(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-05
(45)【発行日】2023-01-16
(54)【発明の名称】処理済無機微粒子材料およびその調製のための方法
(51)【国際特許分類】
C09C 3/06 20060101AFI20230106BHJP
A61L 2/232 20060101ALI20230106BHJP
A61L 2/238 20060101ALI20230106BHJP
C09C 1/28 20060101ALI20230106BHJP
B02C 18/06 20060101ALN20230106BHJP
A61L 101/02 20060101ALN20230106BHJP
【FI】
C09C3/06
A61L2/232
A61L2/238
C09C1/28
B02C18/06 B
A61L101:02
(21)【出願番号】P 2020533285
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(86)【国際出願番号】 EP2018086721
(87)【国際公開番号】W WO2019122391
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-11-04
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】319006807
【氏名又は名称】イメルテック ソシエテ パル アクシオン サンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】アンジャール オフェリー
(72)【発明者】
【氏名】エルトン-レグリックス アナベル
(72)【発明者】
【氏名】イード ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ハール ジョナサン
【審査官】川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-007506(JP,A)
【文献】特開平01-268764(JP,A)
【文献】特開平05-214262(JP,A)
【文献】特表2006-523735(JP,A)
【文献】特開平08-113729(JP,A)
【文献】国際公開第2017/029482(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101347124(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102174229(CN,A)
【文献】特表2010-512294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09C 1/00-3/12
C09D 15/00-17/00
A61L 2/23
A01N 59/00-59/26
B02C 18/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌剤によって無機粒子材料を処理する方法であって、
i)無機粒子材料および水を含む第1の供給材料を、エアスウェプトドライヤーに導入するステップと、
ii)抗菌剤を含む第2の供給材料を、エアスウェプトドライヤーに導入するステップと、
iii)第1の供給材料の無機粒子材料を、第2の供給材料の抗菌剤の存在下で、少なくとも部分的に乾燥させ、処理済無機粒子材料を形成するステップであり、抗菌剤の少なくとも一部が、処理済無機粒子材料の表面上および/または表面内に交換され、抗菌剤が、銀、銅、亜鉛、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される金属または金属塩を含む、前記ステップ
とを含
み、
前記無機粒子材料が、カオリン、タルク、マイカ、ベントナイト、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される粒子状フィロケイ酸塩鉱物である、前記方法。
【請求項2】
第1の供給材料中の無機粒子材料が、5μm未満の、レーザー散乱によるメジアン粒子サイズD
50を有する粉末の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の供給材料中の無機粒子材料が、1~3cmの平均凝結体サイズを有する塊の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第1の供給材料中の無機粒子材料が、50~250μmの平均凝結体サイズを有する噴霧乾燥材料の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
