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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】防鳥装置
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20180101AFI20230106BHJP
   A01M 29/32 20110101ALI20230106BHJP
   E04B 1/92 20060101ALI20230106BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20230106BHJP
   H02S 20/10 20140101ALI20230106BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
A01M29/32
E04B1/92
H02S20/23 Z
H02S20/10 S
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019133402
(22)【出願日】2019-07-19
(65)【公開番号】P2021019414
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】501244934
【氏名又は名称】株式会社コーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛司
(72)【発明者】
【氏名】中田 英治
【審査官】清水 督史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-058078(JP,A)
【文献】登録実用新案第3174173(JP,U)
【文献】実開昭61-015953(JP,U)
【文献】特開2018-105002(JP,A)
【文献】特開2015-123005(JP,A)
【文献】登録実用新案第3179214(JP,U)
【文献】特開2019-208451(JP,A)
【文献】特開2019-216637(JP,A)
【文献】特開2020-097835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/18
A01M 29/32
E04B 1/92
H02S 20/23
H02S 20/10
A01G 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根(Y)の上面(Y1 )と、該屋根(Y)の上面(Y1 )に設置されたソーラーパネ
ル(S)の下面(S1 )との間の空間(Z)へ、鳥類が侵入するのを防止するために、上
記ソーラーパネル(S)の端縁フレーム(S2 )と、上記屋根(Y)の上面(Y1 )との
間隙部(E)を遮蔽する防鳥ネット(1)を備えた防鳥装置に於て、
上記ソーラーパネル(S)の端縁フレーム(S2 )に沿って所定の間隔(L)をもって
複数設置される防鳥ネット保持具(2)を有し、
該保持具(2)は、
上記ソーラーパネル(S)の端縁フレーム(S2 )における下端片(5)の奥端縁部(5Z)を引掛部(S3 )として、引っ掛けるU形部(3a)を一端に有する取付棒(3)と、
上記取付棒(3)に外嵌されて押し込まれ、上記防鳥ネット(1)を上記端縁フレーム(S2 )に押しつけて固定する爪付きワッシャ(4)とを具備することを特徴とする防鳥装置。
【請求項2】
上記爪付きワッシャ(4)は、押し込み方向の逆には動かないように上記取付棒(3)に食い込む内爪(4a)を複数有し、さらに、上記防鳥ネット(1)の網目(M)の幅よりも大きな幅寸法(4b)を有している請求項1記載の防鳥装置。
【請求項3】
上記取付棒(3)のU形部(3a)が、上記防鳥ネット(1)の網目(M)を通過可能な小さな折曲外形寸法(3b)を有している請求項1又は2記載の防鳥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防鳥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、屋根の上面にソーラーパネル(太陽光パネル、太陽電池パネル)を設置する場
合、屋根の上面とソーラーパネルの下面との間に空間が存在する(例えば、特許文献1参
照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-158105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記空間に鳥が巣を作り、鳥がソーラーパネルの上面に糞をすることにより、
発電効率が低下するという問題があった。そこで、ソーラーパネルの端縁フレームと、屋
