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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】蓋体及び飲料容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/12 20060101AFI20230106BHJP
   B65D 47/06 20060101ALI20230106BHJP
   A47J 41/00 20060101ALI20230106BHJP
   A47J 41/02 20060101ALI20230106BHJP
【FI】
B65D47/12 300
B65D47/06 110
A47J41/00 304A
A47J41/02 104A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018043433
(22)【出願日】2018-03-09
(65)【公開番号】P2019156425
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】597148264
【氏名又は名称】株式会社タイエイジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100111109
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 忠広
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-128527(JP,A)
【文献】特開2003-144338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00-55/16
A47J 41/00-41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器本体の開口に設けられた飲み口を覆い、前記飲み口を支持する部材と着脱自在に係合する蓋体であって、
前記蓋体は、上面に位置される蓋カバーと、前記蓋カバーと一体となった中空筒状の側壁と、前記側壁に配置された押圧部を有する押圧部材と、前記蓋カバーの中心を含んだ位置に形成された円筒状の栓体支持部と、前記栓体支持部に支持された弾性体からなる栓体と、前記押圧部材を前記側壁側に付勢するばね部材と、前記押圧部材の押圧部と反対側の自由端部側に形成された係合部と、前記側壁に形成された少なくとも一つの切欠き部と、を備え、
前記係合部は、前記飲み口を支持する部材に形成された係合部受けと係脱可能に形成され、
前記少なくとも一つの切欠き部は、前記飲み口を支持する部材に形成された突起と嵌合可能に形成され、
前記押圧部材の押圧部は、前記側壁と略面一となっており、前記ばね部材に抗して前記押圧部を押し込んだときに、前記飲み口を支持する部材に形成された前記係合部受けから外れ、前記蓋体が、前記飲み口を支持する部材と離脱可能となり、
前記係合部が前記係合部受けと係合したときに、前記蓋体が、前記飲料容器本体の開口を閉塞してなることを特徴とする飲料容器の蓋体。
【請求項2】
前記切欠き部は、2か所で、180度離れた位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の飲料容器の蓋体。
【請求項3】
前記栓体は、前記飲み口と、緩く嵌め合う構造となっていることを特徴とする請求項1に記載の飲料容器の蓋体。
【請求項4】
記係合部には、斜面からなる係合面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の飲料容器の蓋体。
【請求項5】
前記押圧部材は前記蓋カバーの中心を通る線上に2か所形成され、前記押圧部材は長手方向の略真ん中に回動軸が形成されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の飲料容器の蓋体。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項の蓋体を含む飲料容器であって、前記飲料容器は、前記蓋体と、飲料が収容される飲料容器本体と、前記飲料容器本体の開口に対して螺合固定された飲み口支持部と、前記飲み口支持部に着脱可能に支持される飲み口及びパッキン支持部と、前記パッキン支持部に装着されるパッキンと、を備え、
