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特許7204716トレッド部内の構造補強部を備えた非空気入りタイヤ
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  • 特許-トレッド部内の構造補強部を備えた非空気入りタイヤ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】トレッド部内の構造補強部を備えた非空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 7/00 20060101AFI20230106BHJP
【FI】
B60C7/00 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020160065
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2021049979
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0117397
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514040088
【氏名又は名称】ハンコック タイヤ アンド テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HANKOOK TIRE & TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】286,Pangyo-ro,Bundang-gu,Seongnam-si,Gyeonggi-do,13494,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソン テ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ソク ジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン ホン
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0025748(KR,A)
【文献】特開2008-260514(JP,A)
【文献】特開2015-217717(JP,A)
【文献】特開2013-039922(JP,A)
【文献】特開2009-286208(JP,A)
【文献】特開2015-089809(JP,A)
【文献】特開2016-113105(JP,A)
【文献】特開2016-007863(JP,A)
【文献】特表2014-502575(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0049544(KR,A)
【文献】特開2004-074826(JP,A)
【文献】特開昭53-022205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00-19/12
B60B 9/00-9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車軸と連結されるリム部と、
タイヤの外側を円周方向に取り囲む形状に形成されて地面と接触するトレッド部と、
前記リム部と前記トレッド部との間に形成され、アーチ型の上部アーチ体及び下部アーチ体を備え、地面からトレッド部へ伝達される衝撃を吸収するスポーク部と、
前記トレッド部の内部に挿入されて、複数のワイヤで形成されたコード支持体を備え、前記スポーク部の荷重支持と応力分散を遂行する構造補強部と、を有し、
前記構造補強部は、前記トレッド部の円周方向に沿って形成される中心体をさらに備え、
前記構造補強部は、前記コード支持体を構成する第1のコード支持体及び第2のコード支持体で形成され、第2のコード支持体がタイヤ周方向に対して40~85度の角度を形成して中心体を巻き取り、第1のコード支持体は、第2のコード支持体の上側面を巻き取ると同時に、タイヤ周方向に対して角度の-40度~-85度を形成し、
前記コード支持体の幅は、30~200mmであり、
前記中心体を巻き取る前記第1のコード支持体同士の間及び前記第2のコード支持体同士の間には0mmより大きく5mm以下の間隙が備わる
ことを特徴とするトレッド部内の構造補強部を備えた非空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記構造補強部からタイヤの中心を向いた面である内側面から前記スポーク部の前記トレッド部の下面に接している面である外側面までの高さが、前記トレッド部全体の高さの30%以内である
請求項1に記載のトレッド部内の構造補強部を備えた非空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記構造補強部は、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維からなる群から選択される1つ以上の素材で形成されるコード支持体を備える
