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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】タルク粒子及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/22 20060101AFI20230106BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20230106BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20230106BHJP
【FI】
C01B33/22
C08K3/34
C08L101/00
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020133165
(22)【出願日】2020-08-05
(62)【分割の表示】P 2017530420の分割
【原出願日】2015-08-25
(65)【公開番号】P2020189986
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】14290261.8
(32)【優先日】2014-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515003400
【氏名又は名称】イメリス タルク ユーロープ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100183379
【弁理士】
【氏名又は名称】藤代 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】マス ジャン-セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】クレピン-ルブロン ジェローム
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/057273(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/061068(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/128072(WO,A1)
【文献】米国特許第6348536(US,B1)
【文献】特開2006-83198(JP,A)
【文献】特表2011-526875(JP,A)
【文献】特開2008-81597(JP,A)
【文献】特表平7-504989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B33/00-33/46
C08K3/34-3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
約0.5~5.0μmのd50、30.0以上の峻度及び約2.8~約4.0のラメラリティーインデックスを有し、約100ppm以下の45μm以上の粒径を有する粒子を含む、タルク粒子。
【請求項2】
約50ppm以下の約45μm以上の粒径を有する粒子を含む、請求項1に記載のタルク粒子。
【請求項3】
約3.0~約4.0のラメラリティーインデックスを有するか、又は
5.0~約15.0μmd95を有する、
請求項1~2のいずれか1項に記載のタルク粒子。
【請求項4】
約10m2/g~約20m2/gの比表面積(BET)を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のタルク粒子。
【請求項5】
表面処理剤で表面処理されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のタルク粒子。
【請求項6】
約0.5~5.0μmのd50、約30.0以上の峻度及び約2.8~約4.0のラメラリティーインデックスを有し、かつ約100ppm以下の45μm以上の粒径を有する粒子を含むタルク粒子の調製方法であって、下記工程、
(a)約5.0μmより大きいd 50を有する初期粒径を有し、なくとも約20.0μmのd95を有する相対的に粗いタルク粒子の液体懸濁液をデラミネーションして、前記初期粒径より小さい粒径を有するタルク粒子を得る工程、
(b)前記懸濁液を処理して、約15.0μmより大きいd95を有する粒子を減らすか又は排除する工程、及び
(c)前記懸濁液を少なくとも部分的に乾燥させ、それによって約0.5~5.0μmのd50、約30.0以上の峻度及び約2.8~約4.0のラメラリティーインデックスを有し、かつ約100ppm以下の45μm以上の粒径を有する粒子を含むタルク粒子を得る工程、
を含む、前記方法。
【請求項7】
前記懸濁液を少なくとも部分的に乾燥させる工程の前に、前記タルク粒子を表面処理剤で更に処理する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
約15.0μmより大きいd95を有する粒子の少なくとも一部を工程(a)のデラミネーションに再利用する、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか1項に記載のタルク粒子を含む、ポリマー組成物。
【請求項10】
前記ポリマーが、ポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレン-エチレンコポリマー、又はそれらの組合せから選択される、請求項9に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
前記ポリマー組成物の総質量に基づいて、少なくとも約1質量%の前記タルク粒子を含む、請求項9~10のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項12】
請求項1~5のいずれか1項に記載のタルク粒子、又は請求項6~8のいずれか1項に記載の方法により得ることができるタルク粒子をポリマーと混ぜ合わせる工程を含む、ポリマー組成物の調製方法。
【請求項13】
請求項9~11のいずれか1項に記載のポリマー組成物から形成される、リマー複合材又は物品。
【請求項14】
請求項13に記載のポリマー複合材又は物品であって、
(i)100ppmより多くの45μm以上の粒径を有する粒子を含む同量のタルク粒子を含む同等のポリマー複合材又は物品の第2のシャルピー衝撃強度より大きい、第1のシャルピー衝撃強度、及び/又は
(ii)100ppmより多くの45μm以上の粒径を有する粒子を含む同量のタルク粒子を含む同等のポリマー複合材又は物品の第2の落錘インデックス(FWI)より大きい、0℃又は20℃における第1のFWI、及び/又は
(iii)100ppmより多くの、45μm以上の粒径を有する粒子を含む同量のタルク粒子を含む同等のポリマー複合材又は物品の第2の曲げ弾性率より大きい、第1の曲げ弾性率、
を有する、前記ポリマー複合材又は物品。
【請求項15】
請求項1~5のいずれか1項に記載のタルク粒子、又は請求項6~8のいずれか1項に記載の方法により得ることができるタルク粒子の、ポリマー組成物におけるフィラーしての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、タルク粒子、前記タルク粒子を含むポリマー組成物、前記タルク粒子及びポリマー組成物の調製方法、タルク粒子のフィラーとしての使用、並びに該ポリマー組成物から形成されるポリマー複合材及び物品に関する。
【背景技術】
【0002】
タルク粒子は、プラスチックに剛性(及びゴム、紙及びコーティングのためのバリア性能)を与えるために開発されたきた。典型的なタルク粒子はUS-A-6348536に記載されている。現在タルク粒子は主に、ポリプロピレンをベースとする配合物に、該配合物の総質量に基づいて約5~40wt.%の範囲のタルク含量で使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
該配合物で使用するための新しいか又は強化された物理的(例えば、機械的)特性を有する新しいタルクを提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
