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特許7204658単層フィルム及びそれを用いた耐熱粘着テープ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】単層フィルム及びそれを用いた耐熱粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20230106BHJP
   C09J 7/22 20180101ALI20230106BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20230106BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20230106BHJP
   C09J 183/04 20060101ALI20230106BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230106BHJP
【FI】
C08J5/18 CEZ
C09J7/22
C09J7/38
C09J133/00
C09J183/04
B32B27/00 M
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019549335
(86)(22)【出願日】2018-10-18
(86)【国際出願番号】 JP2018038802
(87)【国際公開番号】W WO2019078290
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-08-03
(31)【優先権主張番号】P 2017202334
(32)【優先日】2017-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤原 純平
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 貴之
【審査官】大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-061685(JP,A)
【文献】特開2010-242066(JP,A)
【文献】国際公開第2008/081953(WO,A1)
【文献】特開2007-069961(JP,A)
【文献】特開2004-004417(JP,A)
【文献】特開2006-117935(JP,A)
【文献】特表2009-521561(JP,A)
【文献】特開2004-210890(JP,A)
【文献】国際公開第2018/186355(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/235436(WO,A1)
【文献】特開2016-089056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J5/00-5/02、5/12-5/22、B32B1/00-43/00、
C09J7/00-7/50、C09J1/00-5/10、9/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス転移温度が210℃以上の熱可塑性樹脂を用いて形成された単層フィルムであって、少なくとも一方の表面の算術平均表面粗さRaが0.10μmより大きく10μm未満であり、前記熱可塑性樹脂が、ポリフェニルサルホンを含む、単層フィルム。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂が、ガラス転移温度が245℃以上の熱可塑性樹脂を15質量%以上含む、請求項1に記載の単層フィルム。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂が、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、染料、顔料、及び無機フィラーからなる群から選ばれる1以上の添加剤を含む、請求項1または2に記載の単層フィルム。
【請求項4】
250℃の環境下に1時間暴露した後の熱収縮率が15%以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の単層フィルム。
【請求項5】
250℃の環境下に1時間暴露した後の熱収縮率が5%以下である、請求項2または3に記載の単層フィルム。
【請求項6】
250℃の環境下に1時間暴露した後の加熱重量減少率が5%以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の単層フィルム。
【請求項7】
UV透過率が80%以上である、請求項1から6のいずれか一項に記載の単層フィルム。
【請求項8】
フィルムコンデンサ用、スピーカー振動板用、回路基板用、ヒーター絶縁材用、ガラス保護用、真空圧空成形用保護フィルム用、インサート成形用保護フィルム用、インモールド成形用保護フィルム用、家電製品部材用、または自動車部品部材用のフィルムである、請求項1から7のいずれか一項に記載の単層フィルム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の単層フィルムの少なくとも一方の表面にアクリル系またはシリコーン系の粘着層が積層された、耐熱粘着テープ。
【請求項10】
前記耐熱粘着テープを構成する単層フィルムの厚みが、5μm以上100μm以下であり、粘着層の厚みが、5μm以上70μm以下である、請求項9に記載の耐熱粘着テープ。
【請求項11】
単層フィルムの一方の表面に前記粘着層が積層され、単層フィルムの、該粘着層が積層されている面と反対側の面の算術平均表面粗さRaが0.10μmより大きく10μm未満である、請求項9又は10に記載の耐熱粘着テープ。
【請求項12】
マスキングテープ用である、請求項9から11のいずれか一項に記載の耐熱粘着テープ。
【請求項13】
真空蒸着工程用、または真空スパッタ工程用テープである、請求項12に記載の耐熱粘着テープ。
【請求項14】
ガラス転移温度が210℃以上の熱可塑性樹脂を含む単層フィルムと、該単層フィルムの一方の表面上に形成された粘着層とを有し、単層フィルムの、粘着層が形成された面の反対側の面に凹凸構造を有し、前記熱可塑性樹脂が、ポリフェニルサルホンを含む、耐熱粘着テープ。
【請求項15】
粘着層を介して被着体に貼付された、請求項11または14に記載の耐熱粘着テープ。
【請求項16】
ガラス転移温度が210℃以上の熱可塑性樹脂を用いて形成された単層フィルムであって、少なくとも一方の表面の算術平均表面粗さRaが0.10μmより大きく10μm未満であり、前記熱可塑性樹脂が、ポリエーテルイミド及びポリフェニルサルホンからなる群から選ばれる1以上を含む単層フィルムの製造方法であって、