前記蓋体が前記飲み口支持部と係合したときに、前記栓体が前記飲み口を閉塞してなることを特徴とする飲料容器。
【請求項7】
記飲み口支持部に形成された係合部受けの斜面からなる上面、前記押圧部材の斜面からなる係合面と摺接可能であることを特徴とする請求項6記載の飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体及び飲料容器に係り、特に飲料容器体の開口部に着脱可能に装着される蓋体及びこの蓋体を用いた飲料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料容器本体の開口部に直接、口を付けて飲用することができる直のみタイプの飲料容器が普及している。この飲料容器では、一般に飲料容器本体の開口部に口を当てることができる飲み口を設け、この飲み口に対し栓部材を備えた蓋体が装着されるようになっている。このような飲料容器は、蓋体が飲料容器本体の開口部に螺合固定される構成となっている。そして、蓋体および栓部材の方は頻繁に開閉、着脱されるが、その都度、蓋体および栓部材を一体として回動操作する必要がある。この回動操作による蓋体の開閉は、手間がかかる。また、閉栓時の螺合状態が十分でない場合、収容液の漏出が起こる。また、蓋体の回動時に栓部材側のシール部材がボトル本体(飲料容器本体)側の螺合溝と擦れてシール部材の摩耗によるシール機能の低下等を生じる問題もある。
【0003】
そこで、蓋体および栓部材を、ボトル本体(飲料容器本体)側飲み口部材に対してワンタッチで正確に着脱操作できるようにするとともに、蓋開閉時のシール部材によるシール機能を向上させた飲料容器が提案されていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-128527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発明では、飲料が収容されるボトル本体(飲料容器本体)と、このボトル本体(飲料容器本体)の開口部に対して螺合固定された飲み口部材と、飲み口部材の内周に設けられた係合部に対して着脱可能に係合する係合部材を有して飲み口部材に嵌合される栓部材と、栓部材に対して、栓部材の係合部材の係合状態を操作する操作手段を介して係合された蓋部材と、栓部材の外周に設けられたガイド部材とを備えるように構成されている。そして、飲み口部材の係合部に対して、栓部材の係合部材を係合させることによって、栓部材および蓋部材を飲み口部材に対して嵌合係止するとともに、蓋部材の操作手段を操作することによって、飲み口部材の係合部に対する栓部材側係合部材の係合を解除する一方、栓部材はガイド部材を介して飲み口部材に嵌合されるように構成されている。
【0006】
上記構成からなる特許文献1では、栓部材の正確な着脱を、螺合構造によらず、飲み口部材開口部への嵌合、開閉操作手段の開操作のみで簡単に実現できるようになり、螺合構造の場合のような面倒な回動操作が不要となること、螺合構造のような回動操作が不要になる結果、栓部材のシール部とボトル本体(飲料容器本体)側シール面、螺合溝との回動時の摩擦による音鳴り、シール部材の摩耗によるシール機能の低下がなくなり、シール性能が向上し、シール寿命が長くなること、飲み口部材への栓部材の嵌合に際して、外部から見える状態での位置決め構造などを設けて位置決めする必要がなく、その点でも嵌合操作が容易で、しかもデザイン性が向上すること、などの効果を期待するものであった。
しかし、上述のような特許文献1の発明においては、外部から見える状態での位置決め構造がないため、目視によって位置を特定できない、という不都合があった。