(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】ヒータおよび流体制御装置
(51)【国際特許分類】
H05B 3/10 20060101AFI20230106BHJP
H05B 3/14 20060101ALI20230106BHJP
F16L 41/03 20060101ALN20230106BHJP
【FI】
H05B3/10 A
H05B3/14 A
F16L41/03
(21)【出願番号】P 2019062228
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100183380
【氏名又は名称】山下 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】稲田 敏之
【審査官】松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-1196(JP,U)
【文献】特開2014-241190(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0168014(US,A1)
【文献】特開2016-191404(JP,A)
【文献】特開2011-12723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/12 - 3/86
F16L 41/00 -49/08
H01L 21/302
H01L 21/461
F16K 39/00 -51/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プラス線および第1マイナス線を有する第1回路層と、
複数の第2プラス線、複数の第2マイナス線、および複数のPTC抵抗体を有する第2回路層と、
複数の接続線と、を備え、
前記第1プラス線および前記第1マイナス線は、それぞれ第1方向に延び、
各第2プラス線および各第2マイナス線は、それぞれ前記第1方向に交差する第2方向に延び、前記複数の第2プラス線および前記複数の第2マイナス線は、前記第1方向に沿って交互に配置され、
各PTC抵抗体は、前記第1方向において隣り合う前記第2プラス線と前記第2マイナス線との間に配置され、
各接続線は、前記第1回路層と前記第2回路層との間に位置し、各第2プラス線と前記第1プラス線とを電気的に、各第2マイナス線と前記第1マイナス線とを電気的に接続する、ヒータ。
【請求項2】
前記第1プラス線は、前記第1方向および前記第2方向の両方に直交する方向から見た場合、各第2プラス線の前記第2方向の両端の間に位置し、
前記第1マイナス線は、前記第1方向および前記第2方向の両方に直交する方向から見た場合、各第2マイナス線の前記第2方向の両端の間に位置する、請求項1に記載のヒータ。
【請求項3】
第1主面と、前記第1面の反対側に位置する第2主面とを有するフィルム基板をさらに備え、
前記第1回路層は、前記第1主面に形成され、
前記第2回路層は、前記第2主面に形成されている、請求項1または請求項2に記載のヒータ。
【請求項4】
前記第1プラス線および前記第1マイナス線への給電を受けるための給電接続部をさらに備え、
前記給電接続部は、前記第1プラス線および前記第1マイナス線の前記第1方向における端部に設けられている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のヒータ。
【請求項5】
一列に並ぶように配置された複数の継手と、前記複数の継手に固定された複数の流体制御機器とを有するガスラインと、
前記複数の流体制御機器が並ぶ方向に沿った両側に設けられ、前記複数の継手および前記複数の流体制御機器を前記加熱する一対の請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のヒータと、を備え、
前記第1方向は、前記複数の流体制御機器が並ぶ方向に平行であり、前記第2方向は、前記複数と前記複数の流体制御機器とが互いに当接する方向に平行である、流体制御装置。
【請求項6】
各ヒータは、略矩形状をなし、前記第1プラス線および前記第1マイナス線を避けた位置に切欠きが形成されている、請求項5に記載の流体制御装置。
【請求項7】
前記ガスラインを複数有し、
前記複数のガスラインにまたがって連結されるマニホールドをさらに備え、
前記マニホールドは、前記切欠きを貫通している、請求項6に記載の流体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒータおよび流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
