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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230106BHJP
【FI】
A63F7/02 320
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020059423
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021154031
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2021-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪田 倫也
(72)【発明者】
【氏名】續木 清貴
(72)【発明者】
【氏名】市原 卓人
(72)【発明者】
【氏名】安藤 康晃
【審査官】橘 皇徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-191810(JP,A)
【文献】特開2017-000663(JP,A)
【文献】特開2014-155676(JP,A)
【文献】特開2012-249896(JP,A)
【文献】特開2020-044221(JP,A)
【文献】特開2008-173189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
始動領域に遊技球が進入することを契機として取得される当否抽選情報に基づいて当否抽選を実行する当否抽選手段と、
複数種の識別図柄が変動表示された上で、当否抽選結果に応じた態様で停止するまでの報知演出を実行する報知演出実行手段と、
前記報知演出にて当否抽選結果が当たりとなったことが報知されたときに当たり遊技実行する当たり遊技実行手段と、
前記当否抽選情報のうち、未だ対応する当否抽選結果についての前記報知演出が開始されていないものを保留情報として記憶する記憶手段と、
を備える遊技機であって、
前記当たり遊技が開始された時点において前記記憶手段に前記保留情報が記憶されている場合、当該当たり遊技が終了した後、当該保留情報に対応する対象当否抽選結果を報知する前記報知演出である対象報知演出が実行され、
前記対象報知演出にて実行される特定演出は、演出画像が表示装置に表示されるものであり、
前記演出画像は、前記当たり遊技の途中から継続的に表示され続けることを特徴とする遊技機。
ただし、前記対象当否抽選結果は、はずれとなる可能性があるものとする。
【請求項2】
前記演出画像は、前記対象当否抽選結果が当たりとなる蓋然性を示唆するものであることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記特定演出は、遊技者側キャラクタと敵キャラクタが戦うバトル演出であり、
前記演出画像は、前記対象当否抽選結果が当たりとなる蓋然性を示唆する、前記特定演出にて表示される前記遊技者側キャラクタおよび前記敵キャラクタの少なくとも一方であることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記演出画像は、前記対象当否抽選結果が当たりとなる蓋然性を数的または量的に示唆する数的・量的期待度表示であることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項5】
前記演出画像は、前記対象当否抽選結果が当たりとなる蓋然性に関係がない画像であることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項6】
前記特定演出は、遊技者側キャラクタと敵キャラクタが戦うバトル演出であり、
前記演出画像は、前記対象当否抽選結果が当たりとなる蓋然性に関係がない、前記特定演出にて表示される前記遊技者側キャラクタおよび前記敵キャラクタの少なくとも一方であることを特徴とする請求項5に記載の遊技機。
【請求項7】
前記特定演出では、前記対象当否抽選結果が当たりとなる蓋然性を数的または量的に示唆する数的・量的期待度表示が表示され、
前記演出画像は、前記数的・量的期待度表示の限界を示す目安画像であることを特徴とする請求項6に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、大当たり遊技のエンディングを利用して遊技の興趣向上を図った遊技機が開示されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-150715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、遊技の進行を円滑にすることが可能な遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、当否抽選結果が当たりとなったときに当たり遊技が実行される遊技機であって、前記当たり遊技が終了した後の対象当否抽選結果を報知する対象報知演出にて実行される特定演出は、一または複数の演出画像が表示装置に表示されるものであり、前記演出画像は、前記当たり遊技の途中から継続的に表示され続けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機は、遊技の進行を円滑にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる遊技機の正面図である。
