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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】集草満杯検出装置
(51)【国際特許分類】
   A01D 43/063 20060101AFI20230106BHJP
【FI】
A01D43/063
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019026706
(22)【出願日】2019-02-18
(65)【公開番号】P2020130024
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】土生 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 知央
(72)【発明者】
【氏名】田島 慎也
(72)【発明者】
【氏名】橋本 泰典
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-153653(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0068182(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 43/063
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
草刈装置が刈り取った刈り草を貯留する集草容器の満杯状態を検出する集草満杯検出装置であって、
前記集草容器に貯留される前記刈り草を検量する刈り草量検出部と、
第1の報知部および第2の報知部を有する報知部と、
タイマーと、
前記草刈装置が駆動されていることを検出する駆動検出部と、
前記刈り草量検出部が所定量の前記刈り草を検知してからの時間を前記タイマーに測定させ、前記草刈装置が駆動されていることを前記駆動検出部が検出していない際には、前記刈り草量検出部が前記所定量の前記刈り草を前記所定時間継続して検知すると前記第1の報知部に警報を報知させ、前記草刈装置が駆動されていることを前記駆動検出部が検出している際には、前記刈り草量検出部が前記所定量の前記刈り草を前記所定時間継続して検知すると前記第1の報知部および前記第2の報知部に警報を報知させる制御部とを備える集草満杯検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の報知部が前記警報を報知中に、前記刈り草が前記所定量を下回ったことを前記刈り草量検出部が検出すると前記第1の報知部に前記警報を停止させ、前記第2の報知部が前記警報を報知中に、前記刈り草が前記所定量を下回ったことを前記刈り草量検出部が検出した場合、または、前記草刈装置が駆動されていることを前記駆動検出部が検出しなくなった場合に、前記第2の報知部に前記警報を停止させる請求項に記載の集草満杯検出装置。
【請求項3】
前記第1の報知部はインジケータであり、前記第2の報知部はブザーである請求項1または2に記載の集草満杯検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈り草を貯留する集草容器の満杯状態を検出する集草満杯検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
草刈機には、刈り草を回収する集草容器と、集草容器に貯留される刈り草の重量を計測する刈り草量検出装置と、集草容器が刈り草で満杯になったことを報知する満杯警報装置とを備えるものがある。
【0003】
刈り草量検出装置は、集草容器に回収された刈り草の重量を受けるよう検出孔を介して刈り草に接触する揺動自在なセンサ板と、センサ板を基準姿勢に揺動付勢するスプリングと、センサ板の基準姿勢からの揺動を検出する検出手段とを備える。刈り草量検出装置は、センサ板が所定量揺動することによってセンサ板が検出スイッチから離れて、集草容器が刈り草で満杯になったことを検出する。満杯警報装置は、刈り草量検出装置が満杯状態を検知すると警報を報知する。なお、センサ板が検出スイッチ押圧する揺動量をスプリングにより調整することにより、満杯状態に相当する重量や刈り草量検出装置の感度がスプリングにより調整される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-4799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、草刈機が段差を昇降する際の振動等により、スプリングの伸縮が変動して刈り草量検出装置のセンサ板が振動し、検出スイッチが正確に満杯状態を検出できない場合がある。