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特許7204670シクロデキストリン及びブスルファンを含有する組成物
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  • 特許-シクロデキストリン及びブスルファンを含有する組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】シクロデキストリン及びブスルファンを含有する組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/255 20060101AFI20230106BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20230106BHJP
   A61K 47/61 20170101ALI20230106BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230106BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20230106BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230106BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230106BHJP
【FI】
A61K31/255
A61K47/40
A61K47/61
A61K9/08
A61K9/19
A61P35/02
A61P35/00
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2019560139
(86)(22)【出願日】2018-05-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 US2018030728
(87)【国際公開番号】W WO2018204535
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-04-30
(31)【優先権主張番号】62/500,970
(32)【優先日】2017-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501278788
【氏名又は名称】サイデックス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピプキン,ジェイムズ ディー.
【審査官】松本 淳
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-530866(JP,A)
【文献】特表平09-502996(JP,A)
【文献】特開2006-316076(JP,A)
【文献】特表2006-503047(JP,A)
【文献】GHERMANI, N.E. et al,Molecular reactivity of busulfan through its experimental electrostatic properties in the solid state,Pharmaceutical research,2004年,Vol.21, No.4,pp.598-607
【文献】MENUEL, S. et al,Synthesis and inclusion ability of a bis-beta-cyclodextrin pseudo-cryptand towards Busulfan anticancer agent ,Tetrahedron,2007年,Vol.63,pp.1706-1714
【文献】PORWANSKI, S. et al,Bis-beta-cyclodextrinyl- and bis-cellobiosyl-diazacrowns: synthesis and molecular complexation behaviors towards Busulfan anticancer agent and two basic aminoacids,Tetrahedron,2009年,Vol.65,pp.6196-6203
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物であって:
ブスルファン;及び
シクロデキストリン、
を含む固体を含み、前記組成物中の前記ブスルファンの少なくとも25%が、前記シクロデキストリンと複合体を形成しており;
前記シクロデキストリンの前記ブスルファンに対するモル比が12未満であり;
前記シクロデキストリンが、式1の化合物若しくはその混合物:
【化1】
又はその医薬的に許容される塩であり、式中:
pは、4、5、又は6であり;
各R は、独立して、-OH又は-O-(C ~C アルキレン)-SO Tであり;並びに
Tは、水素又は医薬的に許容されるカチオンであり、
但し、少なくとも1つの前記R は-O-(C ~C アルキレン)-SO Tである、
医薬組成物。
【請求項2】
前記組成物中の前記ブスルファンの少なくとも50%が、前記シクロデキストリンと複
合体を形成している、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記組成物中の前記ブスルファンの少なくとも90%が、前記シクロデキストリンと複合体を形成している、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記シクロデキストリンの前記ブスルファンに対するモル比が、3~10の範囲内である、請求項1からのいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記シクロデキストリンの前記ブスルファンに対するモル比が9未満である、請求項1からのいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記シクロデキストリンの前記ブスルファンに対するモル比が5未満である、請求項1からのいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記組成物が20%未満の水分含有量を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
記ブスルファンの濃度が0.3mg/ml~mg/mlの範囲内である、請求項1からのいずれか一項に記載の医薬組成物に医薬的に許容される溶媒を添加することによって得られる再構成された溶液
【請求項9】
前記医薬的に許容される溶媒が、生理食塩水又はシクロデキストリン溶液である、請求項に記載の再構成された溶液
【請求項10】
医薬組成物であって:
濃度が0.3mg/ml~mg/mlの範囲内である、ブスルファン;及び
前記ブスルファンに対するモル比が12未満である、シクロデキストリン
を含む透明な水溶液を含み、
前記シクロデキストリンが、式1の化合物若しくはその混合物:
【化2】
又はその医薬的に許容される塩であり、式中:
pは、4、5、又は6であり;
各R は、独立して、-OH又は-O-(C ~C アルキレン)-SO Tであり;並びに
Tは、水素又は医薬的に許容されるカチオンであり、
但し、少なくとも1つの前記R は-O-(C ~C アルキレン)-SO Tである、
医薬組成物。
【請求項11】
前記シクロデキストリンの前記ブスルファンに対するモル比が10未満である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記ブスルファンの濃度が、0.5mg/ml~2mg/mlの範囲内である、請求項1又は1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記ブスルファンの濃度が、0.55mg/mlである、請求項1から1のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記組成物中の前記ブスルファンの少なくとも50%が、前記シクロデキストリンと複合体を形成している、請求項1から1のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1つの前記Rが、-OCHCHCHCHSOT又は-OCHCHCHSOTである、請求項1から7若しくは10から14のいずれか一項に記載の医薬組成物又は請求項8若しくは9に記載の再構成された溶液
【請求項16】
前記Tが、独立して、水素又はナトリウムである、請求項から7若しくは10から15のいずれか一項に記載の医薬組成物又は請求項8、9若しくは15のいずれか一項に記載の再構成された溶液
【請求項17】
前記pが5である、請求項から7若しくは10から16のいずれか一項に記載の医薬組成物又は請求項8、9、15若しくは16のいずれか一項に記載の再構成された溶液
【請求項18】
30%(w/w)未満のジメチルアセタミドを含む、請求項1から7若しくは10から17のいずれか一項に記載の医薬組成物又は請求項8、9若しくは15から17のいずれか一項に記載の再構成された溶液
【請求項19】
請求項1から7若しくは10から18のいずれか一項に記載の医薬組成物又は請求項8、9若しくは15から18のいずれか一項に記載の再構成された溶液を含む滅菌容器。
【請求項20】
ブスルファン組成物を作製する方法であって:
ブスルファン及び有機溶媒を混合して、透明な溶液を得ること;
前記透明な溶液をシクロデキストリンと混合して、第一の混合物を得ること;
前記第一の混合物から前記有機溶媒を除去して、第二の混合物を得ること;並びに
前記第二の混合物を乾燥して、前記ブスルファン組成物を得ること、
を含
前記シクロデキストリンの前記ブスルファンに対するモル比が12未満であり;
前記シクロデキストリンが、式1の化合物若しくはその混合物:
【化3】
又はその医薬的に許容される塩であり、式中:
pは、4、5、又は6であり;
各R は、独立して、-OH又は-O-(C ~C アルキレン)-SO Tであり;並びに
Tは、水素又は医薬的に許容されるカチオンであり、
但し、少なくとも1つの前記R は-O-(C ~C アルキレン)-SO Tである、
方法。
【請求項21】
前記有機溶媒が、ジメチルアセタミド、アセトン、及びこれらのいずれかの組み合わせから選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記有機溶媒が、アセトン又はジメチルアセタミドである、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記有機溶媒が蒸発によって除去される、請求項20から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第二の混合物を乾燥することが、凍結乾燥することを含む、請求項20から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記透明な溶液を前記シクロデキストリンと混合することが、前記透明な溶液をシクロデキストリン溶液と混合することを含む、請求項20から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記シクロデキストリン溶液が水溶液である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ブスルファン組成物を、非経口用に許容される溶媒と混合することをさらに含む、請求項20から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記非経口用に許容される溶媒が、水、生理食塩水、シクロデキストリン溶液、及びこれらのいずれかの組み合わせから選択される、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
すべての先行出願への参照による援用
本出願は、その全開示内容が参照により本明細書に援用される、2017年5月3日出願の米国特許仮出願第62/500970号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、ブスルファン及びスルホアルキルエーテルシクロデキストリンを含有する製剤、それを作製する方法、並びにそれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ブスルファン[1,4-ビス-(メタンスルホンオキシル)ブタン]は、その抗腫瘍特性のために広く用いられているアルキル化剤であり、1950年代初期にGalton et al.によって慢性骨髄性白血病(CML)の治療用として特徴付けられた。その低い水溶性、安定性、及び不快な副作用(著しい胃刺激、嘔気、嘔吐など)は、経口剤形の生体利用度が大きく変動することを意味している。加えて、この薬物は、肝臓によって素早く代謝されて、重篤な肝毒性を引き起こす可能性があり、それは、高用量投与計画において用量制限毒性であり得る。ブスルファンを溶解するために用いられるある特定の溶媒は、肝損傷を引き起こす可能性があり、患者の長期的な治療目標及びクオリティオブライフが危うくなり得る。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態は、ブスルファン及びシクロデキストリンを含む固体を含む医薬組成物に関し、組成物中のブスルファンの少なくとも25%は、シクロデキストリンと複合体を形成している。
【0005】
いくつかの実施形態は、濃度が約0.3mg/ml~約3mg/mlの範囲内であるブスルファン、及びシクロデキストリンを含む透明の水溶液を含む医薬組成物に関し、シクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、12未満である。
