(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0203 20230101AFI20230105BHJP
【FI】
G06Q30/02 312
(21)【出願番号】P 2020209730
(22)【出願日】2020-12-17
(62)【分割の表示】P 2018151130の分割
【原出願日】2018-08-10
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 三喜也
(72)【発明者】
【氏名】坪内 孝太
(72)【発明者】
【氏名】山下 達雄
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-203152(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0061484(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の期間に所定の行動をとった第1ユーザに対応する行動を示す第1行動情報と、前記第1ユーザとは異なる第2ユーザであって、前記所定の期間に前記所定の行動をとっていない前記第2ユーザに対応する行動を示す第2行動情報とを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記第1行動情報と前記第2行動情報とを比較する比較部と、
前記比較部の比較結果に基づいて、前記所定の行動に対する要因を示す要因情報を抽出する抽出部と
を備え、
前記比較部の比較結果に、前記第1ユーザに特有の行動が含まれ、
前記抽出部は、
前記比較部の比較結果に基づいて前記所定の行動に対応する前記第1ユーザの将来の行動
であって、前記第1ユーザに特有の行動とは異なる前記第1ユーザの将来の行動を推定し、推定された前記将来の行動を示す将来行動情報を前記要因情報として抽出する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記抽出部は、
前記第1ユーザに特有の行動に関連付けられる将来の行動を、前記第1ユーザの将来の行動として推定し、推定された前記将来の行動を示す前記将来行動情報を前記要因情報として抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記抽出部は、
前記比較部の比較結果に基づいて、前記所定の行動に対応する事象を示す事象情報を前記要因情報として抽出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得部は、
前記第1ユーザに対応する行動の履歴を示す履歴情報を前記第1行動情報として取得するとともに、前記第2ユーザに対応する行動の履歴を示す履歴情報を前記第2行動情報として取得し、
前記抽出部は、
前記比較部の比較結果に基づいて、前記第1行動情報に含まれる履歴情報を前記要因情報として抽出する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記比較部は、
前記第1行動情報および前記第2行動情報に含まれる、検索クエリの履歴情報、電子商取引に関する履歴情報、および、ネットワークを介して投稿される投稿情報のうち少なくとも一つを比較する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記抽出部は、
前記第1行動情報と前記第2行動情報との比較によって得られる差分に基づいて、前記要因情報を抽出する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
所定の期間に所定の行動をとった第1ユーザに対応する行動を示す第1行動情報と、前記第1ユーザとは異なる第2ユーザであって、前記所定の期間に前記所定の行動をとっていない前記第2ユーザに対応する行動を示す第2行動情報とを取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された前記第1行動情報と前記第2行動情報とを比較する比較工程と、
前記比較工程における比較結果に基づいて、前記所定の行動に対する要因を示す要因情報を抽出する抽出工程と
を含み、
前記比較工程の比較結果に、前記第1ユーザに特有の行動が含まれ、
前記抽出工程は、
前記比較工程の比較結果に基づいて前記所定の行動に対応する前記第1ユーザの将来の行動
であって、前記第1ユーザに特有の行動とは異なる前記第1ユーザの将来の行動を推定し、推定された前記将来の行動を示す将来行動情報を前記要因情報として抽出する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
所定の期間に所定の行動をとった第1ユーザに対応する行動を示す第1行動情報と、前記第1ユーザとは異なる第2ユーザであって、前記所定の期間に前記所定の行動をとっていない前記第2ユーザに対応する行動を示す第2行動情報とを取得する取得手順と、
前記取得手順によって取得された前記第1行動情報と前記第2行動情報とを比較する比較手順と、
前記比較手順における比較結果に基づいて、前記所定の行動に対する要因を示す要因情報を抽出する抽出手順と
をコンピュータに実行させ、
前記比較手順の比較結果に、前記第1ユーザに特有の行動が含まれ、
前記抽出手順は、
前記比較手順の比較結果に基づいて前記所定の行動に対応する前記第1ユーザの将来の行動
であって、前記第1ユーザに特有の行動とは異なる前記第1ユーザの将来の行動を推定し、推定された前記将来の行動を示す将来行動情報を前記要因情報として抽出する
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、端末装置に対するユーザの操作に応じて、所定の日時に目的地に到着する経路や、経路の混雑状況を示す情報を提供する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は、上記した経路の検索などユーザがとった所定の行動に対する情報(例えば経路や混雑状況を示す情報)を提供するに過ぎなかった。このため、従来技術においては、例えば、ユーザが所定の行動をとった理由、すなわち、所定の行動に対する要因が不明であることから、所定の行動に対する要因を示す要因情報を得る技術が望まれていた。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザがとった所定の行動に対する要因を示す要因情報を得ることができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る情報処理装置は、取得部と、比較部と、抽出部とを備える。取得部は、所定の期間に所定の行動をとった第1ユーザに対応する行動を示す第1行動情報と、前記第1ユーザとは異なる第2ユーザであって、前記所定の期間に前記所定の行動をとっていない前記第2ユーザに対応する行動を示す第2行動情報とを取得する。比較部は、前記取得部によって取得された前記第1行動情報と前記第2行動情報とを比較する。