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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】流体機械の損傷検出装置および流体機械
(51)【国際特許分類】
   F03B 15/18 20060101AFI20230106BHJP
【FI】
F03B15/18 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019042921
(22)【出願日】2019-03-08
(65)【公開番号】P2020143655
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100118474
【弁理士】
【氏名又は名称】寺脇 秀▲徳▼
(74)【代理人】
【識別番号】100141911
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 譲
(72)【発明者】
【氏名】橋立 忠之
(72)【発明者】
【氏名】中薗 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】久保 幸一
(72)【発明者】
【氏名】武田 英樹
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-187002(JP,U)
【文献】実開昭58-039508(JP,U)
【文献】特表2018-505331(JP,A)
【文献】特表2010-520961(JP,A)
【文献】特開2006-070797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 1/00-11/08
F03B 15/00-15/22
G01M 13/00-13/045
G01M 99/00
G01N 27/00-27/10
G01N 27/14-27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体が流れる流路を画定する流路画定部材の損傷を検出する流体機械の損傷検出装置であって、
前記流路画定部材に設けられたセンサ導体を含む電気回路と、
前記電気回路に電流を流す電源部と、
前記電気回路を流れる電流の変化を検出する検出部と、を備え、
前記電気回路は、閉回路として構成され
前記検出部は、前記電気回路を流れる電流値を計測し、計測した前記電流値に基づいて、前記流路画定部材の損傷箇所を判定する判定部を有している、流体機械の損傷検出装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記電気回路を流れる電流の有無に応じて点灯および消灯が切り替わるランプを有している、請求項1に記載の流体機械の損傷検出装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記電気回路を流れる電流の有無を報知する報知部を有している、請求項1に記載の流体機械の損傷検出装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記電気回路を流れる電流値を計測し、計測した前記電流値を表示する、請求項1に記載の流体機械の損傷検出装置。
【請求項5】
複数の前記電気回路と、
対応する前記電気回路を流れる電流の変化を検出する複数の前記検出部と、を備え、
前記電気回路の前記センサ導体は、前記流路の側から見たときに互いに異なる位置に配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の流体機械の損傷検出装置。
【請求項6】
前記電気回路は、第1回路と、前記第1回路と並列に設けられた第2回路と、を有し、
前記センサ導体は、前記第1回路に設けられた第1センサ導体と、前記第2回路に設けられた第2センサ導体と、を有し、
前記第1回路の電気抵抗値と、前記第2回路の電気抵抗値とは、互いに異なっている、請求項1または4に記載の流体機械の損傷検出装置。
【請求項7】
前記第1センサ導体および前記第2センサ導体は、前記流路の側から見たときに互いに異なる位置に配置されている、請求項に記載の流体機械の損傷検出装置。
【請求項8】
前記第1センサ導体および前記第2センサ導体は、前記流路から遠ざかる方向において互いに異なる位置に配置されている、請求項に記載の流体機械の損傷検出装置。
【請求項9】
前記第1回路は、前記第1センサ導体に直列に接続された第1抵抗器を含み、
前記第2回路は、前記第2センサ導体に直列に接続された第2抵抗器を含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の流体機械の損傷検出装置。
【請求項10】
前記第1抵抗器および前記第2抵抗器は、前記流路画定部材の外側に配置されている、請求項に記載の流体機械の損傷検出装置。
【請求項11】
前記第1抵抗器および前記第2抵抗器は、前記流路画定部材内に埋設されている、請求項に記載の流体機械の損傷検出装置。
【請求項12】
前記センサ導体は、前記流路画定部材内に埋設されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の流体機械の損傷検出装置。
【請求項13】
前記流路画定部材に設けられた設置孔と、
前記設置孔に設置された、前記センサ導体が埋設されたモジュール部材と、を更に備えた、請求項1~10のいずれか一項に記載の流体機械の損傷検出装置。
【請求項14】
作動流体が流れる流路を画定する流路画定部材の損傷を検出する流体機械の損傷検出装置であって、
前記流路画定部材に設けられたセンサ導体を含む電気回路と、
前記電気回路に電流を流す電源部と、
前記電気回路を流れる電流の変化を検出する検出部と、を備え、
前記電気回路は、閉回路として構成され
前記電気回路の前記センサ導体は、前記流路画定部材の前記流路を画定する画定面に設けられている、流体機械の損傷検出装置。
【請求項15】
作動流体が流れる流路を画定する流路画定部材の損傷を検出する流体機械の損傷検出装置であって、
前記流路画定部材に設けられたセンサ導体を含む電気回路と、
前記電気回路に電流を流す電源部と、
前記電気回路を流れる電流の変化を検出する検出部と、を備え、
前記電気回路は、閉回路として構成され
前記検出部により電流の変化が検出されたという検出情報を回収する検出情報回収部を更に備えた、流体機械の損傷検出装置。
【請求項16】
前記流体機械の回転体に設けられている、請求項15に記載の流体機械の損傷検出装置。
【請求項17】
作動流体が流れる流路を画定する流路画定部材と、
請求項1~16のいずれか一項に記載の流体機械の損傷検出装置と、を備えた、流体機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、流体機械の損傷検出装置および流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、流体機械は、内部を流れる作動流体の影響を受けて、摩耗、壊食、腐食、破壊または破裂等の損傷を発生する可能性がある。このような損傷は、流体機械の使用環境や、運転状態などに影響を受ける。
【0003】
流体機械の一例として挙げられる水力機械やポンプにおいて、作動流体の流路を画定する流路画定部材の表面に、作動流体中に含まれる土砂などの異物が接触または衝突することにより、流路画定部材が土砂摩耗などで損傷を受ける場合がある。
【0004】
このような損傷の発生箇所や進行の程度は、過去の経験や製品開発時の試験等によりある程度の予測はできる。しかしながら、運転条件の変化や作動流体中の異物の量および性質等にも影響され得るため、実際に運転している実機における詳細な予測は困難である。
