(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】キャップ分離装置
(51)【国際特許分類】
B29B 17/00 20060101AFI20230106BHJP
B02C 19/00 20060101ALI20230106BHJP
B02C 4/02 20060101ALI20230106BHJP
B02C 23/08 20060101ALI20230106BHJP
B30B 9/32 20060101ALN20230106BHJP
【FI】
B29B17/00
B02C19/00 102Z
B02C4/02
B02C23/08 Z
B30B9/32 101B
B30B9/32 102D
(21)【出願番号】P 2018159795
(22)【出願日】2018-08-28
【審査請求日】2021-08-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年5月22日から平成30年5月25日に「2018NEW環境展」において展示。平成30年7月19日に株式会社アドベルに納品。
(73)【特許権者】
【識別番号】512318291
【氏名又は名称】株式会社テクノリンクス
(74)【代理人】
【識別番号】100091410
【氏名又は名称】澁谷 啓朗
(72)【発明者】
【氏名】大木 英史
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05186331(US,A)
【文献】特開2003-136292(JP,A)
【文献】特開2002-219598(JP,A)
【文献】特表2005-537154(JP,A)
【文献】特開2002-292630(JP,A)
【文献】米国特許第05102057(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/00-25/00
B30B 9/00-9/32
B29B 17/00-17/04
C08J 11/00-11/28
B09B 3/32、3/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空の又は使用済みのプラスチック製容器に取り付けられているキャップをこのプラスチック製容器から分離するためのキャップ分離装置であって、
第1の押し潰し用回転ドラムと、
前記第1の押し潰し用回転ドラムと噛み合い位置で噛み合うように配置された、前記第1の押し潰し用回転ドラムと同じ直径の第2の押し潰し用回転ドラムと、
プラスチック製容器が前記噛み合い位置に巻き込まれるように前記第1の押し潰し用回転ドラム及び前記第2の押し潰し用回転ドラムを同じ回転速度で反対方向に回転させる駆動モータと、を備え、
前記第1の押し潰し用回転ドラムの外周には長さ方向に延びる第1の突条歯が周方向に等間隔で多数本設けられ、前記第2の押し潰し用回転ドラムの外周には前記第1の突条歯と同一の断面形状を有する長さ方向に延びる第2の突条歯が周方向に等間隔で多数本設けられ、隣り合う前記第1の突条歯の間の第1の空間は前記第2の突条歯の断面形状に対応し、隣り合う前記第2の突条歯の間の第2の空間は前記第1の突条歯の断面形状に対応していて、
前記噛み合い位置の中央で、前記第1の突条歯は前記第2の突条歯の間の前記第2の空間に全体的に収容され、前記第2の突条歯は前記第1の突条歯の間の前記第1の空間に全体的に収容されてい
て、
前記プラスチック製容器に取り付けられている前記キャップが前記噛み合い位置で破壊又は押し潰される、ことを特徴とするキャップ分離装置。
【請求項2】
空の又は使用済みのプラスチック製容器に取り付けられているキャップをこのプラスチック製容器から分離するためのキャップ分離装置であって、
第1の押し潰し用回転ドラムと、
前記第1の押し潰し用回転ドラムと噛み合い位置で噛み合うように配置された、前記第1の押し潰し用回転ドラムと同じ直径の第2の押し潰し用回転ドラムと、
プラスチック製容器が前記噛み合い位置に巻き込まれるように前記第1の押し潰し用回転ドラム及び前記第2の押し潰し用回転ドラムを同じ回転速度で反対方向に回転させる駆動モータと、を備え、
