(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】充填製品充填設備内において充填されるべき容器に充填製品を充填するための充填デバイス
(51)【国際特許分類】
B67C 3/22 20060101AFI20230106BHJP
B67C 3/00 20060101ALI20230106BHJP
【FI】
B67C3/22
B67C3/00 A
(21)【出願番号】P 2019528896
(86)(22)【出願日】2017-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2017082197
(87)【国際公開番号】W WO2018104551
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-10-16
(31)【優先権主張番号】102016123965.8
(32)【優先日】2016-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508120916
【氏名又は名称】クロネス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】バウムゲルトナー セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ゼルナー ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ニタル トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シャファクゼック ベルント
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-025489(JP,A)
【文献】特開2004-001850(JP,A)
【文献】特開2014-040274(JP,A)
【文献】特開平09-095302(JP,A)
【文献】特開平11-278406(JP,A)
【文献】特開2005-327901(JP,A)
【文献】米国特許第03517688(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67C 3/22
B67C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填製品充填設備内において充填されるべき容器に充填製品を充填するための、充填されるべき前記容器内に前記充填製品を分与するための少なくとも1つの充填バルブ(2)をはじめ、前記少なくとも1つの充填バルブ(2)の少なくとも一部を滅菌するための滅菌デバイスを包含する充填デバイス(1)であって、
前記充填バルブ(2)の温度を非接触で測定するための非接触式温度センサ(7)を備えており、
クリーン・ルーム(8)が提供され、かつ前記充填バルブ(2)の少なくとも1つの充填製品吐出口(26)が前記クリーン・ルーム(8)内に配置され、前記少なくとも1つの非接触式温度センサ(7)が、前記クリーン・ルーム(8)内の前記充填バルブ(2)の前記温度を測定することが可能であるように、前記クリーン・ルーム(8)の外側に配置されることを特徴とする、充填デバイス(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの非接触式温度センサ(7)は、パイロメータおよび/または赤外線カメラの形式で設計されることを特徴とする、請求項1に記載の充填デバイス(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの充填バルブ(2)は、移送デバイス上に
配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の充填デバイス(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの充填バルブ(2)は、回転カルーセル(4)上に配置されることを特徴とする、請求項3に記載の充填デバイス(1)。
【請求項5】
前記充填バルブ(2)より少ない非接触式温度センサ(7)が提供され、
前記充填バルブ(2)は、前記非接触式温度センサ(7)と相対的に変位可能であ
ることを特徴とする、請求項1から
4のいずれか一項に記載の充填デバイス(1)。
【請求項6】
すべての前記充填バルブ(2)の温度を非接触で測定するために単一の非接触式温度センサ(7)が提供される、請求項5に記載の充填デバイス(1)。
【請求項7】
前記充填バルブ(2)の前記温度は、前記少なくとも1つの充填バルブ(2)が移動して前記少なくとも1つの非接触式温度センサ(7)を通過するときに測定されることが可能であることを特徴とする、請求項5または6に記載の充填デバイス(1)。