抽出部は、前記比較部の比較結果に基づいて、前記所定の行動に対する要因を示す要因情報を抽出する。前記抽出部は、前記比較部の比較結果に基づいて前記所定の行動に対応する前記第1ユーザの将来の行動を推定し、推定された前記将来の行動を示す将来行動情報を前記要因情報として抽出する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、ユーザがとった所定の行動に対する要因を示す要因情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1行動情報記憶部の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第2行動情報記憶部の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、要因情報記憶部の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、情報処理装置における情報処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、変形例に係る要因情報記憶部の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、変形例に係る情報処理装置における情報処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、プログラムを実行するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムが限定されるものではない。
【0010】
(実施形態)
〔1.情報処理〕
まず、実施形態に係る情報処理の一例について
図1を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す説明図である。
図1の例では、情報処理装置20は、ユーザがとった所定の行動に対する要因を示す要因情報を抽出する処理などを行うことができるサーバ等である。
【0011】
具体的には、
図1に示すように、情報処理システム1には、端末装置10A,10Bと、サービス提供サーバ100と、情報処理装置20とが含まれる。端末装置10A,10B、サービス提供サーバ100および情報処理装置20は、それぞれネットワークN(
図2参照)を介して有線または無線で互いに通信可能に接続される。
【0012】
端末装置10A,10Bは、例えば、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型PC(Personal Computer)、デスクトップ型PC等の情報処理装置である。
図1に示す例では、端末装置10Aは、第1ユーザU1が使用する端末装置であり、端末装置10Bは、第1ユーザU1とは異なる第2ユーザU2が使用する端末装置である。
【0013】
なお、端末装置10A,10Bは、それぞれ複数台であっても、1台であってもよい。また、端末装置10Aが複数台である場合、各端末装置10Aに対応する第1ユーザU1は複数人いるとともに、端末装置10Bが複数台である場合、各端末装置10Bに対応する第2ユーザU2は複数人いるものとするが、これに限定されるものではない。なお、以下では、端末装置10A,10Bを特に区別せずに説明する場合には「端末装置10」と記載し、第1、第2ユーザU1,U2を特に区別せずに説明する場合には「ユーザU」と記載することがある。
【0014】
サービス提供サーバ100は、例えば、各種のウェブサービスをユーザUの端末装置10に対して提供するウェブサーバである。具体的には、サービス提供サーバ100は、端末装置10にウェブページを配信することで、各種サービスを提供する。例えば、サービス提供サーバ100は、検索サイト、旅行サイト、ニュースサイト、天気予報サイト、オークションサイト、ショッピングサイト、路線検索サイト、地図提供サイト、ファイナンス(株価)サイト、飲食店紹介サイト、SNS(Social Networking Service)、ウェブブログ、スケジュール管理などの各種サービスを提供する。
【0015】
ここで、端末装置10は、ユーザUによる操作に従ってサービス提供サーバ100にネットワークNを介してアクセスし、上記した各種サービスを利用する。このとき、サービス提供サーバ100は、ネットワークN上におけるユーザUの行動を受け付けて各種サービスを提供するとともに、かかる行動を記憶することができる。
【0016】
上記したネットワークN上におけるユーザUの行動とは、各種ウェブサイトから提供されるサービスの利用に際して、ユーザUの操作に従い端末装置10から発信される情報を意味する。例えば、ユーザUの行動には、検索サイトにおける検索クエリ(検索に用いるキーワード)の入力、旅行サイトにおけるホテル予約、ニュースサイトや天気予報サイトの閲覧、オークションサイトの出品や入札を含む利用、ショッピングサイトにおける物品の購買、路線検索サイトにおける目的地までの経路の検索、SNSやウェブブログなどへの投稿、ユーザUのスケジュール情報への入力などが含まれる。なお、上記では、ユーザUの行動を具体的に示したが、これらはあくまでも例示であって限定されるものではない。
【0017】
ここで、
図1に示す例において、第1ユーザU1と第2ユーザU2とは、行動の内容が異なっているものとする。例えば、第1ユーザU1のとる行動には、「所定の期間に所定の行動をとる」ことが含まれる一方、第2ユーザU2のとる行動には、「所定の期間に所定の行動をとる」ことが含まれない、すなわち、第2ユーザU2は、所定の期間に所定の行動をとっていないものとする。
【0018】
別言すれば、複数のユーザUのうち、所定の期間に所定の行動をとったユーザUが「第1ユーザU1」であり、所定の期間に所定の行動をとっていないユーザUが「第2ユーザU2」であるともいえる。なお、ここでは一例として、「所定の期間に所定の行動をとる」ことが、「2018年8月10日のホテルXを予約する」ことであるものとして説明を続ける。
【0019】
ところで、従来技術においては、ユーザU(正確には第1ユーザU1)が所定の行動をとった理由、すなわち、所定の行動に対する要因が不明であるため、かかる要因を示す要因情報を得る技術が望まれていた。そこで、本実施形態にあっては、上記した第1ユーザU1がとった所定の行動に対する要因を示す要因情報を抽出するようにした。
【0020】
詳しく説明すると、サービス提供サーバ100は、端末装置10Aから、上記した所定の行動を含む第1ユーザU1の行動を受け付ける(ステップS1)。具体的には、サービス提供サーバ100は、第1ユーザU1によって操作される端末装置10Aから、所定の行動、および、所定の行動とは異なるその他の行動を受け付ける。このとき、サービス提供サーバ100は、第1ユーザU1の行動に応じた各種サービスを提供することができる。
【0021】