【0006】
いくつかの実施形態は、ブスルファン及びスルホアルキルエーテルシクロデキストリンを含む透明の水溶液を含む医薬組成物に関する。
【0007】
いくつかの実施形態は、本明細書で述べる組成物に医薬的に許容される溶媒を添加することによって得られる再構成された溶液に関する。
【0008】
いくつかの実施形態は、本明細書で述べる組成物を含む滅菌容器に関する。
【0009】
いくつかの実施形態は、ブスルファン組成物を作製する方法に関し:
ブスルファン及び有機溶媒を混合して、透明な溶液を得ること;
透明な溶液をシクロデキストリンと混合して、第一の混合物を得ること;並びに
第一の混合物を乾燥して、ブスルファン組成物を得ること、
を含む。
【0010】
いくつかの実施形態は、本明細書で述べる医薬組成物を再構成すること、及び再構成された医薬組成物を、それを必要とする対象に投与すること、を含む、治療方法に関する。
【0011】
いくつかの実施形態は、本明細書で述べる組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、造血幹細胞移植のために対象をコンディショニングする方法に関する。
【0012】
本明細書で述べる組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、骨髄移植のために対象をコンディショニングする方法。
【0013】
本明細書で述べる組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、白血病、リンパ腫、及び骨髄増殖性疾患を治療する方法。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、スルホアルキルエーテル-β-シクロデキストリン溶液中におけるブスルファンの相溶解性実験の結果を示す図である。
図2図2は、3つのブスルファン製剤を用いた安定性実験の結果を示す図である。
図3図3Aは、2~8℃、25℃、及び40℃での第一のブスルファン製剤の安定性、並びに2~8℃(RF)及び25℃での第三のブスルファン製剤の安定性を示す図であり、図3Bは、2~8℃(RF)、25℃、及び40℃での第二のブスルファン製剤の安定性、並びに2~8℃(RF)及び25℃での第三のブスルファン製剤の安定性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
「医薬的に許容されるカチオン」の用語は、化合物の生物学的効果及び特性を維持し、医薬での使用において生物学的に又はそれ以外で望ましくないものではないカチオンを意味する。カチオンの例としては、限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどが挙げられ、特に、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、及びマグネシウムのカチオンが好ましい。他の種類のカチオンとしては、例えば、一級、二級、及び三級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などを挙げることができ、具体的には、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、及びエタノールアミンなどである。多くのそのようなカチオンは、1987年9月11日公開のJohnston et al.による国際公開第87/05297号に記載のように、本技術分野において公知である。
【0016】
「医薬的に許容される塩」の用語は、好ましい実施形態の化合物の生物学的効果及び特性を維持し、生物学的にも、又はそれ以外でも望ましくないものではない塩を意味する。多くの場合、好ましい実施形態の化合物は、アミノ基及び/若しくはカルボキシル基、又はそれらに類似の基の存在によって、酸塩及び/又は塩基塩を形成することができる。医薬的に許容される酸付加塩は、無機酸及び有機酸と共に形成され得る。塩を誘導することができる無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。塩を誘導することができる有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。医薬的に許容される塩基付加塩は、無機塩基及び有機塩基と共に形成され得る。塩を誘導することができる無機塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどが挙げられ、特に、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、及びマグネシウムの塩が好ましい。塩を誘導することができる有機塩基としては、例えば、一級、二級、及び三級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などが挙げられ、具体的には、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、及びエタノールアミンなどである。多くのそのよう塩は、1987年9月11日公開のJohnston et al.による国際公開第87/05297号に記載のよう
に、本技術分野において公知である。
【0017】
「医薬的に許容される溶媒」の用語は、本明細書で用いられる場合、哺乳類への投与に適する、一又は複数の適合性のある固体若しくは液体充填希釈剤、又はカプセル化剤を意味する。「適合性のある」又は「許容される」の用語は、本明細書で用いられる場合、組成物の成分が、通常の使用状況下で組成物の医薬的有効性を大きく低下させることになる相互作用を起こさないように、対象化合物と、及び互いと混合可能であることを意味する。医薬的に許容される担体は、当然、好ましくは治療される動物への、好ましくは哺乳類への投与に適するものとするのに充分に高い純度であり、充分に低い毒性でなければならない。
【0018】
医薬的に許容される担体又はその成分として用いることができる物質のいくつかの例は、シクロデキストリン(例:SAE-CD、HAE-CD、及び他のシクロデキストリン誘導体)、ラクトース、グルコース、及びスクロースなどの糖;トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及びメチルセルロースなどのセルロース並びにその誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ステアリン酸及びステアリン酸マグネシウムなどの固体滑沢剤;硫酸カルシウム;落花生油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及びテオブロマ油などの植物性油;プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなどのポリオール;アルギン酸;TWEENSなどの乳化剤;ラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤;着色剤;香味剤;錠剤成形剤、安定剤;酸化防止剤;保存剤;パイロジェンフリー水、等張生理食塩水;並びにリン酸緩衝溶液である。
【0019】
本明細書で用いられる場合、「ブスルファンの主要部分」とは、組成物中のブスルファンの少なくとも少なくとも()約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%を意味する。
【0020】
本明細書で用いられる場合、「アルキル」とは、完全飽和(すなわち、二重結合又は三重結合を含まない)の直鎖状又は分岐鎖状炭化水素鎖を意味する。アルキル基は、1~20個の炭素原子を有し得る(本明細書に記載される場合は常に、「1~20」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を意味し、例えば、「1~20個の炭素原子」とは、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、20個を含む20個までの炭素原子から成り得ることを意味するが、本定義はまた、数値範囲が指定されない「アルキル」の用語の存在も含む)。アルキル基は、1~9個の炭素原子を有する中サイズのアルキルであってもよい。アルキル基は、1~4個の炭素原子を有する低級アルキルでもあり得る。アルキル基は、「C1~4アルキル」又は類似の名称で指定され得る。単なる例として、「C1~4アルキル」は、アルキル鎖に1~4個の炭素原子が存在することを示しており、すなわち、アルキル鎖は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びt-ブチルから成る群より選択される。典型的なアルキル基としては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、三級ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0021】
「スルホニル」基とは、「-SOR」基を意味し、Rは、本明細書で定められるように、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員環ヘテロアリール、及び3~10員環ヘテロシクリルから選択される。
【0022】
「対象」とは、本明細書で用いられる場合、ヒト又は非ヒト哺乳類を意味し、例えば、
イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、非ヒト霊長類、又はニワトリを例とするトリ、さらには他のいずれかの脊椎動物又は無脊椎動物を意味する。
【0023】
「哺乳類」の用語は、その通常の生物学的意味で用いられる。したがって、それは、具体的には、限定されないが、サル(チンパンジー、類人猿、小形サル)及びヒトを含む霊長類、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、げっ歯類、ラット、マウス、モルモットなどを含む。
【0024】
「有効量」又は「治療有効量」とは、本明細書で用いられる場合、疾患又は病状の症状のうちの一又は複数をある程度軽減する、又はその発症の可能性を低減するのに有効な治療剤の量を意味し、疾患又は病状の治癒を含む。「治癒」とは、疾患又は病状の症状が取り除かれることを意味するが、ある特定の長期的な又は恒久的な影響は、治癒が得られた後であっても存在する場合がある(広範な組織損傷など)。
【0025】
「治療する」、「治療」、又は「治療すること」とは、本明細書で用いられる場合、予防及び/又は治療目的で、医薬組成物を対象に投与することを意味する。「予防的治療」の用語は、疾患又は病状の症状をまだ呈していないが、特定の疾患又は病状に罹患し易い、又はそうでなければ特定の疾患又は病状のリスクを有する対象を治療することを意味し、それによって、この治療は、患者が疾患又は病状を発症する可能性を低減する。「治療的治療」とは、疾患又は病状に既に罹患している対象に対して治療を施すことを意味する。
【0026】
本明細書で述べる組成物及び方法は、ブスルファン製剤中のN,N-ジメチルアセタミド(DMA)などの毒性溶媒、及び/又はPEGなどの非水性溶媒の量を低減する、又はゼロとする補助となり得る。本明細書で述べる方法及び組成物は、必要とするシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体の量を相対的に低下させる、より高い薬物負荷に繋げることができる。本明細書で述べる方法及び組成物の優れた特性は、改善された薬物耐性、より良好な薬物安定性、より高い薬物曝露、より長い治療継続時間、及びさらには柔軟な取扱性及び改善された安定性による選択肢の増加を実現する手助けとなる。
【0027】
本明細書で述べる組成物及び方法は、既存のブスルファン組成物に付随する毒性溶媒の使用及びブスルファンの不安定性の問題を解決しつつ、様々な疾患の治療に対する高用量非経口ブスルファン療法を提供する。本明細書で述べるブスルファン組成物は、他の市販のブスルファン製剤と比較して、経時での薬物沈澱が少ない。本技術はまた、溶媒毒性が低減されることにより、小児集団に使用を拡張する可能性も提供する。
【0028】
シクロデキストリン
「シクロデキストリン」の用語は、本明細書で用いられる場合、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、又はこれらのそれぞれの誘導体を意味し、シクロデキストリンコア上の一又は複数のヒドロキシがアルキルエーテル、ヒドロキシアルキルエーテル、又はスルホアルキルエーテル置換基によって置き換えられた誘導体を含む。シクロデキストリン誘導体の例としては、限定されないが、以下の表A~Dに列挙したシクロデキストリンを挙げることができる。好ましくは、シクロデキストリンは、β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、又はスルホアルキルエーテルβ-シクロデキストリンである。
【0029】
いくつかの例示的スルホアルキルエーテル(SAE)-CD誘導体としては、以下が挙げられる:
【表1】
【0030】