【請求項8】
複数の充填バルブ(2)が提供され、
かつ別々の非接触式温度センサ(7)が各充填バルブ(2)に割り当てられることを特徴とする、請求項1から
7のいずれか一項に記載の充填デバイス(1)。
【請求項9】
前記複数の充填バルブ(2)が、移送デバイス上に配置される、請求項8に記載の充填デバイス(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの非接触式温度センサ(7)が接続される、前記少なくとも1つの非接触式温度センサ(7)によって測定された前記少なくとも1つの充填バルブ(2)の
温度値を使用して前記少なくとも1つの充填バルブ(2)の
処理をコントロールし、かつ/または調整する、処理プロセスのためのコントロールおよび/または調整ユニットを特徴とする、請求項1から
9のいずれか一項に記載の充填デバイス(1)。
【請求項11】
充填製品充填設備内の少なくとも1つの充填バルブ(2)の少なくとも一部を滅菌するための、前記少なくとも1つの充填バルブ(2)に滅菌媒体を衝突させることを包含する方法であって、
前記少なくとも1つの充填バルブ(2)の温度が非接触で測定され、
クリーン・ルーム(8)が提供され、かつ前記充填バルブ(2)の少なくとも1つの充填製品吐出口(26)が前記クリーン・ルーム(8)内に配置され、かつ前記少なくとも1つの充填バルブ(2)の前記温度が、前記クリーン・ルーム(8)の外側において測定されることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの充填バルブ(2)の前記滅菌が、前記少なくとも1つの充填バルブ(2)の前記非接触測定された温度値を使用してコントロールされるか、かつ/または調整されることを特徴とする、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの充填バルブ(2)が、前記滅菌プロセスの間に、前記非接触測定された前記充填バルブ(2)の温度値が指定された温度値より下に低下するときに開かれることを特徴とする、請求項
11または
12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填製品充填設備内において充填されるべき容器に充填製品を充填するための充填デバイス、および充填デバイスを処理するため、好ましくは充填デバイスを洗浄および/または滅菌するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
充填されるべき容器に充填製品を充填するための充填デバイス、およびその種の充填デバイスを処理するため、特に、洗浄および/または滅菌するための方法は、現在の技術水準から周知である。
【0003】
充填製品充填設備内において、容器または缶に飲料を充填することは周知である。この目的のために、充填されるべき各容器の口と整列される充填製品吐出口を介して充填製品リザーバから充填製品を容器に充填するべく働き、それによって容器が充填されるべき充填製品の体積をコントロールするべく働く、充填エレメントが提供される。容器内に正しい量の充填製品を分与するために、充填デバイスは、通常、アクチュエータを介してコントロールすることが可能な充填バルブを少なくとも1つ包含する。あらかじめ決定済みの量の充填製品が容器内に流入することを可能にするために、アクチュエータによって、充填バルブを特定の時点において開き、かつ別の時点において閉じることが可能である。充填バルブは、一般に、充填デバイスの移送デバイス上に配置され、概してそれは、連続的な充填動作を可能にするために、回転カルーセルの形式で設計される。
【0004】
周知の充填デバイスを洗浄および滅菌するための多様な方法が知られている。たとえば、CIP(cleaning-in-place:クリーニング-イン-プレース)洗浄方法は、特に有利であることが証明された。この方法は、洗浄のために充填バルブを取り外すことを必要としない。それに代えて、それらが据え付けられたまま、洗浄媒体または滅菌媒体を用いて洗い流し、または蒸気を当てる。これに関して言えば、たとえば、過熱蒸気を用いて熱的に充填デバイスを滅菌すること、特に、充填製品との接触に至る表面をこの態様で滅菌することが周知である。この目的のために、充填バルブに過熱蒸気を衝突させ、またこの態様において、滅菌温度まで引き上げて維持する。指定された滅菌効果を達成するために、たとえば、特許文献1または特許文献2から知られるとおり、あらかじめ決定済みの期間にわたり、結果として得られる充填バルブの温度が維持され、かつ監視される。
【0005】
