(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】固形支持体でのサンプル調製
(51)【国際特許分類】
C12N 15/10 20060101AFI20230105BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20230105BHJP
C12N 11/00 20060101ALI20230105BHJP
C12N 9/12 20060101ALI20230105BHJP
C40B 50/06 20060101ALI20230105BHJP
C12Q 1/6874 20180101ALN20230105BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALN20230105BHJP
C40B 40/06 20060101ALN20230105BHJP
【FI】
C12N15/10 Z
C12N15/09 200
C12N11/00
C12N9/12
C40B50/06
C12Q1/6874 Z
C12Q1/6844 Z
C40B40/06
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021076181
(22)【出願日】2021-04-28
(62)【分割の表示】P 2018232885の分割
【原出願日】2014-01-08
【審査請求日】2021-05-27
(32)【優先日】2013-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502279294
【氏名又は名称】イルミナ ケンブリッジ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】ナイル アンソニー ゴームリー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ポール スミス
【審査官】藤澤 雅樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/106546(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2012/0053063(US,A1)
【文献】特許第6878387(JP,B2)
【文献】特表2012-506704(JP,A)
【文献】国際公開第2012/103545(WO,A1)
【文献】特表2009-532031(JP,A)
【文献】Genome Research (2012) Vol.22, pp.1139-1143, Supplemental Figure S1-S5
【文献】Nature (2018) Vol.456, pp.53-59, Supplementary Figure 2a-2b
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00
C12Q 1/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形支持体に複数のトランスポソーム複合体を固定化する方法であって、
前記トランスポソーム複合体には第一ポリヌクレオチドに結合するトランスポサーゼが含まれ、
(a)前記固形支持体に
前記第一ポリヌクレオチドを固定化する工程であって
、前記第一ポリヌクレオチドには、
(i)トランスポゾン端部配列を含む3'部分、および
(ii)第一タグドメインを含む第一タグ
が含まれ、
前記固定化には、前記第一ポリヌクレオチドが、前記固形支持体とカップリングするスプリントオリゴヌクレオチドにライゲーティングされることが含まれる、工程と;
(b)前記固形支持体をトランスポサー
ゼおよび第二ポリヌクレオチドと接触させ
、前記トランスポソーム複合体を溶液においてアセンブルする工程であって、前記第二ポリヌクレオチドには、前記トランスポゾン端部配列に相補的な領域が含まれる、工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記スプリントオリゴヌクレオチドは、前記ライゲーティングの前にポリメラーゼを用いて伸長される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記トランスポサー
ゼは、前記第二ポリヌクレオチドが前記第一ポリヌクレオチドにハイブリダイズされた後、前記固形支持体と接触させられる、請求項1または2の方法。
【請求項4】
前記トランスポサー
ゼおよび前記第二ポリヌクレオチドは、同時に、前記固形支持体に接触させられる、請求項1または2の方法。
【請求項5】
前記タグドメインには、クラスター増幅のための領域および/または配列決定反応をプライミングするための領域が含まれる、請求項1~4のいずれか一項の方法。
【請求項6】
前記トランスポソーム複合体には、機能亢進性Tn5トランスポサーゼが含まれる、請求項1~5のいずれか一項の方法。
【請求項7】
前記固形支持体には、微粒子が含まれる、請求項1~6のいずれか一項の方法。
【請求項8】
前記固形支持体には、パターン化された表面が含まれるか、またはウェルが含まれる、請求項1~7のいずれか一項の方法。
【請求項9】
前記トランスポソーム複合体は、mm
2あた
り10
3
~10
6
の複合体の密度で前記固形支持体に存在する、請求項1~8のいずれか一項の方法。
【請求項10】
前記トランスポソーム複合体はホモ二量体を含み、当該ホモ二量体には、第一の複数のホモ二量体と第二の複数のホモ二量体とが含まれ、前記第一の複数のホモ二量体の前記第一のポリヌクレオチドは第一の配列を含み、前記第二の複数のホモ二量体の前記第一のポリヌクレオチドは、前記第一の配列とは異なる第二の配列を含む、請求項1~9のいずれか一項の方法。
【請求項11】
前記固形支持体はフローセルである、請求項1~10のいずれか一項の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願 この出願は2013年1月9日付け出願に米国仮出願第61/750682号に優先権を主
張し、それをここに参照することによりそっくりそのまま組み込む。
【背景技術】
【0002】
様々な方法および応用があり、これらについては、二重鎖(double-stranded)DNA(ds
DNA)標的分子からのフラグメント化およびからタグ付きDNA分子のライブラリーを生成す
ることが望ましい。多くの場合、目的は、DNA配列決定反応におけるテンプレートとして
使用するために、より一層小さなDNA分子(たとえば、DNAフラグメント)を、より一層大
きなdsDNA分子から生成することにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
目下、次世代配列決定で使用するために二重鎖DNAのフラグメント化およびタグ付けに
使用される方法の多くは、DNAを浪費し、フラグメント化のために高価な器械を必要とし
、そしてフラグメント化、タグ付け、タグ付けされたDNA断片の回収のための手順は難し
く、面倒で、労力を要し、時間がかかり、非効率で、費用がかかり、サンプル核酸を比較
的大量に必要とする。さらに、これらの方法の多くは、それらが生成されたサンプル核酸
に含まれる配列を完全に代表しないタグ付きのDNAフラグメント(DNA断片)を生成する。
このように、その技術において必要とされるものは、標的DNAからタグ付DNAフラグメント
のライブラリーを生成するときに、速度および使いやすさを提供し、そして次世代配列決
定および増幅法などのような核酸分析方法に容易に適用することができる方法である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
ここで、固形支持体上の核酸サンプル調製のための方法および組成物を提示する。本方
法および組成物は、特に、固形支持体に固定化されるトランスポゾン組成物を用いてDNA
をフラグメント(断片ともいう)化し、およびタグ付けするための方法および組成物に関
する。ここで提示する本方法および組成物は、たとえば、タグ付けされたDNAフラグメン
トのライブラリーを生成するために、例は、次世代の配列決定法、および同類のものにお
いて使用するために有用である。若干の好ましい具体化において、本発明は、標的DNAで
、興味がある任意のdsDNAが含まれる(RNAから調製される二重鎖cDNAを含める)ものから
、任意の供給源から、ゲノム、サブゲノム、トランスクリプトーム、またはメタゲノム分
析、またはRNA発現の分析のために、固形支持体での線形ssDNAフラグメントの調製に関す
る。
【0005】
したがって、ここに、タグ付DNAフラグメントの固定化されたライブラリーを調製する
方法を提示し、それには、(a)固形支持体で、それに固定化されたトランスポソーム複
合体を有するものを用意することであり、そこでは、トランスポソーム複合体には、第一
ポリヌクレオチドに結合するトランスポサーゼが含まれ、第一ポリヌクレオチドには、(
i)トランスポゾン端部(トランスポゾン末端ともいう)配列を含む3'部分、および(ii
)第一タグドメインを含む第一タグが含まれること、(b)標的DNAがトランスポソーム複
合体によってフラグメント化され、および第一ポリヌクレオチドの3'トランスポゾン端部
配列がフラグメントの少なくとも一方のストランドの5'端に移されるところの条件下に、
標的DNAを固形支持体に適用することであり、それによって、少なくとも一つのストラン
ドが第一タグで5'タグ付けされる二重鎖フラグメントの固定化されたライブラリーが生成
されることが含まれる。若干の実施態様では、トランスポソーム複合体には、前記トラン
スポゾン端部配列に相補的な領域を含む第二ポリヌクレオチドが含まれる。本方法はさら
に、(c)溶液においてトランスポソーム複合体を用意すること、および標的DNAが溶液に
おいてトランスポソーム複合体によってフラグメント化されるところの条件下でトランス
ポソーム複合体を固定化されたフラグメントと接触させることであり、それによって一端
部を有する固定化された核酸フラグメントが溶液において得られることが含まれる。若干
の実施態様では、溶液においてトランスポソーム複合体には、本方法が第二タグを有する
固定化された核酸フラグメント、第二タグを溶液において生成するように、第二タグが含
まれることができる。第一および第二タグは異なることができ、または同じでもよい。
【0006】
また、ここでは、上記方法または他の方法に従って調製される固定化されたタグ付DNA
フラグメントのライブラリーを有する固形支持体を提示する。たとえば、ここでは、固形
支持体であって、それに固定化されたトランスポソーム複合体を有するものが提示され、
そこでは、トランスポソーム複合体には、第一ポリヌクレオチドに結合するトランスポサ
ーゼが含まれ、ポリヌクレオチドには、(i)トランスポゾン端部配列を含む3'部分、お
よび(ii)第一タグドメインを含む第一タグが含まれる。
【0007】
またここでは、フローセルを生成する方法を提示し、それには、固形支持体に複数のト
ランスポソーム複合体を固定化することが含まれ、トランスポソーム複合体には、第一ポ
リヌクレオチドに結合するトランスポサーゼが含まれ、第一ポリヌクレオチドには、(i
)トランスポゾン端部配列を含む3'部分、および(ii)第一タグドメインを含む第一タグ
が含まれる。
【0008】
本方法はさらに、固形支持体で、それに固定化された複数の第一ポリヌクレオチドを有
するものを用意すること、および固形支持体を、トランスポサーゼホロ酵素および第二ポ
リヌクレオチドと接触させることであり、第二ポリヌクレオチドには、トランスポゾン端
部配列に相補的な領域が含まれることを含む。本方法の若干の実施態様では、固定化する
ことには、(a)固形支持体で、それにカップリングされた増幅プライマーを有するもの
を用意すること、(b)第二ポリヌクレオチドを、増幅プライマーの一つにハイブリダイ
ズさせることであり、第二オリゴヌクレオチドには、トランスポゾン端部配列に相補的な
領域および第一タグに相補的な領域が含まれること、(c)第二ポリヌクレオチドにハイ
ブリダイズする第一ポリヌクレオチド、固形支持体に直接固定化される第一ポリヌクレオ
チドが含まれる二本鎖(duplex)を生成するためにポリメラーゼを用いて増幅プライマー
を伸長すること、および(d)固形支持体をトランスポサーゼホロ酵素と接触させること
であり、それによってトランスポソーム複合体が固形支持体にてアセンブルされ(組み立
てられ)ることが含まれる。
【0009】
ここではまた、微粒子の集団を提示し、それは、それに固定化されたトランスポソーム
複合体を有するものであり、トランスポソーム複合体には、第一ポリヌクレオチドおよび
第二ポリヌクレオチドに結合するトランスポサーゼが含まれ、そこでは、第一ポリヌクレ
オチドは、微粒子の表面にその5'端で固定化され、および第二ポリヌクレオチドは、第一
ポリヌクレオチドの3'端にハイブリダイズされ、およびそこでは、第一ポリヌクレオチド
には、(i)トランスポゾン端部配列を含む3'部分、および(ii)第一タグドメインを含
む第一タグが含まれる。またここでは、固定化されたタグ付DNAフラグメントを生成する
ために標的DNAを、微粒子の上記集団と接触させることを含む、タグ付DNAフラグメントの
固定化されたライブラリーを生産する方法を提示する。
【0010】
またここでは、より一層長い配列リード(シークエンスリード)へのインデックス指向
(index-directed)アセンブリー(組立体)のためのタグ付DNAフラグメントのライブラ
リーを生成する方法を提示し、その方法には、微粒子の集団で、それに固定化されたトラ
ンスポソーム複合体を有するものを用意することであり、トランスポソーム複合体には、
微粒子に関連するインデックスドメインを含む第一ポリヌクレオチドおよび第二ポリヌク
レオチドに結合するトランスポサーゼが含まれること、標的DNAを微粒子の集団に適用す
ることであり、それによってインデックスドメインでタグ付けされる固定化されたDNAフ
ラグメントが生成することが含まれる。上記方法の一定の実施態様において、第一ポリヌ
クレオチドは微粒子の表面にその5'端で固定化され、および第二ポリヌクレオチドは第一
ポリヌクレオチドの3'端にハイブリダイズされ、および第一ポリヌクレオチドには、(i
)トランスポゾン端部配列を含む3'部分、および(ii)インデックスドメインが含まれ、
およびそこでは、微粒子の集団には、少なくとも複数のインデックスドメインが含まれ、
およびそこでは、個々の微粒子での第一ポリヌクレオチドは同じインデックスドメインを
共有する。
【0011】
ここではまた、複数の標的DNA分子を配列決定するための方法を提示し、それには、複
数の標的DNAを、固形支持体で、それに固定化されたトランスポソーム複合体を有するも
のに、標的DNAがトランスポソーム複合体によってフラグメント化されるところの条件下
で適用することであり;それによって二重鎖フラグメントの固定化されたライブラリーが
生成され、各標的DNAの第一部分は前記固形支持体での第一位置(first location)で前
記固形支持体に付着(アッタッチ)され、および各標的DNAの第二部分は前記固形支持体
での第二位置で前記固形支持体に付着されること;および各標的DNAによってリンク(連
接)される位置のセットを生成するために二重鎖フラグメントの前記固定化されたライブ
ラリーをマッピングすること;標的DNAの前記第一および第二部分の配列を定めること;
および第一および第二部分が前記標的DNAによってリンクされることを定めるために、お
よび標的DNA分子の配列を定めるために、位置の前記セットを相関させることが含まれる
。
【0012】
ここに提示する方法および組成物の若干の実施態様において、トランスポソーム複合体
