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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】中空板材
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/02 20060101AFI20230106BHJP
   B32B 3/12 20060101ALI20230106BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20230106BHJP
【FI】
B32B3/02
B32B3/12 Z
B32B15/08 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018122332
(22)【出願日】2018-06-27
(65)【公開番号】P2019006118
(43)【公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2017125398
(32)【優先日】2017-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小原 和也
(72)【発明者】
【氏名】大矢 隆義
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-184187(JP,A)
【文献】特開2006-069222(JP,A)
【文献】実開昭58-042039(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁によって区画された複数のセルが並設される樹脂製のコア層と、前記コア層の両面にそれぞれ設けられるスキン層を備える中空板材であって、
中空板材の端部では、前記コア層が厚み方向に圧縮されているとともに、少なくとも一方の前記スキン層が他方の前記スキン層側に折り曲げられて端面が形成されており、
前記端面では、一方の前記スキン層と他方の前記スキン層との間に圧縮された前記コア層が介在されており、
前記端面の傾斜角度は70度以上であり、
前記コア層の少なくとも一方の面では、該コア層と前記スキン層との間にさらに鋼板が設けられており、
前記スキン層が折り曲げられた角部はR形状とされ、
前記鋼板は、前記R形状の始点から設けられている中空板材。
【請求項2】
側壁によって区画された複数のセルが並設される樹脂製のコア層と、前記コア層の両面にそれぞれ設けられるスキン層を備える中空板材であって、
中空板材の端部では、前記コア層が厚み方向に圧縮されているとともに、両方の前記スキン層のそれぞれが厚み方向中央に向かって折り曲げられて端面が形成されており、
前記端面では、一方の前記スキン層と他方の前記スキン層との間に圧縮された前記コア層が介在されて、一方の前記スキン層の端縁と他方の前記スキン層の端縁が、圧縮された前記コア層を間に挟んで突き合わされた状態とされており、
前記端面の傾斜角度は70度以上である中空板材。
【請求項3】
前記端部では、前記コア層の最も端部側の端部側1列目のセル及び該端部側1列目のセルに対して内側に隣接する端部側2列目のセルが圧縮されており、該端部側2列目のセルに対してさらに内側に隣接する端部側3列目のセルは圧縮されていない請求項1又は2に記載の中空板材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空板材に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製の中空板材は軽量で取扱い性に優れていることから、例えば、書籍や小物等を陳列する飾り棚に使用される棚板や、書籍や靴等を収納する収納箱に使用される棚板に適用することが知られている。特許文献1には、箱状の枠体に対して中空板材からなる棚板を組み付けて、飾り棚や整理棚として使用することが記載されている。図7(a)に示すように、ここで開示される棚は、方形枠状の枠体101の対向する内側壁102に、凹溝状の支持部300を複数段形成し、棚板200の側縁201を支持部300にスライドさせながら陥入することにより、棚板200の側縁201が支持部300に支持されて、棚板200が任意の位置に組み付けられるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭63-103436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図7(b)に示すように、枠体101の支持部300は断面方形状の凹溝として形成され、支持部300に支持される棚板200の側縁201は断面円弧状に形成されている。そのため、棚板200の側縁201と支持部300との間に隙間が生じ、その隙間にゴミや埃等が溜まりやすいといった問題があった。また、側縁201が断面円弧状とされていることから、支持部300としての凹溝の深さが浅いと、側縁201の端部が凹溝内に保持されにくく棚板200を安定して支持できないといった問題があった。
【0005】
本発明は、従来のこうした問題を解決するためになされたものであり、その目的は、支持部との間にゴミや埃等が溜まりにくく、支持部で安定して支持される中空板材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明は、側壁によって区画された複数のセルが並設される樹脂製のコア層と、前記コア層の両面にそれぞれ設けられるスキン層を備える中空板材であって、中空板材の端部では、前記コア層が厚み方向に圧縮されているとともに、少なくとも一方の前記スキン層が他方の前記スキン層側に折り曲げられて端面が形成されており、前記端面では、一方の前記スキン層と他方の前記スキン層との間に圧縮された前記コア層が介在されており、前記端面の傾斜角度は70度以上である。
【0007】
上記の構成によれば、中空板材の端部では、端面の傾斜角度が70度以上とされている。そのため、こうした中空板材を支持部で支持する場合、支持部を大きく形成しなくても安定して支持することができる。また、支持部と中空板材の端部との間にゴミや埃等を溜まりにくくすることができる。
【0008】
また、中空板材の端部では、コア層が圧縮され、圧縮されたコア層と折り曲げられたスキン層とで中空板材の端面が形成されている。そのため、圧縮されたコア層の介在によって中空板材の端部が補強されており、支持部を大きく形成しなくても安定して支持することができる。
【0009】
上記の発明において、前記端部では、前記コア層の最も端部側の端部側1列目のセル及び該端部側1列目のセルに対して内側に隣接する端部側2列目のセルが圧縮されており、該端部側2列目のセルに対してさらに内側に隣接する端部側3列目のセルは圧縮されていないことが好ましい。
【0010】
上記の発明において、前記コア層の少なくとも一方の面では、該コア層と前記スキン層との間にさらに鋼板が設けられていることが好ましい。
上記の発明において、前記スキン層が折り曲げられた角部はR形状とされ、前記鋼板は、前記R形状の始点から設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、支持部との間にゴミや埃等が溜まりにくく、支持部で安定して支持される中空板材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)は本実施形態の中空板材を棚板として適用した収納箱の斜視図、(b)は(a)の棚板のα-α線断面図。
図2】(a)は図1(a)の棚板のα-α線断面端部側での部分斜視図。(b)は図1(a)の棚板のβ-β線断面端部側での部分断面図。
図3】(a)はコア層の斜視図、(b)は(a)におけるγ-γ線断面図、(c)は(a)におけるδ-δ線断面図。
図4】(a)はコア層を構成するシート材の斜視図、(b)は同シート材の折り畳み途中の状態を示す斜視図、(c)は同シート材を折り畳んだ状態を示す斜視図。
