(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】画像処理方法と画像処理システム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20230105BHJP
【FI】
G06T7/00 350C
(21)【出願番号】P 2021071358
(22)【出願日】2021-04-20
【審査請求日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】202010343996.1
(32)【優先日】2020-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】596039187
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】陳 冠文
(72)【発明者】
【氏名】陳 柏亨
(72)【発明者】
【氏名】駱 昭旭
(72)【発明者】
【氏名】黄 翊庭
【審査官】新井 則和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/226686(WO,A2)
【文献】特開2019-083002(JP,A)
【文献】特表2020-524349(JP,A)
【文献】米国特許第10592732(US,B1)
【文献】国際公開第2020/061489(WO,A1)
【文献】Fahim Irfan Alam et al.,TRIPLET CONSTRAINED DEEP FEATURE EXTRACTION FOR HYPERSPECTRAL IMAGE CLASSIFICATION,2018 9th Workshop on Hyperspectral Image and Signal Processing: Evolution in Remote Sensing (WHISPERS),IEEE,2018年09月23日,https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=8747227
【文献】Xiankai Lu et al.,See More, Know More: Unsupervised Video Object Segmentation with Co-Attention Siamese Networks,2019 IEEE/CVF Conference on Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR),IEEE,2019年06月15日,https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=8953755
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00-7/90
G06V 10/00-10/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データー処理装置により特徴抽出モデル(IF-NET)に基づいて複数の画像データーを分析して、前記画像データーに対応する特徴ベクトル集合を生成し、ただし、前記画像データーが前記特徴ベクトル集合における少なくとも1つの第1の特徴ベクトルに関する複数の第1の画像データー、及び前記特徴ベクトル集合における少なくとも1つの第2の特徴ベクトルに関する複数の第2の画像データーを含む工程と、
前記画像データー処理装置により前記特徴抽出モデルに基づいて前記第1の画像データーと前記第2の画像データーから対応する第1のトレーニング画像ブロックグループ及び第2のトレーニング画像ブロックグループをそれぞれ選択し、前記第1のトレーニング画像ブロックグループ及び前記第2のトレーニング画像ブロックグループに対して演算を行って、対応する少なくとも1つの損失関数値を生成する工程と、
前記少なくとも1つの損失関数値に基づいて前記特徴抽出モデルを調整する工程と、
を備え
、
前記第1のトレーニング画像ブロックグループを選択する工程は、
前記第1の画像データーの複数のポジティブ画像ブロックから、前記第1の画像データーのアンカー画像ブロックと一致する程度が最も低い少なくとも1つのポジティブ画像ブロックを選択して、前記第1のトレーニング画像ブロックグループとすることと、
前記第1の画像データーの複数のネガティブ画像ブロックから、前記第1の画像データーの前記アンカー画像ブロックと一致する程度が最も高い少なくとも1つのネガティブ画像ブロックを選択して、前記第1のトレーニング画像ブロックグループとすることと、
を含む画像処理方法。
【請求項2】
前記画像データー処理装置は調整された前記特徴抽出モデルに基づいて前記画像データーを分析する場合、前記第1の画像データーと前記第2の画像データーとの一致度が増加する請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記画像データー処理装置は、調整された前記特徴抽出モデルに基づいて、