図2】表示領域に表示された識別図柄および保留図柄を示した図である。
図3】大当たり遊技から特定演出(対象報知演出)に至る流れを説明するためのタイムチャートである。
図4】大当たり遊技から特定演出(対象報知演出)に至る流れの一例を示した図である。
図5図4の続きである。
図6】第三具体例を説明するための図である。
図7】第四具体例を説明するための図である。
図8】第五具体例を説明するための図である。
図9】第五具体例の別例を説明するための図(その一)である。
図10】第五具体例の別例を説明するための図(その二)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。なお、以下の説明において画像というときは、静止画だけでなく、動画を含むものとする。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、表示装置91、始動領域904、大入賞領域906、アウト口などが設けられている。表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な部分である。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0011】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動領域904や大入賞領域906等の入賞領域に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0012】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否抽選手段が始動領域904への遊技球の入賞を契機として実行する。本実施形態では、始動領域904として、第一始動領域904a(いわゆる「特図1」の始動領域)と第二始動領域904b(いわゆる「特図2」の始動領域)が設けられている。始動領域904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否抽選情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否抽選結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、未だ当否抽選結果の報知が完了していない当否抽選情報が存在する場合には、新たに取得された当否抽選情報は保留情報として図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。記憶手段に保留情報が記憶されていることは、保留図柄10として表示される。つまり、保留図柄10は、対応する当否抽選結果の報知が完了していない当否抽選情報の存在を示す。
【0014】
本実施形態では、保留図柄10として、当否抽選結果を報知する報知演出(識別図柄20(識別図柄群20g)の変動開始から、当否抽選結果を示す組み合わせで完全に停止するまでの演出、いわゆる一変動中分の演出をいう)は開始されているものの、当否抽選結果の報知は完了していない当否抽選情報(以下、変動中保留情報と称することもある)に対応する変動中保留図柄11(いわゆる「当該変動保留」の存在を示す図柄)と、当否抽選結果を報知する報知演出が開始されていない当否抽選情報(以下、変動前保留情報と称することもある)に対応する変動前保留図柄12が表示される(図2参照)。本実施形態では、変動中保留図柄11と変動前保留図柄12の基本的な形態は同じである。変動中保留図柄11と変動前保留図柄12の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。また、変動中保留図柄11が表示されない構成としてもよい。なお、変動前保留図柄12に対応する当否抽選結果の報知が完了する順番(いわゆる保留「消化順」)は、右に位置するものほど早い。
【0015】
変動前保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、第一始動領域904aに入賞することによって得られる第一変動前保留情報(特図1保留)の最大の記憶数は四つであり、第二始動領域904bに入賞することによって得られる第二変動前保留情報(特図2保留)の最大の記憶数は四つである。したがって、特図1および特図2の一方に相当する保留図柄10に関していえば、一つの変動中保留図柄11と、最大四つの変動前保留図柄12が表示されることがある(図2参照)。
【0016】
本実施形態では、記憶手段に第一変動前保留情報(特図1保留)と第二変動前保留情報(特図2保留)の両方が記憶されているときには、第二変動前保留情報に対応する当否抽選結果の報知が優先的に実行される(「特図2保留優先消化」である)。
