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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20230106BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20230106BHJP
【FI】
G02F1/1339 500
G02F1/1337
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019081898
(22)【出願日】2019-04-23
(65)【公開番号】P2020181003
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】森永 潤一
(72)【発明者】
【氏名】紙谷 晋吾
(72)【発明者】
【氏名】小川 勝也
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-045760(JP,A)
【文献】特開2010-197488(JP,A)
【文献】特開2006-084779(JP,A)
【文献】特開2010-096856(JP,A)
【文献】特開2011-186453(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0378226(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107247367(CN,A)
【文献】特開2014-206636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
G02F 1/1337
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基板と、
第二基板と、
前記第一基板及び前記第二基板の間に保持された液晶層とを備え、
前記第一基板は、前記液晶層側に突出するメインスペーサ及びサブスペーサを有し、
前記メインスペーサの高さは、前記サブスペーサの高さよりも高く、
前記第二基板は、前記液晶層側の面に、配向膜と、前記メインスペーサに当接するメイン台座部と、前記サブスペーサに対向するサブ台座部と、を有し、
前記メイン台座部の頂部の面積は、前記メインスペーサの頂部の面積よりも大きく、前記サブ台座部の頂部の面積は、前記サブスペーサの頂部の面積よりも小さい
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記サブ台座部の底部の面積は、前記メイン台座部の底部の面積よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記サブ台座部の配置密度は、前記メイン台座部の配置密度よりも高いことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第二基板は、コンタクトホールを有するアクティブマトリックス基板であり、
前記サブ台座部は、画素の隅部に配置された第一サブ台座部と、前記画素において前記隅部に隣接する隅部に配置された第二サブ台座部と、を含み、
前記第一サブ台座部と前記第二サブ台座部との間に、前記コンタクトホールが配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第二基板は、基板面内で互いに交差するように配置された複数の信号線を有するアクティブマトリックス基板であり、
前記メイン台座部及び前記サブ台座部は、前記複数の信号線が交差する部分に配置されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記サブスペーサ及び前記サブ台座部は、前記メインスペーサ及び前記メイン台座部が配置された画素の隅部に隣接する前記画素の隅部のうちの少なくとも1つの隅部に配置されないことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記サブ台座部は、前記メインスペーサ及び前記メイン台座部が配置された画素の隅部に隣接する前記画素の隅部のうちの少なくとも1つの隅部に配置された第三サブ台座部と、前記画素の他の隅部に配置された第四サブ台座部と、を含み、
前記第三サブ台座部の頂部の面積は、前記第四サブ台座部の頂部の面積よりも小さいことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、表示のために液晶組成物を利用する表示装置であり、その代表的な表示方式は、一対の基板間に液晶組成物を封入した液晶パネルに対してバックライトから光を照射し、液晶組成物に電圧を印加して液晶分子の配向を変化させることにより、液晶パネルを透過する光の量を制御するものである。このような液晶表示装置は、薄型、軽量及び低消費電力といった特長を有することから、テレビジョン、スマートフォン、タブレット端末、カーナビゲーション等の電子機器に利用されている。