また、サービス提供サーバ100は、端末装置10Bから、第2ユーザU2の行動を受け付ける(ステップS2)。ここで、第2ユーザU2の行動には、上記したように所定の行動が含まれないことから、サービス提供サーバ100は、第2ユーザU2によって操作される端末装置10Bから、所定の行動とは異なるその他の行動を受け付けることとなる。このとき、サービス提供サーバ100は、第2ユーザU2の行動に応じた各種サービスを提供することができる。
【0022】
なお、
図1に示す例では、所定の行動は、上記したようにホテルの予約であり、その他の行動は、検索クエリの入力、ニュースサイトや天気予報サイトの閲覧、オークションサイトの利用などであるが、これらに限られない。
【0023】
そして、サービス提供サーバ100は、記憶部101を有し、かかる記憶部101に第1、第2ユーザU1,U2の行動を示す情報を格納する(ステップS3)。詳しくは、サービス提供サーバ100は、所定の期間に所定の行動をとった第1ユーザU1に対応する行動を示す第1行動情報と、第2ユーザU2に対応する行動を示す第2行動情報とを記憶部101に格納する。
【0024】
なお、上記した記憶部101は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0025】
続いて、情報処理装置20は、第1行動情報および第2行動情報をサービス提供サーバ100から取得する(ステップS4)。
図1では、情報処理装置20によって取得された第1行動情報の一例を符号J1で示し、第2行動情報の一例を符号「J2」で示した。
【0026】
例えば、第1行動情報J1および第2行動情報J2には、「ユーザID」、「所定の行動の内容」および「その他の行動の内容」の情報が含まれ、互いに関連付けられている。
【0027】
「ユーザID」は、ユーザUを識別するための識別情報である。例えば、第1ユーザU1は、ユーザID「U11」「U12」「U13」として識別され、第2ユーザU2は、ユーザID「U21」「U22」「U23」として識別される。
【0028】
「所定の行動の内容」は、所定の行動の内容を示す情報である。例えば、第1行動情報J1には、所定の行動の内容として、上記した「2018年8月10日のホテルX予約」が含まれる。他方、第2行動情報J2は、第2ユーザU2に対応する行動を示すことから、所定の行動の内容を示す情報は含まれない。
【0029】
「その他の行動の内容」は、その他の行動の内容を示す情報である。例えば、第1行動情報J1には、ユーザID「U11」の第1ユーザU1に対応するその他の行動の内容として、「「歌手Yコンサート」検索」、「ニュースサイト閲覧」、「ネットオークション利用」などが含まれる。また、第1行動情報J1には、ユーザID「U12」の第1ユーザU1に対応するその他の行動の内容として、「「歌手Yコンサート」検索」、「天気予報サイト閲覧」、「ネットオークション利用」などが含まれる。また、第1行動情報J1には、ユーザID「U13」の第1ユーザU1に対応するその他の行動の内容として、「「歌手Yコンサート」検索」、「ニュースサイト閲覧」、「天気予報サイト閲覧」などが含まれる。
【0030】
他方、第2行動情報J2には、ユーザID「U21」の第2ユーザU2に対応するその他の行動の内容として、「ニュースサイト閲覧」、「ネットオークション利用」などが含まれる。また、第2行動情報J2には、ユーザID「U22」の第2ユーザU2に対応するその他の行動の内容として、「天気予報サイト閲覧」、「ネットオークション利用」などが含まれる。また、第2行動情報J2には、ユーザID「U23」の第2ユーザU2に対応するその他の行動の内容として、「ニュースサイト閲覧」、「天気予報サイト閲覧」などが含まれる。なお、上記した第1行動情報J1の詳細については
図4を、第2行動情報J2の詳細については
図5を用いて後述する。
【0031】
そして、情報処理装置20は、第1行動情報J1と第2行動情報J2とを比較する(ステップS5)。詳しくは、情報処理装置20は、第1行動情報J1における所定の行動以外の行動(すなわちその他の行動)と、第2行動情報J2における所定の行動以外の行動(その他の行動)とを比較する。
【0032】
具体的には、例えば、情報処理装置20は、第1行動情報J1の「その他の行動の内容」と、第2行動情報J2の「その他の行動の内容」とを比較して差分を求める。第1行動情報J1と第2行動情報J2との差分は、例えば、「その他の行動の内容」における行動の有無であってもよいし、また、「その他の行動の内容」において、行動の内容の種類ごとに出現回数をカウントし、かかる出現回数の差分であってもよい。
【0033】
続いて、情報処理装置20は、上記した比較結果に基づいて所定の行動に対する要因を示す要因情報を抽出する(ステップS6)。具体的には、情報処理装置20は、上記した比較によって得られる差分に基づいて、第1ユーザU1がとった所定の行動に対する要因を示す要因情報を抽出する。
【0034】
詳しく説明すると、例えば、上記した比較結果において、所定の行動をとった第1ユーザU1に対応する行動(第1行動情報J1)に含まれる一方、所定の行動をとっていない第2ユーザU2に対応する行動(第2行動情報J2)には含まれない、あるいはほとんど含まれないような行動は、第1ユーザU1に特有の行動(特徴的な行動)であるといえる。
【0035】
そこで、本実施形態に係る情報処理装置20にあっては、上記したような、所定の行動をとった第1ユーザU1に特有の行動を、所定の行動の要因を示す要因情報として抽出するようにした。
【0036】
例えば、情報処理装置20は、第1行動情報J1に含まれるその他の行動のうち、第2行動情報J2に含まれるその他の行動と比べて出現回数が比較的多い行動(例えば所定値以上多い行動)を、第1ユーザU1に特有の行動とすることができる。
【0037】
図1に示す例では、「その他の行動の内容」のうち「「歌手Yコンサート」検索」の出現回数は、第1行動情報J1において3回、第2行動情報において0回である。従って、情報処理装置20は、第1行動情報J1における「「歌手Yコンサート」検索」の行動は、第2行動情報J2と比べて出現回数が比較的多く、第1ユーザU1に特有の行動であると判定することができる。
【0038】
一方、
図1に示す例では、「その他の行動の内容」のうち「ニュース閲覧」や「オークション利用」、「天気予報閲覧」の出現回数はそれぞれ、第1行動情報J1において2回、第2行動情報において2回である。従って、第1行動情報J1における「ニュース閲覧」等の行動は、第2行動情報J2と比べて出現回数が比較的多いとはいえないため、情報処理装置20にあっては、「ニュース閲覧」等の行動は、第1ユーザU1に特有の行動ではないと判定することができる。
【0039】
従って、情報処理装置20にあっては、所定の行動をとった第1ユーザU1に特有の行動が「「歌手Yコンサート」検索」と判定し、かかる特有の行動を所定の行動の要因を示す要因情報として抽出する。
【0040】
具体的には、情報処理装置20にあっては、所定の行動として2018年8月10日のホテルXの予約をする行動をとった第1ユーザU1は、「「歌手Yコンサート」検索」する傾向があるとして、かかる「「歌手Yコンサート」検索」を要因情報として抽出する。これにより、例えば、情報処理装置20においては、第1ユーザU1は歌手Yのコンサートに行くために、2018年8月10日のホテルXを予約する行動をとったと推定することが可能になる。なお、ここでは、ホテルXは、歌手Yのコンサート会場付近にあるものとする。
