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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】物流システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20230101AFI20230105BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021536446
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(86)【国際出願番号】 JP2019029405
(87)【国際公開番号】W WO2021019596
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河口 浩二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-105469(JP,A)
【文献】特表2019-516185(JP,A)
【文献】特開2013-041527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
B65G 1/00 - 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
倉庫に保管されている物品を該倉庫から配送先まで配送する配送車と連係した物流システムであって、
前記倉庫に配置された自動搬送装置と、
無線通信により前記自動搬送装置と情報をやり取りして該自動搬送装置の運行を管理する自動搬送装置サーバと、
複数の配送先にそれぞれ配置され、前記自動搬送装置サーバと無線通信が可能な第2自動搬送装置と、
無線通信により前記配送車と情報をやり取りして該配送車の運行を管理する配送車サーバと、
を備え、
前記自動搬送装置サーバは、指定の物品の指定の配送先への配送に係る要求を受信すると、前記自動搬送装置に出庫指示を送信し、前記配送車が前記倉庫の待機位置に到着したことに基づいて該配送車への物品の積込みが許可される積込み許可を受信すると、前記自動搬送装置に前記配送車への物品の積込み指示を送信し、前記自動搬送装置から物品の出庫が完了した旨の情報を受信すると、前記配送に係る要求の送信元に出庫の完了通知を送信するものであり、
前記自動搬送装置は、前記自動搬送装置サーバから前記出庫指示を受信すると、前記倉庫において前記指定の物品をピックアップし、前記自動搬送装置サーバから前記積込み指示を受信すると、前記倉庫の待機位置で待機している前記配送車に前記ピックアップした物品を積み込み、積み込み作業が完了すると、出庫が完了した旨の情報を前記自動搬送装置サーバに送信するものであって
前記自動搬送装置サーバは、更に、前記複数の配送先のうち前記指定の配送先に前記配送車が到着したことに基づいて該配送車からの物品の荷下ろしが許可される荷下ろし許可を受信すると、前記指定の配送先に配置された第2自動搬送装置に荷下ろし指示を送信し、前記第2自動搬送装置から荷下ろし作業が完了した旨の情報を受信すると、前記配送に係る要求の送信元に配送の完了通知を送信するものであり、
前記第2自動搬送装置は、前記自動搬送装置サーバから前記荷下ろし指示を受信すると、前記指定の配送先の待機位置に待機している配送車から物品を荷下ろしし、荷下ろし作業が完了すると、荷下ろし作業が完了した旨の情報を前記自動搬送装置サーバに送信するものであり、
前記配送車は、前記倉庫の待機位置に到着すると、前記倉庫の待機位置に到着した旨の情報を前記配送車サーバに送信し、前記配送先の待機位置に到着すると、前記配送先の待機位置に到着した旨の情報を前記配送車サーバに送信し、
前記配送車サーバは、前記配送車から前記倉庫の待機位置に到着した旨の情報を受信すると、前記積込み許可を前記自動搬送装置サーバへ送信し、前記配送車から前記配送先の待機位置に到着した旨の情報を受信すると、前記荷下ろし許可を前記自動搬送装置サーバへ送信する、
物流システム。
【請求項2】
請求項に記載の物流システムであって、
前記自動搬送装置は、前記倉庫において前記指定の物品が搭載された台車をピックアップして搬送するものであり、
前記出庫指示は、前記指定の物品が前記台車に移載された際に該指定の物品の識別情報と関連付けられた前記台車の識別情報と該台車の待機位置とを少なくとも含み、
前記自動搬送装置は、前記出庫指示を受信すると、前記台車の待機位置において該台車から識別情報を読み取ると共に読み取った識別情報が前記出庫指示に含まれる台車の識別情報と一致するのを確認してから前記台車を搬送する、