無機粒子材料を、抗菌剤の存在下、エアスウェプトドライヤーにおいて少なくとも部分的に粉砕し、5μm未満の粒子サイズD
50を有する粉末の形態の処理済無機粒子材料を形成するステップをさらに含む、請求項2~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
抗菌剤が硝酸銀を含む、請求項1~
5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
第2の供給材料が水性である、請求項1~
6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
第2の供給材料が乾燥供給材料である、請求項1~
6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
第1および第2の供給材料が、エアスウェプトドライヤーへの導入の前に組み合わせられる、請求項1~
8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
第1の供給材料が0.1~20質量%の水を含有する、請求項1~
9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
処理済無機粒子材料が、2質量%未満の水と、少なくとも0.5質量%の抗菌剤とを含む、請求項1~
10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
エアスウェプトドライヤーからの排出口温度が、50~200℃の範囲内である、請求項1~
11のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、抗菌剤による無機粒子材料(inorganic particulate materials)の処理に関し、このような材料の調製、およびその使用を含む。
【背景技術】
【0002】
無機微粒子材料は、長い間、抗菌剤を含めた様々な種類の薬剤によって処理されてきた。このような処理は、カチオン交換のための十分な時間を与えるため、主として水性溶液などの溶液中で実行されている。溶液法では、次いで、溶液によって導入された溶媒を、無機微粒子材料から除去することが必要となる。特に、抗菌剤による無機微粒子材料、例えばカオリンの処理は、典型的には、抗菌剤を含有する溶液を無機微粒子材料に含浸させることによって実行される。
したがって、無機微粒子材料の溶液ベースの処理の非効率性、複雑さの上乗せ、およびコストの増加を考えれば、無機微粒子材料を処理するための他の方法の発見および開発への誘因が存在する。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、抗菌剤によって無機微粒子材料を処理する方法であって、無機微粒子材料および水を含む第1の供給材料を、エアスウェプトドライヤー(air swept dryer)に導入するステップと、抗菌剤を含む第2の供給材料を、エアスウェプトドライヤーに導入するステップと、第1の供給材料の無機微粒子材料を、第2の供給材料の抗菌剤の存在下で、少なくとも部分的に乾燥させ、処理済無機微粒子材料を形成するステップであり、抗菌剤の少なくとも一部が、無機微粒子材料の表面上および/または表面内に交換される、ステップとを含む、方法を含む。
本開示のさらなる態様では、無機微粒子材料は微粒子状フィロケイ酸塩鉱物である。
本開示のさらなる態様では、抗菌剤は、銀、銅、亜鉛、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される金属または金属塩を含むことができる。
本開示のさらなる態様では、第1の供給材料で導入される無機微粒子材料は、約5μm未満の、レーザー散乱によるメジアン粒子サイズD50を有する粉末の形態である。
本開示のさらなる態様では、第1の供給材料で導入される無機微粒子材料は、約1~約3cmの平均凝結体サイズを有する塊の形態である。
本開示のさらなる態様では、第1の供給材料で導入される無機微粒子材料は、約50~約250μmの平均凝結体サイズを有する噴霧乾燥材料の形態である。
本開示のさらなる態様は、抗菌剤によって無機微粒子材料を処理する方法であって、約1~約3センチメートルの平均凝結体サイズを有する無機微粒子材料を、抗菌剤の存在下、かつ約25質量%未満の水の存在下で、少なくとも部分的に微粉砕し、乾燥させ、処理済無機微粒子材料を形成するステップであり、抗菌剤の少なくとも一部が、処理済無機微粒子材料の表面上および/または細孔内に交換される、ステップを含む、方法を含む。