【0041】
このように、本実施形態に係る情報処理装置20にあっては、第1行動情報J1と第2行動情報J2とを比較し、比較結果に基づいてユーザU(正確には第1ユーザU1)がとった所定の行動に対する要因を示す要因情報を抽出するようにした。これにより、所定の行動に対する要因を示す要因情報を得ることができる。
【0042】
また、情報処理装置20は、第1行動情報J1と第2行動情報J2との比較によって得られる差分に基づいて、第1ユーザU1がとった所定の行動に対する要因を示す要因情報を抽出する。このように、差分を用いることで、第1ユーザU1に特有の行動を示す情報を正確に得ることができ、よって所定の行動に対する要因を示す要因情報を精度良く抽出することができる。
【0043】
また、情報処理装置20は、例えば、抽出された要因情報や、要因に関連する関連情報をサービス提供サーバ100や端末装置10へ提供してもよい。例えば、情報処理装置20は、要因情報が「「歌手Yコンサート」検索」であった場合、第1ユーザU1の端末装置10Aに対し、歌手Yに関連する商品の広告などの関連情報を提供してもよい。
【0044】
なお、上記において、情報処理装置20は、「「歌手Yコンサート」検索」など検索クエリの入力の履歴を要因情報として抽出したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、情報処理装置20にあっては、所定の行動に対応する事象(イベント)を示す事象情報を要因情報として抽出してもよい。
【0045】
例えば、情報処理装置20は、「「歌手Yコンサート」検索」など検索クエリの入力に対して、予め「歌手Yコンサート」などの事象を示す事象情報を関連付けておく。そして、情報処理装置20は、第1ユーザU1に特有の行動が「「歌手Yコンサート」検索」であった場合、関連付けられた事象情報である「歌手Yコンサート」を要因情報として抽出してもよい。言い換えると、情報処理装置20は、「2018年8月10日のホテルXの予約をする」といった所定の行動に対応する事象を示す事象情報「歌手Yコンサート」を要因情報として抽出してもよい。これにより、第1ユーザU1がとった所定の行動に対する要因を示す要因情報を具体的な事象(イベント)の情報で得ることが可能となる。
【0046】
なお、
図1に示す例では、情報処理装置20は、第1ユーザU1に特有の行動が「「歌手Yコンサート」検索」であるため、検索クエリの入力の履歴情報を要因情報として抽出したが、これに限られない。
【0047】
すなわち、例えば、情報処理装置20は、第1ユーザU1に特有の行動が、ショッピングサイトにおける、物品の購買の履歴、コンサートや公共交通機関(例えば飛行機)のチケットの購買の履歴など、電子商取引に関する履歴情報である場合、かかる履歴情報を要因情報として抽出してもよい。
【0048】
具体的には、例えば、情報処理装置20は、第1ユーザU1に特有の行動が「歌手Yコンサートのチケットの購買」であった場合、かかるチケットの購買履歴を示す履歴情報を要因情報として抽出してもよい。これにより、第1ユーザU1がとった所定の行動に対する要因を示す要因情報を、具体的な行動の履歴情報で得ることが可能となる。
【0049】
〔2.情報処理システム1〕
図2は、情報処理システム1の構成例を示す図である。
図2に示すように、本実施形態に係る情報処理システム1は、上記したように、端末装置10A,10B、サービス提供サーバ100および情報処理装置20が含まれ、ネットワークNを介して通信可能に接続される。ネットワークNは、例えば、LAN(Local Area Network)や、インターネットなどのWAN(Wide Area Network)である。
【0050】
なお、
図2や上述した
図1では、図示の簡略化のため、端末装置10を2台のみ示したが、これはあくまでも例示であって限定されるものではない。
【0051】
また、サービス提供サーバ100および情報処理装置20はそれぞれ、単体の処理装置である必要はなく、クラウドシステム等の複数の処理装置が協調して動作することで実現されてもよい。また、
図2等では、サービス提供サーバ100および情報処理装置20は別々のサーバとしたが、これに限定されるものではなく、適宜に組わせて1つまたは3つ以上のサーバで実現されてもよい。
【0052】
〔3.情報処理装置20〕
次いで、上記した情報処理装置20の構成について具体的に説明する。
【0053】
図3は、情報処理装置20の構成例を示すブロック図である。なお、
図3では、情報処理装置20の説明に必要となる構成要素を示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
図3に示すように、情報処理装置20は、通信部30と、記憶部40と、制御部50とを備える。
【0054】
〔4.1.通信部30〕
通信部30は、ネットワークNと有線または無線で接続され、端末装置10やサービス提供サーバ100などとの間で情報の送受信を行う。例えば、通信部30は、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。
【0055】
〔4.2.記憶部40〕
記憶部40は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。本実施形態に係る記憶部40は、第1行動情報記憶部41と、第2行動情報記憶部42と、要因情報記憶部43とを備える。
【0056】
〔4.2.1.第1行動情報記憶部41〕
第1行動情報記憶部41は、所定の期間に所定の行動をとった第1ユーザU1に対応する行動を示す第1行動情報を記憶する。
図4は、第1行動情報記憶部41の一例を示す図である。
【0057】
図4に示すように、第1行動情報記憶部41には、「ユーザID」、「所定の期間」、「所定の行動」および「その他の行動」のそれぞれの情報が含まれ、これらの情報は互いに関連付けられている。
【0058】
「ユーザID」は、第1ユーザU1を識別するための識別情報である。「所定の期間」は、例えば、第1ユーザU1が所定の行動を行う期間を示す情報である。なお、
図4に示す例では、理解の便宜のため、「所定の期間」を「期間Z1」といった抽象的な符号を用いて図示するが、「期間Z1」には具体的な情報が記憶されるものとする。以下、他の情報に関する図においても、抽象的な符号を図示する場合がある。
【0059】
「所定の行動」は、第1ユーザU1がとる所定の行動の内容を示す情報である。「その他の行動」は、第1ユーザU1がとる行動であって、所定の行動とは異なるその他の行動を示す情報である。
【0060】