【0005】
このようなことに対処するために、振動センサにより損傷発生時の振動を検知して、損傷を知らせるシステムが知られている。しかしながら、このようなシステムでは、振動センサが感知するノイズが障害となって、損傷の検出精度が低下し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5185064号公報
【文献】特許第4812100号公報
【文献】特許第4580601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、作動流体が流れる流路を画定する流路画定部材の損傷の検出精度を向上させることができる流体機械の損傷検出装置および流体機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施の形態による流体機械の損傷検出装置は、作動流体が流れる流路を画定する流路画定部材の損傷を検出する流体機械の損傷検出装置である。この流体機械の損傷検出装置は、 流路画定部材に設けられたセンサ導体を含む電気回路と、電気回路に電流を流す電源部と、電気回路を流れる電流の変化を検出する検出部と、を備えている。
【0009】
実施の形態による流体機械は、作動流体が流れる流路を画定する流路画定部材と、上述した流体機械の損傷検出装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作動流体が流れる流路を画定する流路画定部材の損傷の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1の実施の形態による流体機械の損傷検出装置を、流体機械の一例であるフランシス水車1の子午面断面とともに示す図である。
図2図2は、図1の損傷検出装置を示す部分拡大図である。
図3図3は、図1に示す損傷検出装置の変形例を示す部分拡大図である。
図4図4は、図1に示す損傷検出装置の他の変形例を示す部分拡大図である。
図5A図5Aは、第2の実施の形態による流体機械の損傷検出装置を示す部分拡大図である。
図5B図5Bは、図5Aの変形例を閉め巣図である。
図6図6は、図5Aに示す損傷検出装置の変形例を示す部分拡大図である。
図7図7は、図5Aに示す損傷検出装置の他の変形例を示す部分拡大図である。
図8図8は、図5Aに示す損傷検出装置の他の変形例を示す部分拡大図である。
図9図9は、第3の実施の形態による流体機械の損傷検出装置を示す部分拡大図である。
図10図10は、第4の実施の形態による流体機械の損傷検出装置を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態における流体機械の損傷検出装置および流体機械について説明する。
【0013】
(第1の実施の形態)
まず、図1図4を用いて、第1の実施の形態における流体機械の損傷検出装置について説明する。ここでは、まず、図1を用いて流体機械の一例であるフランシス水車(水力機械)について説明する。フランシス水車内には、作動流体として水が流れる。
【0014】
図1に示すように、フランシス水車1は、水車運転時に上池から水圧鉄管(いずれも図示せず)を通って水が流入する渦巻き状のケーシング2と、複数のステーベーン3と、複数のガイドベーン4と、ランナ5と、を備えている。
【0015】
ステーベーン3は、ケーシング2に流入した水をガイドベーン4およびランナ5に導くためのものであり、周方向に所定の間隔をあけて配置されている。ステーベーン3の間に水が流れる流路が形成されている。
【0016】
ガイドベーン4は、流入した水をランナ5に導くためのものであり、周方向に所定の間隔をあけて配置されている。ガイドベーン4の間には、水が流れる流路が形成されている。各ガイドベーン4は、回動可能に構成されており、各ガイドベーン4が回動して隣り合うガイドベーン4とで形成される開度を変えることにより、ランナ5に流入する水の流量が調整可能になっている。このようにして、後述する水車発電機の発電量が調整可能になっている。
【0017】
ランナ5は、ケーシング2に対して回転軸線を中心に回転可能に構成され、水車運転時にケーシング2から流入する水によって回転駆動される。すなわち、ランナ5は、ランナ5に流入する水の流体エネルギを回転エネルギへと変換するためのものである。
【0018】
ランナ5は、後述するランナ軸6の下端に連結されたクラウン5aと、クラウン5aよりも外周側に設けられたバンド5bと、クラウン5aとバンド5bとの間に設けられた複数のランナ羽根5cと、を有している。このうちランナ羽根5cは、周方向に所定の間隔を開けて配置されており、クラウン5aおよびバンド5bに対して固定されている。ランナ羽根5cの間には、水が流れる流路が形成されている。
【0019】
ランナ5には、ランナ軸6を介して水車発電機(図示せず)が連結されている。この水車発電機は、水車運転時には、ランナ5の回転エネルギが伝達されて発電を行うように構成されている。
【0020】
ランナ5よりも水車運転時の下流側には、吸出し管7(ドラフト管とも言う)が設けられている。この吸出し管7は、図示しない下池(または放水路)に連結されており、ランナ5を回転駆動した水の圧力を回復させて、下池に放出させるようになっている。
【0021】
また、ガイドベーン4の上方には上カバー8が設けられており、下方には下カバー9が設けられている。上カバー8と下カバー9との間に、ガイドベーン4が配置されて、水が流れる流路が形成されている。上カバー8の一部は、後述するランナ5のクラウン5aの上方に延びており、クラウン5aとの間に背圧室10が形成されている。背圧室10には、ガイドベーン4を通過した水の一部が流入するようになっている。下カバー9の一部は、後述するランナ5のバンド5bの外側(側方)に延びており、側圧室11が形成されている。側圧室11には、ガイドベーン4を通過した水の一部が流入するようになっている。
【0022】
なお、本実施の形態によるフランシス水車1は、ポンプ水車として揚水運転を行うことができるフランシス形ポンプ水車として構成されていてもよい。この場合、水車発電機は、電動機としての機能をも有し、電力が供給されることによりランナ5を回転駆動するように構成される。このため、吸出し管7を介して下池の水を吸い上げて上池に放出させることが可能になる。ガイドベーン4の開度は、ポンプ揚程に応じて適切な揚水量になるように変えられる。
【0023】
上述したケーシング2、ステーベーン3、ガイドベーン4、ランナ5、吸出し管7、上カバー8および下カバー9は、水が流れる流路(図1および図2に示す符号F参照)を画定する流路画定部材を構成している。このような流路を水が流れることにより、流路画定部材に、水に含まれる土砂などの異物が接触し、摩耗、壊食、腐食、破壊または破裂等の損傷が発生し得る。本実施の形態による流体機械の損傷検出装置20(以下、単に損傷検出装置20と記す)は、このような損傷が発生することを検出するための装置である。以下、流体機械の一例としてのフランシス水車1において、流路画定部材の一例として上カバー8に損傷検出装置20が設けられている場合について説明する。なお、流路画定部材のうち主流の流路を画定する画定面が、損傷を受ける面であるため、このような画定面における損傷を検出できるように損傷検出装置20が設置されることが好ましい。ここで、主流とは、ケーシング2、ステーベーン3、ガイドベーン4、ランナ5および吸出し管7を通る流れをいう。上述した背圧室10および側圧室11における水の流れは主流とは区別されるが、フランシス水車1の使用環境によっては、背圧室10や側圧室11を画定する画定面も、損傷を受ける面となり得るため、これらの画定面における損傷を検出できるようにしてもよい。
【0024】