物流システム。
【請求項3】
請求項に記載の物流システムであって、
前記配送車は、複数の前記台車を収容可能であり、
前記積込み指示は、前記台車の識別情報と前記台車の積込み順序と前記配送車の待機位置とを少なくとも含む、
物流システム。
【請求項4】
請求項またはに記載の物流システムであって、
前記荷下ろし指示は、前記台車の識別情報と前記配送車の待機位置とを少なくとも含む、
物流システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、物流システムについて開示する。
【背景技術】
【0002】
従来より、顧客が注文した商品を配送先へ配送するためのシステムが知られている。例えば、特許文献1には、宛先の指定を伴って顧客から商品の注文があると、注文された商品は、運搬管理施設において在庫から選び出されて集荷場所(中継基地)へ輸送され、集荷場所に到着すると、運送業者によって集荷場所から回収されて最終宛先へ配達されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2015-514256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、注文された商品が中継基地を経由して最終宛先へ輸送されることが記載されているものの、輸送の形態については言及されていない。近年、自動運転車の開発が活発になっており、自動運転車を活用したより効率的な物流システムの構築が望まれている。
【0005】
本開示は、自動運転が可能な配送車と連係したより効率的な物流システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の物流システムは、
倉庫に保管されている物品を該倉庫から配送先まで配送する配送車と連係した物流システムであって、
前記倉庫に配置された自動搬送装置と、
無線通信により前記自動搬送装置と情報をやり取りして該自動搬送装置の運行を管理する自動搬送装置サーバと、
を備え、
前記自動搬送装置サーバは、指定の物品の指定の配送先への配送に係る要求を受信すると、前記自動搬送装置に出庫指示を送信し、前記配送車が前記倉庫の待機位置に到着したことに基づいて該配送車への物品の積込みが許可される積込み許可を受信すると、前記自動搬送装置に前記配送車への物品の積込み指示を送信し、前記自動搬送装置から物品の出庫が完了した旨の情報を受信すると、前記配送に係る要求の送信元に出庫の完了通知を送信するものであり、
前記自動搬送装置は、前記自動搬送装置サーバから前記出庫指示を受信すると、前記倉庫において前記指定の物品をピックアップし、前記自動搬送装置サーバから前記積込み指示を受信すると、前記倉庫の待機位置で待機している前記配送車に前記ピックアップした物品を積み込み、積み込み作業が完了すると、出庫が完了した旨の情報を前記自動搬送装置サーバに送信するものである、
ことを要旨とする。
【0008】
この本開示の物流システムは、倉庫に保管されている物品を倉庫から配送先まで配送する配送車と連係したシステムである。物流システムは、倉庫に配置された自動搬送装置と、自動搬送装置と無線通信が可能な自動搬送装置サーバとを備える。自動搬送装置サーバは、指定の物品の指定の配送先への配送に係る要求を受信すると、自動搬送装置に出庫指示を送信する。また、自動搬送装置サーバは、配送車が倉庫の待機位置に到着したことに基づいて配送車への物品の積込みが許可される積込み許可を受信すると、自動搬送装置に配送車への物品の積込み指示を送信する。更に、自動搬送装置サーバは、自動搬送装置から物品の出庫が完了した旨の情報を受信すると、配送要求の送信元に出庫の完了通知を送信する。自動搬送装置は、自動搬送装置サーバから出庫指示を受信すると、倉庫において指定の物品をピックアップする。また、自動搬送装置は、自動搬送装置サーバから積込み指示を受信すると、倉庫の待機位置で待機している配送車にピックアップした物品を積み込み、積み込み作業が完了すると、出庫が完了した旨の情報を自動搬送装置サーバに送信する。これにより、物品のスムーズな自動出庫が可能となり、自動運転が可能な配送車を連係したより効率的な物流システムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】物流システムの構成の概略を示す構成図である。
図2】注文書データの一例を示す説明図である。
図3】在庫データの一例を示す説明図である。
