(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】移動体の定位誤差の分析
(51)【国際特許分類】
G01S 19/40 20100101AFI20230105BHJP
G01S 19/47 20100101ALI20230105BHJP
G01C 21/28 20060101ALI20230105BHJP
【FI】
G01S19/40
G01S19/47
G01C21/28
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020191496
(22)【出願日】2020-11-18
【審査請求日】2021-03-01
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503113186
【氏名又は名称】ホンダ リサーチ インスティテュート ヨーロッパ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Honda Research Institute Europe GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フラーデ,ベネディクト
(72)【発明者】
【氏名】エッゲルト,ユリアン
(72)【発明者】
【氏名】コッペルト,アクセル
(72)【発明者】
【氏名】コハウト,ジーモン
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-513020(JP,A)
【文献】国際公開第2018/212292(WO,A1)
【文献】特開2007-232690(JP,A)
【文献】特開平06-229772(JP,A)
【文献】特開平06-288776(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0365500(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015211279(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00- 5/14
G01S 19/00-19/55
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定位誤差を分析するための方法であって、
位置推定モジュールから、マッピングされた環境内を移動する物体(1)の相対位置および絶対位置を取得する取得ステップ(6、7)であって、前記相対位置および前記絶対位置が、時間にわたって順次に生成されるステップ(6、7)と、
前記相対位置と前記絶対位置との差を計算して、順次定位誤差を決定する計算ステップ(11)と、
時間にわたる前記
順次定位誤差のダイナミクスを分析することによって、前記順次定位誤差を無関係の定位誤差成分に分解する分解ステップ(10)と
を含む方法。
【請求項2】
前記無関係な定位誤差成分が、前記物体(1)の向きに依存する系統誤差と、前記物体(1)の向きに依存しない系統誤差とを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記取得ステップ(6、7)において、少なくとも1つのセンサ(5)を使用することによって絶対位置推定モジュール(7)である前記位置推定モジュールの1つから前記絶対位置が取得される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記取得ステップ(6、7)において、マップ内の前記物体(1)の位置が決定されるマップ相対位置推定モジュール(6)である前記位置推定モジュールの1つから前記相対位置が取得され、
前記方法が、前記物体(1)の向きに依存しない
前記系統誤差に基づいて前記マップまたは前記決定された位置を補正するステップをさらに含む
請求項
2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記物体(1)の前記向きに依存する前記系統誤差に基づいて、前記位置推定モジュールの少なくとも1つを較正するステップをさらに含む請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記相対位置と前記絶対位置との少なくとも一方が、デッドレコニングに基づいて推定され、
前記方法が、前記物体(1)の向きに依存する
前記系統誤差に基づいて前記デッドレコニングを補正するステップをさらに含む
請求項
2から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記計算ステップ(11)において、前記相対位置と前記絶対位置との差分ベクトルが計算される請求項
2から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記分解ステップ(10)において、前記差分ベクトルの大きさおよび方向が評価され、前記大きさが誤差値を示し、前記マッピングされた環境内での、時間にわたる一定の方向が、前記物体(1)の向きに依存しない
前記系統誤差を示し、前記マッピングされた環境内での、時間にわたる一定でない方向が、前記物体の向きに依存する
前記系統誤差を示す請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記分解ステップ(10)において、前記定位誤差が、順次推定器、特に再帰的推定器、アンセンテッドカルマンフィルタ、またはモデル学習アルゴリズムによって分解される請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成された定位誤差を分析するための装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置を備える運転支援システム。
