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特許7203819ボールの形態の製品を分配するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】ボールの形態の製品を分配するための装置
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/00 20060101AFI20230105BHJP
   B65D 83/04 20060101ALI20230105BHJP
【FI】
A45D40/00 Z
B65D83/04 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020507097
(86)(22)【出願日】2018-08-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 FR2018052028
(87)【国際公開番号】W WO2019030452
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】1757615
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】506273087
【氏名又は名称】シャネル パルファン ボーテ
【氏名又は名称原語表記】CHANEL PARFUMS BEAUTE
【住所又は居所原語表記】135,avenue Charles de Gaulle,F-92200 Neuilly sur Seine,France
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サボア,ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】パーバル,グレゴリー
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-210491(JP,A)
【文献】特開2014-210590(JP,A)
【文献】登録実用新案第3104652(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/00
B65D 83/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールの形態を有する、化粧品、トイレタリー、香料またはケア製品を分配するための装置にして、
リザーバを形成する本体(1)を含み、前記本体(1)が、細長い形状を有し、且つ、閉鎖底部(11)を含む第1の端部と、前記第1の端部とは反対側の端部である開放第2の端部とを含む、装置であって、
・本体内で長手方向に延びる中心シャフト(5)と、
・中心シャフトの周りに巻かれた軌道(31)を含む螺旋状傾斜路(3)であって、前記中心シャフト(5)が前記螺旋状傾斜路に対して回転することができる、螺旋状傾斜路(3)と、
・螺旋状傾斜路内に挿入されたプッシャ(4)であって、前記螺旋状傾斜路(3)に対する中心シャフト(5)の相対回転が螺旋状傾斜路(3)の軌道(31)に沿って前記プッシャ(4)の移動を駆動するように、プッシャ(4)が前記中心シャフトに沿って回転可能に固定され、平行移動のために自由であるように、前記プッシャが、中心シャフト(5)に連結されているプッシャと、
・本体の第2の端部の位置に取り付けられ、螺旋状傾斜路(3)に対する中心シャフト(5)の相対回転を駆動することを可能にするアクチュエータと、
を備えることを特徴とする、装置。
【請求項2】
螺旋状傾斜路(3)が、本体(1)に対して回転可能に固定されるように取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
螺旋状傾斜路(3)に対する中心シャフト(5)の回転を所定の角度までアクチュエータの作動が駆動するように構成された割出し機構(6)をさらに備える、請求項1または請求項2に記載の分配装置。
【請求項4】
アクチュエータが、解放位置と押込み位置との間で移動可能な押しボタン(2)を備え、装置が、前記押しボタン(2)を解放位置に戻す傾向がある戻しばねをさらに備え、割出し機構(6)が、押圧を変換し、続いて押しボタン(2)を解放して、中心シャフトの所定の角度まで回転にするカムシステムをさらに備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