図5】(a)~(f)は棚板を製造する方法について説明する図。
図6】(a)、(b)は棚板の変更例の部分断面図。
図7】(a)は従来の棚板が適用される飾り棚の斜視図、(b)は従来の棚板を支持部で支持した状態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態の中空板材は、書籍や靴等を収納するための収納箱の棚板に適用される。
図1(a)に示すように、収納箱は、底壁1a、上壁1b、側壁1c、及び奥壁1dで囲まれた収納箱体1と、長方形板状の棚板2とで構成されている。収納箱体1の対向する側壁1c、1cには、内面から内方へ突出するとともに、側壁1cの幅方向に延びる支持部11が上下方向に複数段形成されている。
【0014】
図1(a)に示すように、棚板2の長辺の長さは、収納箱体1の対向する側壁1c、1cの内面間の長さより僅かに短く形成され、棚板2の短辺の長さは、側壁1cの幅より僅かに短く形成されている。こうした形状の棚板2の長手方向両端部を収納箱体1の支持部11上に載置することにより、棚板2を収納箱体1の所定位置に取り付けて、収納箱体1の内部空間を複数の空間に区画することができる。
【0015】
図1(b)に示すように、棚板2の下面2cは全体に亘って平滑面とされる一方、棚板2の上側における短手方向両端部には、長手方向全長に亘って延びる上面2aが形成され、両端部の上面2aの間には、上面2aの端縁から下方に凹む凹み面2bが長手方向全長に亘って形成されている。上面2aは平滑面とされている。また、凹み面2bは、上面2aから斜面状に連設されて、その中央部分の広い範囲は平滑面とされている。棚板2の端面2dは上方ほどやや外方に位置する急斜面とされている。
【0016】
図1(b)、図2(a)に示すように、棚板2は、内部に複数のセルSが並設された長方形板状の熱可塑性樹脂製のコア層20と、その上下両面の一部に接合された長方形薄板状の鋼板30、40と、鋼板30、40の上下両面(鋼板30、40の外面)でコア層20全体を覆うように接合された熱可塑性樹脂製のスキン層50、60とで構成されている。図1(a)、(b)に示すように、鋼板30、40は、棚板2の短手方向の略中央部分で、長手方向の両端部に至るまで長手方向全長に亘って延びるように接合されている。
【0017】
図2(a)に示すように、棚板2の上面2aでは、コア層20は圧縮されていない。一方、凹み面2bの平滑面の部分では、上面2aに比べて、コア層20が厚み方向に少し薄くなっている。具体的には、コア層20を形成するセルSにおいて、後で説明する側壁部23が座屈したり傾いたりし、或いは、コア層20を構成する熱可塑性樹脂が一部溶融して固まったりして、その厚みが少し薄くなっている。また、棚板2のすべての端部では、コア層20が厚み方向に圧縮されて薄くなった圧縮部分20aが形成されている。ここで、コア層20が圧縮されるとは、後で説明する成形工程において、プレス成形によってコア層20を構成する熱可塑性樹脂が全部溶融して一体化し、コア層20を形成するセルSにおいて側壁部23の形状を識別できない程度に変形している場合を言うものとする。
【0018】
図2(a)、(b)に示すように、棚板2のすべての端部では、下側のスキン層60は、その端部において圧縮されたコア層20の圧縮部分20aに向かって上方に折り曲げられている。また、棚板2のすべての端部では、上側のスキン層50は、その端部において折り曲げられることなく水平方向に向かって延びている。そして、スキン層50の端縁51とスキン層60の端縁61は、コア層20の圧縮部分20aを間に挟んで突き合わされた状態とされている。
【0019】
図2(b)に示すように、下側のスキン層60が折り曲げられた部分である角部62はR形状とされており、その曲率半径は1mm~5mm程度である。スキン層60におけるR形状の角部62より端縁61側の部分は、コア層20を側方から覆う端面63を形成している。スキン層60の下面に対する端面63の傾斜角度θは、70度以上とされている。傾斜角度θは、80度以上であることがより好ましく、85度以上であることがさらに好ましい。傾斜角度が90度に近づくほど、棚板2と支持部11との間にゴミや埃等が溜まりにくく、棚板2を支持部11で安定して支持することができる。
【0020】
本実施形態の棚板2は、すべての端部で下側のスキン層60のみが折り曲げられており、下側のスキン層60の端面63、コア層20の圧縮部分20a、及び上側のスキン層50の端縁51により、棚板2の端面2dが構成されている。したがって、本実施形態における棚板2の端面2dの傾斜角度とは、スキン層60の端面63の傾斜角度のことを言うものとする。なお、端面63は、平面状であることが好ましいが、湾曲した形状であってもよい。湾曲した形状の場合、端面2dの傾斜角度とは、角部62のR形状の端縁61側始点と、端縁61とを結ぶ仮想平面の傾斜角度を言うものとする。
【0021】
図3(a)に示すように、コア層20は、所定形状に成形された1枚の熱可塑性樹脂製のシート材を折り畳んで形成されている。そして、コア層20は、上壁部21と、下壁部22と、上壁部21及び下壁部22の間に立設されてセルSを六角柱形状に区画する側壁部23とで構成されている。以下で説明するように、コア層の上壁部21及び下壁部22は、1層構造と2層構造とが混在した構造とされているが、図1(b)、図2図3(a)では、コア層20の上壁部21及び下壁部22を1層構造で示している。
【0022】
図3(b)及び(c)に示すように、コア層20の内部に区画形成されるセルSには、構成の異なる第1セルS1及び第2セルS2が存在する。図3(b)に示すように、第1セルS1においては、側壁部23の上部に2層構造の上壁部21が設けられている。この2層構造の上壁部21の各層は互いに接合されている。また、2層構造の上壁部21には、コア層20成形時の熱可塑性樹脂の熱収縮により、図示しない開口部が形成されている。第1セルS1においては、側壁部23の下部に1層構造の下壁部22が設けられている。
【0023】
一方、図3(c)に示すように、第2セルS2においては、側壁部23の上部に1層構造の上壁部21が設けられている。また、第2セルS2においては、側壁部23の下部に2層構造の下壁部22が設けられている。この2層構造の下壁部22の各層は互いに接合されている。2層構造の下壁部22には、コア層20成形時の熱可塑性樹脂の熱収縮により、図示しない開口部が形成されている。
【0024】
また、図3(b)、(c)に示すように、隣接する第1セルS1同士の間、及び隣接する第2セルS2同士の間は、それぞれ2層構造の側壁部23によって区画されている。この2層構造の側壁部23は、コア層20の厚み方向中央部に互いに熱溶着されていない部分を有する。したがって、コア層20の各セルSの内部空間は、2層構造の側壁部23の間を介して他のセルSの内部空間に連通している。なお、図3(b)、(c)では、図示されている複数のセルSのうち、最も左側のセルSに代表して符号を付しているが、他のセルSについても同様である。
【0025】
図3(a)に示すように、第1セルS1はX方向に沿って列を成すように並設されている。同様に、第2セルS2はX方向に沿って列を成すように並設されている。第1セルS1の列及び第2セルS2の列は、X方向に直交するY方向において交互に配列されている。そして、これら第1セルS1及び第2セルS2により、コア層20は、全体としてハニカム構造をなしている。
【0026】
コア層20を構成する熱可塑性樹脂は、従来周知の熱可塑性樹脂であればよく、例えばポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体樹脂、アクリル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。本実施形態のコア層20はポリプロピレン樹脂製とされている。
