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特許7203919タッチ信号処理方法及び関連するタッチデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】タッチ信号処理方法及び関連するタッチデバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20230105BHJP
【FI】
G06F3/041 550
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021135494
(22)【出願日】2021-08-23
(65)【公開番号】P2022117403
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2021-08-23
(31)【優先権主張番号】17/161,681
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502429109
【氏名又は名称】奇景光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】劉 立林
(72)【発明者】
【氏名】蘇 俊仁
(72)【発明者】
【氏名】蘇 文森
(72)【発明者】
【氏名】林 ▲彦▼翔
【審査官】菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-194983(JP,A)
【文献】特開2015-194987(JP,A)
【文献】特開2011-048610(JP,A)
【文献】特開2015-090706(JP,A)
【文献】特開2018-005681(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0050635(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0062475(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0232691(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0110493(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0202797(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のタッチディスプレイユニットを含むタッチディスプレイ統合デバイスのためのタッチ信号処理方法であって、前記複数のタッチディスプレイユニット連結されており、且つ前記複数のタッチディスプレイユニットのそれぞれはタッチマイクロコントローラユニット(MCU)を含み、前記複数のタッチディスプレイユニットは列状に配置され、当該タッチ信号処理方法は、
前記複数のタッチディスプレイユニットのそれぞれのセンシングモジュールによって、複数のセンシング生データを生成するために、前記複数のタッチディスプレイユニットのそれぞれに対応する物理領域を感知すること;
前記複数のタッチディスプレイユニットのタッチMCUのそれぞれによって、前記複数のセンシング生データを受信すること;
記物理領域のオーバーラップ領域に対応する複数のオーバーラップセンシング生データを、前記複数のタッチディスプレイユニットのうちの所定のタッチディスプレイユニットのタッチMCUに、前記列において該所定のタッチディスプレイユニットの1つ前に位置するタッチディスプレイユニットのタッチMCUからパスすること;及び
前記複数のタッチディスプレイユニットの前記タッチMCUのそれぞれによって、前記物理領域に対応する前記複数のセンシング生データと、前記オーバーラップ領域に対応する前記複数のオーバーラップセンシング生データに従って、処理領域のタッチ位置に対応する座標情報を決定すること;
を含む、タッチ信号処理方法。
【請求項2】
前記複数のタッチディスプレイユニットの前記タッチMCUのそれぞれによって、前記タッチ位置に対応する前記座標情報を、前記複数のタッチディスプレイユニットのうちの1つであるマスタータッチディスプレイユニットのマスタータッチMCUに報告すること;
前記マスタータッチMCUによって、前記複数のタッチディスプレイユニットの前記タッチMCUのそれぞれからの前記タッチ位置に対応する前記座標情報を配置すること;及び
前記タッチ位置を収集するために、前記タッチディスプレイ統合デバイスのホストシステムに通知すること;
