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  • 特許-飼料製造装置及び飼料製造方法 図1
  • 特許-飼料製造装置及び飼料製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】飼料製造装置及び飼料製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23K 10/26 20160101AFI20230106BHJP
   A23K 40/10 20160101ALI20230106BHJP
   A23N 17/00 20060101ALI20230106BHJP
【FI】
A23K10/26
A23K40/10
A23N17/00 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020120840
(22)【出願日】2020-07-14
(62)【分割の表示】P 2019085908の分割
【原出願日】2019-04-26
(65)【公開番号】P2020182476
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】397031511
【氏名又は名称】富士化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118728
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 圭二
(74)【代理人】
【識別番号】100114638
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 寛也
(72)【発明者】
【氏名】福間 壤
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-508028(JP,A)
【文献】特表昭57-500910(JP,A)
【文献】実開昭52-144287(JP,U)
【文献】特公昭48-006266(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/20-10/22
A23K 10/26
A23K 40/10
A23N 17/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家畜から食用肉を取り除いた畜産副産物を加熱処理して飼料を製造する飼料の製造方法であって、
家畜の羽根、体毛などの羽毛を細片化した羽毛細片に蒸気を供給して該羽毛細片を加水分解し、飼料用原料を生成する加水分解工程と、
前記飼料用原料を減圧下に置き、蒸気を回収する蒸気回収工程と、
前記飼料用原料を、前記羽毛を除いた前記畜産副産物と共に加熱脱水して固形分を得る加熱乾燥工程と、
前記固形分を粉砕して粉末状の飼料を生成する粉砕工程と、
を有する飼料の製造方法。
【請求項2】
前記加熱乾燥工程において蒸気を回収する工程と、該加熱乾燥工程及び前記蒸気回収工程において回収した蒸気を脱臭処理する脱臭工程と、を有する請求項1に記載の飼料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜から食用肉を取り除いた畜産副産物を加熱処理して飼料を製造する飼料製造装置及び飼料製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
畜産分野において、鶏や豚などの家畜の不可食部位はレンダリング処理されて、チキンミールやポークミールとして養殖用肥料や家畜用の配合飼料に使われている。この際に、鶏羽や豚毛などの処理も必要になる。特に、鶏羽は放置しておくと硫化水素(HS)が発生し、人体に影響を及ぼしたり、周囲の金属を腐食させたりする。また、豚毛は靴や衣類をブラッシングできるくらい固く、家畜の飼料として混ぜて与えるときには、消化吸収させやすくするために何らかの形で柔らかくする必要があった。
【0003】