本実施の形態による損傷検出装置20は、図1および図2に示すように、上カバー8(流路画定部材)に設けられたセンサ導体31を含む電気回路30と、電気回路30に電流を流す電源部40と、電気回路30を流れる電流の変化を検出する検出部41と、を備えている。
【0025】
電気回路30は、上述したセンサ導体31に電気的に接続された一対の電気伝導性のケーブル32を含んでいる。ケーブル32には、上述した電源部40が接続されている。すなわち、センサ導体31に、一対のケーブル32を介して電源部40が電気的に接続されている。このような構成により、センサ導体31およびケーブル32によって構成された電気回路30に電流(図2に示す符号I参照)が流れるようになっている。
【0026】
本実施の形態においては、センサ導体31は、上カバー8内に埋設されている。例えば、図2に示すように、センサ導体31は、上カバー8に埋設されていてもよい。この場合、上カバー8に、予め孔を形成しておき、この孔に、センサ導体31を挿入してもよい。センサ導体31を挿入した後、孔内に、樹脂等の充填材を充填して、センサ導体31を上カバー8に対して固定するようにしてもよい。図1および図2においては、上カバー8内に1つのセンサ導体31が埋設されて、1つの電気回路30で損傷検出装置20が構成されている例を示している。
【0027】
センサ導体31は、上カバー8の画定面8aに対向するセンサ部33と、センサ部33から延びてケーブル32に接続されたセンサ接続部34と、を含んでいる。すなわち、センサ部33は、上カバー8内に埋設されたセンサ導体31のうち上カバー8の画定面8aに対向する部分であり、センサ接続部34は、上カバー8の厚み方向に延びる部分である。
【0028】
センサ部33は、上カバー8の画定面8aに対して所望の位置に埋設されている。センサ部33と画定面8aとの距離は、フランシス水車1の使用環境や、運転状態などを考慮した上で、上カバー8の損傷が許容できる範囲を超える場合に上カバー8の損傷を検出することができるような距離として設定されるようにしてもよい。
【0029】
センサ導体31は、電気伝導性を有する材料により形成されている。しかしながら、電気伝導性が良好であることに限られない。すなわち、電気伝導性を有していれば、電気抵抗が比較的高い材料であってもよい。例えば、銅よりも電気抵抗が高い鉄鋼を材料として形成されていてもよい。
【0030】
また、センサ導体31は、銅などの比較的軟質な材料よりも、鉄鋼などの比較的硬質な材料で形成されていることが好ましい。このことにより、上カバー8の損傷によってセンサ導体31が流路に露出された際に、センサ導体31のセンサ部33が破断し損なうことを防止できる。すなわち、軟質な材料でセンサ導体31が形成されている場合には、水に含まれる土砂などの異物がセンサ導体31に衝突した場合であっても、センサ導体31が変形して破断を免れる可能性がある。このため、硬質な材料でセンサ導体31を形成することにより、このような変形を防止し、上カバー8の損傷によって流路に露出された際には破断させることができる。
【0031】
図1および図2に示すように、本実施の形態による検出部41は、電気回路30を流れる電流の変化(ここでは電流の有無)に応じて点灯および消灯が切り替わるランプ42(表示部)を有している。このことにより、ランプ42が、電気回路30を流れる電流の有無を検出して、検出された電流の有無に応じて点灯および消灯を切り替える。このため、ランプ42が点灯しているかまたは消灯しているかを確認することにより、監視員は、電気回路30を流れる電流の変化を認識することができる。例えば、電気回路30を電流が流れている場合には、ランプ42を点灯させ、電気回路30を電流が流れていない場合には、ランプ42を消灯させるようにしてもよい。また、電気回路30を電流が流れていない場合にランプ42を点灯させ、電流が流れている場合にランプ42を消灯させてもよい。この場合には、後述するリレーを電気回路30に設けて、このリレーの出力接点に表示器を接続するようにしてもよい。
【0032】
図1および図2に示すように、本実施の形態では、上述した電源部40とランプ42とが一体に構成された表示器43が用いられている。すなわち、図1および図2に示す表示器43は、電気回路30に電流を流す電源部40と、電気回路30を流れる電流の有無を表示するランプ42と、を有している。表示器43は、任意の位置に設置することができるが、例えば、フランシス水車1が設置されている発電プラントの制御室などに設置してもよい。この場合には、表示器43のランプ42の表示を容易に確認することができ、上カバー8の損傷の有無を迅速に確認することができる。
【0033】
このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0034】
図1に示すフランシス水車1の運転中、上池から水圧鉄管を通ってケーシング2に流入した水は、ステーベーン3およびガイドベーン4を通ってランナ5に流入する。そしてランナ5を回転駆動してランナ5から排出されると、吸出し管7を通って、下池に流れる。
【0035】
正常時には、損傷検出装置20の電気回路30は電流が流れる通電状態になっている。このため、電源部40が電気回路30に所定の電圧を印加することによって電気回路30に電流が流れ、ランプ42は、電気回路30に電流が流れていることを検出して点灯する。このランプ42の点灯を確認した監視員は、センサ導体31のセンサ部33が破断されていないことを認識することができる。
【0036】
しかしながら、フランシス水車1内を流れる水には、土砂などの異物が含まれることがある。すると、フランシス水車1のケーシング2、ステーベーン3、ガイドベーン4、上カバー8、下カバー9、ランナ5、吸出し管7およびその他各種の水車構成部品を含む流路画定部材のうちの少なくとも1つは、土砂摩耗等で損傷を受ける場合がある。すなわち、これらの流路画定部材の表面には、土砂摩耗が発生する可能性が考えられる。土砂摩耗は、流路画定部材の表面に、作動流体中に含まれる土砂などの異物が接触または衝突することにより生じる損傷のことを言う。
【0037】
例えば、図2に示すように、上カバー8が損傷を受けると、上カバー8の画定面8aが削り取られる。損傷が進行していくと、画定面8aが後退し、上カバー8内に埋設されていたセンサ導体31のセンサ部33が、流路に露出される。そして、露出したセンサ部33に、土砂などの異物が衝突すると、センサ部33が破断し、破断部Bが形成される。この破断部Bによって、センサ導体31が切断され、電気回路30は、電流が流れない不通状態になる。このため、ランプ42は、電気回路30に電流が流れていないことを検出して消灯する。このランプ42の消灯を確認した監視員は、センサ導体31のセンサ部33が破断されたことを認識することができる。
【0038】
このようにして、本実施の形態による損傷検出装置20により、土砂摩耗による上カバー8の損傷の有無を監視することができる。また、センサ導体31が上カバー8に設けられる場合だけでなく、後述するようにセンサ導体31がフランシス水車1内において上カバー8以外の任意の部材に設けられる場合も含めて、本実施の形態による損傷検出装置20により、フランシス水車1内の損傷の発生部位や、損傷の進行速度の詳細な把握を可能にし、運転計画、定期検査計画、補修計画および老朽後進計画等に役立てることもできる。
【0039】
ここで、ランナ5の翼間や、ランナ5と上カバー8との間の背圧室10の入口近傍、およびランナ5と下カバー9との間の側圧室11の入口近傍等、流路が急激に狭まる部分(狭小部)では、運転状態によってはキャビテーションが発生し得る。キャビテーションは、流速の増加により圧力が低下して飽和蒸気圧を下回ると水が蒸発して気泡となる現象を言う。このキャビテーションが崩壊する際には、衝撃波が発生する。このことにより、キャビテーションが発生した場合には、振動や騒音の発生に加えて翼の壊食を伴い、ランナ5や上カバー8、下カバー9等、キャビテーション発生部の近傍の部材を損傷させる可能性が考えられる。