【0003】
液晶パネルは、一対の基板間に液晶層が封止された構成を有するものであり、一対の基板間の距離(セル厚)がスペーサによって決定される。スペーサとしては、セル厚を制御するためのメインスペーサだけでなく、液晶パネルが加圧されたときの強度を確保するために、メインスペーサよりも低いサブスペーサが設けられることがある。更に、強度対策のため、スペーサと対向する基板に、台座部が配置されることがある。例えば、特許文献1には、対向基板(カラーフィルタ基板)に形成された高さの違う構造物(メインスペーサ及びサブスペーサ)と、TFT基板に形成されたスペーサを支える構造物(台座部)を備える液晶表示装置の構成が開示されている(実施例4、図3、19、20参照)。この構成では、TFT基板側及びカラーフィルタ基板側に構造物があり、セル厚を規定する構造物(メインスペーサ)の高さは、TFT基板側とカラーフィルタ基板側の構造物の高さを合計した高さで決定される。また、液晶パネルに外部荷重が掛かった際にパネルを支えるために構成される構造物(サブスペーサ)の高さは、TFT基板側とカラーフィルタ基板側を合計すると、セル厚を規定する構造体の高さよりも0.3~1.0μm程度小さく、設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-189662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図12は、従来の液晶パネルにおけるサブスペーサと台座部との配置関係を示す平面模式図である。図13は、従来の液晶パネルにおけるサブスペーサと台座部との配置関係を示す断面模式図である。図12及び13に示したように、従来の液晶パネルにおいては、基板貼り合わせ時にズレが発生したとしてもスペーサと台座部とが対向し合うように、台座部の面積は、スペーサの面積よりも大きくすることが一般的であった。
【0006】
ところで、強度対策のため、サブスペーサが多数配置される場合に、台座部と隣接する台座部との間隔が狭くなることにより、台座部が配置された基板において、配向膜材料の塗布ムラ等による不具合が発生することがあった。特に、各画素において、画素電極とTFTのドレイン電極とを接続するためのコンタクトホールが、台座部と隣接する台座部の間に設置される場合には、台座部が配置された基板に大きな溝状の段差が生じるため、配向膜を均一に形成することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、配向膜材料の塗布ムラによる表示不良の発生が抑制された液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の一実施形態は、第一基板と、第二基板と、上記第一基板及び上記第二基板の間に保持された液晶層とを備え、上記第一基板は、上記液晶層側に突出するメインスペーサ及びサブスペーサを有し、上記メインスペーサの高さは、上記サブスペーサの高さよりも高く、上記第二基板は、上記液晶層側の面に、配向膜と、上記メインスペーサに当接するメイン台座部と、上記サブスペーサに対向するサブ台座部と、を有し、上記メイン台座部の頂部の面積は、上記メインスペーサの頂部の面積よりも大きく、上記サブ台座部の頂部の面積は、上記サブスペーサの頂部の面積よりも小さい、液晶表示装置。
【0009】
(2)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記サブ台座部の底部の面積は、上記メイン台座部の底部の面積よりも小さい、液晶表示装置。
【0010】
(3)また、本発明のある実施形態は、上記(1)又は(2)の構成に加え、上記サブ台座部の配置密度は、上記メイン台座部の配置密度よりも高い、液晶表示装置。
【0011】
(4)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)又は上記(3)の構成に加え、上記第二基板は、コンタクトホールを有するアクティブマトリックス基板であり、上記サブ台座部は、第一サブ台座部と、隣接画素に配置された第二サブ画素と、を含み、上記第一サブ台座部と上記第二サブ画素との間に、上記コンタクトホールが配置されている、液晶表示装置。
【0012】
(5)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)又は上記(4)の構成に加え、上記第二基板は、基板面内で互いに交差するように配置された複数の信号線を有するアクティブマトリックス基板であり、上記メイン台座部及び上記サブ台座部は、上記複数の信号線が交差する部分に配置されている、液晶表示装置。
