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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230106BHJP
【FI】
A63F7/02 320
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019137487
(22)【出願日】2019-07-26
(65)【公開番号】P2021019768
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 裕一
【審査官】阿部 知
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-153781(JP,A)
【文献】特開2017-079912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の順が設定された複数種の識別図柄を含む識別図柄群が複数設定され、当該識別図柄群のそれぞれから選択されてなる識別図柄の組み合わせが同じ組み合わせとなったときに当たりとなる遊技機であって、
複数の前記識別図柄群のうちの二以上から選択された識別図柄が同じ種類となることがリーチとして設定され、当該リーチが複数成立しうるリーチ演出が実行可能であり、
前記リーチ演出において、基準となるリーチである基準リーチが成立した上で、それに加えて別のリーチである事後リーチが成立するリーチ増加態様が発生する場合、前記基準リーチを構成する基準識別図柄と、前記事後リーチを構成する事後識別図柄の、前記所定の順に基づく関係により、当否判定結果が当たりとなる蓋然性が示唆されるものであり、
前記リーチ増加態様として、前記所定の順に基づき前記基準識別図柄が前記事後識別図柄の一つ後である第一態様と、前記所定の順に基づき前記基準識別図柄が前記事後識別図柄の一つ前である第二態様が発生しうるものであり、
前記基準識別図柄とされる前記識別図柄の種類によらず、前記第一態様が発生した場合と、前記第二態様が発生した場合とでは、当否判定結果が当たりとなる蓋然性が異なることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
リーチ(リーチライン)が増加する演出が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-129679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、リーチが増加する演出の趣向性を向上させることが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、所定の順が設定された複数種の識別図柄を含む識別図柄群が複数設定され、当該識別図柄群のそれぞれから選択されてなる識別図柄の組み合わせが同じ組み合わせとなったときに当たりとなる遊技機であって、複数の前記識別図柄群のうちの二以上から選択された識別図柄が同じ種類となることがリーチとして設定され、当該リーチが複数成立しうるリーチ演出が実行可能であり、前記リーチ演出において、基準となるリーチである基準リーチが成立した上で、それに加えて別のリーチである事後リーチが成立するリーチ増加態様が発生する場合、前記基準リーチを構成する基準識別図柄と、前記事後リーチを構成する事後識別図柄の、前記所定の順に基づく関係により、当否判定結果が当たりとなる蓋然性が示唆されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機は、リーチが増加する演出の趣向性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる遊技機の正面図である。
図2】表示領域に表示された識別図柄および保留図柄を示した図である。
図3】複数種の識別図柄に所定の順が設定されていることを説明するための図である。
図4】リーチ演出を説明するための図である。
図5】リーチ演出(数字減少態様)を説明するための図である。
図6】リーチ演出(数字増加態様)を説明するための図である。
図7】第一具体例を説明するための図である。
図8】第二具体例を説明するための図である。
図9】第三具体例を説明するための図である。
図10】第四具体例を説明するための図(その一)である。
図11】第四具体例を説明するための図(その二)である。
図12】第五具体例、第六具体例を説明するための図である。
