(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】接着性試験システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 3/04 20060101AFI20230106BHJP
G01N 19/04 20060101ALI20230106BHJP
【FI】
G01N3/04 P
G01N19/04 D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018125770
(22)【出願日】2018-07-02
【審査請求日】2021-06-25
(32)【優先日】2017-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウィークス, カール アンソニー
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-108937(JP,A)
【文献】実開平01-077940(JP,U)
【文献】特開平06-265457(JP,A)
【文献】米国特許第03788135(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0202254(US,A1)
【文献】登録実用新案第3178931(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/04
G01N 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離試験手順において試験品を支持するための把持装置であって、
第1の突出部(66)と第2の突出部(78)との間の縦軸(30)に沿って延びる面(28)を有する剛性背部(14)であって、突出部のうちの一方は他方の突出部に対して移動可能であり、前記面は柔軟性媒体(34)に接着された基板(38)を支持するように構成され、背部は前記背部を引張試験機(12)に接続するように構成された連結器(40)を有する、剛性背部(14)を備え
、
前記第1の突出部と前記第2の突出部は各々、前記面に対して鋭角(94、104)を形成する平坦な内面を備える、把持装置。
【請求項2】
前記背部の前記面は平面である
、請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
前記面は、前記縦軸に沿って延び前記面を複数の縦レーンに分離するリッジ構造を有する、請求項1または2に記載の把持装置。
【請求項4】
前記連結器は前記縦軸に平行な引張軸(52)を画定する、請求項1
から3のいずれか一項に記載の把持装置。
【請求項5】
前記連結器は開孔(48)とねじ付きリング(42)とを含み、前記リングの回転により前記連結器が前記開孔に向かって前記引張軸に沿って移動する、請求項
4に記載の把持装置。
【請求項6】
接着性試験のためのシステムであって、
第1の取付装置(18)と、第2の取付装置(22)と、引張軸(26)に沿って前記取付装置のうちの一方を他方の取付装置に対して移動させるように構成された駆動アセンブリとを含む引張試験機(12)と、
前記引張試験機に接続するための請求項1に記載の前記把持装置と
を備えるシステム。
【請求項7】
前記第1の取付装置は
前記把持装置の前記連結器に接続されるように構成され
、
前記第2の取付装置は前記背部によって支持される基板(38)に接着された柔軟性シート(34)に接続されるように構成されている
、請求項
6に記載のシステム。
【請求項8】
前記把持装置の前記縦軸は前記引張軸に平行である、請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
前記把持装置の前記縦軸は前記引張軸に対して調節可能である、請求項
6または7に記載のシステム。
【請求項10】
前記取付装置のうちの1つは
前記把持装置の前記縦軸に対して垂直の方向に移動可能である、請求項
6から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
請求項6に記載の前記システムを使用する剥離試験を実施する方法(400)であって、
前記剛性背部に引張試験基板を締め付けること(402)と、
前記引張試験機に前記背部を接続すること(404)と、
前記基板に接着された柔軟性シートを引張方向に引っ張ること(406)と
を含む方法。
【請求項12】
引っ張るステップが前記基板の対応する部分から前記柔軟性シートの一部を引き離すこと(410)を含む
、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記背部が、面と、前記面を二等分する縦軸とを有し、
前記方法が、前記面の縦軸と前記引張方向との間に形成された角度を調節することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記引張方向を横方向に平行移動させることによって、前記角度を維持すること(408)
を更に含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接着性試験のためのシステム及び装置に関する。より具体的には、本開示の実施例は、接着強度、粘着強度、及び密封剤と接着剤の欠陥率の試験を行うことに関する。
【背景技術】
【0002】
