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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】指向性ディスプレイ用の光学積層体
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20230106BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20230106BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20230106BHJP
   G09F 9/35 20060101ALI20230106BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230106BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20230106BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20230106BHJP
   H10K 59/00 20230101ALI20230106BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20230106BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230106BHJP
【FI】
G09F9/30 349E
G02F1/13363
G02F1/13357
G09F9/35
G09F9/00 336E
G09F9/00 336J
H05B33/02
H05B33/14 A
H01L27/32
G02B5/30
F21S2/00 435
F21S2/00 438
F21S2/00 433
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2019561773
(86)(22)【出願日】2018-05-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-09
(86)【国際出願番号】 US2018031218
(87)【国際公開番号】W WO2018208619
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-04-23
(31)【優先権主張番号】62/502,939
(32)【優先日】2017-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/544,189
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/559,187
(32)【優先日】2017-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/565,836
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/582,052
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/582,030
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/592,085
(32)【優先日】2017-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/622,001
(32)【優先日】2018-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/634,168
(32)【優先日】2018-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/641,657
(32)【優先日】2018-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/646,550
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516384542
【氏名又は名称】リアルディー スパーク エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン、マイケル ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ウッドゲート、グラハム ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ラムゼイ、ロバート エー.
(72)【発明者】
【氏名】ハロルド、ジョナサン
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/008406(WO,A1)
【文献】特開2006-139160(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0040565(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0378085(US,A1)
【文献】特開2014-099363(JP,A)
【文献】特開2009-104008(JP,A)
【文献】特開2012-247748(JP,A)
【文献】特開平10-012024(JP,A)
【文献】国際公開第2008/143256(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0262258(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0001600(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H01L 27/32
51/50
H05B 33/00-33/28
G02B 5/00-5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間光変調器と、
前記空間光変調器の側面上に配設されたディスプレイ偏光器と、
前記ディスプレイ偏光器と同じ前記空間光変調器の側面上に配設された追加の偏光器であって、前記追加の偏光器が、前記ディスプレイ偏光器の電気ベクトル伝達方向に平行な前記電気ベクトル伝達方向を有する、追加の偏光器と、
前記追加の偏光器と前記ディスプレイ偏光器との間に配設された一対の受動リターダであって、前記追加の偏光器と前記ディスプレイ偏光器との間には、他の受動リターダが配置されず、前記一対の受動リターダは、前記受動リターダの平面内に交差する遅相軸を有し、前記一対の受動リターダが、前記ディスプレイ偏光器の電気ベクトル伝達に平行な電気ベクトル伝達方向に対してそれぞれ45°及び135°で延在する遅相軸を有し、各受動リターダの550nmの波長の光のリターダンスが、600nm~850nmの範囲である、一対の受動リターダと、を備える、ディスプレイデバイス。
【請求項2】
空間光変調器と、
前記空間光変調器の側面上に配設されたディスプレイ偏光器と、
前記ディスプレイ偏光器と同じ前記空間光変調器の側面上に配設された追加の偏光器であって、前記追加の偏光器が、前記ディスプレイ偏光器の電気ベクトル伝達方向に平行な前記電気ベクトル伝達方向を有する、追加の偏光器と、
前記追加の偏光器と前記ディスプレイ偏光器との間に配設された一対の受動リターダであって、前記一対の受動リターダは、前記受動リターダの平面内に交差する遅相軸を有し、前記一対の受動リターダが、前記ディスプレイ偏光器の電気ベクトル伝達に平行な電気ベクトル伝達方向に対してそれぞれ45°及び135°で延在する遅相軸を有し、第1の言及した一対の受動リターダ間に配置され、前記受動リターダの前記平面内に交差する遅相軸を有する追加の一対の受動リターダを更に備え、前記追加の一対の受動リターダが、前記ディスプレイ偏光器の電気ベクトル伝達に平行な前記電気ベクトル伝達方向に対してそれぞれ0°及び90°で各々が延在する遅相軸を有し、各受動リターダの550nmの波長の光のリターダンスが、600nm~850nmの範囲である、一対の受動リターダと、を備える、ディスプレイデバイス。
【請求項3】
各受動リターダの550nmの波長の光のリターダンスが、650nm~730nmの範囲である、請求項1または2に記載のディスプレイデバイス。
【請求項4】
少なくとも1つの更なる受動リターダ及び更なる追加の偏光器を更に備え、前記少なくとも1つの更なる受動リターダが、前記追加の偏光器と前記更なる追加の偏光器との間に配設されている、請求項1~のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項5】
前記空間光変調器が透過型空間光変調器であり、前記ディスプレイデバイスが、光を出力するように配設されたバックライトを更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項6】
前記バックライトが、45度より大きい前記空間光変調器の法線に対する極角で輝度を提供し、前記輝度が、前記空間光変調器の前記法線に沿った前記輝度の多くても10%である、請求項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項7】
前記バックライトが、
光源のアレイと、
指向性導波路であって、
前記指向性導波路の側面に沿って横方向に延在する入力端であって、前記光源が、前記入力端に沿って配置され、入力光を前記指向性導波路に入力するように配設されている、入力端と、
前記指向性導波路に沿って前記入力端で光入力を誘導するために、前記入力端から前記指向性導波路にわたって延在する対向する第1及び第2のガイド表面であって、前記指向性導波路が、前記指向性導波路を通して導かれた入力光を偏向させて前記第1のガイド表面を通して出射するように配設されている、第1及び第2のガイド表面と、を含む、指向性導波路と、を含む、請求項又はに記載のディスプレイデバイス。
【請求項8】
前記バックライトが、光転向フィルムを更に含み、前記指向性導波路が平行化導波路である、請求項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項9】
前記平行化導波路が、
(i)複数の細長いレンチキュラー要素と、
(ii)複数の傾斜光抽出機構と、を含み、
前記複数の細長いレンチキュラー要素及び前記複数の傾斜光抽出機構が、前記指向性導波路を通して導かれた入力光を偏向させて前記第1のガイド表面を通して出射するように配向されている、請求項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項10】
前記指向性導波路は、前記光源からの出力光が、前記光源の入力位置に応じて分散される出力方向のそれぞれの光学窓内に方向付けられるように、前記光源を前記横方向に画像化するために配設された結像導波路である、請求項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項11】
前記結像導波路が、前記入力光を前記結像導波路に沿って反射し返す反射端を含み、前記第2のガイド表面が、前記反射された入力光を前記出力光として前記第1のガイド表面を通して偏向させるように配設され、
前記第2のガイド表面が、光抽出機構と、前記光抽出機構間の中間領域とを含み、前記光抽出機構が、前記反射された入力光を前記出力光として前記第1のガイド表面を通して偏向させるように配向され、前記中間領域が、光を抽出することなく前記結像導波路を通して光を方向づけるように配設され、
前記反射端が、前記第1のガイド表面と前記第2のガイド表面との間に延在する前記結像導波路の側面の間に延在している横方向に正の光パワーを有する、請求項10に記載のディスプレイデバイス。
【請求項12】
前記ディスプレイ偏光器が、前記バックライトと前記空間光変調器との間の前記空間光変調器の入力側上に配設された入力偏光器であり、前記追加の偏光器が、前記入力偏光器と前記バックライトとの間に配設されている、請求項11のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項13】
前記追加の偏光器が、反射型偏光器である、請求項12に記載のディスプレイデバイス。
【請求項14】
前記ディスプレイデバイスが、前記空間光変調器の出力側上に配設された出力偏光器を更に含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項15】
前記ディスプレイ偏光器が、前記空間光変調器の出力側上に配設された出力偏光器である、請求項1~14のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項16】
前記ディスプレイデバイスが、前記空間光変調器の入力側上に配設された入力偏光器を更に含む、請求項15に記載のディスプレイデバイス。
【請求項17】
前記空間光変調器の前記入力側上に配設された更なる追加の偏光器と、前記更なる追加の偏光器と前記入力偏光器との間に配設された少なくとも1つの更なる受動リターダと、を更に備える、請求項16に記載のディスプレイデバイス。
【請求項18】
前記空間光変調器が、発光型空間光変調器であり、前記ディスプレイ偏光器が、前記発光型空間光変調器の出力側上に配設された出力偏光器である、請求項1~のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項19】
前記ディスプレイデバイスが、車両内に配設されている、請求項1~18のいずれか一項に記載のディスプレイデバイス。
【請求項20】
前記ディスプレイデバイスが、前記車両内の透明窓の下に配設されている、請求項19に記載のディスプレイデバイス。
【請求項21】
前記ディスプレイデバイスが、前記車両内の座席の前方に配設されている、請求項19又は20に記載のディスプレイデバイス。
【請求項22】