押しボタン(2)が、中心シャフトに連結され、ばねが、本体(1)の底部(11)と中心シャフトの軸受面との間に挿入された圧縮ばね(7)である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
割出し機構(6)が、第2の刻み目付きリング(62)に面する第1の刻み目付きリング(61)を備え、前記第1および第2の刻み目付きリング(61、62)が、中心シャフト(5)に堅固に連結されており、
本体(1)に堅固に連結されて前記第1および第2の刻み目付きリングの間に挿入された少なくとも1つのピン(12)を、装置がさらに備え、
前記第1および第2の刻み目付きリングが、少なくとも1つのピン(12)のためのカムを形成し、このピンのための周辺経路を画定し、
押しボタン(2)を押込んだ後、押しボタン(2)を解放することが、前記第1および第2の刻み目付きリング(61、62)を回転させることによって、結果として、中心シャフト(5)を回転することによって、前記経路上でピン(12)を前進させる、請求項2、ならびに、請求項4および請求項5の一項、に記載の組立体。
【請求項7】
第1および第2の刻み目付きホイール(61、62)は、押しボタン(2)が安定した中間位置を有するように、且つ、前記中間位置から作動される押しボタン(2)が、以下を、すなわち、
- さらに、押しボタン(2)の第1の押込みに対して、第1の刻み目付きリング(61)の歯によって形成された頂点(65)に当接する第2の位置(P2)にピン(12)がある不安定な押し込み位置を、
- さらに、押しボタン(2)の第1の解放に対して、押しボタンが本体(1)の最も外側をとり得る位置であって第2の刻み目付きリング(62)の歯の間に形成された空間を通過して第2の刻み目付きリング(62)の下方にくる第3の位置(P3)にピン(12)がある安定した解放位置を、
- さらに、押しボタン(2)の第2の押込みに対して、第1の刻み目付きリング(61)の歯によって形成された頂点(65)に当接する第4の位置(P4)にピン(12)がある不安定な押込み位置を、
- さらに、押しボタン(2)の第2の解放に対して、第2の刻み目付きリング(62)の歯に形成された凹み部(63)に当接する第1の位置(P1)にピン(12)がある安定した中間位置を、
連続的に選択するように、構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
押しボタン(2)が、送出開口部(21)を備え、装置が、送出開口部(21)が遮られていない押しボタン(2)の解放位置を除いて、送出開口部(21)を閉鎖するシャッタ(8)をさらに備える、請求項4~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
中心シャフト(5)が、直角柱の形状を有し、プッシャ(4)が、リング(42)を備え、その内部形状が、隙間の許容範囲を有して中心シャフトを画定する角柱の基体と整合し、前記中心シャフト(5)に沿って自由にスライドできるようになっていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の装置と、螺旋状傾斜路の軌道(31)上に格納された化粧品、トイレタリー、香料またはケア製品のボールとを含む組立体であって、前記螺旋状傾斜路(3)のピッチ(P)およびその軌道(31)の幅(L)が、それぞれ、1つのボールの直径よりも大きいが、1つのボールの直径の2倍未満であり、前記ボールは螺旋状傾斜路の前記軌道(31)上で互いに背後に位置するようになる、組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールの形態の製品を分配するための装置に関する。本発明は特に、ボールの形態の化粧品、トイレタリー、香料またはケア製品の分配に関する。
【背景技術】
【0002】
本書において、化粧品は、皮膚、口腔、または表面付属器官(superficial appendages)のための全ての化粧品を包含する。トイレタリー製品は、ボディシャンプー、浴用製品、およびボディローションを含む。香料は特に、身体への適用のための全ての香料または芳香性組成物を示す。ケア製品は特に、病状を予防または治療するためのヒトまたは動物の身体への適用のための製品を含む。
【0003】