従来、この鶏羽や豚毛は、加水分解処理することにより、不可食性タンパク質が可食性に変えられて肥料又は飼料として利用することができるようになることが知られている。例えば、特許文献1には、鶏羽を切断して投入口からクッカー内に投入し、該クッカー内で加圧加熱して加水分解した後、排出口から搬出し、大気圧に戻して乾燥し、フェザーミールを製造する方法が開示されている。鶏羽は、タンパク質の塊であり、動物性タンパク源として活用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭61-40753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のフェザーミールの製造装置は、図3に示すように、鶏羽を切断する切断機101と、鶏羽をクッカー(加水分解器104)に投入するフィーダ103と、鶏羽を加圧加熱して加水分解する加水分解器104と、加水分解された処理物をプレス脱水するスクリュープレス106と、処理物を乾燥するドライヤー107と、乾燥した処理物を振動篩にかけて大きい粒子を除去するスクリーン108と、大きい粒子を粉砕して粉末状の飼料を生成する粉砕機109と、生成された飼料を貯蔵するサイロ110と、を有し、工程が多く大規模な設備となっていた。
【0006】
また、鶏羽の処理においては、原料羽から臭気(腐食性ガス、硫化水素)が多量に発生するため、以前から専用工場又は専用ラインを建設し、生原料から製品まで一貫したシステムを用い生産されることが多かったが、費用対効果が出難いために改善されてこなかった。また、従来の装置は、加水分解された処理物をプレス脱水した後に製造ラインから出されていたため、工場内に臭気が漏れる恐れがあった。
【0007】
そこで、本発明は、小規模且つ安全な設備で鶏羽や豚毛を加水分解処理して飼料を製造することができる飼料製造装置及び飼料製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、家畜から食用肉を取り除いた畜産副産物を加熱処理して飼料を製造する飼料の製造装置であって、蒸気を供給して家畜の羽根、体毛などの羽毛を加水分解し、飼料用原料を生成する加水分解器と、前記加水分解器から送出される前記飼料用原料を減圧下に置き、蒸気を回収する減圧容器と、前記減圧容器から送出される前記飼料用原料を、前記羽毛を除いた前記畜産副産物と共に加熱脱水して固形分を得る加熱乾燥器と、前記固形分を粉砕して粉末状の飼料を生成する粉砕機と、前記減圧容器及び前記加熱乾燥器から蒸気を回収して脱臭処理する脱臭装置と、を有する飼料製造装置を提供するものである。
【0009】
また、本発明の飼料製造装置は、前記羽毛を叩解する叩解機と、叩解された前記羽毛を前記加水分解器に供給する供給機構と、を備えたものである。
【0010】
また、本発明の飼料製造装置は、前記羽毛を除いた前記畜産副産物を破砕する破砕機と、破砕された該畜産副産物を前記加熱乾燥器に供給する供給機構と、を備えたものである。
【0011】
また、本発明の飼料製造装置は、前記加熱乾燥器から回収されて前記脱臭装置に送られる蒸気の熱を回収する熱交換器を備え、該熱交換器が前記減圧容器から回収された蒸気の熱を回収して該蒸気を前記脱臭装置に送ることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明は、家畜から食用肉を取り除いた畜産副産物を加熱処理して飼料を製造する飼料の製造方法であって、家畜の羽根、体毛などの羽毛を細片化した羽毛細片に蒸気を供給して該羽毛細片を加水分解し、飼料用原料を生成する加水分解工程と、前記飼料用原料を減圧下に置き、蒸気を回収する蒸気回収工程と、前記飼料用原料を、前記羽毛を除いた前記畜産副産物と共に加熱脱水して固形分を得る加熱乾燥工程と、前記固形分を粉砕して粉末状の飼料を生成する粉砕工程と、を有する飼料製造方法を提供するものである。
【0013】