をさらに含む、請求項1に記載のタッチ信号処理方法。
【請求項3】
記物理領域の前記オーバーラップ領域の水平方向の幅が、最大支持可能なタッチ領域の直径よりも大きい、請求項1に記載のタッチ信号処理方法。
【請求項4】
前記複数のタッチディスプレイユニットの前記タッチMCUのそれぞれは、前記処理領域のレポート領域内の前記タッチ位置を報告するように構成される、請求項1に記載のタッチ信号処理方法。
【請求項5】
所定のタッチディスプレイユニットのタッチMCUの前記レポート領域は、前記列において前記所定のタッチディスプレイユニットの1つ前に位置するタッチディスプレイユニットのタッチMCUの前記オーバーラップ領域の一部と、前記列において前記所定のタッチディスプレイユニットの1つ後ろに位置するタッチディスプレイユニットのタッチMCUの前記オーバーラップ領域の一部で構成される、請求項4に記載のタッチ信号処理方法。
【請求項6】
前記複数のタッチディスプレイユニットの前記タッチMCUのそれぞれによって、前記処理領域の少なくとも有効なブロックを決定すること;
前記複数のタッチディスプレイユニットの前記タッチMCUのそれぞれによって、前記処理領域の前記少なくとも有効なブロックをクラスタリングすること;及び
前記複数のタッチディスプレイユニットの前記タッチMCUのそれぞれによって、前記少なくとも有効なブロックの各クラスタの重心座標を決定すること;
さらに含む、請求項4に記載のタッチ信号処理方法。
【請求項7】
記複数のタッチディスプレイユニットの前記タッチMCUのそれぞれによって、各クラスタの前記重心座標が対応する処理領域の前記レポート領域に属している場合、各クラスタの前記重心座標をマスタータッチディスプレイユニットのマスタータッチMCUに報告すること;
さらに含む、請求項6に記載のタッチ信号処理方法。
【請求項8】
ッチ領域が前記オーバーラップ領域よりも大きい場合、前記複数のタッチディスプレイユニットの前記タッチMCUは、前記タッチ位置に対応する座標情報を報告しないように構成されている、請求項1に記載のタッチ信号処理方法。
【請求項9】
複数のタッチディスプレイユニットを含む、タッチディスプレイ統合デバイスであって、
記複数のタッチディスプレイユニットは連結されており、且つ前記複数のタッチディスプレイユニットのそれぞれは、
前記複数のタッチディスプレイユニットのそれぞれに対応する物理領域を感知して、複数のセンシング生データを生成するように構成されたセンシングモジュール、及び
前記複数のセンシング生データを受信する、及び前記物理領域に対応する前記複数のセンシング生データ及びオーバーラップ領域に対応する複数のオーバーラップセンシング生データに従って、処理領域のタッチ位置に対応する座標情報を決定するように構成されたタッチマイクロコントローラユニット(MCU)、
を含み、
前記複数のタッチディスプレイユニットは列状に配置され、
記物理領域の前記オーバーラップ領域に対応する前記複数のオーバーラップセンシング生データは、前記複数のタッチディスプレイユニットのうちの所定のタッチディスプレイユニットのタッチMCUに、前記列において該所定のタッチディスプレイユニットの1つ前に位置するタッチディスプレイユニットのタッチMCUからパスされる、タッチディスプレイ統合デバイス。
【請求項10】
記複数のタッチディスプレイユニットのうちの1つであるマスタータッチディスプレイユニットであって、前記マスタータッチディスプレイユニットは、マスタータッチMCUを含み、前記複数のタッチディスプレイユニットのうちの他の1つに連結されている、マスタータッチディスプレイユニット、
さらにみ、
記複数のタッチディスプレイユニットの前記タッチMCUは、前記タッチ位置に対応する前記座標情報を前記マスタータッチディスプレイユニットの前記マスタータッチMCUに報告するように構成され、
記マスタータッチMCUは、前記複数のタッチディスプレイユニットの前記タッチMCUのそれぞれからの前記タッチ位置に対応する前記座標情報を配置する、及び前記タッチ位置を収集するために当該タッチディスプレイ統合デバイスのホストシステムに通知するように構成されている、請求項9に記載のタッチディスプレイ統合デバイス。
【請求項11】
記物理領域の前記オーバーラップ領域の水平方向の幅は、最大の支持可能なタッチ領域の直径よりも大きい請求項9に記載のタッチディスプレイ統合デバイス。
【請求項12】
記複数のタッチディスプレイユニットの前記タッチMCUのそれぞれは、前記処理領域のレポート領域内の前記タッチ位置を報告するように構成されている、請求項9に記載のタッチディスプレイ統合デバイス。
【請求項13】