前記第1の画像データーと前記第2の画像データーとの比較操作を行うことと、
前記比較操作の結果により空間測位操作を行うことと、
前記空間測位操作の結果により画像測位結果を出力することと、
を含む操作における少なくとも1つを行う請求項1~2の何れか1項に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1の特徴ベクトルは、画像観測角度及び画像観測距離における少なくとも1つに関し、前記少なくとも1つの第2の特徴ベクトルは、画像輝度、画像ガンマ値及び画像コントラストにおける少なくとも1つに関する請求項1~3の何れか1項に記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記第2のトレーニング画像ブロックグループを選択する工程は、
前記第2の画像データーの複数のポジティブ画像ブロックから、前記第2の画像データーのアンカー画像ブロックと一致する程度が最も低い少なくとも1つのポジティブ画像ブロックを選択して、前記第2のトレーニング画像ブロックグループとすることと、
前記第2の画像データーの複数のネガティブ画像ブロックから、前記第2の画像データーの前記アンカー画像ブロックと一致する程度が最も高い少なくとも1つのネガティブ画像ブロックを選択して、前記第2のトレーニング画像ブロックグループとすることと、
を含む請求項1~
4の何れか1項に記載の画像処理方法。
【請求項6】
前記第1のトレーニング画像ブロックグループ及び前記第2のトレーニング画像ブロックグループに対して演算を行う工程は、
外れ値損失関数により前記第1のトレーニング画像ブロックグループ及び前記第2のトレーニング画像ブロックグループに対して演算を行って、対応する前記少なくとも1つの損失関数
値を生成することを含む請求項1~
5の何れか1項に記載の画像処理方法。
【請求項7】
前記特徴抽出モデルを調整する工程は、
前記第1の画像データーと前記第2の画像データーを共有ディープニューラルネットワークモデルパラメーター(shared-weight)の前記特徴抽出モデルに入力して、対応する異なる損失関数値をそれぞれ生成することと、
前記第1の画像データーと前記第2の画像データーに対応する異なる損失関数値を記憶して前記特徴抽出モデルにおける少なくとも1つのネットワークパラメータを更新することと、
を更に含む請求項1~
6の何れか1項に記載の画像処理方法。
【請求項8】
複数の画像データーをキャプチャするための画像キャプチャ装置と、
前記画像キャプチャ装置に結合され、特徴抽出モデルに基づいて前記画像データーを分析して、前記画像データーに対応する特徴ベクトル集合を生成する画像データー処理装置と、
を備え、
前記画像データーは、前記特徴ベクトル集合における少なくとも1つの第1の特徴ベクトルに関する複数の第1の画像データー、及び前記特徴ベクトル集合における少なくとも1つの第2の特徴ベクトルに関する複数の第2の画像データーを含み、
前記画像データー処理装置は、特徴抽出モデルに基づいて
、
複数の前記第1の画像データーの複数のポジティブ画像ブロックから、前記第1の画像データーのアンカー画像ブロックと一致する程度が最も低い少なくとも1つのポジティブ画像ブロックを選択して、第1のトレーニング画像ブロックグループとする工程と、
前記第1の画像データーの複数のネガティブ画像ブロックから、前記第1の画像データーの前記アンカー画像ブロックと一致する程度が最も高い少なくとも1つのネガティブ画像ブロックを選択して、前記第1のトレーニング画像ブロックグループとする工程と、
複数の前記第2の画像データーから対応す
る第2のトレーニング画像ブロックグループ
を選択し、前記第1のトレーニング画像ブロックグループ及び前記第2のトレーニング画像ブロックグループに対して演算を行って、対応する少なくとも1つの損失関数値を生成
する工程と、
を行い、
前記特徴抽出モデルは、前記第1の画像データー及び前記第2の画像データーに対する演算による前記少なくとも1つの損失関数値により調整されるものである画像処理システム。
【請求項9】
前記第1の特徴ベクトルは、画像観測角度及び画像観測距離における少なくとも1つに関し、前記少なくとも1つの第2の特徴ベクトルは、画像輝度、画像ガンマ値及び画像コントラストにおける少なくとも1つに関する請求項