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ワンタッチで蓋体の着脱が可能であり、蓋体装着時に目視によらず、或いは目視によって蓋体の装着が可能である蓋体及びこれを用いた飲料容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、本発明の飲料容器の蓋体によれば、飲料容器本体の開口に設けられた飲み口を覆い、前記飲み口を支持する部材と着脱自在に係合する蓋体であって、前記蓋体は、上面に位置される蓋カバーと、前記蓋カバーと一体となった中空筒状の側壁と、前記側壁に配置された押圧部を有する押圧部材と、前記蓋カバーの中心を含んだ位置に形成された円筒状の栓体支持部と、前記栓体支持部に支持された弾性体からなる栓体と、前記押圧部材を前記側壁側に付勢するばね部材と、前記押圧部材の押圧部と反対側の自由端部側に形成された係合部と、前記側壁に形成された少なくとも一つの切欠き部と、を備え、前記係合部は、前記飲み口を支持する部材に形成された係合部受けと係脱可能に形成され、前記少なくとも一つの切欠き部は、前記飲み口を支持する部材に形成された突起と嵌合可能に形成され、前記押圧部材の押圧部は、前記側壁と略面一となっており、前記ばね部材に抗して前記押圧部を押し込んだときに、前記飲み口を支持する部材に形成された前記係合部受けから外れ、前記蓋体が前記飲み口を支持する部材と離脱可能となり、前記係合部が前記係合部受けと係合したときに、前記蓋体が、前記飲料容器本体の開口を閉塞してなること、により解決される。
【0009】
本発明によれば、栓体の付いた蓋体を飲み口の付いた飲料容器に固定するため飲料容器収容したものの漏洩が防止できるだけでなく、前記押圧部材の押圧部と反対側の自由端部側に形成された係合部と係合部受けにより蓋体の着脱(栓の開閉)をスクリュー式よりも簡単な動作で出来るようにしている。
つまり、蓋体を取り付けるには、飲料容器側に蓋体を押し込んで係合部(突起部やフック)が、前記飲み口を支持する部材に形成された係合部受けに掛かるようにする。蓋体を取り外すには、押圧部材を押して係合部受けから係合部を外し、蓋体を上に持ち上げる。
【0010】
この飲料容器(携帯型水筒)と蓋体との着脱は、蓋体を飲料容器に押し込むことで、蓋体に設けた係合部と係合部受けと噛み合わせ、蓋体を飲料容器本体に取り付け固定し、蓋体を飲料容器本体から取り外すには、押圧部材を指で押し込み、係合部受けとの噛み合いを外し、蓋体を飲料容器本体から引き上げる。押圧部材の表面は蓋カバーの側面と面をほぼ合わせているため、噛み合いを外す際には、2本の指で押圧部材を蓋カバーの内部に押し込むことにより外す。本発明の構成により携帯時の意図しない力の働きで噛み合いが簡単に外れてしまうことを防いでいる。さらに、本発明の構成は押圧部材を押し込んだ指をそのまま蓋カバーの天井部に引っ掛け、蓋体を引き上げることにも役立つように構成されている。
【0011】
蓋体を飲料容器に取り付ける際、蓋体の押圧部材の係合部と、飲料容器側の係合部受けとの位置合わせに役立つよう、蓋体に切欠きを設け、それと嵌め合う突起部を飲料容器側に設けているので、蓋体は、切欠きと突起部が合致しないと飲料容器本体に押し込むことができない。
このように蓋体に切欠きを設け、それと嵌め合う突起部を飲料容器側に設けているので、切欠きと突起部とを目視によって確認することもでき、また目視によらない場合でも、蓋体を飲料容器側に取り付ける際、切欠きと突起部とが合致しない状態では、蓋体を飲料容器側に軽く押しつけながら飲料容器側の中心軸の周りに回転させて合致させることができる。
【0012】
このとき、前記切欠き部は、2か所で、180度離れた位置に形成されていると好適である。
このように切欠きと突起部を形成すると、蓋体を回転させ、回転角度が180度に達する前に切欠きと突起部とが合致する箇所となって、目視に拠ることなく手指の感覚だけで容易に認識することができ、その位置で蓋体を飲料容器側に押し込めば、蓋体の押圧部材の係合部を飲み口支持部の係合部受けに噛み合わせ、蓋体を飲み口支持部に取り付け固定することができる。
【0013】
前記栓体は、前記飲み口と、緩く嵌め合う構造となっていると、好適である。
このように構成すると、蓋体の栓体(シリコン中栓)が前記飲み口に緩く嵌め合うことになるため、蓋体を回転させる際、蓋体が飲料容器側の中心軸で、弾性のある栓体を中心に嵌め合いを維持しながら回転できる。
蓋体が飲み口支持部に固定されているとき、蓋体の中栓は飲み口支持部に形成された飲み口に押さえつけられているので、蓋体側には常に持ち上げようとする力が働いている。そのため携帯時に意図しない力が働き、例え片側だけでも押圧部材が押し込まれてしまうと蓋体の片側が持ち上げられ、水が漏れてしまうのを防ぐため、蓋体は中栓と飲み口と嵌め合う構造になっている。この嵌め合いは、蓋体の脱着に支障がない適度な締め付けで蓋体の片側だけが持ち上がるのを防いでいる。
