(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】ガラス生産装置及びガラス製造方法
(51)【国際特許分類】
C03B 11/00 20060101AFI20230106BHJP
C03B 11/12 20060101ALI20230106BHJP
C03B 13/04 20060101ALI20230106BHJP
C03B 33/02 20060101ALI20230106BHJP
C03B 32/02 20060101ALI20230106BHJP
C03B 35/14 20060101ALI20230106BHJP
【FI】
C03B11/00 E
C03B11/12
C03B13/04
C03B33/02
C03B32/02
C03B35/14
(21)【出願番号】P 2018237951
(22)【出願日】2018-12-20
【審査請求日】2021-06-21
(31)【優先権主張番号】201811198538.2
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519300057
【氏名又は名称】深▲セン▼精匠云創科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】李 軍旗
(72)【発明者】
【氏名】劉 慶
(72)【発明者】
【氏名】袁 曉波
(72)【発明者】
【氏名】占 立峰
(72)【発明者】
【氏名】孫 亜利
(72)【発明者】
【氏名】黄 尚明
(72)【発明者】
【氏名】鄒 坤林
(72)【発明者】
【氏名】李 小根
(72)【発明者】
【氏名】王 曼
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-041726(JP,A)
【文献】特開2012-101957(JP,A)
【文献】特開2018-158866(JP,A)
【文献】特開平07-133120(JP,A)
【文献】特開2014-114200(JP,A)
【文献】特開2000-169184(JP,A)
【文献】特開2002-020130(JP,A)
【文献】特開2018-020958(JP,A)
【文献】特開昭62-265134(JP,A)
【文献】特開昭61-236622(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第01027903(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 11/00
C03B 11/12
C03B 13/04
C03B 33/02
C03B 32/02
C03B 35/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面結晶化ガラスを連続して成型して製造することに用いられ、溶融装置及び圧延機を備え、前記溶融装置は調合されたガラス原料を溶融してガラス溶融体を形成し、並びに前記ガラス溶融体を前記圧延機まで送るガラス生産装置であって、前記ガラス生産装置はさらに、切断装置、成型装置及び結晶化装置を備え、前記圧延機は前記ガラス溶融体を圧延して所定の温度のガラスリボンを製造し、前記切断装置は前記所定の温度のガラスリボンを複数のガラス部材に切断し、前記成型装置は少なくとも一つの成型金型及びアームを備え、少なくとも一つの前記成型金型は所定の温度を有する前記ガラス部材を曲面成型して、ガラス部材の少なくとも一部を曲面形状に変形して曲面ガラス部材を製造し、前記アームは製造された曲面ガラス部材を前記結晶化装置まで送り、前記結晶化装置は前記曲面ガラス部材を結晶化熱処理して、曲面結晶化ガラス部材を製造することを特徴とするガラス生産装置。
【請求項2】
少なくとも一つの前記成型金型はホットプレス
成型金型であり、各前記成型金型は雌型及び前記雌型と噛み合う雄型を備え、前記雄型は前記雌型上のガラス部材に圧力をかけることにより、ガラス部材の少なくとも一部を曲面形状に変形して前記曲面ガラス部材を形成し、前記アームは、前記雄型を、対応する前記雌型から離脱させるか、または、前記雄型を、対応する前記雌型上に配置して、対応する前記成型金型を開閉することができることを特徴とする請求項1に記載のガラス生産装置。
【請求項3】
少なくとも一つの前記成型金型はホットプレス成型金型であり、各前記成型金型は雌型及び前記雌型と噛み合う雄型を備え、前記雌型は真空発生器と互いに連接されており、前記雄型が前記雌型上のガラス部材に圧力をかけ、且つ前記雌型が前記ガラス部材を真空吸着することにより、ガラス部材の少なくとも一部を曲面形状に変形して、前記曲面ガラス部材を形成することを特徴とする請求項1に記載のガラス生産装置。
【請求項4】
前記溶融装置はガラス溶融炉及び送り部材を備え、前記ガラス溶融炉はガラス原料を過熱してガラス溶融体を形成し、前記送り部材は前記ガラス溶融炉上に設置され、前記送り部材と前記ガラス溶融炉とは互いに連接されて、前記ガラス溶融炉内のガラス溶融体を前記圧延機まで送ることを特徴とする請求項1に記載のガラス生産装置。
【請求項5】
前記圧延機はブラケット、第一ロールシャフト、第二ロールシャフト及び送りローラーを備え、前記ブラケットは前記ガラス溶融炉に近接し、前記第一ロールシャフト及び前記第二ロールシャフトは前記ブラケット上に、且つ互いに平行して回転するように設置されており、前記第一ロールシャフトと前記第二ロールシャフトは所定の間隙を有し、前記第一ロールシャフト及び前記第二ロールシャフトは、対応する駆動部材が駆動しているなかで回転して、前記送り部材が送ったガラス溶融体を押圧して所定の厚さを有するガラスリボンを製造し、前記送りローラーは前記第一ロールシャフトと前記切断装置との間に位置し、