【0013】
(6)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)又は上記(5)の構成に加え、上記サブスペーサ及び上記サブ台座部は、上記メインスペーサ及び上記メイン台座部が配置された画素に隣接する画素のうちの少なくとも1つの画素に配置されない、液晶表示装置。
【0014】
(7)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)又は上記(5)の構成に加え、上記サブ台座部は、上記メインスペーサ及び上記メイン台座部が配置された画素に隣接する画素のうちの少なくとも1つの画素に配置された第三サブ台座部と、他の画素に配置された第四サブ画素と、を含み、上記第三サブ台座部の頂部の面積は、上記第四サブ台座部の頂部の面積よりも小さい、液晶表示装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、配向膜材料の塗布ムラによる表示不良の発生が抑制された液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1の液晶表示装置が備えるTFT基板における画素の構成を示す平面模式図である。
図2】実施例1の液晶表示装置が備えるカラーフィルタ基板における画素の構成を示す平面模式図である。
図3】実施例1におけるメインスペーサ及びメイン台座部の近傍を拡大して示す平面模式図である。
図4】実施例1におけるメインスペーサ及びメイン台座部の近傍を拡大して示す断面模式図である。
図5】実施例1におけるサブスペーサ及びサブ台座部の近傍を拡大して示す平面模式図である。
図6】実施例1におけるサブスペーサ及びサブ台座部の近傍を拡大して示す断面模式図である。
図7】実施例2の液晶表示装置が備えるTFT基板における画素の構成を示す平面模式図である。
図8】実施例2の液晶表示装置が備えるカラーフィルタ基板における画素の構成を示す平面模式図である。
図9】実施例2におけるメインスペーサ及びメイン台座部の周辺を拡大して示す断面模式図である。
図10】実施例2におけるメインスペーサ及びメイン台座部の周辺を拡大して示す平面模式図である。
図11A】実施例1の液晶表示装置における断面構成を説明する図である。
図11B】実施例2の液晶表示装置における断面構成を説明する図である。
図12】従来の液晶パネルにおけるサブスペーサと台座部との配置関係を示す平面模式図である。
図13】従来の液晶パネルにおけるサブスペーサと台座部との配置関係を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る液晶表示装置について説明する。本発明は、以下の実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。
【0018】
本発明の実施形態に係る液晶表示装置は、第一基板と、第二基板と、上記第一基板及び上記第二基板の間に保持された液晶層とを備え、上記第一基板は、上記液晶層側に突出するメインスペーサ及びサブスペーサを有し、上記メインスペーサの高さは、上記サブスペーサの高さよりも高く、上記第二基板は、上記液晶層側の面に、配向膜と、上記メインスペーサに当接するメイン台座部と、上記サブスペーサに対向するサブ台座部と、を有し、上記メイン台座部の頂部の面積は、上記メインスペーサの頂部の面積よりも大きく、上記サブ台座部の頂部の面積は、上記サブスペーサの頂部の面積よりも小さい。
【0019】
上記第一基板及び上記第二基板は、液晶層を挟持する一対の基板であれば特に限定されず、例えば、第一基板がTFT基板であり、かつ第二基板がカラーフィルタ基板である組み合わせであってもよいし、第一基板がカラーフィルタ基板であり、かつ第二基板がTFT基板である組み合わせであってもよい。
【0020】
上記メインスペーサは、一対の基板間の距離(セル厚)を制御するために設けられている。液晶パネルが加圧されていない通常の状態において、第一基板に設けられたメインスペーサの頂部は、第二基板に設けられたメイン台座部の頂部と当接する。
【0021】
上記サブスペーサは、液晶パネルが加圧されたときの強度を確保するために設けられている。第一基板に設けられたサブスペーサの頂部は、液晶パネルが加圧されていない通常の状態においては、第二基板に設けられたサブ台座部の頂部と当接しないが、液晶パネルが加圧された状態においては、サブ台座部の頂部と当接する。このようなサブスペーサが設けられることによって、液晶パネルの過度の変形を防止することができる。
【0022】
