IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メモリ株式会社の特許一覧

特許7204537基板貼合装置および半導体装置の製造方法
<>
  • 特許-基板貼合装置および半導体装置の製造方法 図1
  • 特許-基板貼合装置および半導体装置の製造方法 図2
  • 特許-基板貼合装置および半導体装置の製造方法 図3
  • 特許-基板貼合装置および半導体装置の製造方法 図4
  • 特許-基板貼合装置および半導体装置の製造方法 図5
  • 特許-基板貼合装置および半導体装置の製造方法 図6
  • 特許-基板貼合装置および半導体装置の製造方法 図7
  • 特許-基板貼合装置および半導体装置の製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】基板貼合装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20230106BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20230106BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20230106BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/68 N
H01L21/68 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019039914
(22)【出願日】2019-03-05
(65)【公開番号】P2020145287
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川田原 奨
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/012300(WO,A1)
【文献】特表2015-527728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/683
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板群から選択される基板を保持する第1基板保持部と、
前記第1基板保持部に対向して配置され、第2基板群から選択される基板を保持する第2基板保持部と、
前記第1基板保持部および前記第2基板保持部に保持される基板の貼合を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記第1基板群のそれぞれの基板について、前記第2基板群のそれぞれの基板との間のグリッド形状の一致率を算出し、
前記一致率が所定の範囲にある場合に前記一致率の算出に使用された前記基板の組み合わせを登録したペアリング情報を生成し、
前記第1基板群から前記第1基板保持部に保持させる第1基板を選択し、
前記ペアリング情報を参照して前記第1基板とペアリングされた前記第2基板群の前記基板の中から1つの第2基板を選択し、
前記一致率の算出前に、
前記基板の所定のパターンの位置を計測した基板計測結果を取得し、
前記基板計測結果に基づいてグリッドデータを生成することを含み、
前記一致率の算出では、前記グリッドデータが用いられる
基板貼合装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記一致率の算出では、前記グリッドデータを画像として用い、画像処理によって2つの前記グリッドデータ間の一致率を算出する請求項に記載の基板貼合装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記一致率の算出では、前記グリッドデータが前記基板上の所定の位置を基準とした絶対位置座標系を用いて表現される場合に、対応する2つの前記基板上の前記所定のパターンの各位置のずれから所定のアルゴリズムを用いて前記グリッドデータ間の一致率を算出する請求項に記載の基板貼合装置。
【請求項4】
前記ペアリング情報は、前記第1基板群の1枚の前記基板に対して、前記第2基板群の複数枚の前記基板が対応付けられる請求項1からのいずれか1つに記載の基板貼合装置。
【請求項5】
第1基板群のそれぞれの基板について、第2基板群のそれぞれの基板との間のグリッド形状の一致率を算出し、
前記一致率が所定の範囲にある場合に前記一致率の算出に使用された前記基板の組み合わせを登録したペアリング情報を生成し、
前記第1基板群から第1基板を選択し、
前記ペアリング情報を参照して前記第1基板とペアリングされた前記第2基板群の前記基板の中から1つの第2基板を選択し、