【請求項12】
請求項11に記載の運転支援システムを備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定位誤差を分析するための方法および装置に関する。より具体的には、本発明は、位置推定の誤差を様々な系統誤差成分に分解するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーションシステムおよび自律または部分自律運転用の運転支援システムでは、物体の現在位置の推定が重要である。状況予測または車線レベルナビゲーションなどのタスクでは、マップ内での自車および他の実体の正確な定位が重要である。他の実体は、例えば、自車によって感知されるさらなる車両、交通標識、ランドマーク、歩行者、および環境内の他の任意の物体でよい。
【0003】
一般に、GPS、GLONASS、BeiDou、またはGalileoなどの全球測位衛星システム(GNSS)は、絶対定位のために使用されて、グローバル参照フレームに対する絶対位置を推定し、通常はメートルレベルの精度を提供する。この精度を向上させるために、これらのシステムは強化、拡張、および補完される。拡張の例は、差分GNSS(D-GNSS)、リアルタイムキネマティックGNSS(RTK-GNSS)、および精密単独測位(PPP)であり、基地局からのデータを使用して補正データを生成し、定位信号を改良する。基地局からの補正データを使用することによって、空間的な相関誤差のみを補正することができ、受信機にローカルな誤差は補正することができない。
【0004】
さらに、O. Pink, “Visual map matching and localization using a global feature map,” 2008 IEEE Computer Society Conference on Computer Vision and Pattern Recognition Workshops, Anchorage, AK, 2008では、オフセット値(例えば、平面、空間、および/または回転)が決定され、マップおよびGNSSベースの車両位置など異種の情報ソース間の不一致を決定するのに役立つ。そのような手法は、マップに関する位置を改善するのに適しているが、複数のソースの誤差が重畳されているため、絶対的な意味でのマップまたは測位の改良は可能でない。
【0005】
米国特許出願公開第5 394 333号は、GPS受信機をデッドレコニングおよびマップデータと組み合わせて使用するナビゲーションシステムを開示しており、GPS受信機によって決定された位置が計算された位置(デッドレコニング)と比較されて、正しい位置である可能性がより高い位置を選択する。しかし、米国特許出願公開第5 394 333号では、誤差の原因は特定されない。同じことが、米国特許第6 931 322号に開示されているナビゲーションシステムにも当てはまる。このシステムでは、位置誤差を補正するために、マップマッチング技法がGNSSおよびデッドレコニングと組み合わされる。
【0006】
W. Lu, S. A. Rodriguez F., E. Seignez, and R. Reynaud, “Lane marking based vehicle localization using low-cost GPS and open source map,” Unmanned Systems, vol. 03, No. 04, pp. 239-251, 2015は、車線区分線ベースの車両定位を開示し、ここでは、オープンソースマップデータに結合された誤差モデルが、定位、検出、およびマップ成分からなる。しかし、検出されるマップ誤差は、誤って割り振られた車線数などのトポロジーレベルに限定され、定位に関する誤差モデルに基づいて定位不良の存在のみが検出される。
【0007】
米国特許出願公開第6 024 655号は、ゴルフカートの位置を較正および更新するための方法であって、ナビゲーションおよびヤード数測定システムが、マップマッチング技法を採用することによって較正される方法を開示する。しかし、米国特許出願公開第6 024 655号では、マップデータの誤差は決定されない。マップデータの誤差が一定である場合でも、全体の誤差は変化し、継続的に決定および補正しなければならない。
【0008】
マップと自車位置とのオフセットを検出することができるが、誤差の原因を遡及することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記の欠点を克服し、定位誤差を分析して定位を改良するための改良された方法を提供することである。より具体的には、本発明の目的は、定位誤差からそれらを引き起こした原因を遡及することができる、定位誤差を分析するための方法および装置、運転支援システム、ならびにそのような装置を備える車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、添付の独立請求項に記載された方法、装置、運転支援システム、および車両によって達成される。本発明の有利な特徴は、対応する従属請求項で定義されている。
【0011】
本発明によれば、定位誤差を分析するための方法が、
位置推定モジュールから、マッピングされた環境内を移動する物体の相対位置および絶対位置を取得するステップであって、相対位置および絶対位置が、時間にわたって順次に生成されるステップと、