剥離試験は、接着剤又は密封剤の開発及び選択のいずれにおいても重要なステップである。標準試験には、接着強度及び粘着強度だけでなく、基準強度における各欠陥モードの率が含まれる。剥離試験は一般に、接着された2つの柔軟性媒体、又は固体基板に接着された柔軟性媒体のいずれかで行われる。後者の場合、試験は主に、180度又は90度構成のいずれかである。剥離試験のために特殊設計された試験機器を利用することができるが、高価であり、追加の実験室スペース、及び職員の訓練が必要となりうる。一般に、180度及び90度試験には各々、別々の機器が必要である。張力計は、剥離試験機器のセンサと同等のセンサを含み、180度剥離試験用に使用可能である。しかしながら、張力計用に利用可能な把持部は、試験媒体及び基板を保持するのに理想的なものではない。
【0003】
張力計の把持部によって保持された時に、試験基板が反り、引っ張られた柔軟性媒体と基板との間の角度が最大20度変化しうる。角度の変化により、試験の精度が低下する。基板の材料と厚さの間で反りに差が出るため、異なる試験基板全体の結果の効果的な比較も妨げられうる。壊れやすい又は薄い基板は、張力計の把持部及び試験荷重によって損傷さえ受ける可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
引張試験機と剛性背部とを備える、接着性試験のためのシステムが開示されている。引張試験機は、第1の取付装置と、第2の取付装置と、引張軸に沿って取付装置のうちの一方を他方の取付装置に対して移動させるように構成された駆動アセンブリとを含む。
【0005】
剛性背部は、第1の突出部と第2の突出部との間の縦軸に沿って延びる面を有し、突出部のうちの1つは、他の突出部に対して移動可能である。面は基板を支持するように構成され、基板には柔軟性媒体が接着されている。剛性背部は、背部を引張試験機に接続するように構成された連結器も有する。
【0006】
剛性背部は、剥離試験機において試験品を支持するための把持装置としても開示されている。剥離試験を実施する方法は、剛性背部に引張試験基板を締め付けることと、背部を引張試験機に接続することと、基板に接着された柔軟性シートを引張方向に引っ張ることとを含む。
【0007】
本開示は、接着性試験のためのシステムに関する、システム、装置、及び方法を提供する。幾つかの実施例では、接着性試験のためのシステムは、平面的な面を有する剛性背部を含みうる。幾つかの実施例では、剛性背部は、連結器の接続を固定する保持ナットを含みうる。幾つかの実施例では、第1の突出部と第2の突出部は各々、縦軸に対して90度未満の角度を形成しうる。
【0008】
特徴、機能、及び利点は、本開示の様々な実施例で個別に実現されうるか、又は、以下の説明及び図面を参照してさらなる詳細が理解可能である、さらに別の実施例において組み合わされうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】接着性試験のための例示のシステムの等角図である。
【
図2】
図1のジグ及び試験パネルの拡大等角図である。
【
図7】線7-7に沿った、
図6の脚部の断面図である。
【
図8】接着性試験のための別の例示のシステムの概略図である。
【
図10】剥離試験を実施する方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
剛性背部を含む接着性試験のためのシステムの様々な態様及び実施例は、関連する方法と共に以下に記載され、関連する図面に示される。特別の定めのない限り、接着性試験のためのシステム及び/又はその様々な構成要素は、本書で説明され、例示され、かつ/又は本書に組み込まれた、構造、構成要素、機能、及び/又は変形例のうちの少なくとも1つを包含しうるが、それらを包含することが必要な訳ではない。また更に、特に除外されない限り、本教示に関連して本書で説明され、例示され、及び/又は組み込まれているプロセスステップ、構造、構成要素、機能、及び/又は変形例は、他の類似のデバイス及び方法に含まれうるが、開示された実施例間で交換可能であることを含む。様々な実施例における下記の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、その用途又は利用を限定することを意図するものではない。加えて、以下に記載される実施例によって提供される利点は、本質的に例示的であり、すべての実施例が同じ利点又は同程度の利点を提供するわけではない。
【0011】
定義
本書では、別段の指示がない限り、以下の定義が適用される。
【0012】
「実質的に」とは、特徴あるいは構成要素が完全に一致する必要なく、特定の寸法、範囲、形状、概念、又は用語によって修正される他の態様におおよそ一致することを意味する。例えば、「実質的に円筒形である」物体とは、物体が円筒形に似ているが、本当の円筒形から一または複数の逸脱を有しうることを意味する。
【0013】
「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」及びそれらの活用は、必ずしも限定しないが含むこと、及び付加的な列挙されていないエレメント又は方法ステップを除外することを意図しない、制約のない用語を意味するように交互に使用される。
【0014】
例えば「第1」、「第2」、及び「第3」のような語は、一群の様々な部材等を区別する又は識別するのに使用され、順次的、又は数値的な制限を示すことを意図するものではない。
【0015】
「連結されている」とは、永久的に、あるいは取り外し可能に、直接に、あるいは介在構成要素を通して間接的に接続されていることを意味する。
【0016】
「上(up)」、「下(down)」、「垂直」、「水平」等の方向用語は、特定の構成要素を背景に理解すべきである。例えば、剛性背部は、画定されたX、Y、及びZ軸周囲に配向されうる。これらの実施例では、X-Y平面により水平が画定され、上はプラスのZ方向として画定され、下はマイナスのZ方向として画定される。
【0017】
概要