本発明の第一態様によれば、約0.5~5.0μmのd50及び40以上の形状係数を有し、かつ約500ppm未満の、45μm以上の粒径を有する粒子を含むタルク粒子が提供される。
本発明の第二態様によれば、約0.5~5.0μmのd50及び40以上の形状係数を有し、かつ約500ppm未満の、45μm以上の粒径を有する粒子を含むタルク粒子の調製方法であって、
下記工程:
(a)約5.0μmより大きい、例えば、約7.5μmより大きいd50を有し、場合により少なくとも約20.0μmのd95を有する初期粒径を有する相対的に粗いタルク粒子の液体懸濁液をデラミネーションして、初期粒径より小さい粒径を有するタルク粒子を得る工程;
(b)懸濁液を処理して、約15.0μmより大きいd95を有する粒子を減らすか又は排除する工程;及び
(c)少なくとも部分的に懸濁液を乾燥させ、それによって約0.5~5.0μmのd50及び40以上の形状係数を有し、かつ約500ppm未満の、45μm以上の粒径を有する粒子を含むタルク粒子を得る工程
を含む方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0005】
発明の詳細な説明
本明細書で使用する場合、用語「タルク」は、ケイ酸マグネシウム鉱物、又は鉱物緑泥石(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)、又は両者の混合物のどれかを意味し、場合により他の鉱物、例えば、ドロマイト及び/又はマグネサイトを伴うことがあり、或いはさらに、タルコース(talcose)としても知られる合成タルクを意味する。
本明細書で使用する場合、用語「表面処理済み」は、タルク粒子が、タルクの表面に付着(例えば、物理吸着又は結合)するか又は別なふうにタルクの表面と関連する化合物と接触していることを意味する。
本明細書で使用する場合、用語「ラメラリティーインデックス(lamellarity index)」は、下記比によって定義される。
d 平均 -d 50
d50
ここで、「d平均」は、湿式マルバーン(Malvern)レーザー散乱法(規格AFNOR NFX11-666又はISO 13329-1)による粒径測定によって得られる平均粒径(d50)の値であり、「d50」は、後述するように、セディグラフ(sedigraph)(規格AFNOR X11-683又はISO 13317-3)を用いて沈降作用によって得られる中位径の値である。G. Baudet and J. P. Rona, Ind. Min. Mines et Carr. Les techn. June, July 1990, pp 55-61による論文を参照することができる。この論文は、このインデックスが、粒子の最大寸法の粒子の最小寸法に対する平均割当と相関があることを示している。
【0006】
本明細書で使用する場合、「形状係数」は、参照することによりここに援用する米国特許第5,576,617号に記載の電気伝導度法、装置、及び方程式を用いて測定した場合に異なるサイズと形状の粒子の集団に関する粒径対粒子厚の比の尺度である。形状係数を決定するための技術は、さらに'617特許に記載されているように、供試配向粒子の水性懸濁液の組成物の電気伝導度は、組成物が容器内を流れながら測定される。電気伝導度の測定は、容器の一方向に沿って及び容器の該第1の方向に直角の別方向に沿って行なわれる。これらの2つの伝導度測定値間の差異を用いて、供試粒状物質の形状係数が決定される。
本明細書で使用する場合、「比表面積(BET)」は、単位質量に対するタルク粒子の粒子表面積であって、前記表面を完全に覆う単分子層を形成するように前記粒子の表面に吸着した窒素の量によってBET法により決定される表面積を意味する(BET法、AFNOR規格X11-621及び622又はISO 9277に従う測定)。特定実施形態においては、ISO 9277、又はそれに等価ないずれかの方法に準拠して比表面積を決定する。
【0007】
特に指定のない限り、本明細書でタルク粒状物質に関して言及する粒径特性は、本明細書では「マイクロメリティックスセディグラフ(Micromeritics Sedigraph) 5100ユニット」と呼ぶMicromeritics Instruments Corporation, Norcross, Georgia, USA (www.micromeritics.com)によって供給されるセディグラフ5100装置を用いて、水性媒体に完全に分散した状態の粒状物質の沈降により周知の方法で測定される通りである。該装置は、当技術分野で「球相当径(equivalent spherical diameter)」(e.s.d)と呼ばれる所与のe.s.d値未満のサイズを有する粒子の累積質量百分率の測定値及びプロットを提供する。平均粒径d50は、当該d50値未満の球相当径を有する粒子が50質量%あるときの粒子e.s.dのこのようにして決定される値である。d95値は、粒子の95質量%が当該d95値未満のesdを有するときの値である。粒径特性は、ISO 13317-3、又はそれに等価のいずれかの方法に準拠して決定可能である。
【0008】
上述したマルバーンレーザー光散乱技術においては、粉体、懸濁液及びエマルション中の粒子のサイズは、ミー理論の適用に基づいてレーザー光の回折を利用して測定可能である。このような装置、例えばマルバーンマスターサイザーS(Malvern Instrumentsによって供給される)は、当技術分野で「球相当径」(e.s.d)と呼ばれる所与のe.s.d値未満のサイズを有する粒子の累積体積百分率の測定値及びプロットを提供する。平均粒径d50は、当該d50値未満の球相当径を有する粒子が50体積%あるときの粒子e.s.dのこのようにして決定される値である。誤解を避けるために、レーザー光散乱を用いる粒径の測定は、上述した沈降法に等価な方法ではない。
本明細書で使用する場合、用語「峻度」は、下記式により決まる。
峻度=100×(d30/d70)
式中、d30値は、上記沈降法に従って測定した場合、粒子の30%質量が当該d30値未満のesdを有するときの値であり、d70値は、粒子の70質量%が当該d70値未満のesdを有するときの値である。
【0009】
特定実施形態によれば、タルク粒子は、約0.5~5.0μmのd50及び40以上の形状係数を有し、かつ約500ppmの、45μm以上の粒径を有する粒子を含む。特定実施形態では、45μm以上の粒径を有する粒子のppmは、適切な大きさの開口サイズを有するスクリーン又は篩、すなわち、45μmの開口サイズを有するスクリーン又は篩、例えば、ControlabTMから入手可能な45μmスクリーンを用いる分析によって決まる。分析は、1kgの乾燥タルクに基づいて行なってよい。例えば、10%の固形分のスラリーでは、10kgのスラリーを秤量し、スクリーニングし、残渣を集めてデシケーターに入れて秤量して、45μm以上の粒径を有する粒子のppmを決めることになる。予想外に、45μm以上の粒径を有する粒子のppmを、例えば、500ppm未満のレベルまで、例えば、約100ppm未満のレベルまで、又は50ppm以下までさえに減少させることによって、タルク粒子で充填されたポリマー組成物の1つ以上の機械的特性、例えば、落錘衝撃又はシャルピー衝撃測定に関して観察したところ、耐衝撃性の改善が得られることが分かった。さらに、曲げ弾性率の測定に関して観察したところ、剛性は、本明細書で論じるように、特にタルク粒子の峻度が上昇する場合に改善され得る。
【0010】
特定実施形態においては、タルク粒子は、約250ppm未満の、45μm以上の粒径を有する粒子、例えば、約100ppm以下、又は約75ppm以下、又は約50ppm以下、又は約40ppm以下、又は約30ppm以下、又は約20ppm以下の、45μm以上の粒径を有する粒子を含む。特定実施形態においては、タルク粒子は、少なくとも約1ppm、例えば、少なくとも約5ppm、又は少なくとも約10ppmの、45μm以上の粒径を有する粒子を含む。
本明細書では、特定サイズより小さいか又は大きい粒径を有する百万分率(「ppm」)に関して粒子の量への言及は、質量ppmへの言及である。
