(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】表示光出射装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20230106BHJP
A42B 3/04 20060101ALI20230106BHJP
A62B 17/04 20060101ALI20230106BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20230106BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20230106BHJP
【FI】
G01C21/36
A42B3/04
A62B17/04 Z
G02B27/02 Z
G09G5/00 510A
G09G5/00 530T
G09G5/00 550C
G09G5/00 555D
G09G5/00 550B
(21)【出願番号】P 2018238208
(22)【出願日】2018-12-20
【審査請求日】2021-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】591182112
【氏名又は名称】NSウエスト株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390005429
【氏名又は名称】株式会社SHOEI
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松岡 直哉
(72)【発明者】
【氏名】田島 元樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 悠祐
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 航
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(72)【発明者】
【氏名】田中 良昌
(72)【発明者】
【氏名】平松 将紀
(72)【発明者】
【氏名】青井 幸佑
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 海山
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-065593(JP,A)
【文献】国際公開第2016/103937(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
B60W 10/00 - 60/00
A42B 3/04
A62B 17/04
G02B 27/02
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在の速度を示す速度情報を取得するとともに、表示画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部によって生成された表示画像を、ヘルメット装着者の視野に映し出すための表示光を出射する出射部とを備えた表示光出射装置であって、
前記画像生成部は、所定の情報削減条件が満たされているか否かの判定を行い、前記情報削減条件が満たされていないと判定した場合には、第1及び第2の情報を表示する画像を前記表示画像として生成する第1のモードで動作する一方、前記情報削減条件が満たされていると判定した場合には、第1の情報を表示するが第2の情報を表示しない画像を前記表示画像として生成する第2のモードで動作
し、
前記情報削減条件は、取得した前記速度情報により示される速度が所定閾値以上であるという条件を含む速度条件が成立した場合に満たされ、
前記速度条件は、前記第2のモードの動作を所定時間継続していないという条件をさらに含むことを特徴とする表示光出射装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の表示光出射装置において、
当該表示光出射装置は、通信機器から当該通信機器の現在の速度を示す速度情報を受信する無線通信部をさらに備えているとともに、ヘルメットに設けられ、
前記画像生成部により取得される速度情報は、前記無線通信部により受信された速度情報であることを特徴とする表示光出射装置。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の表示光出射装置において、
前記情報削減条件は、前記加速度の絶対値が所定閾値以上であるという加減速条件が成立した場合に満たされることを特徴とする表示光出射装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の表示光出射装置において、
当該表示光出射装置は、通信機器から当該通信機器に設けられた加速度センサの検知結果を受信する無線通信部をさらに備えているとともに、ヘルメットに設けられ、