空間光変調器とディスプレイ偏光器とを備えるディスプレイデバイスに適用するための視野角制御光学要素であって、制御偏光器と、前記視野角制御光学要素を前記ディスプレイデバイスに適用する際に、前記制御偏光器と前記ディスプレイ偏光器との間に配設するための一対の受動リターダと、を備え、前記視野角制御光学要素は、他の受動リターダを備えず、前記一対の受動リターダは、前記受動リターダの平面内に交差する遅相軸を有し、前記一対の受動リターダが、前記制御偏光器の電気ベクトル伝達に平行な電気ベクトル伝達方向に対してそれぞれ45°及び135°で延在する遅相軸を有し、各受動リターダの550nmの波長の光のリターダンスが、600nm~850nmの範囲である、視野角制御光学要素。
【請求項23】
空間光変調器とディスプレイ偏光器とを備えるディスプレイデバイスに適用するための視野角制御光学要素であって、制御偏光器と、前記視野角制御光学要素を前記ディスプレイデバイスに適用する際に、前記制御偏光器と前記ディスプレイ偏光器との間に配設するための一対の受動リターダと、を備え、前記一対の受動リターダは、前記受動リターダの平面内に交差する遅相軸を有し、前記一対の受動リターダが、前記制御偏光器の電気ベクトル伝達に平行な電気ベクトル伝達方向に対してそれぞれ45°及び135°で延在する遅相軸を有し、第1の言及した一対の受動リターダ間に配置され、前記受動リターダの平面内に交差する遅相軸を有する、追加の一対の受動リターダを更に備え、前記追加の一対の受動リターダが、前記制御偏光器の電気ベクトル伝達に平行な前記電気ベクトル伝達方向に対してそれぞれ0°及び90°で各々が延在する遅相軸を有し、各受動リターダの550nmの波長の光のリターダンスが、600nm~850nmの範囲である、視野角制御光学要素。
【請求項24】
各受動リターダの550nmの波長の光のリターダンスが、650nm~730nmの範囲である、請求項22または23に記載の視野角制御光学要素。
【請求項25】
少なくとも1つの更なる受動リターダ及び更なる追加の偏光器を更に備え、前記少なくとも1つの更なる受動リターダが、前記追加の偏光器と前記更なる追加の偏光器との間に配設されている、請求項2224のいずれか一項に記載の視野角制御光学要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、光変調デバイスからの照明に関し、より具体的には、プライバシーディスプレイ、低迷光ディスプレイ、及び自動車ディスプレイを含むディスプレイに使用するための光学積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
プライバシーディスプレイは、通常、軸上位置の主ユーザに画像視認性を提供し、通常、軸外位置にある覗き見者には画像内容の低減された視認性を提供する。プライバシー機能は、軸上方向のディスプレイからの一部の光を、軸外位置に低い輝度で透過する微小ルーバ光学フィルムによって提供されてもよい。しかしながら、このようなフィルムは、正面の照明のための高い損失を有し、微小ルーバは、空間光変調器の画素に干渉することに起因するモアレアーティファクト(Moire artefacts)の原因となる場合がある。マイクロルーバーのピッチには、パネルの解像度を選択する必要があり、在庫とコストが増加する。
【0003】
あるいは、プライバシーは、軸外輝度の低減を達成する液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)空間光変調器の指向性バックライトによって提供されてもよい。ディスプレイのバックライトには、一般的に、導波路及び端部発光源が用いられる。特定の結像指向性バックライトは、ディスプレイパネルを通して照明を視野窓に方向づける追加機能を有する。結像システムは、複数の光源とそれぞれの窓画像との間に形成することができる。結像指向性バックライトの1つの例として折りたたみ式光学システムを用いることができる光弁が挙げられ、したがってこれは、折りたたみ式結像指向性バックライトの1つの例でもあり得る。光は実質的に、光弁を通して一方向に損失を伴わずに伝搬することができ、同時に対向伝搬光は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第9,519,153号に記述されるように、反射傾斜ファセットによって抽出することができる。
【0004】
軸外プライバシーの制御は、コントラストの低減によって、例えば、面内切替えLCDの液晶バイアス傾斜を調整することによって、更に提供され得る。
【0005】
ねじれネマティックLCDディスプレイなどのLCDの偏光器内部に追加された補償フィルムが知られている。フィルムの目的は、「視野角を拡大する」と記載されていることが多いが、より正確には、フィルムが行うことは、高い斜めの角度でディスプレイのコントラストを改善することである。追加されたフィルムは、画像の黒い部分に対して高い角度で液晶の不要な光漏れを低減するように作用するため、「コントラスト反転」の現象が回避される。コントラスト反転は、画像グレースケールが反転したときに生じ、すなわち、画像の黒い部分は白い部分よりも明るくなり、意図された画像のコントラストが反転する。したがって、フィルムを追加すると、コントラスト反転が生じる前に角度範囲が増大する。これらのフィルムは、画素化液晶ディスプレイ層とその偏光器との間に挿入されている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の第1態様によると、空間光変調器と、空間光変調器の側面上に配設された少なくとも1つのディスプレイ偏光器と、ディスプレイ偏光器として空間光変調器の同じ側面上に配設された追加の偏光器と、追加の偏光器とディスプレイ偏光器との間に配設された少なくとも1つの受動リターダと、を備えるディスプレイデバイスが提供される。ディスプレイ偏光器は、追加の偏光器の電気ベクトル伝達方向に平行な電気ベクトル伝達方向を有し得る。有利なことに、ディスプレイ輝度は、軸外視認位置に対して低減され得る。軸外覗き見者に対する表示画像の視認性は低下する可能性があるが、正面のユーザに対する軸上の輝度は維持される。軸外のユーザへの迷光は減少する可能性があり、夜間の使用のために部屋の照度を低減することができる。
【0007】
少なくとも1つの受動リターダは、少なくとも2つの異なる配向の遅相軸を有する少なくとも2つの受動リターダを含み得る。有利なことに、覗き見者がプライバシーディスプレイの低い画像視認性を有する可能性のある視野、又は迷光が提供される領域が低減される。
【0008】
少なくとも1つの受動リターダは、受動リターダの平面内に交差する遅相軸を有する一対の受動リターダを含み得る。一対の受動リターダは、ディスプレイ偏光器の電気ベクトル伝達に平行な電気ベクトル伝達方向に対してそれぞれ45°及び135°で延在する遅相軸を有し得る。有利なことに、表示象限における輝度低下が低減され得る。
【0009】
ディスプレイデバイスは、第1の言及した一対の受動リターダ間に配置され、受動リターダの平面内に交差する遅相軸を有する追加の一対の受動リターダを更に備えてもよい。追加の一対の受動リターダは、ディスプレイ偏光器の電気ベクトル伝達に平行な電気ベクトル伝達方向に対してそれぞれ0°及び90°で各々が延在する遅相軸を有してもよい。一対のリターダはそれぞれ、互いに異なる角度で整列された、それぞれの遅相軸を有する複数のA-プレートを含む。有利なことに、ディスプレイの視認性は、象限を表示するために、かつ垂直及び水平の視線方向で減少する場合がある。プライバシー動作は、モバイルディスプレイデバイスの横長及び縦長動作のために提供されてもよい。
【0010】
各受動リターダの550nmの波長の光のリターダンスは、600nm~850nmの範囲、好ましくは650nm~730nmの範囲、及び最も好ましくは670nm~710nmの範囲であり得る。有益なことに、軸外視認場所のための画像着色の変化を低減することができる。
【0011】
少なくとも1つの受動リターダは、受動リターダの平面に垂直な遅相軸を有する受動リターダを含み得る。有益なことに、リターダ層の数は、一対の交差リターダを有する配設と比較して低減され得る。
【0012】
少なくとも1つの受動リターダは、受動リターダの平面に垂直な遅相軸を有する2つの受動リターダと、受動リターダの平面内に交差する遅相軸を有する一対の受動リターダとを含み得る。一対の受動リターダは、受動リターダの平面内に、ディスプレイ偏光器の電気ベクトル伝達に平行な電気ベクトル伝達方向に対してそれぞれ22.5°及び112.5°で延在する遅相軸を有してもよい。受動リターダの平面に垂直な遅相軸を有する受動リターダは、受動リターダの平面内に遅相軸を有し得る一対の受動リターダと交互になっている。有利なことに、輝度ロールオフの前の視野領域を増加させて、ディスプレイの均一性を改善することができる。
【0013】
少なくとも1つの受動リターダは、受動リターダの平面内の構成要素と、受動リターダの平面に垂直な構成要素とを持つ遅相軸を有する受動リターダを含み得る。受動リターダの平面内の構成要素は、ディスプレイ偏光器の電気ベクトル伝達に平行又は垂直な電気ベクトル伝達方向に対して0°で延在してもよい。有利なことに、横への視線方向に対して輝度を低減することができる。モバイルディスプレイは、水平軸を中心に快適に回転させることができる。
【0014】
受動リターダの平面内の構成要素と、受動リターダの平面に垂直な構成要素とを持つ遅相軸を有する少なくとも1つの受動リターダは、受動リターダの平面に垂直な減速軸を有する受動リターダ、又は受動リターダの平面内に交差する遅相軸を有する受動リターダを更に含んでもよい。有利なことに、横への軸外方向に対して、輝度の低減を増加させることができる。
【0015】
ディスプレイデバイスは、少なくとも1つの更なる受動リターダ、及び更なる追加の偏光器を更に備えてもよい。少なくとも1つの更なる受動リターダは、第1の言及した追加の偏光器と更なる追加の偏光器との間に配設されてもよい。有利なことに、迷光の低減の増加と、軸外覗き見者に対する視認性の低減を達成することができる。
【0016】
空間光変調器は透過型空間光変調器であってもよく、ディスプレイデバイスは、光を出力するように配設されたバックライトを更に備える。バックライトは、45度より大きい空間光変調器の法線に対する極角で輝度を提供し、輝度は、空間光変調器の法線に沿った輝度の多くても10%、好ましくは空間光変調器の法線に沿った輝度の多くても5%、及び更に好ましくは空間光変調器の法線に沿った輝度の多くても2.5%である。ディスプレイデバイスは、軸外画像の視認性を更に低減するために、受動リターダ及び追加の偏光器と協働する軸外視認位置の軸外視認性を低減した輝度極性視野プロファイルを備えてもよい。
【0017】
バックライトは、光源のアレイと、指向性導波路であって、指向性導波路の側面に沿って横方向に延在する入力端であって、光源が、入力端に沿って配置され、入力光を導波路に入力するように配設された入力端と、導波路に沿って入力端で光入力を導くために、入力端から指向性導波路にわたって延在する対向する第1及び第2のガイド表面であって、導波路が、指向性導波路を通して導かれた入力光を偏向させて第1のガイド表面を通して出射するように配設されている、第1及び第2のガイド表面と、を含む、指向性導波路と、を含み得る。
【0018】
バックライトは、平行化バックライトであってもよい。バックライトは光転向フィルムを更に備えてもよく、指向性導波路は平行化導波路であってもよい。平行化導波路は、(i)複数の細長いレンチキュラー要素、及び(ii)複数の傾斜光抽出機構と、を備えてもよく、複数の細長いレンチキュラー要素及び複数の傾斜光抽出機構は、指向性導波路を通して導かれた入力光を偏向させて第1のガイド表面を通して出射するように配向されている。有利なことに、薄型バックライトが、受動リターダ軸外画像の可視性を更に低減するために、受動リターダ及び追加の偏光器と協働する狭い出力輝度プロファイルを提供してもよい。
【0019】
指向性導波路は、光源からの出力光が、光源の入力位置に応じて分散される出力方向のそれぞれの光学窓に向けられるように、光源を横方向に画像化するために配設された結像導波路であってもよい。結像導波路は、入力光を反射して結像導波路に沿って戻すための反射端を備えてもよく、第2のガイド表面は、反射された入力光を出力光として第1のガイド表面を通して偏向させるように配置されてもよく、結像導波路は、入力光を結像導波路に沿って反射し返す反射端を含んでもよく、第2のガイド表面は、反射された入力光を出力光として第1のガイド表面を通して偏向させるように配設され、第2のガイド表面は、光抽出機構と、光抽出機構間の中間領域とを含んでもよく、光抽出機構は、第1のガイド表面を通して、反射された入力光を出力光として第1のガイド表面を通して偏向させるように配向され、中間領域は、光を抽出することなく導波路を通して光を方向付けるように配設されており、反射端は、第1のガイド表面と第2のガイド表面との間に延在する導波路の側面の間に延在している横方向に正の光パワーを有し得る。有利なことに、軸外画像の可視性を更に低減するために、受動リターダ及び追加の偏光器と協働する狭い出力輝度プロファイルを提供してもよい。
【0020】
ディスプレイ偏光器は、バックライトと空間光変調器との間の空間光変調器の入力側上に配設された入力偏光器であってもよく、追加の偏光器は、入力偏光器とバックライトとの間に配設される。
【0021】
追加の偏光器は反射型偏光器であってもよい。追加の偏光器は、バックライトのための偏光再循環を提供することができる。有利なことに、ディスプレイの効率が向上し、ディスプレイの厚さが減少する場合がある。
【0022】
ディスプレイデバイスは、空間光変調器の出力側上に配設された出力偏光器を更に備えてもよい。ディスプレイ偏光器は、空間光変調器の出力側上に配設された出力偏光器であってもよい。ディスプレイデバイスは、空間光変調器の入力側上に配設された入力偏光器を更に備えてもよい。
【0023】
ディスプレイデバイスは、空間光変調器の入力側上に配設された更なる追加の偏光器と、少なくとも1つの更なる追加の偏光器と入力偏光器との間に配設された少なくとも1つの更なる受動リターダとを更に含んでもよい。有利なことに、軸外輝度を更に低減してプライバシー性能を改善し、迷光を低減することができる。
