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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20230106BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20230106BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20230106BHJP
【FI】
A61G12/00 E
A61B5/00 102B
H04M9/00 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018031147
(22)【出願日】2018-02-23
(65)【公開番号】P2019146125
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-12-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135127
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 正己
(72)【発明者】
【氏名】小川 憲一
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-255007(JP,A)
【文献】特開2017-144024(JP,A)
【文献】特開2009-207548(JP,A)
【文献】特開2001-325363(JP,A)
【文献】国際公開第2017/033847(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
A61B 5/00
H04M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入院患者が看護師を呼ぶために病室のベッド毎に備えられたナースコール子機と、
前記ナースコール子機からの呼び出しに応答するためにナースステーションに設置されたナースコール親機と、
前記ナースコール子機が接続され、病室内のベッド近傍に設置されるプレート子機と、
病室のベッド毎に備えられて患者関連情報を表示可能なベッドサイドモニタと、
機器間の通話および通信を制御する制御装置と、
前記ナースコール子機からの呼び出しに応答するために看護師が携行する複数の看護師用携帯電話と、
入院患者が所持する複数の入院患者用携帯電話と、
を備えたナースコールシステムであって、
前記ナースコール子機、前記プレート子機、前記ベッドサイドモニタまたは前記入院患者用携帯電話のうちのいずれか一つの機器は、前記入院患者の所定の部位を接触させることにより前記入院患者のバイタルの測定ができるバイタル測定部またはバイタル測定を行う機器からバイタル情報を取得できるバイタル通信部を有しており、前記バイタル測定部により測定されたバイタル情報または前記バイタル通信部から取得したバイタル情報を所定の患者情報とともに前記制御装置に送信する制御を実行し、
前記制御装置は、予め設定された所定の時間になると、前記バイタル測定部または前記バイタル通信部を有するいずれか一つの機器にバイタル測定要請信号を送信し、
更に前記制御装置は、前記バイタル測定部または前記バイタル通信部を有する前記いずれか一つの機器に前記バイタル測定要請信号を送信した後、所定の時間が経過しても前記いずれか一つの機器から前記バイタル情報を受信しない場合、担当看護師の前記看護師用携帯電話にバイタル情報未受信通知信号を送信する制御を実行し、
前記バイタル測定要請信号を受信したいずれかの一つの機器は、前記入院患者にバイタルを測定するよう報知する制御を実行する、
ナースコールシステム。
【請求項2】
入院患者が看護師を呼ぶために病室のベッド毎に備えられたナースコール子機と、
前記ナースコール子機からの呼び出しに応答するためにナースステーションに設置されたナースコール親機と、
前記ナースコール子機が接続され、病室内のベッド近傍に設置されるプレート子機と、
病室のベッド毎に備えられて患者関連情報を表示可能なベッドサイドモニタと、
機器間の通話および通信を制御する制御装置と、
前記ナースコール子機からの呼び出しに応答するために看護師が携行する複数の看護師用携帯電話と、
入院患者が所持する複数の入院患者用携帯電話と、
を備えたナースコールシステムであって、