この明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本開示の様々な例示的態様を図示しており、記載とともに、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本開示の実施形態による、無機微粒子加工システムの概略図である。
【
図2】本開示の実施形態による、無機微粒子加工システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示の特定の態様を、下にさらに詳細に記載する。参照により組み込まれる用語および/または定義と矛盾する場合、本明細書において提供する用語および定義が優先する。
上の発明の概要において、および発明を実施するための形態において、および下の特許請求の範囲において、および添付図面において、本開示の特定の特性(方法のステップを含む)に言及する。本開示は、このような特定の特性のすべての可能な組み合わせを含むことを理解されたい。例えば、特定の態様もしくは実施形態、または特定の請求項の文脈で特定の特性が開示される場合、その特性は、組み合わせる、加える、または代替することが可能な範囲で、本開示の他の特定の態様または実施形態の文脈で、および本開示全体としても用いることができる。
本明細書において用いる場合、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」という用語、またはこれらの任意の他の変形は、非排他的な包含に及ぶことを意図しており、列記された要素を含むプロセス、方法、組成、物品、または装置は、これらの要素のみを含むのではなく、このようなプロセス、方法、組成、物品、または装置に明白には列記されていない、またはこれらに固有ではない他の要素を含みうる。「例示的」という用語は、「理想的」よりはむしろ、「例」の意味で用いる。
本明細書において用いる場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別段の指示をしない限り、複数の参照事項を含む。「およそ」および「約」という用語は、参照する数または値とほぼ同じであることを指す。本明細書において用いる場合、「およそ」および「約」という用語は、指定する量または値の±5%を包含することを理解するべきである。
本明細書において、「(第1の数)~(第2の数)の範囲内」、「(第1の数)と(第2の数)との間」、または「(第1の数)~(第2の数)」として範囲を用いる場合、これは、下限が第1の数であり、上限が第2の数である範囲を指す。本明細書において用いる場合、数が続く「少なくとも」という用語は、その数で開始する範囲の起点を表し、これは規定される可変の項次第で、上限を有する、または上限を有しない範囲でありうる。例えば、「少なくとも1」は1および1超を含む。
【0006】
(粒子サイズ分布(PSD))
粉末の粒子サイズは、レーザー回折によって規定される。平行なレーザービームが、空気中に浮遊する分散微粒子サンプル中を通過し、散乱光の強度における角度変化を測定する。小さな粒子は、当初のレーザービームに対して大きな角度で光を散乱し、大きな粒子はより小さな角度で光を散乱する。次いで、フラウンホーファー光散乱理論を用いて、角度散乱強度データを分析し、粒子のサイズを計算する。メジアン粒子サイズは値D50によって規定し、ここで粒子集団の50パーセント(体積による)が、D50値未満のサイズを有する。D50は、粒子のメジアン平均球径である。
【0007】
本開示は、抗菌剤によって無機微粒子材料を処理するための方法およびシステムであって、i)無機微粒子材料および水を含む第1の供給材料を、エアスウェプトドライヤーに導入するステップと、ii)抗菌剤を含む第2の供給材料を、エアスウェプトドライヤーに導入するステップと、iii)第1の供給材料の無機微粒子材料を、第2の供給材料の抗菌剤の存在下で、少なくとも部分的に乾燥させ、処理済無機微粒子材料を形成するステップであり、抗菌剤の少なくとも一部が、処理済無機微粒子材料の表面上および/または表面内に交換される、ステップとを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、方法およびシステムを含む。第2の供給材料は、水性供給材料であってもよく、または乾燥供給材料であってもよい。
【0008】