前記第1の押し潰し用回転ドラムの外周には長さ方向に延びる第1の突条歯が周方向に等間隔で多数本設けられ、前記第2の押し潰し用回転ドラムの外周には前記第1の突条歯と同一の断面形状を有する長さ方向に延びる第2の突条歯が周方向に等間隔で多数本設けられていて、
前記第1の押し潰し用回転ドラムの回転中心と前記第2の押し潰し用回転ドラムの回転中心との間隔の2分の1の長さをPとしたとき、前記第1の押し潰し用回転ドラムの回転中心及び前記第2の押し潰し用回転ドラムの回転中心を中心とし、半径がPであるそれぞれの仮想円が、前記第1の突条歯及び前記第2の突条歯の歯たけ
の中間を通過するように形成されてい
て、
前記プラスチック製容器に取り付けられている前記キャップが前記噛み合い位置で破壊又は押し潰される、ことを特徴とするキャップ分離装置。
【請求項3】
空の又は使用済みのプラスチック製容器に取り付けられているキャップをこのプラスチック製容器から分離するためのキャップ分離装置であって、
第1の押し潰し用回転ドラムと、
前記第1の押し潰し用回転ドラムと噛み合い位置で噛み合うように配置された、前記第1の押し潰し用回転ドラムと同じ直径の第2の押し潰し用回転ドラムと、
プラスチック製容器が前記噛み合い位置に巻き込まれるように前記第1の押し潰し用回転ドラム及び前記第2の押し潰し用回転ドラムを同じ回転速度で反対方向に回転させる駆動モータと、を備え、
前記第1の押し潰し用回転ドラムの外周には長さ方向に延びる第1の突条歯が周方向に等間隔で多数本設けられ、前記第2の押し潰し用回転ドラムの外周には前記第1の突条歯と同一の断面形状を有する長さ方向に延びる第2の突条歯が周方向に等間隔で多数本設けられていて、
前記噛み合い位置の中央で、前記第1の突条歯の歯先円は前記第2の突条歯の歯底円と接した状態となり、前記第2の突条歯の歯先円は前記第1の突条歯の歯底円と接した状態となってい
て、
前記プラスチック製容器に取り付けられている前記キャップが前記噛み合い位置で破壊又は押し潰される、ことを特徴とするキャップ分離装置。
【請求項4】
前記第1の突条歯及び前記第2の突条歯の歯先は平面状に形成されている、ことを特徴とする請求項1、2又は3記載のキャップ分離装置。
【請求項5】
前記第1の突条歯及び前記第2の突条歯は断面台形状又は等脚台形状に形成されている、ことを特徴とする請求項4記載のキャップ分離装置。
【請求項6】
前記第1の突条歯及び前記第2の突条歯は、両脚部の長さ及び上底の長さの和が下底の長さの2倍乃至3倍である断面形状を有する、ことを特徴とする請求項5記載のキャップ分離装置。
【請求項7】
前記第1の突条歯及び前記第2の突条歯は、下底の長さと高さとが
等しい断面形状を有する、ことを特徴とする請求項5又は6記載のキャップ分離装置。
【請求項8】
前記第1の突条歯及び前記第2の突条歯は、下底の長さが上底の長さの2倍乃至3倍である断面形状を有する、ことを特徴とする請求項5、6又は7記載のキャップ分離装置。
【請求項9】
前記第1の突条歯及び前記第2の突条歯は、前記噛み合い位置の中央で、断面台形波状のクリアランス路を形成している、ことを特徴とする請求項1、2又は3記載のキャップ分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空の又は使用済みの飲料用ペットボトルなどのプラスチック製容器に取り付けられているキャップをプラスチック製容器から取り外して分離するためのキャップ分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料用プラスチック製容器には、燃焼カロリーが低く、ダイオキシンの発生原因である塩素を含んでいないポリエチレンテレフタレートが用いられているが、このようなポリエチレンテレフタレートを原料とするペットボトルの飲み口部にはキャップが取り付けられていて、飲料を飲む場合にはこのキャップをペットボトルの飲み口部から外すこととなる。ペットボトルもキャップもともにプラスチック製リサイクル対象品であるが、キャップはポリプロピレン製でありペットボトルと材質が異なるため、ペットボトルと分別して回収する必要がある。したがって、ペットボトルから取り外したキャップはペットボトルとは別に廃棄されるべきだが、空になったペットボトルにキャップを再び装着して廃棄する場合も少なくない。また、ペットボトルの飲み口部からキャップを取り外した際には、飲み口部の根元部にプラスチック製キャップリングが残ってしまうが、このキャップリングもポリプロピレン製であるため分別する必要がある。
