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  • 特許-交通管制装置、および、交通管制方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】交通管制装置、および、交通管制方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20230106BHJP
【FI】
G08G1/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019032562
(22)【出願日】2019-02-26
(65)【公開番号】P2020135801
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下川 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】谷本 智彦
(72)【発明者】
【氏名】大場 義和
(72)【発明者】
【氏名】伊東 晋次
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-035639(JP,A)
【文献】再公表特許第2017/038166(JP,A1)
【文献】国際公開第2018/181560(WO,A1)
【文献】特開2004-118735(JP,A)
【文献】特開2007-287172(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0170512(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36、23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路における過去の車両の交通状況を示す過去交通状況データ、および、過去の車両の事故を示す過去事故データ機械学習アルゴリズムと、に基いて事故予測の学習モデルを生成する機械学習部と、
前記道路について、道路情報収集端末から、現在の車両の交通状況を示す交通状況データを取得する取得部と、
前記学習モデルと前記交通状況データと、に基いて、前記道路の区間ごとに、交通事故の発生しやすさを示す事故発生度を算出する算出部と、
前記算出部で算出した前記事故発生度と、前記取得部で取得した現在の車両の交通状況を示す前記交通状況データを比較して、その類似度を示す比較結果を出力する比較部と、
を備える交通管制装置。
【請求項2】
前記過去交通状況データおよび前記交通状況データは、車両の交通量、平均速度、車両密度、占有率のデータのうち少なくとも1つ以上を含む、
請求項1に記載の交通管制装置。
【請求項3】
前記機械学習部は、前記比較部の比較結果の類似度が所定の閾値よりも低い場合、前記過去交通状況データおよび前記過去事故データよりも新しい過去交通状況データおよび過去事故データに基いて前記学習モデルを再生成する、
請求項1に記載の交通管制装置。
【請求項4】
前記道路の区間ごとの前記事故発生度を図示化した情報である事故発生度図示化情報を生成するとともに、前記交通状況データに基いて交通状況を図示化した情報である交通状況図示化情報を生成する生成部を、さらに備え、
前記比較部は、前記事故発生度図示化情報と前記交通状況図示化情報を比較して類似度を前記比較結果として出力する
求項1に記載の交通管制装置。
【請求項5】
前記事故発生度図示化情報は、前記道路の区間と時間を交差する二軸として、前記事故発生度の大きさを表した情報であり、
前記交通状況図示化情報は、前記道路の区間と時間を交差する二軸として、少なくとも車両の渋滞の度合いを表した情報である、
求項に記載の交通管制装置。
【請求項6】
前記比較部は、前記事故発生度図示化情報と前記交通状況図示化情報を比較する際に、所定の領域サイズ単位での情報の対応を判定する第1判定法と、パターンマッチングによって判定する第2判定法と、のいずれかを行う、
求項に記載の交通管制装置。
【請求項7】
前記事故発生度図示化情報と前記交通状況図示化情報を表示部に並べて表示する制御を行う表示制御部を、さらに備える、
求項に記載の交通管制装置。
【請求項8】
機械学習部が、道路における過去の車両の交通状況を示す過去交通状況データ、および、過去の車両の事故を示す過去事故データ機械学習アルゴリズムと、に基いて事故予測の学習モデルを生成する機械学習ステップと、
取得部が、前記道路について、道路情報収集端末から、現在の車両の交通状況を示す交通状況データを取得する取得ステップと、
算出部が、前記学習モデルと前記交通状況データと、に基いて、前記道路の区間ごとに、交通事故の発生しやすさを示す事故発生度を算出する算出ステップと、