一実施形態によれば、第1の供給材料で導入される無機微粒子材料は、乾燥浮遊物として、約5μm未満、または約4μm未満、または約3μm未満、または約2μm未満、または約1μm未満の、光散乱によるメジアン粒子サイズ(以後は「D50」と呼ぶ)を有する粉末の形態であってよい。この実施形態によれば、第1の供給材料の無機微粒子材料を、第2の供給材料の抗菌剤の存在下で、少なくとも部分的に乾燥させるステップは、約0.1~約10、または約1~約8、または約3~約7質量%の水の範囲内の水の存在下である。
一実施形態によれば、第1の供給材料で導入される無機微粒子材料は、約50~約250、または約70~約230、または約100~約200μmの平均凝結体サイズを有する噴霧乾燥材料の形態であってよい。この実施形態によれば、第1の供給材料の無機微粒子材料を、第2の供給材料の抗菌剤の存在下で、少なくとも部分的に乾燥させるステップは、約0.2~約15、または約1~約11、または約3~約10質量%の水の範囲内の水の存在下である。
【0009】
一実施形態によれば、第1の供給材料で導入される無機微粒子材料は、約1~約3cm、または約1.2~約2.7cm、または約1.5~約2.5cmの平均凝結体サイズを有する塊の形態であってよい。無機微粒子材料を、エアスウェプトドライヤーにおいて、少なくとも部分的に微粉砕し、約5μm未満、または約4μm未満、または約3μm未満、または約2μm未満のD50を有する粉末の形態の、処理済無機微粒子材料を形成することができる。この実施形態によれば、第1の供給材料の無機微粒子材料を、第2の供給材料の抗菌剤の存在下で、少なくとも部分的に乾燥させるステップは、約5~約25、または約10~約23、または約13~約20質量%の水の範囲内の水の存在下である。
一実施形態によれば、第1の供給材料は、約0.1~約20質量%の水を含有することができる。本明細書に記載する粉末の形態の無機微粒子材料について、第1の供給材料は、約0.1~約2、または約0.3~約1.5、または約0.5~約1質量%の水を含有することができる。本明細書に記載する噴霧乾燥材料の形態の無機微粒子材料について、第1の供給材料は、約0.1~約5、または約0.2~約3、または約0.3~約2質量%の水を含有することができる。本明細書に記載する塊の形態の無機微粒子材料について、第1の供給材料は、約5~約20、または約7~約18、または約8~約15質量%の水を含有することができる。
【0010】
一実施形態によれば、抗菌剤によって無機微粒子材料を処理する方法は、i)約5μm未満、または約4μm未満、または約3μm未満、または約2μm未満、または約1μm未満の、レーザー散乱によるメジアン粒子サイズD50を有する無機微粒子材料を、抗菌剤の存在下、かつ約0.1~約10、または約1~約8、または約3~約7質量%の水の存在下で、少なくとも部分的に微粉砕し、乾燥させ、処理済無機微粒子材料を形成するステップであり、抗菌剤の少なくとも一部が、処理済無機微粒子材料の表面上および/または細孔内に交換される、ステップを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる。
一実施形態によれば、抗菌剤によって無機微粒子材料を処理する方法は、i)約50~約250、または約70~約230、または約100~約200μmの平均凝結体サイズを有する無機微粒子材料を、抗菌剤の存在下、かつ約0.2~約15、または約1~約11、または約3~約10質量%の水の存在下で、少なくとも部分的に微粉砕し、乾燥させ、処理済無機微粒子材料を形成するステップであり、抗菌剤の少なくとも一部が、処理済無機微粒子材料の表面上および/または細孔内に交換される、ステップを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる。
【0011】
一実施形態によれば、抗菌剤によって無機微粒子材料を処理する方法は、i)約1~約3、または約1.2~約2.7cm、または約1.5~約2.5cmの平均凝結体サイズを有する無機微粒子材料を、抗菌剤の存在下、かつ約25質量%未満、または23質量%未満、または20質量%未満の水の存在下で、少なくとも部分的に微粉砕し、乾燥させ、処理済無機微粒子材料を形成するステップであり、抗菌剤の少なくとも一部が、処理済無機微粒子材料の表面上および/または細孔内に交換される、ステップを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる。
一実施形態によれば、第1および第2の供給材料を、エアスウェプトドライヤーへの導入の前に、組み合わせることができる。
【0012】