前記ナースコール子機、前記プレート子機、前記ベッドサイドモニタまたは前記入院患者用携帯電話のうちのいずれか一つの機器は、前記入院患者の所定の部位を接触させることにより前記入院患者のバイタルの測定ができるバイタル測定部またはバイタル測定を行う機器からバイタル情報を取得できるバイタル通信部を有しており、前記バイタル測定部により測定されたバイタル情報または前記バイタル通信部から取得したバイタル情報を所定の患者情報とともに前記制御装置に送信する制御を実行し、
前記制御装置は、予め設定された所定の時間になると、前記バイタル測定部または前記バイタル通信部を有するいずれか一つの機器にバイタル測定要請信号を送信し、
更に前記制御装置は、前記バイタル測定部または前記器バイタル通信部を有する前記いずれか一つの機器にバイタル測定要請信号を送信した後、所定の時間が経過しても前記いずれか一つの機器から前記バイタル情報を受信しない場合、前記いずれか一つの機器に、再度バイタル測定要請信号を送信する制御を実行し、
前記バイタル測定要請信号を受信したいずれかの一つの機器は、前記入院患者にバイタルを測定するよう報知する制御を実行する、
ナースコールシステム。
【請求項3】
前記ナースコール子機、前記プレート子機、前記ベッドサイドモニタまたは前記入院患者用携帯電話のうちのいずれか一つの機器は、バイタルを測定する際に個人認証を実行する制御を実行する、
請求項1又は2記載のナースコールシステム。
【請求項4】
前記バイタル測定要請信号を受信した前記いずれかの一つの機器が前記バイタル測定部を有する場合、前記バイタル測定部を有効にするとともに、前記入院患者にバイタルを測定するよう報知する制御を実行する、
請求項1ないし3のいずれかに記載のナースコールシステム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記バイタル測定部または前記バイタル通信部を有する前記いずれか一つの機器に前記バイタル測定要請信号を送信した後、所定の時間が経過しても前記いずれか一つの機器から前記バイタル情報を受信しない場合、担当看護師の前記看護師用携帯電話にバイタル情報受信通知信号を送信する制御を実行する、
請求項記載のナースコールシステム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記バイタル測定部または前記バイタル通信部を有する前記いずれか一つの機器にバイタル測定要請信号を送信した後、所定の時間が経過しても前記いずれか一つの機器から前記バイタル情報を受信しない場合、前記いずれか一つの機器に、再度バイタル測定要請信号を送信する制御を実行する、
請求項記載のナースコールシステム。
【請求項7】
前記看護師用携帯電話または前記ナースコール親機は、前記バイタル測定部または前記バイタル通信部を有する前記いずれか一つの機器に前記バイタル測定要請信号を送信でき
る構成となっている、
請求項に記載のナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、個々のベッドに設置されたナースコール子機から呼び出しが成されたら、ナースステーションに設置されたナースコール親機等に通知されるナースコールシステムが普及している。このようなナースコールシステムでは、呼び出されたナースコール親機等において呼出元のベッド番号や患者氏名が表示部に表示され、看護師はその表示により呼出元を認識して応答することができる。
一方、看護師は、ナースコール子機からの呼び出しに応答できる看護師用携帯電話を携行して、自分の担当する入院患者の病室を定期的に巡回している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-087524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
看護師は定期的な巡回の際、入院患者の体調等の問診に加えて脈拍や体温等のバイタルの測定を行う必要があり、入院患者が不在の場合には再度病室を訪れる必要もあることから、巡回を終えるにはかなりの時間を要しており、看護業務の負担となっていた。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、入院患者自身によりバイタルを測定することができるナースコールシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願発明者は、以下のようなナースコールシステムを提案する。
【0007】