上記メインスペーサ及び上記サブスペーサは、感光性樹脂の硬化物(フォトスペーサ)であることが好ましい。メインスペーサ及びサブスペーサを感光性樹脂により形成する場合、フォトリソグラフィによってメインスペーサ及びサブスペーサの形状をパターニングすることができる。
【0023】
本明細書において、「メインスペーサの高さがサブスペーサの高さよりも高い」とは、メインスペーサの頂部がサブスペーサの頂部よりも第二基板側(液晶側)に位置することを意味する。メインスペーサは、例えば、サブスペーサの頂部上に別の層が積層されて構成されるものであってもよい。
【0024】
上記メイン台座部は、第二基板に設けられたメインスペーサに当接する部分であり、配向膜の下地となる平坦面よりも液晶層側に突出していることが好ましく、例えば、第二基板に設けられた平坦化膜の液晶層側に設けられた層であることが好ましい。また、上記メイン台座部の頂部は、平面であることが好ましい。
【0025】
上記メイン台座部の頂部(液晶側先端)の面積は、上記メインスペーサの頂部(液晶側先端)の面積よりも大きい。ここで、上記メイン台座部の頂部の面積とは、頂部が平面である場合にはメインスペーサの頂部と接する側の面全体の面積を意味し、頂部が平面でない場合にはメイン台座部の最大高さに対して90%の高さでの断面の面積を意味する。上記メインスペーサの頂部の面積とは、頂部が平面である場合にはメイン台座部と接する部分の面積を意味し、頂部が平面でない場合にはメインスペーサの最大高さに対して90%の高さでの断面の面積を意味する。メイン台座部の頂部の面積は、第一基板と第二基板の貼り合わせにおいて想定されるズレ量に応じて、メインスペーサの頂部と接しなくなることがないように設定されることが好ましい。
【0026】
上記サブ台座部は、第二基板に設けられたサブスペーサに対向する部分であり、配向膜の下地となる平坦面よりも液晶層側に突出していることが好ましく、例えば、第二基板に設けられた平坦化膜の液晶層側に設けられた層であることが好ましい。また、上記サブ台座部の頂部は、平面であることが好ましい。
【0027】
上記サブ台座部の頂部(液晶側先端)の面積は、上記サブスペーサの頂部(液晶側先端)の面積よりも小さい。ここで、上記サブ台座部の頂部の面積とは、頂部が平面である場合にはサブスペーサの頂部と対向する側の面全体の面積を意味し、頂部が平面でない場合にはサブ台座部の最大高さに対して90%の高さでの断面の面積を意味する。上記サブスペーサの頂部の面積とは、頂部が平面である場合にはサブ台座部と対向する部分の面積を意味し、頂部が平面でない場合にはサブスペーサの最大高さに対して90%の高さでの断面の面積を意味する。サブ台座部の頂部の面積は、当該サブ台座部に対する、メイン台座部との距離、隣接するサブ台座部との距離、及び、第二基板に設けられたコンタクトホール等の凹部との距離を一定以上確保できるように設定されることが好ましい。
【0028】
上記メイン台座部及び上記サブ台座部は、遮光領域に設けられることが好ましく、例えば、第二基板に設けられた信号線や、第一基板に設けられたブラックマトリックスと重畳することが好ましい。
【0029】
上記メイン台座部及び上記サブ台座部は、感光性樹脂の硬化物であることが好ましい。メイン台座部及びサブ台座部を感光性樹脂により形成する場合、フォトリソグラフィによってメイン台座部及びサブ台座部の形状をパターニングすることができる。
【0030】
上記実施形態に係る液晶表示装置においては、セル厚を決定するメインスペーサに当接するメイン台座部は、従来と同様に、スペーササイズよりも貼り合わせズレ分以上の位置ズレマージンを確保した設計としている。一方で、サブスペーサよりもサブ台座部を小さくすることで、台座領域の縮小が可能となり、コンタクトホール等の凹部が設けられた場合であっても、平坦な領域を大きくとることが可能となる。これにより、配向膜材料の塗布性が高まり、その結果パネル面内に均一に配向膜を形成することが可能となる。
【0031】
上記実施形態に係る液晶表示装置の好ましい形態について、以下に説明する。
【0032】
上記サブ台座部の底部(基板側端部)の面積は、上記メイン台座部の底部(基板側端部)の面積よりも小さいことが好ましい。また、上記サブ台座部の配置密度は、上記メイン台座部の配置密度よりも高いことが好ましい。メインスペーサとサブスペーサを備える液晶表示装置において、スペーサと相対する基板に台座部を配置する際、スペーサと相対する基板に対する配向膜材料の塗布性を高める観点からは、数の多いサブスペーサと相対する台座部の大きさ及び面積を、数の少ないメインスペーサと相対する台座部の大きさ及び面積よりも小さく設定することが効果的である。
【0033】
