IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プリズミアン ソシエタ ペル アチオニの特許一覧

<>
  • 特許-エレベータシステム 図1
  • 特許-エレベータシステム 図2
  • 特許-エレベータシステム 図3a
  • 特許-エレベータシステム 図3b
  • 特許-エレベータシステム 図4a
  • 特許-エレベータシステム 図4b
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】エレベータシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/06 20060101AFI20230106BHJP
   B66B 11/02 20060101ALI20230106BHJP
   B66B 11/00 20060101ALI20230106BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20230106BHJP
【FI】
B66B7/06 Z
B66B11/02 C
B66B11/00 B
B66B3/00 U
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019194407
(22)【出願日】2019-10-25
(65)【公開番号】P2020066535
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-09-24
(31)【優先権主張番号】102018000009826
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519383223
【氏名又は名称】プリズミアン ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ルカ ジョルジョ マリア デ ライ
(72)【発明者】
【氏名】ミケランジェロ グラツィアーノ
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド レイ パリス
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-504695(JP,A)
【文献】特開2016-50118(JP,A)
【文献】特開2017-165514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/06
B66B 11/02
B66B 11/00
B66B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータシステム(100)であって、該エレベータシステムは、
1つまたはそれ以上の電化サービス装置を含むエレベータかご(110)と、
つり合い重り(120)と、
つり合い重り(120)内に収容されている電源(170)と、
第1の端でエレベータかご(110)に接続されており、第2の端でつり合い重り(120)に接続されており、カーボンナノチューブ(CNT)ヤーン(220)を含む巻上ケーブル(130)と、を含み、CNTヤーン(220)は、エレベータかご(110)およびつり合い重り(120)を機械的に支持しており、且つ、電源(170)から電化サービス装置までの導電体である、エレベータシステム(100)。
【請求項2】
前記ヤーン(220)中のナノチューブは、多層型のものである、請求項1に記載のエレベータシステム(100)。
【請求項3】
前記ヤーン(220)中のナノチューブは、少層型のものである、請求項1に記載のエレベータシステム(100)。
【請求項4】
つり合い重り(120)内の電源(170)は、再充電可能な電池を含む、請求項1に記載のエレベータシステム(100)。
【請求項5】
エレベータシャフト昇降路壁に/内に連携され、且つ、つり合い重り(120)内の電源(170)に作動的に接触している固定電源(410a、410b)を含む再充電器システムを含む、請求項1に記載のエレベータシステム(100)。
【請求項6】
前記固定電源(410a、410b)は、つり合い重り(120)内の電源(170)に電気的に接触している、請求項5に記載のエレベータシステム(100)。
【請求項7】
前記固定電源(410a、410b)は、電磁誘導によって、つり合い重り(120)内の電源(170)に接触している、請求項5に記載のエレベータシステム(100)。
【請求項8】
エレベータかご(110)、および/または、つり合い重り(120)は、第1のワイヤレスデータトランシーバ(180)を備えている、請求項1に記載のエレベータシステム(100)。
【請求項9】
複数の第2のワイヤレスデータトランシーバ(190)を含み、前記複数の第2のワイヤレスデータトランシーバ(190)は、エレベータ昇降路の側面に固定可能であり、前記複数の第2のワイヤレスデータトランシーバ(190)は、互いに、且つ、エレベータかご(110)またはつり合い重り(120)にデータ信号を伝送し、または、エレベータかご(110)またはつり合い重り(120)からデータ信号を受信するために前記複数の第2のワイヤレスデータトランシーバ(190)を制御するように構成されているコントローラ(160)に接続されている、請求項8に記載のエレベータシステム(100)。