基板貼合装置の第1基板保持部と、前記第1基板保持部に対向して配置される第2基板保持部と、に、それぞれ前記第1基板および前記第2基板を保持させ、
接着層を介して前記第1基板および前記第2基板を貼合し、
前記一致率の算出前に、
前記基板の所定のパターンの位置を計測した基板計測結果を取得し、
前記基板計測結果に基づいてグリッドデータを生成することを含み、
前記一致率の算出では、前記グリッドデータが用いられる
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板貼合装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型の半導体装置を得るために、半導体基板を切断および分割して個片化することなく、2つの半導体基板をそのままの状態で貼合する貼合装置が知られている。
【0003】
ところで、半導体基板には、チップ化されるショット領域が配置されているが、貼合装置での貼合時に、貼り合せる2つの半導体基板の各ショット領域間での合わせずれについては考慮されていない。そのため、2つの半導体基板の各ショット領域間での合わせずれの精度を高める技術が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-056481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの実施形態は、貼り合せる2つの基板の各ショット領域間での合わせずれの精度を高めることができる基板貼合装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態によれば、基板貼合装置は、第1基板群から選択される基板を保持する第1基板保持部と、前記第1基板保持部に対向して配置され、第2基板群から選択される基板を保持する第2基板保持部と、前記第1基板保持部および前記第2基板保持部に保持される基板の貼合を制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記第1基板群のそれぞれの基板について、前記第2基板群のそれぞれの基板との間のグリッド形状の一致率を算出し、前記一致率が所定の範囲にある場合に前記一致率の算出に使用された前記基板の組み合わせを登録したペアリング情報を生成し、前記第1基板群から前記第1基板保持部に保持させる第1基板を選択し、前記ペアリング情報を参照して前記第1基板とペアリングされた前記第2基板群の前記基板の中から1つの第2基板を選択し、前記一致率の算出前に、前記基板の所定のパターンの位置を計測した基板計測結果を取得し、前記基板計測結果に基づいてグリッドデータを生成することを含み、前記一致率の算出では、前記グリッドデータが用いられる
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態による貼合装置の一例を模式的に示す図である。
図2図2は、第1基板のグリッド計測情報の一例を示す図である。
図3図3は、第2基板のグリッド計測情報の一例を示す図である。
図4図4は、グリッド一致率の算出結果の一例を示す図である。
図5図5は、基板情報の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態による半導体装置の製造方法の手順の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態による半導体装置の製造方法の他の例を模式的に示す図である。
図8図8は、コントローラのハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる基板貼合装置および半導体装置の製造方法を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の実施形態で用いられる基板貼合装置および半導体装置の断面図は模式的なものであり、層の厚みと幅との関係や各層の厚みの比率などは現実のものとは異なる場合がある。
【0009】