その結果、満杯警報装置が、満杯状態になる前に警報を報知したり、満杯状態になっているにもかかわらず警報を報知しない場合がある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するために、集草容器が満杯になったことを、正確に検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る集草満杯検出装置は、草刈装置が刈り取った刈り草を貯留する集草容器の満杯状態を検出する集草満杯検出装置であって、前記集草容器に貯留される前記刈り草を検量する刈り草量検出部と、第1の報知部および第2の報知部を有する報知部と、タイマーと、前記草刈装置が駆動されていることを検出する駆動検出部と、前記刈り草量検出部が所定量の前記刈り草を検知してからの時間を前記タイマーに測定させ、前記草刈装置が駆動されていることを前記駆動検出部が検出していない際には、前記刈り草量検出部が前記所定量の前記刈り草を前記所定時間継続して検知すると前記第1の報知部に警報を報知させ、前記草刈装置が駆動されていることを前記駆動検出部が検出している際には、前記刈り草量検出部が前記所定量の前記刈り草を前記所定時間継続して検知すると前記第1の報知部および前記第2の報知部に警報を報知させる制御部とを備える。
【0008】
このような構成により、満杯状態になった蓋然性が高い場合にのみ警報が報知されるため、集草容器が満杯状態であることの警報が誤って行われることが抑制され、より正確に満杯状態となった旨の警報が報知される。その結果、誤警報に伴う不必要な作業が抑制され、適切な状況で適切な作業を行うことができる。
【0009】
【0010】
また、草刈装置の駆動状況に応じて、警報を報知する報知部の組み合わせを異ならせることができるため、草刈装置の駆動状況に応じた適切な作業を行うことができる。例えば、草刈り作業中でない場合には、貯留される刈り草が増加することがないので、刈り草の排出等の作業を行う必要がない場合が多い。このような場合には、満杯状態である旨の警報を報知する必要性が低い。そのため、草刈装置の駆動状況に応じて警報を異ならせ、警報の重要度に差を持たせることができるため、より適切な警報を報知し、それに応じたより適切な作業を行うことができる。
【0011】
また、前記制御部は、前記警報の報知中に、前記刈り草が前記所定量を下回ったことを前記刈り草量検出部が検出すると、前記報知部に警報を停止させることが好ましい。
【0012】
このような構成により、満杯状態であることを刈り草量検出部が検出しなくなった場合には、直ちに警報を停止させるため、誤警報が継続して報知されることを抑制し、より適切な警報を報知することができる。
【0013】
また、前記制御部は、前記第1の報知部が前記警報を報知中に、前記刈り草が前記所定量を下回ったことを前記刈り草量検出部が検出すると前記第1の報知部に警報を停止させ、前記第2の報知部が前記警報を報知中に、前記刈り草が前記所定量を下回ったことを前記刈り草量検出部が検出した場合、または、前記草刈装置が駆動されていることを前記駆動検出部が検出しなくなった場合に、前記第2の報知部に警報を停止させることが好ましい。
【0014】
草刈装置の駆動状況に応じて異なる警報の組み合わせが報知されている際に、満杯状態の検出状況と草刈装置の駆動状況とに応じて、それぞれの警報が停止されるため、それぞれの警報に対して誤警報が継続して報知されることを抑制し、より適切な警報を報知することができる。
【0015】
また、前記第1の報知部はインジケータであり、前記第2の報知部はブザーであることが好ましい。
【0016】
草刈り作業中は、インジケータ等の目視が必要な警報では、操縦者は満杯警報に気付きにくい。そこで、草刈り作業中はブザーによる警報を、インジケータによる警報に加えて報知することにより、操縦者が満杯警報に気付きやすくすることができる。これにより、作業状況に応じた適切な警報を報知することができ、より効率的な草刈り作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】草刈機の全体側面図である。
図2】集草容器の下降回収状態での側面図である。
図3】集草容器の上昇排出状態での側面図である。