屈曲して面状に展開したヒータ線と、当該ヒータ線を挟む接着皮膜層とを備えたフィルムヒータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のフィルムヒータにより、複数の継手および複数の流体制御機器からなる流体制御装置を加熱する場合には、当該流体制御装置の形状に合ったフィルムヒータを設計する必要がある。このため、流体制御装置の設計時間が増加し、後からの設計変更や改造に制約が生じる。
【0005】
そこで本開示は、汎用性を有するヒータおよびそれを備える流体制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するために、本開示の一態様であるヒータは、第1プラス線および第1マイナス線を有する第1回路層と、複数の第2プラス線、複数の第2マイナス線、および複数のPTC抵抗体を有する第2回路層と、複数の接続線と、を備え、前記第1プラス線および前記第1マイナス線は、それぞれ第1方向に延び、各第2プラス線および各第2マイナス線は、それぞれ前記第1方向に交差する第2方向に延び、前記複数の第2プラス線および前記複数の第2マイナス線は、前記第1方向に沿って交互に配置され、各PTC抵抗体は、前記第1方向において隣り合う前記第2プラス線と前記第2マイナス線との間に配置され、各接続線は、前記第1回路層と前記第2回路層との間に位置し、各第2プラス線と前記第1プラス線とを電気的に、各第2マイナス線と前記第1マイナス線とを電気的に接続する。
【0007】
前記第1プラス線は、前記第1方向および前記第2方向の両方に直交する方向から見た場合、各第2プラス線の前記第2方向の両端の間に位置し、前記第1マイナス線は、前記第1方向および前記第2方向の両方に直交する方向から見た場合、各第2マイナス線の前記第2方向の両端の間に位置してもよい。
【0008】
第1主面と、前記第1面の反対側に位置する第2主面とを有するフィルム基板をさらに備え、前記第1回路層は、前記第1主面に形成され、前記第2回路層は、前記第2主面に形成されていてもよい。
【0009】
前記第1プラス線および前記第1マイナス線への給電を受けるための給電接続部をさらに備え、前記給電接続部は、前記第1プラス線および前記第1マイナス線の前記第1方向における端部に設けられていてもよい。
【0010】
本開示の一態様である流体制御装置は、一列に並ぶように配置された複数の継手と、前記複数の継手に固定された複数の流体制御機器とを有するガスラインと、前記複数の流体制御機器が並ぶ方向に沿った両側に設けられ、前記複数の継手および前記複数の流体制御機器を前記加熱する一対の上記に記載のヒータと、を備え、前記第1方向は、前記複数の流体制御機器が並ぶ方向に平行であり、前記第2方向は、前記複数と前記複数の流体制御機器とが互いに当接する方向に平行である。
【0011】
各ヒータは、略矩形状をなし、前記第1プラス線および前記第1マイナス線を避けた位置に切欠きが形成されていてもよい。
【0012】
前記ガスラインを複数有し、前記複数のガスラインにまたがって連結されるマニホールドをさらに備え、前記マニホールドは、前記切欠きを貫通していてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、汎用性を有するヒータおよびそれを備える流体制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る流体制御装置の斜視図である。
【
図3】ベースプレートに装着した1ラインのガスラインの斜視図である。
【
図6】(a)は、ヒータの第1回路層の概略図であり、(b)は、ヒータの第2回路層の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の実施形態に係るヒータおよび流体制御装置について、図面を参照して説明する。以下の説明において、ガスライン3の延びる方向を第1方向D1とし、平板部2Aに直交する方向を第2方向D2とし、平板部2Aに平行でかつ第1方向D1に直交する方向を第3方向D3とする。
【0016】
図1は、本実施形態に係る流体制御装置1の斜視図である。
図2は、ベースプレート2の斜視図である。
【0017】
図1に示すように、流体制御装置1は、ベースプレート2と、複数(2ライン)のガスライン3と、ヒータ部4と、マニホールド16と、複数のヒータクリップ20とを備えている。
【0018】