このような製品を、固体または半固体の形成、例えばボールの形成で貯蔵し、供給することが有利であり得る。「半固体」という表現は、保存時にその形状を実質的に維持することを可能にする粘度を有する、柔らかいまたはペースト状の製品を指す。従って、これらの製品は、ソフトボールの形成で貯蔵することができる。
【0004】
想定される製品によれば、この形態の貯蔵および分配は、製品の正確に較正された用量、および/または使用前の製品の良好な保存、および/または使用者による優れた取り扱いおよび優れた使用の容易さを提供することを可能にする。
【0005】
例えば、身体に適用するためのクリームは、ボールの形成にするのに十分に高い粘度の製品を得るために脱水されてもよく、適用時に使用者によって粉砕されてもよい。これは、特定製品の損失または流出の危険なしに、製品の投与および適用を非常に容易にする。特定の液体製品については、前記製品が使用(皮膚への適用、水への溶解など)時に破裂または溶解される球形シェルに封入されてもよい。
【0006】
化粧品分野では、ボールまたはカプセルの形態で、ポットにいれて使用者に供給される製品が知られている。使用者は、へら、スプーン、または手を用いて、ポットからボールまたはカプセルを取り出さなければならない。これは、人間工学的に不十分であり、残りのボールまたはカプセルの完全性および清潔さの問題を提起し得る。この解決策は、更に、移動する生活で使用することとの適合性が低い。それはまた、密封の問題を提示する。実際、特に、乾燥によって使用不能になる半固体ボールの場合、分配手段は、少なくとも分配作業の間は気密でなければならない。しかしながら、ポットは、それが開かれるたびに、それが含む全ての製品を空気にさらす。さらに、不適切に閉じられたポットは、それが含む製品の乾燥を回避するために十分な密封を保証することができない。
【0007】
医薬分野では、ホメオパシー製品が通常、顆粒、すなわち直径1mm~6mmのボールの形態をとる。ホメオパシー顆粒のためのボトルが存在し、これは、顆粒よりもわずかに大きいサイズの開口を回転によって提供するプレートによって閉じられる。これらの装置は、顆粒が開口部の背後で詰まるか、または逆に多すぎる数で分配される可能性があるので、不完全である。このタイプの分配装置の使用は特に、分配開口部の背後で一緒に詰まる傾向がある柔らかいボールの分配には適合しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述の欠点の少なくとも1つを解決することを目的とする。したがって、本発明は、ボールの形態の化粧品、トイレタリー、香料またはケア製品のボールを分配するための装置を提供して、ボールを破壊したり変形させたりすることなく、ボールを1つずつ分配することを可能にし、人間工学的操作を提供し、分配前にボールの清潔さを保つことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は、ボールの形成を有する、化粧品、トイレタリー、香料またはケア製品を分配するための装置に関する。装置は、リザーバを形成する本体を備え、前記本体は、細長い形状を有し、且つ、閉鎖底部を備える第1の端部と、前記第1の端部とは反対側の端部である開放第2の端部とを含む。
【0010】
装置は、
・本体内で長手方向に延びる中心シャフトと、
・中心シャフトの周りに巻きつけられた軌道を含む螺旋状傾斜路であって、前記中心シャフトが、前記螺旋状傾斜路に対して回転することができる、螺旋状傾斜路と、
・前記螺旋状傾斜路内に挿入されたプッシャであって、前記プッシャは、前記螺旋状傾斜路に対する前記中心シャフトの相対回転が、前記螺旋状傾斜路の軌道に沿って前記プッシャの移動を駆動するように、前記中心シャフトに沿って回転可能に固定され、平行移動が自由であるように、前記中心シャフトに連結されているプッシャと、
・本体の第2の端部の位置に取り付けられ、螺旋状傾斜面に対する中心シャフトの相対回転を駆動することを可能にするアクチュエータと、
を備える。
【0011】
このような分配装置は、製品のボールを所望の量、例えば単独で分配することを可能にする機構を提供する。これにより、ボールを閉じた体積内に保持することが可能になり、したがって、ボールを清潔に保つことが可能になり、1つまたは複数のボールを分配する際に汚れる危険性がなく、適用可能な場合には、ボールの乾燥を回避することが可能になる。螺旋状傾斜路の使用は、ボールの量を最大にしながら、同時に装置内でボールが詰まる危険性を制限または排除しながら、本体内でボールの保管を有利に構成することを可能にする。螺旋状傾斜路はまた、ボールの分配の順序を決定することを可能にする。したがって、連続的に分配されるボールは、異なる組成物を有することができる。例えば、特定の組成を有するボールの分配と、別の組成を有するボールの分配とを交互に行うことが可能である。