【0014】
前記押圧部材は前記蓋カバーの中心を通る線上に2か所形成され、前記押圧部材は長手方向の略真ん中に回動軸が形成されると好適である。
これにより、押圧部材が親指と人差し指で押圧できるような位置関係となるので、摘まんだままで、取り外し可能となる。
【0015】
前記課題は、本発明の飲料容器によれば、請求項1乃至5のいずれか一項の蓋体を含む飲料容器であって、前記飲料容器は、前記蓋体と、飲料が収容される飲料容器本体と、前記飲料容器本体の開口に対して螺合固定された飲み口支持部と、前記飲み口支持部に着脱可能に支持される飲み口及びパッキン支持部と、前記パッキン支持部に装着されるパッキンと、を備え、前記蓋体が前記飲み口支持部と係合したときに、前記栓体が前記飲み口を閉塞してなること、により解決される。
以上のように、本発明の飲料容器によれば、前記した蓋体の作用効果を備え、ワンタッチで蓋体の着脱が可能であり、蓋体装着時に目視によらず、或いは目視によって蓋体の装着が可能な飲料容器を提供することができる。
【0016】
また、前記飲み口支持部に形成された係合部受けの斜面からなる上面、前記押圧部材の斜面からなる係合面と摺接可能であると、好適である。
【0017】
このように、係合部受けの上面と押圧部材の係合面とが共に斜面であるので、これらが摺接して、押圧部材の係合部と飲料容器側の係合部受けが円滑に係合できる。
【0018】
上記のように構成された本発明では、ワンタッチで蓋体の着脱が可能であり、蓋体装着時に目視によらず、或いは目視によって蓋体の装着が可能な飲料容器を提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の蓋体によれば、ワンタッチで蓋体を装着でき、同時に目視によって蓋体の装着位置を確認できるだけでなく、目視によらなくても装着ができる。
また、本発明の飲料容器によれば、上記蓋体の特徴を備えた飲料容器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る蓋体10と飲み口支持部との連結関係を説明する説明図である。
図2】飲料用容器の構成部品の分解図である。
図3】飲料用容器を分解した断面構成図である。
図4】蓋体を飲み口支持部に装着するときの状態を説明する断面構成図である。
図5】蓋体を装着するときの状態を説明する説明図である。
図6】蓋体を離脱する状態の断面構成図である。
図7】飲料容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1乃至図7を参照しながら、本発明の実施の形態(以下、本実施形態)に係る蓋体及びこれを用いた飲料容器について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
図1乃至図7は本発明の一実施形態を示すもので、図1は蓋体と飲み口支持部との連結関係を説明する説明図、図2は飲料用容器の構成部品の分解図、図3は飲料用容器を分解した断面構成図、図4は蓋体を飲み口支持部に装着するときの状態を説明する断面構成図、図5は蓋体を装着するときの状態を説明する説明図、図6は蓋体を離脱する状態の断面構成図、図7は飲料容器の斜視図である。
【0022】
本例の飲料容器Pは、図2で示すように、本発明の蓋体10と、この蓋体10によって覆われる飲み口本体22を備えた飲み口支持部21などからなる飲み口支持部材20と、飲料容器本体30とを主要構成要素としている。
(蓋体の構成)
本発明の蓋体10は、飲料容器本体30側の開口部31に設けられた飲み口を覆い着脱自在に係合するものである。
より詳しくは、蓋体10は、図1図3で示すように、円板状の蓋カバー10aと、中空筒状の側壁10bと、押圧部11aを有する押圧部材11と、ばね部材12と、係合部としての突起部13と、栓体支持部14と、栓体15と、を備えている。
円板状の蓋カバー10aは、蓋体10の上面に位置されるもので、図2で示すように、この蓋カバー10aと連続して中空筒状の側壁10bが一体となって形成されている。
【0023】