ガラス転移温度が210℃以上の熱可塑性樹脂を、押出成形法によってTダイスから300℃以上400℃以下で溶融押出しし、表面温度が110℃以上230℃以下の凹凸ロールと圧着ロールとに挟持させて成型することを特徴とする、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単層フィルム及びそれを用いた耐熱粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部材は小型化、軽量化の傾向から、プラスチック製が多く使用されている。特に、フレキシブル性を要求される部位に関しては、プラスチックフィルムが多く用いられている。それに伴い、プラスチックフィルムと金属箔との積層技術、プラスチックフィルムへの蒸着技術やスパッタリング技術といった複合化技術も盛んに行われている。また、はんだを使用してプラスチックフィルム基板上に電子部品を固定する場合もある。
【0003】
複合化の際や、はんだリフロー工程の際には、一般的にプラスチックフィルムに対して、高い熱が付与される。近年の高性能化のニーズに伴い、プラスチックフィルムに求められる耐熱性はますます厳しくなっている。プラスチックフィルムに対して求められる具体的な耐熱性能は、熱によってプラスチックフィルムに寸法変化が生じにくいことであり、例えば金属箔を積層するような場合、熱によりプラスチックフィルムに寸法変化が生じると、積層体に反りが生じてしまうため、熱収縮率の小さいフィルムが求められている。
【0004】
前記の耐熱性を充足するプラスチックフィルムとして、ポリイミド樹脂が多く用いられている(例えば特許文献1)。しかしポリイミド樹脂は熱可塑性ではなく、そのフィルムは溶媒キャスト法によって得られる為、成形加工に困難を伴い、製品単価も高額であるだけでなく、ポリイミドフィルムに残存した溶媒が、高温環境に暴露された時にアウトガスとして発生し、電子部品を汚染する場合があった。その為、ポリイミドフィルムよりも安価でアウトガスの少なく、耐熱性を有する熱可塑性のプラスチックフィルムが求められていた。また、このようなプラスチックフィルムは例えば以下に示す耐熱粘着テープ用基材、電子部材用フィルム、家電製品部材用、または自動車部品部材用のフィルムとしても有用であることから、その重要性はますます高くなっていた。
【0005】
以下、粘着剤を積層した耐熱粘着テープ用基材について説明する。粘着テープ用基材として、紙、布帛、不織布、プラスチックフィルム等が広く用いられているが、特にプリント基板製造時のマスキングテープやその他の電子部品の固定用に用いられる耐熱粘着テープは200℃を超える温度の半田浴や焼成工程で剥離しない程度の耐熱接着性能が求められる。こうした耐熱粘着テープ用基材として、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム等の溶融押出し成型可能な熱可塑性プラスチックからなる単層フィルムが提案されている(例えば特許文献2、3)。しかしながら近年の電子部品の製造工程、特に真空蒸着工程、真空スパッタ工程では、粘着テープを貼付した状態で高温にさらされることも少なくなく、上記のフィルムでは熱収縮率が大きく耐熱性が不充分である場合もあった。
【0006】
これらの課題に対してポリエーテルサルホンを用いた耐熱性フィルムが提案されているが、フィルム成形性に課題を有していた。特許文献4には表面粗さの最大値(Rmax)が0.1μm以下のポリエーテルサルホンシートが提案されている。しかしながら、例えばシートの厚みが薄い場合、表面粗さが小さいと、表面の摩擦係数が大きくなりすぎて、シートを巻取る際に皺が入りやすくなり、所望のシートが得られない場合があった。
【0007】
また、ポリエーテルサルホン樹脂に板状のフィラーを添加することが報告されている。(例えば特許文献5,6)しかしながら、板状フィラーの添加によって透明性が著しく低下するだけでなく、流動性が悪化する為、溶融押出し成型が困難になる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2013-193413号公報
【文献】特開平01-266177号公報
【文献】特開2003-249617号公報
【文献】特開2000-233436号公報
【文献】特開2004-168962号公報
【文献】特開2005-103951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、成形性、耐熱性、UV透過性に優れ、高温雰囲気下での加熱収縮率、及び加熱重量減少率が小さい単層フィルム及びそれを用いた耐熱粘着テープを提供することを課題とする。また、電子部材用フィルム、家電製品部材用、または自動車部品部材用のフィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明は、下記より構成される。
(1)ガラス転移温度が210℃以上の熱可塑性樹脂を用いて形成された単層フィルムであって、少なくとも一方の表面の算術平均表面粗さRaが0.10μmより大きく10μm未満である、単層フィルム。
(2)前記熱可塑性樹脂が、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルホン、ポリフェニルサルホン、熱可塑性ポリイミド、及び耐熱ポリアリレートからなる群から選ばれる1以上を含む、(1)に記載の単層フィルム。
(3)前記熱可塑性樹脂が、ガラス転移温度が245℃以上の熱可塑性樹脂を15質量%以上含む、(1)または(2)に記載の単層フィルム。
(4)前記熱可塑性樹脂が、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、染料、顔料、及び無機フィラーからなる群から選ばれる1以上の添加剤を含む、(1)~(3)のいずれかに記載の単層フィルム。
(5)250℃の環境下に1時間暴露した後の熱収縮率が15%以下である、(1)~(4)のいずれかに記載の単層フィルム。
(6)250℃の環境下に1時間暴露した後の熱収縮率が5%以下である、(3)または(4)に記載の単層フィルム。
(7)250℃の環境下に1時間暴露した後の加熱重量減少率が5%以下である、(1)~(6)のいずれかに記載の単層フィルム。
(8)UV透過率が80%以上である、(1)~(7)のいずれかに記載の単層フィルム。
(9)フィルムコンデンサ用、スピーカー振動板用、回路基板用、ヒーター絶縁材用、ガラス保護用、真空圧空成形用保護フィルム用、インサート成形用保護フィルム用、インモールド成形用保護フィルム用、家電製品部材用、または自動車部品部材用のフィルムである(1)~(8)のいずれかに記載の単層フィルム。
(10)(1)~(9)のいずれかに記載の単層フィルムの少なくとも一方の表面にアクリル系、またはシリコーン系の粘着層が積層された、耐熱粘着テープ。
(11)前記耐熱粘着テープを構成する単層フィルムの厚みが、5μm以上100μm以下であり、粘着層厚みが、5μm以上70μm以下である、(10)に記載の耐熱粘着テープ。
(12)単層フィルムの一方の表面に前記粘着層が積層され、単層フィルムの、該粘着層が積層されている面と反対側の面の算術平均表面粗さRaが0.10μmより大きく10μm未満である、(10)または(11)に記載の耐熱粘着テープ。
(13)マスキングテープ用である、(10)~(12)のいずれかに記載の耐熱粘着テープ。
(14)真空蒸着工程用、または真空スパッタ工程用テープである、(13)に記載の耐熱粘着テープ。
(15)ガラス転移温度が210℃以上の熱可塑性樹脂を含む単層フィルムと、該単層フィルムの一方の表面上に形成された粘着層とを有し、単層フィルムの、粘着層が形成された面の反対側の面に凹凸構造を有する、耐熱粘着テープ。