また、本発明の飼料製造方法は、前記加熱乾燥工程において蒸気を回収する工程と、該加熱乾燥工程及び前記蒸気回収工程において回収した蒸気を脱臭処理する脱臭工程と、を有するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の飼料製造装置は、家畜から食用肉を取り除いた畜産副産物を加熱処理して飼料を製造する装置であって、蒸気を供給して家畜の羽根、体毛などの羽毛を加水分解し、飼料用原料を生成する加水分解器と、前記加水分解器から送出される前記飼料用原料を減圧下に置き、蒸気を回収する減圧容器と、前記減圧容器から送出される前記飼料用原料を、前記羽毛を除いた前記畜産副産物と共に加熱脱水して固形分を得る加熱乾燥器と、前記固形分を粉砕して粉末状の飼料を生成する粉砕機と、前記減圧容器及び前記加熱乾燥器から蒸気を回収して脱臭処理する脱臭装置と、を有することにより、鶏羽や豚毛などの羽毛を加水分解による前処理で柔らかくして、他の畜産副産物と共に従来のクッカードライヤー(加熱乾燥器)を用いたレンダリングシステムによって飼料を生成することができるから、小規模な設備の追加で処理が困難であった羽毛を処理することができ、タンパク質を豊富に含む飼料を製造することができる効果がある。
【0015】
また、本発明の飼料製造装置は、減圧容器及び加熱乾燥器から蒸気を回収して脱臭装置で脱臭処理するから、鶏羽から発生する硫化水素などの排ガスを蒸気と共に回収して、確実に脱臭処理することができる効果がある。
【0016】
また、本発明の飼料製造装置は、前記羽毛を叩解する叩解機と、叩解された前記羽毛を前記加水分解器に供給する供給機構と、を備えたことにより、羽毛の繊維を叩きほぐして加水分解処理で柔らかくすることができる効果がある。
【0017】
また、本発明の飼料製造装置は、前記羽毛を除いた前記畜産副産物を破砕する破砕機と、破砕された該畜産副産物を前記加熱乾燥器に供給する供給機構と、を備えたことにより、くず肉、内臓、骨などの畜産副産物を破砕し、加熱乾燥器で乾燥させて蛋白分や油分の遊離を行いやすくすることができる効果がある。
【0018】
また、本発明の飼料製造装置は、前記加熱乾燥器から回収されて前記脱臭装置に送られる蒸気の熱を回収する熱交換器を備え、該熱交換器が前記減圧容器から回収された蒸気の熱を回収して該蒸気を前記脱臭装置に送ることを特徴とすることにより、熱交換器から回収された蒸気のみならず、減圧容器から回収された蒸気もレンダリングシステムの熱交換器で熱を回収し、脱臭装置で脱臭処理することができる効果がある。
【0019】
また、本発明の飼料製造方法は、家畜から食用肉を取り除いた畜産副産物を加熱処理して飼料を製造する方法であって、家畜の羽根、体毛などの羽毛を細片化した羽毛細片に蒸気を供給して該羽毛細片を加水分解し、飼料用原料を生成する加水分解工程と、前記飼料用原料を減圧下に置き、蒸気を回収する蒸気回収工程と、前記飼料用原料を、前記羽毛を除いた前記畜産副産物と共に加熱脱水して固形分を得る加熱乾燥工程と、前記固形分を粉砕して粉末状の飼料を生成する粉砕工程と、を有することにより、鶏羽や豚毛などの羽毛を加水分解による前処理で柔らかくして、他の畜産副産物と共に従来のクッカードライヤー(加熱乾燥工程)を用いたレンダリングシステムによって飼料を生成することができるから、小規模な設備の追加で処理が困難であった羽毛を処理することができ、タンパク質を豊富に含む飼料を製造することができる効果がある。
【0020】
また、本発明の飼料製造方法は、前記加熱乾燥工程において蒸気を回収する工程と、該加熱乾燥工程及び前記蒸気回収工程において回収した蒸気を脱臭処理する脱臭工程と、を有することにより、鶏羽から発生する硫化水素などの排ガスを蒸気と共に回収して、確実に脱臭処理することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る飼料製造装置の一実施例を示す構成図。
図2】従来のレンダリングシステムの構成図。
図3】従来のフェザーミール製造装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態を図示する実施例に基づいて説明する。
