(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】部材運搬工具
(51)【国際特許分類】
E01B 29/16 20060101AFI20230106BHJP
【FI】
E01B29/16
(21)【出願番号】P 2020069637
(22)【出願日】2020-04-08
【審査請求日】2021-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】391030125
【氏名又は名称】保線機器整備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】細川 誠二
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-135911(JP,U)
【文献】特開2017-036620(JP,A)
【文献】特開2019-011657(JP,A)
【文献】実開平05-054476(JP,U)
【文献】特開平07-206368(JP,A)
【文献】米国特許第04281868(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 29/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端には作業員が掴むハンドル部が設けられている一方、他端にはレールやマクラギ等の形状やサイズの異なる各種部材を挟持する挟持部が設けられた一対の挟持部材を、それぞれの前記ハンドル部と前記挟持部との間に設けた支点ネジ孔に支点ネジを通し、前記一対の挟持部材それぞれの挟持部で前記各種部材を挟持する部材運搬工具であって、
前記一対の挟持部材には、前記支点ネジ孔が複数設けられており、
前記支点ネジは、前記一対の挟持部材の複数の前記支点ネジ孔のいずれかに装着して、前記挟持部間の間隔を変更可能に構成し
、
前記一対の挟持部材では、それぞれ、前記ハンドル部と前記挟持部との間に、
複数の前記支点ネジ孔を複数個ずつ複数段で、かつ、各段毎に斜め上方にズラして設けることにより前記挟持部による挟持幅や高さを調整可能な挟持幅・高さ調整部を設けたことを特徴とする部材運搬工具。
【請求項2】
請求項1記載の部材運搬工具において、
前記一対の挟持部材の挟持部先端には、ほぼL字形状の爪部が着脱可能に装着されることを特徴とする部材運搬工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一端には作業員が掴むハンドル部が設けられている一方、他端にはレールやマクラギ等の形状やサイズの異なる各種部材を挟持する挟持部が設けられた一対の挟持部材で各種部材を挟持して運搬する部材運搬工具に関する。
【背景技術】
【0002】
レールやマクラギ等の各種線路部材を掴んで運搬する部材運搬工具として、例えば、レール運搬工具や枕木キャッチ、枕木運搬キャッチ等の専用工具やハンドルや車輪が設けられているフレーム部を有する鉄道レール用移動器具(例えば、特許文献1参照。)等が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のレール運搬工具や枕木キャッチ、枕木運搬キャッチ等の専用工具、さらには上記特許文献1の鉄道レール用移動器具は、レールまたはマクラギ専用の運搬工具であるため、運搬対象以外のものを掴んで運搬することはできないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、サイズの異なる各種部材でも確実に掴んで搬送することができる部材運搬工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る部材運搬工具は、一端には作業員が掴むハンドル部が設けられている一方、他端にはレールやマクラギ等の形状やサイズの異なる各種部材を挟持する挟持部が設けられた一対の挟持部材を、それぞれの前記ハンドル部と前記挟持部との間に設けた支点ネジ孔に支点ネジを通し、前記一対の挟持部材それぞれの挟持部で前記各種部材を挟持する部材運搬工具であって、前記一対の挟持部材には、前記支点ネジ孔が複数設けられており、前記支点ネジは、前記一対の挟持部材の複数の前記支点ネジ孔のいずれかに装着して、前記挟持部間の間隔を変更可能に構成し、前記一対の挟持部材では、それぞれ、前記ハンドル部と前記挟持部との間に、複数の前記支点ネジ孔を複数個ずつ複数段で、かつ、各段毎に斜め上方にズラして設けることにより前記挟持部による挟持幅や高さを調整可能な挟持幅・高さ調整部を設けたことを特徴とする。