【0017】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄20(図2参照)の組み合わせによって当否抽選結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄20を含む識別図柄群20g(左識別図柄群20gL、中識別図柄群20gC、右識別図柄群20gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群20gから一の識別図柄20が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群20gから選択されて停止した識別図柄20の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄20の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。識別図柄20は、数字とキャラクタ等が組み合わされたものとしてもよい。
【0018】
本実施形態では、遊技状態として、通常遊技状態と特別遊技状態が設定されている。特別遊技状態は、通常遊技状態に比して遊技者に有利な遊技状態である。通常遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しにくい低ベース状態(低確率・時短無)である。特別遊技状態としては、第一特別遊技状態と第二特別遊技状態が設定されている。第一特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が高い高確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(高確率・時短有)である。第二特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(低確率・時短有)である。通常遊技状態においては、遊技者は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「左打ち」を行う。特別遊技状態は、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、いわゆる「右打ち」を行う。特別遊技状態は、普通始動領域905に遊技球が進入することを契機とした第二始動領域904bの開放抽選に当選しやすい状態であるため、比較的容易に第二始動領域904bに遊技球が入賞する。
【0019】
当否抽選結果が大当たりとなった場合、大当たり遊技が実行される。大当たり遊技は、開放部および結末部を含む。開放部は、一または複数の単位遊技(ラウンド遊技)から構成される(図3図4(a)参照)。各単位遊技は、所定の終了条件成立まで大入賞領域906が開放されるものである。所定個数の遊技球が大入賞領域906に入賞したこと、および大入賞領域906が開放されてから所定時間経過したことが終了条件として設定されている。単位遊技の数(ラウンド数)は大当たりの種類によって異なる。
【0020】
開放部が終了した後、結末部に移行する(図3図4(b)参照)。結末部は、大当たり遊技のエンディング部分であるということもでき、表示領域911に所定の画像が出力される。大当たりの種類に応じた結末部(複数種の結末部)が設定されていてもよいが、以下の説明における結末部は、大当たり遊技の終了後に特定演出(詳細は後述)が実行される場合のものをいう。
【0021】
当該結末部では、表示装置91の表示領域911に演出画像50が表示される(図3図4(b)参照)。本実施形態における演出画像50は、予め設定された複数種の「敵キャラクタ」(詳細は後述)のうちのいずれかである。当該演出画像50は、結末部の当初または途中から表示され、結末部が終了するまで、すなわち大当たり遊技が終了するまで表示され続ける。
【0022】
大当たり遊技終了後、特定演出が実行されることがある。本実施形態では、大当たり遊技終了後の遊技状態が第一特別遊技状態(高確率状態)となる場合に特定演出が実行されることがある。本実施形態では、第一特別遊技状態の大当たり確率は約1/5である。つまり、大当たり遊技終了後に最初に報知される当否抽選結果(以下、対象当否抽選結果と称することもある)が大当たりとなる蓋然性はそれなりに高い(遊技者が期待できる程度の現実的な確率で大当たり当選となりうる)。特定演出は、対象当否抽選結果を報知する対象報知演出(大当たり遊技終了後の最初の変動(一回転目))にて実行される。
【0023】
なお、本実施形態にて特定演出が実行されるのは、大当たり遊技が開始された時点(大当たり遊技実行中)にて、既に対象当否抽選結果に対応する当否抽選情報(保留情報)が取得されている場合である。つまり、対象報知演出が開始されるよりも前、すなわち大当たり遊技中に当否抽選情報を「先読み」することで、対象当否抽選結果が大当たりか否かが判別できる場合である。特別遊技状態(第一特別遊技状態または第二特別遊技状態)は「高ベース」状態であり、当否抽選情報(保留情報)を取得しやすい状態であるから、大当たりに当選した時点で対象当否抽選結果に対応する当否抽選情報(大当たりとなった当否抽選情報の次の当否抽選情報である第二変動前保留情報(優先消化される保留))が取得されている蓋然性が高い。また、本実施形態では、対象報知演出において保留図柄10は表示されない。ただし、保留図柄10が表示されるようにすることを否定するわけではない。
