(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】測定器具補助具
(51)【国際特許分類】
G01B 3/20 20060101AFI20230106BHJP
【FI】
G01B3/20 101Z
(21)【出願番号】P 2022160403
(22)【出願日】2022-10-04
【審査請求日】2022-10-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504436468
【氏名又は名称】東将精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】猪瀬 寿男
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-129690(JP,A)
【文献】特開昭54-158957(JP,A)
【文献】特開昭63-070101(JP,A)
【文献】実公平07-038803(JP,Y2)
【文献】米国特許第06263585(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/18- 3/22
G01B 5/00
G01B 21/00
G01D 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定器具を固定することで、その測定を補助する測定器具補助具であって、
スタンドと、前記測定器具を挟持固定可能に形成されたクランプと、を備え、
前記スタンドは、被測定物載置面を含むベースと、前記ベースに立設された支柱と、を有し、
前記支柱は、前記被測定物載置面から垂直に伸びるように配置され、
前記クランプは、前記測定器具を嵌入可能な溝状に形成された挟持部と、前記支柱への固定手段と、を有する
とともに、前記支柱に固定された状態で、前記支柱から垂直に伸びるように形成され、
前記挟持部は、前記測定器具が嵌入された状態で、前記測定器具の測定方向と前記被測定物載置面とが垂直になるように形成されている
とともに、ノギスを嵌入可能に形成され、前記クランプが前記支柱から伸びる方向に対して垂直になるように形成された複数の溝側面を含む、測定器具補助具。
【請求項2】
第一の前記溝側面は、前記挟持部に前記ノギスが嵌入された状態で、前記ノギスの面に面接触されるように形成され、
第二の前記溝側面は、前記挟持部に前記ノギスが嵌入された状態で、前記ノギスの角に線接触されるように形成されている、
請求項1に記載の測定器具補助具。
【請求項3】
第三の前記溝側面は、前記挟持部に前記ノギスが嵌入された状態で、前記ノギスの面に面接触されるように形成され、
前記第一の溝側面と前記第三の溝側面は、前記挟持部に前記ノギスが嵌入された状態で、前記ノギスの異なる面に接触されるように形成されている、
請求項2に記載の測定器具補助具。
【請求項4】
第三の前記溝側面は、前記挟持部に前記ノギスが嵌入された状態で、前記ノギスの角に線接触するように形成され、
前記第二の溝側面と前記第三の溝側面は、前記挟持部に前記ノギスが嵌入された状態で、前記ノギスの異なる角に接触されるように形成されている、
請求項2に記載の測定器具補助具。
【請求項5】
測定器具を固定することで、その測定を補助する測定器具補助具であって、
スタンドと、前記測定器具を挟持固定可能に形成されたクランプと、を備え、
前記スタンドは、被測定物載置面を含むベースと、前記ベースに立設された支柱と、を有し、
前記クランプは、前記測定器具を嵌入可能な溝状に形成された挟持部と、前記支柱への固定手段と、を有し、
前記挟持部は、前記測定器具が嵌入された状態で、前記測定器具の測定方向と前記被測定物載置面とが垂直になるように形成される
とともに、ノギスを嵌入可能に形成され、
前記クランプと協働して前記測定器具を挟持固定可能なホルダーを備え、
前記ホルダーは、前記挟持部に嵌入可能に形成されている被挟持部と、前記測定器具に嵌合するように形成された直接挟持部と、を有する、測定器具補助具。
【請求項6】
前記直接挟持部は、ダイヤルゲージに嵌合するように形成されている、
請求項5に記載の測定器具補助具。
【請求項7】
測定器具を固定することで、その測定を補助する測定器具補助具であって、
スタンドと、前記測定器具を挟持固定可能に形成されたクランプと、を備え、
前記スタンドは、被測定物載置面を含むベースと、前記ベースに立設された支柱と、を有し、
前記クランプは、前記測定器具を嵌入可能な溝状に形成された挟持部と、前記支柱への固定手段と、を有し、
前記挟持部は、前記測定器具が嵌入された状態で、前記測定器具の測定方向と前記被測定物載置面とが垂直になるように形成され、
前記クランプは、前記支柱への固定手段が設けられたアームと、前記アームと別体に構成されたアームクランプと、を有し、