この滅菌方法は、SIP(sterilization-in-place:ステアリゼーション-イン-プレース)としても知られる。
【0006】
圧力を維持する間の蒸気の消費を減ずるため、凝縮液を排出させるため、および蒸気のスループットの検出を向上させるため、小孔を伴うカバーが、加熱滅菌の間にわたって充填バルブの吐出口の正面にピボットされ、吐出口とシール接続される。その後、蒸気のジェットがカバーの小孔を通って排出され、その動圧が、カバーの下に配置された圧力センサによって検出される。温度は、飽和蒸気の上流の圧力および蒸気のスループットまたは充填バルブ内の蒸気圧力を測定し、そこから各充填バルブについての差圧を決定することによって間接的に決定される。回転デバイスにおいては、圧力センサが、通常、カバーのレベルより下方の静的な位置に据え付けられる。この場合においては、該当するバルブが圧力センサと交差するときにカバーから出てくる蒸気のジェットの圧力が測定される。
【0007】
カバー、カバーのためのリフティングおよびピボッティング・デバイス、または圧力センサ等の追加のデバイスおよび構成要素の提供は、特に、衛生目的のために、充填製品の充填が、自然環境に対して低い微生物学的汚染および/または超過圧力があり、その結果、自然環境より無菌の程度が高い充填室またはクリーン・ルーム内の充填デバイスにおいて行われる場合に衛生上の不都合を有する。この衛生上の不都合は、クリーン・ルーム内において据え付けられる追加の構成要素を洗浄する必要性の増加からもたらされる。
【0008】
現在の技術水準に従った温度を監視する追加の方法は、通常は充填バルブ内に組み込まれるか、またはカバー上に配置される熱電対を用いたそれぞれの個別の充填バルブの監視である。しかしながらこれは、各充填バルブまたはカバーのために別々の熱電対を、相応じた入念な配線とともに必要とし、回転マシンの場合には、それが回転部品内に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】独国特許出願公開第10 2010 031 873号明細書
【文献】独国特許出願公開第10 2013 113 621号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
周知の現在の技術水準から発して、本発明は、充填製品充填設備内において充填されるべき容器に充填製品を充填するための進歩した充填デバイスおよび充填デバイスを処理するための進歩した方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、充填製品充填設備内において充填されるべき容器に充填製品を充填するための請求項1の特徴を伴う充填デバイスによって達成される。有利な、さらなる発展は、従属請求項、この明細書、および図面から浮かび上がってくる。
【0012】
したがって、充填されるべき容器内に充填製品を分与するための少なくとも1つの充填バルブをはじめ、当該少なくとも1つの充填バルブの少なくとも一部を滅菌するための滅菌デバイスを包含する、充填製品充填設備内において充填されるべき容器に充填製品を充填するための充填デバイスが提案される。本発明によれば、非接触式温度センサが、充填バルブの温度の非接触測定のために提供される。
【0013】
非接触式温度センサが充填バルブの温度の非接触測定のために提供されるという事実に起因して、現在の技術水準において必要とされているようなカバーをなしで済ませることが可能になる。その結果、充填デバイスが相当に、よりシンプルかつよりコンパクトな設計を有することが可能になる。それに加えて、これによって、より少ない構成要素を洗浄すれば足りることから、洗浄の費用を減ずることが可能になり、特に互いに相対的に移動する部品を、それらのシールとともに洗浄する必要性がもはやなくなる。これは、特に、カバーおよびそれの変位デバイスに当て嵌まる。
【0014】
充填バルブの温度の監視、特に、滅菌プロセスの間におけるそれによって、少なくとも充填バルブに、完全な滅菌を達成するために、あらかじめ決定済みの時間期間にわたって指定された温度を衝突させることが確保可能になる。
【0015】
それに加えて、非接触温度測定によって、接触式センサによる充填バルブの、したがって、充填デバイス内に充填製品を運ぶチャンネルの汚染を回避することが可能になる。したがって、デバイスが全体として、よりコンパクトかつ衛生的により有利な設計を有することが可能になる。
【0016】
滅菌デバイスは、好ましくは、滅菌のために過熱蒸気を使用する。しかしながら、滅菌されるべき表面を指定された温度にあらかじめ決定済みの時間期間にわたって維持することが必要とされる任意のほかの周知の滅菌方法を使用することも企図できる。非接触温度測定を、これらの滅菌プロセスとともに好都合に採用することも可能である。