【請求項10】
巻上ケーブル(130)は、つり合い重り(120)とエレベータかご(110)の間でデータ信号を運ぶ、請求項8に記載のエレベータシステム(100)。
【請求項11】
第3の端(112)でエレベータかご(110)に機械的におよび電気的に接続され、第4の端(122)でつり合い重り(120)に機械的におよび電気的に接続されているカーボンナノチューブ補助ケーブル(200)を含む、請求項1に記載のエレベータシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特に高層建物のためのエレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、エレベータシステムは、一般的に、巻上ケーブルによってつり合い重りに連結されているエレベータかごを含む。巻上ケーブルは、エレベータ昇降路の頂部に通常配置されているシーブまたはシーブシステム上を通過し、エレベータ昇降路の頂部は、モータを備えており、モータは、シーブまたはシーブシステムを作動させることによって、巻上ケーブルを通してエレベータかごを上下に移動させる。巻上ケーブルは、通常、1つまたはそれ以上のスチールロープまたはベルトによって作られている。
【0003】
一般的に、エレベータシステムはまた、エレベータかごに電力およびデータ信号を伝送するためのトレーリングケーブルを含む。特に、トレーリングケーブルは、照明装置、ディスプレイ、インターフォン、空調システム、換気システム等のようなエレベータの電化サービス装置のための電力を伝送することができる。エレベータの「サービス装置」とは、エレベータの移動に伴わないすべての装置を意味している。
【0004】
トレーリングケーブルは、通常、一端がエレベータかごに固定され、他端が、例えば、エレベータ行程に関して中間位置で、エレベータ昇降路の1つの側面上に配置されている分電ボックスに固定されている。
【0005】
トレーリングケーブルは、通常、遮蔽層によって包封されている電力または通信導電体で作られている。
【0006】
ますます高くなる建物に対する増大する需要に鑑みると、特に、エレベータかご支持のための巻上ケーブル、および、トレーリングケーブルに関係するエレベータシステムを製造するための新しい挑戦が生じてきている。
【0007】
大変長いエレベータ昇降路を備えた高層建物では、巻上ケーブルおよびトレーリングケーブルによって与えられる移動質量分配が、関連問題となり、エレベータシステム設計に対する重大な制限を呈している。
【0008】
高層建物のための巻上スチールケーブルは、大変長くなる必要があり、その結果、大変重くなる。
【0009】
トレーリングケーブルについては、トレーリングケーブルは、エレベータかごの高速移動による空気流よって引き起こされる潜在的に激しい制動により強い応力を受ける。
【0010】
したがって、トレーリングケーブルは、頑強でなければならず、エレベータかごおよび分電ボックスにできる限りしっかりと固定されなければならない。これは、トレーリングケーブルがますます重くなることを意味している。
【0011】
上記の理由により、スチールに代替し、ケーブルをより軽くするために、強度構成要素としてのカーボンナノチューブ(CNTs)を含む巻上ケーブルが、提案されてきた。巻上ケーブルのカーボンナノチューブ(CNTs)は、電気信号を輸送するためにもヒントを与えてきた。
【0012】
WO2015162263号は、マトリックス材料に埋設された強度構成要素を有するコアを含むエレベータシステムのための巻上ケーブルに関する。強度構成要素は、ポリマ材料から作られたマトリックス材料を備えたカーボンナノチューブ(CNT)から作られているのがよい。CNTは、エレベータの荷重を支持するように構成されている。いくつかの実施形態では、CNTは、エレベータかごに電力を提供し、且つ/または、コントローラとエレベータの間で通信を提供するために、巻上部材を通して電気信号を伝送するように構成されている。したがって、エレベータかごに電力を提供する追加のトレーリングケーブルは、必要とされない。
【0013】
US20110061976号は、つり合い重りが、エレベータに電力を供給するために使用される蓄電池によって実質的に提供される、電池つり合い重りエレベータに関する。つり合い重りの重量の実質的な部分は、1つまたはそれ以上の蓄電池を含む。トレーリングケーブルが、エレベータかごとつり合い重りとの間に延びている。移動する電力ケーブルは、つり合い重り内の蓄電池から、エレベータかご上または内に設置されたエレベータ駆動モータに電力を提供する。追加のトレーリングケーブルが、エレベータかごとつり合い重りの間に延びるのがよい制御および通信ケーブルを含む。
【0014】
US4402386号は、つり合い重りとしてインバータ制御非同期リニア電気モータを有する自己動力エレベータに関する。モータは、好ましくは、充電器を横切って浮動電池に接続されている主フィーダからの電流で給電されるのがよく、電池自身は、インバータを横切ってモータに接続されている。知られている型式のすべての構成要素が、つり合い重りの構成部品を形成することができる。電池は、吊下げケーブルによって、或いは、着床レベルに位置するソケットコネクタによって再充電されることができる。エレベータかごは、ロープによって吊り下げられた2つの案内レール上をスライドする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