スルホアルキルエーテルシクロデキストリンの様々な実施形態としては、エイコサ-O-(メチル)-6G-O-(4-スルホブチル)-β-シクロデキストリン、ヘプタキス-O-(スルホメチル)-テトラデカキス-O-(3-スルホプロピル)-β-シクロデキストリン、ヘプタキス-O-[(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル]-テトラデカキス-O-(3-スルホプロピル)-β-シクロデキストリン、ヘプタキス-O-(スルホメチル)-テトラデカキス-O-(3-スルホプロピル)-β-シクロデキストリン、及びヘプタキス-O-[(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル]-テトラデカキス-O-(スルホメチル)-β-シクロデキストリンが挙げられる。スルホアルキル部分を含む他の公知のアルキル化シクロデキストリンとしては、オクタキス-(S-スルホプロピル)-オクタチオ-γ-シクロデキストリン、オクタキス-O-[3-[(2-スルホエチル)チオ]プロピル]-β-シクロデキストリン]、及びオクタキス-S-(2-スルホエチル)-オクタチオ-γ-シクロデキストリンが挙げられる。
【0031】
いくつかの実施形態では、本発明のアルキル化シクロデキストリン組成物は、アルキル化シクロデキストリンあたり2~9、4~8、4~7.5、4~7、4~6.5、4.5~8、4.5~7.5、4.5~7、5~8、5~7.5、5~7、5.5~8、5.5~7.5、5.5~7、5.5~6.5、6~8、6~7.5、6~7.1、6.5~7.1、6.2~6.9、又は6.5のADSを有し、残りの置換基が-Hであるスルホアルキルエーテル-β-シクロデキストリン組成物である。
【0032】
いくつかの例示的なアルキルエーテルシクロデキストリン(AE-CD)誘導体としては、以下が挙げられる:
【表2】
【0033】
表中、MEは、メチルエーテルを意味し、EEは、エチルエーテルを意味し、PEは、プロピルエーテルを意味し、BEは、ブチルエーテルを意味し、PtEは、ペンチルエーテルを意味し、HEは、ヘキシルエーテルを意味し、及びyは、平均置換度を意味する。
【0034】
いくつかの例示的なヒドロキシアルキルエーテル(HAE)-CD誘導体としては、以下が挙げられる:
【表3】
【0035】
表中、HMEは、ヒドロキシメチルエーテルを意味し、HEEは、ヒドロキシエチルエーテルを意味し、HPEは、ヒドロキシプロピルエーテルを意味し、HBEは、ヒドロキシブチルエーテルを意味し、HPtEは、ヒドロキシペンチルエーテルを意味し、HHEは、ヒドロキシヘキシルエーテルを意味し、及びzは、平均置換度を意味する。
【0036】
アルキル化シクロデキストリンとしては、SAE-CD、HAE-CD、SAE-HAE-CD、HANE-CD、HAE-AE-CD、HAE-SAE-CD、AE-CD、SAE-AE-CD、中性シクロデキストリン、アニオン性シクロデキストリン、カチオン性シクロデキストリン、ハロ誘導体化シクロデキストリン、アミノ誘導体化シクロデキストリン、ニトリル誘導体化シクロデキストリン、アルデヒド誘導体化シクロデキストリン、カルボキシレート誘導体化シクロデキストリン、サルフェート誘導体化シクロデキストリン、スルホネート誘導体化シクロデキストリン、メルカプト誘導体化シクロデキストリン、アルキルアミノ誘導体化シクロデキストリン、又はスクシニル誘導体化シクロデキストリンを挙げることができる。
【0037】
いくつかの例示的な混合エーテルシクロデキストリン誘導体。
【表4-1】

【表4-2】

【表4-3】
【0038】
「スルホアルキルエーテルシクロデキストリン」及び「SAE-CD」の用語は、本明細書で用いられる場合、(C2~6アルキレン)-SO などのスルホアルキルエーテル置換基を有するシクロデキストリン誘導体を意味する。シクロデキストリンのスルホアルキル誘導体は、単一の誘導体であってよく、又は誘導体の混合物であってもよい。シクロデキストリン誘導体は、スルホニル基を有することから、荷電種であり得る。スルホアルキルエーテルシクロデキストリンは、シクロデキストリンの1級ヒドロキシル基のうちの少なくとも1つで置換されていてよい、又はそれらは、1級ヒドロキシル基及び3位のヒドロキシル基の両方で置換されている。2位での置換も可能である。スルホアルキルエーテルシクロデキストリンの例としては、スルホブチルエーテルβシクロデキストリンが挙げられる。
【0039】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリンは、式1の化合物:
【化1】

又はその医薬的に許容される塩であり、式中:
pは、4、5、又は6であり、各Rは、-OH又は-O-(C~Cアルキレン)-SOTから選択され、
各Tは、独立して、水素、又は医薬的に許容されるカチオンであり、
但し、少なくとも1つのRは、-OHである。
【0040】
いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、-OH又は-O-(C~Cアルキレン)-SOTであり、但し、少なくとも1つのRは、-OHであり、及び少なくとも1つのRは、-O-(C~Cアルキレン)-SOTであり、Tは、水素、又は医薬的に許容されるカチオンである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、独立して、-OH又は-O-(C1~4アルキレン)-SOTである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、独立して、-O-(CHSOT基であり、gは、2~6又は2~4である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、独立して、-OCHCHCHSOT又は-OCHCHCHCHSOTである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、-OCHCHCH-OHである。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、-OH又はO-(C~Cアルキル)-OHであり、但し、少なくとも1つのRは、O-(C~Cアルキル)-OHである。いくつかの実施形態では、Tは、独立して、水素又はナトリウムである。いくつかの実施形態では、Tは、Hである。いくつかの実施形態では、Tは、Naである。いくつかの実施形態では、各Tは、独立して、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムイオン、及び、のようなアミンカチオン(amine cations such as the, and)、並びにこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、各Tは、独立して、Li、Na、K、Ca+2、Mg+2、アミン、及びこれらのいずれかの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、各Tは、独立して、(C~C)-アルキルアミン、ピペリジン、ピラジン、(C~C)-アルカノールアミン、エチレンジアミン、及び(C~C)-シクロアルカノールアミンから選択されるアミンカチオンである。
【0041】
いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、-OH又は-O-(C~Cアルキル)であり、但し、少なくとも1つのRは、-OHであり、及び少なくとも1つのRは、-O-(C~Cアルキル)である。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル、ペンチルエーテル、及びヘキシルエーテルから選択される。
【0042】
いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、-OH又はO-(C~Cアルキル)-OHであり、但し、少なくとも1つのRは、OHであり、及び少なくとも1つのRは、O-(C~Cアルキル)-OHである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRは、-O-(C~Cアルキル)-OHである。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、ヒドロキシメチルエーテル、ヒドロキシエチルエーテル、ヒドロキシプロピルエーテル、ヒドロキシブチルエーテル、ヒドロキシペンチルエーテル、及びヒドロキシヘキシルエーテルから選択される。
【0043】
いくつかの実施形態では、pは、4である。いくつかの実施形態では、pは、5である。いくつかの実施形態では、pは、6である。
【0044】
いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン、アルキル化シクロデキストリン、又はヒドロキシアルキルエーテルシクロデキストリンなどのシクロデキストリン誘導体は、シクロデキストリンあたり2~9、4~8、4~7.5、4~7、4~6.5、4.5~8、4.5~7.5、4.5~7、5~8、5~7.5、5~7、5.5~8、5.5~7.5、5.5~7、5.5~6.5、6~8、6~7.5、6~7.1、6.5~7.1、6.2~6.9、又は6.5の平均置換度(ADS)を有してよく、残りの置換基は、-Hである。
【0045】
いくつかの実施形態は、式(I)に示される構造を有する単一種類のシクロデキストリン誘導体を含有する組成物を提供し、組成物は、全体として、平均して少なくとも1から3n+6までのアルキルスルホン酸部分をシクロデキストリン分子あたりに有する。本明細書で述べる組成物はまた、狭い又は広い範囲の置換度、及び高い又は低い置換度を有するシクロデキストリン誘導体を含有する組成物も含む。これらの組み合わせは、必要に応じて、特定の特性を有するシクロデキストリンを提供するために最適化することができる。
【0046】
例示的なSAE-CD誘導体としては、SBE4-β-CD、SBE7-β-CD、SBE11-β-CD、SBE7-γ-CD、及びSBE5-γ-CDが挙げられ、これらは、それぞれ、p=5、5、5、6、及び6である式IのSAE-CD誘導体に対応し、それぞれ、平均で4、7、11、7、及び5のスルホアルキルエーテル置換基が存在する。他の例示的なSAE-CD誘導体としては、SAEx-R-CD(式2)の誘導体が挙げられ、式中、SAEは、スルホメチルエーテル(SME)、スルホエチルエーテル(SEE)、スルホプロピルエーテル(SPE)、スルホブチルエーテル(SBE)、スルホペンチルエーテル(SPtE)、又はスルホヘキシルエーテル(SHE)であり、x(平均又は特定の置換度)は、1~18、1~21、又は1~24であり、R(親シクロデキストリンの環構造)は、それぞれ、α、β、又はγであり、CDは、シクロデキストリンである。SAE官能基は、本明細書で開示される通りの、又はいずれかの酸性基の対イオンとして医薬産業で一般的に用いられる通りのカチオン性対イオンを含む。SAE-CDは、ポリアニオン性シクロデキストリンであることから、それは、様々な塩形態で提供することができる。SAE官能基に対する適切な対イオンとしては、カチオン性有機原子又は分子、及びカチオン性無機原子又は分子が挙げられる。SAE-CDは、単一種類の対イオンを含んでいてよく、又は異なる対イオンを混合して含んでいてもよい。SAE-CDの特性は、存在する対イオンの種類を変更することによって修飾することができる。例えば、SAE-CDの第一の塩形態は、SAE-CDの異なる第二の塩形態よりも大きい静電電荷を有し得る。カルシウム塩形態は、ナトリウム塩形態よりも電気陰性であることが見出されている。同様に、第一の置換度を有するSAE-CDは、異なる置換度を有する第二のSAE-CDよりも大きい静電電荷を有し得る。
【0047】
いくつかの実施形態は、SAE-CDの組成物を提供し、SAE-CDは、以下の構造
を有するベータシクロデキストリンのスルホブチルエーテル誘導体(SBE-β-CD)であり:
【化2】

式中、各Rは、独立して、-H又は-(CH-SONaであり、-(CH-SONa基による平均置換度は、6~7.1である。
【0048】
SAE-CD誘導体を作製する方法は、様々であるが、一般的に、スルホアルキル化及びそれに続く単離の一般的工程を含む。SAE-CDの化学特性プロファイルは、スルホアルキル化の過程で確立される。例えば、スルホアルキル化の過程で反応条件を変化させると、SAE-CD中のスルホアルキル基の平均置換度及び平均位置化学的分布を変動させることができる。スルホアルキル官能基のアルキル鎖長は、用いられるスルホアルキル化剤に応じて決定される。アルキル化の過程で特定のアルカリ化剤を用いることにより、イオン交換工程がスルホアルキル化の後に行われない限りにおいて、特定のSAE-CD塩が形成する結果となる。
【0049】
一般的に、スルホアルキル化工程における公知のプロセスは、例えば:1)アルカリ性条件下、未誘導体化親シクロデキストリンの、アルキルスルトン又はハロアルキルスルホネートを例とするアルキル化剤への曝露;2)所望に応じて行われる、過剰のアルキル化剤を消費するための反応環境へのさらなるアルカリ化剤の添加;及び3)酸性化剤による反応環境の中和、を含む。大部分の文献プロセスは、スルホアルキル化工程を水性媒体中で行うものであるが、いくつかの参考文献は、スルホアルキル化の反応溶媒としてピリジン、ジオキサン、又はDMSOを使用することを開示している。文献は、スルホアルキル化反応を促進する目的で、アルカリ化剤の使用を開示している。
【0050】
スルホアルキル化工程の完了後、SAE-CDの単離及び精製が行われる。
【0051】
スルホアルキル化及び中和に続くSAE-CDの単離は、いくつかの異なるプロセスが報告されている。一般的には、SAE-CDを含有する水性液体が乾燥されて水が除去され、固体が形成される。文献には、SAE-CDを含有する水溶液から水を除去するための様々な方法が提案されている。そのような方法としては、従来のフリーズドライ、噴霧