図4では、第1行動情報記憶部41のユーザID「U11」は、所定の期間が「期間Z1」、所定の行動が「行動A」、その他の行動が「行動B1,B2,B3・・・」である例を示している。また、第1行動情報記憶部41のユーザID「U12」は、所定の期間が「期間Z1」、所定の行動が「行動A」、その他の行動が「行動B1,B3・・・」である例を示している。また、第1行動情報記憶部41のユーザID「U13」は、所定の期間が「期間Z1」、所定の行動が「行動A」、その他の行動が「行動B1,B2・・・」である例を示している。なお、上記した「期間Z1」、「行動A」および「行動B1,B2,B3」については、後述する。
【0061】
〔4.2.2.第2行動情報記憶部42〕
図3の説明に戻ると、第2行動情報記憶部42は、所定の期間に所定の行動をとっていない第2ユーザU2に対応する行動を示す第2行動情報を記憶する。
図5は、第2行動情報記憶部42の一例を示す図である。
【0062】
図5に示すように、第2行動情報記憶部42には、「ユーザID」、「所定の期間」、「所定の行動」および「その他の行動」のそれぞれの情報が含まれ、これらの情報は互いに関連付けられている。なお、理解の便宜のため、第2行動情報記憶部42に「所定の期間」および「所定の行動」を示したが、第2ユーザU2は、所定の期間に所定の行動をとっていないため、第2行動情報記憶部42から「所定の期間」および「所定の行動」の情報自体を削除するように構成してもよい。
【0063】
「ユーザID」は、第2ユーザU2を識別するための識別情報である。「所定の期間」および「所定の行動」は、第1行動情報記憶部41と同様であるため、説明を省略する。「その他の行動」は、第2ユーザU2がとる行動を示す情報であり、第1行動情報記憶部41の「その他の行動」と対応する情報である。
【0064】
図5では、第2行動情報記憶部42のユーザID「U21」は、所定の期間および所定の行動の情報が含まれず、その他の行動が「行動B2,B3・・・」である例を示している。また、第2行動情報記憶部42のユーザID「U22」は、所定の期間および所定の行動の情報が含まれず、その他の行動が「行動B3・・・」である例を示している。また、第2行動情報記憶部42のユーザID「U23」は、所定の期間および所定の行動の情報が含まれず、その他の行動が「行動B2・・・」である例を示している。
【0065】
ここで、
図4や
図5に示される「期間Z1」、「行動A」および「行動B1,B2,B3」の情報について詳説する。
【0066】
所定の期間である「期間Z1」は、時間に関する情報を含み、例えば、
図1で示した「2018年8月10日」などの日付を示す情報である。なお、「期間Z1」は、上記した日付に限定されるものではなく、例えば、年、月、日、時刻、年代、時代、季節などであってもよい。
【0067】
所定の行動である「行動A」は、第1ユーザU1がとったネットワークN上の行動を含み、例えば、
図1で示した「ホテルXの予約」などの行動を示す情報である。また、その他の行動である「行動B1」も、第1ユーザU1がとったネットワークN上の行動を含み、例えば、
図1で示した「「歌手Yコンサート」検索」などの行動を示す情報である。
【0068】
その他の行動である「行動B2,B3」は、第1、第2ユーザU1,U2がとったネットワークN上の行動を含み、例えば、
図1で示した「ニュースサイト等の閲覧、オークションサイトの利用」などの行動を示す情報である。
【0069】
なお、
図4および
図5から分かるように、ここでは、その他の行動の「行動B1,B2,B3」のうち、「行動B1」が、所定の期間に所定の行動をとった第1ユーザU1に特有の行動であるものとする。
【0070】
〔4.2.3.要因情報記憶部43〕
図3の説明に戻ると、要因情報記憶部43は、所定の行動に対する要因に関する情報などを記憶する。
図6は、要因情報記憶部43の一例を示す図である。
【0071】
図6に示すように、要因情報記憶部43には、「要因ID」、「比較結果」および「事象」のそれぞれの情報が含まれ、これらの情報は互いに関連付けられている。
【0072】
「要因ID」は、所定の行動に対する要因毎に割り当てられる識別情報である。「比較結果」は、第1行動情報と第2行動情報とを比較したときの比較結果を示す情報である。例えば、「比較結果」には、第1行動情報と第2行動情報との比較によって得られる差分の情報が含まれる、言い換えると、第1ユーザU1に特有の行動を示す情報が含まれる。
【0073】
「事象」は、事象(イベント)を示す情報である。具体的には、「事象」は、上記した比較結果に含まれる、第1ユーザU1に特有の行動に関連付けられる事象を示す事象情報である。なお、「事象」は、予め設定されてもよいし、比較結果に含まれる特有の行動の内容から抽出される事象の内容に応じて設定されてもよい。
【0074】
図6では、要因情報記憶部43の要因ID「C01」は、比較結果が「行動B1」、事象が「事象D1」である例を示している。
【0075】
ここで、例えば、比較結果の「行動B1」が、
図1で示した「「歌手Yコンサート」検索」である場合、「事象D1」は「歌手Yコンサート」などイベントを示す情報となるが、これに限られない。
【0076】
〔4.3.制御部50〕
図3の説明に戻ると、制御部50は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。また、制御部50は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路等のハードウェアで構成されてもよい。制御部50は、取得部51と、比較部52と、抽出部53と、提供部54とを備える。
【0077】
〔4.3.1.取得部51〕
取得部51は、サービス提供サーバ100(
図1参照)から通信部30を介して各種の情報を取得する。例えば、取得部51は、端末装置10(
図1参照)からサービス提供サーバ100に対してなされた、ユーザUに対応する行動を示す行動情報を取得する。
【0078】
具体的には、取得部51は、所定の期間に所定の行動をとった第1ユーザU1に対応する行動を示す第1行動情報を取得し、所定の期間に所定の行動をとっていない第2ユーザU2に対応する行動を示す第2行動情報を取得する。このとき、取得部51は、ユーザUに対応する行動を示す行動情報のうち、所定の行動をとったユーザUの行動情報を収集して第1行動情報として取得するとともに、所定の行動をとっていないユーザUの行動情報を収集して第2行動情報として取得してもよい。
【0079】
なお、取得部51は、所定の行動をとっていない複数のユーザUの中からランダムにユーザUを選択し、選択されたユーザU(すなわち第2ユーザU2)に対応する行動を示す行動情報を第2行動情報として取得してもよい。
【0080】
また、取得部51は、第1ユーザU1や第2ユーザU2に対応する行動の情報に、行動の履歴を示す履歴情報が含まれる場合、かかる履歴情報を第1行動情報または第2行動情報として取得してもよい。具体的には、取得部51は、第1ユーザU1に対応する行動の履歴を示す履歴情報を第1行動情報として取得するとともに、第2ユーザU2に対応する行動の履歴を示す履歴情報を第2行動情報として取得してもよい。
【0081】