【0024】
特定演出は、いわゆるバトル演出である。味方キャラクタ(遊技者側キャラクタ)と敵キャラクタが戦い、対象当否抽選結果が大当たりである場合には味方キャラクタが勝利する勝利結末(一旦敗北したと見せかけて逆転(復活)するような場合を含む)に至り、はずれである場合には味方キャラクタが敗北する(敵キャラクタが勝利する)敗北結末に至る。特定演出に登場する敵キャラクタとして複数種のキャラクタが設定されており、当該敵キャラクタの種類により、勝利結末に至る蓋然性が異なる。「勝利結末に至る=対象当否抽選結果が大当たり」という設定であるから、敵キャラクタの種類は、対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性(以下、「(大当たり)期待度」と称する)を示唆するものであるといえる。
【0025】
本実施形態では、敵キャラクタA、敵キャラクタB、敵キャラクタCの候補キャラクタが設けられている。選択された場合に勝利結末に至る蓋然性は、敵キャラクタA、敵キャラクタB、敵キャラクタCの順で高くなる(敵キャラクタCが勝利結末に至る蓋然性が最も高い。すなわち敵キャラクCが最も「弱い」設定である)(図4(b)参照)。当該敵キャラクタと合わせて勝利確率の高低を示す画像が表示されるようにしてもよい。例えば、敵キャラクタAについては「強」、敵キャラクタBについては「中」、敵キャラクタCについては「弱」といった文字が一緒に表示されるようにしてもよい。これにより、遊技者は勝利(大当たり)に至る確率のおおよその目安を把握することができる。このような画像を表示せず、敵キャラクタの「強さ」を遊技者に予測させる、雑誌等から情報を得ることで期待度の高低を知ることができる、といった設定としてもよい。なお、本実施形態では、いずれの敵キャラクタが登場した場合であっても勝利結末に至る可能性もあるし、敗北結末に至る可能性もある。つまり、敵キャラクタが示されることは、大当たりやはずれが確定したことを報知するものではない。ただし、大当たりやはずれが確定する敵キャラクタが設定された構成とすることを否定するわけではない。
【0026】
大当たり遊技の結末部では、対象当否抽選結果を踏まえて(「先読み」して)、演出画像50としての敵キャラクタ(敵キャラクタA~Cのいずれか)が表示される(図3図4(b)参照)。当該敵キャラクタはそのまま表示され続ける。具体的には、対象報知演出を構成する特定演出の冒頭部分まで表示され続ける(図3図4(c)参照)。換言すれば、大当たり遊技の終了時点(=対象報知演出の開始時点)を跨いで演出画像50が表示され続けるということである。別の見方をすれば、大当たり遊技の結末部が、対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性に応じて変化するものであるともいえる。なお、ここでいう「演出画像が表示され続ける」とは、演出画像50の表示が開始されてから演出画像50の態様が全く変化しないことを要するものではない。同じ対象(本実施形態では、同じ種類の敵キャラクタ)を表しているものと遊技者が判断できる程度の態様の変化、表示位置の変化等(同一視できる範囲での変化等)は許容されるものとする。
【0027】
このように、演出画像50である敵キャラクタは特定演出の冒頭部分まで表示され続け(図3図4(c)参照)、その後当該敵キャラクタ(敵キャラクタA~Cのいずれか)と味方キャラクタが戦う「バトル」が展開される(図3図5(a)参照)。対象当否抽選結果が大当たりである場合には勝利結末に、はずれである場合には敗北結末に至る(図3図5(b-1)(b-2)参照)。
【0028】
このように、本実施形態にかかる遊技機1では、特定演出にて表示される演出画像50が大当たり遊技の途中から途切れることなく継続的に表示され続ける。対象報知演出にて実行される特定演出の理解を助けるための演出が大当たり遊技の一部を利用して実行されるから、遊技の進行を円滑なものとすることができる。本実施形態に即して言えば、本来であれば特定演出の開始後に示されればよい敵キャラクタが、大当たり遊技にて前もって示されるから、特定演出にて敵キャラクタを示すための時間を短くすることができ、遊技がスピーディなものとなる。
【0029】
また、本実施形態における演出画像50(敵キャラクタ)は、対象当否抽選結果の大当たり期待度を示唆するものであり、当該示唆は遊技者に把握される必要がある(当該示唆を遊技者が把握できないと、遊技の面白みが低下する)。大当たり遊技中から演出画像50を表示しておくことで、特定演出における期待度示唆の表示時間が短くなっても、当該示唆が遊技者に把握されないといった状況を招くおそれが低減される。
【0030】