根の上面との間隙部(すなわち上記空間への入口部)を防鳥ネットにて遮蔽する。従来、
防鳥ネットを、両面粘着テープ、粘着剤等で、ソーラーパネルの端縁フレームに固着していたが、強力に固着することができず、防鳥ネットと端縁フレームの間に隙間が生じたり、防鳥ネットが剥がれる等の問題があった。
【0005】
また、屋根の上面に載置する小型の載置板と、該載置板から上方へ突設される筒部と、筒部から水平方向へ突設したボルト杆部と、を有する小型の保持具を、ソーラーパネルの端縁フレームと、屋根の上面との間隙部に多数個配置して、この保持具にナットにより防鳥ネットを固定する構造も提案されているが、ナット締め付けのためにレンチ等が必要であり、作業に時間がかかること、また、小型の保持具やナットを屋根の上から落とす虞がある、等の問題があった。
そこで、本発明は、防鳥ネットを確実に端縁フレームに容易に取着して、防鳥ネットと端縁フレームの間に隙間が生じるのを防止し、鳥が上記空間に侵入することを防止することができる防鳥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る防鳥装置は、屋根の上面と、該屋根の上面に設置されたソーラー
パネルの下面との間の空間へ、鳥類が侵入するのを防止するために、上記ソーラーパネル
の端縁フレームと、上記屋根の上面との間隙部を遮蔽する防鳥ネットを備えた防鳥装置に
於て、上記ソーラーパネルの端縁フレームに沿って所定の間隔をもって複数設置される防
鳥ネット保持具を有し、該保持具は、上記ソーラーパネルの端縁フレームにおける下端片の奥端縁部を引掛部として、引っ掛けるU形部を一端に有する取付棒と、上記取付棒に外嵌されて押し込まれ、上記防鳥ネットを上記端縁フレームに押しつけて固定する爪付きワッシャとを具備するものである。
【0007】
また、上記爪付きワッシャは、押し込み方向の逆には動かないように上記取付棒に食い込む内爪を複数有し、さらに、上記防鳥ネットの網目の幅よりも大きな幅寸法を有しているものである。
また、上記取付棒のU形部が、上記防鳥ネットの網目を通過可能な小さな折曲外形寸法を有しているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の防鳥装置によれば、防鳥ネットを安定した姿勢で確実に端縁フレームに取着できる。これによって、ソーラーパネルの下面側の空間に鳥が侵入することを防止することができる。また、取付作業性が優れている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態の使用状態を示す斜視図である。
図2】使用状態を示す要部拡大図である。
図3】防鳥ネットの取付状態を示す断面図である。
図4】保持具の取付作業を示す断面図である。
図5】防鳥ネットの取付完了後の仕上げ状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図示の実施の形態に基づいて本発明を詳説する。
図1図2は、本発明の実施の形態の使用状態を示す。この防鳥装置は、屋根Yの上面Y1 と、屋根Yの上面Y1 に設置されたソーラーパネルSの下面S1 との間の空間Zへ、鳥類が侵入するのを防止するために、ソーラーパネルSの端縁フレームS2 と、屋根Yの上面Y1 との間隙部Eを遮蔽する金属製又は樹脂製等の防鳥ネット1を備える。ソーラーパネルSの端縁フレームS2 に沿って所定の間隔Lをもって複数設置される防鳥ネット保持具2を有する。
【0011】
図2及び図3に示すように、保持具2は、上記ソーラーパネルSの端縁フレームS2 における下端片5の奥端縁部5Zを引掛部S3 として、引っ掛けるU形部3aを一端に有する取付棒3と、上記取付棒3に外嵌されて押し込まれ、上記防鳥ネット1を上記端縁フレームS2 に押しつけて固定する爪付きワッシャ4とを、具備する。なお、爪付きワッシャ4は、円形のものを図示したが、防鳥ネット1を固定できる限り、つまり、防鳥ネット1の網目Mを通過しない限り、矩形、楕円形等の他の形状のものであってもよい。
【0012】
上記爪付きワッシャ4は、上記防鳥ネット1の網目Mの幅よりも大きな幅寸法4bを有する。また、押し込み方向の逆には動かないように上記取付棒3に食い込む内爪4aを複数有している。この内爪4aの取付棒3への食い込み及び摩擦力により、防鳥ネット1がソーラーパネルSの端縁フレームS2 に固定される。
【0013】
防鳥ネット1の網目Mの幅に応じて、爪付きワッシャ4の幅寸法4bを選択できるが、作業性も考慮すると、30mm前後(20~40mm程度)の幅寸法4bを有するものが望ましい。また、爪付きワッシャ4は、取付棒3が差し込まれる特定の網目Mに隣接する4個の網目を部分的に覆うことが望ましい。これにより、防鳥ネット1が強固に固定できる。また、防鳥ネット1の材質は金属製又は樹脂製等、選択自由であるが、防鳥効果をより高めるためには、ステンレス等の金属製であることが望ましい。