【0040】
これに対して本実施の形態では、上カバー8に、電気回路30のセンサ導体31が設けられている。このことにより、背圧室10の入口近傍で、キャビテーションによる壊食を含めた損傷の有無を検出することができる。このように、背圧室10の入口近傍で発生し得るキャビテーションの影響を調べるためには、入口の狭小部を構成する流路画定部材にセンサ導体31が設けられていてもよいが、回転体であるランナ5よりも静止体として構成される流路画定部材にセンサ導体31を設けることが好適である。これにより、背圧室10の入口近傍でのキャビテーションによる壊食の有無を容易に検出することができる。なお、側圧室11の入口近傍でのキャビテーションの影響を調べる場合も同様に、側圧室11の入口を構成するとともに静止体として構成される流路画定部材にセンサ導体31を設けることが好適である。
【0041】
このように本実施の形態によれば、センサ導体31を含む電気回路30を流れる電流の有無が、検出部41によって検出される。このことにより、検出部41が電気回路30を電流が流れることを検出した場合には、センサ導体31のセンサ部33が破断していないことを認識することができる。一方、検出部41が電気回路30を電流が流れていないことが検出した場合には、センサ導体31のセンサ部33が破断したことを認識することができる。このため、センサ導体31のセンサ部33が破断したことを容易に検出することができる。
【0042】
また、本実施の形態によれば、上述したように、センサ導体31は、フランシス水車1の上カバー8に設けられている。このことにより、上カバー8が、水に含まれる土砂などの異物によって損傷を受けた場合に、センサ導体31を損傷させて破断させることができる。このため、水が流れる流路を画定する上カバー8の損傷の有無を精度良く検出することができる。この結果、上カバー8の損傷の検出精度を向上させることができる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、検出部41は、電気回路30を流れる電流の有無に応じて点灯および消灯が切り替わるランプ42を有している。このことにより、電気回路30を流れる電流の変化を容易に確認することができる。また、検出部41の構成を簡素化させることができる。
【0044】
また、本実施の形態によれば、電気回路30のセンサ導体31が、上カバー8内に埋設されている。このことにより、上カバー8の損傷がある程度進行した段階で、上カバー8の損傷を検出することができる。このため、上カバー8の損傷が許容できる程度の場合に上カバー8の損傷が検出されてしまうというような誤検出を防止することができ、上カバー8の損傷の検出精度を向上させることができる。
【0045】
なお、上述した本実施の形態においては、検出部41が、電気回路30を流れる電流の有無に応じて点灯および消灯が切り替わるランプ42を有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、電気回路30を流れる電流の有無を表示することができれば、点灯および消灯が切り替わるランプ42でなくてもよく、例えば、表示色を変えるなど、表示態様は任意である。また、電気回路30を流れる電流の有無は、表示でなくても、警告音やブザーなどの報知部44(図1および図2参照)で報知するようにしてもよい。すなわち、検出部41が、電気回路30を流れる電流の有無を報知する報知部44を有していてもよい。例えば、電気回路30を電流が流れている間は無音とし、電気回路30を電流が流れていない場合に、警告音などを発するようにしてもよい。この場合においても、電気回路30を流れる電流の有無を検出することができる。また、ランプ42の点灯および消灯の切り替えは、電気回路30を流れる電流の変化に応じていれば、電流の有無に応じていることには限られない。例えば、電気回路30を流れる電流を計測し、ランプ42の点灯および消灯の切り替えを、計測された電流値の変化に応じて行うようにしてもよい。更には、検出部41は、後述する計測器62として構成されていてもよく、あるいは、モータや電磁石などを用いて電流の有無を機械式に表示するように構成されていてもよい。
【0046】
また、上述した本実施の形態においては、正常時に、損傷検出装置20の電気回路30に電流を流し続ける例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、任意のタイミングで、電気回路30に電流を流して、損傷の有無を確認するようにしてもよい。例えば、一定の時間間隔で、電気回路30に電流を流して、定期的に損傷の有無を確認するようにしてもよい。
【0047】
また、上述した本実施の形態においては、電気回路30のセンサ導体31が、上カバー8に形成された孔に挿入されることにより、上カバー8内に埋設されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、センサ導体31は、図3に示すようなモジュール部材51を用いて、上カバー8に埋設されていてもよい。図3に示す例では、上カバー8に設置孔50が設けられ、この設置孔50に、センサ導体31が埋設されたモジュール部材51が設置されている。
【0048】
図3に示す例では、まず、モジュール部材51内に、センサ導体31が埋設される。例えば、モジュール部材51に予め孔を形成しておく。この孔に、センサ導体31を挿入するようにしてもよい。モジュール部材51にセンサ導体31を挿入した後、孔内に、樹脂等の充填材を充填して、センサ導体31をモジュール部材51に対して固定するようにしてもよい。あるいは、モジュール部材51を縦半割りにし、その付き合わせ面に溝を形成し、その溝にセンサ導体31を挿入して、縦半割りにされた部材同士を突き合わせて接合させてもよい。そして、上カバー8に、モジュール部材51が挿入可能となる設置孔50を形成し、この設置孔50に、モジュール部材51を挿入して、上カバー8に固定させてもよい。例えば、モジュール部材51は上カバー8に対して溶接や接着等で固定するようにしてもよく、あるいは、モジュール部材51の外周面におねじ部を形成し、設置孔50に、雌ねじ部を形成して、おねじ部と雌ねじ部を螺合させて締め付け、モジュール部材51を設置孔50に固定するようにしてもよい。
【0049】
図3に示す例では、モジュール部材51は、上カバー8の画定面8aに面一になるように上カバー8に固定されている。この場合、上カバー8の画定面8aに凹凸が形成されることを防止でき、水の流れに損失が生じることを抑制できる。また、図3に示す例では、モジュール部材51は、設置孔50のうち流路の側の部分に存在している。このため、設置孔50のうち流路とは反対側の部分には、モジュール部材51は存在しておらず、電気回路30のケーブル32を通すようにしてもよい。
【0050】
なお、モジュール部材51は、上カバー8の材料と同等の機械的性質を持つ材料で形成されていてもよい。例えば、モジュール部材51は、上カバー8と同一の材料で形成されていてもよい。
【0051】
図3に示す例によれば、上カバー8内にセンサ導体31を容易に埋設することができ、損傷検出装置20の設置作業を簡易化することができる。
【0052】
また、上述した本実施の形態においては、上カバー8内に、1つの電気回路30で損傷検出装置20が構成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、例えば、図4に示すように、各々がセンサ導体31を含む複数の電気回路30で損傷検出装置20が構成されていてもよい。
【0053】