【0003】
しかしながら、キャップが取り付けられた空の又は使用済みのペットボトルからこのキャップの取り外しを手作業で行うと作業効率が良くない。また、空の又は使用済みのペットボトルに残っているキャップリングの取り外しを手作業で行うとさらに作業効率が悪いので、例えば特許文献1に記載されているようなキャップ分離装置が開発されている。このキャップ分離装置は一対の圧壊ローラ間にキャップ付きのペットボトルを通し、ペットボトルを押し潰しながらキャップ及びキャップリングを押圧破壊するものであり、コンベアでキャップ付きペットボトルを圧壊ローラ間に運ぶだけでペットボトルからキャップ及びキャップリングを分離できるようにするための装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたキャップ分離装置では一対の圧壊ローラでキャップ及びキャップリングを押し潰して破壊することでキャップ等をペットボトルから分離しようとしているが、一対の圧潰ローラの間に通すだけではキャップ及びキャップリングを十分に押し潰したり、破壊したりできずにペットボトルの飲み口部にキャップやキャップリングが容易に分離できないように付着したままで排出されることも多い。
【0006】
そこで本発明は、ペットボトルからキャップ及びキャップリングを効果的に取り外すことのできるキャップ分離装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するための本発明のキャップ分離装置は、例えば容易に押し潰すことができる又は扁平に変形できる空の又は使用済みのプラスチック製容器に取り付けられている例えばプラスチック製のキャップをこのプラスチック製容器から分離するためのキャップ分離装置であって、第1の押し潰し用回転ドラムと、前記第1の押し潰し用回転ドラムと噛み合い位置で噛み合うように配置された、前記第1の押し潰し用回転ドラムと同じ直径の第2の押し潰し用回転ドラムと、プラスチック製容器が前記噛み合い位置に巻き込まれるように前記第1の押し潰し用回転ドラム及び前記第2の押し潰し用回転ドラムを同じ回転速度で反対方向に回転させる駆動モータと、を備え、前記第1の押し潰し用回転ドラムの外周には長さ方向に延びる第1の突条歯が周方向に等間隔で多数本設けられ、前記第2の押し潰し用回転ドラムの外周には前記第1の突条歯と同一の断面形状を有する長さ方向に延びる第2の突条歯が周方向に等間隔で多数本設けられ、隣り合う前記第1の突条歯の間の第1の空間は前記第2の突条歯の断面形状に対応し、隣り合う前記第2の突条歯の間の第2の空間は前記第1の突条歯の断面形状に対応していて、前記噛み合い位置の中央で、前記第1の突条歯は前記第2の突条歯の間の前記第2の空間に全体的に収容され、前記第2の突条歯は前記第1の突条歯の間の前記第1の空間に全体的に収容されているものである。第1の突条歯と第2の突条歯は噛み合い位置で噛み合っている。キャップ付きのプラスチック製容器は噛み合い位置を通過するときに押し潰されて波形形状に変形し、長い範囲にわたって十分に圧縮される。したがって、キャップ及びキャップリングとプラスチック製容器の口部とのネジ部などの結合部が破壊又は押し潰されてキャップ及びキャップリングがプラスチック製容器から外れる。特に、噛み合い位置の中央では第1の突条歯と第2の突条歯は、例えば僅かなクリアランスを介して噛み合っているので、押し潰し程度は十分大きなものとなる。なお、噛み合い位置とは第1の突条歯が第2の空間に入り込み、又は第2の突条歯が第1の空間に入り込んでいる位置である。
【0008】