【0024】
空間光変調器が発光型空間光変調器であり、ディスプレイ偏光器が、発光型空間光変調器の出力側上に配設された出力偏光器であってもよい。
【0025】
ディスプレイデバイスは車両に配設されてもよい。ディスプレイデバイスは、車両の透明窓の下に配設されてもよい。ディスプレイデバイスは、車両内の座席の前方に配設されてもよい。有利なことに、ディスプレイからの迷光を運転者又は乗員に提供することができる。迷光レベルは、夜間動作のために低減され得る。キャビン内の所与の迷光限界のための表示サイズを増大させることができる。娯楽情報は、運転者の注意をそらすことなく乗客に提供され得る。
【0026】
本開示の第2の態様によれば、空間光変調器とディスプレイ偏光器とを備えるディスプレイデバイスに適用するための視野角制御光学要素が提供され、視野角制御光学要素は、制御偏光器と、視野角制御光学要素をディスプレイデバイスに適用する際に、制御偏光器とディスプレイ偏光器との間に配設するための少なくとも1つの受動リターダと、を備える。少なくとも1つの受動リターダは、少なくとも2つの異なる配向の遅相軸を有する少なくとも2つの受動リターダを含み得る。
【0027】
少なくとも1つの受動リターダには、受動リターダの平面内に交差する遅相軸を有する一対の受動リターダを含み得る。一対の受動リターダは、制御偏光器の電気ベクトル伝達に平行な電気ベクトル伝達方向に対してそれぞれ45°及び135°で延在する遅相軸を有し得る。視野角制御光学要素は、第1の言及した一対の受動リターダ間に配置され、受動リターダの平面内に交差する遅相軸を有する追加の一対の受動リターダを更に備えてもよい。追加の一対の受動リターダは、制御偏光器の電気ベクトル伝達に平行な電気ベクトル伝達方向に対してそれぞれ0°及び90°で各々が延在する遅相軸を有してもよい。各受動リターダの550nmの波長の光のリターダンスは、600nm~850nmの範囲、好ましくは650nm~730nmの範囲、及び最も好ましくは670nm~710nmの範囲であり得る。少なくとも1つの受動リターダは、受動リターダの平面に垂直な遅相軸を有する受動リターダを含み得る。少なくとも1つの受動リターダは、受動リターダの平面に垂直な遅相軸を有する2つの受動リターダ、及び受動リターダの平面内に交差する遅相軸を有する一対の受動リターダを含み得る。一対の受動リターダは、受動リターダの平面内に、制御偏光器の電気ベクトル伝達に平行な電気ベクトル伝達方向に対してそれぞれ22.5°及び112.5°で延在する遅相軸を有してもよい。受動リターダの平面に垂直な遅相軸を有する受動リターダは、受動リターダの平面内に遅相軸を有する一対の受動リターダと交互になっていてもよい。少なくとも1つの受動リターダは、受動リターダの平面内の構成要素、及び受動リターダの平面に垂直な構成要素を持つ遅相軸を有する受動リターダを含んでもよい。受動リターダの平面内の構成要素は、制御偏光器の電気ベクトル伝達に平行又は垂直な電気ベクトル伝達方向に対して0°で延在してもよい。視野角制御光学要素は、少なくとも1つの更なる受動リターダ及び更なる追加の偏光器を更に備え、少なくとも1つの更なる受動リターダは、第1の言及した追加の偏光器と更なる追加の偏光器との間に配設されてもよい。
【0028】
有利なことに、受動リターダ及び追加の偏光器、更なる受動リターダ及び更なる追加の偏光器の視野角制御は、プライバシー及び低迷光用途のディスプレイの軸外輝度制御のために提供され得る。更に、モアレアーティファクトを回避するためにパネル画素解像度に適合する必要がない、アフターマーケットのプライバシー制御要素及び/又は迷光制御要素が提供されてもよい。視野角制御要素は、出力偏光器のサイズ及び配向に切断されてもよい。
【0029】
本開示の任意の記述した態様は、任意の組み合わせで適用されてもよい。
【0030】
本開示の各実施形態は、様々な光学システムで使用され得る。実施形態は、様々なプロジェクタ、投影システム、光学部品、ディスプレイ、マイクロディスプレイ、コンピュータシステム、プロセッサ、自己内蔵型プロジェクタシステム、ビジュアルシステム及び/又はオーディオビジュアルシステム、並びに電気デバイス及び/又は光学デバイスを含んでもよく、又はこれらと共に作動してもよい。本開示の態様は、光学デバイス及び電気デバイス、光学システム、プレゼンテーションシステム、又は任意の種類の光学システムを包含してもよい任意の装置に関連する、実質的にいかなる装置に使用されてもよい。したがって、本開示の実施形態は、視覚的な及び/又は光学的なプレゼンテーション、視覚的な周辺機器などにおいて、並びに多数のコンピュータ環境において使用される、光学システム、光学デバイスで用いられてもよい。
【0031】
詳細に開示する複数の実施形態に進む前に、本開示は、他の実施形態例が可能であるので、用途又は作製において示す特定の配設の詳細に限定されないことを理解するべきである。更に、本開示の態様は、独自の固有の実施形態を規定するために様々な組み合わせ及び配置で述べられてもよい。また、本明細書で使用する用語は、説明の目的のためのものであって、限定するためのものではない。
【0032】
本開示の前述及び他の利点並びに特徴は、本開示をその全体にわたって読むことで、当業者に明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
例として、実施形態が添付の図面に示され、添付の図面において、同様の参照符号は、類似の部分を示す。
図1A】前方受動リターダ、透過型空間光変調器、及びバックライトを備える指向性ディスプレイデバイスを側面斜視図で示す概略図である。
図1B】前方受動リターダ及び発光型空間光変調器を含む指向性ディスプレイデバイスを側面斜視図で示す概略図である。
図1C】受動リターダ積層体、制御偏光器、及び拡散器を備える視野角制御要素を側面斜視図で示す概略図である。
図2】ディスプレイデバイスの視野の修正を提供するように配設された光学積層体を側面斜視図で示す概略図である。
図3A図2の受動リターダ積層体内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
図3B図2の受動リターダ積層体内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
図4A】プライバシーディスプレイ用の送信出力光の正面斜視図観察を示す概略図である。
図4B図1A又は図1Bのディスプレイの外観を正面斜視図で示す概略図である。
図5】搭載されたディスプレイからの自動車のキャビン及び運転者の照明を上面図で示す概略図である。
図6】搭載されたディスプレイからの自動車のキャビン及び運転者の照明を側面図で示す概略図である。
図7】後方受動リターダと、結像導波路を含む指向性バックライトとを備える指向性ディスプレイデバイスを側面図で示す概略図である。
図8A】結像導波路からの視野窓の斜視背面図形成を示す概略図である。
図8B】狭角出力用に配設された図8Aの結像導波路を備えるディスプレイデバイス内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
図8C】広角出力用に配設された図8Aの結像導波路を備えるディスプレイデバイス内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
図9】前方受動リターダと、平行化導波路を含む指向性バックライトとを備える指向性ディスプレイデバイスを側面図で示す概略図である。
図10A】平行化導波路を様々な斜視図で示す概略図である。
図10B】平行化導波路を様々な斜視図で示す概略図である。
図10C】平行化導波路を様々な斜視図で示す概略図である。
図11A】軸上照明用の平行化導波路の第1の傾斜した平面領域の動作を側面図で示す概略図である。
図11B】軸上照明用の平行化導波路の非傾斜レンチキュラー構造の動作を側面図で示す概略図である。
図12A】軸外照明用の平行化導波路の非傾斜レンチキュラー構造の動作を上面図で示す概略図である。
図12B】軸外照明用の平行化導波路の非傾斜レンチキュラー構造の動作を端面図で示す概略図である。
図12C】軸外照明用の平行化導波路の非傾斜レンチキュラー構造の動作を側面図で示す概略図である。
図12D】軸外照明用の平行化導波路の傾斜した平面機構の動作を上面図で示す概略図である。
図12E】軸外照明用の平行化導波路の傾斜した平面機構の動作を端面図で示す概略図である。
図12F】軸外照明用の平行化導波路の傾斜した平面機構の動作を側面図で示す概略図である。
図12G】傾斜した平面機構での入射後の軸外照明用の平行化導波路の非傾斜レンチキュラー構造の動作を上面図で示す概略図である。
図12H】傾斜した平面機構を有する入射後の軸外照明のための平行化導波路の非傾斜レンチキュラー構造の動作を端面図で示す概略図である。
図12I】傾斜した平面機機構を有する入射後の軸外照明のための平行化導波路の非傾斜レンチキュラー構造の動作を側面図で示す概略図である。
図13】平行化導波路の出力表面及び出力表面の平行化効果を上面図で示す概略図である。
図14図9の平行化導波路を備えるディスプレイデバイス内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
図15】後方受動リターダと、平行化導波路及び広角導波路を含む指向性バックライトとを備える指向性ディスプレイデバイスを側面図で示す概略図である。
図16A】指向性バックライトを正面斜視図で示す概略図である。
図16B】非指向性バックライトを正面斜視図で示す概略図である。
図16C】狭視野ディスプレイの極性視野角による輝度の変動を示す概略グラフである。
図17A】ディスプレイデバイスの視野の修正を提供するように配設されたA-プレート及び正のC-プレートを含む受動リターダの光学積層体を側面斜視図で示す概略図である。
図17B図17Aの受動リターダ内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
図18A】ディスプレイデバイスの視野の修正を提供するように配設されたA-プレート及び負のC-プレートを含む受動リターダの光学積層体を側面斜視図で示す概略図である。
図18B図18Aの受動リターダ内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
図19A】ディスプレイデバイスの視野の修正を提供するように配設されたA-プレート、負のC-プレート、及び正のC-プレートを含む受動リターダの光学積層体を側面斜視図で示す概略図である。
図19B図19Aの受動リターダ内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
図20A】ディスプレイ偏光器の電気ベクトル伝達方向及び負のC-プレートに直交する平面内に傾斜され、ディスプレイデバイスの視野の修正を提供するように配設された、負のO-プレートを含む受動リターダ600の光学積層体を側面斜視図で示す概略図である。
図20B図20Aの受動リターダ内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
図20C】ディスプレイ偏光器の電気ベクトル伝達方向及び交差A-プレートに直交する平面内に傾斜され、ディスプレイデバイスの視野の修正を提供するように配設された、正のO-プレートを含む受動リターダの光学積層体を側面斜視図で示す概略図である。
図20D図20Cの受動リターダ内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
図21A】ディスプレイ偏光器の電気ベクトル伝達方向に直交する平面内に傾斜され、ディスプレイデバイスの視野の修正を提供するように配設された、負のO-プレートを含む受動リターダの光学積層体を側面斜視図で示す概略図である。
図21B】ディスプレイ偏光器の電気ベクトル伝達方向に平行な平面内に傾斜され、ディスプレイデバイスの視野の修正を提供するように配設された負のO-プレートを含む受動リターダの光学積層体を側面斜視図で示す概略図である。
図21C図21A及び図21Bの受動リターダ内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
図22A】交差A-プレートを備え、ディスプレイデバイスの視野の修正を提供するように配設された受動リターダの光学積層体を側面斜視図で示す概略図である。
図22B図22Aの受動リターダ内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
図23A】負のC-プレートを備え、ディスプレイデバイスの視野の修正を提供するように配設された受動リターダの光学積層体を側面斜視図で示す概略図である。
図23B図23Aの受動リターダ内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
図24A】後方受動リターダ及び追加の偏光器並びに前方の更なる受動リターダ及び更なる追加の偏光器と、透過型空間光変調器及びバックライトと、を備える指向性ディスプレイデバイスを側面斜視図で示す概略図である。
図24B】後方受動リターダ及び追加の偏光器並びに更なる追加の偏光器と、透過型空間光変調器及びバックライトと、を備える指向性ディスプレイデバイスを側面斜視図で示す概略図である。
図24C】前方受動リターダ及び追加の偏光器、並びに前方の更なる受動リターダ及び発光型空間光変調器上に配設された更なる追加の偏光器、を備える指向性ディスプレイデバイスを側面斜視図で示す概略図である。
図24D】受動リターダ積層体、制御偏光器、更なる受動リターダ積層体、更なる制御偏光器及び拡散器を備える視野角制御要素を側面斜視図で示す概略図である。
図25A】軸外光によるリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。
図25B】0°における第1の線形偏光状態の軸外光によるリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。