一般に、接着性試験のためのシステムは、引張試験機と、剛性背部とを含みうる。剛性背部は、2つの対向する突出部の間に試験基板を固定するように構成されていてよく、柔軟性媒体の第1の端部は試験基板に接着され、柔軟性媒体の第2の端部は引張試験機の取付具に連結される。剛性背部は、2つの取付具を引き離すように移動させるように構成される引張試験機の別の取付具に連結されうる。このシステムを使用して、様々な標準化されていない試験、又はアメリカ材料試験国際協会(www.astm.org)から入手可能なASTM C794 - 15a、米国自動車技術者国際協会 (www.sae.org)から入手可能なSAE AS5127/1C、英国規格/欧州規格/国際標準化機構(www.iso.org)から入手可能なBS EN ISO 8510-2等の様々な剥離試験規格仕様の試験を実施することができる。
【0018】
実施例、構成要素及び代替手段
以下の項に、接着性の試験を行うための例示のシステムの選択された態様、並びに関連するシステム及び/または方法を記載する。これらの項の実施例は、例示を目的としており、本開示の範囲全体を限定するものと解釈するべきではない。各項は、一又は複数の個々の実施形態又は実施例、及び/又は、状況から得られる又は関連する情報、機能、及び/又は構造を含みうる。
【0019】
A.第1の例示システム
図1~7に示すように、この項では、180度剥離試験システム10を説明する。システム10は、上述したように接着性試験のためのシステムの一例である。この例示のシステムの引張試験機は、張力テスター又は張力測定装置としても知られる張力計12である。張力計12は、取付点18を有する上方ブーム16と、下方取付点を有する下方ブーム20と、取付把持部22とを含む。上方ブームは、駆動アセンブリ24によって持ち上げられ、取付点が引張軸26に沿って把持部に対して移動する。所望の仕様及び構成を有する任意の張力計が使用されうる。例えば、駆動アセンブリ24は、把持部22を取付点18に対して移動させることができる。別の実施例では、張力計12は水平であり、互いに対して平行移動される左側の取付具と右側の取付具とを有しうる。ある実施例では、他の種類の引張試験機が使用されうる。
【0020】
本実施例では、剛性背部は、取付点18に連結されるジグ14である。
図1に示すように、ジグ14は、平面で、縦軸30を画定する面28を含む。図示した実施例では、ジグ14は、縦軸30が引張軸26に平行になるように、取付点18に連結される。試験パネル32は、縦軸30に平行に、ジグ14によって保持される。試験パネルは、接着剤又は密封剤36によって基板38に接着された柔軟性剥離媒体34を含む。剥離媒体は、180度剥離試験において、把持部22によって把持されるように、試験パネル32から下方に延びている。
【0021】
ジグ14及び試験パネル32は、拡大等角図である
図2に、より詳細に見ることができる。ジグは、連結器40と、保持ナット42と、本体44と、調節可能な脚部46とを含む。図示した実施例では、連結器40は、一体型部品として本体44に形成される。連結器の形状は円筒形であり、張力計12の取付点18とインターフェースするように構成される。
【0022】
図2に示すように、連結開孔48は、縦軸30に垂直に、連結器40の遠位端50を通って横方向に延びている。連結開孔48は、ピン型張力計把持部のピンを受容するようにサイズ設定される。他の実施例では、連結器40は代わりに、ねじ付き張力計把持部と嵌合するようにねじ付きであってよい、又は張力計の取付点としっかり接続させやすくするのに好適な任意の形状又は接続フィーチャを有しうる。連結器40は更に、近位端56にねじ部54を含む。保持ナット42は雌ねじ58を有し、連結器40のねじ部54と嵌合するようにサイズ設定される。
【0023】
図1を再び参照する。ジグ14は、張力計12への接続のために適切な任意の連結器を含みうる。連結器40は単一構造であってよい、あるいは複数の構成要素を含みうる。連結器は剛性であってよい、あるいは例えば張力計に対する回転、延長、又は旋回等の本体44の動きを可能するものであってよい。ある実施例では、連結器40は、本体44の縦軸30を張力計12の引張軸26に対して複数の角度に固定することを可能にする接合部又は他の機構を含みうる。ある実施例では、連結器40は、本体44から取り外し可能であってよく、このような実施例では、複数の張力計又は張力計の取付具に好適な連結器のセットから選択可能であってよい。他の実施例では、連結器40は、複数の種類の張力計又は張力計の取付具との接続を促進するフィーチャを含みうる。
【0024】
図2に示すように、連結器40は、おおよそ円筒形を有する本体44の上方端部64に形成される。面28は、本体の中に延びて主突出部66を形成する。いくつかの実施例では、面28は平面ではない場合がある。例えば、面は、曲線の試験パネルと一致し支持するように、曲線を付けて作られていてよい。別の実施例において、面28は、面の長さに沿って延び、面を複数の縦レーンに分離しうるリッジ構造を含みうる。
【0025】
図示した実施例では、主突出部66は、面28に対して鋭角を形成する平坦な内面68を有する。面28は、主突出部66から本体44の下方端部70に延びている。つまり、上方端部64において、本体44は、円形の断面を有するが、下方端部70において本体は半円の断面を有する。ある実施例では、本体44は、一側面が下方端部70におけるよりも上方端部64において長い長方形の断面を有しうる。本体44は、任意の断面を有していてもよい、又は剛性支持体として効果的である任意のサイズのものであってよい。
【0026】
調節可能な脚部46は、調節ねじ72と、2つのガイドロッド74によって本体44に接続される。下方端部70において、本体44は、複数の開孔(図示せず)を含む。中心のねじ付き開孔は、調節ねじ72を受容するようにサイズ設定され、2つの滑らかな開孔は、ガイドロッド74を受容するようにサイズ設定される。開孔は2インチ延びていてよく、1~5インチ延びていてよい、あるいは任意の適切な深さであってよい。