相対位置と絶対位置との差を計算して、順次定位誤差を決定するステップと、
定位誤差の固有ダイナミクスを分析することによって、定位誤差を無関係の誤差成分に分解するステップと
を含む。
【0012】
本発明の文脈において、定位誤差は、独立した定位モジュールによって提供される定位データ間の差分ベクトルとして定義され、一方の定位モジュールは相対位置を決定し、他方の定位モジュールは絶対位置を決定する。「相対位置」という用語は、差分ベクトルdの計算を可能にするための絶対位置と同じ座標系での座標を表し、この座標は、絶対フレームに対する相対フレーム、例えば地球フレームに対するマップの位置の知識または想定に基づいて決定されることに留意されたい。
【0013】
相対位置と絶対位置との差を計算して順次定位誤差を決定するステップでは、特定の時点に関してそれぞれ差が計算される。特に、各差は、同じ時点で取得された特定の相対位置と特定の絶対位置とに関して計算される。
【0014】
本発明では、同じ座標系(ナビゲーションフレーム)、同じ物体、および同じ時間に関する相対位置と絶対位置とが時間にわたって順次に組み合わされ、組み合わされた位置での定位誤差が、異なる原因(無関係の原因)に割り当てることができる2つの誤差タイプ/成分に分解される。
【0015】
無関係な誤差成分は、物体の向きに依存する系統誤差と、物体の向きに依存しない系統誤差とを含むことがある。そのような向き非依存誤差は、特に一定であることがあり、または位置に依存することがある。
【0016】
特に、移動体の向きに依存する誤差は、物理的なシステム(例えば自車)に束縛され、物理的なシステム(例えば移動体)内の較正不良/配置不良のセンサ(例えばGNSSセンサ)に起因し、移動体の向きに依存しない誤差は、ナビゲーションフレームに束縛され、誤ったマップ作成(例えば並進、回転)に起因する。
【0017】
誤差分析の結果により、センサデータ、例えば較正データおよび観測データ、および/またはマップデータを補正することができ、またはセンサおよび/またはマップアライメントプロセスを(再)較正することができる。補正/較正は、ナビゲーションデバイスの通常使用中、または単に試験/較正操作時に実施することができる。決定された補正/較正データを使用して、他のデバイスの構造的に同一のセンサおよび/またはモジュールを補正/較正することができる。
【0018】
取得ステップにおいて、少なくとも1つのセンサを使用することによって絶対位置推定モジュールである位置推定モジュールの1つから絶対位置を取得することができる。
【0019】
取得ステップにおいて、マップ内の物体の位置が決定されるマップ相対位置推定モジュールである位置推定モジュールの他の1つから相対位置を取得することができ、この方法は、物体の向きに依存しない系統誤差に基づいて、マップまたは決定された位置を補正するステップをさらに含む。
【0020】
物体の向きに依存する系統誤差に基づいて少なくとも1つのセンサを較正するステップは、特に、別のセンサに対してセンサを較正することができる。
【0021】
この方法は、物体の向きに依存する系統誤差に基づいて、位置推定モジュールの少なくとも1つを較正するステップをさらに含むことがある。特に、位置推定モジュールの1つの中心(位置)を、対応する他の1つの位置推定モジュールの中心(位置)に関して補正することができる。
【0022】
代替として、または追加として、デッドレコニングに基づいて、相対位置と絶対位置との少なくとも一方を推定することができる。この方法は、物体の向きに依存する系統誤差に基づいて、デッドレコニングに基づいて推定された計算された位置を補正するステップをさらに含むことがある。
【0023】
計算ステップにおいて、相対位置と絶対位置との差分ベクトルを計算することができ、したがって、移動体に関する差分ベクトルのシーケンスが生成され、各差分ベクトルは、同じ時間に関する相対位置と絶対位置とから計算される。
【0024】
さらに、分解ステップにおいて、差分ベクトルの大きさおよび方向を評価することができ、大きさが誤差値を示し、一定の方向が、物体の向きに依存しない系統誤差を示し、一定でない方向が、物体の向きに依存する系統誤差を示す。
【0025】
向きに依存しない系統誤差(向き非依存誤差)は、ナビゲーションフレーム内で一定である。向きに依存する系統誤差(向き依存誤差)は、ナビゲーションフレーム内で向き依存である。しかし、向きに依存する系統誤差は、車体フレーム内で一定である。
【0026】
車体フレームは、例えば、x,y,z座標で表される物体に固定されたフレームを表す。ナビゲーションフレームは、例えば、東,北,仰角座標で表される絶対座標を表す。
【0027】
分解ステップにおいて、定位誤差を、順次推定器、特に再帰的推定器、アンセンテッドカルマンフィルタ、またはモデル学習アルゴリズムによって分解して、誤差成分を取得することができる。
【0028】
本発明によれば、定位誤差を分析するための装置は、上述した方法を実施するように構成される。装置は、上記物体でよく、自己定位するか、または入力として相対位置および絶対位置を取得し、差を計算し、定位誤差を分解し、特に差分ベクトルを分解する。
【0029】
装置は、ハンドヘルドデバイスでよく、またはカーナビゲーションシステムもしくは運転支援システムに実装することができる。
【0030】
本発明によれば、車両は、上述したような運転支援システムを備える。車両は、車、バイク、船舶、または航空機でよい。
【0031】