図25C】90°における第1の線形偏光状態の軸外光によるリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。
図25D】45°における第1の線形偏光状態の軸外光によるリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。
図26A】正の高さを有する軸外偏光によるC-プレートリターダの照明を斜視図で示す概略図である。
図26B】負の横角を有する軸外偏光によるC-プレートリターダの照明を斜視図で示す概略図である。
図26C】正の高さ及び負の横角を有する軸外偏光によるC-プレートリターダの照明を斜視図で示す概略図である。
図26D】正の高さ及び正の横角を有する軸外偏光によるC-プレートリターダの照明を斜視図で示す概略図である。
図27A】正の高さを有する軸外偏光による交差A-プレートリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。
図27B】負の横角を有する軸外偏光による交差A-プレートリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。
図27C】正の高さ及び負の横角を有する軸外偏光による交差A-プレートリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。
図27D】正の高さ及び正の横角を有する軸外偏光による交差A-プレートリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ここで、本開示の目的のための光学リターダに関する用語を記載する。
【0035】
本実施形態では、遅相軸は通常、直線偏光が、最も遅い速度で移動する遅相軸に平行な電気ベクトル方向を有する、法線方向に直交する方向に関連している。遅相軸方向とは、設計波長における最も高い屈折率を有するこの光の方向である。
【0036】
正の誘電異方性一単軸複屈折材料の場合、遅相軸方向は複屈折材料の異常な軸である。このような材料の普通の軸は通常、法線方向に平行であり、法線方向及び遅相軸に直交する。
【0037】
半波長及び四分の一波長という用語は、通常500nm~570nmであり得る設計波長のリターダの動作に関連している。λ本発明の例示的実施形態では、例示的なリターダンス値は、特に指定のない限り、550nmの波長で提供される。
【0038】
リターダは、その上に入射する光波の2つの垂直偏光構成要素間の位相シフトを提供し、2つの偏光構成要素に付与する相対位相Γの量によって特徴付けられ、2つの偏光構成要素は、方程式1によって、リターダの複屈折Δn及び厚さdに関連している。
Γ=2.π.Δn.d/λ 方程式1
式中、Δnは、異常な屈折率と普通の屈折率との差として定義される。すなわち、
Δn=n-n 方程式2
【0039】
本明細書では、リターダは、変化しない複屈折を有するリターダである受動リターダである。特に、受動リターダの複屈折を変化させる供給手段は提供されない。
【0040】
半波長リターダの場合、d、Δn、及びλの間の関係は、偏光構成要素間の位相シフトがΓ=πであるように選択される。四分の一波長リターダの場合、d、Δn、及びλの間の関係は、偏光構成要素間の位相シフトがΓ=π/2であるように選択される。
【0041】
本明細書における半波長リターダという用語は、通常は、リターダに正常に伝搬し、空間光変調器に正常に伝搬する光に関連している。
【0042】
本開示において、「A-プレート」は、複屈折材料の層を、その光軸が層の平面に平行な複屈折材料の層を利用する光学リターダに関連している。リターダの平面は、x-y平面である平面内に延在するリターダの遅相軸に関連している。
【0043】
「正のA-プレート」とは、正の複屈折A-プレート、すなわち、正のΔnを有するA-プレートを指す。
【0044】
本開示において、「C-プレート」は、層の平面に垂直なその光軸で複屈折材料の層を利用する光学リターダに関連している。「正のC-プレート」とは、正の複屈折C-プレート、すなわち、正のΔnを有するC-プレートを指す。
【0045】
本開示において、「O-プレート」は、層の平面に平行な構成要素、及び層の平面に垂直な構成要素を有する、その光軸で複屈折材料の層を利用する光学リターダに関連している。「正のO-プレート」とは、正の複屈折O-プレート、すなわち、正のΔnを有するO-プレートを指す。
【0046】
リターダの材料に、方程式3のように、波長λと共に変化するリターダンスΔn.dが提供される無色リターダが提供されてもよい。
Δn.d/λ=κ 方程式3
【0047】
式中、kは、実質的に一定である。
【0048】
好適な材料の例としては、Teijin Filmsからの修正ポリカーボネートが挙げられる。本実施形態では、以下に記載するように、輝度低下が少ない極角視線方向と、輝度低下が増大した極角視線方向との間の色交換を有利に最小化するために、無色リターダを設けることができる。
【0049】
A-プレート、正のO-プレート、及び正のC-プレートなどの正のリターダは、通常は、液晶分子のような延伸フィルム又はロッドによって提供され得る。負のC-プレートなどの負のリターダは、延伸フィルム又は円盤様液晶分子によって提供され得る。
【0050】
ここで、プライバシーディスプレイデバイスの構造及び動作について記載する。このような構造はまた、夜間動作などの低迷光ディスプレイデバイスのために提供されてもよい。
【0051】
図1Aは、空間光変調器48と、空間光変調器48の側面上に配設された少なくとも1つのディスプレイ偏光器210と、空間光変調器48のディスプレイ偏光器210と同じ側に配設された追加の偏光器618と、追加の偏光器618とディスプレイ偏光器210との間に配設された少なくとも1つの受動リターダ600と、を備えるディスプレイデバイス100を側面斜視図で示す概略図である。
【0052】
空間光変調器48は透過型空間光変調器であり、ディスプレイデバイスは、光を出力するように配設されたバックライトを更に備える。空間光変調器48は、基板212、216、液晶層214並びに赤色、緑色及び青色画素220、222、224を有するディスプレイ偏光器218を出力する入力ディスプレイ偏光器210を備える液晶ディスプレイを備えてもよい。
【0053】
透過型空間光変調器48は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,237,876号に開示されているように、入力ディスプレイ偏光器210と出力ディスプレイ偏光器218との間にリターダを更に備えてもよい。このようなリターダ(図示せず)は、本実施形態の受動リターダ602とは異なる箇所にある。このようなリターダは、軸外視認場所のコントラスト劣化を補償し、これは、本実施形態の軸外視認位置の輝度低下に異なる効果である。
【0054】
バックライト20は、空間光変調器48に照明を提供するように配設することができ、入力光源15、導波路1、後部反射器3、並びに拡散器、反射型偏光器、光転向フィルム、及び他の既知の光バックライト構造を含む光学積層体5を含んでもよい。本実施形態では、バックライト20は、正面の輝度と比較して、軸外視認位置に対して低減された輝度を有する光円錐400内の角度光分布を提供するように配設されてもよい。
【0055】
偏光器218は、ディスプレイ偏光器210を備える側面に面する空間光変調器48の側に配設されている。偏光器210、218は、空間光変調器48の画素220、222、224からの光の高い消光比を提供するように配設された、二色性偏光器であり得る吸収型偏光器である。追加の偏光器618は吸収型偏光器を備える。
【0056】
ディスプレイ偏光器218及び追加の偏光器618は、平行な電気ベクトル伝達方向219、619を有する。以下に記載されるように、このような平行整列は、中央視認場所の高い透過率と軸外輝度の低減を達成する。バックライト20から出力される光円錐400は、円錐400よりも小さいサイズを有する光円錐402を有するディスプレイデバイス100から出力されてもよい。
【0057】
少なくとも1つの受動リターダ600は、追加の偏光器618及びディスプレイ偏光器210と共に積層体に配設された受動リターダ602A、602B、602C、602Dを備える。積層体の構成要素は、積層によって取り付けられてもよく、又は溶剤接着されてもよい。迷光反射及び光損失は、有利なことに低減され得る。
【0058】
発光型空間光変調器を有する実施形態について、ここで記載する。
【0059】
図1Bは、空間光変調器48が発光型空間光変調器であり、ディスプレイ偏光器338が発光型空間光変調器48の出力側上に配設された出力偏光器であるディスプレイデバイス100を側面斜視図で示す概略図である。
【0060】
空間光変調器48は、基板312、316を有する出力ディスプレイ偏光器316、光出射層314、並びに赤色、緑色及び青色発光画素320、322、324、光学分離リターダ336及びディスプレイ偏光器338を含む、OLEDディスプレイなどの発光型ディスプレイを備える。
【0061】
光学分離リターダ336は、ディスプレイ偏光器318とOLEDディスプレイ発光層との間に提供される。このようなリターダは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,067,985号に更に記載されている。リターダ336は、本実施形態の受動リターダ602とは異なる箇所にある。分離リターダ336は、本実施形態の軸外視認位置の輝度低下とは異なる効果である、OLED表示発光層からの前方の反射を低減する。
【0062】
ディスプレイ偏光器338及び追加の偏光器618は、(反射型偏光器と比較して)二色性偏光器などの吸収型偏光器であり、平行である電気ベクトル伝達方向317、619を有する。このような平行整列は、中央視認場所の高透過率及び軸外輝度の低減を達成する。
【0063】
OLED材料などの発光材料は、通常は、図1Aの指向性バックライト20用の円錐400よりも通常は大きい光円錐404を有する、実質的にランバート(Lambertian)である指向性分布を有する光を出力する。発光型空間光変調器48によって受動リターダ602に提供される光円錐404、及び追加の偏光器618は、光円錐404よりも小さいサイズを有する光円錐406としてディスプレイから出力されてもよい。
【0064】
図1Cは、受動リターダ602A、602B、602C、602D、制御偏光器618、及び拡散器607を備える受動リターダ積層体を備える視野角制御要素601を側面斜視図で示す概略図である。層は、感圧性接着剤及び光学的に透明な接着剤などの接着剤によって層605に付着されてもよく、又は溶媒接着されてもよい。
【0065】
使用中、視野角制御要素601は、ユーザによって偏光出力空間光変調器に取り付けられてもよい。視野角制御要素601は、湾曲したディスプレイ及び屈曲したディスプレイのための可撓性フィルムとして提供されてもよい。あるいは、視野角制御要素601は、ガラス基板などの剛性基材上に設けられてもよい。
【0066】
有利なことに、モアレアーティファクトを回避するためにパネル画素解像度に適合する必要がない、アフターマーケットのプライバシー制御要素及び/又は迷光制御要素が提供されてもよい。視野角制御要素は、出力偏光器のサイズ及び配向に切断されてもよい。
【0067】
拡散器607は、リターダ602Dと空間光変調器との間の湿潤を最小限に抑えるように配設されてもよい。
【0068】
ここで、図1A及び図1Bの受動リターダの配設について記載する。
【0069】
図2は、ディスプレイデバイス100の視野修正を提供するように配設された光学積層体を側面斜視図で示す概略図である。リターダの光学配設は、表1に更に記載されている。
【表1】
【0070】
本開示において、平面外の角度がゼロの場合はA-プレートに関連し、平面外の角度が90度の場合はC-プレートに関連している。面内角度は、ディスプレイ偏光器210、316及び追加の偏光器618のそれぞれの電気ベクトル伝達方向211、317、619と比較してリターダ材料の遅相軸配向の面内回転に関連している。
【0071】
したがって、少なくとも1つのリターダは、交差するリターダの平面内に遅相軸を有する一対の受動リターダ602A、602Dを備える。一対のリターダはそれぞれ、互いに異なる角度で整列された、それぞれの遅相軸を有する複数のA-プレートを備える。一対の受動リターダ602B、602Cは、ディスプレイ偏光器210の電気ベクトル伝達211に平行な電気ベクトル伝達方向に対してそれぞれ90°及び0°で延在する遅相軸を有する。
【0072】
各受動リターダ602A、602B、602C、602Dは、UV硬化反応性メソゲン(mesogens)、延伸ポリマー、又は他の既知の複屈折材料などの固定液晶であり得る複屈折分子604A、604B、604C、604Dを含む。
【0073】
図1Aでは、一対の受動リターダ602A、602Dは、ディスプレイ偏光器210の電気ベクトル伝達にそれぞれ平行な電気ベクトル伝達方向211に対してそれぞれ45°及び135°で延在する遅相軸を有する。
【0074】
図1Bでは、一対の受動リターダ602A、602Dはそれぞれ、ディスプレイ偏光器316の電気ベクトル伝達に平行な電気ベクトル伝達方向317に対してそれぞれ45°及び135°で延在する遅相軸を有する。
【0075】
ディスプレイは、第1の言及した一対の受動リターダ602A、602Dの間に配置され、交差するリターダの平面内に遅相軸を有する、追加の一対の受動リターダ602B、602Cを更に含む。追加の一対の受動リターダ602B、602Cは、各々が、ディスプレイ偏光器210、316の電気ベクトル伝達に平行な電気ベクトル伝達方向211、317に対してそれぞれ0°及び90°で延在する遅相軸を有する。
【0076】
ここで、平行偏光器210、618の間に配設された図2及び表1の積層体の角視野を記載する。
【0077】
図3A図3Bは、図2の受動リターダ積層体内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
【0078】