本発明のナースコールシステムは、入院患者が看護師を呼ぶために病室のベッド毎に備えられたナースコール子機と、ナースコール子機からの呼び出しに応答するためにナースステーションに設置されたナースコール親機と、ナースコール子機が接続され、病室内のベッド近傍に設置されるプレート子機と、病室のベッド毎に備えられて患者関連情報を表示可能なベッドサイドモニタと、機器間の通話および通信を制御する制御装置と、ナースコール子機からの呼び出しに応答するために看護師が携行する複数の看護師用携帯電話と、入院患者が所持する複数の入院患者用携帯電話と、を備えたナースコールシステムであって、ナースコール子機、プレート子機、ベッドサイドモニタまたは入院患者用携帯電話のうちのいずれか一つの機器は、入院患者の所定の部位を接触させることにより入院患者のバイタルの測定ができるバイタル測定部またはバイタル測定を行う機器からバイタル情報を取得できるバイタル通信部を有しており、バイタル測定部により測定されたバイタル情報またはバイタル通信部から取得したバイタル情報を所定の患者情報とともに制御装置に送信する制御を実行し、制御装置は、予め設定された所定の時間になると、バイタル測定部またはバイタル通信部を有するいずれか一つの機器にバイタル測定要請信号を送信し、更に制御装置は、バイタル測定部またはバイタル通信部を有するいずれか一つの機器にバイタル測定要請信号を送信した後、所定の時間が経過してもいずれか一つの機器からバイタル情報を受信しない場合、担当看護師の看護師用携帯電話にバイタル情報未受信通知信号を送信する制御を実行し、バイタル測定要請信号を受信したいずれかの一つの機器は、入院患者にバイタルを測定するよう報知する制御を実行する構成となっている。
このような構成のナースコールシステムによれば、入院患者が自身のバイタルを測定することができるとともに、測定されたバイタル情報が所定の患者情報とともに制御装置に送信される構成になっているので、担当看護師が一日に何度も入院患者のバイタルを測定する必要がなくなり、看護業務の負担を軽減することができる。
加えて、予め設定された所定の時間に、入院患者にバイタルを測定するよう報知できるので、入院患者に定期的にバイタルを測定するように要請することができる。
更に、所定時間内に入院患者によりバイタルが測定されなかったことを担当看護師に知らせることができるので、担当看護師は入院患者の病室を訪れる等、適宜対応することができる。
【0008】
また、入院患者が看護師を呼ぶために病室のベッド毎に備えられたナースコール子機と、ナースコール子機からの呼び出しに応答するためにナースステーションに設置されたナースコール親機と、ナースコール子機が接続され、病室内のベッド近傍に設置されるプレート子機と、病室のベッド毎に備えられて患者関連情報を表示可能なベッドサイドモニタと、機器間の通話および通信を制御する制御装置と、ナースコール子機からの呼び出しに応答するために看護師が携行する複数の看護師用携帯電話と、入院患者が所持する複数の入院患者用携帯電話と、を備えたナースコールシステムであって、ナースコール子機、プレート子機、ベッドサイドモニタまたは入院患者用携帯電話のうちのいずれか一つの機器は、入院患者の所定の部位を接触させることにより入院患者のバイタルの測定ができるバイタル測定部またはバイタル測定を行う機器からバイタル情報を取得できるバイタル通信部を有しており、バイタル測定部により測定されたバイタル情報またはバイタル通信部から取得したバイタル情報を所定の患者情報とともに制御装置に送信する制御を実行し、 制御装置は、予め設定された所定の時間になると、バイタル測定部またはバイタル通信部を有するいずれか一つの機器にバイタル測定要請信号を送信し、更に制御装置は、バイタル測定部または器バイタル通信部を有するいずれか一つの機器にバイタル測定要請信号を送信した後、所定の時間が経過してもいずれか一つの機器からバイタル情報を受信しない場合、いずれか一つの機器に、再度バイタル測定要請信号を送信する制御を実行し、バイタル測定要請信号を受信したいずれかの一つの機器は、入院患者にバイタルを測定するよう報知する制御を実行する、構成としてもよい。
このような構成のナースコールシステムによれば、入院患者が自身のバイタルを測定することができるとともに、測定されたバイタル情報が所定の患者情報とともに制御装置に送信される構成になっているので、担当看護師が一日に何度も入院患者のバイタルを測定する必要がなくなり、看護業務の負担を軽減することができる。
更に、入院患者がトイレに行ったり一時的に病室の外に出ていた等の事情でバイタルが測定できなかった場合に、再度バイタルを測定するよう報知することができる。
また、ナースコール子機、プレート子機、ベッドサイドモニタまたは入院患者用携帯電話のうちのいずれか一つの機器は、バイタルを測定する際に個人認証を実行する制御を実行する構成となっていてもよい。