比較部が、前記算出部で算出した前記事故発生度と現在の車両の交通状況を示す前記交通状況データとを比較して、その類似度を示す比較結果を出力する比較ステップと、
を含む交通管制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、交通管制装置、および、交通管制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高速道路等の道路について過去の交通状況データを教師データとして機械学習を行って事故予測を行う技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-193212号公報
【文献】国際公開第2018/180688号
【文献】特開2008-209345号公報
【文献】特開2012-194718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術では、事故予測結果が実際に妥当であったか否かを判断するための有効な方法が無い。
【0005】
そこで、本実施形態の課題は、道路についての機械学習による事故予測結果が妥当であったか否かの判断を支援することができる交通管制装置、および、交通管制方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態における交通管制装置は、道路における過去の車両の交通状況を示す過去交通状況データ、および、過去の車両の事故を示す過去事故データ機械学習アルゴリズムと、に基いて事故予測の学習モデルを生成する機械学習部と、前記道路について、道路情報収集端末から、現在の車両の交通状況を示す交通状況データを取得する取得部と、前記学習モデルと前記交通状況データと、に基いて、前記道路の区間ごとに、交通事故の発生しやすさを示す事故発生度を算出する算出部と、前記算出部で算出した前記事故発生度と、前記取得部で取得した現在の車両の交通状況を示す前記交通状況データを比較して、その類似度を示す比較結果を出力する比較部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態における交通情報管理システムの全体構成図である。
図2図2は、実施形態における事故発生度図示化情報の一例を模式的に示した図である。
図3図3は、実施形態における交通状況図示化情報の一例を模式的に示した図である。
図4図4は、実施形態の交通管制装置による処理の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態の交通情報管理システムについて説明する。
図1は、実施形態における交通情報管理システムSの全体構成図である。なお、本実施形態においては、道路として高速道路の場合を例にとる。交通情報管理システムSは、交通管制装置1と、交通管制室9における表示部91、端末装置92等と、を備えている。なお、交通管制装置1は、例えば、情報交換サーバや中央処理装置等の複数のコンピュータ装置によって実現されるが、本実施形態では、説明を簡潔にするために、1台のコンピュータ装置によって構成されているものとして説明する。
【0009】
交通情報管理システムSとは、高速道路における渋滞の度合い、種類(例えば、自然渋滞、事故渋滞、工事渋滞、見物渋滞等)や交通事故等を含む交通状況を認識し、その交通状況に応じた通行規制等の処置や、高速道路の利用者等に注意喚起等の情報を提供するシステムである。
【0010】
交通管制装置1は、情報収集手段(道路情報収集端末)として、車両感知器2、監視カメラ3、非常電話4、携帯電話5A、スマートフォン5B等の移動情報端末5、あるいは、一般車6の車載装置を用いる。なお、情報収集手段は、これらのほかに、降水検知器等の別の装置を含んでいてもよい。
【0011】
車両感知器2は、高速道路の路側に設置され、交通量[台/h]、平均速度[km/h]、車両密度[台/km]、占有率(オキュパンシー)[%]などの情報(交通状況データ)を収集する感知器であり、感知した情報を交通管制装置1に送信する。
【0012】
監視カメラ3は、高速道路の路側に設置され、高速道路を撮影するカメラであり、撮影した映像を交通管制装置1に送信する。
【0013】
非常電話4は、高速道路の本線上、トンネル内、インターチェンジ、サービスエリア、パーキングエリア、バスストップ、非常駐車帯等に設けられている。交通事故や車両故障等の発生時には、利用者は、非常電話4を利用して、交通管制室9のオペレータと通話することができる。
【0014】
移動情報端末5は、高速道路の利用者により携帯される。交通事故や車両故障等の発生時には、利用者は、移動情報端末5を利用して、交通管制室9のオペレータと通話することができる。また、移動情報端末5は、交通管制装置1と各種情報(交通状況、事故情報等)を送受信することができる。
【0015】