請求項1に記載のトレッド部内の構造補強部を備えた非空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非空気入りタイヤに関し、より詳細には、トレッド部内の構造補強材を備えた非空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、一般的に使用されるタイヤは、構造に応じてラジアルタイヤ、バイアスタイヤ、そしてソリッドタイヤなどに分類することができるが、その中で、乗用車及び特殊な目的を除いた自動車には、ほとんどラジアルタイヤ、つまり、空気入り(又は空気圧)タイヤが使用されている。しかし、このような空気圧タイヤは、構造が複雑な上に、製造工程数が8段階などで多く、又はこれに伴う有害物質の排出量が無視できない程度だけでなく、空気圧タイヤの性能発揮と安全性に絶対的に重要な空気圧を頻繁にチェックしなければならない管理の不便さと走行中外部物質による突刺されと衝撃からタイヤが破損される安全性の問題が常に内在しているのが事実である。
【0003】
しかし、非空気入りタイヤは、このような空気圧タイヤとは異なり、素材と工程の単純化を経て生産コストを大幅に削減することができるだけではなく、エネルギーの使用量及び有害物質の発生量を大幅に削減することができる新しい概念の工程と構造からなるタイヤであり、空気圧の不足などの原因で発生する可能性のある問題から逃れることができる大きな利点を有している。それだけではなく、空気圧タイヤから発生するスタンディングウェーブ(standing wave、定在波)の現象を防止することができ、回転抵抗を大幅に改善することができる利点を有している。
【0004】
ただし、従来技術の非空気入りタイヤでは、構造的な限界のため、制動性能と高速走行時耐疲労性の向上、並びに振動の分散と車両の方向転換時ねじりトルクの抵抗に対する問題がある。
【0005】
特許文献1:韓国登録特許第10-2006-0051513号公報では、タイヤの負荷を複数枚重ねのステープルを含む複数の支持部材で支持する技術について言及している。
【0006】
特許文献2:韓国登録特許第10-2008-0038274号公報では、弾性材料で形成される本体と接地面で機能する円周方向の延長型クラウン部分とそれに接合される延長型サイドウォールで構成された技術に対して言及している。
【0007】
特許文献3:韓国登録特許第10-2004-0027984号公報では、タイヤの負荷を支持する補強された環状バンドとホイール又はハブとの間の荷重を引張された状態で伝達する多数のウェブスポーク(webspoke)を含む非空気圧式タイヤについて言及している。
【0008】
特許文献4:韓国登録特許第10-2010-0090015号公報では、緩衝作用をしてタイヤに加わる荷重を支持する機能を行うハニカム構造に形成された緩衝部を備える非空気入りタイヤを言及している。
【0009】
特許文献5:米国特許第9272576号明細書では、連続ループ補強組立体を記載しており、構造補強物としては螺旋で巻き取られたコイル状を紹介している。
【0010】
特許文献6:日本特許第4855646号公報では、エラストマーとエラストマー剪断層の半径方向内外側に環状の補強バンドを備える非空気入りタイヤを紹介している。
【0011】
特許文献7:日本特許第4530231号では、中間環状部(内側環状部)、外側環状部にタイヤ周方向に補強されている非空気入りタイヤを開示しており、外側環状部の補強バンドは、約20度の傾斜角で平行配列したスチールコード、アラミドコード、及びレーヨンコードなどが逆方向に交差するように積層して形成されることを言及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】韓国登録特許第10-2006-0051513号公報
【文献】韓国登録特許第10-2008-0038274号公報
【文献】韓国登録特許第10-2004-0027984号公報
【文献】韓国登録特許第10-2010-0090015号公報
【文献】米国特許第9272576号明細書
【文献】日本特許第4855646号公報
【文献】日本特許第4530231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、トレッド部に構造補強部を挿入することにより、制動性能と高速走行時の耐疲労性を向上させるとともに、振動の分散と車両の方向転換時ねじりトルクに対する抵抗を向上させることにある。さらに構造補強部のコード支持体の素材や幅を調節して、タイヤ全体の剛性を調節できるようにすることにある。
【0014】
本発明が解決しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に限定されず、言及していない別の技術的課題は、下の記載から、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明らかに理解されよう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記のような目的を達成するための本発明の構成は、車軸と連結されて挿入溝が形成されるリム部と、外側を円周方向に取り囲む形状に形成され、地面と接触するトレッド部と、リム部とトレッド部との間に形成され、アーチ型の上部アーチ体及び下部アーチ体を備えて地面からトレッド部へ伝達された衝撃を吸収するスポーク部と、トレッド部の内部に挿入されて複数のワイヤで構成された複数のコード支持体が互いに対角に交差して備えられる構造補強部と、を有し、構造補強部の素材とコード支持体の幅を調節して剛性を調節し、トレッド部内にコード支持体が中心体を巻き取る形状を形成する構造補強材を挿入することにより、タイヤの制動性能と耐疲労性を向上させることを特徴とする。