前記送りローラーはガラスリボンを所定の温度まで下げ、保温し、並びに前記所定の温度内のガラスリボンを前記切断装置まで送り、且つ前記所定の温度の範囲は700℃~850℃であることを特徴とする請求項4に記載のガラス生産装置。
【請求項6】
前記切断装置は、固定フレーム、カッター及び駆動部材を備え、前記カッターは前記固定フレーム上に、且つ前記送りローラーを横切るようにスライドして設置されており、前記駆動部材は前記カッターの昇降を制御し、前記カッターは前記送りローラー上の前記ガラスリボンを複数の前記ガラス部材に切断することを特徴とする請求項5に記載のガラス生産装置。
【請求項7】
前記ガラス生産装置はさらに移動装置を備え、前記移動装置はスライドテーブル及び二つの移動部材を備え、前記スライドテーブルは前記送りローラーに近接し、二つの前記移動部材は、間隔をあけてスライドテーブル上に設置されており、並びに前記スライドテーブルと連動して移動し、各前記移動部材は、移動部と、少なくとも一つの昇降部材及び積載フレームを備え、前記移動部は前記スライドテーブル上に、且つ二つの前記移動部が互いに近づいたり、離れたりできるよう設置されており、各前記昇降部材は前記移動部上に設置されており、前記積載フレームは各前記昇降部材の前記移動部から離れた一端上に設置されており、並びに各前記昇降部材が駆動しているなかで昇降し、前記積載フレームは前記ガラス部材を積載するのに用いられ、二つの移動部材の積載フレームは、対応する前記移動部の連動の下、互いに近づいたり、離れたりして、前記送りローラーが送った前記ガラス部材を積載するか、或いは、前記ガラス部材を前記成型装置に配置することを特徴とする請求項6に記載のガラス生産装置。
【請求項8】
ガラス製造方法であって、
ガラス原料を調合するステップと、
溶融装置が調合されたガラス原料を高温溶融処理してガラス溶融体を形成し、並びに前記ガラス溶融体を圧延機まで送るステップと、
前記圧延機が前記ガラス溶融体を圧延して所定の温度のガラスリボンを製造するステップと、
切断装置が前記所定の温度を有する前記ガラスリボンを複数のガラス部材に切断するステップと、
成型装置が前記所定の温度を有する前記ガラス部材を曲面形成して、ガラス部材の少なくとも一部を曲面形状に変形して、曲面ガラス部材を製造するステップと、
結晶化装置が前記曲面ガラス部材を結晶化熱処理して、曲面結晶化ガラス部材を製造するステップと、を含むことを特徴とする請求項1~
7の何れか一項に記載のガラス生産装置に使用されるガラス製造方法。
【請求項9】
ガラス部材が移動装置により圧延機から成型装置まで移送され、前記ガラス部材は成型装置まで移送される時の温度範囲が700℃~850℃であることを含むことを特徴とする請求項8に記載のガラス製造方法。
【請求項10】
前記結晶化装置が前記曲面ガラス部材を結晶化熱処理して、曲面結晶化ガラス部材を製造するステップは、前記成型装置のアームが、対応する前記成型金型内の曲面ガラス部材を吸い取り、並びに前記結晶化装置の送り機構上で開放し、前記送り機構は前記曲面ガラス部材を前記結晶化装置の結晶化炉内まで送り、前記結晶化炉は前記曲面ガラス部材を結晶化熱処理し、前記結晶化熱処理はステップ式の方法を用いて、温度を制御するものであり、当該ステップ式の方法は、前記結晶化炉が10℃/分の昇温速度で680℃~780℃まで昇温して、2時間~5時間保温する第一ステップと、前記結晶化炉が再度10℃/分の昇温速度で800℃~900℃まで昇温して、4時間~10時間保温し、前記結晶化炉を室温になるまで冷却して曲面結晶化ガラスを製造する第二ステップと、を含むことを特徴とする請求項8に記載のガラス製造方法。
【請求項11】
各前記成型金型はホットプレス成型金型であり、各前記成型金型は雌型及び前記雌型と噛み合う雄型を備え、前記アームは、ホットプレス成型金型のための各前記成型金型の雄型を、対応する前記雌型上に配置し、各前記成型金型の雄型に対して0.3~0.6気圧の標準大気圧をかけて、10~20分圧力を保持した後、室温になるまで冷却して、前記雄型に対して減圧処理を行い、ガラス部材の少なくとも一部を曲面形状に変形し、前記アームが、前記雄型を、対応する前記雌型から離脱させて、曲面ガラス部材が製造されることを特徴とする請求項8に記載のガラス製造方法。
【請求項12】
各前記成型金型は熱吸収成型金型であり、真空発生器を利用して、各成型金型に対して1~2気圧の標準大気圧をかけて、15分~25分圧力を保持し、室温になるまで冷却して、ガラス部材の少なくとも一部を曲面形状に変形して、曲面ガラス部材が製造されることを特徴とする請求項8に記載のガラス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス生産装置に関し、特に曲面結晶化ガラスを連続して成型して製造するガラス生産装置及びガラス製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
結晶化ガラスはガラスセラミックスとも呼ばれており、低膨張で耐高温であり、耐熱衝撃性を有し、且つ透明度が高い等優れた性能を有しているため、3C製品の電子材料、天文望遠鏡、食器、耐熱強化ガラス等に幅広く使用されている。
【0003】