図1は、実施形態による貼合装置の一例を模式的に示す図である。貼合装置10は、第1基板保持部20と、第2基板保持部30と、コントローラ40と、を備える。貼合装置10の近傍には、複数のスロット61,71を有する格納容器60,70が配置される。ここでは、第1基板110を格納する第1格納容器60と、第2基板120を格納する第2格納容器70と、が配置される場合が示されている。第1基板110は、例えば、一方の面にメモリセル層112が配置された半導体基板111である。メモリセル層112は、NAND型フラッシュメモリ(以下、NANDメモリという)などのメモリセルを含む。また、第2基板120は、例えば、一方の面に周辺回路層122が配置された半導体基板121である。周辺回路層122は、メモリセルの駆動処理を実行するCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタなどの駆動回路などを含む。第1格納容器60および第2格納容器70には、n(nは2以上の自然数)個のスロット61,71が設けられるものとする。スロット61には、第1基板110が格納され、スロット71には、第2基板120が格納される。
【0010】
第1基板保持部20は、第1基板110を吸着機構によって保持する第1ステージ21と、基板保持面に平行な方向および垂直な方向に第1ステージ21を移動させ、また、基板保持面内で第1ステージ21を回転させる第1駆動機構22と、を有する。吸着機構として、例えば真空吸着、あるいは静電吸着などが用いられる。この例では、第1ステージ21は、第1基板110のメモリセル層112が配置されていない面を吸着する。第1駆動機構22は、コントローラ40からの指示に従って、第1ステージ21を移動させる。また、第1ステージ21は、基板保持面に平行な方向に第1基板110に対して力を印加することができる構成を有している。
【0011】
第2基板保持部30は、第2基板120を吸着機構によって保持する第2ステージ31と、基板保持面に平行な方向および垂直な方向に第2ステージ31を移動させ、また、基板保持面内で第2ステージ31を回転させる第2駆動機構32と、を有する。吸着機構として、例えば真空吸着、あるいは静電吸着などが用いられる。第2ステージ31の基板保持面が第1ステージ21の基板保持面と対向するように、第2ステージ31は配置される。なお、この例では、第2ステージ31は、第2基板120の周辺回路層122が配置されていない面を吸着する。第2駆動機構32は、コントローラ40からの指示に従って、第2ステージ31を移動させる。また、第2ステージ31は、基板保持面に平行な方向に第2基板120に対して力を印加することができる構成を有している。
【0012】
コントローラ40は、基板計測結果取得部41、グリッドデータ生成部42と、グリッド一致率算出部43と、基板情報記憶部44と、基板搬送指示部45と、補正指示部46と、貼合制御部47と、を有する。
【0013】
基板計測結果取得部41は、第1格納容器60に格納されている第1基板110、および第2格納容器70に格納されている第2基板120のすべてについて実施された基板計測結果を取得する。基板計測結果は、第1基板110および第2基板120内の所定のパターンの位置を計測したものである。計測するパターンは、例えばショット領域内のアライメントマークまたは重ね合わせ計測マーク、あるいは所定の素子などである。位置の計測には、重ね合わせ検査装置、絶対位置計測装置または基板形状計測装置などが用いられる。
【0014】
グリッドデータ生成部42は、基板位置計測結果内の所定のパターンの位置と所定のパターンの位置とを線で結んだグリッドデータを生成する。グリッドデータの生成は、第1格納容器60内のすべての第1基板110、および第2格納容器70内のすべての第2基板120に対して行われる。
【0015】
図2は、第1基板のグリッド計測情報の一例を示す図であり、図3は、第2基板のグリッド計測情報の一例を示す図である。図2では、第1格納容器60に格納されている異なる2枚の第1基板110についてのグリッドデータ300A,300Bが例示され、図3では、第2格納容器70に格納されている異なる3枚の第2基板120についてのグリッドデータ300C~300Eが例示されている。なお、以下では、個々のグリッドデータ300A~300Eを区別する必要がない場合には、グリッドデータ300と表記する。
【0016】
図2および図3では、基板に設けられるショット領域Sを区切る線が説明の容易化のために描かれている。ショット領域Sは、露光処理時の露光範囲となる領域である。ショット領域Sの2組の辺は、基板面内に設けられる、互いに直交するX軸およびY軸と平行になっている。図2および図3に示されるように、ショット領域Sの中央付近に設けられるマークMを検出し、X方向またはY方向に隣接するショット領域SのマークM間を直線で結んだものが、基板におけるグリッドデータ300となる。
【0017】
また、図2および図3では、理想的なグリッドデータ310も描かれている。理想的なグリッドデータ310は、X方向またはY方向に隣接するショット領域S間での中央の位置を、直線で結んだものである。これらの図に示されるように、通常、実際のグリッドデータ300は、理想的なグリッドデータ310からずれている。