なお、上記した行動の履歴を示す履歴情報には、例えば、検索クエリの履歴情報や、ショッピングサイトにおける、物品の購買の履歴情報、コンサートや公共交通機関のチケットの購買の履歴情報などの電子商取引に関する履歴情報などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0082】
また、取得部51は、第1ユーザU1や第2ユーザU2に対応する行動の情報に、ネットワークNを介して投稿される投稿情報(例えばSNS等への投稿情報)が含まれる場合、かかる投稿情報を第1行動情報または第2行動情報として取得してもよい。具体的には、取得部51は、第1ユーザU1に対応する投稿情報を第1行動情報として取得するとともに、第2ユーザU2に対応する投稿情報を第2行動情報として取得してもよい。
【0083】
なお、上記した投稿情報には、例えば、ブログ、マイクロブログ、ウェブページ、メッセージ、静止画像、動画像、音声等の情報が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0084】
そして、取得部51は、取得された第1行動情報を第1行動情報記憶部41に格納する。同様に、取得部51は、取得された第2行動情報を第2行動情報記憶部42に格納する。
【0085】
〔4.3.2.比較部52〕
比較部52は、第1行動情報と第2行動情報とを比較する。例えば、比較部52は、第1行動情報記憶部41に記憶される第1行動情報を読み出すとともに、第2行動情報記憶部42に記憶される第2行動情報を読み出して比較する。
【0086】
具体的には、比較部52は、第1行動情報(
図4参照)に含まれる「その他の行動」の情報と、第2行動情報(
図5参照)に含まれる「その他の行動」の情報とを比較して差分を求める。
【0087】
例えば、比較部52は、第1行動情報および第2行動情報に含まれる、検索クエリの履歴情報、電子商取引に関する履歴情報、および、ネットワークNを介して投稿される投稿情報などを比較する。
【0088】
そして、比較部52は、上記した比較により、第1行動情報に含まれる一方、第2行動情報には含まれない、あるいはほとんど含まれないような行動の情報、言い換えると、第1ユーザU1に特有の行動の情報を、差分として求める。
図4,5に示す例で説明すると、比較部52は、第1行動情報に含まれる「行動B1」の情報を差分として得るものとする。
【0089】
このように、比較部52は、検索クエリの履歴情報、電子商取引に関する履歴情報、および、投稿情報などを比較することから、第1ユーザU1に特有の行動を正確に差分として求めることができる。
【0090】
なお、比較部52にあっては、検索クエリの履歴情報、電子商取引に関する履歴情報、および、投稿情報の全てを比較することを要さず、例えば各情報のうちの一部を比較してもよい。
【0091】
そして、比較部52は、比較によって得られる差分の情報、換言すると、第1ユーザU1に特有の行動を示す情報を比較結果として、要因情報記憶部43に格納する(
図6参照)。
【0092】
〔4.3.3.抽出部53〕
抽出部53は、比較部52の比較結果に基づいて、第1ユーザU1がとった所定の行動の要因を示す要因情報を抽出する。例えば、抽出部53は、第1行動情報と第2行動情報との比較によって得られる差分に基づいて、要因情報を抽出する。
【0093】
具体的には、例えば、抽出部53は、要因情報記憶部43に記憶される比較結果を読み出す。比較結果には、第1行動情報と第2行動情報との差分であって、第1ユーザU1に特有の行動の情報が含まれることから、抽出部53は、かかる第1ユーザU1に特有の行動の情報を要因情報として抽出する。なお、抽出部53によって抽出される要因情報は、1つであっても複数であってもよい。
【0094】
ここで、抽出される要因情報の例について説明する。例えば、
図1で示したように、所定の期間(期間Z1(
図4参照))および所定の行動(行動A(
図4参照))が「2018年8月10日のホテルXの予約」であり、比較結果の差分(行動B1(
図4参照))が「「歌手Yコンサート」検索」」である場合、抽出部53は、「「歌手Yコンサート」検索」」などの検索クエリの履歴情報を要因情報として抽出する。
【0095】
なお、抽出部53は、要因情報記憶部43を読み出し、比較結果たる行動B1に関連付けられる事象(イベント)情報(ここでは「歌手Yコンサート」)を要因情報として抽出してもよい。具体的には、抽出部53は、「2018年8月10日のホテルXの予約」といった所定の行動に対応する事象情報「歌手Yコンサート」を要因情報として抽出してもよい。これにより、要因情報を具体的な事象(イベント)の情報で得ることが可能となる。
【0096】
次に、例えば、所定の期間(期間Z1)および所定の行動(行動A)が「2018年6月~7月に物品Fの購買」であり、比較結果の差分(行動B1)が「「歌手Yコンサート」検索」」である場合について説明する。なお、物品Fは、歌手Yコンサートに関連する物品(例えばTシャツやタオル等)であるものとするが、これに限られない。
【0097】
かかる場合、抽出部53は、比較結果に基づき、「「歌手Yコンサート」検索」」などの検索クエリの履歴情報や、「歌手Yコンサート」などの事象情報を、要因情報として抽出する。これにより、第1ユーザU1は、歌手Yのコンサートに行くために、物品Fを購買する行動をとったと推定することが可能になる。
【0098】
次に、例えば、所定の期間(期間Z1)および所定の行動(行動A)が「到着時刻2018年8月10日18時で駅Gまでの路線検索」であり、比較結果の差分(行動B1)が「歌手Yコンサートのチケットの購買」である場合について説明する。なお、駅Gは、歌手Yのコンサート会場の最寄駅であるものとするが、これに限られない。
【0099】
かかる場合、抽出部53は、比較結果に基づき、「歌手Yコンサートのチケットの購買」などの電子商取引に関する履歴情報や、「歌手Yコンサート」などの事象情報を、要因情報として抽出する。これにより、第1ユーザU1は、歌手Yのコンサートに行くために、駅Gまでの路線を検索する行動をとったと推定することが可能になる。
【0100】
次に、例えば、所定の期間(期間Z1)および所定の行動(行動A)が「スケジュール情報において2018年8月10日に休暇を入力」であり、比較結果の差分(行動B1)が「歌手Yコンサートに関する情報の投稿」である場合について説明する。
【0101】
かかる場合、抽出部53は、比較結果に基づき、「歌手Yコンサートに関する情報」などの投稿情報や、「歌手Yコンサート」などの事象情報を、要因情報として抽出する。これにより、第1ユーザU1は、歌手Yのコンサートに行くために、スケジュール情報に休暇を入力する行動をとったと推定することが可能になる。
【0102】
このように、本実施形態に係る抽出部53は、所定の行動をとった第1ユーザU1に特有の行動の情報を要因情報として抽出することで、所定の行動に対する要因を示す要因情報を得ることができる、言い換えると、第1ユーザU1が所定の行動とった理由を推定することが可能になる。
【0103】
〔4.3.4.提供部54〕
提供部54は、抽出された要因情報や要因に関する関連情報をサービス提供サーバ100や端末装置10へ提供する。