以前、3C電子製品に使用されていた曲面ガラスは一般的にサイズが比較的小さく、厚さも薄いガラスが要求されていた。しかしながら、従来の結晶化ガラス製品は主に大型のフラットガラスまたは下方に向かって幅が小さくなっている略漏斗形状の塊であり、3C電子製品に使用する場合、この従来の結晶化ガラスを複数の小片に切断した後、再度この小片に対して熱成型して曲面ガラスを製造する。この製造過程ではガラスを繰り返し加熱する必要があるためエネルギーを消費すると共に過程が複雑になり、連続して安定した生産を行うことができない。したがって、生産効率及び生産量が低く、製造コストを上げてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、ガラス生産装置に関し、特に曲面結晶化ガラスを連続して成型して製造するガラス生産装置及びガラス製造方法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はガラス生産装置を提供する。このガラス生産装置は、曲面結晶化ガラスを連続して成型して製造することに用いられ、溶融装置及び圧延機を備え、溶融装置は調合されたガラス原料を溶融してガラス溶融体を形成し、並びにガラス溶融体を圧延機まで送り、ガラス生産装置はさらに、切断装置、成型装置及び結晶化装置を備え、圧延機はガラス溶融体を圧延して所定の温度のガラスリボンを製造し、切断装置は所定の温度のガラスリボンを複数のガラス部材に切断し、成型装置は少なくとも一つの成型金型及びアームを備え、少なくとも一つの成型金型は所定の温度を有するガラス部材を曲面成型して、ガラス部材の少なくとも一部を曲面形状に変形して曲面ガラス部材を製造し、アームは製造された曲面ガラス部材を結晶化装置まで送り、結晶化装置は曲面ガラス部材を結晶化熱処理して、曲面結晶化ガラス部材を製造する。
【0006】
本発明はさらにガラス生産装置を使用したガラス製造方法も提供する。ガラス製造方法は、ガラス原料を調合するステップと、溶融装置が調合されたガラス原料を高温溶融処理してガラス溶融体を形成し、並びにガラス溶融体を圧延機まで送るステップと、圧延機がガラス溶融体を圧延して所定の温度のガラスリボンを製造するステップと、切断装置が所定の温度を有するガラスリボンを複数のガラス部材に切断するステップと、成型装置がガラス部材を曲面形成して、ガラス部材の少なくとも一部を曲面形状に変形して、曲面ガラス部材を製造するステップと、結晶化装置が曲面ガラスを結晶化熱処理して、曲面結晶化ガラス部材を製造するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
上述のガラス生産装置及びガラス製造方法は、成型装置により直接圧延機及び切断装置により製造された所定の温度を有するガラス部材を曲面成型して、曲面ガラス部材を製造し、再度結晶化装置を利用して前記曲面ガラスを結晶化処理して、直接必要とする曲面ガラス部材を製造する。即ち、曲面結晶化ガラス部材を再加工処理する必要がなく、製造過程が簡単であり、生産効率及び生産量を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は本発明の実施形態のガラス生産装置の立体斜視図である。
【
図2】
図2は
図1に示すガラス生産装置における成型装置のホットプレス
成型金型及び曲面ガラス部材の断面図である。
【
図3】
図3は本発明のもう一つの実施形態における成型装置の熱吸収
成型金型及び曲面ガラス部材の断面図である。
【
図4】
図4は本発明のもう一つの実施形態における成型装置のホットプレス及び熱吸収複合
成型金型と曲面ガラス部材の断面図である。
【
図5】
図5は本発明の実施例における
図1のガラス生産装置に用いられるガラス製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面で表示されている具体的な実施方法を合わせて、本発明に対して詳細に説明する。しかしながら、当該説明する実施形態は決して本発明を限定するものではない。当業者が当該実施形態に基づいて得た構造、方法、または機能の変更は何れも本発明の保護範囲内に含まれる。
【0010】
本発明における実施例は主にガラス生産装置を提供する。このガラス生産装置は曲面結晶化ガラスを連続して成形して製造するのに用いられ、溶融装置、圧延機、切断装置、成型装置及び結晶化装置を備える。前記圧延機は所定の温度のガラスリボンを圧延して製造し、前記切断装置は前記所定の温度のガラスリボンを複数のガラス部材に切断する。前記成形装置は所定の温度を有する前記ガラス部材を曲面に成型して、ガラス部材の少なくとも一つを曲面の形状に変形させて曲面ガラス部品を製造する製造モジュールを備える。また、本発明における実施例は主にガラスの製造方法も提供する。このガラスの製造方法の主なステップは、溶融装置が調合されたガラス原料を高温溶融してガラス溶融体を形成し、並びに当該ガラス溶融体を圧延機まで流すステップと、前記圧延機が前記ガラス溶融体を所定の温度のガラスリボンに圧延して製造するステップと、切断装置が前記所定の温度を有するガラスリボンを複数のガラス部材に切断するステップと、成形装置が前記所定の温度を有するガラス部材を曲面成形して、ガラス部材の少なくとも一部を曲面形状に変形して曲面ガラス部材を製造するステップと、を含む。
【0011】
前記ガラス生産装置と製造方法は、従来の曲面結晶化ガラス部材の生産効率及び生産量の低下を解決し、大幅に製造過程を簡略化する。
【0012】
図1を参照すると、本発明の実施形態は、曲面結晶化ガラスを連続して成型して製造するガラス生産装置100を提供する。このガラス生産装置100は溶融装置10、圧延機20、切断装置30、移動装置40、成型装置50及び結晶化装置60を備える。溶融装置10はガラス原料を溶融してガラス溶融体(図示せず)を形成し、並びにこのガラス溶融体を圧延機20に送ることに用いられる。圧延機20は前記ガラス溶融体を圧延してガラスリボン200を形成する。切断装置30はガラスリボン200をガラス部材300に切断する。移動装置40はガラス部材300を成型装置50まで送る。成型装置50はガラス部材300を曲面成型して曲面ガラス部材400(