特定実施形態においては、タルク粒子は、約0.5~約4.0μm、又は約0.5~約3.5μm、又は約0.75~約3.25μm、又は約1.0~約3.0μm、又は約1.25~約3.0μm、又は約1.5~約3.0μm、又は約1.75~約3.0μm、又は約2.0~約2.9μm、又は約2.2~約2.8μm、又は約2.3~約2.8μmのd50を有する。
特定実施形態においては、タルク粒子は約15μm未満のd95、例えば約12μm未満、約11μm未満、又は約10μmのd95を有する。特定実施形態においては、タルク粒子は、約5.0~約15.0μm、例えば、約7.0~約12.0μm、又は約8.0~12.0μm、又は約7.0~約11.0μm、又は約8.0~約11.0μm、又は約8.0~約10.0μm、又は約8.0~約9.0μmのd95を有する。
【0011】
特定実施形態においては、タルク粒子は、少なくとも約25、例えば、少なくとも約26、又は少なくとも約27、又は少なくとも約28、又は少なくとも約29の峻度を有する。有利には、タルク粒子は、少なくとも約30、例えば、少なくとも約31、又は少なくとも約32、又は少なくとも約33、又は少なくとも約34、又は少なくとも約35、又は少なくとも約36、又は少なくとも約37、又は少なくとも約38の峻度を有する。特定実施形態においては、峻度は約50未満、例えば、約45未満である。特定実施形態においては、峻度は約29~40、例えば、約30~40、又は約30~39、又は約31~38、又は約32~38、又は約33~38、又は約34~38、又は約34~38である。本明細書で論じるように、予想外に、タルク粒子の峻度を上昇させると、タルク粒子で充填されたポリマー組成物の剛性を有利に改善できることが分かった。
【0012】
特定実施形態においては、タルク粒子は、70以上、例えば、80以上又は90以上の形状係数を有する。特定実施形態においては、タルク粒子は、150以下、例えば130以下、例えば110以下の形状係数を有する。特定実施形態においては、形状係数は、40~150、又は40~130又は40~110、又は70~150又は70~130又は70~110である。相対的に高い形状係数は、約0.5~5.0μmのd50を有し、かつ約500ppm未満の、45μm以上の粒径を有する粒子を含むことをさらに特徴とするタルク粒子で充填されたポリマーの剛性を有利に改善することができる。
特定の実施形態においては、タルク粒子は、少なくとも約2.6、例えば少なくとも約2.8、又は少なくとも約3.0、又は少なくとも約3.2、又は少なくとも約3.4のラメラリティーインデックスを有する。特定実施形態においては、タルク粒子は、約5.0未満又は約4.2以下、又は約4.0以下のラメラリティーインデックスを有する。特定実施形態においては、タルク粒子は、約2.8~約5.0、例えば、約2.8~約4.5、又は約2.8~約4.0、例えば、約2.9~約4.0、又は約3.0~約4.0、又は約3.0~約2.9、又は約3.1~約3.9、又は約3.2~約3.9、又は約3.3~約3.9のラメラリティーインデックスを有する。ラメラリティーインデックスが高いほど、タルクはポリマー組成物において高い剛性をもたらすと予測されるということが一般通例になっている。
特定実施形態においては、タルク粒子は、約5m2/g以上、例えば、約8m2/g以上、又は約10m2/g以上、又は約10m2/g以上の比表面積(BET)を有する。特定実施形態においては、タルク粒子は、約10m2/g~約25m2/g、例えば、約10m2/g~約20m2/g、又は約12m2/g~約18m2/g、又は約13m2/g~約16m2/gの比表面積(BET)を有する。
【0013】
特定実施形態においては、タルク粒子は約0.5~約5.0μmのd50を有し、約250ppm未満の、45μm以上の粒径を有する粒子、例えば、約100ppm以下の、45μm以上の粒径を有する粒子を含み、約30~約40の峻度、及び約2.8~4.0のラメラリティーインデックスを有する。該実施形態においては、タルク粒子は、約8.0~約12.0μmのd95及び/又は約10m2/g~約20m2/gの比表面積(BET)を有し得る。
特定実施形態においては、タルク粒子は、約1.5~約3.0μmのd50を有し、約50ppm未満の、45μm以上の粒径を有する粒子を含み、約32~約40の峻度、及び約2.8~4.0のラメラリティーインデックスを有する。該実施形態においては、タルク粒子は、約8.0~約12.0μmのd95及び/又は約10m2/g~約20m2/gの比表面積(BET)を有し得る。
特定実施形態においては、タルク粒子は、約2.0~約3.0μmのd50を有し、約40ppm未満の、45μm以上の粒径を有する粒子を含み、約32~約38の峻度、及び約3.2~3.8のラメラリティーインデックスを有する。該実施形態においては、タルク粒子は、約8.0~約12.0μmのd95及び/又は約10m2/g~約20m2/gの比表面積(BET)を有し得る。
【0014】
特定実施形態においては、タルクは、ケイ酸マグネシウム鉱物若しくは鉱物緑泥石、又はその混合物である。場合により、タルクはさらにドロマイト若しくはマグネサイト、又はその組合せを含んでよい。タルク中のドロマイト及び/又はマグネサイトの量は、タルクの総質量に基づいて、約10質量%未満、例えば、タルクの総質量に基づいて、約5質量%未満、又は約1質量%未満、又は約0.75質量%未満、又は0.5質量%以下であってよい。特定実施形態においては、タルクは、ケイ酸マグネシウム鉱物を含むか又はケイ酸マグネシウム鉱物から基本的に成るか又はケイ酸マグネシウム鉱物から成る。特定実施形態においては、タルクは、ケイ酸マグネシウム鉱物と緑泥石の混合物である。ケイ酸マグネシウム鉱物対緑泥石の質量比は、約5:1~約1:4、例えば、約4:1~約1:1、又は約4:1~約2:1、又は約4:1~約2.5:1、又は約4:1~約3:1、又は約2:1、又は約3:1、又は約4:1である。特定実施形態においては、タルクは、合成タルク若しくはタルコースを含むか又は合成タルク若しくはタルコースから基本的に成るか又は合成タルク若しくはタルコースから成る。
【0015】
特定実施形態においては、タルク粒子を別の無機粒状物質(すなわち、タルク以外の無機粒状物質)、例えば、アルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩又はオキシ硫酸塩、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏、オキシ硫酸マグネシウム、水和カンダイト(kandite)粘土、例えばカオリン、ハロイサイト若しくは球状粘土、無水(か焼)カンダイト粘土、例えばメタカオリン若しくは完全か焼カオリン、マイカ、パーライト、長石、霞石閃長岩、珪灰石、珪藻土、重晶石、ガラス、及び天然若しくは合成シリカ又はケイ酸塩と混合又はブレンドしてよい。特定実施形態においては、タルク粒子をアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩又はオキシ硫酸塩、マイカ及びカオリンの1種以上と混合又はブレンドする。
【0016】
特定実施形態においては、タルク粒子を表面処理剤で処理する。タルクの表面処理は、タルク粒子の凝集を減少させ若しくは排除し、及び/又はタルク粒子のポリマー組成物中への組み込みを促進するのに役立ち得る。
適切な表面処理剤としては、極性基を有する疎水性炭素鎖を含む化合物、例えば、アミン、シラン、シロキサン、アルコール又は酸及びその金属塩のファミリーが挙げられる。
特定実施形態においては、表面処理剤は、ポリエーテル又はその誘導体、例えば、ポリエーテル変性ポリシロキサンである。
特定実施形態においては、ポリエーテルはポリオキシアルキレン(POA)、例えば、ポリアルキレングリコール(PAG)又はポリアルキレンオキシド(PAO)である。本明細書で使用する場合、用語「ポリアルキレングリコール」は、20,000g/mol未満の数平均分子量を有するPOAを意味し、用語「ポリアルキレンオキシド」は、20,000g/mol超えの数平均分子量を有するPOAを意味する。特定実施形態においては、表面処理剤は、約100~約15,000g/mol、例えば、約200~約10,000g/mol、又は約500~約9000g/mol、又は約1000~約9000g/mol、又は約2000~約900g/mol、又は約4000~約9000g/mol、又は約6000~約9000g/mol、又は約6000~約8500g/molの数平均分子量を有するポリアルキレングリコールを含むか又は該ポリアルキレングリコールである。