8に記載の画像処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容は、画像処理方法と画像処理システムに関し、且つ特に深層学習による光線干渉防止マッチングに基づく画像処理方法と画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特徴マッチング(Feature Match)は、画像検索、カメラポジショニング等の多くのコンピュータビジョン分野で広く使用されている。画像の特徴は、スケール、方向、視野角、及び光線に対して非変性と唯一性を保持しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、環境シーン類似性比較の分野において、既存の特徴マッチングシステム又は方法は光線の違いとシーンの視野の変化に対して最適化を行うことがないため、マッチング結果は期待どおりではない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示内容は、画像データー処理装置により特徴抽出モデルに基づいて複数の画像データーを分析して、上記画像データーに対応する特徴ベクトル集合を生成し、ただし、画像データーが特徴ベクトル集合における少なくとも1つの第1の特徴ベクトルに関する複数の第1の画像データー、及び特徴ベクトル集合における少なくとも1つの第2の特徴ベクトルに関する複数の第2の画像データーを含む工程と、画像データー処理装置により特徴抽出モデルに基づいて第1の画像データーと第2の画像データーから対応する第1のトレーニング画像ブロックグループ及び第2のトレーニング画像ブロックグループをそれぞれ選択し、第1のトレーニング画像ブロックグループ及び第2のトレーニング画像ブロックグループに対して演算を行って、対応する少なくとも1つの損失関数値を生成する工程と、少なくとも1つの損失関数値に基づいて特徴抽出モデルを調整して、そのため、画像データー処理装置は調整された特徴抽出モデルに基づいて画像データーを分析する場合、第1の画像データーと第2の画像データーとの一致度が増加する工程と、を備える画像処理方法を提供する。
【0005】
本開示内容は、複数の画像データーをキャプチャするための画像キャプチャ装置と、画像キャプチャ装置に結合され、特徴抽出モデルに基づいて画像データーにおける複数の第1の画像データーと複数の第2の画像データーとの比較操作を行い、且つ比較操作の結果により画像測位結果を出力することに用いられる画像データー処理装置と、を備え、第1の画像データーは少なくとも1つの第1の特徴に関し、第2の画像データーは少なくとも1つの第2の特徴に関し、特徴抽出モデルは第1の画像データー及び第2の画像データーに対する演算による少なくとも1つの損失関数値により調整されるものである画像処理システムを提供する。
【発明の効果】
【0006】
上記画像処理方法と画像処理システムにより、屋外シーンの光線の変化が大きい場合の特徴マッチングシステムの精度を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】いくつかの実施例による画像処理システムを示す模式図である。
【
図2】いくつかの実施例による画像処理システムの動作を示すフロー図である。
【
図3】いくつかの実施例による画像データーの分類模式図である。
【
図4A】いくつかの実施例によるサンプルスクリーニングメカニズムを示す模式図である。
【
図4B】いくつかの実施例によるサンプルスクリーニングメカニズムを示す模式図である。
【
図5】いくつかの実施例によるグループ共有パラメーターの工程のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
下記は、図面を参照して実施例を挙げて詳しく説明したが、説明された具体的な実施例は、本発明を解釈するためのものだけであるが、本発明を限定するためのものではなく、構造や動作についての記述も、その実行の手順を限定するためのものではなく、素子から新たに組み合わせてなる構造、その等価な効果を持つ装置であれば、いずれも本発明の範囲に含まれる。
【0009】
全体の明細書と特許請求範囲に用いられる用語(terms)は、特に明記される以外、通常、用語ごとにこの分野、この開示の内容と特殊内容に使用される一般的な意味を持つ。当業者へ本開示に関する記述における規定外の案内を提供するように、本開示を記述するためのある用語について、以下又はこの明細書の別所で検討する。
【0010】
図1は、いくつかの実施例による画像処理システム100を示す模式図である。
図1に示すように、画像処理システム100は画像キャプチャ装置110及び画像データー処理装置120を備える。画像データー処理装置120は画像キャプチャ装置110に結合される。画像処理システム100は下記のような
図3における複数の画像データー300、例えば様々な異なる写真又はパターンをキャプチャし、画像データー処理装置120にストリーミングすることに用いられる。
【0011】
いくつかの実施例において、画像キャプチャ装置110は、スマートフォンのカメラレンズ、カメラレンズ、又はスクリーンショット機能を備えたプログラムソフトウェアによって実現することができる。
【0012】
いくつかの実施例において、画像データー処理装置120は、ノートブックコンピュータ、デスクトップコンピュータなどのコンピュータシステムによって実現することができる。
【0013】