上記第二基板は、コンタクトホールを有するアクティブマトリックス基板であり、上記サブ台座部は、第一サブ台座部と、隣接画素に配置された第二サブ画素と、を含み、上記第一サブ台座部と上記第二サブ画素との間に、上記コンタクトホールが配置されていてもよい。サブ台座部間にコンタクトホールが配置された形態においては、サブ台座部の面積を小さくすることで配向膜材料の塗布性を顕著に向上することができる。
【0034】
上記第二基板は、基板面内で互いに交差するように配置された複数の信号線を有するアクティブマトリックス基板であり、上記メイン台座部及び上記サブ台座部は、上記複数の信号線が交差する部分に配置されていることが好ましい。これにより、メイン台座部及びサブ台座部による開口率の低下を防止できる。
【0035】
上記サブスペーサ及び上記サブ台座部は、上記メインスペーサ及び上記メイン台座部が配置された画素に隣接する画素のうちの少なくとも1つの画素に配置されなくてもよい。この場合、台座部の無い領域が広くなり配向膜材料の塗布性が高まるので、パネル面内に均一に配向膜を形成することが可能となる。
【0036】
上記サブ台座部は、上記メインスペーサ及び上記メイン台座部が配置された画素に隣接する画素のうちの少なくとも1つの画素に配置された第三サブ台座部と、他の画素に配置された第四サブ画素と、を含み、上記第三サブ台座部の頂部の面積は、上記第四サブ台座部の頂部の面積よりも小さくされてもよい。この場合、台座部の無い領域を広げて配向膜材料の塗布性を高めつつ、耐荷重特性を高く保つ設計が可能となる。
【0037】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0038】
<実施例1>
図1は、実施例1の液晶表示装置が備えるTFT基板における画素の構成を示す平面模式図であり、図2は、実施例1の液晶表示装置が備えるカラーフィルタ基板における画素の構成を示す平面模式図である。図3は、実施例1におけるメインスペーサ及びメイン台座部の近傍を拡大して示す平面模式図である。図4は、実施例1におけるメインスペーサ及びメイン台座部の近傍を拡大して示す断面模式図である。図5は、実施例1におけるサブスペーサ及びサブ台座部の近傍を拡大して示す平面模式図である。図6は、実施例1におけるサブスペーサ及びサブ台座部の近傍を拡大して示す断面模式図である。図1~6を用いて、実施例1の液晶表示装置について説明する。
【0039】
実施例1の液晶表示装置は、FFS(Fringe Field Switching)方式の液晶モードを採用している。TFT基板20は、ゲート信号線24とソース信号線25とが交差する画素の隅部に、薄膜トランジスタ(TFT)23を有している。TFT23のドレイン電極26には、コンタクトホール27を介して複数の櫛歯部を有する画素電極28が電気的に接続されている。コンタクトホール27は、ドレイン電極26等の下層導電部と画素電極28とを分離する平坦化膜29を貫通する導電部である。平坦化膜29は、絶縁樹脂で形成されており、液晶層30側の面が平坦である。画素の隅部において、平坦化膜29上(液晶層側)には、メイン台座部21及びサブ台座部22が設けられている。
【0040】
カラーフィルタ基板10は、TFT基板20のTFT23、ゲート信号線24、ソース信号線25と対向する領域に、ブラックマトリックス(BM)15を有する。BM15により区画された領域内(画素内)には、カラーフィルタ16が配置されている。カラーフィルタ16の色は、画素ごとに異なり、赤(R)、緑(G)及び青(B)等の色の組み合わせが設けられる。画素の隅部において、メインスペーサ11及びサブスペーサ12が設けられている。
【0041】
図2に示したように、略矩形状の画素の4つの隅部のうち、第一の隅部C1には、メインスペーサ11及びメイン台座部21が設けられている。第一の隅部C1と矩形長辺側で隣接する第二の隅部C2には、サブスペーサ12及びサブ台座部22が設けられている。また、第二の隅部C2と矩形短辺側で隣接する第三の隅部C3にも、サブスペーサ12及びサブ台座部22が設けられている。一方、第一の隅部C1と矩形短辺側で隣接する第四の隅部C4には、スペーサ及び台座部は設けられていない。
【0042】
本実施例では、カラーフィルタ基板10側にはセル厚を規定するためのメインスペーサ11が形成されており、対向するTFT基板20側にはメイン台座部21が形成されており、両者によってセル厚が決定される。メインスペーサ11の頂部は、TFT基板20に接地していることから、振動や外部荷重が加わったときにTFT基板20を擦り、配向膜50を傷つけるおそれがある。このため、配向膜50の損傷による光漏れを防止するために、メインスペーサ11周囲のBM15による遮光範囲は大きいことが好ましい。一方、BM15による透過率の低下を最小限に抑制するために、メインスペーサ11は、全画素に配置されずに、間引き配置されることが好ましい。
【0043】