このような構成のナースコールシステムによれば、バイタルの測定の際に個人認証が実行されるため、バイタルを測定しようとする者が入院患者本人であることを確認した上でバイタルの測定が行うことができる。
なお、個人認証を実行する機器は、バイタル測定部を有する機器と同じ機器であってもよいし、異なる機器であってもよい。
【0009】
イタル測定要請信号を受信したいずれかの一つの機器がバイタル測定部を有する場合、バイタル測定部を有効にするとともに、入院患者にバイタルを測定するよう報知する制御を実行する構成としてもよい。
いずれかの一つの機器がバイタル測定部を有する場合、このような構成とすれば、バイタルを測定する必要がある場合にのみバイタル測定部を有効にすることができる。
【0010】
制御装置は、バイタル測定部またはバイタル通信部を有するいずれか一つの機器にバイタル測定要請信号を送信した後、所定の時間が経過してもいずれか一つの機器からバイタル情報を受信しない場合、担当看護師の看護師用携帯電話にバイタル情報未受信通知信号を送信する制御を実行する構成としてもよい。
このような構成のナースコールシステムによれば、所定時間内に入院患者によりバイタルが測定されなかったことを担当看護師に知らせることができるので、担当看護師は入院患者の病室を訪れる等、適宜対応することができる。
【0011】
制御装置は、バイタル測定部またはバイタル通信部を有するいずれか一つの機器にバイタル測定要請信号を送信した後、所定の時間が経過してもいずれか一つの機器からバイタル情報を受信しない場合、いずれか一つの機器に、再度バイタル測定要請信号を送信する制御を実行する構成としてもよい。
このような構成のナースコールシステムによれば、入院患者がトイレに行ったり一時的に病室の外に出ていた等の事情でバイタルが測定できなかった場合に、再度バイタルを測定するよう報知することができる。
【0012】
看護師用携帯電話またはナースコール親機は、バイタル測定部またはバイタル通信部を有するいずれか一つの機器にバイタル測定要請信号を送信できる構成とすることもできる。
このような構成のナースコールシステムによれば、所定時間内に入院患者によりバイタルが測定されなかった場合等のような、制御装置に予め設定されたタイミング以外にも、担当看護師の判断でバイタル測定要請信号を送信することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、入院患者自身によりバイタルの測定を行うことができるナースコールシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ナースコールシステムAの全体構成を示す図。
図2】ナースコールシステムAのナースコール子機1およびプレート子機2を示す図。
図3】ナースコールシステムAのプレート子機2の構成を示す機能ブロック図。
図4】ナースコールシステムAのベッドサイドモニタ3の構成を示す機能ブロック図。
図5】ナースコールシステムAの廊下灯6の構成を示す機能ブロック図。
図6】ナースコールシステムAのナースコール親機7の構成を示す機能ブロック図。
図7】ナースコールシステムAの制御機8の構成を示す機能ブロック図。
図8】ベッドサイドモニタ3のモニタ31の表示画面を示す図。
図9】ベッドサイドモニタ3のモニタ31の表示画面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のナースコールシステムの好ましい実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係るナースコールシステムAの構成図である。
この図に示すように、ナースコールシステムAは、入院患者が看護師を呼び出すために病室のベッド毎に備えられたナースコール子機1と、このナースコール子機1が接続され、病室内のベッド近傍の壁面に設置されるプレート子機2と、病室のベッド毎に備えられて患者関連情報を表示可能なベッドサイドモニタ3と、病室の扉に設けられた電子錠4と、ベッド上の入院患者を撮像できる病室カメラ5と、病室近傍の廊下壁面に設置される廊下灯6と、ナースコール子機1からの呼び出しに応答するためにナースステーションに設置されたナースコール親機7と、ナースコール子機1や廊下灯6、ナースコール親機7等の各機器を制御する制御機8と、看護師が携行する看護師用携帯電話9と、入院患者が所持する入院患者用携帯電話10とを備えている。