特定実施形態においては、ポリエーテルは、パラホルムアルデヒド(ポリメチレンオキシド)、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド、及びその組合せの1種以上から選択されるポリアルキレンオキシドである。
【0017】
特定実施形態においては、表面処理剤は、ポリエチレングリコールを含むか又はポリエチレングリコールである。特定実施形態においては、表面処理は、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコール(PPG)の混合物を含むか又は該混合物である。特定実施形態においては、表面処理剤は、約200~約10,000g/mol、例えば、約500~約9000g/mol、又は約1000~約9000g/mol、又は約2000~約900g/mol、又は約4000~約9000g/mol、又は約6000~約9000g/mol、又は約6000~約8500g/molの数平均分子量を有するポリエチレングリコールである。典型的なPEGとしては、BASFからのポリグリコールのPuriolTM部類、例えば、PuriolTM 8005がある。
特定実施形態においては、表面処理剤は、脂肪酸、及び/又はその金属塩、例えば、ステアリン酸又はステアリン酸金属塩、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム若しくはステアリン酸亜鉛を含むか又はそれらである。
【0018】
適切なシラン系薬剤は、アミノシラン、例えば、トリメトキシシリルエチルアミン、トリエトキシシリルエチルアミン、トリプロポキシシリルエチルアミン、トリブトキシシリルエチルアミン、トリメトキシシリルプロピルアミン、トリエトキシシリルプロピルアミン、トリプロポキシシリルプロピルアミン、トリイソプロポキシシリルプロピルアミン、トリブトキシシリルプロピルアミン、トリメトキシシリルブチルアミン、トリエトキシシリルブチルアミン、トリプロポキシシリルブチルアミン、トリブトキシシリルブチルアミン、トリメトキシシリルペンチルアミン、トリエトキシシリルペンチルアミン、トリプロポキシシリルペンチルアミン、トリブトキシシリルペンチルアミン、トリメトキシシリルヘキシルアミン、トリエトキシシリルヘキシルアミン、トリプロポキシシリルヘキシルアミン、トリブトキシシリルヘキシルアミン、トリメトキシシリルヘプチルアミン、トリエトキシシリルヘプチルアミン、トリプロポキシシリルヘプチルアミン、トリブトキシシリルヘプチルアミン、トリメトキシシリルオクチルアミン、トリエトキシシリルオクチルアミン、トリプロポキシシリルオクチルアミン、トリブトキシシリルオクチルアミン等である。ヒドロカルビル基と極性基とを有する適切な薬剤は、ヒドロカルビルアミン、例えばトリエタノールアミン(TEA)、及びアミノアルコール剤、例えば2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールである。AMP-95(登録商標)は、5%の水を含有する商業的に入手可能な2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール配合物である。
【0019】
表面処理剤は、所望の結果を達成するのに有効な量で添加してよい。特定実施形態においては、表面処理剤の量は、タルクの質量に対して約0.1質量%~5質量%、例えば、タルクの質量に対して約0.1質量%~2質量%である。
表面処理剤は、タルク粒子に添加し、通常の方法を用いて混合することによって適用可能である。表面処理剤は、相対的に粗いタルク出発物質からのタルク粒子の調製中及びタルク粒子をポリマー組成物に添加する前に適用してよい。
【0020】
タルク粒子の調製
タルク粒子は、当業者に周知の技術、例えば、細分化(例えば、粉砕、研磨、製粉)、分類(例えば、流体力学的選択、スクリーニング及び/又は篩い分け)、及び乾燥を用いて調製可能である。
特定実施形態においては、タルク粒子を下記工程:
(a)約5.0μmより大きい、例えば、約7.5μmより大きいd50を有し、場合により少なくとも約20.0μmのd95を有する初期粒径を有する相対的に粗いタルク粒子の液体懸濁液をデラミネーションして、初期粒径より小さい粒径を有するタルク粒子を得る工程;
(b)懸濁液を処理して、約15.0μmより大きいd95を有する粒子を減らすか又は排除する工程;
(b1)場合により懸濁液を処理して、45μm以上の粒径を有する粒子のppmを減らす工程、
(c)少なくとも部分的に懸濁液を乾燥させ、それによって約0.5~5.0μmのd50を有し、かつ約500ppm未満の、45μm以上の粒径を有する粒子を含むタルク粒子を得る工程
を含む方法で調製する。
この方法のどの段階でもタルク粒子を別の無機粒子と混合又はブレンドしてよい。
【0021】
特定実施形態においては、得られるタルク粒子は、下記特性の1つ以上を有する。
1. 少なくとも約25、例えば、少なくとも約26、又は少なくとも約27、又は少なくとも約28、又は少なくとも約29の峻度。有利には、タルク粒子は、少なくとも約30、例えば、少なくとも約31、又は少なくとも約32、又は少なくとも約33、又は少なくとも約34、又は少なくとも約35、又は少なくとも約36、又は少なくとも約37、又は少なくとも約38の峻度を有する。
2. 少なくとも約2.6、例えば、少なくとも約2.8、又は少なくとも約3.0、又は少なくとも約3.2、又は少なくとも約3.4のラメラリティーインデックス。特定実施形態においては、タルク粒子は、約4.2未満、例えば約4.0以下のラメラリティーインデックスを有する。
特定実施形態においては、タルク粒子は、約2.8~約4.0、例えば、約2.9~約4.0、又は約3.0~約4.0、又は約3.0~約2.9、又は約3.1~約3.9、又は約3.2~約3.9、又は約3.3~約3.9のラメラリティーインデックスを有する。
3. 約5m2/g、例えば、約8m2/g以上、又は約10m2/g以上、又は約10m2/g以上の比表面積(BET)。特定実施形態においては、タルク粒子は、約10m2/g~約25m2/g、例えば、約10m2/g~約20m2/g、又は約12m2/g~約18m2/g、又は約13m2/g~約16m2/gの比表面積(BET)を有する。
4. 約250ppm未満の、45μm以上の粒径を有する粒子、例えば、約100ppm以下、又は約75ppm以下、又は約50ppm以下、又は約40ppm以下、又は約30ppm以下、又は約20ppm以下の、45μm以上の粒径を有する粒子。特定実施形態においては、タルク粒子は、少なくとも約1ppm、例えば、少なくとも約5ppm、又は少なくとも約10ppmの、45μm以上の粒径を有する粒子を含む。
5. 約0.5~約4.0μm、又は約0.5~約3.5μm、又は約0.75~約3.25μm、又は約1.0~約3.0μm、又は約1.25~約3.0μm、又は約1.5~約3.0μm、又は約1.75~約3.0μm、又は約2.0~約2.9μm、又は約2.2~約2.8μm、又は約2.3~約2.8μmのd50
6. 約15μm未満のd95、例えば、約12μm未満、約11μm未満、又は約10μm未満のd95。特定実施形態においては、タルク粒子は、約5.0~約15.0μm、例えば、約7.0~約12.0μm、又は約8.0~12.0μm、又は約7.0~約11.0μm、又は約8.0~約11.0μm、又は約8.0~約10.0μm、又は約8.0~約9.0μmのd95を有する。
7. 70以上の形状係数。特定実施形態においては、タルク粒子は、130以下、例えば110以下の形状係数を有する。特定実施形態においては、形状係数は、40~130、又は40~110、又は70~130又は70~110である。
【0022】
工程(b)からの約15.0μmより大きいd95を有する粒子を工程(a)のデラミネーションに再利用してよい。
