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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】光検出器
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/02 20060101AFI20230106BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20230106BHJP
【FI】
H01L31/02 B
G01B11/00 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019556599
(86)(22)【出願日】2018-04-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2018060069
(87)【国際公開番号】W WO2018193045
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-04-19
(31)【優先権主張番号】17167380.9
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517267802
【氏名又は名称】トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】アルテンベック,ティモ
(72)【発明者】
【氏名】ベヒテル,ハイジ
(72)【発明者】
【氏名】ヒュー,レジーナ
(72)【発明者】
【氏名】ディットマン,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】フプファウアー,トマス
(72)【発明者】
【氏名】カレッタ,ペーター パウル
(72)【発明者】
【氏名】グスト,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】フォイアーシュタイン,ベルトラム
(72)【発明者】
【氏名】ヘルメス,ヴィルフリート
(72)【発明者】
【氏名】ファローフ,ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ゼント,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ブルーダー,イングマル
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/120392(WO,A1)
【文献】特開2008-053546(JP,A)
【文献】特開2006-186288(JP,A)
【文献】特開平03-021078(JP,A)
【文献】特開2004-179218(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0146028(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0124782(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/08-31/119
H01L 27/144-27/148
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光ビーム(120)の光学的検出のための検出器(110)であって、
- 少なくとも1つの層を担持するように設計され、プリント回路基板(132)であるかまたはそれを含む、回路キャリア(130)と、
- 前記回路キャリア(130)のパーティションに配置され、前記入射光ビーム(120)を反射し、それにより、少なくとも1つの反射光ビーム(124)を生成するように設計された、反射層(138)と、
接的に前記反射層(138)に隣接する基板層(114)であって、前記入射光ビーム(120)および反射光ビーム(124)に対して少なくとも部分的に透明である基板層(114)と、
- 前記基板層(114)上に配置されたセンサ層(122)であって、前記入射光ビームおよび反射光ビーム(124)による前記センサ層(122)の照射に依存するようにして少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されたセンサ層(122)と、
- 前記センサ信号を評価することによって、少なくとも1つの情報項目を生成するように設計された評価装置(150)と、
- 前記基板層(114)と前記反射層(138)との間に配置された接着層(146)と、を含み、
前記接着層(146)は、接着物質であるか、または接着物質を含み、前記接着物質は、前記基板層(114)および前記反射層(138)を組み立てるように設計されており、
前記接着物質は、拡散反射粒子または鏡面反射粒子で満たされた有機接着剤から選択される、検出器(110)。
【請求項2】
前記検出器(110)が、760nmから1000μmの範囲の赤外線スペクトル範囲の少なくとも1つのパーティションの少なくとも1つの波長を検出するように設計されている、請求項1に記載の検出器(110)。
【請求項3】
前記反射層(138)は、前記入射光ビーム(120)が少なくとも部分的に前記センサ層を透過した後に前記センサ層(122)に反射して戻る様式で、前記入射光ビーム(120)を反射するように設計されている、請求項1または2に記載の検出器(110)。
【請求項4】
前記反射層(138)は、前記入射光ビーム(120)に拡散反射を提供するように設計されている、請求項1から3のいずれか1つに記載の検出器(110)。
【請求項5】
前記反射層(138)が粗面を示し、前記粗面が少なくとも0.01μmのRa値を示す、請求項4に記載の検出器。
【請求項6】
前記反射層(138)は、金層(142)、銀層、ニッケル層、スズ層、鉛層、パラジウム層、プラチナ層、アルミニウム層、銅層、またはそれらの合金の層、のうちの少なくとも1つである、請求項1から5のいずれか1つに記載の検出器(110)。
【請求項7】
記接着層(146)は、前記入射光ビーム(120)に対して少なくとも部分的に反射性である、請求項1から6のいずれか1つに記載の検出器(110)。
【請求項8】
前記センサ層(122)は、感光性材料(126)を含み、
前記感光性材料(126)は、セレン、テルル、セレン-テルル合金、金属酸化物、第4族元素または化合物、III-V族化合物、II-VI族化合物、カルコゲニド、プニクトゲニド、ハロゲン化物、および固溶体および/またはそのドープ変形、のうち1つまたは複数を含む無機光導電性材料(128)である、請求項1から7のいずれか1つに記載の検出器(110)。
【請求項9】
前記カルコゲニドは、硫化鉛(PbS)、硫化銅インジウム(CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、硫化銅亜鉛スズ(CZTS)、セレン化鉛(PbSe)、セレン化スズ亜鉛銅(CZTSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe)、テルル化水銀亜鉛(HgZnTe)、硫セレン化鉛(PbSSe)、銅-亜鉛-硫化スズ-セレンカルコゲニド(CZTSSe)、および固溶体および/またはそのドープ変形、からなる群から選択される、請求項8に記載の検出器(110)。
【請求項10】
前記センサ層(122)に接触する少なくとも2つの個別の電気接点(148、148’)をさらに備え、
前記電気接点(148、148’)は、前記回路キャリア(130)を介してセンサ信号を前記評価装置(150)に送信するように設計されている、請求項1から9のいずれか1つに記載の検出器(110)。
【請求項11】
各前記電気接点(148、148’)について、前記電気接点(148、148’)を少なくとも1つの対応する受け接点に接触させる少なくとも1つのワイヤボンド(152、152’)が、前記回路キャリア(130)上にさらに配置されている、請求項10に記載の検出器(110)。
【請求項12】
少なくとも前記センサ層(122)上に配置されたカバー層(156)をさらに含み、前記カバー層(156)は、前記入射光ビーム(120)に対して少なくとも部分的に透明である、請求項1から11のいずれか1つに記載の検出器(110)。
【請求項13】
前記カバー層(156)は、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、それらの混合物および/または積層物の少なくとも1つの酸化物、少なくとも1つの水酸化物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項12に記載の検出器(110)。
【請求項14】
前記センサ信号が縦方向センサ信号であって、前記縦方向センサ信号は、照射の総出力が同じ場合、前記センサ層内の前記入射光ビーム(120)のビーム断面積に依存し、前記評価装置(150)は、前記縦方向センサ信号を評価することによって、物体(112)の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成するようにさらに設計されている、請求項1から13のいずれか1つに記載の検出器(110)。
【請求項15】
入射光ビーム(120)の光学的検出のための検出器(110)を製造する方法であって:
a)回路キャリア(130)のパーティション上に反射層(138)を堆積する工程であって、前記反射層(138)は前記入射光ビーム(120)を少なくとも部分的に反射するように設計され、前記回路キャリア(130)はプリント回路基板(132)であるかまたはそれを含んでいる、工程;
b)少なくとも部分的に透明な基板層(114)上に感光性材料(126)を堆積することによりセンサ層(122)を生成する工程であって、前記センサ層(122)は、前記入射光ビーム(120)と反射光ビーム(124)とによる前記センサ層(122)の照射に依存するようにして、少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されてい
る、工程;
c)前記反射層(138)上に、前記センサ層(122)を担持する前記基板層(114)を配置する工程;
d)評価装置(150)を設ける工程であって、前記評価装置(150)は前記センサ信号を受信すると共に、前記センサ信号を評価することにより少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている、工程;および
e)前記基板層(114)と前記反射層(138)との間に接着層(146)を配置する工程、を含み、
前記接着層(146)は、接着物質であるか、または接着物質を含み、前記接着物質は、前記基板層(114)および前記反射層(138)を組み立てるように設計されており、
前記接着物質は、拡散反射粒子または鏡面反射粒子で満たされた有機接着剤から選択される、方法。
【請求項16】
使用目的が、距離測定、位置測定、娯楽用途、セキュリティ用途、ヒューマンマシンインターフェース用途、追跡用途、走査用途、立体視、写真撮影用途、イメージング用途またはカメラ用途、少なくとも1つの空間のマップを生成するためのマッピング用途、車両用のホーミングまたは追跡ビーコン検出器、熱特性を有する物体の距離および/または位置測定、マシンビジョン用途、ロボット用途、物流用途、車両用途、飛行機用途、船舶用途、宇宙船用途、ロボット用途、医療用途、スポーツ用途、建築用途、建設用途、製造用途、マシンビジョン用途;飛行時間型検出器・レーダ・ライダー(Lidar)・超音波センサ・または干渉法から選択された少なくとも1つの検知技術と組み合わせた使用;赤外線検出用途、熱検出用途、温度計用途、熱探求用途、火炎検出用途、火災検出用途、煙検出用途、温度感知用途、分光法用途、写真複写用途、ゼログラフィ用途、排気ガス監視用途、燃焼プロセス監視用途、汚染監視用途、工業プロセス監視用途、化学プロセス監視用途、食品加工プロセス監視用途、水質監視用途、大気質監視用途、品質管理用途、温度制御用途、動作制御用途、排気制御用途、ガス感知用途、ガス分析用途、動作感知用途、化学感知用途、からなる群から選択される使用目的のための検出器(110)を参照する請求項1から14のいずれか1つに記載の検出器(110)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に赤外線スペクトル範囲内における放射の光学的検出のための検出器に関し、具体的には、少なくとも1つの光学的に考えられる物体の特性を感知することに関する。より詳細には、該検出器は、少なくとも1つの物体の透過率、吸収、放射、反射率、および/または位置を決定するために使用され得る。さらに、本発明は、ヒューマンマシンインターフェース、娯楽装置、走査システム、追跡システム、立体視システムおよびカメラに関する。さらに、本発明は、光検出器を製造する方法、および光検出器の様々な使用に関する。このような装置、方法および使用は、例えば日常生活、ゲーム、交通技術、空間マッピング、製造技術、セキュリティ技術、医療技術の様々な分野または科学分野において採用され得る。ただし、さらなる適用も可能である。
【背景技術】
【0002】
特に赤外線スペクトル領域において検出するために設計された光学検出器(IR検出器)は、特に透明基板上に配置された硫化鉛(PbS)またはセレン化鉛(PbSe)の光導電体の薄層を有する。本明細書では、高性能を達成するために、光導電層は比較的薄い層であるが、それでも特に入射光ビームの長波長に対して少なくとも部分的に透明であることが証明されている。IRスペクトル範囲は760nmから1000μmの波長を含むため、測定の適用中に入射光の大きなパーティションがこのために失われる可能性がある。したがって、IR検出器で測定中にこの入射光の損失を減らすために、ガラス基板の裏面に反射性の金コーティングを配置することが知られている。ただし、ガラス基板の裏面に追加の金の層を配置するには、複雑な製造ステップが必要である。
【0003】
WO2016/120392A1は、センサ領域の照射に依存する少なくとも1つのセンサ信号を生成するよう設計された縦方向光センサを開示している。いわゆる「FiP効果」によれば、センサ信号は、照射の総出力が同じであれば、照射の幾何学的形状、特にセンサ領域上の照射のビーム断面積に依存する。さらに、センサ信号から少なくとも1つの幾何学的情報項目、特に照射および/または物体に関する少なくとも1つの幾何学的情報項目を生成するように設計された少なくとも1つの評価装置を有する光検出器が開示されている。ここでは、縦方向光センサのセンサ領域は光導電性材料を備え、該光導電性材料内の導電性は、照射の総出力が同じであれば、センサ領域の光ビームのビーム断面積に依存する。したがって、縦方向センサ信号は光導電性材料の導電性に依存する。好ましくは、上記光導電性材料は、硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、テルル化鉛(PbTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、リン化インジウム(InP)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、アンチモン化インジウム(InSb)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe;MCT)、硫化銅インジウム(CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、または硫化銅亜鉛スズ(CZTS)から選択される。さらに、固溶体および/またはそのドープ変形も可能である。さらに、センサ領域を有する横方向光センサが開示されており、センサ領域は、2つの透明な導電性酸化物層の間に優先的に埋設された光導電性材料の層と、少なくとも2つの電極とを含んでいる。好ましくは、電極の少なくとも1つは、少なくとも2つの部分電極を有する分割電極であり、該部分電極によって提供される横方向センサ信号は、センサ領域内の入射光ビームのx位置および/またはy位置を示す。
【0004】
US2014/124782A1は、例えばSi、Ge、またはSi/Geなどの半導体材料を含むように構成された基板、読み出し集積回路と同様に、吸収層と変換層の両方として機能することができるカルコゲナイド材料を含むセンサ層、該センサ層に電気的に接続され、入射赤外線またはそれから発生する熱によって引き起こされ得る、センサ層の抵抗の変化を検出するように構成された検出部、前記基板と前記センサ層の間に配置された介在層を含み、前記介在層が前記基板上に順次積層された反射層並びに分離層を有している光検出器を開示している。
【0005】
US2012/146028A1は、基板、特に低アルカリガラス基板、または石英基板などの半透明ガラス基板、基板層としてのベース層、センサ層としての少なくともn型領域およびp型領域を有する半導体層、および反射層としての金属酸化物層、を含み、そこでは前記半導体層を通過した入射光の一部は、続いてベース層を通過し、最終的には金属酸化物層の上面に到達する、光学検出器をさらに開示している。金属酸化物層の上面には、ランダムな凹凸が設けられているため、入射光は金属酸化物層を通過できず、むしろ、このように金属酸化物層は入射光を拡散反射する。
【0006】
上述の装置が含む利点にかかわらず、単純で、費用効率がよく、そしてなお信頼性のある光センサおよび空間検出器に関する改良が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明によって解決される問題は、この種の既知の装置および方法の不利な点を少なくとも実質的に回避する、光学的検出のための装置および方法を明確にすることである。
【0008】
特に、赤外線スペクトル範囲内の、具体的には、透過率、吸収率、放射率および反射率のうちの少なくとも1つを感知することに関し、特に赤外線スペクトル範囲内の光放射を検出するための、単純で費用効率が高いながらも信頼性のある改善された光検出器を提供するのが望ましい。これにより、光検出器は、可能な限り入射光、特に赤外線スペクトル範囲からの入射光の損失を低減または回避できる様式で配置され、その光検出器が簡単な製造方法を適用することによって製造され得るのが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この問題は、本発明の特許請求の範囲の独立項の特徴によって解決される。個々にまたは組み合わせて実現することができる本発明の有利な発展は、従属請求項および/または以下の明細書及び詳細な実施形態に示されている。
【0010】
本明細書で使用されるとき、「有する」、「含む」、または「含有する」という表現ならびにそれらの文法上の変形は、非排他的な形で使用される。したがって、「AはBを有する」ならびに「AはBを含む」または「AはBを含有する」という表現は、Bに加えてAが1つまたは複数の更なるコンポーネントおよび/または構成要素を含むという事実、およびBに加えてAには他のコンポーネント、構成要素または要素が存在しないという事実の両方を指すことができる。
【0011】
本発明の第1の態様では、入射光ビームの光学的検出のための光検出器が開示されている。ここで、本発明による光検出器は、
- 少なくとも1つの層を担持するように設計された回路キャリア;
- 前記回路キャリアのパーティションに配置されている反射層であって、入射光ビームを反射するように設計され、それにより、少なくとも1つの反射光ビームを生成する反射層;
- 直接的または間接的に前記反射層に隣接する基板層であって、上記入射光ビームおよび反射光ビームに対して少なくとも部分的に透明である基板層;
- 前記基板層上に配置されたセンサ層であって、上記入射光ビームおよび反射光ビームによる前記センサ層の照射に依存するようにして少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されたセンサ層;そして
- センサ信号を評価することによって、少なくとも1つの情報項目を生成するように設計された評価装置、を含む。
【0012】
ここで、上に列挙した構成は、別々の構成であっても良い。代替的に、上に列挙した2つ以上の構成を1つの構成に統合することができる。好ましくは、評価装置は、他の光学コンポーネントから独立した別個の評価装置として形成されてもよいが、好ましくは、センサ信号を受信するために、センサ層に接続されてもよい。ただし、他の種類の構成も実行可能である。
【0013】
一般的に使用されるように、「光検出器」という用語は、特に、スペクトル範囲の少なくとも1つのパーティション内の少なくとも1つの波長を検出するために設計されてよく、スペクトル範囲の所望のパーティションは、紫外(UV)スペクトル範囲、可視(VIS)スペクトル範囲および/または赤外(IR)スペクトル範囲から選択されてもよい。本発明による光検出器、または単に本発明による検出器の場合、IR範囲、すなわち、760nmから1000μmのスペクトル範囲が特に好ましい。
【0014】
本発明によれば、検出器は、以下により詳細に説明するように、少なくとも1つの層、特に少なくとも1つの反射層を担持するように設計された回路キャリアを備える。本明細書で使用するとき、「回路キャリア」という用語は、少なくとも1つの電子的、電気的、および/または光学的要素、特に複数のこのような要素を担持するために提供されるキャリアを指し、キャリアは、これらの電子的、電気的、および/または光学的要素を機械的に支持し、且つ電気的に接続するように設計されている。好ましい実施形態では、回路キャリアは平面回路キャリアであってもよい。一般的に使用されるように、「平面」という用語は、通常平面体の「表面」と呼ばれ、通常平面体の「厚さ」と呼ばれる3次元の拡張を少なくとも10倍、好ましくは少なくとも100倍、より好ましくは少なくとも1000倍超えた2次元の拡張を含む本体を指す。代替の実施形態では、非平面回路キャリア、特にフレックスプリント回路(FPC)またはメカトロニクス集積デバイス(MID)のうちの1つを適用することも可能である。
【0015】
特に好ましい実施形態では、回路キャリアは、通常「PCB」と略されるプリント回路基板であるか、またはそれを含むことができ、これはボードとも呼ばれることがある非導電性の平面基板を指し、その上に少なくとも1枚のシートの導電性材料、特に銅層が適用され、具体的には積層される。さらに、1つまたは複数の電子的、電気的、および/または光学的要素を含むこのタイプの回路キャリアを指す他の用語は、プリント回路アセンブリ、略して「PCA」、プリント基板アセンブリ、略して「PCBアセンブリ」または「PCBA」、回路カードアセンブリまたは略して「CCA」または単に「カード」と呼ばれることもある。PCBでは、絶縁基板はガラスエポキシを含むことができ、フェノール樹脂を含浸させた、典型的には黄褐色または茶色の綿紙も基板材料として使用することができる。シートの数に応じて、プリント回路基板は、片面PCB、2層または両面PCB、または多層PCBであり得、異なるシートは、いわゆる「ビア(vias)」を使用することによって互いに接続されている。本発明の目的のためには、片面PCBの適用で十分かもしれない;しかし、他の種類のプリント回路基板も適用可能であり得る。両面PCBは両面に金属を有することができ、一方で多層PCBは、追加の金属層を絶縁材料のさらなる層の間に挟むことにより設計され得る。さらに、2つの両面PCBを使用することにより、4層のPCBが生成され得、2つの第1層は電源および接地面として使用され、2つの第2層は、電気コンポーネント間の信号配線として使用され得る。多層PCBにおいて、層は、金属、基板、金属、基板、金属などの順序で交互に積層され得、各金属層は個々にエッチングされ、あらゆる内部ビアは複数の層が積層される前にめっきされ得る。さらに、ビアは、好ましくは、絶縁基板を通る電気トンネルとして設計することができる銅めっき穴であってもよく、または銅めっき穴を含んでもよい。この目的のために、通常、基板を通過するワイヤリードによって取り付けられ、反対側のトラックまたはトレースにはんだ付けされるスルーホールコンポーネントも使用することができる。
【0016】
例えばトラック、トレース、パッド、隣接シート間の接続を生成するためのビア、または固体導電性領域などの機能のような導電性のパターンまたは構造は、シートの選択された領域において、好ましくはシートのパーティションを削除することにより、特にエッチング、シルクスクリーン印刷、写真製版、PCBミリング、またはレーザーレジストアブレーションにより1つまたは複数のシートに導入することができ、それによって、所望の構造が作成される。エッチングは、好ましくは、PCB上にコーティングされているフォトレジスト材料を使用することにより実行され得、該フォトレジスト材料は続いて露光され、それにより、所望のパターンが生成され得る。ここで、フォトレジスト材料は、エッチング溶液への溶解から金属を保護するように適合されてもよい。エッチング後、PCBは最終的に洗浄され得る。この方法を使用することにより、特定のPCBパターンが大量に複製され得る。ただし、他の種類の分離方法または接続方法も適用可能である。例として、PCBに導入されたトラックは、選択された位置に固定されるワイヤとして機能でき、隣接するトラックは、一方では、基板材料によって、他方ではPCBが使用される条件下で電気的に絶縁する流体、具体的には隣接するトラック間の隙間に存在する可能性のある空気または保護ガスによって、互いに絶縁され得る。さらに、PCBの表面には、ソルダーレジストとも呼ばれるコーティングであって、少なくとも1枚のシート内の金属、特に銅を、腐食などの有害な環境効果から保護するように設計されたコーティングが施されている場合があり、このため、はんだまたは剥き出しの裸線によって生成され得る望ましくない短絡が発生する可能性が低くなる。多層PCBでは、内側の金属層が隣接する基板層によって保護されているため、外側の金属層のみがこの方法でコーティングされる。
