(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230106BHJP
【FI】
A63F7/02 315A
(21)【出願番号】P 2020125224
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2021-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 海
【審査官】小泉 早苗
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-171119(JP,A)
【文献】特開2021-122622(JP,A)
【文献】特開2003-340005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一始動領域に遊技球が進入することを契機として取得される第一抽選情報に基づき第一抽選を、第二始動領域に遊技球が進入することを契機として取得される第二抽選情報に基づき第二抽選を実行する抽選手段と、
前記第一始動領域に遊技球が進入することを目指して遊技することを促す通常遊技状態、および前記第二始動領域に遊技球が進入することを目指して遊技することを促す遊技状態であって前記通常遊技状態よりも有利な特別遊技状態を設定することが可能な遊技状態設定手段と、
前記第二抽選情報を所定数記憶することが可能な記憶手段と、
を備え、
前記第二抽選の結果として、大当たりおよび当該大当たりよりも遊技者が享受する利益が低い別当たりが設定されており、
前記通常遊技状態における前記第二抽選の結果が前記別当たりとなる可能性はあるものの、前記特別遊技状態における前記第二抽選の結果が前記別当たりとなることはなく、
前記通常遊技状態における前記第二抽選で前記大当たりに当選する確率はPtであり、前記通常遊技状態における前記第二抽選で前記別当たりに当選する確率はPjである
ことを特徴とする遊技機。
ただし、前記Pjの方が前記Ptよりも高確率である。
【請求項2】
前記大当たりに当選した場合、大入賞領域が開放される大当たり遊技が実行されるものであり、
前記別当たりに当選した場合、前記大入賞領域が開放されることなく前記特別遊技状態の一種である第一特別遊技状態に移行することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第一特別遊技状態は、前記第二抽選にて大当たりに当選する確率が前記Ptであることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記第二抽選にて当選することはないが前記第一抽選にて当選しうる大当たりとして、大当たり遊技終了後に前記第一特別遊技状態に移行する特定大当たりが設定されており、当該特定大当たりに当選することで前記第一特別遊技状態に移行した場合、当該第一特別遊技状態は当否抽選結果がN1回連続してはずれとなるまで継続する一方、
前記別当たりに当選することで前記第一特別遊技状態に移行した場合、当該第一特別遊技状態は当否抽選結果がN2回連続してはずれとなるまで継続することを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
ただし、前記N1<前記N2である。
【請求項5】
前記特別遊技状態の一種として第二特別遊技状態が設定されており、当該第二特別遊技状態は前記第二抽選にて大当たりに当選する確率がPkであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の遊技機。
ただし、前記Ptよりも前記Pkの方が高確率であり、前記Pkよりも前記Pjの方が高確率である。
【請求項6】
前記特別遊技状態の一種として前記第一特別遊技状態よりも大当たりに当選する確率が高い第二特別遊技状態が設定されており、
前記第二特別遊技状態は、所定回数連続して当否抽選結果がはずれとなるまで継続するものであり、
前記別当たりに当選することで移行した前記第一特別遊技状態は、前記所定回数と同じ回数連続して当否抽選結果がはずれとなるまで継続するものであることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
ある抽選情報に基づき抽選が実行される遊技機にて、当該ある抽選情報が取得しやすい遊技状態が終了した場合であっても、記憶手段に記憶された当該ある抽選情報(いわゆる「残保留」)にて抽選が実行されることを利用した遊技性の遊技機が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、面白みのある遊技性を実現することが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、第一始動領域に遊技球が進入することを契機として取得される第一抽選情報に基づき第一抽選を、第二始動領域に遊技球が進入することを契機として取得される第二抽選情報に基づき第二抽選を実行する抽選手段と、前記第一始動領域に遊技球が進入することを目指して遊技することを促す通常遊技状態、および前記第二始動領域に遊技球が進入することを目指して遊技することを促す遊技状態であって前記通常遊技状態よりも有利な特別遊技状態を設定することが可能な遊技状態設定手段と、前記第二抽選情報を所定数記憶することが可能な記憶手段と、を備え、前記第二抽選の結果として、大当たりおよび当該大当たりよりも遊技者が享受する利益が低い別当たりが設定されており、前記通常遊技状態における前記第二抽選で前記大当たりに当選する確率はPtであり、前記通常遊技状態における前記第二抽選で前記別当たりに当選する確率はPjである
ことを特徴とする(ただし、前記Pjの方が前記Ptよりも高確率である)。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、面白みのある遊技性を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】表示領域に表示された装飾図柄、保留図柄を示した図である。
【
図3】本実施形態にかかる遊技機の遊技性を説明するためのブロック図である。
【
図4】特別遊技状態の最終変動にて表示される指示(a)および第二保留情報が満タンになったことを示す表示(b)を示した図である。
【
図5】再変動演出の概要を説明するための図である。
【
図6】再変動演出(非昇格結末)発生時の制御を説明するためのタイムチャート図である。
【
図7】再変動演出中における画像(映像)および楽曲の制御を説明するための図である。
【
図8】オープニング部からラウンド部にかけての画像(映像)および楽曲の制御を説明するための図である。
【
図9】再変動演出発生時の制御に関する第三具体例を説明するための図である。
【
図10】再変動演出発生時の制御に関する第六具体例を説明するための図である。
【
図11】再変動演出発生時の制御に関する第七具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかるぱちんこ遊技機1(以下、単に遊技機と称する)の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。遊技領域902には、始動領域904、大入賞領域906、アウト口907などが設けられている。
【0010】
表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認されるものである。なお、一部の図においては、遊技盤90に覆われずに露出する表示領域911の形状を簡略化して記載する(方形状に記載する)が、当該部分の大きさや形状は適宜変更可能である。
【0011】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動領域904や大入賞領域906等の入賞領域に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
なお、以下の説明において単に画像というときは、静止画および動画(映像)の両方が含まれるものとする。
【0014】
2)遊技性(ゲーム性)
2-1)抽選
始動領域904への遊技球の進入を契機として乱数源から数値(以下、抽選情報と称することもある)が取得される。当該数値を用いて抽選が実行される。本実施形態では、始動領域904として第一始動領域904aと、当該第一始動領域904aとは異なる位置にある第二始動領域904bと、が設けられている(
図1参照)。第一始動領域904aに遊技球が進入することを契機として第一抽選情報が取得され、それに基づき第一抽選(特