定位に関して、2つのケースに分けることができる:a)絶対定位。これは、例えばGNSSセンサを使用することによって、グローバル参照フレームに関して実体を定位するタスクを表す;およびb)マップ相対定位。基準となるマップなどに関して定位が実施される。
【0032】
マップがグローバル参照フレームおよび環境の完全な表現において正しく参照されると想定すると、これら2つのケースは同じタスクになる。マップ相対定位への1つの手法は、いわゆるCamera to Map Alignmentであり、これは、マップデータを、車載カメラによって獲得された視覚データと比較することによって、マップ相対定位を可能にする。
【0033】
どちらのケースでも、例えばマップの精度および生じ得るオフセットに関する強い想定が、定位タスクの成功を規定する。一般的な手法は、グローバルに正確なマップを利用することによって全地球測位を強化する、または何らかのマップ相対推定を実現する。対照的に、本発明は、両方を基礎とする。
【0034】
以下、添付の図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の実施形態による車両を示す図である。
【
図2a】ナビゲーションフレームにおける並進誤差を示す図である。
【
図2b】ナビゲーションフレームにおける回転誤差を示す図である。
【
図2c】ナビゲーションフレームにおけるスケーリング誤差を示す図である。
【
図3】ナビゲーションフレームにおける向き依存誤差の例を示す図である。
【
図4】ナビゲーションフレームにおける向き非依存誤差の例を示す図である。
【
図5】
図1に示される車両に含まれる定位誤差分析装置の概略構造図である。
【
図6】分析装置によって分解された誤差成分ΦおよびΚを示す図である。
【
図7】
図5に示される誤差Φをより詳細に示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態による方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図中、同じ特徴は、同じ参照符号で示されている。
【0037】
図1は、運転者が自車1を運転するのを支援するための本発明によるシステムを備えた、自車1の側面図を示す。支援は、他の交通参加者に対して危険な状況における運転者への警告もしくは推奨の形で、および/または自車1の自律的もしくは部分自律的運転の形で提供されることがある。
【0038】
自車1は、限定はしないが車、トラック、オートバイ、およびバスを含む任意のタイプの車両でよく、歩行者、自動車、および自転車など周囲の物体(交通参加者)に反応する。
【0039】
図1において、前部レーダ2、後部レーダ3、および自車1の周囲の環境を感知するカメラ4が、それぞれ、自車1の前面、自車1の後面、および自車1のルーフに取り付けられている。カメラ4は、自車1の走行方向の監視が可能であるように位置決めされている。代替としてまたは追加として、ステレオカメラシステムおよび/またはライダーセンサを自車1に取り付けることができる。位置センサ5、例えばGNSSセンサが、自車1に取り付けられ、自車1の位置を検出する。
【0040】
自車1の運転手支援システムは、第1の定位モジュール6と、第2の定位モジュール7と、ハイブリッド分解モジュール8と、プロセッサおよびメモリを含むコンピュータ9とをさらに備え、コンピュータ9は、前部レーダ2、後部レーダ3、カメラ4、第1の定位モジュール6、第2の定位モジュール7、およびハイブリッド分解モジュール8からの信号、ならびに車速、操舵角、エンジントルク、およびブレーキ作動などの自車1の状態データを、少なくとも1つの車両制御装置(ECU、図示せず)から受信または獲得する。
【0041】
第1の定位モジュール6と第2の定位モジュール7とは、位置推定モジュールに関する具体例である。
【0042】
第1の定位モジュール6は、例えばいわゆるCamera to Map Alignment(C2MA)を使用することによって、位置センサ5のセンサデータ、カメラ4の信号、およびコンピュータ9から受信されたマップデータに基づいて自車1のマップ相対位置を推定する。第1の定位モジュール6は、生の道路ジオメトリデータに関するソースとしてOpenStreetMapデータを使用することができる。
【0043】
道路データ記憶のためにRelational Local Dynamic Map(R-LDM)を使用し、データソースとしてOpenStreetMapを使用するそのようなCamera to Map Alignmentは、B. Flade, M. Nieto, G. Velez, and J. Eggert, “Lane detection based camera to map alignment using open-source map data,” in 2018 IEEE 21st International Conference on Intelligent Transportation Systems (ITSC) IEEE, 2018に開示されている。
【0044】
Camera to Map Alignmentの実装では、セグメントおよびジャンクションからなるワールドモデルが使用され、交差点は任意の量のジャンクションからなることがある。道路セグメントの開始と終了は、交差点によって定義される。まず始めに、絶対位置を最も近いマップセグメントに投影することによって現在のセグメントが選択される。さらに、ジャンクションを通り過ぎると、またはより具体的には新しいセグメントに達すると、長手方向(車体フレームでのx方向)位置がゼロにリセットされる。車体フレームは、自車1に固定されたフレーム(例えば、x,y,z座標で表される)を表し、ナビゲーションフレームは、絶対座標(例えば、東,北,仰角座標で表される)を表す。