【0027】
調節可能な脚部46は、本体部76と下方突出部78とを含む。本体部は、本体44と共に組み立てられるときに、下方端部70において本体44の断面と一致し、下方突出部78が面28を越えて外方に延びるように成形される。下方突出部は、面28に対して鋭角を形成する平坦な内面80を有する。
【0028】
調節ねじ72は、脚部46を本体44に固定するために、脚部46を通って本体44の中へ延びている。脚部は、主突出部66から下方突出部78までの複数の距離に応じて、本体に対して複数の位置に保持されうる。本体44及び脚部46は共に、主突出部66を第1のクリップとし、下方突出部78を第2のクリップとして、試験パネル32を固定するクランプとして機能しうる。試験パネル32はこれにより、面28に対して固定されうる。
【0029】
調節ねじ72は、手動操作に適切な円筒形ヘッドを有していてよく、円筒形ヘッドには、グリップを良くするためのギザギザ又は凹凸が含まれうる。調節ねじは、ねじの下から、あるいはねじの延長部に垂直な方向からアクセス可能な一または複数の工具用凹部を含みうる。
【0030】
図示した実施例では、脚部46は、連続的な複数の位置に保持されうる。他の実施例では、脚部46は、個別の複数の位置に保持されうる。脚部46は、ねじによって、ナット及びボルトによって、又はいずれかの調節可能な手段又は取り外し可能な手段によって、本体44に固定されうる。例えば、脚部46は、脚部46が複数の個別の位置の間にラチェット留めされうるように、本体44の開孔によって受容されるラチェット部材を含みうる。脚部46は、本体44から完全に取り外し可能であってよい、あるいは本体に永久的に取り付けられていてよい。
【0031】
ガイドロッド74は、
図2に示すように、脚部46から本体44の中へ延びている。ロッドは、脚部46が一方の軸に沿って自由に動くのことを可能にし、他方の軸上での回転又は平行移動を防止しうる。つまり、ガイドロッド74は、脚部46を本体44に近づけるために調節ねじ72が回されたときに、脚部と本体との間の相対配向を維持しうる。本実施例では、2つのガイドロッドが含まれるが、他の実施例では、1つ、3つ、あるいは他の数のガイドロッドが含まれうる。ある実施例では、ガイドロッド74は本体44に形成され、脚部46の対応する開孔に受容されうる。ジグ14は、ガイドロッドを含まない場合がある、及び/又は脚部46と本体44との間の好ましい相対配向を促進する他の手段を含みうる。
【0032】
図2に示すように、試験パネル32は、基板38上に2つの試験ストリップを含む。各試験ストリップは、密封剤36によって基板38に接着されるある長さの剥離媒体34を含む。各試験ストリップの上方端部において、剥離媒体34の尾部82は基板38に接着されないままである。
図2に示す剥離媒体34の尾部82は、試験パネル32の一端部にのみ延びている。試験を行うために、尾部82の長さは、試験パネル32がジグ14によって保持され、ジグ14が張力計の取付点に接続されたときに、把持部22に固定されるのに十分な長さでありうる。
【0033】
図3に、試験手順の途中の試験パネル32を示す。試験パネル32の形状は長方形であり、約6インチ×3インチの大きさである。試験パネルは、パネルの長さに延びている、2つの1インチの試験ストリップを含む。試験パネル32は、任意の好ましいサイズ又は形状であってもよく、試験材料のいずれかの効果的な配置を含む。
【0034】
例示の手順において、接着性及び粘着性欠陥に対して密封剤の試験が行われる。基板38の2つのストリップは、接着ストリップ84及び粘着ストリップ86である。他の実施例では、試験パネルは、1つ、2つ、又は任意の数のストリップを含みうる。2つ以上のストリップの試験を同時に行うことができる、又は複数のストリップの試験を個別に及び連続的に行うことができる。
図3に、180度剥離試験を示す。試験パネル32には、90度剥離試験、あるいは任意の所望の角度の試験も行うことができる。
【0035】
接着ストリップ84には、等分に配置された一連のノッチが見られる。例示の手順において、ストリップをむくときにナイフを使って密封剤36を貫通するように剥離媒体34の下を約45度で切断する。密封剤の回復が可能になるように、接着ストリップ84の長さを下向きに一定の間隔で繰り返し切断する。粘着ストリップ86は、粘着性欠陥が起きたときにのみ切断される。切断は、特定の好ましい試験条件を達成するために使用されうる、あるいは対象物の欠陥モードを誘発するための1つの技法である。他の接着試験では、切断は違う方法で使用されうる、あるいは使用されない場合がある。接着性試験は試験規格と一致しうる、又は適切な特定条件にカスタマイズされうる。
【0036】
試験パネル32の基板38は、いずれかの剛性材料でできていてよく、試験対象の接着剤を使用することができる材料と一致する又は類似するように選択されうる。航空用途において試験を行うときは、飛行機の構成要素に使用される材料が適切でありうる。例えば、基板38は、チタン、炭素、アルミニウム、ガラス、アクリル、又は複合材料であってよい。基板38は厚さ88を有する。厚さは、試験が行われる接着剤が使用されうる部品と一致するように選択されうる。例えば一部の材料は十分な厚さにおいてのみ剛性でありうるため、厚さ88は基板38の材料によっても変わりうる。厚さ88は、約0.04インチと0.5インチの間であってよい、又は基板38の適切な厚さが使用されうる。
【0037】