【0016】
本発明の実施形態において、前記構造補強部は、前記トレッド部の円周方向に沿って形成される中心体をさらに備えることで形成される。
【0017】
本発明の実施形態において、前記構造補強部は、第1のコード支持体及び第2のコード支持体で形成され、第2のコード支持体がタイヤ周方向に対して40~85度(degree)の角度を形成して中心体を巻取り、第1のコード支持体は、第2のコード支持体の上側面を巻取ると同時に、反対対称な角度である-40度~-85度を形成することができる。
【0018】
本発明の実施形態において、前記構造補強部の内側面から前記スポーク部の外側面までの高さが、前記トレッド部全体の高さの30%以内に形成される。
【0019】
本発明の実施形態において、前記構造補強部は、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維からなる群から選択される1つ以上の材料で形成される。
【0020】
本発明の実施形態において、前記コード支持体の幅は、30~200mm以内に形成される。
【発明の効果】
【0021】
上記のような構成による本発明の効果は、非空気入りタイヤのトレッド部内に構造補強部を挿入することにより、タイヤの制動性能と耐疲労性を向上させることができるというのである。なお、振動の分散と車両の方向転換時ねじりトルクに対する抵抗を向上させるのである。
【0022】
そして、本発明の効果は、コード支持体の素材や幅を調節して剛性を調節することができるというのである。
【0023】
本発明の効果は、上記した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明又は特許請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態による非空気入りタイヤ全体の断面図である。
図2a】本発明の一実施形態による非空気入りタイヤ断面の斜視図である。
図2b】本発明の一実施形態による非空気入りタイヤ断面の斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による構造補強部の拡大図である。
図4】空気圧タイヤと、本発明の実施形態に対する静特性の性能評価の中の1つである変形の程度を示した表である。
図5】本発明の一実施形態による非空気入りタイヤ内の構造補強部の適用有無と構造補強部の構造による実験データの表である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、添付した図面を参照して本発明を説明することにする。しかし、本発明は、複数の異なる形態で実施され、したがってここで説明する実施形態に限定されるものではない。そして図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を通して類似した部分については類似した参照符号を付した。
【0026】
明細書全体では、ある部分が他の部分と「連結(接続、接触、結合)」されているとするとき、これは「直接的に連結」されている場合だけではなく、その中間に他の部材を間に置いて、「間接的に連結」されている場合も含む。なお、ある部分があるコンポーネントを「含む」とするとき、これは、特に反対される記載がない限り、他のコンポーネントを除外するのではなく、他のコンポーネントをさらに備えることができるということを意味する。
【0027】
本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに別の意味を示していると判定されない限り、複数の表現を含む。本明細書では、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、コンポーネント、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つ以上の他の特徴、数字、段階、動作、コンポーネント、部品又はこれらを組み合わせたものの存在若しくは付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0028】
以下、添付された図面を参照して本発明について詳細に説明することにする。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態によるタイヤ全体の正面図であり、図2は、本発明の一実施形態によるタイヤの構造の模式図であり、図3は、本発明の一実施形態による構造補強部400の拡大図である。
【0030】