図1抽選)が実行される。第二始動領域904bに遊技球が進入することを契機として第二抽選情報が取得され、それに基づき第二抽選(特
図2抽選)が実行される。
【0015】
第一抽選の結果としては、「大当たり」および「はずれ」がある。第一抽選情報(数値)が予め定められた当たり用数値と同じであれば大当たりとなり、異なる場合にはずれとなる(大当たり以外ははずれとなる)。
【0016】
第二抽選の結果としては、「大当たり」および「はずれ」に加え、「別当たり」がある。第二抽選情報(数値)が予め定められた当たり用数値と同じであれば大当たりとなり、別当たり用数値と同じであれば別当たりとなり、それ以外の場合ははずれとなる。ただし、詳細を後述するように、本実施形態では、別当たりに当選するのは通常遊技状態にて第二抽選が実行される場合であり、特別遊技状態中の第二抽選は別当たりに当選しない。
【0017】
抽選結果として、「大当たり」以外を「はずれ」と捉えるのであれば、「別当たり」は「はずれ」の一種とみることもできる。後述するように、別当たりは遊技状態の移行が発生するものであるが、上記のようにみるのであれば、はずれには、遊技状態の移行が発生しないもの(完全はずれ)と、遊技状態の移行が発生するもの(別当たりに相当するはずれ)が存在するということになる。
【0018】
大当たりに当選した場合には大当たり遊技が実行される。大当たり遊技は、所定条件成立まで大入賞領域906(常態において閉鎖されている)が開放される単位遊技(いわゆる1「ラウンド」分の遊技のことをいう。以下の説明において「ラウンド」と称することもある)が一または複数回繰り返される。本実施形態では、大入賞領域906に遊技球が10個入賞する入賞条件、および、所定時間が経過する時間条件のいずれか一方が成立することをもって単位遊技が終了(大入賞領域906が閉鎖)する。大当たり遊技が含む単位遊技の数(ラウンド数)が多くなるほど、当該大当たり遊技にて得られる遊技者の利益(利益の期待値)が大きくなる。本実施形態では、大入賞領域906は遊技領域902の右側に設けられており、遊技者は遊技領域902の右側に遊技球が進入するよう遊技する(いわゆる「右打ち」を行う)。
【0019】
別当たりに当選した場合には、遊技状態の変化が生じる。なお、別当たりに当選しても上記大当たり遊技は実行されない(大入賞領域906は閉鎖されたままである)。つまり、別当たりでは「出玉」は得られない。かかる点において、別当たりは、大当たりよりも遊技者が享受する利益が低いものであるといえる。本実施形態では、別当たりは、通常遊技状態においてのみ当選し、特別遊技状態では当選しない(または当選してもその効果が発現されない設定とされる)。別当たりに当選することを契機として、通常遊技状態から第一特別遊技状態へ移行する。なお、各遊技状態の詳細については後述する。
【0020】
2-2)装飾図柄
抽選結果は、表示領域911に表示される装飾図柄80(
図2参照)により報知される。本実施形態では、それぞれが複数種の装飾図柄80を含む三つの装飾図柄群80gが設定される。具体的には、表示領域911の左側に表示される左装飾図柄群80gL、右側に表示される右装飾図柄群80gR、左装飾図柄群80gLと右装飾図柄群80gRの間に表示される中装飾図柄群80gCの三つである。各装飾図柄群80gから選択されて表示された三つの装飾図柄80の組み合わせにより抽選結果が報知される。当該三つの装飾図柄群80gが変動を開始してから、当該変動が停止して抽選結果を示す組み合わせが表示されるまでの演出が報知演出(一変動分の演出)である。なお、一部の図面においては、装飾図柄80の図示を省略する。
【0021】
本実施形態では、抽選結果が大当たりとなる場合には同じ種類の装飾図柄80の三つ揃いが表示される。抽選結果が別当たりとなる場合には予め定められた装飾図柄80の組み合わせが表示される。本実施形態では、左から「1・3・5」の装飾図柄80が並ぶ組み合わせが表示される。抽選結果がはずれとなる場合にはそれ以外の装飾図柄80の組み合わせが表示される。なお、別当たりとはずれの区別がつかないようにしてもよい。つまり、同じ種類の装飾図柄80の三つ揃い以外の組み合わせは別当たりまたははずれである設定とする。
【0022】
装飾図柄80以外の図柄(他図柄;図示せず)が表示されるようにしてもよい。抽選結果に応じて、他図柄の態様が異なる(他図柄により抽選結果が判別できる)ようにしてもよい。他図柄は、表示領域911に表示される(装飾図柄80よりも小さく表示される)ものであってもよいし、表示領域911外に表示される(表示領域911外に表示されるランプ等の点灯パターン)であってもよい。
【0023】
2-3)保留
始動領域904に遊技球が進入し、新たな抽選情報が取得されたとき、それよりも先に取得された抽選情報に対応する報知演出が実行されている場合(装飾図柄80の変動中である場合)には、当該新たな抽選情報は保留情報(保留)として記憶手段(図示せず)に記憶される。つまり、保留情報は抽選情報の下位概念である。本実施形態では、第一抽選情報として取得された第一保留情報(特
図1保留)の最大の記憶数は四つであり、第二抽選情報(特
図2保留)として取得された第二保留情報の最大の記憶数は二つである。
【0024】
記憶手段に記憶されている保留情報は保留図柄70として表示されることがある(
図2参照)。第一保留情報は第一保留図柄として、第二保留情報は第二保留図柄として表示される。遊技状態に応じ、第一保留図柄と第二保留図柄の一方が表示され、他方が表示されない構成としてもよい。例えば、詳細を後述する通常遊技状態においては第一保留図柄が表示され、第二保留図柄が表示されないようにしてもよい。また、詳細を後述する特別遊技状態においては第二保留図柄が表示され、第一保留図柄が表示されないようにしてもよい。つまり、各遊技状態にて、主として実行される当否抽選に用いられる保留情報(当否判定情報)とは別の保留情報に対応する保留図柄70は表示されなくてもよい。
【0025】
また、図示しないが、現在報知演出が実行されている抽選結果に対応する保留図柄(いわゆる当該変動の保留図柄)が表示されるようにしてもよい。
【0026】
記憶手段に第一保留情報と第二保留情報の両方が存在している場合、第二保留情報(第二抽選情報)に基づく抽選結果の報知が優先される。つまり、本実施形態にかかる遊技機は、いわゆる特
図2優先消化である。
【0027】
2-4)遊技状態
遊技者が大当たり獲得を目指して遊技する遊技状態として、通常遊技状態と特別遊技状態(第一特別遊技状態、第二特別遊技状態)が設定されている(
図3参照)。通常遊技状態は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射させるべき状態である。第一始動領域904aは、遊技領域902の左側を流下する遊技球が進入可能な位置に設けられている。すなわち、通常遊技状態は、遊技者に対し左打ち遊技が促される(左打ち遊技を行うべき)状態であり(右打ちでは第一始動領域904aに遊技球は進入しない)、第一抽選を経て大当たり獲得を目指す状態である。ただし、特別遊技状態が終了した直後は、記憶手段に記憶されている第二保留情報分の第二抽選が通常遊技状態にて実行される。
【0028】
図3に示すように、本実施形態では、通常遊技状態での大当たり当選確率Ptは約1/319とされている。当該通常遊技状態での大当たり確率は、実行される抽選が第一抽選および第二抽選のいずれであっても同じである。通常遊技状態にて第一抽選が実行される場合は、その結果は、大当たりまたははずれとなる(別当たりに当選することはない)。第二抽選の場合は、大当たりに当選しなくても、別当たりに当選する可能性がある。つまり、第二抽選の場合は、大当たりおよび別当たりのいずれにも当選しなかったときがはずれとなる。通常遊技状態にて第二抽選で別当たりに当選する確率Pjは約1/25とされている。すなわち、通常遊技状態での第二抽選は、約1/319の大当たりに当選せず、約1/25の別当たりに当選しなかった場合にはずれとなるというものである。このように、通常遊技状態にて第二抽選が実行される場合は、大当たりに当選する蓋然性(確率Pt)よりも、別当たりに当選する蓋然性(確率Pj)の方が高い。なお、上記のような第二抽選の形態はあくまで一例である。例えば、大当たりに当選しているかどうかの第二抽選と、別当たりに当選しているかどうかの第二抽選が別に実行される(二つの抽選をセットにしたものが第二抽選である)ものとしてもよい(大当たりと別当たりの両方に当選した場合には、一方の当たりが優先されるものとする)。ただ、結局のところ、一の遊技球が第二始動領域904bに進入することによって第二抽選が実行され、それによって大当たりまたは別当たりに当選する可能性があることには変わりはない。(大当たりおよび別当たりの当選の有無を一の第二抽選で判別する場合であっても、別の第二抽選で判別する場合であっても)一の遊技球が第二始動領域904bに進入することで大当たりに当選する確率Ptよりも、別当たりに当選する確率Pjの方が高い設定であればよい。