図2に示すように、ベースプレート2は、ステンレス鋼等の金属材料により構成され、平板部2Aと、一対の支持部2Bとを有する。平板部2Aは、平面視矩形状をなし、複数対のスリット2cと、複数対のボルト螺合孔2dとが形成されている。本実施形態では、平板部2Aには、三対のスリット2cと、六対のボルト螺合孔2dとが形成されている。なお、
図2では、一対のボルト螺合孔2dのみに符号(参照番号)を付している。各支持部2Bは、略矩形状をなし、平板部2Aの長辺に接続され、平板部2Aに対し直交している。
【0019】
図3は、ベースプレート2に装着した1ラインのガスライン3の斜視図である。
【0020】
ガスライン3は、入口配管5と、出口配管6と、複数の継手7と、複数の流体制御機器8~14とを備える。
【0021】
入口配管5は、ガスライン3における流体の入口となる。出口配管6は、ガスライン3における流体の出口となる。複数の継手7は、ブロック状をなし、入口配管5と出口配管6との間に位置し、ベースプレート2の平板部2A上に一列に並ぶように設けられている。各継手7には、ガスの流路が形成されている。また、各継手7は、図示せぬ一対のボルトが 一対のボルト螺合孔2dにより螺合されることにより、ベースプレート2に固定されている。
【0022】
複数の流体制御機器8~14は、手動弁8と、自動弁(例えば流体駆動式の自動弁)9~11と、手動式のレギュレータ(減圧弁)12と、圧力計13と、流量制御機器(例えば、マスフローコントローラ(MFC:Mass Flow Controller))14と、により構成されている。自動弁10は、三方弁である。
図3に示すように、各流体制御機器8~14の固定部8A~14Aを備え、固定部8A~14Aにボルト15(図の簡略化のため一つのボルトにのみ参照番号を付している。)が挿入されることにより、対応する継手7に対しそれぞれ固定されている。
【0023】
マニホールド16は、複数のガスライン3に対し設けられている。マニホールド16は、隣り合う継手7の間に位置し、自動弁10の固定部10Aに連結されている。マニホールド16には、パージガスが供給され、複数の三方弁に対し供給される。
【0024】
図1に示すように、ヒータ部4は、アルミブロック4Aと、一対のヒータ支持板4Bと、一対のヒータ4Cと、一対の断熱カバー4Dとを備える。
【0025】
アルミブロック4Aは、入口配管5を覆うように設けられている。
【0026】
一対のヒータ支持板4Bは、ステンレス鋼等の薄板金により構成され、第1方向D1に沿って延び、略矩形状をなしている。一対のヒータ支持板4Bは、ガスライン3の第1方向D1に沿った両側面に設けられている。具体的には、各ヒータ支持板4Bは、アルミブロック4Aの側面、継手7の側面、流体制御機器8~14の固定部8A~14Aの側面、およびMFC14の側面に当接している。
【0027】
一対のヒータ4Cは、例えばPTCヒータであり、一対のヒータ支持板4Bと略同形状をなしている。一対のヒータ4Cは、一対のヒータ支持板4Bの外側に位置し、一対のヒータ支持板4Bに当接している。これにより、一対のヒータ4Cは、一対のヒータ支持板4Bに支持される。一対のヒータ4Cからの熱により、入口配管5を介して流入し継手7および流体制御機器8~14を通過するするガス(例えば、フッ化水素)が加温され、常温で液化するガスの液化が防止される。
【0028】
一対の断熱カバー4Dは、例えばシリコーンスポンジ等の断熱材料により構成され、一対のヒータ支持板4Bと略同形状をなしている。一対の断熱カバー4Dは、一対のヒータ4Cの外側に位置し、一対のヒータ4Cに当接している。一対の断熱カバー4Dは、一対のヒータ4Cの熱が外部に伝わるのを抑制する。
【0029】
一対のスリット2cの間の距離は、一対のヒータ支持板4B、一対のヒータ4C、一対の断熱カバー4Dが装着された状態のガスライン3の幅と略等しく構成されている。すなわち、一対のスリット2cの第3方向D3の間隔は、継手7の第3方向D3の幅、一対のヒータ支持板4Bの厚さ、一対のヒータ4Cの厚さ、および一対の断熱カバー4Dの厚さを合算した長さと略等しく構成されている。
【0030】
次に、ヒータ4Cについて説明する。
【0031】
図4は、ヒータ4Cの正面図である。
図5は、未裁断のヒータ30の正面図である。
図6(a)は、ヒータ30の第1回路層32の概略図であり、(b)は、ヒータ30の第2回路層33の概略図である。
【0032】
図5、6に示すように、未裁断のヒータ30は、略矩形状をなし、フィルム基材31と、第1回路層32と、第2回路層33と、複数の接続線34と、コネクタ35と、一対の絶縁シート36を備える。
図5、6では、一つの接続線34のみに符号(参照番号)を付している。