【0027】
図2(b)に示すように、コア層20の上面側の鋼板30は、図示しない熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン樹脂)製の接着層を介してコア層20に接合されている。鋼板30は、棚板2の長手方向両端部では、スキン層50の端縁51、或いは端縁51近傍から設けられている。また、コア層20の下面側の鋼板40は、図示しない熱可塑性樹脂製の接着層を介して接合されている。鋼板40は、棚板2の長手方向両端部では、スキン層60の角部62のR形状の始点から設けられている。鋼板30、40は、例えばアルミニウム合金、鉄合金、銅合金などの金属製の薄板であり、その厚みは0.05mm~数mm程度である。本実施形態では、鋼板30と鋼板40とは同一の構成になっている。
【0028】
上面側のスキン層50は、図示しない熱可塑性樹脂製の接着層を介して鋼板30の上面(鋼板30の外面)に接合されている。また、スキン層60も同様に、図示しない熱可塑性樹脂製の接着層を介して鋼板40の下面(鋼板40の外面)に接合されている。その厚みは0.5mm~数mm程度である。スキン層50、60を構成する熱可塑性樹脂は、従来周知の熱可塑性樹脂であればよく、例えばポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体樹脂、アクリル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。スキン層50、60を構成する熱可塑性樹脂は、コア層20と同じ熱可塑性樹脂であることが好ましく、本実施形態のスキン層50、60は、ポリプロピレン樹脂製とされている。また、本実施形態では、スキン層50とスキン層60の厚みは同一とされている。
【0029】
本実施形態の棚板2の作用について記載する。
棚板2の下面2cは全体に亘って平滑面とされている。そのため、棚板2を支持部11上に載置すると、平滑面である下面2cで支持部11の上面に安定して支持される。また、棚板2の上側には、短手方向両端部に、長手方向に延びる上面2aが形成され、短手方向中央部には、上面2aの端縁から下方に凹む凹み面2bが長手方向全長に亘って形成されている。そのため、棚板2の凹み面2b上に載置された書籍や靴等が不用意に落ちにくい。さらに、棚板2の端面2dは、スキン層60の端面63、コア層20の圧縮部分20a、及びスキン層50の端縁61により構成されており、その傾斜角度θは、70度以上である。そのため、収納箱体1の側壁1c内面や支持部11との間に隙間が形成されにくい。また、支持部11の上面と棚板2の下面2cとの接地面積が増え、棚板2が支持部11上に安定して支持される。
【0030】
棚板2の上下両面の短手方向の略中央部分には、長手方向両端部に至るまで長手方向全長に亘って鋼板30、40が接合されている。そのため、棚板2が補強される。鋼板30、40は長手方向全長に接合されていることから、棚板2の長手方向の略中央部分での撓みが抑制される。また、棚板2の長手方向両端部が補強され、支持部11に支持される部分の強度が向上する。さらに、棚板2の全面に鋼板30、40が接合されている場合に比べて棚板2が軽量となる。
【0031】
次に、棚板2を製造する方法を、図4及び図5に従って説明する。棚板2を製造する方法は、コア層20を形成する工程、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60を加熱する加熱工程、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60を接合する接合工程、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60を成形して中間体90を得る成形工程、中間体90の端面の形状を整えて棚板2を得る後加工工程に分けることができる。本実施形態では、鋼板30、40、及びスキン層50、60を接合する接合工程と、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60を成形して中間体90を得る成形工程とを同時に行っている。
【0032】
先ず、コア層20を形成する工程について説明する。コア層20は、第1シート材100を折り畳むことによって形成される。
図4(a)に示すように、第1シート材100は、1枚の熱可塑性樹脂製のシートを所定の形状に成形することにより形成されている。第1シート材100には、帯状をなす平面領域110及び膨出領域120が、第1シート材100の長手方向(X方向)に交互に配置されている。膨出領域120には、上面と一対の側面とからなる断面下向溝状をなす第1膨出部121が膨出領域120の延びる方向(Y方向)の全体にわたって形成されている。なお、第1膨出部121の上面と側面とのなす角は90度であることが好ましく、その結果として、第1膨出部121の断面形状は下向コ字状となる。また、第1膨出部121の幅(上面の短手方向の長さ)は平面領域110の幅と等しく、かつ第1膨出部121の膨出高さ(側面の短手方向の長さ)の2倍の長さとなるように設定されている。
【0033】
また、膨出領域120には、その断面形状が正六角形を最も長い対角線で二分して得られる台形状をなす複数の第2膨出部122が、第1膨出部121に直交するように形成されている。第2膨出部122の膨出高さは第1膨出部121の膨出高さと等しくなるように設定されている。また、隣り合う第2膨出部122間の間隔は、第2膨出部122の上面の幅と等しくなっている。
【0034】
なお、こうした第1膨出部121及び第2膨出部122は、シートの塑性を利用してシートを部分的に上方に膨出させることにより形成されている。また、第1シート材100は、真空成形法や圧縮成形法等の周知の成形方法によって1枚のシートから成形することができる。
【0035】
図4(a)及び(b)に示すように、上述のように構成された第1シート材100を、境界線P、Qに沿って折り畳むことでコア層20が形成される。具体的には、第1シート材100を、平面領域110と膨出領域120との境界線Pにて谷折りするとともに、第1膨出部121の上面と側面との境界線Qにて山折りしてX方向に圧縮する。そして、図4(b)及び(c)に示すように、第1膨出部121の上面と側面とが折り重なるとともに、第2膨出部122の端面と平面領域110とが折り重なることによって、一つの膨出領域120に対して一つのY方向に延びる角柱状の区画体130が形成される。こうした区画体130がX方向に連続して形成されていくことにより中空板状のコア層20が形成される。
【0036】
上記のように第1シート材100を圧縮するとき、第1膨出部121の上面と側面とによってコア層20の上壁部21が形成されるとともに、第2膨出部122の端面と平面領域110とによってコア層20の下壁部22が形成される。なお、図4(c)に示すように、上壁部21における第1膨出部121の上面と側面とが折り重なって2層構造を形成する部分、及び下壁部22における第2膨出部122の端面と平面領域110とが折り重なって2層構造を形成する部分がそれぞれ重ね合わせ部131となる。
【0037】
また、第2膨出部122が折り畳まれて区画形成される六角柱形状の領域が第2セルS2となるとともに、隣り合う一対の区画体130間に区画形成される六角柱形状の領域が第1セルS1となる。本実施形態では、第2膨出部122の上面及び側面が第2セルS2の側壁部23を構成するとともに、第2膨出部122の側面と、膨出領域120における第2膨出部122間に位置する平面部分とが第1セルS1の側壁部23を構成する。そして、第2膨出部122の上面同士の当接部位、及び膨出領域120における上記平面部分同士の当接部位が2層構造をなす側壁部23となる。なお、こうした折り畳み工程を実施するに際して、第1シート材100を加熱処理して軟化させた状態としておくことが好ましい。
【0038】