図13】第七具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、表示装置91、始動領域904、大入賞口906、アウト口などが設けられている。表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な部分である。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0011】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動領域904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0012】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動領域904への遊技球の入賞を契機として実行する。本実施形態では、始動領域904として、第一始動領域904a(いわゆる「特図1」の始動領域)と第二始動領域904b(いわゆる「特図2」の始動領域)が設けられている。始動領域904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、未だ当否判定結果の報知が完了していない当否判定情報が存在する場合には、新たに取得された当否判定情報は保留情報として図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。記憶手段に保留情報が記憶されていることは、保留図柄70として表示される。
【0014】
本実施形態では、保留図柄70として、当否判定結果を報知する報知演出(識別図柄80(識別図柄群80g)の変動開始から、当否判定結果を示す組み合わせで完全に停止するまでの演出、いわゆる一変動中分の演出をいう)は開始されているものの、当否判定結果の報知は完了していない情報(以下、変動中保留情報と称することもある)に対応する変動中保留図柄71(いわゆる「当該変動保留」の存在を示す図柄)と、当否判定結果を報知する報知演出が開始されていない情報(以下、変動前保留情報と称することもある)に対応する変動前保留図柄72が表示される(図2参照)。本実施形態では、変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態は同じであり、両者を区別するために変動中保留図柄71の方が変動前保留図柄72よりも大きく表示される。変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。
【0015】
変動前保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、第一始動領域904aに入賞することによって得られる第一変動前保留情報(特図1保留)の最大の記憶数は四つであり、第二始動領域904bに入賞することによって得られる第二変動前保留情報(特図2保留)の最大の記憶数は四つである。したがって、特図1および特図2の一方に相当する保留図柄70に関していえば、一つの変動中保留図柄71と、最大四つの変動前保留図柄72が表示されることがある(図2参照)。なお、図2以外の図においては、保留図柄70の図示を省略する。
【0016】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄80(図2参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄80を含む識別図柄群80g(左識別図柄群80gL、中識別図柄群80gC、右識別図柄群80gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群80gから一の識別図柄80が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群80gから選択されて停止した識別図柄80の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄80の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。識別図柄80は、数字とキャラクタ等が組み合わされたものとしてもよい。
【0017】