【0045】
この実装形態では、Camera to Map Alignementは、横方向位置補正(車体フレームでのy方向)に関してのみ使用される。ここで、最新のデッドレコニングシステムから知られているように、加速度および回転速度のIMU測定値を積分することによって長手方向情報が計算される。
【0046】
また、マップ相対測位が、Z. Hu and K. Uchimura, “Real-time data fusion on tracking camera pose for direct visual guidance,” in 2004 IEEE Intelligent Vehicles Symposium (IV), Jun. 2004, pp. 842-847および米国特許出願公開第2016/0236683号に記載されている。
【0047】
第2の定位モジュール7は、センサデータを補完するために全球測位衛星システム(GNSS)および慣性計測装置(IMU)から構成される基本的な慣性ナビゲーションシステムと、拡張カルマンフィルタとを使用することによって、位置センサ5のセンサデータに基づいて自車1のフィルタリングされた絶対地理的位置を推定する。カルマンフィルタは、例えば、G. Welsh and B. Gary, “An introduction to the Kalman filter” (1995)に記載されている。
【0048】
代替として、IMUは、位置センサ5によって提供されるGNSSデータのフィルタリングおよび予測を提供し、フィルタリングおよび予測された位置データを第1の定位モジュール6と第2の定位モジュール7との両方に供給する独立した構造ユニットでよい。
【0049】
このようにして、アーバンキャニオンでの信号の反射や例えばトンネルによる信号の利用不可に起因する信号の獲得および追跡中の信号関連誤差および問題を受けやすいGNSSシステムが、GNSS位置のフィルタリングおよび予測を可能にするIMUによって補完される。
【0050】
IMUの場合、センサを使用して、受信されたGNSSをフィルタリングし、これは、位置センサ5によって生成された生信号を改善およびブリッジすることを可能にする。そのような手法は、Z. Tao, P. Bonnifait, V. Fremont, J. Ibanez-Guzman, and S. Bonnet, “Road-centered map-aided localization for driverless cars using single frequency gnss receivers,” Journal of Field Robotics, vol. 34, No. 5, pp. 1010-1033, Aug. 2017;N. Steinhardt: “Eine Architektur zur Schaetzung kinematischer Fahrzeuggroessen mit integrierter Qualitaetsbewertung durch Sensordatenfusion“, VDI-Verlag, Darmstadt;およびD. Betaille and R. Toledo-Moreo, “Creating enhanced maps for lanelevel vehicle navigation,” IEEE Transactions on ITS, vol. 11, No. 4, pp. 786-798, Dec. 2010に開示されている。
【0051】
第1の定位モジュール6は、
相対位置推定モジュールに対応する。第2の定位モジュール7は、
絶対位置推定モジュールに対応する。第1の定位モジュール6と第2の定位モジュール7とはどちらも、1つのセンサ、または代替として複数のセンサを備えることができる。センサは、第1の定位モジュール6と第2の定位モジュール7との一方または両方の一部でよい。例えば、
図5では、GNSSセンサの形態での位置センサ5が、第1の定位モジュール6および第2の定位モジュール7に含まれている。
【0052】
第1の定位モジュール6と第2の定位モジュール7とは、それぞれの定位モジュールの中心(位置、論理中心)の位置情報を提供する。
【0053】
第1の定位モジュール6によって推定された相対位置および第2の定位モジュール7によって推定された絶対位置は、コンピュータ9に供給され、コンピュータ9は、ナビゲーションのため、および/または自律的もしくは部分自律的走行中の自車1の軌道の計算/予測のために推定位置を使用する。
【0054】
本発明によれば、推定位置は、推定位置を分析して定位誤差を決定するハイブリッド分解モジュール8にも供給され、ハイブリッド分解モジュール8は、誤差シーケンスの固有のダイナミクスを分析することによって誤差を様々な系統誤差成分に分解する。誤差シーケンスという用語は、連続する推定位置の誤差を表す。
【0055】
分析は、連続する推定位置の組合せから、独立した系統誤差を検出することができるという考えに基づいており、そのような組合せは、第1の定位モジュール6によって推定された第1の相対位置と第2の定位モジュール7によって推定された対応する第1の絶対位置との第1の組合せ、第1の定位モジュール6によって推定された第2の相対位置と第2の定位モジュール7によって推定された対応する第2の絶対位置との第2の組合せ、などを含む。
【0056】
ハイブリッド分解モジュール8は、2つのタイプの誤差を決定する:
第1に、自車の向きに依存する誤差Φ。一般的な理由は、例えば、較正不良のセンサ(例えばGNSS)である。これは、物理システム(例えば自車)内のセンサのロケーション(位置および向き)に関する誤った考えとして理解することができる;第2に、自車の向きに束縛されない誤差Κ。向き非依存誤差に関する1つの一般的な例は、誤ったマップ作成(例えば並進、回転など)によって誘発される系統誤差である。そのような誤差の場合、位置推定は、前述した向き依存誤差に依存しない。
【0057】
図2a~
図2cは、向き非依存オフセットに関する誤差モデルの3つの例を示し、絶対(正しい)位置が、誤ったマップ作成によって影響を受けている。
図2aは並進誤差を示し、
図2bは回転誤差を示し、
図2cはナビゲーションフレームのスケーリング誤差を示す。以下の説明は並進誤差に焦点を当てるが、他の向き非依存誤差にもまったく同じように当てはまる。
【0058】
図3は、自車1の実際の/正しい軌道(実線)と、較正不良のセンサ設定を使用して推定された位置に基づいて決定された軌道(破線)とを示し、ベクトルd1~d5はそれぞれ、ある特定の時点に関する、正しい軌道の位置と、較正不良のGNSS軌道に基づいて推定された対応する誤った位置との差を示す。
図3に示される誤差/オフセットは、位置センサ5の並進によって引き起こされ、向き依存誤差Φである。このオフセット(またはより具体的には、そのベクトルd1~d5の方向)は、自車1、またはその車体フレームに関して一定であるが、ベクトルd1~d5は、ナビゲーションフレームに対しては軌道にわたって変化する。
【0059】
図4は、自車1の正しい軌道(実線)と、誤ったマップ作成によって影響を及ぼされた推定位置に基づいて決定された軌道とを示し、ベクトルd6~d12はそれぞれ、複数の連続する時点に関する、正しい軌道の位置と、対応する誤った推定軌道の位置との差を示す。
図4に示される誤差/オフセットは、マップ内での道路セグメントの並進によって引き起こされ(
図2aを参照)、向き非依存誤差Kである。誤差Κのベクトルd6~d12は、ナビゲーションフレーム内で一定であるが、車体フレームに対して変化する。
【0060】
図3および
図4は、較正誤差のみの場合の向き依存誤差(
図3)とマップ並進誤差のみの場合の向き非依存誤差(
図4)との違いを説明するためのものにすぎないことに留意されたい。しかし、ハイブリッド分解モジュール8は、第1の定位モジュール6および第2の定位モジュール7の出力に基づいて差分ベクトルdを計算する。差分ベクトルdは、定位モジュール6および7の出力から、定位モジュール6と定位モジュール7とによって推定された位置の差として計算される。計算は、連続する複数の時点で繰り返される。
【0061】
誤差ΦおよびΚは、差分ベクトルdを入力とするオンライン学習技法(例えばカルマンフィルタ)を使用して決定することができる。特に、状態および測定空間の非線形性をキャプチャするのに適しており、かつ計算コストが低いので、オンライン誤差推定器として拡張カルマンフィルタ(EKF)またはアンセンテッドカルマンフィルタ(UKF)を使用することができる。
【0062】
両方の系統誤差ΦとΚとの相互独立性に基づいて、それらの系統誤差は、結合によって足し合わされてベクトルdになる。差分ベクトルdは、2つの独立した誤差ΦとΚとの線形結合(和)から得られるので、真の分解、したがって系統誤差の識別は、上述したように1回の測定から計算することはできない。代わりに、時間にわたる差分ベクトルdのダイナミクスを観測することによって分解が推定される。より具体的には、差分ベクトルdを以下のようにモデル化することができる。
d=Φ+Κ+ε
ここで、εはシステムのノイズであり、ΦおよびΚは、上述したように物体/車両の状態に依存する誤差である。
【0063】
図5は、差分ベクトルdをその誤差成分ΦおよびΚに分解するためのアンセンテッドカルマンフィルタ(UKF)10と、結合器11とを備えるハイブリッド分解モジュール8を示し、結合器11は、第1の定位モジュール6によって推定される現在の相対位置と第2の定位モジュール7によって推定される現在の絶対位置とを結合して差分ベクトルdを生成し、この差分ベクトルdがアンセンテッドカルマンフィルタ(UKF)10に供給される。アンセンテッドカルマンフィルタ(UKF)10によって分解された誤差ΦおよびΚは、マップおよびセンサデータを補正するコンピュータ9に出力される。
【0064】
第1の定位モジュール6は、例えば道路ジオメトリに関する相対位置を表す推定値を提供する。第2の定位モジュール7は、最新の方法を用いて、例えばIMUとGNSSとを融合する拡張カルマンフィルタを使用することによって、フィルタリングされた絶対位置推定値を計算するのに役立つ。GNSS関連誤差の平均はゼロと想定される。次いで、マップ相対位置と絶対位置との差分ベクトルdが、結合器11によって計算され、アンセンテッドカルマンフィルタ10の入力となる。
【0065】
本実施形態の論述では、マップ誤差と較正誤差との両方に関する並進誤差モデルが想定される。入力uは、物体の位置および方向を含む。マップ並進誤差m=(e,n)は、ナビゲーションフレーム内で一定であると想定され、較正誤差c=(x,y)は車体フレーム内で一定であると想定されるので、状態およびそのダイナミクスを記述するシステムモデルは、以下の式によって定義することができる。
【数1】
ここで、状態はxで示され、誤差成分はそれぞれΦ(向き依存)およびΚ(向き非依存)で示される。さらに、Rは、車体フレームからナビゲーションフレームへの変換を行う回転行列である。車両進行方向γが入力uに含まれる。
【0066】