は、mm2あたり少なくとも103、104、105、106の複合体の密度で固形支持体に存在する。
若干の実施態様において、トランスポソーム複合体には、たとえば、Tn5トランスポサー
ゼなどのような、機能亢進性トランスポサーゼが含まれる。
【0013】
ここに提示する方法および組成物の若干の実施態様において、タグドメインには、たと
えば、クラスター増幅のための領域が含まれる。若干の実施態様において、タグドメイン
には、配列決定反応をプライミングするための領域が含まれる。
【0014】
ここに提示する方法および組成物の若干の実施態様において、固形支持体には、たとえ
ば、微粒子、パターン化された表面、ウェルおよび同類のものが含まれる。若干の実施態
様において、トランスポソーム複合体は、ランダムに固形支持体に分配される。若干の実
施態様では、トランスポソーム複合体は、パターン化表面に分配される。
【0015】
一またはそれよりも多くの実施態様の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載され
る。他の特色、目的、および利益はそれらの説明および図面から、および請求の範囲から
明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2a】タグメンテーション反応(タグ付け反応)を例証する概略図である。
【
図2b】結果として生じるブリッジの性質を明らかにするために再描画された結果として生じたブリッジを伴う概略図である。
【
図3a】トランスポソームの二つの形態がフローセルの表面にアセンブルされる実施態様を例証する。フローセルへのDNAの添加はタグメンテーション(以下、タグ付化とする)およびDNAのトランスポソームへのカップリング(対形成)をもたらす。また、
図3aは結果として生じるクラスターの異なるタイプ:P7:P7、P5:P5、およびP5:P7クラスターも示す。
【
図3b】トランスポソームの二つの形態がフローセルにアセンブルされる実施態様を例証する。
【
図4a】別の実施態様を例証する。
図4aでは、表面結合トランスポソームの一形態だけ(例は、P5トランスポソーム)が存在し、各端部で同じタグ配列を有するブリッジがもたらされる。追加のトランスポソームは、ブリッジ構造をさらにフラグメント化(以下、断片化とする)し、および追加のタグ配列(P7)を組み込むために加えられる。
【
図4b】増幅を示し、元の無傷のDNAサンプルにおいて二つの隣接するフラグメントを表す各トランスポソームスタンプ(トランスポソーム断端)から得られるクラスターのペアを生成する(
図4b)。
【
図5a】
図5a、5b、5cおよび5dは、表面結合トランスポソーム複合体をアセンブルするための異なる方法を例証する。
図5aは、表面結合トランスポソーム複合体をアセンブルするためのこの方法の一実施態様を示す。
【
図5b】
図5a、5b、5cおよび5dは、表面結合トランスポソーム複合体をアセンブルするための異なる方法を例証する。
図5bは、トランスポソーム複合体が溶液においてアセンブルされ、および固定化することには、固形支持体にカップリングされたスプリントオリゴヌクレオチドに第一ポリヌクレオチドを連結する更なるステップが含まれることを示す。
【
図5c】
図5a、5b、5cおよび5dは、表面結合トランスポソーム複合体をアセンブルするための異なる方法を例証する。
図5cはトランスポソームダイマーが固定化された第一ポリヌクレオチドにループ状(looped)オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせることによってアセンブルされることを示す。
【
図5d】トランスポソーム複合体が標準的なペアードエンド(対合端部)フローセルにてそれに固定化された増幅プライマーを用いてアセンブルされうることを示す。
【
図6a】例1に記載の実験のための設計を説明する。
【
図6b】例1に記載の実験のための設計を説明する。
【
図7】例1に記載の設計に応じて行った実験で得られる代表的なデータを説明する。
【
図8】例1に記載の設計に応じて行った実験で得られる代表的なデータを説明する。
【
図9】一実施態様によるビーズ結合トランスポソームのアセンブリーおよびその後のタグ付化の実例である。
【
図10】一実施態様によるビーズ結合トランスポソームのアセンブリーおよびその後のタグ付化の実例である。
【
図11】一実施態様によるビーズ結合トランスポソームのアセンブリーおよびその後のタグ付化の実例である。
【
図12】一実施態様によるビーズ結合トランスポソームのアセンブリーおよびその後のタグ付化の実例である。
【
図13】一実施態様による表面結合トランスポソームの実例である。
【
図14】一実施態様によるビーズ結合トランスポソームに対して実行されるタグ付化の実例である。
【
図15】一実施態様によるビーズ結合トランスポソームに対して実行されるサブフラグメントのタグ付化およびバーコーディング(以下、バーコード化とする)の実例である。
【
図16】一実施態様によるビーズ結合トランスポソームに対して実行されるサブフラグメントのタグ付化よびバーコード化の実例である。
【
図17】例3に記載するようなトランスポソームアセンブリーの実例である。
【
図18a】例3に記載するようなトランスポソームアセンブリーの実例である。
【
図18b】例3に記載するようなトランスポソームアセンブリーを使用する結果を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な記載を以下に続ける。核酸サンプルを配列決定するための目下のプロトコルは、
DNAまたはRNAテンプレートのライブラリーに変換するサンプル調製プロセスを日常的に採
用する。これらの方法は、DNAサンプルの損失をもたらすことがあり、そして多くの場合
、フラグメント化(以下、フラグメントを断片として示す)のために高価な器械を必要と
する。また、サンプル調製方法は、困難で、面倒で、かつ、非効率的であることが多い。
【0018】
標準サンプルの製造方法では、各テンプレート(各鋳型)は、インサート(挿入物)の
どちらかの端部にアダプターを含み、そしてステップ数は、DNAまたはRNAを双方とも修飾
するために、および修飾反応の所望の生成物を精製するために必要とされることが多い。
これらのステップは、フローセルに適応されるフラグメントの添加に先立って溶液におい
て実行され、そこではそれらは、表面に共有結合的に付着するプライマーの端部上にハイ
ブリダイズしたフラグメントをコピーするプライマー伸長反応によって表面にカップリン
グされる。これらの「シーディング」テンプレートは、次いで増幅のいくつかのサイクル
を通してコピーされるテンプレートのモノクローナルクラスターを生じさせる。
【0019】
クラスター形成および配列決定のために準備ができている溶液におけるDNAをアダプタ
ーで修飾されるテンプレートに変換するために必要なステップの数は、トランスポサーゼ
媒介断片化およびタグ付けを使用することによって最小限に抑えることができる。このプ
ロセスは、ここでは、「タグ付化」として言及され、多くの場合、トランスポゾン端部配
列を含むアダプターと共に複合体化したトランスポサーゼ酵素を含むトランスポソーム複
合体によってDNAの修飾が関与する。タグ付化は、DNAの同時の断片化および二本鎖断片の
双方のストランドの5'端へのアダプターのライゲーション(連結、結紮)をもたらす。ト
ランスポサーゼ酵素を除去するために精製ステップに続いて、追加の配列をPCRによって
適応断片の端部に付加する。
【0020】
溶液ベースのタグ付化には、欠点があり、そしていくつかの労働集約的なステップを必
要とされる。加えて、バイアスはPCR増幅ステップの間に導入されることがある。ここに
提示される方法および組成物は、これらの欠点を克服し、そしてサンプル操作または移送
のための最小限の要件を伴って単一の固形支持体上で発生するように不偏のサンプル調製
、クラスター形成および配列決定を可能にする。
【0021】
本開示は、フローセルの表面にプレカップリング(予め結合)されたトランスポソーム
複合体が、フローセル内で無傷のDNAを効果的に、断片化し、タグ化し、および固定化す
ることができるという驚くべき発見に関する。特定の実施態様において、トランスポソー
ムアダプターを含むストランドの一またはそれよりも多く(一以上)が、それらの5'端を
介して、フローセルの表面に取り付けられる。無傷のDNAをフローセル上にポンプ輸送す
るとき、タグ付化反応は、溶液ベースのタグ付化反応において発生するのと同様に起こる
が、得られる生成物の断片は、物理的にそれらの端部によってフローセルの表面に付着す
る。トランスポソームアダプター配列は、後続のクラスター生成および配列決定を可能に
する配列を含むことができる。
【0022】
ここに提示する方法および組成物は、溶液ベースのタグ付化方法に比べていくつかの利
点を提供する。たとえば、精製、部分的に精製され、または未精製の無傷のDNAテンプレ
ートは、先立つサンプル調製なしに、クラスターを生成するためにフローセル上に直接ロ
ードすることができる。また、元の無傷のDNAにおける配列情報のコンティギュイティー
(連結性)は、フローセルの表面上にタグ付化断片を並置することによって物理的に保存
することができる。さらなる利益として、DNAを物理的にフローセルの表面に連結させ、D
NAのさらなる操作後の試薬のそのような精製はフローセルのチャネルにおいてフロースル
ー緩衝剤交換によって達成することができる。
【0023】
固形支持体でのタグ付化
【0024】
上記によれば、ここに、タグ化DNA断片の固定化ライブラリーを調製する方法が提示さ
れる。若干の実施態様では、本方法は:(a)固形支持体であり、それに固定化されたト
ランスポソーム複合体を有するものを用意することで、そこでは、トランスポソーム複合
体には第一ポリヌクレオチドに結合したトランスポサーゼが含まれ、第一ポリヌクレオチ
ドには(i)トランスポゾン端部配列を含む3'部分、および(ii)第1タグドメインを含む
第一タグが含まれること;および(b)標的DNAがトランスポソーム複合体によって断片化
され、および第一ポリヌクレオチドの3'トランスポゾン端部配列が断片の少なくとも一つ
のストランドの5'端に転移(トランスファー)されるところの条件下に標的DNAを固形支
持体に適用することを含むことができ、それによって、少なくとも一つのストランドが第
一タグで5'タグ付けされる二重鎖フラグメントの固定化されたライブラリーが生成される
。
【0025】
ここで使用されるように、用語「トランスポソーム複合体」は、概して二重鎖核酸に非
共有結合的に結合したトランスポサーゼ酵素に言及する。たとえば、複合体は、非共有結
合複合体の形成をサポートする条件下で、二重鎖トランスポゾンDNAと共にプレインキュ
ベートされたトランスポサーゼ酵素であることができる。二重鎖トランスポゾンDNAには
、制限されることなく、Tn5 DNA、Tn5 DNAの一部分、トランスポゾン端部組成、トランス
ポゾン端部組成物の混合物またはたとえば、機能亢進性Tn5トランスポサーゼのようなト
ランスポサーゼと相互作用することが可能な他の二重鎖DNAsを含むことができる。
【0026】
「トランスポサーゼ」は、トランスポゾン端部含有組成物(例は、トランスポゾン、ト
ランスポゾン端部、トランスポゾン端部組成物)と共に機能的複合体を形成し、および二
重鎖標的DNAへのトランスポゾン端部含有組成物の挿入または転位(トランスポジション
)を触媒し、それは、たとえば、インビトロ転位反応において、インキュベートされるこ
とができる酵素を意味する。ここに提示するようなトランスポサーゼにはまた、レトロト
ランスポゾンおよびレトロウイルスからのインテグラーゼを含むことができる。米国特許
出願公開2010/0120098号の開示によって例示されるように、トランスポサーゼ、トランス
ポソーム群およびトランスポソーム複合体は、大抵この技術における熟練の者(当業者)
に知られ、その内容を、そっくりそのまま参照によりここに組み込まれる。ここに記載の
多くの実施態様は、Tn5トランスポサーゼおよび/または機能亢進性のTn5トランスポサー
ゼに言及するが、その意図された目的のために、トランスポゾン端部を5'タグに十分な効
率で挿入すること、および標的DNAの断片化が可能である任意の転位システム(transposi
tion system)が本発明において用いられうることは理解されるであろう。特定の実施態
様において、好適な転位システムは、ランダムにか、またはほぼランダムに5'タグに対し
トランスポゾン端部を挿入すること、および標的DNAの断片化が可能である。
【0027】
用語「トランスポゾン端部」は、インビトロ転位反応において機能的であるトランスポ
サーゼまたはインテグラーゼ酵素と共に複合体を形成するために必要なヌクレオチド配列
(「トランスポゾン端部配列」)だけを示す二重鎖核酸DNAに言及する。若干の実施態様
では、トランスポゾン端部は、転位反応においてトランスポサーゼと共に機能的複合体を
形成することが可能できます。非限定的な例としては、トランスポゾン端部は19bp(19塩
基対)の外側端(「OE」)トランスポゾン端部、内側端(「IE」)トランスポゾン端部、
または野生型または変種(変異体)Tn5トランスポサーゼによって認識される「モザイク
端部」(「ME」)トランスポゾン端部、または米国特許出願公開第2010/0120098号の開示
に記載のR1およびR2トランスポゾン端部を含むことができ、それらの内容は、そっくりそ
のまま参照によりここに組み込まれる。トランスポゾン端部は、インビトロ転位反応にお
けるトランスポサーゼまたはインテグラーゼ酵素と共に機能的複合体を形成するのに適し
た任意の核酸または核酸類似体を含むことができる。たとえば、トランスポゾン端部は、
DNA、RNA、修飾塩基、非自然塩基、修飾骨格を含むことができ、および一方または双方の
ストランド(鎖)にニックを含むことができる。用語「DNA」は、トランスポゾン端部の
組成に関して本開示の全体を通して使用されるが、任意の適切な核酸または核酸類似体を
、トランスポゾン端部において利用することができることを理解すべきである。
【0028】
用語「転移されたストランド」は、双方のトランスポゾン端部の転移された部分に言及
する。同様に、用語「非転移ストランド」は、双方の「トランスポゾン端部」の非転移部
分に言及する。転移されたストランドの3'端は、インビトロ転位反応において標的DNAに
接合または転移される。非転移ストランドは、転移トランスポゾン端部配列に相補的なト
ランスポゾン端部配列を示し、インビトロ転位反応において、標的DNAに結合または転移
されない。
【0029】
いくらかの実施態様では、転移ストランドおよび非転移ストランドは共有結合する。た
とえば、いくらかの実施態様では、転移および非転移ストランド配列は、単一のオリゴヌ
クレオチド上に、例は、ヘアピン立体配置において設けられる。それ自体として、非転移
ストランドの自由端(遊離端)は、転位反応により直接に標的DNAに結合されないが、非
転移ストランドはヘアピン構造のループによって転移されたストランドにリンクされるの
で、非転移ストランドは間接的にDNA断片に付着する。トランスポソーム構造およびトラ
ンスポソームの調製および使用の方法の追加的な例は、米国特許出願公開第2010/0120098
号の開示に見出すことができ、その内容は全体としてここに参照することによって組み込
む。
【0030】
用語「タグ」および「タグドメイン」は、ここで使用するように、望ましい意図された
目的または適用のための配列を見せるポリヌクレオチドの一部分またはドメインに言及す
る。ここに提示するいくらかの実施態様は、トランスポゾン端部配列を含む3'部分を有す
るポリヌクレオチド、およびタグドメインを含むタグが含まれるトランスポソーム複合体
を含む。タグドメインは、任意の望ましい目的のために提供される任意の配列を含むこと