前記画像生成部は、前記無線通信部により受信された検知結果に基づいて、前記判定を行うことを特徴とする表示光出射装置。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の表示光出射装置において、
前記情報削減条件は、コーナー地点の通過中であるという進行方向条件が成立した場合に満たされることを特徴とする表示光出射装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の表示光出射装置において、
当該表示光出射装置は、通信機器から当該通信機器の現在地とコーナー地点との距離を示す案内情報を受信する無線通信部をさらに備えているとともに、ヘルメットに設けられ、
前記画像生成部は、前記無線通信部により受信された案内情報に基づいて、前記判定を行うことを特徴とする表示光出射装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の表示光出射装置において、
当該表示光出射装置は、通信機器から当該通信機器に設けられたジャイロセンサの検知結果を受信する無線通信部をさらに備えているとともに、ヘルメットに設けられ、
前記画像生成部は、前記無線通信部により受信された検知結果に基づいて、前記判定を行うことを特徴とする表示光出射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルメット装着者の視野に表示画像を映し出すための表示光を出射する表示光出射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表示画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部によって生成された表示画像を、ヘルメット装着者の視野に映し出すための表示光を出射する出射部とを備えた表示光出射装置が開示されている。この表示光出射装置では、次の交差点での進行方向、及び次の交差点までの距離等の情報を表示する表示画像を生成するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のような表示光出射装置において、表示画像に多くの情報を表示させたいという要望がある。しかし、表示画像に常に多くの情報が表示されていると、ヘルメット装着者が表示画像を煩わしく感じる虞がある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、表示画像をヘルメット装着者が煩わしく感じるのを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、現在の速度を示す速度情報を取得するとともに、表示画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部によって生成された表示画像を、ヘルメット装着者の視野に映し出すための表示光を出射する出射部とを備えた表示光出射装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0007】
すなわち、第1の発明は、前記画像生成部は、所定の情報削減条件が満たされているか否かの判定を行い、前記情報削減条件が満たされていないと判定した場合には、第1及び第2の情報を表示する画像を前記表示画像として生成する第1のモードで動作する一方、前記情報削減条件が満たされていると判定した場合には、第1の情報を表示するが第2の情報を表示しない画像を前記表示画像として生成する第2のモードで動作し、前記情報削減条件は、取得した前記速度情報により示される速度が所定閾値以上であるという条件を含む速度条件が成立した場合に満たされ、前記速度条件は、前記第2のモードの動作を所定時間継続していないという条件をさらに含むことを特徴とする。
【0008】
これにより、表示画像に第2の情報を表示しないモードで画像生成部を動作させることができるので、常に第1及び第2の情報を表示画像に表示させるようにした場合に比べ、表示画像をヘルメット装着者が煩わしく感じるのを抑制できる。
【0009】
また、所定閾値以上の速度での走行時に、所定閾値未満の速度での走行時に比べ、表示画像に表示される情報を減らせるので、ヘルメット装着者が外の景色を確認するときに表示画像が邪魔になったり、表示画像を煩わしく感じるのを抑制できる。
【0010】
また、所定閾値未満の速度での走行時又は停止時といった一般的に比較的安全な状態で、ヘルメット装着者に第2の情報を確認させることができる。
【0011】
また、第2のモードの動作が所定時間継続した場合には、画像生成部が第1のモードで動作するので、所定閾値以上の速度での走行が長時間継続する場合に、ヘルメット装着者に第2の情報を所定時間毎に確認させることができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明の表示光出射装置において、当該表示光出射装置は、通信機器から当該通信機器の現在の速度を示す速度情報を受信する無線通信部をさらに備えているとともに、ヘルメットに設けられ、前記画像生成部により取得される速度情報は、前記無線通信部により受信された速度情報であることを特徴とする。