図4に示す例では、損傷検出装置20が、3つの電気回路30と、3つの表示器43(電源部40、ランプ42)と、を備えている例が示されている。各電気回路30は、センサ導体31を含んでおり、各センサ導体31は、上カバー8内に埋設されている。上カバー8内におけるセンサ導体31は、流路の側から見たときに互いに異なる位置に配置されている。センサ導体31は、主流方向において異なる位置に配置されていてもよく、上カバー8の画定面8aに沿う方向において、かつ主流方向に垂直な方向において、異なる位置に配置されていてもよく、センサ導体31の配置は任意である。
【0054】
図4に示す例によれば、上カバー8のうち互いに異なる複数の箇所にセンサ導体31を配置することができる。このため、上カバー8のうち複数の箇所で、損傷の有無を検出することができる。
【0055】
さらに、上述した本実施の形態においては、電気回路30のセンサ導体31が、上カバー8に設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、フランシス水車1のうち、水が流れる流路を画定する流路画定部材、すなわち、ケーシング2、ステーベーン3、ガイドベーン4、下カバー9、ランナ5、吸出し管7およびその他各種の水車構成部品を含む流路画定部材のうちの少なくとも1つに設けられていてもよい。
【0056】
(第2の実施の形態)
次に、図5A図8を用いて、第2の実施の形態による流体機械の損傷検出装置および流体機械について説明する。
【0057】
図5A図8に示す第2の実施の形態においては、検出部が、電気回路を流れる電流値を計測し、計測した電流値を表示する点が主に異なり、他の構成は、図1図4に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図5A図8において、図1図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0058】
本実施の形態においては、図5Aに示すように、検出部41は、電気回路30を流れる電流値を計測し、計測した電流値を表示するように構成されている。すなわち、検出部41は、電気回路30を流れる電流値を計測する計測部60と、計測部60により計測された電流値を表示する表示部61と、を有する計測器62として構成されている。この計測器62により計測された電流値のデータに、電流の変化に関する情報が含まれることになる。このため、計測部60により、電気回路30を流れる電流の変化が検出可能になっている。なお、表示部61における電流値の表示態様は、アナログ式でもデジタル式でもよく、任意である。計測器62には、電源部40も一体に構成されていてもよい。
【0059】
また、本実施の形態による電気回路30は、第1回路30aと、第2回路30bと、第3回路30cと、を有している。第1回路30a、第2回路30bおよび第3回路30cは、互いに並列に設けられている。センサ導体31は、第1回路30aに設けられた第1センサ導体31aと、第2回路30bに設けられた第2センサ導体31bと、第3回路30cに設けられた第3センサ導体31cと、を有している。本実施の形態による損傷検出装置20は、1つの計測器62を備えており、1つの計測器62で、電気回路30を流れる電流の変化を検出する。すなわち、1つの計測器62で、複数のセンサ導体31a~31cのセンサ部33の破断の有無を検出可能になっている。この計測器62は、一対のケーブル32を介して、第1回路30a、第2回路30bおよび第3回路30cに接続されている。各回路30a~30cは、ケーブル32に接続されたケーブル部分32a~32cと、ケーブル部分32a~32cをセンサ導体31a~31cに接続するセンサ接続部34a~34cと、をそれぞれ含んでいる。後述する抵抗器35a~35cは、各回路30a~30cにおいて一方のケーブル部分32a~32cに設けられている。
【0060】
第1センサ導体31a、第2センサ導体31bおよび第3センサ導体31cは、流路の側から見たときに互いに異なる位置に配置されている。各センサ導体31a~31cは、主流方向において異なる位置に配置されていてもよく、上カバー8の画定面8aに沿う方向において、かつ主流方向に垂直な方向において、異なる位置に配置されていてもよく、各センサ導体31a~31cの配置は任意である。
【0061】
第1回路30aの電気抵抗値と、第2回路30bの電気抵抗値と、第3回路30cの電気抵抗値は、互いに異なっている。本実施の形態では、図5Aに示すように、第1回路30aは、第1センサ導体31aに直列に接続された第1抵抗器35aを含み、第2回路30bは、第2センサ導体31bに直列に接続された第2抵抗器35bを含み、第3回路30cは、第3センサ導体31cに直列に接続された第3抵抗器35cを含んでいる。第1抵抗器35aの電気抵抗値R1と、第2抵抗器35bの電気抵抗値R2と、第3抵抗器35cの電気抵抗値R3が、互いに異なっていることが好ましい。電気回路30の合成抵抗値R0は、以下のようになる。
【数1】
【0062】
なお、各回路30a~30cの電気抵抗値が、対応する抵抗器35a~35cの電気抵抗値R1~R3に比べて無視できる程度に小さいとする。この場合には、各抵抗器35a~35cの電気抵抗値R1~R3が、対応する回路30a~30cの電気抵抗値になり、式(1)で示すような合成抵抗値R0となる。
【0063】
第1センサ導体31a、第2センサ導体31bおよび第3センサ導体31cのうちのいずれかのセンサ導体が破断した場合には、この合成抵抗値R0が変化する。このため、電気回路30を流れる電流値が変化する。電流値の変化は、検出部41の計測部60で検出される。
【0064】
すなわち、破断前に、検出部41の計測部60で電気回路30の電流値が計測され、計測された電流値が表示部61に表示される。このとき、表示部61に表示された電流値を確認した監視員は、センサ導体31a~31cが破断されていないことを認識することができる。なお、各センサ導体31a~31cの破断の有無と電流値との関係は、予め計算や実験などにより求めておき、データベース化しておけば、電流値を確認した際に、センサ導体の破断の有無やどのセンサ導体が破断したか(破断箇所)を容易に知ることができる。また、このようなデータベースは、コンピュータ等に予め記憶させておいてもよい。すなわち、図5Bに示すように、検出部41が、電気回路30を流れる電流値を計測する計測部60と、計測した電流値に基づいて流路画定部材の損傷箇所を判定する判定部63と、を有していてもよい。この場合、計測された電流値を判定部63を有するコンピュータ64に読み込ませて、判定部63が、データベースを参照して、計測された電流値からセンサ導体の破断の有無や破断箇所を自動的に判定するようにしてもよい。判定結果は、表示部65に表示されるようにしてもよい。この場合、流路画定部材の損傷の有無や損傷箇所を容易に知ることが可能となる。
【0065】
そして、図5Aに示すように、3つのセンサ導体31a~31cのうちのいずれかのセンサ導体が破断した後においても、同様にして電気回路30の電流値が計測され、計測された電流値が表示部61に表示される。この場合、表示部61に表示される電流値が、破断前の電流値とは異なる値として表示される。このことにより、計測器62により、電気回路30の電流値の変化が検出される。このため、計測器62の表示部61に表示される電流値を確認した監視員は、電流値が変化したことを認識することができ、いずれかのセンサ導体が破断していることを認識することができる。図5Aにおいては、第3センサ導体31cのセンサ部33が破断している例が示されている。なお、全てのセンサ導体31a~31cのセンサ部33が破断している場合には、合成抵抗値R0が無限大になり、電流値が0(ゼロ)になるため、全てのセンサ導体31a~31cが破断していることを認識することができる。