また、本発明に係る部材運搬工具では、前記一対の挟持部材の挟持部先端には、ほぼL字形状の爪部が着脱可能に装着されることも特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る部材運搬工具は、一対の挟持部材には支点ネジ孔が複数設けられており、支点ネジが一対の挟持部材の複数の支点ネジ孔のいずれかに着脱可能に装着して、挟持部間の間隔を変更可能に構成している。
そのため、本発明に係る部材運搬工具によれば、支点ネジを一対の挟持部材の複数の支点ネジ孔のいずれかに装着して挟持部間の間隔を変更することにより、サイズの異なる各種部材でも確実に掴んで搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る実施形態の部材運搬工具によりレールを挟持した状態を示す正面図である。
【
図2】(a).(b)それぞれ本発明に係る実施形態の部材運搬工具の構成部品を示す平面図、爪部の取付状態を示す部分拡大斜視図である。
【
図3】(a).(b)それぞれ本発明に係る実施形態の部材運搬工具を構成する挟持部材の正面図、左側面図である。
【
図4】(a).(b)それぞれ本発明に係る実施形態の部材運搬工具を構成する第1爪部の正面図、右側面図である。
【
図5】(a).(b)それぞれ本発明に係る実施形態の部材運搬工具を構成する第2爪部の正面図、右側面図である。
【
図6】(a).(b)それぞれ本発明に係る実施形態の部材運搬工具を構成する第3爪部の正面図、右側面図である。
【
図7】(a).(b)それぞれ本発明に係る実施形態の部材運搬工具を構成する第4爪部の正面図、右側面図である。
【
図8】(a).(b)第1爪部を装着した本発明に係る実施形態の部材運搬工具によって専用(特殊)形状の脱線防止ガイドレールを挟持するため挟持部を開いた状態、挟持部を閉じて専用(特殊)形状の脱線防止ガイドレールを挟持した状態を示す図である。
【
図9】第2爪部を装着した本発明に係る実施形態の部材運搬工具によって通常サイズのマクラギMを挟持した状態を示す図である。
【
図10】第3爪部を装着した本発明に係る実施形態の部材運搬工具によって大判仕様のマクラギMを挟持した状態を示す図である。
【
図11】第1爪部と代4爪部を装着した本発明に係る実施形態の部材運搬工具によってアングル形状の脱線防止ガイドレールR” を挟持した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態の部材運搬工具1について図面を参照しながら具体的に説明する。尚、下記に説明する実施形態は、形状や寸法なども含めあくまで本発明の一例であり、本発明に係る実施形態の部材運搬工具1は、本発明の技術的思想の範囲内で適宜変更可能である。
【0010】
<実施形態の部材運搬工具1の構成>
本発明に係る実施形態に係る部材運搬工具1は、
図1に示すようにレールRやマクラギM等のサイズの異なる各種線路部材を掴んで運搬する工具で、
図1および
図2等に示すように2つの挟持体11,11と、その2つの挟持体11,11を回動可能に連結する蝶ネジ12aおよび蝶ナット12bと、ワッシャ13と、各種形状および大きさの第1爪部14a~第4爪部14dと、第1爪部14a~第4爪部14dを挟持体11,11に取付けるためのボルト15aおよびナット15b等を備えている。
【0011】
(挟持体11)
挟持体11,11は、
図1~