図4】物流システムのシーケンス図である。
図5】物流システムのシーケンス図である。
図6】台車移載データの一例を示す説明図である。
図7】配送ルートデータの一例を示す説明図である。
図8】積込み指示書データの一例を示す説明図である。
図9】荷下ろし指示書データの一例を示す説明図である。
図10】荷下ろし指示書データの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本開示を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、物流システムの構成の概略を示す構成図である。物流システム10は、図示するように、小売店コンピュータ21と、販売管理サーバ30と、倉庫コンピュータ41と、AGVサーバ50と、AGV(Automated guided vehicle)51,52と、配送車サーバ60と、配送車61と、を備える。小売店コンピュータ21と販売管理サーバ30と倉庫コンピュータ41とAGVサーバ50と配送車サーバ60とは、互いにネットワーク11を介して接続されている。
【0012】
小売店コンピュータ21は、複数の小売店20(20A,20B)にそれぞれ設置されている。各小売店20A,20Bは、小売店コンピュータ21から販売管理サーバ30へ注文書データを送信することで販売管理サーバ30に対して商品42の注文を行なう。図2は、注文書データの一例を示す説明図である。図示するように、注文書データには、注文者(小売店)を識別するための注文者IDと、注文した商品42を識別するための商品IDと、注文した商品42の個数と、注文した商品42の配送希望日時とが含まれる。また、各小売店20A,20Bには、それぞれ配送された商品42を荷下ろしするためのAGV52が配置されている。
【0013】
販売管理サーバ30は、各小売店20A,20Bに対する商品42の販売を管理するためのサーバである。販売管理サーバ30は、各小売店20A,20Bの小売店コンピュータ21から注文書データを受信すると、倉庫40に保管されている商品42の在庫を確認して倉庫コンピュータ41に対して商品42の出庫準備指示を送信したり、AGVサーバ50に対して商品42の出庫指示を送信したり、配送車サーバ60に対して商品42の配送指示を送信したりする。販売管理サーバ30は、データベースを有する。このデータベースには、倉庫40に保管されている商品42の在庫を管理するための在庫データが記憶されている。図3は、在庫データの一例を示す説明図である。図示するように、在庫データには、商品IDと、商品42の中身と、商品42が保管されている保管棚の棚番号(棚No.)と、商品42の在庫数とが含まれる。
【0014】
倉庫コンピュータ41は、倉庫40に設置されている。倉庫40には、多数の商品42を保管する他、AGV51と台車43とが配置されている。台車43は、車輪付きの底板の上面に所定数(例えば4個)を限度として商品42を搭載可能である。倉庫コンピュータ41は、販売管理サーバ30から出庫準備指示を受信すると、倉庫40の作業者に対して出庫準備を指示する。出庫準備の指示には、注文書データに含まれる注文者ID(配送先)、商品IDおよび個数が含まれる他、在庫データに含まれる棚番号(棚No.)が含まれる。倉庫40の作業者は、倉庫コンピュータ41から出庫準備が指示されると、注文の商品42を必要な数だけ保管棚から取り出して台車43に移載する。なお、一の注文者が注文した商品42の全てが1つの台車43に入りきれない場合(本実施形態では、一の注文者が注文した商品42が4個を超える場合)には、作業者は、注文の商品42を複数の台車43にわけて移載する。なお、商品42の台車43への移載は、倉庫40に作業ロボットを設置することで、当該作業ロボットを用いて行なわれてもよい。台車43に移載された商品42は、台車43と共にAGV51によって搬送されることで、倉庫40から出庫される。
【0015】
AGVサーバ50は、無線通信によってAGV51,52と情報をやり取りして当該AGV51,52の運行を管理するためのサーバである。AGV51,52は、本実施形態では、床面を走行する床面走行式の自動搬送装置(無人搬送車)として構成されている。AGV51,52は、筐体上部に昇降可能な図示しないリフターを備える。AGV51,52は、台車43の底板下に潜り込み、リフターを上昇させることで、台車43を押し上げて床面から離間させ、その状態で走行することで、台車43を移動させることができる。なお、AGV51,52は、台車43と連結して走行することで、台車43を牽引するものとしてもよい。
【0016】