【0012】
螺旋状傾斜路は、本体に対して回転可能に固定されるように取り付けられてもよい。
【0013】
アクチュエータの作動が螺旋状傾斜路に対する中心シャフトの回転を所定の角度まで駆動するように構成された割出し機構を、装置はさらに備えることができる。
【0014】
そのような装置では、アクチュエータが解放位置と押込み位置との間で移動可能な押しボタンを備えることができ、装置は、前記押しボタンを解放位置に戻す傾向がある戻しばねをさらに備え、割出し機構は、押圧を変換し、続いて押しボタンを解放して、中心シャフトの所定の角度まで回転するカムシステムをさらに備える。
【0015】
押しボタンは、中心シャフトに連結されてもよく、ばねは、本体の底部と中心シャフトの軸受面との間に介在される圧縮ばねである。
【0016】
割出し機構は、例えば、第2の刻み目付きリングに面する第1の刻み目付きリングを備えることができる。前記第1および第2の刻み目付きリングは、中心シャフトに堅固に連結される。装置は、本体に堅固に連結されて前記第1および第2の刻み目付きリングの間に挿入された、少なくとも1つのピンをさらに備える。前記第1および第2の刻み目付きリングは、少なくとも1つのピンのためのカムを形成し、このピンのための周辺経路を画定する。押しボタンを押込んだ後、押しボタンを開放することが、前記第1および第2の刻み目付きリングを回転させることによって、結果として、中心シャフトを回転することによって、前記経路上でピンを前進させる。
【0017】
第1および第2の刻み目付きホイールは、特に、押しボタンが安定した中間位置を有するように、且つ、前記中間位置から作動される押しボタンが、以下を、すなわち、
- さらに、押しボタンの第1の押込みに対して、不安定な押し込み位置を、
- さらに、押しボタンの第1の解放に対して、安定した解放位置を、
- さらに、押しボタンの第2の押込みに対して、不安定な押込み位置を、
- さらに、押しボタンの第2の解放に対して、安定した中間位置を、
連続的に選択するように、構成されてもよい。
【0018】
アクチュエータが押しボタンである場合、押しボタンは、送出開口部を含むことができ、デバイスは、送出開口部が遮られない押しボタンの解放位置を除いて送出開口部を閉鎖するシャッタをさらに含むことができる。
【0019】
中心シャフトは、直角柱の形状を有することができ、プッシャは、リングを含み、このリングの内部形状は、隙間許容量を伴って前記中心シャフトに沿って自由に摺動することができるように、中心シャフトを画定する角柱の基体と整合する。
【0020】
また、本発明は、上述の装置と、ヘリコイド傾斜路の軌道上に保管された化粧品、トイレタリー、香料又はケア製品のボールとを含む組立体に関し、前記ヘリコイド傾斜路のピッチ及びその軌道の幅は、それぞれ、1つのボールの直径よりも大きいが、1つのボールの直径の2倍未満であり、前記ボールは、ヘリコイド傾斜路の前記軌道上で互いに後方に位置するようになる。
【0021】
本発明のさらに他の特徴および利点は、以下の説明で明らかになるのであろう。
【0022】
添付の図面では、非限定的な例として与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態による装置の全体図を示す。
図2図1の装置を断面図で示す。
図3】製品の球が充填された図1及び図2の装置を、装置の内部構造を示す部分切り欠き図で示したものである。
図4図1および図2の装置の詳細図を示し、特に、この例示的な実施形態で実施されるプッシャを示す。
図5図1および図2の装置の詳細図を示し、この例示的な実施形態で実施される割出し機構の一例を示す。
図6図1および図2の装置の詳細図を示し、特に、この例示的な実施形態で実施されるばねを示す。
図7図1および図2の装置の詳細図を示し、特にこの装置による製品のボールの分配を示す。
図8図1および図2の装置の詳細図を示し、特に、この例示的な実施形態で実施されるシャッタを示す。
【0024】
図1は、ボールの形成で製品を分配するための装置を示す。この装置は特に、化粧品、トイレタリー、香料またはケア製品のボールを分配するように構成される。