【0029】
特別遊技状態は、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射させるべき状態である。第二始動領域904bは、遊技領域902の右側を流下する遊技球が進入可能な位置に設けられている。すなわち、特別遊技状態は、遊技者が右打ち遊技を行うべき状態であり(左打ちでは第二始動領域904bに遊技球は進入しない)、第二抽選を経て大当たり獲得を目指す状態である。遊技領域902の右側には、普通始動領域905(
図1参照)が設けられている。当該普通始動領域905に進入することを契機として普通抽選(普通図柄抽選)が実行される。その抽選に当選することを契機として第二始動領域904b(常態においては閉鎖されている)が開放される。特別遊技状態における普通抽選に当選する確率は通常遊技状態に比して極めて高い(100%もしくは100%に近い)。したがって、右打ちすれば容易に第二始動領域904bが開放され、当該第二始動領域904bに遊技球が進入する。第一始動領域904aおよび第二始動領域904bはいずれも遊技球の進入により所定数の賞球が払い出される入賞領域でもあるところ、特別遊技状態は通常遊技状態に比して始動領域904に遊技球が容易に進入する状態であるから、特別遊技状態は持ち球をあまり減らさずに遊技することができる高ベース状態であるといえる(通常遊技状態は低ベース状態である)。
【0030】
図3に示すように、本実施形態では、特別遊技状態として、第一特別遊技状態と第二特別遊技状態が設定されている。第一特別遊技状態と第二特別遊技状態の違いは、大当たり確率の高低にある。第一特別遊技状態での大当たり確率は通常遊技状態での大当たり確率と同じ約1/319である。なお、第一特別遊技状態は基本的には第二抽選により大当たり当選を目指す遊技状態であるが、第一抽選が実行される場合でも大当たり確率(約1/319)は同じである。第二特別遊技状態での大当たり確率Pkは約1/70であり、通常遊技状態や第一特別遊技状態での大当たり確率Pt(約1/319)よりも高い。また、通常遊技状態の第二抽選で別当たりに当選する確率Pj(約1/25)は、第二特別遊技状態での大当たり確率Pk(約1/70)よりも高い。なお、第二特別遊技状態は基本的には第二抽選により大当たり当選を目指す遊技状態であるが、第一抽選が実行される場合でも大当たり確率(約1/70)は同じである。このように、第二特別遊技状態は、通常遊技状態や第一特別遊技状態に比して大当たり確率が高いいわゆる確変状態(高確率状態)である。
【0031】
特別遊技状態中における第二抽選は、その結果が大当たりまたははずれとなる抽選である。つまり、特別遊技状態における第二抽選では別当たりに当選することはない。なお、特別遊技状態における第二抽選の結果として別当たりは生じうるものの、別当たりに当選したとしてもその利益(後述)が得られない設定としてもよい。つまり、実質的には、通常遊技状態にて実行される第二抽選に限り、別当たりに当選しうる(別当たりの利益を享受できる)構成である。
【0032】
各遊技状態をまとめると次の通りとなる。「大当たり確率の高低/ベースの高低」というように表すと、通常遊技状態は「低確率/低ベース」状態であり、第一特別遊技状態は「低確率/高ベース」状態(いわゆる時短状態)であり、第二特別遊技状態は「高確率/高ベース」状態(いわゆる確変状態)であるということである。通常遊技状態、第一特別遊技状態、第二特別遊技状態の順で遊技者にとって有利な状態であるといえる(第二特別遊技状態が最も有利な状態である)。いずれの遊技状態であっても、第一抽選の結果は「大当たり」または「はずれ」となる。また、通常遊技状態における第二抽選の結果は「大当たり」、「別当たり」または「はずれ」となるものであり、大当たりの当選確率Pt<別当たりの当選確率Pjである。特別遊技状態における第二抽選の結果は、「大当たり」または「はずれ」となる。
【0033】
2-5)遊技状態の移行
通常遊技状態における第一抽選(特
図1抽選)にて当選した大当たり(第一大当たり)は、通常第一大当たりと特別第一大当たりに区分けされる。
図3に示すように、通常第一大当たり(特定大当たり)に当選した場合には、その大当たり遊技終了後、第一特別遊技状態に移行する。当該第一特別遊技状態は、当否抽選結果が50回連続してはずれとなるまで継続する(時短回数N1=50回である)。特別第一大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技終了後、第二特別遊技状態に移行する。当該第二特別遊技状態(確変状態)は、当否抽選結果が130回連続してはずれとなるまで継続する。つまり、当該第二特別遊技状態は、回数切り確変、いわゆるST状態であり、ST回数M=130回に設定されているということである。本実施形態では、第一大当たり当選時の振分は、通常第一大当たりが50%、特別第一大当たりが50%とされている。
【0034】
図3に示すように、特別遊技状態における第二抽選(特
図2抽選)にて当選した大当たり(第二大当たり)は、全て大当たり遊技終了後の遊技状態が第二特別遊技状態となるものである。すなわち、第一特別遊技状態にて第二大当たりに当選すれば、その大当たり遊技にて得られる利益と合わせ、第二特別遊技状態に移行するという利益が得られる。第二特別遊技状態にて第二大当たりに当選すれば、大当たり遊技終了後、再び第二遊技状態に移行することになる。なお、特別遊技状態にて第一抽選(特
図1抽選)が実行されて大当たりに当選した場合には、その大当たりは上述した通常第一大当たり(50%)または特別第一大当たり(50%)となる。
【0035】
特別遊技状態が終了して(第一特別遊技状態であれば時短回数、第二遊技状態であればST回数分、当否抽選結果が連続してはずれとなり)通常遊技状態に移行した直後は、記憶手段に第二保留情報(特
図2保留)が記憶された状態にある蓋然性が高い。特別遊技状態が終了するまで継続的に右打ちを行っていれば、記憶手段に最大数(本実施形態では四つ)の第二保留情報が記憶された状態で通常遊技状態に移行することになる。本実施形態では、「特
図2保留優先消化」であるから、通常遊技状態に移行した後は、最大四回の第二抽選が実行される(残った特
図2保留分の抽選;以下「残保留分の抽選」と称することもある。
図3では「残保留チャンス」と記載している)ことになる。
【0036】
通常遊技状態にて第二抽選が実行された場合、大当たりだけでなく、別当たりにも当選する可能性がある。つまり、通常遊技状態に移行した後の最大四回の第二抽選は、約1/319の大当たり(確率Pt)、または、約1/25の別当たり(確率Pj)に当選する可能性がある(
図3参照)。大当たりに当選した場合、それは第二大当たりであるから、大当たり遊技終了後第二特別遊技状態に移行する。一方、別当たりに当選した場合には、第一特別遊技状態への移行が生じる。通常遊技状態によりも第一特別遊技状態の方が遊技者にとって有利な遊技状態である(「ベース」が高い)から、通常遊技状態から第一特別遊技状態への移行が別当たりに当選することにより遊技者が得られる利益であるということである。第一特別遊技状態がいわゆる時短状態であることに照らせば、別当たりはいわゆる「突然時短」であるといえる。
【0037】
このように、通常遊技状態での第二抽選は、常時当選しうる「大当たり」に加え、「別当たり」(突然時短)に当選するように設定されている。そして、通常遊技状態での第二抽選にて大当たりに当選する確率Ptよりも別当たりに当選する確率Pjの方が高い。仮に、「別当たり」という抽選結果の態様が設定されていないとするのであれば、残保留分の抽選にて大当たりに当選しなければ、特別遊技状態の最後に第二保留情報を貯めたことによる実質的な利益は得られない。これに対し本実施形態では、残保留分の抽選にて「大当たり」に当選したときだけでなく、「別当たり」に当選したときにも利益(第一特別遊技状態に移行するという利益)が得られることになるから、当該残保留分の抽選にて利益が得られる蓋然性が高められている。しかも、別当たりに当選する確率Pjは大当たりに当選する確率Ptよりも高いから、残保留分の抽選にて別当たり当選に十分に期待がもてるという遊技性が実現される。なお、本実施形態では、四回の第二抽選で大当たり(約1/319)および別当たり(約1/25)のいずれかに当選する確率は約16%である。つまり、約16%の確率で特別遊技状態(大当たりの場合は第二特別遊技状態、別当たりの場合は第一特別遊技状態)の「引き戻し」が発生することになる。