本実施形態では、遊技状態として、通常遊技状態と特別遊技状態が設定されている。特別遊技状態は、通常遊技状態に比して遊技者に有利な遊技状態である。通常遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しにくい低ベース状態(低確率・時短無)である。特別遊技状態としては、第一特別遊技状態と第二特別遊技状態が設定されている。第一特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が高い高確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(高確率・時短有)である。第二特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(低確率・時短有)である。通常遊技状態においては、遊技者は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「左打ち」を行う。特別遊技状態は、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「右打ち」を行う。特別遊技状態は、普通始動領域905に遊技球が進入することを契機とした第二始動領域904bの開放抽選に当選しやすい状態であるため、比較的容易に第二始動領域904bに遊技球が入賞する。なお、上記のような遊技状態が設定されていることはあくまで一例である。
【0018】
2)リーチ演出
以下、本実施形態にかかる遊技機1が実行可能なリーチ演出について説明する。なお、以下で説明する態様とは異なる態様のリーチ演出が発生してもよい。「リーチ」は、複数の識別図柄群80gのうちの二以上から選択された識別図柄が同じ種類となることである。本実施形態では、左識別図柄群80gLから選択された識別図柄(以下、左識別図柄80Lと称することもある)と、右識別図柄群80gRから選択された識別図柄(以下、右識別図柄80Rと称することもある)が同じ種類となることがリーチとして設定されている。「リーチ」は、残り一つの識別図柄群である中識別図柄群80gCから選択された識別図柄(以下、中識別図柄80Cと称することもある)が、リーチを構成する左識別図柄80Lおよび右識別図柄80Rと同じ種類の識別図柄となることで大当たり(大当たりを示す組み合わせ)となる状態であるともいえる。
【0019】
各識別図柄群に含まれる複数種の識別図柄には所定の順が設定されている(以下、各識別図柄を区別するために「○」の識別図柄(○は識別図柄が含む数字)と称する)。
本実施形態における当該所定の順は、各識別図柄が含む「数字」(本実施形態では「1」~「9」の数字)の順である。すなわち「1」の識別図柄、「2」の識別図柄、「3」の識別図柄・・・「9」の識別図柄、「1」の識別図柄・・・という順が所定の順である(図3参照)。なお、当該所定の順は、識別図柄群として変動する際の変動順でもある。
【0020】
本実施形態におけるリーチ演出は、リーチが複数成立しうる。具体的には、リーチの数が増加するリーチ増加態様が発生しうる。以下、リーチ増加態様について説明する。
【0021】
リーチ演出では、まず、基準となるリーチである基準リーチが成立する。左識別図柄群80gLから最初に選択されて示された左識別図柄80Lおよび右識別図柄群80gRから最初に選択されて示された右識別図柄80R(左識別図柄80Lと同じ種類である)から構成されるリーチが基準リーチである(図4(b)参照)。なお、リーチを構成する識別図柄は、停止または擬似停止した状態(完全に停止していないが遊技者には停止したように見える状態)とされる。基準リーチが成立するまでは、一般的なリーチ演出と同じであるといえる。以下、基準リーチを構成する識別図柄を基準識別図柄80aと称することもある。
【0022】
本実施形態では、基準リーチが成立した後、それに加えて別のリーチである事後リーチが成立するリーチ増加態様が発生する可能性がある。以下、事後リーチを構成する識別図柄を事後識別図柄80bと称することもある。リーチ増加態様が発生することは、いわゆるチャンスアップとして設定されている。すなわち、リーチ演出において、リーチ増加態様が発生しない場合よりも、リーチ増加態様が発生する場合の方が、当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(以下、(大当たり)信頼度と称することもある)が高くなる。リーチ(リーチライン)が一つから二つに増えるという視覚的な変化が生じるものであるから、それに合わせて大当たり信頼度が高くなるように設定される。
【0023】