(16)粘着層を介して被着体に貼付された、(12)または(15)に記載の耐熱粘着テープ。
(17)(1)~(9)のいずれかに記載の単層フィルムの製造方法であって、ガラス転移温度が210℃以上の熱可塑性樹脂を、押出成形法によってTダイスから300℃以上400℃以下で溶融押出しし、表面温度が110℃以上230℃以下の凹凸ロールと圧着ロールとに挟持させて成型することを特徴とする、製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、成形性、耐熱性、UV透過性に優れ、高温雰囲気下でも加熱重量減少率が小さい単層フィルム及びそれを用いた耐熱粘着テープを提供することができる。また、電子部材用フィルム、家電製品部材用、または自動車部品部材用のフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係る耐熱粘着テープの層構成の一例を示す断面図である。
【0013】
図2】一実施形態に係る耐熱粘着テープの層構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を以下の好適例により詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜変更を加えて実施することができる。本発明の第一は、成形性、UV透過性に優れ、高温雰囲気下でも加熱重量減少率が小さい、単層の耐熱フィルムである。本発明の第二は耐熱粘着テープであり、本単層フィルムに対し、粘着層が1層または2層積層されてなり、単層フィルム表面の少なくとも一方が、粘着層からなる、耐熱粘着テープである。図1図2は本発明の耐熱粘着テープの一例を示すものであり、図1の場合、単層フィルムの片面に粘着層が積層された耐熱粘着テープである。図2の場合、単層フィルムの両面に粘着層が積層された耐熱粘着テープである。本発明の第三は、耐熱粘着テープであり、ガラス転移温度が210℃以上の熱可塑性樹脂からなる単層フィルムと該単層フィルムの一方の表面上に形成された粘着層とを備え、粘着層が形成された面(単層フィルムに被着体が貼付される際に被着体が貼付される面(被着体粘着面))の反対側の面(単層フィルムの表面側の面)に凹凸構造を有する、耐熱粘着テープである。
【0015】
<単層フィルム>
単層フィルムは、ガラス転移温度が210℃以上の熱可塑性樹脂を用いて形成されたフィルムである。本明細書における熱可塑性樹脂は、単独の樹脂でもよく複数の樹脂を含む組成物であってもよい。さらに、熱可塑性樹脂は、必要に応じて他の添加剤を含むことができる。熱可塑性樹脂のガラス転移温度が210℃未満の場合、熱収縮率が大きくなる場合がある。好ましくは、単層フィルムは、ガラス転移温度が210℃以上の熱可塑性樹脂を含み、かつガラス転移温度が245℃以上の熱可塑性樹脂を、樹脂成分中少なくとも15質量%以上含む。最も好ましくは、単層フィルムは、ガラス転移温度が245℃以上である熱可塑性樹脂を主として含む。本明細書において、「主として含む」とは、樹脂成分中に50質量%以上、70質量%以上、90質量%以上、又は100質量%含むことを意味する。
【0016】
熱可塑性樹脂の主要な構成樹脂の具体例としては、ポリフェニルサルホン(PPSU、ガラス転移温度220℃)、ポリエーテルサルホン(PES、ガラス転移温度225℃)、ポリエーテルイミド(PEI、ガラス転移温度217℃)、熱可塑性ポリイミド(TPI、ガラス転移温度260℃)、耐熱ポリアリレート(PAR、ガラス転移温度263℃)等が挙げられる。
【0017】
耐熱性を考慮すると、ガラス転移温度が245℃以上の熱可塑性樹脂として、熱可塑性ポリイミド(TPI)、または耐熱ポリアリレート(PAR)から選ばれる1種以上の樹脂を樹脂成分中少なくとも15質量%以上含むことがさらに好ましく、25質量%以上95質量%以下含むことが特に好ましい。最も好ましくは、単層フィルムは、ガラス転移温度が245℃以上の熱可塑性樹脂として、熱可塑性ポリイミド(TPI)、または耐熱ポリアリレート(PAR)から選ばれる1種以上の樹脂を主として含む単層フィルムである。
【0018】
ガラス転移温度は、JIS K7121で表記されている中間点ガラス転移温度をいい、DSC測定から得られたDSC曲線において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の段階状変化部分の曲線とが交わる点の温度とする。測定条件は窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で、測定温度範囲は室温から390℃である。
【0019】
熱可塑性樹脂として用いることができるポリサルホン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、式(1)で表される繰り返し単位を有するポリフェニルサルホンが好ましく、式(2)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルサルホンが更に好ましい。ポリフェニルサルホンおよび/またはポリエーテルサルホンを1種類以上選択して用いることができる。
【0020】
ポリフェニルサルホン(PPSU)は、式(1)の化学構造のみからななるホモポリマーであってもよいし、式(2)~(10)から選ばれる単数または複数の化学構造を含んでいてもよい。ただし、ポリフェニルサルホン中、式(1)の化学構造の割合が高い方がフィルム強度や耐熱性、成型加工性に優れることから、式(1)~(10)のポリサルホンユニット合計100モル%に対し、式(1)のユニットが50モル%以上であることが好ましく、80%モル%以上であることが更に好ましい。
【0021】
ポリフェニルサルホンが、式(2)~(10)の化学構造を含む共重合体の場合、共重合形態はブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体のいずれであってもよい。また、重合体末端のみに他の化学構造を有する末端変性体であってもよい。ポリフェニルサルホンの具体例としては、ソルベイスペシャリティポリマーズ社製の商品名:レーデルRシリーズ、BASF社製の商品名:ウルトラゾーンPシリーズが挙げられる。
【0022】
ポリエーテルサルホン(PES)は、式(2)の化学構造のみからななるホモポリマーであってもよいし、(1)および(3)~(10)から選ばれる単数または複数の化学構造を有していてもよい。ただし、ポリエーテルサルホン中、式(2)の化学構造の割合は、フィルム強度や耐熱性、成型加工性に優れることから、式(1)~(10)のポリサルホンユニット合計100モル%に対し、式(2)のユニットが50モル%以上であることが好ましく、80%モル%以上であることが更に好ましい。ポリエーテルサルホンが、(1)および(3)~(10)から選ばれる単数または複数の化学構造を有して共重合体となっている場合には、共重合形態はブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体のいずれであってもよい。また重合体末端のみに他の化学構造を有する末端変性体であってもよい。ポリエーテルサルホンの具体例としては、住友化学社製の商品名:スミカエクセルPESシリーズ、BASF社製の商品名:ウルトラゾーンEシリーズ、ソルベイスペシャリティポリマーズ社製の商品名:ベラデルシリーズなどが挙げられる。