所定のタッチディスプレイユニットのタッチMCUの前記レポート領域は、前記列において前記所定のタッチディスプレイユニットの1つ前に位置するタッチディスプレイユニットのタッチMCUの前記オーバーラップ領域の一部と、前記列において前記所定のタッチディスプレイユニットの1つ後ろに位置するタッチディスプレイユニットのタッチMCUの前記オーバーラップ領域の一部で構成される、請求項12に記載のタッチディスプレイ統合デバイス。
【請求項14】
数のタッチディスプレイユニットのタッチMCUは、前記処理領域の少なくとも有効なブロックを決定する;前記処理領域の少なくとも有効なブロックをクラスタ化する;及び前記少なくとも有効なブロックの各クラスタの重心座標を決定するように構成されている、請求項12に記載のタッチディスプレイ統合デバイス。
【請求項15】
クラスタの前記重心座標が対応する処理領域の前記レポート領域に属している場合、前記複数のタッチディスプレイユニットの前記タッチMCUは、各クラスタの前記重心座標をマスタータッチディスプレイユニットのマスタータッチMCUに報告するように構成されている、請求項14に記載のタッチディスプレイ統合デバイス。
【請求項16】
ッチ領域が前記オーバーラップ領域よりも大きい場合、前記複数のタッチディスプレイユニットの前記タッチMCUは、前記タッチ位置に対応する前記座標情報を報告しないように構成されている、請求項9に記載のタッチディスプレイ統合デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ信号処理方法及び関連するタッチデバイスに、及びより具体的には、タッチディスプレイ統合デバイス(integrated device)のタッチ信号を効果的に処理することができるタッチ信号処理方法及び関連するタッチディスプレイ統合デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の静電容量式タッチデバイスは、小さなタッチデバイスから大きなタッチデバイスまで広く利用及び開発されている。大型タッチデバイスは、例えば、ラップトップ、自動車、又はテレビに適用することができる。小型タッチデバイスのアプリケーションでは、タッチアルゴリズムの処理に単一のマイクロコントローラユニット(MCU)が利用される。ただし、複数の小型タッチデバイスで構成されている大型タッチデバイスを単一のMCUで処理する場合、単一のMCUには、より高速な処理速度、計算能力、及びより多くのメモリリソースが必要である。言い換えると、タッチデバイスのアルゴリズムと計算の負荷は単一のMCUに集中化される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、大型タッチデバイスのタッチ信号を効果的に処理する必要がある。
【0004】
したがって、本発明は、タッチ信号処理方法及び関連するタッチディスプレイ統合デバイスを提供し、タッチディスプレイ統合デバイスのタッチ信号を効果的に処理するための分散処理方法及び構造を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数のタッチディスプレイユニットを包含するタッチディスプレイ統合デバイスのためのタッチ信号処理方法を開示する。ここで、前記複数のタッチディスプレイユニットは連結され、且つ前記複数のタッチディスプレイユニットのそれぞれは、タッチマイクロコントローラユニット(MCU)を含む。当該タッチ信号処理方法は、
前記複数のタッチディスプレイユニットのそれぞれのセンシングモジュールによって、複数のセンシング生データを生成するために、前記複数のタッチディスプレイユニットのそれぞれに対応する物理領域を感知すること;
前記複数のタッチディスプレイユニットのタッチMCUのそれぞれによって、前記複数のセンシング生データを受信すること;
前記複数のタッチディスプレイユニットの(n-1)番目のタッチMCUによって、前記物理領域のオーバーラップ領域に対応する複数のオーバーラップセンシング生データをn番目のタッチMCUにパスすること;及び
前記複数のタッチディスプレイユニットの前記タッチMCUのそれぞれによって、前記物理領域に対応する前記複数のセンシング生データと、前記オーバーラップ領域に対応する前記複数のオーバーラップセンシング生データに従って、処理領域のタッチ位置に対応する座標情報を決定すること;
を含む。
【0006】
本発明の別の実施形態は、タッチディスプレイ統合デバイスを開示している。タッチディスプレイ統合デバイスは、複数のタッチディスプレイユニットを含む。ここで、前記複数のタッチディスプレイユニットは連結され、且つ前記複数のタッチディスプレイユニットのそれぞれは、