【0018】
グリッド一致率算出部43は、第1格納容器60内の第1基板110と、第2格納容器70内の第2基板120と、のすべての組み合わせについて、グリッドデータの一致率(以下、グリッド一致率ともいう)を算出する。また、グリッド一致率算出部43は、グリッド一致率が貼り合せ閾値の範囲にある場合に、その組み合わせの第1基板110および第2基板120を基板情報記憶部44のペアリング情報に登録する。貼り合せ閾値の範囲は、第1基板保持部20および第2基板保持部30での、基板保持面内での第1基板110と第2基板120との間の位置ずれ(Shift)、倍率ずれ(Magnification)および回転ずれ(Rotation)の補正の精度、および求められる製品スペックに応じて決定される。貼り合せ閾値の範囲は、例えば50%から100%の間で設定可能である。
【0019】
グリッド一致率算出部43は、第1基板110および第2基板120のグリッドデータを画像データとして扱い、画像処理によってグリッドの形状の一致率を求めてもよい。また、グリッド一致率算出部43は、第1基板110および第2基板120のグリッドデータが基板上の所定の点を基準とした絶対位置座標系で表されている場合には、各位置でのずれから布袋のアルゴリズムを用いてグリッド形状の一致率を求めてもよい。
【0020】
図1に示されるように、第1基板110のメモリセル層112が配置される面と、第2基板120の周辺回路層122が配置される面と、が対向した状態で貼合される場合には、グリッド一致率は、第1基板110と第2基板120とを対向させた状態で、グリッドデータの対応する位置同士でグリッド一致率の算出が行われる。すなわち、図2の第1基板110のグリッドデータ300A,300Bと、図3の第2基板120のグリッドデータ300C~300EをX方向に反転させた反転グリッドデータと、を用いてグリッド一致率の算出が行われる。
【0021】
なお、第1基板110のメモリセル層112が配置される面と、第2基板120の周辺回路層122が配置される面と対向する面と、が対向した状態で貼合される場合には、図2の第1基板110のグリッドデータ300A,300Bと、図3の第2基板120のグリッドデータ300C~300Eと、を用いてグリッド一致率の算出が行われる。
【0022】
図4は、グリッド一致率の算出結果の一例を示す図である。ここでは、図2に示される第1基板110のグリッドデータ300A,300Bを、図3に示される第2基板120のグリッドデータ300C~300Eのそれぞれとグリッド一致率の算出を行った場合を示している。また、ここでは、貼り合せ閾値の範囲は80%以上100%以下であるものとする。第1基板110のグリッドデータ300Aの第2基板のグリッドデータ300C,300D,300Eとのグリッド一致率は、それぞれ90%、80%、70%となっている。上記した貼り合せ閾値の範囲は80%以上であるので、グリッド一致率が70%のグリッドデータ300Aとグリッドデータ300Cとの組み合わせ、およびグリッドデータ300Aとグリッドデータ300Dとの組み合わせが、ペアリング情報に登録されることになる。同様に、グリッドデータ300Bについては、グリッドデータ300C~300Eとのすべての組み合わせがグリッド一致率が80%以上であるので、ペアリング情報に登録される。
【0023】
基板情報記憶部44は、基板格納状況情報と、ペアリング情報と、を含む基板情報を記憶する。図5は、基板情報の一例を示す図であり、(a)は基板格納状況情報の一例を示す図であり、(b)はペアリング情報の一例を示す図である。図5(a)に示されるように、基板格納状況情報は、第1格納容器60の各スロット61に格納される第1基板110と、第2格納容器70の各スロット71に格納される第2基板120と、を管理する情報である。この例では、各格納容器のスロットを識別するスロット番号と、基板を識別する基板識別情報と、を対応付けた情報となる。例えば、第1格納容器の基板格納状況情報では、スロット番号「1」には、CELLW1で識別される第1基板110が格納されており、スロット番号「2」には、CELLW2で識別される第1基板110が格納されており、スロット番号「i」(iはn以下の自然数)には、CELLWiで識別される第1基板110が格納されていることが示されている。第2格納容器の基板格納状況情報も同様である。
【0024】