グラフは、平行ディスプレイ偏光器210と追加の偏光器618との間のリターダ600の積層体の相対透過率の極性変動を表す。したがって、軸線上の光線は、偏光正面の透過及びフレネル(Fresnel)反射損失からの損失以外に、輝度に実質的に変化しない。軸外光線は、図示されるように、かつ以下に記載されるように低減された輝度を有する。
【0079】
プロファイルロールオフのいくつかの修正は、受動リターダ602A、602B、602C、602Dの各々のリターダンスを調整することによって達成され得る。A-プレートの各々のリターダンスは同じであってもよく、又は視野特性を修正するために異なっていてもよい。
【0080】
本実施形態では、少なくとも1つの受動リターダ600は、ディスプレイ偏光器210、218、316及び追加の偏光器618と組み合わせて、すなわち、存在しない少なくとも1つのリターダと比較して、ディスプレイデバイスからの光出力の光軸(軸外)への光出力の輝度が低減される、という効果を有するように構成されてもよい。少なくとも1つの受動リターダ600はまた、ディスプレイ偏光器210、218、316及び追加の偏光器618と組み合わせて、すなわち、存在しない少なくとも1つのリターダと比較して、光軸(軸上)に沿ったディスプレイデバイスからの光出力の輝度が低下しない、という効果を有するように構成されてもよい。
【0081】
本実施形態は、いくつかの回転対称性を有する伝達プロファイルを提供する。有利なことに、プライバシーディスプレイは、覗き見者の横方向又は高い視認位置の広い視野からの画像の視認性を低減することができる。更に、このような構成を使用して、モバイルディスプレイの横長及び縦長動作のためのプライバシー動作の向上を実現することができる。
【0082】
更に例示的な実施形態では、550nmの波長の光に対する各A-プレートのリターダンスは、600nm~850nmの範囲、好ましくは650nm~730nmの範囲、及び最も好ましくは670nm~710nmの範囲であり得る。中央表示場所から軸外視認場所への吸収された光の色変化は、有利なことに、低減され得る。
【0083】
本実施形態において、「交差」とは、リターダの平面内の2つのリターダの遅相軸間の実質的に90°の角度に関連している。リターダ材料のコストを低減するために、例えば、フィルム製造中の延伸誤差に起因するリターダ配向のいくつかの変動を材料に提供することが望ましい。遅滞遅相軸配向の変動について、ここで記載する。好ましい方向から離れるリターダ配向の変動は、正面の輝度を低減し、最小伝達を増加させることができる。
【0084】
更なる例示的な実施形態では、角度603Aは、少なくとも40°かつ多くても50°、より好ましくは少なくとも42.5°かつ多くても47.5°、及び最も好ましくは少なくとも44°かつ多くても46°である。好ましくは、角度603Dは、少なくとも130°かつ多くても140°、より好ましくは少なくとも132.5°かつ多くても137.5°、及び最も好ましくは少なくとも134°かつ多くても136°である。
【0085】
更なる例示的な実施形態において、内側リターダ対602B、602Cは、外側リターダ対602A、602Dよりも緩い公差を有してもよい。好ましくは、角度603Bは、少なくとも-10°かつ多くても10°、より好ましくは少なくとも-5°かつ多くても5°、及び最も好ましくは少なくとも-2°かつ多くても2°である。好ましくは、角度603Cは、少なくとも80°かつ多くても100°、より好ましくは少なくとも85°かつ多くても95°、及び最も好ましくは少なくとも88°かつ多くても92°である。
【0086】
有利なことに、光学積層体のコストは、望ましい正面の輝度と軸外輝度低減を維持しながら、受動リターダ602A、602Dよりも緩い公差を有する受動リターダ602B、602Cを提供することによって低減することができる。
【0087】
次に、図1A図1Bのディスプレイのプライバシーモードの動作について更に記載する。
【0088】
図4Aは、プライバシーモードで動作しているディスプレイに対する透過出力光の正面斜視図観察を示す概略図である。ディスプレイデバイス100は、白色領域903及び黒色領域901を備えてもよい。覗き見者47は、観察された領域901、903間の輝度差が知覚され得る場合、ディスプレイ上の画像を観察することができる。運転中、主ユーザ45は、光軸199の近くを視認場所26まで伝播する光線によって、フル輝度画像を観察する。覗き見者47は、視認場所27において低減された輝度光線902を観察する。領域26、27は、図3A図3Bの軸上及び軸外領域を更に表す。
【0089】
図4Bは、図3A図3Bに示すような輝度変動を有するプライバシーモード1で動作する図1Aのディスプレイの外観を正面斜視図で示す概略図である。したがって、外側視野角は、輝度が低減された表示外観530、522、532、528、536、524、534、526を提供するのに対し、正面の視認場所520は、より高い輝度を提供する。
【0090】
有利なことに、プライバシーディスプレイ又は低迷光ディスプレイには、回転対称の輝度低下を提供することができる。
【0091】
ここで、自動車環境における図1A図1Bのディスプレイの使用について記載する。
【0092】
図5は、自動車キャビン700、及びダッシュボード搭載ディスプレイデバイス704からのドライバ47の照明を上面図で示す概略図であり、図6は、自動車のキャビン700及びディスプレイ704からの運転者47の照明を側面図で示す概略図であり、ディスプレイデバイスは、車両内に配設され、車両内の透明窓702の下に配設され、乗員45が位置する車両内の座席701の前方に配設されている。
【0093】
本開示では、視野窓は透明窓とは異なる。視野窓は、所望の視野距離におけるディスプレイデバイスの角照明円錐を指す。透明窓は、フロントガラス、風防ガラス、サイド窓、又は他の透明な表面などの物理的透明表面を指し、通常はガラス、ガラス複合材、又は他の透明な材料で作られている。
【0094】
ディスプレイデバイス704は、いずれかの実施形態では、運転者に対して非中央領域に配設され、ディスプレイ704の中心から運転者47への光線705の軸外照明を横角708での負の横角方向で提供してもよい。運転中、光線705は運転者47に向けられ、更なる光線707は、仮想画像714を形成するフロントガラス702での反射によって運転者47に向けられる。ディスプレイ704から出力される光の横角方向708は、光線705、707と同じであってもよい。しかしながら、それぞれの高さ方向710、712は異なる。
【0095】
画像714は、運転者47の注意をそらす可能性があり、その輝度の低減が望ましい。有利なことに、本実施形態は、乗員45には高い輝度を達成し、運転者47には乗員のディスプレイが注意をそらさないように輝度の実質的な低減を達成する。夜間の使用のためには、フロントガラスの反射が更に低減される。
【0096】
更に、運転者又は乗員に提供され得る情報ディスプレイのサイズは、車両キャビンに向けられる迷光の合計を増加させることなく増大させることができる。運転者の夜間視力は、車両内表面に落ちる迷光によって影響を受け難く、運転者の安全性を高めることができる。
【0097】
図3A図3Bの極性視野の一部の軸外領域に対する最小伝達は、ピーク正面透過率の10%以上であってもよい。ランバートディスプレイが提供される場合、そのような高透過率は、表示された画像の高い視認性を提供することができる。
【0098】
視野制御のための受動リターダ600を備える指向性ディスプレイからの軸外照明を更に低減することが望ましい。ここで、透過型空間光変調器48の指向性バックライトの配設について記載する。
【0099】
図7は、後方受動リターダと、結像導波路1を含む指向性バックライトとを備える指向性ディスプレイデバイスを側面図で示す概略図である。指向性ディスプレイデバイスは、空間光変調器48及び指向性バックライト20を備える。導波路1は、指向性バックライト20は、光源15のアレイを含む。導波路1の側面に沿って横方向に延在する入力端2と、入力端2に沿って配置され、入力光線420、422、424を導波路1に入力するように配設された光源15と、導波路1に沿って入力端2における光入力を導くために、入力端2から導波路にわたって延在する対向する第1及び第2のガイド表面6、8と、を備え、導波路1は、導波路1を通して導かれた入力光を偏向させて第1のガイド表面6を通して出射するように配設されている。
【0100】
結像導波路1は、入力光を結像導波路1に沿って反射し返す反射端4を更に含み、第2のガイド表面8は、反射された入力光を出力光として第1のガイド表面6を通して偏向させるように配設されている。第2のガイド表面8は、光抽出機構12と、光抽出機構12間の中間領域10とを含み、光抽出機構12は、反射された入力光を出力光として第1のガイド表面6を通して偏向させるように配向され、中間領域10は、光を抽出することなく導波路1を通して光を方向付けるように配設されている。反射端4は、第1と第2のガイド表面6、8との間に延在する導波路1の側面の間に延在している横方向(y軸)に正の光パワーを有する。運転中、光線420、422は、反射端4への損失なしに導かれ、第2のガイド表面8上に配設された光抽出機構12に入射する。
【0101】
ディスプレイ偏光器210は、バックライト20と空間光変調器48との間の空間光変調器48の入力側上に配設された入力偏光器であり、追加の偏光器618は入力偏光器210とバックライト20との間に配設されている。追加の偏光器618は反射型偏光器である。
【0102】
光線420は、ファセット12における全内部反射によって反射され、追加の偏光器618、受動リターダ600及び空間光変調器48を通して方向付けられる。光線424は、光抽出機構12によって透過され、後部反射器300のファセット303に入射し、導波路1、追加の偏光器618、受動リターダ600、及び空間光変調器48によって透過される。光線424は反射型偏光器618によって反射され、ファセット303、305に入射し、光学システムによって再利用される。
【0103】
軸上光線420、422、424は、受動リターダ600、追加の偏光器618及び入力偏光器210によって実質的に修正されない輝度を有する。軸外光線は、例えば、図3Aに示すように、受動リターダ600、追加の偏光器618及び入力偏光器210によって減衰される。したがって、追加の偏光器618は、有利なことに、偏光を再利用することによって、並びに迷光及びプライバシー動作を低減するための軸外輝度の低減を提供することによって、増加した輝度を提供することができる。
【0104】
ここで、指向性バックライト20で使用するための導波路1の結像について記載する。
【0105】
図8Aは、結像導波路1からの視野窓26の斜視背面図を示す概略図である。
【0106】
導波路1は、光源15からの出力光が、光源15の入力位置に応じて分散される出力方向のそれぞれの光学窓26に向けられるように、光源15を横方向(y方向)に画像化するために配設されている。例として、光源15aは、湾曲した反射端4及び湾曲した光抽出機構12によって光学窓26aに結像される。光線420a、420bは、光源15aから光学窓26aへの2つの異なる光線経路を示す。光導波路1の光軸199上に配設された光源15aは、光学窓面内の軸197に結像される。
【0107】
ここで、受動リターダ600を備えないディスプレイデバイスにおいて使用されるときの、図8Aの出力の極性輝度プロファイルについて記載する。
【0108】
図8Bは、狭角出力用に、かつ受動リターダ600なしで配設された、図8Aの結像導波路1を備えるディスプレイデバイス100内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。輪郭430は、受動リターダ600を有さない指向性ディスプレイデバイス100について示されており、比較のために、図3A図3Bの受動リターダ600の伝達輪郭432も提供されている。
【0109】
有利なことに、正面の輝度は維持される。運転中、図7のバックライト装置20は、通常、覗き見者47によって占有される、より高い角度で望ましくない迷光を提供することができる。このような高角度は、例えば、45度より大きい横角及び0度~60度の高さを含んでもよい。
【0110】
覗き見者47の視野角での通常の出力輝度は、受動リターダ600がない場合、正面の輝度の2.5%未満であり得る。
【0111】
望ましくは、45度の横方向視野角、及び1.5%未満、好ましくは1%未満、及び最も好ましくは0.5%未満のz輝度を、高性能プライバシーディスプレイのために提供することができる。有利なことに、本実施形態の受動リターダ600は、図7の指向性バックライト20を備えるディスプレイと共に使用されるとき、軸外覗き見者47の視認場所の画像視認性を0.5%未満にまで更に低減し得る。
【0112】
より高い視野角で視認可能に切り替えることができるディスプレイを提供することが望ましい。
【0113】
図8Cは、広角出力用に、かつ受動リターダ600なしで配設された、図8Aの結像導波路1を備えるディスプレイデバイス100内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
【0114】
図8Bと比較して、光源のアレイ15の幅が増加し、ディスプレイは受動リターダ600と追加の偏光子618が設けられるとき、45度の横角での出力は、正面の輝度の5%以上にまで増加する場合がある。
【0115】
有利なことに、複数のビューアがディスプレイを観察することができる。更に、固定ディスプレイ視認位置では、極性視野は輝度の空間的なロールオフを提供する。視野を拡大すると、有利なことに、正面のユーザのディスプレイの均一性が増加する。
【0116】
横長及び縦長動作の両方においてプライバシー動作を向上させることが望ましい。
【0117】
図9は、平行化バックライト20を提供するための前方受動リターダ600と、平行化導波路901を含む指向性バックライトとを備える指向性ディスプレイデバイス100を側面図で示す概略図である。
【0118】
ディスプレイデバイス100は、LCDであり得る空間光変調器48の出力側上に配設された出力偏光器218を備える。ディスプレイ偏光器は、空間光変調器48の出力側上に配設された出力偏光器218である。ディスプレイデバイスは、空間光変調器48の入力側上に配設された入力偏光器210を更に備える。