【0066】
合成抵抗値R0が変化した場合に、3つのセンサ導体31a~31cのうちのいずれかのセンサ導体が破断しているかを確認するために、第1抵抗器35aの電気抵抗値R1と、第2抵抗器35bの電気抵抗値R2と、第3抵抗器35cの電気抵抗値R3は、以下の関係を満たしていることが好ましい。
【数2】
【0067】
この場合、3つのセンサ導体31a~31cのうちの1つのセンサ導体または2つのセンサ導体が破断した場合であっても、電気回路30の合成抵抗値R0を異ならせることができる。このため、どのセンサ導体が破断したかを特定することができ、破断箇所、すなわち上カバー8の損傷箇所を特定することができる。
【0068】
例えば、第1センサ導体31aのみが破断した場合には、合成抵抗値R0は、以下のようになる。
【数3】
【0069】
例えば、第2センサ導体31bと第3センサ導体31cが破断した場合には、合成抵抗値R0は、以下のようになる。
【数4】
【0070】
上述した式(2)の関係を満たしている場合には、式(3)に示す合成抵抗値R0と、式(4)に示す合成抵抗値R0を異ならせることができる。このため、3つのセンサ導体31a~31cのうちのいずれかのセンサ導体が破断しているかを容易に検出することができる。
【0071】
また、本実施の形態においては、第1抵抗器35a、第2抵抗器35bおよび第3抵抗器35cは、上カバー8内に埋設されておらず、上カバー8の外側(上側)に配置されている。この場合、各抵抗器35a~35cは、共通のボックス(図示せず)などに収容されるようにしてもよい。
【0072】
このように本実施の形態によれば、検出部41が、電気回路30を流れる電流値を計測し、計測した電流値を表示する。このことにより、電気回路30を流れる電流の変化を容易に検出することができる。また、電気回路30が複数のセンサ導体31a~31cを有している場合であっても、電流の変化を検出することで、複数のセンサ導体31a~31cのうちのいずれかのセンサ導体が破断しているかを容易に特定することができる。
【0073】
また、本実施の形態によれば、第1回路30aと第2回路30bと第3回路30cとが、互いに並列に設けられている。このことにより、3つのセンサ導体31a~31cのうちのいずれかのセンサ導体が破断した場合であっても、破断していないセンサ導体31a~31cを含む回路で電気回路30に電流を流すことができる。このため、3つのセンサ導体31a~31cのうちのいずれかのセンサ導体が破断しているかを容易に特定することができる。さらに、3つのセンサ導体31a~31cの破断の有無を1つの検出部41で検出することができ、ケーブル32の本数が増えることを抑制できるとともに、検出部41の個数が増えることを抑制できる。このため、損傷検出装置20の構成が複雑化することを抑制できる。
【0074】
また、本実施の形態によれば、第1回路30aの電気抵抗値と、第2回路30bの電気抵抗値と、第3回路30cの電気抵抗値とが、互いに異なっている。このことにより、3つのセンサ導体31a~31cのうちのいずれかのセンサ導体が破断しているかをより確実に特定することができる。とりわけ、本実施の形態によれば、第1回路30aは、第1抵抗器35aを含み、第2回路30bは、第2抵抗器35bを含み、第3抵抗器35cは、第3抵抗器35cを含んでいる。このことにより、第1回路30aの電気抵抗値と、第2回路30bの電気抵抗値と、第3回路30cの電気抵抗値とを、容易に調整することができ、各回路30a~30cの電気抵抗値を容易に異ならせることができる。
【0075】
また、本実施の形態によれば、第1センサ導体31a、第2センサ導体31bおよび第3センサ導体31cは、流路の側から見たときに互いに異なる位置に配置されている。このことにより、上カバー8のうち互いに異なる複数の箇所にセンサ導体31a~31cを配置することができる。このため、上カバー8のうち複数の箇所で、損傷の有無を検出することができる。
【0076】
また、本実施の形態によれば、第1抵抗器35a、第2抵抗器35bおよび第3抵抗器35cが、上カバー8の外側に配置されている。このことにより、各抵抗器35a~35cを上カバー8内に埋設することを回避できる。このため、上カバー8内へのセンサ導体31a~31cの埋設作業が複雑化することを防止できる。
【0077】
なお、上述した本実施の形態においては、第1回路30aが第1抵抗器35aを含み、第2回路30bが第2抵抗器35bを含み、第3回路30cが第3抵抗器35cを含んでいる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、各回路30a~30cの電気抵抗値自体で、各回路30a~30cの電気抵抗値を区別可能であれば、各回路30a~30cは、抵抗器35a~35cを含んでいなくてもよい。
【0078】
また、上述した本実施の形態においては、第1回路30a、第2回路30bおよび第3回路30cが、互いに並列に設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、複数のセンサ導体31a~31cのうちのいずれかのセンサ導体が破断した場合に電気回路30を流れる電流が変化し、破断したセンサ導体を特定することができれば、回路構成は任意である。
【0079】
また、上述した本実施の形態においては、第1センサ導体31a、第2センサ導体31bおよび第3センサ導体31cが、流路の側から見たときに互いに異なる位置に配置されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、例えば、図6に示すように、各センサ導体31a~31cは、流路から遠ざかる方向(上カバー8の厚み方向、上下方向)において互いに異なる位置に配置されていてもよい。この場合、損傷の有無を検出するだけでなく、損傷の進行の程度(すなわち、損傷深さ)を検出することができる。図6においては、第1センサ導体31aのセンサ部33が破断している例が示されている。
【0080】
また、上述した本実施の形態においては、第1抵抗器35a、第2抵抗器35bおよび第3抵抗器35cが、上カバー8の外側に配置されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、例えば、図7に示すように、各抵抗器35a~35cは、上カバー8内に埋設されていてもよい。図7に示す例では、各センサ導体31a~31cは、流路から遠ざかる方向(上カバー8の厚み方向、上下方向)において互いに異なる位置に配置されている。図7においては、計測器62は、ケーブル32およびセンサ接続部34を介して、各回路30a~30cのセンサ導体31a~31cに接続されている。なお、図5Aに示す形態で、各抵抗器35a~35cを上カバー8内に埋設してもよい。
【0081】
また、上述した本実施の形態においては、電気回路30が、3つの回路(第1回路30a、第2回路30bおよび第3回路30c)を有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、電気回路30を構成する回路数は、任意である。
【0082】
また、上述した本実施の形態においては、各センサ導体31a~31cが、上カバー8に形成された孔内に挿入されることにより、上カバー8内に埋設されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、各センサ導体31a~31cは、図8に示すようなモジュール部材51を用いて、上カバー8に埋設されていてもよい。図8に示すモジュール部材51は、複数のセンサ導体31a~31cおよび複数の抵抗器35a~35cがモジュール部材51に埋設されているが、それ以外の点では、図3に示すモジュール部材51と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。なお、図8に示す例では、複数のモジュール部材51が上カバー8内に埋設されている。すなわち、図8に示す例における損傷検出装置20は、図7に示す電気回路30が複数、独立して設けられている例に相当する。このことにより、流路の側から見たときに互いに異なる複数の箇所で、損傷の進行の程度を検出することができる。この場合、各電気回路30におけるセンサ導体31の個数や間隔は、損傷の程度や、検出したい損傷深さに応じて、適宜設定すればよい。