図1を参照しながら、本開示の実施形態による方法およびシステム100を開示するが、ここで空気供給材料102およびバーナー燃料供給材料104を、バーナー106に投入する。次いで、燃焼ガスを、ガス流ライン108によって、バーナー106からエアスウェプトドライヤー110に送る。燃焼ガスと接触させるため、ライン112によって、無機微粒子材料をガス流ライン108に導入する。次いで、ライン108によって、燃焼ガスおよび無機微粒子材料をエアスウェプトドライヤー110に送る。記載および実施例において言及するように、エアスウェプトドライヤー110に送る燃焼ガスおよび無機微粒子材料の導入口温度を、ライン108において、エアスウェプトドライヤー110への入り口で測定する。ライン114によって、抗菌剤をエアスウェプトドライヤー110に導入し、ライン116によって、処理済無機微粒子材料を、燃焼ガスとともにエアスウェプトドライヤー110から取り出す。記載および実施例において言及するように、エアスウェプトドライヤー110からの排出口温度を、ライン116において、エアスウェプトドライヤー110からの出口で測定する。ライン118によって、燃焼ガスを処理済無機微粒子材料から分離し、収集のためのライン116によって、処理済無機微粒子材料をバッグフィルタ120に送る。乾燥させるのとともに、エアスウェプトドライヤー110において、無機微粒子材料を微粉砕することもできる。エアスウェプトドライヤー110は、回転刃の先端に小さな隙間を有する回転刃(図示せず)を含んでもよく、無機微粒子材料の微粉砕は、小さな隙間にカオリンを通過させることによって、達成することができる。
【0013】
図2を参照しながら、本開示の実施形態による方法およびシステム200を開示するが、ここで空気供給材料202およびバーナー燃料供給材料204を、バーナー206に投入する。次いで、燃焼ガスを、ガス流ライン208によって、バーナー206からエアスウェプトドライヤー210に送る。ライン212によって、無機微粒子材料をガス流ライン208に導入し、ライン214によって、抗菌剤をガス流ライン208に導入する。次いで、ライン208によって、燃焼ガス、無機微粒子材料、および抗菌剤を、エアスウェプトドライヤー210に送る。記載および実施例において言及するように、エアスウェプトドライヤー210に送る燃焼ガス、無機微粒子材料、および抗菌剤の導入口温度を、ライン208において、エアスウェプトドライヤー210への入り口で測定する。ライン216によって、処理済無機微粒子材料を、燃焼ガスとともにエアスウェプトドライヤー210から取り出す。記載および実施例において言及するように、エアスウェプトドライヤー210からの排出口温度を、ライン216において、エアスウェプトドライヤー210からの出口で測定する。ライン218によって、燃焼ガスを処理済無機微粒子材料から分離し、収集のためのライン216によって、処理済無機微粒子材料をバッグフィルタ220に送る。乾燥させるのとともに、エアスウェプトドライヤー210において、無機微粒子材料を微粉砕することもできる。エアスウェプトドライヤー210は、回転刃の先端に小さな隙間を有する回転刃(図示せず)を含んでもよく、無機微粒子材料の微粉砕は、小さな隙間にカオリンを通過させることによって、達成することができる。
【0014】
本出願に開示する実施形態によれば、無機微粒子材料は、微粒子状フィロケイ酸塩鉱物であってよい。微粒子状フィロケイ酸塩鉱物は、カオリン、タルク、マイカ、ベントナイト、およびこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
本出願に開示する実施形態によれば、抗菌剤は、銀、銅、亜鉛、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される金属または金属塩を含む。抗菌剤は硝酸銀を含むことができる。
一実施形態によれば、処理済無機微粒子材料は、約2質量%未満、または1質量%未満、または0.5質量%未満の水と、少なくとも約10マイクログラム/グラム(μg/g)、または少なくとも約100μg/g、または少なくとも約0.1質量%、または少なくとも約0.5質量%、または少なくとも約0.8質量%、または少なくとも約1質量%の抗菌剤とを含むことができる。
一実施形態によれば、エアスウェプトドライヤーからの排出口温度は、約50~約200℃、または約60~約150℃、または約80~約130℃の範囲内であってよい。
一実施形態によれば、微粉砕および乾燥の際に、無機微粒子材料に抗菌剤を添加することができる。
【実施例】
【0015】
以下の実施例は、本開示を説明することを意図するものであるが、しかしながら、事実上、限定するものではない。本開示は、前述の記載および以下の実施例に整合する、さらなる態様および実施形態を包含することを理解されたい。