密封剤36は、例えばアクリル、エポキシ、ラテックス、又はポリウレタン密封剤を含む、試験が行われる任意の密封剤又は接着剤であってよい。厚さ90の密封剤が塗布されうる。厚さは、試験規格に対応するものでありうる、あるいは意図される使用に対応するものでありうる。剥離媒体34は、密封剤36への強力な接着を提供する標準の試験材料であってよい。」剥離媒体は、厚さ92を有する。任意の材料、又は厚さの剥離媒体を使用することができるが、試験全体で同一性を維持する、又は剥離媒体の試験規格に一致させることが好ましい場合がある。
【0038】
図4は、本体44に最も近い位置にある脚部46を有するジグ14の等角図である。連結器40は、ジグ14が張力計12に接続されたときに、引張軸26に対してアライメントされうる軸52を画定する。保持ナット42は、張力計に接続する準備において、本体44に当接させるために連結器40にねじ止めされる。連結器40に接続させる前に、保持ナット42は、連結器40の遠位端50の上に下向きに受容され、本体44に近接するように近位端56に完全にねじ止めされうる。
【0039】
図1に示すように、遠位端50が取付点18に接続されると、保持ナットが取付点18に当接するまで、連結器40を上向きに連結開孔48に向かって軸52に沿って保持ナット42を回すことができる。保持ナットは、取付具に対してジグ14がしっかり保持されるように堅く締めることができ、これにより、接続が固定され、ジグ14と取付点18との間のいかなる相対運動も防止される。
【0040】
ジグ14は、機械加工されたアルミニウム、成形プラスチック、又はいずれかの適切な材料でできていてよい。ジグの長さは約10インチであってよく、試験パネルを支持するのに適した長さであってよい、あるいは張力計の寸法に適切な長さであってよい。主突出部66と下方突出部78の内面68、80は、図示したように滑らかであってよい、あるいは試験パネルを締め付けやすくするために凹凸エレメントを含みうる。例えば内面は、高い摩擦係数を有するゴム状の材料でコーティングされていてよい。別の実施例において、内面は段又は切れ目が付いていてよい。
【0041】
試験パネルの範囲内の任意の厚さを可能にするのに、内面68、80の連続面が好ましい場合がある。範囲の上限は、下方突出部78の最外点から面28までの最短距離によって決定されうる。範囲の下限は、突出部66、78の形状によって限定されない場合があるが、その代わりに、試験パネルの基板材料の特性によって決定されうる。
【0042】
図4に示すように、保持ナット42は、面取りしたエッジを有する平坦な上面60を有する。他の実施例では、上面60は、取付点18の底面と一致するように成形されうる。保持ナット42は、手で締め付けやすくなるようにギザギザ、又は凹凸が付いていてよい、あるいは、図示した実施例にあるように、工具用凹部62を含みうる。工具用凹部は、いずれかの好ましい工具を受け入れるように構成されうる。ある実施例は、保持ナット42を含まない場合がある、及び/又は連結器40と張力計の取付点との間の接続部を強化する又は固定する他の手段を含みうる。
【0043】
図5は、ジグ14の本体44及び連結器40の側面図である。主突出部66の内面68は、面28によって画定されるように、縦軸30を有する角度94を画定する。主突出部66は、本体44の上方端部64から下方端部70へ向かって面28の外方へ下向きに延びている。
【0044】
角度94は、90度未満である。上記鋭角は、主突出部66のクランプのクリップとしての機能を促進することができ、突出部が最小限の締め付け力の印加で試験パネルを保持することが可能になる。反り又は曲がりを誘発することなく、試験パネルを固定するためには、最小限の締め付け力が好ましい場合がある。図示した実施例では、角度94は70度である。角度は、より大きくてよい、より小さくてよい、又は
図3に示すように基板38の厚さ88を収容するのに十分な任意の角度であってよい。
【0045】
図示した実施例では、上方端部64によって画定されているように、縦軸30は本体44の中心軸96と一致する。言い換えると、本体の下方端部70に延びる半円筒を形成するために、面28は中心軸96に配置される。下方端部はしたがって、半円盤状断面の形状を有する。他の実施例では、縦軸30は、本体44の中心軸96に平行であるが、中心軸96とは異なっていてよい。ある実施例では、ジグ14は非対称であってよい、又はそうでなければ中心軸を画定していなくてよい。縦軸30は、中心軸96に対してある角度を形成していてよい、つまり、面28は本体44の延長部に対してある角度をなしていてよい。
【0046】
縦軸30は、所望の剥離試験が更に効果的となるように、中心軸96と連結器40に対して配向されうる。つまり、縦軸30、中心軸96、及び連結器40は、ジグが張力計に接続されたときに試験パネルが張力計に対して好ましい配向に保持されるように、配置されうる。
【0047】
図5に示すように、連結器40は、本体44の中心軸96を中心とし、連結器の軸52は、中心軸96と縦軸30の両方にアライメントされている。他の実施例では、連結器40は、中心軸から外れていてよい。連結器40は、図示したように本体44の上方端部64に形成されうる、又はそうでなければ連結器は本体に取り付けられうる。例えば、連結器40は、面28の反対側の、本体44の外側円筒面に形成されうる。連結器40は本体44に固定して取り付けられうる、又は連結器は本体に対して選択的に移動可能であるように取り付けられうる。例えば、連結器40は、本体の延長部に沿った複数の位置で固定可能となるように、本体44に滑動可能に装着されうる。
【0048】
図6は、本体部76と、下方突出部78の内面80とを含む、調節可能な脚部46の上面図である。開孔98は、
図2に示すように、調節ねじ72を収容するために、本体部76を通って延びている。ガイドロッド74は、本体部76から上向きに延びている。図示した実施例では、本体部76は半円盤の形状を有し、ガイドロッド74は円筒形である。本体部とガイドロッドも、いずれかの効果的な形状を有しうる。