図3に示すように、それぞれ、一端には作業員が掴むハンドル部11aが設けられている一方、他端にはレールRやマクラギM等の各種部材を挟持する挟持部11bが設けられた部材で、ハンドル部11aと挟持部11bとの間には、支点ネジである蝶ネジ12aの軸部を通す複数の支点ネジ孔11c1が後述するように4個または6個の複数個ずつ4段で、かつ、各段毎に斜め上方にズラして設けることにより挟持幅や高さを調整可能な挟持幅・高さ調整部11cを設けている。尚、挟持体11,11は、
図3(a)に示すように、例えば、高さが427.85mmで、幅が675.21mmである。
【0012】
ハンドル部11aは、
図3(a),(b)等に示すように作業員が掴み易いように直径が例えば34mmの円筒形のパイプまたは棒鋼等を使用している。
【0013】
挟持部11bは、レールRやマクラギM等の各種線路部材に内側が当接して挟持する部位で、
図3(a),(b)等に示すように挟持幅・高さ調整部11cと一体で鋼板等から構成されており、挟持幅・高さ調整部11cの下端部からハンドル部
11aの長手方向とは直交する方向に延びて形成されており、先端部には第1爪部14a~第4爪部14dを着脱可能に交換するため2つの通し孔11b1,11b1が設けられている。尚、挟持部11bおよび挟持幅・高さ調整部11cの板幅Wは、例えば、9mmとしている。
【0014】
挟持幅・高さ調整部11cは、上述したように挟持部11bと一体で設けられ、挟持部11bからハンドル部11aまで斜めに上昇するような形状に設けられた部材で、複数(この例では、例えば、22個とする。)の支点ネジ孔11c1が設けられている。
【0015】
複数の支点ネジ孔11c1は、
図3(a)に示すように、挟持幅・高さ調整部11cに4段で設けられている。つまり、本実施形態の場合、最下段である1段目が4個、下から2段目および4段目が6個ずつ支点ネジ孔11c1を設けて掴んで搬送すべき対象であるレールRやマクラギM等の各種線路部材の大きさである幅および高さを調整できるように構成している。
【0016】
1段目および4段目までの各段の複数の支点ネジ孔11c1は、全て上下方向で左右方向の孔の位置が一致しないように斜め上方にズラしながら配置している。つまり、最下段の4個の支点ネジ孔11c1は、
図3(a)に示すように挟持幅・高さ調整部11cの左端部から例えば22.5mmの位置に設けた左端の支点ネジ孔11c1から20mmの一定間隔で設けている。また、下から2段目の6個の点ネジ孔11c1は、
図3(a)に示すように最下段の4個の支点ネジ孔11c1から40mm程上方で、挟持幅・高さ調整部11cの左端部から例えば39.66mmの位置に設けた左端の支点ネジ孔11c1から20mmの一定間隔で設けている。上から2段目の6個の点ネジ孔11c1は、
図3(a)に示すように下から2段目の6個の支点ネジ孔11c1から40mm程上方で、挟持幅・高さ調整部11cの左端部から例えば84.66mmの位置に設けた左端の支点ネジ孔11c1から20mmの一定間隔で設け、最上段の6個の点ネジ孔11c1は、上から2段目の6個の支点ネジ孔11c1から40mm程上方で、挟持幅・高さ調整部11cの左端部から例えば134.66mmの位置に設けた左端の支点ネジ孔11c1から20mmの一定間隔で設ける。
【0017】
(蝶ネジ12aおよび蝶ナット12b)
蝶ネジ12aおよび蝶ナット12bは、周知のもので、後述するように2つの挟持体11,11それぞれの挟持幅・高さ調整部11cの複数の支点ネジ孔11c1の内、掴んで搬送すべき対象であるレールRやマクラギM等の各種線路部材の大きさである幅および高さに基づいてずれか一つを選択して支点ネジとして機能する蝶ネジ12aを挿入し蝶ナット12bで締結し、2つの挟持体11,11で各種部材を挟持可能にするものである。
【0018】
(第1爪部14a~第4爪部14d)
第1爪部14a~第4爪部14dは、掴んで搬送すべき対象であるレールRやマクラギM等の各種線路部材の大きさである幅および高さに応じて用意したもので、
図3や
図2(b)等に示すように挟持体11の挟持部11b先端部の通し孔11b1,11b1にボルト15aを通して反対側からナット15bで締結して挟持部11b先端部を両側から挟むように取付けて使用するものである。本実施形態では、例えば、
図4~
図7に示すように4種類の第1爪部14a~第4爪部14dを用意している、