【0038】
特に、本実施形態では、通常遊技状態の第二抽選で別当たりに当選する確率Pj(約1/25)は、第二特別遊技状態での大当たり確率Pk(約1/70)よりも高い。このようにすることで、遊技者にとって最も有利な遊技状態である第二特別遊技状態(ST)が終了したとしても、残保留分の各第二抽選にて別当たりに当選することは、第二特別遊技状態の各第二抽選にて大当たりに当選することよりも期待がもてるという遊技性が実現される。つまり、第二特別遊技状態が終了しても第一特別遊技状態への移行に十分に期待できる(チャンスが残されている)という遊技性が実現される。
【0039】
なお、一般的なぱちんこ遊技機は、大当たり確率として、低確率状態(本実施形態では通常遊技状態、第一特別遊技状態)における大当たり確率(低確率)Ptと、確変状態(本実施形態では第二特別遊技状態)における大当たり確率(高確率)Pkの二種類を設定することができるものである(規則上、これ以外の大当たり確率を設定することはできない)。本実施形態では、これとは異なる形式の当たりである別当たりを用意し、当該別当たりの確率PjをPtやPkよりも高くすることで上記遊技性を実現したものである。
【0040】
本実施形態では、特別遊技状態の最後の報知演出(最終変動)にて、第二始動領域904bに遊技球を進入させる(第二保留情報が最大数(本実施形態では四つ)記憶された状態とする)ことを促す(右打ちを促す)ような指示が出される(
図4(a)参照)。また、当該最後の報知演出は、第二始動領域904bに遊技球を四つ進入させるのに必要な十分な長さが確保される。このようにすることで、通常遊技状態に移行したときに第二保留情報が最大数記憶されていないことで遊技者が不利益を受けてしまうこと(本来であれば実行されるべき通常遊技状態での第二抽選の回数が減ってしまうこと)が防止される。第二保留情報が最大数記憶手段に記憶された状況を示す報知(
図4(b)参照。「準備完了」の文字が当該報知である。また、当該段階に至ったときには右打ち指示が終了する)がなされるようにしてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、通常遊技状態での第二抽選にて別当たりに当選した場合に移行する第一特別遊技状態は、当否抽選結果が130回連続してはずれとなるまで継続する。すなわち、時短回数N2=130回である(
図3参照)。上述した通り、通常第一大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技終了後に第一特別遊技状態に移行するところ、その場合の時短回数はN1=50回である(
図3参照)。つまり、第一特別遊技状態の時短回数は、別当たり経由の場合の方が通常第一大当たり経由の場合よりも多い(N1<N2である)。別当たりに当選したとしても、時短回数が少なければ、第一特別遊技状態にて大当たりに当選せずに通常遊技状態に移行する蓋然性が高くなる(別当たりは出玉が得られないのであるから、第一特別遊技状態で大当たりに当選しなければ実質的な利益は得られない)。本実施形態のように、通常第一大当たり経由で第一特別遊技状態に移行した場合(「通常」のケース)よりも、別当たり経由で第一特別遊技状態に移行した場合(「特殊」なケース)の方が、時短回数が多い設定とすることで、別当たりに当選することの価値が高まるし、第一特別遊技状態にて大当たりに当選する蓋然性が高まる。
【0042】
本実施形態では、別当たり経由にて移行した第一特別遊技状態の時短回数(N2)は、第二特別遊技状態のST回数(M)と同じ130回である(N2=Mである)。したがって、別当たり経由にて移行する第一特別遊技状態と、第二特別遊技状態とが見分けがつきにくくなる。本実施形態では、前者の遊技状態および後者の遊技状態のいずれにおいても、当該遊技状態が終了するまでの残回数が表示されるものであるところ、各遊技状態に移行したときにはチャンスの回数が130回であることが表示されるため、両者の見分けがつきにくい。前者の遊技状態の名称と後者の遊技状態の名称を共通にする等、両遊技状態にて実行される各種演出の共通化を図れば、より見分けにくくなる。第二特別遊技状態終了後にも残保留分の抽選(残保留チャンス)が実行されるところ、当該残保留分の抽選によって別当たりに当選したときには、第二特別遊技状態の「引き戻し」が発生したかのような状況を作り出すことができる。
【0043】
なお、上述した各大当たりに当選したときに実行される大当たり遊技が含む単位遊技の数(ラウンド数)をどのように設定するかは、上記のような遊技性を実現することとは関連性が無いため説明を省略する。
【0044】
また、本実施形態にかかる遊技機1は、いわゆる「天井」が搭載されている。具体的には、低確率状態(通常遊技状態、第一特別遊技状態)が保たれたまま所定回数連続して当否抽選結果がはずれとなったことを契機として、第一特別遊技状態に移行する。所定回数は適宜設定することができるが、低確率状態(通常遊技状態、第一特別遊技状態)における大当たり確率Ptの確率分母(本実施形態では319)よりも多い回数とすることが好ましい。本実施形態では、大当たり間にて900回連続してはずれとなることで第一特別遊技状態に移行する設定とされている。また、「天井」により移行した第一特別遊技状態の時短回数N3は、上述した時短回数N1やN2よりも多い設定とするとよい。つまり、N1<N2<N3とするとよい。「天井」は、通常遊技状態にてなかなか大当たりが得られなかった遊技者に対する救済機能であるから、当該機能により第一特別遊技状態に移行した場合には、当該第一特別遊技状態にて大当たりに当選する蓋然性がかなり高い(大当たりに当選せずに第一特別遊技状態が終了する蓋然性がかなり低い)設定とするとよい。より好ましくは、低確率状態(通常遊技状態、第一特別遊技状態)における大当たり確率Ptの確率分母(本実施形態では319)の3倍よりも多い回数とするとよい。本実施形態では、「天井」機能が発動した場合の第一特別遊技状態の時短回数N3=1300回とされている(
図3参照)
【0045】
また、本実施形態にかかる遊技機1は、いわゆるV確変機である。V確変機自体は周知であるためその構成自体の説明は省略する。V確変機であるため、第一抽選による大当たりの確変割合(大当たり遊技終了後第二特別遊技状態に移行する第一大当たりの割合;本実施形態では50%)と、第二抽選による大当たりの確変割合(本実施形態では100%)を異ならせることができる。
【0046】
以下、上記本実施形態にかかる遊技機1の遊技性に関する事項を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の各具体例を用いて説明する事項を複数適用した構成としてもよい。
【0047】
○第一具体例
上記実施形態における別当たりは、その当選を契機として大入賞領域906が開放されるものではないこと(「出玉」が得られるものではないこと)を説明したが、大入賞領域906が開放される(すなわち大当たりの一種であって出玉が得られるものである)設定としてもよい。
【0048】
ただし、このような設定とする場合であっても、別当たりに当選したときに実行される当たり遊技が含む単位遊技の数(ラウンド数)は、大当たりに当選したときに実行される大当たり遊技が含む単位遊技の数(ラウンド数)よりも少ないものとされるとよい。ラウンド数が異なる複数種の大当たり遊技が設定されているのであれば、最もラウンド数が少ない大当たり遊技のラウンド数よりも、別当たりに当選したときの当たり遊技のラウンド数の方が少ない設定とすればよい。別当たりは、あくまで特別遊技状態が終了して通常遊技状態に移行したときに残保留分与えられる特別な抽選にて当選しうるものであって、大当たりに比して当選しやすいものとされるから、その利益は大当たりよりも低い設定とすることが好ましい。
【0049】
○第二具体例
通常遊技状態の第二抽選にて別当たりに当選する確率Pjの方が、大当たりに当選する確率Ptよりも低い設定としてもよい。このような設定としても、(別当たりが搭載されていない構成に比して)別当たりが搭載されている分、残保留分の抽選にて特別遊技状態に移行する権利を得る蓋然性が高まるという遊技性が実現される。ただし、確率Ptは低確率状態(通常遊技状態、第一特別遊技状態)における大当たり確率であって、残保留分の抽選で大当たりに当選することは極めて稀であることに照らせば、上記実施形態のように大当たりに当選する確率よりも別当たりに当選する確率の方を高くすることで、大当たりに当選することにはそれほど期待できないが、別当たりに当選することにはある程度期待がもてる設定とすることが好ましい