ができる。たとえば、いくらかの実施態様では、タグドメインは一以上の制限エンドヌク
レアーゼ認識部位を含む。いくらかの実施態様では、タグドメインは、クラスター増幅反
応用のプライマーとのハイブリダイゼーションに適した一以上の領域を含む。いくらかの
実施態様で、タグドメインは、配列決定反応のためのプライマーとのハイブリダイゼーシ
ョンに適した一以上の領域を含む。任意の他の適切な特色はタグドメインに組み込むこと
ができることが理解されるであろう。いくらかの実施態様において、タグドメインは5お
よび200bpの間の長さを有する配列を含む。いくらかの実施態様において、タグドメイン
は10および100bpの間の長さを有する配列を含む。いくらかの実施態様においては、タグ
ドメインは20および50bpの間の長さを有する配列を含む。いくらかの実施態様では、タグ
ドメインは、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150および200
bpの間の長さを有する配列を含む。
【0031】
ここに提示する方法および組成物では、トランスポソーム複合体は固形支持体に対して
固定化される。いくらかの実施態様では、トランスポソーム複合体は、たとえば、トラン
スポゾン端部配列を含むポリヌクレオチドなどのような一以上のポリヌクレオチドを介し
て支持体に固定化される。いくらかの実施態様では、トランスポソーム複合体は、固形支
持体にトランスポサーゼ酵素をカップリングするリンカー分子を介して固定化することが
できます。いくらかの実施態様においては、トランスポザーゼ酵素およびポリヌクレオチ
ドの双方が固形支持体に固定化される。固形支持体への分子(例は、核酸)の固定化に言
及するとき、用語「固定化された」および「付着した」はここで互換的に使用され、そし
て双方の用語は、別段に明示的にか、または文脈によって指示されない限り、直接的また
は間接的な、共有結合または非共有結合の付着を包含することが意図される。一定の実施
態様では、本発明の共有結合による付着は好ましいことがあるが、大抵は必要とされるす
べての分子(例は、核酸)は、支持体に、それが支持体を、たとえば、核酸増幅および/
または配列決定を必要とするアプリケーションにおいて用いることを意図する条件下で固
定化するか、または付着するままのものである。
【0032】
本発明の一定の実施態様は、生体分子、たとえば、ポリヌクレオチドなどのようなもの
への共有結合による付着を可能とする反応基を含む中間材料の層またはコーティングを、
たとえば、適用することによって、官能化される不活性な基材またはマトリクスからなる
固形支持体(例は、ガラススライド、ポリマービーズなど)を利用することができる。そ
のような支持体の例には、制限されないが、不活性基材、たとえば、ガラスなどのような
ものに支持されるポリアクリルアミドヒドロゲル、特に、WO(国際公開)2005/065814お
よびUS(米国特許出願公開)2008/0280773号に記載されるようなポリアクリルアミドハイ
ドロゲルが含まれ、その内容は、その全体がここに参照することによって組み込まれる。
そのような実施態様では、生体分子(例は、ポリヌクレオチド)は中間材料(例は、ヒド
ロゲル)に直接共有結合によって取り付けることができるが、中間材料自体はそれ自体非
共有結合で基材またはマトリクス(例は、ガラス基板)に取り付けることができる。用語
「固形支持体への共有結合による付着」は、それに応じてこのタイプの配置(アレンジメ
ント)を包含するものとして解釈すべきである。
【0033】
用語「固形表面」、「固形支持体」および他の文法上の等価物はここでは、トランスポ
ソーム複合体の付着のために適切であるか、それに適切であるように修飾することができ
る任意の材料に言及する。当業者に理解されるように、可能な基材の数は非常に多い。可
能な基材には、制限されないが、ガラスおよび修飾または官能化ガラス、プラスチック(
アクリル、ポリスチレンおよびスチレンのコポリマーおよび他の材料、ポリプロピレン、
ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、TeflonTM、等を含む)、多糖(ポリサッカ
ライド)、ナイロンまたはニトロセルロース、セラミック、樹脂、シリカまたはシリカベ
ースの材料で、シリコンおよび修飾シリコンを含むもの、炭素、金属、無機ガラス、プラ
スチック、光ファイバー束、およびその他の多種多様のポリマーが含まれる。特に、いく
らかの実施態様のために有用な固形支持体および固形表面はフローセルアパラトゥス(フ
ローセル機器)内に位置付けられる。模範的なフローセルを以下にさらに詳細に記載する
。
【0034】
いくらかの実施態様では、固形支持体は、順序付けられたパターンにおいてトランスポ
ソーム複合体の固定化に適するパターン化された表面を含む。「パターン化された表面」
は、固形支持体の曝露層において、またはその上での異なる領域の配置に言及される。た
とえば、領域の一以上は、一以上のトランスポソーム複合体が存在することに特長がある
ことができる。特長はトランスポソーム複合体が存在しない隙間領域によって分けること
ができる。いくらかの実施態様では、パターンは行および列の形にある特長のx-y形式と
することができる。いくらかの実施態様では、パターンは特長および/または隙間領域の
繰り返し配置であることができる。いくらかの実施形態では、パターンは特長および/ま
たは隙間領域のランダムな配置であることができる。いくらかの実施形態様では、トラン
スポソーム複合体は固形支持体上にランダムに分布される。いくらかの実施態様では、ト
ランスポソーム複合体はパターン化表面に分布される。ここに記載される方法および組成
物において使用することができる模範的なパターン化された表面は、米国特許出願番号第
13/661524または米国特許出願公開第2012/0316086A1に記載され、それらの各々はここに
参照することによって組み込まれる。
【0035】
いくらかの実施態様では、固形支持体には、表面におけるウェルまたは凹部(デプレッ
ション)のアレイが含まれる。これは、概して、様々な技術、制限されないが、フォトリ
ソグラフィ、スタンピング技術、成形技術およびマイクロエッチング技術を含むものを用
いて、この技術において知られるように作製することができる。この技術の者によって理
解されるように、使用される技術はアレイ基材の組成および形状に依存する。
【0036】
固形支持体の組成およびジオメトリーはその使用に応じて変動することができる。いく
らかの実施態様では、固形支持体は、たとえば、スライド、チップ、マイクロチップ、お
よび/またはアレイなどのような平面構造である。このように、基材の表面は、平坦(プ
レーナー)層の形態であってもよい。いくらかの実施形態では、固形支持体には、フロー
セルの一以上の表面が含まれる。ここで使用されるように、用語「フローセル」は、固形
表面で、その全体にわたって一以上の流体試薬を流すことができるものを含むチャンバー
に言及する。フローセルおよび関連する流体システムおよび本開示の方法において容易に
使用することができる検出プラットフォームの例は、たとえば、Bentley(ベントレー)
ら、Nature(ネイチャー)456:53-59(2008)、WO 04/018497;US 7057026;WO 91/0667
8;WO 07/123744;US 7329492;US 7211414;US 7315019;US 7405281、およびUS 2008/0
108082において記載され、それらの各々はここに参照することによって組み込まれる。
【0037】
いくらかの実施形態では、固形支持体またはその表面は、たとえば、チューブまたは容
器の内側または外側表面などのように非平面状である。いくらかの実施態様では、固形支
持体には、ミクロスフェア(マイクロスフィア)またはビーズが含まれる。ここでは「ミ
クロスフェア」または「ビーズ」または「粒子」または文法上の等価物によって、小さな
別個の粒子が意味される。適切なビーズ組成物には、制限されないが、プラスチック、セ
ラミック、ガラス、ポリスチレン、メチルスチレン、アクリルポリマー、常磁性材料、ト
リアゾル、カーボングラファイト(炭素黒鉛)、二酸化チタン、ラテックスまたは架橋デ
キストランで、たとえば、セファロースなどのようなもの、セルロース、ナイロン、架橋
ミセルおよびテフロンが含まれ、ならびに、固形支持体としてここに概説した任意の他の
材料をすべて使用することができる。Bangs Laboratories, Fishers Ind.(バングス・ラ
ボラトリーズ社、フィッシャーズ・インディアナ州)からの「Microsphere Detection Gu
ide(ミクロスフェア検出ガイド)」は役立つガイドである。一定の実施態様では、ミク
ロスフェアは磁性ミクロスフェアまたはビーズである。
【0038】
ビーズの球状である必要はなく、不規則粒子を用いることができる。代替的にまたは付
加的に、ビーズは多孔質であってもよい。ビーズのサイズは、ナノメートル、すなわち、
100nmからミリメートル、すなわち、1mmの範囲に及び、約0.2ミクロン(μm)から約200
ミクロンまでのビーズを伴うのが好ましく、および約0.5から約5ミクロンまでが特に好ま
しいが、いくらかの実施態様においてより一層小さいか、またはより一層大きいビーズを
使用することができる。
【0039】
図1aおよび1bは大体において一つの実施態様による方法を例証する。グラフトされたオ
リゴヌクレオチドでコーティングされた固形支持体は示され、そのうちのいくらかがME配
列を含み、Tn5の存在下で、固形支持体に物理的にカップリングする活性なトランスポソ
ーム複合体を形成する。トランスポソームに結合したこれらの表面の密度は、ME配列を含
むグラフト化されたオリゴヌクレオチドの濃度を変化させることによってか、または固形
支持体に対して加えられるトランスポサーゼの量によって調節することができる。たとえ
ば、いくらかの実施形態では、トランスポソーム複合体は、mm
2あたり少なくとも10
3、10
4、10
5、または少なくとも10
6の複合体の密度で固形支持体に存在する。
【0040】
二重鎖DNAを固形支持体に対して加えるとき、トランスポソーム複合体は、追加されたD
NAをタグメント化し(tagment)、このようにして両端で表面に対してカップリングされ
たds断片が生成される。いくらかの実施態様では、ブリッジした断片の長さは、表面上の
トランスポソーム複合体の密度を変えることによって変動させることができる。一定の実
施態様では、結果として得られるブリッジした断片の長さは、100塩基対、200塩基対、30
0塩基対、400塩基対、500塩基対、600塩基対、700塩基対、800塩基対、900塩基対、1000
塩基対、1100塩基対、1200塩基対、1300塩基対、1400塩基対、1500塩基対、1600塩基対、
1700塩基対、1800塩基対、1900塩基対、2000塩基対、2100塩基対、2200塩基対、2300塩基
対、2400塩基対、2500塩基対、2600塩基対、2700塩基対、2800塩基対、2900塩基対、3000
塩基対、3100塩基対、3200塩基対、3300塩基対、3400塩基対、3500塩基対、3600塩基対、
3700塩基対、3800塩基対、3900塩基対、4000塩基対、4100塩基対、4200塩基対、4300塩基
対、4400塩基対、4500塩基対、4600塩基対、4700塩基対、4800塩基対、4900塩基対、5000
塩基対、10000塩基対、30000塩基対よりも少なく、または100000塩基対よりも少ない。米
国特許第7985565および7115400開示によって例示されるように、そのような実施態様では
、ブリッジ断片は次いで、標準的なクラスター化学を用いてクラスター中に増幅すること
ができ、それらのそれぞれの内容は、その全体がここに参照することにより組み込まれる
。
【0041】
いくつかの実施形態では、テンプレートの長さは、好適には、標準的なクラスターの化
学反応を用いて増幅することができるものよりも長い。たとえば、いくつかの実施態様で
は、テンプレートの長さは、100塩基対、200塩基対、300塩基対、400塩基対、500塩基対
、600塩基対、700塩基対、800塩基対、900塩基対、1000塩基対、1100塩基対、1200塩基対
、1300塩基対、1400塩基対、1500塩基対、1600塩基対、1700塩基対、1800塩基対、1900塩
基対、2000塩基対、2100塩基対、2200塩基対、2300塩基対、2400塩基対、2500塩基対、26
00塩基対、2700塩基対、2800塩基対、2900塩基対、3000塩基対、3100塩基対、3200塩基対
、3300塩基対、3400塩基対、3500塩基対、3600塩基対、3700塩基対、3800塩基対、3900塩
基対、4000塩基対、4100塩基対、4200塩基対、4300塩基対、4400塩基対、4500塩基対、46
00 塩基対、4700塩基対、4800塩基対、4900塩基対、5000塩基対、10000塩基対、30000塩
基対よりも長く、または100000塩基対よりも長い。そのような実施態様では、次いで、第
2タグ付化反応は、たとえば、
図4aで、図示のように、ブリッジをさらに断片化する溶液
からのトランスポソームを添加することによって行うことができる。第二タグ付化反応は
、このようにして、ブリッジの内部スパンを除くことができ、さらなる配列決定のステッ
プのための準備ができているクラスターに変換することができる表面に対してアンカー固
定された短断端(short stumps)が残される。特定の実施態様では、テンプレートの長さ
は、上記に例示されたものから選ばれる上限および下限によって規定される範囲内とする
ことができる。
【0042】
一定の実施態様では、クラスター生成に先立ち、表面タグ付化によって固定化されたDN
Aをイメージ化(画像化)することができる。たとえば、固定化されたDNAはインターキレ
ート色素(インターキレーティングダイ)で染色し、および表面上のDNA分子のバックボ
ーン(主鎖)の位置のレコードを保持するためにイメージ化することができる。クラスタ
ー生成および配列決定の後、クラスターの配位(座標)は、元のバックボーン上のそれら
の位置に関連付けることができ、このようにして分子およびゲノムアセンブリーに沿って
リード(読み取り)のアラインメント(整列)が支援される。
【0043】
いくらかの実施態様では、標的DNAを適用するステップには、前記固形支持体に生物学
的サンプルを加えることが含まれる。生物学的サンプルは、DNAが含まれる任意のタイプ
とすることができ、そしてそれはタグ付化のための固形表面上に堆積させることができる
。たとえば、サンプルには、精製されたDNAを含め、精製の様々な状態でのDNAを含むこと
ができる。しかしながら、サンプルは完全に精製する必要はなく、そして、たとえば、タ
ンパク質、他の核酸種、他の細胞成分および/または任意の他の汚染物質と混合されたDNA
を含むことができる。いくらかの実施態様では、以下の例2に示されるように、生物学的
サンプルには、DNA、タンパク質、他の核酸種、他の細胞成分および/またはインビボで見
出されるようなほぼ同じ割合で存在する他の汚染物質の混合物が含まれる。たとえば、い
くらかの実施態様では、成分は無傷細胞において見られるような同じ比率で見出される。
いくらかの実施態様では、生体サンプルは、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、
1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7よりも小さく、または0.60よりも小さい260/280比を有す
る。いくらかの実施態様では、生物学的サンプルは、少なくとも2.0、1.9、1.8、1.7、1.