【0119】
指向性バックライト20は、複数の細長いレンチキュラー要素を含む平行化導波路901と、アレイに配設された複数の傾斜光抽出機構とを含み、複数の細長いレンチキュラー要素906及び複数の傾斜光抽出機構912は、方向性導波路901を通して導かれた入力光を偏向させて第1のガイド表面を通して出射するように配向されている。
【0120】
平行化導波路901は、光偏向機構912を更に含む平面光ガイド表面908を備える。レンチキュラー要素を含むレンチキュラー表面906は、光ガイド表面908の反対側に配設され、拡張した円筒形レンズ形状を備えている。照明源915からの光は、導波路901内で導かれ、レンチキュラー表面906を通して伝達することによって、又は平面表面908を出射した後の反射器903からの反射によってのいずれかで、転向フィルム927に向かって出力される。導波路901からの光線950の出力は、転向フィルム927内の全内部反射によって偏向されて、拡散器968を通して空間光変調器48、受動リターダ602A、602B及び追加の偏光器618を通して出射する。
【0121】
図7の配設と比較して、有利なことに、厚さが低減され得る。
【0122】
ここで、図9のバックライト20の動作について更に記載する。
【0123】
図10A図10Cは、平行化導波路を様々な斜視図で示す概略図である。このような導波路は既知であり、例えば市販の製品HP EliteBook 840 G3で提供されている。
【0124】
ここで、光抽出機構912の動作について、更に、平行化導波路901の入力端902での光源915からの光入力について記載する。
【0125】
図11Aは、軸上照明用の平行化導波路901の第1の傾斜した平面領域912の動作を側面図で示す概略図である。光線180は、表面906と908間の誘導によって伝搬する。光線180は、機構912の先細りによって徐々に減少する表面906、908における入射角を有する。平行化導波路901の材料の臨界角よりも小さい入射角である光線は、第1又は第2のガイド表面906、908をグレージング加工するために近い角度で抽出される。運転中、機構912のテーパ角133は、平行化導波路901からの十分な光漏れを単独で提供しないように配設される。つまり、非傾斜レンチキュラー表面30が存在しない場合には漏れが不十分である。
【0126】
図11Bは、軸上照明用の非傾斜レンチキュラー構造930の動作を側面図で示す概略図である。非傾斜レンチキュラー表面930における各反射で、図11Bの紙面の平面外である光線182の偏向が提供される。したがって、結果として生じる光線は、レンチキュラー表面30の傾斜表面に起因するテーパ効果を見る。いくつかの反射は入射角を増加させ、一方、他の反射は入射角を減少させる。運転中、入射角の正味の変化は小さく、平行化導波路901からの十分な光漏れを提供しない。つまり、平坦面912が存在しない場合には漏れが不十分である。
【0127】
ここで、機構912で反射を受けなかった光のレンチキュラー表面930にわたる異なる位置に入射する光線について、表面930からの光抽出の指向性が更に記載される。
【0128】
図12Aは、軸外照明用の非傾斜レンチキュラー構造の動作を上面図で示す概略図である。図12Bは、軸外照明用の非傾斜レンチキュラー構造の動作を端面図で示す概略図であり、図12Cは、軸外照明用の非傾斜レンチキュラー構造の動作を側面図で示す概略図である。
【0129】
光線184a、184b、184cは、レンチキュラー表面30において、それぞれ入射場所185a、185b、185cを有する。上面図では、光線184a、184cは傾斜したレンチキュラー表面930によって偏向される。端面図では、反射角は表面930にわたって変化し、側面図では、反射角は修正されない。各反射に関して、光線の角度は臨界角を十分上回っており、光は抽出されない。
【0130】
図12Dは、軸外照明用の傾斜した平面機構の動作を上面図で示す概略図である。図12Eは、軸外照明用の傾斜した平面機構の動作を端面図で示す概略図であり、図12Fは、軸外照明用の傾斜した平面機構の動作を側面図で示す概略図である。
【0131】
光線184a、184b、184cは、平面光抽出機構912において、それぞれ入射場所185a、185b、185cを有する。上面図及び端面図では、光線184a、184b、184cは傾斜機構912によってわずかに偏向されている。側面図では、機構912の表面の優勢効果を可視化することができ、角度187bは角度187aよりも小さい。したがって、機構912のテーパ角133は、光線184bを臨界角に、より近づけて方向付ける。
【0132】
ここで、機構912及び非傾斜レンチキュラー表面930の組み合わせ効果について記載する。
【0133】
図12Gは、傾斜した平面機構912での入射後の軸外照明用の非傾斜レンチキュラー構造の動作を上面図で示す概略図である。図12Hは、傾斜した平面機構912を有する入射後の軸外照明のための非傾斜レンチキュラー構造の動作を端面図で示す概略図であり、図12Iは、傾斜した平面機構912を有する入射後の軸外照明のための非傾斜レンチキュラー構造の動作を側面図で示す概略図である。
【0134】
光線184a~cは、光抽出機構912での反射後に低減された入射角を有する。光線184a、184bは、レンチキュラー表面930に入射するとき、依然として臨界入射角を上回ったままである。しかしながら、光線184cは臨界角よりも低い角度で入射し、抽出される。抽出方向は、図12Gに示すように、入射光線角度と比較して長手方向に向かって傾斜している。このようにして、光抽出機構912及びレンチキュラー表面30は協働して、長手方向に近い方向に光を抽出する。
【0135】
図13は、光導波路の出力を上面図で示す概略図である。したがって、光線188a、188b、188cを含む光円錐は、レンチキュラー表面930から優先的に出力され、傾斜面に向かって進む光に対して生じる。したがって、反射光線束189a~189cもまた、反対側に傾斜したレンチキュラー表面から提供される。
【0136】
図14は、転向フィルム927への入射後の図9の指向性ディスプレイデバイス100配設のシミュレートされたISO輝度視野極性プロットを示す概略グラフである。
【0137】
輪郭436は、受動リターダ600を有さない指向性ディスプレイデバイス100について示されており、比較のために、図3A図3Bの受動リターダ600の透過輪郭432も提供されている。
【0138】
ソース915は、水平視野角方向が横方向(x軸に平行)であり、垂直視野角方向が長手方向(y軸に平行)となるように、ディスプレイデバイス100の下縁に配設されてもよい。
【0139】
長手方向において、光線分布は、光ガイド表面8上へのグレージング角に近い入射光によって提供され、したがって、制限された円錐角を有する。横方向視野角方向において、出力輝度プロファイルは、図13に示すようにレンチキュラー表面30からの光線の分布によって決定される。
【0140】
有利なことに、狭い円錐角が横方向及び高さ方向の両方に提供され得る。このような照明プロファイルは、高効率の出力用に使用して、電力消費を削減し、又は所与の入力電力消費に対する出力輝度を高めることができる。
【0141】
本実施形態の受動リターダ600及び追加の偏光器618は、横方向及び高さ方向の両方において輝度の低減を提供することができる。有利なことに、横長及び縦長の両方の配向で動作する、高性能プライバシーディスプレイが提供され得る。
【0142】
広角動作モードに切り替えるディスプレイデバイスを提供することが望ましい場合がある。
【0143】
図15は、後方受動リターダ600及び追加の偏光器618を備える、切替え可能な指向性ディスプレイデバイスを側面図で示す概略図であり、ディスプレイ偏光器は入力偏光器210である。指向性バックライトは、平行化導波路801a及び広角導波路801bを含む。拡散器層810及び反射器層812が更に提供されてもよい。このようなディスプレイ構造は、既知であり、例えば市販の製品HP EliteBook840G3で提供される種類のものである。
【0144】
運転中、導波路801aは光源815aによって照明される。覗き見者47の場所の輝度が、受動リターダ600及び追加の偏光器618によって更に低減された狭い視野が提供される。したがって、光線820は視認場所821に実質的に向けられ、より高い角度の光線は実質的に輝度が低下している。
【0145】
広角動作モードでは、光源815bの照明、導波路801b及び拡散器層810の設計により、軸外輝度が増加する。したがって、光線822は、より広範囲の視認場所823に方向付けられる。
【0146】
有利なことに、切替えプライバシー及び広角動作モードの両方のための横長及び縦長モードを有する切換えプライバシーディスプレイが提供され得る。
【0147】
本実施形態では、バックライト20は、プライバシー動作モードでは軸外輝度を低減し、広角動作モードではより高い軸外輝度を提供するために、出力角度輝度プロファイルを切り替えるように配設された切換え可能なバックライトを更に備えてもよい。
【0148】
ここで、指向性バックライトについて更に記載する。
【0149】
図16Aは、指向性バックライト20を正面斜視図で示す概略図であり、図16Bは、非指向性バックライト20を正面斜視図で示す概略図である。したがって、指向性バックライトは狭い円錐を提供するが、非指向性バックライトは光出力光線の広い角度分布を提供する。
【0150】
図16Cは、様々な異なるバックライト配設のための、極性視野角による輝度の変動を示す概略グラフである。図16Cのグラフは、本明細書に記載の極性視野プロファイルを通る断面であってもよい。ゼロ高度の場合、極角は横方向視野角と同じである。
【0151】
ランバートバックライトは、視野角に依存しない輝度プロファイル846を有する。
【0152】
通常の広角バックライトは、相対輝度の半値全幅866が、好ましくは40°より大きく、より好ましくは60°より大きく、及び最も好ましくは80°より大きくなるように、より高い角度でロールオフを有する。更に、+/-45°における相対輝度864は、好ましくは7.5%より大きく、より好ましくは10%より大きく、及び最も好ましくは20%より大きい。
【0153】
比較のために、指向性バックライト20は、より高い角度でロールオフを有し、それにより、相対輝度の半値全幅862は、多くても40°、好ましくは多くても30°、及びより好ましくは多くても25°であり得る。更に、指向性バックライト20は、45度より大きい空間光変調器の法線に対する極角で輝度を提供し、輝度は、空間光変調器の法線に沿った輝度の多くても10%、好ましくは空間光変調器の法線に沿った輝度の多くても5%、及び更に好ましくは空間光変調器の法線に沿った輝度の多くても2.5%である。
【0154】
本実施形態の受動リターダ602と追加の偏光器618とを組み合わせて、指向性バックライト20を備えるディスプレイデバイス100は、有利なことに、軸外位置での覗き見者47に対して非常に低い視認性を提供することができる。
【0155】
受動リターダ600の更なる配設について記載する。
【0156】
図17Aは、ディスプレイデバイス100の視野の修正を提供するように配設されたA-プレート及び正のC-プレートを含む受動リターダの光学積層体を側面斜視図で示す概略図であり、図17Bは、表2に示す構造を含む、図17Aの受動リターダ内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
【表2】
【0157】
図2の実施形態と比較して、正のC及び正のAリターダが提供されている。少なくとも1つの受動リターダ600は、リターダの平面内に交差する遅相軸を有する一対の受動リターダ602B、602D、及びリターダの平面に垂直な遅相軸を有する受動リターダ602A、602Cを含む。一対の受動リターダ602D、602Bは、受動リターダの平面内に、ディスプレイ偏光器218の電気ベクトル伝達219に平行な電気ベクトル伝達方向に対してそれぞれ22.5°及び112.5°で延在する遅相軸を有してもよい。
【0158】
図2及び表1の配置と比較して、正のA-プレートのリターダンスが低減され、したがってより薄い材料が使用され得る。有利なことに、ディスプレイの厚さを減らすことができる。正のC-プレートは、ホメオトロピック整列(homeotropically aligned)液晶材料のフィルムを硬化させることによって提供され得る。図3Aの視野と比較して、高い輝度の中央領域が増加する。有利なことに、ディスプレイの均一性は、正面の表示ユーザ45のために高めることができる。
【0159】
図18Aは、ディスプレイデバイス100の視野の修正を提供するように配設されたA-プレート及び負のC-プレートを含む受動リターダの光学積層体を側面斜視図で示す概略図であり、図18Bは、表3に示す構造を含む、図18Aの受動リターダ内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
【表3】
【0160】
少なくとも1つの受動リターダ600は、リターダの平面に垂直な遅相軸を有する2つの受動リターダ602A、602Cと、リターダの平面内に交差する遅相軸を有する一対の受動リターダ602B、602Dとを含む。一対の受動リターダ602B、602Dは、受動リターダの平面内に、ディスプレイ偏光器218の電気ベクトル伝達219に平行な電気ベクトル伝達方向に対してそれぞれ22.5°及び112.5°で延在する遅相軸を有してもよい。リターダ600の平面に垂直な遅相軸を有する受動リターダ602A、602Cは、リターダの平面内に遅相軸を有する一対の受動リターダ602B、602Dと交互になっている。
【0161】
有利なことに、一般的なリターダ材料604A、604Cは、図17Aと比較してコスト及び複雑性を低減して提供され得る。
【0162】
図19Aは、ディスプレイデバイス100の視野の修正を提供するように配設された、A-プレート、負のC-プレート、及び正のC-プレートを含む受動リターダの光学積層体を側面斜視図で示す概略図であり、図19Bは、表4に示す構造を含む、図19Aの受動リターダ内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