【0013】
これにより、速度情報を取得するためにヘルメットに速度センサを設けなくてもよいので、ヘルメットに速度センサを設ける場合に比べ、ヘルメットの製造コストを削減できる。
【0014】
第3の発明は、第1または2の発明のいずれか1つの表示光出射装置において、前記情報削減条件は、前記加速度の絶対値が所定閾値以上であるという加減速条件が成立した場合に満たされることを特徴とする。
【0015】
これにより、加速度の絶対値が所定閾値以上であるときに、加速度の絶対値が所定閾値未満であるときに比べ、表示画像に表示される情報を減らせるので、ヘルメット装着者が外の景色を確認するのに表示画像が邪魔になったり、表示画像をヘルメット装着者が煩わしく感じるのを抑制できる。
【0016】
また、定速での走行時といった一般的に比較的安全な状態で、ヘルメット装着者に第2の情報を確認させることができる。
【0017】
第4の発明は、第3の発明の表示光出射装置において、当該表示光出射装置は、通信機器から当該通信機器に設けられた加速度センサの検知結果を受信する無線通信部をさらに備えているとともに、ヘルメットに設けられ、前記画像生成部は、前記無線通信部により受信された検知結果に基づいて、前記判定を行うことを特徴とする。
【0018】
これにより、加速度を取得するためにヘルメットに加速度センサを設けなくてもよいので、ヘルメットに加速度センサを設ける場合に比べ、ヘルメットの製造コストを削減できる。
【0019】
第5の発明は、第1~4の発明のいずれか1つの表示光出射装置において、前記情報削減条件は、コーナー地点の通過中であるという進行方向条件が成立した場合に満たされることを特徴とする。
【0020】
これにより、コーナー地点の通過中に、コーナー地点の通過中でないときに比べ、表示画像に表示される情報を減らせるので、ヘルメット装着者が外の景色を確認するのに表示画像が邪魔になったり、表示画像をヘルメット装着者が煩わしく感じるのを抑制できる。
【0021】
また、直進時といった一般的に比較的安全な状態で、ヘルメット装着者に第2の情報を確認させることができる。
【0022】
第6の発明は、第5の発明の表示光出射装置において、当該表示光出射装置は、通信機器から当該通信機器の現在地とコーナー地点との距離を示す案内情報を受信する無線通信部をさらに備えているとともに、ヘルメットに設けられ、前記画像生成部は、前記無線通信部により受信された案内情報に基づいて、前記判定を行うことを特徴とする。
【0023】
これにより、コーナー地点の通過中であるか否かを判定するためにヘルメットにジャイロセンサを設けなくてもよいので、ヘルメットにジャイロセンサを設ける場合に比べ、ヘルメットの製造コストを削減できる。
【0024】
第7の発明は、第6の発明の表示光出射装置において、当該表示光出射装置は、通信機器から当該通信機器に設けられたジャイロセンサの検知結果を受信する無線通信部をさらに備えているとともに、ヘルメットに設けられ、前記画像生成部は、前記無線通信部により受信された検知結果に基づいて、前記判定を行うことを特徴とする。
【0025】
これにより、コーナー地点の通過中であるか否かを判定するためにヘルメットにジャイロセンサを設けなくてもよいので、ヘルメットにジャイロセンサを設ける場合に比べ、ヘルメットの製造コストを削減できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、表示画像をヘルメット装着者が煩わしく感じるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態に係る表示光出射装置を備えたナビゲーションシステムの構成を示す外観図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る表示光出射装置を備えたナビゲーションシステムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】第1のモードで画像生成部により生成される表示画像を示す図である。
【
図4】第2のモードで画像生成部により生成される表示画像を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る表示光出射装置によって実行される動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0029】
図1は、ナビゲーションシステム1を示す。このナビゲーションシステム1は、通信機器としてのスマートフォン10と、ヘルメット20とを備えている。
【0030】
スマートフォン10は、