図4】集草容器の刈り草量検出装置配設部位での縦断側面図である。
図5】刈り草量検出装置の非検出状態での側面図である。
図6】刈り草量検出装置の満杯検出状態での側面図である。
図7】集草容器の刈り草量検出装置配設部位での正面図である。
図8】刈り草量検出装置の斜視図である。
図9】満杯を検知して警報を報知する構成を説明する概略図である。
図10】満杯警報装置の作動条件を示す図である。
図11】満杯警報装置の作動タイミングを示す図である。
図12】満杯を検知して警報を報知するフローを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1は草刈機の全体側面図である。この図に示すように、この草刈機は、左右一対の操向操作可能な前車輪1,1と左右一対の駆動可能な後車輪2,2とによって自走するよう構成される。また、草刈機は、車体後部に設けた運転座席3が装備された運転部を有した乗用型の自走車を備える。さらに、草刈機は、この自走車の車体フレーム4の前後輪間にリンク機構10を介して連結された草刈装置20を備え、自走車の車体フレーム4の後部に支持フレーム31を介して支持される集草容器32が装備された刈草回収装置30を備える。草刈装置20は、リンク機構10によって、下降作業状態と上昇非作業状態とに昇降操作される。
【0019】
この草刈機は、芝や草を刈り込む草刈り作業を行う。すなわち、自走車は、車体前部に設けたエンジン5と、このエンジン5の下方に設けた動力取り出し機構40とを備えている。動力取り出し機構40は、エンジン5の出力を、伝動ベルト42を介して入力軸41に入力し、入力軸41の駆動力を油圧操作式の作業クラッチ45を介して動力取り出し軸43に伝達し、この動力取り出し軸43の駆動力を、PTO軸等である回転軸46を介して草刈装置20の刈り刃駆動機構22に伝達する。
【0020】
草刈装置20は、刈り刃ハウジング21の内部に横方向に並んで位置する二枚の刈り刃26を備える。刈り刃26は、刈り刃駆動機構22によって駆動され、上下向きの軸芯まわりに回転して草刈りを行う。刈り草は、刈り刃26の回転によって発生した風によって運ばれ、刈り刃ハウジング21の上部に位置する刈り草排出ダクト27から排出される。
【0021】
刈り草排出ダクト27から排出された刈り草は、刈り刃26からの風による搬送作用と、自走車に左右一対の後車輪2,2の間を車体前後方向に通して設けてある搬送ダクト6による案内作用とによって集草容器32に送り込まれ、この集草容器32によって回収されて貯留される。
【0022】
図1に示すように、刈草回収装置30は、支持フレーム31の左右側から車体後方向きに上下揺動自在に延出した上下一対の昇降リンク33a,33bと、各昇降リンク33a,33bの遊端側に連結された容器支持体33cとを有したリンク機構33によって支持フレーム31の上端部と集草容器32の後端部とを連結している。この刈草回収装置30は、集草容器32の両横側に設けた昇降シリンダ34と、集草容器32の後部の下方に設けた一つのダンプシリンダ35とを備えている。
【0023】
図2は、集草容器32の下降回収状態での側面図である。この図に示すように、刈草回収装置30は、左右一対の昇降シリンダ34,34によってリンク機構33を下降操作し、ダンプシリンダ35によって集草容器32を回転支軸36の軸芯まわりに下降揺動操作することにより、集草容器32を下降回収状態に操作する。
【0024】
下降回収状態において、集草容器32の前部に設けてある刈り草投入口32cが車体前方向きになって搬送ダクト6に連通し、搬送ダクト6内を案内された刈り草が刈り草投入口32cを通って集草容器32に投入される。集草容器32の後部には、支持アーム39と容器フレーム32fとを備える開閉リンク37が設けられる。支持アーム39と容器フレーム32fとは連結ピン39aにより連結され、支持アーム39に刈り草排出口32bに対する蓋体32aが支持される。支持アーム39が、連結ピン39aの軸芯まわりに閉じ側に揺動操作されることにより、蓋体32aが閉じ操作される。これにより、刈り草排出口32bが閉じられ、刈り草と共に集草容器32に流入した搬送風は、集草容器32の壁体の網目から容器外に流出する。このような状態で、集草容器32は、搬送ダクト6からの刈り草を回収して貯留する。
【0025】
図3は、集草容器32の上昇排出状態での側面図である。この図に示すように、刈草回収装置30は、左右一対の昇降シリンダ34,34によってリンク機構33を上昇操作させ、ダンプシリンダ35によって集草容器32を回転支軸36の軸芯まわりに上昇操作させることにより、集草容器32が上昇排出状態に操作される。