なお、本実施形態では、演出画像50(大当たり期待度を示唆する画像)として敵キャラクタが表示されることを説明したが、味方キャラクタが表示されるものとしてもよい。具体的には、表示されたときの大当たり期待度が異なる複数種の味方キャラクタが設定され、特定演出では当該複数種の味方キャラクタのうちのいずれかが表示されるものとする。特定演出にて表示される味方キャラクタが、演出画像50として大当たり遊技の途中から継続的に表示され続けるものとする。また、味方キャラクタおよび敵キャラクタのいずれもが大当たり期待度を示唆する特定演出とし、味方キャラクタおよび敵キャラクタの両方が演出画像50として大当たり遊技の途中から継続的に表示され続けるものとしてもよい。
【0031】
特定演出がバトル演出であるのはあくまで一例である。対象当否抽選結果が大当たりである場合には遊技者に有利な結末に至り、はずれである場合には遊技者に不利な結末に至る演出であればよい。
【0032】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0033】
〇第一具体例
上記実施形態における演出画像50(敵キャラクタ)は、大当たり遊技終了後に最初に報知される当否抽選結果を示唆するものであること、すなわち「一変動分」の当否抽選結果を示唆するものであることを説明したが、「複数変動分」の当否抽選結果を示唆するものとしてもよい。例えば、大当たり遊技が開始されている時点で記憶手段に記憶されている複数の変動前保留情報の中に大当たりとなるものが含まれているか否かに応じ、表示される演出画像50が決定されるものとする。上記実施形態に即して言えば、敵キャラクタA、敵キャラクタB、敵キャラクタCの順で、表示されたときに「複数の保留」の中に大当たりとなるものが含まれている蓋然性が高くなる(敵キャラクタCが最も高い)構成とする。
【0034】
演出画像50の示唆対象となる変動前保留情報の数(複数)は適宜設定することができる。ただし、演出画像50による大当たり期待度示唆は、記憶手段に記憶されている変動前保留情報(当否抽選情報)に基づき当否抽選結果を「先読み」することによりなされるものであるから、演出画像50の示唆対象となる変動前保留情報の数は、記憶手段に記憶可能な変動前保留情報の数が限度となる。また、第一変動前保留情報および第二変動前保留情報の一方が優先して消化される場合には、優先消化される方の変動前保留情報についての最大の記憶数を限度とするとよい。例えば、上記実施形態のように、第二変動前保留情報が優先消化される(特図2保留優先消化である)設定である場合には、新たな第二変動前保留情報が取得される限りにおいて第一変動前保留情報に対応する当否抽選結果の報知(特図1保留の消化)がなされないのであるから、演出画像50の示唆対象となる変動前保留情報の数は、「第二変動前保留情報の最大の記憶数(上記実施形態では四つ)」を限度とするとよい。
【0035】
〇第二具体例
上記実施形態では、大当たり遊技の結末部にて演出画像50の表示が開始されることを説明したが、大当たり遊技の開放部にて演出画像50の表示が開始されるようにしてもよい。例えば、予め決められた所定の単位遊技(○ラウンド目)に、演出画像50の表示が開始されるようにすることで、注目すべきタイミングが分かりやすくなるという利点がある。
【0036】
ただし、開放部は、一般的に各単位遊技の進行(ラウンドの進行)に応じて表示する画像が変化するようにされるから、上記実施形態のように、開放部が終了した後(最終ラウンドが終了した後)、演出画像50が表示されるようにした方が表示領域911に表示される画像の制御が容易であるという利点がある。
【0037】
〇第三具体例
対象当否抽選結果の大当たり期待度を示唆する演出画像50(特定演出に表示される画像)として、大当たり期待度を数的・量的に示す数的・量的期待度表示60が表示されるものとする。当該期待度表示としては種々考えられる。所定のマーク(例えば「星」のマーク)の数により大当たり期待度を示唆する態様、「数字」そのものにより大当たり期待度を示唆する態様、メータの大きさにより期待度を示唆する態様等が考えられる。つまり、視覚的に(感覚的に)大当たり期待度の大小を遊技者が把握できるような表示である。
【0038】
このような数的・量的期待度表示60が大当たり遊技の途中から継続的に表示され続けるようにする(図6参照)ことで、特定演出にて数的・量的期待度表示60を表示する時間を短くすることができる(当該時間を短くしても遊技者は容易に期待度を把握することができる)。
【0039】
なお、上記実施形態にて説明したようなバトル演出にて表示される味方キャラクタや敵キャラクタとともに、本例のような数的・量的期待度表示60が表示されるようにしてもよい。このようにすることで当該期待度表示が味方キャラクタや敵キャラクタの「強さ」(弱さ)を表すものであると遊技者に認識される。
【0040】
〇第四具体例