【0014】
上記取付棒3は、ステンレス等の金属製である。取付棒3のU形部3aが、ソーラーパネルSの端縁フレームS2 における下端片5の引掛部S3 に引っ掛かり、爪付きワッシャ4と端縁フレームS2 で防鳥ネット1を挟んで固定する。なお、取付棒3を防鳥ネット1の網目Mに容易に挿入して作業性を向上させるため、取付棒3のU形部3aが、防鳥ネット1の網目Mを通過可能な小さな折曲外形寸法3bを有している。
【0015】
次に、本発明の防鳥装置の保持具2の取付方法を図4図5に示す。
まず、取付棒3を、U形部3a側から防鳥ネット1の網目Mに挿入し、U形部3aをソーラーパネルSの端縁フレームS2 の下端片5の引掛部S3 に引っ掛ける。
次に、取付棒3の他端部に、爪付きワッシャ4を外嵌し、取付棒3の他端部を作業者が片方の手で保持し、もう一方の手で爪付きワッシャ4を防鳥ネット1に向かって押し込んでゆく。
【0016】
この際、爪付きワッシャ4が備える複数の内爪4aにより、爪付きワッシャ4が一旦押し込まれた位置から後退することなく、防鳥ネット1の位置まで押し込まれる。端縁フレームS2 の引掛部S3 に引っ掛けたU形部3aが作業者の手で引っ張られ、その引張力を爪付きワッシャ4が受け止めることで、防鳥ネット1が端縁フレームS2 と爪付きワッシャ4に挟まれ固定される。
【0017】
爪付きワッシャ4が防鳥ネット1の位置まで押し込まれ、防鳥ネット1を端縁フレームS2 に固定した後、取付棒3を切断するが、取付棒3を切断したままでは先端が尖っており危険である場合があるので、切断した取付棒3の先端をペンチ等で曲げて仕上げることが望ましい。
【0018】
上記の作業を、ソーラーパネルSの端縁フレームS2 の全周縁にわたり行ってゆくが、図1に示す保持具2間の間隔Lは、50cm~100cmが望ましい。ソーラーパネルSの規模にもよるが、50cm未満にすると作業があまりに煩雑になり、100cmを超えると充分な強度が維持できない虞がある。
【0019】
本発明は、設計変更可能であって、例えば、取付棒3及び爪付きワッシャ4を樹脂製として、取付棒3の表面に引っ掛かり用の溝を形成し、これに爪付きワッシャ4の爪が係止する構造にすることもできる。また、施工するソーラーパネルSの端縁フレームS2 の形状が図示のものと異なる場合には、その形状に応じて保持具2の細部の形状を修正するも良い。
【0020】
以上のように、本発明は、屋根Yの上面Y1 と、該屋根Yの上面Y1 に設置されたソー
ラーパネルSの下面S1 との間の空間Zへ、鳥類が侵入するのを防止するために、上記ソ
ーラーパネルSの端縁フレームS2 と、上記屋根Yの上面Y1 との間隙部Eを遮蔽する防
鳥ネット1を備えた防鳥装置に於て、上記ソーラーパネルSの端縁フレームS2 に沿って
所定の間隔Lをもって複数設置される防鳥ネット保持具2を有し、該保持具2は、上記ソーラーパネルSの端縁フレームS2 における下端片5の奥端縁部5Zを引掛部S3 として、引っ掛けるU形部3aを一端に有する取付棒3と、上記取付棒3に外嵌されて押し込まれ、上記防鳥ネット1を上記端縁フレームS2 に押しつけて固定する爪付きワッシャ4とを、具備するので、凹凸のある屋根Yの上面Y1 と端縁フレームS2 との間に形成された(上下寸法が長手方向に変化する)間隙部Eに柔軟に対応して、簡単な手順で強固に保持具2を設置できる。これによって、防鳥ネット1が、風雨等で弛んだり、位置ずれすることを、確実に防止できる。しかも、爪付きワッシャ4を手で押しこむだけでよいため、複数の保持具2を次々と容易かつ迅速に設置できるので、防鳥ネット1を能率良く(高所作業で)張設できる。このようにして、防鳥ネット1を確実に端縁フレームS2 に取着して、鳥が上記空間Zに侵入することを防止することができる。
【0021】
また、上記爪付きワッシャ4は、押し込み方向の逆には動かないように上記取付棒3に食い込む内爪4aを複数有し、さらに、上記防鳥ネット1の網目Mの幅よりも大きな幅寸法4bを有しているので、簡素な構成でありながら、防鳥ネット1を確実に端縁フレームS2 に取着して、鳥が上記空間Zに侵入することを防止することができる。
【0022】
また、上記取付棒3のU形部3aが、上記防鳥ネット1の網目Mを通過可能な小さな折曲外形寸法3bを有しているので、作業性がよく、防鳥ネット1を容易かつ迅速に設置できる。
【符号の説明】
【0023】
1 防鳥ネット
2 (防鳥ネット)保持具
3 取付棒
3a U形部
3b 折曲外形寸法
4 爪付きワッシャ
4a 内爪
4b 幅寸法
5 下端片
5Z 奥端縁部
E 間隙部
L 間隔
M 網目
S ソーラーパネル
1 下面
2 端縁フレーム
3 引掛部
Y 屋根
1 上面
Z 空間
図1
図2
図3
図4
図5