【0017】
さらに、電子的、電気的、および/または光学的要素またはコンポーネントは、はんだ付け、溶接、堆積などによって、基板上に配置されてもよく、または、追加的または代替として、例えば、この目的のために基板に指定されたシート座にそれらを配置することにより、および/または回路キャリアのパーティションを意図的に取り除くことにより回路キャリアに埋め込まれてもよい。好ましくは、表面実装部品、特にトランジスタ、ダイオード、ICチップ、抵抗器とコンデンサが、このように、それぞれのコンポーネントを金属トラック、トレース、または基板の同じ側の領域に接続する導電性リードを使用して、PCBに取り付けられる。別の方法として、スルーホール実装は特に電解コンデンサやコネクタなどの拡張されたまたは体積の大きい部品に使用され得る。さらなる代替として、コンポーネントは基板内に埋め込まれてもよい。さらに、PCBはさらに通常「シルクスクリーン」という用語で示されるPCB上の領域を含むことができ、その上にコンポーネントまたはテストポイントを識別する凡例などの識別文字を印刷することができる。プリント回路基板のさらなる実施形態については、https://en.wikipedia.org/wiki/Printed_circuit_boardを参照してよい。ただし、他の種類の回路キャリアも適用可能である。
【0018】
さらに、本発明によれば、検出器は反射層を備え、該反射層は回路キャリアのパーティション、特に回路キャリアの表面のパーティション、より具体的には、プリント回路基板の表面のパーティションの上に配置される。本明細書において、用語「反射層」は、入射光ビームを反射するように設計された層であって、好ましくは入射光ビームが、少なくとも部分的にセンサ層を透過した後、センサ層に反射して戻り得るように設計された層を指す。したがって、この配置は、入射光ビームをセンサ層に向け直すことを可能にし、それにより、この種の検出器での測定中の入射光の損失を減らすことができる。
【0019】
特に好ましい実施形態では、反射層、特に少なくとも入射光ビームが衝突するように設計された反射層の表面は、金属層、または少なくとも金属表面、好ましくは金層、銀層、または銅層を含む。本明細書において、金層、銀層、および銅層は、IRにおいて高い反射率、具体的に例えば760nmから20μmの全IRスペクトル範囲にわたって90%を超える反射率を示すため、特に好ましい。さらに、金層は、回路キャリア、特にPCBの受け表面に金を堆積させることで製造できるため、さらに好ましい。しかしながら、例えば1μmから20μmまで90%を超える反射率を示すアルミニウムなどの、他の種類の金属層も適している場合がある。PCBの接点の製造に使用される他の一般的な材料は、スズ、パラジウム、ニッケル、または鉛であり、それぞれ反射層として使用され得る。さらに、一般的に使用されるシルクスクリーン印刷、はんだ止めラッカー、およびPCB製造で一般的なその他の有機被覆層は、良好な反射特性を示す。例として、白いシルクスクリーンは、特に、層に白色顔料を使用しているため、かなり高い広帯域拡散反射を示す。特に、反射層は、10nmから100μm、好ましくは20nmから10μm、より好ましくは40nmから2μmの厚さを示し得る。
【0020】
特定の実施形態では、反射層は、入射光ビームを反射し拡散反射がこれにより生成されるように設計されてもよく、「拡散反射」という用語は、さまざまな方向への入射光ビームの散乱に関係する。この目的のために、反射層は、反射層の平坦な表面とは対照的な粗い表面を示し得る。好ましくは、粗い表面は、少なくとも0.01μmの粗さのRa値を示し得る。結果として、この特定の実施形態において反射層の粗い表面に衝突し得る入射光ビームは、一般に、表面に対して狭い角度で反射され、したがって、反射光ビームは、高い確率で吸収される可能性があるセンサ層をより長い距離にわたって進む。その結果、この特定の実施形態における反射層の粗い表面は、入射光の好ましい吸収のためにそれぞれのビームを有利な角度でセンサ層に向け直すことにより、入射光の損失を低減し得る。
【0021】
反射層の粗い表面を得るために、さらなる表面層が回路キャリアと反射層の間に配置されてもよい。さらに、粗い表面を得るために、回路キャリアは、粗面化工程、好ましくはブラッシング、エッチング、ジェット軽石、またはレーザ処理によって処理され、特に、処理される領域の頂部に適用されると、反射層の表面粗さを増加させることができる。ほとんどのPCB表面仕上げでは、表面粗度は、初期洗浄ステップでの金属層、特に銅層の前処理、優先的には粗面化工程、好ましくはジェット軽石、エッチングまたはブラッシングの適用によってすでに実施されている。好ましくはニッケル、金、パラジウム、スズ、鉛、アルミニウム、銀、またはそれらの合金のうちの少なくとも1つを含む、続けて堆積された層は、底部銅層の粗さに従い得る。PCB銅層で見られる典型的な粗さのRaおよびRz値は、Raが0.3から0.4μm、Rzが約3から4μmのオーダーである。
【0022】
さらに本発明によれば、検出器は、少なくとも1つの感光性材料を含むセンサ層を備え、センサ層は、検出器のセンサ領域として機能することができる。本明細書で使用される「センサ領域」は、光ビームによる検出器の照射を受けるように設計された検出器のパーティションと考えられ、センサ領域によって受けられるような照射が少なくとも1つのセンサ信号を引き起こし、センサ信号の生成は、センサ信号とセンサ領域の照射の仕方との間の定義された関係によって支配され得る。
【0023】
センサ信号は一般に、測定されるべき所望の光学特性、特に、入射光ビームの透過率、吸収、放射および反射率、または物体の位置を示す任意の信号である。一例として、センサ信号は、デジタル信号および/またはアナログ信号であってもよく、またはそれを含んでもよい。一例として、センサ信号は、電圧信号および/または電流信号であってもよく、またはそれを含んでもよい。追加的または代替的に、センサ信号はデジタルデータであってもよく、デジタルデータを含んでもよい。センサ信号は、単一の信号値および/または一連の信号値を含んでもよい。センサ信号は、2つ以上の個々の信号を組み合わせることによって、例えば2つ以上の信号を平均することによって、および/または2つ以上の信号の商を形成することなどによって得られる任意の信号をさらに含み得る。
【0024】
好ましい実施形態では、センサ層に含まれる少なくとも1つの感光性材料は、色素太陽電池、光導電性材料、および量子ドットから成る群から選択されてもよく、光導電性材料が特に好ましい。色素太陽電池に関するさらなる詳細については、WO2012/110924A1およびWO2014/097181A1を参照することができる。
【0025】
特にWO2016/120392A1に基づいて、「光導電性材料」という用語は、本明細書で使用されるとき、電流を維持することができ、したがって、特定の電気伝導度を示す材料を指し、そこでは特に該電気伝導度は材料の照射に依存する。電気抵抗率は、電気伝導度の逆数値として定義されるため、代替的に、「光抵抗性材料」という用語もまた同じ種類の材料を示すために使用され得る。このように、光導電性材料は、好ましくは無機光導電性材料、特に、薄膜半導体またはナノ粒子光導電性材料;有機光導電性材料、特に有機半導体;それらの組み合わせ、固溶体、および/またはそのドープ変形を含み得る。本明細書で使用されるとき、「固溶体」という用語は、少なくとも1種の溶質が溶媒中に含まれ得る光導電性材料の状態を指し、それによって均一相が形成され、そこでは、一般的に、溶媒の結晶構造が溶質の存在によって不変であり得る。例として、二元のテルル化カドミウム(CdTe)がテルル化亜鉛(ZnTe)中で溶解されてCd1-xZnxTeに至ることができ、そこではxの値は0から1の範囲で変動し得る。本明細書でさらに使用されるとき、「ドープ変形」という用語は、材料自体の成分とは別に単一の原子が、非ドープ状態の固有の原子によって占有される結晶内の跡に導入される光導電性材料の状態を指し得る。
【0026】
これに関して、無機光導電性材料は、特に、セレン、テルル、セレン-テルル合金、金属酸化物、第4族元素または化合物、すなわち第4族に属する元素または少なくとも1種の第4族元素を有する化合物、III-V族化合物、すなわち少なくとも1種の第3族元素と少なくとも1種の第5族元素とを有する化合物、II-VI族化合物、すなわち、一方で、少なくとも1種の第2族元素または少なくとも1種の第12族元素を有し、一方で、少なくとも1種の第6族元素を有する化合物、および/またはカルコゲニドのうちの1つまたは複数を含むことができる。しかしながら、他の無機光導電性材料も同様に適切であり得る。
【0027】
上述のように、カルコゲニドは、硫化物カルコゲニド、セレン化物カルコゲニド、テルル化物カルコゲニド、三元カルコゲニド、四元以上のカルコゲニドを含む群から選択されるのが好ましく、センサ層に使用するのに適切となり得ることが好ましい。一般的に使用されるとき「カルコゲニド」という用語は、酸化物以外に周期表の第16族元素を含み得る化合物、すなわち硫化物、セレン化物、およびテルル化物を指す。特に、光導電性材料は、硫化物カルコゲニド好ましくは硫化鉛(PbS)、セレン化物カルコゲニド好ましくはセレン化鉛(PbSe)、テルル化物カルコゲニド好ましくはテルル化カドミウム(CdTe)、または三元カルコゲニド好ましくはテルル化水銀亜鉛(HgZnTe;MZT)であるか、またはそれを含むことができる。少なくとも上述の好ましい光導電性材料は一般に赤外線スペクトル範囲内で独特の吸収特性を示すことが知られているため、上述した光導電性材料の1つを含むセンサ層は、好ましくは赤外線センサとして使用され得る。しかしながら、他の実施形態および/または他の光導電性材料、特に以下に記載される光導電性材料もまた実現可能であり得る。
【0028】
特に、硫化物カルコゲニドは、硫化鉛(PbS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化亜鉛(ZnS)、硫化水銀(HgS)、硫化銀(AgS)、硫化マンガン(MnS)、三硫化ビスマス(Bi)、三硫化アンチモン(Sb)、三硫化ヒ素(As)、硫化スズ(II)(SnS)、二硫化スズ(IV)(SnS)、硫化インジウム(In)、硫化銅(CuSまたはCuS)、硫化コバルト(CoS)、硫化ニッケル(NiS)、二硫化モリブデン(MoS)、二硫化鉄(FeS)、および三硫化クロム(CrS)を含む群から選択され得る。
【0029】
特に、セレン化物カルコゲニドは、セレン化鉛(PbSe)、セレン化カドミウム(CdSe)、セレン化亜鉛(ZnSe)、三セレン化ビスマス(BiSe)、セレン化水銀(HgSe)、三セレン化アンチモン(SbSe)、三セレン化ヒ素(AsSe)、セレン化ニッケル(NiSe)、セレン化タリウム(TlSe)、セレン化銅(CuSeまたはCuSe)、二セレン化モリブデン(MoSe)、セレン化スズ(SnSe)、セレン化コバルト(CoSe)、およびセレン化インジウム(InSe)を含む群から選択され得る。さらに、上述の化合物または他のこの種の化合物の固溶体および/またはドープ変形もまた実現可能であり得る。
【0030】
特に、テルル化物カルコゲニドは、テルル化鉛(PbTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、テルル化水銀(HgTe)、テルル化ビスマス(BiTe)、三テルル化ヒ素(AsTe)、三テルル化アンチモン(SbTe)、テルル化ニッケル(NiTe)、テルル化タリウム(TlTe)、テルル化銅(CuTe)、二テルル化モリブデン(MoTe)、テルル化スズ(SnTe)、テルル化コバルト(CoTe)、テルル化銀(AgTe)、およびテルル化インジウム(InTe)を含む群から選択され得る。さらに、上記の化合物または他のこの種の化合物の固溶体および/またはドープ変形もまた実現可能であり得る。
【0031】
特に、三元カルコゲニドは、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe;MCT)、テルル化水銀亜鉛(HgZnTe)、硫化水銀カドミウム(HgCdS)、硫化鉛カドミウム(PbCdS)、硫化鉛水銀(PbHgS)、二硫化銅インジウム(CuInS;CIS)、硫セレン化カドミウム(CdSSe)、硫セレン化亜鉛(ZnSSe)、硫セレン化タリウム(TlSSe)、硫化カドミウム亜鉛(CdZnS)、硫化カドミウムクロム(CdCr)、硫化水銀クロム(HgCr)、硫化銅クロム(CuCr)、セレン化カドミウム鉛(CdPbSe)、二セレン化銅インジウム(CuInSe)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、硫化一酸化鉛(PbOS)、セレン化一酸化鉛(PbOSe)、硫セレン化鉛(PbSSe)、セレン化テルル化ヒ素(As2Se2Te)、亜セレンカドミウム(CdSeO)、テルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe)、およびセレン化カドミウム亜鉛(CdZnSe)、上記の二元カルコゲニドおよび/またはIII-V族二元化合物に属する化合物の適用によるさらなる組み合わせを含む群から選択され得る。さらに、上記の化合物または他のこの種の化合物の固溶体および/またはドープ変形もまた実現可能であり得る。
【0032】
四元以上のカルコゲニドに関して、この種の材料は適切な光導電特性を示すことが既に知られ得る四元以上のカルコゲニドから選択されてもよい。特に、Cu(In,Ga)S/SeまたはCuZnSn(S/Se)の組成を有する化合物はこの目的に対し適している。
【0033】
III-V族化合物に関して、この種の半導体材料はアンチモン化インジウム(InSb)、窒化ホウ素(BN)、リン化ホウ素(BP)、ヒ化ホウ素(BAs)、窒化アルミニウム(AlN)、リン化アルミニウム(AlP)、ヒ化アルミニウム(AlAs)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、およびアンチモン化ガリウム(GaSb)を含む群から選択され得る。さらに、上記の化合物または他のこの種の化合物の固溶体および/またはドープ変形もまた実現可能であり得る。
【0034】
II-VI族化合物に関して、この種の半導体材料は硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、硫化水銀(HgS)、セレン化水銀(HgSe)、テルル化水銀(HgTe)、テルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe)、テルル化水銀亜鉛(HgZnTe)、およびセレン化水銀亜鉛(CdZnSe)を含む群から選択され得る。しかしながら、他のII-VI族化合物も適し得る。さらに、上記の化合物または他のこの種の化合物の固溶体もまた実現可能であり得る。
【0035】
金属酸化物に関して、この種の半導体材料は、光導電性を示し得る既知の金属酸化物、特に酸化銅(II)(CuO)、酸化銅(I)(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銀(AgO)、酸化マンガン(MnO)、二酸化チタン(TiO)、酸化バリウム(BaO)、酸化鉛(PbO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化カドミウム(CdO)、フェライト(Fe)、およびペロブスカイト酸化物(ABO、式中、Aは二価陽イオン、Bは四価陽イオン)を含む群から選択され得る。さらに、三元または四元以上の金属酸化物も適用し得る。さらに、上記化合物または他のこの種の化合物の固溶体および/またはドープ変形であって、化学量論的化合物または非化学量論的化合物であり得るものも適し得る。後でより詳細に説明するとおり、透明性または半透明性をも同時に示し得る金属酸化物を選択することが好ましい可能性がある。
【0036】
第4族の元素または化合物に関して、この種の半導体材料はドープダイヤモンド(C)、ドープシリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、およびシリコンゲルマニウム(SiGe)を含む群から選択され、そこでは半導体材料は結晶材料、微結晶材料、または好ましくは、アモルファス材料から選択され得る。一般的に使用されるとき「アモルファス」という用語は、半導体材料の非結晶性の同素相を指す。特に、光導電性材料は、少なくとも1つの水素化アモルファス半導体材料を含むことができ、そこではアモルファス材料はさらに材料に水素を適用することにより不動態化されており、それによって、理論に縛られることを望まないが、材料内の多くのダングリングボンドの数が数桁規模で減少していると思われる。特に、水素化アモルファス半導体材料は、水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)、水素化アモルファスシリコンカーボン合金(a-SiC:H)、または水素化アモルファスゲルマニウムシリコン合金(a-GeSi:H)から成る群から選択され得る。しかし、他の種類の材料、例えば水素化微結晶シリコン(μc-Si:H)などもまたこの目的に使用され得る。
【0037】
あるいはまたはさらに、有機光導電性材料は、特に有機化合物であるかまたはそれを含んでいてもよく、特に適切な光導電特性を有することで知られている有機化合物、好ましくはゼログラフィにおいて一般に使用される化合物であるポリビニルカルバゾールであってもよい。しかしながら、WO2016/120392A1においてさらに詳細に記載されている多数の他の有機分子もまた実現可能であり得る。
【0038】
さらに好ましい実施形態では、光導電性材料は量子ドットを含み得るコロイド膜の形態で提供され得る。同じ材料の均一層に関して少しまたは大幅に変更された化学的および/または物理的特性を示し得る光導電性材料のこの特定の状態は、したがって、コロイド量子ドット(CQD)と表わされ得る。本明細書で使用されるとき、「量子ドット」という用語は、光導電性材料の状態であって、光導電性材料が、たとえば3つの空間次元すべてにおいて通常「ドット」と呼ばれる小さい容積に閉じ込められる電子または正孔のような導電性粒子を含み得る状態を指す。
【0039】
ここで、量子ドットは、簡単に言えば、前述の粒子の容積と近似し得る球の直径と捉えることができるサイズを示し得る。この好ましい実施形態では、光導電性材料の量子ドットは特に、1nmから100nm、好ましくは2nmから100nm、より好ましくは2nmから15nmの範囲のサイズを示すことができ、ただし、特定の薄膜に実際に含まれる量子ドットは該特定の薄膜の厚さよりも小さいサイズを示し得る。実際、量子ドットは、界面活性剤分子にキャップされ且つコロイド膜を形成するように溶液中で分散させることができるナノメートル規模の半導体結晶を含み得る。ここで、界面活性剤分子は、特に選択された界面活性剤分子の近似の空間的拡張の結果として、コロイド膜内の個々の量子ドット間の平均距離を決定することを可能にするように選択され得る。さらに、配位子の合成に応じて、量子ドットは親水性または疎水性を示し得る。CQDは気相、液相、または固相のアプローチを適用することによって生成され得る。これにより、特に溶射、コロイド合成、またはプラズマ合成など既知のプロセスを採用することによってCQDの合成のための様々な方法が可能である。ただし、他の生産プロセスも実現可能である。
【0040】
さらにこの好ましい実施形態では、量子ドットに使用される光導電性材料は、好ましくは、上述の光導電性材料のうちの1つから、より具体的には、硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、テルル化鉛(PbTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、リン化インジウム(InP)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、アンチモン化インジウム(InSb)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe;MCT)、硫化銅インジウム(CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、ペロブスカイト構造材料ABC(式中、Aはアルカリ金属または有機陽イオンを示し、BはPb、SnまたはCuを示し、Cはハロゲン化物および銅亜鉛スズ硫化物(CZTS)を示す)を含む群から選択され得る。さらに、上記の化合物またはこの種の他の化合物の固溶体および/またはドープ変形も実現可能であり得る。この種の材料のコアシェル構造も実現可能であり得る。しかし、他の光導電性材料等も実現可能であり得る。
【0041】
ここでは、特に少なくとも1つの感光性材料を含むセンサ層は、基板層の表面にセンサ層を堆積させるための少なくとも1つの堆積方法を適用することにより製造することができ、ここで該堆積方法は、好ましくは、化学浴堆積、真空蒸着、スパッタリング、原子層堆積、化学気相堆積、スプレー熱分解、電着、陽極酸化、電気変換、無電解浸漬成長、連続イオン吸着および反応、分子線エピタキシー、分子気相エピタキシー、液相エピタキシー、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ステンシル印刷、スロットダイコーティング、ドクターブレード、そして、溶液-ガス界面技法、からなる群から選択される。結果として、センサ層は、10nm、好ましくは100nm、特に300nmから100μmまで、好ましくは10μmまで、特に5μmまでの範囲の厚さを示すことができ、しかしそれでも、例えばIRスペクトル範囲、すなわち760nmから1000μmまで、特にMidIRスペクトル範囲、すなわち1.5μmから15μmまでの波長の1/2または1/4といったように、入射ビームまたはその一部の波長を下回る厚さを示すことができる。その結果、入射光の損失が、特に入射光ビームがセンサ層に一度だけ衝突する限り、かなり発生する可能性があるが、本明細書の他の箇所で説明されているように、反射層を使用することにより矯正することができる。
【0042】
特に好ましい実施形態では、センサ層は、特に、センサ層と基板層との間に隙間が残らないように、または生成されないように、基板層に直接的または間接的に付着されてもよい。結果として、センサ層は、好ましくは、正確に1つの連続センサ層であり得る。入射光ビームと反射光ビームの両方の高い透過を可能にするために、基板層は、入射光ビームと反射光ビームの両方に対して少なくとも部分的に透明である。この目的のために、基板層は、好ましくは、ガラス、石英、シリコン(Si)、透明導電性酸化物(TCO)、または透明有機ポリマーから選択され得る基板材料を含み得る。特に、透明導電性酸化物(TCO)は、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(SnO:F;FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化マグネシウム(MgO)、またはペロブスカイト透明導電性酸化物からなる群から選択される。しかしながら、所望の波長範囲に応じて、他の種類の基板材料も基板層として採用され得る。
【0043】
特定の実施形態では、本発明による検出器は、基板層と反射層との間に配置され得る接着層をさらに含み得る。一般的に使用される「接着層」という用語は、2つの隣接する層の間に配置可能な追加の層を指し、ここでは接着層は、分離に対して抵抗、例えば、隣接する層を接着剤で結合する場合と比較して、増加された力の適用によってのみ分離を可能にするように2つの隣接する層を組み立てるように設計された接着物質を含む。ここで、接着層は特に、一方では反射層と接着層の間、および、他方では接着層と基板層の間に、隙間が残されたり生成されたりしないように付着されてもよい。再び、接着層は、好ましくは、基板層と反射層の両方に関して隣接して配置され得る正確に1つの連続層であり得る。ここで、接着層は、少なくとも部分的に、入射光ビームに対して透明であってもよく、あるいは、代替として、入射光ビームに対して部分的に反射性であってもよい。両方の種類の実施形態は、したがって、所望通り入射光ビームが基板層を通ってセンサ層に向かって反射されることを可能にする。この目的のために、接着層は、基板層と反射層との間の密接かつ安定した接続を提供するために選択され得る厚さを示し得る。ここで、接着層は、特に、有機接着剤、好ましくは、拡散反射粒子または鏡面反射粒子で満たされ得る有機接着剤を含み得る。特に、接着層に選択された材料に応じ、接着層の厚さはしたがって、100nmから10μm、より好ましくは250nmから5μmであってもよい。
【0044】
さらなる実施形態では、接着層は、あるいはまたはさらに、光センサにとって有利であることを示し得る1つまたは複数の化学的または物理的特性を示し得る。したがって、好ましい実施形態では、接着層は、特に基板層と反射層との間の屈折率の差を、光学反射防止層であるかまたは光学反射防止層を含むことによって低減するように適合されることにより、反射防止光学特性を有することができる。さらなる特性も考えられる。
【0045】