【0050】
○第三具体例
通常遊技状態の第二抽選にて別当たりに当選する確率Pjの方が、第二特別遊技状態(確変状態)にて大当たりに当選する確率Pkよりも低い設定としてもよい。このような設定としても、(別当たりが搭載されていない構成に比して)別当たりが搭載されている分、残保留分の抽選にて特別遊技状態に移行する権利を得る蓋然性が高まるという遊技性が実現される。ただし、確率Pkは第二特別遊技状態(確変状態)における大当たり確率であって、第二特別遊技状態における各第二抽選にて大当たりに当選することよりも、残保留分の第二抽選で別当たりに当選することの方が期待できる遊技性とするのであれば、上記実施形態のようにすることが好ましい。
【0051】
3)再変動演出および楽曲制御
3-1)再変動演出
本実施形態にかかる遊技機1は再変動演出(
図5参照)を実行することが可能である。再変動演出は、装飾図柄80が変動を開始してから当否判定結果を示す態様で完全に停止するまで(当否判定結果を示す組み合わせが確定するまで)の報知演出の一部として実行される演出である。具体的には、当否判定結果が大当たりであることを示す大当たり組み合わせ(当選態様)が示された後、別の大当たり組み合わせ(別の当選態様)に変化する可能性がある演出である。つまり、再変動演出が発生した時点では大当たりは確定しているが、その大当たりの種類が確定しておらず、再変動演出を経てその種類が報知される(昇格する可能性がある)というものである。装飾図柄80が変動を開始してから完全に停止するまでを報知演出とすれば、再変動演出は報知演出の一部として実行されるものであるといえる。
【0052】
本実施形態における再変動演出は、通常遊技状態における第一抽選にて大当たりに当選したときに実行されることがある。つまり、いわゆる初当たり時に実行されることがある。本実施形態では、通常第一大当たりに対応する大当たり組み合わせ(以下、通常組み合わせと称する)として、偶数の数字を含む装飾図柄80(「2」「4」「6」「8」の数字を含む装飾図柄80)の三つ揃いが、特別第一大当たりに対応する大当たり組み合わせ(以下、特別組み合わせと称する)として、奇数の数字を含む装飾図柄80(「1」「3」「5」「7」「9」の数字を含む装飾図柄80)の三つ揃いが設定されている。再変動演出は、通常組み合わせにて大当たり当選が示された後(なお、当該時点においては、装飾図柄80の変動は完全に停止していない)(
図5(a)参照)、当該組み合わせが変化するかもしれないという表示、例えば三つ揃いの装飾図柄80が変動する表示(
図5(b)参照)がなされ、特別組み合わせに変化する可能性がある演出である。再変動演出の結末としては、そのまま通常組み合わせが変化しない(もしくは別の通常組み合わせに変化する)非昇格結末(
図5(c-1)参照)と、特別組み合わせに変化する昇格結末(
図5(c-2)参照)とが設定されている。つまり、通常第一大当たりに当選している場合の再変動演出は非昇格結末に至り、特別第一大当たりに当選している場合の再変動演出は昇格結末に至るということである。大当たり遊技終了後に第一特別遊技状態に移行する通常第一大当たりに比して、大当たり遊技終了後に第二特別遊技状態に移行する特別第一大当たりの方が、遊技者にとって有利な大当たりであるといえるから、非昇格結末よりも昇格結末の方が遊技者にとって有利な結末であるといえる。なお、本実施形態では、特別組み合わせにて大当たり当選が示された場合には、再変動演出は発生しない。ただし、特別組み合わせにて大当たり当選が示された場合であっても、再変動演出が発生するようにしてもよい。つまり、特別組み合わせから特別組み合わせに至るような形式的な再変動演出が発生するようにしてもよい。
【0053】
3-2)再変動演出発生時の継続制御
大当たりが確定したときに再変動演出が発生するのであるから、再変動演出終了後は大当たり遊技が実行される。以下、再変動演出が非昇格結末に至った場合の画像(映像)、楽曲の制御(継続制御)について説明する。再変動演出中は、再変動演出の映像(以下、再変動映像と称することもある)が遊技者に視認可能となるように表示領域911に表示される(
図6、
図7(b)参照)。つまり、通常組み合わせにて大当たり当選が示された後、当該組み合わせが特別組み合わせに変化せずに通常組み合わせのままとなる一連の映像が再変動映像として表示領域911に表示される。なお、当該再変動映像を表す画像レイヤは「他画像レイヤ10」の概念に含まれるものである。また、非昇格結末に至る再変動演出に要する時間は一定である。
【0054】
再変動演出の後、大当たり遊技が実行される。大当たり遊技は、大まかに、オープニング(OP)部、ラウンド部、エンディング(ED)部に区分けされる(
図6参照)。ラウンド部は、複数の単位遊技が実行される部分である。つまり、大入賞領域906が開放される(単位遊技間は閉鎖される)部分であり、遊技者が利益(出玉)を得る大当たり遊技としての本質的な部分である。1ラウンド目の単位遊技として大入賞領域906が開放されることがラウンド部の開始であるものとする。オープニング部は、ラウンド部よりも前に発生する部分であり、これから大当たり遊技(単位遊技)が開始されることを示す部分である。エンディング部は、ラウンド部の後に発生する部分であり、大当たり遊技(単位遊技)が終了したこと示す部分である。ラウンド部およびエンディング部においては、大入賞領域906は閉鎖された状態にある。つまり、ラウンド部およびエンディング部は、大当たり遊技の始まりと終わりを示す部分であって、実質的な利益(出玉)を得ることができる部分ではない。大当たり遊技を構成するオープニング部、ラウンド部、エンディング部のうち、オープニング部およびエンディング部に要する時間は一定である。ラウンド部(各単位遊技)に要する時間は、大入賞領域906に遊技球が進入する速度等に応じて変化するものである。
【0055】
オープニング部においては、オープニング映像が遊技者に視認可能となるように表示領域911に表示される(
図6、
図8(b)参照)。オープニング映像の具体的態様はどのようなものであってもよい。大当たり遊技を表す名称(例えば「BIG BOUNUS」の文字)や、大当たり遊技の遊技方法(例えば、「右打ち」の文字)が表示される映像とすることが考えられる。なお、当該オープニング映像を表す画像レイヤは「他画像レイヤ10」の概念に含まれるものである。つまり、本実施形態では、上述した再変動映像およびオープニング映像を表す画像レイヤが、「他画像レイヤ10」であるとする。また、再変動映像とオープニング映像の画像レイヤを区別して、前者を再変動画像レイヤ11、オープニング画像レイヤ12と称することもある。
【0056】
エンディング部においては、エンディング映像が遊技者に視認可能となるように表示領域911に表示される。エンディング映像の具体的態様はどのようなものであってもよいから説明を省略する。
【0057】
ラウンド部においては、特定映像が遊技者に視認可能となるように表示領域911に出力される(
図6、
図8(c)参照)。特定映像の具体的態様はどのようなものであってもよい。なお、特定映像に重ねて遊技の進行等を表す画像(以下、進行画像と称することもある)が表示されるようにしてもよい。例えば、現在実行されている単位遊技が何ラウンド目であるのかを示す画像や、大当たり遊技にて得られた出玉の数を示す画像が特定映像に重ねて表示されるようにしてもよい。つまり、進行画像は、大当たり遊技の内容に応じて変化しうるものである。一方、特定映像は、大当たり遊技の内容に応じて変化するものではない。ラウンド部の開始から経時的に変化する予め定められた映像である。なお、特定映像の出力は、ラウンド部の終了(エンディング部の開始)とともに終了することとなるが、一連の特定映像の最後に到達した時点にて未だラウンド部が終了していないときには、特定映像の冒頭から出力される。つまり、ラウンド部が終了するまで特定映像は繰り返し再生されるものとする。ただし、本実施形態では、ラウンド部にて遊技者が大入賞領域906に向かって継続的に遊技球を発射していれば(右打ちを行っていれば)、特定映像が最後に至るよりも前にラウンド部が終了する蓋然性が極めて高い設定としている。
【0058】
再変動演出から大当たり遊技にかけては特定楽曲が継続的にスピーカ60から出力されるよう継続制御される(