再帰的推定器によって推定された状態xは、車体座標(xおよびy)ΦBで示される現在の較正誤差と、ナビゲーションフレームで示されるマップ関連誤差ΚNとからなる。
【0067】
状態xを推定するための再帰的推定器は、カルマンフィルタを使用して実装することができ、以下の説明ではカルマンフィルタを一例として使用する。
【0068】
カルマンフィルタは、予測補正方式に従う。システムダイナミクスは、状態xの予測関数fで表現される。
【0069】
状態xは、システムダイナミクスを使用して予測され、観測された定位誤差dおよび観測モデルhを使用して状態が補正され、これは順次に行われる。これを行うことで、時間にわたってΦおよびΚの推定値を改良することが可能になる。
【0070】
予測モデルfは、xk|k-1を将来の状態の予測とし、前の状態xk-1および制御入力uに依存する。並進誤差モデルが選択されるので、状態変数ΦBおよびΚNは、予測ステップにおいてそれぞれのフレーム内で一定であると想定される。UKFは、その予測xk|k-1を状態から測定空間に変換する必要がある。これは、観測関数hを評価することによって行われ、ykが得られる。言い換えると、ykは、状態およびモデルが正しい場合に観測されるべきものの予測である。
【0071】
定位モジュール6と7との両方からの新しい推定値が利用可能になるとすぐに、フィルタの補正ステップが実施される。ここで、測定された差分ベクトルdk(マップ相対位置と絶対位置の差)が予測されたykと比較され、再帰的推定器の刷新が得られる。次いで、この刷新を使用して状態xを更新する。
【0072】
カルマンフィルタを再帰的推定器として使用して、カルマンゲインを用いて状態xの更新を行うことができる。
【0073】
観測されたマップ誤差Κは、単一のセグメントのみに関連し、各セグメントに関するデータベースに個別に記憶される。較正誤差Φは、継続的に、特定のマップエリアまたはセグメントとは無関係に推定することができる。
【0074】
独自の予測の確実性に基づいて、かつ測定の予想ノイズとに基づいて、最適な状態推定が行われる。時間にわたって、ナビゲーションフレームの較正誤差、およびマップ誤差は収束する。
【0075】
2つの成分ΚとΦとの分解により、車両の定位の改良が可能になる。デッドレコニングなどの位置推定方法は、この知識から利益を得ることができる。デッドレコニングは、事前に決定された位置を方向情報(速度ベクトルなど)と組み合わせて使用することによって位置が継続的に推定されるという考えに基づく。ここで、差分ベクトルdの成分を知ることで、将来の位置と、考慮することができるその位置での将来の誤差との両方の演繹が可能になり、位置の推定の改善がもたらされる。これを実現するために、本発明は、2つの誤差成分ΦとΚとのそれぞれに関する誤差モデルを想定する。しかし、本発明は特定の誤差モデルに限定されない。実施形態で論じる誤差モデルの例は時不変であるが、本発明は時不変誤差モデルに限定されない。本発明のさらなる実施形態は、時変誤差モデルを採用することができる。本発明によって採用される誤差モデルに関する制約は、ハイブリッド分解モジュール8による可観測性である。
【0076】
向き非依存誤差Κは、マップ(例えば、並進、回転、スケーリングなど)によって、または絶対参照フレーム(例えば、GNSS)で機能する第2の定位モジュール7によって引き起こされることがある。先行技術は通常、後者の場合に関するが、本発明は前者の場合または両方の場合の組合せに対処する。定位モジュールによって誘発された誤差が、時間にわたってまたは繰り返しの測定にわたって平均でゼロになると想定して、向き非依存誤差Κを使用してマップを改良することができる。補正は、オンラインで、1回の行程で行われる。
【0077】
誤差推定のための統計的方法が使用されるので、追加として確実性の尺度が得られる。マップ誤差はすべての車両で同じであるので、推定値もそれらの確実性も共有することができる。さらに、同じまたは複数の車両による複数回の行程は、マップ補正の確実性を向上させるのに役立つことがある。同様に、このシステムを使用して、車両のセンサモジュールを較正することができる。
【0078】
向き依存誤差Φから、センサモジュールの較正に遡ることができる。好ましくは、焦点は、第1の定位モジュール6と第2の定位モジュール7との関係に関する較正にある。より具体的には、較正は、2つのモジュール間の幾何学的変換を記述する。結論を逆にすると、これは、本発明が、一方のモジュールの位置(および向き)が分かっている場合に他方のモジュールを較正できるようにすることを意味する。さらに、一方の成分(ΦまたはΚ)の適切な推定を行うことで、他方の成分の統計的により高い信頼性の推定が可能になる。
【0079】
図6は、並進ベースの誤差モデルを想定して、誤差ΦとΚとが分解されている例を示す。ここで、Κを使用してマップを補正する、またはより具体的にはマップをΚの方向にシフトすることができる。
図7は、誤差Φをより詳細に示す。この場合、第1の定位モジュール6(カメラセンサ)によって推定されたマップ相対位置は正しく、第2の定位モジュール7(GNSS受信機)によって推定された絶対地理的位置は間違っていると想定される。Φを使用して、第2の定位モジュール7によって推定された位置を補正することができる。
【0080】
最新の定位ソリューションには、a)絶対定位、b)マップ相対定位、またはc)制約を導出するためのマップを使用するハイブリッド定位が含まれる。しかし、これらのソリューションは、広範な要件を課され、いくつかの想定に基づいている。本発明の装置は、最新の低コストセンサ(例えばカメラ)、ならびに費用効率が高く、グローバルに利用可能な最新の全球測位衛星システム(GNSS)を用いて動作することができる。