メインスペーサ11を少なくすると、外部荷重が加わったときにメインスペーサ11が潰れてしまいセル厚不良が生じてしまうことから、外部荷重が加わったときに支えられるようにメインスペーサ11より少し高さの低いサブスペーサ12が配置される。サブスペーサ12は、カラーフィルタ基板10側に設けられ、平常時にはTFT基板20側に接地していない。液晶パネルの強度を高める観点からは、サブスペーサ12は、可能な限り多く配置されることが好ましい。
【0044】
メインスペーサ11と相対するメイン台座部21は、カラーフィルタ基板10とTFT基板20との貼り合わせ時に生じる設計からのズレによってメインスペーサ11と接地しなくなることがないように、貼り合わせ工程で想定されるズレ量の分、メインスペーサ11よりも大きく設計されることが好ましい。このため、メイン台座部21には、図4に示したように、メインスペーサ11と接地しない部分(マージン部)Mが設けられている。また、メインスペーサ11の面積をメイン台座部21の面積より大きくした場合には、その分大きな面積のBM15による遮光面積の確保が必要となるので、開口率が低下してしまう。本実施例では、大きな台座と相対することが好ましいメインスペーサ11については、最小限の配置個数とし、メイン台座部21の数を少なくしている。
【0045】
実施例1における各部分の寸法は、下記の通りである。
液晶セル厚:3.0μm
メインスペーサ11の高さ:1.8μm
メインスペーサ11の頂部(液晶側)の寸法:円形、径24μmφ、面積455.0μm
メインスペーサ11の底部(基板側)の寸法:円形、径32μmφ、面積808.9μm
サブスペーサ12の高さ :1.3μm
サブスペーサ12の頂部(液晶側)の寸法:楕円形、短径18μm、長径27μm、面積417.9μm
サブスペーサ12の底部(基板側)の寸法:楕円形、短径22μm、長径31μm、面積580.3μm
メイン台座部21及びサブ台座部22の高さ:1.2μm
メイン台座部21の頂部(液晶側)の寸法:八角形、径39μmφ、面積1261.7μm
メイン台座部21の底部(基板側)の寸法:八角形、径44μmφ、面積1605.8μm
サブ台座部22の頂部(液晶側)の寸法:楕円のように八角形を引き延ばした形状、短径15μm、長径24μm、面積321.5μm
サブ台座部22の底部(基板側)の寸法:楕円のように八角形を引き延ばした形状、短径20μm、長径29μm、面積511.6μm
【0046】
上記メイン台座部21の頂部(液晶側)の径は、例えば、メインスペーサ11の頂部(液晶側)の径よりも4~20μm(中心に対して片側2~10μm)大きいことが好ましい。上記サブ台座部22の頂部(液晶側)の径は、例えば、サブスペーサ11の頂部(液晶側)の径よりも0.2~10μm(中心に対して片側0.1~5μm)小さいことが好ましい。
【0047】
インクジェット法等で配向膜材料を塗布する際、下地の凹凸段差が大きいほど均一に塗布することが困難となる。TFT基板20側に形成されるメイン台座部21及びサブ台座部22は、TFT基板20に配向膜材料を塗布する際の物理的障害となり、塗布ムラの原因となることがある。図3及び5中の白抜き矢印は、塗布時の配向膜材料の流路の一例を示している。塗布ムラ防止の観点からは、メイン台座部21及びサブ台座部22の面積は小さいことが好ましい。本実施例では、配置個数の少ないメイン台座部21はメインスペーサ11よりも大きいが、配置個数の多いサブ台座部22をサブスペーサ12より小さくすることによって、台座部の面積増大を抑制している。更に、相対する台座部が大きいメインスペーサ11が配置された第一の隅部C1に対して近距離(矩形短辺側)で隣接する第四の隅部C4にはスペーサ及び台座部を配置しないことにより、台座部の密集を抑制し、配向膜材料の塗布時の流路を確保している。
【0048】
以上のように、実施例1では、サブスペーサ12と相対するサブ台座部22を小さく設計しているので、TFT基板20側にコンタクトホール27等の凹み部が存在する場合でも、サブスペーサ12周辺の平坦化膜29上に平坦な領域F(図6参照)を大きく形成することが可能である。また、メインスペーサ11が配置された第一の隅部C1に隣接する第四の隅部C4にはスペーサ及び台座部を配置しないことで、メインスペーサ11周辺の平坦化膜29上にも平坦な領域Fを大きく形成することが可能となる。その結果、実施例1では従来構成よりも平坦な領域Fが大きく確保できるので、配向膜材料を均一に塗布することができる。よって、実施例1の液晶表示装置は、表示ムラのない良好な表示品位を実現することができる。
【0049】
従来構成と実施例1の構成における平坦な領域Fの大きさの比較結果の一例を以下に示す。
ここでは、画素ピッチが50μm、カラーフィルタ基板10とTFT基板20の貼り合わせズレが5μm、サブ台座部22間にコンタクトホール27が無い場合について比較する。