配送車サーバ60は、無線通信によって配送車61と情報をやり取りして当該配送車61の運行を管理するためのサーバである。配送車61は、本実施形態では、予め走行ルートを指定しておくことで、走行ルートに沿って自動走行が可能な自動運転車として構成されている。また、配送車61は、GPS(Global Positioning System)を備え、必要に応じて現在位置を取得し、配送車サーバ60へ送信する。
【0017】
配送車61には、台車43を所定数(例えば、3個)まで搭載可能な荷室62を備える。また、配送車61の車体後部には、荷室62への荷物の出し入れを補助するためのテールゲートリフタ63が装着されている。テールゲートリフタ63は、荷室62を開放した状態で車体に対して昇降可能であり、下降端まで下降したときに路面に沿った状態となり、上昇端まで上昇したとき荷室62の床面に沿った状態となる。したがって、AGV51,52は、テールゲートリフタ63が下降した状態で当該テールゲートリフタ63(上面)に移動することができ、この状態からテールゲートリフタ63が上昇することで、荷室62に移動することができる。すなわち、AGV51,52は、配送車61の荷室62に出入りすることができる。これにより、AGV51,52は、荷室62に対して商品42を搭載した台車43を出し入れすることができる。
【0018】
次に、こうして構成された物流システム10の動作について説明する。図4および図5は、物流システム10のシーケンス図である。
【0019】
図示するように、販売管理サーバ30は、複数の小売店20にそれぞれ設置された小売店コンピュータ21から注文書データを受信することで注文を受け付ける。販売管理サーバ30は、注文書データを受信すると、注文の商品42につき倉庫40に在庫があるか否かを在庫データを用いて調べ、在庫がない場合には、在庫がない旨を小売店コンピュータ21に送信する。一方、販売管理サーバ30は、在庫がある場合には、出庫準備指示を倉庫コンピュータ41に送信する。出庫準備指示を受信した倉庫コンピュータ41は、倉庫40内の作業者に対して注文の商品42の台車43への搭載を指示する。作業者は、注文の商品42を保管棚から取り出して台車43に移載し、予め定められた待機位置まで移動させると共に所持する携帯情報端末を用いて当該商品42に付されたバーコードと当該台車43に付されたバーコードとをそれぞれ読み取る。ここで、商品42のバーコードには、当該商品42の商品IDが含まれ、台車43のバーコードには、当該台車43の台車IDが含まれる。読み取られたバーコードデータは、倉庫コンピュータ41へ送信される。倉庫コンピュータ41は、受信した商品IDと台車IDとを互いに関連付けた台車移載データを作成し、作成した台車移載データを出庫準備完了報告と共に販売管理サーバ30へ送信する。図6は、台車移載データの一例を示す説明図である。図示するように、台車移載データには、商品IDと台車IDとが含まれる他、移載した商品42の個数や移載された台車44の待機位置(台車位置)が含まれる。
【0020】
販売管理サーバ30は、台車移載データを受信すると、受信した台車移載データに基づいて在庫データを更新する。在庫データの更新は、受信した台車移載データに示される商品IDと一致する商品IDの在庫数を台車移載データに示される個数分だけデクリメントすることにより行われる。また、販売管理サーバ30は、AGVサーバ50に搬送指示を送信する。搬送指示には、配送先(行先)と台車IDと搭載順とが含まれる。配送先は、注文書データから取得される。台車IDは、注文書データの商品IDと一致する商品IDを台車移載データから検索すると共に、検索した商品IDと関連付けられた台車IDを台車移載データから読み出すことにより取得される。搭載順は、配送車61の配送先が複数ある場合に当該配送車61の荷室62に搭載すべき複数の台車43の搭載順を意味する。ここで、AGV51,52を用いた配送車61に対する台車43の出し入れは、先入れ後出しによって行なわれる。このため、台車43の搭載順は、配送順とは逆の順序となるように定められる。さらに、販売管理サーバ30は、配送車サーバ60に配送指示を送信する。配送指示には、本実施形態では、搬送指示と同様に、配送先(行先)と台車IDと搭載順とが含まれる。
【0021】