【0081】
現在の手法は、マップデータがグローバルに正確であると想定するか、または使用もしくは生成されるマップデータが間違っている(並進など)可能性があることを受け入れて考慮し、測定値(自車位置など)をマップとアライメントすることによってこの問題に対処する。後者の場合、マップはグローバル参照の役割を果たす。
【0082】
本発明は、定位を改良するために絶対およびマップ相対定位方法の出力を活用するシステムであって、マップ相対定位と絶対定位との比較から得られるオフセットが決定される、システムを提供する。その結果、観測されたオフセット(誤差とも呼ぶ)の原因に関する知識が得られ、次いでこれを、位置推定の改良に直接使用することができる。さらに、この知識は、系統マップ誤差の補正および車両センサの較正に使用することができる。これは、走行中にオンラインで行われる。さらに、本発明は、1回の旅程および個々のエージェントに適している。
【0083】
本発明の主な利点は、正確な定位、マップ補正、および車両センサ較正を可能にすることである。
【0084】
マップ補正に関して、高精度のGNSSには、正確なマップデータが必要である。しかし、正確なマップデータの生成は、煩雑でコストがかかり、常に最新である必要性によりさらに悪化される。マップデータが市販されていない場合、研究者は、SLAM(simultaneous localization and mapping;定位とマッピングの同時実行)によって、またはJ. Levinson, M. Montemerlo, and S. Thrun, “Map-Based Precision Vehicle Localization in Urban Environments.” in Robotics: Science and Systems, Atlanta, GA, USA, 2007に開示されているレコードアンドリロケート原理に従って、独自のマップデータを作成することがよくある。
【0085】
マップ製作者は、高精度マップの作成に多くのリソースとエネルギーを投資している。マップは、高度道路交通システム(ITS)ドメインの基礎の1つである。しかし、そのような洗練されたマップが、近い将来に世界のどの場所でも確実に利用可能になる可能性は低い。
【0086】
本発明は、車、オートバイ、電動自転車などの将来の高度道路交通システムにとって重要な役割を果たすことができる。本発明は、マップおよびGNSSに基づく任意の先進運転支援システム(ADAS)またはガジェットに有利である。
【0087】
本発明は、トンネルやアーバンキャニオンなど、電磁信号の受信状態が悪い地域の場合にも引き続き機能する。クラウドへの安定した通信接続は必要ない。
【0088】
マップ製造は、高精細マップを作成する際に高速道路および主要都市に注力しているが、本発明からは、特に僻地、またはマップ製造業者が注力する上記地域外の任意の他の場所が利益を得ることができる。
【0089】
与えられた実装形態の例は、車両を表す。しかし、本発明は、マッピングされた環境内を移動する他の任意のエージェント(2Dおよび3D)に使用することができる。
【0090】
さらに、研究および開発活動は、例えば、高精細マップデータが利用可能でない、またはその獲得が難しいテストコースや地域を使用するときに本発明から利益を得ることができる。
【0091】
本発明は、特に高度道路交通システムの分野に関する。
【0092】
用語
マップアライメントおよびマップマッチング:
本発明の意味合いでは、マップアライメントという用語は、マップ相対定位を提供するために、センサデータ(例えばカメラ画像)をマップジオメトリとアライメントすることに関して使用され、一方、マップマッチングという用語は、マップデータの座標、例えば車線の中心線に対する測定された地理的座標の平面的アライメントに使用される。
【0093】
絶対位置と相対位置:
文献では、定位と測位を区別するときに様々な定義を見ることができる。測位は、空間座標を取得するタスクとして述べられることがよくあり、一方、定位は、マップ内での物体の位置を見い出すタスクと表される。グローバル参照系とローカル参照系との違いをより明確にするために、本発明のこの説明では、絶対定位という用語を使用する。絶対定位という用語は、グローバル参照座標系、例えばWGS84に関する定位を表す。これは、物体の相対位置とは対照的である。マップ相対定位の場合、物体の位置は、基準となる(ローカル)マップに関して決定される。絶対フレーム内での(ローカル)マップの位置を知ることによって、絶対測定と相対測定とを組み合わせることができる。
【0094】
マップ:
本発明の文脈において、高精細マップという表現は、絶対的な意味でオフセットがほとんどないセンチメートルレベルの精度のマップを表し、一方、記載する本発明に適したマップは、グローバルフレームから逸脱することがある。
【0095】
系統マップ誤差:
マップで観測される誤差は、いくつかの理由によるものであり得る。系統誤差という用語は、環境の変化や再構築に起因するマップ内での誤差とは対照的に、マップの作成時に存在している誤差(例えばオフセットをもたらす)を表す。
【0096】
セグメント:
道路網は、交互のセグメントとジャンクションからなる。1つの場所での複数のジャンクションが交差点を形成する。
【0097】
本出願に関わるプロジェクトは、欧州連合のHorizon 2020研究およびイノベーションプログラムの下で、助成金契約No.687458に基づいて、欧州GNSS監督庁から資金提供を受けている。