さらに、本発明によれば、検出器は、センサ信号を評価することにより、入射光ビームによって提供される少なくとも1つの情報項目を生成するように設計された評価装置を含む。本明細書で使用されるとき「評価装置」という用語は一般的に、情報項目を生成するように設計された任意の装置を指す。一例として、評価装置は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)のような1つまたは複数の集積回路、および/または1つまたは複数のデジタル信号プロセッサ(DSP)、および/または1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または1つまたは複数のコンピュータ、好ましくは1つまたは複数のマイクロコンピュータおよび/またはマイクロコントローラのような1つもしくは複数のデータ処理装置であるか、またはこれらを備え得る。追加の構成要素、例えば1つまたは複数の前処理装置、および/または、例えば1つまたは複数のAD変換器および/または1つまたは複数のフィルタのようなセンサ信号を受信および/または前処理するための1つまたは複数の装置などのデータ収装置、が含まれ得る。さらに、評価装置は、1つまたは複数のデータ記憶装置を含み得る。さらに、上記で概説したとおり、評価装置は、1つまたは複数の無線インターフェースおよび/または1つまたは複数の有線インターフェースなどの1つまたは複数のインターフェースを含み得る。
【0046】
少なくとも1つの評価装置は、少なくとも1つのコンピュータプログラム、例えば情報項目を生成するステップを実行またはサポートする少なくとも1つのコンピュータプログラムを実行するように適合され得る。一例として、センサ信号を入力変数として使用することにより、物体の位置への所定の変換を実行し得る1つまたは複数のアルゴリズムが実装され得る。
【0047】
評価装置は、特に少なくとも1つのデータ処理装置、特にセンサ信号を評価することによって情報項目を生成するように設計され得る電子データ処理装置を含むことができる。したがって、評価装置は、センサ信号を入力変数として使用し、これらの入力変数を処理することによって、入射光ビームによって提供される情報項目を生成するように設計される。処理は並行的に、または連続的に、またはさらに複合的な形で実行され得る。評価装置は、例えば計算することにより、および/または、保存されたおよび/または既知の関係を使用することにより、これらの情報項目を生成するための任意のプロセスを使用し得る。センサ信号に加え、1つまたは複数のさらなるパラメータおよび/または情報項目、例えば変調周波数に関する少なくとも1つの情報項目が、前記関係に影響し得る。前記関係は、経験的、分析的、または半経験的に決定または決定可能であり得る。特に好ましくは、前記関係は、少なくとも1つの校正曲線、少なくとも一組の校正曲線、少なくとも1つの関数または上述の可能性の組み合わせを含む。1つまたは複数の校正曲線は、例えば一組の値およびそれらの関連する関数値の形で、例えばデータ保存装置および/またはテーブルに保存され得る。ただし代替的にまたは追加的に、少なくとも1つの校正曲線を、例えばパラメータ化された形および/または関数方程式の形で保存してもよい。センサ信号を情報項目へ処理するための別の関係が使用されてよい。代替的に、センサ信号を処理するための少なくとも1つの組み合わされた関係が実現可能である。様々な可能性が考えられ、これらを組み合わせることも可能である。
【0048】
一例として、評価装置は、情報項目を決定するためのプログラミングとして設計され得る。評価装置は、特に少なくとも1つのコンピュータ、例えば少なくとも1つのマイクロコンピュータを含むことができる。さらに、評価装置は1つまたは複数の揮発性または不揮発性のデータメモリを含むことができる。データ処理装置、特に少なくとも1つのコンピュータの代替としてまたは追加として、評価装置は、情報項目を決定するように設計された1つまたは複数のさらなる電子構成要素、例えば電子テーブル、特に少なくとも1つのルックアップテーブルおよび/または少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)および/または少なくとも1つのデジタル信号プロセッサ(DSP)、および/または少なくとも1つのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など、を含んでもよい。
【0049】
検出器は少なくとも1つの評価装置を有する。特に、少なくとも1つの評価装置はまた、例えば少なくとも1つの照射源を制御するようにおよび/または少なくとも1つの検出器の変調装置を制御するように設計された評価装置によって、検出器を完全にまたは部分的に制御または駆動するように設計され得る。評価装置は特に、1つ、または、例えば照射の異なる変調周波数で連続する複数のセンサ信号などの複数のセンサ信号が取得される少なくとも1つの測定サイクルを実行するように設計され得る。
【0050】
評価装置は、上述のとおり、少なくとも1つのセンサ信号を評価することによって入射光ビームにより提供される少なくとも1つの情報項目を生成するように設計される。特定の実施形態では、前記情報項目は、物体の縦方向位置および/または該当する場合には物体の横方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を含むことができる。「物体」は一般的に、生物物体および非生物物体から選択される1つの任意の物体であってもよい。したがって、一例として、前記少なくとも1つの物体は、1つまたは複数の物品および/または物品の1つまたは複数の部分を含み得る。追加的または代替的に、物体は、1つまたは複数の生物および/またはその1つまたは複数の部分、例えばユーザなどの人間および/または動物の1つまたは複数の身体の部分であってもよく、またはそれらを含んでもよい。
【0051】
本明細書で使用されるとき、「位置」は一般的に空間内の物体の位置および/または向きに関する任意の情報項目を指す。この目的のために、一例として、1つまたは複数の座標系を使用してもよく、そして物体の位置は1つ、2つ、または3つ以上の座標を使用して決定されてよい。一例として、1つまたは複数のデカルト座標系および/または他の種類の座標系が使用されてよい。一例として、座標系は、検出器が所定の位置および/または方向を有する検出器の座標系であってよい。前記物体の位置は静的であってもよく、またはさらに物体の少なくとも1つの運動、例えば検出器またはその一部と物体またはその一部との間との相対運動を含んでもよい。この場合、相対運動は一般的に、少なくとも1つの線形運動および/または少なくとも1つの回転運動を含んでよい。運動の情報項目は、例えば、異なる時間で取得された少なくとも2つの情報の比較によっても得られ、例えば少なくとも1つの位置情報はまた、少なくとも1つの速度情報および/または少なくとも1つの加速度情報、例えば物体またはその一部と検出器またはその一部との間における少なくとも1つの相対速度に関する少なくとも1つの情報項目を含んでよい。特に、少なくとも1つの位置情報は一般的に、物体またはその一部と検出器またはその一部との間の距離、特に光路長に関する情報項目;物体またはその一部と任意の転送装置またはその一部との間の距離または光学的距離に関する情報項目;検出器またはその一部に対する物体またはその一部の位置に関する情報項目;検出器またはその一部に対する物体および/またはその一部の方向に関する情報項目;物体またはその一部と検出器またはその一部との間の相対運動に関する情報項目;物体またはその一部の二次元または三次元空間形態、特に物体の幾何学または形態に関する情報項目、から選択され得る。したがって、一般的に、少なくとも1つの位置情報項目は、例えば、物体または少なくともその一部の少なくとも1つの位置に関する情報;物体またはその一部の少なくとも1つの方向に関する情報項目;物体またはその一部の幾何学または形態に関する情報項目;物体またはその一部の速度に関する情報項目;物体またはその一部の加速度に関する情報項目;検出器の可視範囲内における物体またはその一部の存在または不存在に関する情報項目から成る群から選択され得る。
【0052】
位置情報の少なくとも1つの項目は、例えば少なくとも1つの座標系、例えば検出器またはその一部が存在する座標系において指定され得る。代替的または追加的に、位置情報は、単に例えば検出器またはその一部と物体またはその一部との間の距離のみを含むものであってもよい。上述の可能性の組合せも考えられる。
【0053】
本発明の特に好ましい実施形態では、検出器は、センサ層に接触し、回路キャリアを介してセンサ信号を評価装置に送信するように設計された少なくとも2つの個別の電気接点をさらに含むことができる。本明細書で使用されるとき、「センサ層と接触する」という用語は、それぞれの接点とセンサ層との間の導電接続を指し、各電気接点がセンサ層の表面のある位置に配置されるように構成された導電接続を指す。この目的のために、少なくとも2つの個々の電気接点は、光導電性材料の層の異なる位置に、特に、少なくとも2つの個別の電気接点が互いに対して電気的に絶縁される様式で付着され得る。ここでは、前記少なくとも2つの電気接点のそれぞれは、たとえばセンサ層と評価装置との間の伝送経路における追加の抵抗によるものなど、特に可能な限り少ない損失でセンサ信号を取得するために、好ましくは、各電極とセンサ層の直接的な電気接触が実現されるように構成され得る。代替の実施形態では、前記センサ層は、センサ信号を評価装置に非接触で送信することを可能にすることができる構成で配置することができる。
【0054】
結果として、光ビームによるセンサ領域の衝突時に、少なくとも2つの電気接点は、センサ層の照射に依存するセンサ信号を評価装置に提供することができる。ここで、電気接点は、既知の蒸着技術によって容易に設けることができる蒸着金属層を含むことができる。特に、蒸着金属層は、金、銀、アルミニウム、白金、マグネシウム、クロム、またはチタンのうちの1つまたは複数を含むことができる。あるいは、電気接点の少なくとも1つは高導電性グラフェン層を含み得る。
【0055】
この種の材料では、電流は、少なくとも1つの第1電気接点を介して材料を通って少なくとも1つの第2電気接点へ導かれることができ、ここで第1電気接点は第2電気接点から絶縁されている一方で、第1電気接点と第2電気接点の両方が材料と直接接続されてもよい。この目的のために、直接接続は、技術水準から知られる任意の既知の手段、例えば、ワイヤボンディング、メッキ、溶接、はんだ付け、超音波熱圧着、ステッチボンディング、ボールボンディング、ウェッジボンディング、コンプライアントボンディング、熱圧着、陽極接合、直接ボンディング、プラズマ活性化接合、共晶接合、ガラスフリットボンディング、接着結合、過渡液相拡散接合、表面活性化接合、テープ自動接合、または、高導電性物質、特に金、ベリリウムドープ金、銅、アルミニウム、銀、白金、またはパラジウム、ならびに上述の金属のうちの少なくとも1つを含む合金のような金属を接触領域に堆積させることによって提供することができる。
【0056】
特に好ましい実施形態では、ワイヤボンドを使用して、センサ層に接触する各電気接点と、対応する受け接点、例えば好ましくは回路キャリア上、特にプリント基板(PCB)上にさらに配置することができる接触パッドなどの受け接点との間に直接接続を設けることができる。この種の配置により、センサ層を評価装置に容易に接触させることができ、電気接点はセンサ信号を回路キャリアに、続いて評価装置に送信するように設計され得る。
【0057】
本発明のさらなる特に好ましい実施形態では、検出器はさらに、カバー層を含んでよい。ここで、カバー層は、好ましくはセンサ層と直接接触するようにセンサ層上に堆積され得る。好ましい実施形態では、カバー層は、それがセンサ層のアクセス可能な表面を完全に覆うことができるように層の上に堆積させてよい。好ましくは、カバー層は少なくとも1つの金属含有化合物を含むアモルファス層であり得る。しかしながら、他の種類のカバー層もまた実現可能であり得る。
【0058】
好ましくは、センサ層上にカバー層を堆積させるために少なくとも1つの堆積方法が使用される。この目的のために、前記少なくとも1つの堆積方法は、特に、原子層堆積、化学気相堆積、プラズマ化学気相堆積、物理気相堆積、ゾル-ゲル堆積、またはそれらの組み合わせから選択され得る。したがって、カバー層は、原子堆積層、化学気相堆積層、または物理気相堆積層またはゾル-ゲル堆積層、またはプラズマ化学気相堆積層であるか、またはそれを含み得る。カバー層のさらなる代替物は、エポキシ樹脂層またはガラス層を含み得る。本明細書では、「原子層堆積」という用語、同等の用語である「原子層エピタキシー」または「分子層堆積」、ならびにそれらのそれぞれの略語「ALD」、「ALE」または「MLD」は、一般に、自己制限プロセス工程および続く自己制限反応工程を含み得る堆積プロセスを指すのに使用される。したがって、本発明に従って適用される工程は、「ALDプロセス」とも呼ばれることがある。ALDプロセスに関するさらなる詳細については、Georgeによる、Chem.Rev.110、111-131頁、2010を参照することができる。さらに、通常「CVD」と略される「化学気相堆積」という用語は、基板の表面または基板上に位置する層が少なくとも1つの揮発性前駆体に曝される方法を指し、前記前駆体は、所望の堆積物を生成するために表面上で反応および/または分解し得る。多くの場合、あり得る副生成物は、表面上にガス流を適用することにより除去され得る。あるいは、PECVD工程が、特に窒化ケイ素(Si)の膜を得るための堆積工程として、好ましくは、適用可能であり得る。ここで、「PECVDプロセス」という用語は、反応チャンバ内の放電を適用することなどによって、前駆体をプラズマとして提供することができる特定のCVDプロセスを指す。
【0059】
上記のように、カバー層は、優先的に、少なくとも1つの金属含有化合物を含み得る。ここで、金属含有化合物は、好ましくは金属を含むことができ、該金属は、特に、リチウム(Li)、ベリリウム(Be)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、タリウム(Tl)およびビスマス(Bi)から成る群から選択され得る。特定の実施形態では、金属含有化合物は、代替的に「メタロイド」とも呼ばれることもある半金属を含むことができ、この半金属は、ホウ素(B)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)およびテルル(Te)から成る群から選択され得る。好ましくは、少なくとも1つの金属含有化合物は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、およびタングステン(W)からなる群から選択され得る。
【0060】
ここで、少なくとも1つの金属含有化合物は、好ましくは、酸化物、水酸化物、カルコゲニド、プニクチド、カーバイド、またはそれらの組み合わせを含む群から選択され得る。既に上記で定義したように、「カルコゲニド」という用語は、酸化物以外の周期表の第16族元素、すなわち硫化物、セレン化物、およびテルル化物を含み得る化合物を指す。同様に、「プニクチド」という用語は、好ましくは二成分の化合物を指し、周期表の第15族元素、すなわち窒化物、リン化物、ヒ化物およびアンチモン化物を含み得る化合物を指す。以下により詳細に記載されるように、金属含有化合物は、好ましくは、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)の少なくとも1つの酸化物、少なくとも1つの水酸化物、またはそれらの組み合わせを含むのが好ましい。
【0061】
1つの代替実施形態では、カバー層は、少なくとも2つの隣接層を有することができる積層体であるかまたはそれを含んでよく、そこでは隣接層の一方、両方、いくつか、またはすべてが金属含有化合物の1つを含み得る様式で、隣接層は特にそれぞれの組成が相違してよい。ここで、隣接層は、上記のように、2つの異なる金属含有化合物を含み、アモルファス構造を提供し得る。例として、カバー層は、アルミニウム(Al)含有化合物とジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)含有化合物の交互の隣接層を含み得る。しかしながら、金属含有化合物の他の組み合わせもまた可能である。さらに、積層体は、本出願の他の箇所に記載されているように金属含有化合物のいずれも有していない追加の隣接層をさらに有していてもよく、しかしそれに代えて、金属化合物、高分子化合物、シリコーン化合物、またはガラス化合物のうちの少なくとも1つであるかまたはそれを含んでよい。ここで、他の種類の材料も適し得る。結果として、積層体は、アモルファスであってもよいが、代替的に、結晶層またはナノ結晶層であるかまたはそれを含む追加の隣接層を含み得る。
【0062】
特に好ましい実施形態では、カバー層は、センサ層のアクセス可能な表面を完全に覆うことができる。従って、カバー層は、第一に、センサ層の封入を提供するように適合される。本明細書で使用されるとき、「封入」という語は、特に、例えば周囲の雰囲気に含まれる湿度および/または酸素のような外部の影響によるセンサ層またはそのパーティションの部分的または完全な劣化を可能な限り回避するためのパッケージ、好ましくは気密パッケージを指し得る。ここで、パッケージは、好ましくは、センサ層のすべてのアクセス可能な表面を覆うように適合させることができ、ここで該センサ層は、センサ層の表面のパーティションを保護するように既に適合された基板層に堆積されることを考慮してもよい。言い換えれば、基板層およびカバー層は、センサ層のパッケージング、好ましくは気密パッケージングを完成させるために協働する様式で適合されてもよい。
【0063】
加えて、本発明によるカバー層のアモルファス性は、上記のような光導電性材料の保護封入を改善するだけでなく、光導電性材料の光導電性が、光導電性材料の層上にカバー層を堆積し、続いて光導電性材料上に直接堆積したカバー層を含む化合物構造を熱処理した後に光導電性材料の光導電性が大幅に改善されるという意味で、カバー層と優先的に直接接触し得る光導電性材料の光導電特性の活性化に本質的に寄与し得る。
【0064】
理論に縛られることなく、光導電性材料上へのカバー層の堆積は、それぞれカバー層の表面と光導電性材料との間の直接的な接触をもたらすだけではない。加えて、化合物構造の熱処理は、カバー層または少なくともそのパーティションに含まれる材料を光導電性材料に部分的に浸透するように促すことができ、これにより特に、光導電性材料の詳細な構造および/または組成に関して物理的および/または化学的効果をもたらし得る。この効果により、カバー層に含まれる材料の小さなパーティションが、たとえば相境界、空孔、または細孔などの光導電性材料の受容部分に浸透することができると考えられる。したがって、この効果は、特に、カバー層のアモルファス構造に関連しているように見える。
【0065】
特に好ましい実施形態では、カバー層は、10nmから600nm、好ましくは20nmから200nm、より好ましくは40nmから100nm、最も好ましくは50から75nmの厚さを示してもよい。この厚さは、センサ層の封入/活性化の提供機能を達成するのに有利であるカバー層内の金属含有化合物の量を特に反映し得る。ここで、カバー層は、センサ層の隣接表面に関して共形(conformal)層であり得る。一般的に使用されるとき、したがって、共形層の厚さは、±50nm、好ましくは±20nm、最も好ましくは±10nmの逸脱内でセンサ層の対応する表面に従い、該逸脱は、カバー層の表面の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%にわたって生じ、これによりカバー層の表面に存在し得る如何なる汚染または不完全性を除外することができる。
【0066】
さらに、カバー層は、封入および/または活性化を提供する機能に加えて、少なくとも1つのさらなる機能を示すために適合され得る。例として、カバー層は、適切な反射防止層として該当するために、例えば少なくとも1.2、好ましくは少なくとも1.5などの高い屈折率を示し得る。結果として、カバー層に使用される材料を、所望の波長範囲内で、特に適切な吸収特性を示すことによって、好ましくは光学的に透明であるように選択することが有利であり得る。一方、基板層はすでに少なくとも部分的に透明であるため、光学的に不透明な材料を含むより多様な異なる材料をカバー層に使用することができる。さらなる例は、第2の光フィルタ、耐スクラッチ層、親水性層、疎水性層、自己清浄層、防曇層、および導電層を含み得る。他の機能もまた可能であり得る。
【0067】
特に、カバー層は、所定の波長範囲をフィルタリングするために設計された光フィルタとして機能し得る。これに関して、積層体であるかまたは積層体を含むカバー層を使用することも可能である。特に、少なくとも2種類の異なる金属酸化物を用いた積層体を干渉フィルタとして使用することができる。例として、互いの上に交互に積み重ねられた酸化アルミニウム(Al)および酸化チタン(TiO)を含む積層体は、そのような目的によく適し得る。
【0068】
特定の実施形態では、特に、カバー層に所望のさらなる機能を提供することが適切ではない場合、または選択されたカバー層によって提供されるさらなる機能の程度が十分ではない場合、カバー層上に少なくとも部分的に堆積される少なくとも1つの追加の層によって少なくとも部分的にさらに覆われてもよい。好ましくは、前記追加の層はさらなる機能であるかまたはそれを示すことができ、したがって、反射防止層、第2の光フィルタ、耐スクラッチ層、親水性層、疎水性層、自己清浄層、防曇層、および導電層のうちの少なくとも1つを含むことができる。ここで、当業者は、少なくとも1つの追加の層を容易に選択し提供することができる。しかしながら、他の実施形態もまた可能であり得る。
【0069】
好ましい実施形態では、カバー層は電気接点を部分的にまたは完全に覆うことができ、特に、外部回路への1つまたは複数のリード線などに接合可能であるように構成されてよい。ここで、電気接点は、金またはアルミニウムワイヤなどのワイヤを使用することによって接合可能であり得、ここで該電気接点は、好ましくは、カバー層を通して接合可能であり得る。特定の実施形態では、さらなる接着層が電気接点に設けられてよく、前記さらなる接着層は特に接合に適合され得る。この目的のために、前記さらなる接着層は、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、またはパラジウム(Pd)のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0070】
本発明によれば、検出器は、好ましくは、かなり広いスペクトル範囲、例えば紫外線(UV)、可視線、および赤外線(IR)のスペクトル範囲にわたって電磁放射を検出するように設計されるのが好ましく、赤外線(IR)のスペクトル範囲が特に好ましいことがある。ここで、検出器内のセンサ層に、特に次の光導電性材料を選択し得る:
- UVスペクトル範囲:ドープダイヤモンド(C)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)またはシリコンカーバイド(SiC);
- 可視スペクトル範囲:シリコン(Si)、ヒ化ガリウム(GaAs)、硫化カドミウム(CdS)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化銅インジウム(CuInS;CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、硫化銅亜鉛スズ(CZTS);
- IRスペクトル範囲:ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化銅インジウム(CuInS;CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、NIRスペクトル範囲7560nmから1.5μmの範囲においては、硫化銅亜鉛スズ(CZTS)、ここで、CdTe、CIS、CIGS、およびCZTSは850nmを超える波長に特に適している;2.6μm以下の波長においては、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs);3.1μm以下の波長においては、ヒ化インジウム(InAs);3.5μm以下の波長においては、硫化鉛(PbS);5μm以下の波長においては、セレン化鉛(PbSe);5.5μm以下の波長においては、アンチモン化インジウム(InSb);16μm以下の波長においては、テルル化水銀カドミウム(MCT、HgCdTe)。
【0071】
既に上述したように、光学的検出のための検出器は一般的に、少なくとも1つの物体の位置に関する少なくとも1つの情報項目を提供するように適合され得る装置である。該検出器は、固定式装置、または移動式装置であってよい。さらに、検出器は独立型装置であっても、あるいはコンピュータ、車両または他の装置など別の装置の一部を形成してもよい。さらに、検出器は携帯型装置であってもよい。検出器の他の実施形態も実現可能である。
【0072】
本明細書で使用されるとき、「位置」という用語は一般に空間内の物体の配置および/または方向に関する任意の情報項目を指す。この目的のために、一例として、1つまたは複数の座標系を使用してもよく、また物体の位置は1つ、2つ、または3つ以上の座標を使用して決定され得る。一例として、1つまたは複数のデカルト座標系および/または他の種類の座標系が使用され得る。一例として、座標系は、検出器が有する所定の位置および/または方向における検出器の座標系であってよい。以下でより詳細に概説されるように、検出器は、検出器の主な視野方向を構成し得る光軸を有し得る。光軸は、z軸など、座標系における軸を形成し得る。さらに、1つまたは複数の追加の軸、好ましくはz軸に対して垂直な軸を設けてもよい。