【0023】
【化1】
【0024】
熱可塑性ポリイミド(TPI)系樹脂としては、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミドなどが考えられる。また、熱可塑性ポリイミドでは、結晶性、非晶性を含む。例えば、熱可塑性ポリイミドとして、下記式(11)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性ポリイミドが挙げられる。市販品として、購入でき、具体的には、三井化学株式会社製の商品名:オーラムが挙げられる。
【0025】
【化2】
【0026】
一方、ポリエーテルイミド(PEI)では、具体的には、サビック社製のウルテムが挙げられる。
【0027】
本実施形態において、耐熱ポリアリレート(PAR)とは、二価フェノール成分と、芳香族ジカルボン酸または芳香族ジカルボン酸ジハライドとの重縮合物であり、一般式(12)で表される繰り返し単位を有するポリマーを包含し、そのTg(ガラス転移温度)は245℃以上、好ましくは255℃以上である。市販されている代表的な耐熱ポリアリレートとしては、二価フェノールとしてビスフェノールA、芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸およびイソフタル酸の混合フタル酸からなるものが挙げられ、これらのモノマー構成比を変更することで、耐熱性を向上させる(Tgを高くする)ことが出来る。具体例として、たとえばユニチカ社の商品名:UポリマーやUNIFINER(ユニファイナー)のなかで、Tgが245℃以上、好ましくは255℃以上の樹脂である。
【0028】
【化3】
【0029】
本実施形態の単層フィルムは、好ましくは、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルホン、ポリフェニルサルホン、熱可塑性ポリイミド、耐熱ポリアリレートから選ばれる1種、または2種以上を含む熱可塑性樹脂を含む。本発明の効果を阻害しない範囲で、上記の各熱可塑性樹脂を任意の割合で含む樹脂組成物であってもよい。例えば、ガラス転移点が高い2種類以上の樹脂をアロイ化することで加熱収縮率を小さくすることが出来る。単層フィルムは、ガラス転移温度が210℃以上の熱可塑性樹脂を含み、好ましくはガラス転移温度が245℃以上の熱可塑性樹脂を、樹脂成分中少なくとも15質量%以上含み、さらに好ましくは25質量%以上95質量%以下含む熱可塑性樹脂を含む。これにより、より好ましい高い耐熱性、及び低い加熱収縮率を示すことができる。具体的には、熱可塑性ポリイミド(TPI)および/または耐熱ポリアリレート(PAR)を少なくとも15質量%以上含み、より好ましくは25質量%以上95質量%以下含む熱可塑性樹脂を含む単層フィルムである。樹脂のコストを考慮すると、本発明の単層フィルムとして最も好ましいのは、耐熱ポリアリレート(PAR)を、少なくとも15質量%以上含み、さらに好ましくは25質量%以上95質量%以下含む熱可塑性樹脂を含む単層フィルムである。驚くべきことに、ガラス転移温度が210℃以上の熱可塑性樹脂の樹脂成分中に、ガラス転移温度が245℃以上の熱可塑性樹脂を少なくとも15質量%以上含むことで、より好ましくは25質量%以上95質量%以下含むことで、250℃、60分における加熱収縮率を、これら未満の場合と比較し著しく小さくすることが可能である。
【0030】
単層フィルムを構成する熱可塑性樹脂には、必要に応じ、本発明の効果を阻害しない範囲で、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、染料、顔料、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維状強化剤、タルク、クレイ、シリカなどの粒状フィラー、マイカなどの鱗片状フィラー等の無機フィラー、一般的にフィルムに添加される公知の添加剤の単数または複数を含むことが出来る。また、フィルム製造工程で発生したスクラップ樹脂を混合して用いることができる。
【0031】
添加剤の配合量の合計は、単層フィルムを構成する熱可塑性樹脂100質量部に対して、25質量部以下が好ましく、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。添加剤の配合量が上記範囲内であれば、テープとしてのハンドリング性を低下することなく使用することができる。
【0032】
本実施形態の単層フィルムの少なくとも一方の面の算術平均表面粗さRaは、0.10μmより大きく、10μm未満であり、より好ましくは0.30μmより大きく、8.0μm未満であり、更に好ましくは0.30μmより大きく、5.0μm未満である。算術平均表面粗さRaが0.10μm以下であると、フィルムを巻取る際にシワが入りやすくなり、良好なフィルムの巻物が得られ難くなり、場合によっては巻き取り自体が困難になってしまう。算術平均表面粗さRaが0.10μmより大きく、好ましくは0.30μmより大きい場合は、単層フィルムやそれを用いた耐熱粘着テープを真空蒸着工程及び、特に過酷な真空スパッタ工程に用いた場合、フィルムやテープの変形や浮きを抑制でき、耐熱粘着テープ剥の貼り付け部での剥がれの抑制効果が向上しやすい。算術平均表面粗さRaが10μm以上の面に粘着剤を積層した場合、気泡が混入し、外観が悪化しやすくなる。本発明において算術平均表面粗さRaはJIS B0601:2001に準じて算出することができる。
単層フィルムの他の面は凹凸構造を有していても、有していなくてもよい。具体的には、算術平均粗さRaが0.10μm未満であっても、0.10μmより大きく10μm未満であっても、10μm以上であってもよい。
【0033】
単層フィルムの少なくとも一方の面の算術平均表面粗さRaを0.10μmより大きく、10μm未満にする為に、単層フィルム表面に微細な凹凸を形成する方法は、(イ)溶融混練した樹脂をTダイスから押出し、凹凸ロールと、別の圧着ロール、例えば鏡面の圧着ロール、とで押し出された樹脂を狭持させてフィルムを形成する方法において、微細な凹凸を有する凹凸ロールを用いてフィルムの冷却と凹凸の形成を同時に行う方法、(ロ)単層フィルムを作製した後に、微細な凹凸を有する凹凸ロールに密着させて、凹凸を形成する方法が挙げられる。これらのうち、装置の簡略化の観点からすると、(イ)の方法が好ましい。また、単層フィルムの両面へ表面粗さを付与したい場合は、圧着ロール表面に、例えばブラスト加工により、凹凸加工した圧着ロールを用いることが出来る。
【0034】
単層フィルムを構成する熱可塑性樹脂と添加剤の混合・混練方法は特に限定されることはなく各種混合・混練手段が用いられる。例えば、各々別々に押出機に供給して混合してもよい。またあらかじめ単層フィルムを構成する樹脂と添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミキサー、ブレンダー、タンブラー等の混合機を利用して乾式予備混練し、溶融混練機にて溶融混練することができる。
【0035】