図2に示す)を製造し、並びにこの製造された曲面ガラス部材400(図示せず)を結晶化装置60に移動させる。結晶化装置60は曲面ガラス部材400を結晶化して曲面結晶化ガラス部材(図示せず)を製造する。本発明のガラス生産装置により生産された曲面結晶化ガラス部材は、携帯電話の保護ガラス、前後カバー、腕時計の保護ガラス、車のダッシュボード保護ガラス、装置に被せる保護ガラス、その他の電子装置、機構装置等の部品に適用することができる。
【0013】
本実施例において、ガラスの原料は品質スコアが50%~60%の二酸化ケイ素、品質スコアが10%~20%の酸化アルミニウム、品質スコアが5%~10%の酸化マグネシウム、品質スコアが2%~10%の二酸化チタン、品質スコアが0~2%の三酸化アンチモン、及び品質スコアが5%~15%の添加剤を含む。前記二酸化チタンは核剤として製造される曲面結晶化ガラス部材の結晶度を向上する。前記三酸化アンチモンは清澄剤としてガラスの溶融体の清澄度を向上する。前記添加剤はフッ化ナトリウム、フッ化マグネシウムのうちの一種または多種から選択できる。前記添加剤は製造される曲面結晶化ガラス部材の熱の安定性を向上する。
【0014】
溶融装置10は加熱、攪拌及びろ過清澄機能を有する。溶融装置10は、1300℃~1600℃の温度下でガラス原料を溶融して清澄したガラス溶融体を形成する。本実施例において、溶融装置10はガラス溶融炉11及び送り部材12を備える。ガラス溶融炉11はガラス原料を加熱して粘性の液体であるガラス溶融体(図示せず)を形成する。
【0015】
本実施例において、ガラス溶融炉11内にはさらに攪拌機構(図示せず)が設置されている。この攪拌機構はガラス溶融炉11内のガラス溶融体を攪拌して、ガラス溶融体内の気泡を除去して、製造される曲面結晶化ガラスに気泡ができるのを防ぐ。
【0016】
本実施例において、ガラス溶融炉11内にはさらにろ過機構(図示せず)が設置されている。このろ過機構はガラス溶融炉内のガラス溶融体をろ過して、ガラス溶融体内の溶融されていない不純物を取り除く。
【0017】
送り部材12はガラス溶融炉11上に、且つガラス溶融炉11の底部(図示せず)に近接して設置されている。送り部材12とガラス溶融炉11とは互いに連通しており、ガラス溶融炉11内のガラス溶融体を圧延機20に送る。
【0018】
本実施例において、送り部材12の出口121は粘性の液体であるガラス溶融体を圧延機20に導くのに用いられる。これにより、圧延機20がガラス溶融体を圧延するのを容易にする。
【0019】
圧延機20はブラケット21、第一ロールシャフト22、第二ロールシャフト23及び送りローラー24を備える。ブラケット21は溶融装置10のガラス溶融炉11に近接している。第一ロールシャフト22及び第二ロールシャフト23は、ブラケット21上に、且つ互いに平行して回転するように設置されている。第一ロールシャフト22及び第二ロールシャフト23は所定の間隙を有する。第一ロールシャフト22及び第二ロールシャフト23は、対応する駆動部材が駆動しているなかで回転して、送り部材12が送った粘性の液体であるガラス溶融体を押圧して所定の厚さを有するガラスリボン200を製造する。送りローラー24は第一ロールシャフト22と切断装置30との間に位置して、ガラスリボン200を切断装置30まで送る。
【0020】
本実施例において、第一ロールシャフト22及び第二ロールシャフト23の内部は冷却液体(図示せず)が循環することができ、第一ロールシャフト22と第二ロールシャフト23との間を流れるガラス溶融体を冷却して、プラスチック状態であるガラスリボン200を形成する。
【0021】
本実施例において、送りローラー24内部はさらに冷却及び温度制御機構(図示せず)を備える。冷却及び温度制御機構は送りローラー24上のガラスリボン200を所定の温度まで冷却、保温する。前記所定の温度の範囲は700℃~850℃である。
【0022】
切断装置30は、固定フレーム31、カッター32及び駆動部材33を備える。固定フレーム31は略U字型を呈している。カッター32は固定フレーム31上に、且つ送りローラー24を横切るようにスライドして設置されている。カッター32は送りローラー24上のガラスリボン200を複数の所定の温度を有するガラス部材300に切断する。駆動部材33はカッター32と互いに連接されてカッター32を昇降する。本実施例において、カッター32はダイアモンド材料によって製造される。
【0023】
移動装置40はスライドテーブル41及び二つの移動部材42を備える。スライドテーブル41は送りローラー24に近接している。二つの移動部材42は、間隔をあけてスライドテーブル41上に設置されており、並びにスライドテーブル41と連動して移動する。各移動部材42は、移動部421と、少なくとも一つの昇降部材422及び積載フレーム423を含む。移動部421はスライドテーブル41上に、且つ二つの移動部421が互いに近づいたり、離れたりできるよう設置されている。各昇降部材422は移動部421上に設置されている。積載フレーム423は各昇降部材422の移動部421から離れた一端上に設置されており、並びに各昇降部材422が駆動しているなかで昇降する。積載フレーム423はガラス部材300を積載するのに用いられる。二つの移動部材42の積載フレーム423は、対応する移動部421の連動の下、互いに近づいたり、離れたりして送りローラー24が送ったガラス部材300を積載する或いはガラス部材300を成型装置50に配置する。
【0024】
本実施例において、移動装置40はさらに保温装置(図示せず)を備える。この保温装置は積載フレーム423上のガラス部材300を所定の温度まで保温する。前記所定の温度の範囲は700℃~850℃である。
【0025】