図1図2及び図3に示すように、本発明は、車軸と接続されて挿入溝が形成されるリム部100と、外側を円周方向に取り囲む形状に形成されて地面と接触するトレッド部300と、リム部100とトレッド部300との間に形成され、アーチ型の上部アーチ体210及び下部アーチ体220を備え、地面からトレッド部300へ伝達する衝撃を吸収するスポーク部200と、トレッド部300の内部に挿入されて複数のワイヤで構成された複数のコード支持体が、互いに対角に交差して備えられる構造補強部400と、を有する。
【0031】
リム部100は、円筒の形状に形成されて車軸と結合され、車軸を介して動力伝達を受けることができる。
【0032】
トレッド部300は、スポーク部200の外側面を円周方向に沿って取り囲む形状に形成され得る。トレッド部300は、地面と接触して地面から伝達される衝撃を緩和することができる。
【0033】
スポーク部200は、アーチ型の上部アーチ体210及び下部アーチ体220を備えることができる。上部アーチ体210は、トレッド部300の内側面に結合されており、下部アーチ体220は、リム部100の外側面に結合されている。なお、上部アーチ体210と下部アーチ体220は、互いに交互に結合されてトレッド部300とスポーク部200とを連結する。スポーク部200は、エラストマー又はゴム素材の中から選択される1つの材料で形成される場合があり、スポーク部200は、地面からタイヤ部300へ伝達された衝撃を吸収することができる。
【0034】
構造補強部400は、トレッド部300に完全に引き込まれて円周方向に沿って形成され、複数のワイヤで形成された第2のコード支持体410が、タイヤ周方向に対して40度~85度(degree)の角度を形成して中心体を巻き取って複数のワイヤで形成された第1のコード支持体410が、第2のコード支持体420を包み込みながら、タイヤ周方向に対して-40度~-85度(degree)の角度を形成することにより、構造補強部400の周辺部を包み込んだ形に作って、それぞれのコード支持体間の非接触部位の発生を防止してタイヤの耐久性を向上することができる。構造補強部400からタイヤの中心を向いた面である内側面からスポーク部200のトレッド部300の下面に接している外側面までの高さが、トレッド部300全体の高さの30%以内に形成されることで、スポーク部200の荷重支持と応力分散を高めることができる。なお、構造補強部400は、30~200mmの幅を備えて幅方向の中央に位置することができる。本発明の実施形態では、2つのコード支持体で形成される構造補強部を説明しているが、構造補強部は複数のコード支持体で形成され得る。
【0035】
構造補強部400は、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維からなる群から選択される1つ以上の素材で形成される。なお、第1のコード支持体410の素材及び第2のコード支持体420の素材が互いに同一な又は異なる構成を備えることができる。なお、構造補強部400は、トレッド部300の剛性よりも強い剛性を備えることができる。そして巻取られながら生ずるコード支持体の間隔は0mm~5mmを維持することができる。コード支持体同士重なるようになるか、又は5mmを超えて空き領域が増加するようになると、コード支持体のワイヤの規則的な配列を妨害するようになって耐久性を減少させることができる。なお、コード支持体の巻取り時の角度は、軸方向に沿って0度に近いほど円周方向への荷重支持に有効であり得る。ただし、コード支持体の巻取り時の角度が40度未満である場合、コード支持体の間に干渉が起こり、規則的に巻取りが困難になることができる。なお、巻取り時の角度が小さくなるほど、コード支持体の間の間隔(図3のw2)を最小化するためには、コード支持体の幅(図3のw1)は広くならなければならない。このとき、幅が200mmを超える場合、タイヤの工程中にコード支持体の内部に空気が流入されて性能の低下を発生させることができる。
【0036】
本発明の非空気入りタイヤにおいて、第1のコード支持体410及び第2のコード支持体420の幅が互いに同一であるか、又は異なることができる。第1のコード支持体410の幅と第2のコード支持体420の幅を異にし、これにより構造補強部400の全体の剛性を調節することができる。
【0037】
本発明の非空気入りタイヤにおいて、第1のコード支持体410及び第2のコード支持体420の素材は、互いに同一であるか、又は異なることができる。それぞれのコード支持体は、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維の中で1つ以上の素材で形成され得る。これにより、構造補強部400の全体の剛性を調節することができる。
【0038】
図4は、構造補強部を備えていない非空気入りタイヤと、本発明の実施形態に対する静特性の性能評価の中の1つである変形の程度を示した表である。図4の(a)は、構造補強部を備えていない非空気入りタイヤの変形の程度を示したものであり、図4の(b)は、本発明の実施形態の変形の程度を示したものである。
【0039】
図4に示すように、図4の(b)の変形の程度が、図4の(a)の変形の程度よりも空気入りタイヤの変形程度の様相ともっと類似したことを確認することができる。これにより、構造補強部を備えた非空気入りタイヤが、構造補強部を備えていない非空気入りタイヤよりも空気入りタイヤと類似した性能を備えることができるため、構造補強部を備えた非空気入りタイヤが、構造補強部を備えていない非空気入りタイヤよりも乗り心地がより優れているといえる。