そして、この中空円筒状の側壁10bには凹部10cが2か所形成され、この凹部10c内にプッシュボタンとしての押圧部11aを有する押圧部材11が可動可能に配置されている。押圧部材11は、長手方向の略真ん中に回動軸が形成され、一端側に押圧部11aを有し、他端側に、図2及び図3で示すように、係合部であるL字状のフックとしての突起部13が形成されている。また押圧部材11の側壁内部側には、ばね受け突起11cと軸受け部11bが形成され、凹部10cの底部側(蓋体の中心方向側)には回動支持部17aを有する回動支持部材17が配置されている。押圧部材11は回動支持部17aと軸受け部11bが係合して、回動支持部材17に対して回動可能(搖動可能)になっている。
【0024】
また凹部10cの飲み口支持部21側には、蓋体10の装着時に、蓋体10を押し込んだ時に、飲み口支持部21の上面の当接面21eと当接する当接部10eが形成されている。回動支持部17には、ばね部材12であるコイルばねを支持して規制できるように、ばね規制部17bが形成されている。
この押圧部材11が位置する凹部空間の内部には、図4で示すように、ばね部材12が配設され、押圧部11aを常時外方へ付勢している。そして押圧部材11の押圧部11aの外面は、側壁10bと略面一となっており、押圧部11aの外面には滑り止用の凹凸が形成されている。
【0025】
押圧部材11の押圧部11aを、ばね部材12に抗して押し込んだとき(図6参照)に、押圧部11aが蓋カバー10aの内側部10a1に位置し、係合部である突起部13が後述する突起部受け(係合部受け)21aから外れ、そのままの状態で、内側部10a1を持ち上げることで、蓋カバー10aを介して蓋体10そのものを取り外すことができるように構成されている。
本例では、図2で示すように、押圧部材11aは、蓋カバー10aの中心を通る線上に2か所(180度の間隔)形成されている。
【0026】
そして、蓋体10の側壁10bには、少なくとも一つ(本例では2つ)の切欠き部10dが、上記凹部10cから90度の位置に形成され、この切欠き部10dが飲料容器側(本例では飲み口支持部21)の開口側外周に形成された線状の突起部21dと嵌合し、蓋体10と飲み口支持部材20とを容易に装着することができる。このとき、切欠き部10dと突起部21dは、各々2か所が180度の位置に形成されていると好適であり、このように構成すると、蓋体10を飲料容器側に押し付けながら回転させていると、回転角度が180度に達する前に切欠き部10dと突起部21dとが合致し、目視に拠ることなく手指の感覚だけで容易に装着することができる。
【0027】
また、押圧部材11の押圧部11aと反対側の端部側には、前記飲料容器本体側と係脱自在の係合部としての突起部13が形成されており、この突起部13が、飲み口支持部21に形成された突起部受け(係合部受け)21aと係脱し、蓋体10を着脱可能になるように構成されている。なお、突起部(係合部)13には、図4で示すように、斜面となっている係合面13aが形成されている。
この蓋体10を構成する蓋カバー10aには、図3で示すように、蓋カバー10aの中心を含んだ位置に半円状の板体が、隙間14aを置いて対向するように配置されて、栓体支持部14が形成されている。この隙間14aの間には、後述する栓体15の内側に形成された内周リブ15bが入り、この内周リブ15bが隙間14aに入り込む(所謂「しまりばめ」)ことによって、栓体15の落下を防止している。
また、内周リブ15bが飲み口本体22の内側と緩い嵌め合い(軽く接する)になることで蓋体10の回転が滑らかになる。このとき、蓋体10が回転するときに有底部15cは、小径部22bとは離れた位置にある。
【0028】
栓体15は、弾性体であり、本例ではシリコンゴムから形成され、飲み口本体22の小径部22bでシールできるような有底の中空円筒体をしている。有底部15cと反対側は開口されており、開口端部側には、蓋カバー10aと、隙間15eを介して対向するように庇部15aが形成されている。これにより、庇部15aと蓋カバー10aとの間には部分的に隙間15eが形成され、有底部15cが凹んだまま元に戻らないことを防止している。つまり、隙間15eを形成し、この隙間15eで、空気の流れを確保し、有底部15cが変形したままにならないように構成している。また、有底部15cの部分は他の部分より小径に形成されている。
