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  • 特許-積層物および補強シート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】積層物および補強シート
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/28 20060101AFI20230106BHJP
   B32B 7/08 20190101ALI20230106BHJP
   B32B 27/02 20060101ALI20230106BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230106BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20230106BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20230106BHJP
【FI】
B32B5/28 A
B32B7/08
B32B27/02
B32B27/00 M
C09J7/30
C09J163/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019550365
(86)(22)【出願日】2018-10-29
(86)【国際出願番号】 JP2018040057
(87)【国際公開番号】W WO2019088009
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】P 2017211874
(32)【優先日】2017-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100121636
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌靖
(72)【発明者】
【氏名】藤井 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】田上 徹
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-281741(JP,A)
【文献】特開2004-114586(JP,A)
【文献】特開2015-078310(JP,A)
【文献】国際公開第2017/179666(WO,A1)
【文献】国際公開第00/056539(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C09J 1/00-201/10
C08J 5/00-5/02
5/12-5/22
B29C 41/00-41/36
41/46-41/52
70/00-70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤層と拘束層を有する積層物であって、
該接着剤層に該拘束層が貼り合わせられてなり、
該接着剤層がゴム変性エポキシ樹脂を含み、
該拘束層が、強化繊維糸条を平行に配列した強化繊維シート形状物を多層に積層してステッチ糸で編み込むことで一体化した多層基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸させたプリプレグを含む、
積層物。
【請求項2】
前記強化繊維糸条が、炭素繊維糸条、ガラス繊維糸条、樹脂繊維糸条から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の積層物。
【請求項3】
前記多層基材に含まれる多層の強化繊維シート形状物が、強化繊維シート形状物の層(1)と、該強化繊維シート形状物の層(1)が有する強化繊維糸条の長さ方向に対して、強化繊維糸条の長さ方向が30度以上異なる強化繊維シート形状物の層(2)を有し、該強化繊維シート形状物の層(1)の質量は、該強化繊維シート形状物の層(2)の質量と同等以上である、請求項1または2に記載の積層物。
【請求項4】
前記強化繊維シート形状物の層(2)の強化繊維糸条の長さ方向の、前記強化繊維シート形状物の層(1)が有する強化繊維糸条の長さ方向に対する角度が、30度~150度である、請求項3に記載の積層物。
【請求項5】
前記強化繊維シート形状物の層(1)と前記強化繊維シート形状物の層(2)の質量比が9:1~5:5である、請求項3または4に記載の積層物。
【請求項6】
前記接着剤層が尿素系化合物を含む、請求項1から5までのいずれかに記載の積層物。
【請求項7】
前記熱硬化性樹脂組成物がエポキシ系樹脂を含む、請求項1から6までのいずれかに記載の積層物。
【請求項8】
前記エポキシ系樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とノボラック型エポキシ樹脂との組み合わせである、請求項7に記載の積層物。
【請求項9】
前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂と前記ノボラック型エポキシ樹脂の含有比率が、質量比で、90:10~10:90である、請求項8に記載の積層物。
【請求項10】
前記接着剤層の厚みが0.4mm~3mmである、請求項1からまでのいずれかに記載の積層物。
【請求項11】
前記拘束層の厚みが0.05mm~2mmである、請求項1から10までのいずれかに記載の積層物。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれかに記載の積層物を含む、補強シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積層物に関する。本発明は、また、本発明の積層物を含む補強シートに関する。本発明の積層物は、例えば、輸送機器などの各種産業機器の外板や骨格等に貼着して用い得る。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの輸送機器の車体には、質量軽減のため、厚みが薄い鋼板が用いられている。しかし、鋼板の厚みを薄くすればするほど、該鋼板の強度が低下する。自動車などの輸送機器の車体強度が低下してしまうと、衝突安全性などが劣ってしまうという問題がある。
【0003】
最近、強化繊維を含む拘束層と樹脂層とを備える積層物が提案されている(特許文献1-3)。
【0004】
しかし、これまでの上記のような積層物は、柔軟性に乏しく、補強性が十分でないという問題がある。また、樹脂層に発泡剤を用いて厚みを確保して補強性を向上させているが、衝突などによって大きな曲がりが生じた場合には該樹脂層の圧縮破壊が起こってしまうという問題がある。これらの理由により、上記のような積層物の使用用途は外板パネルに限定されており、例えば、車体骨格の補強などの他の目的には使用が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-53014号公報
【文献】特開2005-54000号公報
【文献】特開2011-148091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、柔軟性に優れて曲げ強度の高い積層物を提供することにある。また、本発明の課題は、そのような積層物を含む補強シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の積層物は、