前記アームと前記アームクランプは、締結手段で締結されることで、前記測定器具を挟持固定可能である、測定器具補助具。
【請求項8】
前記アーム及び前記アームクランプは、一方が凸面状に形成された凸軸部を、他方が凹面状に形成された凹軸部を含むように形成され、
前記凸軸部と前記凹軸部は、前記測定器具が前記クランプに挟持固定された状態で、互いに当接されるように形成されている、
請求項7に記載の測定器具補助具。
【請求項9】
前記凸軸部及び前記凹軸部は、略円弧面状に形成されている、
請求項8に記載の測定器具補助具。
【請求項10】
測定器具を固定することで、その測定を補助する測定器具補助具であって、
スタンドと、前記測定器具を挟持固定可能に形成されたクランプと、を備え、
前記スタンドは、被測定物載置面を含むベースと、前記ベースに立設された支柱と、を有し、
前記クランプは、前記測定器具を嵌入可能な溝状に形成された挟持部と、前記支柱への固定手段と、を有し、
前記挟持部は、前記測定器具が嵌入された状態で、前記測定器具の測定方向と前記被測定物載置面とが垂直になるように形成され、
前記支柱への固定手段は、前記支柱に嵌合するように形成された挿入孔を含み、
前記挿入孔は、複数設けられている、測定器具補助具。
【請求項11】
測定器具を固定することで、その測定を補助する測定器具補助具であって、
スタンドと、前記測定器具を挟持固定可能に形成されたクランプと、を備え、
前記スタンドは、被測定物載置面を含むベースと、前記ベースに立設された支柱と、を有し、
前記クランプは、前記測定器具を嵌入可能な溝状に形成された挟持部と、前記支柱への固定手段と、を有し、
前記挟持部は、前記測定器具が嵌入された状態で、前記測定器具の測定方向と前記被測定物載置面とが垂直になるように形成され、
前記支柱への固定手段は、前記クランプを、前記クランプが前記支柱から伸びる方向を軸として回転させて固定可能である、測定器具補助具。
【請求項12】
測定器具を固定することで、その測定を補助する測定器具補助具であって、
スタンドと、前記測定器具を挟持固定可能に形成されたクランプと、を備え、
前記スタンドは、被測定物載置面を含むベースと、前記ベースに立設された支柱と、を有し、
前記クランプは、前記測定器具を嵌入可能な溝状に形成された挟持部と、前記支柱への固定手段と、を有し、
前記挟持部は、前記測定器具が嵌入された状態で、前記測定器具の測定方向と前記被測定物載置面とが垂直になるように形成され、
前記支柱への固定手段は、前記クランプを、前記支柱が前記被測定物載置面から伸びる方向を軸として回転自在となるように固定可能である、測定器具補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定器具の固定に供する、測定器具補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機械工作などの現場では、設計通りの寸法が得られているかを確認するための寸法測定が行われる。
【0003】
この寸法測定には、測定箇所や測定精度に対して好適な測定器具が用いられる。
【0004】
その一例として、ノギスは、外側幅、内側幅、段差、及び深さといった箇所を測定することができ、また、分解能が小さい(例えば、0.01ミリメートル)ため、しばしば好適に用いられる。
【0005】
ノギスは、目盛を備える本尺と、同様に目盛を備え、本尺に沿って平行移動可能な副尺と、で構成されている。
【0006】
上記の構成によって、ノギスは、本尺目盛及び副尺目盛によって、本尺と副尺との相対位置を示すことができる。
【0007】
また、ノギスの本尺及び副尺には、外側用ジョウ及び内側用ジョウが設けられている。
【0008】
ノギスは、被測定物の外側を外側用ジョウで挟むことで、被測定物の外側幅を測定することができる。また、ノギスは、被測定物の内側を内側用ジョウで突っ張ることで、被測定物の内側幅を測定することができる。
例えば、被測定物が円筒形であれば、その外径を外側用ジョウで、その内径を内側用ジョウで、それぞれ測定することができる。
【0009】
さらに、ノギスは、被測定物の低部に本尺の外側用ジョウの外側面を、高部に副尺の内側用ジョウの内側面を当接させることで、被測定物の低部と高部との相対位置、すなわち、被測定物の段差を測定することができる。
【0010】
また、ノギスの副尺には、デプスバーが設けられている。
【0011】
上記の構成によって、ノギスは、被測定物の下底部にデプスバーの端部を、上底部に本尺の端部を当接させることで、被測定物の下底部と上底部の相対位置、すなわち、被測定物の深さを測定することができる。
【0012】
また、副尺目盛に代えて液晶表示部が設けられているノギス(デジタルノギス)も、しばしば好適に用いられる。