また、本発明のキャップ分離装置は、例えば容易に押し潰すことができる又は扁平に変形できる空の又は使用済みのプラスチック製容器に取り付けられている例えばプラスチック製のキャップをこのプラスチック製容器から分離するためのキャップ分離装置であって、第1の押し潰し用回転ドラムと、前記第1の押し潰し用回転ドラムと噛み合い位置で噛み合うように配置された、前記第1の押し潰し用回転ドラムと同じ直径の第2の押し潰し用回転ドラムと、プラスチック製容器が前記噛み合い位置に巻き込まれるように前記第1の押し潰し用回転ドラム及び前記第2の押し潰し用回転ドラムを同じ回転速度で反対方向に回転させる駆動モータと、を備え、前記第1の押し潰し用回転ドラムの外周には長さ方向に延びる第1の突条歯が周方向に等間隔で多数本設けられ、前記第2の押し潰し用回転ドラムの外周には前記第1の突条歯と同一の断面形状を有する長さ方向に延びる第2の突条歯が周方向に等間隔で多数本設けられていて、前記第1の押し潰し用回転ドラムの回転中心と前記第2の押し潰し用回転ドラムの回転中心との間隔の2分の1の長さをPとしたとき、前記第1の押し潰し用回転ドラムの回転中心及び前記第2の押し潰し用回転ドラムの回転中心を中心とし、半径がPであるそれぞれの仮想円が、第1の突条歯及び第2の突条歯の歯たけのほぼ中間を通過するように形成されているものとして構成することができる。ここでも噛み合い位置の中央では第1の突条歯と第2の突条歯は、例えば僅かなクリアランスを介して噛み合うこととなるので、長い範囲で押し潰し力又は押し潰し程度は十分なものとなる。
【0009】
さらに、本発明のキャップ分離装置は、例えば容易に押し潰すことができる又は扁平に変形できる空の又は使用済みのプラスチック製容器に取り付けられている例えばプラスチック製のキャップをこのプラスチック製容器から分離するためのキャップ分離装置であって、第1の押し潰し用回転ドラムと、前記第1の押し潰し用回転ドラムと噛み合い位置で噛み合うように配置された、前記第1の押し潰し用回転ドラムと同じ直径の第2の押し潰し用回転ドラムと、プラスチック製容器が前記噛み合い位置に巻き込まれるように前記第1の押し潰し用回転ドラム及び前記第2の押し潰し用回転ドラムを同じ回転速度で反対方向に回転させる駆動モータと、を備え、前記第1の押し潰し用回転ドラムの外周には長さ方向に延びる第1の突条歯が周方向に等間隔で多数本設けられ、前記第2の押し潰し用回転ドラムの外周には前記第1の突条歯と同一の断面形状を有する長さ方向に延びる第2の突条歯が周方向に等間隔で多数本設けられていて、前記噛み合い位置で、前記第1の突条歯の歯先円は前記第2の突条歯の歯底円と接した状態となり、前記第2の突条歯の歯先円は前記第1の突条歯の歯底円と接した状態となっているものとして構成することもできる。ここでも噛み合い位置の中央では第1の突条歯と第2の突条歯は、例えば僅かなクリアランスを介して噛み合うこととなるので、長い範囲で押し潰し力又は押し潰し程度は十分なものとなる。
【0010】
プラスチック製容器を傷付け過ぎないように第1の突条歯及び第2の突条歯の歯先は平面状に形成されているのが好ましい。
【0011】
プラスチック製容器が第1の突条歯及び第2の突条歯の間で詰まってしまわないように、第1の突条歯及び第2の突条歯は断面台形状又は等脚台形状に形成されているのが好ましい。
【0012】
キャップ部分が噛み合い位置の中央で第1の突条歯及び第2の突条歯によって長い範囲にわたり十分に押し潰されるように、第1の突条歯及び第2の突条歯は、両脚部の長さ及び上底の長さの和が下底の長さの2倍乃至3倍である断面形状を有することが好ましい。両脚部の長さ及び上底の長さの和が下底の長さの2倍を下回るとキャップやキャップリングを分離できるまで圧縮できないおそれがある。また、両脚部の長さ及び上底の長さの和が下底の長さの3倍を上回るとプラスチック製容器(容器本体)に破断が生じるおそれがある。より効果的には、第1の突条歯及び第2の突条歯は、両脚部の長さ及び上底の長さの和が下底の長さの2.5倍又はほぼ2.5倍(2.5倍の±5%以内)である断面形状を有する。
【0013】
また、第1の突条歯及び第2の突条歯は、下底の長さと高さとが等しい又はほぼ等しい(下底の長さが高さの±5%以内)断面形状を有するのが好ましい。高さが下底の長さを上回るとプラスチック製容器を噛み合い位置に噛み込めないおそれがあるし、プラスチック製容器が第1の押し潰し用回転ドラム又は第2の押し潰し用回転ドラムの外周に分離しにくいように付着するおそれもある。
【0014】