乾燥、オーブン乾燥、真空オーブン乾燥、減圧下でのロータリーエバポレーション、真空乾燥、又は真空ドラム乾燥が挙げられる。例えば、Ma(S.T.P.Pharma.Sciences(1999),9(3),261-266)、CAPTISOL(登録商標)(スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンナトリウム;Pharmaceutical Excipients 2004;Eds.R.C.Rowe,P.J.Sheskey,S.C.Owen;Pharmaceutical Press and American Pharmaceutical Association,2004)、及びSAE-CD誘導体の作製に関する他の参考文献を参照されたい。
【0052】
本明細書で述べる使用のためのSAE-CD組成物の作製に用いられるSAE-CD原材料の作製に適する方法は、Stella et al.による米国特許第5,376,645号、同第5,874,418号、及び同第5,134,127号;Parmerter et al.による米国特許第3,426,011号;Lammers et al.(Reel.Trav.CMm.Pays-Bas(1972),91(6),733-742);Staerke(1971),23(5),167-171);Qu et al.(J Inclusion Phenom.Macro.Chem.,(2002),43,213-221);Yoshinagaによる米国特許第5,241,059号;Shahによる米国特許第6,153,746号;Stella et al.によるPCT国際公開第2005/042584号;Adam et al.(J.Med.Chem.(2002),45,1806-1816);Zhang et al.によるPCT国際公開第01/40316号;Tarver et al.(Bioorganic & Medicinal Chemistry(2002),10,1819-1827);Ma(S.T.P.Pharma.Sciences(1999),9(3),261-266);Jung et al.(J Chromat.1996,755,81-88);及びLuna et al.(Carbohydr.Res.1997,299,103-110)に開示されており、これらの全開示内容は参照により本明細書に援用される。
【0053】
SAE-CD原材料は、流動床噴霧乾燥プロセスによってSAE-CD組成物を作製する目的で参照により援用される米国特許第8,049,003号に記載の流動床噴霧乾燥プロセスに用いられる液体フィードに含まれてよい。SAE-CDを含有する水溶液から水を除去するための他の方法としては、従来のフリーズドライ、噴霧乾燥、オーブン乾燥、真空オーブン乾燥、減圧下でのロータリーエバポレーション、真空乾燥、又は真空ドラム乾燥を挙げることができる。例えば、その全内容が参照により本明細書に援用されるMa(S.T.P.Pharma.Sciences(1999),9(3),261-266)、CAPTISOL(登録商標)(スルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリンナトリウム;Pharmaceutical Excipients 2004;Eds.R.C.Rowe,P.J.Sheskey,S.C.Owen;Pharmaceutical Press and American Pharmaceutical Association,2004)、及びSAE-CD誘導体の作製に関する他の参考文献を参照されたい。
【0054】
本明細書で述べるSAE-CD組成物は、誘導体化シクロデキストリン(SAE-CD)及び未誘導体化シクロデキストリンの組み合わせを含んでもよい。例えば、SAE-CD組成物は、未誘導体化シクロデキストリンを、存在する全シクロデキストリンの0~50重量%未満の量で含むように作製されてよい。SAE-CD組成物の例示的な実施形態は、0~5重量%、5~50重量%、5%未満、10%未満、20%未満、30%未満、40%未満、又は50%未満の未誘導体化シクロデキストリンを含む実施形態を含む。
【0055】
ブスルファン及びシクロデキストリンを含有する組成物
いくつかの実施形態は、ブスルファン及びシクロデキストリンを含む透明の水溶液を含む医薬組成物に関する。
【0056】
いくつかの実施形態では、ブスルファンの濃度は、約4mg/ml超である。いくつかの実施形態では、ブスルファンの濃度は、約0.5mg/mlである。いくつかの実施形態では、ブスルファンの濃度は、約0.55mg/mlである。いくつかの実施形態では、ブスルファンの濃度は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.6、6、6.5、7、7.5、又は8mg/ml超である。いくつかの実施形態では、ブスルファンの濃度は、約10、9、8、7、6、5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、又は0.2mg/ml未満である。いくつかの実施形態では、ブスルファンの濃度は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.6、6、6.5、7、7.5、又は8mg/mlのうちのいずれかの下限から、約10、9、8、7、6、5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、又は0.2のうちのいずれかの上限までの範囲内であってよく、これらの上限及び下限の間のいずれのサブセットも包含してよい。上記に列挙した下限の一部は、列挙した上限の一部よりも大きいが、当業者であれば、選択されるサブセットには、選択される下限を超える上限の選択が必要であることは認識される。例えば、いくつかの実施形態では、ブスルファンの濃度は、約1~10mg/ml、約2~8mg/ml、約3~6mg/ml、約0.2~4mg/ml、約0.2~3mg/ml、約0.3~3mg/ml、約0.5~2mg/ml、又は約0.4~1mg/mlの範囲内であってよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約25、22、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1未満である。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約9.1未満である。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約9未満である。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約8未満である。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約7未満である。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約6未満である。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約5未満である。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約3.1である。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約2、3、4、5、又は6超である。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約3超である。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約3~約5.2の範囲内である。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約2、3、4、5、又は6のうちのいずれかの下限から、約25、22、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1のうちのいずれかの上限までの範囲内であってよく、これらの上限及び下限の間のいずれのサブセットも包含してよい。上記に列挙した下限の一部は、列挙した上限の一部よりも大きいが、当業者であれば、選択されるサブセットには、選択される下限を超える上限の選択が必要であることは認識される。例えば、いくつかの実施形態では、シクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約3~約10、約3~約9、約3~約7、又は約3~約5の範囲内である。
【0058】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリンのブスルファンに対する質量比は、約42.5である。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンのブスルファンに対する質
量比は、約67.5である。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンのブスルファンに対する質量比は、約80である。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンのブスルファンに対する質量比は、約80、70、67.5、65、60、55、50、45、42.5、又は40未満である。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンのブスルファンに対する質量比は、約10、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、又は80のうちのいずれかの下限から、約90、80、70、67.5、65、60、55、50、45、42.5、又は40のうちのいずれかの上限までの範囲内であってよく、これらの上限及び下限の間のいずれのサブセットも包含してよい。上記に列挙した下限の一部は、列挙した上限の一部よりも大きいが、当業者であれば、選択されるサブセットには、選択される下限を超える上限の選択が必要であることは認識される。例えば、いくつかの実施形態では、シクロデキストリンのブスルファンに対する質量比は、約40~約80、約40~約60、又は約32~約54の範囲内である。
【0059】
いくつかの実施形態は、ブスルファン及びスルホアルキルエーテルシクロデキストリンを含む透明の水溶液を含む医薬組成物に関する。
【0060】
いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約3~約12の範囲内である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、9.1未満である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約9未満である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約8未満である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約7未満である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約6未満である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約5未満である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約5.3未満である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約3.1である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約25、22、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1未満である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約2、3、4、5、又は6超である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約3超である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約3~約5.2の範囲内である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約2、3、4、5、又は6のうちのいずれかの下限から、約25、22、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1のうちのいずれかの上限までの範囲内であってよく、これらの上限及び下限の間のいずれのサブセットも包含してよい。上記に列挙した下限の一部は、列挙した上限の一部よりも大きいが、当業者であれば、選択されるサブセットには、選択される下限を超える上限の選択が必要であることは認識される。例えば、いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル比は、約3~約10、約3~約9、約3~約7、又は約3~約5の範囲内である。
【0061】
いくつかの実施形態は、ブスルファン及びシクロデキストリンを含む固体を含む医薬組成物に関し、組成物中のブスルファンの少なくとも約25%は、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンと複合体を形成している。いくつかの実施形態では、固体は、水溶性
である。
【0062】