図6参照)。当該特定楽曲の旋律と特定映像の内容は対応づけられている。本実施形態における特定楽曲は歌詞付の楽曲であるところ、当該歌詞と特定映像が対応づけられたものであるといえる。換言すれば、特定映像のあるコマが出力されている時点においては、特定楽曲の決まった箇所が出力されるようにされており、その対応関係がずれることはないということである。特定映像の長さと特定楽曲の長さは同じであるともいえる。ここでいう特定映像および特定楽曲の長さとは、著作物としての長さをいうものではなく、本実施形態にかかる遊技機用として搭載される映像および楽曲としての長さが同じということである。なお、詳細を後述するように、特定映像は再変動演出およびオープニング部においても出力されるが、これらの期間において特定映像は実際に遊技者に視認可能となるものではない。
【0059】
本実施形態では、再変動演出の開始から特定楽曲の出力が開始され、大当たり遊技におけるラウンド部の終了とともに終了する(
図6参照)。つまり、再変動演出、オープニング部、およびラウンド部を通じて継続的に特定楽曲がスピーカ60から出力される。
【0060】
一方、再変動演出、オープニング部、およびラウンド部にて表示領域911に表示される画像(映像)については、次のように制御される。再変動演出中は、再変動映像および特定映像が出力される。ここで、再変動演出中においては、特定映像を表す特定画像レイヤ20よりも、再変動映像を表す再変動画像レイヤ11(他画像レイヤ10の一種)の方が手前に設定されるため、遊技者は特定映像を視認することはできない(特定画像レイヤ20は再変動画像レイヤ11に覆われている)(
図6、
図7参照)。つまり、再変動演出では、再変動映像が表示領域911に表示されることと、特定楽曲が出力されることが、遊技者が把握可能な演出として実行される。再変動映像(再変動画像レイヤ11)に覆われて遊技者が視認できない特定映像(特定画像レイヤ20)は、特定楽曲とともに経時的に内容が変化していく(特定楽曲との対応関係が維持されたまま、再変動映像の「後ろ」で出力された状態にある)。
【0061】
オープニング部では、オープニング映像および特定映像が出力される。ここで、オープニング部においては、特定映像を表す特定画像レイヤ20よりも、オープニング映像を表すオープニング画像レイヤ12(他画像レイヤ10の一種)の方が手前に設定されるため、遊技者は特定映像を視認することはできない(特定画像レイヤ20はオープニング画像レイヤ12に覆われている)(
図6、
図8(a-1)(a-2)(b)参照)。つまり、オープニング部では、オープニング映像が表示領域911に表示されることと、特定楽曲が出力されることが、遊技者が把握可能な演出として実行される。オープニング映像(オープニング画像レイヤ12)に覆われて遊技者が視認できない特定映像(特定画像レイヤ20)は、特定楽曲とともに経時的に内容が変化していく(特定楽曲との対応関係が維持されたまま、オープニング映像の「裏」で出力された状態にある)。
【0062】
このように、再変動演出~オープニング部にかけて、すなわち大当たり遊技の途中時点までは、特定映像(特定画像レイヤ20)だけでなく、その手前に再変動映像(再変動画像レイヤ11)またはオープニング映像(オープニング画像レイヤ12)が出力される。再変動画像レイヤ11およびオープニング画像レイヤ12をひとまとまりとして他画像レイヤ10と捉えれば、特定画像レイヤ20の手前に他画像レイヤ10が設定された状態が、再変動演出の開始から大当たり遊技の途中の時点(オープニング部の終了時点、すなわちラウンド部の開始時点でもある)まで継続することになる。特定画像レイヤ20が表す特定映像は遊技者には視認できないが、特定楽曲の進行に合わせて他画像レイヤ10の「裏」で進行している。
【0063】
ラウンド部に移行すること(当該ラウンド部に移行する時点を以下「切替時点」と称することもある)を契機として、オープニング映像(オープニング画像レイヤ12)の出力が停止される。一方、特定映像(特定画像レイヤ20)の出力は継続される。特定画像レイヤ20よりも手前のオープニング画像レイヤ12が存在しなくなるから、ラウンド部に移行することを契機として、特定映像(特定画像レイヤ20)が遊技者に視認される状態となる(
図6、
図8(c)参照)。特定映像は、ラウンド部の開始を契機として冒頭から出力が開始されるわけではなく、再変動演出およびオープニング部にて他画像レイヤ10の「裏」で出力されていたのであるから、ラウンド部の開始を契機として映像の途中から視認できる状態となる。具体的には、再変動演出およびオープニング部の長さ分、特定映像が冒頭から途中時点まで進行した状態にあり、ラウンド部の開始(切替時点に到達)を契機として当該途中時点から視認できる状態となる。
【0064】
また、特定楽曲は再変動演出の開始を契機として冒頭から継続的に出力されていたのであるから、ラウンド部に移行して視認できる状態となった特定映像と、特定楽曲はその対応関係が保たれた状態にある。つまり、特定映像はラウンド部に移行することを契機として視認可能な状態となるところ、当該特定映像と特定楽曲が「ずれた」関係にはない。
【0065】
ラウンド部においては、このまま、表示領域911に表示される特定映像が進行するとともに、それに合わせて特定楽曲も進行する。ラウンド部の終了を契機として特定映像の表示、特定楽曲の出力は停止する。エンディング部では、エンディング映像(エンディング画像レイヤ)が表示され、エンディング楽曲が出力される(
図6参照)。
【0066】
本実施形態にて、再変動演出が発生するときに各種映像(各種画像レイヤ)および楽曲(特定楽曲)を上記のように制御する理由は次の通りである。特定楽曲は、大当たり当選を祝福する楽曲として設定されている。この特定楽曲をできるだけ長く遊技者に聴かせるために(短時間で打ち切られてしまないようにするために)再変動演出から特定楽曲の出力が開始され、大当たり遊技に移行しても当該特定楽曲が継続的に出力されるようにしている。再変動演出は、少なくとも大当たりが確定した状態で発生するものであるから、遊技者を「祝福」する特定楽曲が出力されるようにしても違和感がない。なお、通常第一大当たり(いわゆる初当たり)のラウンド数が少ない場合ほど、特定楽曲が途中で打ち切られてしまう状況に至る蓋然性は高い(なお、本実施形態では、通常第一大当たりのラウンド数=3である)。これに対し、本実施形態では、再変動演出から大当たり遊技(オープニング部およびラウンド部)にかけて、特定楽曲が継続的に出力されるから、特定楽曲を聴くことができる期間として比較的長い期間が確保されることとなる。
【0067】
一方、再変動演出は、「昇格」が発生するか否かを示すものであるから、当該再変動演出中には再変動映像(「昇格」が発生するか否かを示す映像)が遊技者に視認可能となるように表示されなければならない。つまり、再変動演出では、特定楽曲に対応する映像として作成された特定映像を遊技者に視認可能となるようにそのまま出力するわけにはいかない。一方、ラウンド部の開始を契機として特定映像が冒頭から遊技者に視認可能となるように表示される設定とすると、再変動演出中から既に出力されている特定楽曲と特定映像の対応関係がずれてしまう。そのため、再変動演出およびオープニング部においては、再変動映像(再変動画像レイヤ11)およびオープニング映像(オープニング画像レイヤ12)の「裏」で、遊技者には見えない状態で特定映像(特定画像レイヤ20)が特定楽曲の進行に合わせて進行するようにし、ラウンド部に移行したときには特定楽曲に合った状態(「ずれ」が生じていない状態)で特定映像が視認可能となるようにしている。
【0068】
以下、上記本実施形態にかかる遊技機1の再変動演出発生時の制御に関する事項を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の各具体例を用いて説明する事項を複数適用した構成としてもよい。
【0069】
○第一具体例
上記実施形態では、再変動演出の開始を契機として特定楽曲が冒頭から出力されることを説明したが、再変動演出の途中の所定時点に到達することを契機として特定楽曲が冒頭から出力されるようにしてもよい。この場合には、当該所定時点に到達することを契機として特定映像(特定画像レイヤ20)が、再変動映像(再変動画像レイヤ11)の「裏」で冒頭から出力されるようにすればよい。つまり、特定楽曲の出力開始時点と、特定映像の出力開始時点(再変動映像の「裏」で出力が開始される時点)とが一致するように制御すればよい。
【0070】