いくつかの実施例において、画像データー処理装置120は、特徴抽出モデル130及びコマンドライブラリ140を含む。特徴抽出モデル130は画像データー処理装置120に事前構成されており、且つそのアーキテクチャがIF-Net(Illumination Neural Network)の深層学習ネットワークアーキテクチャ上に構築されている。
【0014】
また、いくつかの実施例において、特徴抽出モデル130はIF-Netにより深層学習の畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network;CNN)に基づいて特徴抽出モデル130によって生成された特徴記述子(descriptor)をトレーニングし、その学習やトレーニングにより適応性の高い特徴記述子を捜す。いくつかの実施例において、上記適応性の高い特徴記述子を使用して、屋外シーンの光差が大きく変化する場合の特徴マッチングエラーを解決することができる。
【0015】
いくつかの実施例において、コマンドライブラリ140には、画像データー処理装置120におけるプロセッサ(未図示)によってアクセス及び実行される演算コマンドが記憶される。
【0016】
図2は、いくつかの実施例による画像処理システム100の動作を示すフロー図である。
図2に示すように、画像処理システム100の動作フローは、工程S210、工程S220、工程S230、工程S240、工程S250、工程S260及び工程S270を含む。明らかに説明しやすくするために、
図2に示す画像処理方法200は
図1を参照して説明されるが、これに限定されない。
【0017】
工程S210において、画像キャプチャ装置110は、現在の環境画像をキャプチャして画像データー300(
図3のように)として画像データー処理装置120に入力する。次に、工程S220において、画像データー処理装置120が特徴抽出モデル130をロードし、工程S230において環境シーンモデルをロードする。
【0018】
工程S240において、それぞれ環境シーンモデルと画像データー300から環境特徴を抽出し、工程S250において画像データー処理装置120により画像データー300に対して環境特徴の類似性の比較操作を行う。次に、工程S260において、画像データー処理装置120は工程S250における比較結果により空間測位を行い、工程S270において上記空間測位により画像測位結果を出力する。
【0019】
いくつかの実施例において、工程S240において、画像データー処理装置120は特徴抽出モデル130に基づいて複数の画像データー300を分析して、画像データー300に対応する特徴ベクトル集合を生成する。画像データー300は、以下の
図3の、上記特徴ベクトル集合における少なくとも1つの第1の特徴ベクトルに関する複数の第1の画像データー310、及び上記特徴ベクトル集合における少なくとも1つの第2の特徴ベクトルに関する複数の第2の画像データー320を含む。以下、
図3を参照して例を挙げて説明する。
【0020】
図3は、いくつかの実施例による画像データー300の分類模式図である。第1の画像データー310は異なる観測距離又は観測角度での画像データーを含み、第2の画像データー320は異なる輝度又は光線で観測された画像データーを含み、ただし、暗い光線又は暗い輝度で観測された画像データーは
図3の図面に斜線で塗りつぶされている。言い換えれば、いくつかの実施例において、上記少なくとも1つの第1の特徴ベクトルは画像観測角度及び画像観測距離における少なくとも1つに関し、上記少なくとも1つの第2の特徴ベクトルは画像輝度、画像ガンマ値及び画像コントラストにおける少なくとも1つに関する。
【0021】
上記のように、環境特徴の類似性の比較の分野において、従来技術における特徴抽出モデル130は光線の違いとシーンの視野の変化に対する干渉抵抗が低いため、マッチング結果が期待どおりではない。したがって、本開示内容は、特徴抽出モデル130を調整してマッチング結果を向上させる画像処理方法を提供する。
【0022】
いくつかの実施例において、上記画像処理方法は、画像データー処理装置120により特徴抽出モデル130に基づいて第1の画像データー310と第2の画像データー320から対応する第1のトレーニング画像ブロックグループ及び第2のトレーニング画像ブロックグループをそれぞれ選択することを含む。以下、
図4を参照して例を挙げて説明する。
【0023】
図4Aと
図4Bは、いくつかの実施例によるサンプルスクリーニングメカニズム400を示す模式図である。
図4Aを参照して、いくつかの実施例において、画像データー処理装置120はサンプルスクリーニングメカニズム400により第1の画像データー310と第2の画像データー320から第1のトレーニング画像ブロックグループ及び第2のトレーニング画像ブロックグループを選択する。
【0024】