配送車サーバ60は、配送指示を受信すると、複数の配送車61の中から配送に用いる配送車61を選択(例えば、待機中の配送車61のうち最も倉庫40に近いものを選択)すると共に選択した配送車61の配送ルートを作成し、配送車61に対して倉庫40への移動指示を送信する。図7は、配送ルートの一例を示す説明図である。配送ルートには、配送先(行先)と搭載する台車43の台車IDと各台車43の搭載順とが含まれる。なお、搭載順として「不問」は、どの順序で台車43が搭載されてもよいことを意味する。また、配送車サーバ60は、配送車61の現在位置を受信し、受信した現在位置に基づいて配送車61が倉庫40に到着するまでの到着予想時間を計算する。そして、配送車サーバ60は、配送手配が完了した旨の配送手配完了報告をAGVサーバ50に送信する。なお、配送手配完了報告には、どの配送車61に台車43を積込むのかの情報や倉庫40への到着予想時間が含まれる。どの配送車61に積込むのかの情報は、AGVサーバ50によって決定されてもよい。
【0022】
配送車61は、配送車サーバ60から移動指示を受信すると、倉庫40へ向かって移動し、倉庫40に到着すると、到着報告を配送車サーバ60に送信する。到着報告には、倉庫40における配送車61の駐車位置(配送車位置)が含まれる。配送車サーバ60は、配送車61から到着報告を受信すると、配送車61への台車43の積込みを許可する積込み許可をAGVサーバ50に送信する。積込み許可には、どの配送車61に台車43を積み込むかの情報や配送車位置が含まれる。
【0023】
AGVサーバ50は、販売管理サーバ30から出庫指示を受信し、且つ、配送車サーバ60から配送手配完了報告を受信すると、AGV51の搬送ルートを作成し、AGV51に搬送指示を送信する。搬送指示には、台車IDと台車位置と到着予想時間とが含まれる。AGV51は、搬送指示を受信すると、台車位置まで移動し、台車位置で待機している台車43のバーコードを読み取ることで台車IDの照合を行なってから台車43をピックアップして倉庫40における配送車61の駐車場へ移動する。
【0024】
また、AGVサーバ50は、配送車サーバ60から積込み許可を受信すると、台車43を配送車61に積込む積込み指示(積込み指示書データ)をAGV51に送信する。図8は、積込み指示書データの一例を示す説明図である。図示するように、積込み指示書データには、搭載先(どの配送車61に台車43を積み込むかの情報)と台車IDと搭載順と配送車位置とが含まれる。AGV51は、AGVサーバ50から積込み指示を受信し、配送車位置に到着すると、配送車位置に待機している配送車61にテールゲートリフタ63の開放を指示する。配送車61は、テールゲートリフタ63を開放し、テールゲートリフタ63の開放が完了すると、完了報告をAGV51に送信する。AGV51は、完了報告を受信すると、配送車61の荷室62に移動して台車43を荷室62に積込み、荷室62から退出する。そして、AGV51は、台車43の積込みが完了すると、積込み作業が完了した旨の積込み完了報告をAGVサーバ50に送信する。なお、積込み完了報告には、積込み完了時間が含まれる。AGVサーバ50は、積込み完了報告を受信すると、積込み完了報告を配送車サーバ60に送信すると共に、出庫が完了した旨の出庫完了報告を販売管理サーバ30に送信する。出庫完了報告には、出庫完了時間(積込み完了時間)が含まれる。
【0025】
配送車サーバ60は、AGVサーバ50から積込み完了報告を受信すると、配送先への移動指示を配送車61に送信する。配送車61は、移動指示を受信すると、テールゲートリフタ63を閉鎖し、指定の配送先に向かって移動を開始する。そして、配送車61は、配送先である小売店に到着すると、到着報告を配送車サーバ60に送信する。到着報告には、配送先の小売店における配送車61の駐車位置(配送車位置)が含まれる。配送車サーバ60は、到着報告を受信すると、配送車61の荷室62からの荷下ろしを許可する荷下ろし許可をAGVサーバ50に送信する。荷下ろし許可には、どの配送車61の荷下ろしをするかの情報や配送車位置が含まれる。
【0026】
AGVサーバ50は、荷下ろし許可を受信すると、指定の配送先(小売店)に配置されているAGV52に対して荷下ろし指示(荷下ろし指示書データ)を送信する。図9および図10は、荷下ろし指示書データの一例を示す説明図である。なお、図9は、小売店20Aにおける荷下ろし指示書データを示し、図10は、小売店20Bにおける荷下ろし指示書データを示す。図示するように、荷下ろし指示書データには、配送先ごとに作成され、それぞれ、どの配送車61の荷下ろしをするかの情報(配送車ID)と荷下ろしした台車43をどの場所に置くかの情報(搭載先)とが含まれる他、台車IDと配送車位置とが含まれる。AGV52は、荷下ろし指示書データを受信すると、配送先の小売店20における配送車位置に移動し、配送車位置に到着すると、配送車61にテールゲートリフタ63の開放を指示する。