溶融混練機としては、ミキシングロール、加圧ニーダー、単軸押出機、多軸押出機を使用することができる。単軸押出機、多軸押出機を用いた場合には、ストランド状、シート状、棒状にされるため、粉砕機あるいは裁断機で粉状、顆粒状、ペレット状に加工することが好ましい。
【0036】
単層フィルムの厚みは、好ましくは5μm以上100μm以下であり、より好ましくは20μm以上70μm以下であり、更に好ましくは20μm以上40μm以下である。厚みを厚くするとテープとしてのハンドリング性が良くなるが、100μmを超えるとテープを剥がした時に貼り付け部での粘着剤残りが発生しやすくなる。総厚みを5μm以上にすることにより、熱収縮率が大きくなるのを防ぐことができ、また、フィルムを巻き取る時に皺が入りやすくなるのを防ぐことができる。また、熱可塑樹脂のガラス転移点が210℃以上245℃未満の場合、単層フィルム厚みが30μmよりも厚いことが好ましく、ガラス転移点が245℃以上の場合は厚さが20μmよりも厚いことが好ましい。
【0037】
単層フィルムの好ましい熱収縮率は以下の通りである。250℃の環境下に60分間曝露した後の熱収縮率の絶対値が15%以下であり、より好ましくは10%以下であり、更に好ましくは5%以下である。熱収縮率が前記の範囲であれば、耐熱寸法安定性は実用上十分である。また、この単層フィルムを用いた耐熱粘着テープは、200℃以上の高温に晒された場合でも、テープの剥がれや投錨破壊(基材層から粘着層が分離して被着体側に移行する現象)を生じることがない為、テープを剥がした後、被着体への糊残りを発生することも少なく、好適に用いることができる。
【0038】
本明細書において、熱収縮率はJIS C2151に準拠して測定した。具体的には試験片(長軸150mm×短軸20mm)をMD方向およびTD方向それぞれに対して切り出し、試験片の長軸方向の中央部を中心にして間隔100mmの標線を付けた。この試験片を無荷重の状態で雰囲気温度200℃および250℃の環境下に60分間暴露し、室温まで冷却した後で、標線間の長さを測定し、下記の計算式より、算出した。熱収縮率の値は正の値が収縮を意味し、負の値が膨張を意味する。なお、MDとはフィルムの長さ(押出し)方向を示し、TDとはフィルムの幅方向を示す。
熱収縮率(%)=(試験前の長さ-試験後の長さ)/(試験前の長さ)×100
本実施形態の好ましい単層フィルムは、MD、TD方向共に前記熱収縮率条件を満たすことができる。
【0039】
単層フィルムの250℃の環境下に1時間曝露した時の熱重量減少率は、5.0%以下であり、より好ましくは3.0%以下であり、更に好ましくは1.5%以下である。加熱重量減少率はJIS K7102に準拠して、熱質量測定により、昇温速度10℃/minで250℃まで昇温し、更に250℃環境を30分間維持した時に得られるTG曲線から重量減少率を求めることができる。加熱重量減少率が5%を超えると、電子部品製造時の高温プロセスにおいて、アウトガスが生じ、電子部品や周囲の設備を汚染する可能性がある。また、真空プロセスにおいては所定の真空度に達するまでに時間がかかり、経済的ではない。
【0040】
単層フィルムのUV透過率は、80%以上であり、最も好ましくは85%以上である。上記範囲内であれば、単層フィルムに粘着層を積層後、単層フィルム面側から紫外線を照射して粘着剤を硬化させるプロセスにおいて、好適に用いることができる。本明細書において、UV透過率はJIS K0115に準拠して測定することができる。
【0041】
単層フィルムを成型する方法としては、Tダイを用いた押出成形法が好ましい。Tダイスリップ先端部から押出した樹脂の温度は300℃以上400℃以下であることが好ましく、より好ましくは310℃以上390℃以下である。上記の範囲であれば、厚みの均一性に優れたフィルムが得られやすくなる。一方、300℃未満の場合、均一な厚みのフィルムを得ることが難しくなる。また、300℃以上であれば熱収縮率が大きくなることを防ぐことができる。400℃を超えると、樹脂が熱劣化しやすくなり、フィルムの外観が悪化しやすくなる。
【0042】
凹凸ロールの表面温度は、110℃以上230℃以下であることが好ましく、より好ましくは130℃以上200℃以下であり、更に好ましくは140℃以上190℃以下である。上記の範囲内であれば、熱収縮率の小さいフィルム及び、外観性の良いフィルム表面を得ることができる。また、凹凸ロールの製法、加工法は任意であるが、表面をマット加工(ブラスト加工など)、凹凸加工(レーザー彫刻法、ミル彫刻法、ダイヤモンドバイト加工法、電鋳法など)することで、所定の表面粗さを有するフィルム表面を得ることも可能である。これら、マット加工、凹凸加工する面は金属系、セラミック軽、ゴム系の材質を使用することができる。凹凸ロール温度が230℃以上の場合、フィルムと凹凸ロールが粘着し、凹凸ロールからフィルムをスムースに剥離することが難しくなり、フィルムの外観が悪化しやすくなる。
【0043】
単層フィルムには、必要によって、単層フィルム表面の濡れ性を向上させる為に、その片面または両面に、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、アルカリ処理、蒸着処理、及びプライマ処理等の公知の易接着処理を施すことができる。これら処理によって、金属箔との積層や、後述する粘着層の積層において、単層フィルムとの密着力を向上することができる。
【0044】
単層フィルムは、耐熱性やUV透過性に優れ、高温雰囲気下で加熱収縮率及び加熱重量減少率が小さいため、ポリイミドフィルムの代替として、フレキシブルプリント基板(FPC)、半導体実装用のフィルム状基板(TABやCOF)、および耐熱粘着テープなどの積層体に使用される基材フィルムや、フレキシブル太陽電池、タッチパネルの積層体に使用される基材フィルム、または基板の表面を保護する導体回路保護用のカバーレイフィルム、フィルムコンデンサ用フィルム等に好適に用いることができる。
【0045】
また、耐熱性や成形加工性に優れることから、スピーカー振動板用フィルム、真空圧空成形用保護フィルム、インサート成形用保護フィルム、及びインモールド成形用保護フィルム等に好適に用いることが出来る。この用途の場合のフィルムとしては、サルホン系フィルムが好ましい。また、回路基板用フィルム、ヒーター絶縁材用フィルム、ガラス保護用フィルム、家電製品部材用フィルム、または自動車部品部材用フィルムとしても好適に用いることができる。
【0046】
(耐熱粘着テープ)
以下は本発明の第二である、単層フィルムを用いた耐熱粘着テープに関する説明である。本実施形態の耐熱粘着テープは、上記した単層フィルムと、該単層フィルムの少なくとも一方の面に形成された粘着層とを有するものである。粘着層は、単層フィルムの、凹凸ロール面(凹凸ロール側に形成される面であり、凹凸加工面である。)のみ、または、圧着ロール面(圧着ロール側に形成される面であり、凹凸未加工面である。)のみに形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。好ましくは、粘着層は、圧着ロール面(凹凸未加工面)のみに形成される。
【0047】