出願人は、特に大変高い建物のために、エレベータを巻上げ、且つ、エレベータに電力を供給するケーブルの重量を低減させるとともに、エレベータシステムの設計を簡単化するという課題に直面した。
【課題を解決するための手段】
【0016】
出願人は、機械的目的のために寸法決めされたカーボンナノチューブ(CNTs)を含む巻上ケーブルが、エレベータかごの電化サービス装置のために十分な電力をもたらすのに適しているということを見出した。
【0017】
巻上ケーブル、したがって、エレベータかごの電化サービス装置に給電するための電力を提供するために、出願人は、電源を収容したつり合い重りを利用し、CNT巻上ケーブルによってかかるつり合い重りを機械的におよび電気的に接続することを実現した。
【0018】
このようにして、トレーリングケーブルの使用、および、トレーリングケーブルに関連したすべての技術的問題が、回避される。さらに、CNT巻上ケーブルの使用は、エレベータシステム設計において、巻上ケーブル重量によって与えられる分配を低減させることを可能にする。
【0019】
つり合い重り内の電源は、エレベータかごのサービス装置だけに電力を供給するのに適しているべきであり、かくしで、つり合い重り内の電源は、約数kWの電力を提供するこができるべきである。
【0020】
したがって、第1の実施形態によれば、本開示は、特に高層建物のためのエレベータシステムであって、該エレベータシステムは、
1つまたはそれ以上の電化サービス装置を含むエレベータかごと、
つり合い重りと、
つり合い重り内に収容されている電源と、
第1の端でエレベータかごに接続されており、第2の端でつり合い重りに接続されており、カーボンナノチューブ(CNT)ヤーンを含む巻上ケーブルと、を含み、CNTヤーンは、エレベータかごおよびつり合い重りを機械的に支持しており、且つ、電源から電化サービス装置までの導電体である、エレベータシステムに関する。
【0021】
本開示の巻上ケーブルでは、第1の端は、第2の端の反対側にある。
【0022】
1つの実施形態では、前記ヤーン中のナノチューブは、多層型のものである。
【0023】
もう1つの実施形態では、前記ヤーン中のナノチューブは、少層型のものである。
【0024】
1つの実施形態では、つり合い重り内の電源は、再充電可能な電池を含む。このようにして、電源は、頻繁な保守を必要とせず、かくして、保守費用が低減される。
【0025】
1つの実施形態では、エレベータシステムは、エレベータシャフト昇降路壁に/内に連携され、且つ、つり合い重り内の電源に作動的に接触している固定電源を含む再充電器システムを含むのがよい。
【0026】
この実施形態によれば、電池再充填プロセスは、エレベータシステムの運転の中断を必要としない。
【0027】
1つの実施形態では、前記固定電源は、つり合い重り内の電源に電気的に接触している。
【0028】
代替実施形態では、前記固定電源は、電磁誘導によって、つり合い重り内の電源に接触している。
【0029】
1つの実施形態では、エレベータかご、および/または、つり合い重りは、第1のワイヤレスデータトランシーバを備えている。この特徴は、リアルタイムでエレベータシステムの運転を監視し、監視データを収集し、検索し、エレベータかごと通信することを可能にする。
【0030】
この実施形態によれば、エレベータシステムは、複数の第2のワイヤレスデータトランシーバを含んでもよく、前記複数の第2のワイヤレスデータトランシーバは、エレベータ昇降路の側面に固定可能であり、前記複数の第2のワイヤレスデータトランシーバは、互いに、且つ、エレベータかごまたはつり合い重りにデータ信号を伝送し、または、エレベータかごまたはつり合い重りからデータ信号を受信するために前記複数の第2のワイヤレスデータトランシーバを制御するように構成されているコントローラに接続されている。
【0031】
1つの実施形態では、巻上ケーブルは、つり合い重りとエレベータかごの間でもデータ信号を伝送するようになっている。
【0032】
1つの実施形態では、エレベータシステムは、第3の端でエレベータかごに機械的におよび電気的に接続され、第4の端でつり合い重りに機械的におよび電気的に接続されているカーボンナノチューブ補助ケーブルを含む。
【0033】
本開示の補助ケーブルでは、第3の端は、第4の端の反対側にある。
【0034】
この実施形態によれば、エレベータかごへの全体的な電力供給の余剰があり、および/または、2つのラインの間で全体的な電力供給エネルギーを分割する余剰がある。
【0035】
本明細書、およびそれに続く特許請求の範囲の目的のために、他の仕方で示す場合を除いて、量、パーセンテージ等を表現するすべての数は、すべての例で語「約」によって修飾されるものと理解すべきである。また、すべての範囲は、開示されている最大点と最小点の任意の組み合わせを含み、任意の中間範囲を含み、本願で特定的に読まれても、読まれなくてもよい。
【0036】