【0026】
上昇排出状態において、集草容器32の刈り草投入口32cが車体上方向きになり、刈り草排出口32bが車体下方向きになる。開閉リンク37が集草容器32の回転支軸36のまわりでの揺動によって支持アーム39が開き側に揺動操作され、蓋体32aが開き操作されて刈り草排出口32bが開かれる。このような状態で、集草容器32は、貯留していた刈り草を刈り草排出口32bからの自然落下によって排出する。
【0027】
図1に示すように、自走車は、運転パネル50に設けた満杯警報装置(報知部)51を備えている。満杯警報装置51は、集草容器32の前部に設けた刈り草量検出装置(刈り草量検出部)60によって集草容器32の満杯状態が検出されると、この検出情報を基に作動操作される。この満杯警報装置51は、後述するように、インジケータ51a(図9参照)やブザー51b(図9参照)等からなり、インジケータ51a(図9参照)の点灯やブザー51b(図9参照)の吹鳴により、集草容器32が満杯状態である旨の警告(警報)を行う。
【0028】
〔刈り草量検出装置〕
図4は、集草容器32の刈り草量検出装置60を設けた部位での縦断側面図である。図7は、集草容器32の刈り草量検出装置60を設けた部位での正面図である。図8は、刈り草量検出装置60の斜視図である。これらの図に示すように、集草容器32の刈り草投入口32cは、集草容器32の左右一対の前容器フレーム32d、32dにわたって取り付けた板金材52の左右一対の横板部52a,52aと底板部52bとによって形成されている。
【0029】
刈り草量検出装置60は、集草容器32の前部に刈り草投入口32cの下方に設けられた検出孔61と、この検出孔61のセンサ配置口側に位置するセンサ板62と、屈曲板金67と、スプリング65と、検出手段66とを備える。センサ板62の横一端側の下端部には、スプリング連結アーム63が設けられる。スプリング65は、調節ネジ形の連結具64を介して、スプリング連結アーム63に一端側に連結される。センサ板62は、スイッチ操作部62cと、集草容器内の刈り草に接触する感圧部62aとを備える。
【0030】
屈曲板金67は、左右一対の横板部67b,67bと、左右一対の横板部67b,67bの前端側に連なった前板部67aとを備えた状態で、板金材52の下方に位置している。この屈曲板金67は、左右側で横板部67bと前容器フレーム32dとを連結する連結部材68を介して集草容器32に支持される。
【0031】
センサ板62は、このセンサ板62の下端側に設けた左右一対の連結板部70,70と、屈曲板金67の下端部に設けた左右一対の支持部67c,67cとにわたって装着された枢支軸71を介して、左右一対の支持部67c,67cに支持されており、枢支軸71の集草容器横向きの軸芯まわりに揺動する。センサ板62の感圧部62aは集草容器内の刈り草に接触し、集草容器32に貯留された刈り草の重量がセンサ板62にかかる構成である。
【0032】
スプリング65のスプリング連結アーム63に連結している側と反対側の端部は、板金材52の底板部52bに設けたスプリング掛け体72に連結されている。スプリング65は、スプリング掛け体72を反力部材にしてスプリング連結アーム63を枢支軸71の軸芯まわりに上昇揺動付勢することにより、センサ板62を、センサ板62の上端部に位置する左右一対の位置決め片62b,62bが屈曲板金67の前板部67aに当接して受け止め支持された基準姿勢Aに揺動付勢している。
【0033】
スプリング65は、集草容器32における刈り草量が設定満杯量に達すると、センサ板62を介して作用する刈り草重量のために伸長して、センサ板62の基準姿勢Aから集草容器外側への揺動を許容し、センサ板62の基準姿勢Aからの揺動角度を設定満杯揺動角度にする。
【0034】
検出手段66は、屈曲板金67の横板部67bに固定され、後述するように、センサ板62が非接触となることにより、集草容器32が満杯状態となったことを検出する操作片66aを備える。操作片66aは、後述するように、センサ板62のスイッチ操作部62cとの接触状態から満杯状態であるか否かを検出する。
【0035】
検出孔61は、屈曲板金67の前板部67aに設けられた矩形の貫通孔で成るセンサ配置口61aと、このセンサ配置口61aから左右一対の前容器フレーム32d、32dの間に至る検出孔本体61bとによって構成される。検出孔本体61bは、屈曲板金67の左右の横板部67bと、板金材52の底板部52bと、左右一対の連結部材68,68とによって形成される。この検出孔61は、センサ板62の裏面側に膨出した感圧部62aを入り込ませる。