上記リーチ増加態様として、複数種の態様が発生しうる。本実施形態では、数字減少態様(本願発明における第一態様に相当する)(図5(a)参照)および数字増加態様(本願発明における第二態様に相当する)(図6(a)参照)が発生しうる。数字減少態様は、上記所定の順に基づき基準識別図柄80aが事後識別図柄80bの一つ後となる態様である。例えば、基準識別図柄80aが「6」の識別図柄である場合には、事後識別図柄80bは「5」の識別図柄となる(図5(a)参照)。図示しないが、基準識別図柄80aが「1」の識別図柄である場合には、事後識別図柄80bは「9」の識別図柄となる。数字増加態様は、上記所定の順に基づき基準識別図柄80aが事後識別図柄80bの一つ前となる態様である。例えば、基準識別図柄80aが「6」の識別図柄である場合には、事後識別図柄80bは「7」の識別図柄となる(図6(a)参照)。図示しないが、基準識別図柄80aが「9」の識別図柄である場合には、事後識別図柄80bは「1」の識別図柄となる。
【0024】
数字減少態様(図5(a)参照)が発生した場合と、数字増加態様(図6(a)参照)が発生した場合とでは、当否判定結果が当たりとなる蓋然性が異なる。上述した通り、リーチ増加態様が発生することは、大当たり信頼度が高まるいわゆるチャンスアップであるところ、当該リーチ増加態様が数字減少態様であるか数字増加態様であるかに応じ、当該大当たり信頼度が高まる度合が異なる。本実施形態では、数字減少態様が発生した場合よりも、数字増加態様が発生した場合の方が、大当たり信頼度が高くなるように(大当たり信頼度が高まる度合が大きく)設定されている。すなわち、数字増加態様は、(基準識別図柄80aが「9」の識別図柄である場合を除き)識別図柄の「数字」が大きくなる方向にリーチが増加する態様である一方、数字減少態様は、(基準識別図柄80aが「1」の識別図柄である場合を除き)識別図柄の「数字」が小さくなる方向にリーチが増加する態様であるところ、「数字」が増加する方が遊技者にとって有利な事象として設定された構成とすることで、演出が分かりやすくなる。
【0025】
演出をより分かりやすくするため、基準識別図柄80aが「1」や「9」の識別図柄である場合には、リーチ増加態様が発生しないようにしてもよい。このようにすることで、数字減少態様は必ず識別図柄の「数字」が小さくなる方向にリーチが増加するものとなり、数字増加態様は必ず識別図柄の「数字」が大きくなる方向にリーチが増加するものとなるからである。
【0026】
なお、本実施形態とは逆の設定とすることを否定するわけではない。すなわち、数字増加態様が発生した場合よりも、数字減少態様が発生した場合の方が、大当たり信頼度が高くなるような設定とすることを否定するわけではない。ただし、「数字が大きくなる」というイメージと、「大当たり信頼度が高い」というイメージがリンクする分かりやすい演出とするという観点においては、本実施形態のような設定とする方が良いといえる。
【0027】
当否判定結果が大当たりとなる場合には、中識別図柄群80gCの変動が停止し、当該中識別図柄群80gCから選択された中識別図柄80Cがリーチを構成する左識別図柄80Lおよび右識別図柄80Rと同じものとなる。すなわち、同じ識別図柄の三つ揃いとなる。具体的には、リーチ増加態様が発生しない場合には、中識別図柄80Cは、基準リーチを構成する左識別図柄80Lおよび右識別図柄80Rと同じものとなる(図4(c-1)参照)。リーチ増加態様が発生した場合には、中識別図柄80Cは、基準リーチおよび事後リーチのいずれか一方を構成する左識別図柄80Lおよび右識別図柄80Rと同じものとなる(図5(b-1)、図6(b-1)参照)。
【0028】
当否判定結果がはずれとなる場合には、上記のような同じ識別図柄の三つ揃いは発生しない。具体的には、リーチ増加態様が発生しない場合には、中識別図柄80Cは、基準リーチを構成する左識別図柄80Lおよび右識別図柄80Rと異なるものとなる(図4(c-2)参照)。リーチ増加態様が発生した場合には、中識別図柄80Cは、基準リーチを構成する左識別図柄80Lおよび右識別図柄80Rおよび事後リーチを構成する左識別図柄80Lおよび右識別図柄80Rのいずれとも異なるものとなる(図5(b-2)、図6(b-2)参照)。
【0029】
このように、本実施形態におけるリーチ演出は、基準リーチを構成する基準識別図柄80aと、事後リーチを構成する事後識別図柄80bの、「所定の順」に基づく関係により、当否判定結果が当たりとなる蓋然性が示唆されるという面白みのあるものである。
【0030】
以下、上記リーチ演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0031】
〇第一具体例