6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、または少なくとも0.60の260/280比
を有する。ここで提供される方法は、DNAが固形支持体に結合されることを可能にするの
で、表面結合タグ付化が発生した後、他の汚染物質は、固形支持体を洗浄することによっ
て除去することができる。生物学的サンプルは、たとえば、粗細胞溶解物または全細胞を
含むことができる。たとえば、ここに記載された方法で固形支持体に適用される粗細胞溶
解物は、他の細胞成分から核酸を単離するために伝統的に使用される分離ステップの一以
上に供されている必要はない。模範的な分離ステップは、Maniatis(マニアティス)ら、
Molecular Cloning(分子クローニング):A Laboratory Manual(実験室マニュアル)、
第2版、1989、およびShort Protocols in Molecular Biology(分子生物学におけるショ
ートプロトコル)、Ausubel(オーズベル)ら編に記載されており、参照によりここに組
み込む。
【0044】
したがって、いくらかの実施態様では、生物学的サンプルには、たとえば、血液、血し
ょう、血清、リンパ、粘液、痰、尿、精液、脳脊髄液、気管支吸引液、排泄物(糞便)、
および浸軟組織(macerated tissue)、またはそれらの溶解物、またはDNAを含む任意の
他の生物学的標本が含まれることができる。生物学的サンプルをフローセルおよびその後
の溶解および精製ステップに加えることができる、ここに提示される方法および組成物の
利点の一つは、すべてが、単純にフローセルに必要な試薬を流すことによって、さらなる
転移または処理ステップを伴わずにフローセルにおいて起こる。以下の例1および2は、こ
こで提供される方法および組成物に、粗細胞溶解物の好首尾な適用を実証する。
【0045】
図2aおよび2bはさらに、一実施態様によるタグ付化反応を例示する。
図2aにおいて示す
ように、トランスポソームには、各モノマーが二重鎖分子を結合するTn5のダイマー、す
なわち、MEアダプターが含まれる。MEアダプターの一方のストランドは共有結合によりフ
ローセルの表面に付着する。トランスポソームは標的DNAを結合し、そしてDNAバックボー
ンにおいて、いずれかのストランド上離れて9塩基で2つのニックを生成する。
図2aは、ニ
ックの間の9塩基対のギャップ(間隙)を示すが、他の実施態様においては、トランスポ
ソームはニックの間に7、8、9、10、11、または12塩基対のギャップを生成することがで
きる。各MEアダプターの2つのストランドの唯一のものは、各ニック位置での5'ストラン
ドに連結される。このストランドの「転移ストランド」はその5'端を介してフローセルの
表面にグラフトされる。表面タグ付化の結果として得られるブリッジは、得られるブリッ
ジの性質を明らかにするために、
図2bに再描画される。
【0046】
図3aおよび3bは実践した本発明の一例を示す。トランスポソームの二つの形態はフロー
セルの表面上にアセンブルされる。第一の形態には、P7トランスポソームが含まれ、そこ
では、MEアダプターの「転移ストランド」には、増幅ドメイン(P7)および配列決定プラ
イマー(S2)が含まれる表面にトランスポソームをリンクする伸長された(extended)オ
リゴヌクレオチド配列が含まれる。第二形態には、P5トランスポソームが含まれ、そこで
は、MEアダプターの「転移ストランド」は、増幅ドメイン(P5)および配列決定プライマ
ー(S1)を含む表面にトランスポソームをリンクする伸長オリゴヌクレオチド配列が含ま
れる。フローセルへのDNAの追加はタグ付化およびトランスポソームへのDNAの結合をもた
らす。ブリッジの三つのタイプ:P5-P5、P7-P7およびP5-P7が結果として生じる。クラス
ター形成および線形化の後(
図3b)、P5-P5またはP7-P7のいずれかのクラスターは除去さ
れる(線形化に応じて)。
図3bに示すように、線形化がP5を介して発生した場合、次いで
P5-P7およびP7-P7ブリッジだけが残る。P7-P7クラスターは、この反応により線形化され
ず、そのため、配列決定されないであろう。P7-P7クラスターはその後、配列決定のため
にリード2線形化中に除去される。
【0047】
ここに示される方法はさらに、溶液においてトランスポソーム複合体を提供すること、
および標的DNAがトランスポソーム複合体溶液によって断片化される条件下で、液相(溶
液相)トランスポソーム複合体を、固定化された断片と接触させることの追加のステップ
を含むことができ、それによって、溶液において一端部を有する固定化された核酸断片を
得ることができる。いくらかの実施態様では、溶液においてトランスポソーム複合体は、
方法が、第二タグを有する固定化された核酸断片、溶液における第二タグを生成するよう
に、第二タグを含むことができる。第一および第二のタグは、異なるか、または同じであ
ることができる。
【0048】
いくらかの実施態様では、表面に結合したトランスポソームの一つの形態は主に、固形
支持体上に存在する。たとえば、いくらかの実施態様では、少なくとも50%、55%、60%
、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99
%の前記固形支持体上に存在するタグは、同じタグドメインを含む。そのような実施態様
では、表面結合トランスポソームとの初期タグ付化反応後、少なくとも50%、55%、60%
、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99
%のブリッジ構造は、ブリッジの各端部にて同じタグドメインを含む。第二タグ付化反応
は、さらにブリッジを断片化する溶液からのトランスポソームを加えることによって実行
することができる。いくらかの実施態様では、液相トランスポソームのほとんどまたはす
べては、第一タグ付化反応で生成されたブリッジ構造上に存在するタグドメインとは異な
るタグドメインを含む。たとえば、いくらかの実施態様では、少なくとも50%、55%、60
%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも
99%の液相トランスポソームに存在するタグは、第一タグ付化反応において生成されたブ
リッジ構造上に存在するタグドメインとは異なるタグドメインを含む。
【0049】
図4aおよび4bはこの実施態様を例示する。
図4aに示される固形支持体は、タグ配列(例
は、P5トランスポソーム)の単一タイプを含む表面結合トランスポソームだけを含む。こ
の例では、すべてのタグ付化ブリッジはP5-P5ブリッジである。P7トランスポソームは、
溶液から加えられ、そしてすべての表面結合分子P5-P7のテンプレートを作成するブリッ
ジへタグ付けされる。表面結合断片は、その後クラスターに変換することができる(たと
えば、
図4b参照)。また、クラスターのペアは、元の無傷のDNAサンプルにおいて隣接す
る二つの断片を表わす各トランスポソーム断端からもたらされるであろう(
図4b)。
【0050】
また、ここに提示されるのは、固形支持体で、その上に固定化されるタグ付けされたDN
A断片のライブラリーを有するものであり、上記の方法に従って調製される。
【0051】
固定化ポリヌクレオチド分子の物理的マップ
【0052】
また、ここに示すのは、固定化されたポリヌクレオチドの物理的マップを生成する方法
である。方法は、有利には、連結された配列(すなわち、同じ標的ポリヌクレオチド分子
からの第一および第二の部分)を含む可能性があるクラスターを識別するために利用する
ことができる。固定化されたポリヌクレオチドから結果として生じる任意の二つのクラス
ターの相対的な近接性は、このようにして二つのクラスターから得られる配列情報のアラ
インメントのために有用な情報を提供する。具体的には、固形表面上の任意の二つの与え
られたクラスター間の距離は、二つのクラスターが同じ標的ポリヌクレオチド分子からの
ものである確率との間に正の相関が認められ、それはWO 2012/025250号でより一層詳細に
説明されようであり、それをその全体としてここに参照することによって組み込む。
【0053】
一例として、いくらかの実施態様では、フローセルの表面上にストレッチされる長いds
DNA分子は、インサイツ(その場)タグ付化され、フローセルの表面を横切る接続されたd
sDNAブリッジのラインがもたらされる。また、固定化されたDNAの物理的マップを次に生
成することができる。固定化されたDNAが増幅された後、物理的なマップは、このように
してクラスターの物理的関係を相関させる。具体的には、物理的なマップは、WO 2012/02
5250号の組み込まれた材料において説明されるように、任意の二つのクラスターから得ら
れる配列データがリンクされる確率を計算するために使用される。
【0054】
いくらかの実施態様では、物理的マップは、固形表面にわたって固定化されたDNA分子
の位置を確立するために、DNAをイメージ化することによって生成される。いくらかの実
施態様では、固定化されたDNAは、固形支持体にイメージング剤(造影剤)を添加し、お
よびイメージング剤からの信号を検出することによってイメージ化される。いくらかの実
施態様において、イメージング剤は検出可能なラベル(標識)である。適切な検出可能な
ラベルには、制限されないが、プロトン、ハプテン、放射性核種、酵素、蛍光ラベル、化
学ルミネセンスラベル、および/または色原体薬剤(発色剤)が含まれる。たとえば、い
くらかの実施態様において、イメージング剤は、インターカレーティング染料(挿入ダイ
)または非インターカレーティングDNA結合剤である。任意の適切なインターカレーティ
ング染料またはこの技術で知られるような非インターカレーティングDNA結合剤は、制限
されないが、US 2012/0282617に記載されたものを含め、使用することができ、その全体
が参照によりここに組み込まれる。
【0055】
いくらかの実施態様では、固定化された二重鎖断片は、自由端(
図4aを参照)を解放す
るために、クラスター生成に先立ち(
図4b)、さらに断片化される。ブリッジ構造を開裂
させることは、WO 2012/025250号の組み込まれた材料によって例示されるように、この技
術で知られるように任意の適切な方法を用いて実行することができる。たとえば、開裂は
、修飾ヌクレオチド、たとえば、WO 2012/025250号に記載のごとくウラシルなどのような
ものの組み込みによって、制限エンドヌクレアーゼ部位を組み込むことによって、または
ここでの他の箇所に記載されるように、ブリッジDNA構造に液相トランスポソーム複合体
を適用することによって、生じさせることができる。
【0056】
一定の実施態様では、複数の標的DNA分子は、複数のナノチャネルを含むフローセル上
に流され、ナノチャネルはそれらに固定化されるトランスポソーム複合体を有する。ここ
で使用するように、用語ナノチャネルは、長い線状DNA分子が流されるに狭いチャネルに
言及する。いくらかの実施態様において、わずかに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11
、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60 70、80、90、100、200、300、
400、500、600、700、800、900を超えない、または1000を超えない(多くて1000の)標的
DNAの個々の長いストランドは各ナノチャネル中に流される。いくらかの実施態様では、
個々のナノチャネルは、物理的バリアー(障壁)によって分離され、それは標的DNAの個
々の長いストランドがマルチのナノチャネルと相互作用するのを防ぐ。いくらかの実施態
様では、固形支持体は、少なくとも10、50、100、200、500 1000、3000、5000、10000、3
0000、50000、80000、または少なくとも100000のナノチャネルを含む。いくらかの実施態
様では、ナノチャネルの表面に結合するトランスポソームは、DNAをタグ付化する。近接
マッピング(Contiguity mapping)は、次に、たとえば、これらのチャネルの一つの長さ
に沿ってクラスターに従うことによって実行することができる。いくらかの実施態様では
、標的DNAの長いストランドは、少なくとも0.1キロバイト(kb)、1キロバイト、2キロバ
イト、3キロバイト、4キロバイト、5キロバイト、6キロバイト、7キロバイト、8キロバイ
ト、9キロバイト、10キロバイト、15キロバイト、20キロバイト、25キロバイト、30キロ
バイト、35キロバイト、40キロバイト、45キロバイト、50キロバイト、55キロバイト、60
キロバイト、65キロバイト、70キロバイト、75キロバイト、80キロバイト、85キロバイト
、90キロバイト、95キロバイト、100キロバイト、150キロバイト、200キロバイト、250キ
ロバイト、300キロバイト、350キロバイト、400キロバイト、450キロバイト、500キロバ
イト、550キロバイト、600キロバイト、650キロバイト、700キロバイト、750キロバイト
、800キロバイト、850キロバイト、900キロバイト、950キロバイト、1000キロバイト、50
00キロバイト、10000キロバイト、20000キロバイト、30000キロバイト、または少なくと
も50000キロバイトの長さとすることができる。いくらかの実施態様では、標的DNAの長い
ストランドは、0.1キロバイト、1キロバイト、2キロバイト、3キロバイト、4キロバイト
、5キロバイト、6キロバイト、7キロバイト、8キロバイト、9キロバイト、10キロバイト
、15キロバイト、20キロバイト、25キロバイト、30キロバイト、35キロバイト、40キロバ
イト、45キロバイト、50キロバイト、55キロバイト、60キロバイト、65キロバイト、70キ
ロバイト、75キロバイト、80キロバイト、85キロバイト、90キロバイト、95キロバイト、
100キロバイト、150キロバイト、200キロバイト、250キロバイト、300キロバイト、350キ
ロバイト、400キロバイト、450キロバイト、500キロバイト、550キロバイト、600キロバ
イト、650キロバイト、700キロバイト、750キロバイト、800キロバイト、850キロバイト
、900キロバイト、950キロバイトを超えず、または1000キロバイトを超えない長さである
。一例として、ナノチャネルにおいてマッピングされた固定化タグ付化生成物を伴う1000
またはそれよりも多くのナノチャネルを有するフローセルは、短い「位置決め」リードに
より生物のゲノムを配列決定するために使用することができる。いくらかの実施態様では
、ナノチャネルにおいてマッピングされた固定化タグ付化生成物は、使用された解決ハプ
ロタイプであることができる。いくらかの実施態様では、フェージング(位相同期)の問
題を解決するために、ナノチャネルにおいてマッピングされた固定化タグ付化生成物を使
用することができる。
【0057】
固定化されたDNA断片の増幅および配列決定
【0058】
増幅。
【0059】
本開示はさらに、ここで提供される方法に従って生成される固定化されたDNA断片の増
幅に関する。表面結合トランスポソーム媒介タグ付化によって生成される固定化されたDN
A断片は、この技術で知られる任意の適切な増幅方法に応じて増幅することができる。い