【0017】
温度の非接触測定は、充填バルブの温度の直接測定および監視が非接触で可能になるように、好ましくは充填バルブの外面に対し、好ましくは充填バルブのバルブ・シートのエリア内において実行することが可能である。過熱蒸気が、たとえば、充填製品との接触に至るチャンネルを通過し、かつ温度が充填バルブにおいて測定されるとき、充填バルブの上流にあるチャンネルもまた、充填バルブと少なくとも同じ高さの温度を当然に有すると仮定することが可能である。充填バルブにおける温度の測定によって、したがって、充填製品との接触に至るすべてのチャンネルの滅菌を記録し、保証することが可能である。
【0018】
またこれは、接触によって測定するセンサとは異なり、非接触式センサは、測定されるべき表面からのセンサの取り外しの対象とならず、またはセンサ自体の損耗もしくは変形を受けないことからプロセスの信頼性の向上を可能にする。
【0019】
非接触式温度センサは、好ましくは、少なくとも1つの充填バルブの外面または外表面に向けて指向される。非接触式温度センサは、好ましくは、バルブ・シートのエリア内において充填バルブの温度を測定する。この方法においては、充填バルブの温度が、シンプルかつ正確に測定可能である。
【0020】
滅菌のための処理媒体は、好ましくは蒸気を、特に好ましくは過熱蒸気を包含することが可能である。それに代えて、かつ/またはそれに加えて、処理媒体は、過酸化水素または過酢酸を、好ましくはアルコールと、特に好ましくはエタノールと組み合わせて包含することも可能である。
【0021】
少なくとも1つの充填バルブの温度の特に正確かつ信頼性のある測定を可能にするために、さらに好ましい実施態様においては、少なくとも1つの非接触式温度センサが、パイロメータおよび/または赤外線カメラの形式で設計される。特に、非接触式温度センサが赤外線カメラとして設計される場合には、それにより複数の充填バルブの温度を同時に測定することが可能であり、その結果、より一層シンプルな充填デバイスの設計および、より一層高いプロセスの信頼性が達成される。好適な評価ソフトウエアによって、各充填バルブの温度を個別に測定することが可能である。
【0022】
さらに好ましい実施態様においては、クリーン・ルームが提供され、充填バルブの少なくとも1つの充填製品吐出口がクリーン・ルーム内に配置され、少なくとも1つの非接触式温度センサが、クリーン・ルーム内の充填バルブの温度の測定が可能となるように、クリーン・ルームの外に配置される。
【0023】
これにより、非接触式温度センサが、第一に容易にアクセス可能になる。言い換えると、操作またはメンテナンス・スタッフが、たとえば、温度センサにアクセスするためにクリーン・ルーム内に入る必要がなくなる。したがって、クリーン・ルームが手つかずのまま残存することが可能である。したがって、充填製品の充填が衛生的な状態の中で行われるという事実にもかかわらず、温度センサのメンテナンスが特にシンプルになる。第二には、クリーン・ルームの内部における微生物学的汚染が発現するリスクが減じられ、洗浄の費用も抑えられる。バルブ・シートの温度の測定のためのセンサ・システムが、クリーン・ルームの外に配置されることから、充填製品の飛散によるセンサ・システムの汚染がさらに防止される。その種の汚染は、防止されなければ、温度センサからの測定結果における障害を招く可能性がある。
【0024】
特に効率的な充填製品の充填を可能にするためには、少なくとも1つの充填バルブを移送デバイス上に、好ましくは回転カルーセル上に配置することが可能である。
【0025】
さらに好ましい実施態様においては、充填バルブより少ない非接触式温度センサが提供され、好ましくは、すべての充填バルブの温度を非接触測定するために、単一の非接触式温度センサが提供され、充填バルブは、非接触式温度センサと相対的に変位可能であり、好ましくは充填バルブの温度を、少なくとも1つの充填バルブが移動して少なくとも1つの非接触式温度センサを通過するときに測定することが可能である。
【0026】
充填バルブより少ない非接触式温度センサが提供されるという事実に起因して、温度測定の費用を減ずることが可能になる。特にこれは、充填デバイス全体のために単一の温度センサだけが使用されるとき、明白になる。それにもかかわらず、充填バルブが移動して温度センサを通過することから、すべての充填バルブの温度の信頼性のある測定を実行することが可能である。
【0027】