【0073】
したがって、例として、検出器は、光軸がz軸を形成し、追加的にz軸に対して垂直であってかつ互いに垂直であるx軸とy軸が提供される座標系を構成し得る。例として、検出器および/または検出器の一部は、この座標系の原点など、この座標系における特定の点に位置し得る。この座標系では、z軸に平行または逆平行な方向を、縦方向と見なすことができ、またz軸に沿った座標を、縦方向座標と見なすことができる。縦方向に対して垂直な任意の方向を横方向と見なすことができ、x座標および/またはy座標を横方向座標と見なすことができる。
【0074】
代替的に、他の種類の座標系を使用してもよい。したがって、一例として、光軸がz軸を形成し、z軸からの距離および極角を追加の座標として使用することができる極座標系を使用することができる。同様に、z軸に平行または逆平行な方向を縦方向と見なすことができ、またz軸に沿った座標を縦方向座標と見なすことができる。z軸に対して垂直な任意の方向を横方向と見なすことができ、また極座標および/または極角を横方向座標と見なすことができる。
【0075】
検出器は、特に少なくとも1つの物体の位置に関する少なくとも1つの情報項目を任意の実現可能な方法で提供するように適合され得る。したがって、情報は、例えば電子的、視覚的、音響的に、あるいはこれらの任意の組合せの形で提供され得る。情報はさらに、検出器のデータ記憶装置または別個の装置に保存するか、および/または、無線インターフェースおよび/または有線インターフェースのように、少なくとも1つのインターフェースを介して提供されてもよい。
【0076】
特に好ましい実施形態では、検出器は縦方向光センサであり得るか、またはそれを含み得る。本明細書で使用されるとき、「縦方向光センサ」は一般的に、光ビームによるセンサ領域の照射に依存する様式で少なくとも1つの縦方向のセンサ信号を生成するよう設計された装置であり、そこでは該縦方向センサ信号は、照射の総出力が同じである場合、いわゆる「FiP効果」により、センサ領域内の光ビームのビーム断面積に依存する。縦方向センサ信号は一般的に縦方向位置の指標となる任意の信号であって、深度と示されることもできる。一例として、縦方向センサ信号はデジタル信号および/またはアナログ信号であるか、またはこれを含み得る。一例として、縦方向センサ信号は電圧信号および/または電流信号であるか、またはこれを含み得る。追加的または代替的に、縦方向センサ信号はデジタルデータであるか、またはこれを含み得る。縦方向センサ信号は単一の信号値および/または一連の信号値を含み得る。縦方向センサ信号は2つ以上の個別の信号を組み合わせることにより、例えば2つ以上の信号の平均によっておよび/または2つ以上の信号の商の形成によって導き出される任意の信号をさらに含み得る。縦方向光センサおよび縦方向センサ信号の潜在的な実施形態については、WO2012/110924A1およびWO2014/097181A1を参照することができる。
【0077】
さらに、縦方向光センサのセンサ領域は少なくとも1つの光ビームによって照射され得る。照射の総出力が同じである場合、センサ領域の導電性は、したがって、センサ領域内の光ビームのビーム断面積に依存し、該ビーム断面積はセンサ領域内で入射ビームによって生成される「スポットサイズ」として表わすことができる。このように、光導電性材料の導電性が、光導電性材料を含むセンサ領域における入射光ビームによる照射の範囲に依存するという観察可能な特性は、特に、同じ総出力を含むが生成するスポットサイズが異なる2つの光ビームがセンサ領域内での光導電性材料の電気導電率について異なる値を提供し、そして結果的に互いに関して区別可能であるという状況を達成するものである。
【0078】
さらに、縦方向センサ信号は電圧信号および/または電流信号など電気信号の印加によって決定されることから、電気信号によって横切られる材料の導電性が、それゆえ、縦方向センサ信号を決定する際に考慮に入れられる。さらに、バイアス電圧ソースと縦方向光センサと直列に採用される負荷抵抗器が、好ましくはここで使用される。したがって、結果として、縦方向光センサは、例えば少なくとも2つの縦方向センサ信号と、特にビーム直径などのビーム断面積に関する少なくとも1つの情報項目を比較することなどにより、原則として縦方向センサ信号の記録からセンサ領域内の光ビームのビーム断面積を決定することができる。さらに、センサ領域内の光ビームのビーム断面積は、前述のFiP効果によれば、照射の総出力が同じである場合、センサ領域に衝突する光ビームを放出または反射する物体の縦方向位置または深度に依存し、したがって、縦方向光センサはそれぞれの物体の縦方向位置を決定するのに適用され得る。
【0079】
WO2012/110924A1から既知であるとおり、縦方向光センサはセンサ領域の照射に依存する様式で少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するよう設計されており、そこではセンサ信号は、照射の総出力が同じである場合、センサ領域上での照射のビーム断面積に依存する。一例として、光電流Iの測定結果がレンズの位置の関数として提供されており、レンズは電磁放射を縦方向光センサのセンサ領域上へ集束させるように構成されている。測定中、レンズは縦方向光センサに対してセンサ領域に垂直な方向に変位し、その結果、センサ領域上の光スポットの直径が変化する。この光起電装置、特に色素太陽電池がセンサ領域の材料として採用されている特定の例では、縦方向光センサの信号、この場合では光電流が、レンズの焦点における最大値の外側では、光電流がその最大値の10%未満にまで低下するように、明らかに照射の幾何学形態に依存する。
【0080】
上記にて概説のとおり、少なくとも1つの縦方向センサ信号は、光ビームによる照射の総出力が同じである場合、FiP効果により、少なくとも1つの縦方向光センサのセンサ領域の光ビームのビーム断面積に依存する。ここで使用される「ビーム断面積」という用語は一般に、光ビーム又は特定位置に光ビームによって生成された光スポットの横方向の広がりを指す。円形の光スポットが生成される場合、半径、直径、またはガウスビームウエストあるいはガウスビームウエストの2倍がビーム断面積の計測として機能し得る。非円形の光スポットが生成される場合、他の実現可能な方法、例えば等価ビーム断面積とも呼ばれる、非円形の光スポットと同じ面積を有する円の断面積を決めることにより、断面積を決定することができる。これに関して、光起電材料など相応する材料が、例えば光レンズによって影響される焦点あるいはその近傍に該材料が位置するときなど、光ビームによって最小限の断面積で照射され得る条件下で、極値すなわち該縦方向センサ信号の極大値または極小値、特に最大または最小値の観察を採用することができる。極値が最大値である場合、この観察は正のFiP効果として示される一方、極値が最小値である場合、この観察は負のFiP効果として示される。
【0081】
したがって、センサ領域に実際に含まれる感光性材料に関わらず、光ビームによるセンサ領域の照射の総出力が同じである場合、第1のビーム直径またはビーム断面積を有する光ビームは第1の縦方向センサ信号を生成し得る一方、第1のビーム直径またはビーム断面積とは異なる第2のビーム直径またはビーム断面積を有する光ビームは、第1の縦方向センサ信号とは異なる第2の縦方向センサ信号を生成する。このように、縦方向センサ信号を比較することにより、ビーム断面積、具体的にはビーム直径に関する少なくとも1つの情報項目が生成され得る。この効果の詳細について、WO2012/110924A1を参照することができる。したがって、縦方向光センサによって生成された縦方向センサ信号は、光ビームの総出力および/または総強度に関する情報を取得するために、および/または、光ビームの総出力および/または総強度に関して縦方向センサ信号および/または物体の縦方向の位置に関する少なくとも1つの情報項目を正規化するために、比較され得る。したがって、一例として、縦方向光センサ信号の最大値が検出され得、そしてすべての縦方向センサ信号がこの最大値によって割られ得ることにより、正規化された縦方向光センサ信号が生成され、そしてこの信号が、上述の既知の関係を使用することにより、物体の縦方向情報のうち少なくとも1つの項目へ変換され得る。例えば縦方向センサ信号の平均値を使用し、そして平均値ですべての縦方向センサ信号を割る正規化のような、他の正規化方法も適用可能である。他の選択肢も可能である。これらの選択肢のそれぞれは光ビームの総出力および/または強度から独立の変換を与えるのに適切であり得る。さらに、光ビームの総出力および/または強度に関する情報がこのようにして生成され得る。
【0082】
特に、物体から検出器まで伝播する光ビームの1つまたは複数のビーム特性が既知である場合、物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目は、少なくとも1つの縦方向センサ信号と物体の縦方向位置との間の既知の関係からこのようにして導出され得る。既知の関係は、アルゴリズムとしておよび/または1つまたは複数の校正曲線として評価装置に保存することができる。一例として、特にガウスビームの場合、ビーム直径またはビームウエストと物体の位置との間の関係は、ビームウエストと縦座標間のガウス関係を使用することによって容易に導出することができる。
【0083】
この実施形態は、特に光ビームのビーム断面積と物体の縦方向位置との間の既知の関係における曖昧さを解決するために、評価装置によって使用され得る。このように、物体から検出器まで伝播する光ビームのビーム特性が完全にまたは部分的に既知であるとしても、多くのビームにおいて、焦点に達する前にビーム断面積が狭くなり、その後再び広がることは知られている。つまり、光ビームのビーム断面積が最も狭くなる焦点の前後で、光ビームが同じ断面積を有する位置が光ビームの伝播軸に沿って現れる。このように、一例として、焦点前後の距離z0において、光ビームの断面積が同一となる。したがって、特定のスペクトル感度を有する1つの縦方向光センサのみが使用されている場合に、光ビームの総出力または強度が既知の場合、光ビームの特定の断面積が決定され得る。この情報を使用することにより、焦点からそれぞれの縦方向光センサの距離z0が決定され得る。しかしながら、それぞれの縦方向光センサが焦点の前もしくは後に配置されているかどうかを決定するために、物体および/または検出器の移動の履歴、ならびに/または検出器が焦点の前もしくは後に配置されているかどうかに関する情報のように、追加情報が必要とされる。一般的な状況において、この追加の情報が提供されないかもしれない。したがって、上記の曖昧さを解決するために追加の情報を取得してよい。したがって、評価装置が、縦方向センサ信号を評価することにより、第1縦方向光センサ上の光ビームのビーム断面積が第2縦方向光センサ上の光ビームのビーム断面積よりも大きい、そこでは第2縦方向光センサが第1縦方向光センサの後ろに配置されている、ことを認識する場合、評価装置は、光ビームが依然として狭くなっていることおよび第1縦方向光センサの位置が光ビームの焦点の前に位置することを決定できる。逆に、第1縦方向光センサ上の光ビームのビーム断面積が第2縦方向光センサ上の光ビームのビーム断面積よりも小さい場合、評価装置は光ビームが拡がっていることおよび第2縦方向光センサの場所が焦点の後ろに位置することを決定してもよい。このように一般に、評価装置は、異なる縦方向センサの縦方向センサ信号を比較することによって、光ビームが拡がっているか狭まっているかを認識するように適合されてよい。
【0084】
本発明による評価装置を採用して物体の縦方向位置に関する前記少なくとも1つの情報項目を決定することに関するさらなる詳細については、WO2014/097181A1の記載を参照することができる。したがって、一般的に、評価装置は、好ましくは光ビームの伝播方向の少なくとも1つの伝播座標における光ビームのビーム直径の既知の依存性から、および/または光ビームの既知のガウスプロファイルから、物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を決定するために、光ビームのビーム断面積および/または光ビームの直径を光ビームの既知のビーム特性と比較するように適合され得る。
【0085】
代替的または追加的に、物体の少なくとも1つの横方向座標が決定されてもよい。したがって、一般的に、評価装置は、WO2014/097181A1でもさらに概説されているように、ピクセル化された、セグメント化された、または大面積の横方向光センサであり得る少なくとも1つの横方向光センサ上の光ビームの位置を決定することにより、物体の少なくとも1つの横方向座標を決定するようにさらに適合されてもよい。したがって、本発明による検出器は、横方向光センサであってもよく、またはそれを含んでもよい。本明細書で使用される場合、「横方向光センサ」という用語は、一般に、物体から検出器へ進行する少なくとも1つの光ビームの横方向位置を決定するように適合されている装置を指す。「位置」という用語に関して、上述の定義が参照することができる。したがって、好ましくは、横方向位置は、検出器の光軸に対して垂直の少なくとも1次元の少なくとも1つの座標であるか、それを含むことができる。一例として、横方向位置は、例えば、横方向光センサの感光センサ表面の上など、光軸に対して垂直の平面内の光ビームによって生成される光スポットの位置であり得る。例として、平面内の位置は、デカルト座標および/または極座標で与えられ得る。他の実施形態も実現可能である。この実施形態では、反射層までの距離および反射層の粗さを最小化することが特に有利であり得る。WO2014/097181A1に開示されている好ましい実施形態では、横方向光センサのセンサ層は光検出器であってもよい。WO2016/120392A1に開示されているさらなる好ましい実施形態では、横方向光センサのセンサ層は、特に、上記でより詳細に説明した材料から選択された光導電性材料の層を含むことができる。
【0086】
横方向光センサは、少なくとも1つの横方向センサ信号を提供し得る。ここでは、横方向センサ信号は一般的に、横方向位置を示す任意の信号であってよい。一例として、横方向センサ信号はデジタル信号および/またはアナログ信号であるか、またはそれを含んでいてもよい。一例として、横方向センサ信号は電圧信号および/または電流信号であるか、またはこれを含んでいてもよい。追加的または代替的に、横方向センサ信号はデジタルデータであるか、またはそれを含んでいてもよい。横方向センサ信号は単一の信号値および/または一連の信号値を含んでもよい。横方向センサ信号はさらに、例えば2つ以上の信号を平均することによって、および/または2つ以上の信号の商を形成することによってなど、2つ以上の個別の信号を組み合わせることによって導出され得る任意の信号を含み得る。
【0087】
本明細書では、横方向光信号を記録するために少なくとも2つの電極が存在してよい。好ましい実施形態では、前記少なくとも2つの電極は実際には好ましくはT字形の形態を示す少なくとも2つの物理的電極の形態で配置されてよく、各物理電極は導電性材料を含み得る。この実施形態において、横方向光センサの電極のうちの少なくとも1つは、好ましくは、少なくとも2つの部分電極を有する分割電極であり得、横方向光センサは、センサ領域を有し、少なくとも1つの横方向センサ信号は、センサ領域内の入射光ビームのx位置および/またはy位置を示し得る。センサ領域は、物体に向けて面する光検出器の表面であり得る。センサ領域は、好ましくは光軸に対して垂直に配向されてよい。したがって、横方向センサ信号は、光ビームによって生成された横方向光センサのセンサ領域の平面内の光スポットの位置を示すことができる。一般に、本明細書で使用されるとき、「部分電極」という用語は、好ましくは他の部分電極から独立して、少なくとも1つの電流および/または電圧信号を測定するように適合された複数の電極のうちの1つの電極を指す。したがって、複数の部分電極が設けられる場合、それぞれの電極は、少なくとも2つの部分電極間で、独立に測定および/または使用され得る複数の電位および/または電流および/または電圧を供給するように適合される。
【0088】
横方向光センサはさらに、部分電極を通る電流に従って横方向センサ信号を生成するように適合され得る。したがって、2つの水平部分電極を通る電流の比率が形成され、それによってx座標が生成され、および/または垂直部分電極を通る電流の比率が形成され、それによってy座標が生成され得る。検出器、好ましくは横方向光センサおよび/または評価装置は、前記部分電極を通る少なくとも1つの電流比率から、物体の横方向位置に関する情報を導き出すように構成されることができる。部分電極を通る電流の比較によって位置座標を生成する他の方法も実現可能である。
【0089】
部分電極は一般的に、センサ領域内での光ビームの位置を決定するために、様々な方法で定義され得る。したがって、水平座標またはx座標を決定するために2つ以上の水平方向部分電極を設けてよく、および、垂直座標またはy座標を決定するために2つ以上の垂直部分電極を設けてよい。したがって、部分電極はセンサ領域の周縁部に設けられてよく、そこではセンサ領域の内部空間は空いた状態を維持し、そして1つまたは複数の追加の電極材料によって覆われてもよい。ここで、追加の電極材料は好ましくは透明な追加の電極材料、例えば透明な金属および/または透明な導電性酸化物および/または、最も好ましくは透明な導電性ポリマーであってよい。
【0090】
電極の1つが3つ以上の部分電極を有する分割電極である横方向光センサを使用することにより、前記部分電極を通る電流は、センサエリア内での光ビームの位置に依存し得る。これは一般的に、オーム損失または抵抗損失が、部分電極上に衝突する光に起因する電荷の発生位置からの途中で生じ得るという事実に起因し得る。したがって、部分電極に加え、分割電極は部分電極に接続された1つまたは複数の追加の電極材料を含んでよく、前記1つまたは複数の追加の電極材料は電気抵抗をもたらす。したがって、電荷の発生位置から1つまたは複数の追加的電極材料を経て部分電極に至る経路上でのオーム損失に起因して、部分電極を通る電流は電荷の発生位置に依存し、したがってセンサエリア内での光ビームの位置に依存する。センサエリア内での光ビームの位置の決定に関するこの原理の詳細については、以下の好ましい実施形態および/またはWO2014/097181A1,WO2016/120392A1および同文献中の個々の参考文献において開示されている物理的原理および装置オプションを参照することができる。
【0091】
本発明のさらなる実施形態は、物体から検出器へと伝播する光ビームの性質に言及した。本明細書で使用されるとき、「光」という用語は一般的に、可視スペクトル範囲、紫外線スペクトル範囲、赤外線スペクトル範囲のうちの1つまたは複数のスペクトル範囲の電磁放射を指す。その中では、この出願の日に有効なバージョンのISO-21348規格に部分的に準拠して、可視スペクトル範囲という用語は一般的に380nmから760nmのスペクトル範囲を指す。赤外線(IR)スペクトル範囲という用語は一般的に760nmから1000μmの範囲の電磁放射を指し、760nmから1.4μmの範囲は通常近赤外線(NIR)スペクトル範囲と表わされ、1.5μmから15μmの範囲は中赤外線(MIR)として表わされ、15μmから1000μmの範囲は遠赤外線(FIR)スペクトル範囲と表わされる。紫外線スペクトル範囲という用語は一般的に1nmから380nmの範囲、好ましくは100nmから380nmの範囲の電磁放射を指す。好ましくは、本発明の範囲内で使用される光は可視光、すなわち可視スペクトル範囲内の光である。
【0092】
「光ビーム」という用語は一般的に、特定の方向へ放出される、光の量を指す。したがって、光ビームは、光ビームの伝播方向に対して垂直な方向に所定の拡がりを有する光線の束であり得る。好ましくは、光ビームは1つまたは複数のガウス光ビームであるか、またはそれを含んでいてよく、該ガウス光ビームは、1つまたは複数のガウスビームパラメータ、例えば空間内でのビーム直径および/またはビーム伝播の進展を特徴付けるのに適した1つまたは複数のビームウエスト、レイリー長または任意のその他ビームパラメータまたはビームパラメータの組み合わせなどによって特徴付けられる。
【0093】
光ビームは物体自体によって発せられ得る、すなわち物体から発生し得る。追加的または代替的に、光ビームの別の発生源も実現可能である。このように、以下にてさらに詳しく概説するとおり、例えば所定の特徴を有する1つまたは複数の一次光線もしくはビームなどの1つまたは複数の一次光線もしくはビームを使用することにより、物体を照射する1つまたは複数の照射源が提供されてよい。後者の場合、物体から検出器へと伝播する光ビームは、物体および/または物体に接続された反射装置によって反射される光ビームであってよい。
【0094】
さらに、検出器は照射の変調、特に周期的変調のための少なくとも1つの変調装置、特に周期的ビーム遮断装置を有してよい。照射の変調は、照射の総出力を好ましくは周期的に、特に1つまたは複数の変調周波数で変化させるプロセスを意味すると理解されるべきである。特に、周期的変調は、照射の総出力の最大値と最小値との間で有効化され得る。最小値は0であってよいが、例として完全な変調を有効化する必要がない場合のように、最小値は0より大きい値であってもよい。変調は、例えば物体とセンサ層との間のビーム経路において、例えば前記ビーム経路内に配置されている少なくとも1つの変調装置によって有効化され得る。しかしながら、代替的または追加的に、物体を照射するための以下にてさらに詳細に説明される任意の照射源と物体との間のビーム経路において、例えば前記ビーム経路内に配置される少なくとも1つの変調装置によって変調が有効化され得る。これらの可能性の組み合わせも考えられる。少なくとも1つの変調装置は、例えば、ビームチョッパまたは他の種類の周期的ビーム遮断装置を含み、例えば、好ましくは一定速度で回転し、したがって照射を周期的に遮断することができる、少なくとも1つの遮断ブレードまたは遮断ホイールを含み得る。ただし、代替的または追加的に、1つまたは複数の異なる種類の変調装置、例えば電気光学効果および/または音響光学効果に基づく変調装置の使用も可能である。同じく、代替的または追加的に、例えば前記照明源自体が変調強度および/または総出力、例えば周期的変調総出力を有することによって、および/または前記照射源がパルス照射源、例えばパルスレーザとして具現化されることによって、変調照射を生成するように、少なくとも1つの任意の照射源自体を設計することもできる。このように、例として、少なくとも1つの変調装置を照射源に完全にまたは部分的に一体化してもよい。様々な可能性が考えられる。
【0095】
したがって、検出器は、異なる変調の場合に、特に少なくとも2つの縦方向センサ信号がそれぞれ異なる変調周波数の場合には、少なくとも2つの縦方向センサ信号を検出するように設計され得る。評価装置は、少なくとも2つの縦方向センサ信号から幾何学的情報を生成するように設計され得る。WO2012/110924A1およびWO2014/097181A1に記載されているように、曖昧さを解消すること、および/または例えば照射の総出力が一般的に未知であるという事実を考慮に入れることは可能である。例として、検出器は、物体および/または検出器の少なくとも1つのセンサ領域の照射に、0.1Hzから10kHzなど、0.05Hzから1MHzの周波数で変調をもたらすように設計され得る。上記で概説したように、この目的のために、検出器は、少なくとも1つの任意の照射源に組み込まれた、および/または照射源から独立した、少なくとも1つの任意の変調装置を含んでよい。したがって、例えば少なくとも1つのチョッパおよび/または変調された伝送性を有する少なくとも1つの装置など、例えば少なくとも1つの電気光学装置および/または少なくとも1つの音響光学装置のように、それ自体照射変調を生成するように適合された少なくとも1つ照射源、および/または少なくとも1つの独立した変調装置が存在し得る。
【0096】
本発明によると、前述のとおり、少なくとも1つの変調周波数を光検出器に適用することが有利となり得る。しかし、変調周波数を光検出器に適用せずに縦方向センサ信号を直接決定することは依然として可能である。以下にてさらに詳しく示すとおり、物体に関する所望する縦方向情報の取得のために、関連する多くの状況下で変調周波数の適用が必要ない場合がある。したがって、結果として、検出器は、変調装置を含むことを必要とされないことがあり、それは空間検出器の単純かつ高い費用対効果の構成にさらに貢献し得る。さらなる結果として、空間光変調装置は、周波数多重化モードではなく時間多重化モードで、あるいはこれらを組合せて使用され得る。
【0097】
本発明のさらなる一態様において、ユーザとマシンとの間で少なくとも1つの情報項目を交換するためのヒューマンマシンインターフェースが提案される。提案されるヒューマンマシンインターフェースは、上述のまたは以下にてさらに詳しく記載される1つまたは複数の実施形態において、検出器がマシンに情報および/または命令を提供するために1人または複数のユーザにより使用され得るという事実を利用し得る。このように、好ましくは、ヒューマンマシンインターフェースは制御命令の入力に使用され得る。
【0098】