数字減少態様と数字増加態様とでは、基準識別図柄80aに対する事後識別図柄80bが表示される位置が異なるものとする(図7参照)。例えば、数字減少態様では、基準識別図柄80aの上側に事後識別図柄80bが表示され(図7(b-1)参照)、数字増加態様では、基準識別図柄80aの下側に事後識別図柄80bが表示される(図7(b-2)参照)ものとする。このようにすることで、リーチ増加態様が発生した場合には、それが数字減少態様および数字増加態様のいずれであっても、基準識別図柄80aと事後識別図柄80bが上から昇順(数字が大きくなる順、すなわち上記所定の順)で並ぶ(ただし、基準識別図柄80aが「1」の識別図柄である場合における数字減少態様、および、基準識別図柄80aが「9」の識別図柄である場合における数字増加態様を除く)ことになるから、演出が分かりやすくなるという利点がある。
【0032】
一方、これとは逆の設定としてもよい。すなわち、数字減少態様では、基準識別図柄80aの下側に事後識別図柄80bが表示され、数字増加態様では、基準識別図柄80aの上側に事後識別図柄80bが表示されるものとする。上記実施形態のように、数字減少態様に比して数字増加態様の方が大当たり信頼度が高いものとするのであれば、リーチを構成する識別図柄が増加する方向が「上」である場合の方が、「下」である場合よりも大当たり信頼度が高い設定とすることで、大当たり信頼度と識別図柄の増加方向がリンクするという観点において演出が分かりやすくなる。
【0033】
〇第二具体例(第一具体例の変形例)
上記所定の順(識別図柄が含む「数字」の順)に基づく基準識別図柄80aに対する事後識別図柄80bの関係が、リーチ増加態様の種類によらず同じであるとする。例えば、基準識別図柄80aが「4」の識別図柄である場合(図8(a)参照)には、事後識別図柄80bは「5」の識別図柄(図8(b-1)(b-2)参照)となるようにする。すなわち、リーチ増加態様の種類によらず、上記所定の順に基づき基準識別図柄80aが事後識別図柄80bの一つ前となるような設定であるとする。そして、基準識別図柄80aに対する事後識別図柄80bが表示される位置が異なるものとする。例えば、上記第一具体例にて説明したように、基準識別図柄80aの上側に事後識別図柄80bが表示される態様(上側表示態様)(図8(b-1)参照)と、基準識別図柄80aの下側に事後識別図柄80bが表示される態様(下側表示態様)(図8(b-2)参照)が発生しうるものとする。このように、リーチ増加態様として発生しうる各態様の違いは、基準識別図柄80aに対する事後識別図柄80bが表示される位置であり、上記所定の順に基づく関係には差がない設定としてもよい。
【0034】
〇第三具体例(第一具体例の変形例)
数字減少態様と数字増加態様の両方を含むような態様(以下、複合態様と称する)が発生しうる設定とする。複合態様は、基準識別図柄80aの上側および下側の両方に事後識別図柄80bが表示された状態(二種類の事後識別図柄80bが表示された状態)である(図9(b)参照)。複合態様は、数字減少態様や数字増加態様とは大当たり信頼度が異なるものとされる。複合態様は、数字減少態様や数字増加態様よりもリーチ(リーチライン)の数が多いものであるから、数字減少態様や数字増加態様よりも大当たり信頼度が高い設定とすることが好ましい。複合態様が発生したときには大当たりが確定する(大当たり信頼度が100%である)設定としてもよい。
【0035】
複合態様が発生する場合、基準識別図柄80aが表示された状態(基準リーチが成立した状態)(図9(a)参照)から、上側の事後識別図柄80bと下側の事後識別図柄80bが略同時に表示される(図9(b)参照)ようにすることが好ましい。すなわち、リーチ(リーチライン)が一つ(基準リーチのみ)の状態から、一度にリーチ(リーチライン)が三つの状態(基準リーチ+二つの事後リーチ)に変化するようにすることが好ましい。このようにすることで、複合態様と、数字減少態様や数字増加態様の違いが明確になる。また、複合態様のリーチ演出に要する時間は、数字減少態様や数字増加態様のリーチ演出に要する時間と変わりない(演出に要する時間を同じにすることができるため制御が容易である)。
【0036】
〇第四具体例
数字減少態様および数字増加態様の少なくともいずれか一方が複数種発生しうるものとしてもよい。例えば、数字減少態様として、上記所定の順に基づき基準識別図柄80aが事後識別図柄80bの一つ後となる態様(一減少態様)だけでなく、基準識別図柄80aが事後識別図柄80bの二つ後となる態様(二減少態様)が発生しうるものとする。基準識別図柄80aが「5」の識別図柄である場合(図10(a)参照)の一減少態様は、事後識別図柄80bが「4」の識別図柄となるもの(図10(b)参照)であり、二減少態様は、事後識別図柄80bが「3」の識別図柄となるもの(図10(c)参照)である。二減少態様は、一減少態様を経て発生するものとすることが好ましい。つまり、「数字」が段階的に減っていく様を見せるため、一減少態様が発生しなければ二減少態様が発生しないような設定とすることが好ましい。