成型装置50は、テーブル51、一つのまたは複数の成型金型52及びアーム53を備える。テーブル51は移動装置40のスライドテーブル41に近接している。少なくとも一つの成型金型52はテーブル51上に設置されている。各成型金型52はガラス部材300を曲面成型して、曲面ガラス部材400を製造する。
【0026】
本実施例において、
図2及び
図4に示すように、各
成型金型52はホットプレス
成型金型またはホットプレス及び熱吸収複合
成型金型である。各
成型金型52は雌型521及びこの雌型521に噛み合う雄型522を備える。アーム53は、雄型522を、対応する雌型521から離すか、或いは、雄型522を、対応する雌型521上に配置して、対応する
成型金型52を開閉する。
【0027】
ホットプレス成型金型のための各成型金型52の雄型522は、グラファイトまたは白金化された硬質合金から製造され、雄型522が雌型521上のガラス溶融体まで圧力を加えることによって、曲面ガラス部材を形成する。
【0028】
ホットプレス及び熱吸収複合成型金型のための各成型金型52の雌型521はグラファイトまたは多孔セラミック材料から製造される。ホットプレス及び熱吸収複合成型金型のための各成型金型52の雌型521と真空発生器とは互いに連接されており、雄型522が雌型521上のガラス部材に圧力を加え、雌型521がガラス部材300を真空吸着することにより当該曲面ガラス部材を形成する。
【0029】
その他の実施例において、
図3に示すように、各
成型金型52も熱吸収
成型金型であってもよい。各
成型金型52はグラファイトまたはセラミック多孔材料から製造される。各
成型金型52には
成型キャビティ523が設けられており、ガラス部材300を収容する。各
成型金型52は真空発生器(図示せず)と互いに連接されており、各
成型金型52はガラス部材300を真空吸着して、曲面ガラス部材を形成する。
【0030】
少なくとも一つの成型金型52はホットプレス成型金型、熱吸収成型金型及びホットプレスと熱吸収複合成型金型の少なくとも一つであってもよい。成型装置50は、ガラス部材300を曲面成型し、曲面ガラス部材400の製造に影響しない。
【0031】
アーム53は、さらに、対応する成型金型52内の曲面ガラス部材400を吸い取って、結晶化装置60を解放する。
【0032】
本実施例において、成型装置50はさらに温度制御機構、気体保護機構及び制御器(図示せず)を備える。温度制御機構は各成型金型52を所定の温度700℃~850℃まで熱し、気体保護機構は各成型金型52を成型及び冷却過程において気密状態にし、制御器は温度制御機構及び気体保護機構の実行を制御する。
【0033】
結晶化装置60は送り機構61及び結晶化炉62を備える。送り機構61はアーム53が送った曲面ガラス部材400を結晶化炉62内に送る。結晶化炉62は曲面ガラス部材400を結晶化熱処理して結晶化ガラス部材(図示せず)を製造する。
【0034】
図1~
図5をあわせて参照すると、
図5は本発明の前記ガラス生産装置100を使用して、曲面結晶化ガラスを連続して成型して製造するガラス製造方法である。以下具体的な実施例を組み合わせてさらに説明する。
【0035】
実施例1中のガラス製造方法は以下のステップを含む。
【0036】
ステップS101において、ガラス原料を調合する。
【0037】
具体的には、品質スコアが50%の二酸化ケイ素、品質スコアが20%の酸化アルミニウム、品質スコアが10%の酸化マグネシウム、品質スコアが10%の二酸化チタン、品質スコアが1%の三酸化アンチモン、及び品質スコアが9%の添加剤を混合して、ガラス原料を調合する。
【0038】
ステップS102において、溶融装置10が調合されたガラス原料を高温溶融処理してガラス溶融体を形成し、並びにガラス溶融体を圧延機20まで送る。
【0039】
具体的には、調合されたガラス原料を溶融装置10のガラス溶融炉11内に配置して、過熱部材を利用して高温溶融処理する。高温溶融の過程において、攪拌機構及びろ過機構を利用して、ガラス溶融炉11内のガラス溶融体をそれぞれ攪拌及びろ過して、清澄のガラス溶融体を形成する。前記高温溶融処理の溶融温度は1300℃である。送り部材12は形成されたガラス溶融体を圧延機20まで送る。
【0040】
ステップS103において、圧延機20はガラス溶融体を圧延して、所定の温度のガラスリボン200を製造する。
【0041】
具体的には、圧延機20の第一ロールシャフト22及び第二ロールシャフト23は、対応する駆動部材が駆動しているなかで、送り部材12が送るガラス溶融体を回転して、所定の厚さを有するガラスリボン200を製造する。ガラスリボン200は圧延機20の送りローラー24上に送られる。圧延機20の温度制御機構(図示せず)は送りローラー24上のガラスリボン200を所定の温度700℃で保温する。
【0042】
ステップS104において、切断装置30は前記所定の温度を有するガラスリボン200を複数のガラス部材300に切断する。
【0043】
具体的には、切断装置30のカッター32が送りローラー24上のガラスリボン200を複数のガラス部材300に切断する。
【0044】
ステップS105において、移動装置40は前記所定の温度を有するガラス部材300を成型装置50まで移動させる。
【0045】
具体的には、移動装置40のスライドテーブル41は二つの移動部材42を連動して送りローラー24に近接させ、送りローラー24はガラス部材300を二つの移動部材42の積載フレーム423上に送る。スライドテーブル41は、積載フレーム423を連動して、対応する成型金型52を近接し、且つ、ガラス部材300を、対応する成型金型52の上方に位置させる。各昇降部材422は、対応する積載フレーム423を、対応する成型金型52に近接するよう駆動する。二つの移動部材42の積載フレーム423は、対応する移動部421が駆動しているなかで、互いに離間し、ガラス部材300を、対応する成型金型52上に配置する。移動装置40の温度制御機構は積載フレーム423上のガラス部材300を所定の温度700℃で保温する。