ペアリング情報は、例えば第1格納容器60内の第1基板110について、貼り合せ閾値の範囲内にある第2基板120を対応付けたものである。1つの第1基板110について、複数の第2基板120が対応付けられていてもよい。図5(b)に示される例では、第1基板識別情報について、貼り合せ閾値の範囲内にある第2基板識別情報が対応付けられる例が示されている。第1基板識別情報に対応付けられる第2基板識別情報の配列順は、特に限定されないが、例えばグリッド一致率の高い順に配列されていてもよい。
【0025】
なお、図5(b)の例では、ペアリング情報は、第1基板識別情報について、グリッド一致率が貼り合せ閾値の範囲内にある第2基板識別情報を対応付けた例を示しているが、実施形態がこれに限定されるものではない。例えば、ペアリング情報は、第2基板識別情報について、グリッド一致率が貼り合せ閾値の範囲内にある第1基板識別情報を対応付けるものであってもよい。
【0026】
基板搬送指示部45は、基板情報記憶部44に記憶されている基板情報に基づいて、貼合を行う第1基板110および第2基板120の組み合わせを抽出する。また、基板搬送指示部45は、抽出した組み合わせの第1基板110および第2基板120を第1格納容器60および第2格納容器70のそれぞれのスロット61,71から搬出し、第1基板保持部20および第2基板保持部30に保持させる指示を、図示しない搬送部と、第1基板保持部20および第2基板保持部30と、に与える。
【0027】
例えば、基板搬送指示部45は、第1格納容器60内のスロット番号「1」の第1基板110の貼り合せを行う場合には、基板格納状況情報からスロット番号「1」に格納されている第1基板300の第1基板識別情報「CELLW1」を取得する。ついで、基板搬送指示部45は、ペアリング情報から、第1基板識別情報「CELLW1」に対応付けられる第2識別情報「PERIW2」、「PERIW5」、「PERIW15」などを取得する。基板搬送指示部45は、これらの中から1つの第2基板識別情報を選択する。例えば、ここでは「PERIW2」が選択されたものとする。基板搬送指示部45は、第2基板識別情報「PERIW2」で識別される第2基板120が格納されるスロット番号「2」を基板格納状況情報から取得する。そして、基板搬送指示部45は、第1格納容器60内のスロット番号「1」のスロット61と、第2格納容器70内のスロット番号「2」のスロット71と、からそれぞれ第1基板110および第2基板120を搬出する指示を与え、搬出された第1基板110を第1ステージ21で保持させ、第2基板120を第2ステージ31で保持させる指示を与える。
【0028】
基板搬送指示部45は、第1基板識別情報に対応付けられた第2基板識別情報を抽出する際に、第1基板識別情報と最も高いグリッド一致率を有する第2基板識別情報を抽出してもよいし、ランダムな第2基板識別情報を抽出してもよい。また、ペアリング情報中に、他の第1基板識別情報に対応付けられる、選択された第2基板識別情報が存在する場合には、基板搬送指示部45は以下のように動作を行う。すなわち、そのような選択された第2基板識別情報は、既に貼合されたものを示しているので、基板搬送指示部45は、その第2基板識別情報を削除または無効にする。
【0029】
補正指示部46は、貼合対象に選ばれた第1基板110および第2基板120のグリッドデータ300から、貼合時に補正が必要な場合に、第1駆動機構22および第2駆動機構32のうち少なくともいずれか一方に補正指示を与える。補正指示は、位置ずれ、倍率ずれまたは回転ずれを補正する指示である。位置ずれ、倍率ずれまたは回転ずれの補正指示は、グリッドデータに基づいて生成される。第1駆動機構22および第2駆動機構32の少なくとも一方によって、指示に基づいて第1ステージ21および第2ステージ31の少なくとも一方の位置が移動されたり、基板保持面内で所定の角度だけ回転されたりする。なお、補正が必要ない場合、例えば第1基板110および第2基板120のグリッド一致率が100%に近い場合には、補正指示部46による補正の指示は行われなくてもよい。
【0030】
貼合制御部47は、第1ステージ21に保持された第1基板110に対して、例えば接着層を介して第2ステージ31に保持された第2基板120を接触させるように、第1駆動機構22および第2駆動機構32の少なくとも一方に指示を与える。また、貼合制御部47は、所定の時間が経過後、第1ステージ21または第2ステージ31の吸着機構の動作を停止させ、第1ステージ21と第2ステージ31とを引き離すように第1駆動機構22および第2駆動機構32の少なくとも一方に指示を与える。
【0031】