そして、栓体15が飲み口本体22の小径部22bと蓋体10との間に介在して、飲み口をシールすると共に、蓋体10を上方に若干付勢することになり、突起部13と突起部受け21aとの間で若干の緊張関係を保ち、ガタ付き等を防止している。つまり、図4で示すように装着するときに力を飲料容器側に掛けているときには、栓体15が飲み口本体22の小径部22bと嵌合状態で塞ぎ、図4の下の図のように、装着が完了すると、飲み口をシールすると共に、蓋体10を上方に若干付勢するため、前記した飲み口支持部21の上面の当接面21eと凹部10cの当接部10eが離れた状態となり、異音の発生を防止している。
【0029】
また、上述したように、栓体15の内側には線状の内周リブ15bが2本形成されており、この2本の内周リブ15bが上記栓体支持部14に形成された隙間に入り込み、栓体15自体の蓋体10との間の廻り止めとなっている。
また栓体15の外周には、栓体15の長手方向に線状の外周リブ15dが所定間隔ごとに形成されており、外周リブ15dは、栓体15の内、有底部15cを除いた部分に剛性を与え、有底部15cだけが凹むように作用している。また栓体自体にある程度の剛性を与え、栓体15の装着及び栓体15を栓体支持部14に装着するときの取扱いに便ならしめている。
【0030】
(飲料容器の構成)
飲料容器Pは、蓋体10と、飲料容器本体30と、この飲料容器本体30と螺合する飲み口支持部材20とから構成され、飲み口支持部材20は、飲み口支持部21と、飲み口本体22と、飲み口係合部23と、パッキン支持部24と、パッキン25と、を備えている。そして飲み口支持部材20は蓋体10によりワンタッチで着脱できる構成とされている。蓋体10は、前述した構成からなるものであり、同一符号を付してその説明を省略する。
【0031】
飲料が収容される本例の飲料容器本体30は、図2で示すように、上部が開口部31として開口した中空有底円筒状の容器であり、開口部31の外周には、飲み口支持部21と螺合するねじ部32が形成されている。このねじ部32は公知の技術が用いられており、飲み口支持部21と螺合することができるものであれば、特に限定するものではない。また、図2で示すように、飲み口支持部21の飲料容器本体30側に位置する内側には、開口部31の外周に形成されたねじ部32と螺合できるねじ部21fが形成されている。
また図1及び図2で示すように、飲み口支持部21の側面には、飲み口支持部21の外周面と同一面で、所定巾を残して、前記した側壁10bの厚さだけ内側にして形成された突起部21dが形成され、前述した側壁10bの切欠き部10dと嵌まり込むように形成されている。
【0032】
突起部21dが形成された位置から90度離れた外周位置には、押圧部材11の突起部(係合部)13と係脱可能な断面コ字状の係合部受けとしての突起部受け21aが形成されている。本例では押圧部材11の係合部としての突起部13が180度離れて2か所に形成されているので、これらと係合できるように、係合部受けとしての突起部受け21aは2か所に形成されている。また係合部受けとしての突起部受け21aは、図3で示すように、係合部である突起部13と係合しやすいように、上面が斜面21bに形成されており、係合部である突起部13の斜面に形成された係合面13aによって、係合が容易になるように形成されている。
【0033】
この飲み口支持部21の外周壁21iの上端には、図1図2図5で示すように、突起部21dが形成され、該突起部21dの内周側位置には、図2で示すように、当接面21eに片持ち支持された垂下部21hが形成されている。この垂下部21hには係合凸部21gが設けられ、後述する飲み口本体22に形成された飲み口係合部23の凹部23bと係合するようになっている。そして、この凹部23bから所定位置離れたパッキン配置側の箇所には、係合部23cが設けられ、上記垂下部21hの係合凸部21gと着脱可能に係合するようになっている。また、係合部受けとしての突起部受け21aの内周側には、係合凹部21cが形成されている。
【0034】
飲み口支持部21には、飲み口本体22が装着されるが、本例の飲み口本体22は、中空円筒状をした飲み口22aと、この飲み口22aに連続して、飲料容器本体30側には、小径部22bが形成されている。