【0033】
フィルム基材31は、略矩形状をなし、例えば、ポリイミドのフィルムにより構成されている。フィルム基材31は、第1主面31Aと、第1主面31Aの反対側に位置する第2主面31Bとを有する。
【0034】
図6(a)に示すように、第1回路層32は、フィルム基材31の第1主面31Aに形成されている。第1回路層32は、第1プラス線32Aおよび第1マイナス線32Bを有する。第1プラス線32Aおよび第1マイナス線32Bは、それぞれ第1方向D1に沿って延びている。
【0035】
図6(b)に示すように、第2回路層33は、フィルム基材31の第2主面31Bに形成されている。第2回路層33は、複数の第2プラス線33A、複数の第2マイナス線33B、および複数のPTC抵抗体33Cを有する。各第2プラス線33Aおよび各第2マイナス線33Bは、それぞれ第1方向D1に直交する(交差する)第2方向D2に延びている。複数の第2プラス線33Aおよび複数の第2マイナス線33Bは、第1方向D1に沿って交互に配置されている。
図4~6では、一つの第2プラス線33Aのみ、一つの第2マイナス線33Bのみ、一つのPTC抵抗体33Cのみに符号(参照番号)を付している。
【0036】
第1プラス線32Aは、第1方向D1および第2方向D2の両方に直交する方向から見た場合、各第2プラス線33Aの第2方向D2の両端の間に位置している。第1マイナス線32Bは、第1方向D1および第2方向D2の両方に直交する方向から見た場合、各第2マイナス線33Bの第2方向D2の両端の間に位置している。本実施形態において、第1プラス線32Aおよび第1マイナス線32Bは、フィルム基材31において第2方向D2の略中央付近に位置している。
【0037】
各PTC抵抗体33Cは、チタン酸バリウムを主成分とする半導体セラミックにより構成され、正温度係数(positive temperature coefficient)特性を有する。すなわち、各PTC抵抗体33Cは、特定の温度(キュリー温度)で抵抗値が急激に上昇して、昇温が停止する性質を有する。各PTC抵抗体33Cは、短冊状をなし、第2方向D2に沿って延び、第1方向Dにおいて隣り合う第2プラス線33Aと第2マイナス線33Bとの間に配置されている。
【0038】
フィルム基材31において、それを第1方向D1および第2方向D2の両方に直交する方向から見て、第1プラス線32Aと複数の第2プラス線33Aとが交差する箇所、および、第1マイナス線32Bと複数の第2マイナス線33Bとが交差する箇所には、フィルム基材31の厚さ方向に貫通する複数のスルーホール31cが形成されている。
【0039】
各接続線34は、各スルーホール31c内に配置されており、各第2プラス線33Aと第1プラス線32Aとを電気的に、各第2マイナス線33Bと第1マイナス線32Bとを電気的に接続する。
【0040】
コネクタ35は、給電接続部に相当し、フィルム基材31に対し、第1方向D1の端部に設けられている。コネクタ35には、プラス電源ケーブル35Aおよびマイナス電源ケーブル35Bが接続されている。
【0041】
各絶縁シート36は、フィルム基材31と同形状をなし、例えばポリイミドのフィルムにより構成され、第1回路層32を覆うようにフィルム基材31の第1主面31Aに、第2回路層33を覆うようにフィルム基材31の第2主面31Bに貼り付けられている。
【0042】
当該ヒータ30を、ガスライン3の形状に合うように裁断することにより、
図4に示すヒータ4Cが形成される。ヒータ4Cには、略矩形状の複数の切欠き4e1~4e5が形成されている。切欠き4e1、4e2は、ヒータ4Cの第2方向D2の一方側(下側)に形成され、切欠き4e3~5は、切欠き4e1が形成された箇所をさらに切り欠くことにより形成されている。切欠き4e1~4e5により、複数の第2プラス線33Aおよび第2マイナス線33Bの一部が切り取られている。全ての切欠き4e1~4e5は、第1プラス線32Aおよび第1マイナス線32Bを避けた位置に形成されている。
図1に示すように、切欠き4e4には、マニホールド16が貫通している。
【0043】
次に、ヒータクリップ20について説明する。
【0044】
【0045】
図7に示すように、ヒータクリップ20は、ステンレス鋼等の薄板金を曲げ加工することにより形成され、一対の側板部21と、一対の突出部22と、連結部23と、一対の延出部24とを有する。
【0046】