つぎに、貼合装置10を用いた貼合方法を含む半導体装置の製造方法について説明する。図6は、実施形態による半導体装置の製造方法の手順の一例を示すフローチャートである。まず、第1格納容器60内の各第1基板110と、第2格納容器70内の各第2基板120と、について基板上の所定のパターンの位置の計測を行う。パターンの位置の計測には、重ね合わせ検査装置、絶対位置計測装置または基板形状計測装置などで行われる。その後、第1基板110が格納された第1格納容器60と、第2基板120が格納された第2格納容器70とが貼合装置10の近傍に搬送される。
【0032】
ついで、コントローラ40の基板計測結果取得部41は、第1基板110および第2基板120上の所定のパターンの位置の計測結果である基板計測結果を取得する(ステップS11)。その後、グリッドデータ生成部42は、取得したすべての基板計測結果からグリッドデータを生成する(ステップS12)。グリッドデータは、基板計測結果内の所定のパターンの位置と所定のパターンの位置とを線で結んだデータである。
【0033】
ついで、グリッド一致率算出部43は、第1格納容器60に属する1つの第1基板110のグリッドデータを選択し(ステップS13)、第2格納容器70に属する第2基板120のグリッドデータを選択する(ステップS14)。そして、グリッド一致率算出部43は、選択した2つのグリッドデータについて、公知の比較方法を用いてグリッド一致率を算出する(ステップS15)。
【0034】
ついで、グリッド一致率算出部43は、グリッド一致率が貼り合せ閾値の範囲内にあるかを判定する(ステップS16)。グリッド一致率が貼り合せ閾値の範囲内にある場合(ステップS16でYesの場合)には、グリッド一致率算出部43は、ペアリング情報に、グリッド一致率の算出を行った第1基板110と第2基板120との組み合わせを登録する(ステップS17)。
【0035】
その後、またはステップS16でグリッド一致率が貼り合せ閾値の範囲内にない場合(ステップS16でNoの場合)には、グリッド一致率算出部43は、第2格納容器70に属する第2基板120のうちグリッド一致率の算出をしていない他の第2基板120が含まれるかを判定する(ステップS18)。この判定は、例えば図5(a)の基板格納状況情報を用いて行われる。
【0036】
第2格納容器70にグリッド一致率の算出をしていない他の第2基板120が含まれる場合(ステップS18でYesの場合)には、ステップS14に処理が戻る。つまり、ステップS14~S17の処理を、第2格納容器70内のすべての第2基板120について実施する。
【0037】
一方、第2格納容器70にグリッド一致率の算出をしていない第2基板120が含まれない場合(ステップS18でNoの場合)には、ステップS12で選択した第1基板110と、第2格納容器70内のすべての第2基板120との組み合わせについてグリッド一致率の算出を行ったことになる。そこで、グリッド一致率算出部43は、第1格納容器60にグリッドの一致率の算出を行っていない他の第1基板110が含まれるかを判定する(ステップS19)。この判定も、例えば図5(a)の基板格納状況情報を用いて行われる。
【0038】
第1格納容器60にグリッド一致率の算出を行っていない他の第1基板110が含まれる場合(ステップS19でYesの場合)には、ステップS13に処理が戻る。つまり、他の第1基板110についてステップS13~S18と同様の処理を実行する。そして、グリッド一致率の算出を行っていない他の第1基板110が第1格納容器60になくなるまで、ステップS13~S19の処理が実行される。以上によって、第1基板110および第2基板120に関するペアリング情報が生成される。
【0039】
第1格納容器60にグリッド一致率の算出を行っていない他の第1基板110が含まれない場合(ステップS19でNoの場合)には、基板搬送指示部45は、第1格納容器60の1つのスロットに格納される第1基板110を選択する(ステップS20)。
【0040】
ついで、基板搬送指示部45は、ペアリング情報を参照し、選択した第1基板110に対応付けられた第2基板120の中から1つの第2基板120を選択する(ステップS21)。第2基板120の選択は、任意の方法で行われる。
【0041】
その後、基板搬送指示部45は、ステップS20で選択された第1基板110を第1格納容器60から取り出し、第1ステージ21に保持させる指示、およびステップS21で選択された第2基板120を第2格納容器70から取り出し、第2ステージ31に保持させる指示を、搬送部、第1駆動機構22および第2駆動機構32に与える(ステップS22)。これによって、第1基板110が第1ステージ21に保持され、第2基板120が第2ステージ31に保持される。
【0042】