【0049】
下方突出部78は、本体部76から外側エッジ102までの深さ100を有する。深さ100は約0.25インチであってよく、0.25~0.5インチであってよい、あるいは任意の適切な長さであってよい。
図3を再度参照すると、深さ100は、基板38の厚さ88と、密封剤36の厚さ90と、剥離媒体34の厚さ92の合計未満であってよい。上記のように深さ100を制限することで、試験中に脚部46の外側エッジ102と剥離媒体34との間に間隔を置くことができる。剥離媒体と脚部との間の接触を防止することは、試験中の摩擦力の干渉を回避するのに望ましい場合がある。
【0050】
図7は、調節可能な脚部46の、
図6の線7-7に沿った断面図である。縦軸30は、
図4に示すように、脚部46がジグ14に組み立てられたときに位置づけされるであろう軸として示されている。下方突出部78の内面80は、縦軸30に対して角度104を形成する。角度104は70度であってよく、90度未満であってよく、あるいはいずれかの効果的な角度であってよい。
【0051】
B.第2の例示的システム
図8に示すように、この項で、接着性試験210のための別のシステムを説明する。システム210は、上述した接着性試験のためのシステムの別の実施例である。必要に応じて、同様の構成要素には同様の参照番号が付けられうる。
【0052】
剛性背部214は、引張試験機212の取付点218に接続される。取付点は、引張試験機の上方ブーム216上にあり、駆動アセンブリ224によって引張軸226に沿って上向きに引っ張られる。剛性背部214の面228は平面であり、縦軸230を画定する。剛性背部は、縦軸230が引張軸226に対して角度241をなすように、継手240によって引張試験機212に接続される。角度241は、約90度と180度の間で調節可能である。
【0053】
柔軟性剥離媒体234の第1の端部が剛性基板238に接着されている試験パネル232は、剛性背部214の面228に対して固定される。剥離媒体の第2の端部は、引張試験機212の下方ブーム220上の把持部222によって把持される。剥離媒体234は、第1の端部から、第1の端部と第2の端部との間の分離点243まで、基板238に接着される。
【0054】
図8に、上方ブーム216が駆動アセンブリ224によって引張距離249だけ上方に移動した後の、第1の位置245と第2の位置247にあるシステム210を示す。取付点218が引張軸226に沿って剛性背部214を上に引っ張ると、把持部222は、剥離媒体234を引張方向251に下に引っ張る。引張方向は、分離点243から把持部222までの方向によって決定される。
【0055】
第2の位置247において、分離点243は、剥離媒体234の第1の端部に徐々に近づいている。実質的に、分離点243は上へ、引張軸226に平行に、引張軸の上に引張軸に対して垂直に平行移動されている。したがって、引張方向251を引張軸226に平行に維持するために、把持部222が平行移動距離253だけ平行移動される。
【0056】
引張方向251を引張軸226に平行に維持するための数学的関係は、角度241に応じて、引張距離249と平行移動距離253との間に見られうる。この関係は下記式:
で表すことができ、上記式において△yは引張距離249であり、△xは平行移動距離253であり、θは角度241である。
【0057】
ある実施例では、把持部222の平行移動は、ワイヤ及びプーリーアセンブリでブーム216の上向きの動きを伝達する及び変換することによって達成されうる。他の実施例では、下方ブーム220は、駆動アセンブリ224によって延びていてよい。上記実施例では、△yと△xの正しい関係は、引張試験機212の内部プロセッサによって計算されうる、あるいはユーザ又は外部のシステムによって入力されうる。
【0058】
ある接着性試験では、△yが非線形的に又は予知不能に変化する場合がある。例えば、接着性試験は、一定の垂直引張力を加えることを含んでいてよく、試験パネル232の粘着性欠陥が起こると△yが突然増加しうる。駆動アセンブリ224は、引張方向251を引張軸226に平行に維持するため必要に応じて、把持部222を平行移動させるように構成された能動駆動機構を含みうる。能動駆動機構は、所望の試験に適切な命令を受信するように構成された、プログラミング可能な構成要素を含みうる。
【0059】
把持部222を平行移動させることで、試験に第2の横方向の力も加わりうる。試験中に、あるいは試験結果において、横方向の平行移動力と垂直の接着開放力とを区別するあるいは分離させることは、結果の正確な解析を可能にするために望ましい場合がある。引張試験機212は、横方向の力を別に記録するために、一または複数の追加の力センサあるいはロードセルを含みうる。ある実施例では、ソフトウェア又は物理的定式を使用して、記録されたデータから横方向の力を計算することができる。
【0060】
C.例示的な装置
図9に示すように、この項では、剥離試験手順において試験品を支持するための把持装置310を説明する。装置310は、システム10及び210と同様の幾つかのエレメントを含む。必要に応じて、同様の構成要素には同様の参照番号が付けられうる。
【0061】
把持装置310は、主突出部366と下方突出部378との間に延びている面328を有する本体344を含む。主突出部366は、面328に対して実質的に直角をなしており、下方突出部378は面に対して鋭角をなしている。連結器340は、連結器のねじ部に受容される保持ナット342と共に本体344の上方端部に形成される。連結器340は、張力計のロードセル、又は他の引張試験機に接続されるように構成されうる。
【0062】