さらに、第1の突条歯及び第2の突条歯は、下底の長さが上底の長さの2倍乃至3倍である断面形状を有するのが得策である。下底の長さが上底の長さの2倍を下回ると脚部の傾きが急になり過ぎてプラスチック製容器を噛み合い位置に噛み込めないおそれがあるし、プラスチック製容器が第1の押し潰し用回転ドラム又は第2の押し潰し用回転ドラムの外周に分離しにくいように付着するおそれもある。また、下底の長さが上底の長さの3倍を上回ると第1の突条歯及び第2の突条歯の先端によってプラスチック製容器(容器本体)が切断又は破断されるおそれがある。より好ましくは、第1の突条歯及び第2の突条歯は、下底の長さが上底の長さの2.7倍又はほぼ2.7倍(2.7倍の±5%以内)である断面形状を有する。
【0015】
第1の突条歯及び第2の突条歯は、例えば、噛み合い位置の中央で、断面台形波状のクリアランス路を形成するように噛み合うこととなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のキャップ分離装置を用いれば、プラスチック製容器からキャップを効率的に分離できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るキャップ分離機の平面図である。
【
図2】本発明に係るキャップ分離機の正面図である。
【
図3】本発明に係るキャップ分離機の断面図である。
【
図4】本発明に係るキャップ分離機の斜視図である。
【
図5】本発明に係るキャップ分離機にラベル剥離機を連結した場合の概念図である。
【
図6】第1の押し潰し用回転ドラムと第2の押し潰し用回転ドラムの配置状態を説明するための図である。
【
図7】第1の突条歯と第2の突条歯の噛み合い位置個所の拡大図である。
【
図8】第1の突条歯と第2の突条歯の噛み合い位置個所の拡大斜視図である。
【
図9】第1の突条歯と第2の突条歯の噛み合い位置個所でのペットボトルの押し潰し状態を示す図である。
【
図10】本発明に係るキャップ分離機にラベル剥離機とともに水切り機及び選別機を連結した場合の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を図面の参照により説明する。
【0019】
まず、
図1乃至
図4を参照して本発明に係るキャップ分離機の全体的な構成を説明する。
【0020】
キャップ分離機1(キャップ分離装置)は、飲料用などの使用済みペットボトルに装着されているキャップ及びペットボトルの飲み口部に取り付けられているキャップリングをペットボトルとともに押し潰し、この押し潰しによりペットボトルから取り外すか、又は取り外しやすくするための装置であり、ケーシング3と、このケーシング3内に配置された第1の押し潰し用回転ドラム5及び第2の押し潰し用回転ドラム7と、第1の押し潰し用回転ドラム5を回転駆動する例えば油圧式の第1のモータ9及び第2の押し潰し用回転ドラム7を回転駆動する例えば油圧式の第2のモータ11と、を備えている。
【0021】
ケーシング3は上面にペットボトル投入口13を有し、下面にペットボトル排出口15を有する、回転ドラム収容体であり、前面下端位置及び後面下端位置にそれぞれ支持プレート17、19を備えていて、この支持プレート17、19には第1の押し潰し用回転ドラム5を支える第1のベアリング21及び第2の押し潰し用回転ドラム7を支える第2のベアリング23が取り付けられている。
【0022】
第1の押し潰し用回転ドラム5は第1の回転軸25を有し、第2の押し潰し用回転ドラム7は第2の回転軸27を有していて、第1の押し潰し用回転ドラム5は第1の回転軸25がケーシング3の前面及び後面を貫通して第1のベアリング21に回転可能に支えられることによりケーシング3内に回転可能に配置され、第2の押し潰し用回転ドラム7は第2の回転軸27がケーシング3の前面及び後面を貫通して第2のベアリング23に回転可能に支えられることによりケーシング3内に回転可能に配置されている。第1の押し潰し用回転ドラム5及び第2の押し潰し用回転ドラム7は水平かつ互いに平行に、そして同じ高さに配置され、内側で噛み合うことにより噛み合い位置29を通過するペットボトルを押し潰すように構成されている。
【0023】
第1のモータ9は、前側の第1のベアリング21に取り付けられて第1の押し潰し用回転ドラム5の第1の回転軸25に接続され、第1の回転軸25を回転させて第1の押し潰し用回転ドラム5を
図3上時計回り方向(矢印X方向)に回転させる。また、第2のモータ11は、前側の第2のベアリング23に取り付けられて第2の押し潰し用回転ドラム7の第2の回転軸27に接続され、第2の回転軸27を回転させて第2の押し潰し用回転ドラム7を