一般車6の車載装置は、プローブ情報(車両の位置、速度、加速度、ハンドル操作、ブレーキ動作等の情報)を交通管制装置1に送信する。
【0016】
交通管制装置1は、処理部11、記憶部12、入力部13、および、表示部14を備える。なお、交通管制装置1は、外部の装置や機器との通信のための通信部も有しているが、説明を簡潔にするために通信部の図示および説明を省略する。
【0017】
処理部11は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、を備える。
【0018】
MPUは、交通管制装置1の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムを一時的に記憶したり、各種データを書き換えたりするための記憶媒体である。
【0019】
そして、MPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM、記憶部12等に格納されたプログラムを実行する。処理部11の詳細については後述する。
【0020】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置である。記憶部12は、道路情報、機械学習情報、取得情報、事故発生度図示化情報、交通状況図示化情報等を記憶する。
【0021】
道路情報は、高速道路に関する情報であり、例えば、区間、車線数、インターチェンジ、パーキングエリアの場所等の情報である。
【0022】
機械学習情報は、事故予測や渋滞予測の機械学習に関する情報であり、例えば、道路の過去交通状況データ、事故予測や渋滞予測の機械学習アルゴリズム、事故予測や渋滞予測の学習モデル等である。
【0023】
取得情報は、車両感知器2、監視カメラ3、非常電話4、移動情報端末5、一般車6の車載器等から取得した情報である。
【0024】
事故発生度図示化情報と交通状況図示化情報については後述する。
【0025】
入力部13は、交通管制装置1に対するユーザの操作を受け付ける入力装置であり、例えば、キーボード、マウス等である。
【0026】
表示部14は、液晶表示装置(LCD(Liquid Crystal Display))、有機EL(Electro-Luminescence)表示装置等により実現される。
【0027】
処理部11は、機械学習部111、算出部112、取得部113、生成部114、比較部115、表示制御部116を備える。
【0028】
機械学習部111は、道路について、過去交通状況データと事故予測の機械学習アルゴリズムに基いて事故予測の学習モデル(例えば特許6045846号公報に記載の自己組織化マップによる学習モデル)を生成する。また、機械学習部111は、渋滞予測の機械学習アルゴリズムに基いて渋滞予測の学習モデルを生成する。
【0029】
算出部112は、事故予測の学習モデルと交通状況データに基いて、道路の区間ごとに、交通事故の発生しやすさを示す事故発生度を算出する。また、算出部112は、渋滞予測の学習モデル等に基いて、道路の区間ごとに予測される渋滞の度合いを示す渋滞度を算出する。
【0030】
取得部113は、道路について、車両感知器2等の情報収集手段から交通状況データを取得する。
【0031】
生成部114は、道路の区間ごとの事故発生度を図示化した情報である事故発生度図示化情報を生成する。以下、図2を参照して、事故発生度図示化情報について説明する。
【0032】
図2は、実施形態における事故発生度図示化情報の一例を模式的に示した図である。図2に示す事故発生度図示化情報は、道路の区間(位置)と時間を交差する二軸として、事故発生度の大きさを表した情報である。具体的には、縦軸は時間(分)(時間の進行方向は下方)で、横軸は道路の区間(位置。例えばキロポスト)である。横軸方向には、詳細な図示を省略するが、A地点とB地点の間の数~数十の区間(1区間は例えば2km程度)が含まれている。また、車両の進行方向は、図2の右から左への方向である。
【0033】
領域M1~M3は、算出部112によって事故発生度「中」と算出された領域である。また、領域L1、L2は、算出部112によって事故発生度「大」と算出された領域である。
【0034】
図1に戻って、生成部114は、交通状況データに基いて交通状況を図示化した情報である交通状況図示化情報を生成する。以下、図3を参照して、交通状況図示化情報について説明する。
【0035】
図3は、実施形態における交通状況図示化情報の一例を模式的に示した図である。図3に示す交通状況図示化情報は、道路の区間と時間を交差する二軸として、少なくとも車両の渋滞の度合いを表した情報である。縦軸と横軸は、図2と同様である。
【0036】
領域N1~N4は、自然渋滞の領域である。領域A1~A3は、事故渋滞の領域である。領域C1は、工事渋滞の領域である。領域S1は、見物渋滞の領域である。