【0019】
図4(a),(b)に示す第1爪部14aは、2枚の爪部本体14a1,14a1間を挟持部11bおよび挟持幅・高さ調整部11cの幅W(=9mm)と同じ幅Wの連結板14a2で間を開け溶接等で接合したもので、
図1に示すように通常の鉄道のレールRや、後述する
図10に示すように脱線防止ガードレールR’等を掴む際に使用する爪部である。尚、2枚の爪部本体14a1,14a1には、挟持体11の挟持部11b先端部の通し孔11b1,11b1と同様に通し孔14a11,14a11が設けられている。
【0020】
図5(a),(b)に示す第2爪部14bは、2枚の爪部本体14b1,14b1間に挟持部11bおよび挟持幅・高さ調整部11cの幅W(=9mm)と同じ間隔Wが空くように先端部に大型の突起板14b2を溶接等で接合したもので、後述する
図8に示すように通常サイズのマクラギM等を掴む際に使用する爪部である。尚、2枚の爪部本体14b1,14b1には、挟持体11の挟持部11b先端部の通し孔11b1,11b1と同様に通し孔14b11,14b11が設けられている。
【0021】
図6(a),(b)に示す第3爪部14cは、2枚の爪部本体14c1,14c1間に挟持部11bおよび挟持幅・高さ調整部11cの幅W(=9mm)と同じ間隔Wが空くように先端部に大型の突起板14c2を溶接等で接合したもので、後述する
図9に示すように大型のマクラギM’等を掴む際に使用する爪部である。尚、2枚の爪部本体14c1,14c1には、挟持体11の挟持部11b先端部の通し孔11b1,11b1と同様に通し孔14c11,14c11が設けられている。
【0022】
図7(a),(b)に示す爪部14dは、2枚の爪部本体14d1,14d1間に挟持部11bおよび挟持幅・高さ調整部11cの幅W(=9mm)と同じ間隔Wが空くように先端部に大型の突起板14d2を溶接等で接合したもので、後述する
図10に示すようにアングル形状の脱線防止ガードレールR”を掴む際に使用する爪部である。尚、2枚の爪部本体14d1,14d1には、挟持体11の挟持部11b先端部の通し孔11b1,11b1と同様に通し孔14d11,14d11が設けられている。
【0023】
<実施形態の部材運搬工具1の使用方法>
次に、以上のように構成された実施形態の部材運搬工具1の使用方法について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
(専用(特殊)形状の脱線防止ガイドレールR’を挟持して搬送する場合)
例えば、専用(特殊)形状の脱線防止ガイドレールR’を挟持して搬送する場合は、まず、
図8(a)に示すように、挟持体11の挟持部11b先端部の通し孔11b1,11b1を介して
図4(a),(b)に示す第1爪部14a,14aを装着すると共に、挟持体11,11それぞれの挟持幅・高さ調整部11c,11cの下から2段目の6つの支点ネジ孔11c1のいずれかに支点ネジである蝶ネジ12aの軸部を通し、反対側から蝶ナット12bで締結して使用する。尚、
図8では、下から2段目の6つの支点ネジ孔11c1の内、ハンドル部11a側から3個目の支点ネジ孔11c1に蝶ネジ12aを通している。
【0025】
そして、
図8(a)に示すように一対の挟持体11,11のハンドル部11a,11a側をそれぞれ下げ、挟持部11b,11b間を拡げて脱線防止ガイドレールR’の両側に移動した後、ハンドル部11a,11a側をそれぞれ上げて、挟持部11b,11b間を狭め、
図8(b)に示すように挟持体11,11下部の挟持部11b,11bで搬送すべき専用(特殊)形状の脱線防止ガイドレールR’を挟むと共に、脱線防止ガイドレールR’の下部両側をそれぞれ第1爪部14a,14aの突起板14a2,14a2で支持して、挟持体11,11上部のハンドル部11a,11aそれぞれ別の作業員が掴んで搬送する。
【0026】
(通常のレールRを挟持して搬送する場合)
尚、
図1に示すように通常のレールRを挟持して搬送する場合も同様であり、挟持体11の挟持部11b先端部の通し孔11b1,11b1を介して