演出画像50が対象当否抽選結果の大当たり期待度を示唆するものではない設定としてもよい。つまり、演出画像50の種類、態様等と、大当たり期待度が関係ない設定とする。上記実施形態にて説明した敵キャラクタ(敵キャラクタA~C)を例に、かかる点について説明する。特定演出(バトル演出)において、複数種の候補キャラクタ(敵キャラクタA~C)のうちのいずれかが味方キャラクタと戦う敵キャラクタとして選択されることは同じである。大当たり遊技中に、敵キャラクタA~Cのうちのいずれか一つが表示され、それが特定演出まで継続的に表示され続ける。ただし、演出画像50としていずれの敵キャラクタが選択されるのかは、対象当否抽選結果に関係なくランダムに決定される。なお、各敵キャラクタが選択される確率は同じであってもよいし、差があってもよい。例えば、敵キャラクタA、敵キャラクタB、敵キャラクタCの順で選択される確率が高くなる、という設定であってもよいが、いずれの敵キャラクタが選択された場合であっても、対象当否抽選結果の大当たり期待度は変わらない(図7(特に図7(b))参照)。
【0041】
このようにすれば、対象当否抽選結果に関係なく、大当たり遊技中に演出画像50を表示することができる。すなわち、上記実施形態のように、大当たり遊技中に記憶手段に記憶されている当否抽選情報を「先読み」する必要はない。また、当否抽選結果を示唆しないのであるから、記憶手段に記憶されている当否抽選情報が存在しない(存在しないことが起こりうる)構成であっても大当たり遊技中に演出画像50を表示させることができる。また、演出画像50(敵キャラクタ)が変化するため、遊技者には演出画像50が対象当否抽選結果を示唆しているように見える可能性がある。
【0042】
なお、特定演出にて表示される味方キャラクタに関し、本例のように制御される構成としてもよい。つまり、複数種の味方キャラクタのうちのいずれかが、対象当否抽選結果に関係なく、演出画像50として選択されるものとしてもよい。味方キャラクタおよび敵キャラクタのいずれもが、本例のように制御される構成としてもよい。
【0043】
〇第五具体例
上記第四具体例と同様に、演出画像50が対象当否抽選結果の大当たり期待度を示唆するものではない構成の一例である。特定演出においては、数的・量的期待度表示60が示されるものとする。例えば、表示される星マークの数により、大当たり期待度が示唆されるものとする。表示される星マーク(期待度マーク)の数の候補として「星一つ」「星二つ」「星三つ」が設定され、当該数が多いほど大当たり期待度が高い設定であるとする(図8(c)参照)。換言すれば、数的・量的期待度表示60により、大当たり期待度が複数段階(マークの数)で示唆される構成であるといえる。なお、「星一半」(星1.5)といったような期待度示唆がなされる場合があってもよい。すなわち、「星マークの数」の概念に小数が含まれる設定としてもよい(上記第三具体例にて説明した構成においても同じ)。
【0044】
このような構成を前提とし、数的・量的期待度表示60の限界を示す画像(以下、目安画像70と称する)として演出画像50が大当たり遊技の途中から特定演出まで継続的に表示され続けるものとする。具体的には、星マーク(期待度マーク)の外縁に沿う星型の画像が、期待度として表示されうる最大の数分(上記例の場合は「三つ」)表示される。概念的にいえば、期待度が示される前の段階から、「内部が空洞である」星の画像が三つ表示される(図8(b)参照)。
【0045】
大当たり遊技から特定演出にて期待度が表示されるまでの流れは以下のとおりである。大当たり遊技の途中から特定演出の途中までは、目安画像70として「内部が空洞である」星の画像が三つ表示された状態(初期状態)にある(図8(b)参照)。その後、特定演出にて、「内部が空洞である」星の内側が満たされるような変化が生じ、期待度が示唆された事後状態となる(図8(c)参照)。一つの星について当該変化が起こった場合には期待度は「星一つ」であり(図8(c1)参照)、二つの星について当該変化が起こった場合には期待度は「星二つ」であり(図8(c2)参照)、三つの星について当該変化が起こった場合には期待度は「星三つ」である(図8(c3)参照)。つまり、目安画像70として「内部が空洞である」三つの星の画像が表示された初期状態から、いくつかの「星の内部が満たされる」事後状態に移行することで期待度が示唆されるという演出の流れになる。遊技者にとってみれば、より多くの星について当該変化が起こることを願う演出の流れになる。
【0046】
このような一連の演出において、初期状態にて表示される「内部が空洞である」三つの星の画像(目安画像70)(図8(b)参照)は、期待度の限界(最大値)を示すものであるといえる。つまり、特定演出が開始されるよりも前の段階で、遊技者に対し大当たり期待度の目安となる表示がなされるから、遊技者は前もって大当たり期待度が表示されることに対する準備ができ、特定演出にて実際に期待度表示がなされたときの理解が容易になる。また、期待度の限界(最大値)は当否抽選結果に応じて変化するものではないから、大当たり遊技中に対象当否抽選結果を「先読み」する必要もない
【0047】
なお、数的・量的期待度表示60が、目安画像70によって示される限界(最大)値となった場合(上記例でいえば「星三つ」となった場合)には、対象当否抽選結果が大当たりとなることが確定する(期待度=100%である)設定としてもよい。
【0048】