【0046】
ステップS106において、成型装置50の各成型金型52は前記所定の温度を有するガラス部材300を曲面成型して、ガラス部材300の少なくとも一部を曲面形状に変形して、曲面ガラス部材400を製造する。
【0047】
具体的には、成型装置50の気体保護機構はホットプレス成型金型の各成型金型52を成型及び冷却過程において気密状態にする。アーム53は、雄型522を、対応する雌型521上に配置し、各成型金型52の雄型522に対して、0.3気圧の標準大気圧をかけて、10分間圧力を保持し、室温になるまで冷却して、ガラス部材300の少なくとも一部を曲面形状に変形させる。最後に、アーム35は、雄型522を、対応する雌型521から離脱させて、曲面ガラス部材400を製造する。
【0048】
成型装置50の気体保護機構は熱吸収成型金型の各成型金型52を成型及び冷却過程において気密状態にし、真空発生器(図示せず)を利用して、各成型金型に1気圧の標準大気圧をかけて、15分間圧力を保持した後、室温になるまで冷却して、ガラス部材の少なくとも一部を曲面形状に変形して、曲面ガラス部材400を製造する。
【0049】
成型装置50の気体保護機構は、ホットプレス及び熱吸収複合成型金型の各成型金型52を成型及び冷却過程において気密状態にする。アーム53は、雄型522を、対応する雌型521上に配置し、各成型金型52の雄型522に対して、0.2気圧の標準大気圧をかけて、並びに真空発生器(図示せず)を利用して各成型金型52の雌型521に対して1気圧の標準大気圧をかけて、10分間圧力を保持した後、室温になるまで冷却して、ガラス部材300の少なくとも一部を曲面形状に変形させる。最後に、アーム35が、雄型522を、対応する雌型521から離脱させて、曲面ガラス部材400を製造する。
【0050】
ステップS107において、結晶化装置60は曲面ガラス部材400を結晶化熱処理して曲面結晶化ガラス部材(図示せず)を製造する。
【0051】
具体的には、成型装置50のアーム53は、対応する成型金型52内の曲面ガラス部材400を吸い取り、結晶化装置60の送り機構61上で開放する。送り機構61は曲面ガラス部材400を結晶化装置の結晶化炉62内まで送る。結晶化炉62は曲面ガラス部材400を結晶化熱処理する。前記結晶化熱処理では、ステップ式の方法を用いて次のように温度を制御する。第一ステップにおいて、結晶化炉62は10℃/分の昇温速度で680℃まで昇温して、2時間保温する。第二ステップにおいて、結晶化炉62は再度10℃/分の昇温速度で800℃まで昇温して、4時間保温する。最後に、結晶化炉62を室温まで冷却すれば曲面結晶化ガラス(図示せず)が製造される。
【0052】
実施例2のガラス製造方法は以下のステップを備える。
【0053】
ステップS201において、ガラス原料を調合する。
【0054】
具体的には、品質スコアが55%の二酸化ケイ素、品質スコアが15%の酸化アルミニウム、品質スコアが5%の酸化マグネシウム、品質スコアが8%の二酸化チタン、品質スコアが2%の三酸化アンチモン、及び品質スコアが15%の添加剤を混合して、ガラス原料を調合する。
【0055】
ステップS202において、溶融装置10は調合されたガラス原料を高温溶融処理してガラス溶融体を形成し、ガラス溶融体を圧延機20に送る。
【0056】
具体的には、調合されたガラス原料を溶融装置10のガラス溶融炉11のるつぼ内に配置し、過熱部材を利用して高温溶融処理を行う。高温溶融の過程において、攪拌機構及びろ過機構を利用してるつぼ内のガラス溶融体を攪拌及びろ過して、清澄のガラス溶融体を形成する。前記高温溶融処理の溶融温度は1500℃である。送り部材12は形成されたガラス溶融体を圧延機20まで送る。
【0057】
ステップS203において、圧延機20はガラス溶融体を圧延して所定の温度のガラスリボン200を製造する。
【0058】
具体的には、圧延機20の第一ロールシャフト22及び第二ロールシャフト23は、対応する駆動部材が駆動しているなかで、送り部材12が送る粘性の液体であるガラス溶融体を回転して、所定の厚さを有するガラスリボン200を押圧して製造する。ガラスリボン200は圧延機20の送りローラー24上に送られる。圧延機20の冷却及び温度制御機構(図示せず)は送りローラー24上のガラスリボン200を所定の温度750℃で保温する。
【0059】
ステップS204において、切断装置30は、前記所定の温度を有するガラスリボン200を複数のガラス部材300に切断する。
【0060】
具体的には、切断装置30のカッター32は送りローラー24上のガラスリボン200を複数のガラス部材300に切断する。
【0061】
ステップS205において、移動装置40は前記所定の温度を有するガラス部材300を成型装置50に移動させる。
【0062】
具体的には、移動装置40のスライドテーブル41は二つの移動部材42を連動して送りローラー24に近接させる。送りローラー24はガラス部材300を二つの移動部材42の積載フレーム423上に送る。スライドテーブル41は、積載フレーム423を連動して、対応する成型金型52を近接させ、且つ、ガラス部材300を、対応する成型金型52の上方に位置させる。各昇降部材422は、対応する積載フレーム423を、対応する成型金型52に近接するよう駆動する。二つの移動部材42の積載フレーム423は、対応する移動部421が駆動しているなかで、互いに離間し、ガラス部材300を、対応する成型金型52上に配置する。移動装置40の保温装置は積載フレーム423上のガラス部材300を前記所定の温度750℃で保温する。