把持装置310は更に、挿入部379を含む。挿入部は、主突出部366に近接する面328に接続される主部381を有する。主部381は、主部の開孔を通して本体344の中に延びるボルト又はねじを用いることによって接続されうる。腕部383は、主部381から面328の一部に沿って延びている。図示した実施例では、腕部383は下方突出部378に近接する点まで延びているが、下方突出部とは接触しない。他の実施例では、腕部383は面28に沿って途中まで延びていてよく、下方突出部378に当接するように延びていてよく、あるいはいずれかの好ましい長さを有していてよい。
【0063】
ある実施例では、挿入部379は、所定の厚さを有する試験パネル用に設計されうる。主部381が本体344に接続されたとき、挿入部の一部あるいは全体は面328から間隔を置いて配置されうる。挿入部379は、試験パネルの所定の厚さに対応する距離だけ間隔を置いて配置されうる。他の実施例では、挿入部379は、本体344に調節可能に接続されていてよく、異なる厚さの試験パネルを収容するために、面328から複数の間隔間で調節されうる。
【0064】
挿入部379は、面28に対して試験パネルを締め付ける役目を果たすことができ、下方突出部378は試験パネルの下方エッジを支持しうる。腕部383は面28に対して試験パネルを保持することができ、パネルに加わる引張力に起因するパネルの曲がり又は屈曲を防止する助けとなりうる。
【0065】
D.例示的な方法
この項では、剥離試験を実施する例示的な方法のステップを説明する(
図10参照)。接着性試験のための例示的なシステム、又は上述した把持装置の態様を、後述の方法ステップで用いることができる。必要に応じて、各ステップの実行で使用されうる前述の構成要素及びシステムを参照する場合がある。これらの参照は例示のためのもので、本方法のいずれかの特定のステップを実行するのに可能な方法を限定することを意図するものではない。
【0066】
図10は、例示的な方法で実施されるステップを説明するフロー図で、本方法の完全なプロセス又はすべてのステップを列挙しているわけではない。方法400の様々なステップが後述され、
図10に示されているが、ステップは必ずしも全て実施する必要がある訳ではなく、場合によっては、同時に、あるいは図示された順序とは異なる順序で実施されることもある。
【0067】
ステップ402において、本方法は試験基板をジグに締め付けることを含む。ジグは、面と、面を二等分する縦軸とを含みうる。面は、ジグの第1のクリップと第2のクリップとの間で画定されていてよく、第2のクリップは、第1のクリップに対して移動可能である。試験基板を締め付けるための準備において、第2のクリップを第1のクリップから離れるように移動させることができ、試験基板を面に当接させることができる。基板を締め付けるため、第2のクリップを次に、第1のクリップに向かって戻すことができる。
【0068】
ステップ404は、ジグを張力計に接続させることを含む。ジグは、張力計に接続されるように構成された連結器を含みうる。例えば、ジグは、張力計のねじ付把持部に受容されるねじ部を含みうる。別の実施例において、ジグは、張力計のピン型把持部のピンを受容するようにサイズ設定された連結開孔を有する連結器を含みうる。
【0069】
方法400のある実施例では、ステップ402及び404は、逆の順序で実施してもよい。つまり、ジグに試験基板を締め付ける前に、ジグを張力計に接続させることができる。本方法の上記実施例は、複数の試験基板に試験を実施するときに望ましい場合がある。ジグを一旦張力計に固定することができ、その後、全ての試験基板の試験が行われるまで方法400の残った部分を繰り返すことができる。
【0070】
ステップ406において、本方法は、試験基板に接着された柔軟性シートを引張方向に引っ張ることを含む。柔軟性シートの尾部は試験基板に接着されないままであってよく、張力計の把持部に固定させることができる。これにより、柔軟性シートが張力計に引っ張られうる。柔軟性シートは一定の速さで引っ張られうる、一定の力で引っ張られうる、徐々に増加する力で引っ張られうる、又は試験に適切な任意の速さ又は力で引っ張られうる。
【0071】
引張方向は、ジグの面を二等分する縦軸に平行であってよい、あるいは縦軸に対してある角度をなしていてよい。ある実施例では、方法400は、縦軸と引張方向との間の角度を調節するステップを含みうる。上記実施例では、本方法は、引張方向を横方向に平行移動させることによって、柔軟性シートが引っ張られるときに角度を維持するオプションのステップ408を含みうる。張力計は、上記平行移動のための手段を含みうる、あるいは平行移動は、張力計に連結された一または複数の付加的な構成要素によって達成されうる。一貫した角度で試験を実施するために、上記の方法で角度を維持することが望ましい場合がある。
【0072】
ステップ410は、基板から柔軟性シートの一部を引き離すことを含む。柔軟性シートを基板に接着させている接着剤の接着性又は粘着性欠陥が起こるまで、柔軟性シートが引っ張られうる。ステップ410は、基板の長さに沿って繰り返されうる。操作者又は試験者は一定の間隔で接着剤を切断して接着性欠陥を起こさせることができる、あるいは接着剤の粘着性欠陥が起きるところを切断することができる。試験者は、柔軟性シートが引っ張られるときに、基板、接着剤、又は柔軟性シートに任意の追加の試験手順を実施することが可能である。
【0073】
ステップ412において、本方法は、張力計で引張力を測定し記録することを含む。張力計は、任意の種類の力センサを含んでいてよく、試験中に感知された力又は荷重の記録を支援しうる。張力計はまた、試験時間、引っ張られる距離、又は他の関連データも記録しうる。記録されたデータは、更なる解析のためにコンピュータに出力されうる。張力計によって記録された情報に加えて、試験者は別のセンサを使って試験処理を測定することができる、又は切断が行われた回数、又は粘着性欠陥の度合等の視覚的な発見を記録することができる。