【0025】
この装置は、一般に製品のボールを貯蔵するように構成された本体1と、前記ボールを分配するための機構とを備え、これは、図2に見ることができ、本体1は細長い形状である。本体1の第1の端部は、底部11によって閉鎖されている。第2の端部は、製品のボールが1つずつ配送されることを可能にするアクチェータを含む。
【0026】
ここに示される実施形態では、アクチュエータが通路を可能にし、したがって製品のボールの分配を可能にする送出開口部21を備える押しボタン2である。押しボタン2は、少なくとも2つの位置、すなわち、
図1に示す解放位置、
- 押しボタン2が押し込まれたときに選択される押込み位置、
を有する。
【0027】
図示された装置の押しボタン2は、図5および図6を参照して以下により詳細に説明される割出し機構のおかげで、図3に示されるように、押しボタンが本体1内に部分的に押し込まれる中間位置と呼ばれる第3の位置を有し、この中間位置は、1つまたは複数の製品のボールを分配するための装置の各使用の間に押しボタンが保持されるように設けられた安定した平衡位置(押しボタンに加えられた新しい押圧がない場合)を構成する。
【0028】
送出開口部21は、押しボタンが解放位置にあるときにのみ妨げられない。したがって、解放位置のみがボールの分配を可能にする。押込み位置または中間位置では、送出開口部21が本体内に後退される。提供される場合、それは、図7および図8を参照して以下により詳細に記載されるように、シャッタによってさらに閉鎖される。
【0029】
図示された例示的な実施形態では、本体1および押しボタン2が実質的に正方形の基体を有する。これは、主として、美的な配慮から生じ、本体1及び/又は押しボタンは例えば、円形(円筒形本体1)、楕円形、六角形等の基体を有することが可能である。
【0030】
図2は、図1の装置の断面図であり、その内部機構を見ることができる。分配装置は、螺旋状傾斜路3を含む。図3に示すように、螺旋状傾斜路3は、製品のボールBを貯蔵することができる軌道31を形成する。螺旋状傾斜路3は、ボールが前記軌道上の次のボールの後ろに位置するように構成される(または装置用に意図されたボールに適合するように構成される)。
【0031】
傾斜路の幾何学的形状を定義し、特にそのような目的のために構成されるパラメータは、螺旋状傾斜路3を形成する螺旋のピッチP及び軌道31の幅Lである。これらの寸法は、ボールが傾斜路内で自由に転がることができるように選択され、そのボールが傾斜路上のその位置を、同じ直径または少なくとも実質的に同じ直径の別のボールまたは2つのボールと交換することを可能にすることなく、(本体1の延長軸に沿って)装置の高さ内で、または(螺旋状傾斜路3の同じレベルで)幅内で、部分的に覆うことを可能にする。
【0032】
したがって、螺旋状傾斜路によって形成されるらせんのピッチPは、ボールの直径よりも大きくなければならず、軌道の厚さがピッチPに対して非常に小さくなければならないことを考慮すると、このピッチPは、ボールBの直径の2倍未満でなければならない。実質的に同様に、軌道31の幅Lは、ボールBの直径よりも大きく、ボールBの直径の2倍未満でなければならない。
【0033】
製品のボールBの直径は、3mm~15mm、例えば4mm~10mmであってもよい。例えば、ボールの直径は、5mmのオーダーであってもよい。各ボールの直径は、実質的に同一である。
【0034】
この構成により、図3に示すように、本体内のボールの保管を編成することが可能になり、図3は、ボールで満たされた、図1および図2の実施形態によるデバイスを示す。これにより、ボールが装置内で一緒に詰まる危険性を制限または回避することが可能になる。この構成はまた、装置内のボールの詰まりを回避するという前述の必須要件を考慮しながら、保管することができるボールBの数を最大にすることを可能にする。
【0035】
送出開口部21に向かって螺旋状傾斜路内でボールBを漸進的に上昇させるために、傾斜路内にプッシャ4が設けられている。プッシャ4は、螺旋状傾斜路内に挿入されたタブ41を備える。装置がボールBで満たされると、タブ41は、装置が完全に空になったときに分配される最後のボールでもある本体1の底部11に最も近いボールBと接触して位置決めされる。
【0036】