また、このナースコールシステムAは、 制御機8に接続され、看護師用携帯電話9または入院患者用携帯電話10との通信を管理する交換機(以下、IP-PBXとする。)11と、看護師用携帯電話9または入院患者用携帯電話10とIP-PBX11との間で無線通信を行う基地局12と、入院患者の各種データが蓄積されたナースコールサーバ13と、看護師の位置情報を管理する位置管理サーバ14と、共用部に設置される共用部カメラ15と、IMES(Indoor Messaging System)送信機16を備えている。
【0017】
ナースコール子機1が接続されたプレート子機2は、伝送線を介して廊下灯6に接続されており、ベッドサイドモニタ3、電子錠4、病室カメラ5、廊下灯6、ナースコール親機7、制御機8、IP-PBX11、ナースコールサーバ13、位置管理サーバ14、および共用部カメラ15は、それぞれHUB17を介して、病院内に配設されたLAN18に接続されている。
また、IP-PBX11は、伝送線を介して基地局12と接続されている。
基地局12は、施設内の複数の箇所に適宜設定されている。
【0018】
ナースコール子機1は、図2に示すように、看護師を呼び出すための呼出ボタン1aを有しており、プレート子機2に接続されている。
【0019】
プレート子機2は、図3に示すように、ナースコール子機1と接続されるナースコール子機接続部21、通話するためのマイク22およびスピーカ23、音声信号を処理する子機音声処理部24、プレート子機2を制御する子機CPU25、廊下灯6と通信する子機通信IF26、および報知動作等を停止できる復旧ボタン27を有している。
【0020】
ベッドサイドモニタ3は、図4に示すように、各種情報を表示するモニタ31、モニタ31に表示する映像を処理するサイドモニタ映像処理部32、各種操作をするタッチパネルから成る操作部33、通話するためのマイク34およびスピーカ35、音声信号を処理するサイドモニタ音声処理部36、ベッドサイドモニタ3を制御するサイドモニタCPU37、制御機8と通信するサイドモニタ通信IF38、報知動作等を停止させたり液晶表示をオン/オフ操作できる復旧ボタン39、およびバイタル取得部40を有している。
バイタル取得部40は、有効とされた場合、入院患者の所定の部位、例えば示指の指腹を接触させることにより、個人認証の実行および脈拍、血圧または体温等のバイタルの測定を実行することができる。
個人認証の実行は、例えば示指の指腹をバイタル取得部40に接触させた者の当該部位の静脈情報や指紋情報が、予め登録された入院患者の当該部位の静脈情報や指紋情報と一致するか否かを確認することにより実行される。
【0021】
廊下灯6は、図5に示すように、入院患者からの呼出発生を発光表示する呼出表示灯41、通話するためのマイク42およびスピーカ43、音声信号を処理する廊下灯音声処理部44、廊下灯6を制御する廊下灯CPU45、ナースコール親機7等と通信するための廊下灯第1通信IF46、報知動作を停止させるための復旧ボタン47、およびプレート子機2と通信するための廊下灯第2通信IF48を有している。
【0022】
ナースコール親機7は、図6に示すように、ナースコール子機1からの呼び出しに応答するためのハンドセット61、警報音等を報音するスピーカ62、音声信号を処理すると共に警報音を処理する親機音声処理部63、各種情報を表示する親機モニタ64、親機モニタ64に表示する映像を処理する親機映像処理部65、各種操作をするタッチパネルから成る操作部66、ナースコール親機7全体を制御する親機CPU67、制御機8等の他の機器と通信する親機通信IF68、および各種情報を記憶する情報記憶部69を有している。
【0023】
制御機8は、図7に示すように、看護師とその看護師が携行する看護師用携帯電話9を関連づけた携帯電話/看護師関連テーブル71、看護師と入院患者を関連づけた看護師/入院患者関連テーブル72、各種情報を記憶する情報記憶部73、制御機8を制御する制御機CPU74、および廊下灯6等の他の機器と通信する制御機通信IF75を有している。
情報記憶部73は、患者関連情報を記憶する患者関連情報記憶部73aを備えている。
この患者関連情報記憶部73aには、入院患者の氏名や年齢等の患者情報、入院患者の静脈情報や指紋情報、入院患者の看護区分や診療科目等の看護情報、ナースコール子機1の子機ID、ベッド番号、入院患者の検査、手術等のスケジュール情報、入院患者の所有する入院患者用携帯電話10の携帯電話情報等が記憶されている。これらの情報は、ナースコール親機7を操作することにより入力される。
【0024】
看護師用携帯電話9および入院患者用携帯電話10は、携帯電話機能を備えた多機能型端末であり、例えばスマートフォンと称される機器に所定のアプリケーションソフトウェアをインストールすることにより、ナースコールシステムAの一部として使用することができる。