いくつかの実施例において、第1の画像データー310と第2の画像データー320においてそれぞれアンカー画像ブロック(anchor)、複数のポジティブ画像ブロック(positive)と複数のネガティブ画像ブロック(negative)を有する。ポジティブ画像ブロックとアンカー画像ブロックとの間に高いマッチング値があるため、ポジティブ画像ブロックとアンカー画像ブロックとの間に短いユークリッド距離を有する。ポジティブ画像ブロックと対照的に、ネガティブ画像ブロックとアンカー画像ブロックとの間に低いマッチング値がある。したがって、ネガティブ画像ブロックとアンカー画像ブロックとの間に長いユークリッド距離を有する。
【0025】
また、いくつかの実施例において、
図4Bに示すように、上記ユークリッド距離は、特徴抽出モデル130によって生成された特徴記述子を測定することに基づいて出力された画像ブロックとの間の距離である。例として、ポジティブ画像ブロックの特徴ベクトル集合とアンカー画像ブロックの特徴ベクトル集合は、特徴記述子の空間で短いユークリッド距離L1を有するが、ネガティブ画像ブロックの特徴ベクトル集合とアンカー画像ブロックの特徴ベクトル集合との間には、長いユークリッド距離L2を有する。
【0026】
上記のように、異なる実施例において、トレーニングされた特徴抽出モデル130によって生成された特徴記述子を測定して出力された画像ブロックとの間の距離は変化する。例として、ポジティブ画像ブロックの特徴ベクトル集合とアンカー画像ブロックの特徴ベクトル集合は、特徴記述子の空間でユークリッド距離L1よりも小さいユークリッド距離L3を有するが、ネガティブ画像ブロックの特徴ベクトル集合とアンカー画像ブロックの特徴ベクトル集合との間には、ユークリッド距離L2よりも大きいユークリッド距離L4を有する。言い換えれば、トレーニングされた特徴抽出モデル130に基づいて画像データー処理装置120によって抽出された特徴は、もとより高いマッチング程度を有する。
【0027】
したがって、いくつかの実施例において、画像データー処理装置120が第1のトレーニング画像ブロックグループを選択する工程は、第1の画像データー310の複数のポジティブ画像ブロックから、第1の画像データー310のアンカー画像ブロックと一致する程度が最も低い少なくとも1つのポジティブ画像ブロックを選択して第1のトレーニング画像ブロックグループとすることと、第1の画像データー310の複数のネガティブ画像ブロックから、第1の画像データー310のアンカー画像ブロックと一致する程度が最も高い少なくとも1つのネガティブ画像ブロックを選択して第1のトレーニング画像ブロックグループとすることと、を含む。言い換えれば、第1のトレーニング画像ブロックグループは、第1の画像データー310におけるアンカー画像ブロックとのユークリッド距離が最も長いポジティブ画像ブロックと、第1の画像データー310におけるアンカー画像ブロックとのユークリッド距離が最も短いネガティブ画像ブロックと、を含む。
【0028】
別の実施例において、画像データー処理装置120が第2のトレーニング画像ブロックグループを選択する工程は、第2の画像データー320の複数のポジティブ画像ブロックから、第2の画像データー320のアンカー画像ブロックと一致する程度が最も低い少なくとも1つのポジティブ画像ブロックを選択して第2のトレーニング画像ブロックグループとすることと、第2の画像データー320の複数のネガティブ画像ブロックから、第2の画像データー320のアンカー画像ブロックと一致する程度が最も高い少なくとも1つのネガティブ画像ブロックを選択して第2のトレーニング画像ブロックグループとすることと、を含む。言い換えれば、第2のトレーニング画像ブロックグループは、第2の画像データー320におけるアンカー画像ブロックとのユークリッド距離が最も長いポジティブ画像ブロックと、第2の画像データー320におけるアンカー画像ブロックとのユークリッド距離が最も短いネガティブ画像ブロックと、を含む。
【0029】
上記実施例で説明された工程により、アンカー画像ブロックとネガティブ画像ブロックとの間のユークリッド距離を効果的に最大化することができ、そしてアンカー画像ブロックとポジティブ画像ブロックとの間のユークリッド距離を短縮することができ、その結果、特徴抽出モデル130は、より代表的な特徴記述子を生成することができる。
【0030】
いくつかの実施例において、画像データー処理装置120は、コマンドライブラリ140における演算コマンドを実行して第1のトレーニング画像ブロックグループ及び第2のトレーニング画像ブロックグループに対して演算を行って、対応する少なくとも1つの損失関数値を生成する。上記演算を行う工程は、外れ値損失関数により第1のトレーニング画像ブロックグループ及び第2のトレーニング画像ブロックグループに対して演算を行って、少なくとも1つの損失関数値を生成することを含む。ただし、外れ値損失関数は、以下の公式で示される。
【数1】
(Lは損失関数値であり、nは画像ブロックの総数であり、w
pとw
nは重み値であり、d
M(a
i、p