接着剤層と拘束層を有する積層物であって、
該拘束層が、強化繊維糸条を平行に配列した強化繊維シート形状物を多層に積層してステッチ糸で編み込むことで一体化した多層基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸させた含浸層を含む。
【0008】
一つの実施形態としては、上記強化繊維糸条が、炭素繊維糸条、ガラス繊維糸条、樹脂繊維糸条から選ばれる少なくとも1種である。
【0009】
一つの実施形態としては、上記多層基材に含まれる多層の強化繊維シート形状物が、強化繊維シート形状物の層(1)と、該強化繊維シート形状物の層(1)が有する強化繊維糸条の長さ方向に対して、強化繊維糸条の長さ方向が30度以上異なる強化繊維シート形状物の層(2)を有し、該強化繊維シート形状物の層(1)の質量は、該強化繊維シート形状物の層(2)の質量と同等以上である。
【0010】
一つの実施形態としては、上記強化繊維シート形状物の層(2)の強化繊維糸条の長さ方向の、上記強化繊維シート形状物の層(1)が有する強化繊維糸条の長さ方向に対する角度が、30度~150度である。
【0011】
一つの実施形態としては、上記強化繊維シート形状物の層(1)と上記強化繊維シート形状物の層(2)の質量比が9:1~5:5である。
【0012】
一つの実施形態としては、上記接着剤層がエポキシ系樹脂を含む。
【0013】
一つの実施形態としては、上記エポキシ系樹脂がゴム変性エポキシ樹脂を含む。
【0014】
一つの実施形態としては、上記接着剤層が尿素系化合物を含む。
【0015】
一つの実施形態としては、上記熱硬化性樹脂組成物がエポキシ系樹脂を含む。
【0016】
一つの実施形態としては、上記エポキシ系樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とノボラック型エポキシ樹脂との組み合わせである。
【0017】
一つの実施形態としては、上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂と上記ノボラック型エポキシ樹脂の含有比率が、質量比で、90:10~10:90である。
【0018】
一つの実施形態としては、上記接着剤層が実質的に発泡剤を含まない。
【0019】
一つの実施形態としては、上記接着剤層の厚みが0.4mm~3mmである。
【0020】
一つの実施形態としては、上記拘束層の厚みが0.05mm~2mmである。
【0021】
一つの実施形態としては、上記積層物全体の厚みが0.4mm~5mmである。
【0022】
一つの実施形態としては、上記含浸層がプリプレグである。
【0023】
本発明の補強シートは、本発明の積層物を含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、柔軟性に優れて曲げ強度の高い積層物を提供することができる。また、本発明によれば、そのような積層物を含む補強シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】強化繊維シート形状物の層(1)と強化繊維シート形状物の層(2)との角度について説明する概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の積層物は、接着剤層と拘束層を有する。本発明の積層物は、接着剤層と拘束層を有していれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の層を有していてもよい。本発明の積層物は、好ましくは、接着剤層と拘束層からなる。
【0027】
接着剤層の厚みは、好ましくは0.4mm~3mmであり、より好ましくは、0.5~2.5mmである。接着剤層の厚みを上記範囲内とすることにより、本発明の効果をより発現させ得る。
【0028】
拘束層の厚みは、好ましくは0.05mm~2mmであり、より好ましくは0.1mm~1.0mmである。拘束層の厚みを上記範囲内とすることにより、本発明の効果をより発現させ得る。
【0029】
本発明の積層物全体の厚みは、好ましくは0.4mm~5mmであり、より好ましくは0.6mm~3.5mmである。本発明の積層物全体の厚みを上記範囲内とすることにより、本発明の効果をより発現させ得る。
【0030】
本発明の積層物は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法によって製造し得る。例えば、それを構成する各層を接着して製造することができる。具体的には、例えば、本発明の積層物が接着剤層と拘束層からなる場合、接着剤層と拘束層をそれぞれ別途に準備してそれらを貼り合わせることによって、本発明の積層物を製造できる。
【0031】
本発明の補強シートは、本発明の積層物を含む。本発明の補強シートは、本発明の積層物を含んでいれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の層を有していてもよい。本発明の補強シートは、好ましくは、本発明の積層物からなる。
【0032】
≪拘束層≫
拘束層は、強化繊維糸条を平行に配列した強化繊維シート形状物を多層に積層してステッチ糸で編み込むことで一体化した多層基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸させた含浸層を含む。
【0033】
拘束層に含まれる含浸層は、1層でもよいし、複数層でもよい。
【0034】
含浸層は、好ましくは、プリプレグである。
【0035】
強化繊維糸条を平行に配列した強化繊維シート形状物とは、複数の強化繊維糸条をその長さ方向に平行に配列させてシート形状にしたものである。
【0036】
多層基材は、強化繊維シート形状物を多層に積層し、一体化させるためにステッチ糸を用いて編み込んだものである。
【0037】
ステッチ糸による編み込みの形態は、強化繊維シート形状物を多層に積層して一体化できる形態であれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な形態を採用し得る。このようなステッチ糸による編み込みの形態としては、例えば、チェーンステッチが挙げられる。
【0038】
このような多層基材を採用することにより、拘束層中の各方向における繊維密度を任意に調整することができ、用途目的に応じて優れた柔軟性を発現できるとともに曲げ強度の高い積層物を提供することができる。
【0039】
強化繊維糸条としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な強化繊維糸条を採用し得る。このような強化繊維としては、例えば、炭素繊維糸条、ガラス繊維糸条、樹脂繊維糸条から選ばれる少なくとも1種である。
【0040】
多層基材に含まれる多層の強化繊維シート形状物は、強化繊維シート形状物の層(1)と、該強化繊維シート形状物の層(1)が有する強化繊維糸条の長さ方向に対して、強化繊維糸条の長さ方向が30度以上異なる強化繊維シート形状物の層(2)を有する。強化繊維シート形状物の層(1)の質量は、強化繊維シート形状物の層(2)の質量と同等以上である。強化繊維シート形状物の層(2)は、多層基材に含まれる複数の強化繊維シート形状物の中で、強化繊維シート形状物の層(1)とは異なる強化繊維シート形状物の層であり、その強化繊維糸条の長さ方向が、強化繊維シート形状物の層(1)が有する強化繊維糸条の長さ方向に対して30度以上異なる層である。このように、強化繊維シート形状物の層(1)と強化繊維シート形状物の層(2)との角度を調整することにより、用途目的に応じて優れた柔軟性を発現できるとともに曲げ強度の高い積層物を提供することができる。