図2に示すように、Bluetooth(登録商標)を用いた無線通信を行う無線通信インターフェース11と、GPS受信機12と、スマートフォン10のXYZ軸方向の加速度を検知する加速度センサ13と、スマートフォン10の回転の角速度を検知するジャイロセンサ14とを備えている。また、このスマートフォン10には、スマートフォン10のOSであるモバイルオペレーションシステム15と、モバイルオペレーションシステム15上で、GPS受信機12により取得された位置情報等を用いて稼働するカーナビゲーションサービスアプリケーションプログラム(以下、「カーナビアプリ」と呼ぶ)16とが搭載されている。スマートフォン10は、カーナビアプリ16の実行時、現在地から次に到着予定の案内地点までの距離、及び案内地点における進行方向を示す案内情報と、現在の速度を示す速度情報と、加速度センサ13により検知された加速度(検知結果)を示す加速度情報とを無線通信インターフェース11による無線通信によって送信するようになっている。なお、案内地点は、案内地点を通過すると、次の新たな案内地点に切り換えられるようになっている。
【0031】
ヘルメット20の前面側には、ヘルメット装着者の額部と顎部との間に対向するように窓孔21が形成されている。該窓孔21の周縁部の左右両側には、透光性を有するシールド22が上下方向に回動することで窓孔21を開閉するように取り付けられている。ヘルメット20の外表面における窓孔21よりもヘルメット装着者から見て左側、すなわちヘルメット装着者の耳に対応する位置には、第1のスイッチ23を含む複数のスイッチが配設されている。また、ヘルメット20の窓孔21の上縁部における左右方向中央よりもヘルメット装着者から見て右寄りの箇所には、半透明の板状のコンバイナ26が、取付部材27を介して内側から取り付けられている。ヘルメット20の窓孔21の下方には、本発明の実施形態に係る表示光出射装置30と、当該表示光出射装置30によって出射された表示光をコンバイナ26に投射するミラー28とが内蔵されている。表示光出射装置30とコンバイナ26とミラー28とで、ヘッドアップディスプレイ装置40が構成されている。
【0032】
表示光出射装置30は、
図2に示すように、Bluetooth(登録商標)を用いてスマートフォン10と通信可能な無線通信部としてのBluetoothモジュール31と、Bluetoothモジュール31により受信された情報に基づいて、ヘルメット装着者の視野に映し出す表示画像を生成する画像生成部32と、画像生成部32によって生成された表示画像をヘルメット装着者の視野に映し出すための表示光を出射する出射部としてのLCOS(Liquid Crystal on Silicon)33とを備えている。表示光出射装置30は、第1のスイッチ23が長押しされることで、起動するようになっている。
【0033】
Bluetoothモジュール31は、案内情報と速度情報と加速度情報とをスマートフォン10の無線通信インターフェース11から受信する。
【0034】
画像生成部32は、Bluetoothモジュール31により受信された案内情報に基づいて、案内地点までの距離等を示す表示画像を生成する。画像生成部32は、第1及び第2のモードで動作可能であり、第1のモードでは、
図3に示すように、案内情報に示される距離34a及び案内情報に示される進行方向34bを第1の情報として表示するとともに、右に示す時刻が案内地点への到着予定時刻であることを示すアイコン34c及び案内地点への到着予定時刻34dを第2の情報として表示する画像を表示画像として生成する。一方、第2のモードでは、
図4に示すように、案内情報に示される距離34a及び案内情報に示される進行方向34bを表示するが、アイコン34c及び到着予定時刻34dを表示しない画像を表示画像として生成する。画像生成部32は、マイクロコンピュータ32aと、フラッシュROM(Read Only Memory)32bと、マイクロコンピュータ32aによる指示に基づいて、フラッシュROM32bに記憶されている図柄等を組み合わせて表示画像を生成するGDC(Graphics Display Controller)32cとを備えている。
【0035】
LCOS33は、画像生成部32のGDC32cにより生成された案内画像をコンバイナ26によってヘルメット装着者の視野に映し出すための表示光を出射する。LCOS33による表示光の出射は、第1のスイッチ23が短押しされることで、強制的に停止できるようになっている。
【0036】
上記構成のナビゲーションシステム1では、表示光出射装置30が起動すると、スマートフォン10のカーナビアプリ16の実行により案内情報や速度情報が表示光出射装置30のBluetoothモジュール31で受信される。そして、案内情報に基づいて表示画像がGDC32cにて生成され、その表示画像に応じた表示光がLCOS33から出射された後にミラー28で反射される。そして、ミラー28で反射された表示光が、コンバイナ26に投光されて、コンバイナ26でヘルメット装着者の視野に映し出されるようにさらに反射される。これにより、ヘルメット装着者は、コンバイナ26越しに前方視界の風景に重畳した状態で表示光による表示像を虚像として視認させられる。