(b)の処理では、デラミネーション操作からの生産物を希釈して粘度を低下させ、例えば、約20質量%未満の乾燥固形分、例えば、約5~約15質量%の乾燥固形分、又は約10~約15質量%の乾燥固形分まで希釈してよい。希釈剤は、いずれの適切な液体でもよく、典型的には相対的に粗いタルク粒子の懸濁液の調製に用いる液体と同じ液体、例えば水である。
次にタルクを少なくとも部分的に乾燥させて、少なくとも約50質量%の乾燥固形分、例えば、約60~約90質量%の乾燥固形分、又は約60~約80質量%の乾燥固形分、又は約65~約75質量%の乾燥固形分を含む少なくとも部分的に乾燥したタルクを得る。
少なくとも部分的に乾燥したタルクを次に砕いてよく、すなわち、粒状にすることができる。これは、工程(a)に関して上述したように、グラインダーで乾式粉砕した後にさらに乾燥工程で含水量を、例えば、いずれの適切な質量分析技術によって決定してもよい約1%未満に低減させることによって行なうことができる。
この方法は、懸濁液を少なくとも部分的に乾燥させて、少なくとも50質量%の乾燥固形分を含む少なくとも部分的に乾燥したタルクを得る前にさらにタルク粒子を表面処理剤で処理する工程を含んでよい。表面処理剤は、デラミネーション操作中及び/又は工程(b)後並びに乾燥工程前に組み込んでよい。
【0023】
ポリマー組成物
本発明の(場合により表面処理済み)タルク粒子は、ポリマー組成物のフィラーとして使用可能である。タルク粒子は、増量フィラー又は機能性フィラーとして使用可能である。本明細書で使用する場合、用語「機能性フィラー」は、ポリマー組成物の1つ以上の物理的(例えば、機械的)特性の向上を目的としてポリマー組成物に組み込まれる添加剤を意味するものと理解される。「増量フィラー」は、典型的にはポリマー組成物の特性をほとんど改変せず、基本的にコスト削減に役立つ。
特定実施形態においては、タルク粒子は、例えば、ポリマー組成物の1つ以上の機械的特性を改変するか又は向上させるためにポリマー組成物における機能性フィラーとして使用可能である。
特定実施形態においては、例えば、より高価であるか又はポリマー組成物中により組み込み難い可能性がある他のフィラー物質を補助するか又は該物質に取って代わるためにタルク粒子を増量フィラーとして使用する。
【0024】
特定実施形態においては、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の総質量に基づいて、約5~約70質量%の(場合により表面処理済み)タルク粒子、例えば、約10~約70質量%、又は約20~約60質量%、又は約25~約50質量%、又は約30~約50質量%、又は約30~約45質量%、又は約30~約40質量%、又は約35~約45質量%のタルク粒子を含む。特定実施形態においては、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の総質量に基づいて、少なくとも約10質量%のタルク粒子、例えば、少なくとも約20質量%、又は少なくとも約25質量%、又は少なくとも約30質量%、又は少なくとも約35質量%、又は少なくとも約40質量%のタルク粒子を含む。
ポリマー組成物は、タルク粒子以外のフィラーを含んでよく、これには、限定するものではないが、アルカリ土類金属の炭酸塩又は硫酸塩、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏、水和カンダイト粘土、例えばカオリン、ハロサイト若しくは球状粘土、無水(か焼)カンダイト粘土、例えばメタカオリン又は完全にか焼したカオリン、マイカ、パーライト、長石、霞石閃長岩、珪灰石、珪藻土、重晶石、ガラス、及び天然若しくは合成シリカ又はケイ酸塩が含まれる。特定実施形態においては、ポリマー組成物は、本発明のタルク粒子以外のタルクを含んでよい。
【0025】
タルク粒子以外のフィラー化合物は、ポリマー組成物の調製中、或いは、タルク粒子の調製中に含めてよく、例えば、タルク粒子を、場合により表面処理剤と組み合わせて、他のフィラー化合物と混合又はブレンドしてよい。該実施形態においては、他のフィラー化合物を表面処理剤で表面処理してよい。
特定実施形態においては、他のフィラー化合物の量は、ポリマー組成物の総質量に基づいて、約10質量%未満、例えば、約5質量%未満、又は約1質量%未満、又は約0.5質量%未満、又は約0.4質量%未満、又は約0.3質量%未満、又は約0.2質量%未満、又は約0.1質量%未満の量で存在する。
ポリマー組成物はいずれの天然若しくは合成ポリマー又はその混合物をも含んでよい。ポリマーは、例えば、熱可塑性又は熱硬化性であってよい。本明細書で使用する用語「ポリマー」には、ホモポリマー及び/又はコポリマー、並びに架橋及び/又は絡み合いポリマーが含まれる。
ポリマー成分に適用可能な用語「前駆体」は、当業者には容易に理解されるであろう。例えば、適切な前駆体としては、モノマー、架橋剤、架橋剤と促進剤とを含む硬化系、又はその任意の組合せの1種以上が挙げられる。この場合、本発明によれば、タルク粒子をポリマーの前駆体と混合し、引き続き前駆体成分を硬化及び/又は重合させて所望ポリマーを形成することによってポリマー組成物を形成することになる。
【0026】
本発明のポリマー組成物に含まれるポリマーは、ホモポリマー及び/又はコポリマーを含め、下記モノマーの1種以上から調製可能である:アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、及びアルキル基に1~18個の炭素原子を有するアクリル酸アルキル、スチレン、置換スチレン、ジビニルベンゼン、フタル酸ジアリル、ブタジエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸若しくはフマル酸のエステル、テトラヒドロフタル酸若しくは無水物、イタコン酸若しくは無水物、及び架橋ダイマー、トリマー、若しくはテトラマーの有無にかかわらずイタコン酸のエステル、クロトン酸、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、ブタジエンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン(trimethyolpropane)、ペンタエリスリトール、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸又はコハク酸、アゼライン酸及びダイマー脂肪酸、トルエンジイソシアナート及びジフェニルメタンジイソシアナート。
【0027】
ポリマーは、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、ポリアセタール、ポリカルボナート、ポリビニル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリアクリラート、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシポリマー、不飽和ポリエスエル、ポリウレタン、ポリシクロペンタジエン及びそのコポリマーの1種以上から選択可能である。
本発明に従って使用可能なポリマーは、有利には熱可塑性ポリマーである。熱可塑性ポリマーは、熱の作用下で軟化し、冷却すると、再び硬化してそれらの本来の特性になる、すなわち、加熱・冷却サイクルが完全に可逆的なポリマーである。従来の定義によって、熱可塑性物質は、分子結合を有する直線及び分岐した直鎖有機ポリマーである。本発明により使用可能なポリマーの例としては、限定するものではないが、ポリエチレン、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びその中密度グレード、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ビニル/ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、及びその混合物が挙げられる。