【0041】
強化繊維シート形状物の層(1)と強化繊維シート形状物の層(2)との角度については、拘束層の長さ方向を基準(0度)として、時計廻り方向への角度を正の角度とし、反時計廻り方向への角度を負の角度とする。例えば、図1に示すように、強化繊維シート形状物の層(1)100が有する強化繊維糸条の長さ方向と強化繊維シート形状物の層(2)200が有する強化繊維糸条の長さ方向とが揃った状態を拘束層の長さ方向に置いた状態から、該強化繊維シート形状物の層(1)100を時計廻り方向へ45度(すなわち、+45度)廻し、該強化繊維シート形状物の層(2)200を反時計廻り方向へ45度(すなわち、-45度)廻した場合、該強化繊維シート形状物の層(1)100と該強化繊維シート形状物の層(2)200とのなす角度は90度となる。
【0042】
強化繊維シート形状物の層(2)の強化繊維糸条の長さ方向の、強化繊維シート形状物の層(1)が有する強化繊維糸条の長さ方向に対する角度は、好ましくは30度~150度であり、より好ましくは45度~135度である。強化繊維シート形状物の層(2)の強化繊維糸条の長さ方向の、強化繊維シート形状物の層(1)が有する強化繊維糸条の長さ方向に対する角度が上記範囲内にあれば、用途目的に応じてより優れた柔軟性を発現できるとともに曲げ強度のより高い積層物を提供することができる。
【0043】
強化繊維シート形状物の層(1)と強化繊維シート形状物の層(2)の質量比は、好ましくは9:1~5:5であり、より好ましくは8:1~5:5であり、さらに好ましくは7:1~5:5であり、特に好ましくは6:1~5:5である。このように、強化繊維シート形状物の層(1)と強化繊維シート形状物の層(2)の質量比を調整することにより、用途目的に応じてより優れた柔軟性を発現できるとともに曲げ強度のより高い積層物を提供することができる。
【0044】
熱硬化性樹脂組成物としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な熱硬化性樹脂組成物を採用し得る。このような熱硬化性樹脂組成物としては、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂などが挙げられ、好ましくは、エポキシ系樹脂を含む。熱硬化性樹脂組成物がエポキシ系樹脂を含むことにより、用途目的に応じてより優れた柔軟性を発現できるとともに曲げ強度のより高い積層物を提供することができる。
【0045】
エポキシ系樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0046】
エポキシ系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なエポキシ系樹脂を採用し得る。このようなエポキシ系樹脂としては、例えば、ポリオールから得られるグリシジルエーテル、活性水素を複数個有するアミンより得られるグリシジルアミン、ポリカルボン酸より得られるグリシジルエステル、分子内に複数の2重結合を有する化合物を酸化して得られるポリエポキシドなどが挙げられる。具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂;テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルキシレンジアミンなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂;高耐熱性エポキシ樹脂であるフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂;テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルキシレンジアミンなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;等の組合せが挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と高耐熱性エポキシ樹脂(好ましくは、ノボラック型エポキシ樹脂)の含有比率が、質量比で、好ましくは90:10~10:90であり、より好ましくは80:20~20:80であり、さらに好ましくは70:30~50:50である組み合わせである。
【0047】
熱硬化性樹脂組成物中のエポキシ系樹脂の含有割合は、好ましくは50質量%~99質量%であり、より好ましくは70質量%~98質量%であり、さらに好ましくは80質量%~97質量%であり、特に好ましくは90質量%~96質量%である。熱硬化性樹脂組成物中のエポキシ系樹脂の含有割合が上記範囲内にあれば、用途目的に応じてより優れた柔軟性を発現できるとともに曲げ強度のより高い積層物を提供することができる。
【0048】
優れた柔軟性を発現できる積層物を提供するために、常温で固体状のエポキシ樹脂と常温で液体状のエポキシ樹脂を組み合わせることが好ましい。常温で固体状のエポキシ樹脂と常温で液体状のエポキシ樹脂の含有比率としては、質量比で、好ましくは90:10~10:90であり、より好ましくは80:20~20:80であり、さらに好ましくは70:30~50:50である。
【0049】
熱硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含んでいてもよい。このような硬化剤としては、例えば、エポキシ基と反応し得る活性基を有する化合物が挙げられる。このような硬化剤としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、m-キシリレンジアミンのような脂肪族アミン類;メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジエチルジフェニルメタン、ジアミノジエチルジフェニルスルホンなどの芳香族アミン類;ベンジルジメチルアミン、テトラメチルグアニジン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの第3アミン類;ジシアンジアミドのような塩基性活性水素化合物;アジピン酸ジヒドラジドなどの有機酸ジヒドラジド;2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾールなどのイミダゾール類;等のアミン系硬化剤が挙げられ、また、例えば、ポリアジビン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリセバシン酸無水物などの脂肪族酸無水物;メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物などの脂環式酸無水物;無水フタル酸、無水トリメット酸、無水ピロメリット酸、グリセロールトリストリメリテートなどの芳香族酸無水物;無水ヘット酸、テトラブロモ無水フタル酸などのハロゲン系酸無水物;等の酸無水物系硬化剤が挙げられる。本発明においては、比較的低温で硬化し、かつ保存安定性が良好なことから、硬化剤として、アミン系硬化剤が好ましく、塩基性活性水素化合物がより好ましい。
【0050】
硬化剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0051】