ヒューマンマシンインターフェースは、上記で開示された1つまたは複数の実施形態および/または以下にてさらに詳しく開示される1つまたは複数の実施形態によるように、本発明による少なくとも1つの検出器を含み、そこでは該ヒューマンマシンインターフェースは検出器によってユーザの幾何学的情報の少なくとも1つの項目を生成するように設計され、該ヒューマンマシンインターフェースは前記幾何学的情報を、少なくとも1つの情報項目、特に少なくとも1つの制御命令に割り当てるように設計される。
【0099】
本発明のさらなる一態様において、少なくとも1つの娯楽機能を実行する娯楽装置が開示されている。本明細書で使用されるとき、娯楽装置は、以下で1人または複数のプレーヤともいう、1人または複数のユーザのレジャーおよび/または娯楽の目的に役立ち得る装置である。一例として、娯楽装置はゲーム、好ましくはコンピュータゲームの目的に役立ち得る。付加的または代替的に、娯楽装置は他の目的、例えば運動、スポーツ、理学療法または運動追跡全般などの目的にも使用され得る。このように、娯楽装置は、コンピュータ、コンピュータネットワークまたはコンピュータシステムに実装されてもよく、または1つもしくは複数のゲーム用ソフトウェアプログラムを実行するコンピュータ、コンピュータネットワークまたはコンピュータシステムを含んでもよい。
【0100】
娯楽装置は、本発明による少なくとも1つのヒューマンマシンインターフェース、例えば上記にて開示されている1つもしくは複数の実施形態および/または以下にて開示される1つもしくは複数の実施形態によるような、少なくとも1つのヒューマンマシンインターフェースを含む。娯楽装置は、ヒューマンマシンインターフェースを手段としてプレーヤにより少なくとも1つの情報項目を入力できるように設計される。前記少なくとも1つの情報項目は、娯楽装置のコントローラおよび/またはコンピュータへ送信されてもよく、および/またはそれらによって使用されてもよい。
【0101】
本発明のさらなる一態様では、少なくとも1つの可動物体の位置を追跡する追跡装置が提供される。本明細書で使用されるように、追跡システムは、少なくとも1つの物体または物体の少なくとも一部の過去の位置に関する一連の情報を収集するように適合されている装置である。付加的に、追跡システムは、少なくとも1つの物体または物体の少なくとも一部の予測される少なくとも1つの将来位置の情報を提供するように適合され得る。追跡システムは少なくとも1つの追跡コントローラを有してもよく、該追跡コントローラは電子装置として、好ましくは少なくとも1つのデータ処理装置として、より好ましくは少なくとも1つのコンピュータまたはマイクロコントローラとして完全にまたは部分的に具現化され得る。同じく、少なくとも1つの追跡コントローラは少なくとも1つの評価装置を含んでもよく、および/または前記少なくとも1つの評価装置の一部であってもよく、および/または完全にもしくは部分的に前記少なくとも1つの評価装置と同一であってもよい。
【0102】
追跡システムは、本発明による少なくとも1つの検出器、例えば上記に挙げた1つもしくは複数の実施形態において開示されているような、および/または下記の1つもしくは複数の実施形態において開示されているような、少なくとも1つの検出器を含む。追跡システムは、少なくとも1つの追跡コントローラをさらに備える。追跡システムは、1つ、2つ以上の検出器、特に2つ以上の同一の検出器を有してよく、それは前記2つ以上の検出器の間の重複する空間内の少なくとも1つの物体に関して信頼性のある深度情報の取得を可能にする。追跡コントローラは物体の一連の位置を追跡するように適合され、個々の位置は特定の時点での物体の位置に関する少なくとも1つの情報項目を含む。
【0103】
追跡システムはさらに、物体に接続可能な少なくとも1つのビーコン装置を含んでよい。ビーコン装置の潜在的に可能な定義についてはWO2014/097181A1を参照することができる。追跡システムは、好ましくは、検出器が少なくとも1つのビーコン装置の物体の位置に関する情報を生成し得るように、特に特定のスペクトル感度を示す特定のビーコン装置を含む物体の位置に関する情報を生成するように適合される。このように、異なるスペクトル感度を示す複数のビーコンが、本発明の検出器により、好ましくは同時に追跡され得る。本発明では、ビーコン装置は、完全にまたは部分的に能動型ビーコン装置および/または受動型ビーコン装置として具現化され得る。一例として、ビーコン装置は、検出器へ送信されるべき少なくとも1つの光ビームを生成するように適合された少なくとも1つの照射源を含んでよい。追加的または代替的に、ビーコン装置は、照射源により生成される光を反射し、それにより検出器へ送信される反射光ビームを生成するように適合された少なくとも1個の反射体を含み得る。
【0104】
本発明のさらなる態様において、少なくとも1つの物体の少なくとも1つの位置を決定するための走査システムが提供される。本明細書で使用されるとき、走査システムは、少なくとも1つの物体の少なくとも1つの表面に位置する少なくとも1つのドットを照射する少なくとも1つの光ビームを放射するとともに、前記少なくとも1つのドットと前記走査システムの間の距離に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように適合された装置である。前記少なくとも1つのドットと走査システムとの間の距離に関する少なくとも1つの情報項目を生成する目的のために、走査システムは、本発明による検出器の少なくとも1つ、例えば上記に列挙された1つまたは複数の実施形態に開示されるような、および/または以下の1つまたは複数の実施形態に開示されるような検出器を少なくとも1つ含む。
【0105】
このように、走査システムは、少なくとも1つの物体の少なくとも1つの表面に位置する少なくとも1つのドットを照射するために構成された、少なくとも1つの光ビームを放出するように適合された少なくとも1つの照射源を含む。本明細書で使用されるとき、「ドット」という用語は、例えば走査システムのユーザによって選択され得る物体の、照射源によって照射されるべき表面の一部に存在する小さいエリアを指す。好ましくは、ドットは、一方では走査システムが、該走査システムに含まれる照射源と、ドットが位置し得る物体の表面上の部分の間の距離の値を可能な限り正確に決定できるように、可能な限り小さいサイズであり、他方では走査システムのユーザまたは走査システム自体が特に自動手順により、物体の表面上の関連部分上のドットの存在を検出できる程度に大きいサイズであるようにすることができる。
【0106】
この目的のために、照射源は人工照射源、特に少なくとも1つのレーザ光源および/または少なくとも1つの白熱電球および/または少なくとも1個の半導体光源、例えば少なくとも1つの発光ダイオード、特に有機および/または無機の発光ダイオードを含み得る。一般的に定義されるビームプロファイルおよび他の操作特性のため、照射源として少なくとも1つのレーザ光源を使用するのが特に好ましい。ここでは、特にユーザにとって保管及び運搬しやすい小型走査システムを提供することが重要となり得る場合、単一のレーザ光源の使用が好ましいことがある。照射源はしたがって、検出器の構成要素であるのが好ましく、したがって特に、例えば検出器のハウジングに一体化するように、検出器に一体化することができる。好ましい実施形態では、特に走査システムのハウジングは、距離関連情報をユーザに例えば読みやすい形で提供するように構成された少なくとも1つのディスプレイを含み得る。さらに好ましい実施形態では、特に走査システムのハウジングはさらに、1つまたは複数の操作モードを設定するなど走査システムに関連する少なくとも1つの機能を操作するように構成され得る少なくとも1つのボタンを含み得る。さらに好ましい実施形態では、特に走査システムのハウジングはさらに、走査システムを別の表面、例えばゴム製脚、ベースプレートまたは壁ホルダなどへ固定するために、磁性材料などを含むように、特に距離測定の正確性および/またはユーザによる走査システムの操作性の向上のために構成され得る少なくとも1つの固定ユニットを含み得る。
【0107】
特に好ましい実施形態では、走査システムの照射源は、このように、物体の表面に位置する単一のドットを照射するように構成され得る単一のレーザビームを放出し得る。したがって、本発明による検出器の少なくとも1つを使用することにより、少なくとも1つのドットと走査システムとの間の距離に関する少なくとも1つの情報項目が生成され得る。これにより、好ましくは、走査システムに含まれる照射システムと照射源によって生成される単一のドットとの間の距離は、少なくとも1つの検出器に含まれる評価装置を採用することなどにより決定され得る。しかし、走査システムはさらに、特にこの目的に適合され得る追加の評価システムを含んでもよい。付加的または代替的に、走査システムのサイズ、特に走査システムのハウジングのサイズを考慮に入れ、これにより、走査システムのハウジングの前端または後端などハウジング上の特定の点と単一のドットとの間の距離を選択的に決定することができる。
【0108】
代替的に、走査システムの照射源は、ビームの放出方向の間に例えば直角などのそれぞれの角度を与えるように構成された2つの個別のレーザビームを放出することができ、それにより、同じ物体の表面に位置する2つの個別のドットまたは2つの別々の物体の2つの異なる表面が照射され得る。しかしながら、2つの個別のレーザビーム間のそれぞれの角度についての他の値もまた実現可能である。この特徴は特に、間接測定機能に採用されることができ、例えば、走査システムとドットとの間に1つまたは複数の障害物が存在するためなど、直接アクセスできない可能性のある間接距離の導出、またはその他到達するのが困難である可能性がある間接距離の導出などに採用され得る。したがって、例として、2つの個別の距離を測定し、ピタゴラスの定理の使用によって高さを導出することによって、ある物体の高さの値を決定することが可能であり得る。特に物体に対して所定のレベルを維持することができるようにするために、走査システムは、さらに、ユーザによって所定のレベルを維持するために使用され得る少なくとも1つのレベリングユニット、特に一体型気泡バイアルなどを含んでもよい。
【0109】
さらなる代替として、走査システムの照射源は、複数の個別のレーザビーム、たとえば互いに対して個別のピッチ特に規則的なピッチを示し、且つ少なくとも1つの物体の少なくとも1つの表面上に位置するドットの配列を生成するように配置されたレーザビームの配列(array)を放出してもよい。この目的のため、上記レーザビームの配列の生成を可能にし得る、特別に適合された光学素子、例えばビーム分割装置および鏡などが設けられてもよい。
【0110】
したがって、走査システムは、1つまたは複数の物体の1つまたは複数の表面上に配置された1つまたは複数のドットの静的な配置を提供し得る。あるいは、走査システムの照射源、特に上述のレーザビームの配列のような1つまたは複数のレーザビームは、経時的に変化する強度を示し得る、および/または、時間の経過とともに放出方向が交替され得る1本または複数の光ビームを提供するように、構成され得る。このように、照射源は、スキャン装置の少なくとも1つの照射源によって生成される交互特徴を有する1つまたは複数の光ビームを使用することにより、少なくとも1つの物体の少なくとも1つの表面の一部を1つの画像として走査するように構成され得る。特に、走査システムはこのように少なくとも1つの列スキャンおよび/または行スキャンを使用し、例えば1つまたは複数の物体の1つまたは複数の表面を連続的にまたは同時に走査し得る。したがって、走査システムは、3つ以上のドットを測定することによって角度を測定するように適合され得、または走査システムは、従来のものさしを使用してはほとんどアクセスできない屋根の切妻などの角または狭い領域を測定するように構成され得る。
【0111】
非限定的な例として、走査システムを、三脚に取り付けて、いくつかの角部および表面を有する物体または領域に向けることができる。1つまたは複数の自在な可動レーザ光源が走査システムに取り付けられている。前記1つまたは複数のレーザ光源は、それらが対象の点を照射するように動かされる。走査システムに対する照射点の位置は、走査システムの指定されたボタンを押すと計測され、位置情報が無線インターフェースを介して携帯電話に送信される。位置情報は携帯電話アプリケーションに保存される。レーザ光源は、さらなる対象点を照射するように移動され、該対象点の位置が測定されて携帯電話アプリケーションに送信される。携帯電話アプリケーションは、隣接する点を平面で接続することによって、点のセットを3次元モデルに変換することができる。3次元モデルは保存され、さらに処理されてよい。測定された点または表面間の距離および/または角度は、走査システムに取り付けられたディスプレイまたは位置情報が送信される携帯電話に直接表示されてよい。
【0112】
非限定的な例として、走査システムは、点を投射するための2つ以上の自在な可動レーザ光源と、さらに線を投射する1つの可動レーザ光源とを含み得る。その線は、或る線に沿って2つ以上のレーザスポットを配置するために使用されてもよく、スキャン装置のディスプレイは、等距離など上記線に沿って配置され得る2つ以上のレーザスポット間の距離を表示してもよい。2つのレーザスポットの場合、単一のレーザ光源を使用することができ、投射点の距離は、1つまたは複数のビームスプリッタまたはプリズムを使用して修正され、ビームスプリッタまたはプリズムは、投射されたレーザスポットが互いに離れるか、または互いに近づくようにして移動するように移動することができる。さらに、走査システムは、直角、円、正方形、三角形などのさらなるパターンを投射するように適合されてよく、それに沿ってレーザスポットを投射し、それらの位置を測定することによって測定を行うことができる。
【0113】
非限定的な例として、走査システムは、のこぎり、ドリルなどの木材または金属加工工具などの道具を用いる作業を支援するように適合させることができる。したがって、走査システムは、2つの反対方向の距離を測定し、その2つの測定距離またはそれら距離の合計をディスプレイに表示するように適合させることができる。さらに、走査システムは、走査システムが表面に置かれたときに、レーザポイントが該表面に沿って走査システムから自動的に離れ、表面の角部または端部によって距離の測定値が突然の変化を示すまで離れるようにして、表面の端部までの距離を測定するように適合されてよい。これにより、スキャニング装置が木の厚板の上に端部から離れて置かれている場合に、その厚板の端部までの距離を測定することが可能になる。さらに、走査システムは、一方向における厚板の端部までの距離を測定し、反対方向に指定された距離で線または円または点を投射することができる。走査システムは、反対方向に測定された距離に応じ、例えば所定の合計距離に応じて、所定の距離に線または円または点を投射するように適合されてもよい。これにより、走査システムを工具から安全な距離に配置しながら、のこぎりやドリルなどの工具を投射位置で使用することができ、同時に厚板の端部まで所定の距離で工具を使用して処理を実行することができる。さらに、走査システムは2つの反対方向に所定の距離で点または線などを投射するように適合されてもよい。距離の合計が変更されると、投射距離のうちの1つのみが変更される。
【0114】
非限定的な例として、走査システムは、例えば切断、鋸引き、穴あけなどの作業が行われる表面などに配置され、そして走査装置上のボタンなどにより、調整することができる所定の距離に、線を該表面上に投射するように適合させることができる。
【0115】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つの物体の少なくとも1つの単一の円形の、3次元画像を生成するための立体視システムが提供される。本明細書で使用されるとき、上記および/または下記にて開示される立体視システムは、少なくとも2つのFiPセンサを縦方向光センサとして含んでよく、第1のFiPセンサは追跡システム、特に本発明による追跡システムに含まれてよく、一方、第2のFiPセンサは走査システム、特に本発明による走査システムに含まれてよい。ここで、FiPセンサは、好ましくは平行配置の別々のビーム経路内に配置され、例えばFiPセンサを光軸に対して平行に整列させ、立体視システムの光軸に対して垂直に個別に変位させるようにして配置してもよい。したがって、FiPセンサは、特に、重複する視野を有し、好ましくは個別の変調周波数に対して高感度な個別のFiPセンサから導出される視覚情報の組合せによって深度情報を得ることにより、深度情報の認識を生成または増大させることができる。この目的ために、個別のFiPセンサは、好ましくは、光軸に垂直な方向に決定されるとき、1cmから100cm、好ましくは10cmから25cmの距離だけ互いに離間されてよい。この好ましい実施形態では、追跡システムは、このように、変調されたアクティブターゲットの位置を決定するために使用され、一方、1つまたは複数の物体の1つまたは複数の表面上に1つまたは複数のドットを投射する走査システムは、少なくとも1つのドットと走査システムとの間の距離に関する少なくとも1つの情報項目を生成するために使用される。加えて、立体視システムはさらに、本出願の他の箇所で説明されているように、画像内の少なくとも1つの物体の横方向位置に関する情報項目を生成するように適合された別個の位置感知装置を含んでもよい。
【0116】
立体視を可能にすることに加え、主として複数の縦方向光センサの使用に基づく立体視システムのさらなる特定の利点は、特に総強度の増加および/または低い検出閾値を含む。さらに、少なくとも2つの従来の位置感知装置を含む従来の立体視システムでは、それぞれの画像の対応するピクセルはかなりの計算量を適用することによって決定されなければならないが、少なくとも2つのFiPセンサを含む本発明による立体視システムでは、FiPセンサを使用することによって、それぞれの画像の対応するピクセルが記録され、FiPセンサのそれぞれは異なる変調周波数で動作することができ、明らかに互いに対して割り当てられ得る。このように、本発明による立体視システムは、少ない演算負荷で物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目、同様に、物体の横方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成することができることが強調され得る。
【0117】
立体視システムのさらなる詳細については、それぞれ追跡システムおよび走査システムの説明を参照することができる。
【0118】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つの物体の撮像するためのカメラが開示される。カメラは、上記で詳述された、または以下でさらに詳細に与えられる1つまたは複数の実施形態において開示されるような本発明の少なくとも1つの検出器を含む。このように、検出器は写真装置、具体的にはデジタルカメラの一部であってもよい。具体的には、検出器は3D写真撮影、具体的にはデジタル3D写真撮影に使用され得る。このように、検出器はデジタル3Dカメラを形成するか、またはデジタル3Dカメラの一部であってもよい。本明細書で使用されるとき、「写真撮影」という用語は一般的に、少なくとも1つの物体の画像情報を取得する技術を指す。本明細書でさらに使用されるとき、「カメラ」は一般に、写真撮影を実行するように構成された装置を指す。本明細書でさらに使用されるとき、「デジタル写真撮影」という用語は一般に、照射の強度を示す電気信号、好ましくは、デジタル電気信号を生成するように適合された複数の感光要素を使用することによって、少なくとも1つの物体の画像情報を取得する技術を指す。本明細書でさらに使用されるとき、「3D写真撮影」という用語は一般に、3次元空間における少なくとも1つの物体の画像情報を取得する技術を指す。したがって、3Dカメラは3D写真撮影を実行するのに適合された装置を指す。カメラは一般に、単一の3D画像などの単一の画像を取得するように適合されてもよく、または一連の画像のように複数の画像を取得するように適合されてもよい。したがって、カメラは、デジタルビデオシーケンスを取得するためなどのビデオ用途に適合したビデオカメラでもよい。
【0119】
したがって一般に、本発明はさらに、少なくとも1つの物体を撮像するカメラ、具体的にはデジタルカメラ、より具体的には3Dカメラまたはデジタル3Dカメラに言及する。上記にて概説のとおり、「撮像」という用語は、本明細書で使用されるときは、一般に、少なくとも1つの物体の画像情報を取得することを指す。カメラは本発明による少なくとも1つの検出器を含む。カメラは、上記の概説のとおり、単一の画像を取得するように、あるいは画像シーケンスのような複数の画像、好ましくはデジタルビデオシーケンスを取得するように適合され得る。したがって、一例として、カメラはビデオカメラであってもよく、またはそれを含んでもよい。後者の場合、カメラは画像シーケンスを保存するためのデータメモリを含むことが好ましい。
【0120】
本発明のさらなる態様では、入射光ビームの光学的検出のための光検出器を製造する方法が開示されている。該方法は、好ましくは、本発明による少なくとも1つの検出器、例えば以下でさらに詳しく説明するこの文書の他の場所に開示されている1つまたは複数の実施形態のうち少なくとも1つの検出器などを生産または製造するために使用される。したがって、該方法の任意の実施形態については、検出器の様々な実施形態の説明を参照することができる。
【0121】
この方法は以下の工程を含み、これらの工程は所定の順序で、または異なった順序で実行することができる。さらに、記載されていない追加の方法工程が提供されてもよい。特に明記しない限り、方法工程のうちの2つ以上、または全てさえも、少なくとも部分的に同時に実行されてもよい。さらに、方法工程の2つ以上または全てさえもが、2回以上繰り返し実行されてもよい。
【0122】
本発明による光検出器の製造方法は、以下の工程を含む:
a)回路キャリアのパーティション上に、入射光ビームを少なくとも部分的に反射するように設計されている反射層を堆積する工程;
b)少なくとも部分的に透明な基板層上に感光性材料を堆積することにより、入射光ビームおよび反射光ビームによるセンサ層の照射に依存する様式で少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されているセンサ層を生成する工程;そして
c)前記反射層の上に前記センサ層を担持する基板層を配置する工程;そして
d)センサ信号を受信し、センサ信号を評価することにより少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている評価装置を設ける工程。
【0123】
したがって、工程a)にしたがい、反射層が、最初に、回路キャリアのパーティション上、特にプリント回路基板(PCB)上に堆積され得る。独立して、少なくとも部分的に透明な基板層上に感光性材料を堆積させることにより、センサ層を工程b)にしたがって生成する。続いて、センサ層を担持する基板層は、工程c)にしたがって、反射層上に、好ましくは接着層を適用することにより配置され得、これにより、反射層は、入射光ビームを反射できるように、特にセンサ層に戻すことができるように、所望の位置に配置され得る。結果として、入射光ビームの損失は、入射光の好ましい吸収のために、入射光ビームをセンサ層に向け直すことにより低減され得る。その後、センサ層に接触するために、少なくとも2つの個別の電気接点が設けられ、電気接点は、センサ信号を回路キャリアを介して評価装置へ送信するように設計されている。したがって、センサ層と評価装置との間に電気接続を提供するための少なくとも2つの個別の電気接点が適用されてもよく、電気接続は、好ましくは、個々の電気接続と対応する受け接点、例えば好ましくは、PCBなどの回路キャリア上にさらに配置され得る接触パッドなどとの間にワイヤボンドを適用することによって得られる。
【0124】
特に好ましい実施形態では、センサ層は、好ましくは基板層とセンサ層との間に間隙が残らないようまたは隙間が生成しないようにして、基板層に直接的または間接的に付着されてもよい。この目的のために、センサ層は堆積方法を用いて付着されてもよく、堆積方法は、真空蒸着、スパッタリング、原子層堆積、化学蒸着、スプレー熱分解、電着、陽極酸化、電気変換、無電解浸漬成長、連続イオン吸着および反応、分子線エピタキシー、分子気相エピタキシー、液相エピタキシー、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ステンシル印刷、スロットダイコーティング、ドクターブレードおよび溶液-ガス界面技法から成る群から選択され得る。
【0125】
特定の実施形態では、接着層は、さらに、基板層と反射層との間に配置することができる。接着層のさらなる詳細については、本明細書で提供される接着層の説明を参照することができる。
【0126】
上述のように、所望の検出器は、一般に、入射光ビームによるセンサ層の照射に応じて少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されている。この目的のために、センサ層に電気的に接触するように適合された少なくとも2つの電気接点がさらに設けられてよい。一般に、電気接点は、方法工程a)からc)のいずれか1つの前またはその間に設けることができる。特に好ましい実施形態では、電気接点は、既知の蒸着技術などによって蒸着金属層を使用することによって提供されてもよく、前記金属層は特に銀、アルミニウム、白金、マグネシウム、クロム、チタン、金、または高導電性グラフェンのうちの1つまたは複数を含むことができる。あるいは、電気接点は、無電解Ni、無電解Au、ガルバニックNi、またはガルバニックAuなどのガルバニックまたは化学堆積プロセスによって提供され得る。