【0016】
表1に記載する以下の試行において、8.5%の水分量および1.5μmのD50を有するカオリン供給材料を用いた。カオリン供給材料を、125kg/時の速度で、180℃の導入口温度において、燃焼ガスとともにエアスウェプトドライヤー(Atritor cell-millモデルCM250であった)に投入した。次いで、硝酸銀溶液をエアスウェプトドライヤーに添加し、カオリンとともに混合した。カオリンおよび溶液を、エアスウェプトドライヤー(
図1における110、および
図2における210)内で、数秒以内の微粉砕をした。約6000rpmの速度で回転させた、エアスウェプトドライヤー内に含有される回転刃の先端の小さな隙間に、カオリンを通過させることによって、微粉砕を達成した。次いで、乾燥した処理済カオリンを、90℃の排出口温度で収集した。XRF-Protraceを用いて、銀含有量について最終生成物を試験した。200μg Ag/gカオリンに対して、異なる体積の溶液の添加によって、3つの異なる濃度、200、500、1000μg Ag/gカオリンを作成した。10gのサンプルを100mLの水中に30分間入れ、濾過し、次いでXRF-Protraceにより、±10μg/gの誤差で、乾燥粉末上の銀の量を測定することによって、処理済カオリンに関する銀の浸出を試験し、鉱物の表面上および/または表面内に金属が交換されたことを確認した。結果を下の表1に示す。
【表1】
体積を増加させたAgNO
3溶液の添加は最終水分量に影響を与えず、最終水分量は各実行について約0.6質量%であり、200μg/gの濃度に対して、毎分20、40、および101mLの溶液を注入した場合、濃度および浸出は同様であり、カオリンへの銀の交換に影響を与えなかった。
【0017】
異なるレベルでの缶内安定性について、艶消し塗料参照配合物において、処理済カオリンの抗菌効果を試験した。7つの異なる塗料を作成し、細菌に対するこれらの安定性について試験した。塗料A~Cは対照群であり、AおよびBは殺生物剤を含有する一方、Cはいずれの殺生物剤も含有しなかった。塗料D~Gは、本発明による表1の銀処理済カオリンA、C、D、Eを含有した。
塗料A~Gのいずれも試験する前に汚染されていないことを確認するため、缶内の課題の試験前に、無菌性の試験を行った。試験は、0.1g(0.1ml前後に等しい)の塗料A~Gを、次の培養培地に載置することからなった。
・細菌を計数するためのトリプチックソイ寒天(TSA)(インキュベーション:30℃±2℃において5日)
・麦芽抽出物+クロラムフェニコール寒天、酵母菌およびカビを計数するための選択培地(インキュベーション:23℃±2℃において5日)
菌の計数は、1グラムまたは1ミリリットルの生成物当たりの「コロニー形成単位」(CFU/gまたはCFU/ml)において表され、10CFU/gが検出限界である。すべてのサンプルが10CFU/g未満であった。
【0018】
塗料中の処理済カオリンの抗菌特性を試験するため、缶内試験を実行した。この試験は、international biodeterioration research group(IBRG)によって開発された、湿潤状態における水系塗料の細菌増殖への耐性を評価するための方法に従っている。この試験のため、サンプルは試験の期間中、周囲温度において保管した。6週間にわたって、週に1回、5回の接種を実行した。50gの塗料に、1mlの種菌を添加した。種菌は、表2に記載した微生物から構成された。
【表2】
各接種後の汚染を査定するため、0.1ml量のサンプルを、次の培養培地に三重反復で表面播種した。
・細菌を計数するためのトリプチックソイ寒天(TSA)(インキュベーション:30℃±2℃において5~7日)
・麦芽抽出物+クロラムフェニコール寒天、酵母菌およびカビを計数するための選択培地(インキュベーション:23℃±2℃において5~7日)
結果を下の表3にまとめる。
【0019】
【0020】
本開示の実施形態は、次の番号を付したパラグラフにおいて規定する通りでありうる。
1.抗菌剤によって無機微粒子材料を処理する方法であって、
i)無機微粒子材料および水を含む第1の供給材料を、エアスウェプトドライヤーに導入するステップと、
ii)抗菌剤を含む第2の供給材料を、エアスウェプトドライヤーに導入するステップと
iii)第1の供給材料の無機微粒子材料を、第2の供給材料の抗菌剤の存在下で、少なくとも部分的に乾燥させ、処理済無機微粒子材料を形成するステップであり、抗菌剤の少なくとも一部が、処理済無機微粒子材料の表面上および/または表面内に交換される、ステップと