この場合においては、測定された温度値を処理するためのデバイスと、好ましくはコントロールおよび/または調整ユニットと特に容易な接続も可能になり、特に、回転構成要素から静止構成要素へ該当する信号を転送する必要がなくなるように、好ましくは非接触式温度センサが固定位置に配置される。さらにまた、特に回転設計を伴う充填デバイスの場合においては、回転カルーセル上に配置される複数の充填デバイスを監視することが可能である。個別の充填バルブの温度は、各充填バルブが移動して温度センサを通過するとき、すなわち、それの測定ゾーンを通って移動するときに測定することが可能である。その場合に充填デバイスは、特にシンプルな設計を有することが可能である。それに加えて、1つのセンサだけの提供が必要とされ、それによって複数の充填バルブの温度が監視可能となることから、充填デバイスの複雑性および障害の受けやすさの両方が減じられる。
【0028】
さらに好ましい実施態様においては、複数の充填バルブが提供され、複数の充填バルブが、好ましくは移送デバイス上に配置され、別々の非接触式温度センサが各充填バルブに割り当てられる。これにより、各充填バルブの温度を特に正確に測定することが可能になる。それに加えて、これは、永続的な測定を、したがって充填バルブの温度の永続的な監視を可能にし、その結果、特に信頼性のある態様で洗浄および/または滅菌手順を行うことが可能になる。またこれによって、それぞれの個別の充填バルブの温度が随時測定可能であることが保証され、したがって、処理プロセスの特に正確な監視およびコントロールおよび/または調整を達成することが可能になる。
【0029】
複数の充填バルブが提供される場合には、特に効率的な充填製品の充填が達成可能であり、複数の充填バルブが、好ましくは移送デバイス上に配置される。これにより、充填されるべき複数の容器が、複数の充填バルブによって実質的に同時に充填されることが可能になる。
【0030】
さらに好ましい実施態様においては、少なくとも1つの非接触式温度センサが接続される処理プロセスのためのコントロールおよび/または調整ユニットが提供され、それが、少なくとも1つの充填バルブの処理を、少なくとも1つの非接触式温度センサによって測定される、その少なくとも1つの充填バルブにおける温度値を使用してコントロールし、かつ/または調整する。これにより、供給が必要な蒸気の量を、温度に応じて正確に調整することが可能になり、またそれによって過剰な蒸気の消費が回避可能になることから、特に効率的であり、かつ資源を節約する滅菌を達成することが可能である。
【0031】
好ましいさらなる実施態様におけるように、処理プロセスの間に、非接触式温度センサによって測定されるところの充填バルブの温度値が、指定された温度値より下に低下したときに少なくとも1つの充填バルブが開かれるようにコントロールおよび/または調整ユニットが構成される場合には、処理媒体の節約もまた可能になる。またその場合には、温度の低下に起因して生じることのある凝縮液を、好ましくはそれを吹き飛ばすことによって排出することも可能である。それに加えて、充填バルブの吐出口および充填バルブのベース部品の内表面を含む充填バルブの内部を、当該充填バルブの吐出口に配置可能な任意のセンタリング・ベルとともに、処理媒体を用いて洗い流すか、またはそこに、充填バルブの温度が再び上昇して指定された温度値を超えるための充分な長さにわたって、かつ/または凝縮液が排出されるための充分な長さにわたって蒸気を衝突させることが可能である。
【0032】
特に好ましくは、充填バルブの開および閉が交番する。充填バルブは、測定された温度値に応じて開かれるか、または閉じられる。言い換えると、充填バルブは、温度依存の間隔で切り替えられる。したがって、処理媒体は、そのバルブを加熱するため、および/または凝縮液を排出するために必要とされるときにだけ、開かれた充填バルブを介して排出される。
【0033】
上で述べた目的は、さらに、充填製品充填設備内の少なくとも1つの充填デバイスの少なくとも一部を滅菌するため請求項8の特徴を用いる方法によって達成される。この方法の有利な、さらなる発展は、従属請求項、この明細書、および図面から浮かび上がってくる。
【0034】
したがって、少なくとも1つの充填バルブに滅菌媒体を衝突させることを包含する、充填製品充填設備内の少なくとも1つの充填バルブの少なくとも一部を滅菌するための方法が提案される。本発明によれば、少なくとも1つの充填バルブの温度が、非接触測定される。
【0035】
少なくとも1つの充填バルブの温度が非接触測定されるという事実に起因して、すでに充填デバイスに関連して述べた利点を達成することが可能である。
【0036】
さらに好ましい実施態様においては、クリーン・ルームが提供され、充填バルブの少なくとも1つの充填製品吐出口がクリーン・ルーム内に配置され、少なくとも1つの充填バルブの温度がクリーン・ルームの外側で測定される。
【0037】
この態様においては、設備および方法の衛生学的に有利な設計を達成することが可能である。
【0038】