使用者が装置のアクチュエータ(例えば、押しボタン2)を作動させるたびに、本体の第2の端部に向かって、または、結果として、分配開口部から、螺旋状傾斜路3の軌道31に追従して、プッシャは上昇する。プッシャ4は、タブ41上に凭れているボールを押し、このタブは、それ自体が接触しているボールを押す、等々である。従って、装置内に存在する全てのボールBは、螺旋状傾斜路3に沿って上昇し、プッシャから最も遠いボールが使用者に提供されるために、送出開口部に対向して運ばれる。
【0037】
プッシャ4は、装置の中心シャフト5に連結されている。プッシャ4は、中心シャフト5に対して回転可能に固定されているが、その中心シャフト5に沿って自由に並進する。換言すれば、プッシャ4は、中心シャフト5と摺動連結部を有している。この連結部は、中心シャフト5の回転の作用の下で、プッシャ4が螺旋状傾斜路3に沿って持ち上げられることを可能にする。摺動連結部は、直角柱の形態、すなわちロッドの形態、または多角形(正方形、三角形、六角形、八角形)断面の管の形態、またはロッドの形態、または任意の非円形断面の管の形態の中心シャフト5によって構成されてもよく、プッシャは、中心シャフトの断面に整合する内部断面を有するリング42を備え、リング42の、したがってプッシャ4の中心シャフト5に沿った摺動を可能にする隙間の余裕を有する。
【0038】
中心シャフトの回転は、装置のアクチュエータ、すなわち図示の実施形態では、押しボタン2によって制御される。装置は、押しボタン2の並進運動を中心シャフト5の回転に変換するように構成された機構を備える。図5及び図6は、ここで示された例示の実施の形態で実施されたメカニズムを具体的に図示したものである。
【0039】
プッシャ3の移動を可能にするのは、中心シャフト5と螺旋状傾斜路3との間の相対的な回転運動であることは明らかである。本発明の一実施形態では、シャフトが前記本体に対して回転可能に固定されている一方、螺旋状傾斜路は本体に対して回転することができ、これは、螺旋状傾斜路3の軌道31の長さに沿って同一であるようにプッシャの移動を駆動する。
【0040】
図5は、アクチュエータ、すなわち押しボタン2の運動と中心シャフト5との間の割出し機構の詳細図である。図5に示された手段は、押しボタン2の解放に続くそれぞれの押圧が所定の角を通る中心シャフト5の回動をもたらすことを確実にする割出し機構6を形成する。この角度は、プッシャ4、特にタブ41が螺旋状傾斜路3の軌道31上で描く角度にも対応するが、分配するボールBの直径に適していなければならず、あるいは対応して、ボールの直径は、押しボタン2を押すたびに回転する角度に適合していなければならない。従って、所定数の押込み、例えば、ここに示された例におけるような1回又は2回の押込みが、ボールを傾斜路31上の1つの位置と同等分だけ進ませるために、即ち、ボールを前記軌道上の1つのボール直径と同等分だけ直線的に進ませるために必要とされ、その結果、考慮されているボールは、そのボールに取って代わり、ボールが送出開口部に向かって押し進められる。
【0041】
したがって、ユーザが所定の押込み回数だけ押しボタン2を押込み、解放するたびに、ボールBが送出される。
【0042】
さらに、装置にボールを充填するとき、前記ボールが送出される順序は、固定される。したがって、連続的に分配されるボールは、異なる組成物を有することができる。
【0043】
これにより、例えば、塗布時に混合または重ね合わせるのに有利な一定数のボールを連続的に分配することが可能になる。例えば、口紅ボールに続いて、その鮮やかな外観を増加されているボールがあってもよい。
【0044】
異なる活性成分の組み合わせもまた、ケア製品に関心を示すことができる。
【0045】
2つの異なる組成物を有するボールの分配の状況において、最も単純な送出順序(ボールは、分配の順序で番号付けされる)組成AのボールNo.1、組成BのボールNo.2、組成AのボールNo.3等があり得る。
【0046】
割出し機構6は、第1の刻み目付きリング61と第2の刻み目付きリング62とを含む。第1および第2の刻み目付きリング61、62はそれぞれ、鋸歯状の刻み目を含み、互いに対向して配置される。それらは、本体にしっかりと連結されたピン12のための周辺経路を画定する。この場合、示された例における装置は、より良好な案内を保証する2つのピン12を含む。4つ以上のピンを使用することができる。
【0047】
割出し機構6は、本体1内で底部11の近くに配置されている。特に、割出し機構6は、底部11と螺旋状傾斜路3との間に配置されている。
【0048】