前記複数のタッチディスプレイユニットのそれぞれに対応する物理領域を感知して複数のセンシング生データを生成するように構成されたセンシングモジュール;
前記複数のセンシング生データを受信するように、及び前記物理領域に対応する前記複数のセンシング生データ及びオーバーラップ領域に対応する複数のオーバーラップセンシング生データに従って、処理領域のタッチ位置に対応する座標情報を決定するように、構成されたタッチマイクロコントローラユニット(MCU);
を含む;ここで、前記物理領域の前記オーバーラップ領域に対応する複数の前記オーバーラップセンシング生データは、前記複数のタッチディスプレイユニットの(n-1)番目のタッチMCUによってn番目のタッチMUCにパスされる。
【0007】
本発明のこれら及び他の目的は、様々な図及び図面に示されている好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後、当業者には間違いなく明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態による大型タッチディスプレイ統合(LTDI)デバイスの概略図である。
図2図2は、本発明の一実施形態による、複数のタッチディスプレイユニット及び複数の物理領域のマッピングの概略図である。
図3図3は、本発明の一実施形態による、各タッチディスプレイユニットの処理領域の概略図である。
図4図4は、本発明の一実施形態によるLTDIデバイスの解像度の概略図である。
図5図5は、本発明の一実施形態によるLTDIデバイス上のタッチ例の概略図である。
図6図6は、本発明の一実施形態によるタッチ信号処理プロセスの概略図である。
図7図7及び図8は、本発明の別の実施形態によるパネルの概略図である。
図8図7及び図8は、本発明の別の実施形態によるパネルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態による大型タッチディスプレイ統合(LTDI)デバイス10である図1を参照されたい。LTDIデバイス10は、パネル102、プリント回路基板(PCB)104、及びホストシステム106を包含する。PCB104は、パネル102を制御するためのレベルシフター、タイミングコントローラ(TCON)、及びパワーICを包含することができるが、これらに限定されない。パネル102は、インセル液晶ディスプレイ(LDC)パネルであり得る。これは、複数のタッチディスプレイユニット102_0-102_iを包含し、ここで、タッチディスプレイユニット102_0-102_iは、感知及び表示のために連結されている。タッチディスプレイユニット102_0-102_iのそれぞれは、センシングモジュール、タッチアナログフロントエンド(AFE)、及びタッチマイクロコントローラユニット(MCU)を包含し得る。センシングモジュールは、タッチディスプレイユニットのそれぞれに対応する物理領域を感知して、複数のセンシング生データを生成するように構成される。タッチMCUは、センシング生データを受信するように、及び物理領域に対応するセンシング生データと、オーバーラップ領域に対応する複数のオーバーラップセンシング生データとに従って、処理領域のタッチ位置に対応する座標情報を決定するように構成されている。タッチディスプレイユニット102_0-102_iの各々のタッチMCUは、センシング生データを収集及び処理して、タッチ位置の座標情報を決定し、次に、座標情報をマスタータッチディスプレイユニットに送信するように構成される。図1の実施形態では、タッチディスプレイユニット102_0は、マスタータッチMCUを有するマスタータッチディスプレイユニットである。特に、本発明の実施形態によるマスタータッチディスプレイユニットのマスタータッチMCUは、他のタッチディスプレイユニットから座標情報を収集し、タッチディスプレイユニット102_0-102_iのタッチMCU間の接合部を処理することができる。
【0010】
詳細には、本発明の実施形態による、タッチディスプレイユニット102_0-102_i及び対応する物理領域PA_0-PA_iのマッピングの概略図である図2を参照されたい。図2では、パネル102は、タッチディスプレイユニット102_0-102_iの列を含み、これらは、それぞれ、物理領域PA_0-PA_iに対応することができる。言い換えれば、物理領域PA_0-PA_iは、LTDIデバイス10のパネル102に対応し得る。さらに、タッチディスプレイユニット102_10_102_iは、連結され、且つシリアルペリフェラルインターフェース(SPI)を介してマスタータッチユニット102_0に接続されている。したがって、マスタータッチユニット102_0は、他のタッチディスプレイユニット102_1-102_iから座標情報を収集する、タッチディスプレイユニット102_0-102_iのタッチMCU間の接合部を処理する、且つ処理されたタッチ情報をホストシステム106に送信することができる。