【0037】
以下、上述のように構成されたナビゲーションシステム1の動作について説明する。
【0038】
まず、自動二輪車等の運転者が、カーナビアプリ16を起動させた状態のスマートフォン10を所持した状態で、ヘルメット20を装着して第1のスイッチ23を長押しすると、表示光出射装置30が起動する。表示光出射装置30は、起動後、Bluetoothモジュール31によるスマートフォン10との無線通信が繋がっている間、
図5のフローチャートに示す動作を、Bluetoothモジュール31がスマートフォン10から新たな情報を受信する毎に繰り返し実行する。なお、表示光出射装置30の起動時、第2のモードの動作の開始時からの経過時間を示すTの値が、0に初期化される。
【0039】
図5に示す動作では、まず、ステップ101において、Bluetoothモジュール31が、スマートフォン10により送信された案内情報と速度情報と加速度情報とを受信し、ステップ102に進む。
【0040】
ステップ102では、画像生成部32のマイクロコンピュータ32aが、ステップ101でBluetoothモジュール31により受信された速度情報を取得し、当該速度情報に示される速度Vが所定の閾値TH1以上であるという条件が成立しているか否かを判定する。速度Vが閾値TH1以上であるという条件が成立している場合には、ステップ103に進む一方、速度Vが閾値TH1以上であるという条件が成立していない場合には、ステップ108に進む。閾値TH1は、例えば、時速20kmに設定できるが、時速20km以外の値に設定してもよい。
【0041】
ステップ103では、画像生成部32のマイクロコンピュータ32aが、第2のモードの動作の開始時からの経過時間Tを所定時間TH2と比較することにより、第2のモードの動作を所定時間TH2継続していないという条件が成立するか否かを判定する。経過時間Tが所定時間TH2よりも短い場合、すなわち第2のモードの動作を所定時間TH2継続していない場合には、ステップ104に進む。一方、経過時間Tが所定時間TH2以上である場合、すなわち第2のモードの動作を所定時間TH2継続している場合には、ステップ105に進む。
【0042】
ステップ104では、画像生成部32のマイクロコンピュータ32aが、第2のモードの動作の開始時からの経過時間Tが0であるか否かを判定する。第2のモードの動作の開始時からの経過時間Tが0である場合には、ステップ106に進む一方、第2のモードの動作の開始時からの経過時間Tが0でない場合には、ステップ107に進む。
【0043】
ステップ105では、画像生成部32のマイクロコンピュータ32aが、第2のモードの動作の開始時からの経過時間Tを0に初期化し、ステップ110に進む。
【0044】
ステップ106では、画像生成部32のマイクロコンピュータ32aが、経過時間Tの計測(カウントアップ)を開始し、ステップ107に進む。以降、経過時間Tの値が、時間の経過に伴って増加する。
【0045】
ステップ107では、画像生成部32が第2のモードで動作する。つまり、画像生成部32のGDC32cが、マイクロコンピュータ32aの指示により、案内情報に示される距離34a及び案内情報に示される進行方向34bを表示するが、アイコン34c及び到着予定時刻34dを表示しない画像を表示画像として生成する。
【0046】
ステップ108では、画像生成部32のマイクロコンピュータ32aが、ステップ101でBluetoothモジュール31により受信された加速度情報に示される加速度Aの絶対値が所定閾値TH3以上であるという加減速条件が成立しているか否かを判定する。加速度Aの絶対値が所定閾値TH3以上であり、加減速条件が成立している場合には、ステップ107に進む一方、加速度Aの絶対値が所定閾値TH3未満であり、加減速条件が成立していない場合には、ステップ109に進む。
【0047】
ステップ109では、画像生成部32のマイクロコンピュータ32aが、ステップ101でBluetoothモジュール31により受信された案内情報に示される進行方向が右折又は左折であり、かつ当該案内情報に示される距離が所定の比較値以下であるか否かに基づいて、コーナー地点の通過中であるという進行方向条件が成立するか否かを判定する。比較値は、例えば、10mに設定されるが、10m以外の値に設定してもよい。案内情報に示される進行方向が右折又は左折の場合、案内地点はコーナー地点であるので、案内情報に示される距離は、現在地とコーナー地点との距離となる。案内情報に示される進行方向が右折又は左折であり、かつ当該案内情報に示される距離が比較値以下である場合には、進行方向条件が成立すると判定し、ステップ107に進む一方、案内情報に示される進行方向が右折と左折のいずれにも該当しない場合、及び当該案内情報に示される距離が比較値を超える場合には、進行方向条件が成立しないと判定し、ステップ105に進む。