本発明の飼料製造装置10は、家畜から食用肉を取り除いた畜産副産物を加熱処理して飼料を製造する装置であって、蒸気を供給して家畜の羽根、体毛などの羽毛を加水分解し、飼料用原料を生成する加水分解器14と、前記加水分解器14から送出される前記飼料用原料を減圧下に置き、蒸気を回収する減圧容器15と、前記減圧容器15から送出される前記飼料用原料を、前記羽毛を除いた前記畜産副産物と共に加熱脱水して固形分を得る加熱乾燥器22と、前記固形分を粉砕して粉末状の飼料を生成する粉砕機23と、前記減圧容器15及び前記加熱乾燥器22から蒸気を回収して脱臭処理する脱臭装置27と、を有している。
【0023】
本願の発明者らは、鶏羽や豚毛などの羽毛を加水分解による前処理で柔らかくし、他の畜産副産物と共に既存のレンダリングシステムに組み込む処理方法を考え出した。本発明の飼料製造装置10は、鶏羽や豚毛などの羽毛を処理するための投資コストを大幅に削減でき、省エネ環境対策にも対応することができるようになった。
【0024】
また、本発明の飼料製造装置10は、鶏羽や豚毛などの羽毛を加水分解した後、生成された飼料用原料が、他の畜産副産物と共に最終製品である飼料になるまで密閉性が高く閉空間である製造ライン内に留まり、臭気などの排ガスは蒸気と共に脱臭処理されるから、工場内に臭気が漏れる恐れもない。本発明の飼料製造装置10は、鶏羽や豚毛などの羽毛を含んだ畜産副産物から飼料を生成するので、タンパク質を豊富に含む飼料を製造することができる。
【実施例1】
【0025】
図1において、20は既存のレンダリングシステムである。レンダリングシステム20は、図2に示すように、くず肉、内臓、骨などの畜産副産物を破砕する破砕機21と、該畜産副産物を加熱脱水して固形分を得る加熱乾燥器22と、固形分を粉砕して粉末状の飼料を生成する粉砕機23と、飼料を振動篩にかけて大きい粒子を除去するスクリーン24と、生成された飼料を貯蔵するサイロ25と、を有している。
【0026】
破砕機21は、鶏や豚などの家畜から食用肉を取り除いたくず肉、内臓、骨などの畜産副産物を細かく破砕するものであり、一段又は二段以上に設けてもよい。破砕機21で破砕された原料は、フィーダなどによって加熱乾燥器22に投入される。
【0027】
加熱乾燥器22は、横長の円筒状を成し、一方の端部に原料の投入口が設けられ、他方の端部に排出口が設けられている。加熱乾燥器22は、スチーム加熱によって投入された原料を加熱すると共に、原料を撹拌しつつ排出口に向かって搬送するように構成され、原料を連続して処理する。加熱乾燥器22は、原料を加熱して水分を蒸発させ、蛋白分や油分を遊離させる。また、加熱乾燥器22は、後段にドレンナーが設けられ、固形分から自然重力分離された油分を回収する。回収された油分は、遠心分離や濾過により細かい夾雑物を除去し、油脂として飼料の添加物などに利用される。
【0028】
また、加熱乾燥器22は、上部に蒸気排出部が設けられ、蒸気と共に排ガスを回収するように構成している。レンダリングシステム20は、加熱乾燥器22から回収された蒸気及び排ガスの熱を回収する熱交換器26と、蒸気及び排ガスを脱臭処理する脱臭装置27と、熱交換器26で蒸気及び排ガスを冷却したときに生じる凝縮水を処理する排水処理装置28と、を備えている。熱交換器26は、回収した熱を加熱乾燥器22などに戻して、レンダリングシステム20の熱効率を向上させると共に、排ガスを冷却して蒸気を凝縮し分離している。
【0029】
脱臭装置27は、高濃度臭気の排ガスを焼却脱臭するボイラーと、その他の臭気を薬液によって洗浄する脱臭塔と、を備えている。排水処理装置28は、凝縮水を固液分離して固形分を原料として加熱乾燥器22に戻し、排水は既知の方法によって処理される。
【0030】
粉砕機23は、加熱乾燥器22から排出された固形分を粉砕して粉末状の飼料を生成する。スクリーン24は、粉砕した固形分を振動篩にかけて、飼料を一定のサイズに揃えている。
【0031】