【0011】
図3は、本発明の一実施形態による、タッチディスプレイユニット102_0-102_iのそれぞれの処理領域の概略図である。図3に示すように、マスタータッチディスプレイユニット102_0の処理領域PAR_0は、オーバーラップ領域OA_0を包含する、マスタータッチディスプレイユニット102_0の物理領域と同一である。オーバーラップ領域OA_0に対応するセンシング生データは、タッチディスプレイユニット102_1のタッチMCUに送信される。タッチディスプレイユニット102_1の処理領域PAR_1は、オーバーラップ領域OA_0と物理領域PA_1とを包含し、且つ物理領域PA_1は、オーバーラップ領域OA_1を包含する。オーバーラップ領域OA_1に対応するセンシング生データは、タッチディスプレイユニット102_2のタッチMCUに送信される。同様に、タッチディスプレイユニット102_2の処理領域PAR_2は、オーバーラップ領域OA_1と物理領域PA_2とを包含し、ここで、物理領域PA_2は、オーバーラップ領域OA_2を包含する。オーバーラップ領域OA_2に対応するセンシング生データは、タッチディスプレイユニット102_3のタッチMCUに送信される。したがって、物理領域のオーバーラップ領域に対応するオーバーラップセンシング生データは、(n-1)番目のタッチMCUによってn番目のタッチMCUにパスされる。換言すれば、タッチディスプレイユニット102_0-102_iのタッチMCUのそれぞれは、センシングモジュールから物理領域に対応するセンシング生データを受信し、且つ、オーバーラップ領域を次のタッチMCUに同時に送信する。
【0012】
次に、タッチディスプレイユニット102_0-102_iのタッチMCUのそれぞれは、対応する処理領域のタッチ位置に対応する座標情報を決定するように構成される。詳細には、タッチ位置が対応するタッチディスプレイユニットのレポート領域にある場合、対応するタッチMCUは、レポート領域内のタッチ位置に対応する座標情報を、マスタータッチ表示部102_0のマスタータッチMCUに報告するように構成されている。一実施形態では、n番目のタッチMCUのレポート領域は、(n-1)番目のタッチMCUのオーバーラップ領域の一部と(n+1)番目のタッチMCUのオーバーラップ領域の一部で構成される。たとえば、図3に示すように、タッチディスプレイユニット102_1のタッチMCUのレポート領域RA_1は、オーバーラップ領域OA_0の半分とオーバーラップ領域OA_1の半分で構成されている。同様に、タッチディスプレイユニット102_2のタッチMCUのレポート領域RA_2は、オーバーラップ領域OA_1の半分とオーバーラップ領域OA_2の半分で構成されている。特に、マスタータッチMCUの負荷をオフロードするためのタッチ情報を決定するため、オーバーラップ領域OA_0のセンシングデータは、タッチディスプレイユニット102_1のタッチMCUにパスされ、タッチディスプレイユニット102_0のマスタータッチMCUのレポート領域RA_0は、オーバーラップ領域OA_0を含まない物理領域PA_0のみで構成されるようになっている。
【0013】
タッチ情報を決定するために、タッチディスプレイユニット102_0-102_iのタッチMCUのそれぞれは、処理領域の少なくとも有効なブロックを決定し、処理領域の少なくとも有効なブロックをクラスタ化して、パネル102上のタッチを区別するように構成される。 タッチディスプレイユニットの1つ又は複数のピクセルであり得る。ここで、ブロックは、タッチディスプレイユニットの1つ又は複数のピクセルであり得る。次に、クラスタについて、少なくとも有効なブロックの各クラスタの重心座標(a center coordinate of gravity)が決定される。
【0014】
各クラスタの重心座標が対応する処理領域のレポート領域に属する場合、各クラスタの重心座標は、マスタータッチ表示部102_0のマスタータッチMCUに報告される。このように、マスタータッチディスプレイユニット102_0のマスタータッチMCUは、タッチディスプレイユニット102_110_iの各タッチMCUからのタッチ位置に対応する座標情報を配置する、及びLTDIデバイス10のホストシステム106にタッチ位置を収集するように通知するように構成される。