【0036】
検出孔61の集草容器横方向での大きさW1は、集草容器32の刈り草投入口32cの集草容器横方向での大きさW2に近い大きさになっている。検出孔61の集草容器横方向での大きさW1は、集草容器32の刈り草投入口32cの集草容器横方向での大きさW2に等しくしてもよい。この場合も、検出孔61の大きさW1が刈り草投入口32cの大きさW2に近い場合と同様に、センサ板62の刈り草に接触する面積が大きくなって、センサ板62が刈り草重量を精度よく受けやすくなる。
【0037】
また、センサ板62は、センサ板62が基準姿勢Aにある場合も、センサ板62が設定満杯揺動角度に揺動した場合も、感圧部62aが検出孔61の検出孔本体61bに入り込んだ取り付け姿勢に維持されて、検出孔61のセンサ配置口61aとセンサ板62との間に刈り草が漏れ出る隙間を形成しない。
【0038】
図5は、刈り草量検出装置60の非検出状態での側面図である。図6は、刈り草量検出装置60の満杯検出状態での側面図である。これらの図に示すように、検出手段66は、センサ板62が基準姿勢Aにあると、センサ板62に設けてあるスイッチ操作部62cによって操作片66aが押圧操作されてオフ操作状態となる。逆に、検出手段66は、センサ板62の基準姿勢Aからの揺動角度が設定満杯揺動角度になると、スイッチ操作部62cによる操作片66aの押圧操作が解除されて、操作片66aの自己復元力によってオン操作状態に切り換わる。
【0039】
つまり、図5に示すように、集草容器32に刈り草が貯留されていない場合、センサ板62には荷重がかからず、センサ板62は基準姿勢Aとなる。図6に示すように、集草容器32に刈り草が回収されると、貯留された刈り草が検出孔61を介してセンサ板62の感圧部62aに接触して刈り草の重量がセンサ板62にかかる。センサ板62に刈り草の重量がかかると、センサ板62がスプリング65に抗して基準姿勢Aから揺動する。回収された刈り草の量が多くなるほど、刈り草重量が増大してセンサ板62の揺動角度が増大する。センサ板62の揺動角度が、設定満杯揺動角度に達するまでは検出手段66がセンサ板62に押圧されてオフ状態にあり、センサ板62の揺動角度が設定満杯揺動角度に達すると、センサ板62が検出手段66から離れて検出手段66がオン状態に切り換わる。
このように、刈り草量検出装置60は、センサ板62の基準姿勢Aからの揺動角度が設定満杯揺動角度に達することにより、集草容器32に貯留された刈り草量が満杯量になったと検出し、この検出結果を電気信号にして出力する。
【0040】
〔集草満杯検出装置〕
次に、図9図11を用いて、集草容器32が刈り草で満杯状態であることを検出し、警報を報知する集草満杯検出装置の構成について説明する。集草満杯検出装置は、制御部53と、満杯警報装置51とを含んで構成され、運転パネル50内に配置される。
【0041】
図9に示すように、制御部53は、刈り草量検出装置60および動力取り出し機構40から情報を取得し、集草容器32が満杯情報になったことを、満杯警報装置51であるインジケータ(第1の報知部)51aおよび満杯警報装置51であるブザー(第2の報知部)51bを通じて警報を報知する。インジケータ51aは、制御部53の制御に伴ってランプが点灯する。ブザー51bは、制御部53の制御に伴って警報音を吹鳴する。
【0042】
制御部53はマイコン等のプロセッサを含んで構成され、満杯検知部55と、駆動検出部57と、警報制御部58とを備える。
【0043】
満杯検知部55は、刈り草量検出装置60が集草容器32に貯留された刈り草量が満杯量になったことを検出した際に出力する電気信号を受信する。また、満杯検知部55は、タイマー54を備えており、電気信号を受信すると、この電気受信してからの時間を計測する。満杯検知部55は、計測時間を警報制御部58に送信することにより、集草容器32が満杯状態であることを刈り草量検出装置60が検出している旨と、刈り草量検出装置60が満杯状態を検出している継続時間とを、警報制御部58に知らせる。
【0044】
駆動検出部57は、草刈装置20が駆動されているか否かを示す信号を受信する。ここで、草刈装置20は、動力取り出し機構40で取り出された駆動力が回転軸46を介して伝達されることにより駆動される。そのため、草刈装置20が駆動されて稼働しているか否かは、動力取り出し機構40が作動して回転軸46に駆動力を伝達しているか否かにより判断できる。そのため、動力取り出し機構40は、回転軸46に駆動力を伝達している作動中に、その旨を示す信号を駆動検出部57に送信する。駆動検出部57は、この信号を受信すると、草刈装置20が稼働中(駆動されている)である旨の信号を警報制御部58に送信する。