熱硬化性樹脂組成物中の硬化剤の含有割合は、エポキシ系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量%~10質量%であり、より好ましくは1質量%~9質量%であり、さらに好ましくは2質量%~8質量%であり、特に好ましくは3質量%~7質量%である。熱硬化性樹脂組成物中の硬化剤の含有割合が上記範囲内にあれば、用途目的に応じてより優れた柔軟性を発現できるとともに曲げ強度のより高い積層物を提供することができる。
【0052】
熱硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤を含んでいてもよい。このような硬化促進剤としては、硬化剤であるジシアンジアミドなどのアミン系硬化剤に硬化促進剤として尿素誘導体やイミダゾール誘導体を組み合わせる例、硬化剤であるカルボン酸無水物やポリフェノール化合物に硬化促進剤として3級アミンやイミダゾール誘導体を組み合わせる例などが挙げられる。本発明においては、比較的低温で硬化し、かつ保存安定性が良好なことから、硬化剤としてアミン系硬化剤(好ましくは塩基性活性水素化合物、より好ましくはジシアンジアミド)に、硬化促進剤として尿素誘導体からなる尿素系硬化促進剤を併用することが好ましい。このような尿素系硬化促進剤としては、例えば、4,4’-メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、3-フェニル-1,1ジメチルウレア、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(DCMU)、1,1’-4(メチル-m-フェニレン)ビス(3,3’ジメチルウレア)などが挙げられる。
【0053】
硬化促進剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0054】
熱硬化性樹脂組成物中の硬化促進剤の含有割合は、エポキシ系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量%~10質量%であり、より好ましくは0.5質量%~8質量%であり、さらに好ましくは1質量%~6質量%であり、特に好ましくは1.5質量%~5質量%である。熱硬化性樹脂組成物中の硬化促進剤の含有割合が上記範囲内にあれば、用途目的に応じてより優れた柔軟性を発現できるとともに曲げ強度のより高い積層物を提供することができる。
【0055】
熱硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なその他の成分を含んでいてもよい。このようなその他の成分としては、例えば、高分子化合物、有機フィラー、無機フィラー、カップリング剤などが挙げられる。
【0056】
その他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0057】
高分子化合物としては、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、主鎖に、炭素-炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、尿素結合、チオエーテル結合、スルホン結合、イミダゾール結合、カルボニル結合から選ばれる結合を有する熱可塑性樹脂が挙げられる。このような熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリアラミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマールのようなエンジニアリングプラスチックが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアセタールやポリビニルホルマールなどのポリビニル化合物は、加熱によりエポキシ樹脂に容易に可溶し、硬化物の耐熱性を損なうことなく強化繊維糸条との接着性を改善するとともに、粘度調整が可能であるため、好ましい。
【0058】
有機フィラーとしては、例えば、ゴム粒子、メラミン樹脂粒子、フェノール樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリイミド粒子、ポリアミド粒子、ポリエーテルスルホン粒子、ポリウレタン粒子、ポリアクリレート粒子などが挙げられる。ゴム粒子は、熱硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の靭性を向上させ得るとともに、その硬化物の耐衝撃性が向上させ得る効果を有する。このようなゴム粒子としては、架橋ゴム粒子、架橋ゴム粒子の表面に異種ポリマーをグラフト重合したコアシェルゴム粒子などが挙げられる。
【0059】
無機フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム(例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、白艶華など)、タルク、マイカ、クレー、雲母粉、ベントナイト、スメクタイト、シリカ(例えば、疎水性シリカ)、アルミナ、アルミニウムシリケート、水酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、フェライト、カーボンブラック、アセチレンブラック、アルミニウム粉、ガラス粉(ガラスパウダー)、ガラスバルーンなどが挙げられる。
【0060】
カップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤;γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基含有シランカップリング剤;p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル基含有シランカップリング剤;γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤;ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のポリスルフィド基含有シランカップリング剤;などが挙げられる。
【0061】
プリプレグ中の樹脂成分の含有率は、好ましくは10質量%~60質量%であり、より好ましくは20質量%~50質量%であり、さらに好ましくは25質量%~45質量%であり、特に好ましくは30質量%~40質量%である。プリプレグ中の樹脂成分の含有率を上記範囲内とすれば、用途目的に応じてより優れた柔軟性を発現できるとともに曲げ強度のより高い積層物を提供することができる。
【0062】
プリプレグの製造方法としては、例えば、マトリックス樹脂をメチルエチルケトン、メタノールなどの溶媒に溶解して低粘度化して含浸させるウエット法、必要により加熱して低粘度化した熱硬化性樹脂組成物を強化繊維に含浸させるホットメルト法などを挙げることができる。ホットメルト法では、必要により加熱して低粘度化した熱硬化性樹脂組成物を強化繊維に含浸させるか、または、必要により加熱して低粘度化した熱硬化性樹脂組成物を離型紙等の上にコーティングした樹脂シートを作製した後、強化繊維の両側または片側から該樹脂シートを重ね、加熱加圧することにより熱硬化性樹脂組成物を含浸させることにより、プリプレグが得られる。このホットメルト法は、プリプレグ中に溶媒が残留することがないため好ましい。
【0063】