【0074】
E.追加の実施例及び例示的な組合せ
この項では、接着性試験のためのシステム及び方法の追加の態様及び特徴を説明するが、かかるシステム及び方法は、限定されずに一連の段落として提示され、一連の段落の一部又は全部は、明確性及び有効性のために英数字で指定されうる。以下の段落の幾つかは、明確に他の段落に言及し、更に他の段落を限定することにより、非限定的に、好適な組み合わせの幾つかの例を提供するものである。
【0075】
A.剥離試験手順において試験品を支持するための把持装置であって、
第1の突出部と第2の突出部との間の縦軸に沿って延びる面を有する剛性背部であって、突出部のうちの一方は他方の突出部に対して移動可能であり、面は柔軟性媒体に接着された基板を支持するように構成され、背部は背部を引張試験機に接続するように構成された連結器を有する、剛性背部を備える、把持装置。
【0076】
A1.背部の面は平面である、Aに記載の把持装置。
【0077】
A2.第1の突出部は面に対して90度未満の角度を形成する、Aに記載の把持装置。
【0078】
A3.第1の突出部と第2の突出部の各々は面に対して90度未満の角度を形成する、Aに記載の把持装置。
【0079】
A4.面は面を複数の縦レーンに分離する縦軸に沿って延びるリッジ構造を有する、Aに記載の把持装置。
【0080】
A5.連結器は縦軸に平行な引張軸を画定する、Aに記載の把持装置。
【0081】
A6.面の縦軸は引張軸に対して角度を形成し、角度は平坦な面に垂直の平面内で調節可能である、A5に記載の把持装置。
【0082】
A7.角度は90度と180度との間で調節可能である、A6に記載の把持装置。
【0083】
A8.連結器は開孔とねじ付きリングとを含み、リングの回転により連結器が開孔に向かって引張軸に沿って移動する、A5に記載の把持装置。
【0084】
B.接着性試験のためのシステムであって、
第1の取付装置と、第2の取付装置と、引張軸に沿って取付装置のうちの一方を他方の取付装置に対して移動させるように構成された駆動アセンブリとを含む引張試験機と、
第1の突出部と第2の突出部との間の縦軸に沿って延びる面を有する剛性背部であって、突出部のうちの一方は他方の突出部に対して移動可能であり、面は柔軟性媒体に接着された基板を支持するように構成され、背部は背部を引張試験機に接続するための連結器を有する、剛性背部と
を備えるシステム。
【0085】
B1.第1の取付装置は連結器に接続されるように構成され、第2の取付装置は背部によって支持される基板に接着された柔軟性シートに接続されるように構成されている、Bに記載のシステム。
【0086】
B2.縦軸は引張軸に平行である、Bに記載のシステム。
【0087】
B3.縦軸は引張軸に対して調節可能である、Bに記載のシステム。
【0088】
B4.取付装置のうちの1つは縦軸に対して垂直の方向に移動可能である、B3に記載のシステム。
【0089】
C.剥離試験を実施する方法であって、
剛性背部に引張試験基板を締め付けることと、
引張試験機に背部を接続することと、
基板に接着された柔軟性シートを引張方向に引っ張ることと
を含む方法。
【0090】
C1.引張ステップが基板の対応する部分から柔軟性シートの一部を引き離すことを含む、Cに記載の方法。
【0091】
C2.背部が、面と、面を二等分する縦軸とを有し、縦軸は引張方向に平行である、Cに記載の方法。
【0092】
C3.背部が、面と、前記面を二等分する縦軸とを有し、
面の縦軸と引張方向との間に形成された角度を調節することを更に含む、Cに記載の方法。
【0093】
C4.引張方向を横方向に平行移動させることによって、角度を維持すること
を更に含む、C3に記載の方法。
【0094】
C5.剛性背部は第1の突出部と第2の突出部との間の縦軸に沿って延びる面を有し、突出部のうちの1つは引張試験基板を締め付けるために他の突出部に対して移動可能である、Cに記載の方法。
【0095】
利点、特徴、便益
本書に記載の接着性試験のためのシステムの様々な実施例は、接着性試験のための周知の解決策を上回る幾つかの利点を提供する。例えば、本書に記載の例示的な実施例により、張力計を用いて剥離試験を精確に実施することが可能になる。更に、他の利益の中でもとりわけ、本書に記載の例示的な実施例により、基板の屈曲をなくすことができる。
【0096】
既知のシステム又はデバイスには、特に薄い又は壊れやすい基板に対してこれらの機能を実施できるものはない。したがって、本書に記載の例示的な実施例は、張力計を用いた剥離試験のための一貫した反復可能なプロセスを作り出すのに特に有用である。しかしながら、本書に記載のすべての実施例が、同じ利点または同一程度の利点を提供する訳ではない。
【0097】
結論
上述の開示は、個別の有用性を備えた複数の個々の例を包括しうる。これらの発明の各々は、その好ましい形態(複数可)で開示されているが、数多くの変形例が可能であることから、本書で開示され例示されているそれらの特定の実施例を限定的な意味で捉えるべきではない。本開示内で使用されている限り、項の見出しは構成上の目的のものに過ぎない。本開示の主題は、本書に記載の様々な要素、特徴、機能、及び/又は特性の、新規的かつ非自明の組み合わせ及び部分的組み合わせの全てを含む。下記の特許請求の範囲は、新規かつ非自明と見なされる、ある組み合わせ及び部分的組み合わせを特に指し示すものである。特徴、機能、要素、及び/又は特性のその他の組み合わせ及び部分的な組み合わせは、この出願又は関連出願からの優先権を主張する出願において特許請求されうる。かかる特許請求の範囲はまた、出願当初の特許請求の範囲よりも広いか、狭いか、等しいか、又はそれと異なるかにかかわらず、本開示の主題の中に含まれると見なされる。