【0015】
特に、タッチディスプレイユニット102_0-102_iの報告領域は互いに重ならないので、タッチの座標を報告する繰り返しが回避される。さらに、タッチディスプレイユニット102_0-102_iのオーバーラップ領域は、必ずしも物理領域の半分である必要はなく、物理領域の半分以下のオーバーラップ領域は、本発明に適用可能である。したがって、タッチディスプレイユニット102_0-102_iのそれぞれに対応するレポート領域は、タッチディスプレイユニット102_0-102_iのそれぞれに対応する処理領域より小さいか、等しい。したがって、指で触れることによって押されたオーバーラップ領域は、それに応じて感知され得る。
【0016】
一実施形態では、図4に示すように、各タッチディスプレイユニットのチャネルが、1920*1080の解像度で32*20であると仮定する。マスタータッチディスプレイユニット102_0のマスタータッチMCUの場合、マスタータッチディスプレイユニット102_0に対応するレポート領域RA_0は、x軸方向に0から(1920-480)、y軸方向に0-1080である。タッチディスプレイユニット102_1のタッチMCUの場合、タッチディスプレイユニット102_1に対応するレポート領域RA_1は、x軸方向に-480から(1920ー480)、y軸方向に0-1080である。タッチディスプレイユニット102_iのタッチMCUの場合、タッチディスプレイユニット102_iに対応するレポート領域RA_iは、x軸方向に-480から1920、y軸方向に0-1080である。
【0017】
一実施形態では、物理領域のオーバーラップ領域の水平方向の幅は、最大の支持可能なタッチ領域の直径よりも大きい。タッチ領域がオーバーラップ領域よりも大きい場合、タッチディスプレイユニット102_0-102_iのタッチMCUは、タッチ位置に対応する座標情報を報告しないように構成されている。パネルのセンサーピッチが4ミリメートル(mm)であり、物理領域のオーバーラップ領域の水平方向の幅(つまり、y軸方向)が32mmであると想定する。言い換えれば、パネル102の8つを超える連続するチャネル(すなわち、クラスタ)のセンシング値がセンシング閾値よりも高い場合、クラスタは部分的な手のひらと見なされる場合があり、マスターディスプレイユニット102_0のマスタータッチMCUに報告されない。つまり、タッチ領域がオーバーラップ領域よりも大きい場合、2つの連結されたタッチディスプレイユニット間の接合部は、タッチ情報を感知し、タッチ情報を部分的な手のひらと見なし、且つセンシング生データをマスタータッチMCUに報告しない場合がある。
【0018】
別の実施形態では、クラスタのタッチ領域が8つの連続するチャネルよりも小さい場合、すなわち、タッチ領域がオーバーラップ領域よりも小さい場合、タッチ領域全体は、タッチディスプレイユニットのワンタッチMCUによって検出され、マスタータッチMCUに報告される。
【0019】
図5は、本発明の実施形態によるLTDIデバイス10上のタッチ例の概略図である。オーバーラップ領域OA_1には、直径66mmのタッチ領域TA_Aが位置決めされる。タッチ領域TA_Aはオーバーラップ領域OA_1よりも大きいため、タッチ領域TA_Aは部分的な手のひらとみなされ、且つマスタータッチディスプレイユニット102_0のマスタータッチMCUに報告されない。直径32mmのタッチ領域TA_B、TA_Cは、オーバーラップ領域OA_0に位置決めされ、且つオーバーラップ領域OA_0よりも小さい。タッチ領域TA_B、TA_Cの重心座標は処理領域PA_1に位置決めされるため、タッチ領域TA_B、TA_Cは、タッチディスプレイユニット102_1のタッチMCUによって報告される。直径32mmのタッチ領域TA_Dはオーバーラップ領域OA_0に位置決めされ、且つオーバーラップ領域OA_0よりも小さい。タッチ領域TA_Dの重心座標は処理領域PA_0に位置決めされているため、タッチ領域TA_Dは、マスタータッチディスプレイユニット102_0のマスタータッチMCUによって報告される。
【0020】
LTDIデバイス10の操作方法は、セットアップ構成のためのタッチ信号処理プロセス60として要約され得、図6に示される。LTDIデバイス10のタッチ信号処理プロセス60は、以下のステップを包含する。:
ステップ602: スタート(Start)。
ステップ604: タッチディスプレイユニット102_0-102_iのそれぞれに対応する物理領域を感知して、センシング生データを生成する。
ステップ606: センシング生データを受信する。