図4(a),(b)に示す第1爪部14a,14aを装着すると共に、挟持体11,11それぞれの挟持幅・高さ調整部11c,11cの最下段の支点ネジ孔11c1に支点ネジである蝶ネジ12aの軸部を通し、反対側から蝶ナット12bで締結して使用する。尚、
図1では、最下段の4つの支点ネジ孔11c1の内、ハンドル部11a側から2個目の支点ネジ孔11c1に蝶ネジ12aを通している。
【0027】
そして、
図8(a)に示すように一対の挟持体11,11のハンドル部11a,11a側をそれぞれ下げて挟持部11b,11b間を拡げた後、挟持部11b,11b間を狭めて搬送すべきレールRの頭部を挟むと共に、レールRの首部(アゴ部)に第1爪部14a,14aが当接するようにしてレールRを挟持し、挟持体11,11上部のハンドル部11a,11aそれぞれ別の作業員が掴んで搬送する。
【0028】
(通常サイズのマクラギMを挟持して搬送する場合)
通常サイズのマクラギMを挟持して搬送する場合は、
図9に示すように挟持体11の挟持部11b先端部の通し孔11b1,11b1を介して
図5(a),(b)に示す第2爪部14b,14bを装着すると共に、挟持体11,11それぞれの挟持幅・高さ調整部11c,11cの下から3段目、つまり上から2段目の6つの支点ネジ孔11c1のいずれかに支点ネジである蝶ネジ12aの軸部を通し、反対側から蝶ナット12bで締結して使用する。尚、
図9では、上から2段目の6つの支点ネジ孔11c1の内、ハンドル部11a側から2個目の支点ネジ孔11c1に蝶ネジ12aを通している。
【0029】
そして、
図8(a)に示すように一対の挟持体11,11のハンドル部11a,11a側をそれぞれ下げて挟持部11b,11b間を拡げた後、挟持部11b,11b間を狭めることにより、
図9に示すように挟持体11,11下部の挟持部11b,11bで搬送すべきマクラギMを挟むと共に、マクラギMの下部両側をそれぞれ第2爪部14b,14bの突起板14b2,14b2で支持して、挟持体11,11上部のハンドル部11a,11aそれぞれ別の作業員が掴んで搬送する。
【0030】
(大判仕様のマクラギM’を挟持して搬送する場合)
大判サイズのマクラギM’を挟持して搬送する場合は、
図10に示すように挟持体11の挟持部11b先端部の通し孔11b1,11b1を介して図
6(a),(b)に示す第3爪部14c,14cを装着すると共に、挟持体11,11それぞれの挟持幅・高さ調整部11c,11cの最上段の6つの支点ネジ孔11c1のいずれかに支点ネジである蝶ネジ12aの軸部を通し、反対側から蝶ナット12bで締結して使用する。尚、
図10では、最上段の6つの支点ネジ孔11c1の内、最もハンドル部11a側の支点ネジ孔11c1に蝶ネジ12aを通している。
【0031】
そして、
図8(a)に示すように一対の挟持体11,11のハンドル部11a,11a側をそれぞれ下げて挟持部11b,11b間を拡げた後、挟持部11b,11b間を狭めることにより、
図10に示すように挟持体11,11下部の挟持部11b,11bで搬送すべき大判サイズのマクラギM’を挟むと共に、マクラギM’の下部両側をそれぞれ第3爪部14c,14cの突起板14c2,14c2で支持して、挟持体11,11上部のハンドル部11a,11aそれぞれ別の作業員が掴んで搬送する。尚、最上段の6つの支点ネジ孔11c1の内、最もハンドル部11a側の支点ネジ孔11c1に蝶ネジ12aを通しているため、挟持体11,11の挟持幅・高さ調整部11c,11cの傾斜している下側面の高さも稼げることになり、
図10に示すようにマクラギM’にレール締結装置F等があってもハンドル部11a、11aまで斜め上方に上るように延びる挟持幅・高さ調整部11c,11cが干渉することを防止することができる。
【0032】
(アングル形状の脱線防止ガイドレールR”を挟持して搬送する場合)
図11に示すようにアングル形状の脱線防止ガイドレールR”を挟持して搬送する場合は、例えば、一方の挟持体11の挟持部11b先端部の通し孔11b1,11b1を介して
図4(a),(b)に示す第1爪部14aを装着する一方、他方の挟持体11の挟持部11b先端部の通し孔11b1,11b1を介して