【表4】
【0163】
水平軸を中心とした回転のための快適な視認自由度を提供しながら、横方向の輝度の低減を提供することが望ましいであろう。
【0164】
図20Aは、ディスプレイ偏光器の電気ベクトル伝達方向及び負のC-プレートに直交する平面内に傾斜され、ディスプレイデバイスの視野の修正を提供するように配設された、負のO-プレートを含む受動リターダの光学積層体を側面斜視図で示す概略図であり、図20Bは、表5に示す構造を含む、図20Aの受動リターダ内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
【表5】
【0165】
したがって、少なくとも1つの受動リターダ600は、受動リターダ602Aの平面内の構成要素と、受動リターダ602Aの平面に垂直な構成要素とを持つ遅相軸を有する負のO-プレートである受動リターダ602Aを含む。更に、受動リターダの平面内の構成要素は、ディスプレイ偏光器218の電気ベクトル伝達219と平行な電気ベクトル伝達方向に対して90°で延在する。
【0166】
少なくとも1つの受動リターダ602Bは、受動リターダの平面に垂直な遅相軸を有する受動リターダを含む。
【0167】
有利なことに、横への視線方向に対して輝度を低減することができる。モバイルディスプレイは、横方向の軸外覗き見者のプライバシーを確保しながら、水平軸を中心に快適に回転させることができる。
【0168】
図20Bと同様の輝度低下を達成するための別の配設について記載する。
【0169】
図20Cは、ディスプレイ偏光器の電気ベクトル伝達方向及び交差A-プレートに直交する平面内に傾斜され、ディスプレイデバイスの視野の修正を提供するように配設された、正のO-プレートを含む受動リターダの光学積層体を側面斜視図で示す概略図であり、図20Dは、表6に示す構造を含む、図20Cの受動リターダ内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
【表6】
【0170】
したがって、少なくとも1つの受動リターダ600は、交差A-プレートである受動リターダ602A、602Bと、受動リターダ602Cの平面内の構成要素及び受動リターダ602Cの平面に垂直な構成要素を持つ遅位軸を有するリターダ602Cとを含む。受動リターダの平面内の構成要素は、ディスプレイ偏光器218の電気ベクトル伝達219に平行な電気ベクトル伝達方向に対して90°で延在する。
【0171】
図20Aと比較して、受動リターダ602A、602B、602Cに代替の材料システムが提供されてもよい。有利なことに、横への視線方向に対して輝度を低減することができる。モバイルディスプレイは、横方向の軸外覗き見者のプライバシーを確保しながら、水平軸を中心に快適に回転させることができる。
【0172】
受動リターダの数を低減しながら、横方向の輝度制御を実現することが望ましい。
【0173】
図21Aは、ディスプレイ偏光器218の電気ベクトル伝達方向219に直交する平面内に傾斜され、空間光変調器48及びバックライト20の視野の修正を提供するように配設された、負のO-プレートを含む受動リターダの光学積層体を側面斜視図で示す概略図である。図21Bは、ディスプレイ偏光器218の電気ベクトル伝達方向219に平行な平面内に傾斜され、空間光変調器48及びバックライト20の視野の修正を提供するように配設された、負のO-プレートを含む受動リターダの光学積層体を側面斜視図で示す概略図であり、図21Cは、表7に示す構造を含む、図21A及び図21Bの受動リターダ内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
【表7】
【0174】
少なくとも1つの受動リターダ600は、受動リターダ602の平面内の構成要素と、受動リターダ602の平面に垂直な構成要素とを持つ遅相軸を有する受動リターダ602を含む。更に、受動リターダの平面内の構成要素は、図21Aに示すようにディスプレイ偏光器218の電気ベクトル伝達219に対して垂直であるか、又は図21Bに示すようにディスプレイ偏光器218の電気ベクトル伝達219に平行である電気ベクトル伝達方向に対して0°で延在する。
【0175】
本実施形態のそれぞれにおいて、受動リターダ602の整列は、ディスプレイ偏光器218の電気ベクトル伝達219に平行又は垂直な方向に関してであり得、かつ両方の整列に対して同様又は同一の性能を提供することができる。
【0176】
有利なことに、軸外の横方向の視認位置に対して輝度の低下が提供される一方、単一の受動リターダから水平軸を中心に回転する高い正面効率と広い視認自由度を実現し、コスト及び複雑性を低減し得る。
【0177】
図22Aは、交差A-プレート602A、602Bを含み、かつディスプレイデバイスの視野の修正を提供するように配設された受動リターダの光学積層体を側面斜視図で示す概略図であり、図22Bは、表8に示す構造を含む、図22Aの受動リターダ内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
【表8】
【0178】
したがって、少なくとも1つのリターダは、リターダの平面内に交差する遅相軸を有する一対の受動リターダ602A、602Bを含む。好ましくは、角度603Aは、少なくとも-10°かつ多くても10°、より好ましくは少なくとも-5°かつ多くても5°、及び最も好ましくは少なくとも-2°かつ多くても2°である。好ましくは、角度603Bは、少なくとも80°かつ多くても100°、より好ましくは少なくとも85°かつ多くても95°、及び最も好ましくは少なくとも88°かつ多くても92°である。
【0179】
有利なことに、光学積層体のコストは、望ましい正面の輝度と軸外輝度低減を維持しながら、緩い公差を有する受動リターダ602A、602Bを提供することによって低減することができる。非常に薄い厚さは、硬化反応性メソゲン(mesogen)フィルムによって提供され得る。有利なことに、受動リターダ600のコストと複雑さが軽減される。更に、象限を見る際の覗き見者47の視認性が低下する。
【0180】
図23Aは、負のC-プレートを含み、かつディスプレイデバイス100の視野の修正を提供するように配設された受動リターダの光学積層体を側面斜視図で示す概略図であり、図23Bは、表9に示す構造を含む、図23Aの受動リターダ内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。
【表9】
【0181】
有利なことに、受動リターダ600のコスト及び複雑さが低減される。更に、修正されていないディスプレイと比較して、象限を見る際の覗き見者47の視認性が低下する。正面のユーザ45については、水平軸を中心としたディスプレイの回転の画像視認性もまた、図2の受動リターダ600と比較して改善される。
【0182】
上記の単一対の平行偏光器間の受動リターダ600と比較して、軸外視認位置に対する透過率を更に低減することが望ましい。
【0183】
図24Aは、表10に示す構造を含む、後方受動リターダ及び追加の偏光器並びに前方の更なる受動リターダ及び更なる追加の偏光器と、透過型空間光変調器及びバックライトと、を備える指向性ディスプレイデバイスを側面斜視図で示す概略図である。
【表10】
【0184】
ディスプレイデバイス100は、受動リターダ600Aが追加の偏光器618Aと入力偏光器210との間に配設されるように、受動リターダ600Aと追加の偏光器618Aとを備える。ディスプレイデバイス100は、少なくとも1つの更なる受動リターダ600Bと、受動偏光器600Aと直列に配設された更なる追加の偏光器618Aと、追加の偏光器618Aとを更に備え、更なる受動偏光器600Bは、出力ディスプレイ偏光器218と更なる追加の偏光器618Bとの間に配設されている。
【0185】
したがって、バックライト20からの入力光円錐404は、円錐406として空間光変調器48から出力され、更なる受動リターダ602E、602F及び更なる追加の偏光器618Bによって円錐408に更に狭小化される。
【0186】
軸外透過率は、例えば、図3A及び図20Bのプロファイルを乗算することによって達成され得る。このような構成は、例えば、ランバート光円錐404の近くに有し得る従来のバックライトのための高軸効率及び軸外輝度の実質的な低減を提供することができる。
【0187】
追加の偏光器618Aは、空間光変調器48とバックライト20との間に配設された反射型偏光器であってもよい。有利なことに、反射型偏光器が既に使用されているバックライトと比較して、正面の効率が維持される。
【0188】
有利なことに、指向性導波路は、コスト及び厚さの低減を達成するために使用されても、使用されなくてもよい。バックライト内の迷光を最小限に抑えるための更なる対策を取り除いて、コストを削減し、かつプライバシー性能を向上させることができる。
【0189】
図24Bは、後方受動リターダ及び追加の偏光器並びに更なる追加の偏光器と、透過型空間光変調器及びバックライトと、を備える指向性ディスプレイデバイスを側面斜視図で示す概略図である。
【0190】
少なくとも1つの更なる受動リターダ600Bは、追加の偏光器618Aと更なる追加の偏光器618Bとの間に配設される。有利なことに、ディスプレイの前方の外観は修正されておらず、画像忠実度が最適化されている。更に、受動リターダ600A、600Bは、個々の受動リターダの各々に対して、それぞれの角色ロールオフセットを補償するように配設されてもよい。有利なことに、視野角を有する色変化が最小化され得る。
【0191】
図24Cは、前方受動リターダ及び追加の偏光器、並びに前方の更なる受動リターダ及び発光型空間光変調器48上に配設された更なる追加の偏光器、を備える指向性ディスプレイデバイスを側面斜視図で示す概略図である。ランバート光円錐404は、出力光円錐408を提供するために受動リターダ600A、600B及び偏光器618A、618Bによって制限されてもよい。有利なことに、発光型ディスプレイには、図1Bの配設と比較して、低い軸外輝度レベルを有する、プライバシー及び低迷光動作を提供することができる。
【0192】
受動リターダ600Bは、横長-縦長動作の性能を有利に達成するために、600Aと同じ配設であってもよい。
【0193】
あるいは、受動リターダ600Aは、横長のみ又は縦長のみの動作に対して改善された性能を有利に達成するために、600Bと同じ配設であってもよい。偏光器338及びリターダ336の光アイソレータ機能は維持され、高画像コントラストを有利に達成する。
【0194】
視野透過制御は、ここで更に記載されるように、視野角制御要素601によって更に提供されてもよい。
【0195】
空間光変調器48とディスプレイ偏光器210、218又は318とを備えるディスプレイデバイスに適用するための視野角制御光学要素601は、制御偏光器618と、視野角制御光学要素を、ディスプレイデバイスに適用する際に、制御偏光器618とディスプレイ偏光器210、218又は318との間に配設するための少なくとも1つの受動リターダ600と、を備える。少なくとも1つの受動リターダ600は、少なくとも2つの異なる配向の遅相軸を有する少なくとも2つの受動リターダ602A、602Bを含み得る。
【0196】
少なくとも1つの受動リターダ600は、受動リターダ602A、602Dの平面内に交差する遅相軸を有する一対の受動リターダ602A、602Dを含み得る。一対の受動リターダ602A、602Dは、制御偏光器の電気ベクトル伝達に平行な電気ベクトル伝達方向に対してそれぞれ45°及び135°で延在する遅相軸を有してもよい。
【0197】
視野角制御光学要素は、第1の言及した一対の受動リターダ間に配置され、受動リターダの平面内に交差する遅相軸を有する追加の一対の受動リターダ602B、602Cを更に含んでもよい。追加の一対の受動リターダ602B、602Cは、制御偏光器の電気ベクトル伝達に平行な電気ベクトル伝達方向に対してそれぞれ0°及び90°で各々が延在する遅相軸を有してもよい。各受動リターダの550nmの波長の光のリターダンスは、600nm~850nmの範囲、好ましくは650nm~730nmの範囲、及び最も好ましくは670nm~710nmの範囲であり得る。
【0198】
少なくとも1つの受動リターダ600は、受動リターダの平面に垂直な遅相軸を有する受動リターダ602を含み得る。少なくとも1つの受動リターダは、受動リターダの平面に垂直な遅相軸を有する2つの受動リターダと、受動リターダの平面内に交差する遅相軸を有する一対の受動リターダとを含み得る。一対の受動リターダは、受動リターダの平面内に、制御偏光器の電気ベクトル伝達に平行な電気ベクトル伝達方向に対してそれぞれ22.5°及び112.5°で延在する遅相軸を有してもよい。受動リターダの平面に垂直な遅相軸を有する受動リターダは、受動リターダの平面内に遅相軸を有する一対の受動リターダと交互になっていてもよい。
【0199】
少なくとも1つの受動リターダは、受動リターダの平面内の構成要素と、受動リターダの平面に垂直な構成要素とを持つ遅相軸を有する受動リターダを含み得る。受動リターダの平面内の構成要素は、制御偏光器の電気ベクトル伝達に平行又は垂直な電気ベクトル伝達方向に対して0°で延在してもよい。視野角制御光学要素は、少なくとも1つの更なる受動リターダ及び更なる追加の偏光器を更に含んでもよく、少なくとも1つの更なる受動リターダは、第1の言及した追加の偏光器と更なる追加の偏光器との間に配設されてもよい。
【0200】
有利なことに、受動リターダ及び追加の偏光器、更なる受動リターダ、及び更なる追加の偏光器の視野角制御は、プライバシー及び低迷光用途のディスプレイの軸外輝度制御のために提供され得る。性能は、本明細書の他の箇所に記載される空間光変調器48のディスプレイ偏光器210、218、318を有する、少なくとも1つの受動リターダ600及び追加の偏光器618と類似していても同じであってもよい。
【0201】