次に、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60を加熱する加熱工程について説明する。
図5(a)に示すように、まず、棚板2に使用するコア層20として、先に製造したコア層20を、棚板2より大きな形状に切断したものを準備する。例えば、棚板2の大きさより、長手方向及び短手方向にそれぞれ50mm程度大きな長方形状に切断したものを準備する。なお、図5では、コア層20の中空構造を省略して示している。
【0039】
棚板2に使用する鋼板30、40は、その長辺の長さが棚板2の長辺の長さよりやや短く、その短辺の長さが棚板2の短辺の長さの1/3~1/2程度の長さとなるように切断したものを準備する。鋼板30、40の両面には、熱可塑性樹脂(例えばポリプロピレン樹脂)製の接着層がコーティングされている。棚板2に使用するスキン層50、60は、棚板2より大きな形状、具体的にはコア層20と同程度の大きさに切断する。
【0040】
図5(b)に示すように、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60をそれぞれ加熱する。コア層20を加熱する場合には、所定温度に設定された加熱炉71内にコア層20を入れて、所定時間保持する。また、鋼板30、40を加熱する場合には、所定温度に設定された加熱炉72内に鋼板30、40を入れて、所定時間保持する。スキン層50、60も同様に、所定温度に設定された加熱炉73内にスキン層50、60を入れて、所定時間保持する。加熱炉71、72、73内の温度は、コア層20、及びスキン層50、60を構成する熱可塑性樹脂が溶融する程度に設定されている。また、鋼板30、40を加熱する加熱炉72内の温度が、コア層を加熱する加熱炉71内の温度及びスキン層50、60を加熱する加熱炉73内の温度より高く設定されている。
【0041】
本実施形態では、加熱工程において、加熱炉71内に保持されたコア層20の表面温度が、部位によって異なるように調整している。これは、コア層20の表面に、部分的に遮蔽材を設置することによって行う。遮蔽材には孔が形成されており、孔の大きさや数を調整することによって、遮蔽材を設置した部分の表面温度が、加熱炉71内の温度より低くなるよう調整することができる。なお、表面温度の調整は、孔が形成された遮蔽材に限らず、孔が形成されていない遮蔽材を設置することによって行ってもよい。
【0042】
次に、遮蔽材を設置することによりコア層20の表面温度を調整する方法について説明する。コア層20において、各工程を経て製造された棚板2の上面2aに対応する部分、及び下面2cに対応する部分には、比較的孔の大きさが小さい遮蔽材、及び/又は、比較的孔の数が少ない遮蔽材を設置する。また、棚板2の凹み面2bに対応する部分には、比較的孔の大きさが大きい遮蔽材、及び/又は、比較的孔の数が多い遮蔽材を設置する。その他の部分には、遮蔽材を設置しない。こうすることにより、加熱炉71内での加熱温度に対して、棚板2の上面2aに対応する部分、下面2cに対応する部分の表面温度を相対的に最も低く調整し、棚板2の凹み面2bに対応する部分の表面温度を相対的に2番目に低く調整し、その他の部分の表面温度を加熱炉71内の加熱温度と同程度に調整することができる。その他の部分とは、棚板2の端面2dに対応する部分、後に説明する中間体90の圧縮部分91に対応する部分である。
【0043】
次に、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60を接合する接合工程、及びコア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60を成形して中間体90を得る成形工程について説明する。
【0044】
図5(c)に示すように、接合工程、成形工程に使用する金型は、上型81及び下型82を備えている。図5(c)~(f)は、製造される棚板2の短辺側から見た図として示している。本実施形態の上型81及び下型82は、全体が加熱されることなく常温に保持されている。
【0045】
下型82に形成された凹部82aは、上面視長方形状をなし、その長手方向の長さは、棚板2の長手方向の長さとほぼ同一とされ、その短手方向の長さは、棚板2の短手方向の長さとほぼ同一とされている。また、凹部82aの深さは、棚板2の凹み面2bにおける厚みとほぼ同一とされている。なお、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60の熱収縮を考慮して、凹部82aの大きさを設定することが好ましい。以下、同様である。
【0046】
上型81に形成された凹部81a、81bは、上面視長方形環状をなしている。凹部81a、81bの深さは、後に説明する中間体90の圧縮部分91の厚みとほぼ同一とされている。凹部81aは、後に説明する成形工程において、棚板2の上面2aを成形するための部分であり、凹部81bは、中間体90の圧縮部分91を成形するための部分である。つまり、図5(c)に点線で示すように、凹部81aとは、上型81及び下型82を型締めしたときに、下型82の凹部82aの外縁より内方に位置する部分を言い、凹部81bとは、下型82の凹部82aの外縁より外方に位置する部分を言う。また、凹部81a、81bに囲まれた上面視長方形状の部分(便宜上、凸部81cという。)は、棚板2の凹み面2bを成形するための部分である。
【0047】
図5(c)に示すように、まず、加熱されたコア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60を、下から、スキン層60、鋼板40、コア層20、鋼板30、スキン層50の順に、下型82の凹部82aの上に載置する。コア層20、及びスキン層50、60は、棚板2より大きな長方形状に切断されていることから、凹部82aの上に載置した状態では、長手方向両端部及び短手方向両端部が凹部82aから外方に突出した状態とされている。
【0048】
また、先の加熱工程では、コア層20の表面温度を、部位に応じて異ならせていることから、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60を載置する際には、コア層20の表面温度に応じて、金型81、82に対して位置決めする。具体的には、棚板2の上面2aに対応する部分として表面温度を調整した部分を、上型81の凹部81aの位置に合わせ、棚板2の凹み面2cに対応する部分として表面温度を調整した部分を、上型81の凸部81cの位置に合わせる。つまり、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60の位置決めは、上型81及び下型82を型締めしたときに形成される上型81と下型82の間の空間の高さに応じてなされ、最も空間の高さが高い凹部81aの部分には、先の加熱工程で相対的に最も低い表面温度に調整された部分を配置し、最も空間の高さが低い凹部81bの部分には、先の加熱工程で最も高い表面温度とされた部分を配置する。裏返せば、加熱工程では、型締め時の上型81と下型82の間の空間の高さに応じて、コア層20の表面温度を調整することになる。
【0049】
コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60を下型82の上に載置した状態では、加熱された鋼板30、40の両面にコーティングされた接着層の熱可塑性樹脂が一部熱溶融された状態となっている。そのため、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60は、下型82の上で仮接合された状態で位置決めされる。
【0050】