いくつかの実施形態では、組成物中のブスルファンの大部分が、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンと複合体を形成している。いくつかの実施形態では、組成物中のブスルファンの少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%が、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンと複合体を形成している。いくつかの実施形態では、組成物中のブスルファンの100%、99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、又は5%未満が、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンと複合体を形成している。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンと複合体を形成しているブスルファンの組成物中の量は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%のうちのいずれかの下限から、100%、99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、又は20%のうちのいずれかの上限までの範囲内であってよく、これらの上限及び下限の間のいずれのサブセットも包含してよい。上記に列挙した下限の一部は、列挙した上限の一部よりも大きいが、当業者であれば、選択されるサブセットには、選択される下限を超える上限の選択が必要であることは認識される。例えば、いくつかの実施形態では、シクロデキストリンと複合体を形成しているブスルファンの量は、約20%~約95%、約50%~約99%、約80%~約99%、約90%~約99%、又は約60%~約100%の範囲内である。
【0063】
いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル分率比は、約3~約12の範囲内である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル分率比は、約3~約10の範囲内である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル分率比は、12未満である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル分率比は、9.1未満である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル分率比は、9未満である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル分率比は、約8未満である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル分率比は、約7未満である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル分率比は、約6未満である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル分率比は、約5未満である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル分率比は、約5.3未満である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル分率比は、約3.1である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル分率比は、約25、22、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1未満である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル分率比は、約2、3、4、5、又は6超である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル分率比は、約2、3、4、5、又は6のうちのいずれかの下限から、約25、22、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1のうちのいずれかの上限までの範囲内であってよく、これらの上限及び下限の間のいずれのサブセットも包含してよい。上記に列挙した下限の一部は、列挙
した上限の一部よりも大きいが、当業者であれば、選択されるサブセットには、選択される下限を超える上限の選択が必要であることは認識される。例えば、いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル分率比は、約3超である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル分率比は、約3~約5.2の範囲内である。いくつかの実施形態では、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンのブスルファンに対するモル分率比は、約3~約10、約3~約9、約3~約7、又は約3~約5の範囲内である。
【0064】
いくつかの実施形態は、本明細書で述べる組成物に医薬的に許容される溶媒を添加することによって得られる再構成された溶液に関し、ブスルファンの濃度は、約0.3mg/ml~約3mg/mlの範囲内である。
【0065】
いくつかの実施形態では、ブスルファンのシクロデキストリンに対する質量比は、約0.01超である。
【0066】
いくつかの実施形態では、ブスルファンのシクロデキストリンに対する質量比は、約0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.40、0.45、0.48、又は0.50超である。いくつかの実施形態では、ブスルファンのシクロデキストリンに対する質量比は、約5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05、0.025、又は0.01未満である。いくつかの実施形態では、ブスルファンのシクロデキストリンに対する質量比は、約0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.40、0.45、0.48、又は0.50のうちのいずれかの下限から、約5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05、0.025、又は0.01のうちのいずれかの上限までの範囲内であってよく、これらの上限及び下限の間のいずれのサブセットも包含してよい。上記に列挙した下限の一部は、列挙した上限の一部よりも大きいが、当業者であれば、選択されるサブセットには、選択される下限を超える上限の選択が必要であることは認識される。例えば、いくつかの実施形態では、ブスルファンのシクロデキストリンに対する質量比は、約0.01~約5、約0.1~約2、又は約0.5~約1の範囲内である。
【0067】
いくつかの実施形態は、本明細書で述べる組成物を含む滅菌容器に関する。
【0068】
いくつかの実施形態では、組成物は、20%未満の水分含有量を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、50%、40%、30%、25%、20%、10%、又は5%未満の水分含有量を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、0.1%、1%、5%、又は10%超の水分含有量を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.1%~約50%、1%~約30%、又は約5%~約25%の範囲内の水分含有量を有する。
【0069】
本明細書で述べる組成物は、非経口注射に適するオスモル濃度を有し得る。いくつかの実施形態では、組成物のオスモル濃度は、約100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、
250、260、270、280、290、300、320、340、360、380、又は400mOsmのうちのいずれかの下限から、約600、500、480、460、440、420、400、390、380、370、360、350、340、330、320、310、300、290、280、270、260、250、240、230、220、210、200、180、160、140、120、又は100mOsmのうちのいずれかの上限までの範囲内であってよく、これらの上限及び下限の間のいずれのサブセットも包含してよい。上記に列挙した下限の一部は、列挙した上限の一部よりも大きいが、当業者であれば、選択されるサブセットには、選択される下限を超える上限の選択が必要であることは認識される。例えば、いくつかの実施形態では、組成物は、約150mOsm~約600mOsm、約200mOsmol/L~約400mOsm、約200~約320mOsm、又は285~約310mOsmの範囲内のオスモル濃度を有する。より具体的な実施形態では、組成物は、約221~約280mOsmの範囲内のオスモル濃度を有し得る。1つの実施形態では、オスモル濃度は、約270mOsmである。いくつかの実施形態では、組成物は、ヒト血漿のオスモル濃度に近いオスモル濃度を有し得る。いくつかの実施形態では、組成物のオスモル濃度は、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、320、340、360、380、又は400mOsm超である。いくつかの実施形態では、組成物のオスモル濃度は、600、500、480、460、440、420、400、390、380、370、360、350、340、330、320、310、300、290、280、270、260、250、240、230、220、210、200、180、160、140、120、又は100mOsm未満である。
【0070】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリンは、スルフブチル(sulfubutyl)エーテルシクロデキストリンである。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピルベータシクロデキストリンである。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンは、アルファシクロデキストリンである。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンは、スルフブチル(sulfubutyl)ブチルエーテルアルファシクロデキストリンである。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンは、スルフブチル(sulfubutyl)ブチルエーテルガンマシクロデキストリンである。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンは、約2のADSを有するスルフブチル(sulfubutyl)エーテルベータシクロデキストリンである。いくつかの実施形態では、シクロデキストリンは、約6.5のADSを有するスルフブチル(sulfubutyl)エーテルベータシクロデキストリンである。
【0071】
いくつかの実施形態では、本明細書で述べる組成物は、30%(重量/重量)未満のジメチルアセタミドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約90%、80%、70%、60%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.25%、0.1%、又は0.05%(重量/重量)未満のジメチルアセタミドを含む。いくつかの実施形態では、組成物中のジメチルアセタミドは、約0%、0.0001%、0.001%、又は0.01%のうちのいずれかの下限から、約90%、80%、70%、60%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.25%、0.1%、0.05%(重量/重量)のうちのいずれかの上限までの範囲内であってよく、これらの上限及び下限の間のいずれのサブセットも包含してよい。上記に列挙した下限の一部は、列挙した上限の一部よりも大きいが、当業者であれば、選択されるサブセットには、選択される下限を超える上限の選択が必要であることは認識される。例えば、いくつかの実施形態では、組成物中のジメチルアセタミドは、約0%~約1%、約0.0001%~約1%、又は0.001%~約0.05%の範囲内であってよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、本明細書で述べる医薬組成物は、ジメチルアセタミドを含まない。いくつかの実施形態では、本明細書で述べる医薬組成物は、実質的にジメチルアセタミドを含まない。いくつかの実施形態では、本明細書で述べる医薬組成物中のジメチルアセタミドの量は、組成物の総重量に基づいて、約10重量%、8重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、0.8重量%、0.6重量%、0.5重量%、0.3重量%、0.1重量%、0.05重量%、0.02重量%、0.01重量%、0.005重量%、又は0.001重量%未満である。
【0073】