一対の側板部21は、上下方向(所定の方向)に延び、一対の断熱カバー4Dの外面と平行をなしている。各突出部22は、各側板部21の下端において内側に突出するように設けられ、一対の側板部21に対し直交している。連結部23は、第3方向D3に沿って延び、ベースプレート2の平板部2Aと平行をなしている。連結部23は、一対の側板部21の上端を連結している。連結部23の第1方向D1の幅は、各側板部21の第1方向D1の幅の略半分に構成されている。一対の延出部24は、一対の側板部21の上端から上側に延び、一対の断熱カバー4Dの外面と平行をなしている。各延出部24の上下方向の長さは、連結部23の第3方向D3の長さの略半分に構成されている。
【0047】
各ヒータクリップ20は、作業者が一対の延出部24をつまんで互いに近づくように力を加えることにより、一対の側板部21が弾性変形して互いに離間するように広がる。この状態で、ヒータクリップ20を一対のヒータ支持板4B、一対のヒータ4C、一対の断熱カバー4Dが当接された状態のガスライン3に向かって下降させて、各突出部22を対応するスリット2cに挿入し、一対の延出部24を離す。この結果、ヒータクリップ20の一対の側板部21が、継手7と、一対のヒータ支持板4Bと、一対のヒータ4Cと、一対の断熱カバー4Dとを弾性力により狭圧する。
【0048】
上記のようなヒータ4C、30によれば、第1プラス線32Aと第1マイナス線33Aとを互いに近接して形成することにより、複数の第2プラス線33Aおよび第2マイナス線33Bの一部を裁断して使用することができる。これにより、汎用性を有するヒータ4C、30を提供することができる。よって、加熱したい領域に合わせた専用品を製造する必要がなく、流体制御装置1の設計時間の短縮化を図ることができる。
【0049】
第1プラス線32Aは、第3方向D3から見た場合、各第2プラス線33Aの第2方向D2の両端の間に位置し、第1マイナス線32Bは、第3方向D3から見た場合、各第2マイナス線33Bの第2方向D2の両端の間に位置する。これにより、ヒータ30の第2方向D2における第1プラス線32Aおよび第1マイナス線32Bの外側の部分を裁断することができる。
【0050】
フィルム基材31をさらに備え、第1回路層32は、第1主面31Aに形成され、第2回路層33は、第2主面31Bに形成されている。よって、柔軟性を有するヒータ4C、30を提供することができる。
【0051】
コネクタ35は、第1プラス線32Aおよび第1マイナス線32Bの第1方向D1における端部に設けられているので、第2方向D2におけるいずれに位置でも裁断することができ、汎用性をさらに向上させることができる。
【0052】
ヒータ4Cは、略矩形状をなし、第1プラス線32Aおよび第1マイナス線32Bを避けた位置に切欠き4e1~4e5が形成されているので、流体制御装置1において過熱の必要な箇所のみを加熱するヒータ4Cを容易に提供することができる。
【0053】
複数のガスライン3にまたがって連結されるマニホールド16をさらに備え、マニホールド16は、切欠き4e4を貫通しているので、マニホールド16を備える流体制御装置1にも適用可能なヒータ4Cを容易に提供することができる。
【0054】
なお、本開示は、上述した実施形態に限定されない。当業者であれば、本開示の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【0055】
例えば、第1プラス線32Aおよび第1マイナス線32Bは、フィルム基材31において第2方向D2の略中央付近に位置していたが、第2方向D2のいずれか一方の端部に位置していてもよい。
【0056】
コネクタ35は、フィルム基材31に対し、第1方向D1の端部に設けられていたが、第2方向D2のいずれか一方の端部に接続されていてもよい。
【0057】
ヒータ4C、30は、フィルム基材31を備えていたが、フィルム基材31に限らず他の基材であってもよい。第2プラス線33Aおよび第2マイナス線33Bは、第1プラス線32Aおよび第1マイナス線32Bに直交する方向に延びていたが、直交に限らず交差する方向に延びていてもよい。
【0058】
上記の実施形態では、流体制御装置1は、流体制御機器として手動弁、自動弁、圧力計、レギュレータ、およびマスフローコントローラを備えていたが、これらの他にフィルタ等を備えていても良い。
【符号の説明】
【0059】
1:流体制御装置、 4C、30:ヒータ、 4e1~4e4:切欠き、 7:継手、 8~14:流体制御機器、 16:マニホールド、 31:フィルム基板、 31A:第1主面、 31B:第2主面、 32:第1回路層、 32A:第1プラス線、 32B:第1マイナス線、 33:第2回路層、 33A:第2プラス線 33B:第2マイナス線、 33C:PTC抵抗体、 34:接続線、 35:コネクタ、 D1:第1方向、 D2:第2方向