デジタルノギスは、静電容量測定から、本尺と副尺との相対位置を液晶表示部に示すことができる。また、測定の正確性の担保のため、液晶表示部には、その示す値の零点をリセットできる零点リセット機能が付与されている。
【0013】
しかし、このようなノギスを用いた深さ測定には、測定者のノギスを持つ手の僅かな揺れによってデプスバーの位置がずれたり、荷重によってデプスバーが変形したりすることで、測定精度が損なわれるという問題がある。
すなわち、ノギスを用いた深さ測定において、その測定精度は測定者の技量に大きく依存しているのが実状である。
【0014】
ところで、特許文献1には、ノギスを固定するボルトと、ノギスに嵌合する嵌着溝を備える、マイクロメーター用スタンドが記載されている。
【0015】
特許文献1の記載によれば、このようなスタンドは、ノギスが嵌着溝に嵌入され、ボルトで挟持固定されることで、測定精度を確保することができる。
【0016】
しかし、このようなスタンドは、外側幅測定や内側幅測定が想定されていることから、ノギスが縦に固定されるものでなく、以て、深さ測定には不適なものである。
【0017】
また、特許文献2には、台座本体と、測定針を有する固定部材と、を備え、台座本体は、ノギスを挿入可能な嵌入溝を有する、測定装置が記載されている。
【0018】
特許文献2の記載によれば、このような測定装置は、ノギスが嵌入溝に嵌入され、そのまま台座本体に対して垂直に支持され、また、ノギスの副尺の外側用ジョウに測定針を有する固定部材が固定されることで、デプスバーの代わりに測定針を用いた深さ測定を行うことができ、以て、深さ測定の測定精度を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】実公平3-51684号公報
【文献】特許第5417119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかし、このような測定装置は、固定部材がノギスの副尺の外側用ジョウに固定されるものである。そのため、ノギスが深さ測定と外側幅測定の両方に用いられる場合、その都度、固定部材を取り付けたり取り外したりしなければならない。
これでは、ノギスの本来の利点である、測定箇所の多種性が損なわれている。
【0021】
また、このような測定装置は、外側用ジョウを利用して深さ測定を行うものであるため、外側用ジョウで挟むことができない被測定物には、深さ測定を行うことができない。
【0022】
また、このような測定装置は、所定の長さの測定針で深さ測定を行うものであるため、測定針の長さを超える深さには、その測定を行うことができない。
【0023】
以上の実状に鑑み、本発明は、測定器具を利用する測定を、簡便に精度よく行うことができる測定器具補助具を提供することを課題とし、これを解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記課題を解決するために、本発明の一つは、測定器具を固定することで、その測定を補助する測定器具補助具であって、
スタンドと、測定器具を挟持固定可能に形成されたクランプと、を備え、
スタンドは、被測定物載置面を含むベースと、ベースに立設された支柱と、を有し、
クランプは、測定器具を嵌入可能な溝状に形成された挟持部と、支柱への固定手段と、を有し、
挟持部は、測定器具が嵌入された状態で、測定器具の測定方向と被測定物載置面とが垂直になるように形成されている、測定器具補助具である。
【0025】
上記の構成によって、本発明は、測定器具を挟持部に嵌入しながら挟持固定することで、測定器具の測定方向を好適に維持し、以て、測定を簡便に精度よく行うことができる。
【0026】
この本発明において、挟持部は、ノギスを嵌入可能に形成されていることが、好ましい。
【0027】
上記の構成によって、本発明は、ノギスのデプスバーを用いた深さ測定を、簡便に精度よく行うことができるとともに、複数の測定点に対して連続的に測定を行うことができる。
【0028】
この本発明において、支柱は、被測定物載置面から垂直に伸びるように配置され、
クランプは、支柱に固定された状態で、支柱から垂直に伸びるように形成されていることが、さらに好ましい。
【0029】
上記の構成によって、本発明は、挟持部にノギスが嵌入された状態で、ノギスのデプスバーの方向と被測定物載置面とが垂直になるように形成することが容易となる。
【0030】
この本発明において、挟持部は、クランプが支柱から伸びる方向に対して垂直になるように形成された複数の溝側面を含むことが、さらに好ましい。
【0031】
上記の構成によって、本発明は、ノギスのデプスバーの方向と被測定物載置面とが垂直になることを担保することができる。
【0032】
この本発明において、第一の溝側面は、挟持部にノギスが嵌入された状態で、ノギスの面に面接触されるように形成され、
第二の溝側面は、挟持部にノギスが嵌入された状態で、ノギスの角に線接触されるように形成されていることが、さらに好ましい。