【0037】
そして、図2の事故発生度図示化情報と図3の交通状況図示化情報は、正の相関がある状態が正しいと考えられる。つまり、図2で事故発生度が「中」や「大」になっている領域と図3で各種渋滞が発生している領域の重複部分が大きいのが正しいと考えられる。理由は、高速道路では、渋滞発生と事故発生に正の相関があることが統計的にわかっているからである。
【0038】
したがって、図2の事故発生度図示化情報と図3の交通状況図示化情報を比較することで、事故予測の学習モデルによる事故予測結果が実際に妥当であったか否かの判断を支援することができる。例えば、比較部115は、事故発生度図示化情報と交通状況図示化情報を比較して比較結果を出力する。なお、比較結果を出力するとは、例えば、比較結果を表示したり、比較結果を記憶したり、比較結果に応じて他の処理(再機械学習等)を指示したりすることを含む。
【0039】
また、例えば、比較部115は、事故発生度図示化情報と交通状況図示化情報の類似度が所定の閾値以上か否かを判定する。そして、機械学習部111は、比較結果に応じて(類似度が所定の閾値未満である場合)、過去交通状況データよりも新しい過去交通状況データに基いて学習モデルを再生成する。
【0040】
また、比較部115は、事故発生度図示化情報と交通状況図示化情報の類似度が所定の閾値以上か否かを判定する際に、例えば、所定の領域サイズ単位(例えば道路の区間ごとの5分ごとに対応するセルの単位)での情報の対応を判定する第1判定法と、パターンマッチングによって判定する第2判定法と、のいずれかを行う。
【0041】
第1判定法では、例えば、事故発生度図示化情報と交通状況図示化情報をセル単位で比較して重複率が所定の比率閾値以上であるときに、事故予測の学習モデルの再生成は不要と判定すればよい。
【0042】
また、第2判定法では、例えば、事故発生度図示化情報と交通状況図示化情報を画像処理のパターンマッチングで比較して類似度が所定の類似度閾値以上であるときに、事故予測の学習モデルの再生成は不要と判定すればよい。
【0043】
なお、比較部115は、事故発生度図示化情報と交通状況図示化情報の類似度を判定する場合に、事故発生度図示化情報における事故発生度の「中」と「大」で重み付けを行ってもよい。その場合、例えば、事故発生度の「大」の重みを事故発生度の「中」よりも重くすればよい。また、比較部115は、交通状況図示化情報における渋滞の種類によって重み付けを行ってもよい。その場合、例えば、事故渋滞の重みを他の渋滞よりも重くすればよい。
【0044】
図1に戻って、表示制御部116は、各種情報を表示部14に表示させる。例えば、表示制御部116は、図2の事故発生度図示化情報と図3の交通状況図示化情報を表示部14に並べて表示させる。そうすれば、それを見たユーザは、両者の類似度を視覚的に判断することができる。また、表示制御部116は、そのときに、併せて、両者の比較結果(類似度等)を並べて表示してもよい。
【0045】
また、生成部114は、交通状況データ等に基いて、道路の区間や地点ごとの提供情報(交通情報、注意喚起情報、迂回路情報等)を生成する。
【0046】
送信制御部117は、各種情報を外部装置に送信する。例えば、送信制御部117は、生成部114によって生成された提供情報を一般車6の車載器や移動情報端末5や高速道路の情報板等に送信して表示させる。
【0047】
次に、図4を参照して、交通管制装置1による処理について説明する。図4は、実施形態の交通管制装置1による処理の一例を示したフローチャートである。なお、この処理を実行する前に、すでに事故予測に学習モデルが生成されているものとする。
【0048】
ステップS1において、取得部113は、道路について、車両感知器2等の情報収集手段から交通状況データを取得する。
【0049】
次に、ステップS2において、算出部112は、事故予測の学習モデルと交通状況データに基いて、道路の区間ごとに事故発生度を算出する。
【0050】
次に、ステップS3において、処理部11は、再機械学習の要否の判定のタイミング(例えば毎月、毎週、毎日等の一定タイミング)が到来したか否かを判定し、Yesの場合はステップS4に進み、Noの場合はステップS8に進む。
【0051】
ステップS4において、生成部114は、事故発生度図示化情報(図2)を生成する。
【0052】
次に、ステップS5において、生成部114は、交通状況図示化情報(図3)を生成する。
【0053】
次に、ステップS6において、比較部115は、事故発生度図示化情報と交通状況図示化情報の類似度が所定の閾値以上か否かを、上述の第1判定法と第2判定法のいずれかによって判定し、Yesの場合はステップS8に進み、Noの場合はステップS7に進む。
【0054】
ステップS7において、機械学習部111は、再機械学習を行う。つまり、機械学習部111は、新しい過去交通状況データを用いて事故予測の学習モデルを再生成する。ステップS7の後、処理を終了する。