【0083】
図8に示す例において、モジュール部材51の材料は、上カバー8の材料と同等の機械的性質を持つ材料で形成されていてもよい。あるいは、モジュール部材51の材料は、樹脂材料で形成されていてもよい。樹脂材料は、集積回路などで用いられるエポキシ樹脂やシリコン樹脂等を用いてもよい。また、集積回路などで用いられる抵抗素子を抵抗器35a~35cとして用いて、モジュール部材51を細長い棒状に形成してもよい。この場合、モジュール部材51を小型化することができ、上カバー8に形成する設置孔50を小さくすることができる。なお、このような樹脂材料を用いたモジュール部材51は、上述した図3に示すモジュール部材51にも同様に適用することができる。
【0084】
なお、図8に示す例においては、電気回路30を構成するセンサ導体31a~31cおよび抵抗器35a~35cが1つのモジュール部材51に埋設されている例を示しているが、これに限られることはない。例えば、センサ導体31a~31cの各々が、互いに異なるモジュール部材に埋設されていてもよい。すなわち、第1センサ導体31aおよび第1抵抗器35aが、第1のモジュール部材に埋設され、第2センサ導体31bおよび第2抵抗器35bが、第2のモジュール部材に埋設され、第3センサ導体31cおよび第3抵抗器35cが、第3のモジュール部材に埋設されていてもよい。
【0085】
(第3の実施の形態)
次に、図9を用いて、第3の実施の形態による流体機械の損傷検出装置および流体機械について説明する。
【0086】
図9に示す第3の実施の形態においては、電気回路のセンサ導体が、流路画定部材の流路を画定する画定面に設けられている点が主に異なり、他の構成は、図1図4に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図9において、図1図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0087】
本実施の形態においては、図9に示すように、電気回路30のセンサ導体31が、上カバー8の流路を画定する画定面8aに設けられている。例えば、センサ導体31は、プリント基板70で構成されていてもよい。この場合、プリント基板70は、設置対象となる流路画定部材の画定面の形状に沿って容易に変形させるために、柔軟性を有するように形成されていてもよい。このプリント基板70に、センサ部33を含むセンサ導体31が、樹脂層で覆われるように形成されている。樹脂層の厚さや材料は、柔軟性を有することができれば、任意の厚さで任意の材料を用いて形成されていてもよい。しかしながら、このようなプリント基板70の厚さを薄くすることにより、上カバー8の画定面8aに形成される凹凸を小さくすることができ、水の流れに損失が生じることを抑制できる。なお、画定面8aに凹部を形成して、この凹部に、プリント基板70を収容させて取り付けるようにしてもよい。この場合には、画定面8aに形成される凹凸をより一層小さくすることができ、水の流れに損失が生じることをより一層抑制できる。
【0088】
本実施の形態における電気回路30は、図2に示すように、1つのセンサ導体31を含むように構成されていてもよい。あるいは、図4図7に示すように、複数のセンサ導体31a~31cを含むように構成されていてもよい。
【0089】
プリント基板70は、フランシス水車1の運転中に、上カバー8の画定面8aから剥がれることを防止できれば、上カバー8の画定面8aに任意の手段で取り付けられていてもよい。例えば、プリント基板70は、所望の接着強度を有する接着剤を用いて、上カバー8の画定面8aに貼り付けられていてもよい。電気回路30のケーブル32は、上カバー8に形成された孔を通って、画定面8aに取り付けられたプリント基板70のセンサ導体31に電気的に接続されるようにしてもよい。
【0090】
図9に示す本実施の形態においては、上カバー8が損傷を受けると、上カバー8の画定面8aが削り取られるとともに、プリント基板70も損傷を受ける。このことにより、当該部分で、プリント基板70に形成されたセンサ部33が破断し、破断部Bが形成される。この破断部Bによって、センサ導体31が切断され、電気回路30は、電流が流れない不通状態になる。
【0091】
このように本実施の形態によれば、電気回路30が、上カバー8の流路を画定する画定面8aに取り付けられている。このことにより、電気回路30を上カバー8に容易に取り付けることができる。このため、損傷検出装置20の設置作業を簡易化することができる。
【0092】
(第4の実施の形態)
次に、図10を用いて、第4の実施の形態による流体機械の損傷検出装置および流体機械について説明する。
【0093】
図10に示す第4の実施の形態においては、検出部により電流の変化が検出されたという検出情報を回収する検出情報回収部を更に備えている点が主に異なり、他の構成は、図1図4に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図10において、図1図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0094】
本実施の形態においては、図10に示すように、検出部41により電気回路30における電流の変化が検出されたという検出情報が、検出情報回収部80により回収されるようになっている。すなわち、本実施の形態による損傷検出装置20は、検出部41により電流の変化が検出されたという検出情報を回収する検出情報回収部80を更に備えている。本実施の形態による検出情報回収部80は、検出部41により電流の変化が検出されたという検出情報を記録する記録部81を有している。
【0095】
本実施の形態では、電気回路30のセンサ導体31は、フランシス水車1のランナ5に設けられている。より具体的には、図3または図8に示すようなセンサ導体31が埋設されたモジュール部材51が、フランシス水車1の回転体としてのランナ5に複数設けられている。ランナ5のクラウン5aおよびバンド5bに1つのモジュール部材51がそれぞれ設けられ、ランナ羽根5cに、複数のモジュール部材51が設けられている。これらのモジュール部材51は、図4に示すように、それぞれ独立の電気回路30を構成してもよい。この場合、各電気回路30に、上述した検出部41および検出情報回収部80が設けられてもよい。しかしながら、検出情報回収部80は、電気回路30毎に設けられていなくてもよく、例えば、1つの検出情報回収部80で、各電気回路30の検出部41から検出情報を回収するようにしてもよい。なお、モジュール部材51の設置箇所と個数は、任意である。
【0096】
このような電気回路30を流れる電流の有無が、検出部41(図1参照)によって検出される。例えば、検出部41としてのリレー(電磁継電器)が、電気回路30に設けられていてもよい。リレーは、電気回路30において、センサ導体31に直列に接続され、電気回路30の電流の有無によって、出力接点が切り替わるような構成としてもよい。例えば、電気回路30を電流が流れている場合には、出力接点をOFF(切)にする。このことにより、電気回路30を電流が流れていることが検出され、センサ導体31のセンサ部33が破断していないことを認識することができる。一方、電気回路30を電流が流れていない場合には、出力接点をON(入)にする。このことにより、電気回路30を電流が流れていないことが検出され、センサ導体31のセンサ部33が破断したことを認識することができる。このため、センサ導体31のセンサ部33が破断したことを容易に検出することができる。