また、語「1つの」(“a”および“an” )が、本開示の要素または構成要素を記載するために使用されている。これは、単に便宜のために、また、本開示の一般的な意味を与えるためになされている。この記載は、1つまたは少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、単数は、その他を意味することが自明でなければ、複数をも含む。
【0037】
さらに別の特徴は、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本開示の第1の実施形態によるエレベータシステムの概略図である。
図2】本開示の第2の実施形態によるエレベータシステムの概略図である。
図3a】本開示によるエレベータシステムに含まれる巻上ケーブルの概略断面図である。
図3b】本開示によるエレベータシステムに含まれる巻上ケーブルの概略断面図である。
図4a】本開示によるエレベータシステムのための例示的な再充電器システムの概略図である。
図4b】本開示によるエレベータシステムのための例示的な再充電器システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本開示によるエレベータシステム100が、図1または図2に示されている。
【0040】
エレベータシステム100は、エレベータ昇降路101内に設置されるのに適しており、エレベータかご110、つり合い重り120、および、エレベータかご110をつり合い重り120に連結する巻上ケーブル130を含む。特に、巻上ケーブル130は、エレベータ昇降路101の頂部に通常配置されているシーブまたはシーブシステム140上を通過する。シーブまたはシーブシステム140は、巻上ケーブル130によってエレベータかご110を上下に移動させるために、シーブまたはシーブシステム140を作動させるモータ150に作動的に連結されている。
【0041】
モータ150は、例えば、エレベータかご110のためのコールボタンを押すことにより、使用者によって発生される指令信号にしたがってモータ150を作動させるように構成されているコントローラ160に作動的に接続されている。
【0042】
エレベータかご110は、例えば、1つまたはそれ以上の照明装置、1つまたはそれ以上のディスプレイ、インターフォン、空調システム、換気システム等のような、1つまたはそれ以上の電化サービス装置を含む。
【0043】
電源170が、つり合い重り120内に収容されている。特に、電源170は、エレベータかご110の1つまたはそれ以上の電化サービス装置のために電力を供給するのに適している。例えば、電源170は、1kW、3kW、または、8kWの量の電力を供給するのに適している。
【0044】
巻上ケーブル130は、巻上ケーブル130の機械的および電気的コネクタ(図示せず)がエレベータかご110およびつり合い重り120の頂部に位置決めされているので、つり合い重り120内の電源170からエレベータかご110の1つまたはそれ以上の電化サービス装置に電力を提供し、同時に、移動および静止構成の両方でエレベータかご110およびつり合い重り120を支持するように、第1の端111でエレベータかご110に機械的におよび電気的に接続され、第2の端121でつり合い重り120に機械的におよび電気的に接続されている。
【0045】
図2の実施形態では、エレベータシステム100は、カーボンナノチューブヤーンを含む補助ケーブル200をさらに含む。この補助ケーブル200は、第3の端112でエレベータかご110に機械的におよび電気的に接続され、第4の端122でつり合い重り120に機械的におよび電気的に接続されている。
【0046】
この実施形態によれば、エレベータかごへの全体的な電力供給の余剰があり、および/または、2つのラインの間で全体的な電力供給エネルギーを分割する余剰がある。
【0047】
本開示の1つの実施形態では、つり合い重り120の電源170は、再充電可能な電池を含む。
【0048】
図4aおよび図4bからわかるように、本開示のエレベータシステムは、エレベータ昇降路壁に/内に連携され、且つ、つり合い重り120内の電源170(例えば、電池)に作動的に接触している固定電源410a、410bを含む再充電器システムを含むのがよい。例えば、接点は、電磁誘導型のもの、或いは、直接接触電気型のものであってよい。
【0049】
図4aの実施形態では、固定電源410aは、電源ケーブルであり、電源ケーブル410aは、エレベータかご110の移動中ケーブル410aと電池170の間の電気的接触を確立するホイールまたはシュー420を備えているつり合い重り120の走行に対応してエレベータ昇降路壁101aに沿って鉛直方向に延びている。
【0050】
図4bの実施形態では、固定電源410bは、AC電力供給-再充電器であり、AC電力供給-再充電器410は、エレベータかごの1つまたはそれ以上の停止部でつり合い重り120の電池170の位置と対応してエレベータ昇降路壁101aにまたは内に連携している。エレベータかご110が停止すると、AC電力供給-再充電器410bは、電源170と誘導性接点を確立し、電磁誘導によって電池170を再充電する。
【0051】
1つの実施形態では、エレベータかご110、および/または、つり合い重り120は、それぞれの第1のワイヤレスデータトランシーバ180を備えている。
【0052】