くらかの実施態様では、固定化されたDNA断片は、固形支持体上で増幅される。いくらか
の実施態様では、固形支持体は、表面結合タグ付化が発生する場合と同じ固形支持体であ
る。そのような実施態様において、ここに提供される方法および組成物は、サンプル調製
が、初期サンプル導入ステップから増幅を通して、および随意に配列決定ステップを通し
て同じ固形支持体上で進行するのを可能にさせる。
【0060】
たとえば、いくらかの実施態様では、固定化されたDNA断片は、クラスターの増幅法を
用いて増幅され、それは、米国特許第7985565号および第7115400号の開示によって例示さ
れるようなものであり、それぞれの内容は、その全体がここに参照されることによって組
み込まれる。米国特許第7985565号および第7115400号の組み込まれた材料は、増幅生成物
がクラスターまたは固定化された核酸分子の「コロニー」からなるアレイを形成するため
に、固形支持体上に固定化されることを可能にする、固相核酸増幅の方法を記載する。そ
のようなアレイ上の各クラスターまたはコロニーは、複数の同一の固定化ポリヌクレオチ
ドストランドおよび複数の同一の固定化された相補的なポリヌクレオチドストランドから
形成される。そのように形成されたアレイをここでは、概して「クラスター化アレイ」と
称する。たとえば、米国特許第7985565号および第7115400号に記載されているような固相
増幅反応の生成物は、固定化ポリヌクレオチドストランドおよび固定化相補性ストランド
のペアのアニーリングによって形成され、双方ストランドは固形支持体上に5'端で、好ま
しくは共有結合による付着を介して固定化され、いわゆる「ブリッジ」される構造である
。クラスター増幅の方法論は、固定化核酸鋳型が固定化アンプリコンを生成するために使
用される方法の例である。他の適切な方法論はまた、ここに提供される方法に従って生産
される固定化されたDNA断片から固定化されたアンプリコンを生成するために使用されう
る。たとえば、一またはそれよりも多くのクラスターまたはコロニーは、増幅プライマー
の各対の一方または双方のプライマーが固定化されているかどうか固相PCRを介して形成
することができる。
【0061】
他の実施態様では、固定化されたDNA断片は溶液において増幅される。たとえば、いく
らかの実施態様では、固定化されたDNA断片は、開裂され、またはそうでなければ固形支
持体から解放され、そして増幅プライマーは次いで、解放された分子と溶液においてハイ
ブリダイズされる。他の実施態様において、増幅プライマーは、一以上の初期の増幅ステ
ップのために固定化されたDNA断片にハイブリダイズし、次いで溶液においてその後の増
幅ステップが続く。したがって、いくらかの実施態様では、固定化核酸鋳型は、液相アン
プリコンを生成するために使用することができる。
【0062】
ここに記載されるか、またはこの技術で通常知られる任意の増幅方法論は、固定化DNA
断片を増幅するために汎用または標的特異的プライマーを用いて利用されうることが理解
されるであろう。増幅のための適切な方法には、制限されないが、ポリメラーゼ連鎖反応
(PCR)、ストランド置換増幅(SDA)、転写媒介増幅(TMA)および核酸配列に基づく増
幅(NASBA)が含まれ、それらは米国特許第8003354号に記載されるようなものであり、そ
の全体がここに参照することにより組み込まれる。上記の増幅方法は、関心がある一以上
の核酸を増幅するために用いることができる。たとえば、マルチプレックス(多重)PCR
、SDA、TMA、NASBAなどを含め、PCRは、固定化されたDNA断片を増幅するために利用する
ことができる。いくらかの実施態様では、目的の核酸に特異的に向けられたプライマーは
、増幅反応に含まれる。
【0063】
核酸の増幅のための他の適切な方法には、オリゴヌクレオチド伸長およびライゲーショ
ン(連結、結紮)、ローリングサークル増幅(RCA)〔Lizardi(リサルディ)ら、Nat. G
enet.(ネイチャー・ジェネティクス)19: 225-232(1998)〕、それをここに参照する
ことにより組み込み、およびオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)〔概し
て、米国特許第7582420号、第5185243号、第5679524号および第5573907号; EP(欧州特
許)0 320 308 B1、EP 0 336 731 B1、EP 0 439 182 B1;WO 90/01069;WO 89/12696;お
よびWO89/09835を参照し、それらのすべては参照することによって組み込まれる〕技術を
含むことができる。これらの増幅方法論は、固定化DNA断片を増幅するために設計されう
ることが理解されるであろう。たとえば、いくらかの実施態様において、増幅法には、興
味ある核酸に特異的に向けられたプライマーを含むライゲーションプローブ増幅またはオ
リゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)反応が含まれることができる。いくら
かの実施態様において、増幅法には、興味ある核酸に特異的に向けられたプライマーを含
むプライマー伸長ライゲーション反応が含まれることができる。興味ある核酸を増幅する
ように特異的に設計することができるプライマー伸長およびライゲーションプライマーの
非制限的な例として、増幅は、米国特許第7582420号および第7611869号によって例示され
るように、GoldenGate(ゴールデンゲート)アッセイ〔Illumina, Inc.(イルミナ社)、
San Diego(サンディエゴ)、CA(カリフォルニア州)〕のために使用されるプライマー
を含むことができ、それらの各々はその全体としてここに参照することによって組み込む
。
【0064】
本開示の方法において使用することができる模範的な等温増幅法には、制限されないが
、たとえば、Dean(ディーン)らの、Proc. Natl. Acad. Sci. USA(プロシーディングス
・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド
・ステーツ・オブ・アメリカ)99:5261-66(2002)によって例示されるように、Multipl
e Displacement Amplification〔マルチプル置換増幅(MDA)〕、またはたとえば、米国
特許第6214587号によって例示される等温ストランド置換核酸増幅が含まれ、それらのそ
れぞれは、全体としてここに参照することによって組み込む。本開示において用いること
ができる他の非PCR系方法には、たとえば、ストランド置換増幅(SDA)で、たとえば、Wa
lker(ウォーカー)ら、Molecular Methods for Virus Detection(ウイルス検出のため
の分子的方法)、Academic Press, Inc.(アカデミックプレス社)、1995;米国特許第5,
455,166号、および第5,130,238号、およびWalkerら、Nucl. Acids Res.(ヌクレイック・
アシッヅ・リサーチ)20:1691-1696(1992)に記載されるもの、またはたとえば、超分
岐ストランド置換増幅(hyperbranched strand displacement amplification)で、Lage
(ラーゲ)ら、Genome Research(ゲノム・リサーチ)13:294-307(2003)に記載された
ものが含まれ、それらの各々は全体としてここに参照することによって組み込まれる。等
温増幅方法は、ストランド置換ファイ29ポリメラーゼまたはBst DNAポリメラーゼラージ
フラグメント、ゲノムDNAのランダムプライマー増幅のために5'->3'エキソと共に使用す
ることができる。これらのポリメラーゼの使用は、それらの高い処理能力およびストラン
ド置換活性を利用する。高い処理能力は、ポリメラーゼが長さで10-20kbである断片を生
成することを可能にする。上述するように、より一層小さな断片は、たとえば、クレノウ
ポリメラーゼなどのような低い処理能力およびストランド置換活性を有するポリメラーゼ
を用いる等温条件下で生成することができる。増幅反応、条件および成分のさらなる説明
は、米国特許第7670810号の開示において詳細に記載され、全体としてここに参照するこ
とによって組み込まれる。
【0065】
本開示において有用な別の核酸増幅法は、タグ付きPCR(Tagged PCR)であり、それは
ランダム3'領域に続く定常5'領域を有する二つのドメインプライマーの集団を使用し、た
とえば、Grothues(グロートゥス)らのNucleic Acids Res. 21(5):1321-2(1993)に記
載され、全体としてここに参照することにより組み込まれるようなものである。増幅の第
一ラウンドは、ランダムに合成された3'領域からの個別のハイブリダイゼーションに基づ
く熱変性したDNAでの多数のイニシエーションを可能にするために行う。3'領域の性質の
ため、開始の部位はゲノム全体にわたってランダムであると考えられる。その後、未結合
のプライマーを除去することができ、そしてさらに、複製は定常5'領域に相補的なプライ
マーを用いて行うことができる。
【0066】
配列決定。
【0067】
本開示はさらに、ここに提供される方法に従って生産される固定化されたDNA断片の配
列決定に関する。表面結合トランスポソーム媒介タグ付化によって生産される固定化され
たDNA断片は、任意の適切な配列決定方法論、たとえば、直接配列決定のようなもので、
合成による配列決定、ライゲーションによる配列決定、ハイブリダイゼーションによる配
列決定、ナノポア配列決定、およびその他同種類のものを含めるものに従って配列決定す
ることができる。いくらかの実施態様において、固定化されたDNA断片は固形支持体にて
配列決定される。いくらかの実施態様においては、配列決定のための固形支持体は、表面
結合タグ付化が発生する際と同じ固形支持体である。いくらかの実施態様では、配列決定
のための固形支持体は、増幅が起こる際と同じ固形支持体である。
【0068】
一つの好適な配列決定方法論は、シークエンシング-バイ-シンセシス(合成による配列
決定)(SBS)である。SBSでは、核酸鋳型(例は、標的核酸またはそのアンプリコン)に
沿った核酸プライマーの伸長は、鋳型においてヌクレオチドの配列を決定するために監視
される。基礎となる化学的プロセスは重合であることができる(例は、ポリメラーゼ酵素
によって触媒されるなど)。特に、ポリメラーゼ系SBSの実施態様では、蛍光を利用して
標識されたヌクレオチドが、プライマーに付加されるヌクレオチドの順序および種類の検
出が鋳型の配列を決定するために使用することができるような鋳型依存的な様式において
プライマーに付加される(それによってプライマーが伸長される)。
【0069】
フローセルは、本開示の方法によって生産される増幅したDNA断片のハウジングのため
の便利な固形支持体を提供する。このようなフォーマットにおいて一以上の増幅したDNA
断片を、サイクルにおける試薬の供給を繰り返すことを含むSBSまたは他の検出技術に供
することができる。たとえば、第一SBSサイクルを開始するために、一以上の標識ヌクレ
オチド、DNAポリメラーゼなどは、一以上の増幅された核酸分子を収容するフローセル中
に/それを通して流すことができる。プライマー伸長が組み込まれる標識ヌクレオチドを
生じさせるそれらの部位は検出することができる。ヌクレオチドは、随意に、一旦ヌクレ
オチドがプライマーに付加しさえすれば、さらなるプライマー伸長を終結させる可逆的終
結特性をさらに含むことができる。たとえば、可逆的ターミネーター部分を有するヌクレ
オチド類似体は、デブロッキング剤(脱保護剤)がその部分を除去するためにデリバーさ
れるまでその後の伸長が発生しないようにプライマーを付加することができる。このよう
に、可逆的終結を使用する実施態様のために、デブロッキング剤をフローセルにデリバー
することができる(検出が起こる前または後)。洗浄は様々なデリバリーステップの間に
行うことができる。サイクルは、次いで、nのヌクレオチドによってプライマーを伸長す
るためにn回繰り返すことができ、それによって長さnの配列が検出される。模範的なSBS
手順、流体システムおよび検出プラットフォームは、本開示の方法により生産されたアン
プリコンを伴う使用のために容易に適合させることができ、たとえば、Bentleyら、Natur
e、456:53-59(2008)、WO 04/018497;US 7057026;WO 91/06678;WO 07/123744;US 7
329492;US 7211414;US 7315019;US 7405281、およびUS 2008/0108082に記載されるも
のであり、それらの各々はここに参照することによって組み込まれる。
【0070】
サイクリック反応を使用する他の配列決定手順、たとえば、ピロ(パイロ)シーケンス
(pyrosequencing)のようなものを使用することができる。ピロシーケンスは、特定のヌ
クレオチドが新生核酸ストランドに組み込まれるとき、無機ピロリン酸(PPi)の放出を
検出する〔Ronaghi(ロナギ)ら、Analytical Biochemistry(アナリティカル・バイオケ
ミストリー)242(1)、84-9(1996);Ronaghi、Genome Res. 11(1)、3-11(2001);
Ronaghiら、Science(サイエンス)281(5375)、363(1998);US 6210891;US 6258568
およびUS 6274320、それらの各々はここに参照することにより組み込まれる〕。ピロシー
ケンスでは、解放されたPPiは、ATPスルフリラーゼによってアデノシン三リン酸(ATP)
に直ちに変換することにより検出することができ、そして生成されたATPのレベルは、ル
シフェラーゼ生産の光子を介して検出することができる。したがって、配列決定反応はル
ミネセンス(冷光)検出システムを介して監視することができる。蛍光系検出システムの
ために使用される励起放射線源は、ピロシーケンスの手順のために必要ではない。本開示
に従って生産されたアンプリコンのピロシーケンスの適用のために適合させることができ
る有用な流体システム、検出器、および手順は、たとえば、WIPO特許出願第PCT/US11/571
11号、US 2005/0191698 A1、US 7595883、およびUS 7244559に記載され、それらの各々は
ここに参照することによって組み込む。
【0071】
いくらかの実施態様は、DNAポリメラーゼ活性のリアルタイムモニタリングを含む方法
を利用することができる。たとえば、ヌクレオチドの組み込みは、フルオロフォア所有ポ
リメラーゼおよびγリン酸標識ヌクレオチドの間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)相互
作用を介して、またはゼロモード(zeromode)導波路(ZMWs)と共に検出することができ
る。FRET系配列決定のための技術および試薬は、例えば、Levene(レーベン)ら、Scienc
e 299、682-686(2003);Lundquist(ルントクイスト)ら、Opt. Lett.(オプティクス
・レターズ)33、1026-1028(2008);Korlach(クルレハ)ら、Proc. Natl. Acad. Sci.