図7(a),(b)に示す第4爪部14dを装着する。そして、挟持体11,11それぞれの挟持幅・高さ調整部11c,11cの下から2段目の6つの支点ネジ孔11c1のいずれかに支点ネジである蝶ネジ12aの軸部を通し、反対側から蝶ナット12bで締結して使用する。尚、
図11では、下から2段目の6つの支点ネジ孔11c1の内、ハンドル部11a側から4個目の支点ネジ孔11c1に蝶ネジ12aを通している。
【0033】
そして、
図8(a)に示すように一対の挟持体11,11のハンドル部11a,11a側をそれぞれ下げて挟持部11b,11b間を拡げた後、挟持部11b,11b間を狭めることにより、
図11に示すように挟持体11,11下部の挟持部11b,11bで搬送すべきアングル形状の脱線防止ガイドレールR”を挟み、脱線防止ガイドレールR”の下部両側をそれぞれ第1爪部14a,14dの突起板14a2,14d2で支持して、挟持体11,11上部のハンドル部11a,11aそれぞれ別の作業員が掴んで搬送する。
【0034】
<本発明に係る実施形態の部材運搬工具1のまとめ>
以上説明したように、本発明に係る実施形態の部材運搬工具1は、一端には作業員が掴むハンドル部11a設けられている一方、他端にはレールRやマクラギM等の各種部材を挟持する挟持部11bが設けられた一対の挟持部材11,11を、それぞれのハンドル部11aと挟持部11bとの間に設けた挟持幅・高さ調整部11c,11cの複数の支点ネジ孔11c1の内、いずれかの一つの支点ネジ孔11c1を選択して蝶ネジ12aを通し、一対の挟持部材11,11それぞれの挟持部11bで各種部材を挟持するように構成したため、サイズの異なるレールRやマクラギM、脱線防止ガードレールR等の各種線路部材でも確実に掴んで搬送することができる。
【0035】
また、本発明に係る実施形態の部材運搬工具1では、一対の挟持部材11,11の挟持部11b先端には、ほぼL字形状の第1爪部14a~第4爪部14dが着脱可能に装着されるため、サイズの異なるレールRやマクラギM、脱線防止ガードレールR等の各種線路部材でも確実に掴んで搬送することができる。
【0036】
また、本発明に係る実施形態の部材運搬工具1では、一対の挟持部材11,11では、それぞれ、ハンドル部11aと挟持部111bとの間に、複数の支点ネジ孔11c1を4個または6個の複数個ずつ4段の複数段で、かつ、各段毎に斜め上方にズラして設けることにより挟持部111b,11bによる挟持幅や高さを調整可能な挟持幅・高さ調整部11c、11cを設けている。
【0037】
そのため、挟持幅・高さ調整部11c、11cにおける複数の支点ネジ孔11c1の内、いずれか一の支点ネジ孔11c1を選択して蝶ネジ12aの軸部を通して蝶ナット11bで締結することにより、通常のレールRや脱線防止ガードレールR’,R”、マクラギM、M’等、挟持して搬送すべき各種線路部材の形状やサイズが異なる場合でも、確実に挟持して搬送することができる。
【0038】
また、本発明に係る実施形態の部材運搬工具1では、一対の挟持部材11,11におけるハンドル部11aの長手方向と挟持部11bの長手方向とは、ほぼ直交していると共に、支点ネジ孔11c1は、ハンドル部11aの長手方向および挟持部11bの長手方向の両方向に複数設けている。
【0039】
そのため、一対の挟持部材11,11それぞれの挟持部11bでサイズの異なる各種部材を挟持した場合でも、一対の挟持部材11,11それぞれのハンドル部11a,11aは、ほとんどの場合、水平となるので、部材運搬工具1で挟持している各種線路部材を効率良く搬送することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 部材運搬工具
11 挟持体
11a ハンドル部
11b 挟持部
11b1 通し孔
11c 挟持幅・高さ調整部
11c1 支点ネジ孔
12a 蝶ネジ(支点ネジ)
12b 蝶ナット
13 ワッシャ
14a~14d 第1爪部
14a1~14d1 爪部本体
14a11~14d11 通し孔
14a2 連結板
14b2~14d2 突起板
15a ボルト
15b ナット
R レール
R’,R” 脱線防止ガードレール
M、M’ マクラギ
F レール締結装置