プリプレグとしては、強化繊維として連続する繊維を一方向に引き揃えた一方向材(UD材)プリプレグ、織物プリプレグ、編物プリプレグ、不織布プリプレグなどが挙げられる。これらの中でも、UD材プリプレグは、繊維方向に沿った強度や弾性率が高く、航空機、船舶、風車などの構造材に用いられることが多い。一方、織物プリプレグは、複雑な曲面を有する形状の賦形性や意匠性に優れ、また、単独で縦横だけでなく中間の方向に対してもある程度の強度を発現することから広く適用されている。織組織としては、平織、朱子織などが挙げられる。通常の織物は、強化繊維糸条をたてよこ二方向に配した織組織を有するため、経糸と緯糸の交錯点で強化繊維糸条に屈曲(クリンプ)が発生するが、このクリンプにより強化繊維の真直性が低下するため、一般的に織物プリプレグを使用した場合はUD材プリプレグを使用した場合と比べて力学特性が劣る傾向にある。このような問題を解決する一手段として、一方向に平行に配列された強化繊維糸条の複数層が互いに異なる角度で積層された状態でステッチ糸を編み込むことにより一体化された多層基材であるNCF(Non-crimp fabric)の使用が注目されている。NCFは、強化繊維のクリンプを低減し、得られる繊維強化複合材料の力学特性を向上できるとともに、一枚で疑似等方などの積層構造を有するものが製造できるため、UD材、織物基材と比較して、プリプレグの積層作業を簡略化できるため、繊維強化複合材料の低コスト化が実現できる基材として期待されている。特にUD材、織物基材と比較して厚目付の基材を作製可能であるため、ウエット法との組み合わせによって厚目付で積層方向を制御したプリプレグの作製が可能となる。
【0064】
プリプレグの成形方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な成型方法を採用し得る。このような成型方法としては、例えば、シートワインディングによって筒状体に成形し、ラッピングテープなどで表面を締結したのち、加熱炉で硬化させる方法、所定の配向角で積層して真空バッグ等を用いてボイドを除去しながらオートクレーブや加熱炉で硬化させる方法、金型でのハイサイクルプレス成形によって成型する方法などが挙げられる。
【0065】
≪接着剤層≫
接着剤層は、好ましくは、エポキシ系樹脂を含む。
【0066】
接着剤層は、好ましくは、エポキシ系樹脂を含む接着剤組成物から形成される。
【0067】
エポキシ系樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0068】
接着剤組成物中のエポキシ系樹脂の含有割合は、好ましくは5質量%~80質量%であり、より好ましくは10質量%~70質量%であり、さらに好ましくは15質量%~60質量%であり、特に好ましくは20質量%~50質量%である。接着剤組成物中のエポキシ系樹脂の含有割合が上記範囲にあれば、用途目的に応じてより優れた柔軟性を発現できるとともに曲げ強度のより高い積層物を提供することができる。
【0069】
エポキシ系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なエポキシ系樹脂を採用し得る。このようなエポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂などの芳香族系エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、ヒダントインエポキシ樹脂などの含窒素環エポキシ樹脂;脂肪族系エポキシ樹脂;ジシクロ環型エポキシ樹脂などの脂環式エポキシ樹脂;グリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ウレタン変性エポキシ樹脂;ゴム変性エポキシ樹脂;等が挙げられる。
【0070】
エポキシ系樹脂は、本発明の効果をより発現し得る点で、好ましくは、常温液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む。エポキシ系樹脂として常温液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂を含めば、用途目的に応じてより優れた柔軟性を発現できるとともに曲げ強度のより高い積層物を提供することができる。
【0071】
エポキシ系樹脂が常温液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む場合、接着剤組成物中の常温液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂の含有割合は、好ましくは10質量%~90質量%であり、より好ましくは15質量%~80質量%であり、さらに好ましくは20質量%~70質量%であり、特に好ましくは25質量%~60質量%である。接着剤組成物中の常温液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂の含有割合が上記範囲にあれば、用途目的に応じてより優れた柔軟性を発現できるとともに曲げ強度のより高い積層物を提供することができる。
【0072】
エポキシ系樹脂は、本発明の効果をより発現し得る点で、好ましくは、ゴム変性エポキシ樹脂を含む。エポキシ系樹脂としてゴム変性エポキシ樹脂を含めば、用途目的に応じてより優れた柔軟性を発現できるとともに曲げ強度のより高い積層物を提供することができる。
【0073】
ゴム変性エポキシ樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0074】
ゴム変性エポキシ樹脂は、ゴム成分を含有するエポキシ樹脂であって、エポキシ樹脂にゴム成分を反応(変性)させることにより調製さる。
【0075】
ゴム成分は、エポキシ樹脂と反応する末端基を有するゴムであって、例えば、末端カルボキシル変性ブタジエン・アクリロニトリル共重合体(CTBN)、ブタジエン系ゴム、アクリル系ゴム、スチレン・ブタジエン系エストラマーなどが挙げられる。
【0076】
このようなゴム成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0077】
このようなゴム成分としては、好ましくは、末端カルボキシル変性ブタジエン・アクリロニトリル共重合体(CTBN)が挙げられる。
【0078】
ゴム変性エポキシ樹脂を調製するためには、例えば、エポキシ系樹脂とゴム成分とを混合し、必要により触媒を添加して、例えば、100~180℃において反応(変性)させる。これによって、ゴム成分の末端基とエポキシ系樹脂とが反応し、ゴム変性エポキシ樹脂が調製される。
【0079】
ゴム変性エポキシ樹脂は、好ましくは、液状ゴム変性エポキシ樹脂と固形ゴム変性エポキシ樹脂を含む。ゴム変性エポキシ樹脂が液状ゴム変性エポキシ樹脂と固形ゴム変性エポキシ樹脂を含むことにより、用途目的に応じてより優れた柔軟性を発現できるとともに曲げ強度のより高い積層物を提供することができる。
【0080】
液状ゴム変性エポキシ樹脂は、常温液状のゴム変性エポキシ樹脂であり、好ましくは、液状CTBN変性エポキシ樹脂が挙げられる。
【0081】
液状ゴム変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、好ましくは100g/eq~1000g/eqであり、より好ましくは200g/eq~600g/eqである。
【0082】