本実施形態では、看護師用携帯電話9は、ナースコール子機1からの呼び出しに応答したり、設定により、バイタル測定要請信号を送信することができる。
看護師用携帯電話9は、IMES送信機16と位置管理サーバ14とともに位置特定システムを構成するため、看護師用携帯電話9には、GPSの衛星電波を受信して自身の位置を特定し、自身のIDを特定した位置情報に付加して発信する、図示しないGPS通信部が内蔵されているものが使用される。
【0025】
IMES送信機16は、病棟内または病院内の適宜部位、例えば各病室、ナースステーション、手術室、待合室、談話室、廊下等の適宜位置に設置され、自身の位置情報をGPS電波と同じ電波形式の無線信号を使用して常時配信している。
そして、このIMES送信機16のうち近くのIMES送信機16が配信する位置情報を、看護師用携帯電話9に内蔵されているGPS通信部が受信して自身の位置を把握し、IDを付加して把握した位置情報を定期的に位置管理サーバ14に送信する。看護師用携帯電話9が送信する位置情報は、通常の通話信号の場合と同様に基地局12が受信し、交換機11、LAN18を介して位置管理サーバ14に伝送されて保存される。こうして、看護師用携帯電話9の現在位置を把握する位置特定システムを構築している。
ナースコール子機1から看護師の呼び出しがあった場合、制御機8は、位置管理サーバ14に、携帯電話/看護師関連テーブル71、看護師/入院患者関連テーブル72を参照して、呼び出しをした入院患者と関連づけられている看護師の中のうち、入院患者のナースコール子機1の場所に近い看護師を選択させて、その看護師の看護師用携帯電話9に呼び出しを通知する。
【0026】
共用部カメラ15は、病棟内または病院内の共用部、例えば各階の廊下、待合室、談話室等の共用部に適宜設けられている。この共用部カメラ15や病室カメラ5により撮像された画像は、ナースコール親機7の操作部66を操作することにより、親機モニタ64に表示できるように構成されている。
【0027】
以上のように構成されたナースコールシステムAの動作を以下に説明する。
ただし、ナースコール子機1からの看護師の呼び出し、呼び出しを受けたナースコール親機7や看護師用携帯電話9の報音動作、ナースコール親機7または看護師用携帯電話9による応答操作は従来と同様であるため説明を省略し、ここでは入院患者自身によるバイタルの測定に関連する動作について説明する。
なお、本実施形態では、バイタル測定要請信号はベッドサイドモニタ3に送信されるように設定されており、バイタル取得部40は、入院患者の指を接触させることでバイタルの測定ができるものとする。
【0028】
制御機8は、予め設定された所定の時間(例えば、8時、14時、20時)になると、制御機CPU74の制御のもと、バイタル取得部40を有するベッドサイドモニタ3にバイタル測定要請信号を送信する。
【0029】
ベッドサイドモニタ3は、バイタル測定要請信号を受信すると、サイドモニタCPU37の制御のもと、バイタル取得部40を予め設定された時間(例えば5分)だけ有効にするとともに、入院患者にバイタルを測定するよう報知する制御を実行する。
具体的には、図8に示すように「バイタルを測ります。右の測定部に右手の人差し指を置いてください。」等のメッセージをモニタ31に表示するとともにスピーカ35から音声によっても報知する。なお、このような報知は、メッセージの表示のみまたは音声のみにより行われる構成としてもよい。
【0030】
この報知により、入院患者は、有効になっているベッドサイドモニタ3のバイタル取得部40に、示指の指腹を接触させる。
入院患者が示指の指腹をバイタル取得部40に接触させると、サイドモニタCPU37は、バイタル取得部40に接触している示指の指腹の静脈情報や指紋情報を読み取る一方、制御機8の患者関連情報記憶部73aを参照し、読み取った指腹の静脈情報や指紋情報が、予め患者関連情報記憶部73aに記録されている入院患者の当該部位の静脈情報や指紋情報と一致するか否かを確認することで、個人認証を実行する。
【0031】
一致する場合、バイタル取得部40は、バイタル取得部40に接触している示指から、脈拍、血圧または体温等のバイタルの測定を実行する。
バイタルの測定が終了すると、サイドモニタCPU37の制御のもと、バイタル取得部40を無効にするとともに、入院患者にバイタルの測定が終了したことを報知する制御を実行する。具体的には、図9に示すように「測定が終了しました。」等のメッセージをモニタ31に表示するとともにスピーカ35から音声によっても報知する。なお、このような報知は、上述のように、メッセージの表示のみまたは音声のみにより行われる構成としてもよい。