続いて、上型81を下型82に向けて下降させて型締めして、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60をプレスすることにより接合工程と成形工程を同時に行う。上型81及び下型82には図示しない吸引孔が複数形成されており、型締め時にはコア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60を吸引することで、金型81、82内部に位置決め状態で密着させることができる。プレス時の圧力、プレス時間は、適宜設定すればよい。
【0051】
本実施形態の加熱工程では、鋼板30、40を加熱する加熱炉71内の温度が、コア層を加熱する加熱炉71内の温度及びスキン層50、60を加熱する加熱炉73内の温度より高く設定されているため、型締めしたときには、鋼板30、40の両面の接着層が熱溶融するとともに、鋼板30、40の熱がコア層20、及びスキン層50、60に伝搬して、熱可塑性樹脂の一部が熱溶融している。そのため、上型81、82の型締めによって、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60が接合される。このとき、コア層20の第1セルS1の2層構造の上壁部21、及び第2セルS2の2層構造の下壁部22には、開口部が形成され、コア層20の厚み方向中央部には、側壁部23が互いに熱溶着されていない部分を有することから、コア層20と、鋼板30、40及びスキン層50、60との間の空気が、コア層20の上壁部21、下壁部22の開口部や、コア層20内の隙間から抜けやすくなる。そのため、空気溜まりの発生が抑制され、コア層20と、鋼板30、40及びスキン層50、60との接合強度が向上する。
【0052】
また、図5(d)に示すように、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60は、上型81及び下型82の内面形状、すなわち、凹部81a、81b、82a、及び凸部81cの形状に成形されて中間体90となる。
【0053】
図5(c)に示すように、上型81の凹部81bでは、型締めしたときに対応する位置の下型82には凹部は形成されていない。そのため、この部分は、型締め時の上型81と下型82の間の空間の高さが最も低い部分となり、加熱工程において、表面温度が最も高くなるように調整された部分が配置されている。この部分では、型締めによって、コア層20を構成する熱可塑性樹脂が溶融してコア層20が熱圧縮され、中間体90の圧縮部分91が形成される。圧縮部分91では、上壁部21、下壁部22、及び側壁部23を構成する熱可塑性樹脂が溶融して一体化した状態となっている。
【0054】
上型81の凸部81cでは、型締めしたときに対応する位置の下型82に凹部82aが形成されている。そのため、この部分は、型締め時の上型81と下型82の間の空間の高さがやや高い部分となり、加熱工程において、表面温度が比較的低くなるように調整された部分が配置されている。この部分では、型締めによって、コア層20を構成する熱可塑性樹脂の一部が溶融してコア層20が上下方向に薄くなる。このとき、上壁部21、下壁部22と比較して、内部の側壁部23には熱が伝わりにくいことから、側壁部23は上壁部21、下壁部22と一体化することなくその形状を維持しており、コア層20は変形していない。
【0055】
上型81の凹部81aでは、型締めしたときに対応する位置の下型82に凹部82aが形成されている。そのため、この部分は、型締め時の上型81と下型82の間の空間の高さが最も高い部分となり、加熱工程において、表面温度が最も低くなるように調整された部分が配置されている。この部分では、型締めによって、コア層20を構成する熱可塑性樹脂が溶融せず、コア層20が上下方向に変形することなく、その高さ寸法を維持した形状となる。
【0056】
また、型締めによって、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60が下型82の凹部82a内に押し込まれると、下方に位置するスキン層60が上方のスキン層50側に折り曲げられて、その折り曲げた角部62がR形状に形成される。このとき、コア層20、及びスキン層50、60は、棚板2の下面2cに対応する部分、及び上面2aに対応する部分が最も低い表面温度に調整されており、上記その他の部分、すなわち、棚板2の端面2dに対応する部分、中間体90の圧縮部分91に対応する部分が最も高い表面温度に調整されている。そのため、下方に位置するスキン層60が折り曲げられるとき、棚板2の下面2cに対応する部分と、棚板2の端面2dに対応する部分との温度差が大きくなって、熱可塑性樹脂の溶融状態に差ができ、スキン層60に形成される角部62が、小さなR形状で折り曲げられることになる。一方、上方に位置するスキン層50は折り曲げられることなく、水平方向に向かって延びる状態に維持される。
【0057】
図5(e)に示すように、下型82から上型81を離間させて中間体90を冷却した後、中間体90を下型82から取り出す。接合工程、成形工程を経て得られた中間体90は、コア層20の上下両面に鋼板30、40、及びスキン層50、60が接合され、棚板2に相当する大きさ、形状を有する部分の端部全周に亘って圧縮部分91が形成された形状となる。
【0058】
中間体90では、下側のスキン層60にはR形状の角部62が形成されるとともに、コア層20を側方から覆う端面63が形成され、端面63の上縁からスキン層60が水平方向に延びている。また、上側のスキン層50は、全体が水平方向に延びた状態となっている。圧縮部分91では、水平方向に延びたスキン層50、60との間に、コア層20の圧縮部分20aが介在している。
【0059】
次に、中間体90の端面の形状を整えて棚板2を得る後加工工程について説明する。
図5(f)に示すように、中間体90に形成された圧縮部分91を、図示しない切断冶具で切断する。図2(a)、(b)に示すように、切断された部分では、スキン層50の端縁51とスキン層60の端縁61との間にコア層20の圧縮部分20aが介在しており、スキン層50の端縁51、スキン層60の端面63、及びコア層20の圧縮部分20aによって、棚板2の端面2dが形成されている。その後、切断された部分を研磨、塗装等して、端面2dの形状を整える。なお、圧縮部分91を切断する切断冶具としてトムソン刃やレーザー等を使用し、研磨、塗装等を行わなくてもよい。
【0060】
以上の各工程を経て、棚板2が得られる。
次に、本実施形態の棚板2を製造する方法の作用について説明する。
本実施形態では、接合工程に先立って、加熱工程で、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60を所定温度に加熱している。そのため、鋼板30、40の両面にコーティングされた接着層の熱可塑性樹脂が一部熱溶融された状態となり、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60が位置決めされやすくなる。
【0061】
本実施形態の加熱工程では、鋼板30、40を加熱する加熱炉71内の温度が、コア層を加熱する加熱炉71内の温度及びスキン層50、60を加熱する加熱炉73内の温度より高く設定されている。そのため、鋼板30、40の両面にコーティングされた接着層が熱溶融するとともに、鋼板30、40の熱が伝搬してコア層20、及びスキン層50、60を構成する熱可塑性樹脂の一部が熱溶融し、上型81、82の型締めによって、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60が接合される。
【0062】
本実施形態の加熱工程では、遮蔽材を設置することによって、コア層20の表面温度が、部位によって異なるように調整している。そのため、後に続く接合工程、成形工程において型締めをすることにより、凹部81bでは、コア層20が熱溶融しつつ厚み方向に変形し、コア層20の上壁部21、下壁部22、及び側壁部23が一体化した状態となる。凸部81cが形成された部分では、コア層20の一部が熱溶融しつつ厚み方向に少し薄くなり、コア層20の側壁部23が座屈したり傾いたりしている。凹部81aが形成された部分では、コア層20が熱溶融も変形もせずに、コア層20のセルSがその形状、大きさを維持した状態となる。