ついで、補正指示部46は、選択された第1基板110および第2基板120のグリッドデータに基づいて補正が必要かを判定し(ステップS23)、補正が必要な場合(ステップS23でYesの場合)には、第1基板110と第2基板120とのグリッドデータが一致する方向の補正指示を第1駆動機構22または第2駆動機構32に与える。その結果、第1駆動機構22または第2駆動機構32は、第1基板110と第2基板120との間の位置ずれ、倍率ずれまたは回転ずれをただす方向に第1ステージ21または第2ステージ31を移動させる補正を行う(ステップS24)。
【0043】
その後、またはステップS23で補正が必要でない場合(ステップS23でNoの場合)には、例えば第1基板110上に接着層が形成された後、貼合制御部47は、第1ステージ21上の第1基板110と第2ステージ31上の第2基板120とを接着層を介して貼り合せるように、第1駆動機構22または第2駆動機構32に指示を与える。これによって、貼合処理が実行される(ステップS25)。貼合処理では、接着層を介した第1基板110と第2基板120とを接触させ、貼り合せ、接着層が固化した後、第1ステージ21または第2ステージ31の吸着機構を解除して、第1ステージ21と第ステージとを引き離し、2つの基板の貼合によって形成された半導体装置を所定の位置に搬送する処理が行われる。
【0044】
その後、基板搬送指示部45は、第1格納容器60内に、貼合されていない第1基板110があるかを判定し(ステップS26)、貼合されていない第1基板110がある場合(ステップS26でYesの場合)には、ステップS20に戻り、第1格納容器60内に貼合されていない第1基板110がなくなるまでステップS20~S25の処理が繰り返し実行される。
【0045】
また、第1格納容器60内に貼合されていない第1基板110がない場合(ステップS26でNoの場合)には、処理が終了する。
【0046】
なお、上記した説明では、メモリセル層112が配置された第1基板110と、周辺回路層122が配置された第2基板120と、を貼合する場合を例に挙げたが、実施形態がこれに限定されるものではない。図7は、実施形態による半導体装置の製造方法の他の例を模式的に示す図である。図7(a)に示されるように、貼合された基板(以下、貼合基板という)130,140同士を貼合する場合にも用いることができる。また、図7(b)に示されるように、2つの貼合基板が貼合された貼合基板(4枚の基板が貼合された貼合基板)150と、2つの基板が貼合された貼合基板160と、を貼合する場合にも用いることができる。この他にも、任意の枚数が貼合された貼合基板と、基板または任意の枚数が貼合された貼合基板と、を貼合することができる。これらの場合には、貼合基板130,140,150,160の貼合される側の基板のメモリセルまたは駆動回路などのデバイス層が配置されている面のグリッド計測結果を用いてグリッド一致率の算出が行われる。
【0047】
また、上記した説明では、第1格納容器60内の第1基板110と、第2格納容器70内の第2基板と、を組み合わせる場合を説明したが、実施形態がこれに限定されるものではない。貼合対象が複数の第1基板110および第2基板120であれば上記した実施形態を適用することができる。例えば、貼合対象を複数の第1格納容器60内の第1基板110と、複数の第2格納容器70内の第2基板120としてもよい。
【0048】
つぎに、貼合装置10のコントローラ40のハードウェア構成について説明する。図8は、コントローラのハードウェア構成を示す図である。コントローラ40は、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403、外部記憶装置404、表示装置405、入力装置406を有している。コントローラ40では、これらのCPU401、ROM402、RAM403、外部記憶装置404、表示装置405、入力装置406がバスライン407を介して接続されている。
【0049】
CPU401は、コンピュータプログラムである貼合プログラムを用いて、複数の第1基板および複数の第2基板の中から、グリッド一致率が貼り合せ閾値の範囲内にある第1基板と第2基板との組み合わせを選択する。貼合プログラムは、コンピュータで実行可能な、基板計測結果からグリッドデータを生成し、第1基板110のグリッドデータと第2基板120のグリッドデータとのグリッド一致率を算出し、グリッド一致率が貼り合せ閾値の範囲にある組み合わせをペアリング情報に登録し、貼合対象の第1基板110と貼合させる第2基板120をペアリング情報に基づいて選択するための複数の命令を含むコンピュータ読取り可能かつ非遷移的な記録媒体(nontransitory computer readable recording medium)を有するコンピュータプログラムプロダクトである。貼合プログラムでは、前述の複数の命令がグリッドデータの生成、グリッド一致率の算出、ペアリング情報の登録およびペアリング情報に基づいた第1基板110に貼合される第2基板120の選択などを行うことをコンピュータに実行させる。