図3上反時計回り方向(矢印Y方向)に第1の押し潰し用回転ドラム5と等速で回転させる。
【0024】
このような構成のキャップ分離機1は、第1の押し潰し用回転ドラム5と第2の押し潰し用回転ドラム7を等速で反対方向に回転させた状態で、ペットボトル投入口13からキャップA及びキャップリングBが付着しているペットボトルCをケーシング3内に投入すると、ペットボトルCは第1の押し潰し用回転ドラム5と第2の押し潰し用回転ドラム7との噛み合い位置29を通過するときにキャップA及びキャップリングBとともに薄く波形に押し潰され、ペットボトル排出口15から排出される。ペットボトルCの外側に取り付けられているキャップA及びキャップリングBは押し潰され、キャップAはネジ部が潰れてペットボトルCから取り外され、キャップBはペットボトルCの位置決め環状突起が潰れ、かつ、例えばキャップリングBが破断してペットボトルCから取り外される。仮に、キャップAやキャップリングBがペットボトルCに付着したままの状態で噛み合い位置29を通過しペットボトル排出口15から排出されても(
図5及び
図10参照)、例えば円筒状のケーシング31内に配置された回転シャフト33に搬送羽根35を有するペットボトルのラベル剥離機37に投入されて攪拌又は搬送される際にペットボトルCから取り外される(
図5参照)。ここでは、搬送羽根35の径方向外端及びケーシング31内面に剥離歯を形成し、搬送羽根35の径方向外端とケーシング31内面との狭い隙間にペットボトルCを噛み込んでラベル及び取り外されていないキャップAやキャップリングBを分離するように構成できる。
【0025】
なお、図中38はキャップ分離機1を移動させるときに使用する取っ手である。
【0026】
次に、
図6及び
図7を参照して第1の押し潰し用回転ドラム5及び第2の押し潰し用回転ドラム7の構成を説明する。
【0027】
第1の押し潰し用回転ドラム5は、例えば、長さ600mm、外径833mmの第1の円筒体39の外周面41に、長さ方向に延びる、すなわち第1の回転軸25と平行に延びる第1の突条歯43を周方向に等間隔で多数本形成することにより構成されていて、第1の突条歯43は断面等脚台形状に形成され、歯先は平面状となっている。ここでは、第1の突条歯43は280本設けられ、それぞれの第1の突条歯43は第1の円筒体39の外周面41の全長又はほぼ全長にわたって形成されている。第1の突条歯43の断面形状は、例えば、下底D1が6.5mm又はほぼ6.5mm、上底E1が2.4mm又はほぼ2.4mm、脚部F1が6.8mm又はほぼ6.8mm、一対の脚部F1の間の角度G1が35°又はほぼ35°で、高さH1が6.5mm又はほぼ6.5mmの等脚台形である。また、隣り合う第1の突条歯43の間の第1の空間45は、第1の突条歯43の断面形状に対応する、又は第1の突条歯43の断面形状と等しい又はほぼ等しい等脚台形状となっている。そして、第1の押し潰し用回転ドラム5の回転中心と第2の押し潰し用回転ドラム7の回転中心との間隔Lの2分の1の長さPを半径とし、第1の押し潰し用回転ドラム5の回転中心を中心とする仮想円J1が、第1の突条歯43の歯たけ(高さ)のほぼ中間又は第1の突条歯43の歯たけの中間よりもやや歯先側を通過するように構成されている。ここでは第1の突条歯43の歯たけは例えば6.5mmであるが、仮想円J1は、歯末のたけ:歯元のたけ=7:6、8:5又は9:4の第1の突条歯43位置を通過する。例えば、仮想円J1の直径は840mm、歯先円K1の直径は846mmであり、第1の突条歯43を設けるピッチ(角度)L1は1.2857°又はほぼ1.2857°である。
【0028】