【0063】
ステップS206において、成型装置50の各成型金型52は前記所定の温度を有するガラス部材300を曲面成型して、ガラス部材300の少なくとも一部を曲面形状に変形して、曲面ガラス部材400を製造する。
【0064】
具体的には、成型装置50の気体保護機構はホットプレス成型金型の各成型金型52を成型及び冷却過程において気密状態にする。アーム53は、雄型522を、対応する雌型521上に配置し、各成型金型52の雄型522に対して、0.5気圧の標準大気圧をかけて、15分間圧力を保持した後、室温になるまで冷却して、ガラス部材の少なくとも一部を曲面形状に変形させる。最後に、アーム53が、雄型522を、対応する雌型521から離脱させて、曲面ガラス部材400を製造する。
【0065】
成型装置50の気体保護機構は熱吸収成型金型の各成型金型52を成型及び冷却過程において気密状態にし、真空発生器(図示せず)を利用して、各成型金型に1.5気圧の標準大気圧をかけて、20分間圧力を保持した後、室温になるまで冷却して、ガラス部材300の少なくとも一部を曲面形状に変形して、曲面ガラス部材400を製造する。
【0066】
成型装置50の気体保護機構は、ホットプレス及び熱吸収複合成型金型の各成型金型52を成型及び冷却過程において気密状態にする。アーム53は、雄型522を、対応する雌型521上に配置し、各成型金型52の雄型522に対して、0.4気圧の標準大気圧をかけ、並びに真空発生器(図示せず)を利用して各成型金型52の雌型521に1.5気圧の標準大気圧を加えて、15分間圧力を保持した後、室温になるまで冷却して、ガラス部材300の少なくとも一部を曲面形状に変形させる。最後に、アーム53が、雄型522を、対応する雌型521から離脱させて、曲面ガラス部材400を製造する。
【0067】
ステップS207において、結晶化装置60は曲面ガラス部材400を結晶化熱処理して曲面結晶化ガラス部材(図示せず)を製造する。
【0068】
具体的には、成型装置50のアーム53は、対応する成型金型52内の曲面ガラス部材400を吸い取り、結晶化装置60の送り機構61上で開放する。送り機構61は曲面ガラス部材400を結晶化装置60の結晶化炉62内に送り、結晶化炉62は曲面ガラス部材400を結晶化熱処理する。前記結晶化処理はステップ式の方法を用いて次のように温度を制御する。第一ステップにおいて、結晶化炉62は10℃/分の昇温速度で730℃まで昇温して、3.5時間保温する。第二ステップにおいて、結晶化炉62は再度10℃/分の昇温速度で850℃まで昇温して、7時間保温する。最後に、結晶化炉62を室温まで冷却すれば曲面結晶化ガラス(図示せず)が製造される。
【0069】
実施例3のガラス製造方法は以下のステップを含む。
【0070】
ステップS301において、ガラス原料を調合する。
【0071】
具体的には、品質スコアが60%の二酸化ケイ素、品質スコアが10%の酸化アルミニウム、品質スコアが10%の酸化マグネシウム、品質スコアが10%の二酸化チタン、及び品質スコアが10%の添加剤を混合して、ガラス原料を調合する。
【0072】
ステップS302において、溶融装置10は調合されたガラス原料を高温溶融処理してガラス溶融体を形成し、並びにガラス溶融体を圧延機20に送る。
【0073】
具体的には、調合されたガラス原料を溶融装置10のガラス溶融炉11内に配置し、過熱部材を利用して高温溶融処理する。高温溶融の過程において、攪拌機構及びろ過機構を利用して、ガラス溶融炉11内のガラス溶融体をそれぞれ攪拌及びろ過して、清澄のガラス溶融体を形成する。前記高温溶融処理の溶融温度は1600℃である。送り部材12は形成されたガラス溶融体を圧延機20まで送る。
【0074】
ステップS303において、圧延機20はガラス溶融体を圧延して、所定の温度のガラスリボン200を製造する。
【0075】
具体的には、圧延機20の第一ロールシャフト22及び第二ロールシャフト23は、対応する駆動部材が駆動しているなかで、送り部材12が送る粘性の液体であるガラス溶融体を回転して、所定の厚さを有するガラスリボン200を押圧して製造する。ガラスリボン200は圧延機20の送りローラー24上に送られる。圧延機20の冷却及び温度制御機構(図示せず)は送りローラー24上のガラスリボン200を所定の温度850℃で保温する。
【0076】
ステップS304において、切断装置30は前記所定の温度を有するガラスリボン200を複数のガラス部材300に切断する。
【0077】
具体的には、切断装置30のカッター32は送りローラー24上のガラスリボン200を複数のガラス部材300に切断する。
【0078】
ステップS305において、移動装置40は前記所定の温度を有するガラス部材300を成型装置50に移動させる。
【0079】
具体的には、移動装置40のスライドテーブル41は二つの移動部材42を連動して送りローラー24に近接させる。送りローラー24はガラス部材300を二つの移動部材42の積載フレーム423上に送る。スライドテーブル41は、積載フレーム423を連動して、対応する成型金型52を近接させ、且つガラス部材300を、対応する成型金型52の上方に位置させる。各昇降部材422は、対応する積載フレーム423を、対応する成型金型52に近接するよう駆動する。二つの移動部材42の積載フレーム423は、対応する移動部421が駆動しているなかで、互いに離間し、ガラス部材300を、対応する成型金型52上に配置する。移動装置40の保温装置は積載フレーム423上のガラス部材300を前記所定の温度850℃で保温する。
【0080】