いくつかの実施形態では、本明細書で述べる組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)(例:PEG400)を含まない。いくつかの実施形態では、本明細書で述べる医薬組成物は、実質的にPEG(例:PEG400)を含まない。いくつかの実施形態では、本明細書で述べる医薬組成物中のPEG(例:PEG400)の量は、組成物の総重量に基づいて、約10重量%、8重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、0.8重量%、0.6重量%、0.5重量%、0.3重量%、0.1重量%、0.05重量%、0.02重量%、0.01重量%、0.005重量%、又は0.01重量%未満である。
【0074】
「医薬的に許容される担体」又は「医薬的に許容される賦形剤」の用語は、あらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤、並びに吸収遅延剤などを含む。医薬活性物質に対するそのような媒体及び剤の使用は、本技術分野において公知である。従来の媒体又は剤のいずれも、活性成分と不適合性である場合を除き、治療組成物中でのその使用が考慮される。加えて、本技術分野において一般的に用いられるものなどの様々な補助剤が含まれていてもよい。医薬組成物中に様々な成分を含めるための考察は、例えば、その全内容が参照により本明細書に援用されるGilman et al.(Eds.)(1990);Goodman and Gilman’s:The Pharmacological Basis of Therapeutics,8th Ed.,Pergamon Pressに記載されている。
【0075】
本明細書で述べる組成物は、好ましくは単位剤形で提供される。本明細書で用いられる場合、「単位剤形」とは、動物、好ましくは哺乳類対象に、適正診療規範に従って、単一用量で投与するのに適する化合物の量を含有する組成物である。しかし、単一又は単位剤形の作製は、その剤形が、1日1回、又は治療期間あたり1回投与されることを示唆するものではない。そのような剤形は、1日あたり1回、2回、3回、又はそれ以上の回数投与されることが考慮され、ある時間にわたって(例:約30分から約2~6時間)点滴として投与されてもよく、又は持続点滴として投与されてもよく、治療期間の間に2回以上投与されてもよいが、単一回の投与が特に除外されるわけではない。当業者であれば、製剤が、治療期間全体を特に考慮しているものではなく、そのような判断は、製剤ではなく治療の分野の当業者に任せられるということは認識される。
【0076】
上記で述べるように有用である組成物は、経口、経鼻、直腸内、局所(経皮を含む)、眼内、脳内、頭蓋内、くも膜下腔内、動脈内、静脈内、筋肉内、又は他の非経口投与経路を例とする様々な投与経路に適する様々な形態のいずれであってもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で述べる組成物は、投与の前に適切な液体を用いて再構成することができる固体(例:凍結乾燥粉末)の形態に作製されてよい。いくつかの実施形態では、本明細書で述べる組成物は、すぐに投与できる液体の形態であってもよい。当業者であれば、経口及び経鼻用組成物が、吸入によって投与される、利用可能な方法を用いて作製された組成物を含むことは理解される。いくつかの実施形態では、本明細書で述べる組成物は、適切ないかなる点滴装置、携帯型装置、又は装着型装置によって投与されてもよい。所望される特定の投与経路に応じて、本技術分野において公知である様々な医薬的に許容される担体が用いられてよい。医薬的に許容される担体としては、例えば、液体充填剤、希
釈剤、ヒドロトロープ(hydrotropies)、界面活性剤、及びカプセル化剤が挙げられる。化合物アセトアミノフェンの阻害作用に実質的に干渉しない医薬活性物質が、所望に応じて含まれていてもよい。化合物と合わせて用いられる担体は、化合物の単位用量あたり、投与に実用的な量の物質を提供するのに充分な量である。本明細書で述べる方法において有用である剤形を作製するための技術及び組成物は、すべてが参照により本明細書に援用される以下の参考文献に記載されている:Modern Pharmaceutics,4th Ed.,Chapters 9 and 10(Banker & Rhodes,editors,2002);Lieberman et al.,Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets(1989);及びAnsel,Introduction to Pharmaceutical Dosage
Forms 8th Edition(2004)。
【0077】
液体形態を含む様々な経口剤形が用いられてよい。液体経口剤形としては、適切な溶媒、保存剤、乳化剤、懸濁剤、希釈剤、甘味剤、溶融剤、着色剤、及び香味剤を含有する水溶液、エマルジョン、懸濁液、非発泡性顆粒から再構成された溶液及び/又は懸濁液、並びに発泡性顆粒から再構成された発泡製剤が挙げられる。
【0078】
経口投与用の単位剤形の作製に適する医薬的に許容される担体は、本技術分野において公知である。経口組成物としては、液体溶液、エマルジョン、懸濁液などが挙げられる。そのような組成物の作製に適する医薬的に許容される担体は、本技術分野において公知である。シロップ、エリキシール、エマルジョン、及び懸濁液のための担体の典型的な成分としては、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液体スクロース、ソルビトール、及び水が挙げられる。懸濁液の場合、典型的な懸濁剤としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、AVICEL、RC-591、トラガカント、及びアルギン酸ナトリウムが挙げられ、典型的な湿潤剤としては、レシチン及びポリソルベート80が挙げられ、典型的な保存剤としては、メチルパラベン及び安息香酸ナトリウムが挙げられる。経口液体組成物はまた、上記で開示した甘味剤、香味剤、及び着色剤などの一又は複数の成分を含有していてもよい。
【0079】
本明細書で述べる組成物は、所望に応じて、他の薬物活性成分を含んでいてもよい。
【0080】
局所点眼使用のために製剤される液体組成物は、眼に対して局所的に投与することができるように製剤される。可能な限り心地良さが最大化され得るが、場合によっては、製剤の考慮事項により(例:薬物安定性)、心地良さを最適よりも低くする必要があり得る。心地良さを最大化することができない場合、液体は、患者が局所的点眼使用に耐えられるように製剤され得る。加えて、点眼用に許容される液体は、単一回使用のためにパッケージされてよい、又は多数回使用の過程での汚染を防止するための保存剤を含有していてよい。
【0081】
点眼用途の場合、溶液又は医薬は、多くの場合、主媒体として生理食塩水溶液を用いて作製される。点眼用溶液は、好ましくは、適切な緩衝系によって心地良いpHで維持され得る。製剤は、従来の医薬的に許容される保存剤、安定剤、及び界面活性剤を含有していてもよい。
【0082】
本明細書で開示される医薬組成物に用いられ得る保存剤としては、限定されないが、塩化ベンザルコニウム、PHMB、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、及び硝酸フェニル水銀が挙げられる。有用な界面活性剤は、例えば、Tween80である。同様に、様々な有用な媒体が、本明細書で開示される点眼用製剤に用いられてよい。これらの媒体としては、限定されないが、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース、及び精製水が挙げられる。
【0083】
浸透圧調節剤が、必要に応じて、又は都合に応じて添加されてもよい。これらとしては、限定されないが、塩、特に塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、及びグリセリン、又は点眼用に許容される他のいずれの浸透圧調節剤をも挙げられる。
【0084】
得られる製剤が点眼用に許容される限りにおいて、pHを調節するための様々な緩衝剤及び手段が用いられてよい。多くの組成物において、pHは、4~9である。したがって、緩衝剤としては、酢酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、及びホウ酸緩衝剤が挙げられる。必要に応じて、これらの製剤のpHを調節するために、酸又は塩基が用いられてもよい。
【0085】
点眼用に許容される酸化防止剤としては、限定されないが、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソール、及びブチル化ヒドロキシトルエンが挙げられる。
【0086】
点眼用製剤中に含まれてよい他の賦形剤成分は、キレート化剤である。有用なキレート化剤は、エデト酸二ナトリウムであるが、それに代えて、又はそれと合わせて、他のキレート化剤が用いられてもよい。
【0087】
局所使用の場合、本明細書で開示される組成物を含有するクリーム、軟膏、ジェル、溶液、又は懸濁液などが用いられる。局所用製剤は、一般的に、医薬用担体、共溶媒、乳化剤、透過促進剤、保存剤系、及び皮膚軟化剤を含んでよい。
【0088】
静脈内又は筋肉内投与の場合、本明細書で述べる組成物は、生理食塩水又はデキストロース溶液などの医薬的に許容される希釈剤に溶解又は分散されてよい。所望されるpHを実現するために、適切な賦形剤が含まれてよく、限定されないが、NaOH、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、HCl、及びクエン酸が挙げられる。したがって、酢酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、及びホウ酸緩衝剤を含む緩衝剤が、これらの製剤のpHを調節するために必要に応じて用いられてよい。酸化防止賦形剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、アセトン亜硫酸水素ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、チオウレア、及びエデト酸二ナトリウムが挙げられ得る。最終静脈内組成物に見出される適切な賦形剤の他の限定されない例としては、リン酸ナトリウム又はカリウム、クエン酸、酒石酸、ゼラチン、並びにデキストロース、マンニトール、及びデキストランなどの炭水化物が挙げられ得る。さらなる許容される賦形剤は、いずれもその全内容が参照により本明細書に援用されるPowell,et al.,Compendium of Excipients for Parenteral Formulations,PDA J Pharm Sci and Tech 1998,52 238-311及びNema et al.,Excipients and Their Role in
Approved Injectable Products:Current Usage and Future Directions,PDA J Pharm Sci and Tech 2011,65 287-332に記載されている。静菌性又は静真菌性溶液を実現するために、抗微生物剤が含まれていてもよく、限定されないが、硝酸フェニル水銀、チメロサール、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、フェノール、クレゾール、及びクロロブタノールが挙げられる。
【0089】
静脈内又は筋肉内投与用の組成物は、滅菌水、生理食塩水、又はデキストロース水溶液などの適切な希釈剤によって投与の直前に再構成される1つ以上の固体の形態で介護者に提供され得る。他の実施形態では、組成物は、すぐに非経口投与することができる溶液として提供される。さらに他の実施形態では、組成物は、投与の前にさらに希釈される溶液
として提供される。本明細書で述べる組成物と別の剤との組み合わせを投与することを含む実施形態では、この組み合わせは、混合物として介護者に提供されてよい、又は介護者が、投与前にこれら2つの剤を混合してよい、又はこれら2つの剤は、別々に投与されてよい。
【0090】
本明細書で述べる活性組成物の実際の用量は、特定の組成物、及び治療されるべき病状に依存し、適切な用量の選択は、充分に当業者の知識の範囲内である。いくつかの実施形態では、1日量は、約0.25mg/kg体重~約120mg/kg体重若しくはそれ以上、約0.5mg/kg若しくはそれ未満~約100mg/kg、約1.0mg/kg体重~約80mg/kg体重、又は約1.5mg/kg体重~約75mg/kg体重であってよい。したがって、70kgのヒトに投与する場合、用量範囲は、1日あたり約17mg~約8000mg、1日あたり約35mg若しくはそれ未満~約7000mg若しくはそれ以上、1日あたり約70mg~約6000mg、1日あたり約100mg~約5000mg、又は1日あたり約200mg~約3000mgとなる。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書で述べる組成物は、15分間の静脈内点滴として投与されてよい。いくつかの実施形態では、本明細書で述べる組成物は、5分間~約30分間の静脈内点滴として投与されてよい。本明細書で述べる組成物は、単一又は繰り返し用量として投与されてよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、組成物は、皮下点滴によって投与されてよい。いくつかの実施形態では、本明細書で述べる組成物は、Hylenex(登録商標)組換え体と組み合わせて、皮下点滴によって投与されてよい。
【0093】