図1の実施例において、飼料製造装置10は、鶏羽や豚毛などの羽毛を加水分解による前処理で柔らかくするための機構として、家畜の羽根、体毛などの羽毛を叩解する叩解機11と、叩解された羽毛の中から金属を探知して除去する金属探知機12と、羽毛を加水分解器14に押し入れるフィーダ13と、蒸気を供給して羽毛を加水分解し、飼料用原料を生成する加水分解器14と、加水分解器14から送出される飼料用原料を大気圧に戻した減圧下に置き蒸気を回収する減圧容器15と、を有する。
【0032】
叩解機11は、鶏羽や豚毛などの羽毛を受け入れるホッパーを備え、羽毛を叩解して繊維を叩きほぐしている。金属探知機12は、前工程で羽毛に混入した金属を探知して除去している。フィーダ13は、加圧された加水分解器14内に羽毛を連続投入することができるように構成されている。
【0033】
加水分解器14は、横長の円筒状を成し、一方の端部に原料の投入口が設けられ、他方の端部に排出口が設けられている。加水分解器14は、加圧下において原料を蒸気で加熱すると共に、原料を撹拌しつつ排出口に向かって搬送するように構成され、原料を連続して処理する。本実施例では、原料である羽毛の前処理に、羽毛を高温の水に曝す蒸気加水分解法を用いているが、酵素を用いた酸性又はアルカリ性分解を併用してもよい。加水分解器14は、羽毛を加水分解し、消化タンパク質へと変化させている。
【0034】
減圧容器15は、加水分解器14で加圧した蒸気を用いて送出される飼料用原料を受け入れ、大気圧に戻した減圧下に置き、蒸気と共に臭気(腐食性ガス、硫化水素)などの排ガスを回収する。本実施例において、飼料製造装置10は、減圧容器15で回収された蒸気及び排ガスを熱交換器26へ送り、加熱乾燥器22から回収された蒸気及び排ガスと共に冷却し、脱臭装置27で脱臭処理している。減圧容器15内の圧力は、加水分解器14内の圧力より低くしてあればよく、大気圧に限定されるものではない。
【0035】
本実施例において、飼料製造装置10は、減圧容器15から送出される飼料用原料を、羽毛を除いた畜産副産物と共に加熱乾燥器22に供給し、加熱脱水して固形分を得るように構成している。本実施例の飼料製造装置10は、図2に示す従来のレンダリングシステム20と、図3に示す従来のフェザーミール製造装置を個別に設置する従来の方式と比較して、設備規模を大幅に縮小することができ、省エネ環境対策にも対応することができるようになった。
【0036】
また、本実施例の飼料製造装置10は、臭気(腐食性ガス、硫化水素)が発生する加水分解器14から加熱乾燥器22までの間の密閉性を高め、減圧容器15と加熱乾燥器22から蒸気と共に臭気などの排ガスを回収して脱臭承知27で確実に脱臭処理しているから、安全性も向上している。
【0037】
本発明の飼料製造装置10は、家畜の羽根、体毛などの羽毛を細片化した羽毛細片に蒸気を供給して該羽毛細片を加水分解し、飼料用原料を生成する加水分解工程と、飼料用原料を大気圧に戻した減圧下に置き、蒸気を回収する蒸気回収工程と、飼料用原料を、羽毛を除いた畜産副産物と共に加熱脱水して固形分を得る加熱乾燥工程と、固形分を粉砕して粉末状の飼料を生成する粉砕工程とによって、飼料を製造している。また、飼料製造装置10は、加熱乾燥工程において蒸気を回収する工程と、該加熱乾燥工程及び蒸気回収工程において回収した蒸気を脱臭処理する脱臭工程と、を備えている。
【0038】
飼料製造装置10で製造された飼料は、重量比で56%程度と豊富にタンパク質を含むのみならず、ペプシン消化率も89%程度と非常に高くなっている。本発明は、既存のレンダリングシステムに鶏羽や豚毛を加水分解処理する前処理を組み合わせることにより、小規模且つ安全な設備で鶏羽や豚毛を含む畜産副産物を処理して飼料を製造することができると共に、高タンパクで可食性の高い飼料を提供できる点で有用である。
【符号の説明】
【0039】
10 飼料製造装置
11 叩解機
12 金属探知機
13 フィーダ
14 加水分解器
15 減圧容器
21 破砕機
22 加熱乾燥器
23 粉砕機
24 スクリーン
25 サイロ
26 熱交換器
27 脱臭装置
28 排水処理装置
図1
図2
図3