【0045】
警報制御部58は、満杯検知部55から、刈り草量検出装置60が満杯状態を検出している継続時間を計測時間として受信する。また、警報制御部58は、草刈装置20が稼働中である旨の信号を受信する。さらに、警報制御部58は、計測時間を受信している間において、草刈装置20の稼働状況に基づいて、インジケータ51aおよびブザー51bの動作を制御する。
【0046】
このような構成の集草満杯検出装置は、制御部53の警報制御部58により、集草容器32の満杯状態の継続時間と、草刈装置20の稼働状況(駆動状況)に応じて、インジケータ51aおよびブザー51bを含む満杯警報装置51の動作を制御する。
【0047】
具体的には、図10に示すように(図9を参照する)、警報制御部58は、刈り草量検出装置60が満杯状態を検出しない場合(検出手段SW=OFF)は、インジケータ51aを消灯させ、ブザー51bを無鳴状態にさせる(状態(1))。また、警報制御部58は、刈り草量検出装置60が満杯状態を検出していても(検出手段SW=ON)、刈り草量検出装置60が所定時間、例えば3秒間継続して満杯状態を検出するまでは、草刈装置20が稼働していなくても(駆動されていなくても:PTO=OFF(PTO軸に対応する回転軸46が回転しない状態))(状態(2))、草刈装置20が稼働していても(駆動されていても:PTO=ON(PTO軸に対応する回転軸46が回転する状態))(状態(3))、インジケータ51aを消灯させ、ブザー51bを無鳴状態にさせる。警報制御部58は、刈り草量検出装置60が3秒間継続して満杯状態を検出すると、インジケータ51aを点灯させる。この際、草刈装置20が稼働していない場合にはブザー51bを吹鳴させず(状態(4))、草刈装置20が稼働している場合のみブザー51bを吹鳴させる(状態(5))。
【0048】
このような制御のタイムチャートの一例を、図9を参照しながら、図11を用いて説明する。
【0049】
刈り草量検出装置60が満杯状態を検出するまでは、インジケータ51aは消灯され、ブザー51bを無鳴状態にされる。時間T1において、刈り草量検出装置60が満杯状態を検出すると、満杯検知部55のタイマー54は時間の計測を開始する。なお、時間の計測中に満杯状態が検出されなくなると、満杯検知部55の制御により、タイマー54は時間の計測を停止し、時間をリセットする(時間T6)。時間T2において、刈り草量検出装置60が満杯状態を継続して検出する時間が3秒に到達したとすると、警報制御部58の要求を受けて、インジケータ51aが点灯される。時間T2において、草刈装置20が稼働していない場合、ブザー51bは吹鳴されない。その後、時間T3において、刈り草量検出装置60が満杯状態を継続して検出しており、かつ草刈装置20が稼働すると、警報制御部58の要求を受けて、ブザー51bが吹鳴される。時間T4において、草刈装置20が稼働を停止したとすると、警報制御部58の要求を受けて、ブザー51bの吹鳴が停止される。この時、刈り草量検出装置60が満杯状態を継続して検出していると、インジケータ51aの点灯は維持される。なお、図示していないが、ブザー51bの吹鳴は、刈り草量検出装置60が満杯状態を検出しなくなっても停止する。その後、時間T5において、刈り草量検出装置60が満杯状態を検出されなくなると、インジケータ51aは消灯される。
【0050】
次に、図9を参照しながら、図12を用いて、集草容器32が刈り草で満杯状態であることを検出し、警報を報知する制御フローについて説明する。
【0051】
まず、制御部53の満杯検知部55は、集草容器32が刈り草で満杯状態であることを刈り草量検出装置60が検出したか否かを継続的に判定する(図12のステップ#1)。ここで、刈り草量検出装置60のセンサ板62は、集草容器32に貯留された刈り草の重量により揺動する。満杯状態でない場合、センサ板62は基準姿勢Aから大きく揺動せず、センサ板62のスイッチ操作部62cは検出手段66の操作片66aを押圧する。この状態では、刈り草量検出装置60の検出手段66は、何ら信号を送信せず、満杯検知部55は、満杯状態であることを刈り草量検出装置60が検出していないと判定する。そして、満杯検知部55は、満杯状態であることを刈り草量検出装置60が検出したと判定するまでこの状態を維持し、信号の送信を行わない(図12のステップ#1=No)。