【0033】
上記の構成によって、本発明は、ノギスのデプスバーの方向と被測定物載置面とが常に垂直になるように、ノギスを固定することができる。また、ノギスそのものの寸法によらず、ノギスを好適に固定することができる。
【0034】
この本発明において、第三の溝側面は、挟持部にノギスが嵌入された状態で、ノギスの面に面接触されるように形成され、
第一の溝側面と第三の溝側面は、挟持部にノギスが嵌入された状態で、ノギスの異なる面に接触されるように形成されていることが、さらに好ましい。
【0035】
上記の構成によって、本発明は、ノギスのデプスバーの方向と被測定物載置面とが常に垂直になるように、ノギスを強固に固定することができる。
【0036】
この本発明において、あるいは、第三の溝側面は、挟持部にノギスが嵌入された状態で、ノギスの角に線接触するように形成され、
第二の溝側面と第三の溝側面は、挟持部にノギスが嵌入された状態で、ノギスのことなる異なる角に接触されるように形成されていることが、さらに好ましい。
【0037】
上記の構成によって、本発明は、ノギスのデプスバーの方向と被測定物載置面とが常に垂直になるように、ノギスを強固に固定することができる。
【0038】
この本発明において、測定器具補助具は、さらに、クランプと協働して測定器具を挟持固定可能なホルダーを備え、
ホルダーは、挟持部に嵌入可能に形成された被挟持部と、測定器具に嵌合するように形成された直接挟持部と、を有することが、好ましい。
【0039】
上記の構成によって、本発明は、測定器具そのものの寸法に応じて、ホルダーの直接挟持部を形成することで、スタンド及びクランプの構成を変更せずとも、多種の測定器具を挟持固定することができる。
【0040】
この本発明において、直接挟持部は、ダイヤルゲージに嵌合するように形成されていることが、さらに好ましい。
【0041】
上記の構成によって、本発明は、ダイヤルゲージを用いた平面度測定を、簡便に精度よく行うことができる。
【0042】
この本発明において、クランプは、支柱への固定手段が設けられたアームと、アームと別体に構成されたアームクランプと、を有し、
アームとアームクランプは、締結手段で締結されることで、測定器具を挟持固定可能であることが、好ましい。
【0043】
上記の構成によって、本発明は、アームとアームクランプで測定器具を挟持固定可能であるとともに、締結手段を僅かに緩めることでアームクランプを動かし、測定器具を簡便に取り外すことができる。
【0044】
この本発明において、アーム及びアームクランプは、一方が凸面状に形成された凸軸部を、他方が凹面状に形成された凹軸部を含むように形成され、
凸軸部と凹軸部は、測定器具がクランプに挟持固定された状態で、互いに当接されるように形成されていることが、さらに好ましい。
【0045】
上記の構成によって、本発明は、凸軸部と凹軸部が好適に接触されることで、測定器具の測定方向を好適に維持することができる。
【0046】
この本発明において、凸軸部及び凹軸部は、略円弧面状に形成されていることが、さらに好ましい。
【0047】
上記の構成によって、本発明は、測定器具そのものの寸法に応じて、凸軸部と凹軸部が好適に接触されることで、測定器具の測定方向をさらに好適に維持することができる。
【0048】
この本発明において、支柱への固定手段は、複数設けられていることが、好ましい。
【0049】
上記の構成によって、本発明は、被測定物の形状に応じて、好適な一の固定手段を用いて測定を行うことができる。
【0050】
この本発明において、また、支柱への固定手段は、クランプを、クランプが支柱から伸びる方向を軸として回転させて固定可能であることが、好ましい。
【0051】
上記の構成によって、本発明は、被測定物載置面に対して垂直でない方向の深さ測定を行うことができる。
【0052】
この本発明において、また、支柱への固定手段は、クランプを、支柱が被測定物載置面から伸びる方向を軸として回転自在となるように固定可能であることが、好ましい。
【0053】
上記の構成によって、本発明は、測定点を容易に変更して測定することができる。特に、ダイヤルゲージを用いた平面度測定の場合、ダイヤルゲージを簡便に水平移動させることができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明は、測定器具を利用する測定を、簡便に精度よく行うことを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】本発明の実施形態に係る測定器具補助具の全体の斜視図である。
【
図2】
図1に記載のスタンドのP-P線断面図である。
【
図3】
図1に記載のクランプのQ-Q線断面図である。
【
図4】
図3に記載の第一挟持部及び第二挟持部の拡大図である。
【
図5】