配送車61は、テールゲートリフタ63を開放し、テールゲートリフタ63の開放が完了すると、完了報告をAGV52に送信する。AGV52は、完了報告を受信すると、配送車61の荷室から台車43の荷下ろしを行なう。AGV52は、台車43の荷下ろしが完了すると、荷下ろし作業が完了した旨の荷下ろし完了報告をAGVサーバ50に送信する。ここで、荷下ろし完了報告には、台車43を置いた位置などが含まれる。AGVサーバ50は、荷下ろし完了報告を受信すると、荷下ろし完了報告を配送車サーバ60に送信すると共に、配送が完了した旨の配送完了報告を販売管理サーバ30に送信する。なお、荷下ろし完了報告には、荷下ろし完了時間が含まれる。配送車サーバ60は、荷下ろし完了報告を受信すると、次の配送先がある場合には次の配送先への移動指示を配送車61に送信する。販売管理サーバ30は、配送完了報告を受信すると、納品が完了した旨の納品完了報告を注文した小売店の小売店コンピュータ21に送信する。納品完了報告には、納品完了時間(荷下ろし完了時間)が含まれる。
【0027】
ここで、実施形態の主要な要素と請求の範囲に記載した本開示の主要な要素との対応関係について説明する。即ち、倉庫40が倉庫に相当し、配送車61が配送車に相当し、AGV51が自動搬送装置に相当し、AGVサーバ50が自動搬送装置サーバに相当する。また、AGV52が第2自動搬送装置に相当する。また、配送車サーバ60が配送車サーバに相当する。
【0028】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0029】
例えば、上述した実施形態では、販売管理サーバ30が倉庫40に保管されている商品42の在庫を管理するものとした。しかし、倉庫コンピュータ41が商品42の在庫を管理するものとしてもよい。
【0030】
また、上述した実施形態では、物流システム10は、AGV51,52の運行を管理するためのAGVサーバ50と、配送車61の運行を管理するための配送車サーバ60とを備えるものとした。しかし、物流システムは、AGV51,52の運行管理と配送車61の運行管理とを単一のサーバで行なうものとしてもよい。
【0031】
また、上述した実施形態では、物流システム10は、倉庫40と小売店20(配送先)とにそれぞれAGVを配置するものとした。しかし、AGVは、倉庫40に到着した配送車61の荷室62に台車43ごと乗り込み、当該配送車61によって台車43ごと配送されてもよい。この場合、AGVは、配送車61が配送先に装着すると、そのまま荷室62から降りることにより荷下ろし作業を行なうことができる。
【0032】
また、上述した実施形態では、販売管理サーバ30は、出庫準備完了報告を受信した後に配送車サーバ60に配送指示を送信するものとしたが、出庫準備完了報告を受信する前に配送車サーバ60に配送指示を送信してもよい。この場合、配送車サーバ60は、台車IDや台車位置が不明であるため、配送ルートを作成することはできないが、配送ルートの作成に先行して配送車61に倉庫40への移動を指示することはできる。
【0033】
以上説明したように、本開示の物流システムは、倉庫に保管されている物品を該倉庫から配送先まで配送する配送車と連係した物流システムであって、前記倉庫に配置された自動搬送装置と、無線通信により前記自動搬送装置と情報をやり取りして該自動搬送装置の運行を管理する自動搬送装置サーバと、を備え、前記自動搬送装置サーバは、指定の物品の指定の配送先への配送に係る要求を受信すると、前記自動搬送装置に出庫指示を送信し、前記配送車が前記倉庫の待機位置に到着したことに基づいて該配送車への物品の積込みが許可される積込み許可を受信すると、前記自動搬送装置に前記配送車への物品の積込み指示を送信し、前記自動搬送装置から物品の出庫が完了した旨の情報を受信すると、前記配送に係る要求の送信元に出庫の完了通知を送信するものであり、前記自動搬送装置は、前記自動搬送装置サーバから前記出庫指示を受信すると、前記倉庫において前記指定の物品をピックアップし、前記自動搬送装置サーバから前記積込み指示を受信すると、前記倉庫の待機位置で待機している前記配送車に前記ピックアップした物品を積み込み、積み込み作業が完了すると、出庫が完了した旨の情報を前記自動搬送装置サーバに送信するものであることを要旨とする。
【0034】