いくつかの実施形態では、体重50kg以上の成人及び青年期の患者の場合、本明細書で述べる活性組成物の用量は、6時間ごとに1000mg、又は4時間ごとに650mgから最大で1日あたり4000mgまでであってよい。いくつかの実施形態では、体重50kg以上の成人及び青年期の患者の場合、本明細書で述べる活性組成物の用量は、6時間ごとに約500mg~1500mgの範囲内、又は4時間ごとに約300mgから約1000mgの範囲内であってよい。いくつかの実施形態では、体重50kg以上の成人及び青年期の患者の場合、1日あたりの最大用量は、約2000mg~約6000mgの範囲内であってよい。
【0094】
いくつかの実施形態では、体重50kg未満の成人及び青年期の患者の場合、本明細書で述べる活性組成物の用量は、6時間ごとに15mg/kg、又は4時間ごとに12.5mg/kgから最大で1日あたり75mg/kgまでであってよい。いくつかの実施形態では、体重50kg未満の成人及び青年期の患者の場合、本明細書で述べる活性組成物の用量は、6時間ごとに約10mg/kg~約20mg/kg、又は4時間ごとに8mg/kgから約15mg/kgの範囲内であってよい。いくつかの実施形態では、体重50kg未満の成人及び青年期の患者の場合、1日あたりの最大用量は、約50mg/kg~約100mg/kgの範囲内であってよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、2歳~12歳までの小児の場合、本明細書で述べる活性組成物の用量は、6時間ごとに15mg/kg、又は4時間ごとに12.5mg/kgから最大で1日あたり75mg/kgまでであってよい。いくつかの実施形態では、2歳~12歳までの小児の場合、本明細書で述べる活性組成物の用量は、6時間ごとに約10mg/kg~約20mg/kg、又は4時間ごとに8mg/kgから約15mg/kgの範囲内であってよい。いくつかの実施形態では、2歳~12歳までの小児の場合、1日あたりの最大用量は、約50mg/kg~約100mg/kgの範囲内であってよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、最小投与間隔は、4時間であってよい。いくつかの実施形態では、最小投与間隔は、約1時間~8時間であってよい。いくつかの実施形態では、最小投与間隔は、1、2、3、4、5、6、7、又は8時間であってよい。
【0097】
作製方法
いくつかの実施形態は、ブスルファン組成物を作製する方法に関し:
ブスルファン及び有機溶媒を混合して、透明な溶液を得ること;
透明な溶液をシクロデキストリンと混合して、第一の混合物を得ること;
第一の混合物から溶媒を除去して、第二の混合物を得ること;並びに
第二の混合物をフリーズドライして、ブスルファン組成物を得ること、
を含む。
【0098】
最初にブスルファンを溶解するために、様々な溶媒が用いられてよい。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、ジメチルアセタミド、ポリエチレングリコール、アセトン、及びこれらのいずれかの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、溶媒は、アセトンである。いくつかの実施形態では、溶媒は、ジメチルアセタミドである。いくつかの実施形態では、溶媒は、ジメチルスルホキシドである。いくつかの実施形態では、溶媒は、ポリエチレングリコールである。いくつかの実施形態では、溶媒は、ジメチルアセタミド及びポリエチレングリコールである。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、ジメチルアセタミドではない。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、ポリエチレングリコールではない。
【0099】
いくつかの実施形態は、ブスルファン組成物を作製する方法に関し:
ブスルファンと、ジメチルアセタミド、アセトン、及びこれらのいずれかの組み合わせから選択される有機溶媒とを混合して、透明な溶液を得ること;
透明な溶液をシクロデキストリンと混合して、第一の混合物を得ること;並びに
第一の混合物を乾燥して、ブスルファン組成物を得ること、
を含む。
【0100】
いくつかの実施形態は、ブスルファン組成物を作製する方法に関し:
ブスルファン及びアセトンを混合して、透明な溶液を得ること;
透明な溶液をシクロデキストリンと混合して、第一の混合物を得ること;並びに
第一の混合物を乾燥して、ブスルファン組成物を得ること、
を含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、有機溶媒を除去することは、ロータリーエバポレータによって有機溶媒を除去することを含む。いくつかの実施形態では、第一の混合物を乾燥することは、凍結乾燥することをさらに含む。いくつかの実施形態では、第一の混合物を乾燥することは、フリーズドライすることをさらに含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリンを透明なブスルファン溶液と混合することは、透明なブスルファン溶液をシクロデキストリン溶液と混合することを含む。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン溶液が、透明なブスルファン溶液に添加される。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン溶液は、シクロデキストリン水溶液である。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書で述べる方法は、ブスルファン組成物を非経口用に許容される溶媒と混合して、ブスルファン濃縮物を形成することを含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書で述べる方法は、ブスルファン濃縮物を、医薬的に
許容される希釈剤で希釈することを含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、非経口用に許容される溶媒は、水、生理食塩水、シクロデキストリン溶液、及びこれらのいずれかの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、非経口用に許容される溶媒は、水、生理食塩水、シクロデキストリン溶液、及びこれらのいずれかの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、非経口用に許容される溶媒は、ラクトース、グルコース、及びスクロースなどの糖溶液、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン、パイロジェンフリー水、等張生理食塩水、並びにリン酸緩衝溶液である。いくつかの実施形態では、非経口用に許容される溶媒は、シクロデキストリン溶液であり、シクロデキストリンは、表A~Dに列挙するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体のいずれをも含む、本明細書で述べるいずれのシクロデキストリンであってもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、医薬的に許容される希釈剤は、水、生理食塩水、シクロデキストリン溶液、及びこれらのいずれかの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、医薬的に許容される希釈剤は、水、生理食塩水、シクロデキストリン溶液、及びこれらのいずれかの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、医薬的に許容される希釈剤は、ラクトース、グルコース、及びスクロースなどの糖溶液、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン、パイロジェンフリー水、等張生理食塩水、並びにリン酸緩衝溶液である。いくつかの実施形態では、医薬的に許容される医薬的に許容される(pharmaceutically acceptable pharmaceutically acceptable)希釈剤は、
シクロデキストリン溶液であり、シクロデキストリンは、表A~Dに列挙するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体のいずれをも含む、本明細書で述べるいずれのシクロデキストリンであってもよい。
【0107】
いくつかの実施形態では、第二の混合物は、透明な溶液である。
【0108】
いくつかの実施形態では、非経口用に許容される溶媒は、シクロデキストリン溶液である。いくつかの実施形態では、非経口用に許容される溶媒は、スルホブチルエーテルシクロデキストリン溶液である。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン溶液は、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、又は200mg/ml超の濃度を有する。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン溶液は、約50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、又は300mg/ml未満の濃度を有する。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン(例:スルホブチルエーテルシクロデキストリン)溶液は、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、又は200mg/mlのうちのいずれかの下限から、約50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、又は300mg/mlのうちのいずれかの上限までの範囲内であってよく、これらの上限及び下限の間のいずれのサブセットも包含してよい濃度を有する。上記に列挙した下限の一部は、列挙した上限の一部よりも大きいが、当業者であれば、選択されるサブセットには、選択される下限を超える上限の選択が必要であることは認識される。例えば、いくつかの実施形態では、シクロデキストリン(例:スルホブチルエーテルシクロデキストリン)溶液は、約10~500mg/ml、約50~約300mg/ml、約80~約200mg/ml、又は約100~150mg/mlの範囲内の濃度を有する。
【0109】
いくつかの実施形態は、ブスルファンとスルホアルキルエーテルシクロデキストリンとを混合する方法に関する。
【0110】
治療方法
いくつかの実施形態は、本明細書で述べる医薬組成物を再構成すること、及び再構成された医薬組成物を、それを必要とする対象に投与すること、を含む、治療方法に関する。
【0111】
いくつかの実施形態では、再構成することは、非経口用に許容される溶媒を医薬組成物に添加することを含む。いくつかの実施形態では、再構成することは、医薬的に許容される希釈剤を医薬組成物に添加することを含む。いくつかの実施形態では、非経口用に許容される溶媒又は医薬的に許容される希釈剤は、水、生理食塩水、シクロデキストリン溶液、及びこれらのいずれかの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、非経口用に許容される溶媒又は医薬的に許容される希釈剤は、ラクトース、グルコース、及びスクロースなどの糖溶液、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン、パイロジェンフリー水、等張生理食塩水、並びにリン酸緩衝溶液である。いくつかの実施形態では、非経口用に許容される溶媒又は医薬的に許容される希釈剤は、シクロデキストリン溶液であり、シクロデキストリンは、表A~Dに列挙するシクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体のいずれをも含む、本明細書で述べるいずれのシクロデキストリンであってもよい。
【0112】
本明細書で述べる医薬組成物が、様々な疾患の治療に用いられる場合、それは、ブスルファンを含有する他の市販の組成物と比較して、より良好な薬物耐性、より高い薬物曝露、より長い治療継続時間、柔軟な取り扱い、及び改善された安定性を実現することができる。
【0113】
いくつかの実施形態は、本明細書で述べる組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、造血幹細胞移植のために対象をコンディショニングする方法に関する。
【0114】
いくつかの実施形態は、本明細書で述べる組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、骨髄移植のために対象をコンディショニングする方法に関する。この方法は、対象に、免疫抑制剤を投与する追加の工程、及び/又はT細胞枯渇骨髄細胞の追加用量を投与する追加の工程をさらに含んでよい。上記の方法はまた、本明細書で述べるように、ヘモグロビン異常症の治療に、及び/又は対象における臓器若しくは組織移植の拒絶反応の防止にも有用である。
【0115】
いくつかの実施形態は、本明細書で述べる組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、白血病、リンパ腫、及び骨髄増殖性疾患を治療する方法に関する。癌細胞は、本明細書で述べるブスルファンベースの組成物を投与することによって、体内から根絶され得る。本明細書で述べるブスルファン組成物及びそれを作製する方法は、投与される治療薬に付随する毒性溶媒のリスクを減少させると同時に、そのような治療薬のより高用量を投与するための新規でより効果的なツールを表している。
【0116】