少なくとも1つの充填バルブの滅菌が、その少なくとも1つの充填バルブの非接触測定された温度値を使用してコントロールされるか、かつ/または調整される場合には、さらに好都合となり得る。
【0039】
それによって、滅菌媒体、特に過熱蒸気を、特定の時点において必要とされる量だけ使用することが可能であることから、運用コストを減ずることも可能な滅菌プロセスの効率的かつ信頼性のある実行を達成することが可能である。
【0040】
好ましいさらなる発展においては、少なくとも1つの充填バルブが、滅菌プロセスの間に、非接触測定された充填バルブの温度値が指定された温度値より下に低下するときに開かれる。
【0041】
これによって処理媒体を節約することが可能である。それに加えて、温度の低下に起因して生じることのある凝縮液が排出され、また、充填バルブの吐出口および充填バルブのベース部品の内面を含む充填バルブの内部を、当該充填バルブの吐出口に配置可能な任意のセンタリング・ベルとともに、処理媒体を用いて洗い流すか、またはそこに、充填バルブの温度が再び上昇して指定された温度値を超えるための充分な長さにわたって、または凝縮液が排出されるための充分な長さにわたって蒸気を衝突させることが可能である。好ましくは、充填バルブの開閉が、温度依存の間隔において反復的に交番される。言い換えると、充填バルブは、測定された温度値が指定温度値より下に低下したときに開かれ、温度値が再び指定温度値より上に上昇したときに再び閉じられる。したがって、処理媒体は、そのバルブを加熱するため、および/または凝縮液を排出するために必要とされるときにだけ、開かれた充填バルブを介して排出される。
【0042】
それに代えて、コントロールおよび/または調整を単純化するため、温度が指定値より下にあるときに、単純に、あらかじめ決定済みの時間期間にわたって充填バルブを開くことが可能である。
【0043】
本発明の好ましいさらなる実施態様を、以下の図面の説明によってより完全に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】充填製品充填設備内において充填されるべき容器に充填製品を充填するための充填デバイスの図式的な断面図である。
【
図2】代替実施態様における、充填されるべき容器に充填製品を充填するための充填デバイスの充填バルブの図式的な詳細断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図を補助として、次に、好ましい実施態様の例を説明する。これらの図においては、まったく等しいかまたは類似の、またはまったく等しい効果を有する要素が、まったく等しい参照記号を伴って指定される。冗長性を回避するため、これらの要素の説明の繰り返しは、部分的に省略されている。
【0046】
図1は、充填製品充填設備内において充填されるべき容器に充填製品を充填するための充填デバイス1の図式的な断面図を示している。充填デバイス1は、回転デバイスとして設計され、回転カルーセル4および、回転カルーセル4に対して相対的に静止している静止部9を有する。
【0047】
コントロールされた雰囲気中において容器への充填製品の充填が行われるクリーン・ルーム8もまた提供される。クリーン・ルーム8は、回転カルーセル4の上に形成されるクリーン・ルーム・カバー80によって、およびクリーン・ルーム壁(図中には示されてない)によって取り囲まれるか、または形成される。
【0048】
充填製品充填設備内における回転カルーセル4上の充填容器の連続流を生み出すために、複数の充填バルブ2が回転カルーセル4の周囲に配置される。
【0049】
充填バルブ2は、それらの充填製品吐出口26および充填バルブ・ベース部品6だけがクリーン・ルーム8内に出るように、クリーン・ルーム・カバー80を通過する。充填バルブ・ベース部品6を、押し付け時に容器が充填される場合には、これに代えてセンタリング・ベルとして設計することが可能である。
【0050】
充填されるべき容器を収容する複数の容器受け器5が充填バルブ2の下方に配置されており、各充填バルブ2に1つの容器受け器5が割り当てられる。各充填バルブ2は、製品供給ライン3を介して媒体分配器と接続される。その媒体分配器(ここには示されてない)を介して、製品リザーバから充填製品が供給され、滅菌デバイスから過熱蒸気の形式で処理媒体が供給される。
【0051】
各充填バルブ2は、充填製品吐出口26の上方のバルブ内部28内にバルブ・コーン22を有し、バルブ・コーン22は、充填バルブ2の縦軸の方向において変位可能であり、かつ充填バルブ2を閉じるために、シール態様でバルブ・シート20内に降りることが可能である。充填バルブ2を開くときは、バルブ・シート20の上にバルブ・コーン22が持ち上げられ、その結果、バルブ・コーン22とバルブ・シート20の間に環状のギャップが形成され、それを通って充填製品または処理媒体が充填製品吐出口26に到達し、そこから排出されることが可能になる。