上述した通り、数的・量的期待度表示60の別例として、「数字」そのものにより大当たり期待度を示唆する態様が考えられる。当該態様の例として、「分子」に期待度となる数値を示し、「分母」に限界を示すものが考えられる。つまり、「分子」の数字が数的・量的期待度表示60である。具体的には、例えば「X/100」と表示し、Xの値が大きいほど大当たり期待度が高く、Xの限界(最大)値は100であることが示されるものとする。この場合において、演出画像50(目安画像70)として「分母」の部分を含む画像(すなわち「 /100」を含む画像)が大当たり遊技の途中から継続的に表示され続ける構成とする(図9参照)。
【0049】
また、数的・量的期待度表示60の別例として、メータの大きさにより期待度を示唆する態様等が考えられる。メータは、外形となる部分(外形部)と、外形部内に充填されるかのように表示される部分(内容部)を含み、内容部の大きさにより大当たり期待度が示唆されるものとする。つまり、内容部が数的・量的期待度表示60である。この場合、外形部内の全てが内容部に満たされた状態が、数的・量的期待度表示60の限界(最大)となることは明らかである。この場合において、演出画像50(目安画像70)として外形部の画像が大当たり遊技の途中から継続的に表示され続ける構成とする(図10参照)。
【0050】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0051】
小当たり当選が、大当たり当選に繋がる遊技性(いわゆる「二種」の仕組みを有する遊技性)を備え、小当たり当選の有無を報知するにあたり上記実施形態にて説明した特定演出が実行される遊技機としてもよい。
【0052】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0053】
・手段1
当否抽選結果が当たりとなったときに当たり遊技が実行される遊技機であって、前記当たり遊技が終了した後の対象当否抽選結果を報知する対象報知演出にて実行される特定演出は、演出画像が表示装置に表示されるものであり、前記演出画像は、前記当たり遊技の途中から継続的に表示され続けることを特徴とする遊技機。
上記遊技機では、特定演出にて表示される演出画像が当たり遊技の途中から継続的に表示され続ける。対象報知演出にて実行される特定演出の理解を助けるための演出が当たり遊技の一部を利用して実行されるから、遊技の進行を円滑なものとすることができる。
【0054】
・手段2
前記演出画像は、前記対象当否抽選結果が当たりとなる蓋然性を示唆するものであることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
当たり遊技中から期待度を示唆する演出画像を表示しておくことで、特定演出における期待度示唆の時間を短くすることが可能である(当該時間を短くしても、期待度示唆が遊技者に把握されないといった状況を招くおそれは低い)。
【0055】
・手段3
前記特定演出は、遊技者側キャラクタと敵キャラクタが戦うバトル演出であり、前記演出画像は、前記対象当否抽選結果が当たりとなる蓋然性を示唆する、前記特定演出にて表示される前記遊技者側キャラクタおよび前記敵キャラクタの少なくとも一方であることを特徴とする手段2に記載の遊技機。
期待度を示唆する演出画像の一例として、バトル演出に登場するキャラクタを挙げることができる。
【0056】
・手段4
前記演出画像は、前記対象当否抽選結果が当たりとなる蓋然性を数的または量的に示唆する数的・量的期待度表示であることを特徴とする手段2に記載の遊技機。
期待度を示唆する演出画像の一例として、数的・量的期待度表示を挙げることができる。
【0057】
・手段5
前記演出画像は、前記対象当否抽選結果が当たりとなる蓋然性に関係がない画像であることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
演出画像は当たり期待度を示唆する画像でなくてもよい。このような構成としても、遊技者によっては、演出画像が当たり期待度を示唆しているのではないかと考える可能性もある。
【0058】
・手段6
前記特定演出は、遊技者側キャラクタと敵キャラクタが戦うバトル演出であり、前記演出画像は、前記対象当否抽選結果が当たりとなる蓋然性に関係がない、前記特定演出にて表示される前記遊技者側キャラクタおよび前記敵キャラクタの少なくとも一方であることを特徴とする手段5に記載の遊技機。
演出画像の一例として、バトル演出に登場するキャラクタを挙げることができる。
【0059】
・手段7
前記特定演出では、前記対象当否抽選結果が当たりとなる蓋然性を数的または量的に示唆する数的・量的期待度表示が表示され、前記演出画像は、前記数的・量的期待度表示の限界を示す目安画像であることを特徴とする手段6に記載の遊技機。
このようにすることで、演出画像(目安画像)により、遊技者は前もって期待度が表示されることに対する準備ができ、特定演出にて実際に期待度表示がなされたときの理解が容易になる。
【符号の説明】
【0060】
1 遊技機
10 保留図柄
20 識別図柄
50 演出画像
60 数的・量的期待度表示
70 目安画像
91 表示装置
911 表示領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10