【0063】
また、加熱工程における遮蔽材の有無によって、棚板2の上面2aに対応する部分、下面2cに対応する部分では、表面温度が相対的に最も低く調整され、中間体90の圧縮部分91に対応する部分では、表面温度が相対的に最も高く調整されている。そのため、上面2aに対応する部分と中間体90の圧縮部分91に対応する部分との温度差が大きくなり、下面2cに対応する部分と端面2dに対応する部分との温度差が大きくなる。後に続く接合工程、成形工程において型締めをすることにより、コア層20が圧縮された部分と圧縮されない部分との境界が明瞭となるため、スキン層60の角部62が小さなRで折り曲げられ、棚板2の端面2dの傾斜角度θが大きくなる。具体的には、コア層20の最も端部側の1列目のセル(以下、端部側1列目のセルと言う。)S及び端部側1列目のセルSに対して内側に隣接する端部側2列目のセルが厚み方向に圧縮されている一方、端部側2列目のセルSに対して内側に隣接する端部側3列目のセルSは圧縮されておらず、その側壁部23は立設状態を維持している。
【0064】
加熱されたコア層20、及びスキン層50、60は、加熱炉71、73から取り出すことにより、その温度が下降してコア層20、及びスキン層50、60を構成する熱可塑性樹脂が収縮しようとする場合がある。しかし、本実施形態の加熱工程では、鋼板30、40の加熱温度が、コア層20、及びスキン層50、60の加熱温度より高く設定され、接合工程、成形工程では、加熱された鋼板30、40が、コア層20、及びスキン層50、60で挟まれるように積層されるため、線膨張率が小さい鋼板30、40によりコア層20、及びスキン層50、60の収縮が抑制される。その結果、金型81、82に対する転写がよくなり、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60が金型81、82に密着しやすくなって、棚板2の寸法精度が向上する。また、端面2dの傾斜角度を急な角度に形成することができる。
【0065】
なお、加熱工程におけるコア層20の表面温度の調整、金型81、82でのプレス圧力及びプレス時間等を調整することにより、圧縮されるセルSの範囲を調整することができる。例えば、端部側1列目のセルSが厚み方向に圧縮されている一方、端部側2列目のセルSは圧縮されておらず、その側壁部23は立設状態を維持してするように条件を調整する。この場合、コア層20が圧縮された部分と圧縮されない部分との境界がより明瞭となる。
【0066】
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の棚板2は、収納箱に適用され、収納箱体1に形成された支持部11で支持される。棚板2の端部では、端面2dの傾斜角度が70度以上とされている。そのため、支持部11と端面2dとの間に隙間が形成されにくく、支持部11と棚板2との間にゴミや埃等が溜まりにくい。また、端面2dの傾斜角度が急なことから、支持部11に対する棚板2の下面の設置面積を確保しやすい。そのため、支持部11を大きく形成しなくても、支持部11で安定して支持することができる。
【0067】
(2)棚板2の端面2dは、コア層20の圧縮部分20aが、上側のスキン層50と下側のスキン層60との間に介在している。コア層20の圧縮部分20aは、コア層20を構成する熱可塑性樹脂が溶融して冷却固化することにより、上壁部21、下壁部22、及び側壁部23が一体化された塊状となっている。そのため、端面2dの剛性が向上し、支持部11に対して安定して支持されることができる。
【0068】
(3)棚板2の端部では、コア層20の端部側1列目のセルS及び端部側2列目のセルSが厚み方向に圧縮されている一方、端部側3列目のセルSは圧縮されておらず、その側壁部23は立設状態を維持している。そのため、端部でもコア層20のハニカム構造が維持されて、その強度が保持されている。
【0069】
(4)棚板2の端部では、上側のスキン層50は折り曲げられることなく水平方向に向かって延びている。そのため、棚板2に物を載置する面である上面の面積を広く確保することができる。
【0070】
(5)棚板2には、長手方向の両端部に至るまで長手方向全長に亘って鋼板30、40が接合されている。そのため、棚板2の剛性が向上し、棚板2上に重量物を置いたとしても、棚板2の撓みが抑制される。また、棚板2の長手方向両端部が補強され、支持部11で安定して支持することができる。
【0071】
(6)棚板2の上側における短手方向中央部には、上面2aの端縁から下方に凹む凹み面2bが長手方向全長に亘って形成されている。そのため、棚板2における上面2aの手前側及び奥側は相対的に高くなっており、棚板2上に載置された物が落下しにくい。
【0072】
(7)棚板2を製造する際には、まず、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60は加熱工程であらかじめ加熱した後、下型82上に載置する。そして、鋼板30、40の両面には、熱可塑性樹脂製の接着層がコーティングされている。そのため、鋼板30、40の両面に、コア層20、スキン層50、60が仮接合された状態となり、精度よく位置決めすることができる。
【0073】
(8)加熱工程では、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60をそれぞれ別個の加熱炉71、72、73で加熱している。そのため、各部材の温度調整、温度管理がしやすい。また、各部材を均質な温度に加熱することができる。
【0074】
(9)加熱炉71、73から取り出したコア層20、及びスキン層50、60は、温度低下によって熱可塑性樹脂が収縮しようとする。しかし、接合工程、成形工程において、あらかじめ、線膨張率が小さい鋼板30、40と位置合わせされることによりコア層20、及びスキン層50、60の収縮が抑制される。そのため、金型81,82に対する転写が良好となり、棚板2を精度よく成形することができる。また、端面2dの傾斜角度θを急な角度に形成することができる。
【0075】
(10)本実施形態では、金型81、82でのプレス成形により、接合工程と成形工程とを同時に行っている。工程が簡略化され、作業性、コスト面において有利である。
(11)金型81、82には、吸引孔が複数形成されている。そのため、型締め時にはコア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60を、金型81、82内部に位置決め状態で密着させることができ、金型81、82の内部空間の形状に沿うように成形することができる。
【0076】
(12)本実施形態の加熱工程では、遮蔽材を設置することにより、コア層20の表面温度が部位によって異なるように調整している。そのため、その後に続く接合工程、成形工程において、金型81、82を加熱することなく、一度のプレス成形により、凹み面2b、圧縮部分91といった厚みの異なる部分を同時に成形することができる。工程が簡略化され、作業性、コスト面において有利である。
【0077】
(13)加熱工程で遮蔽材を設置することにより、コア層20において、上型81の凹部81aに位置合わせする部分と、上型81の凹部81bに位置合わせする部分との温度差を大きくしている。そのため、コア層20が圧縮された部分と圧縮されない部分との境界を明瞭にすることができる。
【0078】
(14)加熱工程で遮蔽材を設置することにより、コア層20において、棚板2の下面2cに対応する部分と、端面2dに対応する部分との温度差を大きくしている。そのため、スキン層60の角部62のRを小さくすることができ、また、棚板2の端面2dの傾斜角度θを大きく形成することができる。
【0079】