固形ゴム変性エポキシ樹脂は、常温固形のゴム変性エポキシ樹脂であって、好ましくは、固形CTBN変性エポキシ樹脂が挙げられる。
【0083】
固形ゴム変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、好ましくは500g/eq~2500g/eqであり、より好ましくは1000~2000g/eqである。
【0084】
ゴム変性エポキシ樹脂が液状ゴム変性エポキシ樹脂と固形ゴム変性エポキシ樹脂を含有する場合、液状ゴム変性エポキシ樹脂と固形ゴム変性エポキシ樹脂との配合比率(質量比)は、例えば、好ましくは95:5~35:65であり、より好ましくは90:10~40:60であり、さらに好ましくは85:15~45:55である。
【0085】
ゴム変性エポキシ樹脂は、市販品を用いてもよい。このような市販品としては、例えば、商品名「EPR1415-1」(液状CTBN変性エポキシ樹脂、エポキシ当量400g/eq 、ADEKA社製)、商品名「EPR2000」(液状CTBN変性エポキシ樹脂、エポキシ当量215g/eq 、ADEKA社製)、商品名「HYypoxRK84L」(固形CTBN変性エポキシ樹脂、エポキシ当量1200g/eq~1800g/eq 、CVC Specialty Chemicals社製)などが挙げられる。
【0086】
接着剤組成物中のゴム変性エポキシ樹脂の含有割合は、好ましくは10質量%~95質量%であり、より好ましくは20質量%~90質量%であり、さらに好ましくは30質量%~80質量%であり、特に好ましくは40質量%~70質量%である。接着剤組成物中のゴム変性エポキシ樹脂の含有割合が上記範囲にあれば、用途目的に応じてより優れた柔軟性を発現できるとともに曲げ強度のより高い積層物を提供することができる。
【0087】
接着剤組成物は、潜在性硬化剤を含んでいてもよい。潜在性硬化剤は、常温で固体であり、所定温度で液状となってエポキシ樹脂を硬化する硬化剤であって、好ましくは80℃~200℃の温度範囲で活性を有する化合物である。
【0088】
このような潜在性硬化剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0089】
潜在性硬化剤としては、例えば、尿素系化合物、アミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、ジヒドラジド系化合物、イミダゾール系化合物、イミダゾリン系化合物などが挙げられる。これらの中でも、潜在性硬化剤としては、尿素系化合物とアミド化合物との併用が好ましい。
【0090】
尿素系化合物としては、例えば、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素(DCMU)、N’-フェニル-N,N-ジメチル尿素、1、1’-(メチル-m-フェニレン)ビス(3,3’-ジメチル尿素)などが挙げられる。これらの尿素系化合物の中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素(DCMU)である。
【0091】
アミン系化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、それらのアミンアダクト、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどが挙げられる。
【0092】
酸無水物系化合物としては、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ジクロロコハク酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、クロレンディック酸無水物などが挙げられる。
【0093】
アミド系化合物としては、例えば、ジシアンジアミド、ポリアミドなどが挙げられる。これらのアミド化合物の中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、ジシアンジアミドである。
【0094】
ヒドラジド系化合物としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジドなどのジヒドラジドなどが挙げられる。
【0095】
イミダゾール系化合物としては、例えば、メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、エチルイミダゾール、イソプロピルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、フェニルイミダゾール、ウンデシルイミダゾール、ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾールなどが挙げられる。
【0096】
イミダゾリン系化合物としては、例えば、メチルイミダゾリン、2-エチル-4-メチルイミダゾリン、エチルイミダゾリン、イソプロピルイミダゾリン、2,4-ジメチルイミダゾリン、フェニルイミダゾリン、ウンデシルイミダゾリン、ヘプタデシルイミダゾリン、2-フェニル-4-メチルイミダゾリンなどが挙げられる。
【0097】
接着剤組成物中の潜在性硬化剤の含有割合は、エポキシ系樹脂100質量部に対して、好ましくは1~30質量部であり、より好ましくは2~20質量部であり、さらに好ましくは3~15質量部であり、特に好ましくは5~10質量部である。接着剤組成物中の潜在性硬化剤の含有割合が上記範囲内にあれば、用途目的に応じてより優れた柔軟性を発現できるとともに曲げ強度のより高い積層物を提供することができる。
【0098】
接着剤組成物は、充填剤、靭性付与剤が含まれていてもよい。
【0099】
充填剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。靭性付与剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0100】
接着剤組成物に充填剤が含まれることにより、用途目的に応じてより優れた柔軟性を発現できるとともに曲げ強度のより高い積層物を提供することができる。
【0101】
充填剤としては、例えば、硬質充填剤、軟質充填剤などが挙げられる。
【0102】
硬質充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム(例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、白艶華など)、タルク、マイカ、クレー、雲母粉、ベントナイト、シリカ(例えば、疎水性シリカ)、アルミナ、アルミニウムシリケート、水酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、フェライト、カーボンブラック、アセチレンブラック、アルミニウム粉、ガラス粉(ガラスパウダー)、ガラスバルーンなどが挙げられる。
【0103】
硬質充填剤としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、疎水性シリカおよびガラス粉(ガラスパウダー)が挙げられ、より好ましくは、それらの併用が挙げられる。
【0104】
疎水性シリカとガラス粉(ガラスパウダー)とを併用する場合、疎水性シリカの配合割合は、ガラス粉(ガラスパウダー)100質量部に対して、好ましくは1質量部~20質量部である。
【0105】