耐熱粘着テープの単層フィルムの厚みは、好ましくは5μm以上100μm以下であり、より好ましくは20μm以上70μm以下である。粘着層の厚みは、好ましくは5μm以上70μm以下であり、より好ましくは15μm以上50μm以下である。
【0048】
単層フィルムを用いた耐熱粘着テープにおいて、最も好ましい形態は、耐熱粘着テープを被着体等に接着した場合、被着体が接着される被着体粘着面の反対側の面(テープを被着体等に接着した場合、単層フィルムの表面となる面)に凹凸構造を有する。言い換えると、耐熱粘着テープは、単層フィルムと、該単層フィルムの一方の表面上に形成された粘着層とを有し、粘着層が形成された面の反対側の面に、凹凸構造を有する。この凹凸構造は、具体的には、算術平均表面粗さRaが0.10μmより大きく10μm未満、好ましくは0.30μmより大きく10μm未満である。このような構造は、単層フィルムの被着体粘着面の反対側の面が凹凸ロール面である場合である。
【0049】
別な実施形態では、単層フィルムの被着体粘着面の反対側の面が圧着ロール面(凹凸未加工面)であっても、この本面に対して公知の凹凸加工を行って、凹凸構造を形成することも可能である。耐熱粘着テープにおいて、単層フィルムの被着体粘着面の反対側の面に凹凸構造を有することで、真空スパッタ処理を200℃~250℃の温度範囲で行った場合でも、テープの浮きを抑制できる。また、真空スパッタ処理を200℃~250℃の温度範囲で行った後にテープを剥がした後、糊残りの発生を抑制できる。これは、真空スパッタ処理等の高温かつ過酷な条件下であっても、表面にあらかじめ設けられた凹凸面が過酷な処理により表面に発生する伸び応力や収縮応力を吸収することでテープの変形を抑制するためであると考えられる。
【0050】
本発明は、さらに被着体を貼り付けた上記耐熱粘着テープである。つまり、一実施形態において、基材粘着面を構成する粘着層を介して、被着体に貼付する耐熱粘着テープとすることができる。被着体として好ましくは、半導体部品、電材部品、あるいは光学部品であり、本基材は、基板でもあり得る。
一方、本実施形態の単層フィルムを用いた耐熱粘着テープにおいて、テープを被着体等に粘着した場合、単層フィルムの被着体粘着面側は、凹凸構造を有していても、有していなくてもよい。つまり、粘着層を介して被着体が積層されている耐熱粘着テープにおいて、粘着層と単層フィルムの界面における単層フィルム表面は、算術平均粗さRaが0.10μm未満であっても、0.10μmより大きく10μm未満であっても、10μm以上であってもよい。
【0051】
本発明の第三は、ガラス転移温度が210℃以上の熱可塑性樹脂を用いてなる単層フィルムと粘着層とを積層してなり、単層フィルムの被着体粘着面の反対側の面(単層フィルムの表面側の面)に凹凸構造を有する、耐熱粘着テープである。本発明の第三における単層フィルムは、好ましくは、ガラス転移温度が210℃以上の熱可塑性樹脂からなり、かつガラス転移温度が245℃以上の熱可塑性樹脂を、樹脂成分中少なくとも15質量%以上、好ましくは25質量%以上含む。本発明の第三における単層フィルムは、最も好ましくは、ガラス転移温度が245℃以上である熱可塑性樹脂を主として含む。
凹凸構造は、好ましくは、その算術平均表面粗さRaが0.10μmより大きく10μm未満であり、さらに好ましくは0.30μmより大きく10μm未満である。さらに本発明は被着体に張り付けた前記耐熱粘着テープである。つまり、一実施形態において、耐熱粘着テープの一方の面に、被着体粘着面を構成する粘着層を介して被着体に貼付された、耐熱粘着テープとすることができる。被着体として好ましくは、半導体部品、電材部品、あるいは光学部品であり、本被着体は、基板でもあり得る。
一方、本発明の単層フィルムを用いた耐熱粘着テープにおいて、テープを被着体等に粘着した場合、単層フィルムの被着体粘着面側は、凹凸構造を有していても、有していなくてもよい。つまり、粘着層を介して被着体が積層されている耐熱粘着テープにおいて、粘着層と単層フィルムの界面における単層フィルム表面は、算術平均粗さRaが0.10μm未満であっても、0.10μmより大きく10μm未満であっても、10μm以上であってもよい。本耐熱粘着テープの単層フィルムの厚みは、好ましくは5μm以上100μm以下であり、より好ましくは20μm以上70μm以下である。粘着層厚みは、好ましくは5μm以上70μm以下であり、より好ましくは10μm以上50μm以下である。
【0052】
上記した耐熱粘着テープにおいて、粘着層を構成する粘着剤の粘着成分としては、特に限定されず、当該単層フィルムを用いた耐熱粘着テープが貼り付けされる樹脂性のフィルム基材や筐体への接着性を考慮して、公知の粘着剤のなかから適宜選択すればよい。具体的には、例えば(メタ)アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコーン系、合成ゴム、天然ゴムなどが使用され、これらの中でも、接着性が良好であり、耐熱性に優れる点で、(メタ)アクリル樹脂系、シリコーン系が好ましい。粘着層の厚さは、上記のとおりとすることが好ましく、中でも、10~50μmであることがより好ましい。粘着層の厚さが10μm以上であれば、充分な粘着性を確保しやすく、50μm以下であれば、容易に粘着層を形成できる。
【0053】
本実施形態の耐熱粘着テープにおいて、単層フィルムに用いられる熱可塑性樹脂に、前記の通り、一般的にフィルムに添加される公知の添加剤を添加することができる。添加した添加剤の粘着側への移行等の影響により粘着剤の粘着力が低下することを防ぐため、粘着剤を構成する(メタ)アクリル系組成物の構成を変更したり、粘着付与剤をさらに添加したりすることができる。具体的には粘着剤へグリシジルメタクリレートを共重合する、及び/または、粘着付与剤として例えば、軟化点が70℃以上180℃以下のテルペンフェノール樹脂を添加する、等により、粘着力の低下を抑制することができる。ここで、軟化点が70℃以上180℃以下のテルペンフェノール樹脂としては、好ましくはヤスハラケミカル社製「YSポリスター」シリーズのテルペンフェノール樹脂が挙げられる。粘着付与剤の含有量は、粘着成分(例えば(メタ)アクリル酸エステル重合体)100質量部に対して、0質量部~20質量部とすることができる。粘着剤組成物には、例えば、軟化剤、老化防止剤、充填剤、導電剤、紫外線吸収剤、及び光安定剤等の各種添加剤を添加してもよい。その他の添加剤の含有量は、特に限定されず、粘着成分(例えば(メタ)アクリル酸エステル重合体)100質量部に対して、0質量部~20質量部とすることができる。
【0054】
耐熱粘着テープの製造方法は、例えば、単層フィルムの表面に直接粘着剤を塗工する方法(直接塗工法)、剥離紙または剥離フィルムの表面に粘着剤を塗工して粘着層を形成した後に、その粘着層と単層フィルムとを貼り合せる方法(転写法)が挙げられる。粘着剤を塗工する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。印刷による形成方法は、例えば、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法等が挙げられる。コーティングによる方法は、例えば、ロールコート、リバースコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコート、グラビアコート等が挙げられる。粘着層を形成した後で、粘着層を加熱により架橋する為、例えば40~100℃の温度で数時間から3日間程度エージングすることが好ましい。エージングによって架橋反応を進行させ、使用中の十分な粘着力と、使用後の剥離性を確保することができる。