【0048】
ステップ110では、画像生成部32が第1のモードで動作する。つまり、画像生成部32のGDC32cが、マイクロコンピュータ32aの指示により、案内情報に示される距離34a及び案内情報に示される進行方向34bを表示するとともに、右に示す時刻が目的地への到着予定時刻であることを示すアイコン34c及び目的地への到着予定時刻34dを表示する画像を表示画像として生成する。
【0049】
したがって、本実施形態によると、表示画像にアイコン34c及び到着予定時刻34dを表示しないモードで画像生成部32を動作させることができるので、距離34a及び進行方向34bとアイコン34c及び到着予定時刻34dとを常に表示画像に表示させるようにした場合に比べ、表示画像をヘルメット装着者が煩わしく感じるのを抑制できる。
【0050】
また、所定閾値以上の速度での走行時、加減速中、及びコーナー地点の通過中に、閾値TH1未満の一定の速度で直進しているときに比べ、表示画像に表示される情報を減らせるので、ヘルメット装着者が外の景色を確認するときに表示画像が邪魔になったり、表示画像が煩わしく感じられるのを抑制できる。
【0051】
また、所定閾値未満での定速での直進時又は停止時といった一般的に比較的安全な状態で、ヘルメット装着者にアイコン34c及び到着予定時刻34dを確認させることができる。
【0052】
また、ヘルメット20のBluetoothモジュール31がスマートフォン10から速度情報を受信するので、ヘルメット20に速度情報を取得するための速度センサを設けなくてもよい。したがって、ヘルメット20に速度センサを設ける場合に比べ、ヘルメット20の製造コストを削減できる。
【0053】
また、ヘルメット20のBluetoothモジュール31によりスマートフォン10から受信された案内情報を利用して、コーナー地点の通過中であるか否かが判定されるので、コーナー地点の通過中であるか否かを判定するためにヘルメット20にジャイロセンサを設けなくてもよい。したがって、ヘルメット20の製造コストを削減できる。
【0054】
また、ヘルメット20のBluetoothモジュール31がスマートフォン10から加速度情報を受信するので、加速度を取得するためにヘルメット20に加速度センサを設けなくてもよい。したがって、ヘルメット20に加速度センサを設ける場合に比べ、ヘルメット20の製造コストを削減できる。
【0055】
また、速度Vが閾値TH1以上であっても、第2のモードの動作の開始時からの経過時間Tが所定時間TH2以上である場合には、画像生成部32が第1のモードで動作するので、閾値TH1以上の速度での走行が長時間継続する場合に、ヘルメット装着者にアイコン34c及び到着予定時刻34dを所定時間毎に確認させることができる。
【0056】
なお、上記実施形態では、ステップ109において、進行方向条件が成立しているか否かを、案内情報に基づいて判定したが、スマートフォン10のジャイロセンサ14により検知された角速度(検知結果)を示す角速度情報に基づいて判定するようにしてもよい。つまり、前記角速度情報を、スマートフォン10の無線通信インターフェース11に無線通信によって送信させ、ヘルメット20のBluetoothモジュール31に受信させ、Bluetoothモジュール31により受信された角速度情報に基づいて、画像生成部32のマイクロコンピュータ32aが判定を行うようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、画像生成部32を第2のモードで動作させるための条件(情報削除条件)を、速度Vが閾値TH1以上であり、かつ第2のモードの動作の開始時からの経過時間Tが所定時間TH2よりも短いという条件(速度条件)、加減速条件、及び進行方向条件の少なくとも一つが成立するという条件としたが、他の条件としてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、第1の情報を、案内情報に示される距離34a及び案内情報に示される進行方向34b、第2の情報を、右に示す時刻が案内地点への到着予定時刻であることを示すアイコン34c及び案内地点への到着予定時刻34dとしたが、他の情報としてもよい。例えば、第1及び第2の情報に、現在時刻、目的地までの距離、走行車線、案内地点の交差点名等、上記実施形態で第1及び第2の情報に含ませた情報以外の情報を含ませてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、ヘルメット装着者の視野に映し出すための表示光を出射する表示光出射装置として有用である。
【符号の説明】
【0060】
10 スマートフォン(通信機器)
20 ヘルメット
30 表示光出射装置
31 Bluetoothモジュール(無線通信部)
32 画像生成部
33 LCOS(出射部)