この場合では、複数の第2のワイヤレスデータトランシーバ180が、エレベータ昇降路の側面に固定されており、複数の第2のワイヤレスデータトランシーバ180は、互いに、且つ、コントローラに接続されており、コントローラは、エレベータかご110またはつり合い重り120にデータ信号を伝送し、または、エレベータかご110またはつり合い重り120からデータ信号を受信するために複数の第2のワイヤレスデータトランシーバ190を制御するように構成されている、モータ150を作動させるように構成されている同じコントローラ160であるのがよい。
【0053】
第2のワイヤレスデータトランシーバ190は、エレベータ昇降路の側面に沿って位置決めされているのがよい。
【0054】
1つの実施形態では、巻上ケーブル130は、つり合い重り120とエレベータかご110の間でデータ信号を伝送するようになっている。第1のワイヤレスデータトランシーバ180は、つり合い重り120とだけ連携しているのがよく、データは、コントローラ160から無線接続を通してつり合い重り120に伝送されることができ、次いで、つり合い重り120から、巻上ケーブル130によって代表されるケーブル接続を通してエレベータかご110に伝送されることができる。
【0055】
図2の実施形態では、エレベータかご110は、エレベータかご110をつり合い重り120に機械的におよび電気的に接続するカーボンナノチューブヤーンを含む補助ケーブル200を含む。
【0056】
補助ケーブル200は、エレベータかごへの全体的な電力供給ための余剰ケーブルとして、および/または、巻上ケーブル130と補助ケーブル200の間でかかる全体的な電力供給を分割するための余剰ケーブルとして使用されることができる。
【0057】
補助ケーブル200の機械的および電気的コネクタが、エレベータかご110の、および、つり合い重り120の底部に位置決めされるのがよい。
【0058】
この実施形態では、エレベータシステム100は、エレベータ昇降路の底部に位置決めされた補助シーブまたはシーブステム210を含むのがよく、補助ケーブル200は、補助シーブまたはシーブステム210上を通過する。
【0059】
巻上ケーブル130は、それぞれ、図3aおよび図3bからわかるように、丸い断面、または、平らな断面を有することができる。
【0060】
図3aおよび図3bからわかるように、巻上ケーブル130は、強度部材および導電体(それぞれ、導電体、戻り導電体、および、接地導電体)として作用するのに適した3つのCNTヤーンの形態のカーボンナノチューブ(CNT)ヤーンを含む。巻上ケーブル130は、例えば、ポリエチレンまたはゴム(EPR,PCP,PSC,CPE)系材料で作られている電気遮蔽層230内に密な構成で収容されているCNT編組ヤーンで作られているのがよい。シース240が、電気遮蔽層のまわりに設けられているのがよい。
【0061】
1つの示されていない実施形態では、電気遮蔽層は、設けられておらず、CNTヤーンは、それぞれの遮蔽層によって電気的に遮蔽されている。
【0062】
CNTヤーンは、高炭素鋼の比強度よりも大きい比強度(強度対重量比)、および、およそ1g/cm3 の密度を有し、導電性である。
【0063】
ヤーンのCNTは、多層型のものであるのがよく、特に、少層型のものであってもよい。
【0064】
多層型のCNTヤーンは、複数の層を含む。少層型の特定の場合には、CNTは、約3~5の層を含む。
【0065】
1つの実施形態では、本巻上ケーブルのヤーンの各CNTは、2~20nmの径(単一CNT径)、および、数ミクロンから10mmまでの数百ミクロンまでの長さを有する。
【0066】
本開示によるエレベータシステムの例は、以下のとおりである。10人までの人間を輸送するのに適したエレベータかご、および、関連したつり合い重りは、2500kgの移動質量となる。かかる移動質量は、図3aまたは図3bの1つと同様な巻上ケーブルによって支持されることができ、この巻上ケーブルでは、3つのヤーンの束(本例では、CNTは、NanocompによりMiralon(登録商標)として市販されている製品である)は、168mm2 の総断面積 を有する。スチール巻上ケーブルを使用する場合には、3つのスチールロープの総断面積は、150mm2 となるであろう。
【0067】
168mm2 の総断面面を有する本例の巻上ケーブルは、つり合い重り内に位置決めされた(LG Chem RESU 400Vのような)400V電池から6kWをエレベータかごに運ぶのに適している。
【符号の説明】
【0068】
100 エレベータシステム
101 エレベータ昇降路
110 エレベータかご
111 第1の端
112 第3の端
120 つり合い重り
121 第2の端
122 第4の端
130 巻上ケーブル
140 シーブまたはシーブシステム
150 モータ
170 つり合い重り内の電源
160 コントローラ
180 第1のワイヤレスデータトランシーバ
190 第2のワイヤレスデータトランシーバ
200 補助ケーブル
210 補助シーブまたはシーブシステム
220 カーボンナノチューブ(CNT)ヤーン
230 電気遮蔽層
240 シース
410a 固定電源
410b 固定電源
420 ホイールまたはシュー
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b