特定実施形態においては、ポリマーは、ポリアルキレンポリマー、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、又はエチレン、プロピレン及びブチレンモノマーの2種以上のコポリマー、例えば、エチレン-プロピレンコポリマーである。特定実施形態においては、ポリマーは、プロピレン、ポリエチレン及びエチレン-プロピレンコポリマーの2種以上の混合物、例えばプロピレンとポリエチレンの混合物である。
特定実施形態においては、ポリマーは、ポリプロピレン若しくはポリエチレン又はポリプロピレンとポリエチレンの混合物を含むか又はそれらから基本的に成るか又はそれらから成る。
【0028】
機能性組成物の調製
ポリマー組成物は、その成分を親密に一緒に混合することによって調製可能である。次に、加工して最終ポリマー複合材又は物品を形成する前に、タルク粒子を、成分といずれもの所望追加成分との混合物と適宜ブレンド、例えば、乾式ブレンドしてよい。
ポリマー組成物は、本明細書に記載のタルク粒子を、ポリマー組成物の総質量に基づいて少なくとも約1質量%の量、例えば、ポリマー組成物の総質量に基づいて、少なくとも約2質量%、又は少なくとも約3質量%、又は少なくとも約5質量%、又は少なくとも約10質量%、又は少なくとも約15質量%、又は少なくとも約20質量%、又は少なくとも約30質量%、又は少なくとも約35質量%、又は少なくとも約40質量%、又は少なくとも約45質量%、又は少なくとも約50質量%、又は少なくとも約60質量%の量でポリマーと混ぜ合わせることによって調製可能である。特定実施形態においては、タルク粒子の量は、ポリマー組成物の総質量に基づいて、約1~約70質量%、例えば、ポリマー組成物の総質量に基づいて、約5~約70質量%、又は約10~約70質量%、又は約20~約60質量%、又は約25~約50質量%、又は約30~約50質量%、又は約30~約45質量%、又は約30~約40質量%、又は約35~約45質量%の量である。
【0029】
特定実施形態においては、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の総質量に基づいて、少なくとも約30質量%のポリマー、例えば、ポリマー組成物の総質量に基づいて、約30~約90質量%のポリマー、又は約40~約80質量%のポリマー、約50~75質量%のポリマー、約50~約70質量%のポリマー、又は約55~約70質量%のポリマー、又は約60~約70質量%のポリマー、又は約55~65質量%のポリマーを含む。
本発明のポリマー組成物の調製は、当業者には容易に分かるように、技術上周知のいずれの適切な混合方法によっても達成可能である。
該方法は、個々の成分又はその前駆体の乾式ブレンディング及び引き続く従来法での加工工程を含む。必要に応じて、特定の成分は、配合混合物への添加前に予混合することができる。
熱可塑性ポリマー組成物の場合、該加工工程は、組成物から物品を製造するための押出機内で直接行なうか、又は別々の混合装置内で予混合を行なう溶融混合を含んでよい。或いは個々の成分の乾燥ブレンドを予め溶融混合せずに直接射出成形することができる。
ポリマー組成物は、その成分を親密に一緒に混合することによって調製可能である。次に、上記の加工前に、タルク粒子を、ポリマー及びいずれもの所望追加成分と適宜乾式ブレンドしてよい。
この混合段階で他のフィラー化合物を添加及びブレンドしてよい。
【0030】
架橋又は硬化ポリマー組成物の調製では、ポリマーを架橋及び/又は硬化させるため、未硬化成分又はそれらの前駆体と、必要に応じて、タルク粒子及びいずれもの所望の非タルク成分とのブレンドを、使用ポリマーの性質と量に応じて、熱、圧力及び/又は光の適切な条件下で、有効な量のいずれもの適切な架橋剤又は硬化系と接触させることになる。
タルク粒子及びいずれもの所望の他成分が重合時にその場に存在する場合のポリマー組成物の調製では、モノマーを、その場でタルク粒子及びいずれもの他の成分と重合させるため、モノマーといずれもの所望の他のポリマー前駆体、タルク粒子及びいずれもの他の成分のブレンドを、使用ポリマーの性質と量に応じて、熱、圧力及び/又は光の適切な条件下で接触させることになる。
特定実施形態においては、ポリマー(例えば、ポリプロピレン)及び場合により硬化剤を含む混合物中にタルク粒子を撹拌により分散させる。混合物は、離型剤をさらに含んでよい。
結果として生じる分散系を脱気して同伴空気を除去することができる。結果として生じる分散系を次に適切な型中に注いで硬化させることができる。適切な硬化温度は20~200℃、例えば20~120℃、又は、例えば、60~90℃の範囲である。
出発ポリマー混合物は、さらにプレポリマー(例えば、プロピレンモノマー)を含むことができる。プレポリマーは、出発ポリマーと一致してもしなくてもよい。
【0031】
出発ポリマー又はポリマー/モノマー溶液の粘度、硬化剤、離型剤及び表面処理済み高アスペクト比タルクの量は、最終硬化製品の要件に応じて変動し得る。一般的に、添加するタルク粒子の量が多いほど、分散系の粘度は高い。分散剤を添加して分散系の粘度を低下させることができる。或いは、出発溶液中のポリマーの量を減らすことができる。
当業者には適切な硬化剤が容易に分かるであろう。これには有機ペルオキシド、ヒドロペルオキシド及びアゾ化合物がある。ペルオキド及びヒドロペルオキシド硬化剤の例としては、ジメチルジブチルペルオキシヘキサン、ベンジルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ラウリルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、過安息香酸t-ブチル、t-ブチルヒドロペルオキシド、t-ブチルベンゼンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド及びt-ブチルペロクトアート(peroctoate)が挙げられる。
【0032】
配合組成物は、さらに追加成分、例えば滑り助剤(例えばErucamide)、加工助剤(例えばPolybatch(登録商標) AMF-705)、離型剤及び酸化防止剤を含んでよい。
当業者には適切な離型剤が容易に分かるであろう。これには脂肪酸、並びに脂肪酸の亜鉛塩、カルシウム塩、マグネシウム塩及びリチウム塩並びに有機リン酸エステルがある。具体例は、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、オレイン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛である。典型的に、滑り助剤、加工助剤及び離型剤は、マスターバッチの質量に基づいて約5wt.%未満の量で添加される。次に、上述したものを含めたポリマー品が、当業者には容易に分かるであろう従来技術を用いて押し出され、圧縮成形又は射出成形され得る。従って、後述するように、本発明は、本発明のポリマー組成物から形成される物品にも関する。
特定実施形態においては、ポリマー組成物は着色剤を含み、それが存在する場合、ポリマー組成物の配合中に添加されることになる。マスターバッチの形態で着色剤を添加してよい。適切な着色剤は多種多様である。
【0033】
特定の実施形態においては、未充填ポリマーが供給されて溶融状態になっている二軸スクリュー押出機にタルク粒子を添加する。ホッパーを介して、例えば、重力供給によって、タルク粒子を押出機に供給し、ポリマーと均一にブレンドする。混合物を押出機から出して冷却することができる。次に、例えば、混合物を圧縮成形又は射出成形して有用な形状にすることができる。
上記方法は配合工程及び押出しを含んでよい。配合工程は二軸スクリューコンパウンダー、例えば、Clextral BC 21二軸スクリュー押出機又はLeistritz ZSE 18二軸スクリュー押出機又はPerkins 25mm二軸スクリューコンパウンダーを用いて行なってよい。ポリマー、タルク粒子及び任意的な追加成分を予混合し、単一ホッパーから供給してよい。結果として生じる融成物を例えば、水浴内で冷却してからペレット化することができる。試験片、例えば、シャルピーバー又は引張ダンベルを射出成形又は鋳造又はブロー成形してフィルムにすることができる。
スクリュー温度は約100℃~約300℃、例えば、約150℃~約280℃、例えば、約180℃~約250℃、又は約200~230℃であってよい。