【0050】
(従来構成:サブ台座部22の幅>サブスペーサ12の幅)
サブスペーサ12の幅(長径)=24μm
サブ台座部22の幅(長径)=27μm
サブ台座部22間の間隔(平坦な領域Fの幅)=50μm-27μm=23μm
【0051】
(実施例1の構成:サブスペーサ12の幅>サブ台座部22の幅)
サブスペーサ12の幅(長径)=27μm
サブ台座部22の幅(長径)=24μm
サブ台座部22間の間隔(平坦な領域Fの幅)=50μm-24μm=26μm
【0052】
なお、コンタクトホール27が6μm幅でサブ台座部22間に存在する場合であっても、実施例1の構成によれば、下記式の計算から、平坦な領域Fの幅を10μm確保することができる。
(26μm-6μm)/2=10μm
【0053】
<実施例2>
図7は、実施例2の液晶表示装置が備えるTFT基板における画素の構成を示す平面模式図であり、図8は、実施例2の液晶表示装置が備えるカラーフィルタ基板における画素の構成を示す平面模式図である。図9は、実施例2におけるメインスペーサ及びメイン台座部の周辺を拡大して示す断面模式図である。図10は、実施例2におけるメインスペーサ及びメイン台座部の周辺を拡大して示す平面模式図である。図7~10を用いて、実施例2の液晶表示装置について説明する。
【0054】
実施例2の液晶表示装置は、実施例1の液晶表示装置と同様に、FFS(Fringe Field Switching)方式の液晶モードを採用している。実施例1の液晶表示装置と同様の構成については説明を省略する。
【0055】
実施例2の液晶表示装置においては、図7及び8に示したように、略矩形状の画素の4つの隅部のうち、第一の隅部C1に、メインスペーサ11及びメイン台座部21が設けられており、第一の隅部C1と矩形短辺側で隣接する第四の隅部C4には、サブスペーサ12A及びサブ台座部22Aが設けられている。また、第一の隅部C1と矩形長辺側で隣接する第二の隅部C2と、第二の隅部C2と矩形短辺側で隣接する第三の隅部C3とには、実施例1と同様に、サブスペーサ12及びサブ台座部22が設けられている。サブスペーサ12Aは、サブスペーサ12と同じ面積であってもよいし、サブスペーサ12よりも小面積であってもよい。サブ台座部22Aは、サブ台座部22よりも小面積である。本実施例では、相対する台座部が大きいメインスペーサ11が配置された第一の隅部C1に対して近距離(矩形短辺側)で隣接する第四の隅部C4には、第二の隅部C2及び第三の隅部C3に配置されたサブ台座部22よりも小面積のサブ台座部22Aを配置することにより、配向膜材料の塗布時の流路を確保している。
【0056】
以上にように、実施例2では、サブスペーサ12と相対するサブ台座部22を小さく設計しているので、TFT基板20側にコンタクトホール27等の凹み部が存在する場合でも、サブスペーサ12周辺の平坦化膜29上に平担な領域Fを大きく形成することが可能である。また、メインスペーサ11が配置された第一の隅部C1に隣接する第四の隅部C4にはサブ台座部22よりも小面積のサブ台座部22Aを配置していることで、メインスペーサ11周辺の平坦化膜29上にも平担な領域Fを比較的大きく形成することが可能となる。その結果、実施例2では従来構成よりも平担な領域Fが大きく確保できるので、配向膜材料を均一に塗布することができる。
【0057】
図11A及び11Bに、実施例1の液晶表示装置における断面構成(図11A参照)と実施例2の液晶表示装置における断面構成(図11B参照)を比較して示した。実施例2では、配向膜材料の塗布性を一定以上確保しつつ、実施例1よりも耐荷重特性を高く保つ設計が可能である。実施例2によれば、スペーサ設計に関する自由度が高く、かつ均一な配向膜材料の塗布が可能になるので、液晶表示装置の他の性能に与える影響を最低限に抑えつつ表示ムラのない良好な表示品位を実現することができる。
【0058】
なお、メインスペーサ11が画素境界から左右どちらかにズレて配置されている場合等、左右どちらか一方のメインスペーサ11から距離が近い画素のみ、サブ台座部22又はサブ台座部22Aを形成しない設計としてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10:カラーフィルタ基板
11:メインスペーサ
12、12A:サブスペーサ
15:ブラックマトリックス(BM)
16:カラーフィルタ
20:TFT基板
21:メイン台座部
22、22A:サブ台座部
23:薄膜トランジスタ(TFT)
24:ゲート信号線
25:ソース信号線
26:ドレイン電極
27:コンタクトホール
28:画素電極
29:平坦化膜
30:液晶層
50:配向膜

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13