割出し機構6は、中心シャフトに堅固に連結されている。割出し機構は、前記中心シャフト5と一体的に形成されてもよい。押しボタン2は、押し込まれると、本体1の底部11に向かって、本体1内で中心シャフト5及び螺旋状傾斜路4を並進させる。より詳細には、押しボタン2が中心シャフト5の一端51を圧迫する。押しボタン2は、螺旋状傾斜路3の一端32をも圧迫する。
【0049】
押しボタン2の解放は、特に図6に詳細に示されている圧縮ばね7の作用の下で、中心シャフトと螺旋状傾斜路4とによって形成された組立体の反対方向への並進運動を駆動し、圧縮ばね7は、底部11と中心シャフト5の軸受面52との間に挿入されている。底部11の本体1の内面には、圧縮ばね7を保持するための保持手段13が設けられている。
【0050】
第1の刻み目付きリング61および第2の刻み目付きリング62の歯は、ピン12(または各ピン12)のためのカムを形成し、これらのカムの搬送は、これらの歯が案内する。ピン12が本体1に対して固定されると、第1の刻み目付きリング61または第2の刻み目付きリング62の歯とピン12との間の相互作用が、刻み目付きリングの回転をピン12との相互作用で駆動する。
【0051】
図示の例では、ピン12(または各ピン12)が、図5に破線で示す経路をとり、以下に説明する位置を連続的にとることによって、割出し機構6によって形成される経路をたどる。
【0052】
ボールBを送出するための装置の2つの作動の間、ピン12は、第1の位置P1にあり、第2の刻み目付きリング62の歯に形成された凹み部63に当接している。この軸受は、部分的に圧縮されて中心シャフト5に力を加える圧縮ばね7の作用にもかかわらず、中心シャフト5及び結果として螺旋状傾斜路3が本体1内で上昇するのを防止する。ピン12の第1の位置P1は、押しボタン2の中間位置に対応する。
【0053】
使用者が圧縮ばね7を圧縮するのに押しボタン2を十分に1回押し込むと、螺旋状傾斜路4と割出し機構6を備える中心シャフト5とによって形成された組立体は、本体の底部11に向かって下降する。ピンは、前記凹み部63に対向して配置された第1の刻み目付きリング61の歯の傾斜面64と接触し、ピン12が第1の刻み目付きリング61の歯によって形成された頂点65に当接する第2の位置P2に到達するまで、前記刻み目付きリングの、したがって中心シャフト5の回転を誘発する。ピン12の第2の位置P2は、押しボタン2の押込み位置、すなわち、ユーザによって押し込まれたときの前記押しボタンの「当接」位置に対応する。押込み位置では、押しボタン2が典型的には本体1内に完全に後退されることができる。
【0054】
押しボタン2の押込み位置は、不安定である。押しボタン2の押圧を解除により、押しボタンは、押し込まれた位置から離され、ピン12は、圧縮ばね7の戻り力の作用で第2の位置P2から離れる。押しボタン2が完全に解放されると、ピン12は、押しボタン2の解放位置に対応する第3の位置P3に移動する。この位置では、押しボタンが、それが選択することができる本体1の最も外側の位置にある。圧縮ばね7は、解放されると言われている(押しボタンの位置での並進遊びを回避するために、残留戻し力をその位置に維持することができるとしても)。第3の位置P3では、第2の刻み目付きリング62の歯の間に形成された空間を介して、第2の刻み目付きリング62の下に、ピン12が通過される。
【0055】
使用者が押しボタン2を新たに押すと、ピン12は、第2の刻み目付きリング62の歯の間の前記空間を介して再び通過する。ピンは、第2のリングの歯の間の前記空間に対向する第1の刻み目付きリングの歯の傾斜面64と接触し、ピン12が第1の刻み目付きリング61の歯によって形成された頂点65に当接する第4の位置P4に到達するまで、前記刻み目付きリングの、したがって中心シャフト5の回転を誘発する。ピン12が第4の位置P4にあるとき、押しボタンは押し込まれた位置にある。第4の位置P4は、ピンが第2の刻み目付きリング62の歯に対向し、前記刻み目付きリング62の歯の間の空間には対向しない点で、第2の位置P2とは異なる。それにもかかわらず、押しボタンの位置は、当接において同一または実質的に同一である。従って、押しボタンが解放されると、ピン12は、第2の刻み目付きリング62の案内面66を遮る。この相互作用のために、第2の刻み目付きリング62、したがって主軸は、ピン12が凹み部63に到達するまで回転し、第1の位置P1(ただし、上述の初期位置と比較して第2のリング62に続く歯上)に戻る。