また、オープニング部の開始(すなわち大当たり遊技の開始)を契機として特定楽曲が冒頭から出力されるようにしてもよい。この場合には、オープニング部の開始を契機として特定映像(特定画像レイヤ20)が、オープニング映像(オープニング画像レイヤ12)の「裏」で冒頭から出力されるようにすればよい。また、オープニング部の途中の所定時点に到達することを契機として特定楽曲が冒頭から出力されるようにしてもよい。この場合には、当該所定時点に到達することを契機として特定映像(特定画像レイヤ20)が、オープニング映像(オープニング画像レイヤ12)の「裏」で冒頭から出力されるようにすればよい。
【0071】
○第二具体例
大当たり遊技に、上述したオープニング部が設定されていない構成としてもよい。つまり、大当たり遊技の開始とともにラウンド部が開始される構成としてもよい。この場合には、大当たり遊技(ラウンド部)の開始を契機として、再変動映像(再変動画像レイヤ11)の出力が停止されることで、特定映像が視認可能な状態となる。つまり、大当たり遊技の開始時点=切替時点ということである。
【0072】
○第三具体例
上記実施形態では、ラウンド部の開始を契機として特定映像(特定画像レイヤ20)が視認可能な状態となること、すなわちラウンド部の開始時点=切替時点であることを説明したが、ラウンド部の途中に切替時点が設定された構成としてもよい。この場合には、ラウンド部の途中から特定映像(特定画像レイヤ20)が視認可能な状態となる。
【0073】
ラウンド部における一または複数の単位遊技が終了した時点を切替時点とすることが考えられる。例えば、1ラウンド目の単位遊技が終了した時点が切替時点として設定され、当該1ラウンド目の単位遊技が終了するまではオープニング映像が視認可能な状態とされ(オープニング映像が継続的に出力され)、当該1ラウンド目の単位遊技が終了することを契機として特定映像が視認可能な状態となるようにすることが考えられる(
図9参照)。この場合、1ラウンド目の単位遊技が終了することを契機としてオープニング映像(オープニング画像レイヤ12(他画像レイヤ10))の出力が停止されることで、それ以降は特定映像(特定画像レイヤ20)が視認可能な状態となる。
【0074】
単位遊技に要する時間は、遊技状況(大入賞領域906への遊技球の進入状況)に応じて変化しうる。したがって、本例のようにする場合、特定楽曲の開始時点(上記実施形態では再変動演出の開始時点)から切替時点に到達するまでの時間が変化しうることになる。このような場合であっても、他画像レイヤ10の裏で特定画像レイヤ20が出力されているのであるから、他画像レイヤ10の出力を停止すれば特定楽曲に対応した特定映像が視認可能となる(特定楽曲と特定映像のずれは生じない)。
【0075】
○第四具体例
オープニング部の途中に切替時点が設定された構成としてもよい。この場合には、オープニング部の途中から特定映像(特定画像レイヤ20)が視認可能な状態となる。オープニング部の途中まで(切替時点)は、特定画像レイヤ20よりも手前に設定されたオープニング画像レイヤ12によりオープニング映像が視認可能な状態とされる。
【0076】
○第五具体例
上記実施形態では、ラウンド部の終了を契機として特定楽曲の出力が停止されることを説明したが、そのままエンディング部に移行した後も特定楽曲の出力が継続されるものとしてもよい。特定映像(特定画像レイヤ20)は、エンディング部においても出力が継続されるようにしてもよい。ここで、上記実施形態のように、エンディング部にてエンディング映像が遊技者に視認可能となるように出力されるとするのであれば、エンディング映像を表すエンディング画像レイヤを特定画像レイヤ20よりも手前に設定すればよい。
【0077】
また、上記実施形態のように、エンディング部にてエンディング映像が遊技者に視認可能となるように出力されるのではなく、エンディング部において、特定映像が遊技者に視認可能となるように出力される構成(ラウンド部からエンディング部にかけて特定映像が視認可能な状態が維持される構成)としてもよい。
【0078】
○第六具体例
切替時点の経過後、特定映像とともに特定楽曲の情報を示す画像が表示されるようにする。当該情報を示す画像の一例としては、タイトルを含む画像(以下、タイトル画像30と称する)を挙げることができる。特定映像が視認可能な状態となるとともに、または特定映像が視認可能な状態となった直後に、上記タイトル画像30が表示されるようにする(
図10参照)。
【0079】
特定映像は再変動演出から視認できない状態で出力されているのであるから、特定映像が視認可能な状態となるのは特定映像の途中からである。一般的に、楽曲に対応する映像(いわゆるPV等)は、その冒頭にてタイトルが表示されるものであるが、特定映像の冒頭にてタイトル画像30が表示されるようにすると、再変動映像(再変動画像レイヤ11)に覆われてタイトル画像30は視認できない。よって、切替時点経過後、すなわち特定映像が視認される状態となってからタイトル画像30が表示されるようにする。
【0080】
なお、タイトル画像30を表示する手法はどのようなものであってもよい。特定画像レイヤ20と同じ画像レイヤによりタイトル画像30が表されるものとしてもよいし、特定画像レイヤ20よりも手前に設定される画像レイヤによりタイトル画像30が表されるようにしてもよい。上記実施形態のように特定楽曲の出力開始時点からラウンド部の開始時点(切替時点)までの長さが一定であるのであれば、特定映像が視認可能となる時点は決まっているから、特定映像とタイトル画像30が同じ画像レイヤにて表される構成とすることができる。一方、上記第三具体例にて説明したように特定楽曲の出力開始時点から切替時点までの長さが変化しうるのであれば、特定映像が視認可能となる時点は決まっていないから、特定映像とタイトル画像30が別の画像レイヤにて表される構成とすればよい。
【0081】
また、タイトル画像30と一緒に、その他の画像が表示されるようにしてもよい。例えば、特定楽曲の作詞者、作曲者、編曲者、歌唱者等の名前、特定映像の作成者等の名前、その他いわゆるクレジット表記がなされるようにしてもよい。
【0082】
○第七具体例
上記実施形態では、再変動演出が非昇格結末に至った場合に継続制御が実行されることを説明したが、昇格結末に至った場合にも同じように継続制御が実行されるようにしてもよい。または、昇格結末に至った場合には、上記継続制御とは異なり、次のように制御されるようにしてもよい。
【0083】
昇格結末に至った場合には、特定楽曲とは異なる特別楽曲が大当たり遊技中に出力されるようにする。このようにすることで、昇格結末に至ったこと(遊技者にとって喜ばしい事象が発生した)ことを分かりやすく示すことができる。なお、上記実施形態にて説明した通り、再変動演出中は特定楽曲が出力されるのであるから、特別楽曲を再変動演出中に出力することはできない。つまり、特別楽曲の出力を開始することができるのは、大当たり遊技(オープニング部)の開始と同時か、それ以降である。特別楽曲の出力が開始されるタイミングは種々考えられる。オープニング部の開始と同時またはオープニング部の途中から出力が開始されるものとしてもよい。また、ラウンド部の開始と同時またはラウンド部の途中から出力が開始されるものとしてもよい。
図11に示した例は、ラウンド部の開始と同時に特別楽曲が出力されるというものである。また、
図11に示した例は、オープニング部においては、専用のオープニング楽曲が出力されるというものである。
【0084】
また、特別楽曲の開始とともにそれに対応した特別映像(特別画像レイヤ)が視認可能となるように表示領域911に表示される。特別楽曲の出力を開始することができるのは、大当たり遊技(オープニング部)の開始と同時か、それ以降であるのであるから、特別映像の出力が開始されるのも大当たり遊技(オープニング部)の開始と同時か、それ以降である。
図11に示した例では、ラウンド部の開始と同時に特別楽曲の出力が開始されるのであるから、それと同時に特別映像の出力が開始される。
【0085】
上記の通り、特別楽曲は再変動演出中から出力することはできない(特定楽曲の出力開始タイミングより遅くなるのは必然である)のであるから、特別楽曲をできるだけ長く聞かせるために(短時間で打ち切られてしまないようにするために)、ラウンド部が終了した後(最後の単位遊技が終了した後)も特別楽曲が継続して出力されるようにするとよい。つまり、