図1に記載のクランプの変更例の断面図である。
【
図6】
図1に記載のクランプの他の変更例の断面図である。
【
図7】
図6に記載のクランプのR-R線断面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る測定器具補助具の使用方法を説明するための側面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る測定器具補助具の使用方法を説明するための側面図である。
【
図10】本発明の実施形態の変更例に係る測定器具補助具の全体の斜視図である。
【
図11】
図10に記載のクランプ及びホルダーのS-S線断面図である。
【
図12】本発明の実施形態の変更例に係る測定器具補助具を構成するホルダーの斜視図である。
【
図13】
図10に記載の上下ストッパーのT-T線断面図である。
【
図14】本発明の実施形態の変更例に係る測定器具補助具の使用方法を説明するための側面図である。
【
図15】本発明の実施形態の変更例に係る測定器具補助具の使用方法を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明の実施形態について、
図1~15を用いながら説明する。
なお、本発明は、他の実施形態においても実施可能である。
【0057】
以下、符号Xは、本発明の実施形態に係る測定器具補助具を示すものとする。
その他、符号Aは、測定器具補助具Xにて挟持固定されるノギスを、符号A1は、ノギスAを構成するデプスバーを、符号Bは、測定器具補助具Xにて挟持固定されるダイヤルゲージを、符号B1は、ダイヤルゲージBを構成するステムを、符号B2は、ダイヤルゲージBを構成する測定子を、符号Cは、ノギスAで測定される被測定物を、符号Dは、ダイヤルゲージBで測定される被測定物を、それぞれ示すものとする。
【0058】
以下、ノギスAでは、ノギスAの本尺目盛が描画されている側を前側として前後を定義し、また、デプスバーが伸びる向きを下向きとして上下左右を定義する。
【0059】
まず、測定器具補助具Xの構成について、
図1~7を用いながら説明する。
【0060】
図1に記載のように、測定器具補助具Xは、スタンド1と、クランプ2と、を備える。
【0061】
スタンド1は、ベース11と、支柱12と、を有する。
【0062】
ベース11は、盤状に形成されたベース盤111を有する。なお、ベース盤111の盤面の形状は、円や楕円、多角形など、任意の形状から選択される。
【0063】
ベース盤111の素材としては、ベース11の安定性の確保のために、金属素材や石材などから選択されることが、好ましく、硬鋼が選択されることが、さらに好ましい。
【0064】
ベース盤111の上盤面は、測定精度の維持のために、可能な限り高い平面度を有することが、好ましい。また、その平面度は、周知の定盤の平面度と同程度であることが、さらに好ましい。
ただし、リンギング防止のための僅かな凹みが、適宜設けられていてもよい。
【0065】
ベース盤111の下盤面には、ベース11の安定性の確保のために、3~4本程度の短尺の足が設けられていることが、好ましい。また、ベース11の足は、長さ調節が可能であることが、さらに好ましい。
【0066】
詳述すれば、
図2に記載のように、ベース11の足には、ナット112と、全ネジ113と、が用いられる。また、ベース盤111の下盤面には、ネジ穴114が設けられている。
これによって、使用者は、ネジ穴114に全ネジ113の一端を螺入し、全ネジ113の他端にナット112を螺入することで、その螺入量を調節して、ベース11の足の長さを調節することができる。
【0067】
支柱12は、長尺の円柱形に形成されている。なお、支柱12は、角柱など、任意の断面の柱体に形成されていてもよい。
【0068】
支柱12の素材としては、金属素材などから選択されることが、好ましく、ステンレス鋼が選択されることが、さらに好ましい。
【0069】
支柱12の側面は、クランプ2との過度な摩擦の防止のために、十分に研磨されていることが、好ましい。
【0070】
支柱12は、ベース盤111の上盤面から可能な限り垂直に伸びるようにして、ベース11に連結されている。
【0071】
詳述すれば、
図2に記載のように、支柱12は、支柱主部121と、支柱端部122と、で構成され、支柱端部122は、支柱主部121より細く形成されているとともに、その少なくとも一部に雄ネジが切られている。また、ベース盤111の上盤面から下盤面に渡って垂直に、支柱端部122が嵌合する貫通孔115が設けられている。
これによって、使用者は、貫通孔115に支柱端部122を上方から挿入し、下方に突き出た支柱端部122の雄ネジにナット112を螺入することで、ベース盤111の盤面を支柱主部121とナット112で挟持するようにして、支柱12をベース11に連結することができる。