USA、105、1176-1181(2008)に記載され、それらの開示は、ここに参照することにより
組み込まれる。
【0072】
いくらかのSBSの実施態様には、伸長生成物へのヌクレオチドの取り込みの際に放出さ
れるプロトンの検出が含まれる。たとえば、放出されたプロトンの検出に基づく配列決定
は、Ion Torrent(イオントレント)〔Guilford(ギルフォード)、CT(コネチカット州
)、Life Technologies subsidiary(ライフ・テクノロジー社の子会社)〕から商業上入
手可能な電気的検出器および関連する技術、またはUS 2009/0026082 A1;US 2009/012758
9 A1;US 2010/0137143 A1;またはUS 2010/0282617 A1で、それらの各々がここに参照す
ることによって組み込まれるものに記載の配列決定方法およびシステムを使用することが
できる。動力学的排除(kinetic exclusion)を用いて標的核酸を増幅するためのここに
記載される方法は、プロトンを検出するために使用される基材に容易に適用することがで
きる。より一層具体的には、ここに記載される方法は、プロトンを検出するために使用さ
れるアンプリコンのクローン集団を生産するために使用することができる。
【0073】
別の有用な配列決定技術はナノポア配列決定である〔たとえば、Deamer(デアマー)ら
、Trends Biotechnol.(トレンヅ・イン・バイオテクノロジー)18、147-151(2000);D
eamerら、Acc. Chem. Res.(アカウンツ・オブ・ケミカル・リサーチ)35:817-825(200
2);Li(リー)ら、Nat. Mater.(ネイチャー・マテリアルズ)2:611-615(2003)を参
照、それらの開示はここに参照することにより組み込まれる。〕。いくらかのナノポアの
実施態様では、標的核酸または標的核酸から除去する個々のヌクレオチドは、ナノポアを
通過する。核酸またはヌクレオチドがナノポアを通過するとき、各ヌクレオチドタイプは
、ポア(細孔)の電気伝導度での変動を測定することによって識別することができる。〔
米国特許第7001792号;Soni(ソニ)ら、Clin. Chem.(クリニカル・ケミストリー)53、
1996-2001(2007);Healy(ヒーリー)、Nanomed.(ナノメディシン)2、459-481(2007
);Cockroft(コックロフト)ら、J. Am. Chem. Soc.(ジャーナル・オブ・ジ・アメリ
カン・ケミカル・ソサイエティ)130、818-820(2008)、これらの開示はここに参照する
ことにより組み込まれる〕。
【0074】
本開示による検出に適用することができるアレイ系発現および遺伝子型判定分析のため
の模範的方法は、米国特許第7582420号;第6890741号;第6913884号または第6355431号ま
たは米国特許出願公開第2005/0053980 A1、第2009/0186349 A1または第US 2005/0181440
A1に記載され、それらの各々はここに参照することによって組み込まれる。
【0075】
ここに記載の方法の利益は、それらが並行して複数の標的核酸の迅速、かつ、効率的な
検出を提供するということである。したがって、本開示は、上記に例示したものなどのよ
うな、この技術において知られた技術を用いて核酸を調製し、および検出することが可能
な統合されたシステムを提供する。このようにして、本開示の統合システムは、一以上の
固定化されたDNA断片に対して、増幅試薬および/または配列決定試薬をデリバーすること
が可能な流体成分を含むことができ、このシステムには、たとえば、ポンプ、バルブ、リ
ザーバ、流体ラインおよび同様の他のものなどのような構成要素が含まれる。フローセル
は、標的核酸の検出のための統合システムにおいて構成し、および/または使用すること
ができる。模範的なフローセルは、たとえば、US 2010/0111768 A1および米国特許出願第
13/273666号において記載され、それらの各々は、ここに参照することによって組み込ま
れる。フローセルについて例示されるように、統合されたシステムの流体構成要素の一以
上は、増幅方法のため、および検出方法のために使用することができる。例として、核酸
配列決定の実施態様を挙げると、統合システムの流体構成要素の一以上は、ここに記載の
増幅方法のために、および、たとえば、上記例示したもののような配列決定法において配
列決定試薬をデリバリーするために使用することができる。あるいはまた、統合されたシ
ステムは、増幅方法を遂行するために、および検出方法を遂行するために別の流体システ
ムを含むことができる。増幅された核酸を作り出し、および核酸の配列を決定することが
可能な統合された配列決定システムの例には、制限はなく、MiSeqTMプラットフォーム(I
llumina, Inc.、San Diego、CA)、および米国特許出願第13/273666号に記載のデバイス
が含まれ、それをここに参照することにより組み込む。
【0076】
固定化トランスポソームを有する固形支持体および調製の方法
【0077】
ここに提示する他の実施態様には、固形支持体で、たとえば、フローセルなどのような
、その上に固定化されたトランスポソーム複合体を有するものが含まれる。一定の実施態
様では、トランスポソーム複合体は、第一ポリヌクレオチドに結合したトランスポサーゼ
を含み、そのポリヌクレオチドには、(i)トランスポゾン端部配列を含む3'部分、およ
び(ii)第一タグドメインを含む第一タグが含まれる。これらの表面結合トランスポソー
ムの密度は変動することができる。たとえば、いくらかの実施態様では、トランスポソー
ム複合体は、mm2(平方ミリメートル)あたり少なくとも103、104、105、または少なくと
も106の複合体の密度で固形支持体に存在する。
【0078】
また、ここに提示されるのは、タグ付化のためのフローセルを生成する方法である。方
法には、たとえば、複数のトランスポソーム複合体を固形支持体に固定化することが含ま
れ、トランスポソーム複合体は、第一ポリヌクレオチドに結合したトランスポサーゼを含
み、第一ポリヌクレオチドには、(i)トランスポゾン端部配列を含む3'部分、および(i
i)第一タグドメインが含まれる第一タグ含むことができる。
【0079】
トランスポソーム複合体は、様々な方法において固形支持体に対して固定化することが
でき、それらはこの技術の熟練の者によって理解されるであろう。一実施態様において、
この方法には、固形支持体で、その上に固定化された複数の第一ポリヌクレオチドを有す
るものを提供すること、および固形支持体を、トランスポザーゼホロ酵素および第二ポリ
ヌクレオチドに接触させることを含み、第二ポリヌクレオチドには、トランスポゾン端部
配列に相補的な領域が含まれる。いくらかの実施態様では、第二ポリヌクレオチドは、ト
ランスポサーゼホロ酵素が加えられる前に固定化された第一ポリヌクレオチドに対してハ
イブリダイズされる。いくらかの実施態様では、第二ポリヌクレオチドおよびトランスポ
サーゼホロ酵素は一緒に提供される。
図5aは、表面結合トランスポソーム複合体をアセン
ブルするためのこの方法の一実施態様を示す。一方法では、トランスポサーゼホロ酵素は
、5'表面グラフトされた端部から、クラスター増幅プライマー(A.pr)および配列決定プ
ライマー(S.pr)およびME配列(
図5a)を含むオリゴヌクレオチドが含まれるフローセル
に対してMEアダプターの非転移ストランドと一緒に追加される。代わりに、非転移ME’ス
トランドは最初に表面グラフト化されたMEに対してハイブリダイズすることができ、次い
でトランスポサーゼはフローセルに追加された。
【0080】
いくらかの実施態様においては、トランスポソーム複合体は、溶液においてアセンブル
され、固定化には、固形支持体にカップリングされるスプリントオリゴヌクレオチドに対
して第一ポリヌクレオチドをライゲーションするステップをさらに含む。この実施態様は
図5bに例示される。いくらかの実施態様では、スプリントオリゴヌクレオチドはライゲー
トステップが生じる前にポリメラーゼを用いて伸長させることができる。
【0081】
いくらかの実施態様では、トランスポソーム二量体は、ループ状オリゴヌクレオチドを
固定化された第一ポリヌクレオチドに対してハイブリダイズさせることによってアセンブ
ルされる。たとえば、ループ状オリゴヌクレオチドは、第一端部および第二端部を含むこ
とができ、第一端部については、第一ポリヌクレオチドのトランスポゾン端部配列に相補
的である。ループ状オリゴヌクレオチドの第二端部は、第二トランスポゾン端部配列に相
補的であることができる。第二トランスポゾン端部配列は、たとえば、液相の第一ポリヌ
クレオチドの一部分であることができる。いくらかの実施態様において、固定化された第
一ポリヌクレオチドおよび液相の第一ポリヌクレオチドは、非同類(dissimilar)トラン
スポゾン端部配列、またはそれらの補足物(相補体)を含むことができる。いくらかのそ
のような実施態様では、ループ状オリゴヌクレオチドは、第一および第二の端部に非同類
のトランスポゾン端部配列の各々に相補的な配列を含む。この実施態様の実例は
図5cに示
される。
図5cに示すように、隣接するアダプターペアは、二つのオリゴヌクレオチドを表
面結合オリゴヌクレオチドに対してハイブリダイズさせることによって生成される。この
ことは、二つの非同類のトランスポゾン端部配列(ME1およびME2)を採用することによっ
て達成することができる。トランスポサーゼホロ酵素の添加は、活性な「ループ状」のト
ランスポソーム複合体を再構成し、そこでは各トランスポソームの二つのアダプターの一
方だけしか表面
図5cにカップリングされない。
【0082】
別の実施態様では、トランスポソーム複合体は、標準的なペアードエンドフローセルで
、それに固定化される増幅プライマーを伴うものにてアセンブルすることができる(例は
、Illumina Inc、San Diego、CAにより販売されるHiSeqフローセルまたはMiSeqフローセ
ル)。このことは、たとえば、「スプリント」のオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼー
ションによって達成することができ、それは、表面グラフト化された増幅プライマーの一
方または双方の種にアニーリングする。スプリントは、その後、表面増幅プライマー、配
列決定プライマーおよびトランスポサーゼのトランスポゾン端部配列を含むオリゴヌクレ
オチド二本鎖を形成するためにポリメラーゼおよびdNTPによりグラフト化された表面プラ
イマーを伸長させるように鋳型として作用する。トランスポサーゼの添加は表面のトラン
スポソームをアセンブルする。この実施態様は
図5dに例示される。
【0083】
ここに提供される実施態様のいずれにおいても、トランスポソーム複合体は、ホモダイ
マー、またはヘテロダイマーであってよい。たとえば、
図11に例示するように、ホモ二量
体のトランスポソームは、双方の部位で二つのP5-MEアダプターを、または代わりに二つ
のP7-MEアダプターを含むであろう。同様に、
図11に示すように、ヘテロ二量体トランス
ポソーム複合体は、P5-MEおよびP7-MEアダプターの双方を含むであろう。
【0084】
トランスポソームビーズを用いるタグ付化
【0085】
ここに提示される一実施態様は、微粒子の集団で、それに固定化されるトランスポソー
ム複合体を有するものである。固形支持体で、たとえば、ビーズなどのようなものの使用
は、溶液系タグ付化に対していくつかの利益を提供することができる。たとえば、標準的
溶液系タグ付化では、タグ付化反応の最終的な断片サイズを制御することは困難である。
断片サイズは、トランスポソーム対、DNAの量およびサイズの、および反応の継続時間の
比の関数である。たとえこれらのパラメータが制御されるとしても、サイズ選定分画(si
ze selection fractionation)は、普通、組み合わせたペアードリードの長さよりも短い
、過剰な小断片を除去するために追加のステップとして必要とされる。ここにおいて提供
される方法は、それらの欠点を回避する。具体的には、ビーズ固定化トランスポソームは
タグ付化反応に加えられるトランスポソームビーズの量とは無関係に、結合したトランス
ポソームの空間的分離の関数として最終的な断片サイズの選定を可能にする。溶液系タグ
付化の更なる制限は、PCR増幅の前と後の双方でタグ付化反応の生成物を精製するいくら
かの形態を行うのが典型的に必要になるということである。このことは、典型的にチュー
ブからチューブへの反応のいくらかの転送を要する。対照的に、ビーズ系トランスポソー
ムでのタグ付化生成物は、洗浄され、そして、後に増幅または他の下流の処理のために解
放することができ、こうして、サンプル移送の必要性が回避される。たとえば、トランス
ポソームが常磁性ビーズにて組み立てられる実施態様では、タグ付化反応生成物の精製は
、磁石でビーズを固定化すること、および洗浄によって容易に達成することができる。し
たがって、いくらかの実施態様では、たとえば、PCR増幅などのようなタグ付化および他
の下流の処理はすべての単一の管、器、小滴または他の容器中で行うことができる。2012
年11月6日付け出願の、「INTEGRATED SEQUENCING APPARATUSES AND METHODS OF USE(統
合配列決定機器および使用の方法」と題する米国出願番号13/670318号で、ここに参照す
ることによりその全体が組み込まれるものの開示に例示されるように、いくらかの実施態
様では、サンプルのタグ付化および下流プロセシングがマイクロ流体小滴系のデバイス上
で行われる。たとえば、マイクロ流体小滴系のデバイスでは、標的核酸を含む液滴、洗浄
バッファー(緩衝剤)または他の試薬は、固定化トランスポソーム複合体を含む表面上を
通過することができる。同様に、ビーズで、その上に固定化されたトランスポソームを有
するものを含む液滴は、マイクロ流体小滴系のデバイスにおいて標的核酸、洗浄バッファ
ーまたは他の試薬と接触させることができる。
【0086】
いくらかの実施態様では、固定化されたトランスポソーム複合体は、第一ポリヌクレオ
チドおよび第二ポリヌクレオチドに結合するトランスポサーゼを含み;そこでは、第一ポ
リヌクレオチドはその5'端で微粒子の表面に固定され、および第二ポリヌクレオチドは第
一ポリヌクレオチドの3'端にハイブリダイズされ、およびそこでは、第一ポリヌクレオチ
ドは以下を含む:(i)トランスポゾン端部配列を含む3'部分、および(ii)第一タグド
メインを含む第一タグ。
【0087】
図9-12は、常磁性ビーズの表面上に組み立てられるトランスポソームの例示を提供する
。
図9は、ビーズ表面を、それに固定化された二つの異なる第一ポリヌクレオチドと共に
示す。示された第一ポリヌクレオチドはトランスポゾン端部配列(ME)を含む。それに示
される第一ポリヌクレオチドの一つは、増幅プライマー配列(P5)および配列決定プライ
マー配列(リード1)が含まれるタグドメインを含む。
図9に示される他のポリヌクレオチ
ドは、異なる増幅プライマー配列(P7)および配列決定プライマー配列(リード2)を含
む。第一ポリヌクレオチドはまた、インデックスタグを含むことができる。インデックス
タグは、ビーズに特有であってよく、または集団において一またはそれよりも多くの他の
ビーズと共有することができる。単一のビーズはそれに固定化される単一のインデックス
タグを有してもよく、またはそれはそれに固定化される複数のインデックスタグを有して
いてもよい。
【0088】
図10は、各第一ポリヌクレオチドにハイブリダイズする第二ポリヌクレオチドを示す。
第二ポリヌクレオチドは第一ポリヌクレオチドのトランスポゾン端部配列に相補的な領域
を含む。いくらかの実施態様では、第二ポリヌクレオチドは、長さが15塩基対である。い
くらかの実施態様では、第二ポリヌクレオチドは、長さで、およそ10、11、12、13、14、
15、16、17、18、19、20塩基対または20塩基対よりも長いことができる。いくらかの実施
態様では、第二ポリヌクレオチドはその5'端でリン酸化される。
【0089】
図11は、ビーズの表面にトランスポソームのアセンブリーを示し、そこでは、トランス
ポサーゼ酵素は固定化されたオリゴヌクレオチドと接触させる。
図11に示すように、トラ
ンスポサーゼをビーズに添加するとき、トランスポソーム複合体の三つのタイプが形成さ
れる:P5:P5、P7:P7、およびP5:P7複合体(
図11)。
【0090】
トランスポソームビーズがタグ付化バッファーにおいて標的DNAの溶液に添加されると
き、タグ付化が起こり、ビーズの表面にDNAがリンクされる。タグ付DNA断片の固定化され
たライブラリーは生成される。
【0091】
図12は、DNA中への連続タグ付化がトランスポソーム間のブリッジング分子をもたらす
実施態様を示す。トランスポソームの三つのタイプが存在する場合(
図11におけるように
)、ブリッジ複合体の三つのタイプが結果として生じる:P5:P5、P7:P7およびP5:P7複
合体が、それぞれ、25:25:50の割合である。