ステップ608: 物理領域のオーバーラップ領域に対応するオーバーラップセンシング生データをn番目のタッチMCUにパスする。
ステップ610: 物理領域に対応するセンシング生データ及びオーバーラップ領域に対応するオーバーラップセンシング生データに従って、処理領域のタッチ位置に対応する座標情報を決定する。
ステップ612: エンド(End)。
【0021】
上記の実施形態は、LTDIデバイス10のパネル102が、1列の連結されたタッチディスプレイユニット102_0-102_iを包含することを示している。別の実施形態では、パネルは、連結されたタッチディスプレイユニットの複数の列を包含し得る。本発明の実施形態によるパネル702の概略図である図7を参照されたい。パネル702は、パネル102の別の実施形態であり、連結されたタッチディスプレイユニット102_00から102_ijの複数の行(rows)0-i及び列(columns)0-jを包含する。図7に示されるように、行(row)0は、連結されたタッチディスプレイユニット102_00-102_0iを包含し、row_1には連結されたタッチディスプレイユニット102_10-102_1iを包含し、行(row)iは連結されたタッチディスプレイユニット102_0j-102_ijを包含し、タッチディスプレイユニット102_00-102_ijのそれぞれはSPIを介して接続されている。
【0022】
上記の実施形態とは異なり、パネル702のタッチディスプレイユニット102_00~102_ijの行0~jのそれぞれは、第1のタイミングで、オーバーラップ領域のセンシング生データをx軸方向で次のタッチディスプレイユニットにパスする。例えば、タッチディスプレイユニット102_10は、オーバーラップ領域OA_r0_12のセンシング生データをタッチディスプレイユニット102_20にパスし、且つ、タッチディスプレイユニット102_01は、オーバーラップ領域OA_r1_01のセンシング生データをタッチディスプレイユニット102_11にパスする。
【0023】
第2のタイミングで、図8に示されるように、パネル702のタッチディスプレイユニット102_00~102_ijの各列(column)は、オーバーラップ領域のセンシング生データを次のタッチディスプレイユニットにパスする。例えば、タッチディスプレイユニット102_00は、オーバーラップ領域OA_c0_01のセンシング生データをタッチディスプレイユニット102_01にパスし、且つ、タッチディスプレイユニット102_10は、オーバーラップ領域OA_c1_01のセンシング生データをタッチディスプレイユニット102_11にパスする。あるいは、第1のタイミング及び第2のタイミングは同一であり得る。
【0024】
したがって、タッチディスプレイユニット102_00~102_ijのそれぞれは、対応する処理領域に基づいてタッチ位置を決定し、且つタッチ位置の重心座標が対応する処理領域のレポート領域に属している場合、決定されたタッチ位置の重心座標をマスタータッチディスプレイユニット102_00のマスタータッチMCUに報告する。
【0025】
このように、パネル702のマスタータッチディスプレイユニット102_00のマスタータッチMCUが、タッチディスプレイユニット102_00~102_ijからすべてのタッチ情報を収集した後、マスタータッチMCUは、タッチディスプレイユニット102_00~102_ijからのタッチ位置に対応する座標情報を配置する、及びLTDIデバイス10のホストシステム106にタッチ位置を収集するように通知するように構成される。
【0026】
特に、当業者は、異なる要件に従って、タッチ信号処理方法及びLTDIデバイスを適切に設計することができる。例えばオーバーラップ領域は、タッチディスプレイユニットとマスタータッチディスプレイの物理領域の半分に限定されない。他のタッチディスプレイユニットは、本発明に適用可能であり、それに限定されない。
【0027】
要約すると、本発明は、タッチ信号処理方法及び関連するLTDIデバイスを提供し、これは、分散構造を利用して、タッチディスプレイユニットのタッチMCUの計算負荷を均等にオフロードし、マスタータッチMCUの負荷をオフロードする。
【符号の説明】
【0028】
10 大型タッチディスプレイ統合(LTDI)デバイス
102 パネル
102_0-102_i 複数のタッチディスプレイユニット
104 プリント回路基板(PCB)
106 ホストシステム
60 タッチ信号処理プロセス
602、604、606、608、610、612 ステップ
702 パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8