【0072】
クランプ2は、アーム21と、アームクランプ22と、を有する。
なお、アーム21とアームクランプ22は、別体に構成されている。
【0073】
アーム21及びアームクランプ22の素材としては、金属素材などから選択されることが、好ましく、硬鋼が選択されることが、さらに好ましい。
【0074】
図3に記載のように、アーム21は、凸軸部211と、第一挟持部212と、を含むように形成されている。また、アームクランプ22は、凹軸部221と、第二挟持部222と、を含むように形成されている。なお、アーム21及びアームクランプ22に対し、凸軸部211と凹軸部221は、逆に設けられていてもよく、また、第一挟持部212と第二挟持部222は、逆に設けられていてもよい。
【0075】
凸軸部211及び凹軸部221は、クランプ2の中間部に配置されるように形成されている。
【0076】
凸軸部211及び凹軸部221は、凹凸の関係を除き略同一の形状であることが、好ましく、その形状が略円弧面状であることが、さらに好ましい。
これによって、アーム21とアームクランプ22は、凸軸部211及び凹軸部221で当接されることで係合し、クランプ2は、全体として細長の略直方体に収まるような形状となる。
【0077】
第一挟持部212及び第二挟持部222は、クランプ2の端部に配置されるように形成されている。このとき、互いに所定の間隔が空くように形成されていることが、好ましい。
【0078】
第一挟持部212及び第二挟持部222は、アーム21とアームクランプ22が係合した状態で、ノギスAを嵌入可能に形成されている。このとき、ノギスAの測定方向に垂直な断面が略長方形であるから、第一挟持部212及び第二挟持部222は、ノギスAを表裏自在に嵌入可能である。
【0079】
詳述すれば、
図4に記載のように、第一挟持部212は、側面fと、側面gと、側面hと、によって溝状に形成されている。また、第二挟持部222は、側面iと、側面jと、側面kと、によって溝状に形成されている。
【0080】
ノギスAの右部は、側面f及び側面hに挟持されるようにして、第一挟持部212に嵌入される。
このとき、側面fは、ノギスAの後面に面接触される。また、側面hは、側面fに対して傾斜するように形成されていることで、ノギスAの右部の前側の角に当接される。
ノギスAの厚さが小さい場合(図中、破線)は、側面hの代わりに側面gが、ノギスAの右面に面接触される。このとき、側面gは、側面fに対して可能な限り垂直に形成されていることで、ノギスAの右部の後側の角に沿うように接触される。
【0081】
ノギスAの左部は、側面i及び側面kに挟持されるようにして、第二挟持部222に嵌入される。
このとき、側面iは、側面fに対して可能な限り同一平面状に配置されるように形成されていることで、ノギスAの後面に面接触される。また、側面kは、側面iに対して傾斜するように形成されていることで、ノギスAの左部の前側の角に当接される。
ノギスAの厚さが小さい場合であっても上記の状態となるように、側面jは、ノギスAの想定される厚さよりも狭い幅に形成されていることが、好ましい。
【0082】
以上の構成によって、第一挟持部212及び第二挟持部222においては、ノギスAが嵌入された状態で、側面fと側面iの少なくとも一方が第一の接触面、側面kが第二の接触面、側面g又は側面hが第三の接触面となる。
これによって、ノギスAは、側面h及び側面k、又は側面kのみによって前面から後面への向きに押圧されることで、側面fと側面iの少なくとも一方に沿うように押圧固定される。
【0083】
また、ノギスAの後面に設けられた構成が引っかからないための回避部23が、第一挟持部212及び第二挟持部222に併設されていることが、好ましい。
【0084】
アーム21とアームクランプ22は、締結手段24にて、調節可能に締結される。
【0085】
詳述すれば、
図3に記載のように、締結手段24は、アーム21及びアームクランプ22に、互いに連通するように形成された貫通孔241及びネジ孔242と、キャップボルト243(図中、緩めた状態で記載)と、を含む。
これによって、使用者は、キャップボルト243を、貫通孔241を介してネジ孔242に螺入することで、その螺入量を調節して、アーム21とアームクランプ22の締結の程度を調節することができる。
なお、貫通孔241は、ネジ孔242と同様、ネジ孔であってもよい。
【0086】
クランプ2は、固定手段25にて、支柱12に着脱可能に固定される。
【0087】
詳述すれば、
図3に記載のように、固定手段25は、支柱12に嵌合するように、アーム21の端部に形成された挿入孔251と、挿入孔251に併設された隙間252と、隙間252を介して互いに連通するように形成された貫通孔253及びネジ孔254と、キャップボルト255(図中、緩めた状態で記載)と、を含む。