【0037】
また、数字増加態様として、上記所定の順に基づき基準識別図柄80aが事後識別図柄80bの一つ前となる態様(一増加態様)だけでなく、基準識別図柄80aが事後識別図柄80bの二つ前となる態様(二増加態様)が発生しうるものとする。基準識別図柄80aが「5」の識別図柄である場合(図11(a)参照)の一増加態様は、事後識別図柄80bが「6」の識別図柄となるもの(図11(b)参照)であり、二増加態様は、事後識別図柄80bが「7」の識別図柄となるもの(図11(c)参照)である。二増加態様は、一増加態様を経て発生するものとすることが好ましい。つまり、「数字」が段階的に増加していく様を見せるため、一増加態様が発生しなければ二増加態様が発生しないような設定とすることが好ましい。
【0038】
このように、リーチ増加態様における「数字」の減少や増加が、二つ(二段階)以上発生しうるようにしてもよい。基本的には、リーチ(リーチライン)の数が多くなるほど、大当たり信頼度が高くなるようにすればよい。また、上記実施形態と同様に、数字減少態様によりリーチが増加した場合よりも数字増加態様によりリーチが増加した場合の方が大当たり信頼度が高くなるようにすればよい。
【0039】
〇第五具体例
リーチ増加態様(事後リーチの成立)は自動的に発生するのではなく、所定条件(以下、リーチ増加条件と称する)成立を契機として発生するものとする。例えば、前もって、当否判定結果を踏まえ、リーチ増加態様が発生するか否か、リーチ増加態様が発生するのであれば数字減少態様および数字増加態様のいずれが発生するのかが内部的に決定されるものとする。すなわち、パターンとしては、「リーチ増加態様が発生しない」(第一パターン)、「数字減少態様が発生する」(第二パターン)、「数字増加態様が発生する」(第三パターン)の三つ存在する。第一パターンが設定される場合に比して第二パターンが設定される場合の方が、第二パターンが設定される場合に比して第三パターンが設定される場合の方が、当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が高い。
【0040】
第一パターンが設定された場合には、リーチ増加条件が成立しても、リーチ増加態様が発生しない(図12(a)参照)。第二パターンが設定された場合には、リーチ増加条件成立を契機として数字減少態様が発生する(図12(a)(b-1)参照)。第三パターンが設定された場合には、リーチ増加条件成立を契機として数字増加態様が発生する(図12(a)(b-2)参照)。ただし、第二パターンまたは第三パターンが設定された場合において、リーチ増加条件が成立しなかったときには、リーチ増加態様が発生しない。すなわち、第一パターンとは区別がつかない。
【0041】
上記第三具体例にて説明したような複合態様が発生しうるものとしてもよい。上述した第一パターン~第三パターンに加え、「複合態様が発生する」(第四パターン)の四つが存在するものとする。第四パターンが設定された場合には、一回目のリーチ増加条件成立を契機として数字減少態様および数字増加態様の一方が発生し、二回目のリーチ増加条件成立を契機として数字減少態様および数字増加態様の他方が発生するものとする。リーチ増加条件が一回も成立しなかったときには、第一パターンとは区別がつかない。リーチ増加条件が一回しか成立しなかったときには、第二パターンまたは第三パターンとは区別がつかない。
【0042】
なお、所定期間において成立したリーチ増加条件が有効になり、それ以外の期間においてリーチ増加条件が成立しても無効となるように設定されているとよい。基準リーチが成立した状態にある期間の少なくとも一部が所定期間とされる。当該所定期間中であることが遊技者に対して示されるようにしてもよい。例えば、「今、〇○が発生するとリーチが増加するかも・・・」といった表示がなされるようにして、リーチ増加条件の成立が有効となる期間であることの示唆がなされるものとする。
【0043】
〇第六具体例(第五具体例をより具体化した例)
上述したリーチ増加条件は、遊技者が遊技すること(遊技球を発射すること)によって成立する条件とされる。すなわち、遊技球が発射されない場合には成立することがない条件とされる。このようにすることで、リーチ増加態様を発生させたい場合には遊技球を発射させなければならないから、遊技の促進に資することになる。
【0044】