この本開示の物流システムは、倉庫に保管されている物品を倉庫から配送先まで配送する配送車と連係したシステムである。物流システムは、倉庫に配置された自動搬送装置と、自動搬送装置と無線通信が可能な自動搬送装置サーバとを備える。自動搬送装置サーバは、指定の物品の指定の配送先への配送に係る要求を受信すると、自動搬送装置に出庫指示を送信する。また、自動搬送装置サーバは、配送車が倉庫の待機位置に到着したことに基づいて配送車への物品の積込みが許可される積込み許可を受信すると、自動搬送装置に配送車への物品の積込み指示を送信する。更に、自動搬送装置サーバは、自動搬送装置から物品の出庫が完了した旨の情報を受信すると、配送要求の送信元に出庫の完了通知を送信する。自動搬送装置は、自動搬送装置サーバから出庫指示を受信すると、倉庫において指定の物品をピックアップする。また、自動搬送装置は、自動搬送装置サーバから積込み指示を受信すると、倉庫の待機位置で待機している配送車にピックアップした物品を積み込み、積み込み作業が完了すると、出庫が完了した旨の情報を自動搬送装置サーバに送信する。これにより、物品のスムーズな自動出庫が可能となり、自動運転が可能な配送車を連係したより効率的な物流システムとすることができる。
【0035】
こうした本開示の物流システムにおいて、複数の配送先にそれぞれ配置され、前記自動搬送装置サーバと無線通信が可能な第2自動搬送装置を備え、前記自動搬送装置サーバは、更に、前記複数の配送先のうち前記指定の配送先に前記配送車が到着したことに基づいて該配送車からの物品の荷下ろしが許可される荷下ろし許可を受信すると、前記指定の配送先に配置された第2自動搬送装置に荷下ろし指示を送信し、前記第2自動搬送装置から荷下ろし作業が完了した旨の情報を受信すると、前記配送に係る要求の送信元に配送の完了通知を送信するものであり、前記第2自動搬送装置は、前記自動搬送装置サーバから前記荷下ろし指示を受信すると、前記指定の配送先の待機位置に待機している配送車から物品を荷下ろしし、荷下ろし作業が完了すると、荷下ろし作業が完了した旨の情報を前記自動搬送装置サーバに送信するものであるものとしてもよい。こうすれば、物品の荷下ろしの自動化も可能となり、物流システムをさらに効率化することができる。
【0036】
また、本開示の物流システムにおいて、無線通信により前記配送車と情報をやり取りして該配送車の運行を管理する配送車サーバを備え、前記配送車は、前記倉庫の待機位置に到着すると、前記倉庫の待機位置に到着した旨の情報を前記配送車サーバに送信し、前記配送先の待機位置に到着すると、前記配送先の待機位置に到着した旨の情報を前記配送車サーバに送信し、前記配送車サーバは、前記配送車から前記倉庫の待機位置に到着した旨の情報を受信すると、前記積込み許可を前記自動搬送装置サーバへ送信し、前記配送車から前記配送先の待機位置に到着した旨の情報を受信すると、前記荷下ろし許可を前記自動搬送装置サーバへ送信するものとしてもよい。こうすれば、自動搬送装置サーバと配送車サーバとの連携により、物品を配送車にスムーズに受け渡すことができる。
【0037】
また、本開示の物流システムにおいて、前記自動搬送装置は、前記倉庫において前記指定の物品が搭載された台車をピックアップして搬送するものであり、前記出庫指示は、前記指定の物品が前記台車に移載された際に該指定の物品の識別情報と関連付けられた前記台車の識別情報と該台車の待機位置とを少なくとも含み、前記自動搬送装置は、前記出庫指示を受信すると、前記台車の待機位置において該台車から識別情報を読み取ると共に読み取った識別情報が前記出庫指示に含まれる台車の識別情報と一致するのを確認してから前記台車を搬送するものとしてもよい。こうすれば、物品(台車)の積込みミスの発生を抑制することができる。この場合、前記配送車は、複数の前記台車を収容可能であり、前記積込み指示は、前記台車の識別情報と前記台車の積込み順序と前記配送車の待機位置とを少なくとも含むものとしてもよい。また、これらの場合、前記荷下ろし指示は、前記台車の識別情報と前記配送車の待機位置とを少なくとも含むものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本開示は、物流システムの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 物流システム、11 ネットワーク、20,20A,20B 小売店、21 小売店コンピュータ、30 販売管理サーバ、40 倉庫、41 倉庫コンピュータ、42 商品、43 台車、50 AGVサーバ、51,52 AGV、60 配送車サーバ、61 配送車、62 荷室、63 テールゲートリフタ。
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