スクリュー速度は約100~1200rpm、例えば、約100~1000rpm、例えば、約200~800rpm、例えば、約250~650rpm、例えば、約200~400rpm、又は約500~700rpmであってよい。特定の実施形態においては、スクリュー速度は約300rpmである。他の実施形態では、スクリュー速度は約600rpmである。
【0034】
適切な射出成形装置としては、例えば、Billion 50T Proximaプレス機がある。ポリマー組成物を成形前に乾燥させてよい。乾燥はいずれの適切な温度でも、例えば、約60℃で、適切な時間、例えば、約1時間~20時間、例えば、約2~18時間、又は約1~3時間、又は約4~8時間、又は約12~18時間行なってよい。乾燥中の温度を一定に維持しても又は変動させてもよい。特定の実施形態においては、乾燥中の温度は約70~120℃、例えば、約80~100℃、例えば約90℃である。
成形は、一般的にポリマー組成物が流動性を有する温度で行なわれる。例えば、成形温度は、約100~300℃、例えば、約200~300℃、又は約240~約280℃であってよい。成形後、成形片を冷却及び硬化させることになる。
他の適切な加工技術としては、ガスアシスト射出成形、カレンダー加工、真空成形、熱成形、ブロー成形、引き抜き加工、スピニング加工、皮膜形成、積層又はその任意の組合せが挙げられる。当業者には明らかなように、いずれの適切な装置を使用してもよい。
本明細書で述べるように、いずれの適切な方法によっても、ポリマー組成物を加工して商品を形成するか、又は商品に組み込むことができる。ポリマー組成物から形成可能な物品は種々多様である。例として、自動車の車体部品及び車体パネル、例えば、ボンネット(フード)、ウイングピース、ウイングミラーケーシング、ドア(フロント及び/又はリア)、テールゲート及びバンパー(フロント及び/又はリア)が挙げられる。
【0035】
特定の実施形態においては、本発明のポリマー組成物及び/又はポリマー複合材を物理的若しくは機械的特性(複数可)に関して特徴づけることができる。
特定の実施形態においては、ポリマー組成物及び/又はそれらから形成されるポリマー複合材及び/物品を、衝撃強度とも呼ばれる衝撃特性、例えば、シャルピー衝撃強度又は落錘インデックス(falling weight index)(FWI)に関して特徴づけることができる。これらの特性は、下記実施例に記載の方法に従って決定可能である。特定の実施形態においては、ある量のタルク粒子(例えば、少なくとも約2質量%、又は少なくとも約5質量%、又は少なくとも約10質量%、又は少なくとも約15質量%、又は少なくとも約20質量%、又は少なくとも約30質量%、又は少なくとも約35質量%、又は少なくとも約40質量%)を含んでなるポリマー組成物及び/又はそれから形成されるポリマー複合材及び/又は物品は、500ppm超えの、45μm以上の粒径を有する粒子を含む同等の量のタルク粒子、例えば、1000ppm超えの、45μm以上の粒径を有する粒子を含む同等の量のタルク粒子を含んでなるポリマー組成物及び/又はそれから形成されるポリマー複合材及び/又は物品に対して匹敵するか、又は改善されたシャルピー衝撃強度及び/又はFWI(0℃又は20℃で)を有し得る。例えば、特定の実施形態においては、500ppm超えの、45μm以上の粒径を有する粒子を含む同等の量のタルク粒子を含んでなるポリマー組成物及び/又はそれから形成されるポリマー複合材及び/又は物品に対して、シャルピー衝撃強度が少なくとも1%、又は少なくとも2%、又は少なくとも3%、又は少なくとも4%、又は少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%改善され得る。他の実施形態においては、500ppm超えの、45μm以上の粒径を有する粒子を含む同等の量のタルク粒子を含んでなるポリマー組成物及び/又はそれから形成されるポリマー複合材及び/又は物品に対して、FWIが少なくとも1%、又は少なくとも2%、又は少なくとも3%、又は少なくとも4%、又は少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%改善され得る。
【0036】
特定の実施形態においては、ポリマー組成物及び/又はそれらから形成されるポリマー複合材及び/物品を剛性特性、例えば、曲げ弾性率に関して特徴づけることができる。この特性は、下記実施例に記載の方法に従って決定可能である。特定の実施形態においては、ある量のタルク粒子(例えば、少なくとも約2質量%、又は少なくとも約5質量%、又は少なくとも約10質量%、又は少なくとも約15質量%、又は少なくとも約20質量%、又は少なくとも約30質量%、又は少なくとも約35質量%、又は少なくとも約40質量%)を含んでなるポリマー組成物及び/又はそれから形成されるポリマー複合材及び/又は物品は、500ppm超えの、45μm以上の粒径を有する粒子を含む同等の量のタルク粒子、例えば、1000ppm超えの、45μm以上の粒径を有する粒子を含む同等の量のタルク粒子を含んでなるポリマー組成物及び/又はそれから形成されるポリマー複合材及び/又は物品に対して匹敵するか、又は改善された曲げ弾性率を有し得る。例えば、特定実施形態においては、500ppm超えの、45μm以上の粒径を有する粒子を含む同等の量のタルク粒子を含んでなるポリマー組成物及び/又はそれから形成されるポリマー複合材及び/又は物品に対して、曲げ弾性率が少なくとも1%、又は少なくとも2%、又は少なくとも3%、又は少なくとも4%、又は少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%改善され得る。
【0037】
誤解を避けるために、本発明は、以下の番号付きパラグラフに記載の下記主題をも包含する。
1. 約0.5~5.0μmのd50を有し、約500ppm未満の、45μm以上の粒径を有する粒子を含み、かつ約2.8~約45.0のラメラリティーインデックスを有するタルク粒子。
2. 約250ppm未満の、45μm以上の粒径を有する粒子を含む、パラグラフ1に記載のタルク粒子。
3. 約100ppm以下の、45μm以上の粒径を有する粒子を含む、パラグラフ2に記載のタルク粒子。
4. 約50ppm以下の、45μm以上の粒径を有する粒子を含む、パラグラフ3に記載のタルク粒子。
5. 約30.0以上の峻度を有する、いずれかの先行パラグラフに記載のタルク粒子。
6. 約2.8~約5.0のラメラリティーインデックスを有する、いずれかの先行パラグラフに記載のタルク粒子。
7. 40以上、場合により150以下、又は70~150又は70~130の形状係数を有する、いずれかの先行パラグラフに記載のタルク粒子。
8. 約5.0~約15.0μm、例えば、約8.0~約12.0μmのd95を有する、いずれかの先行パラグラフに記載のタルク粒子。
9. 約10m2/g~約20m2/gの比表面積(BET)を有する、いずれかの先行パラグラフに記載のタルク粒子。
10. 表面処理剤で処理されている、いずれかの先行パラグラフに記載のタルク粒子。
11. 約0.5~5.0μmのd50及び約2.8~約20.0、例えば、約2.8~約5.0のラメラリティーインデックスを有し、かつ約500ppm未満の、45μm以上の粒径を有する粒子を含むタルク粒子の調製方法であって、下記工程:
(a)約5.0μmより大きい、例えば約7.5μmより大きいd50を有し、場合により少なくとも約20.0μmのd95を有する初期粒径を有する相対的に粗いタルク粒子の液体懸濁液をデラミネーションして、初期粒径より小さい粒径を有するタルク粒子を得る工程;
(b)懸濁液を処理して、約15.0μmより大きいd95を有する粒子を減らすか又は排除する工程;及び
(c)懸濁液を少なくとも部分的に乾燥させ、それによって約0.5~5.0μmのd50及び約2.8~約20.0、例えば、約2.8~約5.0のラメラリティーインデックスを有し、かつ約500ppm未満の、45μm以上の粒径を有する粒子を含むタルク粒子を得る工程
を含む前記方法。
12. 懸濁液を少なくとも部分的に乾燥させる前に、タルク粒子を表面処理剤で処理する工程をさらに含む、パラグラフ11に記載の方法。