これによって、使用者は、クランプ2を、挿入孔251を介して支柱12に挿入し、キャップボルト255を、貫通孔253を介してネジ孔254に螺入することで、挿入孔251の内面を支柱12の側面に押し付けることができる。そのため、キャップボルト255の螺入量を調節して、クランプ2を支柱12に着脱可能に固定することができる。
なお、貫通孔253は、ネジ孔254と同様、ネジ孔であってもよい。
【0088】
挿入孔251を構成している面は、第一挟持部212及び第二挟持部222を構成している面に対して可能な限り平行になるように形成されている。
【0089】
詳述すれば、クランプ2は、支柱12が伸びる方向に対して可能な限り垂直になるように配置され、挿入孔251を構成している面と、第一挟持部212及び第二挟持部222を構成している面の両方が、クランプ2が支柱12から伸びる方向に対して可能な限り垂直になるように形成されている。
これによって、ノギスAの測定方向が、支柱12の軸方向に平行である、すなわち、ベース盤111の上盤面に垂直であることが担保される。
【0090】
クランプ2の変更例として、
図5に記載のように、固定手段25が複数設けられていてもよい。このとき、隙間252は、複数の挿入孔251に渡って形成されてもよい。
【0091】
この例では、被測定物の形状に応じて、好適な一の固定手段25を用いることができる。
【0092】
クランプ2の他の変更例として、
図6及び7に記載のように、固定手段25が、アーム21と別体に構成された固定補助手段26に設けられていてもよい。
【0093】
詳述すれば、固定補助手段26は、長尺の柱形に形成されたアーム固定マスト261と、アーム固定マスト261に嵌合するように、アーム21の端部に形成された挿入穴262と、位置決めピン263と、二つの固定手段25が、その挿入孔251が可能な限り垂直になるように設けられた支柱クランプ264と、を含む。
これによって、使用者は、まず、挿入穴262にアーム固定マスト261を挿入し、位置決めピン263で固定する。そして、アーム固定マスト261を、第一の固定手段25で支柱クランプ264に固定するとともに、支柱クランプ264を、第二の固定手段25で支柱12に固定することで、クランプ2を支柱12に着脱可能に固定することができる。
【0094】
この例では、被測定物の形状に応じて、アーム固定マスト261の支柱クランプ264への固定位置を調節することができる。
また、アーム固定マスト261が円柱形に形成されている場合、挿入孔251に挿入されたアーム固定マスト261が回転されることで、ベース11の上盤面に対して垂直でない方向の深さ測定を行うことができる。このとき、アーム固定マスト261の側面には、その軸方向に沿ったケガキ線などの直線が描かれるとともに、支柱クランプ264の側面には、第一の固定手段25の挿入孔251の周部を囲うように、角度決定用の目盛265が設けられることが、好ましい。
また、アーム固定マスト261が三角柱や四角柱などの角柱形や楕円柱形に形成されている場合、挿入孔251に挿入されたアーム固定マスト261は回転できないことで、ノギスAの測定方向が維持される。
【0095】
次に、測定器具補助具Xの使用方法について、
図8及び9を用いながら説明する。
【0096】
まず、使用者は、スタンド1を机上など(図示せず)に載置する。
このとき、机上などは可能な限り水平であることが好ましく、また、ベース盤111の上盤面は、足の長さ調整にて可能な限り水平とすることが好ましい。
【0097】
次に、使用者は、固定手段25を用いて、クランプ2を支柱12に固定する。
【0098】
次に、使用者は、アーム21とアームクランプ22とを、凸軸部211と凹軸部221とで係合させながら、締結手段24を用いて締結する。
なお、当該工程では、アーム21とアームクランプ22とを完全には締結せず、アームクランプ22を相応に自由に動かせる状態にしておく。
【0099】
次に、使用者は、デプスバーA1を略鉛直下方に向けながら、ノギスAを第一挟持部212及び第二挟持部222に嵌入する。
【0100】
当該工程において、使用者は、ノギスAの右部を第一挟持部212に嵌入し、アームクランプ22を動かしながら、ノギスAの左部を第二挟持部222に嵌入する。
または、使用者は、ノギスAを、第一挟持部212及び第二挟持部222に、その上方から挿入してもよい。
【0101】
次に、使用者は、アーム21とアームクランプ22とを、締結手段24を用いて完全に締結することで、ノギスAを所望の位置にて固定する。
【0102】
そして、使用者は、被測定物Cをベース11の上盤面に載置して、深さ測定を行う。例として、被測定物Cは、貫通孔(図中、破線)を有する構造物とする。
【0103】
当該工程において、
図8及び9に記載のように、使用者は、被測定物Cの貫通孔の上端部と下端部において、デプスバーA1の端部(図中、実線)を当接し、ノギスAの示す値を得、それぞれの値の差分をとることで、被測定物Cの貫通孔の深さの測定値を得る。