【0056】
従って、傾斜面64及び案内面66は、ピン12(又はピン12)のためのカムを形成し、これらのカムのための案内を提供し、結局、中心シャフト5の回転を引き起こす。
【0057】
以下に説明するように、押しボタンが解放位置にあるたびに、すなわちピン12が第3の位置P3にあるときに、ボールが送出される。したがって、第2の刻み目付きリング62の歯の間の2つの空間の間に形成される角度は、プッシャ4が押しボタン2の2回の押下および2回の解放にさらに対応する(第1の押下に続いて第1の解放を行って、押しボタンを、製品のボールの送出するように、さらに中間位置にもたらし、中間位置は、使用されていないときにデバイスに所望される位置であり、第2の押下に続いて新しい製品のボールの送出のための第2の解放を行う)。したがって、この角度は、ボールBの直径に実質的に等しい距離だけ軌道31に沿ってボールを押すように、ボールの直径に適合されなければならない。
【0058】
図7は、装置によるボールBの送出を示す。押しボタンには、送出開口部21が設けられている。ボールBを送出するための送出開口部21は、押しボタンが解放位置にあるときにのみ妨げられない。プッシュインポジション及び中間ポジションでは、引渡し口21が本体1に全面的に開閉される、すなわち、その第2エンドのレベル底部(底部11を構成する第1エンドと反対方向)の本体内に位置する。押しボタン2は、図7に解放位置で示されており、押しボタン2の解放に付随して送り出されるボールBは、プッシャ4の作用の下で、装置内に貯蔵された他の全てのボールの前進によって、送出開口部21に向かって押されている。特に、送出される予定のボールBは、ガイド22によって、螺旋状傾斜路3から送出開口部の反対側の押しボタン2内に移送される。ガイド22はまた、押しボタン2内にヘリコイドの一部を形成してもよい。
【0059】
図8は特に、押しボタンが中間位置(この位置では、装置は2つのボールの送出の間に保持される)にあるときに、ある程度の流体密封性で送出開口部21を閉鎖するように動作するシャッタ8を示す。
【0060】
ボールが装置内に保管されるとき、ボールの湿度を維持するために、ある程度の気密性が望ましい。これは、製品のボール、特にクリームまたは口紅が乾燥しないように、一般に、ある範囲の湿度内に保たれなければならないからである。乾燥は、それらの使用の快適さを変え、また、それらのサイズを減少させる場合があり、これは望ましくない。
【0061】
したがって、シャッタ8は、送出開口部21を完全に閉鎖するように構成された幅を有する。これは、所望の気密性を提供するのに適した可撓性を有するプラスチック材料によって形成することができる。
【0062】
押しボタン2が動くと、シャッタ8は送出開口部21の前方で摺動する。押しボタン2の中間位置における送出開口部21の適切な閉鎖を可能にし、さらに押しボタン2の押込み位置に向かう移動を可能にするために、シャッタは、可撓性部材81を備え、シャッタ8が底部11に向かって本体1内にわずかに押し込むことを可能にし、一方、シャッタがそのように変位されたときにある程度の戻り力を得る。
【0063】
図1図8の特定の実施形態を参照して説明してきたが、本装置は、本発明の状況の範囲内に留まりながら、代替または追加の特徴を有することができる。例えば、ボールの送出を誘導するために使用されるアクチュエータは、押しボタン以外であってもよい。特に、刻み目ベースのシステムによって割り出される回転操作ホイールを使用することができる。螺旋状の圧縮ばね以外のタイプのばねを用いて、アクチュエータ(例えば、押しボタン)を所定の位置にすることができる。本体1は、様々な幾何学的形状を有することができ、実質的にプラスチック材料、金属、ガラス、または木材から形成されることができる。本体の内部機構についても同様である。
【0064】
このようにして開発された本発明は、製品、特に化粧品、トイレタリー、香料またはケア製品のボールを送出するための装置を提供し、装置内に貯蔵された他のボールを詰まらせる危険性または汚す危険性なしに、ボールを単独で送出することを可能にする。さらに、この装置は、使用が非常に容易である。装置は、美的価値を提供し、特に、装置の上部で送出が行われるとき、製品のボールを分配する方法は、ユーザにとって魅力的である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8