いくつかの実施形態では、組成物は、静脈内又は筋肉内投与される。いくつかの実施形態では、組成物又はその希釈物は、静脈内点滴として投与される。いくつかの実施形態では、組成物又はその希釈物は、静脈内プッシュ又はボーラスとして投与される。
【0117】
いくつかの実施形態では、ブスルファンの成人用量は、体重1kgあたり約0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、1.2、又は1.4mgである。いくつかの実施形態では、成人用量は、体重1kgあたり約0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、1.2、又は1.4mg超である。いくつかの実施形態では、成人用量は、体重1kgあたり約
0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、又は2mg未満である。いくつかの実施形態では、ブスルファンの成人用量は、体重1kgあたり約0.2~2.0、約0.4~約1.5、又は約0.6~約1mgである。いくつかの実施形態では、ブスルファン組成物は、中心静脈カテーテルを介して、6時間ごとに2時間の点滴を4日間連続で、合計16回分の用量として静脈内投与される。
【0118】
静脈内投与用キット
いくつかの実施形態は、シクロデキストリン(例:スルホアルキルエーテルシクロデキストリン)及びブスルファンを含むキットを含む。いくつかの実施形態は、シクロデキストリン(例:スルホアルキルエーテルシクロデキストリン)及びブスルファンを含むキットを含み、ブスルファンの少なくとも大部分は、シクロデキストリンと複合体を形成している。いくつかの実施形態は、1)シクロデキストリン(例:スルホアルキルエーテルシクロデキストリン)及びブスルファン、並びに2)ブスルファン組成物を再構成するための医薬的に許容される溶媒又は希釈剤、を含み、ブスルファンの少なくとも大部分がシクロデキストリンと複合体を形成している、キットを含む。いくつかの実施形態では、キットは、非経口投与用に用いられる。いくつかの実施形態では、キットは、静脈内投与用に用いられる。
【0119】
1つの実施形態では、ブスルファンの大部分がシクロデキストリンと複合体を形成しているブスルファン及びシクロデキストリンは、第一の滅菌容器中に提供される。いくつかの実施形態では、ブスルファン溶液を再構成するために用いられる医薬的に許容される溶媒は、第二の滅菌容器中に提供される。いくつかの実施形態では、医薬的に許容される溶媒は、別の容器中に提供されるシクロデキストリン水溶液である。再構成用の固体の場合、ブスルファン及びシクロデキストリンを含有する組成物が、本明細書で述べる方法を用いてまず作製され、次に凍結乾燥されて、容器に添加されることになる粉末とされる。いくつかの実施形態では、固体は、滅菌結晶製品である。他の実施形態では、固体は、凍結乾燥物である。凍結乾燥において補助となる剤の限定されない例としては、リン酸ナトリウム又はカリウム、クエン酸、酒石酸、ゼラチン、並びにデキストロース、マンニトール、及びデキストランなどの炭水化物が挙げられる。1つの実施形態は、容器中への導入の前又は後のいずれかに放射線照射される未滅菌固体を含む。
【0120】
液体の場合、本明細書で述べるブスルファン組成物は、希釈剤又は医薬的に許容される溶媒に溶解又は分散されて、すぐに投与できる状態とされてよい。別の実施形態では、溶液又は分散体は、投与の前にさらに希釈されてもよい。いくつかの実施形態は、IVバッグ中の液体を提供することを含む。液体は、安定性を高めるために、凍結されていてよい。
【0121】
1つの実施形態では、容器は、pH調節剤、可溶化剤、又は分散剤などの他の成分を含む。pH調節剤の限定されない例としては、NaOH、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、HCl、及びクエン酸が挙げられる。
【0122】
別の選択肢としての実施形態では、再構成に用いられるブスルファン組成物及びシクロデキストリンは、単一の滅菌容器で提供されてよい。いくつかの実施形態では、再構成に用いられるブスルファン組成物及びシクロデキストリンは、別々の容器で提供されてよい。各容器は、固体、溶液、又は分散体を含み得る。そのような実施形態では、2つの容器は、単一のパッケージで提供されてよい、又は別々に提供されてよい。1つの実施形態では、本明細書で述べる組成物は、固体として提供され、一方、非経口用に許容される溶媒(例:水、生理食塩水、及びシクロデキストリン溶液)は、すぐに再構成に用いられる溶液として提供される。1つの実施形態では、本明細書で述べる組成物は、固体として提供され、一方、非経口用に許容される剤(例:シクロデキストリン)は、最初はすぐに再構
成に用いられる固体として提供される。1つのそのような実施形態では、本明細書で述べる非経口用に許容される剤の溶液が、非経口用に許容される剤による希釈剤として、他方の固体組成物を再構成するために用いられる。
【実施例
【0123】
例1.Captisol(登録商標)含有ブスルファンの相溶解度データ
ブスルファンの相溶解度を、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(Captisol(登録商標))溶液で実験し、その結果を図1に示す。ブスルファンを様々なCaptisol(登録商標)溶液に添加し、混合物をHPLCで測定して、室温後に平衡に到達した後に、溶液中に溶解したブスルファンの量を特定した。また、ブスルファン溶液(200mg/mlのCaptisol(登録商標)溶液中1mg/mlのブスルファン、及び400mg/mlのCaptisol(登録商標)溶液中2mg/mlのブスルファン)が、溶液を3日間にわたって周囲温度で保持した後に、90%超の安定性を呈したことも分かった。
【0124】
例2.Captisol(登録商標)含有ブスルファン製剤
ブスルファン製剤を、まずブスルファンを有機溶媒(例:アセトン)に溶解し、次にそれをCaptisol(登録商標)水溶液と混合することによって作製した。次に、この混合物を、ロータリーエバポレータに添加して、有機溶媒を除去した。アセトン溶媒の除去後、溶液は依然として透明のままであった。次に、この溶液を凍結乾燥してすべての水を除去し、フリーズドライCaptisol(登録商標)含有ブスルファン粉末を作製した。1つのフリーズドライサンプルにおいて、ブスルファンのCaptisolに対する重量比は、4:170が実現され、このことは、ブスルファンの濃度が約40mgであり、Captisol(登録商標)溶液が約1.7gであったことを意味する。その後、凍結乾燥ブスルファン製剤を、再構成し、Captisol(登録商標)溶液(100~150mg/ml)で希釈して、点滴濃度を得た。1つの再構成されたサンプルにおいて、ブスルファン粉末は、素早く溶解して、約0.5mg/ml~2mg/mlの範囲内のブスルファン濃度を有する透明な溶液を形成した。再構成工程の過程で、ブスルファンとCaptisol(登録商標)溶液とを直接混合する方法と比較して、5mg/mlの可溶化ブスルファン溶液が、より低いCaptisol(登録商標)負荷で実現された。
【0125】
例3.Captisol(登録商標)含有ブスルファン製剤の安定性
いくつかのブスルファン溶液の安定性について経時で実験し、図2は、3つのブスルファン組成物の沈澱量を示す。第一のブスルファン組成物は、ブスルファンCaptisol(登録商標)溶液をフリーズドライ/凍結乾燥し、続いてこの凍結乾燥混合物をCaptisol(登録商標)溶液で再構成することを用いて作製し、第二のブスルファン組成物は、ブスルファン及びCaptisol(登録商標)を塩化ナトリウム溶液中で混合することによって作製し、第三のブスルファン組成物は、Bulsulfex(登録商標)(大塚製薬;東京、日本:BUSULFEXの各バイアルは、60mg(6mg/mL)のブスルファンを含有し、ブスルファンは、N,N-ジメチルアセタミド(DMA)、3.3mL及びポリエチレングリコール400、NF、6.7mL中に溶解されている)であった。安定性データから、第一及び第二のCaptisol(登録商標)含有ブスルファン組成物が、Bulsulfex(登録商標)サンプルよりも少ない沈澱量であったこと、及びブスルファンの沈澱が、第二のブスルファン組成物よりも第一のブスルファン製剤においてなおさらに遅延されたことが示された。第一及び第二のブスルファン組成物はいずれも、Bulsulfex(登録商標)サンプルよりも良好な安定性を示し、フリーズドライ及びそれに続く追加のCaptisol(登録商標)による再構成によって作製した第一のブスルファン組成物が、最も高い安定性を示した。
【0126】
例4.Captisol(登録商標)含有ブスルファン製剤の試験
ブスルファンの安定性について、3つの異なる温度で、いくつかの製剤において実験した。第一のブスルファン製剤は、60mgのブスルファン及び5.25gのCaptisol(登録商標)を含有するブスルファンCaptisol(登録商標)粉末をフリーズドライ/凍結乾燥し、続いてこの凍結乾燥混合物をCaptisol(登録商標)溶液で再構成することを用いて作製した。第二のブスルファン製剤は、60mgのブスルファン及び5.25gのCaptisol(登録商標)を含有するブスルファンCaptisol(登録商標)粉末をフリーズドライ/凍結乾燥し、続いてこの凍結乾燥混合物を生理食塩水希釈剤で再構成することを用いて作製した。第三のブスルファン組成物は、Bulsilvex(登録商標)(Pierre Fabre Oncologie、ブーローニュ、フランス)を、0.9%生理食塩水を用いて再構成し、最終ブスルファン濃度を0.55mg/mlとしたものであった。作製に用いた容器は、PPシリンジであった(Becton Dickinson、フランクリンレイクス、NJ)。サンプル溶液を、より小さい容器にアリコートとして分け、それによって、溶液が、評価期間全体を通して定められた保存条件下に維持されるようにした。保存温度の各々において、サンプルを処理し、HPLC-UVによって分析した。ブスルファンは、281nmでの吸収によって検出した。均一濃度モードでは、アセトニトリル(ACN)、H2O、及びトリフルオロ酢酸(TFA)(割合:650/350/1、体積/体積/体積)から成る移動相を、2mL/分の流速でシステムに流した。時間ゼロ(T)では、活性物質の初期濃度(C)は、100%であった。各分析時間に対する含有量は、したがって、Cに基づいて特定した。
【0127】
図3Aは、2~8℃、25℃、及び40℃での第一のブスルファン製剤の安定性、並びに2~8℃(RF)及び25℃での第三のブスルファン製剤の安定性を示し;図3Bは、2~8℃(RF)、25℃、及び40℃での第二のブスルファン製剤の安定性、並びに2~8℃(RF)及び25℃での第三のブスルファン製剤の安定性を示す。図3A及び図3Bの両方における安定性データは、Captisol(登録商標)溶液及び生理食塩水溶液を用いて再構成された組成物を含むCaptisol(登録商標)含有ブスルファン組成物が、Captisol(登録商標)をまったく含有しないBulsilvex(登録商標)サンプルよりも安定であったことを示している。
【0128】
例5.Captisol(登録商標)含有ブスルファン製剤の試験
患者は、Captisol(登録商標)含有ブスルファン及びIV Bulsulfex(登録商標)(大塚製薬;東京、日本:BUSULFEXの各バイアルは、60mg(6mg/mL)のブスルファンを含有し、ブスルファンは、N,N-ジメチルアセタミド(DMA)の3.3mL及びポリエチレングリコール400、NFの6.7mL中に溶解されている)の試験用量を0.8mg/kgで受け、充分な洗い流しの後、これら2つの薬物製品を交替した。Captisol(登録商標)含有ブスルファンのPKについて実験し、試験用量でのIV Bulsulfex(登録商標)と比較する。高用量Captisol(登録商標)含有ブスルファンの安全性及び忍容性についても実験し、IV Bulsulfex(登録商標)サンプルと比較する。
【0129】
例6.投与計画実験
最初の自家造血幹細胞移植を受けている化学療法感受性再発性又は一次治療抵抗性リンパ腫を有する患者に、試験用量のCaptisol(登録商標)含有ブスルファン(0.8mg/kg)を、第-14日から第-11日の間の1日に、2時間の連続点滴としてIV投与する。ブスルファン曝露を、点滴の終了後に定められた間隔で採取した6つの全血サンプルを用いて、濃度-時間曲線下面積(AUC)として特定する。試験PKに基づいて、20000μM・分の合計AUCを実現するために、残りのブスルファン用量を算出する。この用量の4分の1を、第-8日に3時間の点滴として投与し、その間に、第二のPK分析を行う。同じ1日量のBuを、第-8日のPK結果から合計AUCが目標の±2
0%から外れたことが示されない限りにおいて、第-7日、第-6日、及び第-5日に投与する。第二のPK結果から、合計AUCが16000μM・分未満又は24000μM・分超となることが予測される場合、第-6日及び第-5日のブスルファン点滴は、改変される。エトポシドの1.4g/mを、第-4日に4時間の点滴で投与し、続いて、第-3日及び第-2日に、シクロホスファミドの2.5g/m/日を投与する。
【0130】
試験用量の投与後(試験PK)及び第-8日(確認PK)に、6つの連続血液サンプルを採取する。ブスルファン濃度を測定して、WinNonlinソフトウェアを用いてAUCとしてブスルファン曝露を特定し、個別化されたPKに基づく用量を推奨する。コンディショニング計画の過程での目標とする1日AUCを、(20000μM・分-試験PK AUC)/4として算出する。コンディショニング計画の1日量を、(試験PK用量/試験PK AUC)*目標1日AUCとして算出する。
図1
図2
図3