また、第2の押し潰し用回転ドラム7は、例えば、長さ600mm、外径833mmの第2の円筒体47の外周面49に、長さ方向に延びる、すなわち第2の回転軸27と平行に延びる第2の突条歯51を周方向に等間隔で多数本形成することにより構成されていて、第2の突条歯51は第1の突条歯43と同一の断面形状(等脚台形状)を有し、歯先は平面状となっている。ここでは、第2の突条歯51は280本設けられ、それぞれの第2の突条歯51は第2の円筒体47の外周面49の全長又はほぼ全長にわたって形成されている。第2の突条歯51の断面形状は、例えば、下底D2が6.5mm又はほぼ6.5mm、上底E2が2.4mm又はほぼ2.4mm、脚部F2が6.8mm又はほぼ6.8mm、一対の脚部F2の間の角度G2が35°又はほぼ35°で、高さH2が6.5mm又はほぼ6.5mmの等脚台形である。また、隣り合う第2の突条歯51の間の第2の空間53は、第2の突条歯51の断面形状に対応する、又は第2の突条歯51の断面形状と等しい又はほぼ等しい等脚台形状となっている。そして、第1の押し潰し用回転ドラム5の回転中心と第2の押し潰し用回転ドラム7の回転中心との間隔Lの2分の1の長さPを半径とし、第2の押し潰し用回転ドラム7の回転中心を中心とする仮想円J2が、第2の突条歯51の歯たけ(高さ)のほぼ中間又は第2の突条歯51の歯たけの中間よりもやや歯先側を通過するように構成されている。ここでは第2の突条歯51の歯たけは例えば6.5mmであるが、仮想円J2は、歯末のたけ:歯元のたけ=7:6、8:5又は9:4の第2の突条歯51位置を通過する。例えば、仮想円J2の直径は840mm、歯先円K2の直径は846mmであり、第2の突条歯51を設けるピッチ(角度)L2は1.2857°又はほぼ1.2857°である。
【0029】
仮想円J1と仮想円J2とが接する個所では第1の突条歯43及び第2の突条歯51は第2の突条歯51間の空間53及び第1の突条歯43間の空間45に全体的に入り込んでいる。より具体的には、噛み合い位置29の中央では、第1の突条歯43と第2の空間51は例えば0.5mm又はほぼ0.5mmのクリアランスを介して噛み合い、第2の突条歯51と第1の空間45は例えば0.5mm又はほぼ0.5mmのクリアランスを介して噛み合っている。したがって、噛み合い位置29の中央では、第1の突条歯43及び第2の突条歯51の噛み合いにより断面台形波状の0.5mm又はほぼ0.5mmのクリアランス路55が形成されている。また、第1の突条歯43の歯先円K1は第2の円筒体47の外周面49(第2の突条歯51の歯底円)と最も接近した個所(噛み合い位置29の中央)で例えば0.5mm又はほぼ0.5mmのクリアランスを介して接した状態となり、第2の突条歯51の歯先円K2は第1の円筒体39の外周面41(第1の突条歯43の歯底円)と最も接近した個所(噛み合い位置29の中央)で例えば0.5mm又はほぼ0.5mmのクリアランスを介して接した状態となっている。
【0030】
噛み合い位置29を通過するペットボトルCは
図9に示すようにキャップAやキャップリングBとともに薄く波形に潰され、キャップAやキャップリングBはペットボトルCから離脱する。
【0031】
図10を参照してキャップ分離機1とラベル剥離機37の組み合わせに水切りフィーダ(水切り機)及び選別機を連結したボトル処理システムを説明する。
【0032】
ボトル処理システム57では、キャップ分離機1から排出されたキャップA、キャップリングB及びペットボトルCを受け取るように水切りフィーダ59が配置されている。水切りフィーダ59は、先端に排出口61を有し、前方に向かって下方に傾斜するように設けられた搬送ボックス63と、この搬送ボックス63を振動させる振動モータ65と、を備え、振動する搬送ボックス63内をキャップA、キャップリングB及びペットボトルCが排出口61に向かって移動するように構成されている。搬送ボックス63の底部67にはウェッジワイヤ69が多数本配置されていて、ペットボトルC内に残存していてペットボトルCからこぼれ出た飲料はこのウェッジワイヤ69間の隙間から排出されることとなる。残存飲料と分離されて排出口61から排出されたキャップA、キャップリングB及びペットボトルCはラベル剥離機37に投入され、ラベル剥離機37内でペットボトルCから剥離されたラベルMと分離されて選別機71に投入される。選別機71内では多数の選別搬送ディスク73が回転していて、ペットボトルCは前方の排出口75に向かって搬送され、キャップAやキャップリングBは選別搬送ディスク73間の隙間から落下してペットボトルCと分離される。
【符号の説明】
【0033】
1 キャップ分離機
5 第1の押し潰し用回転ドラム
7 第2の押し潰し用回転ドラム
9 第1のモータ
11 第2のモータ
29 噛み合い位置
43 第1の突条歯
45 第1の空間
51 第2の突条歯
53 第2の空間
A キャップ
B キャップリング
C ペットボトル