(15)加熱工程では、鋼板30、40を加熱する加熱炉71内の温度が、コア層を加熱する加熱炉71内の温度及びスキン層50、60を加熱する加熱炉73内の温度より高く設定されている。そのため、鋼板30、40の熱でコア層20、及びスキン層50、60を構成する熱可塑性樹脂の一部が熱溶融され、上型81、82の型締めによって、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60を全面に亘って接合することができる。
【0080】
上記実施形態は以下のように変更してもよく、また、これらの変更例を適宜組み合わせて適用してもよい。
・ 本実施形態では、中空板材を収納箱の棚板2に適用する場合について説明したが、棚板2に限らず、板状の部材であれば適宜適用することができる。例えば、車両用のラゲッジボード、工事用の作業足場等に適用してもよい。ラゲッジボードに適用した場合、ラゲッジボードを支持する支持部を大きく形成しなくても安定して支持することができるため、ラゲッジボード下の荷室の容積を大きく確保することができる。また、ラゲッジボードの端面と支持部との間の隙間を小さくすることができるため、道路とタイヤの摩擦音等、車両下方からの音が車内に伝搬することを抑制することができる。中空板材の形状や、鋼板30、40の接合箇所、スキン層50、60の材質等は、これら部材が配置される部分の形状に応じて設計することができる。
【0081】
・ 本実施形態の棚板2は、下側に平滑面としての下面2cを形成し、上側に上面2a及び凹み面2bを形成している。これに限らず、上側を平滑面とし、下側に下面2cと凹み面2bを形成してもよく、上下いずれの側にも凹み面2bを形成してもよい。また、凹み面2b、下面2cに、さらに凹部、或いは凸部等を形成してもよい。例えば、下面2cに凹部を形成して、スポットライト等を取り付けられるようにしてもよい。また、孔を形成して、棚板2を引き出す持ち手としたり、孔に棚板2とは別部品として持ち手を取り付け、棚板2を引き出し可能としたりしてもよい。こうした凹部、凸部、孔等を形成する場合も、本実施形態の棚板2と同様、凹部、凸部に対応する形状の金型を用意し、表面温度を適宜調整して、凹部、凸部を有する形状とすればよい。なお、凹部、孔を形成する場合は、中空板材を削り加工してもよい。また、この場合、削り加工した凹部、孔の端面を熱溶融させて封止してもよい。
【0082】
・ 本実施形態の棚板2は、全周に亘って端面2dが形成されている形状としたが、これに限定されない。例えば、正面視長方形板状のコーナー部分を上下方向に圧縮した形状としてもよい。棚板2を誤って地面に落としたような場合、棚板2のコーナー部分がその影響を受けやすく、変形したり、スキン層50、60の剥離が発生したりしやすい。この点、コーナー部分を圧縮した形状とすることで、その強度を高めることができるため、落下等による影響を抑制することができる。なお、圧縮部分の範囲、形状は特に限定されない。例えば、圧縮部分が、正面視四角形状、正面視三角形状、正面視多角形状等であってもよく、或いは、コーナー部分を形成する2辺を直線で繋いだような形状(正面視三日月形状)であってもよい。
【0083】
・ 中空板材は、平滑な板状でなくてもよく、例えば湾曲形状であってもよい。
・ 本実施形態の棚板2の端部では、下側のスキン層60が折り曲げられており、上側のスキン層50は、その端部において折り曲げられることなく水平方向に向かって延びている。スキン層50、60の形状はこれに限定されるものではない。上側のスキン層50が折り曲げられており、下側のスキン層60が、その端部において折り曲げられることなく水平方向に向かって延びていてもよい。
【0084】
また、図6(a)に示すように、上側のスキン層50が下側のスキン層60側に少し折り曲げられており、下側のスキン層60が上側のスキン層50側に折り曲げられてコア層20の側面の大部分を覆っている状態であってもよい。棚板2の端面2dは、下側のスキン層60の端面63、コア層20の圧縮部分20a、及び上側のスキン層50の折り曲げられた部分で形成されているが、この場合には、上側のスキン層50が、棚板2の端面2dを形成する部分は僅かである。また、図6(b)に示すように、スキン層50の端面53は、下方ほどやや外方に位置する急斜面とされ、スキン層60の端面63は、上方ほどやや外方に位置する急斜面とされており、棚板2の上下方向中間位置において、スキン層50の端縁51とスキン層60の端縁61との間に、コア層20の圧縮部分20aが挟まれていてもよい。
【0085】
なお、上下のスキン層50、60がともに折り曲げられた場合の棚板2の端面2dの傾斜角度θとは、それぞれ以下のように定義するものとする。図6(a)に示すように、スキン層50、60のうちのいずれか一方の折り曲げられた部分が僅かであって、僅かに折り曲げられたスキン層50、60におけるR形状の角部52、62の先端側には端面が形成されず、他方のスキン層60、50が折り曲げられた部分の先端側のみに端面63、53が形成されている場合、棚板2の端面2dの傾斜角度θとは、他方のスキン層60、50の端面63、53の傾斜角度を言うものとする。また、図6(b)に示すように、棚板2のすべての端部において、上下のスキン層50、60が折り曲げられてR形状の角部52、62が形成されており、それぞれの角部52、62の先端側に端面53、63が形成されている場合、棚板2の端面2dの傾斜角度θとは、端面53の傾斜角度θ1のことであり、且つ、端面63の傾斜角度θ2のことを言うものとする。なお、端面53の傾斜角度θ1と端面63の傾斜角度θ2が異なっている場合には、傾斜角度θ1、θ2のうちの大きい方の値を端面2dの傾斜角度θとするものとする。
【0086】
・ 鋼板30、40は、コア層20の上下両面に接合したが、いずれか一方の面にのみ接合してもよい。また、コア層20の上下両面の少なくとも一方の全体に亘って接合してもよい。
【0087】
・ コア層20の上下両面のいずれの面でも、一枚の鋼板30、40を接合したが、鋼板30、40を複数枚に分割して接合してもよい。また、上面の鋼板30と、下面の鋼板40の枚数、接合箇所、大きさ等を異ならせてもよい。
【0088】
・ 鋼板30、40を省略することができる。
・ 鋼板30、40を金属製の薄板で構成したが、鋼板30、40に代えて、炭素繊維やガラス繊維等の引張弾性率の高い素材を含有してなる繊維強化樹脂製の薄板を接合してもよい。
【0089】
・ 本実施形態のスキン層50、60は、熱可塑樹脂製のシート材で構成したが、少なくともいずれか一方を不織布とすることもできる。スキン層50、60を不織布とする場合、一方の面に熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン樹脂)製の接着層を塗布し、接着層を介して鋼板30の上面(鋼板30の外面)に接合することができる。スキン層50、60を構成する不織布は、例えばポリアミド繊維、アラミド繊維、セルロース繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維、ガラス繊維などの従来公知の各種繊維で成形することができる。スキン層50、60をいずれも不織布とする場合、スキン層50とスキン層60とは同一の構成であってもよく、異なる構成であってもよい。
【0090】
・ スキン層50、60は、樹脂フィルムに印刷されたものであってもよい。棚板2の意匠性を向上させることができる。
・ コア層20は、一枚の第1シート材100を折り畳み成形して構成するのに限らない。例えば、複数の帯状のシートを所定間隔毎に屈曲させて配置してセルの側壁を構成し、これら帯状のシートの上下両側にシート層を配置してセルの上壁及び下壁を構成するようにしてもよい。
【0091】
・ 本実施形態では、コア層20の内部に六角柱状のセルSが区画形成されているが、セルSの形状は、特に限定されるものでない。例えば、四角柱状、八角柱状等の多角形状や円柱状としてもよい。また、セルSの形状は、接頭円錐形状であってもよい。その際、異なる形状のセルが混在していてもよい。また、各セルは隣接していなくともよく、セルとセルとの間に隙間(空間)が存在していてもよい。