また外周側に飲み口係合部23が張り出して形成され、さらに飲み口係合部23より飲料容器本体30側には、パッキン支持部24が形成されている。
すなわち、中空円筒状の飲み口22aが上部に形成され、この飲み口22aから連続して、さらに飲み口係合部23が外周に形成されるが、この飲み口係合部23は、上述のように、係合突部23aが2か所形成されており、この係合突部23aは係合凹部21cと係合し、同時に前述の垂下部21hの係合凸部21gと係合部23cが係脱可能に構成されている。
【0035】
飲み口本体22には、飲み口係合部23より飲料容器本体30側に、パッキン支持部24が形成されており、パッキン支持部24にはパッキン25が装着される。このパッキン支持部24は、パッキン抑え部24aと、パッキン装着用の円環突起部24cと、パッキン抑え部24aに形成されたパッキン外し用の切欠き部24bから構成されている。切欠き部24bは180度対象位置に2か所形成され、この切欠き部24bからパッキン25を押して、外すことが容易となる。
【0036】
本例のパッキン25は、断面コ字状をした円環状のゴムなどのシール材から構成されており、上記円環突起部24cをコ字状の中間に位置させて取り付ける。そして、パッキン25の径は、飲料容器本体30の開口部31の小径部33より、若干大きく形成され、小径部33とパッキン25の外径とが密着することにより、飲料容器本体30と飲み口本体22とから飲料が漏えいしないように構成している。
【0037】
次に、上記構成からなる蓋体10及びこの蓋体10を用いた飲料容器Pの取扱いについて、図4乃至図7を参照して説明する。
まず、飲料容器本体30に飲料を入れて、飲料容器本体30と飲み口支持部材20を螺合させる。これにより、飲み口本体22が露出した状態となり、飲料を飲むときには、この状態で飲み口本体22の飲み口22aに口をつけて飲む、或いは飲料容器本体30を傾けて、飲料を飲料容器本体30から出す。
【0038】
そして、飲み口本体22及び飲み口22aを閉塞するときには、図4で示すように、蓋体10を飲み口支持部材20に向けて押し込むようにする。このとき、切欠き部10dと突起部21dが一致していれば、そのまま押し込めるが、一致していない場合には、図5で示すように、蓋体10を飲み口支持部材20に向けて押しながら、回動させる。このように蓋体10を取り付けるときに、切欠き部10dと突起部21dとを目視によって確認することもでき、また目視によらない場合でも、蓋体10を飲料容器側に取り付ける際、切欠き部10dと突起部21dとが合致しない場合であっても、蓋体10を飲料容器側に軽く押しつけながら飲料容器側の中心軸の周りに回転させて合致させることができる。
【0039】
蓋体10を外す場合には、図6で示すように、押圧部材11の押圧部11aを、例えば親指と人差し指で蓋体10の内部側へ押し込むと、ばね部材12を圧縮して、押圧部11aが蓋体10の内側に移送し蓋カバー10aの内側に位置し、同時にL字状のフックから構成される係合部としての突起部13が、突起部受け21aから外れ、そのままの状態で、蓋カバー10aを引っ掛けて持ち上げ、蓋体10そのものを取り外すことができる。
【符号の説明】
【0040】
10 蓋体
10a 蓋カバー
10b 中空筒状の側壁
10c 凹部
10d 切欠き部
10e 当接部
11 押圧部材
11a 押圧部
11b 軸受け部
11c ばね受け突起
12 ばね部材
13 突起部(係合部)
13a 係合面
14 栓体支持部
14a 隙間
15 栓体
15a 庇部
15b 内周リブ
15c 有底部
15d 外周リブ
15e 隙間
17 回動支持部材
17a 回動支持部
17b ばね規制部
20 飲み口支持部材
21 飲み口支持部
21a 突起部受け(係合部受け)
21b 傾斜面
21c 係合凹部
21d 突起部
21e 当接面
21f ねじ部
21g 係合凸部
21h 垂下部
21i 外周壁
22 飲み口本体
22a 飲み口
22b 小径部
23 飲み口係合部
23a 係合突部
23b 凹部
23c 係合部
24 パッキン支持部
24a パッキン抑え部
24b 切欠き部
24c 円環突起部
25 パッキン
30 飲料容器本体
31 開口部
32 ねじ部
33 小径部
P 飲料容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7