【0052】
静止部9上には、移動してそこを通過する充填バルブ2の温度を非接触態様で決定することが可能な温度センサ7が配置されている。非接触式温度センサ7は、充填デバイス1上の固定された位置に提供される。それが、バルブ・コーン20の領域内において充填バルブ2の外面24上の充填バルブ2の温度を測定するように位置決めされている。
【0053】
非接触式温度センサ7は、それぞれの場合において、複数の充填バルブ2が移動してそのうちの1つが非接触式温度センサ7を通過するときに、それの温度を決定することが可能となるように構成される。言い換えると、非接触式温度センサ7は、個別の充填バルブ2の温度を見分けることが可能である。それによって非接触式温度センサ7は、回転カルーセル4が回転するときに移動してそこを通過する充填バルブ2のそれぞれの個別の温度を、連続して測定することが可能である。
【0054】
非接触式温度センサ7は、さらに、コントロールおよび/または調整ユニット(図中には示されてない)に接続され、それによって充填バルブ2の処理、たとえば滅菌をコントロールおよび/または調整することが可能であり、またそれによって充填バルブ2の温度を監視することが可能である。
【0055】
非接触式温度センサ7は、たとえば、赤外線カメラとして設計される。それに代えて、それをパイロメータとして、または異なるタイプの非接触式温度センサの形式で設計することは可能である。
【0056】
充填バルブ2の洗浄または加熱滅菌を行う目的のために、製品供給ライン3を介して充填バルブ2に蒸気が供給される。バルブ・コーン22とバルブ・シート20の接触表面の適切な衝突を達成するために、充填バルブ2が、当初、好ましくは開位置に保持される。滅菌蒸気の消費を可能な限り低く維持するために、滅菌蒸気が主としてバルブ内部28内に存在するように、その後に続いて充填バルブ2が、部分的に、または完全に閉じられる。それに代えて、滅菌媒体の確定された体積流を達成するために、充填製品吐出口26の正面にカバーまたは無菌キャップを配置することが可能である。
【0057】
非接触測定された特定の充填バルブ2の温度値が指定温度値より下に低下した場合には、温度における低下に起因して生じた可能性のある凝縮液がバルブ内部28から排出され、かつ新鮮な過熱蒸気が供給されて充填バルブ2を加熱するように、該当する充填バルブ2が開かれる。
【0058】
充填バルブ2の開閉を交番させることが特に好都合であることが実証済みであり、充填バルブ2が切り替えられる間隔が、測定された温度値に基づき、したがって、温度依存である。このように、処理媒体は、充填バルブ2を加熱するため、および/または凝縮液を排出するために必要とされるときにだけ、開かれている充填バルブを介して排出される。この態様において、処理媒体の消費を減ずることが可能である。
【0059】
図2は、代替実施態様における充填されるべき容器に充填製品を充填するための充填デバイス1の充填バルブ2の詳細断面図を図式的に示している。ここに示されている充填デバイス1は、
図1に示されているものに実質的に対応する。しかしながら、
図1に示されている充填デバイス1とは対照的に、
図2に示されている実施態様においては、非接触式温度センサ7が、複数の充填バルブ2のそれぞれの上に配置される。温度センサ7は、したがって、回転部品の上、すなわち回転カルーセル4の上に提供される。
【0060】
この実施態様においては、非接触式温度センサ7が、パイロメータとして設計される。それに代えて、ほかのタイプの非接触式温度センサを使用することも可能である。
【0061】
充填バルブ2は、非接触式温度センサ7が、充填バルブ2の外面24上において、バルブ・シート20のエリア内の充填バルブ2の温度を測定するように設計されている。パイロメータの測定ビームを、参照記号70によって示す。
【0062】
適用可能である限り、個別の例の実施態様内に記述されているすべての個別の特徴は、互いに組み合わせること、および/または交換することが、本発明の範囲からの逸脱を伴うことなしに可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 充填されるべき容器に充填製品を充填するための充填デバイス
2 充填バルブ
20 バルブ・シート
22 バルブ・コーン
24 外面
26 充填製品吐出口
28 バルブ内部
3 製品供給ライン
4 回転カルーセル
5 容器受け器
6 充填バルブ・ベース部品
7 非接触式温度センサ
70 測定ビーム
8 クリーン・ルーム
80 クリーン・ルーム・カバー
9 静止部