図11に示すように、ラウンド部からエンディング部にかけて特別楽曲が継続して出力されるようにするとよい。特に、昇格結末に至った場合の大当たり遊技(本実施形態では特別第一大当たり)のラウンド数が、非昇格結末に至った場合の大当たり遊技(本実施形態では通常第一大当たり)のラウンド数以下であれば、ラウンド部に要する時間は前者と後者でほとんど同じ、または前者の方が後者よりも短くなるから、昇格結末に至った場合の大当たり遊技にてエンディング部でも特別楽曲が継続して出力されるようにすることの意義が大きいといえる。
【0086】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0087】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0088】
○手段1-1
第一始動領域に遊技球が進入することを契機として取得される第一抽選情報に基づき第一抽選を、第二始動領域に遊技球が進入することを契機として取得される第二抽選情報に基づき第二抽選を実行する抽選手段と、前記第一始動領域に遊技球が進入することを目指して遊技することを促す通常遊技状態、および前記第二始動領域に遊技球が進入することを目指して遊技することを促す遊技状態であって前記通常遊技状態よりも有利な特別遊技状態を設定することが可能な遊技状態設定手段と、前記第二抽選情報を所定数記憶することが可能な記憶手段と、を備え、前記第二抽選の結果として、大当たりおよび当該大当たりよりも遊技者が享受する利益が低い別当たりが設定されており、前記通常遊技状態における前記第二抽選で前記大当たりに当選する確率はPtであり、前記通常遊技状態における前記第二抽選で前記別当たりに当選する確率はPjであることを特徴とする遊技機。
ただし、前記Pjの方が前記Ptよりも高確率である。
上記遊技機によれば、特別遊技状態が終了して通常遊技状態に移行したときであっても、別当たりに当選することに期待がもてるという面白みのある遊技性が実現される。
【0089】
○手段1-2
前記大当たりに当選した場合、大入賞領域が開放される大当たり遊技が実行されるものであり、前記別当たりに当選した場合、前記大入賞領域が開放されることなく前記特別遊技状態の一種である第一特別遊技状態に移行することを特徴とする手段1-1に記載の遊技機。
このように、別当たりは、いわゆる出玉を得ることなく、第一特別遊技状態に移行するものとすることが考えられる。
【0090】
○手段1-3
前記第一特別遊技状態は、前記第二抽選にて大当たりに当選する確率が前記Ptであることを特徴とする手段1-2に記載の遊技機。
このように、別当たりは、低確率かつ高ベース状態(時短状態)に移行するものとすることができる。
【0091】
○手段1-4
前記大当たりとして、大当たり遊技終了後に前記第一特別遊技状態に移行する特定大当たりが設定されており、当該特定大当たりに当選することで前記第一特別遊技状態に移行した場合、当該第一特別遊技状態は当否抽選結果がN1回連続してはずれとなるまで継続する一方、前記別当たりに当選することで前記第一特別遊技状態に移行した場合、当該第一特別遊技状態は当否抽選結果がN2回連続してはずれとなるまで継続することを特徴とする手段1-3に記載の遊技機。
ただし、前記N1<前記N2である。
このように、特定大当たり経由で第一特別遊技状態に移行した場合よりも、別当たり経由で第一特別遊技状態に移行した場合の方が、遊技者が享受する利益が大きくなるようにすることで、別当たりの価値を高めることが可能である。
【0092】
○手段1-5
前記特別遊技状態の一種として第二特別遊技状態が設定されており、当該第二特別遊技状態は前記第二抽選にて大当たりに当選する確率がPkであることを特徴とする手段1-3または手段1-4に記載の遊技機。
ただし、前記Ptよりも前記Pkの方が高確率であり、前記Pkよりも前記Pjの方が高確率である。
このようにすることで、第二特別遊技状態における各抽選にて大当たりに当選することよりも、特別遊技状態が終了した後の通常遊技状態における各第二抽選にて別当たりに当選することの方が期待がもてる遊技性が実現される。
【0093】
○手段1-6
前記特別遊技状態の一種として前記第一特別遊技状態よりも大当たりに当選する確率が高い第二特別遊技状態が設定されており、前記第二特別遊技状態は、所定回数連続して当否抽選結果がはずれとなるまで継続するものであり、前記別当たりに当選することで移行した前記第一特別遊技状態は、前記所定回数と同じ回数連続して当否抽選結果がはずれとなるまで継続するものであることを特徴とする手段1-3から手段1-5のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、第二特別遊技状態が終了後、別当たりに当選した場合には、(実際には第一特別遊技状態に移行するものの)第二特別遊技状態を引き戻したかのような印象を与える遊技性を実現することができる。
【0094】
○手段2-1
当否抽選結果を示す装飾図柄が変動を開始してから当否抽選結果を示す態様で停止表示されるまでの報知演出を構成する演出であって、前記装飾図柄が当たりを示す当選態様で示された後、別の当選態様に変化する可能性がある再変動演出を実行する演出実行手段と、当否抽選結果が当たりとなったときに当たり遊技を実行する当たり遊技実行手段と、前記再変動演出から前記当たり遊技にかけて特定楽曲が継続的に出力される継続制御を行う楽曲制御手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、特定楽曲を長く遊技者に聴かせることが可能である。
【0095】
○手段2-2
前記特定楽曲が出力されている最中に、前記特定楽曲の旋律と映像の内容が対応づけられた特定映像を表す特定画像レイヤが表示装置に出力されるように設定されており、前記再変動演出にて前記特定楽曲が出力されている最中においては、前記特定画像レイヤよりも手前に設定される他画像レイヤが前記表示装置に出力されることで、前記特定映像が遊技者に視認できない状態とされ、前記継続制御が行われる場合、前記当たり遊技の開始または途中の切替時点にて前記他画像レイヤが出力されなくなることで、前記特定映像が遊技者に視認される状態となることを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
このようにすることで、切替時点後に遊技者に視認可能な状態となる特定映像と、切替時点に到達する前から出力されている特定楽曲がずれてしまうのが防止される。
【0096】
○手段2-3
前記再変動演出にて、前記他画像レイヤとして当該再変動演出の映像を表すものが出力されることを特徴とする手段2-2に記載の遊技機。
○手段2-4
前記当たり遊技の開始から前記切替時点まで、前記他画像レイヤとして当該当たり遊技のオープニングを表すものが出力されることを特徴とする手段2-2または手段2-3に記載の遊技機。
他画像レイヤにより表される映像としては、再変動演出の映像やオープニング映像を例示することができる。
【0097】
○手段2-5
前記切替時点の経過後、前記特定映像とともに前記特定楽曲のタイトルを含む画像が表示されることを特徴とする手段2-2から手段2-4のいずれかに遊技機。
特定映像の冒頭は再変動演出中であって遊技者に視認できない状態にあるから、切替時点の経過後に特定楽曲のタイトルを含む画像が表示されるようにするとよい。
【0098】
○手段2-6
前記再変動演出が遊技者に有利な昇格結末に至らなかった場合には、前記継続制御が実行される一方、前記昇格結末に至った場合には、前記当たり遊技中に前記特定楽曲とは異なる特別楽曲が出力されることを特徴とする手段2-1から手段2-5のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、昇格結末に至った場合とそうでない場合の違いが明確になる。
【0099】
○手段2-7
前記当たり遊技は、閉鎖条件が成立するまで所定の入賞領域が開放される単位遊技が複数回実行されるものであり、前記特定楽曲は、最後の前記単位遊技が終了することを契機として出力が停止される一方、前記特別楽曲は、最後の前記単位遊技が終了した後も継続的に出力されることを特徴とする手段2-6に記載の遊技機。
特定楽曲が再変動演出中に出力されるものとした場合、特別楽曲を再変動演出中に出力することができない。よって、特別楽曲を比較的長い時間聴かせるために、最後の単位遊技が終了した後も特別楽曲が継続して出力されるようにするとよい。
【符号の説明】
【0100】
1 遊技機
10 他画像レイヤ(11 再変動画像レイヤ 12 オープニング画像レイヤ)
20 特定画像レイヤ
30 タイトル画像
60 スピーカ
80 装飾図柄
90 遊技盤
902 遊技領域
904 始動領域
(904a 第一始動領域 904b 第二始動領域)
91 表示装置
911 表示領域