または、ノギスAがデジタルノギスである場合、使用者は、被測定物Cの上底部又は下底部の一方にデプスバーA1の端部を当接し、零点リセット機能にて液晶表示部が示す値をゼロとし、その後、被測定物Cの上底部又は下底部のもう一方にデプスバーA1の端部を当接し、液晶表示部が示す値を得、その絶対値をとることで、被測定物Cの貫通孔の深さの測定値を得る。
【0104】
このとき、複数の深さを測定したい場合であっても、各測定点にデプスバーA1の端部を当接し、ノギスAの示す値を得ることのみにより、簡便かつ迅速に複数の深さを測定することができる。
【0105】
最後に、測定器具補助具Xの変更例の構成及び使用方法について、
図10~15を用いながら説明する。
【0106】
図10に記載のように、測定器具補助具Xは、さらに、測定器具を挿入可能であるホルダー3を備える。
なお、本実施形態の変更例では、固定される測定器具として、平面度測定に供するダイヤルゲージBが選択されている。
【0107】
図11及び12に記載のように、ホルダー3は、第一挟持部212及び第二挟持部222に嵌入可能に形成された被挟持部31と、ステムB1を挟持する直接挟持部32と、を有する。
【0108】
直接挟持部32は、ステムB1が嵌合する挿入孔321と、挿入孔321に併設されるとともに、被挟持部31に形成された隙間322と、を含む。
これによって、被挟持部31が挟持されることで、隙間322が狭まり、挿入孔321の内面をステムB1の側面に押し付けることができる。
【0109】
また、
図13に記載のように、固定手段25が、アーム21と別体に構成された上下ストッパー27に設けられ、アーム21の固定手段の代わりに用いられることが、好ましい。
【0110】
詳述すれば、使用者は、まず、上下ストッパー27を、固定手段25で支柱12に固定する。そして、アーム21を、挿入孔251を介して支柱12に挿入し、上下ストッパー27に載置するようにして配置する。ここで、アーム21の固定手段25は、支柱12への固定に用いられないことが、好ましい。
【0111】
この例では、アーム21が支柱12の軸方向に対して回転自在となり、測定点を容易に変更することができる。
なお、この例は、先述のクランプ2のすべての変更例に用いることができる。
【0112】
ダイヤルゲージBでの平面度測定において、まず、使用者は、測定子B2を略鉛直下方に向けながら、直接挟持部32にステムB1を挿入する。
【0113】
次に、使用者は、ダイヤルゲージBが挿入されたホルダー3を、ノギスAの代わりに、第一挟持部212及び第二挟持部222に嵌入し、締結手段24を用いて挟持固定する。
【0114】
当該工程において、使用者は、被挟持部31の一端を第一挟持部212に嵌入し、アームクランプ22を動かしながら、被挟持部31の他端を第二挟持部222に嵌入する。
【0115】
そして、使用者は、被測定物Dをベース盤111の上盤面に載置して、平面度測定を行う。例として、被測定物Dは、円盤状の構造物とする。
【0116】
当該工程において、
図14及び15に記載のように、使用者は、被測定物Dの上盤面に測定子B2の端部を当接し、クランプ2を支柱12の軸方向に対して回転させることで(図中、細破線矢印)、ダイヤルゲージBを水平に移動させ、被測定物Dの上盤面の平面度を得る。
【0117】
なお、本実施形態及びその変更例において、各構成及びその寸法、形状、配置などの各要素について、以上に詳述したものは一例であって、これらは設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0118】
X 測定器具補助具
1 スタンド
11 ベース
12 支柱
2 クランプ
21 アーム
211 凸軸部
212 第一挟持部
22 アームクランプ
221 凹軸部
222 第二挟持部
24 締結手段
25 固定手段
3 ホルダー
31 被挟持部
32 直接挟持部
A ノギス
A1 デプスバー
B ダイヤルゲージ
B1 ステム
B2 測定子
【要約】
【課題】
測定器具を利用する測定を、簡便に精度よく行うことができる測定器具補助具を提供する。
【解決手段】
測定器具(ノギスA)を固定することで、その測定を補助する測定器具補助具Xであって、スタンド1と、測定器具を挟持固定可能に形成されたクランプ2と、を備え、スタンド1は、被測定物載置面を含むベース11と、ベース11に立設された支柱12と、を有し、クランプ2は、測定器具を嵌入可能な溝状に形成された挟持部(第一挟持部212及び第二挟持部222)と、支柱12への固定手段(固定手段25)と、を有し、挟持部は、測定器具が嵌入された状態で、測定器具の測定方向と被測定物載置面とが垂直になるように形成されている、測定器具補助具Xを提供する。
【選択図】
図1