【0092】
いくらかの実施態様では、架橋された断片の長さは、ビーズの表面でのトランスポソー
ムの密度によって決定づけることができる。この密度は、表面上のオリゴヌクレオチドの
量、表面上の二本鎖トランスポゾン端部複合体の量およびトランスポソームアセンブリー
の間に加えられるトランスポサーゼ酵素の量を介して調節可能である。タグ付化が完了す
ると、P5:P7のタグ付化生成物は、任意の適切な方法を用いて、ビーズの表面から遊離さ
せることができる。いくらかの実施態様では、タグ付化生成物は、たとえば、抑制性PCR
(suppression PCR)、ステップアウトPCRなどのような増幅法を用いてビーズから遊離さ
れる。いくらかの実施態様では、タグ付化生成物は開裂によってビーズから遊離される。
開裂は、たとえば、化学的、酵素的、光化学的またはそれらの組合せであることができる
。固形支持体からの一以上のタグ付化生成物を解放するための任意の適切な方法が、ここ
で提供される方法において利用されうることが理解されるであろう。
【0093】
DNAは、接触する確率を増加させるために任意の適切な方法を用いて表面に結合したト
ランスポソームと効率的に接触させることができる。たとえば、いくらかの実施態様では
、固形表面上へのDNAの沈殿は、標的DNAと固形表面上のトランスポソーム複合体との間の
接触を増加させるために利用することができる。WO 2010/115122の開示によって例示され
、それが参照によりその全体として組み込まれるように、DNAを固形支持体と接触させる
ためにこの技術で知られる多くの方法のいずれか一つのものを利用することがでる。当業
者によって理解されるように、たとえば、固相可逆的固定化(SPRI)技術で使用されるバ
ッファーの多数の任意のものを含め、PEG、エタノールまたは表面上にDNAを沈殿させるこ
とが知られる他の薬剤の種々の任意のものを加えることにより、DNAは固形支持体上に沈
殿させることができる。
【0094】
いくらかの実施態様では、固定化トランスポソーム複合体をもつビーズの集団は、まっ
たくトランスポソームまたはオリゴヌクレオチドを帯びないビーズの過剰量と混合するこ
とができ、それによって、二以上の異なるビーズにわたるタグ付化の可能性が減少する。
二以上の異なるビーズにわたるタグ付化の可能性を減少させるための別の方法には、ビー
ズ間の接触が最小化されるように、ビーズを固定化することが含まれる。ビーズの固定化
は、WO 2010/115122の組み入れ材料によって例示されるように、たとえば、マイクロ(微
小)遠心管のような固体表面の側面に磁気を介してビーズを固定化すること、または任意
の他の固定化技術を含め、この技術で知られる多数の技術のいずれかによって達成するこ
とができる。
【0095】
いくらかの実施態様では、トランスポソームビーズは、たとえば、原核生物または真核
生物細胞のような、単一細胞から核酸を分離し、および識別するために使用することがで
きる。たとえば、いくらかの実施態様では、たとえば、ビーズなどのような粒子は、同じ
インデックスを共有するインデックス付きトランスポソームで被覆される(特定のビーズ
上に存在するすべてのトランスポソームは、他のビーズ上に存在するインデックスとは異
なる同一のインデックスを有する)。次に、ビーズは、この技術で知られる種々の方法論
のいずれかを通して細胞内に配置することができる。たとえば、細胞内でビーズを送るた
めの方法には、制限されないが、遺伝子銃、光熱ナノブレード(nanoblades)〔Wu(ウー
)ら、Anal Chem.(アナリティカル・ケミストリー)(2011)4:1321-7〕、および細胞
透過性物質と一緒に使用されるペプチド〔Nitin(ニティン)ら、Ann Biomed Eng.(アナ
ールズ・バイオメディカル・エンジニアリング)(2009)37:2018-2027〕およびその他
同種類のものが含まれる。単一細胞からのDNAを、インデックス付きトランスポソームを
有する粒子と関連付けるための任意の適切な方法は、ここに提示される方法において使用
されうることが理解されるであろう。
【0096】
いくらかの実施態様では、前述の部分において詳細に記載されるように、トランスポソ
ームはビーズに共有結合的に付着することができる。さらに、またはあるいはまた、トラ
ンスポソームは化学的または物理的刺激の適用の際にビーズから解放されうる。固形支持
体からトランスポソームを解放するきっかけとなることができる刺激のいくらかの例には
、光および/または温度変化が含まれる。いくらかの実施態様において、トランスポソー
ムは、たとえば、制限エンドヌクレアーゼなどのような酵素の活性を使用して固形支持体
から解放される。一定の実施態様では、トランスポソームはビーズから引き離されること
ができ、そして細胞内で自由に移動する。ビーズ(またはあるいは、解放されたトランス
ポソーム)は、一旦クロマチンまたはDNAに接触すると、タグ付化が起こりうる。真核生
物および原核生物系では、すべてのゲノムDNAが常にタグ付化のためにアクセス可能およ
び/または利用可能になるとは限らないことが理解されるであろう。いくらかの実施態様
では、0.001%、0.01%、0.1%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%
、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、
80%、85%、90%、95%または99%またはそれらよりも多くまで、細胞内の合計DNAの99
%がトランスポソームによってタグ付けされる。唯一にタグ付けされたビーズの使用は、
同じインデックスを共有するリードと一緒にグループ化することにより、同じ細胞からの
リードが識別されるのを可能にする。これらのリードは同じビーズ由来(そしてしたがっ
て、同じ細胞から)と考えることができる。追加的または代替的に、いくらかの実施態様
では、細胞DNAを架橋するために架橋ステップを行うことができ、その一方それはまだ細
胞の核の内部にある。そのようなステップは、単一の細胞からのDNAを一緒に結び付けら
れることを保証する。細胞からのDNAの抽出後、次に、それをインデックス付きビーズと
混合し、および前述の部分において詳細に記載されるようにタグ付化に供されることがで
きる。追加的または代替的に、この方法のバリエーションには、フローソート染色体のタ
グ付化が含まれる。フローソート染色体は、上述のインデックス付きビーズと混合するこ
とができる。特定の染色体は、一ビーズに接着し、およびタグ付化を通して生成される断
片は、同じインデックスを含んだであろう。このことは、染色体全体(ハプロタイピング
)からSNPsのフェージング(phasing)を可能にすることができた。
【0097】
いくらかのそのような実施態様では、インデックス標の総数は好首尾にタグ付けされた
細胞の合計数よりも多い。いくらかの実施態様では、二重のインデックスアプローチは、
たとえば、インデックスの可能な組み合わせの数を増加させる方法として、履行すること
ができる。一例として、二つの8塩基インデックスの使用は、48×48=4.3×109の組み合わ
せの理論上の数を与える。
【0098】
いくらかの実施態様では、アプローチは、個々の細胞が複数のビーズによってタグ付け
されないことを確実にするために使用することができる。たとえば、一つのアプローチは
、細胞のサイズと類似しているサイズのもののビーズを使用することである。これにより
、細胞は複数のビーズを収容することができないことを確実にされる。追加的または代替
的に、別のアプローチは、単一細胞標的化に有利な細胞対ビーズ比を利用することである
。たとえば、ビーズよりもはるかに多くの細胞が存在する場合、そのとき、細胞内でのビ
ーズのポアソン分布は、単一のビーズを取り込んだ細胞が二以上のビーズを取り込んだ細
胞をはるかに上回ることを意味する。
【0099】
いくらかの実施態様では、上述の単一細胞アプローチは、二つのSNPs(または構造的再
配列)が同じ細胞内に存在するかどうかを決定するために使用することができる。たとえ
ば、ガン細胞の異種の集団の場合、二つのSNPsが同じ細胞または異なる細胞中に存在する
かどうかを知ることは、正しいガン治療を履行するのに役立つ可能性がある。
【0100】
いくらかの実施態様では、上述の単一細胞アプローチは、RNAを研究するために使用す
ることができる。たとえば、逆転写工程のために適切な酵素(即ち、逆転写酵素)および
オリゴヌクレオチドを用いてビーズをコーティングすることにより、単一細胞レベルでの
遺伝子発現を分析することができる。一実施態様では、逆転写酵素、オリゴヌクレオチド
およびトランスポソームでコーティングされたビーズを導入した後、細胞質RNAをcDNAに
変換し、タグ付けされ、および細胞の内側に調製することができる。
【0101】
固定化トランスポソームでのバーコードを用いるロングリードアセンブリーの方法
【0102】
DNA断片のバーコードアシストアセンブリーは、DNA分子の集団内での個々の長いDNA分
子の分離、および唯一にバーコード付けされたサブ断片ライブラリーへの各分子の変換を
可能にする。サブ断片化DNA分子の集団全体が配列決定されるとき、サブ断片は、それら
が含まれているバーコードを参照することにより、元の長い分子に戻ってアセンブリーさ
れることができる。
【0103】
個々のDNA分子をバーコード化する種々の方法が知られる。たとえば、「希釈法」は、
極度の希釈、および各ウェルがDNAの一つまたはわずか数分子だけを含むように、別個の
区画(例は、プレートのウェル)に等分されることによって個々の長い分子を分離する。
各ウェルは、物理的に分離されるので、ライブラリーの準備には、固有のバーコードと共
に各ウェルにおいて行うことができる。しかる後、ウェルの内容物をプールし、そして配
列決定する。別の方法は、各液滴が、長いDNA分子、ライブラリー調製試薬および各液滴
に固有のバーコードを含むエマルジョンを採用する。別のアプローチは、分子の無傷性(
intactness)を維持しながら、DNAの長さに沿って複数のツインバーコードを挿入するた
めにインデックス付ループ状トランスポソーム複合体の大規模なライブラリーを使用する
。バーコード「ツイン」の間のその後の開裂は、バーコードを調和させることによって、
配列決定し、および再アセンブリーすることができる断片をもたらす。上述のバーコーデ
ィングの方法の各々は、ここに提示されるバーコーディング法によって克服される欠点が
それに伴う。
【0104】
ここに提示するのは、個々の長い分子を分離し、およびバーコード化するの上記の方法
に対する代替方法である。ここに提示される方法は、エマルション(乳化)の使用を伴う
ことなく、乳化法と同様の物理的分離の利点を達成し、それと同時に、希釈法で使用され
る「ウェル」の多数によって提供されるものよりもはるかに大きな複雑性を提供する。本
方法の独特なバーコードは、ビーズに基づく方法においてビーズの数が、多くの場合、希
釈法のウェルの数よりもはるかに多くなりうることを除いてある意味で希釈法の「ウェル
」に類似する。乳化方法を超える追加の利益は、ビーズ系の方法では、バーコードが確定
的に分布し(即ち、ビーズ当たりの1バーコード)、およびランダムではない(即ち、ポ
アソン分布する)ことである。ここに提示される方法はまた、分子無傷性および近接性(
contiguity)が、いくらかの他の方法で使用されるようなループ状のトランスポソーム複
合体のために必要とせずに、同じ初期の保存を達成する。加えて、ここに提示される方法
は、他のいくらかの方法で使用されるほどの大規模なコード空間を必要としない。
【0105】
したがって、ここに提示されるいくらかの実施態様では、バーコーディング方法は、微
粒子の集団で、それに固定化されるトランスポソーム複合体を有するものを提供すること
を含み、トランスポソーム複合体には、第一ポリヌクレオチドおよび第二ポリヌクレオチ
ドに結合するトランスポサーゼが含まれる。いくらかの実施態様では、第一ポリヌクレオ
チドは、微粒子に関連付けられるインデックスドメインを含む。いくらかの実施態様にお
いては、インデックスドメインは微粒子に独特であることができる。いくらかの実施態様
においては、微粒子の集団は少なくとも複数のインデックスドメインを含む。いくらかの
実施態様では、インデックスドメインは微粒子の集団において一よりも多くの微粒子上に
存在する。いくらかの実施態様において、微粒子の集団において、微粒子は複数のインデ
ックスドメインを含む。
【0106】
ここに提示するバーコーディングの方法はさらに、標的DNAを微粒子の集団に適用する
ことを含み、それによって、インデックスドメインでタグ付けされる固定化されたDNA断
片が生成される。WO 2010/115122の組み込まれた材料によって例示されるように、上述し
たような接触の可能性を増加させるための任意の適切な方法を用いて、DNAを効率的に、
表面結合トランスポソームと接触させることができる。
【0107】
本方法は、様々な既知の形式のいずれかを使用して、たとえば、タグ付化試薬およびラ
イブラリー調製のためのビーズアレイの組合せと共に、次いでインデックス付きの配列決
定の実行およびビスポークのデータ分析を続けて実行することができる。ビーズを互いか
ら静的な分離において維持する任意の他の適切な方法は、サンプルの表面タグ付化および
インデックス付けのために使用することができる。たとえば、マイクロスフェア(微小球
)がウェルにとどまることができるように、たとえば、ビーズを保持することができる基
材におけるウェルまたは小さなくぼみなどのような物理的な構成、または他の力の使用(
磁気または圧縮)、または化学的に改変され、または活性部位で、たとえば、化学的に官
能性化部位、静電的に改変された部位、疎水および/または親水性官能性化部位、または
接着性のスポットのようなものである。
【0108】
いくつかの実施態様では、マイクロスフェアは、ウェルに非共有結合的に関連付けられ
るが、一般的に、以下に記載されるように、ウェルは、追加的に化学的に官能化すること
もでき、架橋剤を用いてもよいし、または物理的障壁を使用することができ、例は、ビー
ズ上のフィルムまたは膜である。
【0109】
一定の実施態様では、基材の表面は、共有結合的にか、または非共有結合的にかのいず
れかで、基材上の別個の部位または位置への本発明のマイクロスフェアの付着するために
使用することができる化学的に修飾された部位を含むために修飾される。この関連におい
て、「化学的に修飾された部位」には、制限されないが、アミノ基、カルボキシ基、オキ
ソ基およびチオール基を含めて、化学的官能基のパターンの添加で、それらはマイクロス
フェアに共有結合的に付着するために使用することができ、それらは一般的にはまた、対
応する反応性官能基を含むもの;マイクロスフェアに結合するために使用することができ
る接着剤のパターンの添加(接着剤の付加のための先の化学的機能化または接着剤の直接
付加のいずれかによって);マイクロスフェアの静電的付着のための帯電基のパターンの
添加(化学的機能に類似)で、例は、マイクロスフェアが部位に対して反対側に帯電基を
含むときのもの;適切な実験条件下での類似して疎水性または親水性のマイクロスフェア
の添加がヒドロアフィニティ(hydroaffinity)に基づいてマイクロスフェアの部位に対
する会合(association)をもたらすように、部位特異的(sites differentially)疎水
性または親水性を与える化学的官能基のパターンの添加が含まれる。たとえば、疎水性ビ
ーズでの疎水性部位の使用は、水性システムにおいて、部位への優先的なビーズの会合を
推進する。上記で概説したように、この意味において「パターン」には、別個の部位での
ビーズの付着、ならびに別個の部位をもたらす表面の処理を可能にするために表面の均一
な処理の使用が含まれる。当業者によって理解されるように、このことは種々の方法で達
成することができる。
【0110】
一定の実施態様では、表面に結合したトランスポソームを含む多数のビーズが生成され
、そこでは各ビーズが多くのトランスポソームを含むが、与えられたすべての任意のビー
ズ上のすべてのトランスポソームは同じバーコードを含む。ビーズでのモノクローナルバ
ーコード化された(monoclonal barcoded)トランスポソームオリゴヌクレオチドの集団
の生成は、米国特許第5604097号の開示によって例示され、それがその全体として参照に
より組み込まれるるように、この技術において知られる多数の技術のいずれか一つに従っ
て実行することができる。
【0111】
図13は一実施態様を例示し、そこでは、表面に結合したトランスポソームはそれらの5'
端を介して表面に付着する長いオリゴヌクレオチドを含む。
図13に示されるように、オリ
ゴヌクレオチドの3'端は、Tn5トランスポサーゼ酵素のモザイクエンド(Mosaic End)(M
ETS)配列を含む。この配列の上流は(5'端に近い)、長さが典型的には6-8塩基のバーコ
ード配列である。さらに、上流はプライマー配列である。加えて、オリゴヌクレオチドは
さらに、オリゴヌクレオチドが表面から開裂されるのを可能にするために、開裂部位を含