【0097】
このリレーの出力接点のONおよびOFFの変化は、電気回路30を流れる電流の変化を表わす検出情報として、記録部81で記録される。このようにして、電流の変化が検出されたという検出情報が回収される。この検出情報は、記録部81に差し込まれた記憶媒体に記録される。例えば、リレーの出力接点が、OFFからONに切り替わった場合に、その旨を時刻と共に記録されるようにしてもよい。記憶媒体は、コンピュータ等によって読み取り可能に構成されていればよく、例えば、メモリカード、コンパクトディスク(CD)など、任意の媒体を用いることができる。
【0098】
記憶媒体は、例えば、フランシス水車1の定期検査時などで停止している際に、記録部81から取り出される。そして、コンピュータ等で、記憶媒体に記録された検出情報が読み取られ、検出情報を確認することができる。そして、検出情報を確認することにより、監視員は、複数のセンサ導体31のうちのいずれかのセンサ導体31のセンサ部33が破断されているかどうかを認識することができる。
【0099】
損傷検出装置20を構成する電気回路30、電源部40(図1参照)、検出部41(図1参照)および検出情報回収部80は、ランナ5に取り付けられて、ランナ5と一体に回転可能になっている。このことにより、電気回路30、電源部40、検出部41および検出情報回収部80を、回転体であるランナ5と一体に回転させることができる。この場合、損傷検出装置20を、フランシス水車1の回転体と静止体(上カバー8など)とに分けて取り付けることを不要にでき、損傷検出装置20の構成を簡素化することができる。電源部40、検出部41および検出情報回収部80は、一体に構成されていてもよい。
【0100】
このように本実施の形態によれば、電気回路30を流れる電流の変化が検出部41により検出されたという検出情報が、検出情報回収部80の記録部81で記録される。このことにより、検出情報を回収することができ、常時の監視を不要にできる。このため、監視負担を軽減することができる。また、電流の変化が検出された時刻を記録させておくことができ、フランシス水車1の運転状態の記録と照合させることもできる。
【0101】
また、本実施の形態によれば、損傷検出装置20の電気回路30、電源部40、検出部41および検出情報回収部80が、ランナ5に設けられている。このことにより、回転体であるランナ5の損傷の直接的な検出を行うことができる。このため、上述したキャビテーションなどで損傷を受けやすいランナ5の損傷を精度良く検出することができる。また、損傷検出装置20を、フランシス水車1の回転体と静止体とに分けて取り付けることを不要にでき、構成を簡素化させることができる。
【0102】
なお、上述した本実施の形態においては、電気回路30のセンサ導体31が埋設されたモジュール部材51が、フランシス水車1のランナ5に設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、モジュール部材51は、上カバー8などのランナ5以外の流路画定部材に設けられていてもよい。流路画定部材に設けられるモジュール部材51の個数は任意であり、電気回路30の個数も任意である。この場合、電源部40、検出部41および検出情報回収部80は、モジュール部材51が設けられた流路画定部材に設けられていてもよいが、設置位置は任意である。
【0103】
また、上述した本実施の形態においては、検出情報回収部80が、検出部41により電流の変化が検出されたという検出情報を記録する記録部81を有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、検出情報回収部80は、検出情報を、無線または有線で発信する検出情報発信部82を有していてもよい。この場合、フランシス水車1から離れた位置(例えば、フランシス水車1が設置されている発電プラントの制御室)に、検出情報発信部82から発信された検出情報を受信する受信部を設けて、検出情報を確認することができる。また、電流の変化が検出されたという検出情報を、検出情報発信部82が回収して、検出情報発信部82から発電プラントの制御装置(図示せず)に送信することにより、フランシス水車1の運転点が、キャビテーションが発生し難い運転点となるように、ランナ5に流入させる水量などを調整するようにしてもよい。検出情報発信部82は、無線で検出情報を発信する場合には、例えばテレメータなどの無線発信器により構成されていてもよく、この場合には、制御装置の側の無線受信器で検出情報を受信するようにしてもよい。また、検出情報発信部82は、有線で検出情報を発信する場合には、例えばスリップリングおよびブラシにより構成されて、検出部41として構成されるリレーの出力接点を制御装置に電気的に接続するようにしてもよい。
【0104】
また、上述した本実施の形態においては、検出部41が、リレーを有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、検出部41は、電気回路30を流れる電流値を計測する計測部60(図5A等参照)を有していてもよい。計測部60により計測された電流値のデータに、電流の変化に関する情報が含まれることになる。このため、計測部60により、電気回路30を流れる電流の変化が検出可能になっている。そして、計測部60により計測された電流値が、記録部81で記憶媒体に記録される。このことにより、計測された電流値が変化している場合、計測部60により電流の変化が検出されたという検出情報が、記録部81に回収される。また、検出部41が計測部60を有する場合、電気回路30は、図1図4に示すような回路であってもよく、あるいは、図5A図8に示すような並列回路であってもよい。
【0105】
また、上述した本実施の形態における電気回路30のセンサ導体31は、モジュール部材51に埋設されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、センサ導体31は、図9に示すようなプリント基板70で構成されていてもよい。
【0106】
以上述べた実施の形態によれば、作動流体が流れる流路を画定する流路画定部材の損傷の検出精度を向上させることができる。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。
【0108】
上述した各実施の形態においては、流体機械の一例として、フランシス水車1を例にとって説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、流体機械の例としては、フランシス水車1以外の水車(例えば、カプラン水車などのプロペラ水車など)も挙げられる。更に言えば、水車以外の流体機器、例えば、ポンプ等にも上述した各実施の形態を同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0109】
1:フランシス水車、5:ランナ、8:上カバー、8a:画定面、20:損傷検出装置、30:電気回路、30a:第1回路、30b:第2回路、31:センサ導体、31a:第1センサ導体、31b:第2センサ導体、35a:第1抵抗器、35b:第2抵抗器、40:電源部、41:検出部、42:ランプ、44:報知部、50:設置孔、51:モジュール部材、70:プリント基板、80:検出情報回収部、I:電流、F:流路、
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10