更に、モアレアーティファクトを回避するためにパネル画素解像度に適合する必要がない、アフターマーケットのプライバシー制御要素及び/又は迷光制御要素が提供されてもよい。視野角制御要素は、出力偏光器のサイズ及び配向に便利に切断されてもよく、湾曲した、折りたたみ可能な、又は屈曲したディスプレイと共に使用され得る可撓性要素であってもよい。
【0202】
次に、視野角制御要素601の更なる例示的な実施形態について記載する。
【0203】
図24Dは、受動リターダ積層体602A、602B、602C、602D、制御偏光器618A、更なる受動リターダ積層体602E、602F、更なる制御偏光器618B、及び拡散器607を備える視野角制御要素601を側面斜視図で示す概略図である。このような視野角制御要素601は、広い視野を有する空間光変調器に加えられ、モアレ効果を伴わずに正面の損失を最小限に抑えながら、迷光の低減と、軸外覗き見者に対する視認性の低減を達成することができる。拡散器607は、ディスプレイに対する視野角制御要素601の湿潤に対する抵抗を提供してもよい。
【0204】
有利なことに、視野角制御要素601は、空間光変調器とバックライトとの間の工場出荷時の適合、又はディスプレイの前方のいずれかのために、大きなロールからサイズに切断され得る。あるいは、視野角制御要素601は、ディスプレイユーザによる空間光変調器の前方へのアフターマーケット付属品として提供されてもよい。
【0205】
ここで、軸外照明のための平行偏光器間のリターダ層の動作について更に記載する。
【0206】
図25Aは、軸外光によるリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。補正リターダ630は、x軸に対して0度の遅軸方向634を有する屈折率楕円体632によって表され、厚さ631を有する複屈折材料を含むことができる。垂直光線636は、材料内の経路長が厚さ631と同じであるように伝搬する。光線637は、y-z平面内にあり、光路長が長くなっている。しかしながら、材料の複屈折は光線636と実質的に同じである。x-z平面内にある光線638は、複屈折材料の経路長が増加し、更に複屈折は通常光線636とは異なる。
【0207】
したがって、リターダ630のリターダンスは、それぞれの光線の入射角に依存し、かつ、入射平面すなわちx-zにおける光線638は、通常の光線636及びy-z平面における光線637とは異なるリターダンスを有する。
【0208】
ここで、偏光とリターダ630との相互作用について記載する。指向性バックライト101における動作中に第1及び第2の偏光構成要素を区別するために、以下の説明は第3及び第4の偏光構成要素を参照する。
【0209】
図25Bは、x軸に対して90度の第3の線形偏光状態の軸外光によるリターダ層の照明を斜視図で示す概略図であり、図25Cは、x軸に対して0度の第4の線形偏光状態の軸外光によるリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。このような配設では、入射線形偏光状態は、楕円632によって表される複屈折材料の光軸に整列される。その結果、第3と第4の直交偏光構成要素間の位相差は提供されず、各光線636、637、638に対する直線偏光入力の偏光状態の変化は生じない。
【0210】
図25Dは、45度の線形偏光状態の軸外光によるリターダ630層の照明を斜視図で示す概略図である。線形偏光状態は、遅相軸634方向に対してそれぞれ直交及び平行である第3及び第4の偏光構成要素に分解されてもよい。リターダの厚さ631と屈折率楕円体632で表される材料のリターダンスは、設計波長に対して、光線636で表される法線方向に入射する第3及び第4の偏光構成要素の位相を半波長だけ、相対的にシフトする正味の効果を提供し得る。設計波長は、例えば、500~550nmの範囲であってもよい。
【0211】
設計波長で、光線636に沿って正常に伝搬する光の場合、出力偏光は、90度回転し、-45度の線形偏光状態640になり得る。光線637に沿って伝播する光は、厚さの変化による光線637に沿った位相差と同様であるが同一ではない位相差を見ることができ、したがって、楕円偏光状態639は、光線636の出力光の線形偏光軸と同様の主軸を有し得る出力であってもよい。
【0212】
対照的に、光線638に沿った入射線形偏光状態の位相差は、著しく異なってもよく、特に、より少ない位相差が提供されてもよい。このような位相差は、所与の傾斜角642で実質的に円形である出力偏光状態644を提供し得る。
【0213】
リターダ積層体の軸外挙動を示すために、追加の吸収型偏光器618とディスプレイ偏光器218との間のC-プレート308、310の角度輝度制御を、ここで、様々な軸外照明配設について記載する。
【0214】
ここで、平行偏光器500、210間のC-プレートの動作について記載する。
【0215】
図26Aは、正の立面を有する軸外偏光によるC-プレート層の照明を斜視図で示す概略図である。正の高さを有する軸外偏光によるC-プレート層の照明を斜視図で示す概略図である。入射線形偏光構成要素704は、リターダ560の平面に垂直な光軸方向507を有するC-プレート560の複屈折材料632に入射する。偏光構成要素704は、液晶分子を通した伝達に正味の位相差がないため、出力偏光構成要素は構成要素704と同じである。したがって、偏光器210を通して最大の伝達が見られる。したがって、少なくとも1つのリターダは、x-y平面であるリターダ560の平面に垂直な遅相軸561を有するリターダ560を含む。リターダの平面に垂直な遅相軸を有するリターダ560は、C-プレートを含む。
【0216】
図26Bは、負の横角を有する軸外偏光によるC-プレート層の照明を斜視図で示す概略図である。図26Aの配設と同様に、偏光状態704は正味の位相差を見ず、最大の輝度で伝達される。
【0217】
図26Cは、正の高さ及び負の横角を有する軸外偏光によるC-プレート層の照明を斜視図で示す概略図である。正の高さ及び負の横角を有する軸外偏光によるC-プレートリターダを斜視図で示す概略図である。図26A図26Bの配設と比較して、偏光状態704は、複屈折材料632に対して固有状態703、705上に分解し、リターダ560を通した伝達の正味の位相差を提供する。得られた楕円偏光構成要素656は、図26A図26Bに示される光線と比較して、輝度が低下した偏光器210を通して伝達される。
【0218】
図26Dは、正の高さ及び正の横角を有する軸外偏光によるC-プレート層の照明を斜視図で示す概略図である。図26Cと同様に、偏光構成要素704は、正味の位相差を受ける固有状態703、705に分解され、偏光器を通した伝達後に、それぞれの軸外光線の輝度を低下させる楕円偏光構成要素660が提供される。
【0219】
図23Bの説明に戻ると、図23Bは、図26A図26Dの受動リターダ内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略グラフである。したがって、C-プレートは、極性象限の輝度低下をもたらし得る。リターダ積層体の軸外挙動を示すために、追加の吸収型偏光器618と出力ディスプレイ偏光器218との間の交差A-プレート308、310の角度輝度制御を、様々な軸外照明配設について記載する。
【0220】
図27Aは、正の高さを有する軸外偏光による交差A-プレートリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。電気ベクトル伝達方向219を有する線形偏光器218は、交差A-プレート308、310の第1のA-プレート308上に横方向に平行な線形偏光状態704を提供するために使用される。遅相軸方向309は、横方向に対して+45度傾斜している。正の高さ方向における軸外角度θに対するリターダ308のリターダンスは、出力部上で概ね楕円形である、結果として生じる偏光構成要素650を提供する。偏光構成要素650は、第1のA-プレート308の遅相軸方向309に直交する遅相軸方向311を有する、交差A-プレート308、310の第2のA-プレート310上に入射する。図27Aの入射面では、軸外角度θに対する第2のA-プレート310のリターダンスは、第1のA-プレート308のリターダンスと等しくて反対である。したがって、正味のゼロ遅滞が入射偏光構成要素704に提供され、出力偏光構成要素は入力偏光構成要素704と同じである。
【0221】
出力偏光構成要素は、追加の吸収型偏光器618の電気ベクトル伝達方向に整列され、効率的に伝達される。有利なことに、ゼロの横角角度構成要素を有する光線に対して実質的に損失がもたらされないため、完全な伝送効率が達成される。
【0222】
図27Bは、負の横角を有する軸外偏光による交差A-プレートリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。したがって、入力偏光構成要素は、概ね楕円形の偏光状態である中間偏光構成要素652に第1のA-プレート308によって変換される。第2のA-プレート310は、出力偏光構成要素が入力偏光構成要素704と同じであり、光が偏光器618を通して効率的に伝達されるように、第1のA-プレートに等しくて反対の遅滞を提供する。
【0223】
したがって、少なくとも1つのリターダは、本実施形態において、交差するリターダ308、310の平面内、すなわち、x-y平面内に遅相軸を有する一対のリターダ308、310を備える。一対のリターダ308、310は、偏光器618の電気ベクトル伝達に平行な電気ベクトル伝達方向に対して45°で各々延在する遅相軸309、311を有する。
【0224】
有利なことに、完全な伝達効率が達成されるように、ゼロ高度の角度構成要素を有する光線に対して実質的に損失がもたらされない。
【0225】
図27Cは、正の高さ及び負の横角を有する軸外偏光による交差A-プレートリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。偏光704は、第1のAープレート308によって楕円偏光構成要素構成要素654に変換される。得られた楕円形構成要素656は、第2のA-プレート310から出力される。楕円構成要素656は、第1の偏光構成要素704の入力輝度と比較して、輝度が低下した入力偏光器618によって分析される。
【0226】
図27Dは、正の高さ及び正の横角を有する軸外偏光による交差A-プレートリターダ層の照明を斜視図で示す概略図である。偏光構成要素658及び660は、第1及び第2のリターダの正味のリターダンスが補償を提供しないため、第1及び第2のA-プレート308、310によって提供される。
【0227】
したがって、輝度は、ゼロでない横角及びゼロでない高さ構成要素を有する光線に対して低減される。有利なことに、主ディスプレイユーザの視感効率が実質的に低減されない一方で、象限を見るように配設されている覗き見者については、ディスプレイのプライバシーを向上させることができる。
【0228】
図22Bの説明に戻ると、これは、図22A及び図27A図27Dの受動リターダ内の透過光線に対する極性方向による出力伝達の変動を示す概略的グラフである。図23Bの配設と比較して、輝度低下の面積は、軸外視認のために増加している。
【0229】
本明細書で使用され得るとき、用語「実質的に」及び「約」は、それに対応する用語及び/又は項目間の相対性に対して、業界で受け入れられる許容範囲を付与するものである。かかる業界で受け入れられる許容範囲は、0パーセント~10パーセントの範囲であり、構成要素値、角度などが該当するが、これらに限定されない。かかる項目間の相対性は、約0パーセント未満~10パーセントの範囲である。
【0230】
本明細書に開示される原理による様々な実施形態を上述してきたが、それらは限定としてではなく単なる例として提示されていることを理解されたい。それ故、この開示の広さ及び範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても制限されてはならず、特許請求の範囲のいずれか、及び本開示に由来するそれらの均等物に従ってのみ規定されるべきである。更に、上述の利点及び特徴が記載された実施形態において提供されるが、かかる公開された特許請求の範囲の用途を、上述の利点のいずれか又はすべてを達成する方法及び構造に限定するものではない。
【0231】
加えて、本明細書におけるセクションの見出しは、米国特許法施行規則1.77の規定するところに従って、さもなければ、編成上の目印として提供されるものである。これらの見出しは、本開示から生じ得る特許請求の範囲に定める(単数又は複数の)実施形態を限定したり又は特徴付けたりしないものとする。具体的には、単に例示ではあるが、「技術分野」という見出しがあるが、いわゆる分野を説明するためにこの見出しの下に選択された表現によって、特許請求の範囲が限定されることはない。更に、「背景技術」に記載された技術に関する記述は、特定の技術が、本開示における任意の(単数又は複数の)実施形態に対する先行技術であることの承認として、解釈されるべきではない。「発明の概要」についても、公開される特許請求の範囲で述べられる(単数又は複数の)実施形態を特徴付けるものとして考慮されるべきでない。更に、本開示においては、単数形での「発明」に対するいずれの言及も、本開示における新規な点が1つのみである、ということを主張するために使用されるべきではない。複数の実施形態は、本開示により、公開される複数の特許請求の範囲の限定に従って、述べられる場合がある。したがって、かかる特許請求の範囲は、この(単数又は複数の)実施形態及びそれらの均等物を定義することによって、それらを保護している。すべての例において、かかる特許請求の範囲の範囲は、本開示に照らして、固有の利点が考慮されるべきであり、本明細書で定める見出しによって制約されてはならない。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図12G
図12H
図12I
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図20C
図20D
図21A
図21B
図21C
図22A
図22B
図23A
図23B
図24A
図24B
図24C
図24D
図25A
図25B
図25C
図25D
図26A
図26B
図26C
図26D
図27A
図27B
図27C
図27D