【0040】
(実施形態1)
構造補強部400は、複数のワイヤで形成された第1のコード支持体410、及び複数のワイヤで形成された第2のコード支持体420が互いに層を形成し、第1のコード支持体410が第2のコード支持体420を巻き取る形状に形成され、PET1000D/2を素材にすることができ、コード支持体の幅(図3のw1)は、100mmに形成され得る。なお、第1のコード支持体410及び第2のコード支持体420は、互いに反対方向に60度(degree)を形成することができ、コード支持体の間隔(図3のw2)は25.4EPIに形成され得る。
【0041】
(比較例2)
構造補強部400では、複数のワイヤで形成された第1のコード支持体410が中心体430の上部側に結合され、第2のコード支持体420の上部側に第1のコード支持体410が結合され得る。なお、第1のコード支持体410及び第2のコード支持体420は、PET1000D/2を素材にすることができ、第1のコード支持体410及び第2のコード支持体420の幅(図3のw1)は、100mmに形成され得る、なお、第1のコード支持体410と第2のコード支持体420は、互いに反対方向に60度(degree)を形成することができ、コード支持体の間隔(図3のw2)は、25.4EPIを形成することができる。
【0042】
(比較例2)
トレッド部内に構造補強部を挿入していない非空気入りタイヤ。
【0043】
図5は、本発明の一実施形態による非空気入りタイヤ内の構造補強部400の適用有無と構造補強部400の構造に応じた実験データの表である。比較例1は、トレッド部300の内部に構造補強部400を挿入していない例であり、比較例2は、トレッド部300の内部に構造補強部400を挿入していたが、構造補強部400の形態が一定の幅である100mmに裁断した後、2つのコード支持体を作って中心体430の上部側に第2のコード支持体420を結合し、第2のコード支持体420の上部側に第1のコード支持体410を結合した形状を形成し、実施形態1は、本発明の例であり、第1のコード支持体410及び第2のコード支持体420の幅が100mmに形成されている。比較例2と実施形態1において、それぞれのコード支持体の素材は、PET1000D/2として互いに同一である。なお、比較例2のコード支持体及び実施形態1のコード支持体の間隔(図3のw2)は、25.4EPIで互い同一である。
【0044】
図5に示すように、高速耐久実験では、比較例1は、4時間後にトレッド部300とスポーク部200の界面が剥離されることを確認することができ、比較例2は、7時間後にコード支持体に形成された帯の端部が剥離されることを確認することができ、実施形態1は、9時間後にスポーク部200でクラックの発生を確認することができる。したがって、実施形態1は、スポーク部200の比較例1、比較例2より改善された制動性能と高速耐久性を備えることが確認できる。
【0045】
なお、図5に示すように、比較例1の制動性能のレベルを100に基準を設定したとき、比較例2の場合、制動性能の数値が104を形成しており、実施形態1の場合、制動性能の数値が105を形成することを確認することができる。したがって、比較例1、比較例2、及び実施形態1の中で実施形態1の制動性能が最も優れていることを確認することができる。
【0046】
そして、図5に示すように、比較例1の地面からリム部100までの最短距離に位置したスポーク部200の変形量を100に基準を設定したとき、比較例2の場合、スポーク部200の変形程度の数値が83を形成することを確認することができ、実施形態1の場合には、スポーク部200の変形程度の数値が82を形成することを確認することができる。したがって、比較例1、比較例2、及び実施形態1の中で、図5の実施形態1のスポーク部200の変形程度が最も小さいことが確認できる。スポーク部200の変形の程度が小さいほど、走行中の振動又は騒音が減少するため、実施形態1の乗り心地と他の部品の耐疲労性が、比較例1及び比較例2より優れていることを確認することができる。
【0047】
上述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須的特徴を変更せずに、他の具体的な形態に変形が容易に可能であることを理解することができよう。したがって、以上で記述した実施形態は、すべての面で例としてのものであり限定的ではないものと理解しなければならない。例えば、単一形で説明されている各コンポーネントは、分散されて実施される場合もあり、同様に分散されたものと説明されているコンポーネントも結合された形態で実施される場合が有り得る。
【0048】
本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味、範囲及びその均等概念から導き出されるすべての変更又は変形された形態が、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
100:リム部
200:スポーク部
210:上部アーチ体
220:下部アーチ体
300:トレッド部
400:構造補強部
410:第1のコード支持体
420:第2のコード支持体
430:中心体

図1
図2a
図2b
図3
図4
図5