また、バイタルの測定が終了すると、ベッドサイドモニタ3は、サイドモニタCPU37の制御のもと、測定されたバイタル情報を、入院患者の氏名、子機1の子機IDまたはベッド番号等の所定の患者情報とともに制御機8に送信する。
制御機8は、受信したバイタル情報を、患者関連情報記憶部73a等に記録する。
担当看護師は、患者関連情報記憶部73a等に記録されたバイタル情報を確認し、必要に応じて入院患者のバイタルを再度測定したり看護したりすることができる。
【0032】
このように、本実施形態のナースコールシステムAによれば、入院患者が自身の所定の部位をバイタル取得部40に接触させることにより該入院患者のバイタルを測定することができるとともに、測定されたバイタル情報が所定の患者情報とともに制御機8に送信される構成になっているので、担当看護師が一日に何度も入院患者のバイタルを測定する必要がなくなり、看護業務の負担を軽減することができる。また、バイタルの測定の際に個人認証が実行されるため、バイタルを測定する者が入院患者本人であることを確認した上でバイタルの測定が行うことができる。
また、本実施形態のナースコールシステムAによれば、予め設定された所定の時間にバイタル取得部40を有効にするとともに入院患者にバイタルを測定するよう報知できるので、入院患者に定期的にバイタルを測定するように要請することができる。
【0033】
一方、個人認証の結果、一致しない場合にはバイタルの測定は実行されないため、誤って他人のバイタルが測定されることを防止することができる。
【0034】
また、制御機8は、ベッドサイドモニタ3にバイタル測定要請信号を送信してから所定の時間(例えば10分)が経過してもベッドサイドモニタ3からバイタル情報を受信しない場合、制御機CPU74の制御のもと、再度、バイタル測定要請信号を送信する制御を実行する。ベッドサイドモニタ3は、バイタル測定要請信号を受信すると、サイドモニタCPU37の制御のもと、上述のように、再度、バイタル取得部40を予め設定された時間(例えば5分)だけ有効にするとともに、入院患者にバイタルを測定するよう報知する制御を実行する。
このように、本実施形態のナースコールシステムAによれば、入院患者がトイレに行ったり一時的に病室の外に出ていた等の事情でバイタルが測定できなかった場合に、再度バイタルを測定するよう報知することができる。
【0035】
また、制御機8は、再度のバイタル測定要請信号を送信してから所定の時間が経過してもベッドサイドモニタ3からバイタル情報を受信しない場合、携帯電話/看護師関連テーブル71および看護師/入院患者関連テーブル72を参照して、該入院患者の担当看護師の看護師用携帯電話9にバイタル情報未受信通知信号を送信する制御を実行する。
このように、本実施形態のナースコールシステムAによれば、再度のバイタル測定要請信号を送信してから所定時間内に入院患者によりバイタルが測定されなかったことを担当看護師に知らせることができるので、担当看護師は後ほど入院患者の病室を訪れる等、適宜対応することができる。
【0036】
なお、ナースコールシステムAは担当看護師用携帯電話9からバイタル測定要請信号を送信できる構成となっているので、制御機8に予め設定されたタイミング以外にも、担当看護師の判断で看護師用携帯電話9からバイタル測定要請信号を送信することができる。
本実施形態では、制御機8は、再度のバイタル測定要請信号を送信してから所定の時間が経過してもベッドサイドモニタ3からバイタル情報を受信しない場合に、該入院患者の担当看護師の看護師用携帯電話9にバイタル情報未受信通知信号を送信する制御を実行する構成となっているが、これに限られず、制御機8は、ベッドサイドモニタ3にバイタル測定要請信号を送信してから所定の時間が経過しても、ベッドサイドモニタ3からバイタル情報を受信しない場合に、再度、バイタル測定要請信号を送信する制御を実行するとともに、携帯電話/看護師関連テーブル71および看護師/入院患者関連テーブル72を参照して、該入院患者の担当看護師の看護師用携帯電話9にバイタル情報未受信通知信号を送信する制御を実行する構成としてもよいし、再度、バイタル測定要請信号を送信する制御を実行することなく、該入院患者の担当看護師の看護師用携帯電話9にバイタル情報未受信通知信号を送信する制御を実行する構成としてもよい。
【0037】