13. 約15.0μmより大きいd95を有する粒子の少なくとも一部を工程(a)のデラミネーションに再利用する、パラグラフ11又は12に記載の方法。
14. パラグラフ1~9のいずれか1つに記載のタルク粒子、又はパラグラフ11~13のいずれか1つに記載の方法で得ることができるタルク粒子を含む、ポリマー組成物。
15. ポリマーが、ポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレン-エチレンコポリマー、又はその組合せから選択される、パラグラフ14に記載のポリマー組成物。
16. ポリマー組成物の総質量に基づいて、少なくとも約1質量%のタルク粒子を含む、パラグラフ14~15のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
17. パラグラフ1~10のいずれか1つに記載のタルク粒子、又はパラグラフ11~13のいずれか1つに記載の方法で得ることができるタルク粒子をポリマーと混ぜ合わせる工程を含む、ポリマー組成物の調製方法。
18. パラグラフ14~17のいずれか1つに記載のポリマー組成物から形成、例えば、押出し又は成形されるポリマー複合材又は物品。
19. パラグラフ18に記載のポリマー複合材又は物品であって、下記:
(i)500ppm超えの、45μm以上の粒径を有する粒子を含む同量のタルク粒子を含んでなる同等のポリマー複合材又は物品の第2のシャルピー衝撃強度より大きい第1のシャルピー衝撃強度;及び/又は
(ii)500ppm超えの、45μm以上の粒径を有する粒子を含む同量のタルク粒子を含んでなる同等のポリマー複合材又は物品の0℃又は20℃における第2の落錘インデックス(FWI)より大きい第1のFWI;及び/又は
(iii)500ppm超えの、45μm以上の粒径を有する粒子を含む同量のタルク粒子を含んでなる同等のポリマー複合材又は物品の第2の曲げ弾性率より大きい第1の曲げ弾性率
を有する、ポリマー複合材又は物品。
20. パラグラフ1~10のいずれか1つに記載のタルク粒子、又はパラグラフ11~13のずれか1つに記載の方法で得ることができるタルク粒子の、ポリマー組成物におけるフィラー、例えば、機能性フィラーとしての使用。
【実施例
【0038】
次に、以下の非限定例を参照して本発明について説明する。
実施例
特に指定のない限り、実施例で調製した物質の特徴づけに下記試験法を利用した。
曲げ弾性率(MPa)
ISO 178に従って80mm×10mm×4mmのバーについて測定した。
シャルピー衝撃強度(KJ/m)
ISO 178に従って80mm×10mm×4mmのバーについて測定した。
切り欠きなしサンプル -20℃/-10℃/0℃;切り欠きサンプル 23℃で。
落錘インデックス(J) 0℃及び-20℃で
EN ISO 6603:2に従って60*60*3mmプラークについて測定した。
「ラメラリティーインデックス」及び「形状係数」
上述した通り。
【0039】
実施例1
表1に要約する特性を有する微細タルク粒子を調製した。
微細タルク粒子をポリプロピレンコポリマーと配合してから、試験用に試験片を押し出した。機械的特性を表1に示す。
比較例A
比較目的で、表1に要約する特性を有する比較タルク粒子を調製した。
比較タルク粒子を実施例1で使用したのと同じポリプロピレンコポリマーと配合した。
機械的特性を表1に示す。
【0040】
表1.
本発明の好ましい態様は、下記の通りである。
〔1〕約0.5~5.0μmのd 50 を有し、約500ppm未満の45μm以上の粒径を有する粒子を含み、かつ約40以上の形状係数を有する、タルク粒子。
〔2〕約250ppm未満の約45μm以上の粒径を有する粒子を含むか、又は約100ppm以下の約45μm以上の粒径を有する粒子を含むか、又は約50ppm以下の約45μm以上の粒径を有する粒子を含む、前記〔1〕に記載のタルク粒子。
〔3〕約30.0以上の峻度を有するか、若しくは約2.8~約45.0、例えば、約2.8~約5.0のラメラリティーインデックスを有する、又は
70以上の、場合により150以下であってもよい形状係数を有する、又は
約5.0~約15.0μm、例えば、約8.0~約12.0μmのd 95 を有する、
前記〔1〕~〔2〕のいずれか1項に記載のタルク粒子。
〔4〕約10m 2 /g~約20m 2 /gの比表面積(BET)を有する、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載のタルク粒子。
〔5〕表面処理剤で表面処理されている、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載のタルク粒子。
〔6〕約0.5~5.0μmのd 50 及び40以上の形状係数を有し、かつ約500ppm未満の45μm以上の粒径を有する粒子を含むタルク粒子の調製方法であって、下記工程、
(a)約5.0μmより大きい、例えば、約7.5μmより大きいd 50 を有する初期粒径を有し、場合により少なくとも約20.0μmのd 95 を有してもよい相対的に粗いタルク粒子の液体懸濁液をデラミネーションして、前記初期粒径より小さい粒径を有するタルク粒子を得る工程、
(b)前記懸濁液を処理して、約15.0μmより大きいd 95 を有する粒子を減らすか又は排除する工程、及び
(c)前記懸濁液を少なくとも部分的に乾燥させ、それによって約0.5~5.0μmのd 50 及び40以上の形状係数を有し、かつ約500ppm未満の45μm以上の粒径を有する粒子を含むタルク粒子を得る工程、
を含む、前記方法。
〔7〕前記懸濁液を少なくとも部分的に乾燥させる工程の前に、前記タルク粒子を表面処理剤で更に処理する、前記〔6〕に記載の方法。
〔8〕約15.0μmより大きいd 95 を有する粒子の少なくとも一部を工程(a)のデラミネーションに再利用する、前記〔6〕又は〔7〕に記載の方法。
〔9〕前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載のタルク粒子、又は前記〔7〕~〔8〕のいずれか1項に記載の方法により得ることができるタルク粒子を含む、ポリマー組成物。
〔10〕前記ポリマーが、ポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレン-エチレンコポリマー、又はそれらの組合せから選択される、前記〔9〕に記載のポリマー組成物。
〔11〕前記ポリマー組成物の総質量に基づいて、少なくとも約1質量%の前記タルク粒子を含む、前記〔9〕~〔10〕のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
〔12〕前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載のタルク粒子、又は前記〔6〕~〔8〕のいずれか1項に記載の方法により得ることができるタルク粒子をポリマーと混ぜ合わせる工程を含む、ポリマー組成物の調製方法。
〔13〕前記〔9〕~〔11〕のいずれか1項に記載のポリマー組成物から形成される、例えば、押出し又は成形される、ポリマー複合材又は物品。
〔14〕前記〔13〕に記載のポリマー複合材又は物品であって、
(i)500ppmより多くの45μm以上の粒径を有する粒子を含む同量のタルク粒子を含む同等のポリマー複合材又は物品の第2のシャルピー衝撃強度より大きい、第1のシャルピー衝撃強度、及び/又は
(ii)500ppmより多くの45μm以上の粒径を有する粒子を含む同量のタルク粒子を含む同等のポリマー複合材又は物品の第2の落錘インデックス(FWI)より大きい、0℃又は20℃における第1のFWI、及び/又は
(iii)500ppmより多くの、45μm以上の粒径を有する粒子を含む同量のタルク粒子を含む同等のポリマー合材又は物品の第2の曲げ弾性率より大きい、第1の曲げ弾性率、
を有する、前記ポリマー複合材又は物品。
〔15〕前記〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載のタルク粒子、又は前記〔6〕~〔8〕のいずれか1項に記載の方法により得ることができるタルク粒子の、ポリマー組成物におけるフィラー、例えば、機能性フィラーとしての使用。