軟質充填剤としては、例えば、ゴム、エラストマー、ナイロン(登録商標)などの熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0106】
軟質充填剤としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、ゴムが挙げられ、さらに好ましくは、コアシェル型アクリルポリマーゴム粒子が挙げられる。コアシェル型アクリルポリマーゴム粒子は、実質的にゴムからなるコア部と、アクリル系ポリマーからなり、コア部を内包するシェル部とから構成されるコア/シェル型粒子である。
【0107】
硬質充填剤と軟質充填剤とを併用する場合、硬質充填剤の配合割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、軟質充填剤100質量部に対して、好ましくは1質量部~500質量部であり、より好ましくは2質量部~100質量部であり、さらに好ましくは5質量部~20質量部である。
【0108】
接着剤組成物中の充填剤の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、エポキシ系樹脂100質量部に対して、好ましくは2質量部~500質量部であり、より好ましくは5質量部~300質量部であり、さらに好ましくは10質量部~100質量部であり、特に好ましくは15質量部~50質量部である。
【0109】
靭性付与剤としては、例えば、ウレタンポリマー(ウレタン樹脂)などが挙げられる。
【0110】
このようなウレタンポリマーのなかでは、好ましくは、ウレタンアクリレート樹脂が挙げられ、さらに好ましくは末端にアクリロイル基を有するウレタン樹脂が挙げられる。
【0111】
接着剤組成物中の靭性付与剤の配合割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、エポキシ系樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部~100質量部であり、より好ましくは5質量部~50質量部である。
【0112】
接着剤組成物は、必要に応じて、例えば、粘着付与剤(例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、石油系樹脂など)、滑剤(例えば、ステアリン酸など)、安定剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、摺動性付与剤、界面活性剤などの公知の添加剤を適宜の割合で含んでいてもよい。
【0113】
接着剤組成物は、それを構成する各成分を、例えば、ミキシングロールなどによって混練し、混練物として調製する。また、混練時には、必要により、加熱することもできる。
【0114】
得られた混練物は、例えば、2枚の剥離紙の間に挟み込み、例えば、プレス成型などによって圧延することにより、2枚の剥離紙の間に接着剤層を形成することができる。
【0115】
また、得られた混練物を、潜在性硬化剤が実質的に反応しない温度条件下において、例えば、ナイフ塗工、ロール塗工、押出塗工などによって、基材の両面に接着剤層を形成した後、基材の両面に形成された接着剤層の表面に、それぞれ剥離紙を貼り合わせることにより、両面粘着テープを得ることもできる。
【0116】
また、接着剤組成物を、例えば、塗工することにより、剥離紙の表面などに接着剤層を積層した後、基材の両面にラミネートすることによっても、両面粘着テープを得ることもできる。
【0117】
このような両面接着テープでは、一方面の剥離紙を剥離して被着体表面に貼着した後に、その貼着面の他方面の剥離紙を剥離して、例えば、各種産業製品の構造部材を接合することができる。被着体としては、例えば、金属パネルなどの金属被着体、樹脂パネルなどの樹脂被着体などが挙げられる。
【0118】
接着剤層は、好ましくは、実質的に発泡剤を含まない。すなわち、接着剤組成物は、好ましくは、実質的に発泡剤を含まない。「実質的に発泡材を含まない」とは、発泡剤としての作用効果を奏する量の発泡剤を含まない意(すなわち、発泡剤としての作用効果を奏しない程度の微量の発泡剤の含有は排除されない意)であり、好ましくは、接着剤層中における含有割合が質量割合で0質量%、すなわち、接着剤組成物中における含有割合が質量割合で0質量%である。本発明の積層物においては、接着剤層中に実質的に発泡剤が含まれなくても、用途目的に応じてより優れた柔軟性を発現できるとともに曲げ強度のより高い積層物を提供することができる。
【実施例
【0119】
<曲げ強度>
実施例・比較例で得られた積層物の離型紙を剥がし、25mm幅×150mm長さ×0.8mm厚さの油面冷間圧縮鋼板(SPCC-SD、日本テストパネル社製)に、20℃で貼着し、170℃、0.1MPaで、30分加熱プレスして、試験片を作製した。
鋼板が上向きとなる状態で試験片をスパン100mmで支持し、その長手方向中央において、テスト用バーを垂直方向上方から圧縮速度5mm/分にて降下させたときの最大曲げ強度、最大曲げ強度時の変位を測定した。
【0120】
〔製造例1〕
表1に示す配合処方において、各成分を配合し、ミキシングロールで混練することにより混練物(接着剤組成物)を調製した。なお、この混練においては、まず、エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、充填剤、靭性付与剤を、120℃に加熱したミキシングロールで混練した後、この混練物を、60℃~100℃に冷却し、さらに、潜在性硬化剤を加えて、ミキシングロールで混練して、混練物を得た。
次いで、得られた混練物を、剥離紙に挟んだ状態でプレス成形により、厚み0.2mmに圧延して接着剤層を形成した。
その後、接着剤層の一方面の剥離紙を剥がし、厚み250μmの不織布基材(質量38g/m)の両面に、接着剤層をヒートプレス(50℃)にて貼着し、接着剤層および基材の合計の厚みを0.5mmとすることにより、両面接着テープ(1)を作製した。
【0121】
【表1】
【0122】
〔実施例1〕
(拘束層の準備)
フェノールノボラック型エポキシ樹脂(EP154、三菱化学社製):60質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(グレード1001、三菱化学社製):40質量部、硬化剤(ジシアンアミド、オミキュア5、CVCスペシャリティケミカルズ製):5質量部、硬化促進剤(4,4’-メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、オミキュア52、CVCスペシャリティケミカルズ製):2質量部を、メチルエチルケトンに分散溶解させて、含浸溶液(1)を調製した。
別途、強化繊維として、東レ社製の「TORAYCA」(登録商標)(T700SC-12000、強化繊維密度1.8g/cm)を用い、+45/-45度方向に1層が100g/mとなるように所定の本数を配し、これをポリエステル糸を用いてチェーンステッチにて縫合し、200g/mの炭素繊維基材(1)を作製した。
含浸溶液(1)に炭素繊維基材(1)を含浸させ、乾燥機で溶剤を揮発させ、樹脂成分の含有量が35質量%のプリプレグ(1)を作製した。
得られたプリプレグ(1)を5層積層し、80℃、0.2MPaにて30秒間プレスし、拘束層(1)を得た。
(積層物の作製)
製造例1で得られた両面接着テープ(1)の剥離紙を剥がし、拘束層(1)に貼りあわせ、積層物(1)を得た。