【0127】
さらに、カバー層は、電気接点を完全にまたは部分的に覆うようにセンサ層上に堆積されてもよい。この特定の実施形態では、電気接点は、カバー層によって少なくとも部分的に好ましくは完全に覆われて、したがって、好ましくはワイヤの形態、特に金(Au)、アルミニウム(Al)または銅(Cu)のワイヤの形態の導電性リード線を使用することによって少なくとも1つの外部接続に接合することができ、導電性リード線は、特に、カバー層を通して電気接点に接合することができる。例として、カバー層によって覆われた金(Au)接点は、続いて、ワイヤボンドによって接続されてもよい。
【0128】
既に上述したように、少なくとも1つの追加の層がさらにカバー層またはそのパーティション上に堆積され得る。ここで、追加の層は、追加の光フィルタ層、反射防止層、接着層、封入層、耐スクラッチ層、親水性層、疎水性層、自己清浄層、防曇層、または導電層の少なくとも一つであるかまたはこれを含むことができるように選択することができる。
【0129】
さらに、光検出器の製造プロセスに関するさらなる詳細は、この文書の他の場所で見出すことができる。
【0130】
本発明による装置は、表面実装テクノロジーパッケージ、例えばバンプチップキャリア、セラミックリードレスチップキャリア、リードレスチップキャリア、リードチップキャリア、リードセラミックチップキャリア、デュアルリードレスチップキャリア、プラスチックリードチップキャリア、パッケージオンパッケージチップキャリアなどと組み合わせて使用することができる。さらに、本発明による装置は、標準スルーホールまたはソースマウント技術の半導体パッケージ、例えばDO-204、DO-213、金属電極リーフレス面、DO-214、SMA、SMB、SMC、GF1、SOD、SOT、TSOT、TO-3、TO-5、TO-8、TO-18、TO-39、TO-46、TO-66、TO-92、TO-99、TO-100、TO-126、TO-220、TO-226、TO-247、TO252、TO-263、TO-263 THIN、SIP、SIPP、DFN、DIP、DIL、Flat Pack、SO、SOIC、SOP、SSOP、TSOP、TSSOP、ZIP、LCC、PLCC、QFN、QFP、QUIP、QUIL、BGA、eWLB、LGA、PGA、COB、COF、COG、CSP、Flip Chip、PoP、QP、UICC、WL-CSP、WLP、MDIP、PDIP、SDIP、CCGA、CGA、CERPACK、CQGP、LLP、LGA、LTCC、MCM、MICRO SMDXTなどと組み合わせて使用することができる。さらに、本発明による装置は、OPGA、FCPGA、PAC、PGA、CPGAなどのピングリッドアレイ(PGA)と組み合わせて使用することができる。さらに、本発明による装置は、CFP、CQFP、BQFP、DFN、ETQFP、PQFN、PQFP、LQFP、QFN、QFP、MQFP、HVQFP、SIDEBRAZE、TQFP、TQFN、VQFP、ODFNなどのフラットパッケージと組み合わせて使用することができる。さらに、本発明による装置は、SOP、CSOP MSOP、PSOP、PSON、PSON、QSOP、SOIC、SSOP、TSOP、TSSOP、TVSOP、μMAX、WSONなどの小型外形パッケージと組み合わせて使用することができる。さらに、本発明による装置は、CSP、TCSP、TDSP、MICRO SMD、COB、COF、COGなどのチップスケールパッケージと組み合わせて使用することができる。さらに、本発明による装置は、FBGA、LBGA、TEPBGA、CBGA、OBGA、TFBGA、PBGA、MAP-BGA、UCSP、μBGA、LFBGA、TBGA、SBGA、UFBGAなどのボールグリッドアレイと組み合わせて使用することができる。さらに、本発明による装置は、SiP、PoP、3D-SiC、WSI、近接通信などのマルチチップパッケージ内のチップなどのさらなる電子装置と組み合わせることができる。集積回路パッキングに関するさらなる情報については、以下の出典を参照することができる。
【0131】
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_integrated_circuit_packaging_type または、
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_integrated_circuit_package_dimensions
【0132】
本発明のさらなる態様では、本発明による検出器の使用が開示される。その中で、物体の位置、特に物体の横方向の位置を決定する目的のための検出器の使用が提案され、特に使用目的が、位置測定、特に交通技術における位置測定;娯楽用途;セキュリティ用途;ヒューマンマシンインターフェース用途;追跡用途;走査用途;立体視用途;写真撮影用途;イメージング用途またはカメラ用途;少なくとも1つの空間のマップを生成するためのマッピング用途;車両のホーミングまたは追跡ビーコン検出器;熱特性(背景よりも高温または低温)を有する物体の位置測定;マシンビジョン用途;ロボット用途、からなる群から選択される。
【0133】
好ましくは、光検出器のさらなる潜在的可能な詳細、方法、ヒューマンマシンインターフェース、娯楽装置、追跡システム、特に光センサに関するカメラと検出器のさまざまな使用、評価装置、および該当する場合、縦方向光センサ、変調装置、照射源および撮像装置、特に潜在的可能な材料、構成およびさらなる詳細について、WO2012/110924A1、US2012/206336A1、WO2014/097181A1、US2014/291480A1、およびWO2016/120392A1、これらの全ての全内容は参照により本明細書に含まれる。
【0134】
さらに、本発明による装置は、赤外線検出用途、熱検出用途、温度計用途、熱探求用途、炎検出用途、火災検出用途、煙検出用途、温度感知用途、分光法用途、写真複写用途などに使用することができる。さらに、本発明による装置は、写真複写用途またはゼログラフィ用途に使用することができる。さらに、本発明による装置は、排気ガス監視用途、燃焼プロセス監視用途、汚染監視用途、工業プロセス監視用途、化学プロセス監視用途、食品加工プロセス監視用途、水質監視用途、大気質監視用途などに使用することができる。さらに、本発明による装置は、品質管理用途、温度制御用途、動作制御用途、排気制御用途、ガス感知用途に使用することができる。
【0135】
上述の光センサおよび光センサのうちの少なくとも1つを含む検出器、方法、ヒューマンマシンインターフェース、および娯楽機器、ならびに提案された使用は、従来技術に対してかなりの利点を有する。したがって、一般に、空間内の少なくとも1つの物体の位置を正確に決定するための単純だが効率的な検出器が、特に少なくとも1つの物体の透過率、吸収、放射および反射率の少なくとも1つを検知することに関して提供され得る。さらに、本発明による検出器は、少なくともIRスペクトル範囲、具体的には、MidIRスペクトル範囲、つまり1.5μmから15μmのスペクトル範囲の少なくとも1つのパーティションにわたって特に高感度であり得、したがって赤外線のための効率的で信頼性が高い大面積の位置感知装置を提供する。
【0136】
当該技術分野において既知の装置と比較して、本明細書で提案される検出器は、好ましくは、入射光、特に赤外線スペクトル範囲からの光の損失を、可能な限り効果的に低減または回避できるように配置され、そこでは光検出器は、簡単な製造プロセスを適用することによって製造され得る。ここで、検出器はパッケージに簡単に統合され得る。さらに、本明細書に記載の検出器は、好ましくは、嵩張らない密閉パッケージとして供給され、それにもかかわらず、温度および/または湿度が高い場合でも、湿度および/または酸素などの外部の影響による劣化の可能性に対する高度な保護を提供することができる。さらに、電気接点の接合性は、カバー層およびセンサ層の嵩張らない気密パッケージを通してでさえも、プリント回路基板(PCB)などの回路キャリア上への容易な一体化を可能にする。本明細書において、検出器に使用される材料は、センサ層が、所望のスペクトル範囲にわたって、特に、IRスペクトル範囲、具体的にMidIRスペクトル範囲のパーティション内で、適切な吸収特性を示し得ることを確実にするために選択されてよい。
【0137】
要約すると、本発明の文脈において、以下の実施形態が特に好ましいと考えられる:
実施形態1:入射光ビームの光学的検出のための検出器であって、
- 少なくとも1つの層を担持するように設計された回路キャリアと、
- 前記回路キャリアのパーティションに配置されている反射層であって、入射光ビームを反射するように設計され、それにより、少なくとも1つの反射光ビームを生成する反射層と、
- 前記反射層に直接的または間接的に隣接する基板層であって、入射光ビームおよび反射光ビームに対して少なくとも部分的に透明である基板層と、
- 前記基板層上に配置されたセンサ層であって、入射光ビームおよび反射光ビームによる前記センサ層の照射に依存するようにして少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されたセンサ層と、
- 前記センサ信号を評価することによって、少なくとも1つの情報項目を生成するように設計された評価装置と、を有する検出器。
【0138】
実施形態2:前記検出器が、紫外線スペクトル範囲、可視スペクトル範囲、および赤外線スペクトル範囲から選択されるスペクトル範囲の少なくとも1つのパーティション内の少なくとも1つの波長を検出するように設計されている、実施形態1に記載の検出器。
【0139】
実施形態3:前記検出器が、赤外線スペクトル範囲、760nmから1000μmの範囲の赤外線スペクトル範囲の少なくとも1つのパーティション内の少なくとも1つの波長を検出するように設計されている、実施形態2に記載の検出器。
【0140】
実施形態4:前記検出器が、中赤外線スペクトル範囲、1.5μmから15μmの範囲の中赤外線スペクトル範囲の少なくとも1つのパーティション内の少なくとも1つの波長を検出するように設計されている、実施形態3に記載の検出器。
【0141】
実施形態5:回路キャリアが、検出器を機械的に支持し、前記回路キャリアは、検出器を電気的に接続するように設計されている、実施形態1から4のいずれか1項に記載の検出器。
【0142】
実施形態6:前記回路キャリアが、プリント回路基板(PCB)、好ましくは片面PCBであるか、またはそれを含む、実施形態1から5のいずれか1つに記載の検出器。
【0143】
実施形態7:前記プリント回路基板は、非導電性の平面基板であり、導電性構造がシート内に導電性構造がエッチングされ得るように、該基板上に導電性材料の少なくとも1つのシートを積層させた、実施形態6に記載の検出器。
【0144】
実施形態8:前記反射層が前記回路キャリアの表面のパーティション上に配置されている、実施形態1から7のいずれか1つに記載の検出器。
【0145】
実施形態9:前記反射層が、前記プリント回路基板の表面のパーティション上に配置されている、実施形態8に記載の検出器。
【0146】
実施形態10:前記反射層は、入射光ビームが少なくとも部分的に前記センサ層を透過した後に前記センサ層に反射して戻るように、入射光ビームを反射するように設計されている、実施形態1から9のいずれか1つに記載の検出器。
【0147】
実施形態11:前記反射層は、入射光ビームに拡散反射を提供するように設計されている、実施形態1から10のいずれか1つに記載の検出器。
【0148】
実施形態12:前記反射層が粗面を示し、好ましくは該粗面が少なくとも0.01μmのRa値を示す、実施形態1から11のいずれか1つに記載の検出器。
【0149】
実施形態13:前記反射層は、金属層または少なくとも1つの金属表面を含み、好ましくは、前記反射層が金層、銀層または銅層のうちの少なくとも1つである、実施形態1から12のいずれか1つに記載の検出器。
【0150】
実施形態14:前記反射層が10nmから100μm、好ましくは20nmから10μm、より好ましくは40nmから2μmの厚さを示す、実施形態1から13のいずれか1つに記載の検出器。
【0151】
実施形態15:前記基板層の材料が、ガラス、石英、シリコン(Si)、透明導電性酸化物(TCO)、または透明有機ポリマーから選択される、実施形態1から14のいずれか1つに記載の検出器。
【0152】
実施形態16:前記透明導電性酸化物(TCO)は、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(SnO:F;FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化マグネシウム(MgO)、またはペロブスカイト透明導電性酸化物からなる群から選択される、実施形態15に記載の検出器。
【0153】
実施形態17:前記センサ層が正確に1つの連続センサ層である、実施形態1から16のいずれか1つに記載の検出器。
【0154】
実施形態18:前記センサ層は、直接的または間接的に前記基板層に付けられる、実施形態1から17のいずれか1つに記載の検出器。
【0155】
実施形態19:前記基板層と前記センサ層との間に隙間が残らないか、または生成されていない、実施形態18に記載の検出器。
【0156】
実施形態20:前記センサ層は、堆積法を使用して付けられる、実施形態18または19かに記載の検出器。
【0157】
実施形態21:前記堆積法は、化学浴堆積、真空蒸着、スパッタリング、原子層堆積、化学気相堆積、スプレー熱分解、陽極酸化、電着、電気変換、無電解浸漬成長、連続イオン吸着および反応、分子線エピタキシー、分子気相エピタキシー、液相エピタキシー、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ステンシル印刷、スロットダイコーティング、ドクターブレード、そして、溶液-ガス界面技法、からなる群から選択される、実施形態20に記載の検出器。
【0158】
実施形態22:前記検出器が、基板と前記反射層の間に配置された接着層をさらに含む、実施形態1から21のいずれか1つに記載の検出器。
【0159】
実施形態23:前記接着層は接着物質であるか、または接着物質を含み、前記接着物質は、前記基板および前記反射層を組み立てるように設計されている、実施形態1から22のいずれか1つに記載の検出器。
【0160】
実施形態24:前記接着層は、入射光ビームおよび反射光ビームに対して少なくとも部分的に透明であるか、または入射光ビームに対して少なくとも部分的に反射性である、実施形態1から23のいずれか1つに記載の検出器。
【0161】
実施形態25:前記接着物質は、好ましくは、拡散反射粒子または鏡面反射粒子で満たされた有機接着剤から選択される、実施形態1から24のいずれか1つに記載の検出器。
【0162】
実施形態26:前記センサ層は、色素太陽電池、光導電性材料、および量子ドットの郡から選択される感光性材料を含み、前記光導電性材料が特に好ましい、実施形態1から25のいずれか1つに記載の検出器。
【0163】
実施形態27:前記光導電性材料は、無機光導電性材料、有機光導電性材料、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態1から26のいずれか1つに記載の検出器。
【0164】
実施形態28:前記無機光導電性材料は、セレン、テルル、セレン-テルル合金、金属酸化物、第4族元素または化合物、III-V族化合物、II-VI族化合物、カルコゲニド、プニクトゲニド、ハロゲン化物、およびそれらの固溶体および/またはドープ変形、を1つまたは複数を含む、実施形態27に記載の検出器。
【0165】
実施形態29:前記カルコゲニドは、硫化物カルコゲニド、セレン化物カルコゲニド、テルル化物カルコゲニド、三元カルコゲニド、四元以上のカルコゲニドを含む群から選択される、実施形態28に記載の検出器。
【0166】
実施形態30:前記硫化物カルコゲナイドは、硫化鉛(PbS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化亜鉛(ZnS)、硫化水銀(HgS)、硫化銀(AgS)、硫化マンガン(MnS)、三硫化ビスマス(Bi)、三硫化アンチモン(Sb)、三硫化ヒ素(As)、硫化スズ(II)(SnS)、二硫化スズ(IV)(SnS)、硫化インジウム(In)、硫化銅(CuS)、硫化コバルト(CoS)、硫化ニッケル(NiS)、二硫化モリブデン(MoS)、二硫化鉄(FeS)、三硫化クロム(CrS)、硫化銅インジウム(CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、硫化銅亜鉛スズ(CZTS)、およびその固溶体および/またはそのドープ変形を含む群から選択される、実施形態29に記載の検出器。
【0167】
実施形態31:前記セレン化カルコゲニドは、セレン化鉛(PbSe)、セレン化カドミウム(CdSe)、セレン化亜鉛(ZnSe)、三セレン化ビスマス(BiSe)、セレン化水銀(HgSe)、三セレン化アンチモン(SbSe)、三セレン化ヒ素(AsSe)、セレン化ニッケル(NiSe)、セレン化タリウム(TlSe)、セレン化銅(CuSe)、二セレン化モリブデン(MoSe)、セレン化スズ(SnSe)、セレン化コバルト(CoSe)、セレン化インジウム(InSe)、セレン化銅亜鉛スズ(CZTSe)、およびその固溶体および/またはそのドープ変形を含む群から選択される、実施形態29または30に記載の検出器。
【0168】
実施形態32:前記テルル化カルコゲニドは、テルル化鉛(PbTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、テルル化水銀(HgTe)、テルル化ビスマス(BiTe)、三テルル化ヒ素(AsTe)、三テルル化アンチモン(SbTe)、テルル化ニッケル(NiTe)、テルル化タリウム(TlTe)、テルル化銅(CuTe)、二テルル化モリブデン(MoTe)、テルル化スズ(SnTe)、テルル化コバルト(CoTe)、テルル化銀(AgTe)、テルル化インジウム(InTe)、およびその固溶体および/またはそのドープ変形を含む群から選択される、実施形態29から31のいずれか1つに記載の検出器。
【0169】
実施形態33:前記三元カルコゲナイドは、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe)、テルル化水銀亜鉛(HgZnTe)、硫化水銀カドミウム(HgCdS)、硫化鉛カドミウム(PbCdS)、硫化鉛水銀(PbHgS)、二硫化銅インジウム(CuInS)、硫セレン化カドミウム(CdSSe)、硫セレン化亜鉛(ZnSSe)、硫セレン化タリウム(TlSSe)、硫化カドミウム亜鉛(CdZnS)、硫化カドミウムクロム(CdCr)、硫化水銀クロム(HgCr)、硫化銅クロム(CuCr)、セレン化カドミウム鉛(CdPbSe)、二セレン化銅インジウム(CuInSe)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、硫化一酸化鉛(PbOS)、セレン化一酸化鉛(PbOSe)、硫セレン化鉛(PbSSe)、セレン化テルル化ヒ素(AsSeTe)、リン化インジウムガリウム(InGaP)、リン化ガリウムヒ素(GaAsP)、リン化アルミニウムガリウム(AlGaP)、亜セレンカドミウム(CdSeO)、テルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe)、セレン化カドミウム亜鉛(CdZnSe)、銅-亜鉛-硫化スズ-セレンカルコゲニド(CZTSSe)、およびその固溶体および/またはそのドープ変形を含む群から選択される、実施形態29から32のいずれか1つに記載の検出器。
【0170】
実施形態34:前記II-VI族化合物は、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、硫化水銀(HgS)、セレン化水銀(HgSe)、テルル化水銀(HgTe)、テルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe)、テルル化水銀亜鉛(HgZnTe)、セレン化水銀亜鉛(CdZnSe)、およびその固溶体および/またはそのドープ変形を含む群から選択される、実施形態28から33のいずれか1つに記載の検出器。
【0171】
実施形態35:前記III-V族化合物は、アンチモン化インジウム(InSb)、窒化ホウ素(BN)、リン化ホウ素(BP)、ヒ化ホウ素(BAs)、窒化アルミニウム(AlN)、リン化アルミニウム(AlP)、ヒ化アルミニウム(AlAs)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、およびその固溶体および/またはそのドープ変形を含む群から選択される、実施形態28から34のいずれか1つに記載の検出器。
【0172】
実施形態36:前記金属酸化物は、酸化銅(II)(CuO)、酸化銅(I)(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銀(AgO)、酸化マンガン(MnO)、二酸化チタン(TiO)、酸化バリウム(BaO)、酸化鉛(PbO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化カドミウム(CdO)、およびその固溶体および/またはそのドープ変形を含む群から選択される、実施形態28から35のいずれか1つに記載の検出器。
【0173】
実施形態37:前記第4族の元素または化合物は、ドープダイヤモンド(C)、ドープシリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、およびその固溶体および/またはそのドープ変形を含む群から選択される、実施形態28から36のいずれか1つに記載の検出器。
【0174】
実施形態38:前記光電導性材料が量子ドットを含むコロイド膜として提供される、実施形態28から37のいずれか1つに記載の検出器。
【0175】
実施形態39:前記光導電性材料は、硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、テルル化鉛(PbTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、リン化インジウム(InP)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、アンチモン化インジウム(InSb)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe)、硫化銅インジウム(CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、および硫化銅亜鉛スズ(CZTS)、を含む群から選択される、実施形態38に記載の検出器。
【0176】
実施形態40:前記センサ層が1nmから100μm、好ましくは10nmから10μm、より好ましくは100nmから1μmの厚さを示す、実施形態39に記載の検出器。
【0177】
実施形態41:前記センサ層に接触する少なくとも2つの個別の電気接点をさらに備え、前記電気接点は、前記回路キャリアを介してセンサ信号を前記評価装置に送信するように設計されている、実施形態1から40のいずれか1つに記載の検出器。
【0178】
実施形態42:ワイヤボンドが、前記センサ層に接触する各電気接点と、対応する受け接点の間に直接の接続を提供する、実施形態41に記載の検出器。
【0179】
実施形態43:前記受け接点が前記回路キャリア上、好ましくはプリント回路基板(PCB)上にさらに配置される、実施形態42に記載の検出器。
【0180】
実施形態44:前記受け接点が接触パッドである、実施形態42または43に記載の検出器。
【0181】
実施形態45:前記センサ層上に堆積されたカバー層をさらに含む、実施形態1から44のいずれか1つに記載の検出器。
【0182】
実施形態46:前記カバー層が、少なくとも1つの金属含有化合物を含むアモルファス層である、実施形態45に記載の検出器。
【0183】
実施形態47:前記少なくとも1つの前記金属含有化合物は、金属または半金属を含み、金属は、リチウム(Li),ベリリウム(Be)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、セシウム(Cs)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、タリウム(Tl)およびビスマス(Bi)から成る群から選択され、半金属は、ホウ素(B)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)およびテルル(Te)から成る群から選択される、実施形態46に記載の検出器。
【0184】
実施形態48:少なくとも1つの前記金属含有化合物が、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、およびタングステン(W)から成る群から選択される金属を含む、実施形態47に記載の検出器。
【0185】
実施形態49:少なくとも1つの前記金属含有化合物が、酸化物、水酸化物、カルコゲナイド、プニクチド、カーバイド、またはそれらの組み合わせを含む群から選択される、実施形態46から48のいずれか1つに記載の検出器。