【0052】
満杯状態である場合、センサ板62は基準姿勢Aから大きく揺動し、センサ板62のスイッチ操作部62cは検出手段66の操作片66aから離れる。この状態になると、刈り草量検出装置60の検出手段66は、集草容器32が刈り草で満杯状態である旨の信号を出力する。満杯検知部55は、検出手段66からこの信号を受信した際に(図12のステップ#1=Yes)、この信号を受信している間継続して、警報制御部58に満杯状態であることを刈り草量検出装置60が検出した旨の信号を送信(通知)しても良い(図12のステップ#2)。
【0053】
警報制御部58は、満杯状態であることを刈り草量検出装置60が検出した旨の信号を受信すると、タイマー54に、刈り草量検出装置60が満杯状態であることを検出した旨の信号を受信してからの受信継続時間(検出継続時間)を計測させ、検出継続時間を警報制御部58に送信する(図12のステップ#3)。また、警報制御部58は、満杯状態であることを刈り草量検出装置60が検出した旨の信号の受信が途絶えると、タイマー54にカウントを停止させ、時間をリセットさせる。
【0054】
次に、警報制御部58は、タイマー54から受信継続時間を継続的に受信し、受信継続時間が所定の時間、例えば3秒に到達したか否かを判定する(図12のステップ#4)。受信継続時間が3秒未満である場合、受信継続時間が3秒に到達するまで、以上の処理を繰り返す(図12のステップ#4=No)。
【0055】
受信継続時間が3秒に到達している場合、警報制御部58はインジケータ51aを点灯させる(図12のステップ#5)。
【0056】
ここで、駆動検出部57は、草刈装置20が稼働している(駆動されている)か否かを継続的に判定している。具体的には、動力取り出し機構40は、草刈装置20を駆動する回転軸46を駆動している間、駆動検出部57に、動力取り出し機構40が作動中である旨を示す信号を送信する。
【0057】
そして、受信継続時間が3秒に到達していることを検知している状態で(図12のステップ#6=Yes)、警報制御部58は、動力取り出し機構40からの信号により草刈装置20が稼働しているか否かを判定する(図12のステップ#6)。
【0058】
草刈装置20が稼働していると判定された場合(図12のステップ#6=Yes)、駆動検出部57はブザー51bを吹鳴させる(図12のステップ#7)。
【0059】
草刈装置20が稼働していないと判定された場合(図12のステップ#6=No)、駆動検出部57はブザー51bを吹鳴させない。そして、その後継続して、インジケータ51aの点灯を維持するか否かを判断するため、警報制御部58は、刈り草量検出装置60が満杯状態であることを継続して検出しているか否かを判定する(図12のステップ#8)。警報制御部58は、刈り草量検出装置60が満杯状態であることを継続して検出していると判定した場合は(図12のステップ#8=Yes)、インジケータ51aの点灯を維持させ(図12のステップ#9)、刈り草量検出装置60が満杯状態であることの検出が継続していないと判定した場合は(図12のステップ#8=No)、インジケータ51aを消灯させる(図12のステップ#10)。
【0060】
ブザー51bが吹鳴されている状態(図12のステップ#7)においても、警報制御部58は、刈り草量検出装置60が満杯状態であることを継続して検出しているか否かを判定する(図12のステップ#11)。そして、警報制御部58は、刈り草量検出装置60が満杯状態であることの検出が継続していないと判定した場合は(図12のステップ#11=No)、インジケータ51aを消灯させると共に、ブザー51bの吹鳴を停止させる。そして、処理をステップ#1に戻し、満杯状態が検出されるのを待つ(図12のステップ#12)。
【0061】
刈り草量検出装置60が満杯状態であることの検出が継続していると判定した場合(図12のステップ#11=Yes)、警報制御部58は、草刈装置20の稼働が継続しているか否かを判定する(図12のステップ#13)。草刈装置20が稼働していない場合(図12のステップ#13=No)、警報制御部58は、ブザー51bの吹鳴を停止させる(図12のステップ#14)。それと同時に、警報制御部58は、インジケータ51aの点灯を維持させる(図12のステップ#9)。
【0062】
草刈装置20が稼働している場合(図12のステップ#13=Yes)、警報制御部58は、ブザー51bの吹鳴を維持させ、ステップ#11に戻って、満杯状態の継続、および草刈装置20の稼働の継続を引き続き確認する(図12のステップ#15)。