【0104】
例えば、提供部54は、抽出された要因情報が「「歌手Yコンサート」検索」や「歌手Yコンサート」であった場合、歌手Yコンサートや歌手Yに関連する商品の広告などの関連情報を、第1ユーザU1の端末装置10Aに対して提供することができる。
【0105】
また、例えば、路線検索サイトを用いた目的地までの経路の検索において、混雑が予測される経路がある場合、提供部54は、抽出された要因情報を、かかる混雑の原因として端末装置10へ提供してもよい。
【0106】
すなわち、例えば、提供部54は、目的地の一例である駅毎に、経路の検索がなされた累積の回数を累積検索回数として算出し、累積検索数が通常時に比べて所定値以上増加した場合、累積検索数が増加した駅が将来混雑する場所であると予測する。
【0107】
具体的には、例えば、第1行動情報における所定の期間(期間Z1)および所定の行動(行動A)が「到着時刻2018年8月10日18時で駅Gまでの路線検索」であり、かかる検索がなされた累積検索回数が通常時に比べて所定値以上増加した場合、駅Gが将来混雑する場所であると予測する。
【0108】
また、例えば、このときの比較部52における比較結果の差分(行動B1)が「歌手Yコンサートのチケットの購買」である場合、抽出部53は、「歌手Yコンサート」などの事象情報を、要因情報として抽出することとなる。
【0109】
そこで、提供部54は、抽出された要因情報(ここでは「歌手Yコンサート」)を、将来混雑すると予測された場所(ここでは「駅G」)の混雑の原因として、端末装置10へ提供してもよい。
【0110】
これにより、例えば、端末装置10のユーザUは、将来混雑すると予測された場所の混雑の原因を把握することが可能となり、結果として経路検索サイトなどを用いた経路の検索における利便性を向上させることができる。
【0111】
〔5.情報処理装置20の処理フロー〕
次に、情報処理装置20における情報処理の手順について説明する。
図7は、情報処理装置20における情報処理の流れを示すフローチャートであり、かかる処理は繰り返し実行される。
【0112】
図7に示すように、情報処理装置20の制御部50は、第1行動情報および第2行動情報を取得する(ステップS10)。次に、制御部50は、取得された第1行動情報と第2行動情報とを比較する(ステップS11)。
【0113】
次に、制御部50は、比較によって得られる差分に基づいて、第1ユーザU1がとった所定の行動に対する要因を示す要因情報を抽出する(ステップS12)。次いで、制御部50は、抽出された要因情報や、要因に関連する関連情報をサービス提供サーバ100や端末装置10へ提供する(ステップS13)。
【0114】
(変形例)
〔6.変形例に係る情報処理装置20〕
上述した実施形態において、抽出部53は、第1ユーザU1がとった特有の行動の情報、言い換えると、第1ユーザU1の過去の行動の情報を要因情報として抽出するようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、変形例に係る抽出部53にあっては、第1ユーザU1の将来の行動を示す将来行動情報を要因情報として抽出するようにした。これにより、第1ユーザU1がとった所定の行動に対する要因を示す要因情報を、具体的な将来行動情報で得ることが可能となる。
【0115】
具体的に説明すると、変形例に係る抽出部53は、要因情報記憶部43に記憶される情報に基づいて、第1ユーザU1の将来の行動を推定する。
図8は、変形例に係る要因情報記憶部43の一例を示す図である。なお、以下においては、上記した実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略することがある。
【0116】
図8に示すように、変形例に係る要因情報記憶部43には、「要因ID」、「比較結果」および「将来行動」のそれぞれの情報が含まれ、これらの情報は互いに関連付けられている。「要因ID」および「比較結果」は、実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0117】
「将来行動」は、第1ユーザU1の将来の行動を示す将来行動情報である。具体的には、「将来行動」は、上記した比較結果に含まれる、第1ユーザU1に特有の行動に関連付けられる将来の行動を示す将来行動情報である。なお、「将来行動」は、予め設定されてもよいし、比較結果に含まれる特有の行動の内容から抽出される将来行動の内容に応じて設定されてもよい。
【0118】
図6では、要因情報記憶部43の要因ID「C11」は、比較結果が「行動B1」、将来行動が「将来行動E1」である例を示している。
【0119】
ここで、例えば、比較結果が「行動B1」が、
図1で示した「「歌手Yコンサート」検索」である場合、「将来行動E1」は「歌手Yコンサートのチケットの購買」や、「駅Gまでの路線検索」など、第1ユーザU1が将来とると推定される行動を示す情報となる。なお、駅Gは、上記したように、歌手Yのコンサート会場の最寄駅であるが、これに限られない。また、上記では、「将来行動E1」として、「チケットの購買」や「路線検索」など具体的に示したが、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0120】
そして、抽出部53(
図3参照)は、上記した要因情報記憶部43に記憶される情報に基づいて、将来行動情報を要因情報として抽出する。なお、抽出部53によって要因情報として抽出される将来行動情報は、1つであっても複数であってもよい。また、抽出部53は、上記した事象情報などとともに、将来行動情報を要因情報として抽出してもよい。
【0121】
ここで、抽出される要因情報の例について説明する。例えば、
図1で示したように、所定の期間(期間Z1(
図4参照))および所定の行動(行動A(
図4参照))が「2018年8月10日のホテルXの予約」であり、比較結果(行動B1(
図4参照))が「「歌手Yコンサート」検索」」である場合、抽出部53は、比較結果の「「歌手Yコンサート」検索」」に関連付けられた将来行動情報(将来行動E1)の「歌手Yコンサートのチケットの購買」を要因情報として抽出する。
【0122】
言い換えると、抽出部53は、「2018年8月10日のホテルXの予約をする」といった所定の行動に対応する将来の行動として「歌手Yコンサートのチケットの購買」を推定し、かかる将来の行動を示す将来行動情報を要因情報として抽出する。これにより、例えば、第1ユーザU1は将来的に歌手Yのコンサートチケットを購買するため、2018年8月10日のホテルXを予約する行動をとったと推定することが可能になる。
【0123】
このように、変形例に係る抽出部53にあっては、所定の行動に対応する第1ユーザU1の将来の行動を推定し、推定された将来の行動を示す将来行動情報を要因情報として抽出することで、第1ユーザU1がとった所定の行動に対する要因を示す要因情報を、具体的な将来行動情報で得ることが可能となる。
【0124】
〔7.変形例に係る情報処理装置20の処理フロー〕