【0186】
実施形態50:少なくとも1つの前記金属含有化合物は、少なくとも1つの酸化物、少なくとも1つの水酸化物、またはアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)のそれらの組み合わせを含む群から選択される、実施形態49に記載の検出器。
【0187】
実施形態51:前記カバー層は、10nmから600nm、好ましくは20nmから200nm、より好ましくは40nmから100nm、最も好ましくは50から75nmの厚さを有する、実施形態45から50のいずれか1つに記載の検出器。
【0188】
実施形態52:前記カバー層が化学浴堆積、真空蒸着、スパッタリング、原子層堆積、化学気相堆積、スプレー熱分解、陽極酸化、電着、電気変換、無電解浸漬成長、連続イオン吸着および反応、分子線エピタキシー、分子気相エピタキシー、液相エピタキシー、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ステンシル印刷、スロットダイコーティング、ドクターブレード、浸漬コーティング、および、溶液-ガス界面技法、であるか、またはそれを含む、実施形態45から51のいずれか1つに記載の検出器。
【0189】
実施形態53:前記カバー層は、光フィルタ、反射防止層、カプセル化層、接着層、耐スクラッチ層、親水性層、疎水性層、自己洗浄層、防曇層、または導電層のうちの少なくとも1つの特性をさらに含む、実施形態45から52のいずれか1つに記載の検出器。
【0190】
実施形態54:前記カバー層は前記センサ層に直接接触する、実施形態45から53のいずれか1つに記載の検出器。
【0191】
実施形態55:前記カバー層は、前記センサ層のアクセス可能な表面を完全に覆う、実施形態54に記載の検出器。
【0192】
実施形態56:前記カバー層が、前記電気接点を少なくとも部分的に覆う、実施形態54または55に記載の検出器。
【0193】
実施形態57:前記電気接点が、前記カバー層を通して接合可能である、実施形態56に記載の検出器。
【0194】
実施形態58:前記電気接点は、好ましくはワイヤボンド、特に金(Au)、アルミニウム(Al)、または銅(Cu)ワイヤを使用することにより接合可能である、実施形態1から57のいずれか1つに記載の検出器。
【0195】
実施形態59:少なくとも2つの個別の前記電気接点が、前記センサ層の異なる位置に設けられている、実施形態1から58のいずれか1つに記載の検出器。
【0196】
実施形態60:前記電気接点が、銀(Ag)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、金(Au)、および高導電性グラフェンから成る群から選択される少なくとも1つの電極材料を含む、実施形態1から59のいずれか1つに記載の検出器。
【0197】
実施形態61:さらなる接着層が前記電気接点に設けられており、前記さらなる接着層が接合に適合している、実施形態60に記載の検出器。
【0198】
実施形態62:前記さらなる接着層が、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、またはパラジウム(Pd)のうちの少なくとも1つを含む、実施形態61に記載の検出器。
【0199】
実施形態63:前記検出器が、前記センサ層の少なくとも一部の電気抵抗または導電率の1つまたは複数の測定によってセンサ信号を生成するように適合されている、実施形態1から62のいずれか1つに記載の検出器。
【0200】
実施形態64:前記検出器が、少なくとも1つの電流-電圧測定および/または少なくとも1つの電圧-電流測定を実行することによってセンサ信号を生成するように構成されている、実施形態63に記載の検出器。
【0201】
実施形態65:バイアス電圧源をさらに備える、実施形態1から64のいずれか1つに記載の検出器。
【0202】
実施形態66:前記バイアス電圧源および負荷抵抗が前記センサ層と直列に配置されている、実施形態65に記載の検出器。
【0203】
実施形態67:バイアス電圧は、前記センサ層の光導電性材料に印加される、実施形態65または66に記載の検出器。
【0204】
実施形態68:前記検出器は、照射を変調するための少なくとも1つの変調装置をさらに有する、実施形態1から67のいずれか1つに記載の検出器。
【0205】
実施形態69:光ビームは変調光ビームである、実施形態68に記載の検出器。
【0206】
実施形態70:前記検出器は、異なる変調の場合に少なくとも2つのセンサ信号、特に、それぞれ異なる変調周波数の少なくとも2つのセンサ信号を検出するように設計され、前記評価装置は、それぞれ異なる変調周波数で少なくとも2つのセンサ信号を評価することによって、物体の位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている、実施形態69に記載の検出器。
【0207】
実施形態71:前記光センサは、照射の総出力が同じ場合、前記センサ信号が照射の変調周波数に依存するようにさらに設計されている、実施形態69または70に記載の検出器。
【0208】
実施形態72:前記光ビームは無変調連続波光ビームである、実施形態71に記載の検出器。
【0209】
実施形態73:前記センサ信号は縦方向センサ信号であって、前記縦方向センサ信号は、照射の総出力が同じ場合、前記センサ層内の光ビームのビーム断面積に依存し、前記評価装置は、前記縦方向センサ信号を評価することによって、物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている、実施形態1から72のいずれか1つに記載の検出器。
【0210】
実施形態74:前記評価装置は、照射の幾何学形態と検出器に対する物体の相対位置との間の少なくとも1つの所定の関係から、好ましくは照射の既知の出力を考慮し、かつ任意で照射が変調される変調周波数を考慮し、物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている、実施形態73に記載の検出器。
【0211】
実施形態75:前記センサ信号は、前記センサ層全体に対する均一なセンサ信号である、実施形態73または74に記載の検出器。
【0212】
実施形態76:前記評価装置は、前記縦方向センサ信号を正規化し、修正光ビームの強度とは独立に物体の縦方向位置に関する情報を生成するように構成されている、実施形態73から75のいずれか1つに記載の検出器。
【0213】
実施形態77:前記評価装置は、異なる縦方向センサの縦方向センサ信号を比較することによって、修正光ビームが広がっているか狭くなっているかを認識するように構成されている、実施形態76に記載の検出器。
【0214】
実施形態78:前記評価装置は、少なくとも1つの縦方向センサ信号から修正光ビームの直径を決定することによって、物体の縦方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように構成される、実施形態73から77のいずれか1つに記載の検出器。
【0215】
実施形態79:前記評価装置は、物体の縦方向位置に関する情報の少なくとも1つの項目を決定するために、好ましくは、修正光ビームの伝播方向における少なくとも1つの伝播座標に対する修正光ビームのビーム径の既知の依存性から、および/または修正光ビームの既知のガウスプロファイルから、前記修正光ビームの直径と既知の光ビームのビーム特性を比較するように構成されている、実施形態78に記載の検出器。
【0216】
実施形態80:前記センサ信号は横方向センサ信号であって、前記横方向センサ信号は、前記センサ層に接触する前記電気接点によって提供される、実施形態1から79のいずれか1つに記載の検出器。
【0217】
実施形態81:前記電気接点は少なくとも1つの分割電極として構成され、前記バイアス電圧源が、前記少なくとも1つの分割電極に適用可能であって、前記評価装置はさらに、バイアス電圧源および少なくとも1つの分割電極を適用することによって、および前記横センサ信号を評価することによって、物体の横方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている、実施形態80に記載の検出器。
【0218】
実施形態82:前記分割電極が少なくとも2つの部分電極を含む、実施形態81に記載の検出器。
【0219】
実施形態83:少なくとも4つの部分電極が設けられ、各部分電極は、好ましくは、T字形状を含む形態で設けられている、実施形態82に記載の検出器。
【0220】
実施形態84:前記部分電極を通る電流は、前記センサ層内の前記修正光ビームの位置に依存する、実施形態82または83に記載の検出器。
【0221】
実施形態85:前記横方向センサ信号は、前記部分電極を通る電流に従って生成され、前記評価装置は、前記部分電極を通る電流の少なくとも1つの比率から物体の横方向位置に関する情報を生成するように構成されている、実施形態84に記載の検出器。
【0222】
実施形態86:少なくとも1つの照射源をさらに含む、実施形態1から85のいずれか1つに記載の検出器。
【0223】
実施形態87:前記照射源は、少なくとも部分的に物体に接続され、および/または少なくとも部分的に物体と同一である照射源;一次放射で物体を少なくとも部分的に照射するように設計されている照射源:から選択される、実施形態86に記載の検出器。
【0224】
実施形態88:前記光ビームは、物体の一次放射の反射によって、および/または一次放射によって刺激された物体自体による発光によって生成される、実施形態87に記載の検出器。
【0225】
実施形態89:前記センサ層のスペクトル感度は、前記照射源のスペクトル範囲によってカバーされている、実施形態88に記載の検出器。
【0226】
実施形態90:ユーザとマシンとの間で少なくとも1つの情報を交換するための、特に制御コマンドを入力する場合のヒューマンマシンインターフェースであって、検出器に関する実施形態1から89のいずれか1つによる少なくとも1つの検出器を含み、前記検出器によってユーザの幾何学的情報の少なくとも1つの項目を生成するように設計され、前記幾何学的情報に少なくとも1つの情報項目、特に少なくとも1つの制御コマンドを割り当てるように設計されている、ヒューマンマシンインターフェース。
【0227】
実施形態91:前記ユーザの幾何学的情報の少なくとも1つの項目は、前記ユーザの身体の位置;前記ユーザの少なくとも1つの身体部分の位置;前記ユーザの身体の向き;前記ユーザの少なくとも1つの身体部分の向き:から成る群から選択される、実施形態90に記載のヒューマンマシンインターフェース。
【0228】
実施形態92:前記ユーザに接続可能な少なくとも1つのビーコン装置をさらに含み、前記検出器が前記少なくとも1つのビーコン装置の位置に関する情報を生成できるように適合されている、実施形態90または91に記載のヒューマンマシンインターフェース。
【0229】
実施形態93:前記ビーコン装置が、前記検出器に送信される少なくとも1つの光ビームを生成するように構成された少なくとも1つの照射源を含む、実施形態92に記載のヒューマンマシンインターフェース。
【0230】
実施形態94:少なくとも1つの娯楽機能、特にゲームを実行するための娯楽装置であって、ヒューマンマシンインターフェースを参照する実施形態1から93のいずれか1つによる少なくとも1つのヒューマンマシンインターフェースを備え、プレーヤが前記ヒューマンマシンインターフェースを使用して少なくとも1つの情報項目を入力できるように設計され、前記情報に従って前記娯楽機能を変更するように設計されている、娯楽装置。
【0231】
実施形態95:少なくとも1つの可動物体の位置を追跡するための追跡システムであって、検出器に関する実施形態1から89のいずれか1つによる少なくとも1つの検出器を含み、少なくとも1つの追跡コントローラをさらに含み、前記追跡コントローラは、それぞれが特定の時点における物体の位置に関する少なくとも1つの情報項目を含む物体の一連の位置を追跡するように構成されている、追跡システム。
【0232】
実施形態96:前記追跡システムは、物体に接続可能な少なくとも1つのビーコン装置をさらに含み、前記検出器が前記少なくとも1つのビーコン装置の物体の位置に関する情報を生成できるように構成されている、実施形態95に記載の追跡システム。
【0233】
実施形態97:少なくとも1つの物体の少なくとも1つの位置を決定するための走査システムであって、検出器に関連する実施形態1から89のいずれか1つによる少なくとも1つの検出器を含み、前記少なくとも1つの物体の少なくとも1つの表面に位置された少なくとも1つのドットを照射するように構成された少なくとも1つの光ビームを放射するように適合された少なくとも1つの放射源をさらに含み、前記少なくとも1つの検出器を使用することにより、前記少なくとも1つのドットと前記走査システムの間の距離に関する情報の少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている、走査システム。
【0234】
実施形態98:前記照射源は少なくとも1つの人工照射源、特に、少なくとも1つのレーザ光源および/または少なくとも1つの白熱灯および/または少なくとも1つの半導体光源を含む、実施形態97に記載の走査システム。
【0235】
実施形態99:前記照明源は、複数の個別の光ビーム、特にそれぞれのピッチ、特に規則的なピッチを示す光ビームのアレイを放射する、実施形態97または98に記載の走査システム。
【0236】
実施形態100:少なくとも1つのハウジングを備え、前記少なくとも1つのドットと前記走査システムの間の距離に関する少なくとも1つの情報項目は、前記少なくとも1つのドットと前記走査システムのハウジング上の特定の点、特に前記ハウジングの前端または後端との間で決定される、実施形態97から99のいずれか1つに記載の走査システム。
【0237】
実施形態101:前記ハウジングは、ディスプレイ、ボタン、固定ユニット、レベリングユニットのうち少なくとも1つを含む、実施形態100に記載の走査システム。
【0238】
実施形態102:前記追跡システムを参照する任意の実施形態による少なくとも1つの追跡システムと、前記走査システムを参照する任意の実施形態による少なくとも1つの走査システムとを含む立体視システムであって、前記追跡システムおよび前記走査システムはそれぞれ、前記立体視システムの光軸に平行な向きに並ぶように平行配置された少なくとも1つの光検出器を含み、同時に、前記立体視システムの光軸に垂直な向きに関して個別の変位を示すように配置された、立体視システム。
【0239】
実施形態103:前記追跡システムおよび前記走査システムはそれぞれ、少なくとも1つの縦方向光センサを含み、前記縦方向光センサのセンサ信号は、物体の縦方向位置に関する情報項目を決定するために組み合わされる、実施形態102に記載の立体視システム。
【0240】
実施形態104:前記縦方向光センサの前記センサ信号は、異なる変調周波数を適用することによって互いに関して識別可能である、実施形態103に記載の立体視システム。
【0241】
実施形態105:前記立体視システムは、少なくとも1つの横方向光センサをさらに含み、前記横方向光センサのセンサ信号は、物体の横方向位置に関する情報項目を決定するために使用される、実施形態102から104のいずれか1つに記載の立体視システム。
【0242】
実施形態106:物体の立体視は、物体の縦方向位置に関する情報項目と物体の横方向位置に関する情報項目とを組み合わせることにより得られる、実施形態105に記載の立体視システム。
【0243】
実施形態107:検出器を参照する実施形態1から106のいずれか1つによる少なくとも1つの検出器を含むカメラ。
【0244】
実施形態108:入射光ビームの光学的検出のための光検出器を製造する方法であって、以下の工程:
a)回路キャリアのパーティション上に反射層を堆積する工程であって、前記反射層は前記入射光ビームを少なくとも部分的に反射するように設計されている工程;
b)少なくとも部分的に透明な基板層上に感光性材料を堆積することによりセンサ層を生成する工程であって、前記センサ層は前記入射光ビームと反射光ビームによるセンサ層の照射に依存する様式で少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計されている工程;
c)前記反射層上に前記センサ層を担持する前記基板層を配置する工程;および
d)前記評価装置を設ける工程であって、前記評価装置は、センサ信号を受信し、前記センサ信号を評価することにより少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている工程、
を含む方法。
【0245】
実施形態109:前記反射層は、前記回路キャリアのパーティション上、特にプリント回路基板(PCB)上に堆積されている、実施形態108に記載の方法。
【0246】
実施形態110:前記センサ層を担持する前記基板層は、接着層を適用することにより前記反射層上に配置される、方法を参照する実施形態108または109に記載の方法。
【0247】
実施形態111:前記反射層は、金属層を堆積することにより得られ、前記反射層は、好ましくは、金層、銀層、または銅層の少なくとも1つを堆積することにより得られる、方法を参照する実施形態108から110のいずれか1つに記載の方法。
【0248】
実施形態112:前記反射層は、10nmから100μm、好ましくは20nmから10μm、より好ましくは40nmから2μmの厚さを示すまで堆積される、方法を参照する実施形態108から111のいずれか1つに記載の方法。
【0249】
実施形態113:前記センサ層を前記基板層に直接または間接的に付着することをさらに含む、方法を参照する実施形態108から112のいずれか1つに記載の方法。
【0250】
実施形態114:前記基板層と前記センサ層の間に隙間が残らないか、または生成されない、実施形態113に記載の方法。
【0251】
実施形態115:前記センサ層は堆積法を使用して適用され、堆積法は、化学浴堆積、真空蒸着、スパッタリング、原子層堆積、化学気相堆積、スプレー熱分解、電着、陽極酸化、電気変換、無電解浸漬成長、連続イオン吸着および反応、分子線エピタキシー、分子気相エピタキシー、液相エピタキシー、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ステンシル印刷、スロットダイコーティング、ドクターブレード、そして、溶液-ガス界面技法、から成る群から選択される、実施形態113または114に記載の方法。
【0252】
実施形態116:前記センサ層に使用される感光性材料は、色素太陽電池、光導電性材料、および量子ドットから成る群から選択され、光導電性材料が特に好ましい、方法を参照する実施形態108から115のいずれか1つに記載の方法。
【0253】
実施形態117:前記センサ層に接触するための少なくとも2つの個別の電気接点が設けられ、前記電気接点は、前記回路キャリアを介して前記評価装置に前記センサ信号を送信するように設計されている、方法を参照する実施形態108から116のいずれか1つに記載の方法。
【0254】
実施形態118:前記電気接点は、導電性リードを使用することにより、好ましくはワイヤボンド、特に金(Au)、アルミニウム(Al)、または銅(Cu)ワイヤの形態で少なくとも1つの外部接続に接合される、実施形態117に記載の方法。
【0255】
実施形態119:前記電気接続は、個別の電気接点と対応する受け接点の間にワイヤボンドを適用することにより得られる、実施形態118に記載の方法。
【0256】
実施形態120:前記受け接点は、好ましくはさらに前記回路キャリア上、特に前記プリント回路基板(PCB)上に配置される接触パッドである、実施形態119に記載の方法。
【0257】
実施形態121:カバー層が生成され、前記カバー層が少なくとも部分的に、好ましくは完全に前記センサ層を覆う、方法を参照する実施形態108から120のいずれか1つに記載の方法。
【0258】
実施形態122:前記導電性リードが前記カバー層を介して前記電気接点に接合される、実施形態121に記載の方法。
【0259】
実施形態123:使用目的が、距離測定、特に交通技術における距離測定;位置測定、特に交通技術における位置測定;娯楽用途;セキュリティ用途;ヒューマンマシンインターフェース用途;追跡用途;走査用途;立体視;写真撮影用途;イメージング用途またはカメラ用途;少なくとも1つの空間のマップを発生させるためのマッピング用途;車両のホーミングまたは追跡ビーコン検出器;熱特性を有する物体の距離および/または位置測定;マシンビジョン用途;ロボット用途;物流用途;車両用途;飛行機用途;船舶用途;宇宙船用途;ロボット用途;医療用途;スポーツ用途;建築用途;建設用途;製造用途;マシンビジョン用途;飛行時間型検出器、レーダ、ライダー(Lidar)、超音波センサ、または干渉法から選択された少なくとも1つの検知技術と組み合わせた使用;赤外線検出用途;熱検出用途;温度計用途、熱探求用途、火炎検出用途、火災検出用途、煙検出用途、温度感知用途、分光法用途;写真複写用途;ゼログラフィ用途;排気ガス監視用途;燃焼プロセス監視用途;汚染監視用途;工業プロセス監視用途;化学プロセス監視用途;食品加工プロセス監視用途;水質監視用途;大気質監視用途;品質管理用途;温度制御用途;動作制御用途;排気制御用途;ガス感知用途;ガス分析用途;動作感知用途;化学感知用途;からなる群から選択される、検出器を参照する実施形態1から122のいずれか1つによる検出器の使用。
【図面の簡単な説明】
【0260】
本発明のさらなる任意の詳細および特徴は、従属請求項と併せて、続く好ましい例示的な実施形態の説明から明らかである。これに関連して、特定の特徴は、独立したやり方で、または他の特徴と組み合わせて実施することができる。本発明は例示的な実施形態に限定されない。例示的な実施形態は、図面に概略的に示されている。個々の図における同一の参照番号は、同一の要素または同一の機能を有する要素、またはそれらの機能に関して互いに対応する要素を指す。
【0261】
具体的には、図中では:
図1】反射層を含む本発明による光学検出器の例示的な実施形態を示す図である。
図2】カバー層をさらに備える検出器のさらなる例示的な実施形態を示す図である。
図3】本発明による光検出器と反射層を有していない光検出器との間で実験的に測定された検出器信号の比較を示す図である;そして
図4】本発明による検出器、検出器システム、ヒューマンマシンインターフェース、娯楽装置、追跡システムおよびカメラの例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0262】
図1は、本発明による光検出器110の例示的実施形態を、極めて概略的に示す図である。本明細書では、検出器110は、光学的検出、特に、スペクトル範囲の少なくとも1つのパーティション内の少なくとも1つの波長を検出するために設計され、該スペクトル範囲の所望のパーティションは、紫外線(UV)スペクトル範囲、可視(VIS)スペクトル範囲および/または赤外線(IR)スペクトル範囲から選択されてよく、そこでは該IR範囲、すなわち、760nmから1000μmのスペクトル範囲が特に好ましい。
【0263】
具体的には、検出器は、少なくとも1つの物体112の光学的に考えられる特性を感知するように設計され得る。特に、検出器110によって決定可能な光学的に考えられる特性は、物体112の光学特性および/または幾何学的特性の少なくとも一方から選択されてもよい。例として、光学特性は、好ましくは、物体112の透過率、吸収、放射、および/または反射率、から選択されてもよく、一方、幾何学的特性は、特に、検出器110に対する物体112の位置を指し得る。簡単にするために、物体112は図4に概略的にのみ描かれるが、物体112は、図1から3による実施形態に存在することも想定され得る。
【0264】
検出器110は、少なくとも第1表面116および第2表面118を有する少なくとも1つの基板層114を含み、第2表面118は、第1表面116に対して反対側に位置する。本明細書では、基板層114の第1表面116および/または第2表面118は、図1および図2に示されるように、好ましくは平坦表面であり得る。しかしながら、代替の実施形態(ここでは図示せず)では、基板層114の第1表面116または第2表面118の少なくとも一方は、湾曲表面を呈してもよく、湾曲表面とは、平坦面から逸脱する可能性のあるエリアを指す。本明細書では、湾曲表面は、特に、入射光ビーム120が検出器110を通るその経路上で生じる可能性のある収差を補正するように設計され得る。特に、湾曲表面は、凸面または凹面から選択されてもよい。しかし、他の種類の湾曲した表面も考えられる。
【0265】
本発明の目的のために、入射光ビーム120は、優先的には基板層114とセンサ層122との間に隙間を残さずに基板層114の第2表面118に間接的または好ましくは直接的に付着され得るセンサ層122に衝突する。ここで、センサ層122は、本明細書に示されているように、正確に単一の連続するセンサ層であってもよい。この目的のために、センサ層122は、好ましくは、堆積方法を使用することにより、有利には、1nmから100μm、好ましくは10nmから10μm、より好ましくは100nmから1μmの厚さを容易に生成できる浴堆積プロセスを使用することにより、基板層114上に堆積され得る。しかしながら、センサ層122の代替の配置またはセンサ層122を生成するための他の堆積方法も実行可能であり得る。
【0266】