【0092】
・ コア層20は、柱形状のセルSが区画されたものに限らない。例えば、所定の凹凸形状を有するコア層の上下両面にシート層を接合したものであってもよい。このような構成のコア層としては、例えば特開2014-205341号公報に記載のものが挙げられる。また、断面がハーモニカ状のプラスチックダンボール等であってもよい。
【0093】
・ 本実施形態では、一枚の第1シート材100を折り畳み成形して、コア層20の内部に六角形状のセルSが区画形成されたハニカム構造体としてのコア層20を形成したが、成形方法はこれに限定されない。例えば、特許第4368399号に記載されるように、断面台形状の凸部が複数列設された三次元構造体を順次折り畳んでいくことにより、ハニカム構造体としてのコア層20を形成してもよい。
【0094】
・ スキン層50、60は一層構造としたが、多層構造であってもよい。
・ コア層20、スキン層50、60を構成する熱可塑性樹脂として、各種機能性樹脂を添加したものを使用してもよい。例えば、熱可塑性樹脂に難燃性の樹脂を添加することにより、難燃性を高めることが可能である。コア層20、スキン層50、60のすべてに対して各種機能性樹脂を添加したものを使用することも可能であり、また、コア層20、スキン層50、60の少なくともいずれかに対して使用することも可能である。
【0095】
・ 加熱工程における加熱温度は、上記構成に限定されるものではない。コア層20を構成する熱可塑性樹脂の材質、鋼板30、40を構成する金属の材質、スキン層50、60を構成する熱可塑性樹脂の材質、及び、鋼板30、40のコーティングされた接着層を構成する熱可塑性樹脂の材質等により適宜設定することができる。また、コア層20を変形させる度合いによっても適宜設定することができる。
【0096】
・ 本実施形態の加熱工程では、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60をそれぞれ別個の加熱炉71、72、73内で加熱したが、これに限定されない。例えば、加熱温度の近い鋼板30、40、及びスキン層50、60を同じ加熱炉内で加熱してもよい。
【0097】
・ 加熱工程での加熱は、加熱炉71、72、73内での加熱ではなく、開放された環境下での加熱であってもよい。例えば、バーナーで加熱してもよいし、IHヒータで加熱してもよいし、赤外線ヒータで加熱してもよい。
【0098】
・ 加熱工程の際、コア層20の上下両面にあらかじめ鋼板30、40を位置決めした状態で加熱してもよい。こうすることで、コア層20に対して鋼板30、40が仮接合されて位置決めされ、鋼板30、40のずれが抑制される。また、接合工程、成形工程の前に、鋼板30、40によってコア層20の温度低下が抑制され、コア層20の熱収縮が抑制される。金型81、82に対する転写がよくなる。
【0099】
・ 本実施形態の加熱工程では、鋼板30、40を加熱する加熱炉72内の温度を、コア層を加熱する加熱炉71内の温度及びスキン層50、60を加熱する加熱炉73内の温度より高く設定したが、加熱炉71、72、73内の温度は、これに限定されない。加熱炉71、72、73内の温度を、すべて、コア層20、及びスキン層50、60を構成する熱可塑性樹脂が溶融する程度の同じ温度としてもよい。この場合であっても、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60を下型82の上に載置した状態では、加熱された鋼板30、40の両面にコーティングされた接着層の熱可塑性樹脂が一部熱溶融された状態となって、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60が、下型82の上で仮接合された状態で位置決めされる。また、接合工程では、鋼板30、40の両面の接着層が熱溶融するとともに、コア層20、及びスキン層50、60を構成する熱可塑性樹脂の一部が熱溶融して、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60が接合される。
【0100】
・ 本実施形態では、加熱工程において、コア層20の表面に遮蔽材を設置することにより、コア層20の表面温度を部位によって異なるように調整した。これに限らず、鋼板30、40、及びスキン層50、60についても、加熱工程において、その表面温度を部位によって異なるように調整してもよい。
【0101】
・ 本実施形態では、加熱工程において、コア層20の表面温度が部位によって異なるように調整した。これに代えて、または、これに加えて、接合工程、成形工程において、表面の加熱温度を部位によって異なるように調整してもよい。この場合、上型81の凹部81a、81b、凸部81c、及び下型82の凹部82aに、パンチングメタル、金網、鋼板等の遮蔽材を設置して熱を遮るようにする。本実施形態の加熱工程と同様、遮蔽材に形成された孔の大きさや数等を変えることによって、凹部81a、82a、及び凸部81cの表面温度を調整することができる。上型81及び下型82において、棚板2の上面2aや凹み面2bに対応する部分である上型81の凹部81a底面(図5(c)における上面)や、凸部81c、及び下型の凹部82aの底面(図5(c)における下面のみ)に、適宜遮蔽材を設置すればよい。
【0102】
具体的には、金型81、82の加熱温度を、鋼板30、40にコーティングされた接着層の熱可塑性樹脂の溶融温度より高い温度であり、且つ、コア層20やスキン層50、60を構成する熱可塑性樹脂の溶融温度より高い温度となるよう設定し、中間体90の圧縮部分91に対応する凹部81b、棚板2の端面2dに対応する凹部82aの側面以外の部分に遮蔽材を設置する。これにより、凹部81a、82aの底面での表面温度を、相対的に最も低い温度とし、凸部81cでの表面温度を、相対的に2番目に低い温度とし、凹部81bでの表面温度を、相対的に最も高い温度とする。
【0103】
このように調整することにより、下型82の凹部82a底面と下型82の凹部82a側面との温度差を大きく設定することができる。また、上型81の凹部81a底面と凹部81bとの温度差を大きく設定することができる。そのため、上型81の凹部81aの底面及び下型82の凹部82aの底面に接するコア層20、スキン層50、60が溶融しにくい一方、上型81の凹部81b及び下型82の凹部82a側面では、コア層20、スキン層50、60の溶融が進み、溶融している部分と溶融しにくい部分との境界部分が始点となって、コア層、スキン層50、60が折り曲げられる。温度差を大きく設定することにより、境界部分の折り曲げ角度のRを小さくすることができ、その結果、棚板2の端面2dの傾斜角度を大きく形成することができる。
【0104】
金型81、82を加熱することによっても、本実施形態と同様の中間体90を得ることができる。
・ 本実施形態では、鋼板30、40、及びスキン層50、60を接合する接合工程と、コア層20、鋼板30、40、及びスキン層50、60を成形して中間体90を得る成形工程とを同時に行っているが、別々に行ってもよい。
【0105】
・ 接合工程、成形工程で使用する金型81、82には、吸引孔が複数形成されているものを使用したが、吸引孔の形状は特に限定されない。スリット状の吸引溝であってもよい。
【0106】
上記実施形態から把握される技術思想について以下に記載する。
(イ)前記スキン層50、60のいずれか一方は不織布である。
【符号の説明】
【0107】
2…棚板(中空板材)、2d…端面、20…コア層、20a…圧縮部分、23…側壁部、30、40…鋼板、50、60…スキン層、52、62…角部、53、63…端面、S…セル、S1…第1セル、S2…第2セル。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7