拘束層(1)の厚みは1200μmであり、接着剤層の厚みは500μmであり、積層物(1)の厚みは1700μmであった。曲げ強度評価は+45度方向を150mm長さ方向にとって強度評価を実施した。
結果を表2に示した。
【0123】
〔実施例2〕
(拘束層の準備)
含浸溶液として、実施例1と同じ含浸溶液(1)を調製した。
別途、強化繊維として、Eガラス繊維(引張強度3500MPa、引張弾性率74GPa、強化繊維密度2.6g/cm、単繊維経12μm)を用い、+45/-45度方向に1層が220g/mとなるように所定の本数を配し、これをポリエステル糸を用いてチェーンステッチにて縫合し、440g/mのガラス繊維基材(2)を作製した。
含浸溶液(1)にガラス繊維基材(2)を含浸させ、乾燥機で溶剤を揮発させ、樹脂成分の含有量が35質量%のプリプレグ(2)を作製した。
得られたプリプレグ(2)を2層積層し、80℃、0.2MPaにて30秒間プレスし、拘束層(2)を得た。
(積層物の作製)
製造例1で得られた両面接着テープ(1)の剥離紙を剥がし、拘束層(2)に貼りあわせ、積層物(2)を得た。
拘束層(2)の厚みは1200μmであり、接着剤層の厚みは500μmであり、積層物(2)の厚みは1700μmであった。曲げ強度評価は0度方向を150mm長さ方向にとって強度評価を実施した。
結果を表2に示した。
【0124】
〔実施例3〕
(拘束層の準備)
含浸溶液として、実施例1と同じ含浸溶液(1)を調製した。
別途、強化繊維として、東レ社製の「TORAYCA」(登録商標)(T700SC-12000、強化繊維密度1.8g/cm)を用い、+45/-45度方向に、+45度層が400g/m、-45度層が100g/mとなるように所定の本数を配し、これをポリエステル糸を用いてチェーンステッチにて縫合し、500g/mの炭素繊維基材(3a)を作製した。また同様に、-45/+45度方向に-45度層が400g/m、+45度層が100g/mとなるように所定の本数を配し、これをポリエステル糸を用いてチェーンステッチにて縫合し、500g/mの炭素繊維基材(3b)を作製した。
含浸溶液(1)に炭素繊維基材(3a)および(3b)を含浸させ、乾燥機で溶剤を揮発させ、樹脂成分の含有量が35質量%のプリプレグ(3a)および(3b)を作製した。
得られたプリプレグ(3a)および(3b)のそれぞれの100g/m層を内側に合わせて2層積層し、80℃、0.2MPaにて30秒間プレスし、拘束層(3)を得た。
(積層物の作製)
製造例1で得られた両面接着テープ(1)の剥離紙を剥がし、拘束層(3)に貼りあわせ、積層物(3)を得た。
拘束層(3)の厚みは1200μmであり、接着剤層の厚みは500μmであり、積層物(3)の厚みは1700μmであった。曲げ強度評価は400g/m層の繊維方向を150mm長さ方向にとり強度評価を実施した。
結果を表2に示した。
【0125】
〔実施例4〕
(拘束層の準備)
含浸溶液として、実施例1と同じ含浸溶液(1)を調製した。
別途、強化繊維として、東レ社製の「TORAYCA」(登録商標)(T700SC-12000、強化繊維密度1.8g/cm)を用い、0/+90度方向に1層が250g/mとなるように所定の本数を配し、これをポリエステル糸を用いてチェーンステッチにて縫合し、500g/mの炭素繊維基材(4)を作製した。
含浸溶液(1)に炭素繊維基材(4)を含浸させ、乾燥機で溶剤を揮発させ、樹脂成分の含有量が35質量%のプリプレグ(4)を作製した。
得られたプリプレグ(4)を2層積層し、80℃、0.2MPaにて30秒間プレスし、拘束層(4)を得た。
(積層物の作製)
製造例1で得られた両面接着テープ(1)の剥離紙を剥がし、拘束層(4)に貼りあわせ、積層物(4)を得た。
拘束層(4)の厚みは1200μmであり、接着剤層の厚みは500μmであり、積層物(4)の厚みは1700μmであった。曲げ強度評価は0度方向を150mm長さ方向にとって強度評価を実施した。
結果を表2に示した。
【0126】
〔実施例5〕
(拘束層の準備)
含浸溶液として、実施例1と同じ含浸溶液(1)を調製した。
別途、強化繊維として、東レ社製の「TORAYCA」(登録商標)(T700SC-12000、強化繊維密度1.8g/cm)を用い、+45/+90度方向に+45度層が400g/m、+90度層が100g/mとなるように所定の本数を配し、これをポリエステル糸を用いてチェーンステッチにて縫合し、500g/mの炭素繊維基材(5a)を作製した。また同様に、-45/+90度方向に-45度層が400g/m、+90度層が100g/mとなるように所定の本数を配し、これをポリエステル糸を用いてチェーンステッチにて縫合し、500g/mの炭素繊維基材(5b)を作製した。
含浸溶液(1)に炭素繊維基材(5a)および(5b)を含浸させ、乾燥機で溶剤を揮発させ、樹脂成分の含有量が35質量%のプリプレグ(5a)および(5b)を作製した。
得られたプリプレグ(5a)および(5b)のそれぞれの100g/m層を内側に合わせて2層積層し、80℃、0.2MPaにて30秒間プレスし、拘束層(5)を得た。
(積層物の作製)
製造例1で得られた両面接着テープ(1)の剥離紙を剥がし、拘束層(5)に貼りあわせ、積層物(5)を得た。
拘束層(5)の厚みは1200μmであり、接着剤層の厚みは500μmであり、積層物(5)の厚みは1700μmであった。曲げ強度評価は+45度方向を150mm長さ方向にとり強度評価を実施した。
結果を表2に示した。
【0127】
〔比較例1〕
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「エピコート#828」、エポキシ当量=180g/eq、ジャパンエポキシレジン株式会社製):100質量部、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(商品名「NBR1042」、日本ゼオン株式会社製):30質量部、タルク:100質量部、炭酸カルシウム:100質量部、カーボンブラック(商品名「旭#50」、旭カーボン株式会社製)、スチレンブタジエンゴム(商品名「タフデン2003」、旭化成株式会社製):50質量部を、120℃に加熱したミキシングロールで混練した後、この混練物を50℃~80℃に冷却し、さらに、硬化剤(ジシアンアミド、オミキュア5、CVCスペシャリティケミカルズ製):5質量部、硬化促進剤(DCMU、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア、保土ヶ谷化学社製):5質量部、加硫剤(微粉硫黄):30質量部、加硫助剤(酸化亜鉛):5質量部、加硫助剤(2-メルカプトベンゾチアゾール):10質量部、発泡剤(4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド):3質量部を加えて、ミキシングロールで混練し、樹脂組成物を調製した。
次いで、この樹脂組成物を、プレス成型機によって厚さ1.0mmに圧延して樹脂層を形成した。その後、この樹脂層に、補強層として、厚さ0.2mmの樹脂含浸ガラスクロスを貼り合わせ、樹脂層における補強層が貼り合わされた反対側の表面に、離型紙を貼着することにより、積層物(C1)を得た。
積層物(C1)の厚みは1200μmであった。
結果を表2に示した。
【0128】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明の積層物は、例えば、輸送機器などの各種産業機器の外板や骨格等に貼着して利用可能である。
図1