセットされる点において、第1実施例と異なる。次に、前記中空コアは、土壌に対して、当該中空コアの変位が駆動装置の変位に従うように、変位され、これによって、中空コアの軌跡の垂直性が
図12に図示されているように修正される。
【0110】
前記第1及び第2実施例によるウェルを掘削するための方法は、有利には、杭などのカラム、を作るための方法、前記カラムを土壌中に形成するために掘削装置の上昇時に流体がウェルに注入される方法、の一部として使用可能である。
【0111】
最後に、
図14において、前記掘削深さに応じた掘削工具の偏差曲線が図示されている。ここで、曲線GXはX軸に対する偏差を示し、曲線GYはY軸に対する偏差を示し、曲線GTは掘削装置の合計偏差を示している。
【0112】
前記駆動装置は、約8メートルの深さまで、そのパッシブ状態にあり、その後、それは、約12メートルの深さまでアクティブ状態にされ、そこで、そのパッシブ状態に戻る、と理解される。従って、8ないし10メートルの深さに対して最大偏差距離は約3cmであると銘記される。換言すると、掘削作業中、百分率で表される偏差は、最大で0.375%、したがって、0.5%の臨界リミットよりも低い。