【0055】
ステップS8において、生成部114は、交通状況データ等に基いて、道路の区間や地点ごとの提供情報(交通情報、注意喚起情報、迂回路情報等)を生成し、送信制御部117は、その提供情報を一般車6の車載器や移動情報端末5や高速道路の情報板等に送信して表示させる。ステップS8の後、処理を終了する。このような一連の処理を、例えば数分おきに行う。
【0056】
このように、本実施形態の交通管制装置1によれば、事故発生度図示化情報(図2)と交通状況図示化情報(図3)を比較することで、道路についての機械学習による事故予測結果が妥当であったか否かの判断を支援することができる。
【0057】
また、事故発生度図示化情報と交通状況図示化情報の類似度が所定の閾値未満である場合、事故予測の再機械学習を行うことで、事故予測の機械学習の精度を向上させることができる。
【0058】
また、事故発生度図示化情報と交通状況図示化情報について、両者とも道路の区間と時間を交差する二軸とし、前者が事故発生度の大きさを表した情報であり、後者が車両の渋滞の度合いを表した情報であるものとすることで、両者を互いに対応した情報とすることができる。
【0059】
また、両者の比較に、上述の第1判定法と第2判定法のいずれかを用いることで、実効ある判定を行うことができる。
【0060】
また、両者を表示部14に並べて表示させることで、それを見たユーザは、両者の類似度を視覚的に判断することができる。
【0061】
また、事故予測の再機械学習のタイミングを的確に決定することができる。例えば、道路の構造(車線数等)に変化があった場合、交通状況にも変化があって再機械学習が必要になるときがある。その際に、両者の類似度が低下し、図4のステップS6でNoと判定することによって、適切なタイミングで再機械学習を行うことができる。また、その際、新しい過去交通状況データに基いて再機械学習を行うことによって、道路の構造の変化による影響を学習モデルに反映させることができる。
【0062】
なお、上述の説明では、説明をわかりやすくするために、比較部115が、事故発生度図示化情報と交通状況図示化情報を比較するものとした。しかし、これに限定されず、比較部115は、同様の趣旨で、事故発生度と交通状況データを比較して比較結果を出力するものとしてもよい。
【0063】
なお、従来技術では、機械学習による事故予測結果について、例えば、シミュレータを用いて妥当性を判断する手法がある。しかし、この手法では、シミュレータに関するパラメータの設定値選択が難しく、高精度な判断を行うことが難しい。一方、本実施形態の交通管制装置1によれば、そのようなパラメータの設定値選択等の手間は不要で、高精度な判断を容易に行うことができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態はあくまで例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0065】
例えば、上述の実施形態では、比較結果として類似度が所定の閾値未満の場合、自動的に再機械学習を行うものとしたが、これに限定されない。例えば、事故発生度図示化情報と交通状況図示化情報を並べて表示部14に表示し、ユーザは、目視で両者の類似度を判断し、類似度が低いと判断したときは再機械学習の実行を指示する入力を行い、それによって再機械学習を実行するようにしてもよい。
【0066】
また、対象となる道路は、高速道路に限定されず、一般道等の他の道路であってもよい。
【0067】
また、事故予測の機械学習を行う場合に、過去の事故データから渋滞と無関係の事故データを除いたものを教師データとして使用してもよい。
【0068】
なお、上述の実施形態では、事故予測の機械学習の方法として、自己組織化マップを用いた方法を例示した。しかしながら、事故予測の機械学習の方法としては、自己組織化マップを用いた方法以外にも、種々の方法が考えられる。例えば、比較的簡単な方法として、事故発生時の過去交通状況データを保持(蓄積)して現在交通状況データと単純に比較する方法や、事故発生時の過去交通状況データの組合せを統計処理でクラスタリングし、事故発生時に類似したケースの交通状況データを生成する方法などが考えられる。また、他の方法として、例えばペイジアンネットワークなどの他の多変量解析を利用した方法も考えられる。
【符号の説明】
【0069】
1…交通管制装置、2…車両感知器、3…監視カメラ、4…非常電話、5…移動情報端末、6…一般車、9…交通管制室、11…処理部、12…記憶部、13…入力部、14…表示部、91…表示部、92…端末装置、111…機械学習部、112…算出部、113…取得部、114…生成部、115…比較部、116…表示制御部
図1
図2
図3
図4