次に、変形例に係る情報処理装置20における情報処理の手順について説明する。
図9は、変形例に係る情報処理装置20における情報処理の流れを示すフローチャートであり、かかる処理は繰り返し実行される。
【0125】
図9に示すように、情報処理装置20の制御部50は、ステップS10,S11の処理を実行した後、比較結果に基づいて所定の行動に対応する第1ユーザU1の将来の行動を推定する(ステップS11a)。
【0126】
次に、制御部50は、推定された将来の行動を示す将来行動情報を、第1ユーザU1がとった所定の行動に対する要因を示す要因情報として抽出する(ステップS12a)。続いて、制御部50は、ステップS13へ進み、抽出された要因情報等をサービス提供サーバ100や端末装置10へ提供して、処理を終了する。
【0127】
〔8.効果〕
情報処理装置20は、取得部51と、比較部52と、抽出部53とを備える。取得部51は、所定の期間に所定の行動をとった第1ユーザU1に対応する行動を示す第1行動情報と、第1ユーザU1とは異なる第2ユーザU2であって、所定の期間に所定の行動をとっていない第2ユーザU2に対応する行動を示す第2行動情報とを取得する。比較部52は、取得部51によって取得された第1行動情報と第2行動情報とを比較する。抽出部53は、比較部52の比較結果に基づいて、所定の行動に対する要因を示す要因情報を抽出する。
【0128】
これにより、ユーザU(正確には第1ユーザU1)がとった所定の行動に対する要因を示す要因情報を得ることができる。
【0129】
また、抽出部53は、比較部52の比較結果に基づいて、所定の行動に対応する事象を示す事象情報を要因情報として抽出する。
【0130】
これにより、第1ユーザU1がとった所定の行動に対する要因を示す要因情報を具体的な事象(イベント)の情報で得ることが可能となる。
【0131】
また、取得部51は、第1ユーザU1に対応する行動の履歴を示す履歴情報を第1行動情報として取得するとともに、第2ユーザU2に対応する行動の履歴を示す履歴情報を第2行動情報として取得する。また、抽出部53は、比較部52の比較結果に基づいて、第1行動情報に含まれる履歴情報を要因情報として抽出する。
【0132】
これにより、第1ユーザU1がとった所定の行動に対する要因を示す要因情報を、具体的な行動の履歴情報で得ることが可能となる。
【0133】
また、抽出部53は、比較部52の比較結果に基づいて所定の行動に対応する第1ユーザU1の将来の行動を推定し、推定された将来の行動を示す将来行動情報を要因情報として抽出する。
【0134】
これにより、第1ユーザU1がとった所定の行動に対する要因を示す要因情報を、具体的な将来行動情報で得ることが可能となる。
【0135】
また、比較部52は、第1行動情報および第2行動情報に含まれる、検索クエリの履歴情報、電子商取引に関する履歴情報、および、ネットワークNを介して投稿される投稿情報のうち少なくとも一つを比較する。
【0136】
これにより、例えば、第1行動情報と第2行動情報とを比較する際に、第1ユーザU1に特有の行動を正確に差分として求めることができる。
【0137】
また、抽出部53は、第1行動情報と第2行動情報との比較によって得られる差分に基づいて、要因情報を抽出する。
【0138】
このように、差分を用いることで、第1ユーザU1に特有の行動を示す情報を正確に得ることができ、よって所定の行動に対する要因を示す要因情報を精度良く抽出することができる。
【0139】
〔9.ハードウェア構成〕
上述した実施形態における情報処理装置20は、例えば
図10に示すような構成のコンピュータ1000がプログラムを実行することによって実現される。
【0140】
図10は、プログラムを実行するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、CPU(Central Processing Unit)1100、RAM(Random Access Memory)1200、ROM(Read Only Memory)1300、HDD(Hard Disk Drive)1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、およびメディアインターフェイス(I/F)1700を備える。
【0141】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0142】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、通信部30に対応し、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを、ネットワークNを介して他の機器へ送信する。
【0143】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、および、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを、入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0144】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、当該プログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0145】
コンピュータ1000が情報処理装置20として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、
図3に示す取得部51、比較部52、抽出部53および提供部54の各機能を実現する。
【0146】
コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを、記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から、ネットワークNを介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0147】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0148】
〔10.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0149】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0150】
また、上述してきた実施形態および変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0151】
また、上記してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部51は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0152】
1 情報処理システム
10 端末装置
20 情報処理装置
51 取得部
52 比較部
53 抽出部
100 サービス提供サーバ