【0063】
このような集草満杯検出装置によると、集草容器32が刈り草で満杯状態になっているとの検出を刈り草量検出装置60が行ったとしても、制御部53は、直ちに満杯警報装置51を作動させず、刈り草量検出装置60が所定時間以上継続して満杯状態を検出している間のみ満杯警報装置51を作動させる。これにより、振動等により、刈り草量検出装置60が満杯状態を誤検出したとしても、直ちに満杯警報装置51は作動しない。そのため、誤検出に基づく満杯警報に伴って、操縦者が不必要な作業を行うことが抑制される。そして、刈り草量検出装置60が、所定時間継続して満杯状態を検出して初めて、制御部53は満杯警報装置51を作動させる。所定時間は、単に振動等の影響だけでは刈り草量検出装置60が満杯状態であることを検出しない時間が設定される。そのため、集草容器32が満杯状態になった蓋然性が高い場合にのみ満杯警報装置51が満杯警報を報知し、集草容器32が満杯状態になって作業を行う必要性がより確実に発生した場合のみ作業を促し、適切な状況で適切な作業を行うことができる。また、スプリング65(図4参照)を変更して刈り草量検出装置60の感度を調整することなく、効率的、かつ正確に集草容器が満杯になったことを検出することができる。以上の結果、集草容器が満杯になったことが正確に検出され、効率的な草刈り作業を行うことができる。
【0064】
さらに、集草満杯検出装置は、満杯警報装置51の作動制御を行う際の条件として、草刈装置20の稼働状況を含めることができる。草刈り作業中は、操縦者が草刈り作業に集中しているため、インジケータ51a等の目視が必要な警報では、操縦者は満杯警報に気付きにくい。また、草刈り作業中でない場合の満杯警報は、誤報であったり、貯留される刈り草が増加することがないので、対応する必要がない場合が多い。そのため、草刈り作業中でない場合には、インジケータ51aのみを点灯し、草刈り作業中である場合のみ、目視を必要としないブザー51bも吹鳴させる。これにより、作業状況に応じた適切な警報を報知することができ、より効率的な草刈り作業を行うことができる。
【0065】
〔別実施形態〕
(1)タイマー54は、満杯検知部55内に設けられる構成に限らず、制御部53内、または運転パネル50内に設けられても良い。さらに、制御部53,タイマー54,満杯警報装置51は、運転パネル50内に構成される場合に限らず、刈り草量検出装置60,動力取り出し機構40,タイマー54,満杯警報装置51と制御部53とがデータ通信可能な構成であれば、それぞれ任意の場所に配置されても良い。また、満杯検知部55と、駆動検出部57と、警報制御部58とは、それぞれ任意に組み合わせて、1または複数の機能部から構成されても良い。また、満杯検知部55と、駆動検出部57と、警報制御部58、またはこれらを組み合わされた機能部は、1つの制御部53内に構成されても良いが、それぞれ独立に設けられても良く、複数の制御部に分散されて設けられても良い。さらに、これらの機能部はハードウェアで構成される場合に限られず、プログラム等のソフトウェアで実現されても良い。この場合、プログラムは制御部53等のプロセッサで実行され、プログラム自体は図示しない記憶部に記憶される。
【0066】
(2)刈り草量検出装置60は、操作片66aにより満杯状態であるか否かを検出したが、集草容器32に貯留された刈り草量を検量し、刈り草量から満杯状態であるか否かを判定しても良い。
【0067】
(3)PTO軸である回転軸46の駆動状態は必ずしも検出する必要はない。この場合、インジケータ51aが点灯する際にブザー51bも同時に吹鳴する。
【0068】
(4)満杯警報装置51として、インジケータ51aとブザー51bとを備える構成を例に説明したが、満杯警報装置51は、1または複数の各種の警報装置から構成されても良い。
【0069】
(5)刈り草量検出装置60は、満杯状態を検出する場合に限らず、ある程度のマージンをみた満杯状態より少ない刈り草量等の所定の刈り草量を検出し、満杯検知部55にその旨を送信しても良い。
【符号の説明】
【0070】
20 草刈装置
32 集草容器
51 満杯警報装置(報知部)
51a インジケータ(第1の報知部)
51b ブザー(第2の報知部)
53 制御部
54 タイマー
57 駆動検出部
60 刈り草量検出装置(刈り草量検出部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12