を含む、方法。
2.第1の供給材料で導入される無機微粒子材料が、約5μm未満の、レーザー散乱によるメジアン粒子サイズD50を有する粉末の形態である、パラグラフ1に記載の方法。
3.第1の供給材料で導入される無機微粒子材料が、約1~約3cmの平均凝結体サイズを有する塊の形態である、パラグラフ1に記載の方法。
4.第1の供給材料で導入される無機微粒子材料が、約50~約250μmの平均凝結体サイズを有する噴霧乾燥材料の形態である、パラグラフ1に記載の方法。
5.無機微粒子材料を、抗菌剤の存在下、エアスウェプトドライヤーにおいて少なくとも部分的に微粉砕し、5μm未満の粒子サイズD50を有する粉末の形態の処理済無機微粒子材料を形成するステップをさらに含む、パラグラフ2~4のいずれかに記載の方法。
6.無機微粒子材料が微粒子状フィロケイ酸塩鉱物である、パラグラフ1~5のいずれかに記載の方法。
7.微粒子状フィロケイ酸塩鉱物が、カオリン、タルク、マイカ、ベントナイト、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、パラグラフ6に記載の方法。
8.抗菌剤が、銀、銅、亜鉛、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される金属または金属塩を含む、パラグラフ1~7のいずれかに記載の方法。
9.抗菌剤が硝酸銀を含む、パラグラフ1~8のいずれかに記載の方法。
10.第2の供給材料が水性である、パラグラフ1~9のいずれかに記載の方法。
11.第2の供給材料が乾燥供給材料である、パラグラフ1~9のいずれか1つに記載の方法。
12.第1および第2の供給材料が、エアスウェプトドライヤーへの導入の前に組み合わせられる、パラグラフ1~11のいずれかに記載の方法。
13.第1の供給材料が約0.1~約20質量%の水を含有する、パラグラフ1~12のいずれかに記載の方法。
14.処理済無機微粒子材料が、約2質量%未満、または1質量%未満、または0.5質量%未満の水と、少なくとも約10μg/g、または少なくとも約100μg/g、または少なくとも約0.1質量%、または少なくとも約0.5質量%、または少なくとも約0.8質量%、または少なくとも約1質量%の抗菌剤とを含む、パラグラフ1~13のいずれかに記載の方法。
15.エアスウェプトドライヤーからの排出口温度が、約50~約200℃の範囲内である、パラグラフ1~14のいずれかに記載の方法。
16.抗菌剤によって無機微粒子材料を処理する方法であって、
約1~約3cmの平均凝結体サイズを有する無機微粒子材料を、抗菌剤の存在下、かつ約25質量%未満の水の存在下で、少なくとも部分的に微粉砕し、乾燥させ、処理済無機微粒子材料を形成するステップであり、抗菌剤の少なくとも一部が、処理済無機微粒子材料の表面上および/または細孔内に交換される、ステップ
を含む、方法。
17.微粉砕および乾燥の際に、無機微粒子材料に抗菌剤が添加される、パラグラフ16に記載の方法。
18.乾燥後の処理済無機微粒子材料の排出口温度が、約50~約200℃の範囲内である、パラグラフ16~17のいずれかに記載の方法。
19.無機微粒子材料が、微粒子状フィロケイ酸塩鉱物からなる群から選択される、パラグラフ16~18のいずれかに記載の方法。
20.微粒子状フィロケイ酸塩鉱物が、カオリン、タルク、マイカ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、パラグラフ16~19のいずれかに記載の方法。
21.抗菌剤が、銀、銅、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される金属または金属塩を含む、パラグラフ16~20のいずれかに記載の方法。
22.抗菌剤が硝酸銀を含む、パラグラフ16~21のいずれかに記載の方法。
23.微粉砕し、乾燥させるステップが、約5~約25質量%の水の存在下である、パラグラフ16~22のいずれかに記載の方法。
24.処理済無機微粒子材料が、約2質量%未満、または1質量%未満、または0.5質量%未満の水と、少なくとも約10μg/g、または少なくとも約100μg/g、または少なくとも約0.1質量%、または少なくとも約0.5質量%、または少なくとも約0.8質量%、または少なくとも約1質量%とを含む、パラグラフ16~23のいずれかに記載の方法。
【0021】
明細書およびその中の実施例は、例示的なものとしてのみ考えることを意図するものであり、本開示の真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。