【0050】
外部記憶装置404は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)またはCD(Compact Disc)ドライブ装置などによって構成される。表示装置405は、液晶表示装置などによって構成される。表示装置405は、CPU401からの指示に基づいて、仕上がり評価値などを表示する。入力装置406は、マウスおよびキーボードなどによって構成される。
【0051】
貼合プログラムは、ROM402内に格納されており、バスライン407を介してRAM403へロードされる。
【0052】
CPU401はRAM403内にロードされた貼合プログラムを実行する。具体的には、貼合装置10のコントローラ40では、使用者による入力装置406からの指示入力に従って、CPU401がROM402内から貼合プログラムを読み出してRAM403内のプログラム格納領域にロードして各種処理を実行する。CPU401は、この各種処理に際して生じる各種データをRAM403内に形成されるデータ格納領域に一時的に記憶させておく。
【0053】
コントローラ40で実行される貼合プログラムは、基板計測結果取得部41、グリッドデータ生成部42、グリッド一致率算出部43、基板搬送指示部45、補正指示部46および貼合制御部47などを含むモジュール構成となっており、これらが主記憶装置上にロードされ、これらが主記憶装置上に生成される。
【0054】
本実施形態のコントローラ40で実行される貼合プログラムは、図6に示される方法を実行するものであり、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0055】
また、本実施形態のコントローラ40で実行されるパターン形状計測プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。さらに、本実施形態の貼合装置10のコントローラ40で実行される貼合プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0056】
また、本実施形態の貼合装置10で実行される貼合プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0057】
実施形態では、複数の第1基板110と、複数の第2基板120と、のすべての組み合わせについて、グリッド一致率を算出し、グリッド一致率が貼り合せ閾値の範囲にあるものをペアとしてペアリング情報に登録する。第1格納容器60内の第1基板110を用いて貼合処理を行う場合に、ペアリング情報に基づいてこの第1基板110と対応付けされている第2基板120の中から1つの第2基板120を選択し、選択された第1基板110と第2基板120との貼合処理を行う。これによって、第1基板110の各ショット領域と第2基板120の各ショット領域との間の合わせずれの精度を高めることができる。
【0058】
一般的には、第1格納容器60では、一番上のスロット61から順に第1基板110が選択され、第2格納容器70では、1番上のスロット71から順に第2基板120が選択され、それぞれ貼合処理がされていた。そのため、両者のグリッド一致率が低く、製品として用いることができない貼合基板が製造される確率を抑制することができなかった。しかし、実施形態によれば、貼合処理の前の段階で、グリッド一致率の高い第1基板110と第2基板120との組み合わせを取得しているので、製品として用いることができない貼合基板の製造が抑制される。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
10 貼合装置、20 第1基板保持部、21 第1ステージ、22 第1駆動機構、23 ステップ、30 第2基板保持部、31 第2ステージ、32 第2駆動機構、40 コントローラ、41 基板計測結果取得部、42 グリッドデータ生成部、43 グリッド一致率算出部、44 基板情報記憶部、45 基板搬送指示部、46 補正指示部、47 貼合制御部、60 第1格納容器、61,71 スロット、70 第2格納容器、110 第1基板、111,121 半導体基板、112 メモリセル層、120 第2基板、122 周辺回路層、130,140,150,160 貼合基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8