例えば、所定の領域に遊技球が進入することがリーチ増加条件として設定された構成とすることが考えられる。当該所定の領域は、遊技球が進入可能な領域であればどのような領域であってもよい。ただし、リーチ増加態様はあくまで演出に過ぎない(当否抽選の結果には関係しない)ものであるため、当該所定の領域は遊技球の進入を契機として何らかの抽選が実行されるものではないことが好ましい。すなわち、遊技球が進入することを契機としていわゆる賞球は払い出されるものの、何らかの抽選は実行されない一般入賞領域50を上記所定の領域として設定することが好ましい(図12参照)。複数の一般入賞領域50が設けられる場合には、全部の一般入賞領域50を対象としてもよいし、一部の一般入賞領域50のみを対象としてもよい。
【0045】
〇第七具体例(第六具体例の変形例)
所定の領域に遊技球が進入した時点から、所定時間経過するよりも前に、当該所定の領域にさらに遊技球が進入することリーチ増加条件として設定された構成とすることが考えられる。端的にいえば、所定の領域に遊技球が連続的に進入することがリーチ増加条件として設定されているということである。上記所定の時間は適宜設定することができるが、例えば、10秒程度とすることが考えられる(図13参照)。上述した通り、一般入賞領域50を上記所定の領域として設定することが好ましい。
【0046】
このように、所定の領域に遊技球が連続的に進入することがリーチ増加条件として設定された構成とすることで、リーチ増加条件の成立のハードルが上がる。具体的には、継続的に遊技球を発射し続けなければリーチ増加条件が成立しなくなるため、より遊技の促進に資することになる。
【0047】
3)以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0048】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0049】
・手段1
所定の順が設定された複数種の識別図柄を含む識別図柄群が複数設定され、当該識別図柄群のそれぞれから選択されてなる識別図柄の組み合わせが同じ組み合わせとなったときに当たりとなる遊技機であって、複数の前記識別図柄群のうちの二以上から選択された識別図柄が同じ種類となることがリーチとして設定され、当該リーチが複数成立しうるリーチ演出が実行可能であり、前記リーチ演出において、基準となるリーチである基準リーチが成立した上で、それに加えて別のリーチである事後リーチが成立するリーチ増加態様が発生する場合、前記基準リーチを構成する基準識別図柄と、前記事後リーチを構成する事後識別図柄の、前記所定の順に基づく関係により、当否判定結果が当たりとなる蓋然性が示唆されることを特徴とする遊技機。
上記遊技機が実行可能なリーチ演出は、リーチ増加態様(リーチが増加する演出)が発生したとき、基準識別図柄と事後識別図柄の関係により当否判定結果が当たりとなる蓋然性が示唆されるという面白みのあるものである。
【0050】
・手段2
前記リーチ増加態様として、前記所定の順に基づき前記基準識別図柄が前記事後識別図柄の一つ後である第一態様と、前記所定の順に基づき前記基準識別図柄が前記事後識別図柄の一つ前である第二態様が発生しうるものであり、前記第一態様が発生した場合と、前記第二態様が発生した場合とでは、当否判定結果が当たりとなる蓋然性が異なることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このようにすることで、上記所定の順に基づき、事後識別図柄が基準識別図柄に対して一つ進むか、一つ後退するかに応じ、当否判定結果が当たりとなる蓋然性が異なるという分かりやすい演出とすることが可能である。
【0051】
・手段3
前記リーチ増加態様が発生する条件として、所定の領域に遊技球が進入することが設定されていることを特徴とする手段1または手段2に記載の遊技機。
このようにすることで、リーチ増加態様を発生させたいと考える遊技者は遊技球を発射させることになるため、遊技の促進に資することになる。
【0052】
・手段4
前記リーチ増加態様が発生する条件として、所定の領域に遊技球が進入した時点から、所定時間経過するよりも前に、当該所定の領域にさらに遊技球が進入することが設定されていることを特徴とする手段1または手段2に記載の遊技機。
このようにすることで、リーチ増加態様を発生させたいと考える遊技者は継続的に遊技球を発射させ続けなければならないことになるため、より遊技の促進に資することになる。
【符号の説明】
【0053】
1 遊技機
50 一般入賞領域
80 識別図柄
80a 基準識別図柄
80b 事後識別図柄
91 表示装置
911 表示領域
図1
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