本明細書では、センサ層122は、入射光ビーム120による、および以下でより詳細に説明するように、反射光ビーム124によるセンサ層122の照射に依存するようにして、少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計される。本発明によれば、センサ層122は少なくとも1つの感光性材料126を含む。特に好ましい実施形態では、感光性材料122は、光導電性材料128、優先的に、少なくとも1つのカルコゲニド材料、特に、硫化鉛(PbS)、セレン化鉛(PbSe)、テルル化鉛(PbTe)、テルル化カドミウム(CdTe)、またはリン化インジウム(InP)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、アンチモン化インジウム(InSb)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe;MCT)、硫化銅インジウム(CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、および硫化銅亜鉛スズ(CZTS)、から成るグループから選択される。しかし、他のカルコゲニドまたは他の種類の光導電性材料128も使用することができる。代替実施形態(ここでは図示せず)では、センサ層122に含まれる感光性材料126は、色素太陽電池または量子ドット層から選択されてもよい。
【0267】
さらに、検出器110は、回路キャリア130を含む。一般に使用されるように、回路キャリア130は、検出器110またはそのパーティションなどの電子的、電気的、および/または光学的要素を機械的に支持し且つ電気的に接続するように設計されたプラットフォームを指す。本発明の特に好ましい実施形態では、回路キャリア130は、プリント回路基板(PCB)132であるか、それを含んでもよい。図1に概略的に示すように、プリント回路基板132は単一のシートのみを含んでおり、このため、片面PCB134と呼ばれる場合がある。ただし、両面PCBや多層PCBなど、1枚以上のシートを含み、いわゆる「ビア」を使用することにより、異なるシートが互いに接続されるプリント回路基板も適用可能であってよい。しかしながら、他のタイプの回路キャリア130も適用可能であり得る。一般に、上記電子的、電気的、および/または光学的要素は、はんだ付け、溶接、堆積などによって、または、追加的または代替として、この目的のために回路キャリア130内の指定されたシート座中に配置することにより、および/または回路キャリア130のパーティションを取り除くことによるなど、回路キャリア130中に埋め込むことによって、プリント回路基板132の表面136に配置されてもよい。
【0268】
さらに、検出器110は、反射層138を備え、該反射層138は回路キャリア130のパーティション、特に、プリント回路基板132の表面136のパーティション上に配置される。本明細書において、反射層138は、特に、その前にセンサ層114を透過した後の入射光ビーム120が少なくとも部分的好ましくは完全に、反射光ビーム124としてセンサ層114に反射される様式で、入射光ビーム120を反射するように設計される。したがって、この種の配置は、入射光ビーム120を反射光ビーム124としてセンサ層114に向け直すことを可能にし、それにより、この種の検出器110での測定中の入射光の損失を減らすことができる。
【0269】
好ましくは、反射層138、特に少なくとも入射光ビーム120が衝突するように設計された反射層138の表面140は、好ましくは、金、銀、または銅の層、または少なくとも金、銀、または銅の表面を含む。ここで、金、銀、および銅は、IRにおいて高い反射率、例えば特に760nmから20μmの全IRスペクトル範囲にわたって90%を超える反射率を示すため、特に好ましい。加えて、金層142は、回路キャリア130、特にPCB132の受け表面136に金を堆積させることで容易に製造できるため、さらに好ましい。しかしながら、他の種類の金属層も反射層138として適している場合がある。特に、反射層は、10nmから100μm、好ましくは20nmから10μm、より好ましくは40nmから2μmの厚さを示し得る。
【0270】
本明細書において、反射層138は、拡散反射(ここでは図示せず)が生じ、これにより入射光ビーム120を種々の方向に散乱する様式で、入射光ビーム120を反射するように設計されてもよい。この目的のために、反射層の表面140は、特に、平坦表面と比較して、表面140に対してより狭い角度で入射光ビーム120を反射する粗い表面144であってもよく、またはそれを含んでもよく、したがって、反射光ビーム124は、高い確率で吸収される可能性があるセンサ層114をより長い距離にわたって進む。その結果、反射層138の粗い表面144は、このように、特に、入射光の損失を低減するために提供され得る。
【0271】
その結果、基板層114は、入射光ビーム120および反射光ビーム124の両方に関して少なくとも部分的に透明である。この目的のために、基板層は、好ましくは、ガラス、石英、シリコン(Si)、透明有機ポリマー、または透明導電性酸化物(TCO)から選択される材料を含み、特に、透明導電性酸化物(TCO)は、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(SnO:F;FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化マグネシウム(MgO)、またはペロブスカイト透明導電性酸化物からなる群から選択される。しかしながら、検出器110の所望の波長範囲に応じて、他の種類の材料も実現可能であり得る。
【0272】
図1に示す好ましい例示的な実施形態では、検出器110は、基板層114と反射層138の間、特に基板層114の第2表面118と反射層138の表面140との間に配置できる接着層146をさらに含んでよい。2つの隣接する基板層114および反射層138を分離に対して抵抗を有するように組み立てるため、接着層146は接着物質を含む。図1に概略的に示されているように、接着層146は、特に、一方では反射層138と接着層146との間、及び他方では、接着層146と基板層114の間に隙間が残留または生成されないように付着される。ここで、接着層146は、好ましくは、基板層114および反射層138の両方に隣接して配置され得る、正確に1つの連続層であり得る。図1の特に好ましい実施形態は、したがって、好ましくは接着層146を適用することにより、反射層138上に、センサ層122を担持する基板層114を配置することを可能にし、それにより、反射層138は、入射光ビーム120を特に反射光ビーム124として、可能な限り効率的にセンサ層122に戻すように、入射光ビーム120を反射する所望の位置に配置され得る。
【0273】
本明細書では、接着層146は、少なくとも部分的に、入射光ビーム120に対して透明であってもよく、あるいは、代替として、入射光ビーム120に対して部分的に反射性であってもよく、このように反射層138の効果を支援する。使用され得る実施形態に関係なく、入射光ビーム120は、所望のように、反射光ビーム124として基板層114を通ってセンサ層122に向かって反射され得る。この目的のために、接着層146は、基板層114と反射層138との間の密接かつ安定した接続を提供するために選択される厚さを示し得る。接着層146に選択された材料に応じ、接着層146の厚さは、それゆえに、100nmから10μm、より好ましくは250nmから5μmであってよい。
【0274】
さらに、検出器110は、好ましくは、センサ層122で生成される少なくとも1つのセンサ信号を直接的または間接的に評価装置150(ここでは図示せず)に送信するように設計された電気接点148、148’を含み得る。好ましくは電気接点148、148’は、銀(Ag)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、金(Au)、および高導電性グラフェンから成る群から選択される少なくとも1つの電極材料を含むことができる。図1に示すように、電気接点148、148’はさらにボンドワイヤまたはボンディングワイヤ152、152’を使用して接合されてもよく、そこではボンディングワイヤ152、152’は、特に金(Au)、アルミニウム(Al)、または銅(Cu)ワイヤであるか、それを含んでもよい。ボンディングワイヤ152、152’と電気接点148、148’の電極材料の間の接合を支持するために、追加の接着層(ここでは図示せず)が、電気接点148、148’に追加的に設けられてもよく、追加の接着層は、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、またはパラジウム(Pd)のうちの少なくとも1つを含むことができる。しかしながら、他の種類のボンディングワイヤおよび/または追加の接着層も実現可能である。図1にさらに示されるように、センサ信号を運ぶボンディングワイヤ152、152’は、回路キャリア130の表面136に配置された、導電性材料を含む接触パッド154、154’に導かれてよく、そこからセンサ信号がさらに直接的または間接的な方法で評価装置150に導かれてよい。この配置により、好ましくは、センサ層122および電気接点148、148’を担持する基板層114を自動的に取り上げて回路キャリア130上の選択された位置に配置し、続いてボンディングワイヤ152、152’を設けることにより、検出器110の容易な取扱いおよび接触が可能になり得る。
【0275】
このように、電気接点148、148’は、センサ層122によって生成されたセンサ信号を評価装置150に送信するように設計され得る。あるいは、センサ信号は、センサ層122から評価装置150に無線方式で送信されてもよい。したがって、入射光ビーム122と反射光ビーム124の両方が衝突するときに結果としてセンサ層122によって提供されるセンサ信号は、センサ層122に含まれる感光材料126、特に光導電材料128の特性に依存する。評価装置150は、一般に、センサ信号を評価することにより、少なくとも1つの物体112の1つまたは複数の光学的に考えられる特性についての、入射光ビーム120と反射光ビーム124の両方によって提供される少なくとも1つの情報項目を生成するように設計されている。この目的のために、評価装置150は、センサ信号を評価するために、1つまたは複数の電子装置および/または複数のソフトウェアコンポーネントを備えてもよい。したがって、評価装置150は、センサ層122によって取得された1つより多いセンサ信号を比較することにより、少なくとも1つの情報項目を決定するように適合され得る。
【0276】
好ましくは、評価装置150は、この特定の実施形態において縦方向光センサとして配置され得るセンサ層122の1つ以上の縦方向センサ信号を比較することにより、物体112の縦方向位置に関する情報の少なくとも1つの項目を決定するように適合され得る。この目的のために、検出器110は、特に、少なくとも1つの電流-電圧測定および/または少なくとも1つの電圧-電流測定を実行することにより、センサ信号を生成するように適合され得る。FiP装置について知られているように、縦方向センサ信号は、照射の総出力が同じならば、センサ層122内の入射光ビーム120のビーム断面積に依存し得る。物体112の縦方向位置に関する情報の少なくとも1つの項目を生成する目的のために、評価装置150は、このように、照射の幾何学形態と検出器に対する物体112の相対位置との間の少なくとも1つの所定の関係を採用するように設計されてよく、それによって好ましくは、照射の既知の出力を考慮する。代替的または追加的に、評価装置150は、物体112の少なくとも1つの光学特性、例えば、物体112の透過率、吸収、放射、および/または反射率から選択されるような光学特性を決定するように適合され得る。ただし、他の種類の評価手順の適用も可能である。
【0277】
一般に、評価装置150はデータ処理装置の一部であってもよく、および/または1つ以上のデータ処理装置を備えてもよい。評価装置150は、回路キャリア130に完全にまたは部分的に統合されてもよく、および/またはセンサ層122に無線または有線方式で電気的に接続され得る別個の装置として完全にまたは部分的に具体化されてもよい。評価装置150は、1つまたは複数の追加コンポーネント、例えば1つまたは複数の電子ハードウェアコンポーネントおよび/または1つまたは複数のソフトウェアコンポーネント、例えば1つまたは複数の測定ユニットおよび/または1つまたは複数の評価ユニットおよび/または、1つまたは複数の制御ユニット(ここでは図示せず)をさらに含んでよい。
【0278】
検出器110を照射するための光ビーム120は、発光物体112によって生成され得る。代替的または追加的に、光ビーム120は、周囲光源および/または発光ダイオードなどの人工光源を含むことができる別個の照射源(ここでは図示せず)によって生成されてもよく、該照射源は、光ビーム120が光検出器110に衝突するように構成され得るやり方で、物体112が照射源によって生成された光の少なくとも一部を反射できるように、物体112を照射するように適合される。特定の実施形態では、照射源は変調光源であってもよく、その照射の1つまたは複数の変調特性は、少なくとも1つの任意の変調装置によって制御され得る。代替的または追加的に、変調は、照明源と物体112の間、および/または物体112と検出器110の間のビーム経路で行われ得る。さらなる可能性が考えられる。この特定の実施形態では、物体112に関する情報項目の少なくとも1つを決定するためにセンサ信号を評価するとき、1つまたは複数の変調特性、特に変調周波数を考慮に入れることが有利であり得る。
【0279】
図2に示す検出器110のさらなる例示的な実施形態によれば、検出器110は、好ましくは、任意選択のカバー層156をさらに備えてもよく、カバー層156は、好ましくは、センサ層122上に直接堆積されてもよい。ここで、カバー層156は、特に、少なくとも1つの金属含有化合物を含むアモルファス層であってもよく、該金属含有化合物は、有利には、酸化物、水酸化物、カルコゲニド、プニクチド、または、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、またはタングステン(W)の炭化物、または、それらの組み合わせから選択され得る。ここで、特に、10nmから600nm、好ましくは20nmから200nmの厚さを示し得るカバー層は、原子堆積層158であってもよく、またはそれを含んでもよい。あるいは、カバー層156は、化学気相堆積(CVD)プロセス、例えば、プラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセスを採用することによって生成されてもよい。さらに、スピンコーティングまたはインクジェット印刷などの他の堆積方法も適用され得る。
【0280】
カバー層156は、特に、周囲の雰囲気に含まれる湿度および/または酸素のような外部の影響によるセンサ層122の劣化を可能な限り回避するために使用され得る。したがって、カバー層156は、特にセンサ層122のアクセス可能な表面を完全に覆うことにより、センサ層122の封入、好ましくは気密パッケージを提供することができる。加えて、カバー層は、センサ層122上へのカバー層156の堆積およびその後の熱処理の後、光導電材料156の光導電特性がかなり改善され得るという意味で、優先的にカバー層156と直接接触し得る光導電性材料の光導電特性の活性化に、本質的に寄与し得る。
【0281】
図2に概略的に示すように、カバー層156は、さらに、特に、センサ層122の異なる位置でセンサ層122に接触するように設計された電気接点148、148’を覆うことができる。さらに、電気接点148、148’は、カバー層156を介して接合することができ、それにより、好ましくは、ボンディングワイヤ152、152’を使用することができる。
【0282】
図2に示す特徴に関する詳細については、図1の説明を参照することができる。
【0283】
図3は、センサ層122から受信され、nm単位の入射光ビーム120の波長λに関して任意の単位で評価装置150によって提供されるセンサ信号ISのグラフを示す。これにより、回路キャリア130上に配置された反射層を含まない比較光検出器について得られた第2のグラフ162と比較して、回路キャリア130上に配置された反射層138として金層142を含む図2に記載の実施形態における本発明による検出器110を指す第1のグラフ160について、センサ信号ISの明確な増加が観察され得る。この特定の例では、センサ信号ISの明確な増加が、特に1.5μmから2.7μmの中赤外線域で観察され得る。ただし、他の例も実行可能である。
【0284】
さらなる例として、図4は、回路キャリア130上、特にプリント基板(PCB)132上、より具体的には、上記のように、片面PCB134上に配置された少なくとも1つの検出器110を含む検出器システム200の例示的な実施形態を示している。特に、図1または図2に示されるような他の実施形態の1つまたは複数に開示される検出器110は、この目的のために実現可能であり得る。ここで、検出器110は、デジタルビデオクリップなどの画像および/または画像シーケンスを取得するために作製され得る、特に3Dイメージング用のカメラ202として採用され得る。さらに、図4は、少なくとも1つの検出器110および/または少なくとも1つの検出器システム200を含むヒューマンマシンインターフェース204の例示的な実施形態、および、さらに、ヒューマンマシンインターフェース204を備える娯楽装置206の例示的な実施形態を示す。図4はさらに、検出器110および/または検出器システム200を含む少なくとも1つの物体112の位置を追跡するように適合された追跡システム208の実施形態を示す。検出器110に関して、本出願の完全な開示を参照することができる。基本的に、検出器110のすべての潜在的な実施形態は、図4に示される実施形態でも具現化され得る。この特定の実施形態では、検出器110は、図2に設けられるような例示的な構成に従った構成を有する。したがって、検出器110は、少なくとも第1表面116および第2表面118を有する基板層114を有し、第2表面118は、第1表面116に対して反対側に位置している。ここで、基板層114は、基板層114の第2表面118上に堆積される感光性材料126、特に光導電性材料128を含むセンサ層122を担持する。本発明の目的のために、センサ層122は、入射光ビーム120と反射光ビーム124の両方によるセンサ層122の照射に依存する様式で、少なくとも1つのセンサ信号を生成するように設計される。特に、検出器110は、物体112の少なくとも1つの光学特性、例えば物体112の透過率、吸収、放出、および/または反射率から選択されるような光学特性を決定するように採用され得る。さらに、センサ層122は、上述のようにカバー層156によって保護されている。
【0285】
さらに、センサ層122によって生成されたセンサ信号は、センサ信号を評価することにより入射光ビーム120と反射光ビーム124の両方によって提供される物体112に関する情報の少なくとも1つの項目を生成するために、評価装置150に提供される。この目的のために、センサ信号は、電極148、148’、ワイヤボンド152、152’、回路キャリア130上にある接触パッド154、154’、および信号リード210、210’を介して評価装置150に導かれる。ここで、信号リード210、210’は、無線インターフェースおよび/または有線インターフェースであり得る。さらに、信号リード210、210’は、センサ信号を修正するための1つまたは複数のドライバおよび/または1つまたは複数の測定装置を備えてよい。評価装置150は、検出器110の1つまたは複数の構成要素に完全にまたは部分的に組み込まれてもよい。評価装置150は、検出器110を含むハウジングおよび/または別個のハウジングに内蔵され得る。評価装置150は、例えば縦方向評価ユニット212(「z」で示される)および/または横方向評価ユニット212’(「xy」で示される)などのセンサ信号を評価するために、1つまたは複数の電子装置および/または1つまたは複数のソフトウェアコンポーネントを含むことができる。これらの評価ユニット212、212’より導出された結果を組み合わせることにより、位置情報214、好ましくは3次元位置情報が生成され得る(「x、y、z」で示される)。しかしながら、上述のように、物体112の少なくとも1つの光学特性、例えば物体112の透過率、吸収、放射、および/または反射率から選択される光学特性が、好ましくは、評価装置150を使用することにより決定され得る。
【0286】
図4に示す例示的な実施形態では、検出される物体112は例えばスポーツ用品として設計されてもよく、および/または制御要素216を形成してもよく、その位置および/または方向はユーザ218によって操作され得る。したがって、一般に、図4に示される実施形態または検出器システム200の如何なる他の実施形態において、ヒューマンマシンインターフェース204、娯楽装置206、物体112自体は、名付けられた装置の一部であってよく、および、具体的には、少なくとも1つの制御要素216を含むことができ、具体的には、該少なくとも1つの制御要素216は、1つまたは複数のビーコン装置220を有し、制御要素216の位置および/または方向は、好ましくは、ユーザ218によって操作されてもよい。一例として、物体112は、バット、ラケット、クラブまたはその他のスポーツ用品および/または模擬のスポーツ用品のうちの1つまたは複数であり得るか、またはそれらを含み得る。他の種類の物体112が可能である。さらに、ユーザ218はその位置が検出される物体112と考えられることができる。一例として、ユーザ218は、自分の体に直接または間接的に取り付けられた1つまたは複数のビーコン装置220を携行することができる。
【0287】
検出器110は、ビーコン装置220のうちの1つまたは複数の縦方向位置の少なくとも1つの情報項目、および、任意のそれらの横方向位置に関する少なくとも1つの情報項目、および/または物体112の縦方向位置に関する少なくとも1つの他の情報項目、および、任意の物体112の横方向位置に関する少なくとも1つの情報項目を決定するように適合され得る。特に、検出器110は、例えば物体112の異なる色、より具体的には、異なる色を含むことができるビーコン装置220の色など、物体112の色の特定および/または撮像のために適合され得る。
【0288】
検出器110は、したがって、少なくとも1つの物体112の位置を決定するように適合されることができる。さらに、検出器110、特にカメラ202を含む実施形態は、物体112の少なくとも1つの画像、好ましくは3D画像を取得するように適合され得る。上記で概説したように、検出器110および/または検出器システム200を使用することによる物体112および/またはその一部の位置の決定は、少なくとも1つの情報項目をマシン222に提供するために、ヒューマンマシンインターフェース204を提供するために使用され得る。図4に概略的に示される実施形態では、マシン222は、少なくとも1つのコンピュータおよび/またはデータ処理装置を含むコンピュータシステムであり得るか、またはそれらを含み得る。他の実施形態も可能である。評価装置150はコンピュータであってもよく、および/またはコンピュータを含んでもよく、および/または完全にまたは部分的に別個の装置として実現されてもよく、および/またはマシン222、特にコンピュータに完全にまたは部分的に組み込まれてもよい。同じことが、評価装置150および/またはマシン222の一部を完全にまたは部分的に形成し得る、追跡システム208の追跡コントローラ224にも当てはまる。
【0289】
同様に、上記で概説したように、ヒューマンマシンインターフェース204は、娯楽装置206の一部を形成してもよい。したがって、物体112として機能するユーザ218により、および/または物体112を操作するユーザ218により、および/または物体112として機能する制御要素216により、ユーザ218は例えば少なくとも1つの制御コマンドのような少なくとも1つの情報項目を、マシン222、特にコンピュータに入力することができ、それによって、コンピュータゲームのコースを制御するなど、娯楽機能を変化させることができる。
【0290】
上記で概説したように、検出器110は、直線ビーム経路または傾斜ビーム経路、角度付きビーム経路、分岐ビーム経路、偏向または分割ビーム経路または他の種類のビーム経路を有することができる。さらに、入射光ビーム120は、各ビーム経路または部分ビーム経路に沿って1回または反復して、一方向にまたは双方向に伝播することができる。
【符号の説明】
【0291】
110 検出器
112 物体
114 基板層
116 第1表面
118 第2表面
120 入射光ビーム
122 センサ層
124 反射光ビーム
126 感光性材料
128 光導電性材料
130 回路キャリア
132 プリント回路基板(PCB)
134 片面PCB
136 表面
138 反射層
140 表面
142 金層
144 粗い表面
146 接着層
148、148’ 電気接点
150 評価装置
152、152’ ボンディングワイヤ
154、154’ 接触パッド
156 カバー層
158 原子堆積層
160 第1のグラフ
162 第2のグラフ
200 検出器システム
202 カメラ
204 ヒューマンマシンインターフェース
206 娯楽装置
208 追跡システム
210、210 信号リード
212、212’ 縦方向評価ユニット、横方向評価ユニット
214 位置情報
216 制御要素
218 ユーザ
220 ビーコン装置
222 マシン
224 追跡コントローラ
図1
図2
図3
図4