【0055】
本実施形態の耐熱粘着テープは上述した単層フィルムを用いている為、耐熱性、UV透過性に優れ、高温雰囲気下でも収縮率が小さく加熱重量減少率が小さいことから、粘着ラベル、電子部品製造用テープ、マスキングテープ、チップサイズパッケージ実装工程の基板固定用テープ、フィルム状基板生産工程用スペーステープ等に好適に用いることができる。特に加熱重量減少率が小さいことは、真空工程に用いる各種耐熱粘着テープ、フィルムとして用いる場合、アウトガス発生量が少ないため、工程設備の汚染が少なく、あるいは所定の真空度の達するまでの時間が短いため、好適である。
好ましい用途は具体的には、真空蒸着処理工程または、スパッタ処理工程で用いられる場合の、装置内の処理面を保護するために使用するマスキング用耐熱粘着用テープである。本用途で使用する場合は、耐熱性、低い加熱重量減少率、低い加熱収縮率が求められるため、単層フィルムの熱可塑性樹脂はPES樹脂や、熱可塑性ポリイミド、耐熱ポリアリレートから選ばれる樹脂が好ましい。本発明の耐熱粘着テープを用いた場合、真空スパッタ後の耐熱テープの浮きを抑制でき、加熱処理後の糊残りも抑制できるため、本用途に好適に使用できる。
【実施例
【0056】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例及び比較例において、単層フィルムで使用した樹脂は、以下の通りである。
【0057】
ポリエーテルサルホン(PES):スミカエクセル(商品名)、住友化学社製、ガラス転移温度 225℃
ポリフェニルサルホン(PPSU):ウルトラゾーン(商品名)、BASF社製、ガラス転移温度 220℃
ポリエーテルイミド(PEI):ULTEM(商品名)SABIC社製、ガラス転移温度 217℃
耐熱ポリアリレート(PAR):Uポリマー(商品名)、ユニチカ社製、ガラス転移温度 263℃
熱可塑性ポリイミド(TPI):オーラム(商品名)、三井化学社製、ガラス転移温度
260℃
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK):VESTAKEEP(商品名)、ダイセルエボニック社製、ガラス転移温度 146℃
ポリカーボネート(PC):パンライト(商品名)、帝人社製、ガラス転移温度150℃
有機系顔料 Paliotol Yellow K 0961(商品名)、BASF社製
【0058】
<ガラス転移温度の測定>
単層フィルムに用いた熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、ブルカー社製の示差走査熱量測定装置「DSC3100SA」を用い、窒素雰囲気下で昇温速度10℃/minで室温から380℃までDSC測定を行い、DSC曲線において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の段階状変化部分の曲線とが交わる点とした。
【0059】
(実施例1)
<単層フィルムの作製>
単層フィルムを構成する樹脂として、ポリエーテルサルホン100質量部に対し有機系顔料:Paliotol Yellow K 0961(商品名)、BASF社製、1質量部を添加し、容器に投入してタンブラーを用いてプリブレンドし、攪拌混合物を得た。この攪拌混合物を径30mmの二軸溶融押出機に供給し、溶融混練して先端部のダイスから棒形に吐出させてストランドを形成させた。溶融混練条件は、シリンダー温度:350~370℃、アダプター温度:370℃、ダイス温度:370℃とした。次いで、形成したストランドを水冷した後、ペレタイザによりカットして、長さ2~3mm、直径1~2mmのペレット形の成形用材料を得た。
この成型用材料を径40mmの単軸押出し機から押出し、幅600mmのTダイスから樹脂温度360℃で吐出させて、引取機のシリコーンゴム製の圧着ロールと、ロール表面の算術平均表面粗さRaが0.7μmの微細凹凸形状を有する金属製凹凸ロール(表面温度140℃)とで挟持させ、巻取機に向けて連続的に移送させ、微細凹凸形状を有する単層フィルムを得た。
【0060】
<耐熱粘着テープの作製>
次に、作製した単層フィルムを用い、下記の手順で耐熱粘着テープを作製した。
粘着層を形成するアクリル系粘着剤として、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を次のようにして合成した。容量1リットルのセパラブルフラスコに、0.2質量%のポリビニルアルコールを含有する水200質量部と、n-ブチルアクリレート72質量部と、メチルメタクリレート20質量部と、グリシジルメタクリレート3質量部と、2-ヒドロキシエチルメタクリレート5質量部と、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.1質量部と、分子量調整用に連鎖移動剤とを含む均一混合液を投入した。該混合液を窒素雰囲気下で攪拌しながら70℃に昇温し、4時間懸濁重合させた。次いで、デカンテーションによって懸濁液から水分を除いた。固形物を吸引ろ過しながら水で洗浄し、室温で乾燥後に、60℃で真空乾燥を行い、含水率0.5%以下の共重合樹脂を得た。得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体を、トルエン中で溶融攪拌した。これにイソシアネート系硬化剤と、粘着付与樹脂(テルペンフェノール樹脂:ヤスハラケミカル社製「YSポリスターG150」、軟化温度:150℃)を加えて攪拌混合して、粘着剤組成物を得た。
この粘着剤組成物を、幅300mm、長さ400mm、厚さ50μmの単層フィルム上に、硬化後の厚みが20μmとなるようにアプリケータを用いて塗工した後、100℃、2分の条件で加熱して乾燥させた。粘着面に保護フィルムとして、幅300mm、長さ400mm、離型処理された厚み38μmのポリエステルフィルムを貼り合わせ、粘着テープを得た。これをオーブンにより40℃、3日間の加熱条件でエージング処理し、架橋させた粘着層として、幅300mm、長さ400mm、厚さ0.070mmの粘着テープを得た。粘着剤の形成面は単層フィルムの凹凸ロール面に行った。
【0061】
(実施例2~17)
凹凸ロール及び圧着ロールの表面粗さの異なるロールを用い、単層フィルムに用いる樹脂、顔料、厚み、表面粗さ、粘着剤の塗工面、厚みを、表1に示すように構成した以外は、実施例1と同様にして、単層フィルム及び、耐熱粘着テープを作製した。粘着剤の形成面は単層フィルムの凹凸ロール面、圧着ロール面、又はその両面で行った。また、実施例4、9、10、16、17では、表面にブラスト加工した圧着ロールを使用した。
【0062】
(比較例1~3)
凹凸ロール及び圧着ロールの表面粗さの異なるロールを用い、単層フィルムに用いる樹脂、顔料、厚み、表面粗さ、粘着剤の塗工面、厚みを、表2に示すように構成した以外は、実施例1に基づいて、単層フィルム及び、耐熱粘着テープを作製した。ただし、比較例1のみは凹凸ロールを用いず、鏡面のロールを用いてフィルムを作製した。