ステップS306において、成型装置50の各成型金型52は前記所定の温度を有するガラス部材300を曲面成型して、ガラス部材300の少なくとも一部を曲面形状に変形して曲面ガラス部材400を製造する。
【0081】
具体的には、成型装置50の気体保護機構はホットプレス成型金型の各成型金型52を成型及び冷却過程において気密状態にする。アーム53は、雄型522を、対応する雌型521上に配置し、各成型金型52の雄型522に対して、0.6気圧の標準大気圧をかけて、20分間圧力を保持した後、室温になるまで冷却して、ガラス部材300の少なくとも一部を曲面形状に変形させる。最後に、アーム35が、雄型522を、対応する雌型521から離脱させて、曲面ガラス部材400が製造される。
【0082】
成型装置50の気体保護機構は熱吸収成型金型の各成型金型52を成型及び冷却過程において気密状態にし、真空発生器(図示せず)を利用して、各成型金型に2気圧の標準大気圧をかけて、25分間圧力を保持した後、室温になるまで冷却して、ガラス部材300の少なくとも一部を曲面形状に変形して、曲面ガラス部材400が製造される。
【0083】
成型装置50の気体保護機構は、ホットプレス及び熱吸収複合成型金型の各成型金型52を成型及び冷却過程において気密状態にする。アーム53は、雄型522を、対応する雌型521上に配置し、各成型金型52の雄型522に対して、0.5気圧の標準大気圧をかけて、並びに真空発生器(図示せず)を利用して各成型金型52の雌型521に対して2気圧の標準大気圧を加えて、10分間圧力を保持した後、室温になるまで冷却して、ガラス部材300の少なくとも一部を曲面形状に変形させる。最後に、アーム53が、雄型522を、対応する雌型521から離脱させて、曲面ガラス部材400が製造される。
【0084】
ステップS307において、結晶化装置60は曲面ガラス部材400を結晶化熱処理して曲面結晶化ガラス部材(図示せず)を製造する。
【0085】
具体的には、成型装置50のアーム53は、対応する成型金型52内の曲面ガラス部材400を吸い取り、結晶化装置60の送り機構61上で開放する。送り機構61は曲面ガラス部材400を結晶化装置60の結晶化炉62内まで送り、結晶化炉62は曲面ガラス部材400を結晶化熱処理する。前記結晶化熱処理では、ステップ式の方法を用いて次のように温度を制御する。第一ステップにおいて、結晶化炉62は10℃/分の昇温速度で780℃まで昇温して、5時間保温する。第二ステップにおいて、結晶化炉62は再度10℃/分の昇温速度で900℃まで昇温して、10時間保温する。最後に、結晶化炉62を室温まで冷却すれば曲面結晶化ガラス(図示せず)が製造される。
【0086】
上述の実施例1~3のステップS105、ステップS205及びステップS305は省略してもよい。これらのステップの省略は、結晶化装置60が曲面ガラス部材400を結晶化処理するのに影響しない。
【0087】
ガラス生産装置100は溶融装置10、圧延機20、切断装置30、移動装置40、成型装置50及び結晶化装置60を備えるが、これらに限定されない。その他の実施例において、移動装置40は省略できる。この際、切断装置30が切断して形成したガラス部材300は人力で直接成型装置50まで運んでもよい。ガラス部材300を人力でが運ぶことは、結晶化装置60がガラス部材300を結晶化処理することに影響しない。
【0088】
成型装置50は、テーブル51と、少なくとも一つの成型金型及びアーム53を備えるが、これらに限定されない。その他の実施例において、テーブル51は省略できる。テーブル51の省略は、成型金型52がガラス部材300を曲面成型し、及びアーム53が、対応する成型金型52を開閉し、及び曲面ガラス部材400を送ることに影響しない。
【0089】
前記ガラス生産装置100及びガラス製造方法は成型装置50により直接圧延機20及び切断装置30により製造された所定の温度を有するガラス部材300を曲面成型して、曲面ガラス部材400を製造し、再度結晶化装置60を利用して前記曲面ガラス部材400を結晶化処理して、直接必要とする曲面ガラス部材を製造する。即ち、曲面結晶化ガラス部材を再加工処理する必要がなく、製造過程が簡単であり、生産効率及び生産量を向上させる。
【0090】
本明細書は実施形態に基づいて説明しているが、各実施形態は一つの独立した技術方案のみを含んでいるのではない。明細書中における上記で述べたような方法は明確にするためのものであり、当業者は明細書を全体として、各実施形態における技術方案は適当に組み合わせることにより、当業者が理解できるその他の実施形態を形成することができる。
【0091】
上文で説明している一系列の詳細な説明は本発明の実行可能な実施形態の具体的な説明でしかなく、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の精神から逸脱していないことから得られる同等の実施形態或いは変更は何れも本発明の保護範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
10 溶融装置
11 ガラス溶融炉
12 送り部材
20 圧延機
21 ブラケット
22、23 ロールシャフト
24 送りローラー
30 切断装置
31 固定フレーム
32 カッター
33 駆動部材
40 移動装置
41 スライドテーブル
42 移動部材
50 成型装置
51 テーブル
52 成型金型
53 アーム
60 結晶化装置
61 送り機構
62 結晶化炉
100 ガラス生産装置
121 出口
200 ガラスリボン
300 ガラス部材
400 曲面ガラス部材
421 移動部
422 昇降部材
423 積載フレーム
521 雌型
522 雄型
523 成型キャビティ