むことができる:オリゴヌクレオチドにおけるその存在は全体での方法に対して随意であ
る。第二の短いオリゴヌクレオチド(非転写鎖、MENTS)は、長い表面グラフト化(graft
ed)オリゴヌクレオチドの3'端でのMETS配列にハイブリダイズされる。最終的に、トラン
スポサーゼのダイマー(二量体)は、機能的なトランスポソームを形成するために、オリ
ゴヌクレオチドの3'端でアセンブルされる。
【0112】
図14は、ウェルのアレイにおけるビーズ上のバーコード化を示す。
図14に示すように、
dsDNAの長い分子がビーズに固定化されたトランスポソームのアレイに加えられるとき、
与えられた分子は、ビーズに遭遇し、およびビーズ上のトランスポソームによって何回も
タグ付けされる(gets tagmented)。各断片は、ビーズに固定化され、およびそのビーズ
に関連したバーコードでタグ付けされる。
図14に示される特定の実施態様では、アレイチ
ップにおけるビーズの物理的分離は、DNA分子が二つのビーズ間に到達するのを防止する
。他の実施態様では、ビーズは密に接触しており、そして一以上のDNA分子は二以上のビ
ーズの間で伸びてもよい。いくらかの実施態様では、一よりも多くのDNA分子がビーズ当
たりにタグ付けされうる。同じビーズ上タグ付けされる二つの対立遺伝子の確率は低く、
そして加えられたDNAの濃度、ビーズの数およびバーコードの数の関数である。たとえば
、同じウェルにおいて発生する二つの対立遺伝子を回避するために、0.1×ハプロム(hap
lome)等価物(50,000ゲノム等価物)は、ユニークなバーコードで100万ビーズそれぞれ
にロードする必要がある。
【0113】
図15は、バーコード化されタグ付けされた分子の配列決定反応への移動を示しています
。
図15に示すように、一旦、タグ付化が完了すると、DNAは、個々の断片がプールされ、
そして配列決定のために調製することができるように、ビーズ表面から溶液に移される。
バーコードを参照することによる配列決定およびアセンブリーは、元の長いタグ付けされ
たDNA分子の配列が再作成されることを可能にし、このようにして、SNPの長く、または擬
似的に長いリードおよびフェージングを可能にする。
【0114】
バーコード化された表面のタグ付けされた断片の溶液への放出は、この技術において知
られているような任意の適切な方法論を用いて達成することができる。たとえば、いくら
かの実施態様では、タグ付けされた分子は、表面に結合したオリゴヌクレオチドの5'端で
の開裂モイエティ(開裂構成部分)の存在を介してビーズの表面から開裂されることがで
きる(
図13参照)。開裂構成部分は、固形支持体からの核酸鎖の開裂にとって適した任意
の構成部分であることができる。開裂構成部分を利用する方法の例には、制限されないが
、WO 2006/064199に記載されたそれらの開裂方法および開裂構成部分で、それがその全体
において参照により組み込まれるものを含めて、制限エンドヌクレアーゼ開裂、化学的開
裂、RNアーゼ開裂、光化学的開裂、および同様の他のものが含まれる。
【0115】
開裂構成部分を使用する開裂により、次のフォーマットを有する分子が得られる。
5'-プライマー-バーコード-ME-インサート(挿入物)-ME-バーコード-プライマー-3'
【0116】
「プライマー」の領域は、増幅および配列決定プライマーのような加えられる追加の配
列を可能にするPCRステップアウトプライマーをハイブリダイズするために、ハイブリダ
イゼーションポイントとして使用することができる。たとえば、増幅プライマーP5および
P7を加えることができる。一旦加えたら、抑制性PCRを、たとえば、一端上にP5アダプタ
ーを、および他ではP7を有する分子を豊富にするために使用することができる。
【0117】
いくらかの実施態様では、増幅は抑制性PCRによってP5およびP7アダプター配列を加え
るステップアウトプライマーと共にビーズから直接行うことができる。別の実施態様では
、各ビーズは表面グラフト化オリゴヌクレオチドの二つのタイプを有することができ、そ
こではプライマー配列は(
図13におけるように)P5-リード(Read)1配列決定プライマー
またはP7-リード2配列決定プライマーのいずれかである。このことは、混合されたP5-P7
のトランスポソームをもたらす。前述したように、これらは、いずれかが、ビーズから開
裂され、および次いでP5 / P7分子を豊富にするために抑制性PCRが続けられ、またはビー
ズから直接増幅することができる。
【0118】
いくらかの実施態様では、単一トランスポソームタイプ(例は、P5-リード1-バーコー
ド)はビーズの表面上に存在しうる。一旦表面タグ付化が完了すると、異なる増幅および
/または配列決定プライマーを伴う第二トランスポソームはブリッジ分子を開裂するため
に溶液において加えることができる。これにより、ビーズ表面から開裂または増幅のいず
れかをすることができる同じアダプターのフォーマットと共にすべての分子が得られる。
追加的なサンプル特異的バーコードは、多重のサンプルがこの方法によってプールするこ
とができるように、溶液トランスポソームに加えることができる。
図16は本実施態様の例
示である。
図16に示すように、P7増幅プライマー配列をになう液相トランスポソームは、
固定化されたブリッジタグ付化生成物と共にビーズに加えられる。固定化断片は、P5の増
幅プライマー配列およびビーズに特有であるバーコードインデックスタグ(i9)を含むポ
リヌクレオチド配列によりタグ付けされる。
図16に示すように、第二タグ付化反応後、各
断片は、P7プライマー配列およびP5プライマー配列を所有する固定化された端部を伴う自
由端を有する。
【実施例】
【0119】
例1
フローセルでの表面タグメンテーション
【0120】
この例は、
図4aおよび4bに示す実施態様を確認する実験について説明する(表面タグメ
ンテーション次いで溶液タグメンテーションが続く)。
【0121】
8レーンのフローセル上の実験を、
図6aおよび6bに示すように、複数の条件およびコン
トロールのリストを用いて実行した。レーン6は、方法の端から端までの完全な解説を指
し示し:断片化されていない(unfragmented)E. coli(エシェリキア・コリ、大腸菌)
のゲノムDNAをフローセルに加え、その結果として、それが表面結合したトランスポソー
ムによってタグ付化された。次に、ネイキッドの(裸)ME配列を選択的に脱ハイブリダイ
ズするために、熱がフローセルに適用され、そのようにしてトランスポソームが次に溶液
から加えられたとき、第二タグ付化反応のためのターゲットとして、それらを消した。第
二タグ付化反応後、クラスターを生成し、および配列決定される「ペアードエンド」(2
×36ベースのリード)を実行した。配列決定メトリクス(測定基準)はスライド7に与え
られ、それらは、レーン6において、クラスターの73.14%がフィルタを通り、そしてこれ
らの74.69がアライン(整列)されることを示す。このことは、挿入物のギャップサイズ
プロットおよびライブラリーの多様性の推定を得るために十分なデータを提供する(
図8
参照)。
【0122】
他のレーンは以下に挙げるコントロールが含まれた。
レーン1は、すべてのものが正しくポンピングされ、クラスターの生成および配列決定
が予想されたように動作することを確実にするために陽性コントロールとしてPhiX DNAを
含む。
レーン2は、別のコントロールレーンであり、標的DNAの不存在下で表面に結合したトラ
ンスポゾンへのタグ付化を示す。フローセル(FC)は、標準的なペアエンドFCを含み、そ
れには、タグ付化プライマー配列およびME'配列(非転写ME'鎖)を含むオリゴヌクレオチ
ドがP7表面オリゴヌクレオチドにハイブリダイズされた。このオリゴヌクレオチドは飽和
濃度で加えられた。最初の伸びはME端部を有する二重鎖トランスポゾンをもたらした。P5
トランスポソームは、溶液中で組み立てられ、そしてFC上に流された(6.25 nM/レーン)
。P5トランスポソームは、二重鎖の表面に結合したトランスポゾンをタグメント(タグ付
け)する。タグ付化生成物はその後のクラスターに変換される。
レーン3は標的DNAの不存在下での表面結合トランスポゾンへのタグ付化を示し、この例
においてだけ、ds表面結合トランスポゾンを一本鎖オリゴヌクレオチドに変換するために
、溶液からのP5トランスポソームの添加に先立ち、このことが標的DNAのタグ付化を妨げ
るので、これらの構成物へのタグ付化を防ぐために、FCが75℃に加熱された。
レーン4はレーン3の条件に対する表面結合トランスポソームの追加を示す。このレーン
において、タグ付化プライマー配列およびME'配列を含むオリゴヌクレオチドは、P7表面
オリゴヌクレオチドにハイブリダイズした。最初の伸長はMEを有する二本鎖トランスポゾ
ンをもたらす。これに続いてP7トランスポソームは、50×濃度でレーンにTn5酵素を加え
ること、および30℃で30分間インキュベートすることにより、FCの表面上にアセンブルさ
れた。FCは、次に溶液からP5トランスポソームを加える前に75℃に加熱された。
レーン5はレーン4と同じ条件を含み、この場合、唯一、溶液からP5トランスポソームを
加える代わりに、E. coli、900 bpのライブラリー(P5/P7端部)を、P7の表面結合トラン
スポソームが加熱ステップ後に活性なままであるかどうかを定めるために加えた。
レーン6は本発明の実現化の一例を示す。この例では、FCは、標準的ペアエンドFCから
構成され、それには、タグ付化プライマー配列およびME'配列を含むオリゴヌクレオチド
がP7表面オリゴヌクレオチドにハイブリダイズした。最初の伸長はME端を有する二本鎖ト
ランスポゾンをもたらす。P7トランスポソームは、50×濃度でレーンにTn5酵素を加える
こと、および30℃で30分間インキュベートすることにより、FCの表面上に組み立てられる
。標的DNA(断片化されていないE. coliゲノムDNAの300ng)はFCレーンに対して加え、お
よび55℃で15分間のインキュベーションステップを、タグ付化を起こすために実行した。
P7表面結合トランスポソームはPBI〔Qiagen(キアゲン)〕を用いて洗浄除去し、そして
その後、FCを、溶液からP5トランスポソームを加える前に75℃にまで加熱した。溶液から
のP5トランスポソームの添加および55℃で15分間のインキュベーションステップの後、ス
タンド変位(stand displacement)伸長反応を、転位反応によりDNA骨格中に生成された9
-bpのギャップを埋めるために遂行した。スタンド変位伸長反応には、BstおよびdNTPミッ
クスの添加および5分間65℃でのインキュベーションが含まれる。P5トランスポソームは
最終ステップで洗い流した。この時点で、すべての表面結合分子は、P5-P7のテンプレー
トであるべきであり、そしてしたがって、クラスターに変換することができる。
レーン7はレーン6と同じ条件を含むが、この実例においてだけ、加熱ステップは、クラ
スター数および%アライン(整列)での熱の影響を強調するために省略された。
レーン8は陰性コントロールを含み、そこでは、P7トランスポソームは、ds表面結合ト
ランスポゾンの飽和濃度の存在下で50×濃度で表面にて組み立てられたが、しかし、標的
DNAは加えなかった。このことは、表面結合P7トランスポソームがその隣接ds表面結合ト
ランスポゾンにタグ付けされるかどうかの評価を可能にする。
【0123】
例2
E.coliスクレープからの表面結合サンプル調製
【0124】
E. coli(大腸菌)サンプル(寒天プレート上の菌叢から5mmバイ2mmのスクレープ)を
掻き取り、および水とガラスビーズを含むチューブに再懸濁した。浮遊細胞およびビーズ
は、細胞を破壊するためにボルテックスミキサーを用いて混合し、次いで、細胞破片をペ
レット化するために遠心分離した。上清(細胞溶解物を含み、タンパク質および核酸を含
有する)を取り出し、および例1に記載のプロトコルに従ってトランスポソームが固定化
されたGenome Analyzer flowcell(ゲノムアナライザーフローセル〔Illumina, Inc.(イ
ルミナ社)、San Diego(サンディエゴ)、CA〕に添加した。
【0125】
クラスター生成を、Cluster Station(クラスター・ステーション)サンプル調製装置
(Illumina, Inc.、San Diego、CA)を用いてフローセル上で実行した。クラスター生成
の後、ペアエンド配列決定ランを、各方向において36塩基のリードと共に実行した。
【0126】
リード1について、クラスターの58.99%はフィルタを通り、およびこれらの92.16をア
ラインした。リード2については、クラスターの58.99%はフィルタを通り、これらの55.0
8をアラインした。これらのデータは、未精製の細胞溶解物を、トランスポソームが固定
化したフローセルに、驚くほど強固な配列決定の結果と共に直接添加することができるこ
とを確認する。
【0127】
例3
【0128】
この例は、液相トランスポソームをフローセルに加えるときに表面結合オリゴヌクレオ
チド二重鎖のタグ付化を避けるための方法を説明する。
【0129】
フローセルの表面にトランスポソームをアセンブルするための一つの方法は、標準的な
ペアエンドフローセルを採用し、二本鎖ME配列を含む二本鎖を作るためにポリメラーゼで
伸長させることができる拡張可能なオーバーハングを形成するP5および/またはP7表面グ
ラフト化オリゴヌクレオチドに対して‘スプリント(裂片)’オリゴヌクレオチドをハイ
ブリダイズすることである。この段階で、トランスポサーゼ酵素は、機能的表面結合トラ
ンスポソームを形成するために加えることができる(
図5d)。二重鎖の一部だけがトラン
スポソームを形成する場合、残りの‘ネイキッド’ME二重鎖は、その後、すぐ近くの表面
結合トランスポソームまたは溶液から加えられたトランスポソームのいずれかによってタ
グ付化のための標的になりうる。さらにまた、完全にアセンブルされた表面トランスポソ
ームはまた、すぐ近くの表面結合トランスポソームまたは溶液から加えられたトランスポ
ソームによってタグ付化のための標的になりうるME配列の上流にdsDNA部分を含む。この
望ましくないタグ付化は、標的ゲノムに対してアラインする純度フィルタ(purity filte
rs)を通るクラスターの割合の減少において現れる。
【0130】
この効果の例は、
図18bにおいてレーン4および5対レーン6および7を比較することによ
って見ることができる。レーンに6および7において、トランスポソームは上記のように、
長いスプリントオリゴヌクレオチドを用いてアセンブルされ、それは、拡張およびトラン
スポソームアセンブリー後、少なくとも50の二本鎖塩基を有する表面結合二重鎖を生成し
た。使用の際、表面タグ付化反応(
図18a)およびその後の配列決定において、唯一22.59
および15.52%のクラスターが、それぞれ標的E. coliにアラインした(
図18b)。
【0131】
標的ゲノムDNAにアラインしない配列を含むクラスターの集団が産生されるのを避ける
ために、
図17に示すように、トランスポソームアセンブリーが行われた。‘スプリント’
オリゴヌクレオチドは、二本鎖ME配列を含む二重鎖を作るために、ポリメラーゼで伸長す
ることができた拡張可能なオーバーハングを形成するP5および/またはP7表面グラフト化
オリゴヌクレオチドに対して最初にハイブリダイズさせた。次に、スプリントオリゴヌク
レオチドを、デアニーリング(脱アニーリング)によって取り出し、および洗い流した後
、次いでわずか12ほどの塩基長であるが、好ましくは16塩基長のより一層短いオリゴヌク
レオチドを表面付着MEオリゴヌクレオチドの3'端にハイブリダイズさせることによって置
き換えた。トランスポサーゼは、任意の露出したdsDNAが含まれないトランスポソームを
アセンブルするために加えた。結合トランスポサーゼが含まれない任意の‘ネイキッド’
二重鎖は、60℃でフローセルをインキュベートすること、および選択的にデアニールし、
および短い二本鎖DNAを除去するために流動条件下で洗浄することによって取り出した。
【0132】
トランスポソームをアセンブルすることに対するこのアプローチの有益な効果は、レー
ン4および5において見ることができ、そこでは、表面結合トランスポソームがこの方法に
よってアセンブルされ、および表面タグ付化反応において使用された(
図18a)。E. coli
にアラインされたクラスタの割合は、レーン6および7について、それぞれ22.59および15.
52%から、レーン4および5について、それぞれ96.47および96.41まで増加する(
図18b)
。
【0133】
この出願の全体にわたって、様々な刊行物、特許および/または特許出願を参照した。
これらの刊行物の開示は、ここに参照することによりそれらの全体がこの出願において組
み込まれる。
【0134】
包含されるという用語は、ここでは、引用された要素だけでなく、さらに追加の要素を
網羅することを含め、オープンエンドであることを意図する。
【0135】
多数の実施態様を説明した。それでも、種々の修飾がなされうることが理解される。し
たがって、他の実施態様は次に続く請求の範囲の範囲内にある。