【0063】
(比較例4)
市販のポリイミドフィルム(宇部興産製、ユーピレックス25S 厚み25μm)を用いた。また、このフィルムを用いて耐熱粘着テープを作製した。粘着剤は任意の片面に塗工した。
【0064】
(比較例5)
市販の二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(PEN、帝人社製、テオネックスQ51厚み25μm)を用いた。また、このフィルムを用いて耐熱粘着テープを作製した。粘着剤は任意の片面に塗工した。用いたPENフィルムのガラス転移温度は140℃、結晶融点は260℃であった。
【0065】
<単層フィルムの評価>
各実施例及び各比較例で作製したフィルムについて下記に示す評価を行った。これらの結果をそれぞれ表1および表2にまとめて示す。
【0066】
(表面粗さ)
算術平均表面粗さは、JIS B0601に準じて算出した。具体的には単層フィルムのシリコーンゴム製圧着ロール、又は金属製凹凸ロールに触れたそれぞれの面の算術平均表面粗さRaを、接触式表面粗さ計(ミツトヨ製のサーフテストSJ-210)を用い、2mmのスキャン幅で単層フィルムの幅方向5点を測定し、その平均値を算出した。
【0067】
(厚み)
厚みは、市販のミツトヨ製の標準形ダイアルゲージ(547-401型)を使用し測定した。具体的には、フィルム長手方向において100mm間隔で300mm測定し、フィルム幅方向において10mm間隔で測定し、それらの平均値を求め、その平均値をフィルムの厚さとした。
【0068】
(熱収縮率)
熱収縮率は、JIS C2151に準拠して測定した。具体的には試験片(長軸150mm×短軸20mm)をMD方向およびTD方向それぞれに対して切り出し、試験片の長軸方向の中央部を中心にして間隔100mmの標線を付けた。この試験片を無荷重の状態で雰囲気温度200℃、または250℃で60分間暴露し、室温まで冷却した後で、標線間の長さを測定し、下記の計算式より算出した。熱収縮率の値は正の値が収縮を意味し、負の値が膨張を意味する。なお、MDとはフィルムの長さ(押出し)方向を示し、TDとはフィルムの幅方向を示す。
熱収縮率(%)=(試験前の長さー試験後の長さ)/(試験前の長さ)×100
【0069】
(UV透過率)
UV透過率は、JIS K0115に準拠して測定した。具体的には市販の分光光度計(島津製作所製UV-2600)を使用し、400nm波長でのUV透過率を測定した。UV透過率が80%以上であれば、例えば、単層フィルムに粘着層を積層後、単層フィルム面側から紫外線を照射して粘着剤を硬化させるプロセスにおいて、好適である。
【0070】
(巻取シワ)
実施例1~17、比較例1~3のフィルムを巻取機で100m巻取った後に全幅を確認し、外観上、巻取シワが確認されたものを「有」、確認されないものを「なし」とした。
【0071】
(加熱重量減少率)
加熱重量減少率は、JIS K7102に準拠して、(BRUKER社製TG-DTA
2000SA)を用いた熱重量測定により、窒素雰囲気下で、昇温速度10℃/minで250℃まで昇温し、更に250℃環境を30分間維持した時に得られるTG曲線から重量減少率を求めた。
【0072】
<耐熱粘着テープの評価>
各実施例及び各比較例で作製した耐熱粘着テープについて下記に示す評価を行った。これらの結果をそれぞれ表1および表2にまとめて示す。
【0073】
(初期粘着力)
上記で得られた耐熱粘着テープを幅10mmにスリットした後、保護フィルムであるポリエステルフィルムを剥がし、露出した粘着層側の面を被着体であるアルミ板(100mm角、厚み0.5mm、算術平均表面粗さRa=1.0μm)に2kgのローラーで1往復し圧着した。圧着したサンプルを23℃で30分間放置した後、JIS Z0237:2000に準拠して、剥離角度180°、剥離速度300mm/min、剥離距離50mmの条件で初期粘着力を測定した。尚、測定には万能材料試験機(インストロン・ジャパン製)を用いた。
【0074】
尚、初期粘着力の評価基準は次の通りである。
優 : 1.0N~6.0N/20mm
良 : 0.4N~1.0N/20mm未満、6.0Nより大きく~10.0N/20mm
不良: 0.4N/20mm未満、10.0N/20mmよりも大きい
【0075】
(真空スパッタ後のテープの浮きの有無確認)
上記で得られた耐熱粘着テープを幅10mmにスリットし、アルミ板(100mm角、厚み0.5mm、算術平均表面粗さRa=1.0μm)に2kgのローラーで1往復圧着した。圧着したサンプルを23℃で30分間放置した後、真空スパッタ装置(シンクロン社製)で、真空度10-3~10-4Paの条件下、60分間真空スパッタ処理を行い、SiO/SiN交互膜を総厚0.5μmで積層した。その間、サンプルの温度は最高200~250℃に達していたと推定される。その直後での耐熱粘着テープの浮き(耐熱粘着テープの一部剥がれ)を目視で観察し、以下の基準で評価した。
優 : 耐熱粘着テープの浮きの箇所がないもの
良 : 耐熱粘着テープの浮きの箇所が、1~9個のもの
不良: 耐熱粘着テープの浮きの箇所が10個以上のもの
評価基準として、「良」の評価以上で合格とした。
【0076】
(真空スパッタ後の糊残りの有無確認)
上記により耐熱粘着テープの浮き有無を確認後、室温で1時間放置した後に万能材料試験機(インストロン・ジャパン社製)で、剥離角度180°、剥離速度300mm/min、剥離距離50mmの条件で耐熱粘着テープを剥がし、アルミ板の10mm×40mmの範囲をマイクロスコープで倍率100倍で観察し、以下の基準で評価した。尚、加熱後にアルミ板からテープが剥がれていたものは、測定不可と表記した。
優 : 糊残りの箇所がないもの
良 : 糊残りの箇所が、1~9個のもの
不良: 糊残りの箇所が10個以上
評価基準として、「良」の評価以上で合格とした。
【0077】


【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
実施例1~17で得られた単層フィルムは、巻取り時のシワの発生がなく成形性(フィルム成膜性)に優れており、熱収縮率、加熱重量減少率が小さく、耐熱単層フィルムとして好適に使用できる。さらに、UV透過率が良好であるので、耐熱単層フィルムとして、又は粘着層を有する耐熱粘着テープ基材として、好適に使用できる。また、実施例2、3、4、6、7に示されるように、単層フィルムの被着体粘着面の反対側の面(単層フィルムの表面側の面)の表面粗さを大きくすることで、スパッタ処理後の剥がれや、糊残りが少なく、耐熱粘着テープとしてより好適に使用できる。さらに実施例8~13の、サルホン系樹脂(PES、PPSU)と、ガラス転移点が245℃以上の、耐熱ポリアリレート又は熱可塑性ポリイミドとを含む樹脂組成物の単層フィルム、及び実施例15~17の、ガラス転移点が245℃以上の樹脂のみを用いた単層フィルムにおいては、250℃での熱収縮率に優れる。実施例8~13、15~17に示されるように、これらの単層フィルムを用いた耐熱粘着テープは、スパッタ処理後の浮き(剥がれ)や、糊残りが少なく、耐熱粘着テープとしてより好適に使用できる。
【符号の説明】
【0080】
1 耐熱粘着テープの層構成を示す例
2 粘着層
3 単層フィルム層(単層フィルム)


図1
図2