なお、本実施形態では、ベッドサイドモニタ3がバイタル取得部40を有するものとして記載したが、これに限られず、ナースコール子機1、プレート子機2、ベッドサイドモニタ3または入院患者用携帯電話10のうちのいずれか一つの機器がバイタル取得部を有していてもよい。
入院患者用携帯電話10がバイタル取得部を有するような構成とする場合には、所定のアプリケーションソフトウェアをインストールする必要がある。
【0038】
一方、ナースコール子機1、プレート子機2、ベッドサイドモニタ3または入院患者用携帯電話10のうちのいずれか一つの機器がバイタル取得部を有するのではなく、バイタル測定を行うことができるウェアラブル端末(バイタル測定を行う機器)からバイタル情報を取得できるバイタル通信部を有する構成としてもよい。
このような構成のナースコールシステムによっても入院患者のバイタル情報を取得することができる。
【0039】
また、本実施形態では、ベッドサイドモニタ3がバイタル取得部40を有しており、このバイタル取得部40が個人認証の実行およびバイタルの測定を実行する構成となっているが、個人認証は、バイタル測定を実行する機器と同じ機器が実行する構成であってもよいし、異なる機器が実行する構成であってもよい。例えば、ナースコール子機1にバイタル取得部を設けるとともに、プレート子機2により個人認証を行う構成としてもよい。
【0040】
また、個人認証は、入院患者の静脈情報や指紋情報に限られず、例えば子機IDやベッド番号、入院患者用携帯電話10の電話番号、入院患者の声紋情報等を使用してもよい。
また、バイタル測定は、バイタル取得部40に示指の指腹を接触させて実行することに限られず、例えば複数の指の指腹を接触させる等、入院患者の所定の部位を接触させることによりバイタルが測定できればどのような態様でもよい。
【0041】
また、本実施形態のナースコールシステムAでは、入院患者のバイタル情報を記録する患者関連情報記憶部73aを制御機8が有するものとして記載したが、ナースコール親機7が患者関連情報記憶部73aを有していてもよいし、別の記録装置が患者関連情報記憶部73aを有していてもよい。
また、本実施形態のナースコールシステムAでは、制御機8が携帯電話/看護師関連テーブル71および看護師/入院患者関連テーブル72を有するものとして記載したが、ナースコール親機7、位置管理サーバ14または別の記録装置がこれらのうちのいずれかを有していてもよい。
【0042】
以上のように、本発明のナースコールシステムは、ナースコール子機1、プレート子機2、ベッドサイドモニタ3または入院患者用携帯電話10のうちのいずれか一つの機器が、バイタル取得部40またはバイタル測定を行う機器からバイタル情報を取得できるバイタル通信部を有しており、バイタル取得部40により測定されたバイタル情報またはバイタル通信部から取得したバイタル情報を所定の患者情報とともに制御機8に送信する制御を実行する構成となっていればよく、その他はどのように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0043】
A・・ナースコールシステム、1・・ナースコール子機、2・・プレート子機、3・・ベッドサイドモニタ、4・・電子錠、5・・病室カメラ、6・・廊下灯、7・・ナースコール親機、8・・制御機(制御装置)、9・・看護師用携帯電話、10・・入院患者用携帯電話、11・・交換機、12・・基地局、13・・ナースコールサーバ、14・・位置管理サーバ、15・・共用部カメラ、16・・IMES送信機(位置情報発信機)、17・・HUB、18・・LAN、21・・ナースコール子機接続部、22、34、42・・マイク、23、35、43・・スピーカ、24・・子機音声処理部、25・・子機CPU、26・・子機通信IF、27、39、47・・復旧ボタン、31・・モニタ、32・・サイドモニタ映像処理部、33・・操作部、36・・サイドモニタ音声処理部、37・・サイドモニタCPU、38・・サイドモニタ通信IF、40・・バイタル取得部(バイタル測定部)、41・・呼出表示灯、44・・廊下灯音声処理部、45・・廊下灯CPU、46・・第1廊下灯通信IF、48・・第2廊下灯通信IF、61・・ハンドセット、62・・スピーカ、63・・親機音声処理部、64・・親機モニタ、65・・親機映像処理部、66・・操作部、67・・親機CPU、68・・親機通信IF、69・・情報記憶部、71・・携帯電話/看護師関連テーブル、72・・看護師/入院患者関連テーブル、73・・情報記憶部、73a・・患者関連情報記憶部、74・・制御機CPU、75・・制御機通信IF。
図1
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図9