i)はアンカー画像ブロックとポジティブ画像ブロックとのユークリッド距離を示し、d
m(a
i、n
i)はアンカー画像ブロックとネガティブ画像ブロックとのユークリッド距離を示す。)
【0031】
重み値w
pは同じバッチ(batch)の画像データー300のポジティブ画像ブロックとアンカー画像ブロックとの間のユークリッド距離の平均であり、重み値w
nは同じバッチのネガティブ画像ブロックとアンカー画像ブロックとの間のユークリッド距離の平均である。以下の公式で示される。
【数2】
【0032】
上記のように、同じバッチの演算を行うデーターグループにおいてノイズ(noise)が混入されると、上記ノイズがトレーニングデーターに対して外れ値であり、トレーニングパフォーマンスに影響を与える。したがって、いくつかの実施例において、上記損失関数値は、トレーニングプロセス中に特徴抽出モデル130をより効果的に収束する効果を達成するように、トレーニングプロセス中にIF-Netディープネットワークをトレーニングする時のノイズの影響を減らすことができる。
【0033】
いくつかの実施例において、画像処理方法は、上記少なくとも1つの損失関数値により特徴抽出モデル130を調整して、これにより、調整された特徴抽出モデル130に基づいて画像データー処理装置120が画像データー300を分析する場合、第1の画像データー310と第2の画像データー320との一致度が増加することを含む。
【0034】
また、いくつかの実施例において、調整特徴抽出モデル130の工程は、第1の画像データー310と第2の画像データー320を共有ディープニューラルネットワークモデルパラメーター(shared-weight)の特徴抽出モデル130に入力して、対応する異なる損失関数値をそれぞれ生成することと、第1の画像データーと第2の画像データーに対応する異なる損失関数値を記憶して特徴抽出モデル130における少なくとも1つのネットワークパラメータを更新することと、を更に含む。以下
図5を参照して例を挙げて説明する。
【0035】
図5は、いくつかの実施例によるグループ共有パラメーターの工程500のフロー図である。
図5に示すように、いくつかの実施例において、画像データー処理装置120は、特徴抽出モデル130に基づいてコマンドライブラリ140における演算コマンドをアクセスして第1の画像データー310に対して演算を行って、第1の損失関数値を生成し、且つ第2の画像データー320に対して演算を行って、第2の損失関数値を生成する。画像データー処理装置120は、第1の損失関数値と第2の損失関数値を記憶して特徴抽出モデル130におけるネットワークパラメータを更新する。
【0036】
いくつかの実施例において、第1の画像データー310と第2の画像データー320をそれぞれ共有ディープニューラルネットワークモデルパラメーター(shared-weight)のIF-Netに入力して、ネットワークパラメータを一括で更新する上記のような方法は、特徴抽出モデル130に、異なるタイプのデーターに対する処理能力をより効果的に持たせることができる。
【0037】
いくつかの実施例において、画像データー処理装置120は、調整された特徴抽出モデル130に基づいて、例えば第1の画像データー310と第2の画像データー320に対して上記工程S250の比較操作を行うことと、上記のような比較操作の結果により工程S270の空間測位の操作を行うことと、空間測位の操作の結果により画像測位結果を出力することと、を含む操作における少なくとも1つを行う。
【0038】
上記のように、画像データー処理装置120は、調整された特徴抽出モデル130に基づいて工程S250において、画像データー300のマッチング程度を向上させ、且つ工程S270における画像測位の結果もより正確になる。以下のような表(1)は、本開示内容における実施例によって生成されたマッチング程度のデーター比較表である。
【表1】
光線又はシーンの変化が大きい場合、特徴抽出モデル130が画像データー300から抽出された特徴数量比率により正確率を判断して、表(1)から明らかにわかるように、本開示内容に提出された画像処理方法とシステムは、マッチングの正確率を向上させることができる。
【0039】
本開示内容は実施形態を前述の通りに開示したが、本開示内容を限定するものではなく、当業者であれば、本開示内容の精神と範囲から逸脱しない限り、多様の変更や修飾を加えることができる。従って、本開示内容の保護範囲は、下記特許請求の範囲で指定した内容を基準とするものである。
【符号の説明】
【0040】
110:画像キャプチャ装置
120:画像データー処理装置
130:特徴抽出モデル
140:コマンドライブラリ
200:画像処理方法
S210、S220、S230、S240、S250、S260、S270:工程
300:画像データー
310:第1の画像データー
320:第2の画像データー
400:サンプルスクリーニングメカニズム
L1~L4:ユークリッド距離
500:グループ共有パラメーター工程